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特開2024-84538設備の点検を予約するシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084538
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】設備の点検を予約するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20240618BHJP
   G06Q 10/02 20120101ALI20240618BHJP
【FI】
G06Q10/20
G06Q10/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198862
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤン インジャ
(72)【発明者】
【氏名】厚沢 輝佳
(72)【発明者】
【氏名】野中 久典
(72)【発明者】
【氏名】五嶋 匡
(72)【発明者】
【氏名】内部 こなぎ
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA03
5L049AA03
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】顧客側と点検業者側との双方が満足できる点検日程を便利に設定・変更可能な技術を提供する。
【解決手段】点検予約システムは、設備の点検を予約するシステムであって、点検の予約に関して顧客との連絡を行う顧客連絡部と、予約対象の点検について作業情報を算出する作業情報算出部と、点検の予約に関して作業者との連絡を行う作業者連絡部と、を備え、顧客連絡部は、顧客の要求を収集し、顧客に点検の予定日程を通知し、点検の予定日程を調整し、作業情報算出部は、契約情報から各点検の作業内容および作業時間を算出し、既存の点検作業計画に基づき点検計画を計画できる空き時間を算出し、作業者連絡部は、作業情報算出部が算出した作業計画および顧客連絡部が収集した顧客要求を作業者に通知する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備の点検を予約する点検予約システムであって、
点検の予約に関して顧客との連絡を行う顧客連絡部と、
予約対象の点検について作業情報を算出する作業情報算出部と、
点検の予約に関して作業者との連絡を行う作業者連絡部と、
を備え、
前記顧客連絡部は、前記顧客の要求を収集し、前記顧客に点検の予定日程を通知し、前記点検の予定日程を調整し、
前記作業情報算出部は、契約情報から各点検の作業内容および作業時間を算出し、既存の点検作業計画に基づき点検計画を計画できる空き時間を算出し、
前記作業者連絡部は、前記作業情報算出部が算出した作業計画および前記顧客連絡部が収集した顧客要求を作業者に通知する、
点検予約システム。
【請求項2】
前記作業情報算出部は、
当該点検の作業時間を算出し、
前記算出された作業時間、前後の既存の作業計画の作業先との間の移動時間および不意の対応用の予備の時間を表すバッファーの合計よりも、既存の作業計画中の前の作業先の作業完了時間と後の作業先の作業開始時間との差を表す仮空き時間が大きいか否かを判定し、
前記作業時間、前記移動時間および前記バッファーの合計よりも前記仮空き時間が大きいと判定した場合に、当該仮空き時間が空き時間に該当すると判断することにより、前記空き時間を算出する、
請求項1に記載の点検予約システム。
【請求項3】
前記顧客連絡部は、顧客が選択した点検予定日までの残り時間の長さが下記の期間(1)乃至(3)のいずれに該当するかを判定し、判定結果に応じた異なる方法で前記点検の予定日程を調整する、
・点検計画が未作成の時期における点検予定日までの残り時間を表す期間(1)、
・点検計画が作成済であり、かつ、日程変更や作業計画などの調整が容易な時期における点検予定日までの残り時間を表す期間(2)、
・点検計画が作成済であり、かつ、日程変更や作業計画などの調整が困難な時期における点検予定日までの残り時間を表す期間(3)、
請求項1に記載の点検予約システム。
【請求項4】
前記顧客要求は、点検予定に関する通知方法、点検対象の設備の状態について気がかりな点、および当該点検で確認を希望する点の少なくともいずれか一つを含む、請求項1に記載の点検予約システム。
【請求項5】
前記顧客連絡部は、前記顧客が希望する通知方法を収集し、前記作業情報算出部が点検計画を作成後に、当該通知方法により当該点検計画に係る点検予定を前記顧客に通知する、請求項4に記載の点検予約システム。
【請求項6】
前記顧客連絡部は、前記判定結果に応じて前記顧客が保有するユーザー端末に表示させる画面を変更する、請求項3に記載の点検予約システム。
【請求項7】
前記顧客連絡部は、空き時間を表示するカレンダー上の空き時間の数量によって各日を異なる色で表示させる、請求項1に記載の点検予約システム。
【請求項8】
設備の点検を予約する点検予約方法であって、
少なくともプロセッサとメモリと永続記憶装置とインターフェース装置とを備えるコンピュータが、
点検の予約に関して顧客との連絡を行う顧客連絡処理と、
予約対象の点検について作業情報を算出する作業情報算出処理と、
点検の予約に関して作業者との連絡を行う作業者連絡処理と、
を備え、
前記顧客連絡処理は、前記顧客の要求を収集する処理と、前記顧客に点検の予定日程を通知する処理と、前記点検の予定日程を選定する処理とを含み、
前記作業情報算出処理は、契約情報から各点検の作業内容および作業時間を算出する処理と、既存の点検作業計画に基づき点検計画を計画できる空き時間を算出する処理とを含み、
前記作業者連絡処理は、前記作業情報算出部が算出した作業計画および前記顧客連絡部が収集した顧客要求を作業者に通知する処理を含む、
点検予約方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設備の点検の予約のためのコンピュータ技術に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の人々が利用するビルの安全性や信頼性を十分に保つために、エレベータやエスカレータなどの昇降機、空調、照明、電源、水道などといった各種のビル設備(以下、単に「設備」とも称する)について、性能検査や保守点検など(以下、「点検」と総称する)を定期的に実施することは欠かせない。また、然様な設備の点検は、定期的に実施される定期点検に加えて、さらに不定期で実施されることも多い。
【0003】
従来、こうした設備の点検を実施する日程(以下、「点検日程」と称する)は、はじめにまず、点検業者側が一方的に設定することが多い。そのため、例えば顧客側の都合で当該点検日程通りに点検を実施することが難しい場合、顧客は、点検業者が点検日程を設定した後に当該点検日程の変更を求めて、点検業者内の作業計画の作成や調整の担当者(以下、「作業計画者」と称する)に連絡し、顧客側と点検業者側との間で双方の都合を考慮して点検予定日時を他の日時へと調整する必要がある。然様な場合に、点検日程の変更や調整のための技術として、例えば特許文献1には、ガス設備の定期保安点検の日程変更に用いられる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004―127320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
昇降機の点検は、顧客と点検業者との間の点検契約の種別ごとに実施する作業内容が異なる、点検日ごとに実施内容が異なる、作業内容ごとに作業者に必要な資格や作業員の人数などが異なる、などの理由により、点検日程を含めて作業計画の調整が非常に難しい。そのため、点検対象の設備が昇降機である場合、上述した従来の点検日程の調整要領や、当該要領に準拠した特許文献1に記載の技術では、顧客の希望通りに点検日程を決定することができないおそれがあった。
【0006】
さらに、上述した従来の点検日程の調整要領では、顧客は、点検業者が点検日程を設定した後に、当該点検日程の変更を求めて作業計画者に連絡する必要がある。そのため、例えば顧客の希望通りに点検日程を決定することが難しく、顧客と作業計画者との間で何度も連絡を取り合う必要があるような場合や、点検業者内において顧客からの受電担当者と実際の業務担当者とが異なるために、当該点検業者内で不要な連絡や問い合わせが多数発生してしまう場合などといった状況が生じることも多く、顧客側および点検業者側の双方にとって、点検日程の調整に費やす時間的・労力的な負担が大きかった。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みて、顧客側と点検業者側との双方が満足できる点検日程を便利に設定・変更可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による点検予約システムは、設備の点検を予約するシステムであって、点検の予約に関して顧客との連絡を行う顧客連絡部と、予約対象の点検について作業情報を算出する作業情報算出部と、点検の予約に関して作業者との連絡を行う作業者連絡部と、を備え、顧客連絡部は、顧客の要求を収集し、顧客に点検の予定日程を通知し、点検の予定日程を調整し、作業情報算出部は、契約情報から各点検の作業内容および作業時間を算出し、既存の点検作業計画に基づき点検計画を計画できる空き時間を算出し、作業者連絡部は、作業情報算出部が算出した作業計画および顧客連絡部が収集した顧客要求を作業者に通知する。
【0009】
その他、本願が開示する課題、およびその解決方法は、発明を実施するための形態の欄、および図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、顧客側と点検業者側との双方が満足できる点検日程を便利に設定・変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る点検予約システムを含むシステム全体の構成例を示す図である。
図2】予定日程調整処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図3】作業情報算出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図4】顧客が保有するユーザー端末に表示される初期画面の一例を示す。
図5】顧客が要求登録する際の当該顧客のユーザー端末の表示画面の一例を示す。
図6】顧客が点検予定日を確認・変更する際の当該顧客のユーザー端末の表示画面の一例を示す。
図7】顧客が点検予定日を確認・変更する際の当該顧客のユーザー端末の表示画面の一例を示す。
図8】顧客が点検希望日内の空き時間を選択する際の当該顧客のユーザー端末の表示画面の一例を示す。
図9】顧客が点検希望日時を選択した後の当該顧客のユーザー端末の表示画面の一例を示す。
図10】顧客側の操作では点検日程を変更することができず、点検予定日を変更するためには受付担当者または作業計画者に対して直接その旨を連絡する必要がある場合の当該顧客のユーザー端末の表示画面の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の説明では、「インターフェース装置」は、一つ以上のインターフェースデバイスでよい。当該一つ以上のインターフェースデバイスは、下記のうちの少なくとも一つでよい。
・一つ以上のI/O(Input/Output)インターフェースデバイス。I/O(Input/Output)インターフェースデバイスは、I/Oデバイスと遠隔の表示用計算機とのうちの少なくとも一つに対するインターフェースデバイスである。表示用計算機に対するI/Oインターフェースデバイスは、通信インターフェースデバイスでよい。少なくとも一つのI/Oデバイスは、ユーザーインターフェースデバイス、例えば、キーボードおよびポインティングデバイスのような入力デバイスと、表示デバイスのような出力デバイスとのうちのいずれでもよい。
・一つ以上の通信インターフェースデバイス。一つ以上の通信インターフェースデバイスは、一つ以上の同種の通信インターフェースデバイス(例えば一つ以上のNIC(Network Interface Card))であってもよいし二つ以上の異種の通信インターフェースデバイス(例えばNICとHBA(Host Bus Adapter))であってもよい。
【0013】
また、以下の説明では、「メモリ」は、一つ以上の記憶デバイスの一例である一つ以上のメモリデバイスであり、典型的には主記憶デバイスでよい。メモリにおける少なくとも一つのメモリデバイスは、揮発性メモリデバイスであってもよいし不揮発性メモリデバイスであってもよい。
【0014】
また、以下の説明では、「永続記憶装置」は、一つ以上の記憶デバイスの一例である一つ以上の永続記憶デバイスでよい。永続記憶デバイスは、典型的には、不揮発性の記憶デバイス(例えば補助記憶デバイス)でよく、具体的には、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、NVME(Non-Volatile Memory Express)ドライブ、または、SCM(Storage Class Memory)でよい。
【0015】
また、以下の説明では、「記憶装置」は、メモリと永続記憶装置の少なくともメモリでよい。
【0016】
また、以下の説明では、「プロセッサ」は、一つ以上のプロセッサデバイスでよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサデバイスでよいが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサデバイスでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、シングルコアでもよいしマルチコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、プロセッサコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、処理の一部または全部を行うハードウェア記述言語によりゲートアレイの集合体である回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit))といった広義のプロセッサデバイスでもよい。
【0017】
また、以下の説明では、「yyy部」の表現にて機能を説明することがあるが、機能は、一つ以上のコンピュータプログラムがプロセッサによって実行されることで実現されてもよいし、一つ以上のハードウェア回路(例えばFPGAまたはASIC)によって実現されてもよいし、それらの組合せによって実現されてもよい。プログラムがプロセッサによって実行されることで機能が実現される場合、定められた処理が、適宜に記憶装置および/またはインターフェース装置などを用いながら行われるため、機能はプロセッサの少なくとも一部とされてもよい。機能を主語として説明された処理は、プロセッサあるいはそのプロセッサを有する装置が行う処理としてもよい。プログラムは、プログラムソースからインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布計算機または計算機が読み取り可能な記録媒体(例えば非一時的な記録媒体)であってもよい。各機能の説明は一例であり、複数の機能が一つの機能にまとめられたり、一つの機能が複数の機能に分割されたりしてもよい。
【0018】
また、以下の説明では、「プログラム」を主語として処理を説明する場合があるが、プログラムを主語として説明された処理は、プロセッサあるいはそのプロセッサを有する装置が行う処理としてもよい。また、二つ以上のプログラムが一つのプログラムとして実現されてもよいし、一つのプログラムが二つ以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0019】
また、以下の説明では、「xxxテーブル」といった表現にて、入力に対して出力が得られる情報を説明することがあるが、当該情報は、どのような構造のテーブルでもよいし、入力に対する出力を発生するニューラルネットワーク、遺伝的アルゴリズムやランダムフォレストに代表されるような学習モデルでもよい。従って、「xxxテーブル」を「xxx情報」と言うことができる。また、以下の説明において、各テーブルの構成は一例であり、一つのテーブルは、二つ以上のテーブルに分割されてもよいし、二つ以上のテーブルの全部または一部が一つのテーブルであってもよい。
【0020】
また、以下の説明では、「点検予約システム」は、一つ以上の物理的な計算機で構成されたシステムでもよいし、物理的な計算リソース群(例えば、クラウド基盤)上に実現されたシステム(例えば、クラウドコンピューティングシステム)でもよい。点検予約システムが表示用情報を「表示する」ことは、計算機が有する表示デバイスに表示用情報を表示することであってもよいし、計算機が表示用計算機に表示用情報を送信することであってもよい(後者の場合は表示用計算機によって表示用情報が表示される)。
【0021】
以下、本実施形態を詳細に説明する。
【0022】
なお、以下の説明においては、同一の、または類似する構成に共通の符号を付すことにより、重複した説明を省略することがある。
【0023】
また、同一あるいは同様の機能を有する要素が複数存在する場合に、当該複数の要素を区別するために、同一の符号に異なる添字を付して説明することがある。他方、当該複数の要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明することがある。
【0024】
まず、本実施形態に係る点検予約システム100を含むシステム全体の構成の一例について、図1を参照して説明する。
【0025】
<システム全体の構成例>
本実施形態の点検予約システム100は、点検計画の作成の有無や予定変更を希望する点検予定日時までの期間の長さに応じて異なる適切な表示画面およびシステムサポートを提供することにより、点検日程の設定・変更を便利化し、作業側と顧客側との双方の満足度を向上させることが可能なコンピュータシステムであり、後述の各構成を備えるサーバ装置またはコンピュータ装置によって実現される。
【0026】
この点検予約システム100は、図1に示したように、点検予約システム100の各ユーザーが保有するスマートフォンやタブレット、ラップトップPCなどのユーザー端末50a、50b、50c・・・50n(以下、まとめて言うときや特に区別しないときには「ユーザー端末50」と総称する)と、インターネットや専用線などの適宜な通信ネットワーク200を介して相互にデータ通信可能に接続されている。点検予約システム100と通信ネットワーク200とは周知の通信用機器(不図示)を介して有線で接続されるが、無線で接続されてもよい。また、ユーザー端末50と通信ネットワーク200とは無線で接続されるが、有線で接続されてもよい。点検予約システム100のユーザーには、ユーザーIDとよばれる一意のIDがあらかじめ付与されている。
【0027】
なお、点検予約システム100に対してインプットデータを供給したり、点検予約システム100のアウトプットデータを受信したりする各種のサーバ装置またはコンピュータ装置(不図示)が、通信ネットワーク200を介して点検予約システム100にさらに接続されていてもよい。
【0028】
本実施形態では、図1に示したように、点検予約システム100が、ユーザー端末50と通信ネットワーク200を介して相互に接続されているものとして説明した。しかしながら、例えば、点検予約システムは、ユーザー端末50を含むシステムとして構成されていてもよい。また、例えば、点検予約システムは、ユーザー端末50が担う一部または全部の機能を含む形で構成されていてもよい。
【0029】
<点検予約システム100のハードウェア構成例>
次に、本実施形態に係る点検予約システム100のハードウェア構成の一例について説明する。
【0030】
本実施形態の点検予約システム100は、一台の汎用コンピュータ装置によって実現される。以下の説明は、点検予約システム100が、一つ以上のプロセッサ、一つ以上の記憶装置、一つ以上のインターフェース装置、およびそれらを連結する有線または無線の通信線(いずれも不図示)を備える一台の汎用コンピュータ装置により実現されているものとして行う。
【0031】
すなわち、点検予約システム100は、永続記憶装置およびメモリからなる記憶装置と、インターフェース装置と、それらに接続されたプロセッサとを有する。
【0032】
永続記憶装置は、フラッシュメモリ(Flash Memory)のような不揮発性記憶素子からなる補助記憶デバイスである。永続記憶装置の具体例としては、SSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)などが挙げられる。永続記憶装置は、少なくとも点検予約プログラムを格納する。点検予約プログラムは、点検を予約するための各種処理を含む、点検予約システム100として必要な機能を実装するためのコンピュータプログラムである。この点検予約プログラムによって実装される点検予約システム100として必要な機能の例としては、顧客連絡機能、作業情報算出機能および作業者連絡機能が挙げられる。
【0033】
顧客連絡機能は、点検の予約に関して、顧客との連絡を行う機能である。
【0034】
作業情報算出機能は、予約対象の点検について作業情報を算出する機能である。
【0035】
作業者連絡機能は、点検の予約に関して、作業者との連絡を行う機能である。
【0036】
また、点検予約プログラムがプロセッサにより実行されることで、点検の予約のための各種処理が行われる(詳細後述)。
【0037】
なお、点検予約プログラムは、プログラムソースからインストールされてもよい。プログラムソースは、例えばプログラム配布計算機や計算機が読み取り可能な記録媒体などであってもよい。また、点検予約プログラムは、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、それらの上位層に位置する各種アプリケーションプログラム、また、これらのプログラムに共通機能を提供するライブラリによって構成されてもよい。さらに、二つ以上のプログラムが一つの点検予約プログラムとして実現されてもよいし、一つの点検予約プログラムが二つ以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0038】
また、永続記憶装置内には、少なくとも各顧客に関する各種情報を表す顧客情報、各契約に関する各種情報を表す契約情報、各作業者に関する各種情報を表す情報である作業者情報、および、各作業計画に関する各種情報である作業計画情報を表すデータが格納される。これらのデータと、各データを格納するデータベースの詳細は後述する。
【0039】
メモリは、主にRAM(Random Access Memory)のような揮発性記憶素子からなる主記憶デバイスである。メモリには、永続記憶装置から読み込んだ各種情報を表すデータや、ユーザー端末50から取得した各種データが一時的に保持される。
【0040】
プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)および各種コプロセッサ(Co-processor)などのプロセッサデバイスである。このプロセッサは、点検予約プログラムをメモリに呼び出して実行することにより、点検予約システム100自体の統括制御を行なうとともに、演算処理や判定処理などの各種処理を行う制御部110を司る。
【0041】
インターフェース装置は、通信ネットワーク200に接続してユーザー端末50と通信を行う通信インターフェースデバイスと、I/Oインターフェースデバイスとを含む。
【0042】
<点検予約システム100の機能ブロック例>
次に、本実施形態に係る点検予約システム100が備える各種機能のブロックの一例について説明する。なお、以下に説明する各ブロックは、ハードウェア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。
【0043】
図1に示したように、点検予約システム100は、制御部110、記憶部120、ユーザーインターフェース部130および通信部140の各機能ブロックを備えて構成される。
【0044】
制御部110は、記憶部120が格納しているプログラムやデータ、通信部140により取得されたデータ、およびユーザーインターフェース部130が検出したユーザーの操作入力に基づいて各種データ処理を実行する。制御部110は、記憶部120、通信部140、ユーザーインターフェース部130のインターフェースとしても機能する。
【0045】
制御部110は、顧客連絡部111、作業情報算出部112および作業者連絡部113の各機能ブロックを有する。顧客連絡部111は、前述の顧客連絡機能を担う。作業情報算出部112は、前述の作業情報算出機能を担う。作業者連絡部113は、前述の作業者連絡機能を担う。
【0046】
顧客連絡部111は、要求収集部11、予定日程通知部12および予定日程調整部13の各機能ブロックを有する。要求収集部11は、点検に関する顧客の要求を収集する。予定日程通知部12は、点検の予定日程を顧客に通知する。予定日程調整部13は、点検の予定日程を調整する。
【0047】
予定日程調整部13は、上述した点検の予定日程を調整する処理を実行する。予定日程調整部13が実行するこの処理を、予定日程調整処理と称する。予定日程調整処理の詳細は、図2に関連して後述する。
【0048】
作業情報算出部112は、作業内容算出部21、作業時間算出部22および空き時間算出部23の各機能ブロックを有する。作業内容算出部21は、作業内容を算出する。作業時間算出部22は、作業時間を算出する。空き時間算出部23は、空き時間を算出する。
【0049】
作業情報算出部112は、作業情報を算出する処理を実行する。作業情報算出部112が実行するこの処理を、作業情報算出処理と称する。作業情報算出処理の詳細は、図3に関連して後述する。
【0050】
作業者連絡部113は、作業計画通知部31および顧客要求通知部32の各機能ブロックを有する。作業計画通知部31は、作業計画を通知する。顧客要求通知部32は、顧客の要求を通知する。
【0051】
制御部110は、プロセッサを用いて構成され、所定のプログラムを実行することによって、これらの機能ブロックを実現し、点検の予約に関する各種処理(以下、「点検予約処理」と総称する)を実行することができる。なお、プロセッサの代わりに、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)などの論理回路を用いて制御部110を構成してもよい。また、プロセッサと論理回路との組合せによって制御部110を構成してもよい。
【0052】
記憶部120は、例えば永続記憶装置およびメモリからなる記憶装置を用いて構成されており、制御部110に各種処理命令を供給するプログラム、および制御部110が実行する処理において用いられる各種情報を表すデータを格納する。例えば、顧客情報データベース121に顧客毎に記録される顧客情報を表すデータ(以下、「顧客情報データ」とも称する)や、契約情報データベース122に契約毎に記録される契約情報を表すデータ(以下、「契約情報データ」とも称する)、作業者情報データベース123に作業者毎に記録される作業者情報を表すデータ(以下、「作業者情報データ」とも称する)、作業計画情報データベース124に作業計画毎に記録される作業計画情報を表すデータ(以下、「作業計画情報データ」とも称する)などが記憶部120に格納される。制御部110は、これらの情報を記憶部120に読み書きすることで、前述の点検予約処理を実行することができる。
【0053】
なお、顧客情報データベース121は、顧客情報データを管理するためのデータベースである。同様に、契約情報データベース122は、契約情報データを管理するためのデータベースである。作業者情報データベース123は、作業者情報データを管理するためのデータベースである。作業計画情報データベース124は、作業計画情報データを管理するためのデータベースである。
【0054】
ユーザーインターフェース部130は、ユーザーからの入力操作を受け付けるほか、画像表示や音声出力など、ユーザーインターフェースに関する処理を担当する。ユーザーインターフェース部130は、入力部131および出力部132の各機能ブロックを有する。
【0055】
入力部131は、ユーザーインターフェースに関する処理のうち、ユーザーからの入力操作の受け付けなど、入力に関する処理を担当する。入力部131は、例えばキーボードやポインティングデバイス、タッチパネルなどを用いて構成され、ユーザーからの各種操作を検出する。
【0056】
出力部132は、ユーザーインターフェースに関する処理のうち、表示装置への各種画面の表示や音声出力など、出力に関する処理を担当する。出力部132は、例えば液晶ディスプレイやタッチスクリーンなどを用いて構成される。
【0057】
通信部140は、インターネット(通信ネットワーク200の一例)を介して行われる、ユーザー端末50などの他の機器との通信処理を担当する。通信部140は、例えばNIC(Network Interface Card)やHBA(Host Bus Adapter)などを用いて構成される。
【0058】
すなわち、点検予約システム100の各構成要素は、プロセッサ、メモリや永続記憶装置といった記憶装置、それらを連結する有線または無線の通信線やインターフェース装置を含むハードウェアと、記憶装置に格納され、演算器に処理命令を供給するソフトウェアによって実現される。
【0059】
本実施形態では、点検予約システム100の各機能が一台のコンピュータ装置により一体的に実現されているものとして説明した。しかしながら、これらの各機能は相互に接続された複数台のコンピュータ装置またはサーバ装置によって実現されてもよい。また、点検予約システム100は、ラップトップPCなどの汎用コンピュータ装置と、これにインストールされたウェブブラウザとを含む構成であってもよいし、ウェブサーバや各種携帯機器を含む構成であってもよい。
【0060】
<ユーザー端末50の機能ブロック例>
次に、本実施形態に係るユーザー端末50が備える各種機能のブロックの一例について説明する。なお、以下に説明する各ブロックは、ハードウェア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。
【0061】
図1に示したように、ユーザー端末50は、制御部51、記憶部52、ユーザーインターフェース部53および通信部54の各機能ブロックを備えて構成される。
【0062】
制御部51は、記憶部52が格納しているプログラムやデータ、通信部54により取得されたデータ、およびユーザーインターフェース部53が検出したユーザーの操作入力に基づいて各種データ処理を実行する。制御部51は、記憶部52、通信部54およびユーザーインターフェース部53のインターフェースとしても機能する。
【0063】
制御部51は、プロセッサを用いて構成され、所定のプログラムを実行することによって、これらの機能ブロックを実現することができる。なお、プロセッサの代わりに、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)などの論理回路を用いて制御部51を構成してもよい。また、プロセッサと論理回路との組合せによって制御部51を構成してもよい。
【0064】
記憶部52は、例えば永続記憶装置およびメモリからなる記憶装置を用いて構成されており、制御部51に各種処理命令を供給するプログラム、および制御部51が実行する処理において用いられる各種情報を表すデータを格納する。制御部51は、これらの情報を記憶部52に読み書きすることで、各種処理を実行することができる。
【0065】
ユーザーインターフェース部53は、ユーザーからの入力操作を受け付けるほか、画像表示や音声出力など、ユーザーインターフェースに関する処理を担当する。ユーザーインターフェース部53は、入力部531および出力部532の各機能ブロックを有する。
【0066】
入力部531は、ユーザーインターフェースに関する処理のうち、ユーザーからの入力操作の受け付けなど、入力に関する処理を担当する。入力部531は、例えばタッチパネルを用いて構成され、ユーザーからの各種操作を検出する。
【0067】
出力部532は、ユーザーインターフェースに関する処理のうち、表示装置への各種画面の表示や音声出力など、出力に関する処理を担当する。出力部532は、例えばタッチスクリーンや液晶ディスプレイなどを用いて構成される。
【0068】
通信部54は、インターネットを介して行われる、点検予約システム100などの他の機器との通信処理を担当する。通信部54は、例えばNIC(Network Interface Card)やHBA(Host Bus Adapter)などを用いて構成される。
【0069】
なお、上述した各機能の説明は一例であり、複数の機能が一つの機能にまとめられたり、一つの機能が複数の機能に分割されたりしてもよい。
【0070】
<予定日程調整処理の処理フロー例>
次に、本実施形態に係る点検予約システム100が実行する予定日程調整処理の処理手順について、図2を参照しつつ説明する。
【0071】
図2は、予定日程調整処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0072】
なお、以下で説明する予定日程調整処理における各ステップは、前述したように、点検予約システム100がメモリなどに読み出して実行する点検予約プログラムによって実現される。点検予約プログラムは、以下の各ステップで実行される処理を実現するためのコードを含んで構成されている。
【0073】
ステップS131において、顧客連絡部111は、顧客が点検予定日を選択または変更する場合、予定日程調整部13により、作業情報算出部112が空き時間算出部23によって算出した空き時間を表す情報を読み込む。この空き時間を表す情報は、具体的には、当該点検の点検予定月の中で、作業情報算出部112によって空き時間と判断された時間帯を表す情報と、空き時間がある日を表す情報とから構成される。なお、空き時間は、点検作業にかかる時間以外に、既存の作業計画の作業先との間の移動時間や、当該点検作業の作業内容、当該点検作業に必要な資格所有者を含む作業者候補の状況なども考慮して算出される。空き時間の算出要領の詳細は、図3に関連して後述する。顧客連絡部111は、ステップS131における処理が完了すると、ステップS132に進む。
【0074】
ステップS132において、顧客連絡部111は、予定日程調整部13により、顧客が選択した点検予定日までの残り時間、すなわち顧客が点検予定日の選択操作を行った時点から当該点検予定日までの時間の長さが下記の期間(1)~期間(3)のいずれに該当するかを判定する処理を実行する。予定日程調整部13は、ステップS132で判定した当該点検予定日までの残り時間の長さに応じて、当該顧客に対して提供するシステムサポートの内容、および、当該顧客が保有するユーザー端末50の表示画面の内容を変更する。
【0075】
期間(1)は、例えば、点検予定日までまだ一か月以上あるように、点検計画が未作成の時期(ステップS1321)における点検予定日までの残り時間を表す。
【0076】
期間(2)は、例えば、点検予定日まで残り一か月~一週間程度であるように、点検計画が作成済であり、かつ、日程変更や作業計画などの調整が容易な時期(ステップS1322)における点検予定日までの残り時間を表す。
【0077】
期間(3)は、例えば、点検予定日まで残り一週間を切っているように、点検計画が作成済であり、かつ、日程変更や作業計画などの調整が困難な時期(ステップS1323)における点検予定日までの残り時間を表す。
【0078】
ステップS132において、顧客が選択した点検予定日までの残り時間の長さが予定日程調整部13により上記の期間(1)に該当すると判定された場合、当該顧客は、当該点検の実施予定日時を、自らが希望する日時に自由に選択または変更することが可能である(S13211)。そのため、この場合には、予定日程調整部13は、保有するユーザー端末50に対して顧客が行った当該点検の実施予定日時を選択または変更する操作を、通信部140を介して受け付けると、受け付けた日時を正式な点検予定日時とする形で当該点検の点検日程を確定させて、ステップS133に進む。
【0079】
ステップS132において、顧客が選択した点検予定日までの残り時間の長さが予定日程調整部13により上記の期間(2)に該当すると判定された場合、顧客連絡部111は、まず、ステップS13221において、予定日程調整部13により、当該点検の点検予定月に、空き時間算出部23が算出した空き時間があるか否かを判定する処理を実行する。空き時間があると判定した場合(ステップS13221:Y)は、空き時間中で顧客が希望する日程を仮予約するためにステップS13222に進み、空き時間がないと判定した場合(ステップS13221:N)は、その旨を作業計画者に連絡するためにステップS13231に進む。
【0080】
ステップS13222において、顧客連絡部111は、保有するユーザー端末50に対して顧客が行った、当該点検の希望予定日時を空き時間の中から選択する操作を、通信部140を介して受け付けると、予定日程調整部13により、当該日時を当該点検の実施予定日時として仮予約する。顧客連絡部111は、ステップS13222における処理が完了すると、ステップS13223に進む。
【0081】
ステップS13223において、顧客連絡部111は、予定日程調整部13により、ステップS13222で仮予約した当該点検の実施予定日時(以下、「仮予約日時」と称する)について、作業計画者の同意の有無を判定する処理を実行する。この判定処理は、所定期間内に作業計画者が仮予約日時に同意したか否かを基に行ってもよい。この場合において、上記所定期間は、例えば「24時間以内」や「5日以内」などのように、作業内容や作業者のスケジュールなどに応じて適宜に設定されればよい。すなわち、ステップS13223における判定処理の実行に先立って、作業計画者に対して仮予約日時に同意するか否かを回答する期限が設定されてもよい。当該仮予約日時について作業計画者が同意した、と判定した場合(ステップS13223:Y)は、これによって点検業者側が当該仮予約日時を点検日程として満足していることが担保されることから、当該仮予約日時を正式な点検予定日時とする形で当該点検の点検日程を確定させてステップS133に進み、当該仮予約日時について作業計画者の同意なしと判定した場合(ステップS13223:N)は、作業計画者と点検日程を個別に調整するためにステップS13232に進む。
【0082】
ステップS132において、顧客が選択した点検予定日までの残り時間の長さが予定日程調整部13により上記の期間(3)に該当すると判定された場合、または、ステップS13221において空き時間がないと判定された場合、ステップS13231において、顧客連絡部111は、予定日程調整部13により、通信部140を介してそれぞれその旨を作業計画者に連絡する。顧客連絡部111は、ステップS13231における処理が完了すると、ステップS13232に進む。
【0083】
ステップS13232において、顧客連絡部111は、予定日程調整部13により、当該顧客と作業計画者とが点検日程を個別に調整するための処理を行う。この処理は、電話やチャットなどのコミュニケーション手段を含む形で実行されてもよい。顧客連絡部111は、ステップS13232における処理が完了すると、ステップS133に進む。
【0084】
ステップS133において、顧客連絡部111は、予定日程調整部13により、点検日程を含む作業計画を確定させて、作業情報算出部112の情報を更新する。顧客連絡部111は、ステップS133における処理が完了すると、ステップS134に進む。
【0085】
ステップS134において、顧客連絡部111は、予定日程調整部13により、点検予定日を、顧客がアクセス可能な形でWEB/APPに掲載する。顧客連絡部111は、ステップS134における処理が完了すると、ステップS135に進む。
【0086】
ステップS135において、顧客連絡部111は、予定日程通知部12により、点検予定日を、予定日程として顧客に通知するか否かを判断し、通知すると判断した場合には、当該顧客が保有するユーザー端末50に対して適切な方法で通知する。顧客連絡部111は、ステップS135における処理が完了すると、図2のフローチャートに示す予定日程調整処理を終了する。
【0087】
<作業情報算出処理の処理フロー例>
次に、本実施形態に係る点検予約システム100が実行する作業情報算出処理の処理手順について、図3を参照しつつ説明する。
【0088】
図3は、作業情報算出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0089】
なお、以下で説明する作業情報算出処理における各ステップは、前述したように、点検予約システム100がメモリなどに読み出して実行する点検予約プログラムによって実現される。点検予約プログラムは、以下の各ステップで実行される処理を実現するためのコードを含んで構成されている。
【0090】
ステップS211において、作業情報算出部112は、選択された点検、すなわち作業情報を算出する対象である点検について、契約情報、顧客情報、ビル情報などの各種情報を読み込む。作業情報算出部112は、ステップS211における処理が完了すると、ステップS212に進む。
【0091】
ステップS212において、作業情報算出部112は、作業内容算出部21により、ステップS211で読み込んだ情報に基づいて、当該点検における作業項目や作業基準などの作業内容を算出する。作業情報算出部112は、ステップS212における処理が完了すると、ステップS22に進む。
【0092】
ステップS22において、作業情報算出部112は、作業時間算出部22により、ステップS212で算出した作業内容に基づいて、当該点検を実施する際に必要な作業時間を算出する。作業情報算出部112は、ステップS22における処理が完了すると、ステップS23に進む。
【0093】
ステップS23において、作業情報算出部112は、ステップS212で算出した作業内容に基づいて、当該点検を実施するうえで必要な資格や作業者の人数、準備が必要な設備などを算出する。作業情報算出部112は、ステップS23における処理が完了すると、ステップS241に進む。
【0094】
ステップS241において、作業情報算出部112は、空き時間算出部23により、当該点検の実施予定月の各日の既存の作業計画を読み込む。作業情報算出部112は、ステップS241における処理が完了すると、ステップS242に進む。
【0095】
ステップS242において、作業情報算出部112は、空き時間算出部23により、下記の関係式(1)に基づいて、当該点検に必要な作業者候補の各日の既存の作業計画から、当該既存の作業計画が入っていない各日の時間を仮空き時間として抽出する。
【0096】
仮空き時間=(後の作業が始める時間)-(前の作業先が終了する時間)……関係式(1)
【0097】
作業情報算出部112は、ステップS242における処理が完了すると、ステップS243に進む。
【0098】
ステップS243において、作業情報算出部112は、空き時間算出部23により、下記の関係式(2)に基づいて、当該点検の作業先と、当該点検の前後に行われる既存の作業計画の作業先との間の移動に必要な時間を移動時間として算出する。
【0099】
移動時間=(前の作業先からの移動時間)+(後の作業先への移動時間)……関係式(2)
【0100】
作業情報算出部112は、ステップS243における処理が完了すると、ステップS244に進む。
【0101】
ステップS244において、作業情報算出部112は、空き時間算出部23により、下記の関係式(3)に基づいて仮空き時間が作業時間、移動時間およびバッファーの合計よりも大きいか否かを判定する処理を実行する。この判定処理は、当該仮空き時間が空き時間に該当するか否か、すなわち空き時間の有無を判断するために行われるものである。なお、ここでいうバッファーとは、予定外の整備清掃項目が発生した場合や、移動中に渋滞などの状況に巻き込まれた場合など、不意の対応用の予備の時間のことである。
【0102】
仮空き時間>作業時間+移動時間+バッファー……関係式(3)
【0103】
作業情報算出部112は、空き時間算出部23により、仮空き時間が作業時間、移動時間およびバッファーの合計よりも大きいと判定した場合(ステップS244:Y)は、当該仮空き時間が空き時間に該当する(ステップS2441)、すなわち空き時間があると判断してステップS245に進み、仮空き時間が作業時間、移動時間およびバッファーの合計と同等以下であると判定した場合(ステップS244:N)は、当該仮空き時間が空き時間に該当しない(ステップS2442)、すなわち空き時間がないと判断して、ステップS245に進む。
【0104】
ステップS245において、作業情報算出部112は、空き時間算出部23により、ステップS244における判定処理の結果を顧客連絡部111へ送信する。なお、保有するユーザー端末50を介して顧客連絡部111とのやり取りを行う顧客は、空き時間と判定されたものの時間量を表す値のみ視認することが可能であり、仮空き時間や移動時間などといった上記の関係式(3)における各項の値を視認することはできない。作業情報算出部112は、ステップS245における処理が完了すると、ステップS246に進む。
【0105】
ステップS246において、作業情報算出部112は、顧客がその日程を選択したか否かを判定する処理を実行する。この判定処理は、顧客連絡部111が、当該顧客が保有するユーザー端末50から該当点検の希望日程の選択結果を受信したか否かに基づいて行われる。顧客がその日程を選択したと判定した場合(ステップS246:Y)は、これによって顧客側が当該日程を点検日程として満足していることが担保されることから、日程を確定させて、当該日程について作業ルートおよび作業計画を作成するためにステップS248に進み、顧客がその日程を選択していないと判定した場合(ステップS246:N)は、ステップS247に進む。
【0106】
なお、顧客からその日程について変更依頼を受け付けた場合には、作業情報算出部112は、ステップS246において、上述の判定を行わずにステップS241に戻り、空き時間算出部23によりステップS241からS245までの処理を実行する。これらの処理は、顧客が希望日程を選択するまで繰り返される。
【0107】
ステップS247において、作業情報算出部112は、点検まで一か月あるか否かを判定する処理を実行する。点検まで一か月あると判定した場合(ステップS247:Y)は、作業ルートおよび作業計画を作成するためにステップS248に進み、点検まで一か月ないと判定した場合(ステップS247:N)は、再びステップS246に戻る。
【0108】
ステップS248において、作業情報算出部112は、顧客が希望日程を選択した後、点検まで計画作成の開始日およびそれ以降で、その日程の作業ルートおよび作業計画を作成する。例えば、作業計画者は点検まで一か月の時に、次の月の点検計画を作成する。作業情報算出部112は、ステップS248における処理が完了すると、ステップS249に進む。
【0109】
ステップS249において、作業情報算出部112は、上述の処理によって作成した作業計画を作業者連絡部113へ送信する。作業情報算出部112は、ステップS249における処理が完了すると、図3のフローチャートに示す作業情報算出処理を終了する。
【0110】
<ユーザー端末50の表示画面例>
次に、点検予約システム100を利用する顧客が顧客連絡部111とやり取りを行う際の、当該顧客が保有するユーザー端末50の表示画面の一例を図4~10を参照しつつ説明する。
【0111】
図4は、顧客が保有するユーザー端末50に表示される初期画面400aおよびホーム画面400bの一例を示す。
【0112】
ここでは、数年前から、一年に4回の点検を行う保守契約を点検事業者との間で結んでいる、とある分譲マンションの管理会社を顧客として想定する。この保守契約においては、1月、4月、7月、10月が点検月として設定されており、そのうち10月には、年一回の定期検査・性能検査が行われる。この顧客は、点検日について、元旦である1月1日を除いてどの日でも点検は実施可能であるが、事前にエレベータ点検の通知をマンションの住人へ通知する必要があるため、毎回点検予定の半月前に点検予定日の通知が欲しい、と考えている。
【0113】
まず、顧客は、図4に示した初期画面400aをユーザー端末50の画面に表示させて、専用のアプリケーションソフトウェア(以下、「携帯APP」と称する)にユーザー登録を行う。初期画面400aを表示させた状態で「新規登録」ボタンの選択操作を行うと、点検予約システム100の制御部110は、通信部140を介して当該選択操作を受け付けて、ユーザー登録処理を開始する。ユーザー登録処理が正常に完了すると、当該顧客のアカウントが作成される。アカウント作成処理において顧客から入力操作を受け付けた当該顧客の顧客情報は、顧客情報DB121に格納される。ユーザー登録処理が完了後、顧客は、一意に割り振られた契約時お客様番号またはメールアドレスと、登録時に設定したパスワードとの入力操作および「ログイン」ボタンの選択操作からなるログイン操作を行い、点検予約システム100の利用を開始する。
【0114】
顧客がログイン操作を完了すると、ユーザー端末50の画面には、図4に示したホーム画面400bが表示される。
【0115】
ホーム画面400bの右上には、「通知情報」、「ユーザー情報」および「設定」などの基礎機能に係る各種アイコンが配置されている。例えば、ユーザー端末50が点検日に関する通知情報を表す「APP通知」を予定日程通知部12から通信部54を介して受信した場合には、「通知情報」アイコンにその旨が表示される。
【0116】
ホーム画面400b上のその下側には、顧客が当該点検について点検予約に関する要求を登録するための「要求登録」機能や、顧客が点検予定日を確認・変更するための「点検日確認」機能、顧客が点検終了後に点検結果を確認するための「点検報告書」機能を利用するためのボタンが、「契約情報」機能や「問い合わせ」機能、「よくある質問」機能などのその他の一般的な機能を利用するためのボタンとともに配置されている。ここでは主に本発明の重要技術に関連する「要求登録」、「点検日確認」について説明する。
【0117】
なお、ホーム画面400b上に、お知らせやキャンペーン情報、PR商品などに関するトピックスを表示するための表示領域が設けられていてもよい。
【0118】
次に、顧客が「要求登録」機能を利用する際の表示画面の一例を、図5を参照しつつ説明する。図5は、顧客が要求登録を行う際の、当該顧客のユーザー端末50の表示画面500の一例を示す。
【0119】
ユーザー端末50の画面に図4のホーム画面400bが表示された状態で、顧客が「要求登録」ボタンの選択操作を行うと、図5に示した表示画面500へと遷移する。
【0120】
表示画面500において、「ビル選択」に係るプルダウンメニューの表示枠内に表示された「▼」に対して顧客がタップ操作を行うと、当該顧客が所有しているすべての建物が一覧表示される。その状態において、顧客が、要求登録の対象とする一つまたは複数の建物を選択する操作を行うと、選択操作の対象とされた建物が選択される。
【0121】
また、顧客は、「通知方法選択」に係るプルダウンメニューにより、点検予定に関する通知の方法を適宜に選択することが可能である。例えば、事前にマンションの住人へ点検予定を知らせる必要がある当該顧客の場合、「APP通知」および「SMS通知」の二種類の通知方法を選択することにより、点検予定に関する通知をユーザー端末50で便利に確認することができる。また、顧客は、「メール通知」や「電話通知」などのその他の多様な通知方法を選ぶことも可能である。他方、点検日に関する要求がなく、事前の通知も必要ない顧客であれば、「通知なし」を選択すればよい。
【0122】
また、顧客は、「指定日希望/不可」の表示欄からカレンダーを表示させて指定日の選択操作を行い、当該指定日について「希望」または「不可」を選択することが可能である。例えば、当該顧客の場合、元旦である1月1日は不可である。この場合、顧客は、カレンダーから1月1日を選択し、「不可」を設定する。仮に、複数の指定日について「希望」または「不可」のいずれかの種別を設定したい場合には、「追加」ボタンで追加することが可能である。
【0123】
さらに、顧客は、点検対象の昇降機の状態について気がかりな点がある場合や、次回の点検で特に確認を希望する点がある場合には、「点検内容要求」に係るテキストボックス内にこれらの事項を事前に自由記述形式で記入することができる。これにより、点検作業者側は、関連の設備や作業者を次回の点検前に準備することができる。
【0124】
上記の入力操作を行った顧客が、表示画面500において「保存」ボタンの選択操作を行うと、点検予約システム100の要求収集部11は、通信部140を介してこれらの入力情報を表すデータを受信し、当該顧客の登録要求を表すデータとして顧客情報DB121に格納する。これにより、予定日程調整部13、作業情報算出部112および作業者連絡部113がこうした顧客の登録要求を表すデータを利用することが可能になる。
【0125】
次に、顧客が「点検日確認」機能を利用する際の表示画面の一例を、図6~10を参照しつつ説明する。
【0126】
図6~7は、顧客が点検予定日を確認・変更する際の、当該顧客のユーザー端末50の表示画面(600a、600b、700a、700b)の一例をそれぞれ示す。
【0127】
ユーザー端末50の画面に図4のホーム画面400bが表示された状態で、顧客が「点検日確認」ボタンの選択操作を行うと、図6に示した表示画面600aへと遷移する。
【0128】
表示画面600aには、まず、当該年度のすべての月が一覧表示されている。そのうち点検の実施月は、表示画面600aに示したように、網掛け表示によって強調されている。当該顧客は、前述したように、1月、4月、7月、10月と、一年に点検を4回行う保守契約を契約している。そのため、点検月であるこれらの四つの月が強調表示されている。なお、点検月の強調表示は、例えば赤などの視認しやすい色で枠内を着色するなど、他の方法によってなされてもよい。
【0129】
例えば、2022年1月1日の時点で、同年の10月を表す「OCT」を顧客がタップすることで選択操作が行われると、ユーザー端末50の画面には、図6の表示画面600bが表示される。表示画面600bには、選択操作の対象とされた月である2022年10月のカレンダーが表示されている。このカレンダーでは、各日が、作業情報算出部112が算出した空き時間を基に、色別で表示される。例えば、作業可能な日のうち、当日の空き時間がまだ多い場合は緑色で、当日の空き時間が少ない場合は黄色で、当日の空き時間が残りわずかな場合は橙色で表示される。他方、当日がすでに既存の作業計画で埋まっており、空き時間がない場合や、作業側の休業日などの事情により作業できない日である場合には、灰色で表示される。なお、これらの色はいずれも例示であり、各日の塗分けに用いる色は、設計者が自由に設定・変更してもよい。また、各日を塗分ける代わりに、あるいは、各日の塗分けと合わせて、異なるパターンの斜線や網掛けなどが枠内に表示されることにより、各日が区別されてもよい。
【0130】
図6の表示画面600bに示したように、2022年1月の時点で同年10月のカレンダーを表示させると、約90%程度の日は、空き時間が多い状態を表す緑色で表示されている。
【0131】
他方、2022年1月1日の時点で、当月である1月を表す「JAN」を顧客がタップすることで選択操作が行われると、ユーザー端末50の画面には、図7の表示画面700aが表示される。表示画面700aには、選択操作の対象とされた月である2022年1月のカレンダーが表示されている。
【0132】
すでに当月に入っているため、2022年1月分の点検計画はすでに作成されている。点検予定日は緑色で示されており、本実施例では、同年の1月12日に点検が予定されている。その点検予定日について、顧客は「確定」と「変更」を選ぶことが可能である。1月1日の時点では、点検予定日である1月12日まではまだ一週間以上あるため、ここで顧客が「変更」タップすることで選択操作が行われると、ユーザー端末50の画面には、図7の表示画面700bが表示される。表示画面700bには、2022年1月の各日における空き時間の状況を表すカレンダーが表示されている。図7の表示画面700bに示した同年1月の空き時間のカレンダーの場合、図6の表示画面600bに示した同年10月のカレンダーに比べて、灰色で表示された日、すなわち空き時間がない日が多く、緑色で表示された日、すなわち空き時間が多く、日程変更が容易な日は少ない。この図7の表示画面700bにおいて、空き時間がある任意の日を顧客がタップすることで選択操作が行われると、ユーザー端末50の画面には、図8の表示画面(800a、800b、800c)が表示される。顧客は、図8の表示画面(800a、800b、800c)で、選択した日のどの時間帯で点検作業を予約するかをさらに選択する。
【0133】
図8は、顧客が点検希望日内の空き時間を選択する際の、当該顧客のユーザー端末50の表示画面(800a、800b、800c)の一例をそれぞれ示す。
【0134】
なお、作業情報算出部112は、前述したように、関係式(3)により、仮空き時間が、作業時間、移動時間およびバッファーの合計時間よりも大きい場合、当該仮空き時間が空き時間に該当する、と判断する。そのため、図8の表示画面(800a、800b、800c)に表示される当日の空き時間の状況は、作業時間や移動時間、バッファーなどの設定内容により異なる。そこで、点検作業を予約する時間帯の選択要領についての下記の説明は、次の状況(1)~(3)の三つの状況を説例に用いて行う。なお、これらの三つの説例において、作業者側は、8:00から作業を開始することが可能であり、また、20:00までに作業を終了する必要があるものとする。また、12:00~13:00の一時間は、作業予定者の昼休みが設定されているために点検作業を行うことができないものとする。さらに、当該点検日には、他に、10:00~12:00に作業先Aで行われる点検作業と、16:00~17:00に作業先Bで行われる点検作業との、二つの既存の作業計画があるものとする。
【0135】
(状況(1)の場合)
この状況(1)では、当該点検が年一回の定期検査でなく、顧客からも特に検査して欲しい項目などについて顧客要求は受けていないため、点検作業自体は60分で完了するものとする。また、当該点検作業の作業先は、当該点検作業の前後に行われる二つの既存の作業計画の作業先のいずれからも近く、作業先Aからの移動時間は5分、作業先Bへの移動時間は15分あれば移動可能であるものとする。さらに、万が一、点検作業時にその場で整備を行わなければならない項目が発生した場合を考慮して、30分のバッファー時間が設けられているものとする。
【0136】
この状況(1)の場合、まず、8:00から点検作業を開始した場合、9:00に点検作業が完了し、バッファーおよび次の作業先Aまでの移動時間を考慮すると、次の点検作業を開始可能な時間は9:35となる。そのため、10:00から作業先Aで行われる他の既存の作業計画の作業開始時間には間に合う。これに対して、8:30から点検作業を開始する場合には、次の点検作業を開始可能な時間は10:05となるため、10:00から作業先Aで行われる他の既存の作業計画の作業開始時間には間に合わない。
【0137】
また、状況(1)の場合、午後の点検作業は、昼休みと、次の作業先への移動時間とを考慮して、13:30から開始することができる。14:00に点検作業を開始した場合、15:00に点検作業が完了し、バッファーおよび次の作業先Bまでの移動時間を考慮すると、次の点検作業を開始可能な時間は15:45となる。そのため、16:00から作業先Bで行われる他の既存の作業計画の作業開始時間には間に合う。これに対して、14:30以降に点検作業を開始する場合には、16:00から作業先Bで行われる他の既存の作業計画の作業開始時間には間に合わない。
【0138】
また、作業先Bで17:00まで行われる他の既存の作業計画の作業終了後に当該点検作業の作業先に向かう場合、当該点検作業を開始することが可能な時間は、17:30である。ここで、18:30から点検作業を開始した場合、点検作業自体は19:30に完了し、バッファーを考慮しても、20:00にはこの日のすべての点検作業を終えることができるため、終業時間には間に合う。
【0139】
そのため、図8の表示画面800aに示したように、状況(1)の場合に、当該点検作業の作業開始時間として空きがあり、すなわち当該点検作業の作業開始時間を変更することができるのは、8:00、13:30~14:00、17:30~18:30である。
【0140】
(状況(2)の場合)
この状況(2)では、顧客要求により検査したい項目があるため、作業時間は90分であるものとする。また、当該点検作業の前後に行われる二つの既存の作業計画の作業先との間のそれぞれの移動時間と、設定されているバッファーは、状況(1)の場合と同じであるものとする。
【0141】
この状況(2)の場合、まず、8:00から点検作業を開始した場合、9:30に点検作業が完了し、バッファーおよび次の作業先Aまでの移動時間を考慮すると、次の点検作業を開始可能な時間は10:05となる。そのため、10:00から作業先Aで行われる他の既存の作業計画の作業開始時間には間に合わない。
【0142】
また、状況(2)の場合も、午後の点検作業は、上述した状況(1)の場合と同様に、13:30から開始することができる。そこで、13:30に点検作業を開始した場合、15:00に点検作業が完了し、バッファーおよび次の作業先Bまでの移動時間を考慮すると、次の点検作業を開始可能な時間は15:45となる。そのため、16:00から作業先Bで行われる他の既存の作業計画の作業開始時間には間に合う。これに対して、14:00以降に点検作業を開始する場合には、16:00から作業先Bで行われる他の既存の作業計画の作業開始時間には間に合わない。
【0143】
また、作業先Bで17:00まで行われる他の既存の作業計画の作業終了後に当該点検作業の作業先に向かう場合、当該点検作業を開始することが可能な時間は、17:30である。ここで、18:00から点検作業を開始した場合、点検作業自体は19:30に完了し、バッファーを考慮しても、20:00にはこの日のすべての点検作業を終えることができるため、終業時間には間に合う。
【0144】
そのため、図8の表示画面800bに示したように、状況(2)の場合に、当該点検作業の作業開始時間として空きがあり、すなわち当該点検作業の作業開始時間を変更することができるのは、13:30、17:30~18:00である。
【0145】
(状況(3)の場合)
この状況(3)では、当該点検が年一回の定期検査でなく、顧客からも特に検査して欲しい項目などについて顧客要求は受けていないため、点検作業自体は60分で完了するものとする。他方、当該点検作業の作業先は、当該点検作業の前後に行われる二つの既存の作業計画の作業先のいずれからも離れており、作業先Aからの移動時間は30分、作業先Bへの移動時間は35分を要するものとする。さらに、移動経路に中心街が含まれていることから、渋滞を考慮して、60分のバッファー時間が設けられているものとする。
【0146】
この状況(3)の場合、まず、8:00から点検作業を開始した場合、9:00に点検作業が完了し、バッファーおよび次の作業先Aまでの移動時間を考慮すると、次の点検作業を開始可能な時間は10:30となる。そのため、10:00から作業先Aで行われる他の既存の作業計画の作業開始時間には間に合わない。
【0147】
また、状況(3)の場合も、午後の点検作業は、上述した状況(1)および(2)の場合と同様に、13:30から開始することができる。そこで、13:30に点検作業を開始した場合、14:30に点検作業が完了し、バッファーおよび次の作業先Bまでの移動時間を考慮すると、次の点検作業を開始可能な時間は16:05となる。そのため、16:00から作業先Bで行われる他の既存の作業計画の作業開始時間には間に合わない。
【0148】
また、作業先Bで17:00まで行われる他の既存の作業計画の作業終了後に当該点検作業の作業先に向かう場合、当該点検作業を開始することが可能な時間は、17:30である。ここで、当該点検作業の完了後は営業所に戻るだけであることから、この時間帯におけるバッファーは、上述した状況(1)の場合と同様に、30分となる。このとき、18:30から点検作業を開始した場合、点検作業自体は19:30に完了し、バッファーを考慮しても、20:00にはこの日のすべての点検作業を終えることができるため、終業時間には間に合う。
【0149】
そのため、図8の表示画面800cに示したように、状況(3)の場合に、当該点検作業の作業開始時間として空きがあり、すなわち当該点検作業の作業開始時間を変更することができるのは、17:30~18:30のみである。
【0150】
顧客は、それぞれの状況に応じて、各状況における空き時間のなかから希望する作業開始時間を一つタップして選択操作を行うことにより、当該点検作業の作業開始時間を変更することができる。当該点検作業について、選択された点検日および作業開始時間は、仮予約状態となる。
【0151】
図9は、顧客が点検希望日時を選択した後の、当該顧客のユーザー端末50の表示画面(900a~900d)の一例を示す。
【0152】
1月1日の時点では、点検予定日の1月21日まではまだ一週間から一か月の期間があるため、顧客は、空き時間をタップして選択操作を行い、当該点検の予約をすることができる。顧客が選択操作を行った後は、図9の表示画面900aに示したように、点検予定日が仮予約状態となる。なお、表示画面900aにおいて、仮予約状態となった点検予定日が、例えば黄色などの色で塗分けられることによって強調表示されていてもよい。表示画面900aに表示された2022年1月のカレンダーにおいて、点検予定日である1月21日を表す枠を顧客がタップして選択操作を行うと、図9に示したように、当該点検予定について具体的な時間帯や地図などの詳細な内容を記載した表示画面900bが表示される。これにより、顧客は、当該点検予定の詳細な内容を確認することができる。
【0153】
顧客が空き時間をタップして選択操作を行い、当該点検を予約すると、点検予約システム100の作業者連絡部113は、通信部140を介して受信した当該予約の内容を表すデータを作業計画者が保有するユーザー端末50へと送信することにより、当該作業計画者に連絡する。作業計画者が自己のユーザー端末50への入力操作によって顧客の希望日程に同意すると、図9の表示画面900cに示したように、当該点検予定日は確定した状態になる。なお、表示画面900cにおいて、確定状態となった点検予定日が、例えば緑色などの色で塗分けられることによって強調表示されていてもよい。表示画面900cに表示された2022年1月のカレンダーにおいて、点検日として確定した1月21日を表す枠を顧客がタップして選択操作を行うと、図9に示したように、当該点検予定について具体的な時間帯や地図などの詳細な内容を記載した表示画面900dが表示される。これにより、顧客は、当該点検予定について、最終的に確定した詳細な内容を確認することができる。
【0154】
最後に、顧客側の操作では点検日程を変更することができず、点検予定日を変更するためには受付担当者または作業計画者に対して直接その旨を連絡する必要がある場合について、図10を参照しつつ説明する。図10は、然様な場合の当該顧客のユーザー端末50の表示画面(1000a、1000b)の一例を示す。
【0155】
下記の二通りの場合には、顧客側の操作によって点検日程を変更することはできない。したがって、これらの場合に点検予定日を変更するためには、顧客は、受付担当者または作業計画者に対して直接その旨を連絡する必要がある。
【0156】
(1)点検予定日を変更したいが、その月にはすでに空き時間がない場合
例えば、当該月が1月のように年末年始など作業できない日が多い月であって、さらに、当該月にはすでに他の既存の作業計画が多く入っており、他の既存の作業計画の作業先との移動時間やバッファーを考慮すると、当該月には当該点検作業を入れるための空き時間がない場合には、前述した顧客側の操作によって点検日程を変更することはできない。
【0157】
(2)点検予定日までの時間が短く、作業計画や人員などの調整が難しい場合
例えば、1月1日の時点で、顧客が1月12日の点検を1月4日に変更したいと考えているが、当該点検ではロープテスタが必要なロープ診断が予定されている場合において、ロープテスタは複数の作業班の共用であって1月4日には別の班で使用する予定があり、さらに申請手続きが間に合わないなどの事情によって、別の個体を別の営業所から借りることもできないためにロープテスタを準備することができない場合には、前述した顧客側の操作によって点検日程を1月4日に変更することはできない。
【0158】
これらの場合には、図6の表示画面600bや、図7の表示画面700bのような空き時間の状況を確認するためのカレンダーは表示されず、上記(1)の場合には図10の表示画面1000aが、上記(2)の場合には図10表示画面1000bが、当該顧客のユーザー端末50に表示される。このように、点検予約システム100は、これらの場合には、当該顧客に対して、「電話」もしくは「チャット」によって受付担当者または作業計画者に対して直接連絡をするようにガイドする。
【0159】
以上説明した本発明の実施形態は、以下のように総括される。
【0160】
(1)点検予約システム100は、設備の点検を予約するシステムであって、点検の予約に関して顧客との連絡を行う顧客連絡部111と、予約対象の点検について作業情報を算出する作業情報算出部112と、点検の予約に関して作業者との連絡を行う作業者連絡部113と、を備え、顧客連絡部111は、顧客の要求を収集し、顧客に点検の予定日程を通知し、点検の予定日程を調整し、作業情報算出部112は、契約情報から各点検の作業内容および作業時間を算出し、既存の点検作業計画に基づき点検計画を計画できる空き時間を算出し、作業者連絡部113は、作業情報算出部112が算出した作業計画および顧客連絡部111が収集した顧客要求を作業者に通知する。このようにしたので、顧客は、希望通りの日程で点検を受けやすくなる。
【0161】
また、このようにしたので、点検業者は、顧客の希望をかなえつつ、日程を調整しやすくなる。
【0162】
また、このようにしたので、点検業者は、空き時間を効率よく活用することができ、より多くの作業計画を含む高効率な点検計画を組みやすくなる。
【0163】
その結果、点検予約システム100は、顧客側と点検業者側との双方が満足できる点検日程を便利に設定・変更することができる。
【0164】
(2)作業情報算出部112は、当該点検の作業時間を算出し、算出された作業時間、前後の既存の作業計画の作業先との間の移動時間および不意の対応用の予備の時間を表すバッファーの合計よりも、既存の作業計画中の前の作業先の作業完了時間と後の作業先の作業開始時間との差を表す仮空き時間が大きいか否かを判定し、作業時間、移動時間およびバッファーの合計よりも仮空き時間が大きいと判定した場合に、仮空き時間が空き時間に該当すると判断することにより、空き時間を算出する。
【0165】
(3)顧客連絡部111は、顧客が選択した点検予定日までの残り時間の長さが下記の期間(1)乃至(3)のいずれに該当するかを判定し、判定結果に応じた異なる方法で点検の予定日程を調整する、
・点検計画が未作成の時期における点検予定日までの残り時間を表す期間(1)、
・点検計画が作成済であり、かつ、日程変更や作業計画などの調整が容易な時期における点検予定日までの残り時間を表す期間(2)、
・点検計画が作成済であり、かつ、日程変更や作業計画などの調整が困難な時期における点検予定日までの残り時間を表す期間(3)。
【0166】
(4)顧客要求は、点検予定に関する通知方法、点検対象の設備の状態について気がかりな点、および当該点検で確認を希望する点の少なくともいずれか一つを含む。
【0167】
(5)顧客連絡部111は、顧客が希望する通知方法を収集し、作業情報算出部112が点検計画を作成後に、当該通知方法により当該点検計画に係る点検予定を前記顧客に通知する。
【0168】
(6)顧客連絡部111は、判定結果に応じて顧客が保有するユーザー端末に表示させる画面を変更する。
【0169】
(7)顧客連絡部111は、空き時間を表示するカレンダー上の空き時間の数量によって各日を異なる色で表示させる。
【0170】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で、任意の構成要素を用いて実施可能である。
【0171】
上記の実施形態や実施例、変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。また、上記では種々の実施形態や実施例、変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【0172】
上記の各図において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、必ずしも実装上の全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。例えば、実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0173】
また、以上に説明した点検予約システム100の各種機能部や各種データベースなどの配置形態は一例に過ぎない。各種機能部や各種データベースなどの配置形態は、点検予約システム100が備えるハードウェアやソフトウェアの性能、処理効率、通信効率などの観点から最適な配置形態に変更し得る。
【符号の説明】
【0174】
100:点検予約システム
図1
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図10