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特開2024-8456コンクリートブロック用ジョイントピン
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008456
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】コンクリートブロック用ジョイントピン
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/02 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
E04B2/02 131
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110348
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】501407263
【氏名又は名称】有限会社 創友
(71)【出願人】
【識別番号】591116885
【氏名又は名称】ジャパンライフ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英之
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 洋一
(72)【発明者】
【氏名】森 有央
(57)【要約】
【課題】位置決め穴Hに位置ズレが生じたコンクリートブロックBを使用した場合でも、そのコンクリートブロックBを積み上げた個所の擁壁斜面や塀表面にズレが生じたり、隙間があいたりするのを防止することができるコンクリートブロック用ジョイントピンを提供する。
【解決手段】接合するコンクリートブロックBどうしの向かい合う接合面11に形成した同形の円錐台形状の位置決め穴12に嵌め込み可能な円錐台形状とした嵌合部1を両端部に備えており、前記嵌合部1は、一方を位置決め穴12と同形の円錐台形部1aとし、他方を位置決め穴12に接触する複数本のリブ2を放射状に形成した位置決め穴12よりも小形の円錐台形部1bとしており、前記リブ2は、切除可能なものとしている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合するコンクリートブロック(B)どうしの向かい合う接合面(11)に形成した同形の円錐台形状の位置決め穴(12)に嵌め込み可能な円錐台形状とした嵌合部(1)を両端部に備えており、前記嵌合部(1)は、一方を位置決め穴(12)と同形の円錐台形部(1a)とし、他方を位置決め穴(12)に接触する複数本のリブ(2)を放射状に形成した位置決め穴(12)よりも小形の円錐台形部(1b)としており、前記リブ(2)は、切除可能なものとしていることを特徴とするコンクリートブロック用ジョイントピン。
【請求項2】
接合するコンクリートブロック(B)どうしの向かい合う接合面(11)に形成した同形の円錐台形状の位置決め穴(12)に嵌め込み可能な円錐台形状とした嵌合部(1)を両端部に備えており、前記嵌合部(1)は、両方ともに、位置決め穴(12)に接触する複数本のリブ2を放射状に形成した位置決め穴(12)よりも小形の円錐台形部(1b、1b)としており、前記リブ(2)は、切除可能なものとしていることを特徴とするコンクリートブロック用ジョイントピン。
【請求項3】
前記リブ(2)は、両端に段部(4)を形成したものとしていることを特徴とする請求項1または2に記載のコンクリートブロック用ジョイントピン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートブロックを用いて擁壁や塀などを構築する場合、これらコンクリートブロックが、擁壁斜面や塀表面からズレたり、隙間があいたりするのを防止することができるコンクリートブロック用ジョイントピンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばコンクリートブロックで擁壁を構築する場合には、図9に示したようなコンクリートブロックBの上下接合面に円錐台形状の位置決め穴Hを形成し、この位置決め穴HにジョイントピンPを嵌め込んで、図10に示したように、コンクリートブロックBを下から上に積み上げていくようにしている(特許文献1)。
【0003】
また、例えばコンクリートブロックで塀を構築する場合にも、図11に示したようなコンクリートブロックBの上下接合面に円錐台形状の位置決め穴Hを形成し、この位置決め穴HにジョイントピンPを嵌め込んで、図12に示したように、コンクリートブロックBを下から上に積み上げていくようにしている(特許文献2)。
【0004】
前記擁壁や塀を構築する場合に使用されるコンクリートブロックBの位置決め穴Hは、それぞれのコンクリートブロックBの上下接合面に同形の円錐台形状としたものが一定位置に形成されている。
【0005】
そして、前記擁壁や塀を構築する場合に使用するジョイントピンPは、図13に示したように、何れもコンクリートブロックBの上下接合面に形成された円錐台形状の位置決め穴Hと同形の円錐台形状とした嵌合部10を両端部に有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭59ー160647号公報
【特許文献2】実開昭51ー159416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記したように擁壁や塀を構築する場合に、使用するコンクリートブロックBのすべての位置決め穴HがそれぞれのコンクリートブロックBの上下接合面の一定位置からズレることなく形成されておれば、図10図12に示したように、それぞれのコンクリートブロックBが、擁壁斜面や塀表面からズレたり、隙間があくことはない。
【0008】
しかしながら、コンクリートブロックBは、骨材や結合材などのコンクリート素材を所定形状の型枠内に流し込み、この型枠内に打設し養生した後に脱型して製造されるため、コンクリートブロックBの上下接合面の一定位置に形成される位置決め穴Hには、数mm程度の位置ズレが生じたものも混在している。
【0009】
このような位置決め穴Hに位置ズレが生じたコンクリートブロックBを使用すると、図14aや図15aに示したように、そのコンクリートブロックBを積み上げた個所の擁壁斜面にズレZが生じたり、塀表面に隙間Sがあいてしまうので、図14bや図15bに示したように、ジョイントピンPを用いることなく、コンクリートブロックBを積み上げ調整することになる。そのため、調整に時間を多く費やすようになり、コンクリートブロックBで擁壁や塀を構築する場合に非常に不便で効率が悪いという課題を有していた。
【0010】
そこで、本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、位置決め穴Hに位置ズレが生じたコンクリートブロックBを使用した場合でも、そのコンクリートブロックBを積み上げた個所の擁壁斜面や塀表面にズレが生じたり、隙間があいたりするのを防止することができるコンクリートブロック用ジョイントピンを提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そのため、本発明のコンクリートブロック用ジョイントピンは、接合するコンクリートブロックBどうしの向かい合う接合面11に形成した同形の円錐台形状の位置決め穴12に嵌め込み可能な円錐台形状とした嵌合部1を両端部に備えており、前記嵌合部1は、一方を位置決め穴12と同形の円錐台形部1aとし、他方を位置決め穴12に接触する複数本のリブ2を放射状に形成した位置決め穴12よりも小形の円錐台形部1bとしており、前記リブ2は、切除可能なものとしている。
【0012】
また、本発明のコンクリートブロック用ジョイントピンにおいて、前記嵌合部1は、両方ともに、位置決め穴12に接触する複数本のリブ2を放射状に形成した位置決め穴12よりも小形の円錐台形部1b、1bとしており、前記リブ2は、切除可能なものとしている。
【0013】
さらに、本発明のコンクリートブロック用ジョイントピンにおいて、前記リブ2は、両端に段部4を形成したものとしている。
【発明の効果】
【0014】
本発明のコンクリートブロック用ジョイントピンは、位置決め穴Hに位置ズレが生じたコンクリートブロックBを使用した場合でも、そのコンクリートブロックBを積み上げた個所の擁壁斜面や塀表面にズレが生じたり、隙間があいてしまうのを防止することができるものとなった。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明のコンクリートブロック用ジョイントピンの一実施形態を示す斜視図である。
図2図1中のAーA線による本発明のコンクリートブロック用ジョイントピンの断面図である。
図3】本発明のコンクリートブロック用ジョイントピンの他の実施形態を示す斜視図である。
図4図3中のBーB線による本発明のコンクリートブロック用ジョイントピンの断面図である。
図5】コンクリートブロックで擁壁を構築する場合の図1に示すジョイントピンの使用状態を示す要部拡大断面図である(位置決め穴に位置ズレが生じていないコンクリートブロックを用いた場合)。
図6】コンクリートブロックで擁壁を構築する場合の図1に示すジョイントピンの使用状態を示す要部拡大断面図である(位置決め穴に位置ズレが生じたコンクリートブロックを用いた場合)。
図7】コンクリートブロックで塀を構築する場合の図3に示すジョイントピンの使用状態を示す要部拡大断面図である(位置決め穴に位置ズレが生じていないコンクリートブロックを用いた場合)。
図8】コンクリートブロックで塀を構築する場合の図3に示すジョイントピンの使用状態を示す要部拡大断面図である(位置決め穴に位置ズレが生じたコンクリートブロックを用いた場合)。
図9】擁壁を構築する場合に用いるコンクリートブロックの斜視図である。
図10】従来のコンクリートブロック用ジョイントピンを用いて構築した擁壁の要部を示す断面図である(位置決め穴に位置ズレが生じていないコンクリートブロックを用いた場合)。
図11】塀を構築する場合に用いるコンクリートブロックの斜視図である。
図12】従来のコンクリートブロック用ジョイントピンを用いて構築した塀の要部を示す斜視図である(位置決め穴に位置ズレが生じていないコンクリートブロックを用いた場合)。
図13】従来のコンクリートブロック用ジョイントピンの斜視図である。
図14a】従来のコンクリートブロック用ジョイントピンを用いて構築した擁壁の要部拡大断面図である(位置決め穴に位置ズレが生じたコンクリートブロックを用いた場合)。
図14b】従来のコンクリートブロック用ジョイントピンを用いないで構築した擁壁の要部拡大断面図である(位置決め穴に位置ズレが生じたコンクリートブロックを用いた場合)。
図15a】従来のコンクリートブロック用ジョイントピンを用いて構築した塀の要部拡大断面図である(位置決め穴に位置ズレが生じたコンクリートブロックを用いた場合)。
図15b】従来のコンクリートブロック用ジョイントピンを用いないで構築した塀の要部拡大断面図である(位置決め穴に位置ズレが生じたコンクリートブロックを用いた場合)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のコンクリートブロック用ジョイントピンを実施するための形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
本発明のコンクリートブロック用ジョイントピンは、カッターナイフ、ノコギリ、グラインダーなどの機材で切削することができる材質、例えば発泡スチロールなどの合成樹脂、アルミナなどのセラミックとしており、接合するコンクリートブロックBどうしの向かい合う接合面11に形成した同形の円錐台形状の位置決め穴12に嵌め込み可能な円錐台形状とした嵌合部1を両端部に備えている。
【0018】
前記嵌合部1は、図1、2に示したように、一方を位置決め穴12と同形の円錐台形部1aとし、他方を位置決め穴12に接触する複数本のリブ2を先端から後方にかけて放射状に形成した位置決め穴12よりも小形の円錐台形部1bとしている。
【0019】
また、前記嵌合部1は、図3、4に示したように、両方ともに、位置決め穴12に接触する複数本のリブ2を先端から後方にかけて放射状に形成した位置決め穴12よりも小形の円錐台形部1b、1bとしている。
【0020】
前記嵌合部1は、図示したものでは、中心部に肉抜き穴3を形成したものとして中空としているが、肉抜き穴3を形成することなく中実としてもよい。また、この肉抜き穴3は、貫通していても、貫通していなくてもよい。このような肉抜き穴3を形成することにより、軽量化やコストの低減化がはかれるが、肉抜き穴3を形成するかしないかは、コンクリートブロック構築物のジョイントピンへの荷重の大きさなどによって決めればよい。
【0021】
前記リブ2は、横断面形状を略正方形、略長方形、略台形などとしており、前記機材で切除可能なものとしている。図示したものでは、前記リブ2は、横断面形状を略正方形としており、幅wを2~5mm、高さhを2~5mmとしているが、用途に応じこれらの寸法よりも大きくしても小さくしてもよい。また、前記リブ2は、両端に段部4を形成したものとしている。この段部4は、リブ2を切除するときに、カッターナイフなどをあてがって切除し易くするためのものである。
【0022】
さらに、前記リブ2は、図示したものでは、等間隔で4本形成したものとしているが、4本に限定されることなく、用途などに応じて、4本よりも多くしても少なくしてもよい。
【0023】
次に、コンクリートブロックで擁壁や塀を構築する場合、本発明のコンクリートブロック用ジョイントピンの使用状態を説明する。
【0024】
先ず、接合するコンクリートブロックBに形成した向かい合う位置決め穴12に位置ズレが生じていないときは、図1、2に示したジョイントピンでは、下になるコンクリートブロックBの位置決め穴12に、この位置決め穴12と同形の円錐台形部1aを嵌め込み、上方に小形の円錐台形部1bが突出するようにし、図3、4に示したジョイントピンでは、下になるコンクリートブロックBの位置決め穴12に、一方の小形の円錐台形部1bを嵌め込み、上方に他方の小形の円錐台形部1bが突出するようにする。
【0025】
そして、両ジョイントピンとも下になるコンクリートブロックBの突出した小形の円錐台形部1bに、上になるコンクリートブロックBの位置決め穴12を嵌め込んでいけば、図5図7に示したように、擁壁斜面や塀表面にズレや隙間が生じることのない擁壁や塀を構築することができる。
【0026】
この場合、図1、2に示したジョイントピンでは、下になるコンクリートブロックBの位置決め穴12の内面に、前記円錐台形部1aの外面が接触し、上になるコンクリートブロックBの位置決め穴12の内面に、前記円錐台形部1bに形成したリブ2の外面が接触して、上下のコンクリートブロックBが位置決めされることになる。また、図3、4に示したジョイントピンでは、下になるコンクリートブロックBの位置決め穴12の内面に、前記円錐台形部1bに形成したリブ2の外面が接触し、上になるコンクリートブロックBの位置決め穴12の内面に、前記円錐台形部1bに形成したリブ2の外面が接触して、上下のコンクリートブロックBが位置決めされることになる。
【0027】
次に、接合するコンクリートブロックBに形成した向かい合う位置決め穴12に位置ズレが生じているときは、図1、2に示したジョイントピンでは、下になるコンクリートブロックBの位置決め穴12に、この位置決め穴12と同形の円錐台形部1aを嵌め込み、上方に小形の円錐台形部1bが突出するようにし、図3、4に示したジョイントピンでは、下になるコンクリートブロックBの位置決め穴12に、一方の小形の円錐台形部1bを嵌め込み、上方に他方の小形の円錐台形部1bが突出するようにする。
【0028】
そして、両ジョイントピンとも下になるコンクリートブロックBの突出した小形の円錐台形部1bに、この下になるコンクリートブロックBの位置決め穴12と上になるコンクリートブロックBの位置決め穴12の位置ズレ分のリブ2をカッターナイフなどで切除してから、上になるコンクリートブロックBの位置決め穴12を嵌め込んでいけば、図6図8に示したように、擁壁斜面や塀表面にズレや隙間が生じることのない擁壁や塀を構築することができる。
【0029】
この場合、図1、2に示したジョイントピンでは、下になるコンクリートブロックBの位置決め穴12の内面に、前記円錐台形部1aの外面が接触し、上になるコンクリートブロックBの位置決め穴12の内面に、前記リブ2を切除した部分の円錐台形部1bの外面が接触して、上下のコンクリートブロックBが位置決めされることになる。また、図3、4に示したジョイントピンでは、下になるコンクリートブロックBの位置決め穴12の内面に、前記円錐台形部1bに形成したリブ2の外面が接触し、上になるコンクリートブロックBの位置決め穴12の内面に、前記リブ2を切除した部分の円錐台形部1bの外面が接触して、上下のコンクリートブロックBが位置決めされることになる。
【0030】
なお、コンクリートブロックで擁壁や塀を構築する場合、コンクリートブロックを水平方向に並べていくときにも、コンクリートブロックBの左右接合面に形成された位置決め穴(図示せず)に本発明のコンクリートブロック用ジョイントピンを用いることができ、その使用状態についても前記したようなコンクリートブロックを下から上に積み上げていくときに準じた使用状態とすればよい。
【0031】
また、本発明のコンクリートブロック用ジョイントピンは、下になるコンクリートブロックBの位置決め穴12と上になるコンクリートブロックBの位置決め穴12の大きさが相違する場合や、横に向かい合うコンクリートブロックBの位置決め穴12の大きさが相違する場合にも、前記使用状態に準じて、複数本のリブ2の何れか、または全部を切除することにより、コンクリートブロックBが擁壁斜面や塀表面からズレたり、隙間があかないようにすることができる。
【符号の説明】
【0032】
1 嵌合部
1a 同形の円錐台形部
1b 小形の円錐台形部
2 リブ
4 段部
11 接合面
12 位置決め穴
B コンクリートブロック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14a
図14b
図15a
図15b