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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084532
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】表示パネル及び表示パネルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20240618BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240618BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20240618BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20240618BHJP
   H10K 50/84 20230101ALI20240618BHJP
   H10K 59/123 20230101ALI20240618BHJP
   H10K 59/124 20230101ALI20240618BHJP
   H10K 71/12 20230101ALI20240618BHJP
   H10K 71/00 20230101ALI20240618BHJP
   H10K 71/20 20230101ALI20240618BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240618BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20240618BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20240618BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
G09F9/30 338
G09F9/30 348A
G09F9/00 338
H05B33/22 Z
H05B33/02
H10K50/84
H10K59/123
H10K59/124
H10K71/12
H10K71/00
H10K71/20
H01L29/78 619A
H01L29/78 618B
H01L27/06 102A
H01L27/088 331E
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198852
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】514188173
【氏名又は名称】株式会社JOLED
(71)【出願人】
【識別番号】515203228
【氏名又は名称】ティーシーエル チャイナスター オプトエレクトロニクス テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TCL China Star Optoelectronics Technology Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.9-2,Tangming Rd,Guangming New District,Shenzhen,Guangdong,China 518132
(74)【代理人】
【識別番号】100189430
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100190805
【弁理士】
【氏名又は名称】傍島 正朗
(72)【発明者】
【氏名】林 宏
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
5F048
5F110
5G435
【Fターム(参考)】
3K107AA01
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3K107DD03
3K107DD39
3K107DD90
3K107DD95
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5G435BB05
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(57)【要約】
【課題】自発光型の表示パネルにおいて、画素回路の段差を従来よりも抑制することができる表示パネル等を提供する。
【解決手段】表示パネル10は、画素回路を備える自発光型の表示パネルであって、基板20と、基板20上に設けられ、画素回路を構成する透光性の第一導電膜(例えば、金属酸化物層50)と、第一導電膜上に設けられ、画素回路を構成する非透光性の第二導電膜(例えば、第三金属層90)と、第一導電膜上に設けられ、表面を平坦化する絶縁膜(例えば、第三層間絶縁膜100)とを備え、第一導電膜の少なくとも一部は、表示パネル10の平面視において、第二導電膜と重ならない領域に設けられ、絶縁膜は、重ならない領域において平坦である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素回路を備える自発光型の表示パネルであって、
基板と、
前記基板上に設けられ、前記画素回路を構成する透光性の第一導電膜と、
前記第一導電膜上に設けられ、前記画素回路を構成する非透光性の第二導電膜と、
前記第一導電膜上に設けられ、表面を平坦化する絶縁膜とを備え、
前記第一導電膜の少なくとも一部は、前記表示パネルの平面視において、前記第二導電膜と重ならない領域に設けられ、
前記絶縁膜は、前記重ならない領域において平坦である
表示パネル。
【請求項2】
前記絶縁膜は、ネガ型の感光性樹脂膜である
請求項1に記載の表示パネル。
【請求項3】
前記絶縁膜は、無機絶縁膜である
請求項1に記載の表示パネル。
【請求項4】
前記画素回路は、薄膜トランジスタを有し、
前記第一導電膜は、前記薄膜トランジスタの半導体層を含む
請求項1~3のいずれか1項に記載の表示パネル。
【請求項5】
前記画素回路は、保持容量を有し、
前記保持容量は、下部電極と、上部電極と、前記下部電極及び前記上部電極の間の誘電膜とを有し、
前記第一導電膜は、さらに前記薄膜トランジスタの前記下部電極又は前記上部電極を含む
請求項4に記載の表示パネル。
【請求項6】
前記基板上に設けられ、前記画素回路を構成する透光性の第三導電膜をさらに備え、
前記薄膜トランジスタは、ゲート電極を有し、
前記第三導電膜は、前記ゲート電極、及び、前記上部電極を含む
請求項5に記載の表示パネル。
【請求項7】
前記基板上に設けられ、前記画素回路を構成する透光性の第四導電膜をさらに備え、
前記画素回路は、前記半導体層の下方に設けられるシールド電極をさらに有し、
前記第四導電膜は、前記シールド電極を含む
請求項5に記載の表示パネル。
【請求項8】
前記第一導電膜と前記絶縁膜との間に、ポジ型の平坦化膜を備え、
前記画素回路は、前記半導体層に接続されたソース・ドレイン電極を有し、
前記ソース・ドレイン電極の一部は、前記ポジ型の平坦化膜の上方に位置する
請求項4に記載の表示パネル。
【請求項9】
前記薄膜トランジスタは、トップゲート型の薄膜トランジスタである
請求項4に記載の表示パネル。
【請求項10】
前記表示パネルは、前記平面視において発光する発光領域と、前記発光領域に隣接する非発光領域とを有し、
前記第一導電膜は、前記非発光領域において、金属配線と接続される
請求項1~3のいずれか1項に記載の表示パネル。
【請求項11】
前記絶縁膜上に形成される発光層をさらに備え、
前記発光層は、塗布膜である
請求項1~3のいずれか1項に記載の表示パネル。
【請求項12】
前記表示パネルは、トップエミッション型である
請求項1~3のいずれか1項に記載の表示パネル。
【請求項13】
画素回路を備える自発光型の表示パネルの製造方法であって、
基板上に、前記画素回路を構成する透光性の第一導電膜を形成する第一工程と、
前記第一導電膜上に、前記画素回路を構成する非透光性の第二導電膜を形成する第二工程と、
前記第一導電膜上に、表面を平坦化する絶縁膜を形成する第三工程とを含み、
前記第一導電膜の少なくとも一部は、前記表示パネルの平面視において、前記第二導電膜と重ならない領域に設けられ、
前記絶縁膜は、前記重ならない領域において平坦である
表示パネルの製造方法。
【請求項14】
前記絶縁膜は、ネガ型の感光性樹脂膜であり、
前記第三工程では、
前記第二導電膜上にネガ型の感光性樹脂材料を塗布し、
前記基板側から前記ネガ型の感光性樹脂材料の膜を露光する
請求項13に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項15】
前記絶縁膜は、無機絶縁膜であり、
さらに
前記絶縁膜上にネガ型のレジスト材料を塗布する第四工程と、
前記基板側から前記ネガ型のレジスト材料の膜を露光する第五工程と、
露光された前記ネガ型の感光性樹脂材料の膜を現像する第六工程と、
現像された前記ネガ型のレジスト材料をマスクとして前記絶縁膜をドライエッチングする第七工程と、
現像された前記ネガ型のレジスト材料の膜を剥離する第八工程とを含む
請求項13に記載の表示パネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示パネル及び表示パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置に用いられる表示パネルとして、複数の画素がマトリクス状に配置された有機EL(Electro Luminescence)表示パネルが知られている。例えばトップエミッション構造を有する有機EL表示パネルは、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)などを有する回路基板と、回路基板上に設けられたELデバイス層とを備える。薄膜トランジスタは、基板上に複数の絶縁膜、及び複数の配線層などが積層されることで形成される。
【0003】
このような有機EL表示パネルなどの自発光型の表示パネルでは、発光部を制御する画素回路の段差が、画素回路より上層に配置された発光部に転写されることで、発光部の断面構造が乱れ発光効率が劣化(低下)し、有機EL表示パネルの表示品位が低下することがある。そのため画素回路の段差を抑制することが求められる。特許文献1には、液晶ディスプレイにおいて、ネガ型の感光性樹脂からなる平坦化膜を設けることで画素回路の段差を抑制する技術が開示されている。また、特許文献2には、液晶ディスプレイにおいて、ネガ型のレジストを裏面露光し、レジストをマスクに絶縁膜をエッチングすることで画素回路の段差を抑制する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-109017号公報
【特許文献2】特開平5-341321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2の技術を有機EL表示パネルに適用する場合、画素回路の段差を効果的に緩和することが困難である。
【0006】
そこで、本開示は、自発光型の表示パネルにおいて、画素回路の段差を従来よりも抑制することができる表示パネル及び表示パネルの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る表示パネルは、画素回路を備える自発光型の表示パネルであって、基板と、前記基板上に設けられ、前記画素回路を構成する透光性の第一導電膜と、前記第一導電膜上に設けられ、前記画素回路を構成する非透光性の第二導電膜と、前記第一導電膜上に設けられ、表面を平坦化する絶縁膜とを備え、前記第一導電膜の少なくとも一部は、前記表示パネルの平面視において、前記第二導電膜と重ならない領域に設けられ、前記絶縁膜は、前記重ならない領域において平坦である。
【0008】
本開示の一態様に係る表示パネルの製造方法は、画素回路を備える自発光型の表示パネルの製造方法であって、基板上に、前記画素回路を構成する透光性の第一導電膜を形成する第一工程と、前記第一導電膜上に、前記画素回路を構成する非透光性の第二導電膜を形成する第二工程と、前記第一導電膜上に、表面を平坦化する絶縁膜を形成する第三工程とを含み、前記第一導電膜の少なくとも一部は、前記表示パネルの平面視において、前記第二導電膜と重ならない領域に設けられ、前記絶縁膜は、前記重ならない領域において平坦である。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様によれば、自発光型の表示パネルにおいて、画素回路の段差を従来よりも抑制することができる表示パネル等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態1に係る表示パネルの構成を示す平面図である。
図2図2は、実施の形態1に係る表示パネルの構成を示す断面図である。
図3図3は、図1に示す破線枠を拡大して示す図である。
図4A図4Aは、実施の形態1に係る表示パネルの製造方法を説明するための第1の断面図である。
図4B図4Bは、実施の形態1に係る表示パネルの製造方法を説明するための第2の断面図である。
図4C図4Cは、実施の形態1に係る表示パネルの製造方法を説明するための第3の断面図である。
図4D図4Dは、実施の形態1に係る表示パネルの製造方法を説明するための第4の断面図である。
図4E図4Eは、実施の形態1に係る表示パネルの製造方法を説明するための第5の断面図である。
図4F図4Fは、実施の形態1に係る表示パネルの製造方法を説明するための第6の断面図である。
図5図5は、実施の形態1の変形例1に係る表示パネルの構成を示す断面図である。
図6A図6Aは、実施の形態1の変形例1に係る表示パネルの製造方法を説明するための第1の断面図である。
図6B図6Bは、実施の形態1の変形例1に係る表示パネルの製造方法を説明するための第2の断面図である。
図6C図6Cは、実施の形態1の変形例1に係る表示パネルの製造方法を説明するための第3の断面図である。
図6D図6Dは、実施の形態1の変形例1に係る表示パネルの製造方法を説明するための第4の断面図である。
図6E図6Eは、実施の形態1の変形例1に係る表示パネルの製造方法を説明するための第5の断面図である。
図7図7は、実施の形態1の変形例2に係る表示パネルの構成を示す断面図である。
図8A図8Aは、実施の形態1の変形例2に係る表示パネルの製造方法を説明するための第1の断面図である。
図8B図8Bは、実施の形態1の変形例2に係る表示パネルの製造方法を説明するための第2の断面図である。
図8C図8Cは、実施の形態1の変形例2に係る表示パネルの製造方法を説明するための第3の断面図である。
図9図9は、実施の形態1の変形例3に係る表示パネルの構成を示す断面図である。
図10A図10Aは、実施の形態1の変形例3に係る表示パネルの製造方法を説明するための第1の断面図である。
図10B図10Bは、実施の形態1の変形例3に係る表示パネルの製造方法を説明するための第2の断面図である。
図10C図10Cは、実施の形態1の変形例3に係る表示パネルの製造方法を説明するための第3の断面図である。
図11図11は、実施の形態2に係る表示パネルの構成を示す断面図である。
図12A図12Aは、実施の形態2に係る表示パネルの製造方法を説明するための第1の断面図である。
図12B図12Bは、実施の形態2に係る表示パネルの製造方法を説明するための第2の断面図である。
図12C図12Cは、実施の形態2に係る表示パネルの製造方法を説明するための第3の断面図である。
図12D図12Dは、実施の形態2に係る表示パネルの製造方法を説明するための第4の断面図である。
図13図13は、実施の形態2の変形例1に係る表示パネルの構成を示す断面図である。
図14A図14Aは、実施の形態2の変形例1に係る表示パネルの製造方法を説明するための第1の断面図である。
図14B図14Bは、実施の形態2の変形例1に係る表示パネルの製造方法を説明するための第2の断面図である。
図14C図14Cは、実施の形態2の変形例1に係る表示パネルの製造方法を説明するための第3の断面図である。
図15図15は、実施の形態2の変形例2に係る表示パネルの構成を示す断面図である。
図16A図16Aは、実施の形態2の変形例2に係る表示パネルの製造方法を説明するための第1の断面図である。
図16B図16Bは、実施の形態2の変形例2に係る表示パネルの製造方法を説明するための第2の断面図である。
図16C図16Cは、実施の形態2の変形例2に係る表示パネルの製造方法を説明するための第3の断面図である。
図17図17は、実施の形態2の変形例3に係る表示パネルの構成を示す断面図である。
図18A図18Aは、実施の形態2の変形例3に係る表示パネルの製造方法を説明するための第1の断面図である。
図18B図18Bは、実施の形態2の変形例3に係る表示パネルの製造方法を説明するための第2の断面図である。
図18C図18Cは、実施の形態2の変形例3に係る表示パネルの製造方法を説明するための第3の断面図である。
図19図19は、比較例1に係る表示パネルの製造方法を説明するための断面図である。
図20A図20Aは、比較例2に係る表示パネルの製造方法を説明するための第1の断面図である。
図20B図20Bは、比較例2に係る表示パネルの製造方法を説明するための第2の断面図である。
図21図21は、発光部の断面構造の乱れを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示に至った経緯)
上記のように、画素回路の段差が発光部に転写されることにより発光部の断面構造が乱れ、断面構造の乱れにより発光部の発光効率が劣化(低下)するので、有機EL表示パネルの表示品位が損なわれてしまうことがある。そこで、画素回路の段差を抑制することが求められる。例えば、液晶ディスプレイにおいて、画素回路の段差を抑制する検討が行われている。しかしながら、液晶ディスプレイは画素回路が粗であるのに対し、有機EL表示パネルは画素回路が密であるので、液晶ディスプレイにおいて効果がある技術をそのまま有機EL表示パネルに適用するのは困難である。
【0012】
例えば、液晶ディスプレイにおいて、ネガ型の感光性樹脂材料を用いて画素回路を平坦化する技術が検討されている。しかしながら、画素回路が密であり、ネガ型の感光性樹脂材料に対する裏面露光における遮蔽物が多い有機EL表示パネルにそのような技術を適用するのは困難である。
【0013】
ネガ型の感光性樹脂を用いて画素回路を平坦化する技術を有機EL表示パネルに適用する例について、図19を参照しながら説明する。図19は、比較例1に係る表示パネルの製造方法を説明するための断面図である。
【0014】
図19の(a)は、ネガ型の感光性樹脂により形成される樹脂層400aを裏面露光する様子を示しており、図19の(b)は、現像後の樹脂層400a(つまり、第三層間絶縁膜400)の表面形状を示している。なお、本明細書において、透光性を有していない構成要素のうち主な構成要素をドットハッチングで図示している。また、本明細書において透光性を有するとは、例えば、透過率が20%以上であることであってもよいし、透過率が30%以上であることであってもよいし、透過率が40%以上であることであってもよい。
【0015】
図19の(a)に示すように、有機EL表示パネルは、基板20と、第一金属層430と、第一層間絶縁膜40と、金属酸化物層50と、ゲート絶縁膜61と、ゲート電極71と、第二層間絶縁膜80と、第三金属層90と、樹脂層400aとを備える。第一金属層430は、シールド電極431と、下部電極432とを有し、金属酸化物層50は、半導体層51と、上部電極52とを有し、第三金属層90は、ソース・ドレイン電極91a及び91bと、配線92とを有する。また、基板20と、第一層間絶縁膜40と、金属酸化物層50と、ゲート絶縁膜61と、第二層間絶縁膜80と、樹脂層400aとは透光性を有する。また、第一金属層430と、ゲート電極71と、第三金属層90とは透光性を有していない。各構成部の機能等については、以下の本開示の実施の形態で説明する。
【0016】
樹脂層400aは、第三金属層90により形成される段差(樹脂層400aが形成されていない状態において露出している第三金属層90の部分(上部)により形成される段差)を抑制(緩和)するために配置される。樹脂層400aは、ネガ型の感光性樹脂材料を塗布することにより形成される。ネガ型の感光性樹脂材料は、露光されると硬化して現像液に対する溶解性が低くなる性質を有する。
【0017】
第一金属層430、ゲート電極71及び第三金属層90は、低抵抗化のため金属配線が用いられる。第一金属層430、ゲート電極71及び第三金属層90は、例えば、Ti膜、Cu膜、及びCuMn膜からなる積層膜により形成される。金属配線は、透光性を有しておらず、裏面露光時の遮蔽物となる。
【0018】
樹脂層400aは、裏面側(基板20側)から裏面露光される。裏面側から光(例えば、紫外線)が樹脂層400aに照射される。樹脂層400aの全域に光が照射されると、ソース・ドレイン電極91bと配線92との間など、第三金属層90の電極間の樹脂層400aが現像液で除去されずに残る(つまり、第三層間絶縁膜400が形成される)ので、画素回路の段差を抑制可能である。
【0019】
しかしながら、第一金属層430、ゲート電極71及び第三金属層90は、上記の通り裏面露光時には遮蔽物となるので、樹脂層400aの全域に光が照射されない。具体的には、樹脂層400aのうち、第一金属層430、ゲート電極71及び第三金属層90の上方を除く全域に当該光が照射される。
【0020】
次に、図19の(b)に示すように、現像液により未感光部を除去するが、樹脂層400aのうち第一金属層430、ゲート電極71及び第三金属層90の上方を除く全域が感光部であるので、第一金属層430、ゲート電極71及び第三金属層90の上方を除く領域の樹脂が除去されずに残る。言い換えると、樹脂層400aのうち第一金属層430、ゲート電極71及び第三金属層90の上方の領域の樹脂は、未感光部であり現像液により除去される。これにより、未形成部400bが形成される。未形成部400bは、画素回路の段差である。未形成部400bが形成されるので、第三層間絶縁膜400は、平面視において、金属酸化物層50のうちソース・ドレイン電極91a及び91bと重ならない領域、並びに、配線92と重ならない領域において平坦ではない。言い換えると、第三層間絶縁膜400は、平面視において、金属酸化物層50のうちソース・ドレイン電極91a及び91bと重ならない領域、並びに、配線92と重ならない領域において段差を有する。
【0021】
液晶ディスプレイは、画素回路が粗であり遮蔽物が少ないので未形成部400bのような段差が粗く形成されるので影響を受けにくいが、有機EL表示パネルは画素回路が密でありネガ型の感光性樹脂材料に対する裏面露光における遮蔽物が多いので未形成部400bのような多数の段差が形成されるので、多数の段差が発光部に転写される。そのため、上記の方法では、有機EL表示パネルにおいて、画素回路の段差が抑制されにくく、発光効率の劣化を低減することは困難である。
【0022】
また、例えば、液晶ディスプレイにおいて、ネガ型のレジストを裏面露光し、レジストをマスクに絶縁膜をエッチングすることで画素回路の段差を抑制する技術が検討されている。しかしながら、上記と同様、画素回路が密であり遮蔽物が多い有機EL表示パネルに適用するのは困難である。
【0023】
ネガ型のレジストを用いて画素回路を平坦化する技術を有機EL表示パネルに適用する例について、図20A及び図20Bを参照しながら説明する。図20A及び図20Bは、比較例2に係る表示パネルの製造方法を説明するための各断面図である。また、表示パネルは、図20A及び図20Bの順に製造される。
【0024】
図20Aの(a)に示すように、有機EL表示パネルは、基板20と、第一金属層430と、第一層間絶縁膜40と、金属酸化物層50と、ゲート絶縁膜61と、ゲート電極71と、第二層間絶縁膜80と、第三金属層90と、無機層500a(つまり、第六層間絶縁膜500)と、レジスト層510a(つまり、レジスト層510)とを備える。第一金属層430は、シールド電極431と、下部電極432とを有し、金属酸化物層50は、半導体層51と、上部電極52とを有し、第三金属層90は、ソース・ドレイン電極91a及び91bと、配線92とを有する。また、基板20と、第一層間絶縁膜40と、金属酸化物層50と、ゲート絶縁膜61と、第二層間絶縁膜80と、無機層500a(つまり、第六層間絶縁膜500)と、レジスト層510a(つまり、レジスト層510)とは透光性を有する。また、第一金属層430と、ゲート電極71と、第三金属層90とは透光性を有していない。
【0025】
図20Aの(a)は、ネガ型のレジストを塗布して形成されるレジスト層510aを裏面露光する様子を示しており、図20Aの(b)は、レジスト層510aの未感光部を現像液により除去する様子を示しており、図20Bの(a)は、レジストをマスクに用いたドライエッチングにより無機層500aを一部除去する様子を示しており、図20Bの(b)は、レジスト剥離後の無機層500a(つまり、第六層間絶縁膜500)の表面形状を示す図である。
【0026】
図20Aの(a)に示すように、有機EL表示パネルは、製造段階において、基板20と、第一金属層430と、第一層間絶縁膜40と、金属酸化物層50と、ゲート絶縁膜61と、ゲート電極71と、第二層間絶縁膜80と、第三金属層90と、無機層500aと、レジスト層510aとを備える。無機層500aがドライエッチングされて第六層間絶縁膜500が形成され、レジスト層510aの未感光部を現像液により除去することでレジスト層510が形成される。各構成部の機能等については、以下の本開示の実施の形態で説明する。
【0027】
レジスト層510aは、無機層500aに形成される段差(レジスト層510aが形成されていない状態において凸部により形成される段差)を抑制(緩和)するために製造段階において配置される。レジスト層510aは、ネガ型のレジスト材料を塗布することにより形成される。
【0028】
レジスト層510aは、裏面側(基板20側)から裏面露光される。裏面側から光(例えば、紫外線)がレジスト層510aに照射される。レジスト層510aのうち無機層500aの凸部の上方以外の全域に光が照射されると、未感光部を現像液により除去した後に凸部を露出させることができるので、レジスト層510a(つまりレジスト層510)を、当該凸部をドライエッチングするときのマスクとして利用することができる。
【0029】
しかしながら、第一金属層430、ゲート電極71及び第三金属層90は、上記の通り裏面露光時には遮蔽物となるので、レジスト層510aのうち無機層500aの凸部以外の全域に光が照射されない。具体的には、レジスト層510aのうち、第一金属層430、ゲート電極71及び第三金属層90の上方を除く全域に当該光が照射される。
【0030】
次に、図20Aの(b)に示すように、現像液により未感光部を除去するが、レジスト層510aのうち第一金属層430、ゲート電極71及び第三金属層90の上方を除く全域が感光部であるので、第一金属層430、ゲート電極71及び第三金属層90の上方を除く領域のレジストが除去されずに残る。言い換えると、レジスト層510aのうち第一金属層430、ゲート電極71及び第三金属層90の上方の領域の樹脂は、未感光部であり除去される。これにより、レジスト層510が形成されていない未形成部510bができてしまう。つまり、ドライエッチングする必要のない無機層500aが露出してしまう。
【0031】
次に、図20Bの(a)に示すように、図20Aの(b)に示すレジスト層510をマスクとして用いてドライエッチングすると、無機層500aの突出している部分に加えて、未形成部510bに対応する部分もエッチングされてしまう。
【0032】
次に、図20Bの(b)に示すように、レジスト層510を剥離する。これにより形成される第六層間絶縁膜500の表面には、ドライエッチングによる凹み500bが形成される。凹み500bは、画素回路の段差である。凹み500bが形成されるので、第六層間絶縁膜500は、平面視において、金属酸化物層50のうちソース・ドレイン電極91a及び91bと重ならない領域、並びに、配線92と重ならない領域において平坦ではない。言い換えると、第六層間絶縁膜500は、平面視において、金属酸化物層50のうちソース・ドレイン電極91a及び91bと重ならない領域、並びに、配線92と重ならない領域において段差を有する。
【0033】
このように、比較例2の表示パネルでは、第六層間絶縁膜500の表面の段差が抑制できない。有機EL表示パネルでは、凹み500bのような段差が発光部に転写されるので、ネガ型のレジストを裏面露光し、レジストをマスクに絶縁膜をエッチングする場合も発光効率の劣化を低減することは困難である。
【0034】
ここで、発光部の断面構造について図21を参照しながら説明する。図21は、発光部の断面構造の乱れを説明するための図(断面SEM像)である。図21に示す薄膜トランジスタ領域には、第一金属層(シールド電極)、及び第二金属層(ゲート電極)が形成され、1000nm程度の段差が存在する。また、上方に配置されたポジ型の感光性樹脂材料からなる平坦化膜(図21に示す「平坦化膜(ポジ)」が段差を緩和している。さらに、平坦化膜の上方には、第四金属層(アノード電極)が形成されている。平坦化膜により段差は緩和されているが、一部が第四金属層(アノード電極)に転写されている。具体的には、第四金属層(アノード電極)は波打つように形成されており160nm程度の段差が存在する。発光部は、第四金属層(アノード電極)の上方に形成される。発光部は、発光層を含んで構成される。発光層は、発光材料を含むインクが塗布されることで形成される。したがって、発光層の断面構造には第四金属層(アノード電極)の段差が転写される。これにより、発光部から出射される光の明るさが発光部の位置により異なってしまい、明暗の明るさのムラが発生する。この明るさのムラが、発光部の断面構造の乱れによる発光効率の劣化に相当する。
【0035】
そこで、本願発明者は、有機EL表示パネルなどの自発光型の表示パネルにおいて、画素回路の段差を従来よりも抑制することができる表示パネル、及び、表示パネルの製造方法について鋭意検討を行い、以下に説明する表示パネル、及び、表示パネルの製造方法を創案した。
【0036】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示における一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、工程、並びに、工程の順序などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示における最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0037】
また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、各図において縮尺などは必ずしも一致していない。なお、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0038】
また、本明細書において、「上方」及び「下方」という用語は、絶対的な空間認識における上方向(鉛直上方)及び下方向(鉛直下方)を指すものではなく、積層構成における積層順を基に相対的な位置関係により規定される用語として用いる。また、「上方」及び「下方」という用語は、2つの構成要素が互いに間隔をあけて配置されて2つの構成要素の間に別の構成要素が存在する場合のみならず、2つの構成要素が互いに接する状態で配置される場合にも適用される。
【0039】
また、本明細書において、数値、及び、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度(例えば、10%程度)の差異をも含むことを意味する表現である。
【0040】
また、本明細書において、「第一」、「第二」等の序数詞は、特に断りの無い限り、構成要素の数又は順序を意味するものではなく、同種の構成要素の混同を避け、区別する目的で用いられている。
【0041】
(実施の形態1)
本実施の形態に係る表示パネル及びその製造方法について、図1図4Fを参照しながら説明する。
【0042】
[1-1.表示パネルの構成]
まずは、表示パネルの構成について、図1図3を参照しながら説明する。図1は、本実施の形態に係る表示パネル10の構成を示す平面図である。
【0043】
図1に示すように、表示パネル10は、複数の画素12を有する表示部11を備える。本実施の形態では、表示パネル10は、周縁領域13と、引き出し配線14と、走査配線15と、信号配線16とをさらに備える。
【0044】
表示部11は、表示パネル10において画像が表示される部分である。表示部11には、複数の画素12がマトリクス状に配置されている。
【0045】
複数の画素12は、表示部11に画像を表示するために用いられる。複数の画素12の各々は、一つ以上の薄膜トランジスタを有する。一つ以上の薄膜トランジスタによって画素回路が形成される。薄膜トランジスタの構成については、後述する。
【0046】
走査配線15は、走査線を順次選択する選択電圧を印加するための配線である。本実施の形態では、複数の走査配線15が、表示部11において、複数の画素12の行方向(つまり、図1の横方向)に延在する。複数の走査配線15の各々が、各行に配置される画素12に選択電圧を供給する。なお、図面が煩雑となることを回避するために図示しないが、複数の走査配線15は、表示部11において、複数の画素12の列方向(つまり、図1の縦方向)にも延在してもよい。走査配線15は、金属により構成される金属配線である。
【0047】
信号配線16は、複数の画素12の各々に表示映像に対応した信号電圧を供給するための配線である。本実施の形態では、複数の信号配線16が、表示部11において、複数の画素12の列方向(つまり、図1の縦方向)に延在する。複数の信号配線16の各々が、各列に配置される画素12に信号電圧を供給する。なお、図面が煩雑となることを回避するために図示しないが、複数の信号配線16は、表示部11において、複数の画素12の行方向(つまり、図1の横方向)にも延在してもよい。信号配線16は、金属により構成される金属配線である。
【0048】
引き出し配線14は、周縁領域13に配置され、走査配線15及び信号配線16の各々に接続される配線である。複数の引き出し配線14が、それぞれ、複数の走査配線15に接続される。複数の引き出し配線14が、それぞれ、複数の信号配線16に接続される。
【0049】
続いて、画素12が有する薄膜トランジスタを含む表示パネル10の詳細構成について、さらに図2を参照しながら説明する。図2は、本実施の形態に係る表示パネル10の構成を示す断面図である。
【0050】
図2に示すように、表示パネル10は、基板20と、第一金属層30と、第一層間絶縁膜40と、金属酸化物層50と、ゲート絶縁層60と、第二金属層70と、第二層間絶縁膜80と、第三金属層90と、第三層間絶縁膜100と、第四層間絶縁膜110と、第四金属層120と、バンク130とを備える。画素回路は、第一金属層30と、第一層間絶縁膜40と、金属酸化物層50と、ゲート絶縁層60と、第二金属層70と、第二層間絶縁膜80と、第三金属層90とを含んで構成される。
【0051】
本実施の形態では、基板20と、第一金属層30と、第一層間絶縁膜40と、金属酸化物層50と、ゲート絶縁層60と、第二層間絶縁膜80と、第三層間絶縁膜100と、第四層間絶縁膜110と、バンク130とは透光性を有する。また、第二金属層70と、第三金属層90と、第四金属層120とは透光性を有していない。なお、第一金属層30、金属酸化物層50、第二金属層70及び第三金属層90の少なくとも1つが透光性を有し、かつ、第一金属層30、金属酸化物層50、第二金属層70及び第三金属層90の少なくとも他の1つが透光性を有していなければよく、第一金属層30、及び金属酸化物層50が透光性を有することに限定されない。
【0052】
また、図2では、薄膜トランジスタを構成する薄膜トランジスタ領域と、保持容量を構成する容量領域とを図示している。また、本実施の形態では、薄膜トランジスタ領域にトップゲート型の薄膜トランジスタが配置される。
【0053】
基板20は、表示パネル10の回路基板の基台となる絶縁性の板状部材である。例えば、基板20は、石英ガラス、無アルカリガラス又は高耐熱性ガラス等のガラス材料で構成されるガラス基板である。また、基板20は、リジッド基板ではなく、フレキシブルガラス基板又はフレキシブル樹脂基板等のシート状、又はフィルム状の可撓性を有するフレキシブル基板であってもよい。フレキシブル樹脂基板としては、例えば、ポリイミドやポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のフィルム材料の単層又は積層で構成された基板を用いることができる。なお、基板20の表面に絶縁性材料からなるアンダーコート膜を形成してもよい。例えば、アンダーコート膜は、基板20に近い位置から順にSiN膜、及びSiO膜が積層された積層膜であってもよい。これにより、基板20の上方に、基板20が含有する物質(例えばナトリウムイオン)が移動することを防ぐことができる。
【0054】
第一金属層30は、基板20の上方に配置される導電膜である。第一金属層30として、透光性を有する導電膜を用いることができる。本実施の形態では、第一金属層30として、ITO(酸化インジウムスズ)を用いる。第一金属層30として、例えば、IGZO(InGaZnO)、ITZO(酸化インジウムスズ亜鉛)、ZnO、IZO(酸化インジウム亜鉛)、IGO(酸化インジウムガリウム)、InO等の透光性を有する金属酸化物を用いてもよい。
【0055】
第一金属層30は、シールド電極31及び下部電極32を有する。シールド電極31は、半導体層51に対向する。より具体的には、シールド電極31は、半導体層51のチャネル領域に対向する。シールド電極31には、例えば、固定電位(例えば接地電位)が供給されるが、これに限定されない。下部電極32は、第一層間絶縁膜40を介して上部電極52と対向するように配置される。下部電極32、第一層間絶縁膜40及び上部電極52により、画素回路の保持容量が形成される。第一金属層30は、第四導電膜の一例である。
【0056】
第一層間絶縁膜40は、第一金属層30の上方に配置される絶縁膜である。第一層間絶縁膜40は、第一金属層30を覆う。本実施の形態では、第一層間絶縁膜40として、SiN膜、SiO膜からなる積層膜を用いる。第一層間絶縁膜40として、例えば、SiN膜、SiO膜、SiON膜、又はこれらの中から選ばれる絶縁膜の積層膜を用いることができる。第一層間絶縁膜40は、誘電膜として機能する。
【0057】
金属酸化物層50は、第一層間絶縁膜40の上方に配置される透光性を有する半導体膜である。本実施の形態では、金属酸化物層50は、酸化物半導体を含む。金属酸化物層50は、例えば、In、Ga、Zn、Sn、Ti、及びNbのうちの少なくとも1種の元素の酸化物を主成分として含む酸化物半導体から構成されている。本実施の形態では、金属酸化物層50として、IGZO(InGaZnO)を用いる。金属酸化物層50として、例えば、ITZO(酸化インジウムスズ亜鉛)、ZnO、IZO(酸化インジウム亜鉛)、IGO(酸化インジウムガリウム)、ITO(酸化インジウムスズ)、InO等の透光性を有する金属酸化物を用いてもよい。金属酸化物層50は、第一導電膜の一例である。
【0058】
金属酸化物層50は、半導体層51と、上部電極52とを有する。半導体層51は、ゲート電極71の下方の高抵抗領域と、それ以外の低抵抗領域とを有する。低抵抗領域は、例えば、半導体層51上に配置されるゲート絶縁層60をドライエッチングによって除去する際に、プラズマダメージにより形成された領域であり、実質的に導体として機能する。上部電極52は、画素回路の保持容量を形成するための電極であり、下部電極32を覆う。
【0059】
金属酸化物層50の少なくとも一部は、表示パネル10の平面視において、ソース・ドレイン電極91a及び91b(第二導電膜の一例)と重ならない領域に設けられる。半導体層51は、例えば、平面視において、ソース・ドレイン電極91a及び91bと重ならない領域を有する。また、上部電極52は、平面視において、配線92と重ならない領域を有する。
【0060】
ゲート絶縁層60は、金属酸化物層50の上方に配置される絶縁膜である。ゲート絶縁層60として、例えば、SiO膜を用いることができる。本実施の形態では、ゲート絶縁層60は、第二金属層70と同一の形状にパターニングされている。言い換えると、ゲート絶縁層60の平面視における輪郭が、第二金属層70の平面視における輪郭と同一となる。なお、ここで、同一の形状、又は、同一の輪郭との記載が意味する状態は、形状、又は輪郭が完全に一致する状態だけに限定されず、実質的に一致する状態も含む。同一の形状、又は、同一の輪郭との記載が意味する状態は、例えば、ゲート絶縁層60の輪郭と、第二金属層70の輪郭とのずれの大きさが、第二金属層70の寸法の20%以下である状態も含む。
【0061】
第二金属層70は、ゲート絶縁層60の上方に配置される導電膜である。第二金属層70として、例えば、任意の金属膜を用いることができる。本実施の形態では、第二金属層70として、Ti膜、Cu膜、及びCuMn膜からなる積層膜(透光性を有していない(非透光性の)積層膜)を用いる。第二金属層70として、例えば、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、タングステン(W)、チタン(Ti)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、銀(Ag)、金(Au)、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、インジウム(In)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)等の金属、又は、これらの中から選ばれる金属の積層膜、又はこれらの中から選ばれる金属の合金を用いてもよい。
【0062】
第二金属層70は、ゲート電極71を有する。第二金属層70は、第三導電膜の一例である。
【0063】
第二層間絶縁膜80は、第二金属層70の上方に配置される絶縁膜である。本実施の形態では、第二層間絶縁膜80として、SiO膜を用いる。第二層間絶縁膜80として、例えば、SiN膜、SiON膜、Al膜などの無機絶縁膜、感光性を有するポリイミド、アクリル樹脂などの有機絶縁膜、又は、これらの積層膜を用いてもよい。
【0064】
第三金属層90は、少なくとも一部が第二層間絶縁膜80の上方に配置される導電膜である。第三金属層90として、例えば、任意の金属膜を用いることができる。第三金属層90として、第二金属層70と同じ構成の金属膜を用いてもよい。本実施の形態では、第三金属層90として、Ti膜、Cu膜、及びCuMn膜からなる積層膜(透光性を有していない積層膜)を用いる。第三金属層90として、例えば、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、タングステン(W)、チタン(Ti)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、銀(Ag)、金(Au)、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、インジウム(In)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)等の金属、又は、これらの中から選ばれる金属の積層膜、又はこれらの中から選ばれる金属の合金を用いてもよい。
【0065】
第三金属層90は、ソース・ドレイン電極91a及び91bと、配線92とを有する。ソース・ドレイン電極91a及び91bは、コンタクトホールを介して半導体層51(例えば、半導体層51の低抵抗領域)に接続される。配線92は、コンタクトホールを介して上部電極52に接続される。第三金属層90は、第二導電膜の一例である。
【0066】
第三層間絶縁膜100は、第二層間絶縁膜80の上方に配置される絶縁膜(図2に示す「平坦化膜(ネガ)」)である。第三層間絶縁膜100は、薄膜トランジスタ領域及び容量領域を一括して覆う。本実施の形態では、第三層間絶縁膜100として、ネガ型の感光性樹脂膜を用いる。本実施の形態では、第三層間絶縁膜100として、感光性を有するポリイミドを用いる。第三層間絶縁膜100として、例えば、感光性を有するポリイミド、アクリル樹脂などの有機絶縁膜、又は、これらの積層膜を用いてもよい。第三層間絶縁膜100は、絶縁膜の一例である。
【0067】
第三層間絶縁膜100は、表示パネル10の表面を平坦化する。図2の例では、第三層間絶縁膜100は、第三金属層90により形成された凹凸を緩和する。第三層間絶縁膜100は、ソース・ドレイン電極91aと凸部80wとの間、ソース・ドレイン電極91bと凸部80wとの間、及び、ソース・ドレイン電極91bと配線92との間に渡って配置され、かつ、配線92からソース・ドレイン電極91bと反対側の領域に渡って配置される。平面視において、第一金属層30(具体的にはシールド電極31及び下部電極32)と重なる領域であって、第三金属層90及び凸部80wが配置されていない領域に、第三層間絶縁膜100が配置される。第三層間絶縁膜100は、凸部80wを除く第二層間絶縁膜80の部分が露出しないように配置されるとも言える。
【0068】
また、第三層間絶縁膜100は、平面視において、金属酸化物層50のうちソース・ドレイン電極91a及び91bと重ならない領域、並びに、配線92と重ならない領域において平坦である。第三層間絶縁膜100は、ソース・ドレイン電極91aと凸部80wとの間、ソース・ドレイン電極91bと凸部80wとの間、及び、ソース・ドレイン電極91bと配線92との間に渡って平坦に設けられる。言い換えると、第三層間絶縁膜100は、平面視において、金属酸化物層50のうちソース・ドレイン電極91a及び91bと重ならない領域、並びに、配線92と重ならない領域において段差を有していない。
【0069】
ここで言う平坦とは、完全に平坦であることに限定されず、実質的に平坦であることも含まれる。例えば、発光部の発光効率が実質的に劣化しない程度の凹凸、及び、発光部の発光効率の劣化が許容できる範囲である程度の凹凸が第三層間絶縁膜100に形成されている場合も、第三層間絶縁膜100が平坦であることに含まれる。また、第二層間絶縁膜80が露出しない程度の厚みの変化(凹凸)が第三層間絶縁膜100に形成されている場合も、第三層間絶縁膜100が平坦であることに含まれる。
【0070】
第四層間絶縁膜110は、第三金属層90及び第三層間絶縁膜100の上方に配置される絶縁膜(図2に示す「平坦化膜(ポジ)」)である。本実施の形態では、第三層間絶縁膜100として、ポジ型の感光性樹脂膜を用いる。本実施の形態では、第四層間絶縁膜110として、感光性を有するポリイミド樹脂を用いる。第四層間絶縁膜110として、例えば、感光性を有するポリイミド、アクリル樹脂などの有機絶縁膜、又は、これらの積層膜を用いてもよい。
【0071】
第四金属層120は、少なくとも一部が第四層間絶縁膜110の上方に配置される導電膜である。第四金属層120として、例えば、アルミニウム-ニッケル-銅-ランタン合金(Al-Ni-Cu-La)、アルミニウム-ネオジム合金(Al-Nd)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)等の金属を用いてもよい。また、第四金属層120は、それらの金属と酸化タングステン(WO)との積層構造であってもよい。本実施の形態では、第四金属層120として、アルミニウム-ニッケル-銅-ランタン合金と酸化タングステン(WO)との積層構造を用いる。
【0072】
第四金属層120は、コンタクトホールを介してソース・ドレイン電極91bに接続される。第四金属層120は、アノード電極として機能する。
【0073】
バンク130は、電極(例えば、アノード電極)が形成された基板20上を、発光層(有機発光層)を形成するために区画する。バンク130は、感光性の熱硬化性樹脂を用いてフォトリソグラフィ法でバンク形状にパターニングして、加熱焼成することによって形成される。
【0074】
バンク130が形成された後、発光材料を含むインクが塗布されることで発光層が形成される。発光層は、例えば、塗布膜である。例えば、発光材料を含むインクが印刷されることで発光層が形成される。なお、発光層は、蒸着により形成された蒸着膜であってもよい。
【0075】
このような表示パネル10は、発光層上に形成された電極(カソード電極)をさらに備え、当該電極が形成された面の側から光を取り出すトップエミッション型の表示パネルである。
【0076】
続いて、透光性を有する導電膜と、金属配線との接続について、図3を参照しながら説明する。図3は、図1に示す破線枠Rを拡大して示す図である。図3は、表示パネル10の単一の画素回路領域(サブピクセル領域)を示す平面図である。なお、図3では、走査配線15及び信号配線16に接続される配線のそれぞれが透光性を有する導電膜で形成されている場合を例示している。
【0077】
図3に示すように、画素回路領域は、平面視において、発光領域12aと非発光領域12bとを有する。発光領域12aは、発光する領域であり、平面視において、発光層と重なる領域である。非発光領域12bは、発光しない領域であり、平面視において、発光層と重ならない領域である。非発光領域12bは、発光領域12aと隣接しており、例えば、発光領域12aを囲む領域である。
【0078】
画素回路におけるトランジスタを構成する透光性を有する導電膜は、非発光領域12bにおいてコンタクトホールを介して金属配線に接続される。例えば、走査配線15と透光性を有する導電膜33とは、非発光領域12bのコンタクトホール15hを介して接続される。また、例えば、信号配線16と透光性を有する導電膜34とは、非発光領域12bのコンタクトホール16hを介して接続される。
【0079】
このように、段差が生じても良い非発光領域12b(上方に平坦性を確保すべき発光素子が存在しない領域)で金属配線と透光性を有する導電膜とが接続される。
【0080】
[1-2.表示パネルの製造方法]
続いて、上記のように構成される表示パネル10の製造方法について、図4A図4Fを参照しながら説明する。図4A図4Fは、本実施の形態に係る表示パネル10の製造方法を説明するための各断面図である。図4A図4Fでは、表示パネル10を製造する各工程を模式的に示す。また、表示パネル10は、図4A図4Fの順に製造される。
【0081】
図4Aの(a)に示すように、絶縁性の基板20を準備する。
【0082】
次に、図4Aの(b)に示すように、金属膜30aを基板20上に形成する。金属膜30aは、例えば、スパッタ法を用いて形成される。本実施の形態では、膜厚50nmのITO(酸化インジウムスズ)膜をスパッタ法により成膜する。
【0083】
次に、図4Aの(c)に示すように、ウェットエッチングにより金属膜30aを所定形状に加工することで、第一金属層30(シールド電極31及び下部電極32)が形成される。なお、シールド電極31及び下部電極32の製造方法はこれに限定されない。
【0084】
次に、図4Aの(d)に示すように、基板20上及び第一金属層30上に、第一層間絶縁膜40を形成する。第一層間絶縁膜40として、CVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて、膜厚100nmのSiN膜及び膜厚200nmのSiO膜をこの順に成膜する。具体的には、SiN膜を、例えば、シランガス(SiH)、アンモニアガス(NH)及び窒素ガス(N)を導入ガスに用いて、プラズマCVD法によって成膜する。続けて、SiO膜を、シランガス(SiH)及び亜酸化窒素ガス(NO)を導入ガスに用いて、プラズマCVD法によって成膜する。
【0085】
次に、図4Aの(e)に示すように、第一層間絶縁膜40の上方に金属膜50aを形成する。本実施の形態では、In、Ga、及びZnを含む膜厚30nmの酸化物半導体膜をスパッタ法により成膜する。具体的には、スパッタリングターゲットとして、In、Ga、及びZnを含む酸化物半導体(In-Ga-Zn-O)を用いて、真空チャンバー内に不活性ガスとしてアルゴン(Ar)ガスを流入するとともに反応性ガスとして酸素(O)を含むガスを流入し、所定のパワー密度の電圧をターゲット材に印加しスパッタリングすることで酸化物半導体膜を成膜する。
【0086】
次に、図4Aの(f)に示すように、酸化物半導体膜を、フォトリソグラフィ法及びウェットエッチングにより、所定の形状にパターニングする。この時、酸化物半導体膜のキャリア濃度調整などの目的で、適宜酸素を含む雰囲気などでアニール処理を行ってもよい。これにより、透光性を有する金属酸化物層50(半導体層51及び上部電極52)が形成される。
【0087】
図4Aの(e)及び(f)に示す工程は、第一工程の一例である。
【0088】
次に、図4Bの(a)に示すように、金属酸化物層50の上方に絶縁膜60aを形成する。本実施の形態では、第一層間絶縁膜40上及び金属酸化物層50上に、CVD法により、膜厚200nmのSiO膜を成膜する。
【0089】
次に、図4Bの(b)に示すように、絶縁膜60a上に、スパッタ法により、金属膜70aとして、膜厚30nmのTi膜、膜厚400nmのCu膜、及び膜厚50nmのCuMn膜をこの順に成膜する。
【0090】
次に、図4Bの(c)に示すように、フォトリソグラフィ法、第二金属層70を構成するCu膜とCuMn膜のウェットエッチング、及び、第二金属層70を構成するTi膜のドライエッチングにより、第二金属層70を所定の形状にパターニングする。これにより、ゲート電極71が形成される。
【0091】
次に、図4Bの(d)に示すように、絶縁膜60aをパターニングする。本実施の形態では、第二金属層70の上方に形成したレジストをマスクとして絶縁膜60aをドライエッチングによってパターニングする。ドライエッチングにおいては、例えば、CF系ガスを用いることができる。これにより、絶縁膜60aが第二金属層70と同一の形状にパターニングされることで、ゲート絶縁層60を所定の形状にパターニングする。これにより、ゲート絶縁膜61が形成される。
【0092】
次に、図4Cの(a)に示すように、絶縁膜60aをドライエッチングによって除去して金属酸化物層50を露出させることで、露出した領域の金属酸化物層50を、プラズマ雰囲気下に晒すこと(プラズマ処理)により低抵抗化することができる。これにより、上記の低抵抗領域が形成される。なお、金属酸化物層50のうちプラズマ処理されない領域(ゲート絶縁膜61直下の領域)は、低抵抗化されない。また、プラズマ処理には、例えば、Ar、He、H、NO、NHなどのガスが用いられる。
【0093】
次に、図4Cの(b)に示すように、第二金属層70の上方に第二層間絶縁膜80を形成する。本実施の形態では、第二金属層70上、金属酸化物層50上及び第一層間絶縁膜40上に、CVD法により膜厚500nmのSiO膜を成膜する。
【0094】
次に、図4Cの(c)に示すように、上部電極52に配線92を接続するため、及び、半導体層51にソース・ドレイン電極91a及び91bを接続するためのコンタクトホール80hを形成する。本実施の形態では、フォトリソグラフィ法、及び、CF系のガスを用いたドライエッチングにより、第二層間絶縁膜80を貫通するコンタクトホール80hを形成する。
【0095】
次に、図4Cの(d)に示すように、第二層間絶縁膜80の上方に金属膜90aを形成する。本実施の形態では、第二層間絶縁膜80に金属酸化物層50の低抵抗領域まで到達するコンタクトホール80hを形成した後、第二層間絶縁膜80上及びコンタクトホール80hの内部に、スパッタ法により、金属膜として、膜厚30nmのTi膜、膜厚800nmのCu膜、及び、膜厚50nmのCuMn膜をこの順に成膜する。
【0096】
次に、図4Dの(a)に示すように、フォトリソグラフィ法、金属膜90aを構成するCu膜とCuMn膜のウェットエッチング、及び、金属膜90aを構成するTi膜のドライエッチングにより、金属膜90aを所定の形状にパターニングする。これにより、ソース・ドレイン電極91a及び91b、並びに、配線92が形成される。なお、ソース・ドレイン電極91a及び91b、並びに、配線92の露出している部分(上部)の厚みをtとする。
【0097】
図4Cの(d)及び図4Dの(a)に示す工程は、第二工程の一例である。
【0098】
次に、図4Dの(b)に示すように、第二層間絶縁膜80の上方にネガ型の樹脂層100aを形成する。本実施の形態では、第二層間絶縁膜80上にソース・ドレイン電極91a及び91b、並びに、配線92の露出している部分の間を埋めるようにネガ型の樹脂材料を塗布することで、ネガ型の樹脂層100aを形成する。ネガ型の樹脂層100aの厚みは、平坦性を得たい段差に合わせて制御される。本実施の形態では、ネガ型の樹脂層100aの厚みは、ソース・ドレイン電極91a及び91b、並びに、配線92の露出している部分の厚みtとなる。これにより、ソース・ドレイン電極91a及び91b、並びに、配線92の露出している部分により形成される段差を抑制することができる。
【0099】
また、ネガ型の樹脂層100aは、裏面側(基板20側)から裏面露光される。裏面側から光(例えば、紫外線)がネガ型の樹脂層100aに照射される。このとき、第一金属層30及び金属酸化物層50とも透光性を有するので、塗布されたネガ型の樹脂層100aの全域に当該光が照射される。
【0100】
次に、図4Dの(c)に示すように、現像液により未感光部を除去するが、図4Dの(b)で説明したようにネガ型の樹脂層100aの全域が感光部であるので、樹脂が除去されずに残る。これにより、第三層間絶縁膜100が形成される。このように形成された第三層間絶縁膜100は、図19に示す比較例のように、未形成部400bが形成されることで、第二層間絶縁膜80が露出することを抑制することができる。
【0101】
第三層間絶縁膜100の表面は、例えば、第三金属層90の表面と面一に形成される。また、塗布時に樹脂層100aが第三金属層90上に形成されても、裏面露光の光が第三金属層90により遮蔽されるので、現像液により除去することができる。第三層間絶縁膜100は、段差を自己整合的に埋めることができるとも言える。
【0102】
図4Dの(b)及び(c)に示す工程は、第三工程の一例である。
【0103】
次に、図4Eの(a)に示すように、第三層間絶縁膜100の上方に第四層間絶縁膜110を形成し、第四層間絶縁膜110に、ソース・ドレイン電極91bに第四金属層120を接続するためのコンタクトホール110hを形成する。本実施の形態では、第四層間絶縁膜110として感光性を有するポリイミド樹脂を用い、フォトリソグラフィ法によりパターニングすることで、第四層間絶縁膜110を貫通するコンタクトホール110hを形成する。第四層間絶縁膜110は、ポジ型の平坦化膜である。
【0104】
次に、図4Eの(b)に示すように、アノード電極成膜用の金属膜120aを第四層間絶縁膜110上に形成する。金属膜120aは、例えば、スパッタ法を用いて形成される。例えば、第四層間絶縁膜110上及びコンタクトホール110hの内部に、スパッタ法により、金属膜として、膜厚200nmのアルミニウム-ニッケル-銅-ランタン合金を成膜する。さらに、スパッタ法により、金属膜として膜厚10nmのタングステンを成膜する。さらに、アニールすることで、タングステンを熱酸化し、酸化タングステン(WO)を形成する。このようにして、アルミニウム-ニッケル-銅-ランタン合金と酸化タングステン(WO)との積層膜からなるアノード電極成膜用の金属膜120aが形成される。
【0105】
次に、図4Fの(a)に示すように、ドライエッチングによる酸化タングステン(WO)の除去、及びウェットエッチングによるアルミニウム-ニッケル-銅-ランタン合金の除去により金属膜120aを所定形状に加工することで、第四金属層120(例えば、アノード電極)が形成される。
【0106】
次に、図4Fの(b)に示すように、バンク130を第四金属層120(例えば、アノード電極)が形成された基板20上に形成する。バンク130は、例えば、感光性の熱硬化性樹脂を用いてフォトリソグラフィ法でバンク形状にパターニングして、加熱焼成することによって形成される。
【0107】
[1-3.効果]
以上のように、本実施の形態に係る表示パネル10は、画素回路を備える自発光型の表示パネルであって、基板20と、基板20上に設けられ、画素回路を構成する透光性の金属酸化物層50(第一導電膜の一例)と、金属酸化物層50上に設けられ、画素回路を構成する非透光性の第三金属層90(第二導電膜の一例)と、金属酸化物層50上に設けられ、表面を平坦化する第三層間絶縁膜100(絶縁膜の一例)とを備える。そして、金属酸化物層50の少なくとも一部は、表示パネル10の平面視において、第三金属層90と重ならない領域に設けられ、第三層間絶縁膜100は、重ならない領域において平坦である。
【0108】
これにより、第三層間絶縁膜100が重ならない領域において平坦であるので、第三層間絶縁膜100が当該重ならない領域で平坦ではない(例えば、段差がある)場合に比べて第三層間絶縁膜100に形成される段差を抑制することができる。よって、表示パネル10は、自発光型の表示パネルにおいて、画素回路の段差を従来よりも抑制することができる。
【0109】
また、第三層間絶縁膜100は、ネガ型の感光性樹脂膜である。
【0110】
これにより、ネガ型の感光性樹脂膜を用いて、画素回路の段差を従来よりも抑制することができる。
【0111】
また、画素回路は、薄膜トランジスタを有し、金属酸化物層50は、薄膜トランジスタの半導体層51を含む。
【0112】
これにより、半導体層51が透光性を有するので、第三層間絶縁膜100を形成する際の露光時に半導体層51が光を遮蔽しない。よって、半導体層51が透光性を有していない場合に比べて、第三層間絶縁膜100における半導体層51上の領域において段差が発生することを抑制することができる。
【0113】
また、画素回路は、保持容量を有し、保持容量は、下部電極32と、上部電極52と、下部電極32及び上部電極52の間の第一層間絶縁膜40(誘電膜)とを有し、金属酸化物層50は、さらに薄膜トランジスタの下部電極32又は上部電極52を含む。
【0114】
これにより、下部電極32又は上部電極52が透光性を有するので、保持容量を構成する部分において第三層間絶縁膜100に段差が発生することを抑制することができる。
【0115】
また、基板20上に設けられ、画素回路を構成する透光性の第一金属層30(第四導電膜の一例)をさらに備え、画素回路は、半導体層51の下方に設けられるシールド電極31をさらに有し、第一金属層30は、シールド電極31を含む。
【0116】
これにより、シールド電極31が透光性を有するので、第三層間絶縁膜100を形成する際の露光時にシールド電極31が光を遮蔽しない。よって、シールド電極31が透光性を有していない場合に比べて、第三層間絶縁膜100におけるシールド電極31上の領域において段差が発生することを抑制することができる。
【0117】
また、薄膜トランジスタは、トップゲート型の薄膜トランジスタである。
【0118】
これにより、画素回路の上方に配置される発光層に転写される段差を効果的に抑制することができる。
【0119】
また、表示パネル10は、平面視において発光する発光領域12aと、発光領域12aに隣接する非発光領域12bとを有し、第一導電膜は、非発光領域12bにおいて、金属配線と接続される。
【0120】
これにより、コンタクトホールの段差を発光領域12a外に配置することができるので、発光領域12aに段差ができることを抑制することができる。また、金属配線と接続されるので、配線の低抵抗化が可能である。
【0121】
また、第三層間絶縁膜100上に形成される発光層をさらに備え、発光層は、塗布膜である。
【0122】
塗布膜は、平坦性が発光効率に顕著に影響しやすい性質がある。そのため、表示パネル10において発光層が塗布膜である場合、発光効率の低下を効果的に抑制することができる。
【0123】
また、以上のように、本実施の形態に係る表示パネル10の製造方法は、画素回路を備える自発光型の表示パネルの製造方法であって、基板20上に、画素回路を構成する透光性の金属酸化物層50(第一導電膜の一例)を形成する第一工程と、金属酸化物層50上に、画素回路を構成する非透光性の第三金属層90(第二導電膜の一例)を形成する第二工程と、金属酸化物層50上に、表面を平坦化する第三層間絶縁膜100(絶縁膜の一例)を形成する第三工程とを含む。そして金属酸化物層50の少なくとも一部は、表示パネル10の平面視において、第三金属層90と重ならない領域に設けられ、第三層間絶縁膜100は、当該重ならない領域において平坦である。
【0124】
これにより、上記の表示パネル10と同様の効果を奏する。第三層間絶縁膜100に形成される段差が抑制された表示パネル10を作製することができる。
【0125】
また、第三層間絶縁膜100は、ネガ型の感光性樹脂膜であり、第三工程では、第三金属層90上にネガ型の感光性樹脂材料を塗布し、基板20側からネガ型の感光性樹脂材料の膜を露光する。
【0126】
これにより、ネガ型の感光性樹脂膜を用いて、画素回路の段差を従来よりも抑制することができる。
【0127】
(実施の形態1の変形例1)
以下では、本変形例に係る表示パネルについて、図5図6Eを参照しながら説明する。なお、以下では、実施の形態1との相違点を中心に説明し、実施の形態1と同一又は類似の内容については説明を省略又は簡略化する。
【0128】
まずは、本変形例に係る表示パネルの構成について、図5を参照しながら説明する。図5は、本変形例に係る表示パネル10aの構成を示す断面図である。
【0129】
図5に示すように、表示パネル10aは、基板20と、第一層間絶縁膜40と、金属酸化物層50と、ゲート絶縁層60と、第二金属層70と、第二層間絶縁膜80と、第三金属層90と、第三層間絶縁膜101と、第四層間絶縁膜110と、第四金属層120と、バンク130とを備える。表示パネル10aは、主に、第一金属層30を備えておらず、かつ、金属酸化物層50と、ゲート絶縁層60と、第二金属層70とにより、画素回路の保持容量が形成される点において、実施の形態1に係る表示パネル10と相違する。
【0130】
本変形例では、基板20と、第一層間絶縁膜40と、金属酸化物層50と、ゲート絶縁層60と、第二層間絶縁膜80と、第三層間絶縁膜101と、第四層間絶縁膜110と、バンク130とは透光性を有する。また、第二金属層70と、第三金属層90と、第四金属層120とは透光性を有していない。金属酸化物層50は、第一層間絶縁膜40の上方に配置される透光性を有する半導体膜である。本変形例では、金属酸化物層50は、酸化物半導体を含む。
【0131】
金属酸化物層50は、半導体層51と、下部電極52bとを有する。下部電極52bは、画素回路の保持容量を形成するための電極である。また、下部電極52bと第一層間絶縁膜40との間に、下部電極52bを低抵抗化させるための促進層52aが配置される。促進層52aは、透光性を有する層である。促進層52aは、薄膜の金属膜であり、例えば、アルミニウムを含んで構成されてもよい。促進層52aが金属膜である場合、厚みは、促進層52aが透光性を有する程度の厚みであり、例えば、10nm以下である。また、促進層52aは、金属膜であることに限定されず、水素を含む窒化シリコン薄膜(SiN:H)であってもよい。
【0132】
ゲート絶縁層60は、半導体層51の上方に、並びに、促進層52a及び下部電極52bを覆うように配置される。ゲート絶縁層60は、第二金属層70と同一の形状にパターニングされるゲート絶縁膜61と、促進層52a及び下部電極52bを覆うようにパターニングされる容量絶縁膜62とを有する。
【0133】
第二金属層70は、ゲート絶縁層60の上方に配置される導電膜である。第二金属層70は、ゲート電極71と、上部電極72とを有する。上部電極72は、容量絶縁膜62を介して下部電極52bと対向するように配置される。例えば、上部電極72は、平面視において下部電極52bより大きい。また、上部電極72は、下部電極52bより厚い。
【0134】
第二層間絶縁膜80は、第二金属層70の上方に配置される絶縁膜である。第二層間絶縁膜80は、ゲート電極71及び上部電極72を一括して覆う。
【0135】
第三金属層90の配線92は、コンタクトホールを介して上部電極72に接続される。
【0136】
第三層間絶縁膜101は、第二層間絶縁膜80の凹み部分を埋めるように配置される絶縁膜(図5に示す「平坦化膜(ネガ)」)である。本変形例では、第三層間絶縁膜101として、ネガ型の感光性樹脂膜を用いる。本変形例では、第三層間絶縁膜101として、感光性を有するポリイミドを用いる。
【0137】
第三層間絶縁膜101は、表示パネル10の表面を平坦化する。図5の例では、第三層間絶縁膜101は、第二層間絶縁膜80に形成された凹凸を緩和する。第三層間絶縁膜100は、ソース・ドレイン電極91aと凸部80wとの間、ソース・ドレイン電極91bと凸部80wとの間、及び、ソース・ドレイン電極91bと上部電極72上の第二層間絶縁膜80との間に渡って配置され、かつ、第二層間絶縁膜80における他の凹部となっている部分に配置される。平面視において、第二層間絶縁膜80の凹部であって、第三金属層90が配置されていない領域に第三層間絶縁膜101が配置される。第三層間絶縁膜101は、第二層間絶縁膜80の凹部が露出しないように配置されるとも言える。
【0138】
第三層間絶縁膜101は、第三層間絶縁膜101が配置されていない場合に比べて表示パネル10の表面を平坦化できる厚みであればよい。第三層間絶縁膜101は、例えば、ソース・ドレイン電極91a及び91bにより形成された凹凸を緩和する厚み等であってもよい。
【0139】
続いて、上記のように構成される表示パネル10aの製造方法について、図6A図6Eを参照しながら説明する。図6A図6Eは、本変形例に係る表示パネル10aの製造方法を説明するための各断面図である。なお、上記の実施の形態1で説明した工程と同一又は類似の工程については、図示を省略する。また、表示パネル10aは、図6A図6Eの順に製造される。
【0140】
図6Aの(a)に示すように、第一層間絶縁膜40が形成された基板20上に、金属膜52aaを形成する。金属膜52aaは、例えば、アルミニウムを含み、厚みは、例えば、5nmである。金属膜52aaは、例えば、スパッタ法を用いて形成される。
【0141】
次に、図6Aの(b)に示すように、ウェットエッチングにより金属膜52aaを所定形状にパターニングする。これにより、促進層52aが形成される。
【0142】
なお、促進層52aの材料及び製造方法はこれに限定されない。促進層52aは、CVD方を用いて形成された水素を含む窒化シリコン薄膜(SiN:H)により実現されてもよい。例えば、膜厚50nmの水素を含む窒化シリコン薄膜(SiN:H)を、フォトリソグラフィ法及びウェットエッチングにより所定形状にパターニングする。これにより、促進層52aが形成される。
【0143】
次に、図6Aの(c)に示すように、第一層間絶縁膜40及び促進層52aの上方に金属膜50aを形成する。
【0144】
次に、図6Aの(d)に示すように、酸化物半導体膜を、フォトリソグラフィ法及びウェットエッチングにより、所定の形状にパターニングする。これにより、透光性を有する金属酸化物層50(半導体層51及び下部電極52b)が形成される。
【0145】
次に、図6Bの(a)に示すように、第一層間絶縁膜40及び金属酸化物層50の上方に絶縁膜60aを形成する。
【0146】
次に、図6Bの(b)に示すように、絶縁膜60a上に、スパッタ法により、金属膜70aとして、膜厚30nmのTi膜、膜厚400nmのCu膜、及び膜厚50nmのCuMn膜をこの順に成膜する。
【0147】
次に、図6Bの(c)に示すように、フォトリソグラフィ法、第二金属層70を構成するCu膜とCuMn膜のウェットエッチング、及び、第二金属層70を構成するTi膜のドライエッチングにより、第二金属層70を所定の形状にパターニングする。これにより、ゲート電極71及び上部電極72が形成される。
【0148】
次に、図6Bの(d)に示すように、絶縁膜60aをパターニングする。本変形例では、第二金属層70の上方に形成したレジストをマスクとして絶縁膜60aをドライエッチングによってパターニングする。これにより、ゲート絶縁膜61及び容量絶縁膜62が形成される。
【0149】
次に、図6Cの(a)に示すように、絶縁膜60aをドライエッチングによって除去して金属酸化物層50を露出させることで、露出した領域の金属酸化物層50を、プラズマ雰囲気下に晒すこと(プラズマ処理)により低抵抗化することができる。これにより、上記の低抵抗領域が形成される。
【0150】
次に、図6Cの(b)に示すように、第二金属層70の上方に第二層間絶縁膜80を形成する。本変形例では、第二金属層70上、金属酸化物層50上及び第一層間絶縁膜40上に、CVD法により膜厚500nmのSiO膜を成膜する。
【0151】
次に、図6Cの(c)に示すように、上部電極72に配線92を接続するため、及び、半導体層51にソース・ドレイン電極91a及び91bを接続するためのコンタクトホール80hを形成する。
【0152】
次に、図6Cの(d)に示すように、第二層間絶縁膜80の上方に金属膜90aを形成する。本変形例では、第二層間絶縁膜80に金属酸化物層50の低抵抗領域まで到達するコンタクトホール80hを形成した後、第二層間絶縁膜80上及びコンタクトホール80hの内部に、スパッタ法により、金属膜として、膜厚30nmのTi膜、膜厚800nmのCu膜、及び、膜厚50nmのCuMn膜をこの順に成膜する。
【0153】
次に、図6Dの(a)に示すように、フォトリソグラフィ法、金属膜90aを構成するCu膜とCuMn膜のウェットエッチング、及び、金属膜90aを構成するTi膜のドライエッチングにより、金属膜90aを所定の形状にパターニングする。これにより、ソース・ドレイン電極91a及び91b、並びに、配線92が形成される。なお、第二層間絶縁膜80の凹部の表面と凸部の表面との積層方向の距離を厚みt1とする。厚みt1は、第二層間絶縁膜80の段差の高さに相当する。
【0154】
次に、図6Dの(b)に示すように、第二層間絶縁膜80の上方にネガ型の樹脂層101aを形成する。本変形例では、第二層間絶縁膜80の凹部を埋めるように樹脂材料を塗布することで、ネガ型の樹脂層100aを形成する。樹脂層100aの厚みは、平坦性を得たい段差に合わせて制御される。本変形例では、樹脂層100aの厚みは、厚みt1となる。これにより、第二層間絶縁膜80の凹凸により形成される段差を緩和することができる。このとき、ネガ型の樹脂層101aは、ソース・ドレイン電極91a及び91bを覆っている。
【0155】
また、樹脂層100aは、裏面側(基板20側)から裏面露光される。裏面側から光(例えば、紫外線)が樹脂層100aに照射される。このとき、金属酸化物層50は透光性を有するので、樹脂層100aのうち、ソース・ドレイン電極91a及び91bの上方を除く全域に当該光が照射される。
【0156】
次に、図6Dの(c)に示すように、現像液により未感光部を除去するが、図6Dの(b)で説明したように樹脂層100aのうちソース・ドレイン電極91a及び91bの上方を除く全域が感光部であるので、ソース・ドレイン電極91a及び91bの上方を除く樹脂が除去されずに残る。これにより、第三層間絶縁膜101が形成される。このように形成された第三層間絶縁膜100は、図19に示す比較例のように、第三層間絶縁膜に段差ができることで、第二層間絶縁膜80が露出することを抑制することができる。
【0157】
なお、ソース・ドレイン電極91a及び91bの上方には第三層間絶縁膜101が形成されていない未形成部101bが形成されるが、未形成部101bの段差は図6Dの(a)に示す厚みt1より小さいので、表示パネル10aの表面を平坦化することができている。
【0158】
次に、図6Eに示すように、第三層間絶縁膜101の上方に第四層間絶縁膜110を形成し、第四層間絶縁膜110に、ソース・ドレイン電極91a及び91bに第四金属層120を接続するためのコンタクトホール110hを形成する。本変形例では、第四層間絶縁膜110として感光性を有するポリイミド樹脂を用い、フォトリソグラフィ法によりパターニングすることで、第四層間絶縁膜110を貫通するコンタクトホール110hを形成する。第四層間絶縁膜110は、ポジ型の平坦化膜である。
【0159】
このように形成された第四層間絶縁膜110上の凹凸は、比較例1に比べて小さくなるので、表示パネル10aによれば、発光部の断面構造が乱れることによる発光効率の劣化を抑制することができる。
【0160】
(実施の形態1の変形例2)
以下では、本変形例に係る表示パネルについて、図7図8Cを参照しながら説明する。なお、以下では、主に実施の形態1の変形例1との相違点を中心に説明し、実施の形態1の変形例1と同一又は類似の内容については説明を省略又は簡略化する。
【0161】
まずは、本変形例に係る表示パネルの構成について、図7を参照しながら説明する。図7は、本変形例に係る表示パネル10bの構成を示す断面図である。
【0162】
図7に示すように、表示パネル10bは、基板20と、第一層間絶縁膜40と、金属酸化物層50と、ゲート絶縁層60と、第二金属層170と、第二層間絶縁膜80と、第三金属層90と、第三層間絶縁膜102と、第四層間絶縁膜110と、第四金属層120と、バンク130とを備える。表示パネル10bは、主に、第二金属層170が透光性を有する金属酸化物により形成されている点において、実施の形態1の変形例1に係る表示パネル10aと相違する。
【0163】
本変形例では、基板20と、第一層間絶縁膜40と、金属酸化物層50と、ゲート絶縁層60と、第二金属層170と、第二層間絶縁膜80と、第三層間絶縁膜102と、第四層間絶縁膜110と、バンク130とは透光性を有する。また、第三金属層90と、第四金属層120とは透光性を有していない。金属酸化物層50は、第一層間絶縁膜40の上方に配置される透光性を有する半導体膜である。本変形例では、金属酸化物層50は、酸化物半導体を含む。
【0164】
第二金属層170は、ゲート絶縁層60の上方に配置される導電膜である。第二金属層170として、透光性を有する導電膜を用いることができる。本変形例では、第二金属層170として、ITO(酸化インジウムスズ)を用いる。第二金属層170として、例えば、IGZO(InGaZnO)、ITZO(酸化インジウムスズ亜鉛)、ZnO、IZO(酸化インジウム亜鉛)、IGO(酸化インジウムガリウム)、ITO(酸化インジウムスズ)、InO等の透光性を有する金属酸化物を用いてもよい。第二金属層170は、ゲート電極171と、上部電極172とを有する。
【0165】
第二層間絶縁膜80は、第二金属層170の上方に配置される絶縁膜である。第二層間絶縁膜80は、ゲート電極171及び上部電極172を一括して覆う。
【0166】
第三金属層90の配線92は、コンタクトホールを介して上部電極172に接続される。
【0167】
第三層間絶縁膜102は、第二層間絶縁膜80上に配置される。第三層間絶縁膜102は、配線92の上面と面一となるように配置されるが、ソース・ドレイン電極91a及び91bの上面と面一となるように配置されてもよい。第三層間絶縁膜102は、ソース・ドレイン電極91aとソース・ドレイン電極91bとの間、及び、ソース・ドレイン電極91bと配線92との間に渡って配置され、かつ、第二層間絶縁膜80における他の表面を覆うように配置される。第三層間絶縁膜102は、平面視において、第二層間絶縁膜80の表面を覆うように配置される。第三層間絶縁膜102は、第二層間絶縁膜80が露出しないように配置されるとも言える。本変形例では、第三層間絶縁膜102として、ネガ型の感光性樹脂膜(図7に示す「平坦化膜(ネガ)」)を用いる。第三層間絶縁膜102として、例えば、感光性を有するポリイミド、アクリル樹脂などの有機絶縁膜、又は、これらの積層膜を用いてもよい。本変形例では、第三層間絶縁膜102として、感光性を有するポリイミドを用いる。
【0168】
続いて、上記のように構成される表示パネル10bの製造方法について、図8A図8Cを参照しながら説明する。図8A図8Cは、本変形例に係る表示パネル10bの製造方法を説明するための各断面図である。なお、上記の実施の形態1等で説明した工程と同一又は類似の工程については、図示を省略する。例えば、図6Bの(a)の工程の後に、図8Aの(a)の工程が行われる。また、表示パネル10bは、図8A図8Cの順に製造される。
【0169】
図8Aの(a)に示すように、絶縁膜60aの上方に金属膜170aを形成する。本変形例では、膜厚50nmのITO(酸化インジウムスズ)膜をスパッタ法により成膜する。
【0170】
次に、図8Aの(b)に示すように、ITO(酸化インジウムスズ)膜のウェットエッチングにより、第二金属層170を所定の形状にパターニングする。これにより、ゲート電極171及び上部電極172が形成される。
【0171】
次に、図8Aの(c)に示すように、絶縁膜60aをパターニングする。本変形例では、第二金属層170の上方に形成したレジストをマスクとして絶縁膜60aをドライエッチングによってパターニングする。これにより、ゲート絶縁膜61及び容量絶縁膜62が形成される。
【0172】
次に、図8Aの(d)に示すように、絶縁膜60aをドライエッチングによって除去して半導体層51を露出させることで、露出した領域の半導体層51を、プラズマ雰囲気下に晒すこと(プラズマ処理)により低抵抗化することができる。これにより、上記の低抵抗領域が形成される。
【0173】
次に、図8Bの(a)に示すように、第二金属層170の上方に第二層間絶縁膜80を形成する。本変形例では、第二金属層170上、半導体層51上及び第一層間絶縁膜40上に、CVD法により膜厚500nmのSiO膜を成膜する。
【0174】
次に、図8Bの(b)に示すように、上部電極172に配線92を接続するため、並びに、半導体層51にソース・ドレイン電極91a及び91bを接続するためのコンタクトホール80hを形成する。
【0175】
次に、図8Bの(c)に示すように、第二層間絶縁膜80の上方に金属膜90aを形成する。本変形例では、第二層間絶縁膜80に半導体層51の低抵抗領域及び上部電極172まで到達するコンタクトホール80hを形成した後、第二層間絶縁膜80上及びコンタクトホール80hの内部に、スパッタ法により、金属膜として、膜厚30nmのTi膜、膜厚800nmのCu膜、及び、膜厚50nmのCuMn膜をこの順に成膜する。
【0176】
次に、図8Bの(d)に示すように、フォトリソグラフィ法、金属膜90aを構成するCu膜とCuMn膜のウェットエッチング、及び、金属膜90aを構成するTi膜のドライエッチングにより、金属膜90aを所定の形状にパターニングする。これにより、ソース・ドレイン電極91a及び91b、並びに、配線92が形成される。なお、第二層間絶縁膜80の凹部の表面と配線92の表面との積層方向の距離を厚みt2とする。
【0177】
次に、図8Cの(a)に示すように、第二層間絶縁膜80の上方に樹脂層102aを形成する。本変形例では、第二層間絶縁膜80の上方にネガ型の感光性樹脂材料を塗布することで、樹脂層102aを形成する。樹脂層102aの厚みは、平坦性を得たい段差に合わせて制御される。本変形例では、樹脂層102aの厚みは、厚みt2となる。これにより、第三金属層90の凹凸により形成される段差を緩和することができる。このとき、ネガ型の樹脂層102aは、ソース・ドレイン電極91a及び91bを覆っている。
【0178】
また、ネガ型の樹脂層102aは、裏面側(基板20側)から裏面露光される。裏面側から光(例えば、紫外線)が樹脂層102aに照射される。このとき、金属酸化物層50は透光性を有するので、塗布された樹脂層102aのうち、ソース・ドレイン電極91a及び91bの上方を除く全域に当該光が照射される。
【0179】
次に、図8Cの(b)に示すように、現像液により未感光部を除去するが、図8Cの(a)で説明したように樹脂層102aのうちソース・ドレイン電極91a及び91bの上方を除く全域が感光部であるので、ソース・ドレイン電極91a及び91bの上方を除く樹脂が除去されずに残る。これにより、第三層間絶縁膜102が形成される。このように形成された第三層間絶縁膜102は、図19に示す比較例1のように、第三層間絶縁膜400に段差ができる、例えば、第二層間絶縁膜80が露出することを抑制することができる。
【0180】
なお、ソース・ドレイン電極91a及び91bの上方には第三層間絶縁膜102が形成されていない未形成部102bが形成されるが、未形成部102bの段差は図8Bの(d)に示す厚みt2の段差より小さいので、表示パネル10bの表面を平坦化することができている。
【0181】
次に、図8Cの(c)に示すように、第三層間絶縁膜102の上方に第四層間絶縁膜110を形成し、第四層間絶縁膜110に、ソース・ドレイン電極91bに第四金属層120を接続するためのコンタクトホール110hを形成する。本変形例では、第四層間絶縁膜110として感光性を有するポリイミド樹脂を用い、フォトリソグラフィ法によりパターニングすることで、第四層間絶縁膜110を貫通するコンタクトホール110hを形成する。第四層間絶縁膜110は、ポジ型の平坦化膜である。
【0182】
このように形成された第四層間絶縁膜110上の凹凸は、比較例1に比べて小さくなるので、表示パネル10bによれば、発光部の断面構造が乱れることによる発光効率の劣化を抑制することができる。
【0183】
以上のように、本変形例に係る表示パネル10bは、基板20上に設けられ、画素回路を構成する透光性の第二金属層170(第三導電膜の一例)をさらに備え、薄膜トランジスタは、ゲート電極171を有し、第二金属層170は、ゲート電極171、及び、上部電極172を含む。
【0184】
これにより、第二金属層170が透光性を有するので、第三層間絶縁膜102を形成する際の露光時に第二金属層170が光を遮蔽しない。よって、第二金属層170が透光性を有していない場合に比べて、第三層間絶縁膜102における第二金属層170上の領域において段差が発生することを抑制することができる。
【0185】
(実施の形態1の変形例3)
以下では、本変形例に係る表示パネルについて、図9図10Cを参照しながら説明する。なお、以下では、主に実施の形態1との相違点を中心に説明し、実施の形態1と同一又は類似の内容については説明を省略又は簡略化する。
【0186】
まずは、本変形例に係る表示パネルの構成について、図9を参照しながら説明する。図9は、本変形例に係る表示パネル10cの構成を示す断面図である。
【0187】
図9に示すように、表示パネル10cは、基板20と、第一金属層30と、第一層間絶縁膜40と、金属酸化物層50と、ゲート絶縁層60と、第二金属層70と、第二層間絶縁膜80と、第五層間絶縁膜140と、第三金属層90と、第三層間絶縁膜103と、第四層間絶縁膜110と、第四金属層120と、バンク130とを備える。表示パネル10cは、主に、第二層間絶縁膜80と第三層間絶縁膜103との間に、第五層間絶縁膜140を備える点において、実施の形態1に係る表示パネル10と相違する。
【0188】
本変形例では、基板20と、第一金属層30と、第一層間絶縁膜40と、金属酸化物層50と、ゲート絶縁層60と、第二層間絶縁膜80と、第五層間絶縁膜140と、第三層間絶縁膜103と、第四層間絶縁膜110と、バンク130とは透光性を有する。また、第二金属層70と、第三金属層90と、第四金属層120とは透光性を有していない。金属酸化物層50は、第一層間絶縁膜40の上方に配置される透光性を有する半導体膜である。本変形例では、金属酸化物層50は、酸化物半導体を含む。
【0189】
第五層間絶縁膜140は、第二層間絶縁膜80の上方に配置される絶縁膜(図9に示す「平坦化膜(ポジ)」)である。本変形例では、第五層間絶縁膜140として、ポジ型の感光性樹脂膜を用いる。本変形例では、第五層間絶縁膜140として、感光性を有するポリイミド樹脂を用いる。第五層間絶縁膜140として、例えば、感光性を有するポリイミド、アクリル樹脂などの有機絶縁膜、又は、これらの積層膜を用いてもよい。
【0190】
第三層間絶縁膜103は、第五層間絶縁膜140上に配置される。第三層間絶縁膜103は、第三金属層90の上面と面一となるように配置される。第三層間絶縁膜103は、ソース・ドレイン電極91a及び91bの間のうちゲート電極71の上方以外の部分に配置される。例えば、第三層間絶縁膜103は、ソース・ドレイン電極91bと配線92との間に渡って配置され、かつ、第五層間絶縁膜140における他の表面を覆うように配置される。第三層間絶縁膜103は、平面視において、ゲート電極71の上方の領域を除く第二層間絶縁膜80の表面を覆うように配置される。第三層間絶縁膜103は、ゲート電極71の上方の領域を除く第二層間絶縁膜80が露出しないように配置されるとも言える。本変形例では、第三層間絶縁膜103として、ネガ型の感光性樹脂膜(図9に示す「平坦化膜(ネガ)」)を用いる。第三層間絶縁膜103として、例えば、感光性を有するポリイミド、アクリル樹脂などの有機絶縁膜、又は、これらの積層膜を用いてもよい。本変形例では、第三層間絶縁膜103として、感光性を有するポリイミドを用いる。
【0191】
ソース・ドレイン電極91a及び91bは、第二層間絶縁膜80及び第五層間絶縁膜140を貫通して形成されたコンタクトホールを介して半導体層51(例えば、半導体層51の低抵抗領域)に接続される。配線92は、第二層間絶縁膜80及び第五層間絶縁膜140を貫通して形成されたコンタクトホールを介して上部電極52に接続される。
【0192】
続いて、上記のように構成される表示パネル10cの製造方法について、図10A図10Cを参照しながら説明する。図10A図10Cは、本変形例に係る表示パネル10cの製造方法を説明するための断面図である。なお、上記の実施の形態1等で説明した工程と同一又は類似の工程については、図示を省略する。例えば、図4Cの(b)の工程の後に、図10Aの(a)の工程が行われる。
【0193】
図10Aの(a)に示すように、第二層間絶縁膜80の上方に、コンタクトホール140hを有する第五層間絶縁膜140を形成する。本実施の形態では、感光性を有するポリイミド樹脂を用い、フォトリソグラフィ法によりパターニングすることで、第五層間絶縁膜140を貫通するコンタクトホール140hを形成する。第五層間絶縁膜140は、ポジ型の平坦化膜である。
【0194】
次に、図10Aの(b)に示すように、第二層間絶縁膜80に、上部電極72に配線92を接続するため、及び、半導体層51にソース・ドレイン電極91a及び91bを接続するためのコンタクトホール80hを形成する。本変形例では、フォトリソグラフィ法、及び、CF系のガスを用いたドライエッチングにより、第二層間絶縁膜80を貫通するコンタクトホール80hを形成する。コンタクトホール80hは、コンタクトホール140hと連通する。
【0195】
次に、図10Aの(c)に示すように、第五層間絶縁膜140の上方に金属膜90aを形成する。本変形例では、第二層間絶縁膜80にコンタクトホール80hを形成した後、第五層間絶縁膜140上並びにコンタクトホール80h及び140hの内部に、スパッタ法により、金属膜として、膜厚30nmのTi膜、膜厚800nmのCu膜、及び、膜厚50nmのCuMn膜をこの順に成膜する。
【0196】
次に、図10Bの(a)に示すように、フォトリソグラフィ法、金属膜90aを構成するCu膜とCuMn膜のウェットエッチング、及び、金属膜90aを構成するTi膜のドライエッチングにより、金属膜90aを所定の形状にパターニングする。これにより、ソース・ドレイン電極91a及び91b、並びに、配線92が形成される。なお、ソース・ドレイン電極91a及び91b、並びに、配線92の露出している部分の厚みをt3とする。
【0197】
次に、図10Bの(b)に示すように、第五層間絶縁膜140の上方にネガ型の樹脂層103aを形成する。本変形例では、第五層間絶縁膜140上にソース・ドレイン電極91a及び91b、並びに、配線92の露出している部分の間を埋めるようにネガ型の感光性樹脂材料を塗布することで、ネガ型の樹脂層103aを形成する。樹脂層103aの厚みは、平坦性を得たい段差に合わせて制御される。本変形例では、樹脂層103aの厚みは、ソース・ドレイン電極91a及び91b、並びに、配線92の露出している部分の厚みt3となる。これにより、ソース・ドレイン電極91a及び91b、並びに、配線92の露出している部分により形成される段差を抑制することができる。
【0198】
また、樹脂層103aは、裏面側(基板20側)から裏面露光される。裏面側から光(例えば、紫外線)がネガ型の樹脂層103aに照射される。このとき、第一金属層30及び金属酸化物層50が透光性を有するので、塗布された樹脂層103aのうちゲート電極71の上方以外の全域に当該光が照射される。
【0199】
次に、図10Cの(a)に示すように、現像液により未感光部を除去するが、図10Bの(b)で説明したように樹脂層103aのうちゲート電極71の上方を除く全域が感光部であるので、ゲート電極71の上方を除く樹脂が除去されずに残る。これにより、第三層間絶縁膜103が形成される。このように形成された第三層間絶縁膜103は、図19に示す比較例1のように、第三層間絶縁膜に段差ができる、例えば、第五層間絶縁膜140が露出することを抑制することができる。
【0200】
なお、第五層間絶縁膜140の上方には第三層間絶縁膜103が形成されていない未形成部103bが形成されるが、比較例1に比べて未形成部の数を少なくできているので、表示パネル10cの表面を平坦化することができている。
【0201】
次に、図10Cの(b)に示すように、第三層間絶縁膜103の上方に第四層間絶縁膜110を形成し、第四層間絶縁膜110に、ソース・ドレイン電極91bに第四金属層120を接続するためのコンタクトホール110hを形成する。
【0202】
このように形成された表示パネル10cは、第三金属層90により段差が形成される場合に、当該段差を第三層間絶縁膜103で緩和することができる。つまり、表示パネル10cは、第三金属層90により形成される段差が発光部に影響を及ぼすことを抑制することができる。よって、表示パネル10cは、画素回路の段差を従来よりも低減することができる。
【0203】
以上のように、本変形例に係る表示パネル10cは、金属酸化物層50(第一導電膜の一例)と、第三層間絶縁膜103(絶縁膜の一例)との間に、第五層間絶縁膜140(ポジ型の平坦化膜の一例)を備え、画素回路は、半導体層51に接続されたソース・ドレイン電極91a及び91bを有し、ソース・ドレイン電極91a及び91bの一部は、第五層間絶縁膜140の上方に位置する。
【0204】
これにより、第五層間絶縁膜140の上方においてソース・ドレイン電極91a及び91bの一部により形成される段差を、第三層間絶縁膜103により抑制することができる。
【0205】
(実施の形態2)
以下では、本実施の形態に係る表示パネルについて、図11図12Dを参照しながら説明する。なお、以下では、主に実施の形態1との相違点を中心に説明し、実施の形態1と同一又は類似の内容については説明を省略又は簡略化する。
【0206】
[2-1.表示パネルの構成]
まずは、本実施の形態に係る表示パネルの構成について、図11を参照しながら説明する。図11は、本実施の形態に係る表示パネル210の構成を示す断面図である。
【0207】
図11に示すように、表示パネル210は、基板20と、第一金属層30と、第一層間絶縁膜40と、金属酸化物層50と、ゲート絶縁層60と、第二金属層70と、第二層間絶縁膜80と、第六層間絶縁膜300と、第三金属層90と、第四層間絶縁膜110と、第四金属層120と、バンク130とを備える。表示パネル210は、主に、ネガ型の感光性樹脂層を備えておらず、かつ、第二層間絶縁膜80と第四層間絶縁膜110との間に、第六層間絶縁膜300を備える点において、実施の形態1に係る表示パネル10と相違する。
【0208】
本実施の形態では、基板20と、第一金属層30と、第一層間絶縁膜40と、金属酸化物層50と、ゲート絶縁層60と、第二層間絶縁膜80と、第六層間絶縁膜300と、第四層間絶縁膜110と、バンク130とは透光性を有する。また、第二金属層70と、第三金属層90と、第四金属層120とは透光性を有していない。金属酸化物層50は、第一層間絶縁膜40の上方に配置される透光性を有する半導体膜である。本変形例では、金属酸化物層50は、酸化物半導体を含む。
【0209】
第六層間絶縁膜300は、酸化シリコン(SiO)膜、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al)膜、又はこれらの中から選ばれる絶縁膜の積層膜により構成される無機材料を含む絶縁膜(図11に示す「無機絶縁膜」)である。第六層間絶縁膜300は、表示パネル210の表面を平坦化するための層であり、図11の例では、第三金属層90による段差を緩和するために設けられている。
【0210】
第六層間絶縁膜300は、ゲート電極71の上方に凸部を有する。第六層間絶縁膜300の凸部の厚み(段差)は、第二層間絶縁膜80におけるゲート電極71の上方の凸部の厚み(段差)より小さい。また、第六層間絶縁膜300の凸部の厚み(段差)は、第三金属層90における第二層間絶縁膜80より上方に位置する部分(上部)の厚み(段差)より小さい。第六層間絶縁膜300は、絶縁膜の一例である。
【0211】
[2-2.表示パネルの製造方法]
続いて、上記のように構成される表示パネル210の製造方法について、図12A図12Dを参照しながら説明する。図12A図12Dは、本実施の形態に係る表示パネル210の製造方法を説明するための各断面図である。なお、上記の実施の形態1等で説明した工程と同一又は類似の工程については、図示を省略する。例えば、図4Dの(a)の工程の後に、図12Aの(a)の工程が行われる。
【0212】
図12Aの(a)に示すように、第二層間絶縁膜80の上方に無機層300aを形成する。無機層300aの表面の段差は、無機層300aより下層の凹凸に応じた段差となる。本実施の形態では、第二層間絶縁膜80上に、無機層300aが形成される前の表面段差の最大値である厚みt4より厚く無機材料を含む絶縁膜を成膜することで、無機層300aを形成する。つまり、第二層間絶縁膜80及び第三金属層90は、露出していない。なお、無機層300aは、例えば、第三金属層90上及び第二層間絶縁膜80上に、CVD法により成膜される。
【0213】
次に、図12Aの(b)に示すように、無機層300aの上方にネガ型のレジスト層310aを塗布することで形成する。
【0214】
また、ネガ型のレジスト層310aは、裏面側(基板20側)から裏面露光される。裏面側から光(例えば、紫外線)がレジスト層310aに照射される。第三金属層90及びゲート電極71は透光性を有していないので、塗布されたレジスト層310aのうち第三金属層90及びゲート電極71の上方を除く全域に当該光が照射される。
【0215】
図12Aの(b)に示す工程は、第四工程及び第五工程の一例である。
【0216】
次に、図12Bの(a)に示すように、現像液により未感光部を除去するが、図12Aの(b)で説明したようにレジスト層310aのうち第三金属層90及びゲート電極71の上方を除く全域が感光部であるので、第三金属層90及びゲート電極71の上方を除く樹脂が除去されずに残る。これにより、レジスト層310が形成される。このように形成されたレジスト層310には、レジスト層310aが除去されて無機層300aが露出する未形成部310b(貫通孔)が形成される。レジスト層310は、無機層300aをドライエッチングする際のマスクとして用いられる。未形成部310bは、レジスト層310aが除去された部分であり、無機層300aの凸部のみを露出させる。
【0217】
図12Bの(a)に示す工程は、第六工程の一例である。
【0218】
次に、図12Bの(b)に示すように、レジスト層310をマスクに用いたドライエッチングにより、無機層300aを一部除去することで表面の凹凸が抑制された第六層間絶縁膜300が形成される。ドライエッチング量は、平坦性を得たい段差に合わせて制御される。本実施の形態では、第三金属層90により段差を抑制するので、第三金属層90の上部の厚みt5だけ無機層300aをエッチングする。
【0219】
図12Bの(b)に示す工程は、第七工程の一例である。
【0220】
次に、図12Cの(a)に示すように、レジスト層310を剥離する。これにより形成される第六層間絶縁膜300の表面の凹凸は、例えば、図12Aの(a)に示す無機層300aの表面の凹凸より小さくなる。
【0221】
図12Cの(a)に示す工程は、第八工程の一例である。
【0222】
次に、図12Cの(b)に示すように、第六層間絶縁膜300の上方に、コンタクトホール110hを有する第四層間絶縁膜110を形成する。本実施の形態では、感光性を有するポリイミド樹脂をフォトリソグラフィ法によりパターニングし、第四層間絶縁膜110を貫通するコンタクトホール110hを形成する。これにより、第四層間絶縁膜110の表面の段差は、図12Aの(a)の状態の無機層300aの上方に第四層間絶縁膜110を形成した場合の当該第四層間絶縁膜110の表面の段差より小さくなる。第四層間絶縁膜110は、ポジ型の平坦化膜である。
【0223】
次に、図12Dに示すように、第六層間絶縁膜300に、ソース・ドレイン電極91bに第四金属層120を接続するためのコンタクトホール300hを形成する。本実施の形態では、フォトリソグラフィ法、及び、CF系のガスを用いたドライエッチングにより、第六層間絶縁膜300を貫通するコンタクトホール300hを形成する。コンタクトホール300hは、コンタクトホール110hと連通する。
【0224】
このように、レジスト層310を用いて、第六層間絶縁膜300の表面の凹凸を抑制することができるので、第六層間絶縁膜300より下層により形成される段差(例えば、第三金属層90による段差)が発光部に影響を及ぼすことを抑制することができる。よって、表示パネル210は、画素回路の段差を従来よりも低減することができる。
【0225】
以上のように、本実施の形態に係る表示パネル210の第六層間絶縁膜300(絶縁膜の一例)は、無機絶縁膜である。
【0226】
これにより、無機絶縁膜を用いて、画素回路の段差を従来よりも抑制することができる。
【0227】
また、以上のように、本実施の形態に係る表示パネル210の製造方法において、第六層間絶縁膜300は、無機絶縁膜であり、当該製造方法は、さらに第六層間絶縁膜300上にネガ型のレジスト材料を塗布する第四工程と、基板20側からネガ型のレジスト材料からなるレジスト層310aを露光する第五工程と、露光されたネガ型の感光性樹脂材料の膜を現像する第六工程と、現像されたネガ型のレジスト層310をマスクとして第六層間絶縁膜300をドライエッチングする第七工程と、現像されたネガ型の感光性樹脂材料の膜を剥離する第八工程とを含む。
【0228】
これにより、金属酸化物層50(第一導電膜の一例)が透光性を有するので、基板20側からネガ型のレジスト材料の膜を裏面露光する際に金属酸化物層50が光を遮蔽しない。これにより形成されるレジスト層310を用いることで、金属酸化物層50上の領域において第六層間絶縁膜300の所望の領域のみをエッチングすることができるので、第六層間絶縁膜300における金属酸化物層50上の領域において段差が発生することを抑制することができる。
【0229】
(実施の形態2の変形例1)
以下では、本変形例に係る表示パネルについて、図13図14Cを参照しながら説明する。なお、以下では、主に実施の形態1の変形例1との相違点を中心に説明し、実施の形態1の変形例1と同一又は類似の内容については説明を省略又は簡略化する。
【0230】
まずは、本変形例に係る表示パネルの構成について、図13を参照しながら説明する。図13は、本変形例に係る表示パネル210aの構成を示す断面図である。
【0231】
図13に示すように、表示パネル210aは、基板20と、第一層間絶縁膜40と、金属酸化物層50と、ゲート絶縁層60と、第二金属層70と、第二層間絶縁膜80と、第三金属層90と、第六層間絶縁膜301と、第四層間絶縁膜110と、第四金属層120と、バンク130とを備える。表示パネル210aは、主に、ネガ型の感光性樹脂層を備えておらず、第二層間絶縁膜80と第四層間絶縁膜110との間に、第六層間絶縁膜301を備える点において、実施の形態1の変形例1に係る表示パネル10aと相違する。
【0232】
本変形例では、基板20と、第一層間絶縁膜40と、金属酸化物層50と、ゲート絶縁層60と、第二層間絶縁膜80と、第六層間絶縁膜301と、第四層間絶縁膜110と、バンク130とは透光性を有する。また、第二金属層70と、第三金属層90と、第四金属層120とは透光性を有していない。金属酸化物層50は、第一層間絶縁膜40の上方に配置される透光性を有する半導体膜である。本変形例では、金属酸化物層50は、酸化物半導体を含む。
【0233】
第六層間絶縁膜301は、酸化シリコン(SiO)膜、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al)膜、又はこれらの中から選ばれる絶縁膜の積層膜により構成される無機材料を含む絶縁膜(図13に示す「無機絶縁膜」)である。第六層間絶縁膜301は、表示パネル210aの表面を平坦化するための層であり、図13の例では、第三金属層90による段差を緩和するために設けられている。
【0234】
続いて、上記のように構成される表示パネル210aの製造方法について、図14A図14Cを参照しながら説明する。図14A図14Cは、本変形例に係る表示パネル210aの製造方法を説明するための各断面図である。なお、上記の実施の形態1等で説明した工程と同一又は類似の工程については、図示を省略する。例えば、図6Dの(a)の工程の後に、図14Aの(a)の工程が行われる。また、表示パネル210は、図14A図14Cの順に製造される。
【0235】
図14Aの(a)に示すように、第二層間絶縁膜80の上方に無機層301aを形成する。無機層301aの表面の凹凸は、無機層301aより下層の凹凸を反映した形状となる。
【0236】
次に、図14Aの(b)に示すように、無機層301aの上方にネガ型のレジスト層310aを塗布することで形成する。
【0237】
また、レジスト層310aは、裏面側(基板20側)から裏面露光される。裏面側から光(例えば、紫外線)がレジスト層310aに照射される。第二金属層70及び第三金属層90は透光性を有していないので、塗布されたレジスト層310aのうち第二金属層70及び第三金属層90の上方を除く全域に当該光が照射される。
【0238】
次に、図14Bの(a)に示すように、現像液により未感光部を除去するが、図14Aの(b)で説明したようにレジスト層310aのうち第三金属層90及びゲート電極71の上方を除く全域が感光部であるので、第三金属層90及びゲート電極71の上方を除く樹脂が除去されずに残る。これにより、レジスト層310が形成される。このように形成されたレジスト層310には、レジスト層310aが除去されて無機層301aが露出する未形成部310b(貫通孔)が形成される。レジスト層310は、無機層301aをドライエッチングする際のマスクとして用いられる。
【0239】
次に、図14Bの(b)に示すように、レジスト層310をマスクに用いたドライエッチングにより、無機層301aを一部除去することで表面の凹凸が抑制された第六層間絶縁膜301が形成される。ドライエッチング量は、平坦性を得たい段差に合わせて制御される。本変形例では、第三金属層90の上部の厚みt5だけ無機層301aをエッチングする。
【0240】
次に、図14Cに示すように、レジスト層310を剥離する。これにより形成される第六層間絶縁膜301の表面の凹凸は、例えば、図14Aの(a)に示す無機層301aの表面の凹凸より小さくなる。
【0241】
このように、ネガ型のレジスト層310を用いて、第六層間絶縁膜301の表面の凹凸を低減することができるので、第六層間絶縁膜301より下層により形成される段差(例えば、第三金属層90による段差)が発光部に影響を及ぼすことを抑制することができる。よって、表示パネル210aは、画素回路の段差を従来よりも低減することができる。
【0242】
(実施の形態2の変形例2)
以下では、本変形例に係る表示パネルについて、図15図16Cを参照しながら説明する。なお、以下では、主に実施の形態1の変形例2との相違点を中心に説明し、実施の形態1の変形例2と同一又は類似の内容については説明を省略又は簡略化する。
【0243】
まずは、本変形例に係る表示パネルの構成について、図15を参照しながら説明する。図15は、本変形例に係る表示パネル210bの構成を示す断面図である。
【0244】
図15に示すように、表示パネル210bは、基板20と、第一層間絶縁膜40と、金属酸化物層50と、ゲート絶縁層60と、第二金属層170と、第二層間絶縁膜80と、第三金属層90と、第六層間絶縁膜302と、第四層間絶縁膜110と、第四金属層120と、バンク130とを備える。表示パネル210bは、主に、ネガ型の感光性樹脂層を備えておらず、第二層間絶縁膜80と第四層間絶縁膜110との間に、第六層間絶縁膜302を備える点において、実施の形態1の変形例2に係る表示パネル10bと相違する。
【0245】
本変形例では、基板20と、第一層間絶縁膜40と、金属酸化物層50と、ゲート絶縁層60と、第二金属層170と、第二層間絶縁膜80と、第六層間絶縁膜302と、第四層間絶縁膜110と、バンク130とは透光性を有する。また、第三金属層90と、第四金属層120とは透光性を有していない。金属酸化物層50は、第一層間絶縁膜40の上方に配置される透光性を有する半導体膜である。本変形例では、金属酸化物層50は、酸化物半導体を含む。
【0246】
第六層間絶縁膜302は、酸化シリコン(SiO)膜、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al)膜、又はこれらの中から選ばれる絶縁膜の積層膜により構成される無機材料を含む絶縁膜(図15に示す「無機絶縁膜」)である。第六層間絶縁膜302は、表示パネル210bの表面を平坦化するための層であり、図15の例では、第三金属層90による段差を緩和するために設けられている。
【0247】
続いて、上記のように構成される表示パネル210bの製造方法について、図16A図16Cを参照しながら説明する。図16A図16Cは、本変形例に係る表示パネル210bの製造方法を説明するための断面図である。なお、上記の実施の形態1等で説明した工程と同一又は類似の工程については、図示を省略する。例えば、図8Bの(d)の工程の後に、図16Aの(a)の工程が行われる。
【0248】
図16Aの(a)に示すように、第二層間絶縁膜80の上方に無機層302aを形成する。無機層302aの表面の凹凸は、無機層302aより下層の凹凸を反映した形状となる。
【0249】
次に、図16Aの(b)に示すように、無機層302aの上方にネガ型のレジスト層310aを塗布することで形成する。
【0250】
また、レジスト層310aは、裏面側(基板20側)から裏面露光される。裏面側から光(例えば、紫外線)がレジスト層310aに照射される。第三金属層90は透光性を有していないので、塗布されたレジスト層310aのうち第三金属層90の上方を除く全域に当該光が照射される。
【0251】
次に、図16Bの(a)に示すように、現像液により未感光部を除去するが、図16Aの(b)で説明したようにネガ型のレジスト層310aのうち第三金属層90の上方を除く全域が感光部であるので、第三金属層90の上方を除く樹脂が除去されずに残る。これにより、レジスト層310が形成される。このように形成されたレジスト層310には、レジスト層310aが除去されて無機層302aが露出する未形成部310b(貫通孔)が形成される。レジスト層310は、第三金属層90により形成された無機層302aの凸部のみを露出させることができる。レジスト層310は、無機層302aをドライエッチングする際のマスクとして用いられる。
【0252】
次に、図16Bの(b)に示すように、レジスト層310をマスクに用いたドライエッチングにより、無機層302aを一部除去することで表面の凹凸が抑制された第六層間絶縁膜302が形成される。ドライエッチング量は、平坦性を得たい段差に合わせて制御される。本変形例では、第三金属層90の上部の厚みだけ無機層302aをエッチングする。
【0253】
次に、図16Cに示すように、レジスト層310を剥離する。これにより形成される第六層間絶縁膜302の表面の凹凸は、例えば、図16Aの(a)に示す無機層302aの表面の凹凸より小さくなる。
【0254】
このように、ネガ型のレジスト層310を用いて、第六層間絶縁膜302の表面の凹凸を低減することができるので、第六層間絶縁膜302より下層により形成される段差(例えば、第三金属層90による段差)が発光部に影響を及ぼすことを抑制することができる。よって、表示パネル210bは、画素回路の段差を従来よりも低減することができる。
【0255】
(実施の形態2の変形例3)
以下では、本変形例に係る表示パネルについて、図17図18Cを参照しながら説明する。なお、以下では、主に実施の形態1の変形例3との相違点を中心に説明し、実施の形態1の変形例3と同一又は類似の内容については説明を省略又は簡略化する。
【0256】
まずは、本変形例に係る表示パネルの構成について、図17を参照しながら説明する。図17は、本変形例に係る表示パネル210cの構成を示す断面図である。
【0257】
図17に示すように、表示パネル210cは、基板20と、第一金属層30と、第一層間絶縁膜40と、金属酸化物層50と、ゲート絶縁層60と、第二金属層70と、第二層間絶縁膜80と、第五層間絶縁膜140と、第三金属層90と、第六層間絶縁膜303と、第四層間絶縁膜110と、第四金属層120と、バンク130とを備える。表示パネル210cは、主に、ネガ型の感光性樹脂層を備えておらず、第五層間絶縁膜140と第四層間絶縁膜110との間に、第六層間絶縁膜303を備える点において、実施の形態1の変形例3に係る表示パネル10cと相違する。
【0258】
本変形例では、基板20と、第一金属層30と、第一層間絶縁膜40と、金属酸化物層50と、ゲート絶縁層60と、第二層間絶縁膜80と、第五層間絶縁膜140と、第六層間絶縁膜303と、第四層間絶縁膜110と、バンク130とは透光性を有する。また、第二金属層70と、第三金属層90と、第四金属層120とは透光性を有していない。金属酸化物層50は、第一層間絶縁膜40の上方に配置される透光性を有する半導体膜である。本変形例では、金属酸化物層50は、酸化物半導体を含む。
【0259】
第六層間絶縁膜303は、酸化シリコン(SiO)膜、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al)膜、又はこれらの中から選ばれる絶縁膜の積層膜により構成される無機材料を含む絶縁膜(図17に示す「無機絶縁膜」)である。第六層間絶縁膜303は、表示パネル210cの表面を平坦化するための層であり、図17の例では、第三金属層90による段差を緩和するために設けられている。
【0260】
続いて、上記のように構成される表示パネル210cの製造方法について、図18A図18Cを参照しながら説明する。図18A図18Cは、本変形例に係る表示パネル210cの製造方法を説明するための各断面図である。なお、上記の実施の形態1等で説明した工程と同一又は類似の工程については、図示を省略する。例えば、図10Bの(a)の工程の後に、図18Aの(a)の工程が行われる。
【0261】
図18Aの(a)に示すように、第五層間絶縁膜140の上方に無機層303aを形成する。具体的には、第五層間絶縁膜140及び第三金属層90を覆うように無機材料を含む絶縁膜を成膜することで、無機層303aを形成する。無機層303aの厚みは、平坦性を得たい段差に合わせて制御される。本変形例では、無機層303aの厚みは、ソース・ドレイン電極91a及び91b、並びに、配線92の上部(無機層303aが形成されてない状態で露出している部分)の厚みより厚い。無機層303aの表面の凹凸は、第三金属層90の凹凸を反映した形状となる。なお、無機層303aは、例えば、第五層間絶縁膜140及び第三金属層90上に、CVD法により成膜される。
【0262】
次に、図18Aの(b)に示すように、無機層303aの上方にネガ型のレジスト層310aを塗布することで形成する。
【0263】
また、レジスト層310aは、裏面側(基板20側)から裏面露光される。裏面側から光(例えば、紫外線)がレジスト層310aに照射される。第三金属層90及びゲート電極71は透光性を有していないので、塗布されたレジスト層310aのうち第三金属層90及びゲート電極71の上方を除く全域に当該光が照射される。
【0264】
次に、図18Bの(a)に示すように、現像液により未感光部を除去するが、図18Aの(b)で説明したようにレジスト層310aのうち第三金属層90及びゲート電極71の上方を除く全域が感光部であるので、第三金属層90及びゲート電極71の上方を除く樹脂が除去されずに残る。これにより、レジスト層310が形成される。このように形成されたレジスト層310には、レジスト層310aが除去されて無機層303aが露出する未形成部310b(貫通孔)が形成される。レジスト層310は、無機層303aをドライエッチングする際のマスクとして用いられる。レジスト層310は、第三金属層90により形成された無機層303aの凸部のみを露出させることができる。
【0265】
次に、図18Bの(b)に示すように、レジスト層310をマスクに用いたドライエッチングにより、無機層303aを一部除去することで表面の凹凸が抑制された第六層間絶縁膜303が形成される。ドライエッチング量は、平坦性を得たい段差に合わせて制御される。本変形例では、第三金属層90の上部の厚みだけ無機層303aの凸部をエッチングする。
【0266】
次に、図18Cに示すように、レジスト層310を剥離する。これにより形成される第六層間絶縁膜303の表面の凹凸は、例えば、図18Aの(a)に示す無機層303aの表面の凹凸より小さくなる。
【0267】
なお、第五層間絶縁膜140の上方には第六層間絶縁膜303が形成されていない未形成部303bが形成されるが、図20A及び図20Bに示す比較例2に比べて未形成部の数を少なくできているので、表示パネル210cの表面を平坦化することができている。
【0268】
このように、ネガ型のレジスト層310を用いて、第六層間絶縁膜303の表面の凹凸を低減することができるので、第六層間絶縁膜303より下層により形成される段差(例えば、第三金属層90による段差)が発光部に影響を及ぼすことを抑制することができる。よって、表示パネル210cは、画素回路の段差を従来よりも低減することができる。
【0269】
(その他の実施の形態)
以上、本開示に係る表示パネル10などについて、各実施の形態等に基づいて説明したが、本開示に係る表示パネル10などは、上記各実施の形態等に限定されるものではない。各実施の形態等に対して本開示の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本開示に含まれる。
【0270】
例えば、上記各実施の形態等では、第三金属層90は金属配線であり透光性を有していない例について説明したが、金属酸化物などにより構成され透光性を有していてもよい。また、上記各実施の形態等では、金属酸化物層50は、透光性を有する例について説明したが、透光性を有していなくてもよい。
【0271】
また、上記各実施の形態等では、薄膜トランジスタ領域にトップゲート型の薄膜トランジスタが配置される例について説明したが、ボトムゲート型の薄膜トランジスタが配置されてもよい。
【0272】
また、上記各実施の形態等では、表示パネル10等がトップエミッション型の表示パネルである例について説明したが、ボトムエミッション型の表示パネルであってもよい。
【0273】
(付記)
以上の各実施の形態等の記載により、下記の技術が開示される。
【0274】
(技術1)
画素回路を備える自発光型の表示パネルであって、
基板と、
前記基板上に設けられ、前記画素回路を構成する透光性の第一導電膜と、
前記第一導電膜上に設けられ、前記画素回路を構成する非透光性の第二導電膜と、
前記第一導電膜上に設けられ、表面を平坦化する絶縁膜とを備え、
前記第一導電膜の少なくとも一部は、前記表示パネルの平面視において、前記第二導電膜と重ならない領域に設けられ、
前記絶縁膜は、前記重ならない領域において平坦である
表示パネル。
【0275】
(技術2)
前記絶縁膜は、ネガ型の感光性樹脂膜である
技術1に記載の表示パネル。
【0276】
(技術3)
前記絶縁膜は、無機絶縁膜である
技術1に記載の表示パネル。
【0277】
(技術4)
前記画素回路は、薄膜トランジスタを有し、
前記第一導電膜は、前記薄膜トランジスタの半導体層を含む
技術1~3のいずれかに記載の表示パネル。
【0278】
(技術5)
前記画素回路は、保持容量を有し、
前記保持容量は、下部電極と、上部電極と、前記下部電極及び前記上部電極の間の誘電膜とを有し、
前記第一導電膜は、さらに前記薄膜トランジスタの前記下部電極又は前記上部電極を含む
技術4に記載の表示パネル。
【0279】
(技術6)
前記基板上に設けられ、前記画素回路を構成する透光性の第三導電膜をさらに備え、
前記薄膜トランジスタは、ゲート電極を有し、
前記第三導電膜は、前記ゲート電極、及び、前記上部電極を含む
技術5に記載の表示パネル。
【0280】
(技術7)
前記基板上に設けられ、前記画素回路を構成する透光性の第四導電膜をさらに備え、
前記画素回路は、前記半導体層の下方に設けられるシールド電極をさらに有し、
前記第四導電膜は、前記シールド電極を含む
技術5に記載の表示パネル。
【0281】
(技術8)
前記第一導電膜と前記絶縁膜との間に、ポジ型の平坦化膜を備え、
前記画素回路は、前記半導体層に接続されたソース・ドレイン電極を有し、
前記ソース・ドレイン電極の一部は、前記ポジ型の平坦化膜の上方に位置する
技術4に記載の表示パネル。
【0282】
(技術9)
前記薄膜トランジスタは、トップゲート型の薄膜トランジスタである
技術4~8のいずれかに記載の表示パネル。
【0283】
(技術10)
前記表示パネルは、前記平面視において発光する発光領域と、前記発光領域に隣接する非発光領域とを有し、
前記第一導電膜は、前記非発光領域において、金属配線と接続される
技術1~9のいずれかに記載の表示パネル。
【0284】
(技術11)
前記絶縁膜上に形成される発光層をさらに備え、
前記発光層は、塗布膜である
技術1~10のいずれかに記載の表示パネル。
【0285】
(技術12)
前記表示パネルは、トップエミッション型である
技術1~11のいずれかに記載の表示パネル。
【0286】
(技術13)
画素回路を備える自発光型の表示パネルの製造方法であって、
基板上に、前記画素回路を構成する透光性の第一導電膜を形成する第一工程と、
前記第一導電膜上に、前記画素回路を構成する非透光性の第二導電膜を形成する第二工程と、
前記第一導電膜上に、表面を平坦化する絶縁膜を形成する第三工程とを含み、
前記第一導電膜の少なくとも一部は、前記表示パネルの平面視において、前記第二導電膜と重ならない領域に設けられ、
前記絶縁膜は、前記重ならない領域において平坦である
表示パネルの製造方法。
【0287】
(技術14)
前記絶縁膜は、ネガ型の感光性樹脂膜であり、
前記第三工程では、
前記第二導電膜上にネガ型の感光性樹脂材料を塗布し、
前記第一導電膜側から前記ネガ型の感光性樹脂材料の膜を露光する
技術13に記載の表示パネルの製造方法。
【0288】
(技術15)
前記絶縁膜は、無機絶縁膜であり、
さらに
前記絶縁膜上にネガ型のレジスト材料を塗布する第四工程と、
前記第一導電膜側から前記ネガ型のレジスト材料の膜を露光する第五工程と、
露光された前記ネガ型の感光性樹脂材料の膜を現像する第六工程と、
現像された前記ネガ型のレジスト材料をマスクとして前記絶縁膜をドライエッチングする第七工程と、
現像された前記ネガ型のレジスト材料の膜を剥離する第八工程とを含む
技術13に記載の表示パネルの製造方法。
【産業上の利用可能性】
【0289】
本開示は、特に自発光型の表示パネルを備える表示装置などに有用である。
【符号の説明】
【0290】
10、10a、10b、10c、210、210a、210b、210c 表示パネル
11 表示部
12 画素
12a 発光領域
12b 非発光領域
13 周縁領域
14 引き出し配線
15 走査配線
15h、16h、80h、110h、140h、300h コンタクトホール
16 信号配線
20 基板
30、430 第一金属層(第四導電膜)
30a、50a、52aa、70a、90a、120a、170a 金属膜
31、431 シールド電極
32、432、52b 下部電極
33、34 導電膜
40 第一層間絶縁膜(誘電膜)
50 金属酸化物層(第一導電膜)
51 半導体層
52、72、172 上部電極
52a 促進層
60 ゲート絶縁層
60a 絶縁膜
61 ゲート絶縁膜
62 容量絶縁膜
70、170 第二金属層(第三導電膜)
71、171 ゲート電極
80 第二層間絶縁膜
80w 凸部
90 第三金属層(第二導電膜)
91a、91b ソース・ドレイン電極
92 配線
100、101、102、103、400 第三層間絶縁膜(絶縁膜)
101b、102b、103b、303b、310b、400b、510b 未形成部
100a、101a、102a、103a、400a 樹脂層
110 第四層間絶縁膜
120 第四金属層
130 バンク
140 第五層間絶縁膜
300、301、302、303、500 第六層間絶縁膜(絶縁膜)
300a、301a、302a、303a、500a 無機層
500b 凹み
310、310a、510、510a レジスト層
R 破線枠
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図13
図14A
図14B
図14C
図15
図16A
図16B
図16C
図17
図18A
図18B
図18C
図19
図20A
図20B
図21