(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084537
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】保冷用の梱包容器、及び梱包体
(51)【国際特許分類】
B65D 81/38 20060101AFI20240618BHJP
B65D 77/04 20060101ALI20240618BHJP
F25D 3/14 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
B65D81/38 A
B65D81/38 Q
B65D77/04 C
F25D3/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198860
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】520393613
【氏名又は名称】平尾 英三
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(72)【発明者】
【氏名】平尾 英三
【テーマコード(参考)】
3E067
3L044
【Fターム(参考)】
3E067AB01
3E067AB16
3E067AB20
3E067AB26
3E067AC03
3E067BA06C
3E067BA09B
3E067BA12B
3E067BB01B
3E067BB02C
3E067BB14B
3E067BB15B
3E067BB16B
3E067BC06B
3E067BC06C
3E067BC07B
3E067BC07C
3E067CA18
3E067EA01
3E067EA24
3E067FA03
3E067FC01
3E067GA01
3E067GA11
3E067GD10
3L044AA04
3L044BA03
3L044CA04
3L044DC02
3L044KA01
3L044KA04
(57)【要約】
【課題】保冷性に優れるとともに、梱包作業を簡素化することが可能な梱包容器を提供すること。
【解決手段】第1紙基材10Bとその表面の少なくとも一部を被覆する第1樹脂シート10Aとを有する第1封止部材10と、第2紙基材20Bとその表面の少なくとも一部を被覆する第2樹脂シート20Aとを有する第2封止部材20と、被梱包物とこれを取り囲む断熱部材42、及び前記第1封止部材10を収容する樹脂製の袋体30と、を備え、袋体30を封止するように折り畳まれて形成される袋体30の折り畳み部32が、第1封止部材10の第1樹脂シート10Aによる被覆面13と、第2封止部材20の第2樹脂シート20Aによる被覆面23と、に挟まれた封止構造90を有する、保冷用の梱包容器を提供する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1紙基材とその表面の少なくとも一部を被覆する第1樹脂シートとを有する第1封止部材と、
第2紙基材とその表面の少なくとも一部を被覆する第2樹脂シートとを有する第2封止部材と、
被梱包物とこれを取り囲む断熱部材、及び前記第1封止部材を収容する樹脂製の袋体と、を備え、
前記袋体を封止するように折り畳まれて形成される前記袋体の折り畳み部が、前記第1封止部材の前記第1樹脂シートによる被覆面と、前記第2封止部材の前記第2樹脂シートによる被覆面と、に挟まれた封止構造を有する、保冷用の梱包容器。
【請求項2】
前記袋体を収容する外箱を備え、前記封止構造は前記外箱によって拘束される、請求項1に記載の保冷用の梱包容器。
【請求項3】
前記第1封止部材は、前記断熱部材で構成される側壁部の上端側に被せられる蓋体であり、前記側壁部とともに前記被梱包物を収容する閉鎖空間を形成する、請求項1に記載の保冷用の梱包容器。
【請求項4】
前記第2封止部材は、前記外箱を閉鎖する蓋部材と前記折り畳み部との間に配置される板状の部材である、請求項2に記載の保冷用の梱包容器。
【請求項5】
前記断熱部材で取り囲まれる収容部には、前記被梱包物とともにドライアイスが収容される、請求項1に記載の保冷用の梱包容器。
【請求項6】
前記断熱部材は、キッチンペーパー及びパルプモールドの少なくとも一方を含有する、請求項1に記載の保冷用の梱包容器。
【請求項7】
前記断熱部材及び前記外箱は紙材で構成される、請求項2に記載の保冷用の梱包容器。
【請求項8】
前記第1樹脂シート及び前記第2樹脂シートが、ポリエチレン製又はポリプロピレン製であり、
前記袋体は高密度ポリエチレン製である、請求項1に記載の保冷用の梱包容器。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の梱包容器と、
前記梱包容器に収容される被梱包物及びドライアイスと、を備える、梱包体。
【請求項10】
前記被梱包物は、冷凍食品及び冷菓の少なくとも一方を含む、請求項9に記載に梱包体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、保冷用の梱包容器、及び梱包体に関する。
【背景技術】
【0002】
飲食品及び食材等の保管及び輸送には、品質及び鮮度を維持するために保冷用の梱包容器が用いられる。そのような梱包容器としては、軽量で比較的保冷性に優れる発泡スチロール製のものが知られている(例えば、特許文献1)。一方で、発泡スチロール製の容器はは、再生してリサイクルすることが難しい。このため、資源の有効利用の観点から紙製の断熱材を用いた梱包容器が検討されている。例えば、特許文献2では、古紙を解繊して得られる解繊物を断熱材として用いる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-52433号公報
【特許文献2】特開2022-62905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
保冷用の梱包容器の断熱性を維持するためには、箱体、袋体及び接着テープ等の種々の部材を組み合わせて用いる必要があるため、梱包作業が煩雑になり易い。一方で、保冷用の梱包容器に梱包される被梱包物は、鮮度及び品質を維持するため、手早く梱包される必要がある。そこで、本開示は、保冷性に優れるとともに、梱包作業を簡素化することが可能な梱包容器、及び梱包体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面は、以下の梱包容器を提供する。
【0006】
[1]第1紙基材とその表面の少なくとも一部を被覆する第1樹脂シートとを有する第1封止部材と、第2紙基材とその表面の少なくとも一部を被覆する第2樹脂シートとを有する第2封止部材20と、被梱包物とこれを取り囲む断熱部材、及び第1封止部材を収容する樹脂製の袋体と、を備え、
袋体を封止するように折り畳まれて形成される袋体の折り畳み部が、第1封止部材の第1樹脂シートによる被覆面と、第2封止部材の第2樹脂シートによる被覆面と、に挟まれた封止構造を有する、保冷用の梱包容器。
【0007】
上述の梱包容器は、袋体の折り畳み部が、第1封止部材の第1樹脂シートによる被覆面と第2封止部材の第2樹脂シートによる被覆面とに挟まれた、封止構造を有する。この封止構造は、折り畳み部を有するため、袋体を溶着したり接着したりすることなく被梱包物を収容して封止することができる。このため、手早く且つ円滑に被梱包物の梱包を行うことができる。また、封止構造は樹脂シートと樹脂製の袋体の折り畳み部、すなわち、樹脂同士が密着して構成されるものであることから、袋体の内部から外部に冷気(ガス)が漏れることを十分に抑制することができる。したがって、上記梱包容器は、保冷性に優れるとともに、梱包作業を簡素化することができる。
【0008】
上記[1]の梱包容器は、以下の[2]~[8]のいずれか一つであってもよい。
【0009】
[2]袋体を収容する外箱を備え、封止構造は外箱によって拘束される、[1]に記載の保冷用の梱包容器。
[3]第1封止部材は、前記断熱部材42で構成される側壁部の上端側に被せられる蓋体であり、側壁部とともに被梱包物を収容する閉鎖空間を形成する、[1]又は[2]に記載の保冷用の梱包容器。
[4]第2封止部材は、外箱を閉鎖する蓋部材と折り畳み部との間に配置される板状の部材である、[1]~[3]のいずれか一つに記載の保冷用の梱包容器。
[5]上記断熱部材で取り囲まれる収容部には、被梱包物とともにドライアイスが収容される、[1]~[4]のいずれか一つに記載の保冷用の梱包容器。
[6]上記断熱部材は、キッチンペーパー及びパルプモールドの少なくとも一方を含有する、[1]~[5]のいずれか一つに記載の保冷用の梱包容器。
[7]上記断熱部材及び外箱は紙材で構成される、[1]~[6]のいずれか一つに記載の保冷用の梱包容器。
[8]第1樹脂シート及び第2樹脂シートが、ポリエチレン製又はポリプロピレン製であり、袋体は高密度ポリエチレン製である、[1]~[7]のいずれか一つに記載の保冷用の梱包容器。
【0010】
上記[2]の梱包容器は、封止構造を拘束する外箱を備える。このため、例えば、袋体の内圧が上昇しても折り畳み部を有する封止構造の機能を維持することができる。すなわち、袋体内の内圧が上昇すると、第1封止部材が第2封止部材に向かうように押圧される。ここで梱包容器は封止構造を拘束する外箱を備えるため、折り畳み部は2つの被覆面が対向する方向に押圧される。このため、袋体内の気密性は十分に高く維持され、その結果、保冷性も十分に高く維持することができる。このように、封止構造を拘束する外箱を備えることによって、袋体の膨張に伴って折り畳み部が緩み封止構造が機能しなくなることを抑制することできる。
【0011】
上記[3]の梱包容器では、第1封止部材が被梱包物を収容する閉鎖空間を形成するための蓋体となる。このため、部品点数を削減して製造コストを低減するとともに梱包作業を一層簡素化することができる。上記[4]では、第2封止部材が板状の部材であることから、保冷性を十分に高く維持しつつ、梱包容器のサイズが大きくなり過ぎることを抑制することができる。
【0012】
上記[5]では、通常の梱包作業の温度環境ではドライアイスが昇華するため、袋体の開口を縛ったり溶着したりして梱包しようとすると、袋体がすぐに膨張して梱包作業が困難になる。上記梱包容器では、折り畳み部を2つの被覆面で挟むことによって袋体を封止できるため、袋体の封止と梱包容器の組み立てをほぼ同時に完了することができる。したがって、ドライアイスを収容する場合でも、梱包作業を円滑に行うことができる。
【0013】
上記[6]では、断熱部材に含まれる断熱材がキッチンペーパー及びパルプモールドの少なくとも一方を含有することから、製造コストを低減しつつ保冷性を一層高くすることができる。上記[7]では、断熱部材及び外箱が紙材で構成されることから、これらをリサイクルして資源の有効利用を図ることができる。上記[8]では、袋体が高密度ポリエチレン製であることによって折り畳み部が形成し易くなり、密封性を向上して保冷性を十分に高くすることができる。また、高密度ポリエチレンは、ある程度のガス透過度を有するため、冷却材としてドライアイスを用いた場合に、密封性を維持しつつ袋体内の圧力が過剰に高くなることを抑制することができる。また、第1樹脂シート及び第2樹脂シートが、ポリエチレン製又はポリプロピレン製であることによって、製造コストを十分に低減することができる。
【0014】
本開示の一側面は、以下の梱包体を提供する。
【0015】
[9]上記[1]~[8]のいずれか一つに記載の梱包容器と、当該梱包容器に収容される被梱包物及びドライアイスと、を備える、梱包体を提供する。
【0016】
上記梱包体は、上述の梱包容器を備える。上記梱包容器における袋体は折り畳み部が第1封止部材の第1樹脂シートによる被覆面と、第2封止部材の第2樹脂シートによる被覆面とで挟まれることによって封止されている。このため、袋体内の気密性が十分に高く維持され、その結果、保冷性を十分に高く維持することができる。また、袋体の折り畳み部を2つの被覆面で挟むことによって封止できるため、袋体の封止と梱包容器の組み立てをほぼ同時に完了することができる。したがって、ドライアイスを収容する場合でも、梱包作業を円滑に行うことができる。
【0017】
上記[9]の梱包体は、以下の[10]であってもよい。
[10]前記被梱包物は、冷凍食品及び冷菓の少なくとも一方を含む、[9]に記載に梱包体。
【0018】
上記梱包体は、保冷性に優れるとともに、梱包作業を簡素化することができる。このため、迅速な梱包作業と十分な保冷性が要求される冷凍食品及び冷菓の梱包に特に有用である。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、保冷性に優れるとともに、梱包作業を簡素化することが可能な梱包容器及び梱包体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】一実施形態に係る梱包容器(梱包体)の斜視図である。
【
図2】
図1の梱包容器(梱包体)の分解斜視図である。
【
図3】袋体とこれに収容される断熱部材及び第1封止部材を示す図である。
【
図4】
図1の梱包容器(梱包体)のIV-IV線断面図である。
【
図5】
図4に示す断面のうち、袋体の折り畳み部、第1封止部材及び第2封止部材、並びにこれらの近傍を示す拡大断面図である。
【
図6】断熱部材で構成される側壁部と側壁部の上端側を閉鎖するように被せられる第1封止部材とを示す斜視図である。
【
図7】(A)及び(B)は、実施例の梱包体の作製手順を説明するための写真である。
【
図8】(A)及び(B)は、実施例の梱包体の作製手順を説明するための写真である。
【
図9】(A)及び(B)は、実施例の梱包体の作製手順を説明するための写真である。
【
図10】(A)及び(B)は、実施例の梱包体の作製手順を説明するための写真である。
【
図11】(A)及び(B)は、実施例1,2の保冷性の評価結果(温度の経時変化)を示すグラフである。
【
図12】(A)及び(B)は、比較例1,2の保冷性の評価結果(温度の経時変化)を示すグラフである。
【
図13】(A)及び(B)は、実施例3,4の保冷性の評価結果(温度の経時変化)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、場合により図面を参照して、本開示の一実施形態について説明する。ただし、以下の実施形態は、本開示を説明するための例示であり、本開示を以下の内容に限定する趣旨ではない。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用い、場合により重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、各要素の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0022】
一実施形態に係る保冷用の梱包容器100(梱包体200)は、
図1に示すような外観を有し、
図2及び
図3に示すように分解することができる。
図1~
図3に示すように、梱包容器100(梱包体200)は、外箱60と、外箱60の底部に収容される断熱部材42、樹脂製の袋体30及び第2封止部材20とを備える。袋体30には、側壁部となる断熱部材41と、断熱部材41で取り囲まれる収容部を閉鎖空間にする蓋体としての機能を有する第1封止部材10と、が収容される。被梱包物は、断熱部材41の上面に重ね合わせられる袋体30、側壁部をなす4つの断熱部材41、及び第1封止部材10で形成される閉鎖空間に収容される。すなわち、被梱包物を収容する閉鎖空間の底面は袋体30の一部、閉鎖空間の側面は断熱部材41、及び天面は第1封止部材10でそれぞれ構成される。断熱部材41,42は、リサイクルの観点から紙材のみで構成されてよい。断熱部材41,42は、断熱材を段ボール及びコートボール等の紙器用板紙で構成される箱体に収容して構成することができる。
【0023】
断熱材としては、セルロース繊維を含む解繊物、キッチンペーパー及びパルプモールドの少なくとも一方を含むことが好ましい。このように内部にガス(空気)を包含できるような材質のものであれば、保冷性を十分に高くすることができる。製造コスト低減の観点、及び製造工程の簡素化の観点から、断熱材はキッチンペーパー及びパルプモールドの少なくとも一方を含むことが好ましく、保冷性を更に向上する観点からキッチンペーパーを含むことがより好ましい。
【0024】
解繊物としては、紙を解繊して得られるものが挙げられる。原料として用いられる紙としては、例えば、新聞、書籍、雑誌、カタログ類、上質紙、包装用箱、段ボール箱、パルプモールド、紙製緩衝材等の古紙であってよい。このような原料から解繊物を得る設備としては、市販の乾式の解繊装置(解繊機)、又は、湿式解繊機等を適宜用いることができる。また、家庭で調理用として使用されるミルを用いて解繊物を得てもよい。解繊物は、解きほぐされたセルロース繊維の他に、紙粉及び古紙に付着していたインキ及びトナー等の色材、にじみ防止剤等の添加剤を含んでいてもよい。解繊されたセルロース繊維は互いに絡み合っていてもよい。
【0025】
外箱60は、例えば通常の段ボール箱であってよい。外箱60の上面は開放可能に構成されており、4つの側壁64の上端には、それぞれ蓋部材61(フラップ)が連設されており、蓋部材61を内側に折り込むことによって、外箱60が閉鎖される。閉鎖状態では、蓋部材61は、テープ66をH状に貼着することによって固定されてよい。
図1に示すように、外箱60の下面も、テープ66を貼着することによって固定されてよい。
【0026】
外箱60には、
図2に示すように、断熱部材42の上に袋体30が収容されている。
図3に示すように袋体30は上部に開口24を有しており、袋体30の内部には、側壁部をなす断熱部材41と、断熱部材41の上端部に被せられる蓋体をなす第1封止部材10が一体となって収容されている。断熱部材41及び第1封止部材10が収容された状態で、袋体30の上部が折り畳まれて開口24が閉じられ、
図2に示すような折り畳み部32が形成されて袋体30が封止される。袋体30の折り畳み部32は、折り目を有しており、袋体30の上端部同士が重ね合わされて形成される。このような折り畳み部32が、
図2及び
図3に示すように、第1封止部材10の上面(被覆面13)と、第2封止部材20の下面(被覆面)との間に挟まれる。このようにして、互いに対向する被覆面とその間に折り畳み部32が挟まれた封止構造が形成される。
【0027】
袋体30は、樹脂製である。樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE,LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、及びナイロン等が挙げられる。このうち、低コストで良好な折り曲げ性を有するともに、ある程度のガス透過性を有する観点から、ポリオレフィンが好ましく、ポリオレフィンの中でも高密度ポリエチレン(HDPE)がより好ましい。高密度ポリエチレンであれば、折り畳み部32における高い封止性を維持しつつ、冷却材としてドライアイス等の昇華又は気化する冷却材を用いても、過剰に内圧が上昇することを抑制できる。袋体30の二酸化炭素のガス透過度は、内圧の過剰な上昇を抑制しつつ優れた保冷性を十分に維持する観点から、10,000~300,000mL/m2・d・MPaであってよく、20,000~200,000mL/m2・d・MPaであってもよい。このガス透過度は、20℃,65%RHの環境下、JIS K 7126-1に準拠して測定することができる。
【0028】
図4に示すように、第1封止部材10は、断熱部材42で構成される側壁部の上端側を覆うように被せられて、側壁部(断熱部材41)で取り込まれる収容部72を閉鎖空間にする。このように第1封止部材10は、蓋体としての機能と、折り畳み部32を挟んで封止する封止部材としての機能とを兼ね備える。
図4の収容部72には、被梱包物及びドライアイス等の冷却材が収容されていてよい。袋体30は、外箱60と断熱部材41との間に介在しつつ、収容部72の底面において露出している。袋体30の上部は折り畳まれて折り畳み部32を構成している。
【0029】
図4に示すように、折り畳み部32は第1封止部材10(被覆面13)と第2封止部材20(被覆面23)とに間に挟まれている。梱包容器100(梱包体200)は、折り畳み部32が、第1封止部材10の第1樹脂シートによる被覆面13と、第2封止部材20の第2樹脂シートによる被覆面23とによって挟まれた封止構造90を有する。封止構造90は外箱60によって取り囲まれている。外箱60の蓋部材61は例えばクラフトテープ等のテープ66で固定される。封止構造90は、被覆面13,折り畳み部32及び被覆面23の密着状態が維持されるように外箱60によって拘束されている。
【0030】
梱包容器100(梱包体200)は、封止構造90を有するため、密封性を十分に高くすることができる。被覆面13と被覆面23の面積は略同一であってよく、互いに中心が位置合わせされていてよい。被覆面23の外縁は、外箱60の内周壁に接していてもよい。これによって、密封性を一層高くすることができる。
【0031】
図4では収容部72に収容される被梱包物及び冷却材が図示されていないが、収容部72には、被梱包物とともにドライアイスが収容されてよい。この場合、ドライアイスの昇華に伴って、閉鎖空間となっている袋体30の内圧が上昇し、袋体30が膨張する。折り畳み部32から二酸化炭素ガスが漏れ出すと、第1封止部材10が持ち上げられて第2封止部材20に向かう方向に押し付けられる。封止構造90は外箱60によって拘束されていることから、折り畳み部32は被覆面13,23によって強固に挟まれることとなる。このため、折り畳み部32が緩んだり、折り畳み部32と被覆面13,23と間に隙間が生じたりすることが抑制される。よって、封止構造90からガス(冷気)が袋体30の外部に大量に漏れ出すことを抑制することができる。なお、本実施形態では、外箱60の底面と袋体30との間に断熱部材42を配置しているため、冷却材としてドライアイスを収容していても外箱60の底面が膨らむことを抑制することができる。
【0032】
図5は、折り畳み部32の一部とその近傍の断面構造を拡大して示している。第1封止部材10は、第1紙基材10Bとその一方面(上面)を被覆する第1樹脂シート10Aとを有する。第2封止部材20は、第2紙基材20Bとその一方面(下面)を被覆する第2樹脂シート20Aとを有する。
【0033】
折り畳み部32には、第1封止部材10の第1樹脂シート10Aと、第2封止部材20の第2樹脂シート20Aとが接している。このように、樹脂で構成される折り畳み部32が、第1樹脂シート10A及び第2樹脂シート20Aに直接接することによって、第1封止部材10及び第2封止部材20と、折り畳み部32(袋体30)との密着性を向上することができる。また、折り畳み部32から冷気(ガス)が流出することを抑制することができる。このため、梱包容器100(梱包体200)は優れた保冷性を有する。なお、
図5では、折り畳み部32の説明のため、折り畳み部32の両端に隙間が描かれているが、実際は、これらの隙間が押し潰されて、上下に隣接する素材同士が直接接していてよい。
【0034】
第1封止部材10は、第1樹脂シート10Aが第1紙基材10Bにラミネートされたものであってもよいし、第1紙基材10Bに第1樹脂シート10Aを接着剤又は両面テープ等で貼着したものであってもよい。第2封止部材20は、第2樹脂シート20Aが第2紙基材20Bにラミネートされたものであってもよいし、第2紙基材20Bに第2樹脂シート20Aを接着剤又は両面テープ等で貼着したものであってもよい。第1紙基材10B及び第2紙基材20Bとしては、段ボール、コートボール等の紙器用板紙、及びこれらで構成される箱体が挙げられる。箱体は断熱材が充填されていてもよい。断熱材の例は上述したとおりである。第1紙基材10B及び第2紙基材20Bの材質及び厚みは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0035】
第1樹脂シート10A及び第2樹脂シート20Aの材質としては、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、並びにナイロン等が挙げられる。これらのうち、コスト低減の観点から、ポリオレフィンが好ましく、ポリエチレンがより好ましい。また、第1樹脂シート10A及び第2樹脂シート20Aは、生分解性プラスチックフィルムであってもよい。生分解性プラスチックフィルムは微生物によって分解されることから、例えば海洋汚染等を抑制することができる。
【0036】
第1樹脂シート10A及び第2樹脂シート20Aの厚みは、強度と製造コストを両立する観点から、例えば、1~100μmであってよく、5~40μmであってもよい。第1樹脂シート10A及び第2樹脂シート20Aは樹脂フィルムであってよい。第1樹脂シート10A及び第2樹脂シート20Aの材質及び厚みは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。第1樹脂シート10A及び第2樹脂シート20Aは、それぞれ単層構造であってもよいし、2層以上の樹脂シートが積層されて構成されていてもよい。第1封止部材10及び第2封止部材20は、それぞれ、一つ又は複数の紙基材と、一つ又は複数の樹脂シートとが積層された積層体であってもよい。
【0037】
封止構造90は、折り畳み部32と、第1樹脂シート10Aで覆われる被覆面13及び第2樹脂シート20Aで覆われる被覆面23とが密着することで、袋体30を封止することができる。このため、折り畳み部32は溶着部及び接着剤等による接着部を設ける必要がない。したがって、手早く且つ円滑に被梱包物の梱包を行うことができ、さらに、開封も容易に行うことができる。袋体30の開封に刃物を用いる必要がないため、安全性にも優れる。被覆面13,23及び折り畳み部32が互いに接着されていない封止構造90を備えることで、安全性を高め、梱包作業及び開封作業を一層簡便に行うことができる。
【0038】
本実施形態では、第1紙基材10B及び第2紙基材20Bの一方面(折り畳み部32側の表面)のみが第1樹脂シート10A及び第2樹脂シート20Aで被覆されているがこのような構造に限定されない。例えば、第1紙基材10B及び第2紙基材20Bの全表面が第1樹脂シート10A及び第2樹脂シート20Aで被覆されていてもよい。
【0039】
図6には、側壁部を構成する断熱部材41と、側壁部で取り囲まれる収容部72と、収容部72に収容される被梱包物70及び被梱包物70の上に載置されたドライアイス75と、側壁部の上端側を覆う蓋体をなす第1封止部材10とを示している。側壁部は、断熱材を含む4つの断熱部材41を組み合わせて構成される。断熱部材41は、箱体に断熱材が充填されたものであってよい。4つの断熱部材41は連結されていてもよいし、外箱60の内壁に沿って並べることで側壁部を形成してもよい。断熱材及び箱体の例は上述したとおりである。
【0040】
被梱包物70は、冷凍食品及び冷菓に限定されず、例えば生鮮食品又は飲料であってもよい。梱包容器100は、発泡スチロールを含まず、紙及び樹脂シートのみで構成されてもよい。このような梱包容器は、軽量であるうえに、使用後に再生してリサイクルすることが容易である。このため、リサイクルを促進して資源の一層の有効活用を図ることができる。
【0041】
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示は上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、梱包容器100は四角柱状の外観を有しているが、円柱状のものであってもよい。断熱部材41,42,及び第1封止部材10に含まれる断熱材は、互いに異なってもよいし同じであってもよい。外箱は、二重又は三重に重ね合わせてもよいし、その場合、段ボールと紙器用板紙とを組み合わせて構成してもよい。収容部は、鉛直方向又は水平方向に沿って複数に区画されていてもよい。
【0042】
梱包容器100の変形例では、側壁部の内面に沿って樹脂シートを配置してもよい。樹脂シートは、第1樹脂シート10A及び第2樹脂シート20Aと同様のものであってよい。別の変形例では、側壁部を構成する断熱部材41と底部用の断熱部材42とが直接接するように組み合わせて内箱を形成してもよい。この場合、袋体には、内箱と第1封止部材10とを収容し、内箱と外箱60の内面との間に袋体30が介在するように配置してもよい。この場合、内箱の内面に沿って樹脂シートを配置してもよい。樹脂シートは、第1樹脂シート10A及び第2樹脂シート20Aと同様のものであってよい。
【実施例0043】
実施例及び比較例を参照して本開示の内容をより詳細に説明するが、本開示は下記の実施例に限定されるものではない。
【0044】
(実施例1)
<梱包容器の作製>
図1~
図3に示すような梱包容器を作製した。断熱材としてパルプを乾燥後に解繊して得た解繊物(AIPA株式会社製、解繊機のスクリーン径をφ=1mmに設定して得たもの)を、段ボール箱(紙厚さ:1mm)に充填し、側壁部及び底部となる断熱部材を作製した。側壁部となる断熱部材41に充填した解繊物の重量は190g、底部となる断熱部材42に充填した解繊物の重量は120gとした。外箱60として、段ボール箱(縦×横×高さ=262mm×252mm×180mm、厚さ:1mm)を、クラフトテープを用いて組み立てた。
図2に示すように段ボール箱(外箱)の上面を開放した状態で、底部となる断熱部材42を外箱60の底面上に載置した。その後、袋体を断熱部材42の上面及び外箱の内側面に接するように配置した。袋体としては、高密度ポリエチレン製の袋(HDPE,厚さ:13μmm)を用いた。袋体は、外箱として用いた段ボール箱の周囲長とほぼ同じ周囲長を有するものを用いた。
【0045】
図7(A)に示すように、袋体が外箱60の内側面と断熱部材41との間に介在するように4つの断熱部材41を用いて側壁部を形成した。次に、
図7(B)に示すように、第1封止部材10で側壁部の上端側を封鎖して被梱包物が収容される収容部を閉鎖空間にした。第1封止部材10は、段ボール箱(厚さ:1mm)の中に、紙袋に上記解繊物が80g充填された断熱材を収容し、この段ボール箱の一方面(上面)に、高密度ポリエチレン製のフィルム(厚さ:12μm)を両面テープで貼着することによって作製した。この第1封止部材10は、高密度ポリエチレン製のフィルム(厚さ:13μm)が外側になるように側壁部の上に載せた。
【0046】
図8(A),(B)及び
図9(A),(B)に示すように、第1封止部材10を覆うようにして、袋体30を折り畳んで、第1封止部材10の上に折り畳み部32を形成した。この折り畳み部32を覆うように、第2封止部材20を被せた(
図10(A))。第2封止部材20は、板状の段ボール(厚み:1mm)の一方面(下面)に、高密度ポリエチレン製のフィルム(厚さ:13μm)を両面テープで貼着することによって作製した。段ボールの一方面の全てが当該フィルムで覆われていた。このフィルムによる被覆面と折り畳み部32とが接するように第2封止部材20を折り畳み部32に被せた。
【0047】
図10(B)に示すように、外箱の蓋部材61(フラップ)を折り畳み、クラフトテープで蓋部材61を固定することによって、封止構造を拘束した。このようにして、
図1に示すような外観を有する梱包容器が得られた。なお、上述のとおり、側壁部及び底部となる断熱部材、並びに第1封止部材に、段ボール箱を用いているが、
図7~
図9の写真では、見やすくするために、これらの部材に段ボール箱ではなくコートボールで形成した箱を用いた例を示している。
【0048】
<梱包体の作製>
上述の梱包容器の作製の手順において、第1封止部材10を側壁部の上に載せる前に、側壁部で囲まれた収容部に、
図6に示すように被梱包物70として容器に入ったアイスクリームを収容した。容器に入ったアイスクリームは、上段と下段に分けて、各段に4個ずつ(計8個)収容した。各段の4つのアイスクリーム容器の中から一つを選択し、選択したアイスクリーム容器の内部に温度計(T&D製のTR-71nw、商品名)のセンサ(
図7(A)中の93)を固定した。上段のアイスクリーム容器の上に
図6に示すようにドライアイス(1050g)を載置した。その後、第1封止部材10を被せてアイスクリーム及びドライアイスが収容された収容部を閉鎖空間とし、上述の梱包容器を作製するときと同じ手順で梱包容器を作製して、
図1に示すような外観を有する梱包体を作製した。袋体の折り畳み部32は、第1封止部材の高密度ポリエチレンフィルムによる被覆面と第2封止部材の高密度ポリエチレンフィルムによる被覆面との間に挟まれて封止されていた。
【0049】
<梱包作業時の作業性の評価>
梱包する際の作業性を評価した。上述のアイスクリーム及びドライアイスの梱包作業を円滑に行うことができた場合を「合格」と評価し、梱包作業を円滑に行うことができなかった場合を「不合格」と評価した。結果は表1に示すとおりであった。
【0050】
<保冷性の評価>
折り畳み部が封止された後、収容部に収容された上段及び下段のアイスクリーム容器内の温度の経時変化を測定した。なお、外気温は約16℃で一定に調節した。測定は24時間継続して行った。
【0051】
図11(A)は、測定結果を示すグラフである。下側の曲線は上段のアイスクリーム容器内の温度を、上側の曲線は下段のアイスクリーム容器内の温度を示している。測定開始直後は、ドライアイスによる冷却効果によって温度が低下し、6~10時間経過後に最低温度に到達した。上段のアイスクリーム容器と下段のアイスクリーム容器内の最低温度、及び1日(24時間)経過後の温度、並びに1日経過後のドライアイスの残存量は、表1に示すとおりであった。
【0052】
(実施例2)
第1封止部材として、市販の板紙(コートボール、270g/m2)の一方面(上面)に、コートボール側からポリプロピレン製のフィルム(厚み:20μm)及び発泡ポリエチレンシート(酒井化学工業(株)製、商品名:ミナフォーム、厚み:2mm)をこの順にラミネートした積層体を作製した。ポリプロピレン製のフィルムは、コートボールの一方面にラミネートして貼り合わせた。発泡ポリエチレンシートは、当該フィルムに両面テープを用いて貼り合わせた。
【0053】
第2封止部材として、市販の板紙(コートボール、270g/m2)の一方面(上面)上に、コートボール側からポリプロピレン製のフィルム(厚み:20μm)及び発泡ポリエチレンシート(酒井化学工業(株)製、商品名:ミナフォーム、厚み:2mm)をこの順にラミネートした積層体を作製した。ポリプロピレン製のフィルムは、コートボールの一方面にラミネートして貼り合わせた。発泡ポリエチレンシートは、当該フィルムに両面テープを用いて貼り合わせた。
【0054】
実施例1の第1封止部材10及び第2封止部材20に代えて、上述の第1封止部材及び第2封止部材を用いたこと、段ボール箱(厚さ:1mm)の中に、紙袋に解繊物が封入された断熱材を収容し、これを第2封止部材と外箱の上蓋との間に挟んだこと、並びにドライアイスの初期重量が1030gであったこと以外は、実施例1と同じ手順で梱包容器及び梱包体を作製した。袋体の折り畳み部は、第1封止部材の発泡ポリエチレンシートと第2封止部材の発泡ポリエチレンシートの間に挟まれて封止されていた。実施例1と同じ手順で梱包体の保冷性を評価した。
【0055】
図11(B)は、測定結果を示すグラフである。下側の曲線は上段のアイスクリーム容器内の温度を、上側の曲線は下段のアイスクリーム容器内の温度を示している。測定開始直後は、ドライアイスによる冷却効果によって温度が低下し、3~9時間経過後に最低温度に到達した。上段のアイスクリーム容器と下段のアイスクリーム容器内の最低温度、及び1日(24時間)経過後の温度、1日経過後のドライアイスの残存量、並びに作業性の評価結果は、表1に示すとおりであった。
【0056】
(比較例1)
第1封止部材10及び第2封止部材20を用いなかったこと、並びに解繊物の重量を以下のとおり若干変更したこと以外は、実施例1と同じ手順で梱包容器及び梱包体を作製した。側壁部となる断熱部材41に充填した解繊物の重量は200g、底部となる断熱部材42に充填した解繊物の重量は100g、第1封止部材10で用いた紙袋に充填された解繊物の重量は70gとした。袋体の折り畳み部は、紙袋に解繊物が封入された断熱材が収容された段ボール箱(厚さ:1mm)と、外箱の蓋部材(フラップ)の間に挟まれて見掛け上は封止されていた。実施例1と同じ手順で梱包体の保冷性を評価した。
【0057】
図12(A)は、測定結果を示すグラフである。下側の曲線は上段のアイスクリーム容器内の温度を、上側の曲線は下段のアイスクリーム容器内の温度を示している。測定開始直後は、ドライアイスによる冷却効果によって温度が低下し、6~9時間経過後に最低温度に到達した。上段のアイスクリーム容器と下段のアイスクリーム容器内の最低温度、及び1日(24時間)経過後の温度、1日経過後のドライアイスの残存量、並びに作業性の評価結果は、表1に示すとおりであった。
【0058】
(比較例2)
第1封止部材として、市販の板紙(コートボール、270g/m2)の一方面(上面)に、ポリプロピレン製のフィルム(厚み:20μm)をラミネートして貼り合わせた積層体を準備した。この第1封止部材を用いたこと、この第1封止部材のポリプロピレン製のフィルムと袋体の折り畳み部とを両面テープで貼り合わせて折り畳み部を封止したこと、及び、第2封止部材を用いなかったこと以外は、実施例2と同じ手順で梱包容器及び梱包体を作製した。袋体の折り畳み部は、第1封止部材のポリプロピレン製のフィルムと、紙袋に解繊物が封入された断熱材が収容された段ボール箱(紙厚さ:1mm)の間に挟まれるとともに、両面テープで貼り合わせたことによって、見掛け上は封止されていた。実施例1と同じ手順で梱包体の保冷性を評価した。
【0059】
図12(B)は、測定結果を示すグラフである。下側の曲線は上段のアイスクリーム容器内の温度を、上側の曲線は下段のアイスクリーム容器内の温度を示している。測定開始直後は、ドライアイスによる冷却効果によって温度が低下し、5~10時間経過後に最低温度に到達した。上段のアイスクリーム容器と下段のアイスクリーム容器内の最低温度、及び1日(24時間)経過後の温度、1日経過後のドライアイスの残存量、並びに作業性の評価結果は、表1に示すとおりであった。
【0060】
(実施例3)
断熱材として市販のキッチンペーパー(王子ネピア株式会社製、商品名:ネピア激吸収キッチンタオル)を用いたこと、及びドライアイスの初期重量が1020gであったこと以外は、実施例1と同じ手順で梱包容器及び梱包体を作製した。側壁部となる断熱部材41に充填したキッチンペーパーの枚数は各24枚(合計24枚×4=96枚、各段ボール箱の厚さ:20mm)、底部となる断熱部材42に充填したキッチンペーパーの枚数は39枚(段ボール箱の厚さ:25mm)、第1封止部材10における段ボール箱(紙厚さ:1mm、箱の厚さ:20mm)の中に充填したキッチンペーパーの枚数は23枚とした。
【0061】
図13(A)は、測定結果を示すグラフである。下側の曲線は上段のアイスクリーム容器内の温度を、上側の曲線は下段のアイスクリーム容器内の温度を示している。測定開始直後は、ドライアイスによる冷却効果によって温度が低下し、4~7時間経過後に最低温度に到達した。上段のアイスクリーム容器と下段のアイスクリーム容器内の最低温度、及び1日(24時間)経過後の温度、1日経過後のドライアイスの残存量、並びに作業性の評価結果は、表2に示すとおりであった。
【0062】
(実施例4)
断熱材として市販のキッチンペーパー(王子ネピア株式会社製、商品名:ネピア激吸収キッチンタオル)を用いたこと、及びドライアイスの初期重量が1060gであったこと以外は、実施例1と同じ手順で梱包容器及び梱包体を作製した。側壁部となる断熱部材42に充填したキッチンペーパーの枚数は各40枚(合計40枚×4=160枚、各段ボール箱の厚さ:25mm)、底部となる断熱部材41に充填したキッチンペーパーの枚数は40枚(段ボール箱の厚さ:25mm)、第1封止部材10における段ボール箱(紙厚さ:1mm、箱の厚さ:25mm)の中に充填したキッチンペーパーの枚数は40枚とした。
【0063】
図13(B)は、測定結果を示すグラフである。下側の曲線は上段のアイスクリーム容器内の温度を、上側の曲線は下段のアイスクリーム容器内の温度を示している。測定開始直後は、ドライアイスによる冷却効果によって温度が低下し、7~10時間経過後に最低温度に到達した。上段のアイスクリーム容器と下段のアイスクリーム容器内の最低温度、及び1日(24時間)経過後の温度、1日経過後のドライアイスの残存量、並びに作業性の評価結果は、表2に示すとおりであった。
【0064】
(比較例3)
図8(A),(B)及び
図9(A),(B)に示すように、第1封止部材10を覆うように袋体30を折り畳むことに代えて、袋体30の上端部を紐で縛って封止した。そうすると、縛って封止した直後にドライアイスの昇華に伴って袋体30が膨らんでしまい第2封止部材を被せることができなかった。この時点で、梱包作業を中止した。このため、作業性の評価結果は「不合格」とした。
【0065】
【0066】
【0067】
表1に示すとおり、実施例1~4の梱包体(梱包容器)は保冷性に優れることが確認された。また、実施例1~4では、袋体の折り畳み部を、第1封止部材の第1樹脂シートによる被覆面と第2封止部材の第2樹脂シートによる被覆面で挟んで構成される封止構造を外箱で拘束した。このため、梱包作業を円滑に行うことができた。実施例1~4は、封止構造における密封性が良好に維持されたことが優れた保冷性が得られた要因として考えられる。特に、キッチンペーパーを用いた実施例3,4は、一層優れた保冷性を有していた。これは、キッチンペーパーが保冷性に優れることによるものと考えられる。一方、比較例1では、梱包作業は円滑に行うことができたが、保冷性が実施例1,2よりも劣っていた。要因としては、第1封止部材及び第2封止部材を用いなかったため折り畳み部から冷気(CO2ガス)の漏洩量が多くなったこと、及び、十分に断熱できなかったことが考えられる。このため、特に上段のアイスクリームの温度が高くなっていた。
【0068】
比較例2では、梱包当初は直ぐに最低温度に到達したものの、途中で急激に温度が上昇した。要因としては、当初は袋体の折り畳み部が両面テープで密閉されていた(このため、外箱が多少膨張していた。)ものの、内圧の上昇によって変形して両面テープが剥離し、冷気(CO2ガス)の漏洩量が多くなったことが考えられる。比較例3では、袋体を縛った直後に袋体が膨らみ梱包作業を続けることができなかった。これらの結果から、実施例1~4の折り畳み部による封止構造は、外箱の蓋部材の閉止と、袋体の封止をほぼ同時にできるため、ドライアイスのようにガスが発生する冷却材であっても作業を円滑に行うことができ、梱包作業を簡素化できることが確認された。
10…第1封止部材、10A…第1樹脂シート、10B…第1紙基材、13,23…被覆面、20…第2封止部材、20A…第2樹脂シート、20B…第2紙基材、24…開口、30…袋体、32…折り畳み部、41,42…断熱部材、60…外箱、64…側壁、61…蓋部材、66…テープ、70…被梱包物、72…収容部、75…ドライアイス、90…封止構造、100…梱包容器、200…梱包体。