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特開2024-84551X線CT装置、操作パネル、及びX線CT装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084551
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】X線CT装置、操作パネル、及びX線CT装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/04 20060101AFI20240618BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
A61B6/04 332P
A61B6/03 330Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198877
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山岡 賢悟
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093CA16
4C093CA22
4C093EE16
4C093FA03
4C093FA36
4C093FA42
4C093FA55
(57)【要約】
【課題】X線CT装置の天板が移動する駆動操作を、被検体を観察しながら容易に行うことである。
【解決手段】実施形態に係るX線CT装置は、被検体が載置される天板と、天板を有する寝台と、天板を駆動する寝台駆動部と、操作パネルと、位置検出部と、方向決定部と、駆動制御部と、を備える。操作パネルは、ユーザの身体の一部に装着可能であって、ユーザから観察した天板の移動方向の指定に関する第1の操作情報を受け付ける操作部位が設けられている。位置検出部は、操作パネルの寝台に対する位置情報を検出する。方向決定部は、位置情報と、第1の操作情報によって指定された第1の指定方向とに基づいて、天板が移動する駆動方向を決定する。駆動制御部は、方向決定部にて決定された駆動方向に基づいて、寝台駆動部を制御する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体が載置される天板と、
前記天板を有する寝台と、
前記天板を駆動する寝台駆動部と、
ユーザの身体の一部に装着可能な操作パネルであって、前記ユーザから前記天板の移動方向の指定に関する第1の操作情報を受け付ける操作部位が設けられた操作パネルと、
前記操作パネルの前記寝台に対する位置情報を検出する位置検出部と、
前記位置情報と、前記第1の操作情報によって指定された第1の指定方向とに基づいて、前記天板が移動する駆動方向を決定する方向決定部と、
前記方向決定部にて決定された駆動方向に基づいて、前記寝台駆動部を制御する駆動制御部と、
を備えるX線CT装置。
【請求項2】
X線を照射するためのX線管と前記X線を検出するX線検出器とを有する架台と、
前記架台をチルト可能にする架台チルト部と、をさらに備え、
前記操作パネルの前記操作部位は、前記ユーザから前記架台のチルト方向の指定に関する第2の操作情報をさらに受け付け、
前記方向決定部は、前記位置情報と、前記第2の操作情報によって指定された第2の指定方向と、に基づいて、前記架台がチルトする駆動方向を決定し、
前記駆動制御部は、前記方向決定部にて決定された駆動方向に基づいて、前記架台チルト部を制御する、
請求項1に記載のX線CT装置。
【請求項3】
前記位置情報は、前記ユーザに装着された前記操作パネルが、前記寝台の側面のうち、どの側面に対向する位置にあるかを示す情報である、
請求項1または2に記載のX線CT装置。
【請求項4】
前記位置検出部は、電波、磁場、赤外線、可視光の少なくとも一つの媒体によって前記位置情報を検出する、
請求項1または2に記載のX線CT装置。
【請求項5】
前記操作パネルの表示を制御する表示制御部、をさらに備え、
前記表示制御部は、前記方向決定部にて決定された駆動方向と、前記操作パネルに表示される指定方向とが合致するように、前記指定方向に関する情報を前記操作パネルに表示させる、
請求項1または2に記載のX線CT装置。
【請求項6】
前記操作パネルの前記操作部位は、さらに前記駆動方向への駆動の実行指示に関する第3の操作情報を受け付け、
前記実行指示を取得する指示取得部、をさらに備え、
前記駆動制御部は、前記指示取得部で取得された前記実行指示に基づいて、前記駆動方向への駆動を実行する、
請求項1または2に記載のX線CT装置。
【請求項7】
前記駆動方向を前記ユーザに報知する報知制御部をさらに備え、
前記報知制御部は、前記駆動方向が指定された後であって、前記駆動方向への駆動を実行する前に、前記方向決定部にて決定された前記駆動方向を前記ユーザに報知する、
請求項1または2に記載のX線CT装置。
【請求項8】
視覚情報を表示する視覚表示装置をさらに備え、
前記報知制御部は、前記視覚表示装置に決定された前記駆動方向を、表示させて、前記ユーザに前記駆動方向を報知する、
請求項7に記載のX線CT装置。
【請求項9】
前記視覚表示装置は、少なくとも前記寝台に設けられる複数の方向表示灯であり、
前記報知制御部は、前記方向表示灯の点灯、点滅等の表示状態及び色の少なくとも一方を変化させて、決定された前記駆動方向を前記ユーザに報知する、
請求項8に記載のX線CT装置。
【請求項10】
前記視覚表示装置は、モニタであり、
前記報知制御部は、決定された前記駆動方向を前記モニタに表示させて、前記ユーザに前記駆動方向を報知する、
請求項8に記載のX線CT装置。
【請求項11】
音声を発生する音声発生装置をさらに備え、
前記報知制御部は、決定された前記駆動方向を示す音声を前記音声発生装置に発生させて、前記ユーザに前記駆動方向を報知する、
請求項7に記載のX線CT装置。
【請求項12】
前記操作パネルは振動部を、さらに備え、
前記報知制御部は、決定された前記駆動方向に対応する振動で、前記振動部を振動させることによって、前記ユーザに前記駆動方向を報知する、
請求項7に記載のX線CT装置。
【請求項13】
前記操作パネルをロックするロック部、をさらに備え、
前記操作パネルに設けられた前記操作部位は、さらに、前記操作パネルがロックされた場合は、ロックされた時の駆動方向を指定できるように構成され、
位置検出部は、前記操作パネルがロックされた場合は、ロックされた時の前記操作パネルの前記寝台に対する前記位置情報を保持する、
請求項1または2に記載のX線CT装置。
【請求項14】
前記天板の手動駆動を補助するアシスト部と、
前記アシスト部を制御するアシスト制御部と、
をさらに備え、
前記アシスト制御部は、前記操作パネルが前記寝台の上または上方に移動された場合に、前記アシスト部による前記天板の手動駆動を補助する機能を有効にする、
請求項1または2に記載のX線CT装置。
【請求項15】
被検体が載置される天板を有する寝台を備えるX線CT装置と通信可能に構成される操作パネルであって、
パネル本体と、
前記パネル本体をユーザの身体の一部に装着させる取付部と、を備え、
前記パネル本体には、
前記ユーザから観察した前記天板の移動方向の指定に関する第1の操作情報を受け付ける操作部位と、
前記操作部位を介して前記第1の操作情報によって指定された第1の指定方向と、当該操作パネルの前記寝台に対する位置情報と前記第1の指定方向とに基づいて決定された前記天板の駆動方向と、が合致するように、前記第1の指定方向に関する情報を表示する表示部と、
が設けられている、
X線CT装置用の操作パネル。
【請求項16】
被検体が載置される天板と、
前記天板を有する寝台と、
前記天板を駆動する寝台駆動部と、
ユーザの身体の一部に装着可能な操作パネルであって、前記ユーザから前記天板の移動方向の指定に関する第1の操作情報を受け付ける操作部位が設けられた操作パネルと、を備えるX線CT装置の制御方法であって、
前記操作パネルの前記寝台に対する位置情報を検出し、
検出された前記位置情報と、第1の操作情報によって指定された第1の指定方向とに基づいて、前記天板が移動する駆動方向を決定し、
決定された前記駆動方向に基づいて、前記寝台駆動部を制御する、
X線CT装置の制御方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、X線CT装置、操作パネル、及びX線CT装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
X線CT(Computed Tomography)装置は、被検体にX線を照射することでX線検出器が検出したX線に基づいて、被検体の断層画像を生成する医用画像診断装置である。X線CT装置では、検査画像の取得開始前に、技師等のユーザが、検査内容に応じて被検体の位置決めをするために、被検体を載置した天板の上下移動、天板の長手方向の移動、架台の前後方チルトに関する駆動の操作を行う。また、検査の終了時には、被検体が寝台から降りるために必要な操作が行われる。
【0003】
この被検体の位置決めの操作は、一般的には、架台に固定された操作パネルやタブレット型の操作パネルによって行われる。しかしながら、例えば、架台に固定された操作パネルは、検査部位等によってはユーザが被検体を観察しながら操作することが難しい場合があり、また、タブレット型の操作パネルは、遠隔操作が可能な一方で、携帯時にユーザの片手が常に占有され、操作時には両手がふさがることが懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-196398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の1つは、X線CT装置の天板が移動する駆動操作を、被検体を観察しながら容易に行うことである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限らない。後述する各実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置付けることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係るX線CT装置は、被検体が載置される天板と、天板を有する寝台と、天板を駆動する寝台駆動部と、操作パネルと、位置検出部と、方向決定部と、駆動制御部と、を備える。操作パネルは、ユーザの身体の一部に装着可能であって、ユーザから天板の移動方向の指定に関する第1の操作情報を受け付ける操作部位が設けられている。位置検出部は、操作パネルの寝台に対する位置情報を検出する。方向決定部は、位置情報と、第1の操作情報によって指定された第1の指定方向とに基づいて、天板が移動する駆動方向を決定する。駆動制御部は、方向決定部にて決定された駆動方向に基づいて、寝台駆動部を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態に係るX線CT装置の構成例を示す概略図。
図2】実施形態に係る操作パネルについて第1の構成例を示す概略図。
図3】実施形態に係る操作パネルについて第2の構成例を示す概略図。
図4】第1の実施形態に係るX線CT装置の構成例を示す概略図。
図5】第1の実施形態に係る操作パネルの寝台に対する位置情報について説明する図。
図6】第1の実施形態に係るX線CT装置の動作例を示すフローチャート。
図7】第2の実施形態に係るX線CT装置の構成例を示す概略図。
図8】第2の実施形態に係るX線CT装置の動作例を示すフローチャート。
図9】第3の実施形態に係るX線CT装置の構成例を示す概略図。
図10】第3の実施形態に係るX線CT装置の動作例を示すフローチャート。
図11】第3の実施形態に係るX線CT装置におけるユーザの第1の位置に対する方向表示灯の一例を説明する図。
図12】第3の実施形態に係るX線CT装置におけるユーザの第2の位置に対する方向表示灯の一例を説明する図。
図13】第4の実施形態に係るX線CT装置の構成例を示す概略図。
図14】第5の実施形態に係るX線CT装置の構成例を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、実施形態に係る操作パネルを備えるX線CT装置について詳細に説明する。なお、実施形態に係る操作パネルは、単純X線装置において、備えることもできる。また、以下の説明において、ほぼ同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行うこととする。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るX線CT装置1の構成例を示す概略図である。図1に示すように、第1の実施形態では、非チルト状態での回転フレーム13の回転軸または寝台装置30の天板33の長手方向をz軸方向、z軸方向に直交し、床面に対して平行である軸方向をx軸方向、z軸方向に直交し、床面に対し垂直である軸方向をy軸方向とそれぞれ定義するものとする。
【0010】
第1の実施形態に係るX線CT装置1は、架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40とを有する。なお、図1において、説明の便宜上、架台装置10を左側の上下に、向きを変えて複数描画しているが、実際の構成としては、架台装置10は1つである。
【0011】
寝台装置30は、基台31、寝台駆動機構32、天板33及び支持フレーム34を備える。寝台装置30は、スキャン対象の被検体Pを載置する。基台31は、支持フレーム34を鉛直方向(y軸方向)に移動可能に支持する筐体である。天板33は、支持フレーム34の上面に設けられ、被検体Pが載置される板である。
【0012】
寝台駆動機構32は、制御装置15による制御の下、被検体Pが載置された天板33を移動するモータ又はアクチュエータである。寝台駆動機構32により、天板33は、天板33の長手方向(z軸方向)、及び鉛直方向(y軸方向)に移動可能である。また、本実施形態を立位CTに応用する場合、天板33に相当する被検体Pの載置部材を寝台駆動機構32に相当する移動機構で移動することができる。
【0013】
架台装置10は、X線管11、X線検出器12、回転フレーム13、X線高電圧装置14、架台基台19、制御装置15、及びデータ収集回路(DAS:Data Acquisition System)18を備える。
【0014】
X線管11は、例えば、X線高電圧装置14から高電圧の電力供給を受けてフィラメントからターゲットに向けて熱電子を照射するX線管、等のX線照射を行うX線照射部である。
【0015】
X線検出器12は、例えば、X線管11の焦点を中心として1つの円弧に沿ってチャネル方向に複数のX線検出素子が配列されたX線検出素子列を備え、X線管11から照射されて被検体Pを通過したX線を検出し、電気信号に変換してデータ収集回路18に出力する。
【0016】
回転フレーム13は、その中心を回転軸として回転自在に支持されており、制御装置15の制御に基づいて回転駆動され、X線管11、X線検出器12を架台装置10及び寝台装置30に対して回転させる。
【0017】
X線高電圧装置14は、トランス等の電気回路を備え、X線管11に印加される高電圧を発生する機能を有する高電圧発生装置と、X線管11が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置を備える。
【0018】
架台基台19は、架台装置10の開口部を鉛直方向(y軸方向)に支持する筐体である。架台基台19は、寝台装置30に対向するその開口部を鉛直方向(y軸方向)から前方に又は後方にチルト可能にする架台チルト機構21を備えていてもよい。架台チルト機構21は、制御装置15による制御の下、架台装置10をチルトするモータ又はアクチュエータである。架台チルト機構21により、架台装置10は、寝台装置30に対向するその開口部を鉛直方向(y軸方向)から前方に又は後方にチルトすることができる。
【0019】
制御装置15は、メモリ16と処理回路150を備え、コンソール装置40又は架台装置10に備えられた入力インターフェース、及び後述するユーザに装着可能な操作パネル5における操作による入力信号に基づいて、架台装置10及び寝台装置30の駆動の制御を行う機能を有する。制御装置15は、入力信号を受けて回転フレーム13を回転させる制御や、架台装置10をチルトさせる制御や、寝台装置30及び天板33を移動させる制御を行う。なお、制御装置15は、架台装置10及び寝台装置30のうち少なくとも一方に備えられてもよいし、別の例としては、コンソール装置40に備えられてもよい。
【0020】
メモリ16は、処理回路150において用いられる各種処理プログラムや、プログラムの実行に必要なデータ等を記憶する。メモリ16は、磁気的若しくは光学的記憶媒体、又は、半導体メモリ等の、プロセッサにより読み取り可能な記憶媒体を含んだ構成を有する。
【0021】
制御装置15の処理回路150について、本実施形態の制御についての詳細は後述するが、処理回路150は、専用、又は、汎用のプロセッサを有し、メモリ16に記憶させるプログラムを実行することにより、後述する各種の機能を実現するプロセッサである。
【0022】
データ収集回路(DAS:Data Acquisition System)18は、X線検出器12の各X線検出素子から出力される電気信号に対して増幅処理を行う増幅器と、電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換器と、を備える。データ収集回路18は、検出データを生成し、生成した検出データをコンソール装置40に転送する。
【0023】
コンソール装置40は、メモリ41と、ディスプレイ42と、入力インターフェース43と、処理回路44と、を備え、データ収集回路18が生成した検出データから画像処理やX線CT装置の統括制御をする。なお、コンソール装置40は寝台装置30及び架台装置10とは別体として説明するが、寝台装置(以下、寝台ともいう)30及び架台装置(以下、架台ともいう)10にコンソール装置40又はコンソール装置40の各構成要素の一部が含まれてもよい。
【0024】
メモリ41及び処理回路44の構成については、制御装置15の処理回路150及びメモリ16と同等であるので説明を省略する。ディスプレイ42は、例えば、液晶ディスプレイ等により実現される表示装置であり、処理回路44によって生成された医用画像やユーザからの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。入力インターフェース43は、例えば、キーボード、マウス等により実現され、ユーザからの各種入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路44に出力する。
【0025】
第1の実施形態に係るX線CT装置1は操作パネル5を備える。操作パネル5は、ユーザの身体の一部に装着可能である。図2及び図3は、操作パネル5の構成例を説明する図である。図2及び図3に示すように、操作パネル5は、パネル本体50と、パネル本体50をユーザの身体の一部に装着させる取付部61、62と、を有する。パネル本体50について詳細は後述するため、ここでは、取付部61、62について説明する。
【0026】
取付部61、62は、パネル本体50をユーザの身体の一部に装着させるための構成である。取付部61、62は、パネル本体50に着脱可能に構成されてもよい。また、取付部は、一つのパネル本体50に対して、手首用、上腕用、腰用等、ユーザの装着部位に合わせた装着を可能にするため、複数の種類が用意されていてもよい。ユーザは、装着部位に応じて選択された取付部の操作パネル5を装着することができる。取付部の種類の例として、例えば、バンド型、クリップ型、吸盤型等が挙げられる。なお、取付部は、一つの種類が用意されていてもよい。
【0027】
図2は、バンド型の取付部61の一例である。図2(C)に示すように、例えば、パネル本体50に設けられた両側面の溝50a、50bに、取付部61に設けられた接続部61a、61bがそれぞれスライド挿入されることで着脱できる構造を有する。また、両側面の溝50a、50bは、パネル本体50の表示部51(図4参照)に表示されるユーザから観察した駆動方向を指定するための画面が、図2(A)に示すように取付部61に対して垂直となるように構成されていてもよいし、図2(B)に示すように取付部61に対して平行となるように構成されていてもよい。また、取付部61において接続部61a、61bと反対の端側(不図示)は、ユーザの身体の一部に装着できるように構成される。接続部61a、61bと反対の端側は、例えば、マジックテープ(登録商標)等の面ファスナー、金具、等の留め具を有していてもよい。また、接続部61a、61bのそれぞれの端側で互いに繋がっていてもよい。
【0028】
図3は、クリップ型の取付部62の一例である。取付部62は、クリップ部62cと、台座部62gとを有する。図3(A)に示すように、パネル本体50に設けられた両側面の溝50a、50bに、台座部62gに設けられた接続部62a、62bがそれぞれスライド挿入されることで着脱できる構造を有する。図3(B)は、図3(A)を接続部62a側の側面から見た図である。図3(B)に示すように、台座部62gとクリップ部62cにおける一方のつまみ部62f側は接着される。取付部62は、他方のつまみ部62dを押さえると留具部62eが開き、ユーザの着衣等を間に挟み、その他方のつまみ部62dから手を離すと留具部62eで固定される構造を有する。
【0029】
図2及び図3において示した、バンド型の取付部61及びクリップ型の取付部62の構造は一例であり、取付部は、パネル本体50に着脱可能な公知の構造を用いることができる。また、取付部は、操作パネル5を、ユーザの身体の一部に装着させる他、ユーザの着衣、X線CT装置1、X線CT装置室の壁等に貼付できるような構造を有してもよい。
【0030】
続いて、図4の第1の実施形態に係るX線CT装置1の構成例を示す概略図を用いて、操作パネル5のパネル本体50と、X線CT装置1との通信について説明する。
【0031】
操作パネル5のパネル本体50は、表示部51と操作部位とを有する。表示部51は、例えば、液晶ディスプレイ等により実現される表示装置であり、ユーザからの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。操作部位は、例えば、タッチパネル等により実現され、ユーザからの各種入力操作を受け付ける。
【0032】
また、操作パネル5はX線CT装置1と通信可能に構成されている。このため、操作パネル5には、アンテナ57と第1通信部56とが設けられている。一方、X線CT装置1の寝台装置30にも、操作パネル5と通信するためのアンテナ36a、36bと第2通信部35とが設けられている。第1通信部56は、アンテナ57を介して、操作部位において受け付けた入力操作等を電気信号に変換して送信する。また、第2通信部35は、アンテナ36a及び36bの少なくとも一つを介して、第1通信部56により送信された信号を受信し、制御装置15の処理回路150に転送する。なお、第1通信部56と、第2通信部35とは、共に双方向において送受信が可能である。第1通信部56と第2通信部35との間の送受信は、例えば、ブルートゥース(登録商標)等の無線通信を用いることができる。
【0033】
また、第1通信部56と、第2通信部35とは、操作パネル5の寝台30に対する位置情報の検出も可能にする。ここで、図5は、第1の実施形態に係る操作パネル5の寝台30に対する位置情報について説明する図である。通常、検査画像の取得開始前に、技師等のユーザが、検査内容に応じて被検体Pの位置決めをするために、被検体Pを載置した天板33の上下移動、天板33の長手方向の移動、及び架台10の前後方チルト、に関する駆動の操作を行う。また、検査の終了時には、被検体が寝台30から降りるために必要な操作が行われる。その際に、図5に示すように、ユーザはX線CT装置室で第1のユーザ位置U1から第2のユーザ位置U2に移動することがある。
【0034】
操作パネル5の寝台30に対する位置情報とは、ユーザに装着された操作パネル5の寝台30に対する位置を示す情報である。当該位置情報は、例えば、ユーザに装着された操作パネル5が、寝台30の側面のうち、どの側面に対向する位置にあるかを示す情報である。当該位置情報は、例えば、ユーザに装着された操作パネル5が、寝台30の長手方向の2側面のうち、どちらの側面に対向する位置にあるかを示す情報である。また、当該位置情報は、例えば、ユーザに装着された操作パネル5が、寝台30の短手方向の2側面のうち、どちらの側面に対向する位置にあるかを示す情報であってもよい。
【0035】
操作パネル5の寝台30に対する位置情報は、例えば、寝台30の2つの側面のそれぞれに設置されたアンテナ36a、36bで受信される電波の強度を比較することによって、操作パネル5が(即ち、操作パネル5を装着したユーザが)、寝台30の2側面のうちのどちらの側面に対向する位置にあるかを検出することができる。例えば、アンテナ36a、36bで受信される電波の強度が第2通信部35で検出され、さらに、制御装置15の処理回路150において2つの電波強度が比較されて、上記の位置情報が検出される。ブルートゥース(登録商標)等の無線通信の電波の強度を検出することに替えて、磁場や赤外線等の媒体を用いて操作パネル5の位置を検出してもよい。
【0036】
また、X線CT装置室でユーザの位置が常に検出可能であるような台数と位置のカメラを備え、その複数のカメラ等の可視光の媒体によって、ユーザの位置に準ずる操作パネル5の寝台30に対する位置情報を検出してもよい。なお、操作パネル5の寝台30に対する位置情報は、後述する、ユーザから観察した天板33及び架台10の駆動方向の決定に用いられる。
【0037】
図4に戻り、操作部位は、例えば、方向スイッチ52a、52b、52c、52dと、実行指示スイッチ54と、により構成される。
【0038】
方向スイッチ52a、52b、52c、52dは、それぞれ、ユーザから観察した天板33が移動する駆動方向が、上、下、左、右であるように、駆動方向を指定できるスイッチである。ユーザは4方向の方向スイッチ52a、52b、52c、52dの内から所望の指定方向である一つの方向スイッチを入力操作する。以下、方向スイッチ52a、52b、52c、52dを、上方向スイッチ52a、下方向スイッチ52b、左方向スイッチ52c、右方向スイッチ52dともいう。
一方、実行指示スイッチ54は、駆動方向の駆動を実行するための実行指示ができるスイッチである。
【0039】
図5に示される、第1のユーザ位置U1と、第2のユーザ位置U2とでは、ユーザから観察した天板33が架台10に対して移動する駆動方向が異なる。そこで、第1の実施形態のX線CT装置1では、ユーザから観察した天板33の移動方向の指定に関する第1の操作情報を受け付ける操作部位において、同じ方向スイッチで駆動方向を指定した場合であっても、第1のユーザ位置U1と、第2のユーザ位置U2とでは、実際に天板33が移動する駆動方向が逆向きになるようにしている。つまり、第1の実施形態のX線CT装置1では、ユーザの立ち位置に応じて、同じ方向スイッチを操作した場合であっても、天板33の移動方向を変えるようにしている。
【0040】
具体的には、第1のユーザ位置U1において、左方向スイッチ52c(図4の操作パネル5の左側にあるスイッチ)が指定された場合、図4の矢印Aが示す架台10に搬入される方向(ユーザから見て左側に移動する方向)に、天板33が移動するように駆動方向が決定されるのに対して、第2のユーザ位置U2において、同じ左方向スイッチ52cが指定された場合であっても、図4の矢印Bが示す架台10に搬出される方向(ユーザから見て左側に移動する方向)に、天板33が移動するように駆動方向が決定される。
【0041】
一方、第1のユーザ位置U1において、右方向スイッチ52d(図4の操作パネル5の右側にあるスイッチ)が指定された場合、矢印Bが示す架台10に搬出される方向(ユーザから見て右側に移動する方向)に、天板33が移動するように駆動方向が決定されるのに対して、第2のユーザ位置U2において、同じ右方向スイッチ52dが指定された場合であっても、矢印Aが示す架台10に搬入される方向(ユーザから見て右側に移動する方向)に、天板33が移動するように駆動方向が決定される。
【0042】
なお、上方向スイッチ52aと、下方向スイッチ52bとの指定に関しては、第1のユーザ位置U1と第2のユーザ位置U2とで同じであり、ともに、上方向スイッチ52aが指定された場合、天板33は、上方向に移動するように駆動方向が決定され、下方向スイッチ52bが指定された場合、天板33は、下方向に移動するように駆動方向が決定される。
【0043】
実行指示スイッチ54は、操作部位において、例えば、所望の指定方向である一つの方向スイッチの入力操作等、ユーザから観察した駆動方向の指定がされた後に、駆動方向の駆動を実行するための実行指示ができるスイッチである。すなわち、実際の駆動までに、操作部位における駆動方向の指定と実行指示スイッチ54による実行指示との2段階の操作が必要であるため、例えば、誤った駆動方向を指定した場合にそのまま駆動してしまうような誤作動が防止され、安全性が確保される。また、ユーザは、操作部位において駆動方向を指定した後に、指定した方向を変更したい場合は、操作部位において駆動方向を再度指定してもよい。
【0044】
実行指示スイッチ54は、ユーザがスイッチを押している間だけ、駆動方向の駆動を継続して実行するスイッチである。実行指示スイッチ54の押下中に、例えば、第1のユーザ位置U1から第2のユーザ位置U2へユーザが移動する等、ユーザから観察した駆動方向が相反する位置に操作パネル5が移動した場合は、決定された駆動方向に駆動の実行はそのまま継続される。また、駆動に関する動作制御の観点から、操作部位における駆動方向の指定後で、かつ、実行指示スイッチ54による実行指示前に、ユーザから観察した駆動方向が相反する位置に操作パネル5が移動した場合は、決定された駆動方向は保持される。
【0045】
表示部51は、ユーザからの入力操作を受け付けるための操作部位を出力表示する。また、表示部51は、操作部位を介してユーザが指定した指定方向と、当該操作パネル5の寝台30に対する位置情報と指定方向とに基づいて決定された駆動方向と、が合致するように、指定方向に関する情報を表示する。ユーザが指定した指定方向は、例えば、表示部51の当該スイッチの枠内に設けられた表示デバイスの点灯、点滅等の表示状態、色の変化により表現されて、ユーザに報知されてもよい。
【0046】
また、図4に示すように、制御装置15の処理回路150のプロセッサは、位置検出機能151、方向決定機能152、表示制御機能153、指示取得機能154、駆動制御機能155の各機能を実現する。処理回路150の上記各機能の構成及び動作について、その詳細を、図6のフローチャートを用いて、説明する。
【0047】
ステップST10において、ユーザは身体の一部に操作パネル5を装着する。ユーザは操作パネル5を装着部位に応じて、手首用、上腕用、腰用等、の操作パネル5の取付部を選択してもよい。また、ユーザは、操作パネル5をユーザの身体の一部に装着する他に、X線CT装置1や装置室内の壁等、所望の場所に操作パネル5を固定してもよい。
【0048】
ステップST20において、位置検出機能151は、操作パネル5の寝台30に対する位置情報を検出する。操作パネル5の寝台30に対する位置情報とは、ユーザに装着された操作パネル5の寝台30に対する位置を示す情報である。当該位置情報は、例えば、ユーザに装着された操作パネル5が、寝台30の側面のうち、どの側面に対向する位置にあるかを示す情報である。当該位置情報は、例えば、寝台30の長手方向の2側面のうち、どちらの側面に対向する位置にあるかを示す情報である。操作パネル5の寝台30に対する位置情報は、例えば、電波、磁場、赤外線、可視光の少なくとも一つの媒体によって検出される。
【0049】
ステップST30において、方向決定機能152は、ユーザが操作パネル5の操作部位を介して指定した、天板33の移動方向の指定に関する第1の操作情報を取得する。第1の操作情報は、例えば、操作部位の一部である方向スイッチ52a、52b、52c、52dの入力操作によってユーザに指定される。
【0050】
ステップST40において、方向決定機能152は、検出された操作パネル5の寝台30に対する位置情報と、第1の操作情報によって指定された第1の指定方向と、に基づいて、天板33が移動する駆動方向を決定する。具体的には、操作パネル5の寝台30に対する位置情報と、ユーザが操作パネル5の操作部位を介して第1の操作情報によって指定した第1の指定方向とから、実際に、ユーザから観察した天板33が移動する駆動方向が決定される。
【0051】
ステップST50において、表示制御機能153は、方向決定機能152で決定された駆動方向と、操作パネル5に表示される指定方向とが合致するように、指定方向に関する情報を操作パネル5に表示させる。すなわち、操作パネル5の表示部51は、操作部位を介してユーザが指定した第1の指定方向と、当該操作パネル5の寝台30に対する位置情報と第1の指定方向とに基づいて決定された天板33が移動する駆動方向と、が合致するように、指定方向に関する情報を表示する。指定方向に関する情報は、例えば、表示部51の当該方向スイッチの点灯、点滅等の表示状態、色の変化により表現されてもよい。
【0052】
ステップST60において、指示取得機能154は、ユーザが操作パネル5の操作部位を介して指示した、駆動方向に駆動を実行するための実行指示を取得する。実行指示は、操作部位の一部である実行指示スイッチ54に対するユーザの操作によって行われる。
【0053】
ステップST70において、駆動制御機能155は、方向決定機能152にて決定された駆動方向に基づいて、天板33の駆動に係る寝台駆動機構32を制御する。さらに、駆動制御機能155は、指示取得機能154で取得した実行指示に基づいて、駆動方向への駆動を実行する。例えば、ユーザが、実行指示スイッチ54を押している間、駆動方向への駆動は継続して実行される。
【0054】
第1の実施形態に係るX線CT装置1によれば、操作パネル5がユーザの身体の一部に装着可能であるため、携帯時にユーザの片手が常に占有されることもなく、遠隔操作が可能である。よって、従来ユーザが被検体を観察しながら操作することが難しかった検査部位等においても、被検体を観察しながら天板33が移動する駆動に関する操作を容易に行うことができる。さらに、第1の実施形態に係るX線CT装置1によれば、ユーザから観察した駆動方向を指定できるため、ユーザは直感的に駆動方向を指定する操作を行うことができる。
【0055】
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態に係るX線CT装置1の構成例を示す概略図である。図7に示すように、第2の実施形態は、さらに、X線CT装置1が架台10をチルト可能にする架台チルト機構21を備えている点と、操作パネル5の操作部位がユーザから観察した架台10の前後方へのチルト方向を指定できるように構成されている点とにおいて、第1の実施形態と異なる。他の構成及び作用については図4に示すX線CT装置1と実質的に異ならないため、同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0056】
図7に示すように、操作部位は、例えば、方向スイッチ52a、52b、52c、52dと、実行指示スイッチ54と、チルトスイッチ53a、53bと、により構成される。方向スイッチ52a、52b、52c、52dと、実行指示スイッチ54とは、第1の実施形態と実質的に異ならないので、説明を省略する。
【0057】
チルトスイッチ53a、53bは、それぞれ、ユーザから観察した架台10がチルトする方向が、左、右であるように、駆動方向を指定できるスイッチである。以下、チルトスイッチ53a、53bを、左チルトスイッチ53a、右チルトスイッチ53bともいう。
【0058】
前述したように、第1のユーザ位置U1と、第2のユーザ位置U2と、では、ユーザから観察した架台10がチルトする駆動方向が異なる。つまり、ユーザから観察した架台10のチルト方向の指定に関する第2の操作情報を受け付ける操作部位において、同じチルトスイッチで駆動方向を指定した場合に、第1のユーザ位置U1と、第2のユーザ位置U2と、では、実際に架台10がチルトする駆動方向が異なって決定される。
【0059】
具体的には、第1のユーザ位置U1において、左チルトスイッチ53a(図7の操作パネル5の左上側にあるスイッチ)が指定された場合、図7の矢印Cが示す寝台30に対向して後方(ユーザから見て左側にチルトする方向)に、架台10がチルトするように駆動方向が決定されるのに対して、第2のユーザ位置U2において、同じ左チルトスイッチ53aが指定された場合であっても、図7の矢印Dが示す寝台30に対向して前方(ユーザから見て左側にチルトする方向)に、架台10がチルトするように駆動方向が決定される。
【0060】
一方、第1のユーザ位置U1において、右チルトスイッチ53b(図7の操作パネル5の右上側にあるスイッチ)が指定された場合、矢印Dが示す寝台30に対向して前方(ユーザから見て右側にチルトする方向)に、架台10がチルトするように駆動方向が決定されるのに対して、第2のユーザ位置U2において、同じ右チルトスイッチ53bが指定された場合であっても、矢印Cが示す寝台30に対向して後方(ユーザから見て右側にチルトする方向)に、架台10がチルトするように駆動方向が決定される。
【0061】
図8は、第2の実施形態に係るX線CT装置1の動作例を示すフローチャートである。図8に示すように、第1の実施形態では、駆動方向は天板33が移動する駆動方向であるのに対して、第2の実施形態では、架台10がチルトする駆動方向も含む点で第1の実施形態と異なる。図6と同等のステップST10、及びステップST20には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0062】
ステップST31において、方向決定機能152は、ユーザが操作パネル5の操作部位を介して指定した、天板33の移動方向の指定に関する第1の操作情報、及び架台10のチルト方向の指定に関する第2の操作情報を取得する。第1の操作情報は、例えば、操作部位の一部である方向スイッチ52a、52b、52c、52dの入力操作によって、第2の操作情報は、同じく操作部位の一部であるチルトスイッチに53a、53bの入力操作によって、ユーザに指定される。
【0063】
ステップST41において、方向決定機能152は、検出された操作パネル5の寝台30に対する位置情報と、第1の操作情報によって指定された第1の指定方向、及び第2の操作情報によって指定された第2の指定方向と、に基づいて、天板33が移動する駆動方向、及び架台10がチルトする駆動方向を決定する。具体的には、操作パネル5の寝台30に対する位置情報と、ユーザが操作パネル5の操作部位を介して指定した天板33の移動方向の指定に関する第1の操作情報によって指定した第1の指定方向と、ユーザが操作パネル5の操作部位を介して指定した架台10のチルト方向の指定に関する第2の操作情報によって指定した第2の指定方向とから、実際に、ユーザから観察した天板33が移動する駆動方向と、架台10がチルトする駆動方向とが決定される。
【0064】
ステップST51、及びステップST61は、それぞれ、ステップST50、及びステップST60において、操作パネル5の操作部位がユーザから天板33の移動方向の指定に関する第1の操作情報の他に、ユーザから架台10のチルト方向の指定に関する第2の操作情報を受け付けることができるように構成されている点と、駆動方向が、天板33が移動する駆動方向の他に、架台10がチルトする駆動方向も含む点以外は異ならないため、重複する説明を省略する。なお、ステップST51では、ステップST50と同様に、表示制御機能153は、方向決定機能152で決定された駆動方向と、操作パネル5に表示される指定方向とが合致するように、指定方向に関する情報を操作パネル5に表示させる。すなわち、操作パネル5の表示部51は、操作部位を介してユーザが指定した第1の指定方向と、当該操作パネル5の寝台30に対する位置情報と第1の指定方向とに基づいて決定された寝台30が移動する駆動方向と、が合致するように、指定方向に関する情報を表示し、操作部位を介してユーザが指定した第2の指定方向と、当該操作パネル5の寝台30に対する位置情報と第2の指定方向とに基づいて決定された架台10がチルトする駆動方向と、が合致するように、指定方向に関する情報を表示する。
【0065】
ステップST71において、駆動制御機能155は、方向決定機能152にて決定された駆動方向に基づいて、天板33の移動に係る寝台駆動機構32、及び架台10チルトに係る架台チルト機構21を制御する。さらに、駆動制御機能155は、指示取得機能154で取得した実行指示に基づいて、駆動方向への駆動を実行する。例えば、ユーザが、実行指示スイッチ54を押している間、駆動方向への駆動は継続して実行される。
【0066】
第2の実施形態に係るX線CT装置1によれば、さらに、被検体を観察しながら天板33が移動する駆動に関する操作に加えて、架台10がチルトする駆動に関する操作も容易に行うことができる。
【0067】
(第3の実施形態)
図9は、第3の実施形態に係るX線CT装置1の構成例を示す概略図である。図9に示すように、第3の実施形態は、制御装置15の処理回路150のプロセッサがさらに報知制御機能156を実現する。なお、図7に示すX線CT装置1と実質的に同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0068】
また、図10は、第3の実施形態に係るX線CT装置1の動作例を示すフローチャートである。図8と同等のステップには同一符号を付し、重複する説明を省略する。図8に示すように、ステップST51とステップST61との間に、決定した駆動方向をユーザに報知するステップST55を有する点で第2の実施形態と異なる。
【0069】
ステップST55において、報知制御機能156は、方向決定部にて決定された駆動方向をユーザに報知する。駆動方向の報知は、例えば、ステップST51以前のステップのように、駆動方向が指定された後であって、例えば、ステップST61以後のステップのように、駆動方向への駆動を実行する前に行われる。
【0070】
駆動方向を報知する方法としては、例えば、寝台30及び架台10に設けられた方向表示灯30a、30b、30c、30d、10a、10b、架台10上のモニタ25、等の視覚情報による報知方法、音声発生装置60等による音声による報知方法、パネル本体50に設けられた振動部59等による報知方法、等が挙げられる。
【0071】
まず、視覚情報による報知について、報知制御機能156が、決定された駆動方向を、視覚情報を表示する視覚表示装置に、表示させてユーザに報知する。視覚表示装置として、少なくとも寝台30に設けられる複数の方向表示灯を用いてもよい。視覚表示装置として、寝台30、及び架台10の少なくとも一方に設けられる複数の方向表示灯を用いてもよい。ここで、図11及び図12は、第3の実施形態に係るX線CT装置におけるユーザの第1の位置及び第2の位置に対する方向表示灯30a、30b、30c、30d、10a、10bの一例である。なお、図11及び図12では、方向表示灯30a、30b、30c、30d、10a、10bの枠内のハッチングの種類により、それぞれが異なる駆動方向であることを示す。方向表示灯30a、30b、30c、30d、10a、10bは、例えば、LED(Light Emitting Diode)ライト、ランプ等により構成される。
【0072】
前述したように、ユーザから観察した天板33の架台10に対する移動方向、及びユーザから観察した架台10のチルト方向の指定に関する操作情報を受け付ける操作部位において、同じスイッチで駆動方向を指定した場合に、第1のユーザ位置U1と、第2のユーザ位置U2と、では、実際に天板33が移動する駆動方向、及び実際に架台10がチルトする駆動方向が異なって決定される。各方向表示灯は、対応する各スイッチの入力操作に基づいて、決定された駆動方向をユーザに報知できる。報知制御機能156は、方向表示灯の点灯、点滅等の表示状態及び色の少なくとも一方を変化させて、決定された駆動方向をユーザに報知する。
【0073】
具体的には、図11に示すように、第1のユーザ位置U1において、方向表示灯30a、30b、30c、30dは、それぞれ、上方向スイッチ52a、下方向スイッチ52b、左方向スイッチ52c、右方向スイッチ52dによって指定される駆動方向に対応し、方向表示灯10a、10bは、それぞれ、左チルトスイッチ53a、右チルトスイッチ53bによって指定される駆動方向に対応する。
【0074】
また、図12に示すように、第2のユーザ位置U2において、方向表示灯30a、30b、30c、30dは、それぞれ、上方向スイッチ52a、下方向スイッチ52b、右方向スイッチ52d、左方向スイッチ52cによって指定される駆動方向に対応し、方向表示灯10a、10bは、それぞれ、右チルトスイッチ53b、左チルトスイッチ53aによって指定される駆動方向に対応する。
【0075】
他に、視覚表示装置として、架台10等、X線CT装置室でユーザが視認可能な場所に設けられた、モニタ25を用いてもよい。モニタ25は、例えば、液晶ディスプレイやOLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ等の一般的な表示出力装置により構成される。報知制御機能156は、決定された駆動方向をモニタ25に表示させて、ユーザに駆動方向を報知する。
【0076】
音声による報知では、例えば、音声を発生する音声発生装置60を用いてもよい。音声は、駆動方向を識別可能にユーザに報知できる音声であればよい。例えば、駆動方向ごとに異なる時間的間隔を有した機械音、駆動方向ごとに異なる種類やメロディを含む音声等であってもよいし、「寝台が上がります」「架台に入ります」等の人工的な音声であってもよい。報知制御機能156は、決定された駆動方向を、音声を発生する音声発生装置に、音声を発生させてユーザに報知する。
【0077】
振動による報知では、振動の周波数、振動の時間的間隔等により駆動方向を表現してもよい。例えば、操作パネル5のユーザが触れている部分に振動用モータ等の振動部59を備え、駆動方向に応じて、振動の周波数や時間的間隔等、振動の種類を制御して報知してもよい。報知制御機能156は、決定された駆動方向に対応する振動で、振動部59を振動させることによって、ユーザに駆動方向を報知する。
【0078】
ユーザが天板33の移動方向及び架台10のチルト方向を指定した後、実行指示を行い、指定された駆動方向に天板33の移動及び架台10のチルトは実行される。第3の実施形態に係るX線CT装置1によれば、天板33の移動及び架台10のチルトが実行される前に、駆動方向の報知がされるため、例えば、ユーザが操作パネル5をブラインドタッチ等で押下していた場合に駆動方向と指定方向とが一致していることを操作パネル5の目視により確認しなくてもすむため、ユーザはより容易に駆動方向の確認ができ、さらに天板33の移動及び架台10のチルトにおける安全性が確保される。
【0079】
(第4の実施形態)
図13は、第4の実施形態に係るX線CT装置1の構成例を示す概略図である。図13に示すように、第4の実施形態は、操作パネル5がさらにロック部55を備える点で第3の実施形態と異なる。なお、図9に示すX線CT装置1と実質的に同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0080】
ロック部55は、操作パネル5をロックする機構を備える。操作パネル5がロックされた場合には、位置検出機能151は、ロックされた時の操作パネル5の寝台30に対する位置情報を保持し、操作パネル5に設けられた操作部位は、ロックされた時の天板33の移動方向及び架台10のチルト方向の指定に関する操作情報を受け付けるように構成される。つまり、操作パネル5がロックされた場合には、操作パネル5の寝台30に対する位置情報は更新されない。
【0081】
操作パネル5の寝台30に対する位置情報は更新されないことにより、天板33の架台10に対する移動方向及び架台10のチルト方向の指定に関する操作情報を受け付ける操作部位において、同じスイッチで駆動方向を指定した場合に、第1のユーザ位置U1と、第2のユーザ位置U2と、いずれの位置においても、実際に天板33が移動する駆動方向及び実際に架台10がチルトする駆動方向が同じに決定される。なお、操作パネル5の表示部51には、操作部位を介してユーザが指定した指定方向と、決定された駆動方向と、が合致するように、指定方向に関する情報が表示される。
【0082】
ユーザによっては、ユーザから観察する駆動方向でなく、常に特定の駆動方向を操作部位において指定することを好む場合もある。ユーザは、好ましい特定の駆動方向となるように、操作パネル5をロックしてもよい。第4の実施形態に係るX線CT装置1によれば、操作部位における入力操作について、ユーザから観察する駆動方向を指定するか、常に特定の駆動方向を指定するか、ユーザの希望により選択が可能となる。
【0083】
(第5の実施形態)
図14は、第5の実施形態に係るX線CT装置1の構成例を示す概略図である。図14に示すように、第5の実施形態は、制御装置15の処理回路150のプロセッサがさらにアシスト制御機能157を実現し、フリーアシスト機能を備える点で第4の実施形態と異なる。なお、図13に示すX線CT装置1と実質的に同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0084】
フリーアシスト機能とは、寝台30において、天板33を手動で制御する場合に、手動で天板33を駆動させることを補助する機能である。従来、天板33の後端側に配置されたハンドルによって、フリーアシスト機能が有効にされている。第5の実施形態に係るX線CT装置1では、操作パネルが寝台30の上または上方に移動された場合にフリーアシスト機能を有効にする。
【0085】
具体的には、天板33の手動駆動を補助するアシスト部38を備える。アシスト部38は、例えば、パワーアシスト駆動が可能なモータ等が挙げられる。制御装置15の処理回路150のアシスト制御機能157は、操作パネル5が寝台30の上または上方に移動された場合に、アシスト部38による天板33の手動駆動を補助するフリーアシスト機能を有効にするよう、アシスト部38を制御する。
【0086】
第5の実施形態に係るX線CT装置1によれば、操作パネル5が寝台30の上または上方に移動された場合にフリーアシスト機能が有効になるので、フリーアシスト機能を有効にするために従来の天板33の後端に設けられたハンドルの位置までユーザが移動する必要がなくなり、天板33の手動駆動が容易に行えるようになる。
【0087】
以上説明した少なくとも1つの実施形態に係るX線CT装置1によれば、X線CT装置の天板3が移動する駆動操作を、被検体を観察しながら容易に行うことができる。
【0088】
なお、上記実施形態において、「プロセッサ」という文言は、例えば、専用、又は、汎用のCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又は、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出して実行することにより、各種機能を実現する。また、プロセッサが例えばASICである場合、記憶回路にプログラムを保存するかわりに、当該プログラムに相当する機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行するハードウェア処理により各種機能を実現する。或いは、また、プロセッサは、ソフトウェア処理とハードウェア処理とを組み合わせて各種機能を実現することもできる。
【0089】
また、上記実施形態では処理回路の単一のプロセッサが各機能を実現する場合の例について示したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサが各機能を実現してもよい。また、プロセッサが複数設けられる場合、プログラムを記憶する記憶回路は、プロセッサごとに個別に設けられてもよいし、1つの記憶回路が全てのプロセッサの機能に対応するプログラムを一括して記憶してもよい。
【0090】
なお、各実施形態における、寝台駆動機構32、架台チルト機構21、位置検出機能151、方向決定機能152、表示制御機能153、指示取得機能154、駆動制御機能155、報知制御機能156、及びアシスト制御機能157は、それぞれ特許請求の範囲における寝台駆動部、架台チルト部、位置検出部、方向決定部、表示制御部、指示取得部、駆動制御部、報知制御部、及びアシスト制御部の一例である。
【0091】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0092】
1…X線CT装置 5…操作パネル 10…架台装置(架台) 11…X線管 12…X線検出器 15…制御装置 21…架台チルト機構 25…モニタ 30…寝台装置(寝台) 32…寝台駆動機構 33…天板 35…第2通信部 36a、36b…アンテナ 38…アシスト部 50…パネル本体50…表示部 52a,52b,52c,52d…方向スイッチ 53a,53b…チルトスイッチ 54…実行指示スイッチ 55…ロック部 56…第1通信部 57…アンテナ 59…振動部 60…音声発生装置 P…被検体 150…処理回路 151…位置検出機能 152…方向決定機能 153…表示制御機能 154…指示取得機能 155…駆動制御機能 156…報知制御機能 157…アシスト制御機能
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14