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特開2024-84553施工領域情報出力プログラム、該プログラムを実行させる情報処理装置、及び施工ロボットシステム
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  • 特開-施工領域情報出力プログラム、該プログラムを実行させる情報処理装置、及び施工ロボットシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084553
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】施工領域情報出力プログラム、該プログラムを実行させる情報処理装置、及び施工ロボットシステム
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/00 20060101AFI20240618BHJP
   G06F 30/13 20200101ALI20240618BHJP
   G06F 30/12 20200101ALI20240618BHJP
【FI】
E04G21/00 ESW
G06F30/13
G06F30/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198879
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【弁理士】
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】中村 知行
(72)【発明者】
【氏名】藤浪 南夏子
(72)【発明者】
【氏名】野村 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】南川 達浩
【テーマコード(参考)】
5B146
【Fターム(参考)】
5B146AA04
5B146DE12
5B146DG07
(57)【要約】
【課題】施工ロボットが施工を行う施工領域に関する情報を容易に生成して出力し、作業員の作業負担の軽減を図ることが可能な施工領域情報出力プログラム、該プログラムを実行させる情報処理装置、及び施工ロボットシステムを提供する。
【解決手段】施工領域情報出力プログラムは、制御装置15を、施工対象の建築物の建築部材のそれぞれに関する部材情報を含むBIMデータを取得するBIMデータ取得手段151、施工領域を画定する柱32及び梁33の選択を受け付ける施工領域画定部材受付手段152、施工領域画定部材に関する部材情報を含む施工領域情報50を生成する施工領域情報生成手段153、施工領域情報50を、耐火被覆材吹付ロボット20に対して入力可能な形式で出力する施工領域情報出力手段154として機能させる。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施工対象の建築物に関する情報を取得し、施工ロボットに対して入力される施工領域情報を出力するコンピュータを、
前記建築物を構成する複数の建築部材のそれぞれに関する部材情報を含むBIMデータを取得するBIMデータ取得手段、
前記複数の建築部材から、施工領域を画定する施工領域画定部材の選択を受け付ける施工領域画定部材受付手段、
前記施工領域画定部材に関する前記部材情報を含む前記施工領域情報を生成する施工領域情報生成手段、
前記施工領域情報を、前記施工ロボットに対して入力可能な形式で出力する施工領域情報出力手段、
として機能させることを特徴とする施工領域情報出力プログラム。
【請求項2】
前記施工領域画定部材受付手段は、前記BIMデータに基づいて出力された前記建築物の梁伏図画面又は立体表示画面に表示された前記複数の建築部材から前記施工領域画定部材の選択を受け付けることを特徴とする請求項1に記載の施工領域情報出力プログラム。
【請求項3】
前記施工領域画定部材は、前記建築物を構成する柱及び梁を含み、
前記施工領域情報は、前記柱及び梁の位置、寸法及び形状に関する情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の施工領域情報出力プログラム。
【請求項4】
前記施工領域画定部材受付手段は、前記施工領域画定部材を、その他の前記建築部材と異なる表示態様に変更した前記建築物の梁伏図画面、又はその他の前記部材情報と異なる表示態様に変更した前記建築物の立体表示画面に表示された前記施工領域画定部材の前記選択の解除及び再選択を受け付けることを特徴とする請求項1に記載の施工領域情報出力プログラム。
【請求項5】
前記施工領域情報出力プログラムは、
前記コンピュータを、
前記施工領域画定部材の関連情報として、前記施工領域に含まれる前記建築部材に関する前記部材情報の追加編集を受け付ける追加編集受付手段、
として機能させることを特徴とする請求項1に記載の施工領域情報出力プログラム。
【請求項6】
プロセッサを備える情報処理装置であって、
前記プロセッサに、請求項1から請求項5のいずれかに記載の施工領域情報出力プログラムを実行させる、情報処理装置。
【請求項7】
プロセッサを備え、該プロセッサに、請求項1から請求項5のいずれかに記載の施工領域情報出力プログラムを実行させる情報処理装置と、
前記施工ロボットと、を備えることを特徴とする施工ロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施工領域情報出力プログラム、該プログラムを実行させる情報処理装置、及び施工ロボットシステムに係り、特に施工ロボットに対して入力可能な施工領域情報を出力する施工領域情報出力プログラム、該プログラムを実行させる情報処理装置、及び施工ロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建設業界において、労働者の安全性を確保するため、又は人手による作業が困難な環境下における施工作業を行うために、施工ロボットの導入が進められてきた。また、将来的にも、労働者の高齢化に伴う人手不足の解消、及び生産性の向上を図る目的で、施工ロボットの普及の促進と稼働台数の増加が予想されている。
【0003】
施工ロボットとして、建物の躯体である柱や梁に対して耐火被覆材の吹付作業を行う耐火被覆材吹付ロボットが知られている。耐火被覆材吹付ロボットは、柱や梁の表面に対して、耐火被覆材であるロックウールを吹き付けて躯体を被覆する作業を行う。耐火被覆材吹付ロボットを利用することにより、作業現場で大量に飛散するロックウールから作業員を保護することが可能となる。
また、建物の床面に対して、施工位置を示す基準線を付す墨出しロボットが知られている。墨出しロボットを利用することにより、作業現場における省力化及び省人化を図ることが可能となる。
【0004】
特許文献1には、墨出しロボットと、測量器である追尾型トータルステーションと、コントローラと、を備える墨出しロボットシステムが記載されている。墨出しロボットの運用の流れを説明すると、最初に、作業者は、墨出しロボットに対して走行順路及び墨出し点の設定を行う。次に、作業者は、墨出しロボットに対して墨出し開始を指示する。すると、墨出しロボットは、追尾型トータルステーションと連携して、墨出し作業を自律的に実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-043114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された墨出しロボットシステムによって、墨出し作業の省力化及び省人化を図ることができるものの、墨出しロボットに対して走行順路及び墨出し点等を設定するためには、特別な知識やスキルが必要とされていた。また、墨出しロボットに対する設定情報を入力するために、煩雑な入力作業を要していた。このことは、施工ロボットの導入が敬遠される要因となっていた。特に、施工ロボットが施工を行う領域を画定する施工領域情報や、施工領域中に存在する障害物に関する情報を正確に、間違いなく設定する必要があり、作業負担の増加を招いていた。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、施工ロボットが施工を行う施工領域に関する情報を容易に生成して出力し、作業員の作業負担の軽減を図ることが可能な施工領域情報出力プログラム、該プログラムを実行させる情報処理装置、及び施工ロボットシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は、本発明の施工領域情報出力プログラムによれば、施工対象の建築物に関する情報を取得し、施工ロボットに対して入力される施工領域情報を出力するコンピュータを、前記建築物を構成する複数の建築部材のそれぞれに関する部材情報を含むBIMデータを取得するBIMデータ取得手段、前記複数の建築部材から、施工領域を画定する施工領域画定部材の選択を受け付ける施工領域画定部材受付手段、前記施工領域画定部材に関する前記部材情報を含む前記施工領域情報を生成する施工領域情報生成手段、前記施工領域情報を、前記施工ロボットに対して入力可能な形式で出力する施工領域情報出力手段、として機能させることにより解決される。
【0009】
上記構成によれば、施工領域情報出力プログラムは、施工対象の建築物を構成する建築部材のそれぞれに関する部材情報を含むBIMデータを取得する。そして、BIMデータに含まれる建築部材の中から選択された施工領域画定部材に基づいて、施工ロボットの施工領域に関する施工領域情報が生成され、出力される。そのため、施工領域の設定作業において、作業員が、施工領域を画定するための座標情報を手入力することなく、施工領域情報を容易に生成して出力することができ、作業員の作業負担の軽減を図ることが可能となる。
【0010】
また、前記施工領域画定部材受付手段は、前記BIMデータに基づいて出力された前記建築物の梁伏図画面又は立体表示画面に表示された前記複数の部材情報から前記施工領域画定部材の選択を受け付けるとよい。
上記構成によれば、作業者は、梁伏図画面又は立体表示画面に表示された部材情報を選択することによって施工領域画定部材の選択を受け付ける。そのため、梁伏図画面又は立体表示画面を介して、視覚的に施工領域を認識しながら施工領域画定部材を選択することができ、施工領域の設定作業における作業員の作業負担の軽減を図ることが可能となる。
【0011】
また、前記施工領域画定部材は、前記建築物を構成する柱及び梁を含み、前記施工領域情報は、前記柱及び梁の位置、寸法及び形状に関する情報を含むとよい。
上記構成によれば、BIMデータに含まれる柱及び梁の位置、寸法及び形状に関する情報によって施工領域を設定することができるため、作業員は、施工領域を画定する座標情報を手入力して設定する必要がなくなり、作業員の作業負担の軽減を図ることが可能となる。
【0012】
また、前記施工領域画定部材受付手段は、前記施工領域画定部材を、その他の前記建築部材と異なる表示態様に変更した前記建築物の梁伏図画面、又はその他の前記部材情報と異なる表示態様に変更した前記建築物の立体表示画面に表示された前記施工領域画定部材の前記選択の解除及び再選択を受け付けることを特徴とするとよい。
上記構成によれば、作業員によって施工領域画定部材として選択された建築部材は、梁伏図画面又は立体表示画面において、その他の建築部材と異なる表示態様で表示される。そのため、選択済みの建築部材を視覚的に認識することが容易となり、誤ってなされた建築部材の選択の解除又は再選択が容易となり、作業員の作業負担の軽減を図ることが可能となる。
【0013】
また、前記施工領域情報出力プログラムは、前記コンピュータを、前記施工領域画定部材の関連情報として、前記施工領域に含まれる前記建築部材に関する部材情報の追加編集を受け付ける追加編集受付手段、として機能させるとよい。
上記構成によれば、施工領域画定部材に関する関連情報の追加及び編集が可能となる。これにより、柱及び梁に対する補強部材の部材情報を容易に入力することができ、作業員の作業負担の軽減を図ることが可能となる。
【0014】
また、プロセッサを備える情報処理装置であって、情報処理装置は、前記プロセッサに、前記施工領域情報出力プログラムを実行させるとよい。
上記構成によれば、情報処理装置は、施工対象の建築物を構成する建築部材のそれぞれに関する部材情報を含むBIMデータを取得する。そして、BIMデータに含まれる建築部材の中から選択された施工領域画定部材に基づいて、施工ロボットの施工領域に関する施工領域情報が生成され、出力される。そのため、施工領域の設定作業において、作業員が、施工領域を画定するための座標情報を手入力することなく、施工領域情報を容易に生成して出力することができ、作業員の作業負担の軽減を図ることが可能となる。
【0015】
また、施工ロボットシステムであって、施工ロボットシステムは、プロセッサを備え、該プロセッサに、前記施工領域情報出力プログラムを実行させる情報処理装置と、前記施工ロボットと、を備えるとよい。
上記構成によれば、施工ロボットシステムは、施工対象の建築物を構成する建築部材のそれぞれに関する部材情報を含むBIMデータを取得する。そして、BIMデータに含まれる建築部材の中から選択された施工領域画定部材に基づいて、施工ロボットの施工領域に関する施工領域情報が生成され、出力される。そのため、施工領域の設定作業において、作業員が、施工領域を画定するための座標情報を手入力することなく、施工領域情報を容易に生成して出力することができ、作業員の作業負担の軽減を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、施工ロボットが施工を行う施工領域に関する情報を容易に生成して出力することができ、作業員の作業負担の軽減を図ることが可能な施工領域情報出力プログラム、該プログラムを実行させる情報処理装置、及び施工ロボットシステムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る耐火被覆材吹付ロボットシステムの全体構成を示す図である。
図2】運用支援端末の構成ブロック図である。
図3】耐火被覆材吹付ロボットの構成ブロック図である。
図4】耐火被覆材吹付ロボットの吹付経路計画を示す図である。
図5】耐火被覆材吹付ロボットシステムの運用シーケンスを示す図である。
図6】施工領域指定処理の流れを示す図である。
図7】施工領域選択前の梁伏図画面及び立体表示画面の一例を示す図である。
図8】施工領域選択後の梁伏図画面及び立体表示画面の一例を示す図である。
図9】施工領域画定部材一覧画面の一例を示す図である。
図10】施工領域情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1図10を参照しながら、本発明の一実施形態(以下、本実施形態)に係る耐火被覆材吹付ロボットシステム1について説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。つまり、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【0019】
本発明の耐火被覆材吹付ロボットシステム1は、施工対象の建築物のBIMデータを取得し、耐火被覆材吹付ロボット20に入力される施工領域情報50を出力するために用いられる。また、本発明の耐火被覆材吹付ロボットシステム1を用いることにより、施工領域情報50を容易に生成して出力することができ、作業員の作業負担の軽減を図ることが可能となる。
【0020】
以下の説明中、「施工領域」とは、施工対象の建築物において施工ロボットが施工を行う範囲の外縁を示す区画である。施工領域は、二次元領域であってもよいし、三次元領域であってもよい。
【0021】
<<耐火被覆材吹付ロボットシステム1の概要>>
図1は、耐火被覆材吹付ロボットシステム1の全体構成を示している。図1に示すように、耐火被覆材吹付ロボットシステム1は、施工ロボットの運用を支援するために操作される運用支援端末10と、耐火被覆材吹付ロボット20と、を主な構成として備えている。運用支援端末10と耐火被覆材吹付ロボット20は、相互に無線通信可能に通信接続されている。
【0022】
運用支援端末10は、耐火被覆材吹付ロボット20の運用を支援するために必要なプログラムが格納されて、耐火被覆材吹付ロボット20に入力される施工領域情報50を出力可能な情報通信端末である。運用支援端末10は、デスクトップ型端末であるが、これに限定されない。運用支援端末10は、ノート型端末でもよいし、タブレット型端末であってもよい。
【0023】
運用支援端末10は、施工対象の建築物の三次元モデルデータであるBIM(Building Information Modeling)データを取得することができる。BIMデータは、予め運用支援端末10に格納されていてもよいし、ネットワークを介して外部から取得してもよい。BIMデータの詳細については後述する。
また、運用支援端末10は、表示装置12に表示される建築物の梁伏図画面30又は立体表示画面31を介して施工領域の設定入力を受け付け、耐火被覆材吹付ロボット20の施工領域を画定する施工領域情報50を出力する。
【0024】
耐火被覆材吹付ロボット20は、建築物の耐火性を向上させるために、建築物を構成する建築部材に対してロックウールからなる耐火材を吹き付けるために用いられる施工ロボットである。耐火被覆材吹付ロボット20は、床面を走行する走行装置21と、上下方向に伸縮する昇降装置22と、耐火被覆材を噴射する噴射装置23と、を主な構成として有している。
【0025】
耐火被覆材吹付ロボット20は、走行装置21と昇降装置22を駆動することによって、吹付対象の建築部材の近傍に噴射装置23を移動させることができる。噴射装置23は、ロボットアーム231と、ロボットアーム231によって支持された噴射ノズル232を有し、噴射ノズル232の位置及び角度を制御するとともに噴射ノズル232からロックウールを噴射する。
【0026】
耐火被覆材吹付ロボット20は、通信回線を介して運用支援端末10から施工領域情報50を取得することができる。耐火被覆材吹付ロボット20は、施工領域情報50に基づいて、耐火被覆材吹付ロボット20の走行経路及び吹付手順に関する情報を含む吹付命令を生成して実行する。これにより、人手を介することなく耐火被覆材の吹付作業を行うことができ、作業現場で大量に飛散するロックウールから作業員を保護することが可能となる。
【0027】
また、従来、作業員が手入力していた施工領域情報50は、運用支援端末10に格納された施工領域情報出力プログラムによって生成されて出力される。作業員は、施工領域の座標情報を手入力する必要がなく、梁伏図画面30又は立体表示画面31を介して、施工領域を画定する建築部材を選択するだけで施工領域を設定することができる。そのため、施工領域を設定する際の作業員の作業負担を軽減することが可能となる。
【0028】
<<運用支援端末10>>
次に、運用支援端末10について説明する。
図2は、運用支援端末10の構成ブロック図を示している。図2に示すように、運用支援端末10は、入力装置11と、表示装置12と、通信I/F13と、記憶装置14と、制御装置15と、を主な構成として有している。
【0029】
入力装置11は、キーボードやマウスからなる入力デバイスであり、耐火被覆材吹付ロボット20の施工計画を作成する作業員又は作業現場の監督者の操作入力を受け付ける。
表示装置12は、LCD(液晶ディスプレイ)からなる表示デバイスであり、後述する施工対象の建築物の部材情報を、梁伏図画面30及び立体表示画面31(図7図8を参照)に表示する。
【0030】
通信I/F13は、耐火被覆材吹付ロボット20とデータ通信を行う通信デバイスである。通信I/F13は、耐火被覆材吹付ロボット20と無線通信を行うことができるが、これに限定されない。通信I/F13は、他の中継装置を介して耐火被覆材吹付ロボット20とデータ通信を行うこととしてもよい。通信I/F13は、耐火被覆材吹付ロボット20に対して施工領域情報50を送信する。
【0031】
記憶装置14は、HDD(Hard Disk Drive)、あるいはSSD(Solid State Drive)等からなる不揮発性の補助記憶装置である。記憶装置14は、BIMデータ記憶部141、施工領域情報記憶部142、関連情報記憶部143、及びプログラム記憶部144を有している。
【0032】
BIMデータ記憶部141は、施工対象の建築物のBIMデータを記憶する。BIMデータとは、建築物を構成する複数の建築部材のそれぞれについて、仮想的な三次元空間における位置、形状、寸法、及び属性に関する情報を有する三次元モデルデータである。BIMデータに含まれる建築部材の位置、寸法、形状、及び属性に関する情報を、部材情報と称する。
BIMデータを用いることにより、施工対象の建築物を様々な角度から見た平面図(例えば梁伏図)や三次元立体図を表示することが可能となる。本発明において、BIMデータは、梁伏図画面及び三次元立体表示画面を介して施工領域を設定し、施工領域情報を生成するために用いられる。
【0033】
施工領域情報記憶部142は、後述する施工領域情報生成手段154が生成する施工領域情報50を格納している。施工領域情報50とは、耐火被覆材吹付ロボット20が施工を行う施工領域を画定する情報である。施工領域情報50は、施工領域の外縁に位置する建築部材(施工領域画定部材)の部材情報を含んでいる。施工領域情報50の詳細については、図10を参照して後述する。
【0034】
関連情報記憶部143は、施工領域画定部材に関する関連情報を格納している。関連情報とは、施工領域画定部材に関連付けて記憶される情報であって、施工領域画定部材を補強するための補強部材の部材情報が含まれる。具体的には、柱又は梁がH型鋼である場合、関連情報には、H型鋼を補強する目的で用いられるスチフナの位置情報が含まれる。ただし、関連情報は、スチフナの位置情報に限定されない。関連情報は、スチフナ以外の建築部材に関する部材情報を含んでいてもよい。
【0035】
プログラム記憶部144は、図6を参照して後述する施工領域情報生成処理を実行する施工領域情報出力プログラムを格納している。また、プログラム記憶部144は、BIMデータを処理する環境を提供するアプリケーション・プログラムを格納している。また、アプリケーション・プログラムは、施工領域情報出力プログラムのプラットフォームとして機能する。
施工領域情報出力プログラムは、アプリケーション・プログラムのアドイン・プログラムである。そのため、施工領域情報出力プログラムとアプリケーション・プログラムは、相互にBIMデータを受渡し、その機能性を向上させることができる。また、アプリケーション・プログラムが有する機能を利用することにより、施工領域情報出力プログラムを独立したプログラムとして開発する場合と比較して、開発期間の短縮及び開発コストの低減を図ることができる。
【0036】
コンピュータに相当する制御装置15は、プロセッサに相当するCPUと、揮発性メモリと、不揮発性メモリを主な構成として有し、運用支援端末10の制御を司る。CPUは、不揮発性メモリ及び記憶装置14に格納されたプログラムを実行することによって種々の情報処理や制御を行う。これにより、制御装置15は、BIMデータ取得手段151、部材情報出力手段152、施工領域画定部材受付手段153、施工領域情報生成手段154、施工領域情報出力手段155、追加編集受付手段156として機能する。
【0037】
BIMデータ取得手段151は、施工対象の建築物のBIMデータを取得する。BIMデータ取得手段151は、記憶装置14のBIMデータ記憶部141に予め格納されたBIMデータを読み込むことによってBIMデータを取得することができるが、これに限定されない。BIMデータ取得手段151は、通信I/F13を介して運用支援端末10と通信接続された外部の情報処理装置からBIMデータを受信してもよい。また、BIMデータ取得手段151は、アプリケーション・プログラムによって生成されたBIMデータを直接、取得することとしてもよい。
【0038】
部材情報出力手段152は、BIMデータ取得手段151によって取得されたBIMデータに含まれる部材情報を出力する。部材情報出力手段152は、表示装置12に部材情報を出力することができるが、これに限定されない。部材情報出力手段152は、通信I/F13を介して運用支援端末10と通信接続された外部の情報通信端末に部材情報を出力してもよい。
部材情報出力手段152は、BIMデータに含まれる部材情報を、施工対象の建築物の梁伏図画面30及び立体表示画面31に表示可能に出力することができる(図7を参照)。また、部材情報出力手段152は、部材情報を一覧表示、又は階層表示してもよい。なお、部材情報出力手段152は、上述したアプリケーション・プログラムに実装されているが、これに限定されない。部材情報出力手段152は施工領域情報出力プログラムに実装されていてもよい。
【0039】
施工領域画定部材受付手段153は、施工対象の建築物を構成する建築部材から、施工領域を画定する施工領域画定部材の選択を受け付ける。より具体的には、施工領域画定部材受付手段153は、部材情報出力手段152が出力する梁伏図画面30及び立体表示画面31を介して、施工領域画定部材の選択操作を受け付ける。ユーザは、梁伏図画面30及び立体表示画面31によって、視覚的に施工領域を認識しながら施工領域画定部材を選択することができる。ただし、施工領域画定部材の選択は、梁伏図画面30及び立体表示画面31を介して行われることに限定されない。施工領域画定部材の選択は、図9を参照して後述する施工領域画定部材一覧画面36を介して行われてもよい。
施工領域画定部材受付手段153によって受け付けられた施工領域画定部材に関する情報は、施工領域情報生成手段154に出力される。
【0040】
施工領域情報生成手段154は、施工領域画定部材受付手段153によって受け付けられた施工領域画定部材の部材情報に基づいて、施工領域情報50を生成する。施工領域情報50は、上述したように、耐火被覆材吹付ロボット20が施工を行う施工領域を画定する情報である。施工領域情報50は、施工領域の外縁に位置する柱32及び梁33の部材情報を含んでいる(図8を参照)。
【0041】
施工領域情報出力手段155は、施工領域情報生成手段154が生成した施工領域情報50を、耐火被覆材吹付ロボット20に入力可能なファイル形式で出力する。施工領域情報出力手段155は、記憶装置14の施工領域情報記憶部142に施工領域情報50を出力することができるが、これに限定されない。施工領域情報出力手段155は、通信I/F13を介して運用支援端末10と通信接続された外部の情報処理装置に施工領域情報50を出力してもよい。
【0042】
追加編集受付手段156は、施工領域画定部材受付手段153によって受け付けられた施工領域画定部材に対する関連情報の追加編集を受け付ける。より具体的には、追加編集受付手段156は、部材情報出力手段152が出力する施工領域画定部材一覧画面36(図9を参照)を介して、関連情報の入力操作を受け付ける。ただし、関連情報の入力は、施工領域画定部材一覧画面36を介して行われることに限定されない。関連情報の入力は、梁伏図画面30又は立体表示画面31を介して行われてもよい。
【0043】
<<耐火被覆材吹付ロボット20>>
次に、耐火被覆材吹付ロボット20について説明する。
図3は、耐火被覆材吹付ロボット20の構成ブロック図を示している。耐火被覆材吹付ロボット20は、運用支援端末10が生成する施工領域情報50が入力されると、施工領域情報50に基づいて耐火被覆材の吹付作業を行う施工ロボットである。図3に示すように、耐火被覆材吹付ロボット20は、走行装置21と、昇降装置22と、噴射装置23と、通信I/F24と、記憶装置25と、制御装置26と、を主な構成として有している。
【0044】
走行装置21は、耐火被覆材吹付ロボット20を走行させる走行車輪と、走行車輪を駆動する駆動装置と、から主に構成されている。走行装置21によって、耐火被覆材吹付ロボット20は、施工領域の床面上を、予め定められた走行経路に沿って走行することができる。
昇降装置22は、昇降機構を有し、噴射装置23を昇降させることができる。昇降機構は、上下方向に伸縮可能なパンタグラフ構造を有している。昇降装置22によって、後述する噴射装置23の噴射ノズル232を所望の高さに位置させることができる。
【0045】
噴射装置23は、耐火被覆材を貯留するタンク(不図示)と、ロボットアーム231と、ロボットアーム231によって支持された噴射ノズル232と、耐火被覆材の噴射を調整するコンプレッサ233と、を主な構成として有している。噴射装置23によって、柱32又は梁33に対して、耐火被覆材を適切な位置及び角度で吹き付けることが可能となる。
通信I/F24は、運用支援端末10とデータ通信を行う通信デバイスである。通信I/F24は、運用支援端末10から施工領域情報50を受信することができる。
【0046】
記憶装置25は、HDD、あるいはSSDからなる不揮発性の補助記憶装置である。記憶装置25は、施工領域情報記憶部251、吹付命令記憶部252、及びアーム動作情報記憶部253と、を有している。
【0047】
施工領域情報記憶部251は、通信I/F24を介して運用支援端末10から受信した施工領域情報50を格納している。施工領域情報50は、上述したように、耐火被覆材吹付ロボット20の施工領域を画定する情報である。
【0048】
吹付命令記憶部252は、後述する吹付命令生成手段262が生成する吹付命令を格納している。吹付命令とは、耐火被覆材吹付ロボット20の走行経路と、耐火被覆材の吹付動作に関する情報を含んでいる。走行経路には、耐火被覆材吹付ロボット20の走行目標位置に関する情報が含まれている。
【0049】
アーム動作情報記憶部253は、後述する吹付制御手段265がロボットアーム231を駆動する際に必要となる吹付動作データを格納している。吹付動作データには、ロボットアーム231を構成する複数のアーム駆動部材の駆動制御に必要な情報が含まれている。
【0050】
以上、施工領域情報記憶部251、吹付命令記憶部252、及びアーム動作情報記憶部253について説明したが、記憶装置25に格納される情報は、これに限定されない。図3に示されていないものの、記憶装置25には、制御装置26のCPUが実行するプログラムが格納されている。
【0051】
制御装置26は、CPUと、揮発性メモリと、不揮発性メモリを主な構成として有し、耐火被覆材吹付ロボット20の制御を司る。CPUが、不揮発性メモリ及び記憶装置25に格納された各種プログラムを実行することによって、制御装置15は、施工領域情報取得手段261、吹付命令生成手段262、走行制御手段263、昇降制御手段264、吹付制御手段265として機能する。
【0052】
施工領域情報取得手段261は、施工領域情報50を取得する。施工領域情報取得手段261は、記憶装置25の施工領域情報記憶部251に格納された施工領域情報50を読み込むことによって施工領域情報50を取得することができるが、これに限定されない。施工領域情報取得手段261は、通信I/F24を介して運用支援端末10から施工領域情報50を受信してもよい。
【0053】
吹付命令生成手段262は、施工領域情報取得手段261が取得した施工領域情報50と、予め定められた吹付経路計画に基づいて、吹付命令を生成する。ここで、吹付経路計画とは、施工対象の建築物内の柱32及び梁33に対する吹付手順及び走行経路を決定する際に規範として参照される情報である。
【0054】
図4は、吹付命令生成手段262が吹付命令を生成する際に参照される吹付経路計画の一例を示している。図4に示すように、施工対象の領域Rが、その四隅に位置する4本の柱32と、柱32の間に架設された大梁331によって画定されており、さらに大梁331の間に小梁332が架設されている場合について説明する。図4に示す吹付経路計画において、領域Rは、大梁331及び小梁332によって9つの区画Sに分割されている。このとき、吹付命令生成手段262は、一の区画S内に位置する柱32及び梁33に対して、時計回りに周回しながら耐火被覆材を吹き付けるように吹付命令を生成する。これを、9つの区画Sの各々に対して繰り返すことにより、領域Rにおける全ての吹付命令を生成することができる。
【0055】
図4において、丸付き数字は、耐火被覆材吹付ロボット20が吹付作業を行う区画Sの順序を示している。具体的には、図4に示すように、耐火被覆材吹付ロボット20は、最初に左上に位置する区画Sを時計回りに周回しながら吹付作業を行う。続いて、耐火被覆材吹付ロボット20は、区画Sを時計回りに周回しながら、丸付き数字の順番に区画Sを移動し、吹付作業を繰り返す。最後に、耐火被覆材吹付ロボット20は、右下に位置する区画Sを時計回りに周回しながら吹付作業を行うことにより、領域Rの吹付作業を終了する。ただし、区画Sを移動する順番は、図4に示す例に限定されない。耐火被覆材吹付ロボット20は、右上に位置する区画Sから左下に位置する区画Sに向けて順に移動することとしてもよい。
【0056】
吹付命令生成手段262は、吹付経路計画に基づいて、走行経路及び柱32及び梁33に対する吹付順序を含む吹付命令を生成する。
吹付命令生成手段262によって生成された吹付命令は、記憶装置25の吹付命令記憶部252に格納されるとともに、走行制御手段263、昇降制御手段264、及び吹付制御手段265によって読み込まれる。
【0057】
走行制御手段263は、吹付命令生成手段262によって生成された吹付命令に含まれる走行経路に従って耐火被覆材吹付ロボット20が走行するように走行装置21を駆動する。
【0058】
昇降制御手段264は、吹付命令生成手段262によって生成された吹付命令に含まれる吹付対象の位置、寸法及び形状に従って噴射装置23が昇降するように昇降装置22を駆動する。
【0059】
吹付制御手段265は、吹付命令生成手段262によって生成された吹付命令に含まれる吹付対象の位置、寸法及び形状に従って噴射ノズル232が適切な位置及び角度で噴射するようにロボットアーム231及びコンプレッサ233を駆動する。
【0060】
<<耐火被覆材吹付ロボットシステム1の運用シーケンス>>
次に、耐火被覆材吹付ロボットシステム1の運用シーケンスについて説明する。図5は、運用支援端末10及び耐火被覆材吹付ロボット20によって実行される運用シーケンスを示しいている。図5に示すように、最初に、運用支援端末10の制御装置15は、施工対象の建築物のBIMデータを取得する(ステップS10)。制御装置15は、運用支援端末10で生成されたBIMデータを取得してもよいし、通信回線を介して接続された他の情報処理装置で生成されたBIMデータを取得してもよい。
【0061】
次に、制御装置15は、取得されたBIMデータに基づいて施工領域情報生成処理を実行する(ステップS11)。
図6は、運用支援端末10の制御装置15によって実行される施工領域情報生成処理の流れを示している。図6に示すように、制御装置15は、最初に、BIMデータに含まれる部材情報を出力する(ステップS20)。より詳細には、制御装置15は、部材情報を、表示装置12に表示される梁伏図画面30及び立体表示画面31に出力する。
【0062】
図7は、表示装置12に表示される梁伏図画面30及び立体表示画面31を示している。図7に示すように、表示装置12には、梁伏図画面30と立体表示画面31が、左右に並べて表示される。ただし、梁伏図画面30及び立体表示画面31の配置は、図7に示す配置に限定されない。また、梁伏図画面30及び立体表示画面31が、互いに切り替えて表示されてもよい。
【0063】
梁伏図画面30は、施工対象の建築物の柱32及び梁33の配置を示す平面図を表示する画面である。梁33には、柱32の間に架設される大梁331と、大梁331の間に架設される小梁332が含まれる。また、梁伏図画面30には、通り芯を識別可能な通り芯識別情報34が示される。ここで通り芯とは、柱32の中心を直線的に結ぶ線分であり、通り芯識別情報34は、数値、文字又は記号から構成されて、通り芯を識別可能な情報である。
【0064】
立体表示画面31は、施工対象の建築物の柱32及び梁33の構造を立体的に示す立体図を表示する画面である。立体表示画面31は、回転操作することによって、任意の方向から見た建築物の立体図を表示することができる。
【0065】
梁伏図画面30及び立体表示画面31に表示される柱32及び梁33は、マウス等の入力デバイスを操作することによって選択することができる。詳細に説明すると、マウスを操作して柱32又は梁33の位置にポインタを位置させることによって、柱32又は梁33を選択することができる。また、マウスをドラッグ操作することによって、複数の柱32及び梁33を一括して選択することができる。
【0066】
図6に戻って、制御装置15は、施工領域画定部材を選択するための操作入力が行われたか否かを判定する(ステップS21)。より詳細には、制御装置15は、施工領域の外縁に位置する柱32又は梁33を選択する操作入力が行われたか否かを判定する。操作入力が行われていないと判定された場合(ステップS21:No)、制御装置15は、操作入力が行われるまで待機する。
【0067】
一方、操作入力が行われたと判定された場合(ステップS21:Yes)、制御装置15は、施工領域画定部材を更新する(ステップS22)。より詳細に説明すると、BIMデータに含まれる複数の建築部材のうち、ステップS21で選択された建築部材は、施工領域画定部材とされる。施工領域画定部材とされた建築部材は、梁伏図画面30及び立体表示画面31において、その他の建築部材と異なる表示態様で表示される。
【0068】
図8は、施工領域画定部材が選択された後の梁伏図画面30及び立体表示画面31を示している。図8に示すように、梁伏図画面30において、施工領域画定部材として選択された柱32及び梁33は、それ以外の建築部材と異なる色で強調表示される。また、施工領域画定部材によって囲まれた領域Rは、施工領域と判定されて、それ以外の領域と異なる色で強調表示される。
同様に、立体表示画面31において、施工領域画定部材として選択された柱32及び梁33は、それ以外の建築部材と異なる色で強調表示される。このように、施工領域画定部材を、その他の建築部材と異なる表示態様で表示することによって、視覚的に施工対象の領域Rを認識することが容易となる。
【0069】
また、制御装置15は、施工領域画定部材を、施工領域画定部材一覧画面36に出力する。図9は、施工領域画定部材一覧画面36を示している。施工領域画定部材一覧画面36は、上述した梁伏図画面30及び立体表示画面31とともに、表示装置12に表示出力される。図9に示すように、施工領域画定部材一覧画面36は、施工領域画定部材を一覧表示する部材一覧表示欄37と、施工領域画定部材の関連情報の追加編集を受け付ける関連情報入力欄38と、を有している。
部材一覧表示欄37には、施工領域画定部材として選択された4本の柱32と、柱32の間に架設される大梁331と、大梁331の間に架設される小梁332が表示出力される。
【0070】
施工領域画定部材一覧画面36には、選択切替ボタン39が付されている。選択切替ボタン39は、選択領域画定部材として選択された建築部材に対する選択の解除及び再選択の入力操作を受け付ける。
また、施工領域画定部材一覧画面36には、全選択ボタン40が付されている。全選択ボタン40を操作することにより、部材一覧表示欄37に表示された全ての建築部材を施工領域画定部材として再選択することができる。
【0071】
関連情報入力欄38には、柱32又は梁33の関連情報として、補強部材であるスチフナの位置情報を入力することができる。また、関連情報には、スチフナ以外の補強部材に関する部材情報を入力することができてもよい。
【0072】
また、施工領域画定部材一覧画面36には、出力ファイル入力欄41と、出力ボタン42が配置されている。出力ファイル入力欄41に出力ファイル名を入力して出力ボタン42を押下すると、制御装置15は、施工領域画定部材の部材情報に基づいて施工領域情報50を生成して出力する。
なお、施工領域画定部材一覧画面36には、施工領域画定部材を取得するための操作ボタンが配置されていてもよい。
【0073】
図6に戻って、制御装置15は、関連情報の入力を受け付ける(ステップS23)。より詳細には、制御装置15は、図9の施工領域画定部材一覧画面36の関連情報入力欄38に対する関連情報の入力を受け付ける。
続いて、制御装置15は、施工領域画定部材の選択が終了したか否かを判定する(ステップS24)。具体的には、制御装置15は、図9の施工領域画定部材一覧画面36の出力ボタン42が操作されたか否かを判定する。出力ボタン42が操作されていないと判定された場合(ステップS25:No)、ステップS21に戻って施工領域画定部材の選択を再び受け付ける。
【0074】
一方、出力ボタン42が操作されたと判定された場合(ステップS25:Yes)、制御装置15は、施工領域画定部材の部材情報に基づいて施工領域情報50を生成する。また、制御装置15は、施工領域情報50を記憶装置14の施工領域情報記憶部142に出力して(ステップS25)、施工領域情報生成処理を終了する。
【0075】
図10は、施工領域情報記憶部142に格納される施工領域情報50の一例を示している。図10に示すように、施工領域情報50は、マークアップ言語であるXML(Extensible Markup Language)によって記述されている。換言すると、施工領域情報50は、開始タグ及び終了タグから構成される一対のタグと、タグによって挟まれた要素よって記述されている。このように、施工領域情報50をXMLで記述することで、タグの種類を追加、又は修正することによって施工領域情報50を容易に拡張することができ、様々な種類の施工ロボットへの対応が可能となる。また、施工領域情報50をXMLで記述することによって、施工領域情報50の汎用性、及び可読性の向上を図ることが可能となる。
【0076】
図10に示すように、施工領域情報50は、施工領域の属性に関する施工領域属性情報51と、施工領域画定部材の部材情報に関する施工領域画定部材情報52と、から構成されている。
【0077】
施工領域属性情報51は、施工領域が位置する階数及び場所を特定可能な情報である。より詳細には、施工領域属性情報51は、施工領域の階数又は場所を示す一対のタグと、タグに挟まれた位置情報を含んでいる。
図10において、施工領域は、施工対象の建築物の1階に位置することを示している。また、「2」及び「A」を示す通り芯識別情報34によって特定される場所に施工領域が位置していることを示している。
【0078】
施工領域画定部材情報52は、施工領域画定部材を構成する柱32及び梁33の位置、サイズ、及び形状を含む情報である。より詳細には、施工領域画定部材情報52は、施工領域の四隅に位置する4本の柱32に関する部材情報521と、施工領域内に架設された梁33に関する部材情報522と、を含んでいる。
【0079】
図10において、柱32に関する部材情報521は、柱32を示すタグと、柱32の識別情報、位置、種別(断面形状)、幅、高さ等の寸法を示すタグと、タグに挟まれた部材情報(要素)を含んでいる。柱32に関する部材情報521は、さらに柱32の取付角度に関する情報や、補強部材である火打ち梁の有無に関する情報を含んでいてもよい。
なお、図10において、2本目から4本目の柱32に関する部材情報521は、1本目の柱32に関する部材情報521と同様であるため、詳細な記載を省略している。
【0080】
一方、梁33に関する部材情報522は、梁33を示すタグと、梁33の識別情報、両端部の位置、種別(断面形状)、ウェブ及びフランジの幅及び厚み等の寸法を示すタグと、タグに挟まれた部材情報(要素)を含んでいる。梁33に関する部材情報522は、さらに梁33の取付角度に関する情報や、補強部材であるハンチの形状及び寸法に関する情報を含んでいてもよい。
なお、図10において、2本目以降の梁33に関する部材情報522は、1本目の梁33に関する部材情報522と同様であるため、詳細な記載を省略している。
【0081】
以上のように、制御装置15は、施工領域情報50をXMLによって記述し、耐火被覆材吹付ロボット20に対して入力可能なファイル形式で出力する。
図5に戻って、制御装置15は、施工領域情報50を耐火被覆材吹付ロボット20に送信する(ステップS12)。より詳細に説明すると、制御装置15は、ステップS11で生成した施工領域情報50を通信I/F13を介して耐火被覆材吹付ロボット20に送信する。
【0082】
耐火被覆材吹付ロボット20の制御装置26は、通信I/F24を介して施工領域情報50を受信すると、上述した吹付経路計画に基づいて吹付命令を生成する(ステップS13)。具体的には、制御装置26は、施工領域情報50及び吹付経路計画に基づいて、施工領域の柱32及び梁33の吹付手順及び走行経路を含む吹付命令を生成する。
【0083】
次に、制御装置26は、記憶装置25のアーム動作情報記憶部253からアーム動作情報を読み込む(ステップS14)。上述したように、アーム動作情報とは、ロボットアーム231を駆動する際に必要となる吹付動作データである。
最後に、制御装置26は、吹付命令を実行する(ステップS15)。これにより耐火被覆材吹付ロボットシステム1の運用シーケンスを終了する。
【0084】
以上のように、領域情報出力プログラムは、運用支援端末10の表示装置12に表示される梁伏図画面30及び立体表示画面31を介して、施工対象の建築物を構成する複数の建築部材から、施工領域を画定する施工領域画定部材の選択を受け付ける。そして、領域情報出力プログラムは、施工領域画定部材の部材情報に基づいて施工領域情報50を生成し、耐火被覆材吹付ロボット20に対して入力可能な形式で出力する。これにより、作業員は、施工領域を画定数するための座標情報を手入力する必要がないため、作業負担の軽減を図ることが可能となる。
【0085】
以上、本発明の一実施形態に係る耐火被覆材吹付ロボットシステム1について説明したが、上述した実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。
上述した実施形態では、耐火被覆材吹付ロボット20が耐火被覆材の吹付作業を行う場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。施工ロボットとして、墨出しロボット、溶接ロボット、又は清掃ロボットを採用することができる。墨出しロボットを採用し、墨出しロボットによって床面等に基準線を付すことにより、作業現場における省力化及び省人化を図ることが可能となる。また、溶接ロボットを採用し、溶接ロボットによって溶接作業を行うことにより、作業品質の安定化と作業時間の短縮を図ることが可能となる。そして、清掃ロボットを採用し、清掃ロボットによって作業現場の清掃を行うことにより、作業コストの抑制を図ることが可能となる。
【0086】
また、上述した実施形態では、運用支援端末10の表示装置12には、梁伏図画面30及び立体表示画面31が並列表示されることとして説明したが、これに限定されない。梁伏図画面30及び立体表示画面31のいずれか一方のみが表示装置12に表示されることとしてもよい。
【0087】
また、上述した実施形態では、施工領域情報50はXMLによって記述されることとして説明したが、これに限定されない。施工領域情報50は、CSV(Comma-Separated Values)形式、TXT(Text)形式、又はJSON(JavaScript(登録商標) Object Notation)形式によって記述されてもよい。
【0088】
また、上述した実施形態では、運用支援端末10と耐火被覆材吹付ロボット20は無線通信回線によって接続されていることとして説明したが、これに限定されない。運用支援端末10が生成した施工領域情報50を耐火被覆材吹付ロボット20が取得することができればよく、運用支援端末10及び耐火被覆材吹付ロボット20に対して挿抜可能な記憶媒体を介して施工領域情報50が授受されてもよい。
【符号の説明】
【0089】
1 吹付ロボットシステム(施工ロボットシステム)
10 運用支援端末
11 入力装置
12 表示装置
13 通信I/F
14 記憶装置
141 BIMデータ記憶部
142 施工領域情報記憶部
143 関連情報記憶部
144 プログラム記憶部
15 制御装置(コンピュータ)
151 BIMデータ取得手段
152 部材情報出力手段
153 施工領域画定部材受付手段
154 施工領域情報生成手段
155 施工領域情報出力手段
156 追加編集受付手段
20 耐火被覆材吹付ロボット(施工ロボット)
21 走行装置
22 昇降装置
23 噴射装置
231 ロボットアーム
232 噴射ノズル
233 コンプレッサ
24 通信I/F
25 記憶装置
251 施工領域情報記憶部
252 吹付命令記憶部
253 アーム動作情報記憶部
26 制御装置
261 施工領域情報取得手段
262 吹付命令生成手段
263 走行制御手段
264 昇降制御手段
265 吹付制御手段
30 梁伏図画面
31 立体表示画面
32 柱
33 梁
331 大梁
332 小梁
34 通り芯識別情報
36 施工領域画定部材一覧画面
37 部材一覧表示欄
38 関連情報入力欄
39 選択切替ボタン
40 全選択ボタン
41 出力ファイル入力欄
42 出力ボタン
50 施工領域情報
51 施工領域属性情報
52 施工領域画定部材情報
521、522 部材情報
R 領域
S 区画
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10