(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008453
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】幟支持装置
(51)【国際特許分類】
G09F 17/00 20060101AFI20240112BHJP
E04H 12/32 20060101ALI20240112BHJP
E04H 12/00 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
G09F17/00 M
E04H12/32
E04H12/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110343
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】392003225
【氏名又は名称】第一ビニール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085246
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 清一郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 秀夫
(57)【要約】
【課題】使用時及び不使用時における取り扱い性に優れ、幟が強風に煽られたときにも破損されにくく、しかも構造簡素に構成できる幟支持装置を提供する。
【解決手段】支柱5の上端部に固定される取付け部材7に、幟2の上縁部を支持する横支持バー11の基端部を正方向及び逆方向に回動可能に枢着する。横支持バー11は、支柱5の軸線に対して略直角を呈して前方に突出する突出状態から正方向に上向きに回動して該支柱に沿う折畳み状態を呈することができ、該回動は中間でロックされることなく自由状態で行われる。横支持バー11は、これが前記突出状態においては、下向きに回動不能、且つ、上向きには一定以上の荷重が作用するまでは回動不能となるように前記取付け部材に保持手段で保持される。横支持バー11に上向きに一定以上の荷重が作用すると前記保持が解除され、横支持バー11が正方向に自由状態で回動できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
幟を支持する支柱の上端部に固定される取付け部材に、該幟の上縁部を支持する横支持バーの基端部が枢着されて、該横支持バーが正方向及び逆方向に回動可能となされており、
該横支持バーは、該支柱の軸線に対して略直角を呈して前方に突出する突出状態から該正方向に上向きに回動して該支柱に沿う折畳み状態を呈することができ、且つ該回動は中間でロックされることなく自由状態で行われる幟支持装置であって、
前記横支持バーは、これが前記突出状態においては、下向きに回動不能、且つ、上向きには一定以上の荷重が作用するまでは回動不能となるように前記取付け部材に保持手段で保持されており、
前記横支持バーに上向きに前記一定以上の荷重が作用することにより前記保持が解除されて、該横支持バーが前記正方向に前記自由状態で回動できることを特徴とする幟支持装置。
【請求項2】
前記保持手段は、前記取付け部材の上部に左右対向して立設された立壁部を有して構成されており、
該立壁部間に、前後方向に延長する割溝部が形成され、前記枢着は、該割溝部の後方側で構成されており、前記回動に伴って、前記横支持バーの基端側部分が該割溝部を出入りできるようになされており、
前記突出状態においては、前記基端側部分が前記割溝部に嵌入されてその下面部が該割溝部の溝底部に当接し前記横支持バーが下向きに回動不能となされており、且つ、前記横支持バーに上向きに前記一定以上の荷重が作用することにより前記保持が解除されて前記基端側部分が該割溝部を脱出し、該横支持バーが前記正方向に前記自由状態で回動できるようになされていることを特徴とする請求項1記載の幟支持装置。
【請求項3】
前記保持手段は、前記横支持バーの前記基端側部分に設けられた第1の係合部と、前記割溝部に設けられて該第1の係合部に係合し得る第2の係合部とを備えており、
前記横支持バーの前記逆方向の回動に伴って前記基端側部分が前記割溝部に嵌入された状態で前記第1、2の係合部が係合することによって、前記横支持バーに上向きに前記一定以上の荷重が作用するまでは前記基端側部分が前記割溝部から脱出しないように保持されると共に、
前記横支持バーに上向きに一定以上の荷重が作用したときには、前記第1、第2の係合部が係脱して前記保持が解除され、該横支持バーが前記正方向に前記自由状態で回動できるようになされていることを特徴とする請求項2記載の幟支持装置。
【請求項4】
前記保持手段は、前記横支持バーの前記基端側部分に設けられた第1の係合部と、前記割溝部に設けられて該第1の係合部に係合し得る第2の係合部とを備えており、
該第1の係合部は、前記基端側部分の対向する両側面部の上縁部分として構成されると共に、該第2の係合部は、前記両立壁部の上縁部で前記割溝部の内方に向けて突設されて前記上縁部分に上から被り且つ該上縁部分に弾性的に圧接される突出部として構成されており、
前記横支持バーの前記逆方向の回動に伴って前記基端側部分が前記割溝部に嵌入された状態で前記第1、2の係合部が係合することによって、前記横支持バーに上向きに前記一定以上の荷重が作用するまでは該基端側部分が前記割溝部から脱出しないように保持されると共に、
前記横支持バーに上向きに一定以上の荷重が作用したときには、前記第1、第2の係合部が係脱して前記保持が解除され、該横支持バーが前記正方向に前記自由状態で回動できるようになされていることを特徴とする請求項2記載の幟支持装置。
【請求項5】
前記保持手段は、前記横支持バーの前記基端側部分に設けられた第1の係合部と、前記割溝部に設けられて該第1の係合部に圧接状態に係合し得る第2の係合部とを備えており、
該第1の係合部は、前記基端側部分の対向する両側面部として構成され、前記第2の係合部は、該第1の係合部との間で所要の摩擦力を生じさせる、前記割溝部の対向する両内側面部として構成されており、
前記横支持バーの前記逆方向の回動に伴って前記基端側部分が前記割溝部に嵌入された状態で前記第1、2の係合部が圧接状態に係合することによって、該基端側部分が、前記両側面部と前記両内側面部との間の摩擦作用で保持され、前記横支持バーに上向きに前記一定以上の荷重が作用するまでは、該基端側部分が前記割溝部から脱出しないように保持されると共に、
前記横支持バーに上向きに一定以上の外力が作用したときには、前記第1、第2の係合部が係脱して前記保持が解除され、該横支持バーが前記正方向に前記自由状態で回動できるようになされていることを特徴とする請求項2記載の幟支持装置。
【請求項6】
前記横支持バーの前記基端部に枢支孔が設けられると共に、前記取付け部材の後端側であって且つ前記支柱の外面の外方に突出する軸受片部に軸受孔が設けられており、該枢支孔と該軸受孔に枢軸が挿通されることによって、幟の上縁部を支持する該横支持バーが、該支柱の軸線に対して略直角を呈する突出状態と、該支柱に沿う折畳み状態との角度範囲で回動可能に、前記枢着されてなり、
前記溝底部に第1の嵌合凹部が設けられると共に、前記基端側部分の前記下面部には該第1の嵌合凹部と密接な嵌合状態を呈し得る第1の嵌合凸部が設けられ、或いは、前記溝底部に第2の嵌合凸部が設けられると共に、前記基端側部分の前記下面部には該第2の嵌合凸部と密接な嵌合状態を呈し得る第2の嵌合凹部が設けられており、
前記横支持バーが前記突出状態を呈するように前記基端側部分が前記割溝部に嵌入され、前記第1の嵌合凹部と前記第1の嵌合凸部とが密接な嵌合状態を呈し、或いは前記第2の嵌合凹部と前記第2の嵌合凸部とが密接な嵌合状態を呈することによって、前記軸受孔と前記枢支孔とが位置合わせされることを特徴とする請求項2記載の幟支持装置。
【請求項7】
前記横支持バーの前記基端部に、枢支孔が設けられると共に、前記取付け部材の後端側であって且つ前記支柱の外面の外方に突出する軸受片部に軸受孔が設けられており、該枢支孔と該軸受孔に枢軸が挿通されることによって、幟の上縁部を支持する横支持バーが、該支柱の軸線に対して略直角を呈する突出状態と、該支柱に沿う折畳み状態との角度範囲で回動可能に、前記枢着されてなり、
前記溝底部に第1の嵌合凹凸部が設けられると共に、前記基端側部分の前記下面部には該第1の嵌合凹凸部と密接な嵌合状態を呈し得る第2の嵌合凹凸部が設けられており、
前記横支持バーが前記突出状態を呈するように前記基端側部分が前記割溝部に嵌入され、前記第1の嵌合凹凸部と前記第2の嵌合凹凸部とが密接な嵌合状態を呈することによって、前記軸受孔と前記枢支孔とが位置合わせされることを特徴とする請求項2記載の幟支持装置。
【請求項8】
前記支柱を垂直状態で見たとき、前記横支持バーに前記幟の自重が作用した状態で該横支持バーが略水平状態を呈し得るように、該横支持バーの突出状態は、水平面に対して2~3.5度の角度範囲で上向きに傾斜することを特徴とする請求項1~7の何れかに記載の幟支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は幟支持装置に関するものである。より詳しくは、幟を支持する支柱の上端部に固定される取付け部材に、幟の上縁部を支持する横支持バーを、支柱に対して略直角を呈して前方に突出する突出状態と、該支柱に沿う折り畳み状態との角度範囲で回動可能となるように枢着してなり、使用時及び不使用時における取り扱い性に優れると共に、該幟が強風に煽られたときにも破損されにくい幟支持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来一般に用いられている幟支持装置は、その使用の際には、幟の一方の縦側縁部と上縁部に取着されている多くのループ片( 一般にチチと称されている) を、これに支柱と横支持バーを挿通させて該支柱と該横支持バーに取り付けなければならならず、又、幟支持装置の運搬や保管時等の幟不要の際には、該ループ片を該横支持バーや該支柱から取り外さなければならず、何れの場合も、手間のかかる面倒な作業を要する問題があった。
【0003】
かかる問題点に鑑みて、特許文献1に係る幟支持装置が提供されている。該幟支持装置は、支柱の上端部に設けられる取付体に対し横支持バーを支持する支持体部が、該支柱の軸線上に存する支軸で回動可能に連結されている。そして該横支持バーは、該支柱に対し少なくとも略直角方向をなす位置においてロック自在に構成されると共に、該支柱に沿う方向に折畳まれた折畳み状態を呈し得るように構成されている。
【0004】
このように横支持バーが、該支柱に対し略直角方向をなす位置においてロックされるため、特許文献1の段落0037、0038に記載されているように、該横支持バーは支柱に対し略直角の方向に安定性よく保持され、前記幟は前記支柱及び前記横支持バーに所要に取り付けられる。又、幟支持装置を不使用の際には、前記ロック状態を解除して前記横支持バーを支柱に沿う位置に折畳むと共に幟も折畳み、該幟を前記支柱の回りに巻付けるようにすれば、嵩を減じて幟支持装置の取扱いを容易化できる。そして次に使用する際は、幟を巻戻して前記横支持バーを支柱に対し略直角の方向に回動させ、前記と同様にロックピンでロックすればよく、再使用時の組立て操作を容易に行うことができる。
【0005】
しかしながら特許文献1に係る幟支持装置は、前記横支持バーを前記支柱に対し略直角を呈する状態でロックするため、幟が強風に煽られると、前記支軸に集中的に荷重が掛かって該支軸を損傷させる恐れがあった。
【0006】
又、強風で幟が煽られると、幟に設けられている前記ループ片が前記支柱に沿って移動して幟が捲れ上がり、幟のこの捲れ上がった部分に風が強く当たることとなる。その結果、この部分において支柱に過大な荷重が掛かり、該支柱が折れる恐れもあった。
【0007】
特許文献2 は、前記横支持バーを回動可能に構成した幟支持装置の他の実施例を示している。該幟支持装置は、特許文献1に係る幟支持装置における、前記横支持バーに前記ループ片を取り付ける際の作業性をより向上させんとして提案されており、支柱の上端部に設けられる回転体取付体に対し、横支持バーを支持する回動体を、該支柱の軸線上に存する支軸で回動可能に連結してなる。そして該回動体は、第1爪部、第2爪部、横竿保持部を有したものとし、該幟支持装置の使用時には、該回動体を、該第1爪部が第1制止部で制止されるまで回動させることによって、前記横支持バーを、支柱に対し略直角の方向(前記支柱が立設状態における水平状態)に保持できるように構成されている。又前記幟支持装置の組み立てに際して前記ループ状取付け片を前記横支持バーに取り付けるには、該横支持バーを、前記支柱と略同一直線状を呈する立ち上がり状態にまで上方に向けて回動させることとし、この立ち上がり状態で第2爪部と第2制止部とを係合させ、該横支持バーがそれ以上に回動するのを制止(ロック)している。
【0008】
前記ループ状取付け片を前記横支持バーに取り付けることによって、前記幟が前記支柱及び前記横支持バーに所要に取り付けられるのであるが、強風時に、水平状態にある前記横支持バーに上向きの荷重が作用すると、該横支持バーが上向きに回動して前記立ち上がり状態を呈し、それ以上の回動が制止(ロック)される。
【0009】
この状態で幟が強風で煽られると、幟に設けられている前記ループ状取付け片が前記支柱に沿って移動して幟が捲れ上がり、前記支柱の上部や前記横支持バーに巻き付いた状態となることが生ずる。
【0010】
その結果、前記支軸に集中的に荷重が掛かって該支軸を損傷させる恐れがあり、又、前記ロック部が損傷されて正常なロック作用が発揮されなくなる恐れがあった。加えて、強風によって、幟の捲れ上がった部分やこの巻き付いた部分に風が強く当たって該支軸を損傷させる恐れがあり、又、前記横支持バーに過大な荷重が掛かりこれが折れる恐れがあり、甚だしいときには支柱が折れる恐れもあった。加えて、このように幟が巻き付いた状態になると、該巻き付きを解消する作業が大変であった。
【0011】
又このように、特許文献1、2に係る幟支持装置は、幟が強風で煽られると、前記支軸に集中的に荷重が掛かって該支軸を損傷させる恐れがあったことから、回動部を分厚く頑丈に構成しなければならず、幟支持装置の構造の複雑化を招く問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】実用新案登録第3025343号公報
【特許文献2】実用新案登録第3198645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は前記問題点に鑑みて開発されたものであり、使用時及び不使用時における取り扱い性に優れ、幟が強風に煽られたときにも破損されにくく、しかも構造簡素に構成できる幟支持装置の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用する。
即ち、本発明に係る幟支持装置の第1の態様は、幟を支持する支柱の上端部に固定される取付け部材に、該幟の上縁部を支持する横支持バーの基端部が枢着されて、該横支持バーが正方向及び逆方向に回動可能となされており、該横支持バーは、該支柱の軸線に対して略直角を呈して前方に突出する突出状態から正方向に上向きに回動して該支柱に沿う折畳み状態を呈することができ、且つ該回動は中間でロックされることなく自由状態で行われる。そして前記横支持バーは、これが前記突出状態においては、下向きに回動不能、且つ、上向きには一定以上の荷重が作用するまでは回動不能となるように前記取付け部材に保持手段で保持されており、前記横支持バーに上向きに前記一定以上の荷重が作用することにより前記保持が解除されて、該横支持バーが前記正方向に前記自由状態で回動できることを特徴とするものである。
【0015】
本発明に係る幟支持装置の第2の態様は、前記第1の態様において、前記保持手段は、前記取付け部材の上部に左右対向して立設された立壁部を有して構成されており、該立壁部間に、前後方向に延長する割溝部が形成され、前記枢着は、該割溝部の後方側で構成されており、前記回動に伴って、前記横支持バーの基端側部分が該割溝部を出入りできるようになされている。そして、前記突出状態においては、前記基端側部分が前記割溝部に嵌入されてその下面部が該割溝部の溝底部に当接し前記横支持バーが下向きに回動不能となされており、且つ、前記横支持バーに上向きに前記一定以上の荷重が作用することにより前記保持が解除されて前記基端側部分が該割溝部を脱出し、該横支持バーが前記正方向に前記自由状態で回動できるようになされていることを特徴とするものである。
【0016】
本発明に係る幟支持装置の第3の態様は、前記第2の態様において、前記保持手段は、前記横支持バーの前記基端側部分に設けられた第1の係合部と、前記割溝部に設けられて該第1の係合部に係合し得る第2の係合部とを備えており、前記横支持バーの前記逆方向の回動に伴って前記基端側部分が前記割溝部に嵌入された状態で前記第1、2の係合部が係合することによって、前記横支持バーに上向きに前記一定以上の荷重が作用するまでは前記基端側部分が前記割溝部から脱出しないように保持されている。そして、前記横支持バーに上向きに一定以上の荷重が作用したときには、前記第1、第2の係合部が係脱して前記保持が解除され、該横支持バーが前記正方向に前記自由状態で回動できるようになされていることを特徴とするものである。
【0017】
本発明に係る幟支持装置の第4の態様は、前記第2の態様において、前記保持手段は、前記横支持バーの前記基端側部分に設けられた第1の係合部と、前記割溝部に設けられて該第1の係合部に係合し得る第2の係合部とを備えており、該第1の係合部は、前記基端側部分の対向する両側面部の上縁部分として構成されると共に、該第2の係合部は、前記両立壁部の上縁部で前記割溝部の内方に向けて突設されて前記上縁部分に上から被り且つ該上縁部分に弾性的に圧接される突出部として構成されている。そして、前記横支持バーの前記逆方向の回動に伴って前記基端側部分が前記割溝部に嵌入された状態で前記第1、2の係合部が係合することによって、前記横支持バーに上向きに前記一定以上の荷重が作用するまでは該基端側部分が前記割溝部から脱出しないように保持されると共に、前記横支持バーに上向きに一定以上の荷重が作用したときには、前記第1、第2の係合部が係脱して前記保持が解除され、該横支持バーが前記正方向に前記自由状態で回動できるようになされていることを特徴とするものである。
【0018】
本発明に係る幟支持装置の第5の態様は、前記第2の態様において、前記保持手段は、前記横支持バーの前記基端側部分に設けられた第1の係合部と、前記割溝部に設けられて該第1の係合部に圧接状態に係合し得る第2の係合部とを備えており、該第1の係合部は、前記基端側部分の対向する両側面部として構成され、前記第2の係合部は、該第1の係合部との間で所要の摩擦力を生じさせる、前記割溝部の対向する両内側面部として構成されている。前記横支持バーの前記逆方向の回動に伴って前記基端側部分が前記割溝部に嵌入された状態で前記第1、2の係合部が圧接状態に係合することによって、該基端側部分が、前記両側面部と前記両内側面部との間の摩擦作用で保持され、前記横支持バーに上向きに前記一定以上の荷重が作用するまでは、該基端側部分が前記割溝部から脱出しないように保持される。そして、前記横支持バーに上向きに一定以上の外力が作用したときには、前記第1、第2の係合部が係脱して前記保持が解除され、該横支持バーが前記正方向に前記自由状態で回動できるようになされていることを特徴とするものである。
【0019】
本発明に係る幟支持装置の第6の態様は、前記第2の態様において、前記横支持バーの前記基端部に枢支孔が設けられると共に、前記取付け部材の後端側であって且つ前記支柱の外面の外方に突出する軸受片部に軸受孔が設けられており、該枢支孔と該軸受孔に枢軸が挿通されることによって、幟の上縁部を支持する該横支持バーが、該支柱の軸線に対して略直角を呈する突出状態と、該支柱に沿う折畳み状態との角度範囲で回動可能に、前記枢着されている。前記溝底部に第1の嵌合凹部が設けられると共に、前記基端側部分の前記下面部には該第1の嵌合凹部と密接な嵌合状態を呈し得る第1の嵌合凸部が設けられ、或いは、前記溝底部に第2の嵌合凸部が設けられると共に、前記基端側部分の前記下面部には該第2の嵌合凸部と密接な嵌合状態を呈し得る第2の嵌合凹部が設けられている。そして、前記横支持バーが前記突出状態を呈するように前記基端側部分が前記割溝部に嵌入され、前記第1の嵌合凹部と前記第1の嵌合凸部とが密接な嵌合状態を呈し、或いは前記第2の嵌合凹部と前記第2の嵌合凸部とが密接な嵌合状態を呈することによって、前記軸受孔と前記枢支孔とが位置合わせされることを特徴とするものである。
【0020】
本発明に係る幟支持装置の第7の態様は、前記第2の態様において、前記横支持バーの前記基端部に、枢支孔が設けられると共に、前記取付け部材の後端側であって且つ前記支柱の外面の外方に突出する軸受片部に軸受孔が設けられており、該枢支孔と該軸受孔に枢軸が挿通されることによって、幟の上縁部を支持する横支持バーが、該支柱の軸線に対して略直角を呈する突出状態と、該支柱に沿う折畳み状態との角度範囲で回動可能に、前記枢着されてなり、前記溝底部に第1の嵌合凹凸部が設けられると共に、前記基端側部分の前記下面部には該第1の嵌合凹凸部と密接な嵌合状態を呈し得る第2の嵌合凹凸部が設けられている。そして前記横支持バーが前記突出状態を呈するように前記基端側部分が前記割溝部に嵌入され、前記第1の嵌合凹凸部と前記第2の嵌合凹凸部とが密接な嵌合状態を呈することによって、前記軸受孔と前記枢支孔とが位置合わせされることを特徴とするものである。
【0021】
本発明に係る幟支持装置の第8の態様は、前記1~7の何れかの態様において、前記支柱を垂直状態で見たとき、前記横支持バーに前記幟の自重が作用した状態で該横支持バーが略水平状態を呈し得るように、該横支持バーの突出状態は、水平面に対して2~3.5度の角度範囲で上向きに傾斜することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によるときは、使用時及び不使用時における取り扱い性に優れ、幟が風に煽られたときにも破損されにくく、しかも構造簡素に構成できる幟支持装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明に係る幟支持装置の使用状態を示す側面図である。
【
図2】横支持バーの回動状態を説明する側面図である。
【
図3】支柱の上端部に固定される取付け部材に基端部が枢着されてなる横支持バーを、該横支持バーが前方に突出する突出状態で示す斜視図である。
【
図4】取付け部材の上部に設けられている割溝部に、横支持バーの基端側部分が嵌入され、該嵌入が第1、第2の係合部の係合によって保持されている状態を示す断面図である。
【
図5】横支持バーの逆方向の回動に伴い、横支持バーの基端側部分が割溝部を拡開させつつ該割溝部に進入している状態を示す断面図である。
【
図7】横支持バーが正方向に回動して立設された状態を示す断面図である。
【
図8】横支持バーの折畳み状態を示す断面図である。
【
図9】取付け部材の上部に設けられている割溝部に、横支持バーの基端側部分が嵌入され、該嵌入が第1、第2の係合部の係合によって保持されている状態を示す平面図である。
【
図10】横支持バーの基端側部分の下面部に設けられた第1の嵌合凸部と、割溝部の溝底部に設けられた第2の嵌合凹部を示す斜視図である。
【
図11】取付け部材の上部に設けられている割溝部に、横支持バーの基端側部分が嵌入され、該嵌入が、摩擦作用を利用する第1、第2の係合部の係合によって保持されている状態を示す断面図である。
【
図12】割溝部の溝底部に設けられた第2の嵌合凸部と、横支持バーの基端側部分の下面部に設けられた第2の嵌合凹部とを密接な嵌合状態として、軸受孔と枢支孔とを位置合わせ状態とする場合を示す断面図である。
【
図13】割溝部の溝底部に設けられた第1の嵌合凹凸部と、横支持バーの基端側部分の下面部に設けられた第2の嵌合凹凸部とを密接な嵌合状態として、軸受孔と枢支孔とを位置合わせ状態とする場合を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0024】
図1~3において本発明に係る幟支持装置1は、幟2の縦側縁部3を側部ループ片4を介して支持する支柱5の上端部6に固定される取付け部材7に、該幟2の上縁部9を上部ループ片10を介して支持する横支持バー11の基端部12が枢着されて、該横支持バー11が正方向F1及び逆方向F2に回動可能となされており、該横支持バー11は、該支柱5の軸線L1に対して略直角を呈して前方に突出する突出状態Aから該正方向F1に上向きに回動して該支柱5に沿う折畳み状態B(
図2)を呈することができ、且つ、該回動は中間でロックされることなく自由状態で行われるように構成されている。そして前記横支持バー11は、これが前記突出状態Aにおいては、下向きに回動不能、且つ、上向きには一定以上の荷重が作用するまでは回動不能となるように前記取付け部材7に保持手段14で保持されており、前記横支持バー11に上向きに前記一定以上の荷重が作用することにより前記保持が解除されて、該横支持バー11が前記正方向F1に自由状態で回動できるように構成されている。以下、これを具体的に説明する。
【0025】
前記保持手段14は、
図2~4に示すように、前記取付け部材7の上部15に左右対向して立設された立壁部16,16を有して構成されている。該立壁部16,16間には、前後方向F3に延長する割溝部17(
図3~4)が形成され、前記枢着13は、
図2~3、
図7に示すように、該割溝部17の後方側で構成されており、前記回動に伴って、前記横支持バー11の基端側部分19が該割溝部17を出入りできるようになされている。そして、前記横支持バー11が前記突出状態Aにおいては、前記基端側部分19が前記割溝部17に嵌入され、
図4に示すように、その下面部20が該割溝部17の溝底部21に当接し前記横支持バー11が下向きに回動不能となされている。且つ、前記横支持バー11に上向きに前記一定以上の荷重が作用することにより前記保持が解除され、前記基端側部分19は
図7に一点鎖線、二点鎖線、実線で示すように、該割溝部17を脱出して、正方向F1に自由状態で回動するようになされている。
【0026】
前記取付け部材7は、
図3、
図6に示すように、円板状基板部22の下面部23(
図6)に、前記支柱5の上端側の部分25に挿入される挿入軸部26が、その軸線L2を前記円板状基板部22の軸線L3と同心にして突出されている。該挿入軸部26は、従来の幟支持装置におけると同様に、前記支柱5の該上端側の部分25の内周面27(
図6)に弾性的に圧接される断面C字状の保持筒29内に遊挿された状態となされている。そして、該挿入軸部26が該保持筒29を介して前記支柱5の前記上端側の部分25に挿入されることにより、該挿入軸部26が該保持筒29(
図6)を介して、前記支柱5の軸線L1回りに回転可能となされている。
【0027】
前記保持手段14を構成する前記割溝部17は、本実施例においては
図4に示すように、前記取付け部材7の前記上部(本実施例においては前記円板状基板部22)15に左右対向して立設された立壁部16,16間に形成されており、前後方向F3(
図3、
図6)に延長している。
【0028】
そして、各立壁部16,16の後端には、
図2~3、
図9に示すように、前記円板状基板部22の後方に突出するように軸受片部32,32が左右対向して突設され、該軸受片部32,32の後端部分には、前記枢着13の構造部(以下枢着構造部という)を構成する枢軸33を挿通させる軸受孔35,35が対向して設けられている。本実施例においては
図2~3に示すように、前記立壁部16,16の上端前縁部分36及び、前記軸受片部32,32の上端後縁部分37,37は、共に円弧状凸面として形成され、前記軸受片部32,32の下縁部分38,38は四分割円弧状凸面として形成されている。
【0029】
前記横支持バー11は、本実施例においては
図2~3、
図6に示すように、横断面が縦長の長方形状をなすガラス繊維製の横長棒状に形成された横支持バー本体39の後端部分40を、横長筒状を呈する回動筒体41の有底の挿入孔部42に挿入固定して構成されており、該支持バー本体39の先端部分には、
図1に示すように、前記上部ループ片10の内の、前記横支持バー11の先端側に位置するもの10aを抜け止めする、従来公知の抜け止め部45が設けられている。
【0030】
前記回動筒体41は、
図2~3、
図6に示すように、前後の端部分46,47が半円弧状を呈する横長であり左右方向厚さが薄肉の扁平筒状体として構成され、前端49(
図3、
図6)が開口し、且つ、前記後端部分40を挿入させる有底の前記挿入孔部42を有しており、その後端部50(前記横支持バー11の前記基端部12)には、前記枢軸33を挿通させる枢支孔51が左右方向に貫設されている。
【0031】
図2、6は、前記軸受片部32,32の前記軸受孔35,35(
図2)と前記回動筒体41の前記枢支孔51(
図6)に前記枢軸33が挿通されることによって、該回動筒体41が垂直面内で回動可能に枢着13された状態を示しており、これによって、前記基端部12が前記取付部材7に前記枢着13(
図2)されてなる前記横支持バー11は、前記支柱5に対して略直角を呈する(略水平を呈する)前記突出状態A(
図2、
図6)と前記支柱5に沿う前記折畳み状態B(
図2、
図8)との角度範囲で回動可能である。該回動は、中間でロックされることなく自由状態で、前記横支持バー11が立設状態C(
図2に一点鎖線で示す状態)を経て行われる。
【0032】
本実施例においては、
図2~3に示すように、前記基端側部分19が前記割溝部17に嵌入された状態で、該基端側部分19の上面(前記回動筒体41の上面)52は、前記立壁部16,16と前記軸受片部32の一連の上端53と略面一を呈する。
【0033】
前記横支持バー11は、前記支柱5に対して略直角を呈する突出状態(水平突出状態)Aを呈するのであるが、本実施例においては
図2に示すように、前記支柱5を垂直に立設した状態で見て、
図2に示すように水平線54に対して2~3.5度の角度θ、例えば3度上向きに傾斜している。このように上向きに傾斜させているのは、該横支持バー11が
図1に示すように、前記幟2の上縁部9を前記上部ループ片10を介して支持した状態で該幟2の自重が該横支持バーに作用したときに、該幟2の該上縁部9を略水平状態に保つことができるようにして幟2の見栄えを良好とするためである。
【0034】
該横支持バー11を前記のように3度上向きに傾斜した状態とするために本実施例においては
図6~7、
図10に示すように、前記回動筒体41の下面部55に傾斜面突出部56を段差57を介して設け、該傾斜面突出部56の傾斜下面59が前記割溝部17の前記溝底部21に当接するように構成している。
【0035】
又本実施例においては、
図4、
図6、
図10に示すように、前記溝底部21に第1の嵌合凹部60を設けると共に、前記傾斜面突出部56の前記傾斜下面(前記回動筒体41の前記下面部55に対して3度傾斜している)59に、該第1の嵌合凹部60と密接な嵌合状態に係合し得る第1の嵌合凸部61を設けてなり、前記回動筒体41が前記割溝部17に嵌入した状態で、
図6に示すように、該第1の嵌合凸部61と該第1の嵌合凹部60とが嵌合し、
図9、
図2、
図6に示すように該嵌合状態で前記軸受孔35,35(
図2)と前記枢止孔51(
図6)とが合致するように構成されている。これによって、前記回動筒体41を前記のように回動可能に枢着13する際、
図4、
図6に示すように、該嵌合凸部61と該嵌合凹部60とを嵌合させさえすれば、
図9に示すように、前記軸受孔35,35と前記枢支孔51とが自ずから合致するので、該軸受孔35,35と該枢支孔51とに前記枢軸33を挿通して前記枢着構造部を構成する作業を容易且つ確実に行うことができる。
【0036】
前記保持手段14は、本実施例においては
図4に示すように、前記横支持バー11の前記基端側部分19に設けられた第1の係合部62と、前記割溝部17に設けられて該第1の係合部62に当接状態に係合し得る第2の係合部63とを備えている。
【0037】
該第1の係合部62は、前記基端側部分19の両側面部65,65の上縁部分66,66として構成されると共に、該第2の係合部63は、前記両立壁部16,16の上縁部で前記割溝部17の内方に向けて突設されて前記上縁部分66,66に上から被り且つ該上縁部分66,66に弾性的に圧接される(弾性的に係合される)突出部69,69として構成されている。該上縁部分66,66は、例えば
図4に示すように角落としの傾斜面70,70として構成され、該突出部69,69は例えば
図4に示すように、その内側面71,71が、該傾斜面70,70に当接状態に係合し得るように構成されている。
該傾斜面70,70は共に、
図4(B)に示すように、下端70aから上端70bに向けて内方向に傾斜している。又内側面71,71は、
図4(B)に示すように、下端71aから上端71bに向けて前記割溝部17の内方向に傾斜している。
【0038】
そして、前記横支持バー11が、該支柱5に対して略直角を呈して前方に突出した前記突出状態Aにおいては、
図3~4に示すように、前記基端側部分19が前記割溝部17に嵌入された状態にある。この嵌入は、
図5に示すように、前記支持バー11の前記基端側部分19を前記逆方向F2(
図7)に回動させる際における前記割溝部17の弾性拡開を生じさせて行われる。即ち、前記横支持バー11を
図7に示すように、前記枢軸33を回動中心として前記逆方向F2に回動させる。この回動は、対向する前記突出部69,69の先端69a,69a(
図5)が前記横支持バー11の前記基端側部分19の両側面部65,65に当接して行われるため、該逆方向F2の回動は、前記割溝部17を
図5に示すように弾性拡開させて行われることとなる。そして最終的には、前記割溝部17が弾性復帰することによって、
図4(A)に示すように、前記第1、第2の係合部62,63が当接状態に係合することによって、前記支持バー11は、上向きに一定以上の荷重(即ち、前記割溝部17を弾性拡開させることができるだけの荷重)が作用するまでは回動不能の状態に保たれることとなる。換言すれば、前記横支持バー11が前記保持手段14で保持されることとなる。
【0039】
該基端側部分19は本実施例においては、該基端側部分19が前記両立壁部16,16で弾性的に挟持されて該割溝部17に密接状態に嵌入された状態にある。そして該嵌入された状態で、該基端側部分19の前記下面部(本実施例においては、
図7、
図10に示されている、前記傾斜面突出部56の前記傾斜下面59)20が該割溝部17の溝底部(本実施例においては、前記嵌合凹部60の上端の周囲部分)21(
図4、
図7、
図10)に当接する。該嵌入状態で、前記基端側部分19が前記保持手段14で保持される。これによって前記横支持バー11は、下向きに回動不能となる。
【0040】
又このように本発明によるときは、幟が強風に煽られたときに、前記横支持バー11に作用する荷重を前記のように、前記枢軸33と前記溝底部21の2点に分散させることができること、及び、前記横支持バー11が正方向F1に自由状態で回動できて前記横支持バー11や前記支柱5を後述するように保護できること等によって、本発明に係る幟支持装置1を構造簡素に構成できることとなる。
【0041】
前記したように、このように該保持手段14で保持される前記横支持バー11に、上向きに前記一定以上の荷重が作用すると前記保持が解除される。該保持の解除には次の2つの態様がある。
【0042】
その第1の態様は、前記幟支持装置1の不使用の際に前記横支持バー11を手で把持して、
図2に示すように、前記突出状態Aから前記正方向F1に上向きに回動させて前記保持を解除する場合である。このように保持を解除した後も、正方向F1で該横支持バー11の回動を続けることにより、該横支持バー11は、
図2に示す前記立設状態Cを経て、前記支柱5に沿うコンパクトな前記折り畳み状態B(
図2に二点鎖線で示されている)を呈する。このように折畳み状態Bとして後に前記幟2を該支柱5に巻き付ければ該幟支持装置1の嵩を小さくできるので、その保管や運搬が容易となる。一方、該幟支持装置1を使用する際は、該幟2を巻き戻すと共に前記横支持バー11を逆方向F2に上向きに回動させ且つ前記基端側部分19を前記割溝部17に嵌入させる。
【0043】
このように嵌入された状態は、前記第1、2の係合部62,63が弾性的に係合することによって前記保持手段4で保持される。使用時には、該幟支持装置1をこのようにして回動操作するだけで、使用可能の状態に簡易迅速に組み立てることができるのである。
【0044】
その第2の態様は、風速が例えば10~15m/秒程度の強風で幟2が煽られたときに前記横支持バー11に上向きに一定以上の荷重が作用した場合である。例えば、幟2に設けられている前記側部ループ片4(
図1)が前記支柱5に沿って上方向に移動して幟2が捲れ上がり、該幟2が前記支柱5の上部や前記横支持バー11に巻き付いた状態となって、この捲れ上がった部分に風が上向きに強く当たり、該横支持バー11に上向きに前記一定以上の荷重が作用した場合である。このように保持が解除された後も強風の作用で前記横支持バー11の回動を続くと、前記のように、該回動が、中間でロックされることなく前記正方向に前記自由状態で行われることによって、該横支持バー11は前記立設状態Cを経て、前記支柱4に沿う折畳み状態Bになり得る。
【0045】
次に、前記幟支持装置1に幟2を取り付ける要領を説明する。一つの方法は、先ず
図2に実線で示すように、前記横支持バー11を、前記支柱5に対して略直角を呈して前方に突出する前記突出状態Aとする。該突出状態Aで、該横支持バー11の前記基端側部分19は、前記のように、前記枢軸33で支持され且つ前記溝底部21で下方から支持された状態にある。そして該突出状態で、前記基端側部分19が前記保持手段14で保持され、該横支持バー11は、前記したように、これに上向きに一定以上の荷重が作用しない限り該保持状態を維持する。
【0046】
このように該横支持バー11を突出させた状態で、該幟2の縦側縁部3(
図1)と上縁部9(
図1)に取着されている前記側部ループ片4と上部ループ片10を、該縦側縁部3の下端部に位置するものから順に該横支持バー11の先端より、該横支持バー11及び該支柱5を該側部ループ片4と該上部ループ片10に挿通させることによって取り付けていく。そして、該横支持バー11の先端側に位置する前記上部ループ片10aを前記抜け止め部45に止着させる。
【0047】
本実施例において、該横支持バー11及び該支柱5に対する該側部ループ片4と該上部ループ片10の取り付けは、引っ掛かりを少なくして比較的円滑に行うことができる。その理由は、本実施例においては
図2~3に示すように、前記基端側部分19をなす前記回動筒体41が前記割溝部17に密接に嵌入された状態において、前記立壁部16と前記軸受片部32の前記一連の上端53が略面一に形成されると共に、前記回動筒体41の前後の端部分46,47が半円弧状を呈するように形成され、又、前記軸受片部32,32の上端後縁部分37,37が円弧状凸面として形成されているために、前記支柱5に取り付けられる側部ループ片4が、前記横支持バー11と前記支柱5との接続部分73を、これになるべく引っ掛からないように通過でき、前記支柱5側に移動できるからである。
【0048】
前記幟支持装置1に幟2を取り付ける他の方法は、前記横支持バー11を、
図2に示すように、前記支柱5に沿う状態で上方に延ばした前記立設状態Cとし、該支柱5と該横支持バー11が一直線状を呈した状態とする。この状態で、前記側部ループ片4と前記上部ループ片10の全てを該横支持バー11の上端から順に、該横支持バー11及び該支柱5を該側部ループ片4及び該上部ループ片1 0に挿通させることによって該支柱5と該横支持バー9に取り付けていく。
【0049】
なお、幟2を交換する場合等、該幟2を前記幟支持装置1から取り外す際は、前記と逆の操作によって、前記上部ループ片10と前記側部ループ片4を前記支柱5及び前記横支持バー11から取り外す。この際、本実施例においては
図2~3に示すように、前記軸受片部32,32の下縁部分38、38が四分割円弧状凸面として形成されているため、前記側部ループ片4は、前記横支持バー11と前記支柱5との接続部分73を、これになるべく引っ掛からないように通過して前記横支持バー11側に移動できる。
【0050】
図1は、このようにして幟2が取り付けられた幟支持装置1の使用状態を示している。該使用状態によるときは、前記横支持バー11は
図3、
図6に示すように、前記枢軸33で支持され且つ前記溝底部21で下方から支持された2点支持状態にある。そのため、幟2が強風に煽られたときは、前記横支持バー11に下向きに作用する荷重は、前記枢軸33と前記溝底部21の2点に分散される。従って特許文献1、2におけるように、該枢軸33に集中的に荷重が掛かって該枢着構造部を損傷させるといった恐れがない。
【0051】
又、前記使用状態において風速が例えば10~15m/秒程度の強風状態となったときは、前記横支持バー11に上向きに前記一定以上の荷重が作用して前記保持手段14による保持が解除される場合が生ずる。このように保持が解除された状態で、該横支持バー11が上向きに大きく回動したときは、前記したように、幟2の上縁部9を支持する前記横支持バー11が前記支柱5に沿う前記折畳み状態B(
図2)に向けて前記自由状態で回動できることから、該横支持バー11及び前記枢着構造部を風圧から保護できる。
【0052】
この点について、特許文献2における場合と対比して説明する。特許文献2に係る前記横支持バーは、前記したように、立ち上がり状態にまで上方に向けて回動した状態で前記第2爪部と前記第2制止部とが係合することによって、それ以上に回動するのが制止(ロック)される。そのため、強風で煽られた幟が捲れ上がって前記支柱の上部や前記横支持バーに巻き付いた状態になったときは、この巻き付いた部分に風が上向きに強く当たることとなる。その結果、この部分に過大な荷重が掛かり、該横支持バーが折れる恐れがあり、又該横支持バーの枢着構造部が損傷される恐れがあった。これに対して本発明によるときは、前記横支持バー11の回動が、中間でロックされることなく前記自由状態で行われるため、強風で煽られて捲れ上がった幟2が前記横支持バー11に巻き付いた状態になったとしても、該横支持バー11は、前記立設状態Cを経て後、前記支柱5に沿う前記折畳み状態Bを呈する状態に回動することができる。そのため本発明によるときは、前記横支持バー11にかかる荷重を低減でき、該横支持バー11やその枢着構造部を風圧から保護でき、又該支柱5を保護できる。これによって該横支持バー11が折れたり、前記支柱5が折れたりする事態を招来する恐れがない。
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
(1)前記保持手段14は、「前記横支持バー11が前記突出状態Aにおいて、該横支持バー11を下向きに回動不能、且つ、上向きには一定以上の荷重が作用するまでは回動不能」とし、且つ「前記横支持バー11に上向きに一定以上の荷重が作用することにより、前記保持が解除されて該横支持バー11を前記正方向に自由状態に回動させる」ものであれば、前記実施例で示したものに特定されない。
例えば、前記立壁部16の何れか一方を省略して構成することができる他、前記割溝部17を上下方向に延長した基本構成とし、該割溝部に嵌入される前記回動筒体41の下端に前記挿入軸部26を設ける一方、前記挿入軸部26に相当する部材を前記横支持バー11に変更した構成とする等の構成を採用することもできる。このように設計変更する場合、各部材の形状やサイズは、前記保持手段14として所要に機能し得るように設定される。
(2)前記保持手段14が、前記横支持バー11の前記基端側部分19に設けられた第1の係合部62と、前記割溝部17に設けられて該第1の係合部62に係合し得る第2の係合部63を備えて構成される場合、該第1、第2の係合部62,63は、次のように構成されるものであればよい。即ち、前記横支持バー11の前記回動に伴って前記基端側部分19を前記割溝部17に嵌入させた状態で該第1、2の係合部62,63が当接状態に係合することによって、前記基端側部分19が前記のように保持されると共に、前記横支持バー11に上向きに一定以上の荷重が作用したときには、前記第1、第2の係合部62,63が係脱して前記保持が解除されるものであればよい。
(4)前記横支持バー9を前記突出状態Aと前記折畳み状態Bとの角度範囲で回動可能とするための前記枢着13の構成は、前記した枢軸33を挿通させて行う手段には限定されず、凹凸嵌合方式等の枢着であってもよい。
(7)前記実施例においては、前記幟2の縦側縁部3を側部ループ片4を介して支柱5で支持し、前記幟2の上縁部9を上部ループ片10を介して横支持バー11で支持しているが、該側部ループ片4と該上部ループ片10は、共に、連続する所要長さの筒状を呈するものであってもよい。