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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084549
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】走行支援方法及び走行支援装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240618BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20240618BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20240618BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20240618BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20240618BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/09 F
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198875
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】明李 成博
(72)【発明者】
【氏名】中村 誠秀
(72)【発明者】
【氏名】吉松 祐香
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF13
5H181FF27
5H181LL01
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】インフラセンサの検出範囲外で、自車両が対向車線を通って自車線上の障害物を回避する回避制御が必要な場面で、対向車線を走行する対向車両の交通を妨げずに回避制御を行うことができる走行支援方法及び走行支援装置を提供することである。
【解決手段】インフラセンサの検出外領域内に、自車線上の障害物による自車両のセンサの死角領域が存在し、探索車到達時刻が自車到達時刻より早い、かつ、自車到達時刻と探索車到達時刻との時間差が所定時間以内である場合には、探索車両が死角領域内に位置するときに探索車両のセンサによって検出した、自車線上の奥側領域の障害物及び対向車両の有無を含む死角状況情報を送信させる制御信号を探索車両に送信し、対向車両が走行していない、かつ、奥側領域に障害物が存在しない場合に、自車両は、障害物を回避するために対向車線を通って奥側領域まで走行する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラによって実行され、自車両の自車走行経路を設定し、前記自車両に搭載されて前記自車両の周囲の環境を検出する自車センサから、前記自車センサの検出情報を取得し、前記自車走行経路の路上に設置されて周囲の環境を検出するインフラセンサから、前記インフラセンサの検出情報を取得し、前記自車センサによって検出された、前記自車両前方に位置する、前記自車両の走行を妨げる障害物の情報と、前記インフラセンサによって検出された、前記自車走行経路上に位置する前記障害物の情報とに基づいて、前記自車両が、前記自車センサ及び/又は前記インフラセンサによって検出された前記障害物を回避するように前記自車両の走行を支援する走行支援方法であって、
前記コントローラは、
前記自車センサの検出情報に基づいて、前記自車両が走行する自車線上に位置し、前記自車両の走行を妨げる回避対象障害物によって前記自車センサの死角となる死角領域を推定し、
前記死角領域と前記インフラセンサの検出範囲とに基づいて、前記インフラセンサによって検出できない検出外領域内に、前記死角領域が存在するか否かを判定し、
前記検出外領域内に、前記死角領域が存在する場合に、前記自車両が前記死角領域に到達する自車到達時刻、及び、前記自車両とは異なる探索車両が前記死角領域に到達する探索車到達時刻を取得し、
前記探索車到達時刻が前記自車到達時刻より早い、かつ、前記自車到達時刻と前記探索車到達時刻との時間差が所定時間以内である場合には、前記探索車両に搭載されるセンサであって、前記探索車両が前記死角領域内に位置するときに前記探索車両の周囲の環境を検出する探索車センサによって検出した、前記死角領域内であって前記回避対象障害物よりも進行方向奥側に位置する前記自車線上の奥側領域における前記障害物の有無と、前記死角領域内であって前記自車線に対向する対向車線上に位置する対向車両の有無と、を含む死角状況情報を送信させる制御信号を前記探索車両に送信し、
前記探索車センサから前記死角状況情報を受信し、
前記回避対象障害物の位置に対応する前記対向車線上の領域に前記対向車両が走行していない、かつ、前記奥側領域に前記障害物が存在しない場合に、前記自車両は、前記回避対象障害物を回避するために前記対向車線を通って前記奥側領域まで走行するように走行を開始する走行支援方法。
【請求項2】
請求項1に記載の走行支援方法であって、
前記コントローラは、
前記インフラセンサによる前記回避対象障害物の検出結果、前記インフラセンサの検出範囲及び地図情報に基づいて、地図上における前記回避対象障害物の位置を推定する走行支援方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の走行支援方法であって、
前記コントローラは、
配車用車両として管理されている複数の他車両の走行状況を含む走行情報を取得し、
前記走行情報に基づいて、前記死角領域まで走行するのにかかる走行時間が最も短い前記他車両を前記探索車両として選定し、
選定した前記他車両を前記死角領域まで走行させる走行支援方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の走行支援方法であって、
前記コントローラは、
前記自車両が、前記検出外領域において、前記自車センサによって前記回避対象障害物を検出した場合に、前記検出外領域内に、前記回避対象障害物によって前記自車センサの死角となる前記死角領域が存在するか否かを判定する走行支援方法。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の走行支援方法であって、
前記コントローラは、
前記自車両が前記回避対象障害物の位置に到達する前に、前記探索車両を前記死角領域まで走行させる走行支援方法。
【請求項6】
請求項5に記載の走行支援方法であって、
前記探索車両は、前記死角領域に到達した場合に、前記探索車センサによって、前記回避対象障害物の数及び/又は前記回避対象障害物が形成する列の前記自車両の進行方向の長さを含む前記死角状況情報を取得する走行支援方法。
【請求項7】
請求項5に記載の走行支援方法であって、
前記コントローラは、
前記探索車両が前記死角領域に到達した後、前記自車両が前記回避対象障害物の位置に到達するまで、交通の妨げにならない位置で一時的に停車する、又は、前記死角領域の周辺道路を迂回して走行するように前記探索車両を走行させる走行支援方法。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の走行支援方法であって、
前記コントローラは、
前記探索車センサによって検出された前記死角状況情報に基づいて、前記対向車線上において、前記探索車両と前記自車両との間の区間に前記対向車両が存在しない、かつ、前記探索車両の奥側に前記対向車両が存在しないと判定した場合に、前記回避対象障害物を回避するために前記対向車線を通って前記奥側領域まで走行するように前記自車両の走行を開始させる走行支援方法。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の走行支援方法であって、
前記コントローラは、
前記探索車センサによって検出された前記死角状況情報に基づいて、前記対向車線上において、前記探索車両と前記自車両との間の区間に前記対向車両が存在しない、かつ、前記探索車両の奥側に前記対向車両が存在すると判定した場合に、前記自車両が前記回避対象障害物の位置の通過を完了する通過完了時刻と、前記探索車両が、前記回避対象障害物の位置に対応する前記対向車線上の領域に到着する到着時刻とを比較し、
比較結果に基づいて、前記通過完了時刻及び前記到着時刻のうち、より早い方の時刻の車両を優先的に走行させる走行支援方法。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の走行支援方法であって、
前記コントローラは、
前記探索車センサによって検出された前記死角状況情報に基づいて、前記対向車線上において、前記探索車両と前記自車両との間の区間に前記対向車両が存在する、かつ、前記探索車両の奥側に前記対向車両が存在しないと判定した場合に、前記対向車両の車両情報を前記自車両に送信させる制御信号を前記探索車両に送信し、
前記車両情報に基づいて特定した前記対向車両が前記自車両を通過した後に前記自車両の走行を開始させる走行支援方法。
【請求項11】
請求項1又は2に記載の走行支援方法であって、
前記コントローラは、
前記探索車センサによって検出された前記死角状況情報に基づいて、前記対向車線上において、前記探索車両と前記自車両との間の区間に前記対向車両が存在する、かつ、前記探索車両の奥側に前記対向車両が存在すると判定した場合に、前記自車両の走行よりも、前記探索車両及び前記対向車両の走行を優先させ、
前記探索車両が前記自車両を通過した後、前記探索車両を迂回させて、前記死角領域まで再度走行させて、
前記探索車両は、前記死角領域まで到達した場合に、前記探索車センサによって検出した前記死角状況情報を取得する走行支援方法。
【請求項12】
請求項1又は2に記載の走行支援方法であって、
前記コントローラは、
前記回避対象障害物の位置に対応する前記対向車線上の領域に前記対向車両が走行していない、かつ、前記奥側領域に前記障害物が存在しない場合に、前記探索車両を停車又は徐行させて、優先的に前記自車両を、前記対向車線を通って前記奥側領域まで走行させる走行支援方法。
【請求項13】
自車両の自車走行経路を設定し、前記自車両に搭載されて前記自車両の周囲の環境を検出する自車センサから、前記自車センサの検出情報を取得し、前記自車走行経路の路上に設置されて周囲の環境を検出するインフラセンサから、前記インフラセンサの検出情報を取得し、前記自車センサによって検出された、前記自車両前方に位置する、前記自車両の走行を妨げる障害物の情報と、前記インフラセンサによって検出された、前記自車走行経路上に位置する前記障害物の情報とに基づいて、前記自車両が、前記自車センサ及び/又は前記インフラセンサによって検出された前記障害物を回避するように前記自車両の走行を支援するコントローラを備える走行支援装置であって、
前記コントローラは、
前記自車センサの検出情報に基づいて、前記自車両が走行する自車線上に位置し、前記自車両の走行を妨げる回避対象障害物によって前記自車センサの死角となる死角領域を推定し、
前記死角領域と前記インフラセンサの検出範囲とに基づいて、前記インフラセンサによって検出できない検出外領域内に、前記死角領域が存在するか否かを判定し、
前記検出外領域内に、前記死角領域が存在する場合に、前記自車両が前記死角領域に到達する自車到達時刻、及び、前記自車両とは異なる車両である探索車両が前記死角領域に到達する探索車到達時刻を取得し、
前記探索車到達時刻が前記自車到達時刻より早い、かつ、前記自車到達時刻と前記探索車到達時刻との時間差が所定時間以内である場合には、前記探索車両に搭載されるセンサであって、前記探索車両が前記死角領域内に位置するときに前記探索車両の周囲の環境を検出する探索車センサによって検出した、前記死角領域内であって前記回避対象障害物よりも進行方向奥側に位置する前記自車線上の奥側領域における前記障害物の有無と、前記死角領域内であって、前記自車両が走行している自車線に対向する対向車線上に位置する対向車両の有無と、を含む死角状況情報を送信させる制御信号を前記探索車両に送信し、
前記探索車センサから前記死角状況情報を受信し、
前記回避対象障害物の位置に対応する前記対向車線上の領域に前記対向車両が走行していない、かつ、前記奥側領域に前記障害物が存在しない場合に、前記自車両は、前記回避対象障害物を回避するために前記対向車線を通って前記奥側領域まで走行するように走行を開始する走行支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行支援方法及び走行支援装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車載装置がインフラセンサと協調動作して自車両の走行支援を行うインフラ協調区間を決定し、インフラ協調区間に基づいて、車載装置がインフラセンサとの協調動作を開始又は停止するための協調動作情報を車載装置に送信する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-140531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に係る技術では、インフラセンサの検出範囲の情報を協調動作情報として送信する技術であるため、インフラセンサの検出範囲外で、自車両が対向車線を通って自車線上の障害物を回避する回避制御が必要な場面では、以下のような問題がある。すなわち、このような場面では、自車両は、障害物によって生じる死角によって、対向車線の状況の情報を取得できず、インフラセンサによる検出情報の取得もできないため、対向車線を走行する対向車両の交通を妨げずに回避制御を実行できない可能性があるという問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、インフラセンサの検出範囲外で、自車両が対向車線を通って自車線上の障害物を回避する回避制御が必要な場面で、対向車線を走行する対向車両の交通を妨げずに回避制御を行うことができる走行支援方法及び走行支援装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、インフラセンサの検出外領域内に、自車線上の障害物による自車両のセンサの死角領域が存在し、探索車到達時刻が自車到達時刻より早い、かつ、自車到達時刻と探索車到達時刻との時間差が所定時間以内である場合には、探索車両が死角領域内に位置するときに探索車両のセンサによって検出した、自車線上の奥側領域の障害物及び対向車両の有無を含む死角状況情報を送信させる制御信号を探索車両に送信し、対向車両が走行していない、かつ、奥側領域に障害物が存在しない場合に、自車両は、障害物を回避するために対向車線を通って奥側領域まで走行することによって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、インフラセンサの検出範囲外で、自車両が対向車線を通って自車線上の障害物を回避する回避制御が必要な場面で、対向車線を走行する対向車両の交通を妨げずに回避制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係る走行支援装置を含む走行支援システムの構成の一例を示すブロック図である。
図2A図2Aは、本実施形態に係る走行支援方法が実行される場面の一例を示す図である。
図2B図2Bは、本実施形態に係る走行支援方法の実行例を示す図である。
図3図3は、本実施形態に係る走行支援方法の手順の一例を示すフローチャート図である。
図4図4は、本実施形態の走行支援方法における自車両及び探索車両の走行制御に係る手順の一例を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る走行支援装置を含む走行支援システムの一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る走行支援システムの構成の一例を示すブロック図である。図1を用いて、本実施形態に係る走行支援システムの一例について説明する。
【0010】
走行支援システム100は、走行支援装置1と、自車両2と、インフラセンサ3と、探索車両4と、電気通信回線網を構成するネットワーク5と、を備える。走行支援装置1、自車両2、複数のインフラセンサ3及び複数の探索車両4はネットワーク5を介して接続されている。走行支援システム100は、例えば、配車用車両をユーザに配車する配車システムに適用されて、配車用車両に対して、インフラセンサ3及び/又は探索車両4のセンサによって検出される検出情報を用いて、障害物の回避等における走行支援を行うシステムである。本実施形態では、一例として、自車両2を走行支援の対象となる車両、それ以外の車両を他車両として、他車両である探索車両4の探索車センサの検出情報を用いて、自車両2の走行を支援する例を説明する。
【0011】
配車システムでは、複数の配車用車両を管理する。配車用車両のステータスには、ユーザに配車されている利用中車両と、ユーザに配車されていない空車車両とがある。自車両2及び探索車両4は、配車用車両であって、ナビゲーション装置を備え、走行制御(速度制御と操舵制御)を自動制御する機能を備える自動車である。自車両2及び探索車両4は、有人でも無人でもよいし、運転支援機能を備え、人間が運転する車両であってもよい。
【0012】
走行支援装置1は、自車両2の走行支援を行う装置である。走行支援装置1は、通信装置10と、車両情報DB11と、インフラ情報DB12と、地図DB13と、コントローラ14とを備える。走行支援装置1は、配車管理センター内に設置されてもよいし、自車両2に搭載されてもよい。
【0013】
通信装置10は、ネットワーク5を介して、インフラセンサ3、自車両2及び探索車両4との間で、情報を含む信号の送信及び受信を行うことで、各種情報の入出力を行う。通信装置10は、インフラセンサ3によって検出された検出情報、自車両2及び/又は探索車両4の位置情報や車載センサの検出情報を受信する。通信装置10は、探索車両4に、探索車両4が死角領域内に位置するときに探索車両4の探索車センサによって検出した死角領域の状況を含む死角状況情報を送信させる制御信号を送信する。また、通信装置10は、自車両2に探索車センサの検出情報を送信する。
【0014】
車両情報DB11は、車両情報を記憶する記憶媒体である。車両情報DB11は、複数の配車用車両の車両情報を記憶する。車両情報は、車両ごとに、車両を識別するための識別情報と、車両の位置情報と、車両の目的地の情報と、車両の現在位置から目的地までの走行経路の経路情報と、車両のステータスと、を含む。車両の位置情報は、一定の周期で更新される。
【0015】
インフラ情報DB12は、路上に設置されている複数のインフラセンサ3ごとに、インフラセンサ3に関するインフラ情報を記憶する記憶媒体である。インフラ情報は、例えば、インフラセンサ3を識別するための識別情報と、インフラセンサ3の位置を示す位置情報と、インフラセンサ3の検出範囲を示す検出範囲情報とを含む。インフラセンサ3の位置は、地図上における緯度経度の座標値で表現してもよいし、ノードIDとリンクIDを組み合わせて表現してもよい。また、インフラセンサ3の検出範囲は、インフラセンサによって周囲環境の状況が検出可能な範囲である。
【0016】
図DB13は、地図情報を記憶する記憶媒体である。地図情報は、道路情報を含む。道路情報は、例えば交差点や分岐点など道路上の特定の地点を表すノードと、各ノード間をつなぐ道路区間を表すリンクとによって構成される。道路情報は、交差点等の名称、道路形状の情報を含んでもよい。また、地図情報は、信号機、施設、道路標識、路面標示など地物を示す地物情報を含む。また、地図DB13には、道路上においてインフラセンサ3によって検出できない検出外領域の情報が格納されていることとしてもよい。
【0017】
コントローラ14は、ハードウェア及びソフトウェアを有するコンピュータを備え、走行支援機能を実現する。このコンピュータはプログラムを格納したROMと、ROMに格納されたプログラムを実行するCPUと、アクセス可能な記憶装置として機能するRAMを含むものである。
【0018】
コントローラ14は、通信装置10、車両情報DB11、インフラ情報DB12、及び地図DB13から取得した情報に基づいて、走行支援機能を実現する。コントローラ14は、通信装置10から、自車両2の現在位置と目的地の情報を取得する。コントローラ14は、自車両2の現在位置と自車両2の目的地の位置情報と、地図DB13から取得した地図情報とに基づいて、自車両2の自車走行経路を設定する。
【0019】
コントローラ14は、通信装置10を介して、車載通信装置20から、自車両2の自車センサ22によって検出された検出情報を取得する。検出情報は、自車両2の周囲環境の状況を含む情報である。例えば、検出情報は、自車両2前方に位置する、自車両2の走行を妨げる障害物の情報を含む。また、コントローラ14は、通信装置10を介して、インフラセンサ3の通信装置31から、インフラセンサ3のセンサ30によって検出された検出情報を取得する。検出情報は、インフラセンサ3の周囲環境の状況を含む情報である。例えば、検出情報は、センサ30によって検出された、自車走行経路の路上に位置する障害物の情報を含む。
【0020】
コントローラ14は、自車両2が自車走行経路に沿って走行を開始した後、自車両2の自車センサ22及び/又はインフラセンサ3によって検出された検出情報に基づいて、自車両2の走行を支援する。例えば、コントローラ14は、検出された障害物を回避する等、自車両2の周囲環境の状況に応じて自車両2の走行を制御する制御信号を送信する。また、コントローラ14は、自車両2の自車センサ22の死角となる死角領域が存在する場合に、当該死角領域内における周囲環境の状況を検出できるインフラセンサ3の検出情報を用いて死角領域における自車両2の走行を制御する。
【0021】
また、コントローラ14は、自車両2の走行を制御することに限らず、インフラセンサ3によって検出された自車走行経路上に位置する障害物の位置を含む情報を自車両2に送信することで、自車両2の走行を支援してもよい。また、コントローラ14は、障害物の有無の判定、走行可否の判定及び障害物を回避するための走行経路の生成を行い、これらの判定結果及び走行経路を走行するように制御する制御信号を送信することとしてもよい。
【0022】
さらに、本実施形態では、以下に示すように、コントローラ14は、インフラセンサ3によって検出できない検出外領域において自車両2の走行支援を行う。路上に設置されたインフラセンサ3の間の距離が長い場合には、道路上にインフラセンサ3によって検出できない領域が存在する。本実施形態では、インフラセンサ3の検出外領域において、自車両2が対向車線を通って自車線上の障害物を回避する回避制御が必要な場面で、コントローラ14は、自車両2が回避制御を実行できるように自車両2の走行を支援する。回避制御は、自車線上に位置する回避対象障害物を回避するために自車両2が自車線に対向する対向車線を通って自車線上の奥側領域まで走行するように自車両2を走行させる制御である。自車線上の奥側領域は、回避対象障害物よりも進行方向奥側に位置する自車線上の領域であって、自車両2が進入することが可能なスペースを有する領域である。例えば、奥側領域の自車両2の進行方向における長さは、自車両2の全長よりも長く設定される。
【0023】
自車両2が走行する自車線上に回避対象障害物が存在すると、回避対象障害物によって自車センサ22の死角となる死角領域が存在する。すなわち、自車両2が回避対象障害物の手前まで到達した時には、回避対象障害物よりも進行方向奥側の領域が死角領域となる。回避対象障害物の手前とは、回避対象障害物から自車両2の進行方向手前側に所定距離以内の範囲である。例えば、所定距離とは、自車両2の自車センサ22の検出範囲の距離である。検出外領域において、このような自車センサ22の死角領域が存在すると、インフラセンサ3の検出情報によって当該死角領域内における周囲環境の状況を検出できないため、自車走行経路上には、自車センサ22及びインフラセンサ3の両方によっても検出できない領域が存在することになる。このような場合に、コントローラ14は、他車両を探索車両4として、自車センサ22の死角領域まで走行させて、当該死角領域内に位置するときに他車両の他車センサによって検出した死角領域の状況を含む死角状況情報を送信させる。そして、コントローラ14は、探索車両4から取得した死角状況情報に基づいて、自車両2の走行を支援する。
【0024】
ここで、図2Aを用いて、本実施形態に係る走行支援方法が実行される場面の一例を説明する。図2Aは、本実施形態に係る走行支援方法が実行される場面の一例を示す図である。図2Aは、インフラセンサの検出外領域において自車両が走行する自車線上に回避対象障害物が存在する場面を示している。図2Aでは、自車線L1において自車両V0の進行方向に駐車車両V1が存在する。自車両V0がこのような場面に遭遇した場合、自車両V0は、対向車線L2を通って駐車車両V1を回避して自車線L1上の奥側領域BAまで走行する必要がある。このとき、インフラセンサISは、検出領域ISAの範囲で周囲環境の状況を検出する一方で、検出外領域では、周囲環境の状況を検出できない。例えば、図2Aの場面では、インフラセンサISは、駐車車両V1を検出するが、駐車車両V2を検出することができない。
【0025】
また、図2Aの場面において、自車両V0が駐車車両V1の手前に到達したときには、自車両V0の自車センサの検出範囲VA0では、駐車車両V1を検出できる一方で、自車センサの死角となる死角領域が存在する。駐車車両V2は、死角領域に存在するため、自車センサによって検出できない障害物である。自車センサ22及びインフラセンサ3によっても検出できない領域を領域NAとして、コントローラ14は、領域NAにおける自車両V0の回避制御を支援する。
【0026】
本実施形態では、このような場面で、コントローラ14は、他車両を探索車両4として、検出外領域内に位置する死角領域まで走行させて、探索車両4に、死角状況情報を取得させる。図2Aに示されるように、コントローラ14は、対向車線L2上の他車両V3の位置まで他車両V3を走行させて、他車両V3が領域NAに位置するときに他車両V3のセンサの検出範囲VA1で死角状況情報を取得させる。そして、回避対象障害物である駐車車両V1及びV2の位置に対応する対向車線L2上の領域TAに対向車両が存在しない、かつ、奥側領域BAに障害物が存在しない場合には、自車両2は回避制御が実行できる。
【0027】
以上のように、コントローラ14が、探索車両4の探索車センサによって検出された死角状況情報を自車両2に送信することで、自車両2は、駐車車両よりも進行方向奥側の状況を認識して回避制御を実行できる。自車両2は、回避対象障害物を回避するために対向車線を通って奥側領域まで走行するように走行を開始する。以下、コントローラ14による探索車両4の検出情報を用いた走行支援の一例を詳しく説明する。
【0028】
コントローラ14は、自車両2の自車走行経路を設定した場合に、自車走行経路の経路情報と、インフラ情報DB12に格納されているインフラ情報とに基づいて、自車走行経路の路上に位置するインフラセンサ3を特定する。コントローラ14は、特定したインフラセンサ3の検出範囲情報に基づいて、自車走行経路上におけるインフラセンサ3の検出範囲を特定する。自車走行経路上において、インフラセンサ3の検出範囲に含まれない領域が検出外領域となる。
【0029】
コントローラ14は、自車センサ22の検出情報に基づいて、自車両2が走行する自車線上に回避対象障害物によって自車センサ22の死角となる死角領域を推定し、死角領域とインフラセンサ3の検出範囲とに基づいて、検出外領域内に、死角領域が存在するか否かを判定する。コントローラ14は、インフラセンサ3の検出情報に基づいて、自車両2の走行を妨げる回避対象障害物を特定する。例えば、コントローラ14は、インフラセンサ3による回避対象障害物の検出結果、インフラセンサ3の検出範囲、及び、地図情報DB13に格納されている地図情報に基づいて、地図上における回避対象障害物の位置を推定することとしてもよい。また、コントローラ14は、自車両2が、検出外領域において、自車センサ22によって回避対象障害物を検出した場合に、検出外領域内に、回避対象障害物によって自車センサ22の死角となる死角領域が存在するか否かを判定することとしてもよい。自車線は、自車走行経路上の車線であって、自車両が走行する予定の車線であってもよいし、自車両2が現在走行している車線であってもよい。また、コントローラ14は、インフラセンサ3の検出情報のみならず、自車センサ22の検出情報に基づいて、自車線上に位置する回避対象障害物を特定してもよい。以下、検出外領域における死角領域の有無の判定方法の具体的な例について説明する。
【0030】
コントローラ14は、特定した回避対象障害物によって、検出外領域内に自車センサ22の死角となる死角領域が存在するか否かを判定する。自車センサ22の死角領域は、自車両2が回避対象障害物の手前まで到達した場合にその時点における自車両2の位置から自車センサ22によって検出できない領域である。コントローラ14は、地図情報と、回避対象障害物の位置と、自車センサ22の検出範囲とに基づいて、自車センサ22の死角領域を推定し、推定した死角領域が検出外領域と重なる場合に、検出外領域内に自車センサ22の死角となる死角領域が存在すると判定する。また、コントローラ14は、回避対象障害物の位置と検出外領域の範囲との位置関係から、検出外領域内に回避対象障害物によって生じる死角領域が存在するか否かを判定してもよい。例えば、コントローラ14は、回避対象障害物の位置と検出外領域の範囲との距離が所定距離以内である場合に、検出外領域内に、回避対象障害物によって自車センサ22の死角となる死角領域が存在するか否かを判定する。死角領域の有無は、障害物の種類や大きさによって判定してもよい。以上のように、コントローラ14は、自車両2の自車走行経路上において、検出外領域内で自車両2が自車線上の回避対象障害物を回避する必要のある場面が存在することを認識できる。
【0031】
コントローラ14は、検出外領域内に、死角領域が存在する場合に、探索車両4の検出情報を用いた検出外支援制御を行う。検出外支援制御については後述する。コントローラ14は、検出外領域内に、死角領域が存在すると判定された場合に、検出外支援制御を行う。また、コントローラ14は、検出外領域内に、死角領域が存在すると判定されない場合には、検出外支援制御を行わずに通常の走行支援を行う。例えば、コントローラ14は、検出外領域に死角領域が存在する場合には、インフラセンサ3の検出情報を用いて自車両2の走行支援を行う。
【0032】
ここで、検出外支援制御について説明する。検出外支援制御では、コントローラ14は、探索車両4が死角領域内に位置するときに探索車両4の探索車センサによって検出した死角状況情報を送信させる制御信号を探索車両4に送信する。すなわち、コントローラ14は、探索車両4を自車センサ22の死角領域まで走行させて、探索車両4が死角領域に位置するときに探索車センサによって死角領域の状況を含む死角状況情報を取得させる。探索車両4は、死角領域内の対向車線を走行しているときに、死角状況情報を取得してもよいし、死角領域内の対向車線上で停止しているときに、死角状況情報を取得してもよい。死角状況情報は、死角領域内であって回避対象障害物よりも進行方向奥側に位置する自車線上の奥側領域における障害物の有無と、死角領域内であって自車線に対向する対向車線上に位置する対向車両の有無と、を含む。また、死角状況情報は、障害物の位置情報を含む。また、死角状況情報は、回避対象障害物の数及び/又は回避対象障害物が形成する列の自車両2の進行方向の長さを含むこととしてもよい。
【0033】
コントローラ14は、探索車両4の走行経路を、探索車両4が自車センサ22の死角領域を通過する走行経路に設定し、設定した走行経路に沿って探索車両4が走行するように制御信号を送信する。また、コントローラ14は、探索車両4が死角領域に到達する時刻が、自車到達時刻よりも早く、かつ、自車到達時刻との時間差が第1所定時間以内となるように、探索車両4を死角領域まで走行させることとしてもよい。なお、探索車両4に設定される走行経路は、探索車両4が、自車両2の自車線に対向する対向車線上を走行しながら自車センサ22の死角領域を通過する走行経路である。
【0034】
コントローラ14は、自車両2が回避対象障害物の位置に到達する前に、探索車両4を死角領域まで走行させることとしてもよい。また、コントローラ14は、探索車両4が死角領域に到達した後、自車両2が回避対象障害物の位置に到達するまで、交通の妨げにならない位置で一時的に停車するように探索車両4を走行させてもよい。また、コントローラ14は、探索車両4が死角領域に到達した後、自車両2が回避対象障害物の位置に到達するまで、死角領域の周辺道路を迂回して走行するように探索車両を走行させてもよい。
【0035】
また、本実施形態では、コントローラ14は、対向車線上における対向車両の有無の状況に応じて、自車両2の走行を制御することとしてもよい。例えば、コントローラ14は、探索車両4と自車両2との間の区間に対向車両が存在する場合には、当該対向車両が自車両2の側方を通過した後に、自車両2の回避制御を実行する。コントローラ14は、探索車両4と自車両2との間の区間に対向車両が存在しない場合には、探索車両4の通過よりも先に、自車両2の回避制御を実行する。
【0036】
また、コントローラ14は、対向車線L2上における探索車両V3と自車両V0との間の区間における対向車両の有無と、探索車両4の奥側における対向車両の有無とに応じて、自車両2及び探索車両4の走行を制御することとしてもよい。図2Bは、本実施形態に係る走行支援方法が実行される実行例を示す図である。図2Bでは、OA1で示される領域が、対向車線L2上における探索車両V3と自車両V0との間の区間の領域である。OA2で示される領域が、探索車両V3の奥側の領域である。すなわち、コントローラ14は、死角状況情報に基づいて、対向車線上において、探索車両4と自車両2との間の区間に対向車両が存在するか否かの判定と、探索車両4の奥側に対向車両が存在するか否かの判定とを実行し、これらの判定結果に応じて、自車両2の走行制御を変更する。コントローラ14は、死角状況情報に基づいて、対向車線上において、探索車両4と自車両2との間の区間に対向車両が存在しない、かつ、探索車両4の奥側に対向車両が存在しないと判定した場合に、回避対象障害物を回避するために対向車線を通って奥側領域まで走行するように自車両2の走行を開始させる。すなわち、コントローラ14は、対向車線を走行する探索車両4の通過よりも先に自車両2の回避制御を実行させる。
【0037】
コントローラ14は、死角状況情報に基づいて、対向車線上において、探索車両4と自車両2との間の区間に対向車両が存在しない、かつ、探索車両4の奥側に対向車両が存在すると判定した場合に、自車両2が回避対象障害物の位置の通過を完了する通過完了時刻と、探索車両4が、回避対象障害物の位置に対応する対向車線上の領域に到着する到着時刻とを算出する。自車両2が回避対象障害物の位置を通過するとは、例えば、自車両2が対向車線上で回避対象障害物の側方を通過することである。コントローラ14は、通過完了時刻と到着時刻とを比較し、比較結果に基づいて、通過完了時刻及び到着時刻のうち、より早い方の時刻の車両を優先的に走行させる。すなわち、コントローラ14は、探索車両4が、回避対象障害物の位置に対応する対向車線上の領域に到着するよりも早く、自車両2が回避対象障害物の位置の通過を完了する場合には、探索車両4を優先的に走行させる。一方で、コントローラ14は、自車両2が回避対象障害物の位置の通過を完了するよりも早く、探索車両4が、回避対象障害物の位置に対応する対向車線上の領域に到着する場合には、自車両2を優先的に走行させる。なお、自車両2の通過完了時刻と、探索車両4が回避対象障害物の位置に対応する対向車線上の領域に到着する到着時刻とを比較することに限らず、自車両2の通過完了時刻と、探索車両4が死角領域に到達する探索車到達時刻とを比較することとしてもよい。
【0038】
また、コントローラ14は、死角状況情報に基づいて、対向車線上において、探索車両4と自車両2との間の区間に対向車両が存在する、かつ、探索車両4の奥側に対向車両が存在しないと判定した場合に、対向車両の車両情報を自車両2に送信させる制御信号を探索車両4に送信する。送信される車両情報は、対向車両の位置情報及び識別情報を含む。探索車両4は、自車両2との車車間通信によって、自車両2に車両情報を送信する。コントローラ14は、車両情報に基づいて特定した対向車両が自車両2の側方を通過した後に自車両2の走行を開始させる。コントローラ14は、探索車両4が自車両2の側方を通過した後に自車両2の走行を開始させるように制御信号を自車両2に送信する。自車両2は、制御信号を受信すると、対向車両の車両情報に基づいて、対向車両を特定し、特定した対向車両が自車両2の側方を通過したと判定した場合に、回避制御を開始する。
【0039】
コントローラ14は、死角状況情報に基づいて、対向車線上において、探索車両4と自車両2との間の区間に対向車両が存在する、かつ、探索車両4の奥側に対向車両が存在すると判定した場合に、自車両2の走行よりも、探索車両4及び対向車両の走行を優先させる。そして、探索車両4が自車両2の側方を通過した後、コントローラ14は、探索車両4を迂回させて、死角領域まで再度走行させる。探索車両4は、死角領域まで再度到達した場合に、探索車センサによって検出した死角状況情報を取得する。
【0040】
本実施形態では、コントローラ14は、探索車両4が死角領域に到達する探索車到達時刻が、自車両2が死角領域に到達する自車到達時刻より早い、かつ、自車到達時刻と探索車到達時刻との時間差が所定時間以内である場合に、探索車両4が死角領域内に位置するときに探索車センサによって検出した死角状況情報を送信させる制御信号を探索車両4に送信する。
【0041】
まず、コントローラ14は、自車到達時刻及び探索車到達時刻を取得する。コントローラ14は、それぞれの車両の現在位置から死角領域までの走行経路を算出し、算出した走行経路を走行した場合の到達時刻を算出する。次に、コントローラ14は、取得した自車到達時刻及び探索車到達時刻に基づいて、探索車到達時刻が自車到達時刻より早い、かつ、自車到達時刻と探索車到達時刻との時間差が所定時間以内であるという条件を満たすか否かを判定する。探索車到達時刻が自車到達時刻より早い、かつ、自車到達時刻と探索車到達時刻との時間差が所定時間以内であるという条件を満たすと判定した場合に、コントローラ14は、探索車両4に、死角状況情報を取得して、死角状況情報を送信させる制御信号を送信する。なお、コントローラ14は、死角状況情報を走行支援装置1に送信させてもよいし、自車両2に送信させてもよい。
【0042】
コントローラ14は、探索車両4の探索車センサから死角状況情報を受信し、探索車両4から送信された死角状況情報と、インフラセンサ3及び/又は自車センサ22によって検出された自車線上の障害物の情報とに基づいて、自車両2の走行を支援する。例えば、コントローラ14は、死角状況情報を受信した場合には、死角状況情報を車載コントローラ24に送信する。これにより、車載コントローラ24は、探索車両4から送信された死角状況情報に基づいて、自車両が回避対象障害物を回避する回避制御を実行できる。例えば、自車両2は、探索車両4から、死角領域内であって自車線上の奥側領域における障害物の有無と、死角領域内であって対向車線上に位置する対向車両の有無と、を含む死角状況情報を取得する。自車両2は、回避対象障害物の位置に対応する対向車線上の領域に対向車両が走行していない、かつ、奥側領域に障害物が存在しない場合に、回避対象障害物を回避するために対向車線を通って奥側領域まで走行するように走行を開始する。
【0043】
また、コントローラ14は、受信した死角状況情報に基づいて、回避対象障害物の位置に対応する対向車線上の領域に対向車両が走行していない、かつ、奥側領域に障害物が存在しない場合に、回避対象障害物を回避する回避制御を開始するように制御信号を自車両2に送信してもよい。また、コントローラ14は、自車両2の回避制御を開始させる場合には、探索車両4を停車又は徐行させて、優先的に自車両2を、対向車線を通って奥側領域まで走行させてもよい。コントローラ14は、通信装置10を介して、探索車両4から死角状況情報を取得した場合には、死角領域の状況を含む地図画像を生成し、自車両2の乗員に提示することとしてもよい。なお、走行支援の方法は、上述の各実施形態が必須の構成ではなく、必要に応じて適宜設けることとしてもよい。
【0044】
ここで、自車センサ22の死角領域まで走行させる探索車両4を選定する選定方法の例について説明する。なお、以下で説明する探索車両4の選定方法は、必須の構成ではなく、必要に応じて適宜設けることとしてもよい。コントローラ14は、配車用車両として管理されている複数の他車両から、自車センサ22の死角領域を通過する走行経路が設定されている他車両を抽出する。コントローラ14は、抽出した他車両について、他車両が死角領域に到達する他車到達時刻が、自車両2が死角領域に到達する自車到達時刻より早い、かつ、自車到達時刻と探索車到達時刻との時間差が所定時間以内であるという条件を満たす他車両を探索車両4として選定する。コントローラ14は、自車センサ22の死角領域を通過する走行経路が設定されていない利用中車両又は空車車両の走行経路を、自車センサ22の死角領域を通過する走行経路に設定して探索車両4として選定してもよい。
【0045】
また、コントローラ14は、探索車両4が複数存在する場合などには、最も早く到達する他車両を探索車両4として選定してもよい。コントローラ14は、配車用車両として管理されている複数の他車両の走行状況を含む走行情報を取得する。走行情報は、例えば、他車両の現在位置を示す位置情報である。また、走行情報は、他車両のステータス、すなわち、利用中車両か空車車両かの情報を含むこととしてもよい。また、他車両が利用中車両であれば、走行情報は、他車両の他車走行経路の経路情報を含むこととしてもよい。コントローラ14は、複数の他車両それぞれについて、走行情報に基づいて、死角領域まで走行するのにかかる走行時間を算出する。例えば、コントローラ14は、他車両の現在地から死角領域までの走行距離を算出し、走行距離を走行するのにかかる時間を走行時間として算出する。そして、コントローラ14は、走行時間が最も短い他車両を探索車両4として選定し、選定した他車両を死角領域まで走行させる。
【0046】
なお、本実施形態では、走行支援装置1が、検出外支援制御が必要な場面であるか否かを判定し、検出外領域における死角領域の死角状況情報を取得し、自車両2に送信することとしているが、本発明はこれに限らない。例えば、自車両2が、走行支援装置1のコントローラ14の機能の一部又は全部を有し、検出外支援制御が必要な場面であるか否かを判定し、インフラセンサ3から、検出外領域における死角領域の死角状況情報を取得することとしてもよい。
【0047】
続いて、自車両2について説明する。自車両2は、車載通信装置20と、自車位置取得装置21と、自車センサ22と、車載地図DB23と、車載コントローラ24と、走行制御装置25とを備える。自車両2は、車載コントローラ24によって演算された走行制御情報に従って、走行制御装置25を介して自車両の加減速や操舵を含む走行制御を実行する。自車両2には、走行駆動源である電動モータおよび/または内燃機関、これら走行駆動源からの出力を駆動輪に伝達するドライブシャフトや自動変速機を含む動力伝達装置、および車輪を制動する制動装置などの駆動機構を備えられている。走行制御装置25は、車載コントローラ24によって生成された走行制御情報に基づいて、駆動機構を制御することで自車両2の走行を制御する。
【0048】
車載通信装置20は、ネットワーク5を介して、走行支援装置1との間で情報の送受信を行う。例えば、車載通信装置20は、自車両2の位置情報を走行支援装置1の通信装置10に送信し、通信装置10から、インフラセンサ3の検出情報及び探索車両4の検出情報を受信する。なお、本実施形態では、車載通信装置20は、インフラセンサ3及び探索車両4からそれぞれインフラセンサ3及び探索車両4の検出情報を受信してもよい。自車位置取得装置21は、自車両2の現在位置を示す位置情報を取得するものであり、例えば、GPS機器を用いることができる。自車位置取得装置21は、一定の周期で、自車両2の位置情報を取得する。
【0049】
自車センサ22は、自車両2に搭載されたセンサであって、自車両2の周囲環境の状況を周囲環境情報として検出する。自車センサ22は、例えば、カメラ、レーダ、LiDAR等の各種センサによって構成されている。例えば、周囲環境情報は、自車両2の周囲に位置する対象物の情報を含む。対象物とは、たとえば、自車両以外の自動車(他車両)、オートバイ、自転車、歩行者、道路の車線境界線、センターライン、信号機、工事現場、事故現場等である。対象物は、自車両2前方に位置する、自車両の走行を妨げる障害物を含む。自車センサ22は、障害物の位置の情報を取得する。車載地図DB23は、地図情報を記憶する記憶媒体である。車載地図DB23は、地図DB13と同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。
【0050】
車載コントローラ24は、ハードウェア及びソフトウェアを有し、自車両2の各装置を制御するコンピュータを備えており、自車両2の走行を制御するためのプログラムを格納したROMと、ROMに格納されたプログラムを実行するCPUと、アクセス可能な記憶装置として機能するRAMを含む。
【0051】
車載コントローラ24は、ROMに格納されたプログラムをCPUにより実行することにより、自車両の各機能を実現する。例えば、車載コントローラは、自車位置取得装置21、自車センサ22及び車載地図DB23から各種情報を取得し、自車両2の走行を制御するための目標制御量の信号を含む走行制御情報を走行制御装置25に出力する。例えば、車載コントローラ24は、自車センサ22、インフラセンサ3及び/又は探索車両4の検出情報に基づいて、自車両2の周囲環境の状況を認識する。車載コントローラ24は、認識した周囲環境の状況に応じて自車両2が自車走行経路に沿って走行するように目標制御量の信号を生成する。車載コントローラ24は、生成した目標制御量の信号を含む走行制御情報を走行制御装置25に出力する。
【0052】
インフラセンサ3は、路上に設置される路側機等に搭載されたセンサである。インフラセンサ3は、例えば、道路付近に設置されていて、インフラセンサ3の周囲環境の状況を含む周囲環境情報を取得する。インフラセンサ3には、インフラセンサ3を識別するための識別情報が付与されている。
【0053】
インフラセンサ3は、センサ30と通信装置31とを備える。センサ30は、インフラセンサ3の周囲環境の状況を検出する。センサ30は、例えば、カメラ、レーダ、LiDAR等の各種センサによって構成されている。センサ30は、インフラセンサ3の位置を中心とした検出範囲内で周囲環境の状況を周囲環境情報として検出する。周囲環境情報は、インフラセンサ3の検出範囲に位置する対象物の情報を含む。対象物は、例えば、自車両2の自車走行経路上に位置する、自車両2の走行を妨げる障害物を含む。本実施形態では、自車走行経路の路上に設置されているインフラセンサ3は、センサ30によって、自車走行経路上に位置する障害物の情報を取得する。
【0054】
通信装置31は、ネットワーク5を介して、走行支援装置1及び自車両2との間で情報の送受信を行う。本実施形態では、通信装置31は、走行支援装置1及び/又は自車両2から、センサ30の検出情報を送信させる制御信号を受信した場合に、センサ30の検出情報を走行支援装置1及び自車両2に送信する。
【0055】
探索車両4は、自車両2とは異なる他車両であって、自車両2の走行支援のために自車センサ22の死角領域の探索を行う車両である。探索車両4は、自車両2と同じ構成及び機能を備えるため、構成及び機能の説明については省略し、自車両2についての説明を適宜援用する。探索車両4は、配車用車両の中から選定される。探索車両4は、配車予約を受け付けた利用中車両であってもよいし、配車予約のない空車車両であってもよい。探索車両4は、探索車両4の周囲環境の状況を検出する探索車センサを搭載している。探索車両4として選定された場合、探索車両4は、自車センサ22の死角領域に向かって走行を開始し、死角領域に到達して死角領域内に位置するときに、探索車センサによって死角領域の状況を含む死角状況情報を取得する。また、探索車両4は、死角領域に到達した場合に、探索車センサによって、回避対象障害物の数及び/又は回避対象障害物が形成する列の自車両2の進行方向の長さを含む死角状況情報を取得してもよい。死角領域の状況は、例えば、自車線上及び対向車線上の死角領域における障害物の有無及び障害物の位置の情報を含む。探索車両4は、車載通信装置を介して、死角状況情報を走行支援装置1及び/又は自車両2に送信する。
【0056】
次に、図3を用いて、本実施形態に係る走行支援装置によって実行される走行支援方法の手順の一例を説明する。図3は、本実施形態に係る走行支援方法の手順の一例を示すフローチャート図である。本実施形態では、コントローラ14は、自車両2から、自車両2の現在位置の情報と、自車両2の乗員が設定した目的地の情報とを取得すると、ステップS101から制御フローを開始する。なお、図3で示される走行支援方法では、死角領域を通過する走行経路が設定されている他車両が探索車両4として選定される。本実施形態では、自車両2の回避制御が実行されずに制御フローを終了した場合には、コントローラ14は、乗員による手動運転に切り替える。
【0057】
ステップS101では、コントローラ14は、自車両2の現在位置から自車両2の目的地までの自車走行経路を設定する。例えば、コントローラ14は、自車両2の現在位置の情報と、自車両2の目的地の情報と、地図DB13の地図情報とに基づいて、自車走行経路を設定する。ステップS102では、コントローラ14は、自車線上に回避対象障害物が存在し、インフラセンサ3で検出できない検出外領域内に、回避対象障害物によって自車センサ22の死角となる死角領域が存在するか否かを判定する。検出外領域に、死角領域が存在すると判定した場合には、コントローラ14は、ステップS103に進む。検出外領域に、死角領域が存在しないと判定した場合には、コントローラ14は、ステップS110に進む。
【0058】
ステップS103では、コントローラ14は、自車両2が死角領域に到達する自車到達時刻を取得する。ステップS104では、コントローラ14は、探索車両4が死角領域に到達する探索車到達時刻を取得する。コントローラ14は、配車用車両として管理されている複数の他車両から、自車センサ22の死角領域を通過する走行経路が設定されている他車両を探索車両4として選定し、当該探索車両4の探索車到達時刻を算出する。ステップS105では、コントローラ14は、探索車到達時刻が自車到達時刻より早い、かつ、探索車到達時刻と自車到達時刻との時間差が所定時間以内であるという条件を満たすか否かを判定する。探索車到達時刻が自車到達時刻より早い、かつ、探索車到達時刻と自車到達時刻との時間差が所定時間以内であるという条件を満たすと判定した場合には、コントローラ14は、ステップS106に進む。探索車到達時刻が自車到達時刻より早い、かつ、探索車到達時刻と自車到達時刻との時間差が所定時間以内であるという条件を満たしていないと判定した場合には、コントローラ14は、制御フローを終了する。
【0059】
ステップS106では、コントローラ14は、自車センサ22の死角領域の状況を含む死角状況情報を送信させる制御信号を探索車両4に送信する。例えば、コントローラ14は、探索車両4を自車センサ22の死角領域に走行させて、探索車両4が死角領域内に位置するときに探索車センサによって検出した死角状況情報を走行支援装置1に送信させる。探索車両4は、制御信号を受信すると、死角領域まで走行を開始する。ステップS107では、コントローラ14は、探索車両4が死角領域に到達したか否かを判定する。探索車両4が死角領域に到達したと判定した場合には、コントローラ14は、ステップS108に進む。探索車両4が死角領域に到達していないと判定した場合には、コントローラ14は、ステップS107に戻り、以下制御フローを繰り返す。
【0060】
ステップS108では、コントローラ14は、回避対象障害物の位置に対応する対向車線上の領域に対向車両が走行していない、かつ、奥側領域に障害物が存在しないという条件を満たすか否かを判定する。回避対象障害物の位置に対応する対向車線上の領域に対向車両が走行していない、かつ、奥側領域に障害物が存在しないという条件を満たすと判定した場合に、コントローラ14は、ステップS109に進む。回避対象障害物の位置に対応する対向車線上の領域に対向車両が走行していない、かつ、奥側領域に障害物が存在しないという条件を満たしていないと判定した場合に、コントローラ14は、制御フローを終了する。ステップS109では、コントローラ14は、自車両2が回避制御をするように自車両2の走行を開始する。コントローラ14は、自車両2が回避制御を行うと、制御フローを終了する。
【0061】
ステップS110では、コントローラ14は、自車両2の自律走行を指示する。すなわち、コントローラ14は、自車センサ22及び/又はインフラセンサ3によって検出された検出情報に基づいて、自車両2が自律走行するように制御信号を送信する。コントローラ14は、自車両2に自律走行を指示すると、制御フローを終了する。なお、図3の制御フローでは、コントローラ14が、探索車両4から死角状況情報を取得することとしているが、これに限らず、コントローラ14が自車両2に搭載されている場合には、自車両2が、探索車両4から死角状況情報を直接取得することとしてもよい。
【0062】
次に、図4を用いて、本実施形態に係る走行支援装置によって実行される走行支援方法の手順の一例を説明する。図4は、本実施形態の走行支援方法における自車両及び探索車両の走行制御に係る手順の一例を示すフローチャート図である。図3に記載の走行支援方法では、ステップS108で、回避対象障害物の位置に対応する対向車線上の領域に対向車両が走行していない、かつ、奥側領域に障害物が存在しないという条件を満たすと判定した場合に、自車両2の走行を開始させることとした。本実施形態では、これに限らず、図4で示されるように、ステップS201に進み、ステップS201から、対向車両の有無の状況に応じた自車両2及び探索車両4の走行制御を開始してもよい。図4に記載の走行支援方法は、探索車両4と自車両2との間の区間における対向車両の有無の判定と、探索車両4の奥側における対向車両の有無の判定とに基づいて自車両2及び探索車両4を制御する方法の一例である。
【0063】
ステップS201では、コントローラ14は、自車両2が回避対象障害物の手前に到達したか否かを判定する。自車両2が回避対象障害物の手前に到達したと判定した場合には、コントローラ14は、ステップS202に進む。自車両2が回避対象障害物の手前に到達していないと判定した場合には、コントローラ14は、ステップS212に進む。ステップS212では、コントローラ14は、探索車両4を死角領域内で停車させる、又は、探索車両4に死角領域周辺を迂回させる。すなわち、探索車両4は、自車両2が回避対象障害物の手前に到達するまで、死角領域内で停車する、又は、死角領域周辺を迂回する。
【0064】
ステップS202では、コントローラ14は、奥側領域に障害物が存在しないか否かを判定する。奥側領域に障害物が存在しないと判定した場合に、コントローラ14は、ステップS203に進む。奥側領域に障害物が存在すると判定した場合に、コントローラ14は、制御フローを終了する。ステップS203では、コントローラ14は、探索車両4と自車両2との間の区間に対向車両が存在するか否かを判定する。探索車両4と自車両2との間の区間に対向車両が存在すると判定した場合には、コントローラ14は、ステップS207に進む。探索車両4と自車両2との間の区間に対向車両が存在しないと判定した場合には、コントローラ14は、ステップS204に進む。ステップS204では、コントローラ14は、探索車両4の奥側に対向車両が存在するか否かを判定する。探索車両4の奥側に対向車両が存在すると判定した場合には、コントローラ14は、ステップS205に進む。探索車両4の奥側に対向車両が存在しないと判定した場合には、コントローラ14は、ステップS211に進む。
【0065】
ステップS205では、コントローラ14は、探索車両4が自車両2よりも先に通過するか否かを判定する。コントローラ14は、自車両2が前記回避対象障害物の位置の通過を完了する通過完了時刻と、探索車両4が、回避対象障害物の位置に対応する対向車線上の領域に到着する到着時刻とを比較し、探索車両4の到着時刻が自車両2の通過完了時刻よりも早い場合に、探索車両4が自車両2よりも先に通過すると判定する。コントローラ14は、探索車両4が自車両2よりも先に通過すると判定した場合には、コントローラ14は、ステップS206に進む。探索車両4が自車両よりも先に通過しないと判定した場合には、コントローラ14は、ステップS211に進む。ステップS206では、コントローラ14は、探索車両4を先に通過させて、探索車両4が先に通過した後、再度死角領域まで走行するように探索車両4を走行制御する。
【0066】
ステップS207では、コントローラ14は、探索車両4の奥側に対向車両が存在するか否かを判定する。探索車両4の奥側に対向車両が存在すると判定した場合には、コントローラ14は、ステップS210に進む。探索車両4の奥側に対向車両が存在しないと判定した場合には、コントローラ14は、ステップS208に進む。ステップS208では、コントローラ14は、対向車両の車両情報を自車両2に送信させる制御信号を探索車両4に送信する。ステップS209では、ステップS208で送信した車両情報で特定される対向車両が自車両2の側方を通過した後に自車両2が走行を開始するよう自車両2の走行を制御する。
【0067】
ステップS210では、コントローラ14は、探索車両4を自車両2よりも先に通過させて再度死角領域まで走行するように探索車両4の走行を制御する。ステップS211では、コントローラ14は、自車両2が回避制御を実行するように自車両2の走行を制御する。
【0068】
以上のように、本実施形態では、自車両の自車走行経路を設定し、自車両に搭載されて自車両の周囲の環境を検出する自車センサから、自車センサの検出情報を取得し、自車走行経路の路上に設置されて周囲の環境を検出するインフラセンサから、インフラセンサの検出情報を取得し、自車センサによって検出された、自車両前方に位置する、自車両の走行を妨げる障害物の情報と、インフラセンサによって検出された、自車走行経路上に位置する障害物の情報とに基づいて、自車両が、自車センサ及び/又はインフラセンサによって検出された障害物を回避するように自車両の走行を支援するコントローラであって、コントローラは、自車センサの検出情報に基づいて、自車両が走行する自車線上に位置し、自車両の走行を妨げる回避対象障害物によって自車センサの死角となる死角領域を推定し、死角領域とインフラセンサの検出範囲とに基づいて、インフラセンサによって検出できない検出外領域内に、死角領域が存在するか否かを判定し、検出外領域内に死角領域が存在する場合に、自車両が死角領域に到達する自車到達時刻、及び、自車両とは異なる探索車両が死角領域に到達する探索車到達時刻を取得し、探索車到達時刻が自車到達時刻より早い、かつ、自車到達時刻と探索車到達時刻との時間差が所定時間以内である場合には、探索車両に搭載されるセンサであって、探索車両が死角領域内に位置するときに探索車両の周囲の環境を検出する探索車センサによって検出した、死角領域内であって回避対象障害物よりも進行方向奥側に位置する自車線上の奥側領域における障害物の有無と、死角領域内であって自車線に対向する対向車線上に位置する対向車両の有無と、を含む死角状況情報を送信させる制御信号を探索車両に送信し、探索車センサから死角状況情報を受信し、回避対象障害物の位置に対応する対向車線上の領域に対向車両が走行していない、かつ、奥側領域に障害物が存在しない場合に、自車両は、回避対象障害物を回避するために対向車線を通って奥側領域まで走行するように走行を開始する。これにより、インフラセンサの検出範囲外で、自車両が対向車線を通って自車線上の障害物を回避する回避制御が必要な場面で、対向車線を走行する対向車両の交通を妨げずに回避制御を行うことができる。
【0069】
また、本実施形態では、コントローラは、インフラセンサによる回避対象障害物の検出結果、インフラセンサの検出範囲及び地図情報に基づいて、地図上における回避対象障害物の位置を推定する。回避が必要な障害物が位置する領域を特定できる。
【0070】
また、本実施形態では、コントローラは、配車用車両として管理されている複数の他車両の走行状況を含む走行情報を取得し、走行情報に基づいて、死角領域まで走行するのにかかる走行時間が最も短い他車両を探索車両として選定し、選定した他車両を死角領域まで走行させる。これにより、自車両の走行支援にかかるコストが最も小さい他車両を探索車両として選定できる。
【0071】
また、本実施形態では、コントローラは、自車両が、検出外領域において、自車センサによって回避対象障害物を検出した場合に、検出外領域内に、回避対象障害物によって自車センサの死角となる死角領域が存在するか否かを判定する。これにより、自車両の検出情報に基づいて、走行支援を実行できる。
【0072】
また、本実施形態では、コントローラは、自車両が回避対象障害物の位置に到達する前に、探索車両を死角領域まで走行させる。これにより、自車両が回避対象障害物の位置に到達するタイミングで、探索車両のセンサが死角状況情報を取得できる。
【0073】
また、本実施形態では、探索車両は、死角領域に到達した場合に、探索車センサによって、回避対象障害物の数及び/又は回避対象障害物が形成する列の自車両の進行方向の長さを含む死角状況情報を取得する。これにより、自車両のセンサ及びインフラセンサでは検出できない領域の情報を取得できる。
【0074】
また、本実施形態では、コントローラは、探索車両が、死角領域に到達した後、自車両が回避対象障害物の位置に到達するまで、交通の妨げにならない位置で一時的に停車する、又は、死角領域の周辺道路を迂回して走行するように探索車両を走行させる。これにより、自車両が回避対象障害物の位置まで到達するタイミングで、探索車両のセンサが死角状況情報を取得できる。
【0075】
また、本実施形態では、コントローラは、探索車センサによって検出された死角状況情報に基づいて、対向車線上において、探索車両と自車両との間の区間に対向車両が存在しない、かつ、探索車両の奥側に対向車両が存在しないと判定した場合に、回避対象障害物を回避するために対向車線を通って回避対象奥側領域まで走行するように自車両の走行を開始させる。これにより、対向車両の走行を妨げない場合には、自車両を優先的に走行させることができる。
【0076】
また、コントローラは、探索車センサによって検出された死角状況情報に基づいて、対向車線上において、探索車両と自車両との間の区間に対向車両が存在しない、かつ、探索車両の奥側に対向車両が存在すると判定した場合に、自車両が回避対象障害物の位置の通過を完了する通過完了時刻と、探索車両が、回避対象障害物の位置に対応する対向車線上の領域に到着する到着時刻とを比較し、比較結果に基づいて、通過完了時刻及び到着時刻のうち、より早い方の時刻の車両を優先的に走行させる。これにより、対向車線上の交通を妨げないように自車両の回避制御を行うことができる。
【0077】
また、本実施形態では、コントローラは、探索車センサによって検出された死角状況情報に基づいて、対向車線上において、探索車両と自車両との間の区間に対向車両が存在する、かつ、探索車両の奥側に対向車両が存在しないと判定した場合に、対向車両の車両情報を自車両に送信させる制御信号を探索車両に送信し、車両情報に基づいて特定した探索車両が自車両を通過した後に自車両の走行を開始させる。これにより、対向車両が通過した後に、自車両の走行を開始できる。
【0078】
また、本実施形態では、コントローラは、探索車センサによって検出された死角状況情報に基づいて、対向車線上において、探索車両と自車両との間の区間に対向車両が存在する、かつ、探索車両の奥側に対向車両が存在すると判定した場合に、自車両の走行よりも、探索車両及び対向車両の走行を優先させ、探索車両が自車両を通過した後、探索車両を迂回させて、死角領域まで再度走行させて、探索車両は、再度死角領域まで到達した場合に、探索車センサによって検出した死角状況情報を取得する。これにより、対向車線上の交通を妨げずに自車両の回避制御を支援できる。
【0079】
また、本実施形態では、コントローラは、回避対象障害物の位置に対応する対向車線上の領域に対向車両が走行していない、かつ、奥側領域に障害物が存在しない場合に、探索車両を停車又は徐行させて、自車両を、対向車線を通って奥側領域まで走行させる。これにより、自車両が優先的に対向車線を通過することができる。
【0080】
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0081】
100…走行支援システム
1…走行支援装置
14…コントローラ
2…自車両
3…インフラセンサ
4…探索車両
5…ネットワーク
図1
図2A
図2B
図3
図4