(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084558
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】電源装置及び制御装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
H02M3/155 C
H02M3/155 U
H02M3/155 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198885
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 正明
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA18
5H730AA20
5H730AS04
5H730AS05
5H730BB13
5H730BB14
5H730CC01
5H730DD03
5H730DD04
5H730EE57
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD11
5H730XC02
5H730XX09
5H730XX19
5H730XX29
5H730XX38
(57)【要約】
【課題】素子の過熱を抑制する。
【解決手段】第1コンバータと、第2コンバータと、第2コンバータの出力インダクタと磁気結合し、一端から電流を出力する巻線と、制御電源電圧を発生する第1コンデンサと、起動時に電流を第1コンデンサに出力し、制御電源電圧を用いて第1コンバータ及び第2コンバータを制御する制御回路と、を含む。制御回路は、第1コンバータと第1コンデンサの一端との間を電気的に接続又は遮断する起動回路と、第1電圧が入力された場合に、第1タイミングで、第1コンバータと第1コンデンサの一端との間を電気的に接続するように起動回路を制御し、制御電源電圧が第1閾値電圧に達せず且つ第1タイミングから第1時間が経過した場合に、第1時間が経過した第2タイミングで、第1コンバータと第1コンデンサの一端との間を電気的に遮断するように起動回路を制御する起動シーケンス制御回路と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源装置であって、
第1電圧が入力され、第2電圧を出力する第1コンバータと、
前記第2電圧が入力され、第3電圧を出力する第2コンバータと、
前記第2コンバータの出力インダクタと磁気結合し、一端から電流を出力する巻線と、
一端が前記巻線の一端に電気的に接続され、制御電源電圧を発生する第1コンデンサと、
前記電源装置の起動時に電流を前記第1コンデンサに出力し、前記制御電源電圧を用いて前記第1コンバータ及び前記第2コンバータを制御する制御回路と、
を含み、
前記制御回路は、
前記第1コンバータの出力端子又は入力端子と前記第1コンデンサの一端との間を電気的に接続又は遮断する起動回路と、
前記第1電圧が入力された場合に、第1タイミングで、前記第1コンバータの出力端子又は入力端子と前記第1コンデンサの一端との間を電気的に接続するように前記起動回路を制御し、前記制御電源電圧が第1閾値電圧に達せず且つ前記第1タイミングから予め定められた第1時間が経過した場合に、前記第1タイミングから前記第1時間が経過した第2タイミングで、前記第1コンバータの出力端子又は入力端子と前記第1コンデンサの一端との間を電気的に遮断するように前記起動回路を制御する起動シーケンス制御回路と、
を含む、
ことを特徴とする、電源装置。
【請求項2】
前記起動シーケンス制御回路は、
前記電源装置の運転中且つ前記制御電源電圧が第2閾値電圧まで低下した場合に、前記制御電源電圧が第2閾値電圧まで低下した第3タイミングから前記第1時間が経過した第4タイミングで、前記第1コンバータの出力端子又は入力端子と前記第1コンデンサの一端との間を電気的に遮断するように前記起動回路を制御する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
定電流回路によって充電される第2コンデンサを更に含み、
前記起動シーケンス制御回路は、
前記第2コンデンサの電圧によって、前記第1時間が経過したか否かを判定する、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記起動シーケンス制御回路は、
前記第1タイミングから前記第1時間が経過する前且つ前記制御電源電圧が前記第1閾値電圧に達した場合に、前記制御電源電圧が前記第1閾値電圧に達した第5タイミングから予め定められた第2時間が経過した第6タイミングで前記第1コンバータを動作開始させ、前記第5タイミングから予め定められた第3時間が経過した第7タイミングで前記第2コンバータを動作開始させる、
ことを特徴とする、請求項1に記載の電源装置。
【請求項5】
定電流回路によって充電される第2コンデンサを更に含み、
前記起動シーケンス制御回路は、
前記第2コンデンサの電圧によって、前記第1時間が経過したか否かを判定し、
前記第5タイミングで、前記第2コンデンサを放電し、
前記第2コンデンサの電圧によって、前記第2時間及び前記第3時間が経過したか否かを判定する、
ことを特徴とする、請求項4に記載の電源装置。
【請求項6】
第1電圧が入力され、第2電圧を出力する第1コンバータと、前記第2電圧が入力され、第3電圧を出力する第2コンバータと、前記第2コンバータの出力インダクタと磁気結合し、一端から電流を出力する巻線と、一端が前記巻線の一端に電気的に接続され、制御電源電圧を発生する第1コンデンサと、を含む電源装置を制御する制御装置であって、
前記第1コンバータの出力端子又は入力端子と前記第1コンデンサの一端との間を電気的に接続又は遮断する起動回路と、
前記第1電圧が入力された場合に、第1タイミングで、前記第1コンバータの出力端子又は入力端子と前記第1コンデンサの一端との間を電気的に接続するように前記起動回路を制御し、前記制御電源電圧が第1閾値電圧に達せず且つ前記第1タイミングから予め定められた第1時間が経過した場合に、前記第1タイミングから前記第1時間が経過した第2タイミングで、前記第1コンバータの出力端子又は入力端子と前記第1コンデンサの一端との間を電気的に遮断するように前記起動回路を制御する起動シーケンス制御回路と、
を含む、
ことを特徴とする、制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源装置及び制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
直流電源装置は、コンバータと、コンバータを制御するための制御回路と、を含む。制御回路が動作するために必要な制御電源電圧は、補助電源装置から供給される。
【0003】
コスト低減のために、補助電源装置を削除し、その代替として、制御電源電圧を発生させるコンデンサを設けることが考えられる。そして、前段コンバータの出力端子又は入力端子とコンデンサとの間に起動回路を設け、起動回路を電気的に接続することによりコンデンサを初期充電し、コンデンサに初期制御電源電圧を発生させることが考えられる。
【0004】
特許文献1には、過熱異常時に起動回路を停止できるスイッチング電源装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
補助電源装置を削除してコンデンサ及び起動回路が設けられた場合、抵抗性短絡等により、コンデンサの電圧が規定の電圧まで上昇しない場合があり得る。この場合、起動回路が電気的に接続されたままとなり、素子が過熱してしまう。
【0007】
本開示は、素子の過熱を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様の電源装置は、
第1電圧が入力され、第2電圧を出力する第1コンバータと、
前記第2電圧が入力され、第3電圧を出力する第2コンバータと、
前記第2コンバータの出力インダクタと磁気結合し、一端から電流を出力する巻線と、
一端が前記巻線の一端に電気的に接続され、制御電源電圧を発生する第1コンデンサと、
前記電源装置の起動時に電流を前記第1コンデンサに出力し、前記制御電源電圧を用いて前記第1コンバータ及び前記第2コンバータを制御する制御回路と、
を含み、
前記制御回路は、
前記第1コンバータの出力端子又は入力端子と前記第1コンデンサの一端との間を電気的に接続又は遮断する起動回路と、
前記第1電圧が入力された場合に、第1タイミングで、前記第1コンバータの出力端子又は入力端子と前記第1コンデンサの一端との間を電気的に接続するように前記起動回路を制御し、前記制御電源電圧が第1閾値電圧に達せず且つ前記第1タイミングから予め定められた第1時間が経過した場合に、前記第1タイミングから前記第1時間が経過した第2タイミングで、前記第1コンバータの出力端子又は入力端子と前記第1コンデンサの一端との間を電気的に遮断するように前記起動回路を制御する起動シーケンス制御回路と、
を含む、
ことを特徴とする。
【0009】
前記電源装置において、
前記起動シーケンス制御回路は、
前記電源装置の運転中且つ前記制御電源電圧が第2閾値電圧まで低下した場合に、前記制御電源電圧が第2閾値電圧まで低下した第3タイミングから前記第1時間が経過した第4タイミングで、前記第1コンバータの出力端子又は入力端子と前記第1コンデンサの一端との間を電気的に遮断するように前記起動回路を制御する、
ことを特徴とする。
【0010】
前記電源装置において、
定電流回路によって充電される第2コンデンサを更に含み、
前記起動シーケンス制御回路は、
前記第2コンデンサの電圧によって、前記第1時間が経過したか否かを判定する、
ことを特徴とする。
【0011】
前記電源装置において、
前記起動シーケンス制御回路は、
前記第1タイミングから前記第1時間が経過する前且つ前記制御電源電圧が前記第1閾値電圧に達した場合に、前記制御電源電圧が前記第1閾値電圧に達した第5タイミングから予め定められた第2時間が経過した第6タイミングで前記第1コンバータを動作開始させ、前記第5タイミングから予め定められた第3時間が経過した第7タイミングで前記第2コンバータを動作開始させる、
ことを特徴とする。
【0012】
前記電源装置において、
定電流回路によって充電される第2コンデンサを更に含み、
前記起動シーケンス制御回路は、
前記第2コンデンサの電圧によって、前記第1時間が経過したか否かを判定し、
前記第5タイミングで、前記第2コンデンサを放電し、
前記第2コンデンサの電圧によって、前記第2時間及び前記第3時間が経過したか否かを判定する、
ことを特徴とする。
【0013】
本開示の一態様の制御装置は、
第1電圧が入力され、第2電圧を出力する第1コンバータと、前記第2電圧が入力され、第3電圧を出力する第2コンバータと、前記第2コンバータの出力インダクタと磁気結合し、一端から電流を出力する巻線と、一端が前記巻線の一端に電気的に接続され、制御電源電圧を発生する第1コンデンサと、を含む電源装置を制御する制御装置であって、
前記第1コンバータの出力端子又は入力端子と前記第1コンデンサの一端との間を電気的に接続又は遮断する起動回路と、
前記第1電圧が入力された場合に、第1タイミングで、前記第1コンバータの出力端子又は入力端子と前記第1コンデンサの一端との間を電気的に接続するように前記起動回路を制御し、前記制御電源電圧が第1閾値電圧に達せず且つ前記第1タイミングから予め定められた第1時間が経過した場合に、前記第1タイミングから前記第1時間が経過した第2タイミングで、前記第1コンバータの出力端子又は入力端子と前記第1コンデンサの一端との間を電気的に遮断するように前記起動回路を制御する起動シーケンス制御回路と、
を含む、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、素子の過熱を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、実施形態の電源装置の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態の電源装置の制御回路の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態の電源装置の、抵抗性短絡等がない場合の電圧Vinの入力開始のタイミングに着目した動作例を示すタイミング図である。
【
図4】
図4は、実施形態の電源装置の、抵抗性短絡等がある場合の電圧Vinの入力開始のタイミングに着目した動作例を示すタイミング図である。
【
図5】
図5は、実施形態の電源装置の、動作中に抵抗性短絡等が生じた場合に着目した動作例を示すタイミング図である。
【
図6】
図6は、実施形態の電源装置の、電圧Vinの入力開始から入力停止までの全体動作の一例を示すタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本開示に係る実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0017】
<実施形態>
(構成)
図1は、実施形態の電源装置の構成を示す図である。電源装置1は、交流電源2から出力されフィルタ回路3で濾波され整流回路4で整流された後の直流の電圧Vinの供給を受けて、直流の電圧Vout及び電流Ioutを負荷5に出力する。
【0018】
電源装置1の第1入力端子1aと第2入力端子1bとの間には、電圧Vinが入力される。電源装置1の第2入力端子1bは、基準電位に電気的に接続されている。基準電位は、接地電位が例示されるが、本開示はこれに限定されない。
【0019】
電源装置1の第1出力端子1cと第2出力端子1dとの間からは、電圧Voutが出力される。電源装置1の第1出力端子1cからは、電流Ioutが出力される。
【0020】
電圧Vinが、本開示の「第1電圧」の一例に相当する。電圧Voutが、本開示の「第3電圧」の一例に相当する。
【0021】
電源装置1は、第1コンバータ11と、第2コンバータ21と、制御回路31と、コンデンサC1、C2、C3、C31及びC32と、抵抗R1、R2、R3及びR4と、を含む。
【0022】
コンデンサC31が、本開示の「第1コンデンサ」の一例に相当する。コンデンサC32が、本開示の「第2コンデンサ」の一例に相当する。
【0023】
第1コンバータ11は、実施形態では、力率改善コンバータ(PFC)であり、昇圧チョッパの回路構成を有する。第2コンバータ21は、実施形態では、降圧チョッパの回路構成を有する。但し、本開示はこれに限定されない。
【0024】
コンデンサC1の一端は、第1入力端子1aに電気的に接続されている。コンデンサC1の他端は、第2入力端子1bに電気的に接続されている。コンデンサC1は、電圧Vinを安定化させる。
【0025】
抵抗R1の一端は、第1入力端子1aに電気的に接続されている。抵抗R1の他端は、抵抗R2の一端に電気的に接続されている。抵抗R2の他端は、第2入力端子1bに電気的に接続されている。抵抗R1及び抵抗R2は、電圧Vinを分圧した電圧Multiを、制御回路31に出力する。制御回路31は、電圧Multiを監視する。なお、制御回路31が電圧Multiを監視することは、電圧Vinを監視することと同等である。
【0026】
第1コンバータ11の第1入力端子11aは、電源装置1の第1入力端子1aに電気的に接続されている。第1コンバータ11の第2入力端子11bは、電源装置1の第2入力端子1bに電気的に接続されている。
【0027】
第1コンバータ11は、インダクタL11と、トランジスタQ11と、ダイオードD11と、を含む。
【0028】
実施形態では、各トランジスタがMOSFETであることとしたが、本開示はこれに限定されない。各トランジスタは、シリコンパワーデバイス、GaNパワーデバイス、SiCパワーデバイス(例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor))などでも良い。
【0029】
各トランジスタは、積極的に電流を流すことができる寄生ダイオード(ボディダイオード)を有する、又は、逆並列にダイオードが接続されている。寄生ダイオードとは、MOSFETのバックゲートとソース及びドレインとの間のpn接合である。
【0030】
第1コンバータ11の第1入力端子11aと第2入力端子11bとの間には、電圧Vinが入力される。
【0031】
第1コンバータ11の第1出力端子11cと第2出力端子11dとの間からは、電圧VDCが出力される。
【0032】
電圧VDCが、本開示の「第2電圧」の一例に相当する。
【0033】
インダクタL11の一端は、第1入力端子11aに電気的に接続されている。インダクタL11の他端は、トランジスタQ11のドレイン及びダイオードD11のアノードに、電気的に接続されている。
【0034】
トランジスタQ11のソースは、第2入力端子11b及び第2出力端子11dに電気的に接続されている。トランジスタQ11のゲートには、スイッチング信号S1が制御回路31から入力される。
【0035】
ダイオードD11のカソードは、第1出力端子11cに電気的に接続されている。
【0036】
コンデンサC2の一端は、第1コンバータ11の第1出力端子11cに電気的に接続されている。コンデンサC2の他端は、第1コンバータ11の第2出力端子11dに電気的に接続されている。コンデンサC2は、電圧VDCを安定化させる。
【0037】
抵抗R3の一端は、第1コンバータ11の第1出力端子11cに電気的に接続されている。抵抗R3の他端は、抵抗R4の一端に電気的に接続されている。抵抗R4の他端は、第1コンバータ11の第2出力端子11dに電気的に接続されている。抵抗R3及び抵抗R4は、電圧VDCを分圧した電圧VFBを、制御回路31に出力する。制御回路31は、電圧VFBを監視する。なお、制御回路31が電圧VFBを監視することは、電圧VDCを監視することと同等である。
【0038】
第1出力端子11cは、制御回路31に電気的に接続されており、電圧VDCが制御回路31に入力される。なお、これに代えて、第1入力端子11aが制御回路31に電気的に接続され、電圧Vinが制御回路31に入力されることとしても良い。
【0039】
第2コンバータ21の第1入力端子21aは、第1コンバータ11の第1出力端子11cに電気的に接続されている。第2コンバータ21の第2入力端子21bは、第1コンバータ11の第2出力端子11dに電気的に接続されている。
【0040】
第2コンバータ21は、トランジスタQ21と、ダイオードD21及びD22と、インダクタL21及びL22と、を含む。
【0041】
インダクタL21が、本開示の「出力インダクタ」の一例に相当する。インダクタL22が、本開示の「巻線」の一例に相当する。
【0042】
第2コンバータ21の第1入力端子21aと第2入力端子21bとの間には、電圧VDCが入力される。
【0043】
第2コンバータ21の第1出力端子21cと第2出力端子21dとの間からは、電圧Voutが出力される。
【0044】
トランジスタQ21のドレインは、第2コンバータ21の第1入力端子21aに電気的に接続されている。トランジスタQ21のソースは、ダイオードD21のカソード及びインダクタL21の一端に電気的に接続されている。トランジスタQ21のゲートには、スイッチング信号S2が制御回路31から入力される。
【0045】
ダイオードD21のアノードは、第2コンバータ21の第2入力端子21b及び第2出力端子21dに電気的に接続されている。
【0046】
インダクタL21の他端は、第2コンバータ21の第1出力端子21cに電気的に接続されている。
【0047】
インダクタL22は、インダクタL21と磁気結合している。インダクタL22の一端は、第2コンバータ21の第2入力端子21b及び第2出力端子21dに電気的に接続されている。インダクタL22の他端は、ダイオードD22のアノードに電気的に接続されている。インダクタL22は、第2コンバータ21が動作してインダクタL21に磁気が生じると、誘起電圧をダイオードD22のアノードに出力する。
【0048】
インダクタL21及びインダクタL22は、コア21eに巻回されていても良い。つまり、インダクタL21及びインダクタL22は、トランスの1次巻線及び2次巻線であっても良い。
【0049】
ダイオードD22のカソードは、コンデンサC31の一端に電気的に接続されている。ダイオードD22は、電流がコンデンサC31からインダクタL22に逆流することを抑制する。
【0050】
コンデンサC3の一端は、第2コンバータ21の第1出力端子21c及び電源装置1の第1出力端子1cに電気的に接続されている。コンデンサC3の他端は、第2コンバータ21の第2出力端子21d及び電源装置1の第2出力端子1dに電気的に接続されている。コンデンサC3は、電圧Voutを安定化させる。
【0051】
コンデンサC31の他端は、電源装置1の第2入力端子1bに電気的に接続されている。コンデンサC31は、インダクタL22から入力される電流を蓄電し、電圧Vccを発生させる。
【0052】
なお、後で説明するように、電源装置1の起動時には、制御回路31がコンデンサC31に電流を出力する。コンデンサC31は、制御回路31から入力される電流を蓄電し、電圧Vccを発生させる。
【0053】
電圧Vccが、本開示の「制御電源電圧」の一例に相当する。
【0054】
コンデンサC32の一端は、制御回路31に電気的に接続されている。コンデンサC32の他端は、電源装置1の第2入力端子1bに電気的に接続されている。コンデンサC32は、制御回路31から入力される電流を蓄電し、電圧Resetを発生させる。
【0055】
制御回路31は、電圧Resetの上昇及び下降によって、時間を計測する。つまり、コンデンサC32は、タイマの役割を果たす。制御回路31は、コンデンサC32をタイマとして使用し、シーケンス制御を行う。
【0056】
図2は、実施形態の電源装置の制御回路の構成を示す図である。
【0057】
制御回路31は、起動回路41と、起動シーケンスタイマ回路51と、駆動制御回路61と、を含む。
【0058】
起動回路41は、抵抗R41及びR42と、Nチャネル型のトランジスタQ41及びQ42と、Pチャネル型のトランジスタQ43と、定電流回路41aと、レギュレータ41bと、ツェナーダイオード41cと、ダイオード41dと、を含む。
【0059】
トランジスタQ41のドレインには、電圧VDCが入力される。なお、先に説明したように、トランジスタQ41のドレインには、電圧VDCに代えて、電圧Vinが入力されることとしても良い。トランジスタQ41のゲートは、ノードN1に電気的に接続されている。トランジスタQ41のソースは、ノードN2に電気的に接続されている。
【0060】
抵抗R41の一端は、トランジスタQ41のドレインに電気的に接続されている。抵抗R41の他端は、ノードN1に電気的に接続されている。
【0061】
トランジスタQ42のドレインは、ノードN1に電気的に接続されている。トランジスタQ42のゲートには、信号S51が起動シーケンスタイマ回路51から入力される。トランジスタQ42のソースは、基準電位に電気的に接続されている。
【0062】
ツェナーダイオード41cのカソードは、ノードN1に電気的に接続されている。ツェナーダイオード41cのアノードは、基準電位に電気的に接続されている。
【0063】
抵抗R42の一端は、ノードN2に電気的に接続されている。抵抗R42の他端は、ノードN4に電気的に接続されている。ノードN4は、レギュレータ41bに電気的に接続されている。
【0064】
定電流回路41aの一端は、ノードN2に電気的に接続されている。定電流回路41aの他端は、トランジスタQ43のソースに電気的に接続されている。
【0065】
トランジスタQ43のゲートには、信号S52が起動シーケンスタイマ回路51から入力される。トランジスタQ43のドレインは、ノードN3に電気的に接続されている。
【0066】
ノードN3は、端子31aを介して、コンデンサC31の一端に電気的に接続されている。また、ノードN3は、起動シーケンス制御回路51aに電気的に接続されている。
【0067】
ダイオード41dのアノードは、ノードN3に電気的に接続されている。ダイオード41dのカソードは、ノードN4に電気的に接続されている。
【0068】
レギュレータ41bは、抵抗R42の他端又はダイオード41dのカソードから入力される電圧を用いて電圧VSTを生成し、電圧VSTを起動シーケンスタイマ回路51に出力する。
【0069】
起動シーケンスタイマ回路51は、起動シーケンス制御回路51aと、定電流回路51b、51c及び51dと、双方向スイッチ51e、51f及び51gと、を含む。
【0070】
起動シーケンス制御回路51aは、コンデンサC31の一端からノードN3を経由して入力される電圧Vccを用いて、動作する。起動シーケンス制御回路51aは、信号S51をトランジスタQ42のゲートに出力し、信号S52をトランジスタQ43のゲートに出力する。また、起動シーケンス制御回路51aは、信号S53を双方向スイッチ51eに出力し、信号S54を双方向スイッチ51fに出力し、信号S55を双方向スイッチ51gに出力する。また、起動シーケンス制御回路51aは、信号S56、信号S57及び信号S58を駆動制御回路61に出力する。
【0071】
定電流回路51bの一端は、電圧VDに電気的に接続されている。電圧VDは、電圧Vccからレギュレータ(図示せず)によって生成されることが例示されるが、本開示はこれに限定されない。定電流回路51bの他端は、コンデンサC32の一端に電気的に接続されている。
【0072】
定電流回路51cの一端は、電圧VDに電気的に接続されている。定電流回路51cの他端は、双方向スイッチ51eの一端に電気的に接続されている。
【0073】
双方向スイッチ51eの他端は、コンデンサC32の一端に電気的に接続されている。
【0074】
双方向スイッチ51eは、起動シーケンス制御回路51aから入力される信号S53に基づいて、オン又はオフする。
【0075】
コンデンサC32は、定電流回路51b及び定電流回路51cから入力される電流を蓄電する。
【0076】
定電流回路51dの一端は、コンデンサC32の一端に電気的に接続されている。定電流回路51dの他端は、双方向スイッチ51fの一端に電気的に接続されている。
【0077】
双方向スイッチ51fの他端は、基準電位に電気的に接続されている。
【0078】
双方向スイッチ51fは、起動シーケンス制御回路51aから入力される信号S54に基づいて、オン又はオフする。
【0079】
双方向スイッチ51gの一端は、コンデンサC32の一端に電気的に接続されている。双方向スイッチ51gの他端は、基準電位に電気的に接続されている。
【0080】
双方向スイッチ51gは、起動シーケンス制御回路51aから入力される信号S55に基づいて、オン又はオフする。
【0081】
コンデンサC32は、定電流回路51d及び双方向スイッチ51gによって、蓄電している電荷を放電する。
【0082】
なお、起動回路41と起動シーケンスタイマ回路51とは、1個の半導体装置の中に形成されると、好ましい。これにより、電圧VSTが半導体装置の内部電圧となるので、制御回路31は、電圧VSTの端子ショート(パーシャルショート)等の配慮をする必要を無くすことができる。
【0083】
駆動制御回路61は、起動シーケンスタイマ回路51から入力される信号S56に基づいて、スイッチング信号S1をトランジスタQ11(
図1参照)のゲートに出力する。また、駆動制御回路61は、起動シーケンスタイマ回路51から入力される信号S57に基づいて、スイッチング信号S2をトランジスタQ21(
図1参照)のゲートに出力する。
【0084】
(抵抗性短絡等がない場合の電圧Vinの入力開始のタイミングに着目した動作例)
図3は、実施形態の電源装置の、抵抗性短絡等がない場合の電圧Vinの入力開始のタイミングに着目した動作例を示すタイミング図である。
【0085】
図3において、タイミングt
1からタイミングt
2までの期間は、電源装置1の抵抗性短絡等の検出期間である。タイミングt
2以降の期間は、電源装置1の起動シーケンス期間である。
【0086】
初期時(タイミングt0)において、信号S51は第1レベル(例えば、ローレベル)であり、トランジスタQ42はオフ状態である。また、信号S52は第2レベル(例えば、ハイレベル)であり、トランジスタQ43はオフ状態である。また、信号S53及び信号S54は第1レベルであり、双方向スイッチ51e及び51fはオフ状態である。また、信号S55は第2レベルであり、双方向スイッチ51gはオン状態である。
【0087】
タイミングt
0において、電圧Vinの入力が開始されると(
図3(a))、トランジスタQ11は動作していないが、インダクタL11及びダイオードD11を経由して、電圧VDCが上昇を開始する。電圧VDCが上昇すると、トランジスタQ42がオフ状態であるので、ノードN1の電位が上昇し、トランジスタQ41のゲート電位が上昇する。これにより、トランジスタQ41がオン状態になり、トランジスタQ41及び抵抗R42を介して、レギュレータ41bに電圧が入力される。従って、レギュレータ41bは、電圧VSTの出力を開始し、電圧VSTが上昇を開始する(
図3(b))。
【0088】
なお、このとき、トランジスタQ42のドレイン-ソース間に高電圧が掛かる可能性がある。しかし、ツェナーダイオード41cは、トランジスタQ42のドレイン-ソース間に閾値電圧以上の電圧が掛かった場合に導通し、トランジスタQ42のドレイン-ソース間に閾値電圧以上の電圧が掛かることを抑制する。これにより、ツェナーダイオード41cは、トランジスタQ42がダメージを受けることを抑制することができる。
【0089】
タイミングt
1において、電圧VSTが閾値電圧VST_UVLOに達すると(
図3(b))、起動シーケンス制御回路51aは、信号S52を第1レベルにする。これにより、トランジスタQ43がオン状態になる。従って、コンデンサC31は、定電流回路41aから出力される定電流によって充電され、電圧Vccが上昇を開始する(
図3(c))。また、起動シーケンス制御回路51aは、信号S54及び信号S55を第1レベルにする。これにより、双方向スイッチ51f及び51gはオフ状態になる。従って、コンデンサC32は、定電流回路51bの定電流によって充電され、電圧Resetが上昇し始める(
図3(d))。
【0090】
端子31aにパーシャルショート(抵抗性短絡)等が生じていない場合、電圧Vccは、閾値電圧Vcc_startに達する。
【0091】
閾値電圧Vcc_startが、本開示の「第1閾値電圧」の一例に相当する。
【0092】
タイミングt
2において、電圧Vccが閾値電圧Vcc_startに達し(
図3(c))且つ電圧Resetが閾値電圧Vthに達していないと(
図3(d))、端子31aにパーシャルショート(抵抗性短絡)等が生じていないものと考えられる。そこで、起動シーケンス制御回路51aは、信号S55を第2レベルにする。これにより、双方向スイッチ51gがオン状態になる。従って、コンデンサC32は、短絡放電され、電圧Resetはゼロボルトになる(
図3(d))。その後、起動シーケンス制御回路51aは、信号S55を第1レベルにする。これにより、双方向スイッチ51gがオフ状態になる。従って、コンデンサC32は、定電流回路51bの定電流によって充電され、電圧Resetは、再び上昇し始める。
【0093】
起動シーケンス制御回路51aは、タイミングt2以降において、起動シーケンスを実行する。起動シーケンスについては、後で説明する。
【0094】
(抵抗性短絡等がある場合の電圧Vinの入力開始のタイミングに着目した動作例)
図4は、実施形態の電源装置の、抵抗性短絡等がある場合の電圧Vinの入力開始のタイミングに着目した動作例を示すタイミング図である。
【0095】
図4において、タイミングt
11からタイミングt
12までの期間は、電源装置1の抵抗性短絡等の検出期間である。タイミングt
12以降の期間は、電源装置1のラッチ停止期間である。
【0096】
タイミングt
10において、電圧Vinの入力が開始されると(
図4(a))、トランジスタQ11は動作していないが、インダクタL11及びダイオードD11を経由して、電圧VDCが上昇を開始する。電圧VDCが上昇すると、トランジスタQ42がオフ状態であるので、ノードN1の電位が上昇し、トランジスタQ41のゲート電位が上昇する。これにより、トランジスタQ41がオン状態になり、トランジスタQ41及び抵抗R42を介して、レギュレータ41bに電圧が入力される。従って、レギュレータ41bは、電圧VSTの出力を開始し、電圧VSTが上昇を開始する(
図4(b))。
【0097】
タイミングt
11において、電圧VSTが閾値電圧VST_UVLOに達すると(
図4(b))、起動シーケンス制御回路51aは、信号S52を第1レベルにする。これにより、トランジスタQ43がオン状態になる。従って、コンデンサC31は、定電流回路41aから出力される定電流によって充電され、電圧Vccが上昇を開始する(
図4(c))。また、起動シーケンス制御回路51aは、信号S54及び信号S55を第1レベルにする。これにより、双方向スイッチ51f及び51gはオフ状態になる。従って、コンデンサC32は、定電流回路51bの定電流によって充電され、電圧Resetが上昇し始める(
図4(d))。
【0098】
タイミングt11が、本開示の「第1タイミング」の一例に相当する。
【0099】
端子31aにパーシャルショート(抵抗性短絡)等が生じている場合、電圧Vccは、閾値電圧Vcc_startまで達しない。
【0100】
タイミングt
12において、電圧Vccが閾値電圧Vcc_startに達しておらず(
図4(c))且つ電圧Resetが閾値電圧Vthに達すると(
図4(d))、端子31aにパーシャルショート(抵抗性短絡)等が生じていると考えられる。そこで、起動シーケンス制御回路51aは、起動回路41(電源装置1)をラッチ停止する。また、起動シーケンス制御回路51aは、信号S55を第2レベルにする。これにより、双方向スイッチ51gがオン状態になる。従って、コンデンサC32は、短絡放電され、電圧Resetはゼロボルトになる(
図4(d))。
【0101】
タイミングt12が、本開示の「第2タイミング」の一例に相当する。タイミングt11からタイミングt12までの時間が、本開示の「第1時間」の一例に相当する。
【0102】
これにより、電源装置1は、起動回路41の中の素子が過熱することを抑制できる。
【0103】
(動作中に抵抗性短絡等が生じた場合に着目した動作例)
図5は、実施形態の電源装置の、動作中に抵抗性短絡等が生じた場合に着目した動作例を示すタイミング図である。
【0104】
図5において、タイミングt
20までの期間は、電源装置1の定常動作期間である。タイミングt
21からタイミングt
22までの期間は、電源装置1の抵抗性短絡等の検出期間である。タイミングt
22以降の期間は、電源装置1のラッチ停止期間である。
【0105】
電源装置1の動作中に端子31aにパーシャルショート(抵抗性短絡)等が生じた場合、電圧Vccが低下する。
【0106】
タイミングt
20において、端子31aにパーシャルショート(抵抗性短絡)等が生じた場合、電圧Vccが低下し始める(
図5(a))。
【0107】
タイミングt
21において、電圧Vccが閾値電圧Vcc_stopに達すると(
図5(c))、起動シーケンス制御回路51aは、信号S55を第2レベルにする。これにより、双方向スイッチ51gがオン状態になる。従って、コンデンサC32は、短絡放電され、電圧Resetはゼロボルトになる(
図5(d))。その後、起動シーケンス制御回路51aは、信号S55を第1レベルにする。これにより、双方向スイッチ51gがオフ状態になる。従って、コンデンサC32は、定電流回路51bの定電流によって充電され、電圧Resetは、上昇し始める。それと共に、電圧Vccが閾値電圧Vcc_stopを下回る事で、信号S51及び信号S52は、第1レベルになり、トランジスタQ41及びトランジスタQ43はオンする。よって、定電流回路41aによりコンデンサC31は充電を開始するが、端子31aがパーシャルショート(抵抗性短絡)の為、電圧Vccは上昇できない。
【0108】
閾値電圧Vcc_stopが、本開示の「第2閾値電圧」の一例に相当する。タイミングt21が、本開示の「第3タイミング」の一例に相当する。
【0109】
タイミングt
22において、電圧Resetが閾値電圧Vthに達すると(
図5(d))、起動シーケンス制御回路51aは、起動回路41(電源装置1)をラッチ停止する。また、起動シーケンス制御回路51aは、信号S55を第2レベルにする。これにより、双方向スイッチ51gがオン状態になる。従って、コンデンサC32は、短絡放電され、電圧Resetはゼロボルトになる(
図5(d))。
【0110】
タイミングt22が、本開示の「第4タイミング」の一例に相当する。
【0111】
これにより、電源装置1は、起動回路41の中の素子が過熱することを抑制できる。
【0112】
尚、電圧Resetが閾値電圧Vthに達する前に端子31aのパーシャルショート(抵抗性短絡)が解除され、電圧Vccが閾値電圧Vcc_startを上回る場合は、
図3のt
2以降同様に、起動シーケンス制御回路51aは、起動シーケンスを実行する。これは、端子31aのパーシャルショート以外でも電圧Vccが閾値電圧Vcc_stopを下回る時は同様である。
【0113】
(電圧Vinの入力開始から入力停止までの全体動作の一例)
図6は、実施形態の電源装置の、電圧Vinの入力開始から入力停止までの全体動作の一例を示すタイミング図である。
【0114】
図6において、タイミングt
31からタイミングt
32までの期間は、電源装置1の抵抗性短絡等の検出期間である。タイミングt
32以降の期間は、電源装置1の起動シーケンス期間である。
【0115】
タイミングt
30において、電圧Vinの入力が開始されると(
図6(a))、トランジスタQ11は動作していないが、インダクタL11及びダイオードD11を経由して、電圧VDCが上昇を開始する(
図6(c))。電圧VDCが上昇すると、トランジスタQ42がオフ状態であるので、ノードN1の電位が上昇し、トランジスタQ41のゲート電位が上昇する。これにより、トランジスタQ41がオン状態になり、トランジスタQ41及び抵抗R42を介して、レギュレータ41bに電圧が入力される。従って、レギュレータ41bは、電圧VSTの出力を開始し、電圧VSTが上昇を開始する(
図6(b))。また、起動シーケンス制御回路51aは、入力電圧(電圧Multi及びVFB)の監視を開始する(
図6(j))。
【0116】
タイミングt
31において、電圧VSTが閾値電圧VST_UVLOに達すると(
図6(b))、起動シーケンス制御回路51aは、信号S52を第1レベルにする。これにより、トランジスタQ43がオン状態になる。従って、コンデンサC31は、定電流回路41aから出力される定電流によって充電され、電圧Vccが上昇を開始する(
図6(d))。また、起動シーケンス制御回路51aは、信号S54及び信号S55を第1レベルにする。これにより、双方向スイッチ51f及び51gはオフ状態になる。従って、コンデンサC32は、定電流回路51bの定電流によって充電され、電圧Resetが上昇し始める(
図6(f))。
【0117】
端子31aにパーシャルショート(抵抗性短絡)等が生じていない場合、電圧Vccは、閾値電圧Vcc_startに達する。
【0118】
タイミングt
32において、電圧Vccが閾値電圧Vcc_startに達し(
図6(c))且つ電圧Resetが閾値電圧Vthに達していないと、端子31aにパーシャルショート(抵抗性短絡)等が生じていないものと考えられる。そこで、起動シーケンス制御回路51aは、信号S55を第2レベルにする。これにより、双方向スイッチ51gがオン状態になる。従って、コンデンサC32は、短絡放電され、電圧Resetはゼロボルトになる(
図6(f))。その後、起動シーケンス制御回路51aは、信号S55を第1レベルにする。これにより、双方向スイッチ51gがオフ状態になる。従って、コンデンサC32は、定電流回路51bの定電流によって充電され、電圧Resetは、再び上昇し始める。
【0119】
タイミングt32が、本開示の「第5タイミング」の一例に相当する。
【0120】
タイミングt
33において、電圧Resetが閾値電圧VT1に達すると(
図6(f))、起動シーケンス制御回路51aは、信号S56を第2レベルにする。これにより、駆動制御回路61は、スイッチング信号S1をトランジスタQ11のゲートに出力する。従って、第1コンバータ11は、動作を開始し(
図6(g))、電圧VDCが更に上昇する(
図6(c))。また、起動シーケンス制御回路51aは、入力電圧(電圧Multi)の監視を中断する(
図6(j))。タイミングt
33から後述するタイミングt
37までの期間では、入力電圧が脈動する可能性があるので、誤動作を抑制するためである。
【0121】
タイミングt33が、本開示の「第6タイミング」の一例に相当する。タイミングt32からタイミングt33までの時間が、本開示の「第2時間」の一例に相当する。
【0122】
なお、電圧Vinは、タイミングt30からタイミングt33までは、コンデンサC1がフルに充電されているので一定であるが、タイミングt33から第1コンバータ11が動作を開始すると、コンデンサC1が電力を放出するので脈動する。
【0123】
タイミングt
34において、電圧Resetが閾値電圧VT2に達すると(
図6(f))、起動シーケンス制御回路51aは、信号S57を第2レベルにする。これにより、駆動制御回路61は、スイッチング信号S2をトランジスタQ21のゲートに出力し、第2コンバータ21は、低出力動作を開始し(
図6(h))、電圧Voutの出力を開始する。従って、電流Ioutが負荷5に流れ始める(
図6(e))。また、インダクタL22に誘起電圧が生じる。誘起電圧は、ダイオードD22を介して、コンデンサC31に印加される。これにより、電圧Vccは、更に上昇する(
図6(d))。
【0124】
タイミングt34が、本開示の「第7タイミング」の一例に相当する。タイミングt32からタイミングt34までの時間が、本開示の「第3時間」の一例に相当する。
【0125】
なお、
図6の例は、負荷5に流れる電流Ioutが2段階で上昇する仕様の場合である。負荷5に流れる電流Ioutが1段階で上昇する仕様の場合には、起動シーケンス制御回路51aは、タイミングt
34で第2コンバータ21を高出力動作させ、電流Ioutをフルに上昇させれば良い。その場合、次のタイミングt
35及び閾値電圧VT3は、不要である。
【0126】
タイミングt
35において、電圧Resetが閾値電圧VT3に達すると(
図6(f))、起動シーケンス制御回路51aは、信号S58を第2レベルにする。これにより、駆動制御回路61は、高出力動作になる様にスイッチング信号S2によりトランジスタQ21のゲートを制御するように切り替える。従って、電流Ioutが更に増加する(
図6(e))。
【0127】
なお、先に説明したように、負荷5に流れる電流Ioutが1段階で上昇する仕様の場合には、起動シーケンス制御回路51aは、タイミングt34で第2コンバータ21を高出力動作させ、電流Ioutをフルに上昇させれば良い。その場合、タイミングt35及び閾値電圧VT3は、不要である。
【0128】
また、電圧Vinは、タイミングt35から第2コンバータ21が動作を開始すると、コンデンサC1が電力を更に放出するので、整流回路4から出力される全波整流波形となる。
【0129】
タイミングt
36において、電圧Resetが閾値電圧VT4に達すると(
図6(f))、起動シーケンス制御回路51aは、信号S51及び信号S52を第2レベルにする。これにより、トランジスタQ42はオン状態になり、トランジスタQ43はオフ状態になる。トランジスタQ42がオン状態になると、ノードN1がローレベルになり、トランジスタQ41のゲート電位がローレベルになるので、トランジスタQ41はオフ状態になる。従って、第1コンバータ11の第1出力端子11cと起動回路41との間、及び、起動回路41とコンデンサC31との間が、電気的に遮断される(
図6(i))。
【0130】
タイミングt
37において、電圧Resetが閾値電圧VT5に達すると(
図6(f))、起動シーケンス制御回路51aは、信号S53を第2レベルにする。これにより、コンデンサC32は、定電流回路51bに加えて、定電流回路51cによっても充電されるので、電圧Resetの上昇が速くなる。また、起動シーケンス制御回路51aは、入力電圧(電圧Multi及びVFB)の監視を再開する(
図6(j))。
【0131】
なお、電圧Resetは、フル充電された後、電圧Vinの変動に応じて変動する。
【0132】
タイミングt
38において、電圧Vinの入力が停止されると(
図6(a))、起動シーケンス制御回路51aは、信号S53を第1レベルにし、信号S54を第2レベルにする。これにより、双方向スイッチ51eがオフ状態になり、双方向スイッチ51fがオン状態になる。従って、コンデンサC32は、定電流回路51dの定電流によって放電され、電圧Resetが低下し始める(
図6(f))。又、起動シーケンス制御回路51aは、信号S51及び信号S52を第1レベルにする。これにより、トランジスタQ42がオフ状態になり、トランジスタQ43がオン状態になる。トランジスタQ42がオフ状態になると、ノードN1がハイレベルになり、トランジスタQ41のゲート電位がハイレベルになるので、トランジスタQ41はオン状態になる。従って、第1コンバータ11の第1出力端子11cと起動回路41との間、及び、起動回路41とコンデンサC31との間が、電気的に接続される(
図3(i))。但し、電圧Vccは、閾値電圧Vcc_startup_offを越えている場合は、電気的に遮断を維持している。
【0133】
また、タイミングt
38の後、コンデンサC2の電荷が放電されると、電圧VDCが低下し始める(
図6(c))。
【0134】
タイミングt
39において、電圧Resetが閾値電圧VT6に達すると(
図6(f))、起動シーケンス制御回路51aは、信号S57を第1レベルにする。これにより、駆動制御回路61は、スイッチング信号S2の出力を停止する。従って、第2コンバータ21は、動作を停止し(
図6(h))、電圧Voutの出力を停止する。これにより、電流Ioutがゼロアンペアになる(
図6(e))。また、第2コンバータ21が動作を停止することにより、インダクタL22からコンデンサC31への電圧印加が停止するので、電圧Vccが低下し始める(
図6(d))。但し、電圧Vccが、閾値電圧Vcc_startup_offを下回ると起動回路41からコンデンサC31へ電流を供給する為、電圧Vccは、閾値電圧Vcc_startup_offを維持できる(電圧VDCが、起動回路41から電圧Vccへの電流供給で、閾値電圧Vcc_startup_offを維持できないレベルまで下がると、電圧Vccは下降し始める。)。
【0135】
タイミングt
40において、電圧Resetが閾値電圧VT7に達すると(
図6(f))、起動シーケンス制御回路51aは、信号S56を第1レベルにする。これにより、駆動制御回路61は、スイッチング信号S1の出力を停止する。
【0136】
(まとめ)
電源装置1は、端子31aにパーシャルショート(抵抗性短絡)等が生じることにより電圧Vccが閾値電圧に達しない場合、第1出力端子11cと起動回路41との間、及び、起動回路41とコンデンサC31との間を電気的に遮断する。
【0137】
これにより、電源装置1は、起動回路41の中の素子の過熱を抑制することができる。
【0138】
また、電源装置1は、コンデンサC32を抵抗性短絡等の検出と起動シーケンスとに共用することができる。
【0139】
これにより、電源装置1は、コストを抑制することができる。
【0140】
また、電源装置1は、補助電源装置を不要とすることができる。
【0141】
これにより、電源装置1は、コストを抑制でき、装置容積を抑制することができる。
【0142】
以上、本開示の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本開示が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0143】
1 電源装置
2 交流電源
3 フィルタ回路
4 整流回路
5 負荷
11 第1コンバータ
21 第2コンバータ
31 制御回路
41 起動回路
41a、51b、51c、51d 定電流回路
41b レギュレータ
41c ツェナーダイオード
51 起動シーケンスタイマ回路
51a 起動シーケンス制御回路
51e、51f、51g 双方向スイッチ
61 駆動制御回路
C1、C2、C3、C31、C32 コンデンサ
R1、R2、R3、R4、R41、R42 抵抗
L11、L21、L22 インダクタ
Q11、Q21、Q41、Q42、Q43 トランジスタ
D11、D21、D22 ダイオード