(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084550
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】ワイシャツの表前立てにネクタイ小剣通しを備えたワイシャツ。
(51)【国際特許分類】
A41B 1/18 20060101AFI20240618BHJP
A41D 25/00 20060101ALI20240618BHJP
A44B 6/00 20060101ALI20240618BHJP
A41B 1/02 20060101ALI20240618BHJP
A41B 3/04 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
A41B1/18 E
A41D25/00 Z
A44B6/00 C
A44B6/00 G
A41B1/02
A41B3/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198876
(22)【出願日】2022-12-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】396021427
【氏名又は名称】長野 茂
(72)【発明者】
【氏名】長野 茂
(57)【要約】 (修正有)
【課題】身体の動きによってネクタイがワイシャツから離れて垂れ下がりネクタイを汚したなど、時としてネクタイが邪魔になる問題やネクタイが斜めにずれる問題の現状を鑑み、ワイシャツ側にネクタイを固定する施しを行い、ネクタイの着用者に煩わしさが伴うことなく、ネクタイが抱える数々の問題点を改善し、ネクタイをワイシャツに固定することのできるワイシャツを提供する。
【解決手段】ワイシャツ1の胸側縦中央に表前立てに縦一列に配列されたボタン穴とボタン穴の中間の位置に、ワイシャツ1を着用しネクタイ12を装着したときにネクタイの小剣14を上下に通してネクタイを留める小剣通し部と、小剣通し部を支える内部に芯地を備えた支持部と折り返し縫着部にて構成された布製の第1ネクタイ小剣通し16を備え、ネクタイの小剣14を介してネクタイ12をワイシャツ1に留める。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネクタイを結んで装着するワイシャツのワイシャツ表前立てに縦一列に配列された前記ボタン穴が備えられた前記ワイシャツ表前立て生地において、上下に位置する前記ボタン穴と前記ボタン穴との中間位置の箇所に、前記ネクタイを装着したときに前記ネクタイの小剣を上下に通して前記ワイシャツに固定させる小剣通し部と、前記小剣通し部右端の折り返し線にて前記小剣通し部の裏側に折り返され、前記小剣通し部を支える支持部と、前記折り返し線に接して対面する前記小剣通し部の生地と前記支持部の生地が縫着されている折り返し線縫着部にて構成された横長の長方形の形状とした布製のネクタイ小剣通しを設けたことを特徴とするワイシャツの表前立てにネクタイ小剣通しを備えたワイシャツ。
【請求項2】
前記布製のネクタイ小剣通しを構成する本体は、一枚の横長の長方形の布地にて作られており、前記横長の長方形の布地は、布地上の長手方向中心線にて折り返され、対面し重なった前記横長の長方形の布地の末端同士の3面は縫着され、前記横長の長方形の布地を半分に折って重ねた2層構造の前記ネクタイ小剣通しとし、前記長手方向中心線側が前記ネクタイ小剣通しの上端としたことを特徴とする請求項1に記載のワイシャツの表前立てにネクタイ小剣通しを備えたワイシャツ。
【請求項3】
前記小剣通しの前記小剣通し部左端は、前記ワイシャツ表前立て生地の末端から左腕側に30mmから45mmの範囲内にて離れた箇所の前記ワイシャツ表前立て生地の表側に縫着され、前記折り返し線は前記ワイシャツ表前立ての末端より外側へ3mmから15mmの範囲内の距離を越えた箇所とし、前記ネクタイ小剣通しの前記支持部左端は前記ワイシャツ表前立て生地の末端から左腕側に10mmから45mmの範囲内にて離れた箇所の前記ワイシャツ表前立て生地の裏側に縫着されていることを特徴とする請求項1に記載のワイシャツの表前立てにネクタイ小剣通しを備えたワイシャツ。
【請求項4】
前記折り返し線縫着箇所の区間の幅は、前記折り返し線を端として1mmから3mmの範囲内に設定していることを特徴とする請求項1に記載のワイシャツの表前立てにネクタイ小剣通しを備えたワイシャツ。
【請求項5】
前記支持部の内部に芯地を備えていることを特徴とする請求項1に記載のワイシャツの表前立てにネクタイ小剣通しを備えたワイシャツ。
【請求項6】
前記小剣通しの前記支持部において、前記支持部の内部の上端側と下端側の2箇所にそれぞれ前記支持部の左側末端から前記支持部の右側末端までの区間に芯地が備えられ、前記支持部の内側に縫着されていることを特徴とする請求項1と請求項5に記載のワイシャツの表前立てにネクタイ小剣通しを備えたワイシャツ。
【請求項7】
前記小剣通しの前記支持部において、前記支持部の内部に前記支持部の左側末端から前記支持部の右側末端までの区間に1本の芯地が備えられ、前記支持部の内側に縫着されていることを特徴とする請求項1と請求項5に記載のワイシャツの表前立てにネクタイ小剣通しを備えたワイシャツ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイシャツの表前立て生地と裏前立て生地とを表前立縦一列に配列されたボタン穴に裏前立てに縦一列に配列されたボタンにて留めるようにしたワイシャツにおいて、ワイシャツの表前立て生地の上下関係に位置するボタン穴とボタン穴の中間位置にネクタイの小剣を上下に貫通させてネクタイをワイシャツに留めるネクタイの小剣通しを設ける衣服に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ワイシャツを着用し、ワイシャツの襟中を通し首下で結び、つり下げるネクタイをワイシャツ側に固定する従来の方法として、ピンをネクタイに挿通させて裏でワイシャツ側に留めてネクタイを固定するタイピン方式と、前後二重になっている鋏持金具の間にネクタイを通してワイシャツ側に留めるタイ・タック方式が存在する。最近の傾向としてワイシャツを着てネクタイを着用するときにタイピン方式とタイ・タック方式などのネクタイをワイシャツに固定する装飾品は、煩わしさやファションの嗜好性などの関係から消費者から敬遠される傾向となっている。タイピン方式ではネクタイに直接に小さな穴が開き、タイ・タック方式では鋏持金具が身体の動きに伴ってずれてくるなどの問題もあった。
【0003】
しかし、ワイシャツを着てネクタイを着用するときに何かネクタイをワイシャツに留める物がないと身体を前屈みにしたときネクタイがワイシャツから離れて垂れ下がったりなどして、食事の時などはネクタイの先端が食べ物に触れネクタイを汚したり、洗面台でもネクタイがワイシャツから離れ垂れ下がってネクタイに水がかかってしまう問題がある。また、ネクタイが斜めにずれてファション性を損なう問題もある。
【0004】
そこでタイピン方式またはタイ・タック方式に代わるネクタイをワイシャツに留める考案が幾つかなされている。例えば特許文献1には、第一の部品と第二の部位が互いにほぼ近接した閉状態になるようにバネの性質を利用した第一の部品と第一の部品の第二の部位を柔軟な材質からなる第二の部品に取り付け、第二の部品をネクタイの裏面に固定し第一の部品の第一の部位と第二の部位間にワイシャツ端を挟み込むことでネクタイを固定する考案がなされている。特許文献2では、ネクタイの裏面の細い先端の方から、全体の長さの約4分の1までの間で、真ん中から若干左右のどちらかにずらした部分に、適度な間隔で、ワイシャツのボタンを留める穴と同じ要領で穴を開け縫合するネクタイが考案なされている。特許文献3では、輪具にワイシャツとの係合のためのボタン穴を設け、更に長さが1.5センチ程度で小剣程度の幅のスライド軸帯を輪具の輪の中を貫通させ、大剣裏面にスライド軸帯の両端部を装着し、輪具が大剣裏面上をスライド軸帯の長さ方向に自在に揺動する揺動輪具部を構成し、更に揺動自在輪具のボタン穴をワイシャツボタンに係止させて大剣および小剣の揺動を止める揺動防止機構を設けたネクタイの考案がなされている。また特許文献4では、カッターシャツの前立て部のボタンホール間に位置して表面に1箇所又は2箇所細巾の帯体を横にしてその両端部を逢着して、中央部を貫通せしめてネクタイの細巾帯体又はスカーフの垂片を挿通してタイピン又はブローチなしでもネクタイ又はスカーフを止めることを特徴して成る帯体を有するカッターシャツが考案されている。
【0005】
ところが、特許文献1ではネクタイ側にネクタイをワイシャツに固定する方法に限定されている。又特許文献2と特許文献3においてもネクタイ側にネクタイをワイシャツに固定する方法に限定されている。特許文献1ではネクタイ側にバネの性質を利用した第一の部品と第二の部品がネクタイの裏面に備えられていることからネクタイ自体に柔軟性が欠けネクタイ装着者がネクタイを締めるときの邪魔にもなる。ネクタイを生産加工する時に部品点数が多くなりネクタイ自体の生産単価が高くなる。特許文献2では、ネクタイの裏面にワイシャツのボタンを留める穴と同じ穴が多数設けられておりネクタイの生産加工が難しくなり、ここにワイシャツのボタンを留めたり外したりする時に煩わしさが伴う。特許文献3では、ネクタイの大剣側裏面にスライド軸帯とボタン穴が設けられた輪具を備え付けられていることからネクタイ自体に柔軟性が欠けネクタイ装着者がネクタイを締めるときの邪魔になる。ネクタイを生産加工する時に部品点数が多くなりネクタイ自体の生産単価が高くなる。
【0006】
一般的にワイシャツを着用しネクタイを装着するとネクタイの小剣の右肩側の端はワイシャツの表前立て末端よりも若干外側に越えて位置している。この事から鑑みて特許文献4では、ネクタイを止める帯体の逢着箇所の2箇所のうちワイシャツの表前立て生地の端に位置するネクタイを止める帯体の逢着箇所がワイシャツの表前立て末端の箇所になっており、この位置でネクタイの小剣側である細巾帯体を止めてしまうとネクタイの小剣側である細巾帯体が左肩方向に寄ってしまいネクタイの太巾帯体も連動して左肩方向に寄ってしまう傾向となりネクタイの太巾帯体と細巾帯体の左肩方向への偏りはファション的に好ましくはない。ネクタイを着用した時に、ネクタイの小剣並びにネクタイの大剣とも左右方向に対して多少の余裕(遊びの区間)を設けないとネクタイが左右のどちらかに偏りファション的に好ましくなく、同時にひんくつを伴い違和感を覚える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【0008】
【0009】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明は、ワイシャツを着てネクタイを装着する時において、身体を前屈みになりネクタイがワイシャツから離れて垂れ下がったりなどして、食事の時などネクタイの先端が食べ物に触れネクタイを汚したり、洗面台においてもネクタイがワイシャツから離れ垂れ下がってネクタイに水がかかってしまう問題などや、ネクタイが斜めにずれてファション性を損なう問題の現状を鑑み、ワイシャツ側にネクタイを固定する施しを行い、ネクタイにおける制約を受けることなく、ネクタイの着用者に煩わしさが伴なうことなく、ネクタイをワイシャツに固定することのできるワイシャツを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明では、上記課題を解消すべく、
1.ネクタイを結んで装着するワイシャツのワイシャツ表前立てに縦一列に配列された前記ボタン穴が備えられた前記ワイシャツ表前立て生地において、上下に位置する前記ボタン穴と前記ボタン穴との中間位置の箇所に、前記ネクタイを装着したときに前記ネクタイの小剣を上下に通して前記ワイシャツに固定させる小剣通し部と、前記小剣通し部右端の折り返し線にて前記小剣通し部の裏側に折り返され、前記小剣通し部を支える支持部と、前記折り返し線に接して前記小剣通し部の生地と前記支持部の生地が縫着されている折り返し線縫着部にて構成された横長の長方形の形状とした布製のネクタイ小剣通しを設けたことを特徴としている。
2.前記布製のネクタイ小剣通しを構成する本体は、一枚の横長の長方形の布地にて作られており、前記横長の長方形の布地は、布地上の長手方向中心線にて折り返され、対面し重なった前記横長の長方形の布地の末端同士の3面は縫着され、前記横長の長方形の布地を半分に折って重ねた2層構造の前記ネクタイ小剣通しとし、前記長手方向中心線側が前記ネクタイ小剣通しの上端としたことを特徴としている。
3.前記小剣通しの前記小剣通し部左端は、前記ワイシャツ表前立て生地の末端から左腕側に30mmから45mmの範囲内にて離れた箇所の前記ワイシャツ表前立て生地の表側に縫着され、前記折り返し線は前記ワイシャツ表前立ての末端より外側へ3mmから15mmの範囲内の距離を越えた箇所とし、前記ネクタイ小剣通しの前記支持部左端は前記ワイシャツ表前立て生地の末端から左腕側に10mmから45mmの範囲内にて離れた箇所の前記ワイシャツ表前立て生地の裏側に縫着されていることを特徴としている。
4.前記折り返し線縫着箇所の区間の幅は、前記折り返し線を端として1mmから3mmの範囲内に設定していることを特徴としている。
5.前記支持部の内部に芯地が備えられていることを特徴としている。
6.前記小剣通しの前記支持部において、前記支持部の内部の上端側と下端側の2箇所にそれぞれ前記支持部の左側末端から前記支持部の右側末端までの区間に芯地が備えられ、前記支持部の内側に縫着されていることを特徴としている。
7.前記小剣通しの前記支持部において、前記支持部の内部に前記支持部の左側末端から前記支持部の右側末端までの区間に1本の芯地が備えられ、前記支持部の内側に縫着されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ネクタイ側に一切の加工施しは行っておらず、今まで市販されている殆どのネクタイに適用でき、ネクタイを結び締めるときに邪魔になることはなく、ネクタイ着用者はネクタイの小剣をワイシャツのボタン穴とボタン穴の中間位置に備えられたネクタイ小剣通しのネクタイ小剣通し部に通すだけであり、ネクタイの着用時に煩わしさが伴うことなく簡単にでき、ネクタイ留めの小剣通しが、ネクタイの大剣からはみ出ることもなくネクタイをワイシャツ側に固定できる。どのような動作を行ってもネクタイ止め機構がずれたり外れたりすることはない。そしてワイシャツを着てネクタイを装着時に身体を前屈みになる動作の時にネクタイがワイシャツから離れて垂れ下がり、身体の動作時に邪魔になったり、食事の時にネクタイの先端が食べ物に触れネクタイを汚したり、洗面台においてもネクタイがワイシャツから離れ垂れ下がってネクタイに水がかかってしまう問題は解消することができると同時にネクタイが斜めにずれてファション性を損なう問題も解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施例1と実施例2によるネクタイを装着した時のワイシャツ表前立て側に備えられた第1ネクタイ小剣通しの位置関係を示す説明図である。
【
図2】実施例1による第1ネクタイ小剣通し生地を広げた状態の説明図である。
【
図3】実施例1によるワイシャツの表前立ての縫着前の第1ネクタイ小剣通しのみ単体の説明図である。
【
図6】実施例1によるワイシャツの表前立て側に備えられた第1ネクタイ小剣通しの拡大した説明図である。
【
図7】実施例1におけるワイシャツの表前立てと裏前立てを裏前立て側のボタンで留めたときのワイシャツの表前立て側に備えられた第1ネクタイ小剣通しを拡大した説明図である。
【
図8】実施例2による第1ネクタイ小剣通し生地を広げた状態の説明図である。
【
図9】実施例2によるワイシャツの表前立ての縫着前の第1ネクタイ小剣通しのみ単体の説明図である。
【
図12】実施例2によるワイシャツの表前立て側に備えられた第1ネクタイ小剣通しの拡大した説明図である。
【
図13】実施例2におけるワイシャツの表前立てと裏前立てを裏前立て側のボタンで留めたときのワイシャツの表前立て側に備えられた第1ネクタイ小剣通しを拡大した説明図である。
【
図14】実施例1におけるワイシャツを着用しネクタイを装着したときの
図1におけるAーB間の区間の詳細を示した区間図である。
【
図15】ネクタイを装着した時のワイシャツ表前立て側に備えられた第1ネクタイ小剣通しと同じネクタイ小剣通しを複数備えた時の位置関係を示す説明図である。
【
図16】ワイシャツを着用しネクタイを装着したときの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明では、ワイシャツ1では、両脇の縫い目を境に胸側の生地を前立てと呼称し、従って背中側の生地は後立てとなる。さらに前立ての生地においては、中央にてボタン9が縦一列に施されている方の生地を裏前立て4と呼称し、一方、対面するボタン9を留めるためのボタン穴8が縦一列に施されている方の生地を表前立て5と呼称する。ワイシャツ1を着用しネクタイ12をワイシャツ1の襟2の下を通し首下でネクタイ12を結び締めるとき首下縦に垂れ下がる2本のネクタイの帯において、表側の幅広のネクタイの方を大剣13と呼称し、大剣13の裏側になる幅狭のネクタイの方を小剣14と呼称する。ネクタイの大剣13の裏側1箇所には、ネクタイ12の小剣14を上下に貫通させてネクタイ12の大剣側に留めるために、布製のネクタイメーカーのブランド名等を刺繍した商品ラベル(タッグ)を兼ねた織りネームのラベル片が縫いつけられている。一般的には小剣通しとかラベル片とかループとか織りネームとか呼ばれているが、これを本発明では、ネクタイの大剣の裏側に備えられたネクタイ大剣側小剣通し15と呼称する。本発明では、襟元から数えて第3番目ボタン穴と第4番目ボタン穴との中間位置の箇所に設けられたネクタイ小剣通しを第1ネクタイ小剣通し16と呼称し、襟元から数えて第5番目ボタン穴と第6番目ボタン穴との中間位置の箇所に設けられたネクタイ小剣通しを第2ネクタイ小剣通し17と呼称する。
図3と
図6と
図7と
図9と
図12と
図13においては、説明上、ワイシャツ1の表前立て側に備える第1ネクタイ小剣通し16は、小剣通し区間の小剣通し部23、43は上下に小剣14が貫通できるようにしてあることを指し示すために説明上あえて中央付近がやや垂れ下がったように図で示している。本発明では、ワイシャツ1または第1ネクタイ小剣通し16を説明するにあたり、右又は左の方向を示す語句は全てワイシャツ1を着用した着用者側から自身のワイシャツ1を観た位置方向を示している。
【0016】
通常、ワイシャツ1を着てネクタイ12を装着する場合は、ネクタイ12をワイシャツの襟2の下を通しワイシャツの左右襟2の両端の中心の首下でネクタイ12を結び締める。この時に首下縦に垂れ下がる2本のネクタイ12の帯は表側には幅広のネクタイ大剣13となり、その裏側には幅狭のネクタイ小剣14となっている。一般的に多くの人はファション性とマナーの面からネクタイ12を結んだ時にファション性の為に少しだけネクタイ12の小剣14は大剣13よりも長さが、ほんの少し短くなるようにネクタイ12を結び締めている。ネクタイの大剣13の裏側1箇所には、ネクタイの小剣14を上下に貫通させてネクタイの大剣側13に留めるために、小剣通し15が縫いつけられている。この小剣通し15については、どのネクタイのメーカーでも多少差はあるもののほぼ同じ位置ぐらいに縫いつけられている。本発明の実施例1では仮にワイシャツ1を着用し、ネクタイを結んだとすると、ネクタイの大剣側13の裏生地にある小剣通し15の位置は、便宜上だいたい襟元から数えて4番目のボタン穴8と5番目のボタン穴8の区間内にあるものと想定している。
図2と
図3の図で示すようにワイシャツの表前立ての生地5の末端は表前立ての生地が折り返し位置6にて少し表側に折り返され、生地が折れ返される幅は生地と生地が重複した区間となり、この重複した区間の中間にボタン穴8がくるようになっている。この折り返された生地の末端がワイシャツの表前立ての生地5の表側で縫われている位置を折り返し生地縫い位置7と仮に呼称する。一方、ボタンが縫いつけられているワイシャツ裏前立て4においては、ワイシャツの裏前立ての生地4の末端は裏前立ての生地が少し裏側に折り返され、折り返された生地の末端は裏前立ての裏側で縫われている。この裏前立ての生地4が折れ返される幅の中間にボタン9がくるようになっている。本発明ではワイシャツの裏前立て4には何も施しを行っていない事から図での説明は省略する。尚、実施例1と実施例2の違いは、それぞれ支持部24、45の支持部材である芯地が実施例1のように上下2段に分割された構造化か、それとも実施例2のように芯地が単体一段の構造かの違いだけである。従って、図面上と明細書の第1小剣通しの番号は、あえて小剣通し16と呼称する。
【実施例0017】
図1では、実施例1におけるネクタイ12を装着した時のワイシャツの表前立て側に備えた第1ネクタイ小剣通し16のみ1箇所とした時の襟元から数えて第3番目ボタン穴と第4番目ボタン穴との中間位置の箇所に第1ネクタイ小剣通し16を設けた時の第1ネクタイ小剣通し16位置関係を示す説明図である。さらに詳しく説明するため
図2では第1ネクタイ小剣通しの本体の布地を広げた状態の説明図である。矢印は中心線30を境にして上側から下側に重ねる意味としている。
図3では、ワイシャツの表前立ての縫着する前の第1ネクタイ小剣通しのみ単体の説明図である。
図3では縫着箇所31は省略してある。
図4は
図3でのE―F間の説明図である。
図5は
図3でのH―J間の説明図である。
図6はボタン9を留める前のワイシャツ1の表前立て5のワイシャツ側の第1ネクタイ小剣通し16の拡大した図である。
図7はワイシャツの裏前立て5と表前立て4とをボタン穴8にボタン9を通して留めた時のネクタイ小剣通し16の拡大した説明図である。さらに
図14はネクタイを着用したときの
図1でのAーB間の区間の断面を示した断面図である。尚、
図14は代表として実施例1として説明を行っている。実施例2では
図14に関する説明は、全く同じであるから省略する。
【0018】
布製の第1ネクタイ小剣通し16を構成する本体は、
図2で示すように一枚の横長の長方形の布地で作られており、長手方向中心線である第1ネクタイ小剣通し生地の長手方向中心線30を基点にして図で示す矢印のように表側に折り返され対面する生地の末端同士となる左右両端と下端の3箇所31は縫着される。第1ネクタイ小剣通し生地の長手方向中心線30を基点にして折り返された生地の末端同士となる左右両端と下端の3箇所31は縫着された時に折り返しの基点となる第1ネクタイ小剣通し生地の長手方向中心線30側が第1ネクタイ小剣通し16の上端となる。そして末端同士となる左右両端と下端の3箇所31は縫着された時の長手方向側下端が第1ネクタイ小剣通し16の下端となる。従って、第1ネクタイ小剣通し16を構成する本体は、1枚の横長の長方形の布地を布地の長手方向中心線30を基点にして折り返して(半分に折って)2枚を重ねる状態として3辺の末端生地同士を縫着させた2層構造としている。
【0019】
図3から
図5に示すように第1ネクタイ小剣通し16の折り返し線縫着箇所27左端から第1ネクタイ小剣通し16の小剣通し左側末端20までの区間が第1ネクタイ小剣通し16の小剣通し部23となる。第1ネクタイ小剣通し16のネクタイ小剣通し部23は、ネクタイ12を着用したときにネクタイ12の小剣14の横幅よりもやや広くした幅にしてある。
【0020】
図3と
図5に示すように第1ネクタイ小剣通し16の折り返し線縫着箇所27左端から第1ネクタイ小剣通し16の支持部左側末端21までの区間が第1ネクタイ小剣通し16の支持部24となる。
図3と
図5に示すように第1ネクタイ小剣通し16の折り返し線縫着箇所27の端に接する支持部24の右末端から支持部左側末端21までの支持部区間24の内部に支持部材としての支持機能を受け持ち担う芯地25が備えられ縫着されている。
図2で示すように支持部24内に備えられる芯地25は、長手方向中心線である第1ネクタイ小剣通し生地の長手方向中心線30にて表側に折り返され対面する生地の末端同士となる左右両端と下端の3箇所31が縫着された時に第1ネクタイ小剣通し16の支持部24の内側になるように製作され、従って、支持部24の芯地25は支持部24の内側になる構造としている。実施例1では
図2と
図3と
図5から
図7で示すように芯地は上下2段に分かれた構造となっている。
【0021】
第1ネクタイ小剣通し16の支持部24に設けられ、上下2段に分割された芯地25は、生地と生地との間に芯となる生地を挟み、生地と芯なる生地との間に熱を加えることによって接着性を発揮する熱可塑性の接着剤(合成樹脂)を付与して接着剤の性能に適した温度、圧力、時間に従って加熱しながらプレスすることによって作られている。芯地は布製であっても芯があるように中折れしにくい性質がある。
【0022】
折り返し線22では、小剣通し部23と支持部24の機能分離の目的から、折り返し線22に接して折り返し線縫着箇所27が設けられている。この折り返し線縫着箇所27では対面する小剣通し部23と裏側に折り返される支持部24の生地同士が縫着されている。また、折り返し線22に接する折り返し線縫着箇所27にて、対面する小剣通し部23と折り返し線22を境に裏側に折り返されている支持部24の生地同士が縫着されている折り返し線縫着箇所27の区間の幅は、折り返し線22を端として、1mm(0.1cm)から3mm(0.3cm)の範囲内に設定されている。従って、第1ネクタイ小剣通し16は、折り返し線22を境にして折り返し線縫着箇所27の端から第1ネクタイ小剣通し16の小剣通し左側末端20までの区間が小剣通し部23となり、一方、折り返し線縫着箇所27の端から第1ネクタイ小剣通し16の支持部左側末端21までの区間が支持部24とし機能する。
図3で示すように第1ネクタイ小剣通し16は、折り返し線22にて支持部区間24が裏側に折り返されている。
【0023】
図1では、ワイシャツ表前立て側5に襟元から数えて第3番目ボタン穴と第4番目ボタン穴との中間位置の箇所に第1ネクタイ小剣通し16が備えられている。ワイシャツ表前立て側5に備えられた第1ネクタイ小剣通し16をワイシャツ1に縫いつけるにあたり、
図6と
図7で示すように第1ネクタイ小剣通し16の小剣通し部左側末端20はワイシャツ表前立て側5の生地の表側に位置する縫着箇所26の位置に縫いつけられている。一方、第1ネクタイ小剣通し16の支持部左側末端21はワイシャツ表前立て側5の裏側に位置する縫着箇所28の箇所に縫いつけられている。
【0024】
詳しくは、ワイシャツ表前立て側5の表側においてワイシャツ表前立て側5に備えられた第1ネクタイ小剣通し16の小剣通し部左側末端20の縫着位置であるワイシャツ表前立て側5の表側に位置する縫着箇所26は、ワイシャツ表前立て側5の生地の末端6から左腕側に30mm(3cm)から45mm(4.5cm)の範囲内の距離(寸法)を離れた箇所のワイシャツ表前立て側5生地の表側に縫着されている。第1ネクタイ小剣通し16の小剣通し区間23はワイシャツ表前立て末端6より外側へ3mm(0.3cm)~15mm(1.5cm)の範囲内の距離(寸法)を越えた位置にて折り返し線22にて裏側に折り返されている。折り返し線22にて裏側に折り返された第1ネクタイ小剣通し16の支持部24の支持部左側末端21であるワイシャツの裏側に位置する 縫着箇所28の左側末端は、ワイシャツ表前立て側5の生地の末端6から左腕側に10mm(1cm)から45mm(4.5cm)の範囲内の距離(寸法)を離れた箇所になるようにワイシャツ表前立て側5生地の裏側に縫着されている。縫着箇所28の幅は、設計時に支持部左側末端21の位置が決まった時に幅を決める。支持部24の特性上、小剣通し部23の縫着箇所26よりも支持部24の縫着箇所28の幅は広くなる。第1ネクタイ小剣通し16の小剣通し部左側末端20がワイシャツ表前立て側5生地の表側に縫着される縫着箇所26での小剣通し部側左側末端20の位置(距離)とワイシャツ表前立て側5生地の裏側に縫着される支持部側24の支持部縫着箇所28の支持部左側末端の位置(距離)と第1ネクタイ小剣通し16のワイシャツ表前立て末端6から折り返し線22までの寸法(距離)の3点の位置(距離)はワイシャツ1を製作する時に、その時代にあったネクタイの小剣の幅によって決める。
【0025】
実施例1では、第1ネクタイ小剣通し16の小剣通し部23であるワイシャツ表前立て側の縫着箇所26から折り返し線22の区間内にネクタイの小剣14を通す。従って、
図1並びに
図14に示すようにワイシャツ1を着用しネクタイ12をワイシャツ1の襟2の下を通し襟元(首もと)でネクタイの大剣13と小剣14を結んでネクタイ12を締めて後にネクタイ12の小剣14をワイシャツ表前立て側5に備えられた第1ネクタイ小剣通し16の小剣通し部の区間内23にネクタイの小剣14を通してから、ネクタイ12の大剣13の裏側に設けられているネクタイ小剣通し15を通すことになる。即ち、ネクタイ12の小剣14は、ネクタイ12の大剣13の裏側に設けられているネクタイ小剣通し15とワイシャツ表前立て側5に備えられている第1ネクタイ小剣通し16によって固定されることにより、ネクタイ12の大剣13と小剣14は第1小剣通し16と小剣通し15によってワイシャツ1に固定され、ネクタイ留めとして機能する。
第1ネクタイ小剣通し16の支持部44に設けられた単体1段の芯地45は、生地と生地との間に芯となる生地を挟み、生地と芯なる生地との間に熱を加えることによって接着性を発揮する熱可塑性の接着剤(合成樹脂)を付与して接着剤の性能に適した温度、圧力、時間に従って加熱しながらプレスすることによって作られている。芯地は布製であっても芯があるように中折れしにくい性質がある。
詳しくは、ワイシャツ表前立て側5の表側においてワイシャツ表前立て側5に備えられた第1ネクタイ小剣通し16の小剣通し部左側末端40の縫着位置であるワイシャツ表前立て側5の表側に位置する縫着箇所46は、ワイシャツ表前立て側5の生地の末端6から左腕側に30mm(3cm)から45mm(4.5cm)の範囲内の距離(寸法)を離れた箇所のワイシャツ表前立て側5生地の表側に縫着されている。第1ネクタイ小剣通し16の小剣通し区間43はワイシャツ表前立て末端6より外側へ3mm(0.3cm)~15mm(1.5cm)の範囲内の距離(寸法)を越えた位置にて折り返し線42にて裏側に折り返されている。折り返し線42にて裏側に折り返された第1ネクタイ小剣通し16の支持部44の支持部左側末端41であるワイシャツの裏側に位置する縫着箇所48の左側末端は、ワイシャツ表前立て側5の生地の末端6から左腕側に10mm(1cm)から45mm(4.5cm)の範囲内の距離(寸法)を離れた箇所になるようにワイシャツ表前立て側5生地の裏側に縫着されている。縫着箇所48の幅は設計時に支持部左側末端41が決まった時に幅を決める。支持部44の特性上小剣通し部43の縫着箇所46よりも支持部44の縫着箇所48の幅は広くなる。第1ネクタイ小剣通し16の小剣通し部左側末端40がワイシャツ表前立て側5生地の表側に縫着される縫着箇所46での小剣通し部側左側末端40の位置(距離)とワイシャツ表前立て側5生地の裏側に縫着される支持部側44の支持部縫着箇所48の支持部左側末端の位置(距離)と第1ネクタイ小剣通し16のワイシャツ表前立て末端6から折り返し線42までの寸法(距離)の3点の位置(距離)はワイシャツ1を製作する時に、その時代にあったネクタイの小剣の幅によって決める。
次に前記実施例1から実施例2に記載のように構成された本実施例の特徴について説明する。実施例1と実施例2の違いは、それぞれ支持部24、45の支持部材である芯地が実施例1のように上下2段に分割された構造化か、それとも実施例2のように芯地が単体一段の構造かの違いだけである。芯地の構造以外は実施例1と実施例2は共通している。それぞれ実施例1と実施例2に共通する項目は代表として実施例1として述べる。
本発明の実施形態では、次のような問題点を解決すべく発明されている。第1に食事の時などスーツ、ジャケットなどの上着を脱いでいる時に、立ち上がって前屈みになるような動作においてネクタイの先端が食べ物に触れネクタイを汚さないように左手でネクタイを押さえ右手で何かをしなければならないなど不便を解消する事。第2にオフィスなどの職場内においてもスーツ、ジャケットなどの上着を脱いで、デスクワークしている時などにおいて邪魔になる事を解消する事。第3にトイレの手洗い場とか洗面台とかでもネクタイがワイシャツから離れ垂れ下がってネクタイに水がかかってしまう問題があるため多くの人はネクタイをワイシャツの中にネクタイの先端を差し込んで垂れないように、ネクタイ自体を肩越しから背中に垂らして対処していた現状を解消する事。第4にスーツ、ジャケットなどの上着を脱いで前屈みになるような動作または作業の時にネクタイがワイシャツから離れ垂れ下がるのを防ぐために多くの人はネクタイをワイシャツの中にネクタイの先端を差し込んで垂れないように、ネクタイ自体を肩越しから背中に垂らして対処していた現状を解消する事。上記のような時などは決して見た目が良いものではなく、ネクタイ着用者にとってみればこのような時などはネクタイ自体が邪魔で仕方ないのが本心でもある。しかしながら昔からネクタイをワイシャツ側に固定する方法としてタイピン方式とタイ・タック方式などによるネクタイをワイシャツに固定する装飾品は、時代の流れでファションの嗜好性や煩わしさなどの理由から消費者から敬遠される傾向にある。本発明では、タイピン方式とタイ・タック方式などによるネクタイをワイシャツに固定する装飾品に置き換わるネクタイをワイシャツに留める方法として発明している。
仮にネクタイ自体にネクタイ12をワイシャツに固定する何かの施し行っている段落0004と0005に記載の特許文献1と3に記載のネクタイを留めるための部品部材が備えられているネクタイでは、ネクタイ着用者がネクタイをワイシャツの襟元で輪を作り結ぶ時にネクタイを留めるための部品部材が邪魔になってしい煩わしさが伴ってしまう。本発明である実施例1から実施例4では、ネクタイ自体12には何ら施しは行っていない。ワイシャツ側にネクタイの小剣14を留める施しを行っている。本発明のワイシャツ側に備わったネクタイの小剣14を通す実施例1と実施例2の第1小剣通し16は、一枚の長方形の布地を使用している。使用方法はネクタイの大剣の裏側に備えられている小剣通し15と同じ方法で実施例1と実施例2の小剣通し部23の両端を手でつまみ空間を空けて、この中にネクタイの小剣14を通すだけであり、煩わしい事は軽減される。またネクタイを外すときも同様にワイシャツ側に備わったネクタイの小剣14を通す実施例1と実施例2の第1小剣通し16の小剣通し部23からネクタイの小剣14を抜くだけであり煩わしい事は軽減される。
一般的にワイシャツ1を着用しネクタイ12を装着するとネクタイ12の小剣14の右肩側の端はワイシャツの表前立て生地の末端6よりも若干外側に位置している。この事から鑑みて本発明では、第1ネクタイ小剣通し16はワイシャツ表前立ての生地5の末端6より外側へ3mm(0.3cm)~15mm(1.5cm)の範囲内の距離(寸法)を越えた位置の折り返し線22にて支持部区間24が裏側に折り返される。こうすることによって、ネクタイ12を着用した時に、ネクタイ12の小剣14並びにネクタイの大剣13とも左右方向に対して多少の余裕(遊びの区間)を設ける事ができて、ひんくつを伴うことなく違和感なくネクタイ12を着用することも本発明の利点として挙げられる。またネクタイ12の小剣側14が左肩方向に寄ってしまいネクタイ12の大剣側も連動して左肩方向に寄ってしまう事を改善させてファション性の向上を図っている。
小剣通し部左側末端20部分はワイシャツ表前立て生地表側の第1ネクタイ小剣通しの小剣通し部左側末端の縫着箇所26にてしっかりとワイシャツの縫着固定されているが、折り返し線22ではワイシャツには直接縫着されていないことから、ネクタイ小剣通し16にネクタイ12の小剣14を通してネクタイ12を支えるときに安定性が必ずしも良くはなく不安定である。本発明の折り返し線22では、小剣通し部23と支持部24の機能分離の目的とネクタイを着用しネクタイを小剣通しにて固定した時に着用者の身体の挙動変化によってネクタイの小剣が左右に動いた時のネクタイの小剣がこれ以上右側に動かないようする為のストッパー機能を持たせていると共に折り返し線22での強度(剛性)を高める目的から折り返し線縫着箇所27が設けられている。
本発明のネクタイ小剣通しは、小剣通し部23と支持部24の機能分離を行い、安定性が悪く負荷変動に弱い小剣通し部23の折り返し線22付近の対策として小剣通し部23をしっかり支える目的から、さらに本発明では内部に芯地25を備えた支持部24を備えている。支持部24では、芯地25を備えて支持部24の強度を上げて、かつ支持部24のワイシャツ表前立て生地裏側の第1ネクタイ小剣通しの支持部左側末端21の縫着箇所28の範囲は少し広くすることによって、ネクタイ小剣通し16にネクタイ12の小剣14を通してネクタイ12を支える時に身体の挙動変化やネクタイを支える負荷変動に対して安定性の向上とネクタイ小剣通しの強度(剛性)の向上を図っている。
仮に小剣通し部23と支持部24に芯地が備えられていなかった場合を想定すると、ネクタイ小剣通し16にネクタイ12の小剣14を通してネクタイ12を支える時に身体の挙動変化やネクタイを支える負荷変動に対してネクタイ小剣通し16自体の生地とネクタイ小剣通し16の縫着線でしか支えることが出来ない。仮に前屈みの姿勢になった時など身体の挙動変化において、支持部24内に芯地が設けられていないとネクタイ通し部23の箇所を中心にワイシャツ1の生地がたわんでしまう事も想定される。ネクタイ小剣通し16全体を支える支持部24は土台としの機能が最大の目的である。土台となる支持部24はしっかりしていた方が挙動変化と負荷変動には強い。支持部24内の芯地は土台の役目を担っている。支持部24内に芯地が設けられているとネクタイ通し部23にかかるネクタイからの負荷変動に対して、負荷を面として捉え身体の挙動変化があっても捩れることなく安定感と着用感が向上する。
本発明のネクタイ小剣通し16の支持部24の支持部末端側の縫着箇所28は、ワイシャツ表前立て生地の裏側にしてある。即ちネクタイ小剣通し16の支持部24は、ワイシャツ表前立て生地の裏側からワイシャツ表前立て生地を介してネクタイ小剣通し16全体を支えている。支持部24内部には芯地が備えられ、捩れには強い構造としている。ネクタイ小剣通し16にネクタイ12の小剣14を通してネクタイ12を支える時にネクタイ小剣通し16の支持部24によってワイシャツを介してネクタイを止める機能とすることができ、負荷を一点に集中することなく支持部24全体で支え負荷を分散することができ、身体の挙動変化やネクタイを支える負荷変動に対して着用時の違和感を解消している。
実施例1では、ネクタイ小剣通し16の支持部24内に備わる芯地25を上下2段に分割された芯地としている。上下に分割されており中央には芯地は無い構造となっている。仮に着用時に身体が前屈みになった時に芯地が無い中央付近が中折れしてくれて中折れ機能を有しくれることになる。本発明のネクタイ小剣通し16の支持部24内に備わる芯地25は身体の挙動変化に対して柔軟に対応できる機能を有していることから着用時の違和感は解消することができる。
一方、実施例2では、ネクタイ小剣通し16全体の縦幅が短く(狭く)なっている。将来的にみて時代の変化による着用者の趣向やファション性の観点からネクタイ小剣通し16全体の縦幅が短くなる(狭くなる)タイプが好まれる場合を想定して発明している。ネクタイ小剣通し16の縦幅がある程度、短い場合(狭い場合)の時、数値的には実施例1でのネクタイ小剣通し16の縦幅に対して2/3又は1/2程度の縦幅しかない場合だと縦幅が短くなり(狭すぎて)支持部内部での中折れ機能を有する必用も無くなってくる。この場合には、支持部44内に備わる芯地45は上下2段に分けなくても単体1段で済むことにもなる。支持部24、44内に備わる芯地25、45は、ワイシャツ1を製作する時に、その時代にあったネクタイ小剣通しの縦幅によって決める。時代の変化による着用者の趣向やファション性の観点からネクタイ小剣通し16全体の縦幅が短くなる(狭くなる)タイプが好まれる場合は、実施例2に記載の単体1段の芯地とする。
本発明の実施例1と実施例2のネクタイ小剣通し16は一枚の生地を長手方向中央線30に折り返して二重の生地とした構造となっており、ネクタイの小剣14の出し入れが容易に行える利点がある。仮にネクタイ小剣通し16が一重の一枚の生地の場合だと、静電気の作用などでワイシャツ1の生地とネクタイ小剣通しの生地がピッタリとくっついてしまいワイシャツ1の生地とネクタイ小剣通しの生地が離れにくく、ワイシャツ着用者がネクタイの小剣をネクタイ小剣通し部23に通す時にネクタイ小剣通し部を指でつまんで作る輪が出来にくくなるなど利便性が悪くなってしまう。本発明の小剣通し16では、着用者がネクタイの小剣をネクタイ小剣通し部23に通すときは、生地が二重になっている事からネクタイ小剣通し部23の生地がワイシャツ1の生地にピッタリとくっついて離れにくくなる現象を防止する事ができると同時に、支持部24内の芯地25との併用作用でワイシャツ着用者がネクタイの小剣をネクタイ小剣通し部23に通す時にネクタイ小剣通し部23を指でつまみ作る輪が簡単に出来易くなり利便性が向上する。小剣通し16を構成する本体の布地を半分に折って重ねた2層構造とする事によって、単層(1層)よりも破れにくくなり小剣通し16自体の使用頻度と洗濯時の耐久性の向上が図られる。またネクタイ小剣通し16自体の生地の端でワイシャツ着用者がネクタイの小剣14の出し入れする時に手を切ったりすることなどを防ぐ利点がある。
本発明のネクタイ小剣通し16の支持部24内には芯地25が備えられているが、支持部24内には芯地25があるとネクタイ着用者がネクタイ12の小剣14をネクタイ小剣通し16の小剣通し部23に通すときに、ネクタイ小剣通し16の小剣通し部23の左右両末端を指でつまむと(挟めば)、支持部24を湾曲させて簡単に小剣通し部23に簡単に輪ができやすくなり、簡単にネクタイ12の小剣14をネクタイ小剣通し16の小剣通し部23に通す事ができる。支持部24に芯地25が無いと想定すると、支持部24が柔らかくなり過ぎてネクタイ小剣通し16の小剣通し部23の左右両末端を指でつまみにくく(挟みにくく)なり、基点が無いことから支持部24を湾曲させにくくなり、なかなか小剣通し部23に輪ができにくくなる。
本発明の実施例1から実施例2では、ネクタイ自体12には何ら施しは行っていない。ワイシャツ側にネクタイの小剣を留める施しを行っている。よって今まで使用してきたネクタイまたは現在市販されているネクタイ12に対して殆どのネクタイ12に適用することができる。
本発明の前記実施例1から実施例2に記載のワイシャツ側に備えられた小剣通し16の横幅は、ネクタイの大剣よりも横幅が短いためネクタイの大剣13からはみ出ることはなくファション性を損なうこともない。