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特開2024-84520服薬情報提供装置、服薬情報提供方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084520
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】服薬情報提供装置、服薬情報提供方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/10 20180101AFI20240618BHJP
   A61J 7/04 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
G16H20/10
A61J7/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198835
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】楠美 麻梨子
【テーマコード(参考)】
4C047
5L099
【Fターム(参考)】
4C047NN10
4C047NN11
4C047NN20
5L099AA25
(57)【要約】
【課題】服薬に関する情報を提供する新たな技術を提供する。
【解決手段】服薬情報提供装置2000は、服薬者の周囲を記録するように設けられるセンサ30から取得したセンシングデータ32を利用して、与薬者10を特定する。与薬者10は、服薬者に薬を服薬させる人物である。服薬情報提供装置2000は、与薬者10による薬の取り扱いの履歴を表す履歴情報40に基づいて、服薬者に薬を服薬させるための説明に関する情報である服薬情報20を生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
服薬者の周囲を記録するように設けられるセンサから取得したセンシングデータを利用して、前記服薬者に薬を服薬させる与薬者を特定する特定部と、
前記与薬者による薬の取り扱いの履歴に基づいて前記服薬者に薬を服薬させるための説明に関する情報である服薬情報を生成する生成部と、を有する服薬情報提供装置。
【請求項2】
前記生成部は、
薬の取り扱いに関する前記与薬者の熟練度を算出し、
前記熟練度に応じた内容の前記服薬情報を生成する、請求項1に記載の服薬情報提供装置。
【請求項3】
前記特定部は、前記センシングデータを用いて、前記与薬者が薬を服薬させようとしていることを検出し、前記検出に応じて前記与薬者を特定する処理を実行する、請求項1又は2に記載の服薬情報提供装置。
【請求項4】
服薬者の周囲を記録するように設けられるセンサから取得したセンシングデータを利用して、前記服薬者に薬を服薬させる与薬者を特定する特定ステップと、
前記与薬者による薬の取り扱いの履歴に基づいて前記服薬者に薬を服薬させるための説明に関する情報である服薬情報を生成する生成ステップと、を有する、コンピュータによって実行される服薬情報提供方法。
【請求項5】
服薬者の周囲を記録するように設けられるセンサから取得したセンシングデータを利用して、前記服薬者に薬を服薬させる与薬者を特定する特定ステップと、
前記与薬者による薬の取り扱いの履歴に基づいて前記服薬者に薬を服薬させるための説明に関する情報である服薬情報を生成する生成ステップと、をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、服薬情報提供装置、服薬情報提供方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
服薬に関する情報を提供する技術が開発されている。例えば特許文献1は、薬の飲み忘れ又は薬の二度飲みをユーザに通知する服薬通知装置を開示する。この服薬通知装置は、服薬が予定されている時間帯に、薬の包装を開封する際に発生する特徴的な音が検出されなかった場合に、薬の飲み忘れを通知する。また、服薬が予定されている時間帯に、そのような特徴的な音が二度検出された場合に、薬の二度飲みが通知される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-136286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の服薬通知装置は、どのユーザに対しても同じ種類の情報を提供すると考えられる。本開示は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、服薬に関する情報を提供する新たな技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の服薬情報提供装置は、服薬者の周囲を記録するように設けられるセンサから取得したセンシングデータを利用して、前記服薬者に薬を服薬させる与薬者を特定する特定部と、前記与薬者による薬の取り扱いの履歴に基づいて服薬者に薬を服薬させるための説明に関する情報である服薬情報を生成する生成部と、を有する。
【0006】
本開示の服薬情報提供方法は、コンピュータによって実行される。当該方法は、服薬者の周囲を記録するように設けられるセンサから取得したセンシングデータを利用して、前記服薬者に薬を服薬させる与薬者を特定する特定ステップと、前記与薬者による薬の取り扱いの履歴に基づいて服薬者に薬を服薬させるための説明に関する情報である服薬情報を生成する生成ステップと、を有する。
【0007】
本開示のプログラムは、服薬者の周囲を記録するように設けられるセンサから取得したセンシングデータを利用して、前記服薬者に薬を服薬させる与薬者を特定する特定ステップと、前記与薬者による薬の取り扱いの履歴に基づいて服薬者に薬を服薬させるための説明に関する情報である服薬情報を生成する生成ステップと、コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、服薬に関する情報を提供する新たな技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態の服薬情報提供装置の概要を例示する図である。
図2】実施形態の服薬情報提供装置の機能構成を例示するブロック図である。
図3】実施形態の服薬情報提供装置を実現するコンピュータのハードウエア構成を例示するブロック図である。
図4】実施形態の服薬情報提供装置によって実行される処理の流れを例示するフローチャートである。
図5】履歴情報の構成を例示する図である。
図6】内容定義情報の構成を例示する図である。
図7】薬情報の構成を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。また、特に説明しない限り、所定値や閾値などといった予め定められている値は、その値を利用する装置からアクセス可能な記憶部などに予め格納されている。さらに、特に説明しない限り、記憶部は、1つ以上の任意の数の記憶装置によって構成される。
【0011】
<概要>
図1は、実施形態に係る服薬情報提供装置2000の概要を例示する図である。図1は、服薬情報提供装置2000の理解を容易にするために服薬情報提供装置2000の動作の一例を概念的に示す図であり、服薬情報提供装置2000の動作は図1に示されているものに限定されない。
【0012】
服薬情報提供装置2000は、与薬者10に対して服薬情報20を提供する。与薬者10は、自分又は他者に対して薬を服薬させる人物である。ここで、薬を服薬すべき人物のことを「服薬者」と表現する。与薬者10が自分に薬を服薬させるケースでは、与薬者10と服薬者が同一人物となる。
【0013】
「服薬者に薬を服薬させる」という行為は、例えば、服薬者の身体に薬を入れる行為である。服薬者の身体に薬を入れる行為は、経口薬を服薬者の口に入れる行為や、注射薬を服薬者に注射する行為などである。その他にも例えば、「服薬者に薬を服薬させる」という行為は、服薬すべき薬を用意して服薬者に渡す行為などのように、服薬者による服薬をサポートする行為であってもよい。
【0014】
服薬情報20は、服薬者に薬を服薬させるための説明に関する情報、とくに服薬者に薬を服薬させる際に有用な情報を含む。例えば服薬情報20は、服薬すべき薬の名称、保管場所、服薬量、服薬方法、禁忌情報又は副作用などの情報である。ここで禁忌情報とは、薬を使用してはいけない患者の属性を示す情報である。
【0015】
服薬情報提供装置2000は、センサ30によって生成されるセンシングデータ32を取得し、センシングデータ32を利用して与薬者10を特定する。センシングデータ32は、例えば、音声データやビデオデータなどである。例えば服薬情報提供装置2000は、センシングデータ32として、服薬者及び与薬者の周囲の音声を記録するように設けられているマイクロフォンから、音声データを取得する。この場合、センサ30はマイクロフォンである。その他にも例えば、服薬情報提供装置2000は、センシングデータ32として、服薬者及び与薬者の周囲を撮像するように設けられているカメラから、ビデオデータを取得する。この場合、センサ30はカメラである。
【0016】
服薬情報提供装置2000は、与薬者10による薬の取り扱いの履歴を表す履歴情報40を取得する。そして服薬情報提供装置2000は、履歴情報40を用いて、服薬情報20を生成する。
【0017】
<作用効果の例>
本実施形態の服薬情報提供装置2000によれば、センシングデータ32を用いて与薬者10が特定される。そして、特定された与薬者10による薬の取り扱いの履歴を表す履歴情報40を用いて、服薬情報20が生成される。そのため、服薬情報20の内容は、与薬者10による薬の取り扱いの履歴に基づいて定めることができる。このことから、服薬情報提供装置2000によれば、与薬者10に対し、その与薬者10に適した内容の服薬情報20を提供することができる。
【0018】
以下、本実施形態の服薬情報提供装置2000について、より詳細に説明する。
【0019】
<機能構成の例>
図2は、実施形態の服薬情報提供装置2000の機能構成を例示するブロック図である。この例において、服薬情報提供装置2000は、特定部2020及び生成部2040を有する。特定部2020は、センシングデータ32を用いて与薬者10を特定する。生成部2040は、与薬者10についての履歴情報40を用いて、服薬情報20を生成する。
【0020】
<ハードウエア構成の例>
服薬情報提供装置2000の各機能構成部は、各機能構成部を実現するハードウエア(例:ハードワイヤードされた電子回路など)で実現されてもよいし、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせ(例:電子回路とそれを制御するプログラムの組み合わせなど)で実現されてもよい。以下、服薬情報提供装置2000の各機能構成部がハードウエアとソフトウエアとの組み合わせで実現される場合について、さらに説明する。
【0021】
図3は、実施形態の服薬情報提供装置2000を実現するコンピュータ500のハードウエア構成を例示するブロック図である。例えばコンピュータ500は、PC(Personal Computer)、サーバマシン、スマートスピーカー、又はスマートディスプレイ等の据え置き型のコンピュータである。その他にも例えば、コンピュータ500は、スマートフォンやタブレット端末等の可搬型のコンピュータである。その他にも例えば、コンピュータ500は、介護ロボットやホームロボットなどの任意のロボットであってもよい。コンピュータ500は、服薬情報提供装置2000を実現するために設計された専用のコンピュータであってもよいし、汎用のコンピュータであってもよい。
【0022】
例えば、コンピュータ500に対して所定のアプリケーションをインストールすることにより、コンピュータ500で、服薬情報提供装置2000の各機能が実現される。上記アプリケーションは、服薬情報提供装置2000の各機能構成部を実現するためのプログラムで構成される。なお、上記プログラムの取得方法は任意である。例えば、当該プログラムが格納されている記憶媒体(DVD ディスクや USB メモリなど)から、当該プログラムを取得することができる。その他にも例えば、当該プログラムが格納されている記憶装置を管理しているサーバ装置から、当該プログラムをダウンロードすることにより、当該プログラムを取得することができる。
【0023】
コンピュータ500は、バス502、プロセッサ504、メモリ506、ストレージデバイス508、入出力インタフェース510、及びネットワークインタフェース512を有する。バス502は、プロセッサ504、メモリ506、ストレージデバイス508、入出力インタフェース510、及びネットワークインタフェース512が、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。ただし、プロセッサ504などを互いに接続する方法は、バス接続に限定されない。
【0024】
プロセッサ504は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)、又は FPGA(Field-Programmable Gate Array)などの種々のプロセッサである。メモリ506は、RAM(Random Access Memory)などを用いて実現される主記憶装置である。ストレージデバイス508は、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、メモリカード、又は ROM(Read Only Memory)などを用いて実現される補助記憶装置である。
【0025】
入出力インタフェース510は、コンピュータ500と入出力デバイスとを接続するためのインタフェースである。入出力インタフェース510には、例えば、センサ30が接続されている。
【0026】
ネットワークインタフェース512は、コンピュータ500をネットワークに接続するためのインタフェースである。当該ネットワークは、LAN(Local area network)であってもよいし、WAN(Wide area network)であってもよい。
【0027】
ストレージデバイス508は、服薬情報提供装置2000の各機能構成部を実現するプログラム(前述したアプリケーションを実現するプログラム)を記憶している。プロセッサ504は、このプログラムをメモリ506に読み出して実行することで、服薬情報提供装置2000の各機能構成部を実現する。
【0028】
服薬情報提供装置2000は、1つのコンピュータ500で実現されてもよいし、複数のコンピュータ500で実現されてもよい。後者の場合、複数のコンピュータ500は、互いに同一のハードウエア構成を有していてもよいし、互いに異なるハードウエア構成を有していてもよい。
【0029】
<処理の流れ>
図4は、実施形態の服薬情報提供装置2000によって実行される処理の流れを例示するフローチャートである。特定部2020は、センシングデータ32を取得する(S102)。特定部2020は、センシングデータ32を用いて、与薬者10を特定する処理(以下、与薬者特定処理)を行う(S104)。特定部2020は、与薬者10が特定されたか否かを判定する(S106)。与薬者10が特定されない場合(S106:NO)、図4の処理はS102に進む。一方、与薬者10が特定された場合(S106:YES)、生成部2040は、与薬者10についての履歴情報40を取得する(S108)。生成部2040は、履歴情報40を用いて服薬情報20を生成する(S110)。
【0030】
<センシングデータ32の取得:S102>
特定部2020は、センシングデータ32を取得する(S102)。特定部2020がセンシングデータ32を取得する方法は様々である。例えば特定部2020は、センサ30から送信されるセンシングデータ32を受信することにより、センシングデータ32を取得する。その他にも例えば、特定部2020は、センシングデータ32が格納されている記憶部からセンシングデータ32を読み出すことにより、センシングデータ32を取得してもよい。センシングデータ32は、例えばセンサ30により、上記記憶部に格納される。
【0031】
特定部2020がセンシングデータ32を取得する契機は様々である。例えば特定部2020は、服薬情報提供装置2000が動作している間常に、センシングデータ32を繰り返し取得する。その他にも例えば、特定部2020は、服薬情報提供装置2000が動作している期間のうち、所定の期間のみ、センシングデータ32を繰り返し取得する。
【0032】
服薬情報提供装置2000が動作している間常に、センシングデータ32が繰り返し取得される場合、例えば特定部2020は、センシングデータ32が取得される度に、そのセンシングデータ32を用いて、与薬者特定処理を行う。その他にも例えば、特定部2020は、所定条件が満たされる場合のみ、取得したセンシングデータ32を用いて、与薬者特定処理を行ってもよい。
【0033】
与薬者特定処理を実行する所定条件は、例えば、服薬者が薬を服薬する予定の期間(以下、服薬予定期間)に基づいて定めることができる。具体的には、「現在時刻が服薬予定期間に含まれる」という所定条件を定めることができる。この場合、特定部2020は、現在時刻が服薬予定期間に含まれる場合に、与薬者特定処理を行う。
【0034】
服薬予定期間は、例えば、服薬のスケジュールに関する情報(以下、スケジュール情報)を利用して特定することができる。スケジュール情報は、例えば、服薬者が服薬する1つ以上の薬それぞれについて、服薬予定期間を示す。スケジュール情報は、例えば、服薬情報提供装置2000からアクセス可能な記憶部に予め格納されている。例えば服薬情報提供装置2000は、ネットワークインタフェース512を介してこの記憶部にアクセスする。スケジュール情報は、ストレージデバイス508に格納されることで、服薬情報提供装置2000自身によって保持されてもよい。センシングデータ32が音声データである場合、音声データによって表される服薬者または与薬者などの投薬期間に関する発言から、スケジュール情報が生成されてもよい。
【0035】
特定部2020は、服薬者についてスケジュール情報を取得し、スケジュール情報に示されている服薬予定期間と現在時刻とを比較することにより、現在時刻が服薬予定期間に含まれているか否かを判定する。ここで、スケジュール情報に服薬予定期間が複数示されている場合、特定部2020は、直近の服薬予定期間と現在時刻とを比較する。
【0036】
スケジュール情報は、服薬予定期間を示す代わりに、服薬者が薬を服薬する予定の時刻(以下、服薬予定時刻)を示してもよい。この場合、服薬予定期間は、服薬予定時刻に基づいて定められる。例えば特定部2020は、服薬予定時刻を始点とする所定長の期間を、服薬予定期間として特定する。その他にも例えば、特定部2020は、服薬予定時刻の所定時間前から、服薬予定時刻の所定時間後までの期間を、服薬予定期間として特定してもよい。
【0037】
なお、特定部2020は、「現在時刻が服薬予定期間に含まれるか否か」を繰り返し判定する代わりに、服薬予定期間の開始時点に与薬者特定処理が実行されるように、タイマーを設定してもよい。
【0038】
与薬者特定処理を実行する所定条件は、服薬予定期間に基づいて定まるものには限定されない。例えば所定条件は、与薬者10が服薬者に薬を服薬させようとしている場合に満たされる条件である。なお、服薬者が与薬者10自身である場合、「与薬者10が服薬者に薬を服薬させようとしている」という状況は、「与薬者10が薬を服薬しようとしている」という状況とも表現できる。
【0039】
与薬者10が服薬者に薬を服薬させようとしているか否かは、人の発言や動作に基づいて判定することができる。人の発言を利用する場合、特定部2020は、センサ30がマイクロフォンである場合、センシングデータ32として音声データを取得する。例えば特定部2020は、音声データを解析することにより、音声データによって表されている発言を表すテキストデータを生成する。そして特定部2020は、当該テキストデータを解析することで、所定条件が満たされているか否か(言い換えれば、与薬者10が服薬者に薬を服薬させようとしているか否か)を判定する。
【0040】
例えば与薬者特定処理を実行する所定条件としては、「テキストデータに所定のキーワードが含まれる」や「テキストデータに所定のキーフレーズが含まれる」という条件を採用できる。所定のキーワードは、例えば、「薬」、「服用」、若しくは「飲む」などといった、薬の服用に関連する単語である。その他にも例えば、所定のキーワードは、具体的な薬の名称や略称である。所定のキーフレーズは、例えば、「薬を飲む」や「薬の時間」などといった、薬の服用に関連するフレーズである。
【0041】
その他にも例えば、与薬者特定処理を実行する所定条件が満たされているか否かは、機械学習モデル(以下、与薬者特定処理実行モデル)によって判定されてもよい。与薬者特定処理実行モデルは、テキストデータが入力されたことに応じて、所定条件が満たされているか否かの判定結果を表すフラグを出力するように構成されている。また、与薬者特定処理実行モデルは、入力データと正解データのペアで構成される訓練データを用いて訓練されたものである。
【0042】
与薬者特定処理実行モデルの訓練用の入力データは、発言を表すテキストデータである。与薬者特定処理実行モデルの訓練用の入力データが、薬を服薬させようとしている状況における発言を表すテキストデータである場合、対応する正解データには、所定条件が満たされていることを表すフラグ(例えば1)が設定される。一方、訓練用の入力データが、薬を服薬させようとしている状況における発言とは異なる発言を表すテキストデータである場合、対応する正解データには、所定条件が満たされていないことを表すフラグ(例えば0)が設定される。
【0043】
与薬者特定処理を実行する所定条件が満たされているか否かの判定が人の動作に基づいて行われる場合、特定部2020は、センシングデータ32としてビデオデータを取得する。例えば特定部2020は、ビデオデータを解析することにより、ビデオデータによって表される人の動作を特定する。ここで、ビデオデータを用いて、撮像されている人物の動作を特定する技術には、既存の技術を利用することができる。特定部2020は、特定された動作に基づいて、所定条件が満たされているか否かを判定する。例えば所定条件としては、「ビデオデータによって表されている動作が、薬の準備をする動作である」といった条件を利用することができる。
【0044】
その他にも例えば、人の動作に関する所定条件が満たされているか否かは、機械学習モデル(以下、動作判定モデル)によって判定されてもよい。動作判定モデルは、ビデオデータが入力されたことに応じて、所定条件が満たされているか否かの判定結果を表すフラグを出力するように構成されている。また、この動作判定モデルは、入力データと正解データのペアで構成される訓練データを用いて訓練されたものである。
【0045】
動作判定モデルの訓練用の入力データは、人の動作が撮像されているビデオデータである。動作判定モデルの訓練用の入力データに、薬を服薬させようとしている動作が含まれる場合、対応する正解データには、所定条件が満たされていることを表すフラグ(例えば1)が設定される。一方、訓練用の入力データに、人に薬を服薬させようとしている動作が含まれない場合、対応する正解データには、所定条件が満たされていないことを表すフラグ(例えば0)が設定される。
【0046】
前述したように、特定部2020は、服薬情報提供装置2000が動作している期間のうち、所定の期間のみ、センシングデータ32を繰り返し取得してもよい。この所定の期間は、例えば、服薬予定期間である。この場合、特定部2020は、現在時刻が服薬予定期間に含まれる間、センシングデータ32を繰り返し取得する。そして、特定部2020は、取得したセンシングデータ32を利用して、与薬者の特定を行う。
【0047】
<与薬者10の特定:S104>
特定部2020は、センシングデータ32を用いて与薬者特定処理を行う(S104)。以下、センシングデータ32を用いて与薬者10を特定する方法を例示する。
【0048】
例えば、与薬者10となりうる一人以上の人物それぞれについて、その人物の識別子と、その人物に関するセンシングデータから得られる人物特徴量とを対応づける情報(以下、人物情報)が、予め用意される。人物情報は、例えば、服薬情報提供装置2000からアクセス可能な記憶部に格納されている。例えば服薬情報提供装置2000は、ネットワークインタフェース512を介してこの記憶部にアクセスする。人物情報は、ストレージデバイス508に格納されることで、服薬情報提供装置2000自身によって保持されてもよい。センシングデータ32として音声データを利用する場合、或る人物の識別子に対応する人物特徴量は、その人物の声の音声データから得られる音声特徴量である。センシングデータ32としてビデオデータを利用する場合、或る人物の識別子に対応する人物特徴量は、その人物の画像から得られる画像特徴量である。
【0049】
センシングデータ32が音声データである場合、特定部2020は、人物情報に示されている人物特徴量の中に、センシングデータ32から得られる音声特徴量とマッチする人物特徴量が存在するか否かを判定する。人物情報に示されている人物特徴量の中に、センシングデータ32から得られる音声特徴量とマッチする人物特徴量が存在する場合、特定部2020は、人物情報から、与薬者10の識別子として、センシングデータ32から得られる音声特徴とマッチする人物特徴量に対応する識別子を取得する。これにより、与薬者10が特定される。
【0050】
センシングデータ32がビデオデータである場合、特定部2020は、センシングデータ32に対して人物検出処理を行うことで、センシングデータ32に含まれる一人以上の人物それぞれについての画像特徴量を特定する。さらに、特定部2020は、センシングデータ32から得られた各人物の画像特徴量と、人物情報に示されている各人物特徴量とのマッチングを行う。人物情報に示されている人物特徴量の中に、センシングデータ32から得られる人物の画像特徴量とマッチする人物特徴量が存在する場合、特定部2020は、人物情報から、与薬者10の識別子として、センシングデータ32から得られる人物の画像特徴量とマッチする人物特徴量に対応する識別子を取得する。これにより、与薬者10が特定される。
【0051】
与薬者特定処理(S104)において与薬者が2人以上特定された場合、特定部2020は、複数の特定された与薬者から1名の与薬者を選定してもよい。特定部2020は例えば、後述する薬の取り扱いに関する複数の与薬者の熟練度に基づいて1名の与薬者を選定する。具体的には、例えば特定部2020は、複数の特定された与薬者のうち、熟練度が一番低い与薬者を選定する。熟練度が一番低い与薬者を選定することにより、与薬者の熟練度を均一にすることができる。与薬者が2人以上特定された場合、特定部2020は、スピーカーなどの出力装置を用いて、特定した与薬者の氏名を含む情報を出力してもよい。これにより、複数の与薬者のうち誰が与薬をすべきかを明示することができる。
【0052】
<履歴情報40の取得:S108>
生成部2040は、特定した与薬者10に関する履歴情報40を取得する(S108)。履歴情報40は、与薬者10による薬の取り扱いについての履歴を示す。例えば履歴情報40は、与薬者10が過去に薬を服薬させた日時、与薬者10が過去に服薬させた薬の識別子、与薬者10が過去に服薬させた時における服薬情報20の提供の有無、及び与薬者10が過去に服薬させた時における服薬情報20の内容などを含む。
【0053】
図5は、履歴情報40の構成を例示する図である。図5の履歴情報40は、与薬者識別子41、服薬者識別子42、薬識別子43、日時44、情報提供45、及び内容46を含む。与薬者識別子41は、与薬者10の識別子を示す。与薬者識別子41は、識別子の一覧を記したテーブルが予め定義されているものとする。服薬者識別子42は、与薬者10が服薬をさせた服薬者の識別子を示す。服薬者識別子42は、識別子の一覧を記したテーブルが予め定義されているものとする。薬識別子43は、与薬者10が服薬者に服薬させた薬の識別子を示す。日時44は、服薬の日時を示す。薬識別子43は、識別子の一覧を記したテーブルが予め定義されているものとする。
【0054】
情報提供45は、服薬の際に服薬情報提供装置2000によって服薬情報20が提供されたか否かを示す。なお、服薬情報20が必ず提供される場合、情報提供45は不要である。
【0055】
内容46は、提供された服薬情報20の内容を示す。より具体的には、内容46は、服薬情報20に含まれていた情報の種類を示す。
【0056】
ここで、後述するように、服薬情報20に含められる各情報には、その詳細さのレベル(以下、詳細レベル)が複数存在してもよい。この場合、内容46は、服薬情報20に含まれていた情報の種類と、それぞれの情報の詳細レベルとの組み合わせを示してもよい。
【0057】
<服薬情報20の生成:S110>
生成部2040は、履歴情報40を用いて服薬情報20を生成する(S110)。例えば生成部2040は、履歴情報40を用いて、薬の取り扱いに関する与薬者10の熟練度を算出する。さらに、生成部2040は、与薬者10の熟練度に基づいて、服薬情報20に含める情報の種類を特定する。そして、生成部2040は、服薬者に服薬させる薬について、特定した種類の説明に関する情報を取得し、取得した情報が含まれる服薬情報20を生成する。
【0058】
与薬者10の熟練度は、例えば、熟練度に関連する与薬者10の情報が入力されたことに応じて、与薬者10の熟練度を表す数値が出力される機械学習モデル(以下、熟練度分類モデル)を利用して行われる。熟練度に関連する与薬者10の情報は、履歴情報40から得られる種々の情報である。例えば、熟練度分類モデルには、与薬者10がこれまでに薬を服薬させた回数、直近の服薬時における服薬情報20の提供の有無、及び直近の服薬時における服薬情報20の内容(情報の種類や詳細レベル)などが入力される。
【0059】
生成部2040は、特定した与薬者10の履歴情報40から、上述した種々の情報を得て、熟練度分類モデルに入力する。その結果、熟練度分類モデルから、与薬者10の熟練度が出力される。生成部2040は、熟練度分類モデルから出力される与薬者10の熟練度を利用する。
【0060】
熟練度分類モデルは、入力データと正解データのペアで構成される訓練データを利用して、予め訓練される。訓練用の入力データは、熟練度に関連する与薬者の情報を示す。正解データは、入力データに対応する与薬者の熟練度を示す。ここで、入力データと正解データのペアを用いて機械学習モデルを訓練する手法には、既存の手法を利用することができる。
【0061】
熟練度分類モデルを利用する以外にも例えば、熟練度に関連する与薬者10の情報を与薬者10の熟練度に変換する変換式が予め定められていてもよい。例えばこの変換式は、熟練度に関連する与薬者10の複数の情報それぞれが定量化された数値の重み付き和を、与薬者10の熟練度として算出する式である。各情報に与える重みは、服薬情報提供装置2000の管理者などの知識に基づいて手動で設定されたものであってもよいし、統計的な手法などによって決定されたものであってもよい。生成部2040は、与薬者10の情報を履歴情報40から取得し、その情報を変換式に適用することにより、与薬者10の熟練度を特定する。
【0062】
ここで、服薬者が複数存在する場合、与薬者10の熟練度は、対象とする服薬者ごとに異なっていてもよい。この場合、生成部2040は、履歴情報40から、現在対象としている服薬者に関する情報のみを取得し、取得した情報を利用して、与薬者10の熟練度を特定する。例えば、生成部2040は、履歴情報40から、対象の服薬者識別子42に関する情報のみを取得する。例えば与薬者10が服薬者に薬を服薬させた回数が、与薬者10の熟練度の算出に利用されるとする。この場合、生成部2040は、与薬者10について、対象の服薬者に対して薬を服薬させた回数をカウントする。また、直近の服薬時における服薬情報20の提供の有無や内容についても、現在対象としている服薬者に対する直近の服薬に関する情報が利用される。
【0063】
服薬者に応じた与薬者10の熟練度を算出するために、生成部2040は、服薬者の特定を行う。服薬者の特定には、例えば、与薬者10の特定と同様の方法を利用することができる。その他にも例えば、病院や介護施設などのように、服薬者ごとに異なる部屋が割り当てられているとする。この場合、例えば生成部2040は、与薬者10の現在位置に基づいて、服薬者を特定してもよい。与薬者10の現在位置は、例えば、与薬者10が携帯している携帯端末などの位置情報によって特定することができる。その他にも例えば、服薬情報提供装置2000が与薬者10の周囲で利用される場合、与薬者10の現在位置は、服薬情報提供装置2000の現在位置によって特定されてもよい。
【0064】
与薬者10の熟練度は、服薬者ごとではなく、服薬者の属性に応じて特定されてもよい。この場合、履歴情報40は、服薬者の識別情報に加え、又は、服薬者の識別情報に代えて、服薬者の属性を示す。また、熟練度分類モデルや前述の変換式には、服薬者の属性が入力される。服薬者の属性は、例えば、年齢、性別、又は妊娠の有無である。
【0065】
ここで、服薬者の属性を特定する方法は様々である。例えば生成部2040は、前述した種々の方法で服薬者を特定し、その服薬者に関する情報が格納されている記憶部から、その服薬者の属性を取得する。その他にも例えば、生成部2040は、センシングデータ32を利用して、服薬者の属性を特定してもよい。ここで、音声データやビデオデータを利用して人の属性を特定する技術には、既存の種々の技術を利用することができる。
【0066】
与薬者10の熟練度は、対象の薬ごとに異なっていてもよい。この場合、生成部2040は、履歴情報40から、現在対象としている薬に関する情報のみを取得し、取得した情報を利用して、与薬者10の熟練度を特定する。例えば、生成部2040は、履歴情報40から、対象の薬識別子43に関する情報のみを取得する。例えば与薬者10が服薬者に薬を服薬させた回数が、与薬者10の熟練度の算出に利用されるとする。この場合、生成部2040は、与薬者10について、対象の薬を服薬させた回数をカウントする。また、直近の服薬時における服薬情報20の提供の有無や内容についても、現在対象としている薬の直近の服薬に関する情報が利用される。
【0067】
ここで、現在対象としている薬、すなわち、与薬者10が服薬者に服薬させようとしている薬の識別子を特定する方法は様々である。例えば前述したスケジュール情報に、薬の識別子が含まれているとする。この場合、生成部2040は、スケジュール情報に示されている薬の識別子を、服薬者に服薬させる薬の識別子として特定する。なお、薬ごとに服薬のタイミングが異なる場合、スケジュール情報は、服薬予定期間又は服薬予定時刻に対応づけて、薬の識別子を示す。この場合、特定部2020は、現在時刻に対応する服薬予定期間又は服薬予定時刻を特定し、特定した服薬予定期間又は服薬予定時刻に対応する薬の識別子を、服薬者に服薬させる薬の識別子として特定する。
【0068】
その他にも例えば、センシングデータ32が音声データである場合、生成部2040は、音声データによって表される服薬者または与薬者などの発言から薬の名称や略称を検出してもよい。この場合、生成部2040は、検出された薬の名称や略称を利用して、薬の識別子を特定する。例えば生成部2040は、検出された薬の名称や略称を利用して、薬に関する情報(以下、薬情報)を参照することにより、薬の識別子を特定する。例えば薬情報は、薬の識別子に対応づけて、薬の名称や略称を示す。この場合、生成部2040は、音声データから検出された薬の名称又は略称に対応づけられている薬の識別子を、薬情報から取得する。なお、薬情報は、例えば、服薬情報提供装置2000からアクセス可能な記憶部に予め格納されている。例えば服薬情報提供装置2000は、ネットワークインタフェース512を介してこの記憶部にアクセスする。薬情報は、ストレージデバイス508に格納されることで、服薬情報提供装置2000自身によって保持されてもよい。
【0069】
生成部2040は、前述した種々の方法で特定された与薬者10の熟練度に基づいて、服薬情報20に含める情報の種類を特定する。ここで、服薬情報20に含める情報の種類を熟練度に基づいて決められるようにするため、例えば熟練度と、服薬情報20に含めるべき情報の種類とが対応づけられている情報(以下、内容定義情報)が利用される。内容定義情報は、服薬情報提供装置2000からアクセス可能な記憶部に予め格納されている。例えば服薬情報提供装置2000は、ネットワークインタフェース512を介してこの記憶部にアクセスする。内容定義情報は、ストレージデバイス508に格納されることで、服薬情報提供装置2000自身によって保持されてもよい。
【0070】
図6は、内容定義情報の構成を例示する図である。図6の内容定義情報60は、熟練度62及び内容64という2つの列を有する。熟練度62は熟練度を示す。熟練度は、例えば所定の範囲の数値で表される。図6の例では、熟練度は1以上10以下の自然数で表されている。また、図6の例において、熟練度の値は、その値が大きい程、熟練度が高いことを表す。内容64は、内容46と同様に、服薬情報20の内容を示す。より具体的には、内容64は、服薬情報20に含める情報の種類を示す。
【0071】
図6において、内容64は、情報の種類に対応づけて、情報の詳細レベルをさらに示す。詳細レベルは、どの程度詳細な情報を服薬情報20に含めるべきかを表す。詳細レベルは、例えば所定の範囲の数値で表される。図6の例において、詳細レベルは、1と2の2段階で表されている。この例において、詳細レベルの値は、その値が大きいほど、より詳細な情報が必要であることを表している。例えば詳細レベルの値が大きいほど、より複雑な情報とする。
【0072】
例えば内容定義情報60の1行目のレコードは、「熟練度62=1、内容64=(保管場所,2),(服薬方法,2),(副作用,2)」を示す。これは、「与薬者10の熟練度が1である場合、薬の保管場所、服薬方法、及び副作用という3つの種類の説明に関する情報を、いずれも詳細レベル2で、服薬情報20に含める」ということを表す。
【0073】
ここで、図6の例において、熟練度が10の場合、内容64が空欄となっている。これは、与薬者10の熟練度が10である場合、服薬情報20の提供が必要ないことを表している。そのため、生成部2040は、与薬者10の熟練度が10である場合、服薬情報20を生成しない。なお、服薬情報20を生成しないケースは、与薬者10の熟練度が最大であるケースに限定されない。例えば、熟練度について閾値を設定しておき、与薬者10の熟練度がこの閾値以上である場合に、服薬情報20が生成されないようにしてもよい。
【0074】
特定部2020は、与薬者10の熟練度を用いて内容定義情報60を参照することにより、服薬情報20に含めるべき情報の種類を特定する。そして、特定部2020は、服薬者に服薬させるべき薬について、内容定義情報60を用いて特定した種類の説明に関する情報を取得し、取得した情報が含まれる服薬情報20を生成する。ここで、薬に関する情報は、前述した薬情報から得ることができる。
【0075】
図7は、薬情報の構成を例示する図である。薬情報70は、薬識別子71、名称72、及び詳細情報73を含む。薬識別子71は、薬の識別子を示す。薬識別子71については、識別子の一覧を記したテーブルが予め定義されており、薬識別子43と薬識別子71とで同一のテーブルが用いられるものとする。名称72は、薬の名称を示す。なお、薬の略称が必要な場合、薬情報70は、薬の略称をさらに示してもよい。
【0076】
詳細情報73は、薬に関する詳細な情報を示す。ここで、詳細情報73は、保管場所、服薬方法、禁忌情報、及び副作用などといった複数の種類の説明に関する情報をそれぞれ含む。そのために、詳細情報73は、種類74、詳細レベル75、及び説明76の組み合わせで構成される。種類74は、情報の種類を示す。詳細レベル75は、詳細レベルを示す。説明76は、情報の説明を示す。
【0077】
例えば、「薬識別子71=M001、種類74=保管場所、詳細レベル75=2」であるレコードにおいて、説明76は、薬 M001 の保管場所についての説明を、詳細レベル2の詳しさで示す。薬 M001 の保管場所についての詳細レベル2の説明は、例えば、「薬箱の下段引き出しの中」である。また、「薬識別子71=M001、種類74=保管場所、詳細レベル75=1」であるレコードにおいて、説明76は、薬 M001 の保管場所についての説明を、詳細レベル1の詳しさで示す。薬 M001 の保管場所についての詳細レベル1の説明は、例えば「薬箱の中」である。
【0078】
<服薬情報20の出力>
服薬情報提供装置2000は、与薬者10が利用可能な態様で、服薬情報20を出力する。ここで、服薬情報20の出力態様は様々である。例えば服薬情報提供装置2000は、服薬情報20の内容を表す画面を、与薬者10が閲覧可能なディスプレイ装置に出力させる。例えはこのディスプレイ装置は、スマートディスプレイに設けられているディスプレイ装置、ロボットに設けられているディスプレイ装置、服薬者の居室に設けられているディスプレイ装置、又は与薬者10の携帯端末に設けられているディスプレイ装置などである。その他にも例えば、服薬情報提供装置2000は、与薬者10の周囲のスピーカーに、服薬情報20の内容を表す音声を出力させてもよい。与薬者10の周囲のスピーカーは、例えば、スマートディスプレイやスマートスピーカーに設けられているスピーカー、ロボットに設けられているスピーカー、服薬者の居室に設けられているスピーカー、又は与薬者10の携帯端末に設けられているスピーカーなどである。
【0079】
服薬情報提供装置2000は、服薬情報20を出力した後に、ステップS106で特定した与薬者の情報と、ステップS110で生成した服薬情報20との組み合わせを入力データとし、ステップS108で取得した熟練度に任意の値を加算した値を正解データとして、熟練度分類モデルの訓練を行ってもよい。また、服薬情報提供装置2000は、服薬情報20を出力した後のセンシングデータ32を利用して、正解データの熟練度を算出してもよい。具体的には、センシングデータ32に基づいて服薬にかかった時間を算出し、時間が短いほど熟練度に加算する値を大きくし、時間が長いほど熟練度に加算する値を小さくする。
【0080】
以上、実施の形態を参照して本開示の発明について説明をしたが、本開示の発明は、上記実施形態に限定されものではない。本開示の発明の構成や詳細には、本開示のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0081】
上記実施形態において、プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0082】
本開示は、SDGs(Sustainable Development Goals)の「すべての人に健康と福祉を」の実現に貢献し、ヘルスケア製品・サービスによる価値創出に寄与する事項を含む。
【符号の説明】
【0083】
10 与薬者
20 服薬情報
30 センサ
32 センシングデータ
40 履歴情報
41 与薬者識別子
42 服薬者識別子
43 薬識別子
44 日時
45 情報提供
46 内容
60 内容定義情報
62 熟練度
64 内容
70 薬情報
71 薬識別子
72 名称
73 詳細情報
74 種類
75 詳細レベル
76 説明
500 コンピュータ
502 バス
504 プロセッサ
506 メモリ
508 ストレージデバイス
510 入出力インタフェース
512 ネットワークインタフェース
2000 服薬情報提供装置
2020 特定部
2040 生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7