(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084534
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、および、情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20240618BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20240618BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20240618BHJP
G16Y 40/60 20200101ALI20240618BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198856
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 英毅
(72)【発明者】
【氏名】長▲瀬▼ 太郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 友二
(72)【発明者】
【氏名】加川 良平
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼垣 幸秀
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB13
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC27
5H181EE02
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
5H181LL07
(57)【要約】
【課題】コンテンツを出力させるタイミングの最適化と、コンテンツの出力に関わる通信量の抑制との両立を実現すること。
【解決手段】本願に係る情報処理装置は、車両が走行する予定の経路である走行予定経路に含まれる道路区間ごとに運転負荷の種別を推定する情報処理装置であって、前記車両の走行状況に基づいて、現時点における前記車両の運転負荷の種別が変化したか否かを判定する判定部と、前記車両に対応する現時点での運転負荷の種別が変化した場合には、前記走行予定経路において前記運転負荷の種別が変化する変化点を示す情報を前記車両に配信する配信部とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が走行する予定の経路である走行予定経路に含まれる道路区間ごとに運転負荷の種別を推定する情報処理装置であって、
前記車両の走行状況に基づいて、現時点における前記車両の運転負荷の種別が変化したか否かを判定する判定部と、
前記車両に対応する現時点での運転負荷の種別が変化した場合には、前記走行予定経路において前記運転負荷の種別が変化する変化点を示す情報を前記車両に配信する配信部と
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記車両の現在位置と、前記道路区間それぞれの距離と、前記道路区間ごとの運転負荷の種別とに基づいて、前記走行予定経路において前記運転負荷の種別が変化する変化点を示す情報を生成する生成部をさらに有する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記生成部は、現時点における前記車両の運転負荷の種別が変化した場合には、前記変化点を示す情報を再生成し、
前記配信部は、再生成された前記変化点を示す情報を前記車両に配信する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記車両の走行状況に基づいて、走行シーンの変化を検出する検出部をさらに有し、
前記判定部は、前記走行シーンの変化を検出されたか否かに基づいて、前記車両に対応する現時点での運転負荷の種別が変化したか否かを判定する
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記検出部は、前記走行シーンの変化として、前記車両の運転挙動の変化を検出し、
前記判定部は、前記車両の運転挙動が変化したことを検出された場合には、現時点における前記車両の運転負荷の種別が変化したと判定する
ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記検出部は、前記走行シーンの変化として、前記運転負荷の種別が変化する変化点に対応する地点に前記車両が侵入したか否かを検出し、
前記判定部は、前記地点に前記車両が侵入したことを検出された場合には、前記車両に対応する現時点での運転負荷の種別が変化したと判定する
ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記検出部は、前記走行シーンの変化として、前記道路区間のうち、前記車両が現在走行している第1の道路区間の属性である第1の道路属性と、前記車両の進行方向に位置し前記第1の道路区間と接続される第2の道路区間の属性である第2の道路属性との比較に基づく属性変化を検出し、
前記判定部は、前記属性変化を検出された場合には、前記車両に対応する現時点での運転負荷の種別が変化したと判定する
ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記検出部は、前記走行シーンの変化として、前記道路区間のうち、前記車両が現在走行している第1の道路区間に存在する所定の特徴地点に対応するエリアに前記車両が侵入したか否かを検出し、
前記判定部は、前記エリアに前記車両が侵入したことを検出された場合には、前記車両に対応する現時点での運転負荷の種別が変化したと判定する
ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記生成部は、変化後の前記走行シーンに関する統計情報に基づいて、変化後の前記走行シーンが継続する継続時間を予測し、前記継続時間の予測結果を用いて、前記変化点を示す情報を再生成する
ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記生成部は、前記道路区間のうち、互いに隣接関係にある道路区間の間において、異なる前記運転負荷の種別が推定されている場合に、前記車両の現在位置から、前記互いに隣接関係にある道路区間同士が接続される接続地点に前記車両が到達する予想時刻を示す時刻情報を、前記変化点を示す情報として生成する
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記配信部は、前記変化点を示す情報を前記車両に備えられる端末装置に配信し、前記変化点を示す情報と、音声により出力されるコンテンツの再生時間とに基づいて、前記コンテンツを出力させる予定の時刻を決定する処理を実行させる
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項12】
車両が走行する予定の経路である走行予定経路に含まれる道路区間ごとに運転負荷の種別を推定する情報処理装置であって、
前記車両の走行状況に基づいて、現時点における前記車両の運転負荷の種別が変化したか否かを判定する判定工程と、
前記車両に対応する現時点での運転負荷の種別が変化した場合には、前記走行予定経路において前記運転負荷の種別が変化する変化点を示す情報を前記車両に配信する配信工程と
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項13】
車両が走行する予定の経路である走行予定経路に含まれる道路区間ごとに運転負荷の種別を推定する情報処理装置によって実行される情報処理プログラムであって、
前記車両の走行状況に基づいて、現時点における前記車両の運転負荷の種別が変化したか否かを判定する判定手順と、
前記車両に対応する現時点での運転負荷の種別が変化した場合には、前記走行予定経路において前記運転負荷の種別が変化する変化点を示す情報を前記車両に配信する配信手順と
を前記情報処理装置に実行させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、および、情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザと対話を行いながら音声による情報提供を行う技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術では、コンテンツを出力させるタイミングの最適化と、コンテンツの出力に関わる通信量の抑制との両立を図るという点で改善の余地がある。例えば、上記の従来技術では、現在の運転状況に基づき運転余裕度を判定し、運転余裕度が高い場合には、コンテンツを出力させているに過ぎない。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、コンテンツを出力させるタイミングの最適化と、コンテンツの出力に関わる通信量の抑制との両立を実現することができる情報処理装置、情報処理方法、および、情報処理プログラムを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の情報処理装置は、車両が走行する予定の経路である走行予定経路に含まれる道路区間ごとに運転負荷の種別を推定する情報処理装置であって、前記車両の走行状況に基づいて、現時点における前記車両の運転負荷の種別が変化したか否かを判定する判定部と、前記車両に対応する現時点での運転負荷の種別が変化した場合には、前記走行予定経路において前記運転負荷の種別が変化する変化点を示す情報を前記車両に配信する配信部とを有する。
【0007】
請求項12に記載の情報処理方法は、車両が走行する予定の経路である走行予定経路に含まれる道路区間ごとに運転負荷の種別を推定する情報処理装置が実行する情報処理方法であって、前記車両の走行状況に基づいて、現時点における前記車両の運転負荷の種別が変化したか否かを判定する判定工程と、前記車両に対応する現時点での運転負荷の種別が変化した場合には、前記走行予定経路において前記運転負荷の種別が変化する変化点を示す情報を前記車両に配信する配信工程とを含む。
【0008】
請求項13に記載の情報処理プログラムは、車両が走行する予定の経路である走行予定経路に含まれる道路区間ごとに運転負荷の種別を推定する情報処理装置によって実行される情報処理プログラムであって、前記車両の走行状況に基づいて、現時点における前記車両の運転負荷の種別が変化したか否かを判定する判定手順と、前記車両に対応する現時点での運転負荷の種別が変化した場合には、前記走行予定経路において前記運転負荷の種別が変化する変化点を示す情報を前記車両に配信する配信手順とを前記情報処理装置に実行させるためのプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係るシステムの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、サーバ装置の動作例を示す概要図である。
【
図3】
図3は、車載装置の動作例を示す概要図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るサーバ装置および車載装置の構成例を示す図である。
【
図5】
図5は、WL種別の推定手法の具体例を示す図である。
【
図6】
図6は、変化点情報の生成手法の具体例を示す図である。
【
図7】
図7は、変化点情報の生成手順を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、変化点情報の再生成と、変化点情報の配信とに係る処理手順を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、スケジューリング処理手順を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、実施形態に係るスケジューリング処理の具体例を示す図である。
【
図11】
図11は、サーバ装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施形態]
以下に、本発明の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明に係る情報処理装置、情報処理方法、および、情報処理プログラムが限定されるものではない。また、以下の実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
〔1.システム構成〕
まず、
図1を用いて、実施形態に係るシステムの構成を説明する。
図1は、実施形態に係るシステムの一例を示す図である。
図1には、実施形態に係るシステムの一例として、システム1が示される。実施形態に係る情報処理は、システム1において実現されてよい。
【0012】
図1に示すように、システム1は、クラウドシステム10と、車載装置200とを備えてよい。また、クラウドシステム10と、車載装置200とは、ネットワークNを介して、有線または無線により通信可能に接続されてよい。
【0013】
クラウドシステム10には、実施形態に係る情報処理を担う中心的な装置であるサーバ装置100が含まれる。サーバ装置100は、車両VEが走行する予定の経路である走行予定経路に含まれる道路区間ごとに運転負荷の種別を推定する装置である。また、サーバ装置100は、車両VEの現在位置と、道路区間それぞれの距離と、道路区間ごとに推定された運転負荷の種別とに基づいて、走行予定経路において運転負荷の種別が変化する変化点を示す情報を生成する。
【0014】
また、サーバ装置100は、車両の走行状況に基づいて、車両VEの運転者による現時点での運転負荷の種別が変化したか否かを判定し、運転負荷の種別が変化した場合には、変化点を示す情報を再生成する。そして、サーバ装置100は、再生成した変化点を示す情報を車載装置200に配信する。
【0015】
車載装置200は、車両VEに内蔵あるいは積載される専用のナビゲーション装置であってよい。例えば、車載装置200は、ナビゲーション装置と、録画装置とで構成されてもよい。この一例として、車載装置200は、互いに独立したナビゲーション装置および録画装置が通信可能に接続された複合的な装置であってよい。他の例として、車載装置200は、ナビゲーション機能と、録画機能とを有する1つの装置であってもよい。
【0016】
また、車載装置200は、各種のセンサを備えていてよい。例えば、車載装置200は、カメラ、加速度センサ、ジャイロセンサ、GPS(Global Positioning System)センサ、気圧センサ等の各種センサを備えていてよい。このようなことから、車載装置200は、各種センサによって取得されたセンサ情報に基づいて、運転を支援するための対話や情報提供を行う機能も有してよい。
【0017】
また、車載装置200は、自装置に備えられるセンサだけでなく、安全走行システムとして、車両VE自体に備えられるセンサが検知したセンサ情報も用いることができる。
【0018】
また、運転者は、日常的に使用している携帯型端末装置(例えば、スマートフォン、タブレット型端末、ノート型PC、PDA等)に所定のアプリケーションソフトウェアを導入することで、この携帯型端末装置を車載装置200と同様に動作させることができる。
【0019】
〔2.サーバ装置の概要〕
次に、
図2を用いてサーバ装置100の動作例を説明する。
図2は、サーバ装置100の動作例を示す概要図である。
図2の例によれば、クラウドシステム10は、ワークロード推定エンジンEを有するサーバ装置100と、状況把握エンジン231と、誘導情報DBと、アプリケーションMAとを含んでよい。
【0020】
なお、ここでいうワークロード(WL)とは、運転負荷を指し示し、運転者の負担感(大変度ともいえる)と、道路区間に対して定められる運転負荷との双方を内包したものであってよい。
【0021】
運転負荷の種別には、例えば、「BUSY」、「IDEAL」、「FREE」等が存在し、「BUSY」が定められた道路区間では運転者に対して掛かる負担が基準以上であり(すなわち、運転大変度が高い)、「FREE」が定められた道路区間では運転者に対して掛かる負担が基準未満であり(すなわち、運転大変度が低い、若しくは高くない)、「IDEAL」が定められた道路区間では運転者に対して掛かる負担が中間(すなわち、運転大変度が普通、若しくは高くない)であることを示す。
【0022】
また、運転者の大変度は、運転者の負担感を数値で表すものであってよく、以下のように定義することができる。
【0023】
例えば、大変度「1」は、運転負荷の種別「BUSY_MAX」に相当し、全ての一般的な運転者が運転に気を遣う道路区間であり、係る道路区間では、車載装置200は警告通知のみを発話すべきと定義される。
【0024】
大変度「0.80」は、運転負荷の種別「BUSY+」に相当し、6割以上の一般的な運転者が運転に気を遣う道路区間であり、係る道路区間では、車載装置200は警告通知および注意通知のみを発話すべきと定義される。
【0025】
大変度「0.60」は、運転負荷の種別「BUSY」に相当し、2割以上の一般的な運転者が運転に気を遣う道路区間であり、係る道路区間では、車載装置200は警告通知、注意通知、重要通知のみを発話すべきと定義される。
【0026】
大変度「0.50」は、運転負荷の種別「IDEAL」に相当し、係る道路区間では、車載装置200は誘導系(警告通知、注意通知、重要通知)以外のコンテンツも発話してよいと定義される。
【0027】
大変度「0.25」は、運転負荷の種別「FREE」に相当し、5割以上の一般的な運転者が単調で退屈と感じ得る道路区間であり、様々な内容のコンテンツを発話すべきと定義される。
【0028】
なお、運転負荷の種別は、必ずしも上記例(「BUSY_MAX」、「BUSY+」、「BUSY」、「IDEAL」、「FREE」)に限定されない。また、以下の実施形態では、運転負荷の種別を「WL種別」と表現し、「BUSY」および「FREE」を用いて説明する。また、上記で示した基準及び基準値は一例であり、任意の値であってよい。
【0029】
ここで、道路区間についても説明する。例えば、道路区間は、道路の特徴点間の区間を意味し、リンクと称される。道路の特徴点は、交差点、曲り角、行き止まり等であり、ノードと称される。すなわち、リンクは、所定規則に基づいて設定される道路区間を意味する。言い換えると、リンクは、移動履歴の記録区間を所定規則に基づいて区切った単位を意味する。
【0030】
上記例に倣い、以下の実施形態では、道路区間をリンクと表現し、道路区間と道路区間との接続地点をノードと表現する。例えば、サーバ装置100は、地図情報記憶部121(
図4)を有しており、地図情報記憶部121は、道路網をノードとリンクの組合せにより表した道路データ、施設データ、および道路周辺のオブジェクト情報等を含む。オブジェクト情報は、道路標識等の看板や停止線等の道路標示、センターライン等の道路区画線や道路沿いの構造物等の地物の他、一時的に存在する障害物の情報を含む。障害物は、例えば、水たまり、道路の陥没部分、落下物、排水溝(網で塞がれた部分含む)等の歩行者や自転車の通行の障害となる要因となるものを指す。オブジェクト情報は、自車位置推定等に用いるためのオブジェクトの高精度な点群情報などを含んでもよい。また、地図情報記憶部121において、リンクは、リンクIDによって識別されてよい。
【0031】
状況把握エンジン231は、車載装置200が有するセンサによって得られたセンサ情報を分析して得られた分析結果、あるいは、車載装置200に導入されている各種のアプリケーションの動作状況等を含む状況情報を収集し、蓄積された情報を状況情報として配信するクラウドサービスである。
図2の例では、状況把握エンジン231は、クラウドシステム10に含まれているが、車載装置200が状況把握エンジン231を有してよい。
【0032】
誘導情報DBは、運転者の目的地に応じて設定されたルートの案内に用いられる誘導情報、あるいは、設定されたルートから車両VEが外れたことで再設定(リルート)されたルートの案内に用いられる誘導情報等を記憶する。
【0033】
アプリケーションMAは、ワークロード推定エンジンEによって処理された結果を、車載装置200が有する情報整合エンジン232に配信する機能を有する。
【0034】
ここからは、ワークロード推定エンジンEによる具体的な動作例を説明する。ワークロード推定エンジンEは、実施形態に係る情報処理を行う。
【0035】
まず、ワークロード推定エンジンEは、状況把握エンジン231から状況情報を取得し、取得した状況情報に基づいて、車両VEの現時点における運転負荷の種別(WL種別)を推定する(ステップS21)。例えば、ワークロード推定エンジンEは、車両VEの現時点におけるWL種別として、車両VEが現在走行している道路区間すなわち現在のリンクでの運転者(運転者Dとする)の大変度(運転負荷)を推定してよい。
【0036】
また、ワークロード推定エンジンEは、車両VEの将来における運転負荷の種別(WL種別)を推定する(ステップS22)。具体的には、ワークロード推定エンジンEは、車両VEが走行する予定の経路である走行予定経路に基づいて、走行予定経路に含まれるリンクごとにWL種別を推定(予測)する。
【0037】
例えば、ワークロード推定エンジンEは、走行予定経路と、リンクごとにWL種別が対応付けられた地図データ(地図情報記憶部121)とを照らし合わせて、走行予定経路に含まれるリンクごとにWL種別を予測してよい。
【0038】
ここで、ワークロード推定エンジンEは、運転者Dが目的地を指定した場合には、この目的地を満たすルート計画によって、目的地までのルートを走行予定経路として設定することができる。したがって、係る場合には、ワークロード推定エンジンEは、誘導情報DBを参照し、WL種別が対応付けられているのみの地図データでは得られない独自の情報に基づいて、WL種別を予測してもよい。一例を示すと、ワークロード推定エンジンEは、誘導情報DBを参照することで、車両VEが現在走行しているリンクである第1のリンクの属性と、車両VEの進行方向に位置し第1のリンクと接続される第2のリンクの属性を検出できる場合がある。例えば、ワークロード推定エンジンEは、誘導情報DBを参照し、第1のリンクの属性「広い道」と、第2のリンクの属性「狭い道」とを検出できたとすると、第1のリンクの属性「広い道」と、第2のリンクの属性「狭い道」との比較に基づき、WL種別を予測してよい。
【0039】
また、ワークロード推定エンジンEは、運転者Dが目的地を指定しておらず、目的地に応じたルート設定が不可能な場合には、走行予定経路に含まれるリンクごとにWL種別を予測する処理を行わずともよい。一方、ワークロード推定エンジンEは、このようにルート設定が不可能な場合には、車両VEの走行履歴に基づいて、走行ルートを予測することで、予測した走行ルートを走行予定経路として設定してもよい。
【0040】
なお、ワークロード推定エンジンEは、ステップS22では、推定結果(予測結果)に基づいて、走行予定経路に含まれるノードに車両VEが到着する予想時刻も計算する。予想時刻は、WL種別が変化する変化点を示す情報(変化点情報)の一例であり、詳細は後述する。
【0041】
ここで、ステップS21に説明を戻すと、ワークロード推定エンジンEは、車両VEが走行中においては、車両VEの走行状況(情報整合エンジン232から取得した状況情報)に基づいて、車両VEの現時点におけるWL種別(運転者Dの大変度)の変化を監視している。
【0042】
この結果、ワークロード推定エンジンEは、例えば、前のタイミングで推定したWL種別と比較して、車両VEの現時点におけるWL種別が変化したと判定できた場合には、走行予定経路に含まれるノードに車両VEが到着する予想時刻を再計算する。すなわち、ワークロード推定エンジンEは、車両VEの現時点におけるWL種別が変化したと判定できた場合には、変化点情報を再計算する。そして、ワークロード推定エンジンEは、再計算した結果の変化点情報をアプリケーションMAに配信する(ステップS23)。アプリケーションMAは、ワークロード推定エンジンEから取得した変化点情報を車載装置200に配信する。具体的には、アプリケーションMAは、ワークロード推定エンジンEから取得した変化点情報を情報整合エンジン232に配信する。
【0043】
〔3.車載装置の概要〕
次に、
図3を用いて車載装置200の動作例を説明する。
図3は、車載装置200の動作例を示す概要図である。
図3の例によれば、車載装置200は、情報整合エンジン232を有する。
【0044】
まず、情報整合エンジン232は、WL情報を受信する(ステップS31-1)。ここでいうWL情報とは、サーバ装置100によって配信された変化点情報すなわち走行予定経路に含まれるノードに車両VEが到着する予想時刻の情報である。
【0045】
次に、情報整合エンジン232は、走行予定経路に含まれるリンクの中から、音声によりコンテンツを出力してよいと判断できるリンク(発話許容リンク)を探索する(ステップS31-2)。例えば、情報整合エンジン232は、走行予定経路に含まれるリンクの中から、音声によりコンテンツを出力してよいと判断できるリンクとして、WL種別「FREE」であると推定されているリンクを探索してよい。
【0046】
また、情報整合エンジン232は、ステップS31-1およびステップS31-2とは別のフェーズで、出力要求情報を受信したか否かも判定している。ここでいう出力要求情報とは、車載装置200に導入されている各種のアプリケーションにより送信される出力要求情報である。例えば、観光案内に関するコンテンツを提供するアプリケーションは、出力条件(出力を許可する時刻条件、あるいは、出力を許可する地理的条件)と、出力対象のコンテンツとを含む出力要求情報を情報整合エンジン232に対して送信する場合がある。
【0047】
情報整合エンジン232は、出力要求情報を受信した場合には(ステップS32-1)、出力要求情報に含まれるコンテンツの再生に要する所要時間を推定する(ステップS32-2)。例えば、情報整合エンジン232は、出力要求情報に含まれるコンテンツの再生時間長に基づいて、所要時間を推定してよい。
【0048】
続いて、情報整合エンジン232は、ステップS31-2で探索した発話許容リンクと、ステップS31-2で推定した所要時間とに基づいて、出力要求情報に含まれるコンテンツを出力可能か否か判定する(ステップS33)。例えば、情報整合エンジン232は、発話許容リンクの時間長が所要時間よりも十分長い場合には、出力要求情報に含まれるコンテンツを出力可能と判定してよい。
【0049】
次に、情報整合エンジン232は、出力要求情報を解決するための制御処理を実行する(ステップS34)。出力要求情報を解決するための制御処理とは、情報整合エンジン232による基本的な処理であり、出力要求情報に含まれる出力条件を満たすように、コンテンツの出力タイミングを決定するスケジューリングを指し示す。
【0050】
情報整合エンジン232によるスケジューリングの結果、コンテンツの出力タイミングが決定された場合には、車載装置200が有するスピーカーSP(
図4)からコンテンツが音声出力される。
【0051】
〔4.機能構成〕
ここからは、
図4を用いて、サーバ装置100および車載装置200の構成例について説明する。
図4は、実施形態に係るサーバ装置100および車載装置200の構成例を示す図である。
【0052】
(サーバ装置100)
まず、サーバ装置100の構成例を説明する。
図4に示すように、サーバ装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。
【0053】
(通信部110)
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。そして、通信部110は、ネットワークNと有線または無線で接続され、例えば、車載装置200との間で情報の送受信を行う。
【0054】
(記憶部120)
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子またはハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部120は、例えば、実施形態に係る情報処理に関するデータやプログラムが記憶されてよい。また、
図4の例によれば、記憶部120は、地図情報記憶部121と、制御結果記憶部122とを有してよい。
【0055】
(地図情報記憶部121)
地図情報記憶部121は、WL種別の推定に用いられる地図データが記憶される。係る地図データでは、道路網をノードとリンクの組合せにより表した道路データ等が含まれる。リンクは、リンクIDによって管理され、WL種別やリンク長が紐付けられてよい。
【0056】
(制御結果記憶部122)
制御結果記憶部122は、ワークロード推定エンジンEにより得られた情報(例えば、現在のWL種別、将来のWL種別、変化点情報等)を記憶してよい。
【0057】
(制御部130について)
制御部130は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、サーバ装置100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(例えば、実施形態に係る情報処理プログラム)がRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0058】
図4に示すように、制御部130は、ワークロード推定エンジンEを搭載し、ワークロード推定エンジンEには、取得部131と、推定部132と、生成部133と、検出部134と、判定部135、配信部136とが含まれ、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、ワークロード推定エンジンEの内部構成は、
図4に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、ワークロード推定エンジンEが有する各処理部の接続関係は、
図4に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0059】
(取得部131)
取得部131は、車両VEの走行ルートを示す情報を取得する。例えば、取得部131は、車両VEの走行ルートを示す情報として、車両VEが走行する予定の経路である走行予定経路の情報を取得してよい。
【0060】
例えば、取得部131は、運転者Dが目的地を指定した場合には、この目的地を満たすルート計画によって、目的地までのルートを走行予定経路として設定する。この結果、取得部131は、設定した走行予定経路を示す情報を取得する。
【0061】
また、取得部131は、運転者Dが目的地を指定しておらず、目的地に応じたルート設定が不可能な場合には、車両VEの走行履歴に基づいて、走行ルートを予測することで、予測した走行ルートを走行予定経路として設定してもよい。この場合、取得部131は、予測した走行予定経路を示す情報を取得する。
【0062】
(推定部132)
推定部132は、WL種別を推定する。例えば、推定部132は、車両VEの現時点におけるWL種別として、車両VEが現在走行している道路区間すなわち現在のリンクでの運転者Dの大変度(運転大変度)を推定する。例えば、推定部132は、状況把握エンジン231から状況情報を取得し、取得した状況情報に基づいて、運転者Dの大変度を推定してよい。また、推定部132は、現在のリンクと、リンクごとにWL種別が対応付けられた地図データとを照らし合わせて、現在のリンクに対応付けられるWL種別に基づいて、運転者Dの大変度を推定してもよい。
【0063】
また、推定部132は、車両VEの将来におけるWL種別として、車両VEが走行する予定の経路である走行予定経路に含まれるリンクごとにWL種別を推定する。例えば、推定部132は、走行予定経路と、リンクごとにWL種別が対応付けられた地図データとを照らし合わせて、走行予定経路に含まれるリンクごとにWL種別を予測してよい。
【0064】
なお、推定部132は、リンクごとにWL種別が対応付けられた地図データに頼らずWL種別を推定してもよい。例えば、推定部132は、リンクごとの走行履歴に基づいて、統計的にWL種別を推定してよい。一例として、推定部132は、走行履歴を解析した結果、急制動の傾向が得られたリンクについてはWL種別「BUSY」と推定してよい。また、推定部132は、リンクの属性から算出された運転難易度に基づいて、WL種別を推定してもよい。例えば、推定部132は、急カーブを有するリンク、あるいは、急勾配を有するリンクについては運転難易度が高いと判断し、WL種別「BUSY」と推定してよい。
【0065】
また、推定部132は、誘導情報DBを用いてWL種別を推定してもよい。例えば、推定部132は、誘導情報DBから走行予定経路に対応する経路案内を取得し、係る経路案内が「この先の〇〇地点からは道幅が狭くなります」という内容であったとする。係る場合、推定部132は、車両VEが現在走行しているリンクである第1のリンクの属性「広い道」と、車両VEの進行方向に位置し第1のリンクと接続される第2のリンクの属性「狭い道」とを得ることができ、これら属性の比較に基づくWL種別を予測してもよい。例えば、一般的に、「広い道」と比較して「狭い道」の方が、運転難易度が高いと考えられているため、推定部132は、車両VEが現在走行しているリンクである第1のリンクについてWL種別「FREE」を推定し、車両VEの進行方向に位置し第1のリンクと接続される第2のリンクについてはWL種別「BUSY」を推定することができる。
【0066】
(生成部133)
生成部133は、車両VEの現在位置と、走行予定経路に含まれるリンクそれぞれの距離と、リンクごとのWL種別とに基づいて、走行予定経路においてWL種別が変化する変化点を示す情報を生成する。
【0067】
例えば、生成部133は、走行予定経路に含まれるリンクのうち、互いに隣接関係にあるリンクの間において、異なるWL種別が推定されている場合に、車両VEの現在位置から、互いに隣接関係にあるリンク同士が接続される接続地点すなわちノードまでの距離を示す距離情報を、変化点を示す情報として生成してよい。
【0068】
また、生成部133は、走行予定経路に含まれるリンクのうち、互いに隣接関係にあるリンクの間において、異なるWL種別が推定されている場合に、車両VEの現在位置から、互いに隣接関係にあるリンク同士が接続されるノードに車両VEが到達する予想時刻を示す時刻情報を、変化点を示す情報として生成してよい。
【0069】
また、変化点を示す情報には、車両VEが現在走行しているリンクにおけるWL種別を示す種別情報も含まれてよい。
【0070】
(検出部134)
検出部134は、車両VEの走行状況に基づいて、走行シーンの変化を検出する。例えば、検出部134は、走行シーンの変化として、車両VEの運転挙動の変化を検出する。一例として、検出部134は、車両VEの運転挙動の変化として、速度の大幅な低下、速度の大幅な上昇、一時停止、停止、徐行運転、カーブ、急発進、急ブレーキ、急ハンドル、衝撃等を検出してよい。
【0071】
また、検出部134は、走行シーンの変化として、WL種別が変化する変化点に対応する地点に車両VEが侵入したか否かを検出してよい。具体的には、検出部134は、互いに隣接関係にあるリンクの間において、異なるWL種別が推定されている場合に、互いに隣接関係にあるリンク同士が接続される接続地点であるノードに車両VEが侵入したか否かを検出する。
【0072】
また、検出部134は、走行シーンの変化として、走行予定経路に含まれるリンクのうち、車両VEが現在走行している第1のリンクの属性と、車両VEの進行方向に位置し第1のリンクと接続される第2のリンクの属性との比較に基づく属性変化を検出してよい。例えば、検出部134は、狭い道から広い道への進入、広い道から狭い道への進入、生活圏外の道から生活圏内の道への進入を検出してよい。
【0073】
また、検出部134は、走行シーンの変化として、走行予定経路に含まれるリンのうち、車両VEが現在走行している第1のリンクに存在する所定の特徴地点に対応するエリアに車両VEが侵入したか否かを検出してよい。ここでいう特徴地点とは、例えば、交差点・合流・分岐・料金所・踏切等である。
【0074】
また、検出部134は、上記例以外にも例えば、車両VEが現在走行している道路は高速道路であるか否か、車両VEが現在走行している道路は属性に変化のない同じ傾向の道理(例えば、直線道路)であるか否かを検出してもよい。
【0075】
(判定部135)
判定部135は、車両VEの走行状況に基づいて、車両VEの現時点におけるWL種別が変化したか否かを判定する。例えば、判定部135は、車両VEの現時点におけるWL種別として、車両VEが現在走行しているリンクでの運転者Dの大変度が変化したか否かを判定してよい。例えば、判定部135は、検出部134によって走行シーンの変化を検出されたか否かに基づいて、車両VEが現在走行しているリンクでの運転者Dの大変度が変化したか否かを判定してよい。
【0076】
例えば、判定部135は、車両VEの運転挙動が変化したことを検出された場合には、運転者Dの大変度が変化したと判定してよい。
【0077】
また、判定部135は、WL種別が変化する変化点に対応する地点(ノード)に車両VEが侵入したことを検出された場合には、運転者Dの大変度が変化したと判定してよい。
【0078】
また、判定部135は、車両VEが現在走行している第1のリンクの属性と、車両VEの進行方向に位置し第1のリンクと接続される第2のリンクの属性との間に属性変化を検出された場合には、運転者Dの大変度が変化したと判定してよい。
【0079】
また、判定部135は、所定の特徴地点に対応するエリアに車両VEが侵入したことを検出された場合には、運転者Dの大変度が変化したと判定してよい。
【0080】
なお、生成部133は、車両VEの現時点におけるWL種別が変化した(運転者Dの大変度が変化した)と判定された場合には、推定部132による推定結果に基づき事前に生成している変化点情報(例えば、走行予定経路に含まれるノードに車両VEが到着する予想時刻)を再生成する。
【0081】
(配信部136)
配信部136は、車両VEの現時点におけるWL種別が変化した場合には、走行予定経路においてWL種別が変化する変化点を示す情報を車載装置200に配信する。
【0082】
(サーバ装置100に関するまとめ)
検出部134により走行シーンの変化が検出されたことで、運転者Dの大変度が変化したと判定されたということは、すなわち、一旦生成されている変化点情報(予想時刻)に誤差が生じている可能性があることを示唆している。そして、誤差を含む変化点情報に基づきコンテンツの出力タイミングが決定されてしまうと、本来であればWL種別「FREE」のリンクで出力させるべきコンテンツが、WL種別「BUSY」のリンクで出力されてしまい、運転者Dの運転の妨げになってしまう恐れがある。また、コンテンツ出力の先送りや中断が発生してしまう恐れもある。
【0083】
そこで、生成部133は、走行シーンの変化に応じて運転者Dの大変度が変化したと判定された場合には、変化点情報を改めて再計算する。この結果、誤差がより低減された高精度な変化点情報を利用したスケジューリングを車載装置200に対して実行させることができるため、コンテンツを適切なタイミングで出力させるためのスケジューリングを実現することができるようになる。
【0084】
なお、誤差がより低減された高精度な変化点情報を利用したスケジューリングを車載装置200に対して実行させるためには、走行シーンの変化に拘わらず、適宜、最新の変化点情報を生成し、生成した変化点情報を車載装置200に配信することが好ましいと考えられる。しかしながら、係るケースでは、サーバ装置100による変化点情報の配信回数が増加してしまい、通信量を抑えつつ、コンテンツを適切なタイミングで出力させたいというニーズに対応できないという問題が発生する。そこで、サーバ装置100は、走行シーンの変化に応じて運転者Dの大変度が変化したと判定された場合、すなわち、変化点情報の再計算の必要性が高まった場合にのみ、実際に再計算を行い、再計算で得られた変化点情報を車載装置200に配信する。この結果、サーバ装置100は、上記のニーズに対応することができる。
【0085】
(車載装置200)
引き続き
図4を用いて、車載装置200の構成例を説明する。
図4に示すように、車載装置200は、マイクMCと、スピーカーSPと、センサSCと、アプリケーションAPと、通信部210と、記憶部220と、制御部230とを有する。
【0086】
(マイクMC)
マイクMCは、車両VE内で発生した音を集音する集音装置である。例えば、マイクMCは、運転者Dが発話したことによる発話音声を集音する。
【0087】
(スピーカーSP)
スピーカーSPは、音声により各種情報を出力する出力装置に相当する。例えば、スピーカーSPは、制御部230による出力制御に応じて、コンテンツ情報を出力する。
【0088】
(センサSC)
センサSCは、車両VEに関する各種情報を検出し、検出したセンサ情報を状況把握エンジン231に伝送する。
【0089】
(アプリケーションAP)
アプリケーションAPは、コンテンツを提供するアプリケーションである。例えば、アプリケーションAPは、出力条件(出力を許可する時刻条件、あるいは、出力を許可する地理的条件)と、出力対象のコンテンツとを含む出力要求情報を情報整合エンジン232に対して送信する。なお、
図1では不図示であるが、システム1には、アプリケーションAPを制御するアプリサーバがさらに含まれてよい。
【0090】
(記憶部220)
記憶部220は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子またはハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部220は、例えば、実施形態に係る情報処理に関するデータやプログラムが記憶されてよい。また、
図4の例によれば、記憶部220は、利用者情報記憶部221と、コンテンツ記憶部222とを有してよい。
【0091】
(利用者情報記憶部221)
利用者情報記憶部221は、車両VEに関する利用者(例えば、運転者D)に関する各種情報を記憶する。利用者情報記憶部221は、車両VEに関する利用者を記憶してもよいし、車両VEの走行履歴をさらに記憶してもよい。
【0092】
(コンテンツ記憶部222)
コンテンツ記憶部222は、アプリケーションAPにより提供されたコンテンツを記憶する。
【0093】
(制御部230について)
制御部230は、CPUやMPU等によって、車載装置200内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(例えば、実施形態に係る情報処理プログラム)がRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部230は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現される。
【0094】
図4に示すように、制御部230は、状況把握エンジン231と、情報整合エンジン232と、出力制御部233とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部230の内部構成は、
図4に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部230が有する各処理部の接続関係は、
図4に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0095】
(状況把握エンジン231)
状況把握エンジン231は、センサ情報に基づいて、車両VEに関する状況を特定する。例えば、状況把握エンジン231は、車両VE内の音声、様子、車両VEの挙動等を検出することで、車両VEの状況を特定する。そして、状況把握エンジン231は、特定した状況を示す状況情報を情報整合エンジン232に出力する。
【0096】
(情報整合エンジン232)
情報整合エンジン232は、走行予定経路に含まれるリンクの中から、音声によりコンテンツを出力してよいと判断できるリンク(発話許容リンク)を探索する。
【0097】
また、情報整合エンジン232は、出力要求情報を受信した場合には、出力要求情報に含まれるコンテンツの再生に要する所要時間を推定する。
【0098】
また、情報整合エンジン232は、発話許容リンクと、所要時間とに基づいて、出力要求情報に含まれるコンテンツを出力可能か否か判定する。
【0099】
また、情報整合エンジン232は、出力要求情報に含まれる出力条件を満たすように、コンテンツの出力タイミングを決定するスケジューリング処理を実行する。
【0100】
(出力制御部233)
出力制御部233は、情報整合エンジン232によってスケジューリングされたタイミングでスピーカーSPからコンテンツが出力されるよう制御する。
【0101】
〔5.WL種別の推定手法〕
ここからは、
図5を用いて、WL種別の推定手法を具体的に説明する。
図5は、WL種別の推定手法の具体例を示す図である。
図5では、目的地を満たすルート計画によって、走行ルートRT1が引かれた場面を例に用いて、WL種別の推定手法を説明する。
【0102】
また、
図5に示すように、走行ルートRT1は、出発地PT1と、目的地PT3とを結ぶルートであり、車両VEが位置PT2に位置した時点で、WL種別の推定処理が開始される場面が示される。係る例によれば、位置PT2は、車両VEの現在地に相当する。
【0103】
ここで、
図5(a)の例によれば、推定部132は、走行ルートRT1と、リンクごとにWL種別が対応付けられた地図データとを照らし合わせて、走行ルートRT1を構成する各リンクに対して、リンクID(link_id)を紐付ける。
図5(a)には、推定部132が、走行ルートRT1に対して、リンクID「100」、リンクID「101」、リンクID「102」、リンクID「103」、リンクID「104」、リンクID「105」を紐付けることで、走行ルートRT1を5つのリンクに分割した例が示される。
【0104】
また、
図5(a)には、リンクID「100」で識別されるリンク(リンク100)と、リンクID「101」で識別されるリンク(リンク101)とが接続される接続地点の情報として、ノードND01が示される。
【0105】
また、リンクID「101」で識別されるリンク(リンク101)と、リンクID「102」で識別されるリンク(リンク102)とが接続される接続地点の情報として、ノードND12が示される。
【0106】
また、リンクID「102」で識別されるリンク(リンク102)と、リンクID「103」で識別されるリンク(リンク103)とが接続される接続地点の情報として、ノードND23が示される。
【0107】
また、リンクID「103」で識別されるリンク(リンク103)と、リンクID「104」で識別されるリンク(リンク104)とが接続される接続地点の情報として、ノードND34が示される。
【0108】
また、リンクID「104」で識別されるリンク(リンク104)と、リンクID「105」で識別されるリンク(リンク105)とが接続される接続地点の情報として、ノードND45が示される。
【0109】
また、推定部132は、地図データを参照し、各リンクの距離(len)も算出してよい。
図5(a)には、推定部132が、リンク100の距離「100」、リンク101の距離「200」、リンク102の距離「300」、リンク103の距離「100」、リンク104の距離「500」、リンク105の距離「200」を算出した例が示される。
【0110】
このような状態において、推定部132は、
図5(b)に示すように、車両VEの現在地PT2を含むリンクつまり車両VEが現在走行しているリンク102、リンク102より後に走行予定のリンク103、リンク104、リンク105に対して、WL種別を推定してよい。
図5(b)には、推定部132が、リンクごとにWL種別が対応付けられた地図データを参照し、リンク102のWL種別「FREE」、リンク103のWL種別「BUSY」、リンク104のWL種別「FREE」、リンク105のWL種別「BUSY」を推定した例が示される。
【0111】
また、
図5(b)では不図示であるが、推定部132は、車両VEの現時点におけるWL種別として、車両VEが現在走行しているリンク102での運転者Dの大変度も推定してよい。
【0112】
〔6.変化点情報の生成手法〕
次に、
図6を用いて、WL種別が変化する変化点を示す情報を生成する生成手法を具体的に説明する。
図6は、変化点情報の生成手法の具体例を示す図である。
図6では、
図5と同様の場面を例に用いて、変化点情報の生成手法を説明する。
【0113】
まず、生成部133は、
図6(a)に示すように、WL種別が異なるリンク同士を接続するノードを、WL種別が変化する変化地点として検出する。
図5の例を参照すると、ノードND23は、WL種別「FREE」のリンク102と、WL種別「BUSY」のリンク103を接続するノードである。ノードND34は、WL種別「BUSY」のリンク103と、WL種別「FREE」のリンク104を接続するノードである。ノードND45は、WL種別「FREE」のリンク104と、WL種別「BUSY」のリンク105を接続するノードである。このため、生成部133は、WL種別が異なるリンク同士を接続するノードとして、ノードND23と、ノードND34と、ノードND45とを、WL種別が変化する変化地点として検出する。以下では、ノードND23を変化地点CP23、ノードND34を変化地点CP34、ノードND45を変化地点CP45と表記する場合がある。
【0114】
次に、生成部133は、
図6(b)に示すように、変化地点(CP23、CP34、CP45)を含む各リンクの距離(リンク長情報)を取得する。変化地点(CP23、CP34、CP45)を含むリンクは、リンク102、リンク103、リンク105、リンク105であるため、生成部133は、リンク102の距離「300」、リンク103の距離「100」、リンク104の距離「500」、リンク105の距離「200」を取得する。
【0115】
次に、生成部133は、
図6(c)に示すように、車両VEが現在走行しているリンク102に含まれるノードND12から、変化地点(CP23、CP34、CP45)までの距離(dist)を算出する。生成部133は、リンク102の距離「300」であることから、ノードND12から変化地点CP23までの距離「300」を算出する。
【0116】
また、生成部133は、リンク102の距離「300」と、リンク103の距離「100」とを足し合わせて、ノードND12から変化地点CP34までの距離「400」を算出する。生成部133は、リンク102の距離「300」と、リンク103の距離「100」と、リンク104の距離「500」とを足し合わせて、ノードND12から変化地点CP45までの距離「900」を算出する。
【0117】
生成部133は、
図6(d)に示すように、車両VEの現在地PT2から、変化地点(CP23、CP34、CP45)までの距離(dist)を算出する。
図5の例によれば、車両VEの現在地PT2は、ノードND12から120m走行した位置に相当する。このため、生成部133は、ノードND12から変化地点CP23までの距離「300」から「120」を差し引いて、現在地PT2から変化地点CP23までの距離「180」を算出する。
【0118】
また、生成部133は、ノードND12から変化地点CP34までの距離「400」から「120」を差し引いて、現在地PT2から変化地点CP34までの距離「280」を算出する。生成部133は、ノードND12から変化地点CP45までの距離「900」から「120」を差し引いて、現在地PT2から変化地点CP45までの距離「780」を算出する。
【0119】
ここで、生成部133は、現在地PT2から変化地点CP23までの距離「180」、現在地PT2から変化地点CP34までの距離「280」、現在地PT2から変化地点CP45までの距離「780」を、変化点を示す情報と定める。
【0120】
具体的には、生成部133は、現在地PT2から変化地点CP23までの距離「180」を、変化地点CP23を示す変化点情報として生成する。また、生成部133は、現在地PT2から変化地点CP34までの距離「280」を、変化地点CP34を示す変化点情報として生成する。また、生成部133は、現在地PT2から変化地点CP45までの距離「780」を、変化地点CP45を示す変化点情報として生成する。
【0121】
生成部133は、
図6(e)に示すように、車両VEの現在地PT2から、変化地点(CP23、CP34、CP45)までの距離(dist)と、車両VEの速度とに基づいて、車両VEが変化地点(CP23、CP34、CP45)に到達する予想時刻を算出する。
図6(e)には、生成部133が、車両VEが変化地点CP23に到達する予想時刻「TM23」、車両VEが変化地点CP34に到達する予想時刻「TM34」、車両VEが変化地点CP45に到達する予想時刻「TM45」を算出した例が示される。
【0122】
ここで、生成部133は、予想時刻「TM23」、予想時刻「TM34」、予想時刻「TM45」を、変化点を示す情報と定める。具体的には、生成部133は、予想時刻「TM23」を、変化地点CP23を示す変化点情報として生成する。また、生成部133は、予想時刻「TM34」を、変化地点CP34を示す変化点情報として生成する。また、生成部133は、予想時刻「TM45」を、変化地点CP45を示す変化点情報として生成する。
【0123】
〔7.変化点情報の生成手順〕
図7は、変化点情報の生成手順を示すフローチャートである。
図7は、
図5および
図6を用いて説明した変化点情報の生成手法の手順を説明するものである。
【0124】
まず、取得部131は、車両VEの走行ルートを示す情報を取得する(ステップS701)。例えば、取得部131は、車両VEの走行ルートを示す情報として、車両VEが走行する予定の経路である走行予定経路の情報を取得する。
【0125】
推定部132は、WL種別を推定するタイミングになったか否かを判定する(ステップS702)。例えば、推定部132は、車両VEの走行が開始されてから一定期間が経過した場合、あるいは、車両VEの走行が開始されてから一定距離を走行された場合には、WL種別を推定するタイミングになったと判定してよい。
【0126】
推定部132は、WL種別を推定するタイミングになっていない場合には(ステップS702;No)、WL種別を推定するタイミングになったと判定できるまで待機する。
【0127】
一方、推定部132は、WL種別を推定するタイミングになった場合には(ステップS702;Yes)、状況把握エンジン231から取得した状況情報に基づいて、車両VEが現在走行しているリンクでの運転者Dの大変度(運転大変度)を推定する(ステップS703)。
【0128】
また、推定部132は、走行予定経路に含まれるリンクごとにWL種別を予測する(ステップS704)。例えば、推定部132は、走行予定経路と、地図データとを照らし合わせて、車両VEの現在地を含むリンクつまり車両VEが現在走行しているリンク、係るリンクより後に走行予定のリンクそれぞれに対して、WL種別を推定してよい。なお、推定部132は、車両VEが現在走行しているリンクについて推定したWL種別を運転者Dの大変度と定めてもよい。
【0129】
次に、生成部133は、ステップS704で得られた推定結果に基づいて、WL種別が異なるリンク同士を接続するノードが存在するか否かを判定する(ステップS705)。WL種別が異なるリンク同士を接続するノードが存在しない場合には(ステップS705;No)、ステップS702へと処理が移行される。
【0130】
一方、生成部133は、WL種別が異なるリンク同士を接続するノードが存在する場合には(ステップS705;Yes)、WL種別が変化する変化地点として検出する(ステップS706)。WL種別が変化する変化地点は、WL種別が変化する変化点の一例である。
【0131】
そして、生成部133は、変化地点の情報に基づいて、変化点情報を生成する(ステップS707)。例えば、生成部133は、車両VEの現在地と、WL種別が変化する変化地点によって接続されるリンクの距離とに基づいて、現在地から変化地点までの距離を算出し、算出した距離を変化点情報として生成する。また、生成部133は、車両VEの現在地と、WL種別が変化する変化地点によって接続されるリンクの距離とに基づいて、変化地点に車両VEが到達する予想時刻を算出し、算出した予想時刻を変化点情報として生成する。
【0132】
また、生成部133は、生成した変化点情報を制御結果記憶部122に登録する(ステップS708)。
【0133】
〔8.変化点情報の再生成と配信〕
図8は、変化点情報の再生成と、変化点情報の配信とに係る処理手順を示すフローチャートである。
【0134】
図8に示すように、車載装置200の状況把握エンジン231は、センサ情報等から得られた状況情報を定期的にサーバ装置100に送信してよい(ステップS801)。状況情報には、車両VEの走行状況に関する各種情報が含まれる。
【0135】
サーバ装置100の検出部134は、状況把握エンジン231が送信した状況情報を受信する(ステップS802)。
【0136】
そして、検出部134は、状況情報に基づいて、車両VEの走行シーンを識別し、前後の走行シーンに基づいて、走行シーンの変化を検出する(ステップS803)。
【0137】
例えば、検出部134は、走行シーンの変化として、車両VEの運転挙動の変化を検出する。一例として、検出部134は、車両VEの運転挙動の変化として、速度の大幅な低下、速度の大幅な上昇、一時停止、停止、徐行運転、カーブ、急発進、急ブレーキ、急ハンドル、衝撃等を検出してよい。
【0138】
また、検出部134は、走行シーンの変化として、WL種別が変化する変化地点に車両VEが侵入したか否かを検出してよい。例えば、
図6の例を用いると、検出部134は、変化地点CP23(ノードND23)に車両VEが侵入したか否かを検出してよい。
【0139】
また、検出部134は、走行シーンの変化として、走行予定経路に含まれるリンクのうち、車両VEが現在走行している第1のリンクの属性と、車両VEの進行方向に位置し第1のリンクと接続される第2のリンクの属性との比較に基づく属性変化を検出してよい。例えば、
図5の例において、車両VEが現在走行しているリンク102の属性が「広い道」であり、リンク102に接続される先のリンク103の属性が「狭い道」であり、「広い道」から「狭い道」へと属性変化することを、リンク102上の誘導ポイントで報知することが、誘導情報DBにおいて予め定められていたとする。係る場合、検出部134は、誘導情報DBに登録されている係る誘導情報に基づいて、「広い道」から「狭い道」へと属性変化することを検出することができ、車両VEが誘導ポイントに達した際には、走行シーンが変化したことを検出してよい。
【0140】
また、検出部134は、走行シーンの変化として、走行予定経路に含まれるリンのうち、車両VEが現在走行しているリンクに存在する所定の特徴地点に対応するエリアに車両VEが侵入したか否かを検出してよい。
【0141】
次に、判定部135は、検出部134による検出結果に基づいて、車両VEの現時点におけるWL種別が変化したか否かを判定する(ステップS804)。例えば、判定部135は、車両VEの現時点におけるWL種別として、車両VEが現在走行しているリンクでの運転者Dの大変度が変化したか否かを判定してよい。
【0142】
車両VEの現時点におけるWL種別に変化なしと判定された場合には(ステップS804;No)、ステップS803へと処理が戻される。
【0143】
一方、生成部133は、車両VEの現時点におけるWL種別に変化なしと判定された場合には(ステップS804;Yes)、
図7で説明した流れで生成済みの変化点情報を更新する必要性が高まったことを認識し、変化点情報を再生成する(ステップS805)。
【0144】
例えば、生成部133は、検出部134により走行シーンの変化を検出された場合には、
図7で説明した流れで変化点情報(予想時刻)を算出した際と、走行シーンの変化が検出された現在とでは、車両VEの速度が変化している可能性が高く(すなわち、予想時刻が変化している(誤差が生じている)可能性が高く)、予想時刻の再計算が必要であることを認識する。
【0145】
ここで、検出部134が、走行シーンの変化として、車両VEの「停止」を検出したことで、判定部135が、車両VEの現時点におけるWL種別が変化したと判定した場合を例に用いて、予想時刻を再計算する手法の一例を示す。例えば、生成部133は、車両VEが停止している時間を予測する。例えば、生成部133は、車両VEが停止した位置での統計情報に基づいて、車両VEが停止している時間を予測してよい。例えば、生成部133は、車両VEの停止時間「30秒」を予測したとすると、
図7で説明した流れで計算された予想時刻に対して「30秒」を加算することで、予想時刻を再計算する。
【0146】
図8の説明に戻り、配信部136は、ステップS805で再生成された変化点情報を車載装置200に配信する(ステップS806)。例えば、配信部136は、再生成された変化点情報として、変化地点に車両VEが到達する予想時刻の再計算結果を送信してよい。
【0147】
車載装置200の情報整合エンジン232は、配信部136が配信した変化点情報を受信する(ステップS807)。そして、情報整合エンジン232は、変化点情報に基づき、コンテンツを出力させる時刻を決定するためのスケジューリングを行う(ステップS808)。
【0148】
出力制御部233は、情報整合エンジン232によってスケジューリングされたタイミングでスピーカーSPからコンテンツが出力されるよう制御する(ステップS809)。
【0149】
〔9.スケジューリング処理の手順〕
次に、
図9を用いて、車載装置200によるスケジューリング処理の手順を説明する。
図9は、スケジューリング処理手順を示すフローチャートである。
【0150】
情報整合エンジン232は、アプリケーションAPから出力要求情報を受信したか否かを判定する(ステップS901)。出力要求情報には、出力条件(出力を許可する時刻条件、あるいは、出力を許可する地理的条件)と、出力対象のコンテンツとが含まれてよい。情報整合エンジン232は、出力要求情報を受信していない間は(ステップS901;No)、出力要求情報を受信できるまで待機する。
【0151】
一方、情報整合エンジン232は、出力要求情報を受信した場合には(ステップS901;Yes)、走行予定経路に含まれるリンクの中に、WL種別「FREE」を推定されているリンクが存在するか否かを判定する(ステップS902)。係る処理は、走行予定経路に含まれるリンクの中から、音声によりコンテンツを出力してよいと判断できるリンク(発話許容リンク)を探索する処理に相当する。情報整合エンジン232は、探索の結果、WL種別「FREE」を推定されているリンクが存在しなかった場合には(ステップS902;No)、スケジューリング処理を終了してよい。
【0152】
一方、情報整合エンジン232は、探索の結果、WL種別「FREE」を推定されているリンクが存在した場合には(ステップS902;Yes)、出力要求情報に含まれるコンテンツの再生時間長に基づいて、コンテンツの再生にかかる所要時間を推定する(ステップS903)。ここでいう所要時間とは、コンテンツの再生を開始してから終了するまでに必要とされる時間である。
【0153】
また、情報整合エンジン232は、WL種別「FREE」を推定されているリンクと、所要時間とに基づいて、係るリンクにおいて出力要求情報に含まれるコンテンツを出力可能か否か判定する(ステップS904)。例えば、情報整合エンジン232は、WL種別「FREE」を推定されているリンクの時間長が所要時間よりも十分長い場合には、出力要求情報に含まれるコンテンツを出力可能と判定してよい。
【0154】
情報整合エンジン232は、出力不可能である場合には(ステップS904;No)、スケジューリング処理を終了してよい。一方、情報整合エンジン232は、出力可能である場合には(ステップS904;Yes)、変化点情報に基づいて、コンテンツを出力させる予定の時刻を決定する(ステップS905)。例えば、情報整合エンジン232は、出力要求情報に含まれる出力条件を満たすように、コンテンツを出力させる予定の時刻を決定する。
【0155】
ここで、
図10を用いて、コンテンツを出力させる予定の時刻を決定するスケジューリング処理をより具体的に説明する。
図10は、実施形態に係るスケジューリング処理の具体例を示す図である。
【0156】
図10の例によれば、車両VEが位置PT2を走行している際に行われた処理によって、変化地点CP23を示す変化点情報として、車両VEが変化地点CP23に到達する予想時刻「14時15分」が算出され、また、変化地点CP34を示す変化点情報として、車両VEが変化地点CP34に到達する予想時刻「14時16分」が算出された例が示される。
【0157】
また、
図15の例によれば、生成部133は、その後車両VEが移動し現在時刻「14時14分」となった時点で、変化点情報を再計算することで、車両VEが変化地点CP23に到達する予想時刻を「14時17分」に更新し、車両VEが変化地点CP34に到達する予想時刻「14時18分」に更新している。
【0158】
係る例では、配信部136は、予想時刻「14時17分」を示す変化点情報と、予想時刻「14時18分」を示す変化点情報とを車載装置200に配信する。
【0159】
ここで、情報整合エンジン232は、コンテンツC1の出力要求情報と、コンテンツC2の出力要求情報とを受信したとすると、
図9で説明した流れで処理を進める。例えば、情報整合エンジン232は、コンテンツC1の出力条件も考慮した結果、リンク102でコンテンツC1を出力可能と判定したとすると、
図10に示すように、予想時刻「14時17分」までにコンテンツC1の再生が完了するような時刻を、コンテンツC1を出力させる予定の時刻として決定してよい。
【0160】
また、情報整合エンジン232は、コンテンツC2の出力条件も考慮した結果、リンク104でコンテンツC2を出力可能と判定したとすると、
図10に示すように、予想時刻「14時18分」以降の時間であって、車両VEがリンク104を通過し終わるまでにコンテンツC2の再生が完了するような時刻を、コンテンツC2を出力させる予定の時刻として決定してよい。
【0161】
〔10.変形例〕
上記実施形態では、情報整合エンジン232が、WL種別「FREE」が推定されているリンクを車両VEが走行する際にコンテンツが出力されるようスケジューリングする例を示した。しかしながら、情報整合エンジン232は、コンテンツに対して出力の重要度が定められている場合には、重要度によってはWL種別「BUSY」が推定されているリンクを車両VEが走行する際に出力されるようスケジューリングしてもよい。例えば、情報整合エンジン232は、重要度「低」であり運転者Dが聞き逃しても影響がないと推定されるコンテンツについては、WL種別「FREE」が推定されているリンクを車両VEが走行する際に出力されるようスケジューリングしてもよい。一方、情報整合エンジン232は、重要度「高」であり運転者Dが聞き逃してはいけない有益なコンテンツについては、WL種別「FREE」が推定されているリンクを車両VEが走行する際に出力されるようスケジューリングすることが好ましい。なお、情報整合エンジン232は、WL種別「BUSY」が推定されているリンクが運転者Dの生活圏に含まれる場合には、重要度「高」が定められているコンテンツが、WL種別「BUSY」のリンクを車両VEが走行する際に出力されるようスケジューリングしてもよい。
【0162】
〔11.ハードウェア構成〕
上述してきたサーバ装置100(情報処理装置の一例)は、例えば、
図11に示すような構成のコンピュータ1000によって実現されてよい。
図11は、サーバ装置100の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を有する。
【0163】
CPU1100は、ROM1300またはHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0164】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェイス1500は、所定の通信網を介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータを所定の通信網を介して他の機器へ送信する。
【0165】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイ等の出力装置、及び、キーボード等の入力装置を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータを入出力インターフェイス1600を介して出力装置へ出力する。
【0166】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0167】
例えば、コンピュータ1000が実施形態に係るサーバ装置100として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部130の機能を実現する。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から所定の通信網を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0168】
〔12.その他〕
また、上記各実施形態において説明した処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0169】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、サーバ装置100が行うものとして説明した処理の一部または全てが、車載装置200側で行われるよう構成されてもよい。
【0170】
また、上記各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0171】
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、本発明の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【符号の説明】
【0172】
1 システム
100 サーバ装置
120 記憶部
121 地図情報記憶部
122 制御結果記憶部
130 制御部
131 取得部
132 推定部
133 生成部
134 検出部
135 判定部
136 配信部
200 車載装置
231 状況把握エンジン
232 情報整合エンジン
233 出力制御部