(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084536
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】送信回路
(51)【国際特許分類】
H04B 3/04 20060101AFI20240618BHJP
G08C 19/02 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
H04B3/04 Z
G08C19/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198859
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(74)【代理人】
【識別番号】100202326
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 大佑
(72)【発明者】
【氏名】高畑 圭輔
(72)【発明者】
【氏名】入江 浩一
【テーマコード(参考)】
2F073
5K046
【Fターム(参考)】
2F073AA02
2F073AA03
2F073AA12
2F073AA25
2F073AA40
2F073AB01
2F073AB02
2F073BB04
2F073BC01
2F073CC01
2F073CC07
2F073CC12
2F073CD01
2F073CD28
2F073DD02
2F073DE07
2F073EE12
2F073FF12
2F073FG01
2F073FG02
2F073GG03
2F073GG07
2F073GG09
5K046AA01
5K046BA05
5K046BB06
5K046EF55
(57)【要約】
【課題】ソース電流及びシンク電流の非対称性に基づく発生部からの出力電圧の偏移を容易に補正可能な送信回路を提供する。
【解決手段】本開示に係る送信回路1は、デジタル信号となる出力電流Ioutと、出力電流Ioutに比例するミラー電流α・Ioutと、を出力する発生部10と、発生部10において出力電流Ioutが出力される第1端子11に接続され、信号非出力時の直流電位Vaを定める終端部20と、発生部10から出力されるミラー電流α・Ioutと、終端部20により定められた直流電位Vaと、に基づいて補正電流を生成する補正部30と、第1端子11及び補正部30に接続され、発生部10とフィールド側とをAC結合する結合部40と、を備え、補正電流は、発生部10からの出力電流Ioutにおいてソース電流及びシンク電流の非対称性により発生する平均電流を結合部40の入力端子側で低減するために用いられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信に用いられるアナログ信号に重畳して通信信号を生成するためのデジタル信号を出力する送信回路であって、
前記デジタル信号となる出力電流と、前記出力電流に比例するミラー電流と、を出力する発生部と、
前記発生部において前記出力電流が出力される第1端子に接続され、信号非出力時の直流電位を定める終端部と、
前記発生部から出力される前記ミラー電流と、前記終端部により定められた前記直流電位と、に基づいて補正電流を生成する補正部と、
前記第1端子及び前記補正部に接続され、前記発生部とフィールド側とをAC結合する結合部と、
を備え、
前記補正電流は、前記発生部からの前記出力電流においてソース電流及びシンク電流の非対称性により発生する平均電流を前記結合部の入力端子側で低減するために用いられる、
送信回路。
【請求項2】
請求項1に記載の送信回路であって、
前記補正部は、前記ミラー電流の一部を第1電圧に変換する変換部と、非反転入力端子で前記第1電圧を受け、反転入力端子で前記直流電位に対応する第2電圧を受けるオペアンプと、を有する、
送信回路。
【請求項3】
請求項2に記載の送信回路であって、
前記オペアンプは、ネガティブフィードバックにより前記第1電圧及び前記第2電圧が等しくなるように第1電流を出力し、前記第1電流に比例する第2電流を前記補正電流として前記発生部の前記第1端子に出力する、
送信回路。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の送信回路であって、
前記オペアンプは、前記平均電流に対応する低帯域においてより高いゲインを示し、通信に関わる高帯域においてより低いゲインを示す周波数特性を有する、
送信回路。
【請求項5】
請求項2又は3に記載の送信回路であって、
前記補正部は、前記発生部において前記ミラー電流が出力される第2端子と前記変換部との間に配置されているローパスフィルタを有する、
送信回路。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の送信回路であって、
前記終端部は、前記第1端子に接続されている終端抵抗群と、前記終端抵抗群と並列して配置され、前記直流電位を前記補正部に供給する分圧抵抗群と、を有する、
送信回路。
【請求項7】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の送信回路であって、
前記終端部は、前記第1端子に接続されている抵抗と、前記抵抗に接続されている参照電圧源と、を有し、
前記参照電圧源は、前記直流電位に対応する第2電圧を前記補正部に供給する、
送信回路。
【請求項8】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の送信回路であって、
前記通信信号は、HART信号である、
送信回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、送信回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フィールド機器などを制御するために用いられる通信であって、アナログ信号にデジタル信号が重畳された通信信号に基づく通信に関連する技術が知られている。例えば、特許文献1には、信頼性の向上及びコストの低減がなされたハイブリッド通信用の信号処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の信号処理装置に用いられるデジタル信号の送信回路では、デジタル信号となる出力電流が発生部から出力される。出力電流は、AC(Alternating Current)信号として出力され、正負の極性を有する。このような出力電流において、ソース電流である正電流とシンク電流である負電流との間で大きさが非対称であると、平均電流がゼロでなくなり、発生部からの出力電圧が偏移する。このような偏移は、出力電圧を発生部が動作可能な電圧範囲内に収めて発生部を正常に動作させるという観点であまり望ましくない。
【0005】
本開示は、ソース電流及びシンク電流の非対称性に基づく発生部からの出力電圧の偏移を容易に補正可能な送信回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
幾つかの実施形態に係る送信回路は、通信に用いられるアナログ信号に重畳して通信信号を生成するためのデジタル信号を出力する送信回路であって、前記デジタル信号となる出力電流と、前記出力電流に比例するミラー電流と、を出力する発生部と、前記発生部において前記出力電流が出力される第1端子に接続され、信号非出力時の直流電位を定める終端部と、前記発生部から出力される前記ミラー電流と、前記終端部により定められた前記直流電位と、に基づいて補正電流を生成する補正部と、前記第1端子及び前記補正部に接続され、前記発生部とフィールド側とをAC結合する結合部と、を備え、前記補正電流は、前記発生部からの前記出力電流においてソース電流及びシンク電流の非対称性により発生する平均電流を前記結合部の入力端子側で低減するために用いられる。
【0007】
これにより、ソース電流及びシンク電流の非対称性に基づく発生部からの出力電圧の偏移を容易に補正可能である。送信回路は、出力電流においてソース電流及びシンク電流の非対称性により発生する平均電流を低減する補正電流を生成することで、このような偏移の補正を可能にする。より具体的には、4mA~20mAのアナログ信号に重畳するデジタル信号の送信回路において、発生部から出力される出力電流のソース電流及びシンク電流の非対称性により発生する、出力電圧の平均電圧の偏移が補正可能である。したがって、信号出力時に結合コンデンサに生じる電圧振幅の許容値を緩和し、結合コンデンサの容量値を1/10程度に低減することも可能となる。送信回路は、大容量の結合コンデンサを用いずともHART通信用の回路として実現可能である。
【0008】
一実施形態における送信回路では、前記補正部は、前記ミラー電流の一部を第1電圧に変換する変換部と、非反転入力端子で前記第1電圧を受け、反転入力端子で前記直流電位に対応する第2電圧を受けるオペアンプと、を有してもよい。これにより、後述する分圧抵抗群からの第2電圧をオペアンプの反転入力で受け、変換部からの第1電圧をオペアンプの非反転入力で受けて、ネガティブフィードバックにより両者が等しくなるよう第1電流をオペアンプから出力することが可能となる。これにより、送信回路は、補正電流の基礎となる電流を生成可能である。
【0009】
一実施形態における送信回路では、前記オペアンプは、ネガティブフィードバックにより前記第1電圧及び前記第2電圧が等しくなるように第1電流を出力し、前記第1電流に比例する第2電流を前記補正電流として前記発生部の前記第1端子に出力してもよい。これにより、上述したように、ソース電流及びシンク電流の非対称性に基づく発生部からの出力電圧の偏移が補正可能となる。
【0010】
一実施形態における送信回路では、前記オペアンプは、前記平均電流に対応する低帯域においてより高いゲインを示し、通信に関わる高帯域においてより低いゲインを示す周波数特性を有してもよい。これにより、出力電圧の偏移を補正する対象領域となる数Hz以下の低帯域において、十分なゲインで必要な補正量を容易に得ることができる。一方で、数kHz程度の通信帯域(高帯域)においてゲインを十分に小さくして、HART通信における通信信号の波形への影響を抑制することが可能となる。例えば、高帯域において約-26dB以下のゲインが得られていれば、通信信号の振幅への影響を5%以下とすることも可能となる。
【0011】
一実施形態における送信回路では、前記補正部は、前記発生部において前記ミラー電流が出力される第2端子と前記変換部との間に配置されているローパスフィルタを有してもよい。これにより、オペアンプは、
図4に示されるような独特の周波数特性を有する必要がない。したがって、送信回路は、補正部に用いられるオペアンプとして、
図4に示されるような独特の周波数特性を有する専用のものに代えて、汎用のものを使用することも可能となる。これにより、送信回路の汎用性が向上する。
【0012】
一実施形態における送信回路では、前記終端部は、前記第1端子に接続されている終端抵抗群と、前記終端抵抗群と並列して配置され、前記直流電位を前記補正部に供給する分圧抵抗群と、を有してもよい。例えば、終端抵抗群に含まれる第1抵抗及び第2抵抗、並びに分圧抵抗群に含まれる第3抵抗及び第4抵抗の各々の抵抗値は、第1抵抗及び第2抵抗に基づく分圧比と第3抵抗及び第4抵抗に基づく分圧比とが互いに同一となるように定められる。以上により、終端抵抗群により定められた直流電位を、分圧抵抗群から補正部に対しても同様に供給することが可能となる。
【0013】
一実施形態における送信回路では、前記終端部は、前記第1端子に接続されている抵抗と、前記抵抗に接続されている参照電圧源と、を有し、前記参照電圧源は、前記直流電位に対応する第2電圧を前記補正部に供給してもよい。
【0014】
これにより、終端部は、終端抵抗群及び分圧抵抗群を並列に配置して互いの分圧比が同一となるように抵抗値を調整又は設計する必要がなく、1つの参照電圧源に基づいて共通して直流電位を定めることが可能となる。終端抵抗群及び分圧抵抗群における分圧比が互いに同一となるように抵抗値を精度良く調整又は設計することは容易でなく、
図7に示されるような構成に基づけば、このような調整又は設計に関する作業の負担が軽減される。
【0015】
一実施形態における送信回路では、前記通信信号は、HART信号であってもよい。これにより、送信回路は、HART通信用の回路として実現可能である。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、ソース電流及びシンク電流の非対称性に基づく発生部からの出力電圧の偏移を容易に補正可能な送信回路を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本開示の一実施形態に係る送信回路の概略構成を示す模式図である。
【
図2】
図1の送信回路の動作を説明するための第1図である。
【
図3】
図1の送信回路の動作を説明するための第2図である。
【
図4】
図1の送信回路の動作を説明するための第3図である。
【
図5】
図1の送信回路の動作を説明するための第4図である。
【
図6】本開示の第1変形例に係る送信回路の概略構成を示す模式図である。
【
図7】本開示の第2変形例に係る送信回路の概略構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
従来技術の背景及び問題点についてより詳細に説明する。
【0019】
従来、フィールド機器などを制御するためのシステムにおける入出力装置又は伝送器などにおいて、4mA~20mAのDC(Direct Current)のアナログ信号にACのデジタル信号を重畳させた通信信号を用いて制御通信を行う技術が知られている。例えば、HART(Highway Addressable Remote Transducer)通信方式に基づく通信などが知られている。このような通信に用いられるデジタル信号の従来の送信回路は、例えば、後述する
図1において第2端子12、分圧抵抗群22、及び補正部30を省略したものと等価である。
【0020】
従来の送信回路は、フィールド機器が配置されるフィールド側の負荷に対してデジタル信号となる出力電流Ioutを出力する発生部を有する。発生部が出力する出力電流Ioutは、AC信号であり、正負の極性を有する。送信回路では、信号非出力時における発生部からの出力電圧Voutは、終端抵抗に基づいて定まる。送信回路において発生部が正常に動作するためには、出力電圧Voutを、発生部が動作可能な電圧、すなわちコンプライアンス電圧の範囲内に収める必要がある。
【0021】
このような従来の送信回路において、信号出力時には出力電流Ioutが負荷インピーダンスに流れることでVoutノードに電圧振幅が生じることが1つ目の問題となる。負荷インピーダンスは、終端抵抗、発生部とフィールド側とをAC結合する結合コンデンサCのインピーダンス、及びフィールド側での負荷インピーダンスZLを含む。加えて、発生部が出力する出力電流Ioutにおいて、ソース電流である正電流とシンク電流である負電流との間で大きさが非対称であると、平均電流がゼロでなくなり、発生部からの出力電圧Voutが偏移することが2つ目の問題となる。
【0022】
上記2つの問題によって、例えば、出力電圧Voutについて偏移量と電圧振幅とを足し合わせた値がコンプライアンス電圧の範囲内に収まらなくなることも想定される。
【0023】
1つ目の問題の対策として、負荷インピーダンスを低減することが考えられる。しかしながら、負荷インピーダンスを決める要素のうち上記の負荷インピーダンスZLは、通信規格に基づいて規定される。終端抵抗は、結合コンデンサCの通信帯域におけるインピーダンスに対して十分に高くする必要がある。これは、通信規格によるインピーダンスの制約を満たすため、及び出力電流Ioutの終端抵抗への分流を抑制するためである。したがって、負荷インピーダンスを低減するためには、結合コンデンサCの容量値を増大させる必要がある。2つ目の問題の対策として、終端抵抗値を低減すること、及び発生部のソース電流とシンク電流との間の対称性を向上させることなどが考えられる。
【0024】
従来技術においては、これらの対策を組み合わせることで、上記2つの問題を解決していた。
【0025】
しかしながら、フィールド側の端子は高電圧であるため、結合コンデンサCは高耐圧である必要がある。高耐圧で、かつ大容量のコンデンサは、高価であり、サイズも大きく、かつ入手が困難であるといったデメリットを有する。したがって、結合コンデンサCにおいて必要になる容量値を、これらのデメリットが緩和される程度に小さく抑えることが望ましい。例えば、結合コンデンサCの容量値として、0.1μF程度が想定される。
【0026】
機能安全適合が必要な製品においては、検出できない危険側故障率(λDU)を抑制するために、結合コンデンサCは2つのコンデンサの直列接続とする対策がなされる。したがって、結合コンデンサCにおいて必要になる容量値及び個数は2倍になる。さらに、例えば、フィールド機器などを制御するためのシステムにおける入出力装置は、一般的に複数の測定チャネルを有するため、測定チャネルの数分だけ結合コンデンサCが必要となる。
【0027】
終端抵抗値を低減する場合、インピーダンスが低下するというデメリットがある。例えば、HART通信方式ではインピーダンスの下限規定が存在し、終端抵抗値の低減には限度がある。ソース電流とシンク電流との間の対称性の向上をIC(Integrated Circuit)で実現する場合、トランジスタのサイズが増大し、それに伴うコスト増加のデメリットがある。
【0028】
本開示は、以上のような問題点を解決するために、ソース電流及びシンク電流の非対称性に基づく発生部からの出力電圧Voutの偏移を容易に補正可能な送信回路を提供することを目的とする。より具体的には、4mA~20mAのアナログ信号に重畳するデジタル信号の送信回路において、発生部から出力される出力電流Ioutのソース電流及びシンク電流の非対称性により発生する、出力電圧Voutの平均電圧の偏移を補正する。これにより、信号出力時に結合コンデンサCに生じる電圧振幅の許容値を緩和し、結合コンデンサCの容量値を低減することを目的とする。
【0029】
以下では、添付図面を参照しながら本開示の一実施形態について主に説明する。
【0030】
図1は、本開示の一実施形態に係る送信回路1の概略構成を示す模式図である。
図1を参照しながら、一実施形態に係る送信回路1の構成について主に説明する。
【0031】
図1に示されるように、送信回路1は、発生部10と、終端部20と、補正部30と、結合部40と、を有する。送信回路1は、通信に用いられるアナログ信号に重畳して通信信号を生成するためのデジタル信号を出力する。
【0032】
本開示において、「通信」は、例えば、HART通信方式に基づくものを含む。より具体的には、通信は、フィールド機器などを制御するためのシステムにおける入出力装置又は伝送器などにおいて使用される。通信は、4mA~20mAのDCのアナログ信号にACのデジタル信号を重畳させた通信信号に基づいて行われる。通信信号は、送信回路1によって出力されたデジタル信号を所定の回路を用いてアナログ信号と重畳させることで生成される。通信信号は、例えば、HART信号である。
【0033】
本開示において、「デジタル信号」は、例えば、デジタル値の0を2.2kHz、デジタル値の1を1.2kHzとして変調された正弦波及び台形波などの交流波を示す信号を含む。したがって、送信回路1を用いた通信の通信帯域は、1.2kHz~2.2kHzの範囲に含まれる。
【0034】
発生部10は、任意の電流源を含む。発生部10は、デジタル信号となる出力電流Ioutを出力する。発生部10は、出力電流Ioutに比例するミラー電流α・Ioutを出力する。発生部10は、出力電流Ioutを出力する第1端子11と、ミラー電流α・Ioutを出力する第2端子12と、を有する。発生部10は、電源などによって定まる電位を有する基準線Lに接続されている第3端子13をさらに有する。発生部10は、回路動作の基準となる電位を有するグランドに接続されている第4端子14をさらに有する。
【0035】
終端部20は、発生部10において出力電流Ioutが出力される第1端子11に接続され、信号非出力時の直流電位Vaを定める。終端部20は、第1端子11に接続されている終端抵抗群21を有する。終端抵抗群21は、各々の一端が第1端子11に接続されている第1抵抗R1及び第2抵抗R2を有する。第1抵抗R1の他端は、基準線Lに接続されている。第2抵抗R2の他端は、グランドに接続されている。終端抵抗群21は、基準線Lとグランドとの間の電圧を第1抵抗R1及び第2抵抗R2により分圧することで上記の直流電位Vaを定める。
【0036】
終端部20は、終端抵抗群21に加えて、分圧抵抗群22も有する。分圧抵抗群22は、終端抵抗群21と並列して配置され、終端抵抗群21により定められた直流電位Vaを補正部30に供給する。分圧抵抗群22は、各々の一端が補正部30に接続されている第3抵抗R3及び第4抵抗R4を有する。第3抵抗R3の他端は、基準線Lに接続されている。第4抵抗R4の他端は、グランドに接続されている。
【0037】
第1抵抗R1、第2抵抗R2、第3抵抗R3、及び第4抵抗R4の各々の抵抗値は、第1抵抗R1及び第2抵抗R2に基づく分圧比と第3抵抗R3及び第4抵抗R4に基づく分圧比とが互いに同一となるように定められる。これにより、終端抵抗群21により定められた直流電位Vaが、分圧抵抗群22から補正部30に対しても同様に供給される。
【0038】
補正部30は、発生部10から出力されるミラー電流α・Ioutと、終端部20により定められた直流電位Vaと、に基づいて補正電流を生成する。補正電流は、発生部10からの出力電流Ioutにおいてソース電流及びシンク電流の非対称性により発生する平均電流を結合部40の入力端子側、すなわち発生部10の第1端子11で低減するために用いられる。
【0039】
補正部30は、発生部10の第2端子12に接続され、第2端子12から出力されるミラー電流α・Ioutの一部である電流I1を第1電圧V1に変換する変換部31を有する。変換部31は、任意のI-V変換回路を含む。
【0040】
補正部30は、変換部31及び分圧抵抗群22に接続されているオペアンプ32を有する。オペアンプ32は、非反転入力端子で第1電圧V1を受け、反転入力端子で直流電位Vaに対応する第2電圧V2を受ける。オペアンプ32は、ネガティブフィードバックにより第1電圧V1及び第2電圧V2が等しくなるように第1電流Ic1を出力し、第1電流Ic1に比例する第2電流Ic2(=1/α・Ic1)を上記の補正電流として発生部10の第1端子11に出力する。
【0041】
結合部40は、発生部10の第1端子11及び補正部30に接続され、発生部10とフィールド側とをAC結合する。結合部40は、一端が第1端子11に接続され、他端が負荷インピーダンスZLを有するフィールド側の負荷に接続されている結合コンデンサCを有する。本開示において、「フィールド側」は、送信回路1に対してフィールド機器が配置される側を意味する。
【0042】
フィールド機器は、被測定対象となる物理量に対する測定処理を実行して測定値を取得する任意の機器を含む。本開示において、「物理量」は、例えばフィールド機器が配置されているプラント設備において発生した気体及び液体などを含む流体の温度、圧力、流量、及びPH、並びにプラント設備の腐食度及び振動量などを含む。これに限定されず、物理量は、バルブ、モータ、及びリレーなどを含むアクチュエータに関連する、温度及び圧力などを含む状態パラメータを含む。
【0043】
本開示において、「プラント設備」は、例えば化学などの工業プラントの他、ガス田及び油田などを含む井戸元、並びにその周辺を管理制御するプラントを含む。その他にも、プラント設備は、水力、火力、及び原子力などの発電を管理制御するプラント、太陽光及び風力などの環境発電を管理制御するプラント、並びに上下水及びダムなどを管理制御するプラントなどを含んでもよい。
【0044】
図2は、
図1の送信回路1の動作を説明するための第1図である。
図2は、発生部10からの出力電圧Voutの信号波形の第1例を示す。
図2では、出力電圧Voutは、一例として、直流電位Vaを中心に一定の周波数で正弦波状に変化する信号波形を示す。発生部10からの出力電流Ioutにおいて、ソース電流である正電流とシンク電流である負電流との間で大きさが対称、すなわち同一であり、理想的な状態である場合、出力電圧Voutも対称的な信号波形を示す。より具体的には、出力電圧Voutは、平均電圧Vaveが直流電位Vaに対応して一定のまま、平均電圧Vaveを中心に一定の周波数で正弦波状に変化する信号波形を示す。
【0045】
図3は、
図1の送信回路1の動作を説明するための第2図である。
図3は、発生部10からの出力電圧Voutの信号波形の第2例を示す。
図3では、出力電圧Voutは、一例として、直流電位Vaから所定の電位差ΔVだけ平均電圧Vaveが偏移しながら、一定の周波数で正弦波状に変化する信号波形を示す。発生部10からの出力電流Ioutにおいて、ソース電流である正電流とシンク電流である負電流との間で大きさが非対称である場合、終端抵抗群21に出力電流Ioutの平均電流が流れ、出力電圧Voutの平均電圧Vaveが直流電位Vaに対して電位差ΔVだけ偏移する。
図3に示される例では、ソース電流がシンク電流よりも大きくなり、電位差ΔVが正となって、出力電圧Voutが直流電位Vaに対し正の方向に電位差ΔVだけオフセットを受けている。
【0046】
図1に示されるように、発生部10は、出力電流Ioutを第1端子11から出力すると同時に、出力電流Ioutに比例するミラー電流α・Ioutを第2端子12から補正部30に出力する。αは、第1電圧V1がオペアンプ32の入力電圧範囲内に収まるように設定される。加えて、終端抵抗群21における分圧比と分圧抵抗群22における分圧比とが互いに同一であることで、分圧抵抗群22により、信号非出力時のVoutノードの直流電位Vaを得る。
【0047】
補正部30においてI-V変換回路として機能する変換部31の伝達式は以下のとおりである。
【0048】
【数1】
ここで、βは定数であり、第1電圧V1がオペアンプ32の入力電圧範囲内に収まるように設定される。式1によれば、I1=α・Iout-Ic1=0mAであるとき、オペアンプ32における非反転入力と反転入力との間で電圧が等しくなる。
【0049】
図4は、
図1の送信回路1の動作を説明するための第3図である。
図4は、補正部30に含まれるオペアンプ32の周波数特性の一例を示す。オペアンプ32は、平均電流に対応する低帯域RLにおいてより高いゲインを示し、通信に関わる高帯域RHにおいてより低いゲインを示す周波数特性を有する。より具体的には、オペアンプ32は、数Hz以下の低帯域RLにおいて出力電圧Voutの偏移を補正するために必要となる補正量を得るうえで十分となるゲインを有する。オペアンプ32は、HART通信における通信信号の波形への影響を抑制するために、数kHz程度の通信帯域(高帯域RH)において十分に小さいゲインを有する。例えば、通信信号の振幅への影響を5%以下とするためには、高帯域RHにおいてゲインが約-26dB以下であればよい。
【0050】
図5は、
図1の送信回路1の動作を説明するための第4図である。
図5は、発生部10からのミラー電流α・Iout及び第1電流Ic1の信号波形の一例を示す。
図5に示す波形は、第2電流Ic2によるフィードフォワードがかかっていないと仮定したときのものである。オペアンプ32は、ミラー電流α・Ioutの平均電流(α・Iout)aveを打ち消すように第1電流Ic1を出力する。さらに、第1電流Ic1の1/α倍の第2電流Ic2がVoutノードに出力されることにより、出力電流Ioutの平均電流を打ち消すようなフィードフォワードがかかる。
【0051】
以上により、送信回路1は、フィールド側の負荷によらず安定に、かつ通信信号への影響が抑制された状態で、出力電圧Voutの直流電位の偏移ΔVを補正する。結果、送信回路1は、ΔVが小さくなる分、結合コンデンサCの容量値を低減可能である。
【0052】
このような効果を、数値例を用いて具体的に示す。HART通信に用いられる送信回路1と比較される従来技術において、C=1μF、ZL=200Ω、Iout=3mAppとする。このとき、Voutに生じる電圧振幅は、以下のとおりである。
【0053】
【数2】
ここで、HART通信における通信信号の代表的な周波数として1200Hzという値を用いた。
【0054】
加えて、ソースシンク非対称性を±4%とする。本開示において、「ソースシンク非対称性」は、例えば、出力電流Ioutにおいてソース電流の大きさとシンク電流の大きさとが互いに異なる場合の、シンク電流の振幅の絶対値に対するソース電流の振幅の絶対値の割合を意味する。例えば、ソースシンク非対称性が+4%である場合、ソース電流の振幅の絶対値は、シンク電流の振幅の絶対値に対して104%の大きさとなる。例えば、ソースシンク非対称性が-4%である場合、ソース電流の振幅の絶対値は、シンク電流の振幅の絶対値に対して96%の大きさとなる。
【0055】
さらに、発生部10から出力される出力電流Ioutの波形は台形波であり、終端抵抗群21に含まれる第1抵抗R1及び第2抵抗R2の各々の抵抗値は200kΩであるとする。すると、出力電圧Voutに生じる直流電位の偏移は以下のとおり計算される。
【0056】
【数3】
なお、ソースシンク非対称性が±4%のときのそれぞれの平均電流の値である±25.779μAは、シミュレーションにより算出したものである。
【0057】
以上により、式(2)及び(3)に基づく出力電圧Voutの電圧範囲は、1.0Vpp+5.2Vpp=6.2Vppとなる。このように、従来技術では出力電圧Voutの電圧範囲が大きくなり、コンプライアンス電圧の範囲内に収まらなくなることも想定される。
【0058】
一方で、本開示の一実施形態に係る送信回路1によれば、信号出力時に結合コンデンサCに生じる電圧振幅の許容値を緩和し、結合コンデンサCの容量値を低減することが可能となる。
【0059】
より具体的には、ミラー電流α・Ioutにおける比例係数αのばらつきを±5%、1/αのばらつきを±5%、及びオペアンプ32の直流でのゲインを30dBとする。比例係数αのばらつきは、回路のばらつきに起因するものである。このとき、第2電流Ic2の理想値、すなわち出力電流Ioutの平均電流値に対する誤差は、以下のとおり計算される。
【0060】
【数4】
ここで、α及び1/αのばらつきは独立事象とし、二乗和平方根とした。
【0061】
以上により、式(3)で計算された直流電位の偏移は、±2.6Vの11.2%である±0.3Vに低減する。したがって、2.6V-0.3V=2.3V(4.6Vpp)が、結合コンデンサCに生じる電圧振幅に割り当てることができる。結果として、結合コンデンサCに必要な容量値は、以下のとおり計算される。
【0062】
【数5】
式(5)より、C=0.080μFと計算される。
【0063】
以上により、上記仮定においては、結合コンデンサCに必要な容量値が1μFから0.080μFにまで低減可能であることが分かる。
【0064】
以上のような一実施形態に係る送信回路1によれば、ソース電流及びシンク電流の非対称性に基づく発生部10からの出力電圧Voutの偏移ΔVを補正可能である。送信回路1は、出力電流Ioutにおいてソース電流及びシンク電流の非対称性により発生する平均電流を低減する補正電流を生成することで、このような偏移ΔVの補正を可能にする。より具体的には、4mA~20mAのアナログ信号に重畳するデジタル信号の送信回路1において、発生部10から出力される出力電流Ioutのソース電流及びシンク電流の非対称性により発生する、出力電圧Voutの平均電圧の偏移が補正可能である。したがって、信号出力時に結合コンデンサCに生じる電圧振幅の許容値を緩和し、結合コンデンサCの容量値を1/10程度に低減することも可能となる。送信回路1は、大容量の結合コンデンサCを用いずともHART通信用の回路として実現可能である。
【0065】
補正部30は、変換部31とオペアンプ32とを有する。これにより、分圧抵抗群22からの第2電圧V2をオペアンプ32の反転入力で受け、変換部31からの第1電圧V1をオペアンプ32の非反転入力で受けて、ネガティブフィードバックにより両者が等しくなるよう第1電流Ic1をオペアンプ32から出力することが可能となる。これにより、送信回路1は、補正電流の基礎となる電流を生成可能である。
【0066】
オペアンプ32は、ネガティブフィードバックにより第1電圧V1及び第2電圧V2が等しくなるように第1電流Ic1を出力し、第1電流Ic1に比例する第2電流Ic2を補正電流として発生部10の第1端子11に出力する。これにより、上述したように、ソース電流及びシンク電流の非対称性に基づく発生部10からの出力電圧Voutの偏移ΔVが補正可能となる。
【0067】
オペアンプ32は、平均電流に対応する低帯域RLにおいてより高いゲインを示し、通信に関わる高帯域RHにおいてより低いゲインを示す周波数特性を有する。これにより、出力電圧Voutの偏移を補正する対象領域となる数Hz以下の低帯域RLにおいて、十分なゲインで必要な補正量を容易に得ることができる。一方で、数kHz程度の通信帯域(高帯域RH)においてゲインを十分に小さくして、HART通信における通信信号の波形への影響を抑制することが可能となる。例えば、高帯域RHにおいて約-26dB以下のゲインが得られていれば、通信信号の振幅への影響を5%以下とすることも可能となる。
【0068】
終端部20は、第1端子11に接続されている終端抵抗群21と、終端抵抗群21と並列して配置され、直流電位Vaを補正部30に供給する分圧抵抗群22と、を有する。例えば、第1抵抗R1、第2抵抗R2、第3抵抗R3、及び第4抵抗R4の各々の抵抗値は、第1抵抗R1及び第2抵抗R2に基づく分圧比と第3抵抗R3及び第4抵抗R4に基づく分圧比とが互いに同一となるように定められる。以上により、終端抵抗群21により定められた直流電位Vaを、分圧抵抗群22から補正部30に対しても同様に供給することが可能となる。
【0069】
通信信号がHART信号であることで、送信回路1は、HART通信用の回路として実現可能である。
【0070】
本開示は、その精神又はその本質的な特徴から離れることなく、上述した実施形態以外の他の所定の形態で実現できることは当業者にとって明白である。したがって、先の記述は例示的であり、これに限定されない。開示の範囲は、先の記述によってではなく、付加した請求項によって定義される。あらゆる変更のうちその均等の範囲内にあるいくつかの変更は、その中に包含されるとする。
【0071】
例えば、上述した各構成部の形状、大きさ、配置、向き、及び個数は、上記の説明及び図面における図示の内容に限定されない。各構成部の形状、大きさ、配置、向き、及び個数は、その機能を実現できるのであれば、任意に構成されてもよい。図示した送信回路1の各構成要素は機能概念的なものであり、各構成要素の具体的形態は図示のものに限定されない。
【0072】
図6は、本開示の第1変形例に係る送信回路1の概略構成を示す模式図である。上記実施形態では、補正部30は、変換部31とオペアンプ32とを有すると説明したが、これに限定されない。補正部30は、補正電流を生成可能な任意の他の構成を有してもよい。例えば、補正部30は、変換部31及びオペアンプ32に加えて、ローパスフィルタ33を有してもよい。ローパスフィルタ33は、発生部10においてミラー電流α・Ioutが出力される第2端子12と変換部31との間に配置されている。ローパスフィルタ33は、例えば、
図4で示すオペアンプ32の周波数特性と同様の周波数特性を有する。
【0073】
補正部30がローパスフィルタ33を有することで、オペアンプ32は、
図4に示されるような独特の周波数特性を有する必要がない。したがって、送信回路1は、補正部30に用いられるオペアンプ32として、
図4に示されるような独特の周波数特性を有する専用のものに代えて、汎用のものを使用することも可能となる。これにより、送信回路1の汎用性が向上する。
【0074】
上記実施形態では、オペアンプ32は、ネガティブフィードバックにより第1電圧V1及び第2電圧V2が等しくなるように第1電流Ic1を出力し、第1電流Ic1に比例する第2電流Ic2を補正電流として発生部10の第1端子11に出力すると説明したが、これに限定されない。補正部30は、任意の他の原理に基づいて補正電流を生成してもよい。
【0075】
上記実施形態では、オペアンプ32は、平均電流に対応する低帯域RLにおいてより高いゲインを示し、通信に関わる高帯域RHにおいてより低いゲインを示す周波数特性を有すると説明したが、これに限定されない。
図6を用いて上述したとおり、補正部30がローパスフィルタ33を有するとき、オペアンプ32は、汎用のものであってもよく、
図4に示されるような独特の周波数特性に代わる一般的な周波数特性を有してもよい。
【0076】
図7は、本開示の第2変形例に係る送信回路1の概略構成を示す模式図である。上記実施形態では、終端部20は、第1端子11に接続されている終端抵抗群21と、終端抵抗群21と並列して配置され、直流電位Vaを補正部30に供給する分圧抵抗群22と、を有すると説明したが、これに限定されない。終端部20は、発生部10において出力電流Ioutが出力される第1端子11に接続され、信号非出力時の直流電位Vaを定めつつ、直流電位Vaを補正部30に供給することが可能な任意の他の構成を有してもよい。
【0077】
例えば、終端部20は、第1端子11に接続されている、抵抗値R5を有する抵抗23と、抵抗23に接続されている参照電圧源24と、を有してもよい。参照電圧源24は、直流電位Vaに対応する第2電圧V2を補正部30に供給してもよい。
【0078】
これにより、終端部20は、終端抵抗群21及び分圧抵抗群22を並列に配置して互いの分圧比が同一となるように抵抗値を調整又は設計する必要がなく、1つの参照電圧源24に基づいて共通して直流電位Vaを定めることが可能となる。終端抵抗群21及び分圧抵抗群22における分圧比が互いに同一となるように抵抗値を精度良く調整又は設計することは容易でなく、
図7に示されるような構成に基づけば、このような調整又は設計に関する作業の負担が軽減される。
【0079】
上記実施形態では、通信信号はHART信号であると説明したが、これに限定されない。通信信号は、任意の他の通信方式に基づくものであってもよい。
【0080】
以下に本開示の実施形態の一部について例示する。しかしながら、本開示の実施形態はこれらに限定されない点に留意されたい。
[付記1]
通信に用いられるアナログ信号に重畳して通信信号を生成するためのデジタル信号を出力する送信回路であって、
前記デジタル信号となる出力電流と、前記出力電流に比例するミラー電流と、を出力する発生部と、
前記発生部において前記出力電流が出力される第1端子に接続され、信号非出力時の直流電位を定める終端部と、
前記発生部から出力される前記ミラー電流と、前記終端部により定められた前記直流電位と、に基づいて補正電流を生成する補正部と、
前記第1端子及び前記補正部に接続され、前記発生部とフィールド側とをAC結合する結合部と、
を備え、
前記補正電流は、前記発生部からの前記出力電流においてソース電流及びシンク電流の非対称性により発生する平均電流を前記結合部の入力端子側で低減するために用いられる、
送信回路。
[付記2]
付記1に記載の送信回路であって、
前記補正部は、前記ミラー電流の一部を第1電圧に変換する変換部と、非反転入力端子で前記第1電圧を受け、反転入力端子で前記直流電位に対応する第2電圧を受けるオペアンプと、を有する、
送信回路。
[付記3]
付記2に記載の送信回路であって、
前記オペアンプは、ネガティブフィードバックにより前記第1電圧及び前記第2電圧が等しくなるように第1電流を出力し、前記第1電流に比例する第2電流を前記補正電流として前記発生部の前記第1端子に出力する、
送信回路。
[付記4]
付記2又は3に記載の送信回路であって、
前記オペアンプは、前記平均電流に対応する低帯域においてより高いゲインを示し、通信に関わる高帯域においてより低いゲインを示す周波数特性を有する、
送信回路。
[付記5]
付記2乃至4のいずれか1つに記載の送信回路であって、
前記補正部は、前記発生部において前記ミラー電流が出力される第2端子と前記変換部との間に配置されているローパスフィルタを有する、
送信回路。
[付記6]
付記1乃至5のいずれか1つに記載の送信回路であって、
前記終端部は、前記第1端子に接続されている終端抵抗群と、前記終端抵抗群と並列して配置され、前記直流電位を前記補正部に供給する分圧抵抗群と、を有する、
送信回路。
[付記7]
付記1乃至5のいずれか1つに記載の送信回路であって、
前記終端部は、前記第1端子に接続されている抵抗と、前記抵抗に接続されている参照電圧源と、を有し、
前記参照電圧源は、前記直流電位に対応する第2電圧を前記補正部に供給する、
送信回路。
[付記8]
付記1乃至7のいずれか1つに記載の送信回路であって、
前記通信信号は、HART信号である、
送信回路。
【符号の説明】
【0081】
1 送信回路
10 発生部
11 第1端子
12 第2端子
13 第3端子
14 第4端子
20 終端部
21 終端抵抗群
22 分圧抵抗群
23 抵抗
24 参照電圧源
30 補正部
31 変換部
32 オペアンプ
33 ローパスフィルタ
40 結合部
C 結合コンデンサ
L 基準線
R1 第1抵抗
R2 第2抵抗
R3 第3抵抗
R4 第4抵抗
RH 高帯域
RL 低帯域