(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084562
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置、及びその処理方法
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20240618BHJP
H05H 1/00 20060101ALI20240618BHJP
C23C 16/505 20060101ALI20240618BHJP
C23C 16/52 20060101ALI20240618BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240618BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
H05H1/46 L
H05H1/00 A
H05H1/46 R
C23C16/505
C23C16/52
H01L21/31 C
H01L21/205
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198889
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】酒井 敏彦
(72)【発明者】
【氏名】東 大介
(72)【発明者】
【氏名】藤原 将喜
【テーマコード(参考)】
2G084
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA03
2G084AA04
2G084AA05
2G084AA07
2G084CC13
2G084CC33
2G084CC34
2G084CC35
2G084DD04
2G084DD12
2G084DD22
2G084DD25
2G084DD35
2G084DD55
2G084FF07
2G084FF32
2G084HH02
2G084HH20
2G084HH42
2G084HH45
2G084HH53
2G084HH56
4K030CA04
4K030CA06
4K030CA07
4K030CA12
4K030CA17
4K030FA01
4K030GA02
4K030JA11
4K030KA30
4K030KA34
4K030KA36
5F045AA08
5F045AB02
5F045AC01
5F045AC11
5F045AC15
5F045AC16
5F045AF07
5F045DP03
5F045DP28
5F045EE19
5F045EH02
5F045EM10
5F045GB08
(57)【要約】
【課題】プラズマ処理が施される被処理物の状態をリアルタイムに把握することができるプラズマ処理装置を提供する。
【解決手段】プラズマ処理装置(1)は、アンテナ(8)と、アンテナ(8)に磁界を生成させるための高周波電流を供給する電源(9)と、処理室の内部を撮影する撮影部と、制御部と、を備える。電源(9)は、高周波電流の大きさを周期的に増減させることにより、プラズマを間歇的に発生させる。制御部は、撮影部を制御して、プラズマの消灯に同期した処理室の内部の画像を第1画像として取得する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理室と、
前記処理室の内部にプラズマを発生させるための磁界を生成するアンテナと、
前記アンテナに前記磁界を生成させるための高周波電流を供給する電源と、
前記処理室の内部を撮影する第1撮影部と、
制御部と、を備え、
前記電源は、
前記高周波電流の大きさを周期的に増減させることにより、前記プラズマを間歇的に発生させ、
前記制御部は、
前記第1撮影部を制御して、前記プラズマの消灯に同期した前記処理室の内部の画像を第1画像として取得する、プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記処理室の内部を照明する照明部、をさらに備える、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記照明部は、前記プラズマの消灯に同期して、前記処理室の内部を照明する、請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記処理室の内部に生じたプラズマをモニタするプラズマ発光モニタ、をさらに備える、請求項1から3のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
表示部、をさらに備え、
前記制御部は、
前記第1画像と、前記プラズマ発光モニタの検出結果とを前記表示部に並べて表示させる、請求項4に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記プラズマを撮影する第2撮影部、をさらに備え、
前記制御部は、
前記第2撮影部を制御して、前記プラズマの点灯に同期した前記プラズマの画像を第2画像として取得する、請求項1から3のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記第1撮影部が前記第2撮影部を兼ねている、請求項6に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
表示部、をさらに備え、
前記制御部は、
前記第1画像と、前記第2画像とを前記表示部に並べて表示させる、請求項6または7に記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
外部機器に接続可能な通信インターフェース部、をさらに備え、
前記制御部は、
前記通信インターフェース部を制御して、前記第1画像を前記外部機器に送信させる、請求項1から3のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項10】
処理室と、前記処理室の内部にプラズマを発生させるための磁界を生成するアンテナと、前記アンテナに前記磁界を生成させるための高周波電流を供給する電源と、前記処理室の内部を撮影する第1撮影部と、を備えたプラズマ処理装置の処理方法であって、
前記電源により、前記高周波電流の大きさを周期的に増減させることにより、前記プラズマを間歇的に発生させるプラズマ発生工程と、
前記第1撮影部により、前記プラズマの消灯に同期した前記処理室の内部の画像を第1画像として取得する第1画像取得工程と、を備えるプラズマ処理装置の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマ処理装置、及びその処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
真空容器内に配置したアンテナを用いて当該真空容器内に誘導結合性のプラズマを発生させるプラズマ処理装置が知られている。プラズマ処理装置は、その種別に応じて、発生させたプラズマを用いた所定のプラズマ処理を被処理物に施す。
【0003】
また、プラズマ処理装置においては、プラズマがオフのときに、被処理物に形成された膜厚を測定するものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プラズマ処理装置の内部において、プラズマ処理が施される被処理物の状態をリアルタイムに把握することについては改善の余地がある。
【0006】
本開示は上記の問題点を鑑みてなされたものであり、プラズマ処理が施される被処理物の状態をリアルタイムに把握することができるプラズマ処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本開示の一側面に係るプラズマ処理装置は、処理室と、前記処理室の内部にプラズマを発生させるための磁界を生成するアンテナと、前記アンテナに前記磁界を生成させるための高周波電流を供給する電源と、前記処理室の内部を撮影する第1撮影部と、制御部と、を備え、前記電源は、前記高周波電流の大きさを周期的に増減させることにより、前記プラズマを間歇的に発生させ、前記制御部は、前記第1撮影部を制御して、前記プラズマの消灯に同期した前記処理室の内部の画像を第1画像として取得する。
【0008】
また、本開示のプラズマ処理装置の処理方法は、処理室と、前記処理室の内部にプラズマを発生させるための磁界を生成するアンテナと、前記アンテナに前記磁界を生成させるための高周波電流を供給する電源と、前記処理室の内部を撮影する第1撮影部と、を備えたプラズマ処理装置の処理方法であって、前記電源により、前記高周波電流の大きさを周期的に増減させることにより、前記プラズマを間歇的に発生させるプラズマ発生工程と、前記第1撮影部により、前記プラズマの消灯に同期した前記処理室の内部の画像を第1画像として取得する第1画像取得工程と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様によれば、プラズマ処理が施される被処理物の状態をリアルタイムに把握することができるプラズマ処理装置、及びプラズマ処理装置の処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施形態1に係るプラズマ処理装置の構成を説明する図である。
【
図3】
図1に示したプラズマ処理装置の要部構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】
図3に示した表示部での表示内容の具体例を説明する図である。
【
図5】
図3に示した撮影部の撮影動作の動作タイミングを説明する図である。
【
図6】本開示の実施形態2に係るプラズマ処理装置の構成を説明する断面図である。
【
図7】
図6に示したプラズマ処理装置の要部構成を示す機能ブロック図である。
【
図8】
図7に示した表示部での表示内容の具体例を説明する図である。
【
図9】
図7に示した撮影部の撮影動作の動作タイミングを説明する図である。
【
図10】本開示の変形例に係るプラズマ処理装置の表示部での表示内容の具体例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
以下、本開示の実施形態1について、
図1乃至
図3を用いて詳細に説明する。
図1は、本開示の実施形態1に係るプラズマ処理装置1の構成を説明する図である。
図2は、
図1のII-II線断面図である。
図3は、
図1に示したプラズマ処理装置1の要部構成を示す機能ブロック図である。
【0012】
なお、以下の説明では、所定のプラズマ処理として、誘導結合性のプラズマを使用したプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition;化学気相堆積)法によって、被処理物としての被処理サンプルH1の表面に所定の皮膜を成膜する成膜処理を行うプラズマ処理装置1を例示して説明する。
【0013】
しかしながら、本開示は、所定のプラズマ処理として、例えば、スパッタ法によって被処理サンプルH1に所定の皮膜を成膜する成膜処理を行うプラズマ処理装置に適用することができる。また、本開示は、所定のプラズマ処理として、プラズマを用いて、被処理サンプルH1の表面に対して、所定の加工を行う表面加工処理、例えば、エッチング処理あるいはアッシング処理を行うプラズマ処理装置に適用することができる。なお、スパッタ法を行うプラズマ処理装置においては、ターゲットは、例えば、後述するプラズマ生成領域HAの内部に設置される。
【0014】
<プラズマ処理装置1の構成>
図1に示すように、本実施形態1のプラズマ処理装置1は、筐体2と、フランジ3と、真空カバー4と、アンテナカバー5と、ステージ6と、を備えている。また、プラズマ処理装置1は、アンテナ8と、制御部Cと、ステージ駆動部SDと、を備えている。さらに、プラズマ処理装置1では、被処理サンプルH1は搬送機構によってステージ6と公知のロードロック室との間で搬送される(図示せず)。
【0015】
図2に示すように、プラズマ処理装置1には、複数のアンテナ8、例えば、4つのアンテナ8が設けられており、真空カバー4及びアンテナカバー5は、アンテナ8毎に設置されている。また、プラズマ処理装置1は、撮影部Kと、照明部Lと、を備えている。また、
図3に示すように、プラズマ処理装置1は、表示部DPと、操作受付部TPと、通信インターフェース部INと、記憶部Mと、を備えている。
【0016】
被処理サンプルH1は、例えば、液晶パネルディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)パネルディスプレイなどに用いられるガラス基板、合成樹脂基板であり得る。また、被処理サンプルH1は、各種用途に用いられる半導体基板であり得る。プラズマ処理装置1は、上記所定のプラズマ処理によってバリア(防湿)膜などの所定の皮膜を被処理サンプルH1上に成膜するほか、表面やコーティング層の少なくとも一部のエッチングや表面改質を行う。なお、被処理サンプルH1以外に、立体的かつ比較的複雑な形状のボルトや金具等の治具などの構造物を被処理物として適用し得る。
【0017】
<筐体2>
筐体2は、被処理サンプルH1に対して上記所定のプラズマ処理を行う処理室を構成するための筐体本体2aを備え、当該筐体本体2aの上部には、上記処理室の内部と外部とを連通する第1の開口部2bが設けられている。本実施形態のプラズマ処理装置1では、筐体2は、上側が開口した箱体状の筐体本体2aを有しており、筐体2(筐体本体2a)の上面側には、複数の開口部を有するフランジ3が気密に取り付けられている。プラズマ処理装置1では、筐体本体2aにフランジ3が取り付けられた状態において、フランジ3の開口部は、上記処理室の内部と外部とを連通する第1の開口部2bに含まれる。換言すれば、筐体2の上面側において、フランジ3及び真空カバー4が取り付けられた場合、第1の開口部2bはフランジ3及び真空カバー4によって閉塞される。
【0018】
<フランジ3>
フランジ3は、
図2に示すように、例えば、互いに対向する2つの第1辺部3aと、第1辺部3aに直交するとともに、互いに対向する2つの第2辺部3b(
図1)と、を有する矩形状の枠体を備えている。また、フランジ3は、例えば、上記枠体の内側において一方の第2辺部3bから他方の第2辺部3bにわたって設けられた、第3辺部3c、第4辺部3d、及び第5辺部3eを備えている。換言すれば、これらの第3辺部3c、第4辺部3d、及び第5辺部3eの各両端部は、第2辺部3bに連続して形成されている。第3辺部3c、第4辺部3d、及び第5辺部3eは、2つの第1辺部3aの間において、第1辺部3aと平行となるように形成されていてよい。
【0019】
また、第1辺部3a、第2辺部3b、第3辺部3c、第4辺部3d、及び第5辺部3eはそれぞれ、第1の開口部2b側に突出する後述の突出部を有していてよい。なお、以下の説明では、第1辺部3a、第2辺部3b、第3辺部3c、第4辺部3d、及び第5辺部3eについて、辺部3hと総称する。
【0020】
<真空カバー4>
また、プラズマ処理装置1には、第1の開口部2bを閉塞する真空カバー4が、当該第1の開口部2bに脱着可能に取り付けられるように構成されている。つまり、真空カバー4は、第1の開口部2bを閉塞するようにフランジ3に気密に取り付けられるとともに、可逆的にフランジ3から取り外し可能に取り付けられる。ここで、フランジ3は、上記処理室の外部から当該処理室の内部に向かう方向において第1の開口部2bの開口面積を段階的に小さくするように形成された突出部を有していてよい。例えば、第1辺部3a、第3辺部3c、第4辺部3d、及び第5辺部3eのそれぞれは、第1の開口部2bの内部において、真空カバー4の周縁部を係止するように突出する第1の支持部を有していてよい。第1の支持部は上記突出部の一部であってよい。また、真空カバー4は、外側カバーの一例であり、第2辺部3bの上面に当接するとともに、第1辺部3a、第3辺部3c、第4辺部3d、及び第5辺部3eにおける第1の支持部の上面に当接して支持される。真空カバー4は、例えば、金属製である。
【0021】
<アンテナカバー5>
また、プラズマ処理装置1には、アンテナカバー5が第1の開口部2bの内部にてフランジ3に対し取り外し可能に支持されている。具体的には、アンテナカバー5は、
図1及び
図2に示すように、例えば、断面U字状に構成されたアンテナ収容部5aを備えている。また、アンテナカバー5は、カバー支持部5bと、カバー開口部5cとを備えている。カバー支持部5bは、断面U字状のアンテナ収容部5aの2つの端部から連続的に形成されるとともに、アンテナ収容部5aの端部から外向きに張り出すように形成された鍔部である。つまり、カバー支持部5bは、外向きフランジ形状を有する。
【0022】
ここで、例えば、フランジ3の辺部3hは、第1の開口部2bの内部において、アンテナカバー5の周縁部を係止するように突出する第2の支持部を有していてよい。第2の支持部は、上記突出部の一部であり、上記第1の支持部よりも第1の開口部2bの内部側に突出している(突出長が大きい)。アンテナカバー5が第1の開口部2bの内部に支持された状態において、カバー支持部5bは、フランジ3の辺部3h(の上記第2の支持部)によって支持される。また、アンテナカバー5は、アンテナ収容部5aによって囲まれて形成されたカバー開口部5cを有している。
【0023】
また、アンテナカバー5は、例えば、アルミナなどの誘電材料を用いて構成されており、誘電性を有する内側カバーを構成している。また、アンテナカバー5には、アンテナ収容部5aは、アンテナ8の形状に対応するように形成されている。アンテナ収容部5aは、アンテナ8が取り付けられた状態において、アンテナ8の外周面の一部を覆うような形状に構成されている。また、アンテナカバー5には、カバー支持部5bがフランジ3の辺部3hに取り外し可能に支持されている。さらに、アンテナカバー5には、カバー開口部5cが真空カバー4側に開口するように設けられている。このカバー開口部5cは、後述のアンテナ収容空間AKの一部を構成する第2の開口部の一例である。
【0024】
また、筐体2には、少なくとも真空カバー4及びアンテナカバー5によって囲まれたアンテナ収容空間AKが形成されている。本実施形態のプラズマ処理装置1には、アンテナ収容空間AKは、フランジ3の内壁面によっても囲まれている。このアンテナ収容空間AKは、包囲空間の一例であり、誘導結合性のプラズマを発生させるためのアンテナ8が収容されている。但し、このアンテナ収容空間AKには、その空間の大きさがアンテナ8によるプラズマを維持することができない大きさに設定されているため、プラズマ非生成領域として機能する。
【0025】
<アンテナ8>
アンテナ8は、例えば、円筒状に構成されるとともに、銅などの金属材料を用いて構成されている。また、アンテナ8の一方の端部及び他方の端部は、それぞれアンテナ絶縁部13A及び13Bを介して真空カバー4に電気的に絶縁された状態で設けられており、筐体2の外部に気密に引き出されている。
【0026】
また、アンテナ8には、チラー12が接続されており、当該チラー12によって循環された冷却媒体、例えば、冷却水によってアンテナ8は所定温度に冷却されるようになっている。具体的には、チラー12は、図示しないポンプ等の駆動部を含み、冷却水を循環させるためのチラー本体12aと、チラー本体12aに気密に連結された配管12bとを備えている。また、配管12bは、アンテナ8の内部空間にも配置されており、アンテナ8の当該内部空間を冷却水の循環路として利用するよう構成されている。すなわち、アンテナ8には、
図1に矢印R1及びR2にて示すように、アンテナ8の内部空間に冷却水を流すことにより、当該アンテナ8の冷却を行うようになっている。
【0027】
また、アンテナ8の一方の端部及び他方の端部には、インピーダンス調整部10及びインピーダンス調整部11がそれぞれ電気的に接続されている。インピーダンス調整部10は、図示しない整合回路を備えており、整合回路を介してアンテナ8の一方の端部が電源9に接続されている。また、インピーダンス調整部11は、可変コンデンサを備えており、アンテナ8の他方の端部は可変コンデンサを介して電気的に接地されている。
【0028】
電源9は、例えば、13.56MHzの高周波電力を、インピーダンス調整部10を介してアンテナ8の一方の端部に供給する。プラズマ処理装置1には、制御部Cがインピーダンス調整部11の上記可変コンデンサの容量を変更することにより、アンテナ8に高周波電力が効率的に供給されるように制御する。
【0029】
また、本実施形態1には、電源9、インピーダンス調整部10、及びインピーダンス調整部11はアンテナ8毎に設けられており、制御部Cは、アンテナ8毎の電源9の制御を行うことにより、各アンテナ8で発生させるプラズマの生成制御を実行し得る。これにより、本実施形態1では、制御部Cは、アンテナ8をより適切に動作させることができ、アンテナ収容空間AKでのプラズマの発生を確実に抑制可能となる。この結果、本実施形態1では、アンテナ8の損傷等の発生をより確実に抑えることができる。
【0030】
また、本実施形態1では、各電源9は、対応するアンテナ8に対して供給する、高周波電流の大きさを周期的に増減させることにより、当該アンテナ8によるプラズマを間歇的に発生させるように構成されている。
【0031】
また、筐体2には、第1の開口部2bの内部にアンテナカバー5を取り付けることによって、当該筐体2の内部空間が画定されてプラズマ生成領域HAが筐体本体2aの内部に形成される。このプラズマ生成領域HAの内部には、ステージ6及び当該ステージ6に支持された被処理サンプルH1が配置されるようになっており、プラズマ生成領域HAが上記処理室を実質的に構成している。換言すれば、筐体2では、アンテナカバー5により、プラズマ生成領域HAと上記プラズマ非生成領域とが互いに区切られている。
【0032】
さらに、筐体2では、フランジ3及び真空カバー4がそれぞれ筐体本体2a及びフランジ3に気密に取り付けられることにより、上記処理室を含んだ真空容器を構成している。つまり、
図1に示すように、筐体2では、真空ポンプPOが筐体本体2aに連結されており、制御部Cが真空ポンプPOの制御を行うことにより、プラズマ生成領域HAの内部は少なくともプラズマ処理の際に所定の真空度とされる。
【0033】
具体的にいえば、筐体2では、真空ポンプPOを用いて排気することにより、プラズマ生成領域HA内が減圧されるとともに、アンテナ収容空間AKも減圧される。これは、アンテナカバー5と筐体2とが互いに接する部分は真空シールされておらず、隙間を介してプラズマ生成領域HAとアンテナ収容空間AKとは互いに連通しているためである。アンテナ収容空間AKは、プラズマ生成領域HAと比べると狭く、プラズマの生成及び維持が困難な領域(プラズマ非生成領域)となっており、アンテナ8に通電してプラズマ生成領域HAにプラズマを発生させている状態において、アンテナ収容空間AKの気圧は、プラズマ生成領域HAと同等の、例えば1Pa~100Paであってよい。なお、
図1に示すように、筐体2及びステージ6は、各々電気的に接地されている。
【0034】
また、筐体2には、プラズマ生成領域HAの内部での圧力(真空度)を検知する圧力計(図示せず)が設けられており、制御部Cは、当該圧力計の検知結果を用いて、プラズマ生成領域HAの内部の真空度の制御を行う。
【0035】
また、筐体2には、上記所定のプラズマ処理に対応した、上記皮膜の成膜用ガスを含んだ処理ガスを筐体2のプラズマ生成領域HA(処理室)の内部に導入する処理ガス供給部を備えており(図示せず)、処理ガスの雰囲気下で当該プラズマ処理が行われるようになっている。なお、処理ガスは、例えば、アルゴン、水素、窒素、シラン、または酸素である。
【0036】
また、筐体2には、ステージ6の温度を検出する温度センサが設けられており(図示せず)、当該温度センサの検出結果は、制御部Cに出力される。そして、制御部Cは、入力した温度センサの検出結果を用いたフィードバック制御を行うことにより、上記プラズマ処理中に、ステージ6を予め定められた設定温度となるように制御する。
【0037】
また、筐体2には、
図1に示すように、ステージ6を駆動するためのステージ駆動部SDが設けられている。ステージ駆動部SDは、図示しないモータ等の駆動機構を含んでおり、制御部Cからの指示に従って、ステージ6について、所定の駆動動作を行うよう構成されている。具体的にいえば、ステージ駆動部SDは、例えば、筐体2の内部で、被処理サンプルH1を載置した状態のステージ6に揺動動作を行わせたり、ステージ6に回転動作を行わせたり、ステージ6に昇降動作を行わせたりするようになっている。
【0038】
<表示部DP及び操作受付部TP>
表示部DPは、液晶ディスプレイなどの表示装置(図示せず)を備えており、制御部Cからの指示に従って、ユーザに対して所定の情報表示を行う。操作受付部TPは、操作ボタンなどの所定の操作部材(図示せず)が設けられており、ユーザによって操作されることにより、プラズマ処理装置1に対するユーザからの指示を受付け、制御部Cに通知する。なお、この説明以外に、例えば、タッチパネルを表示部DPの表示装置に一体的に設けて、当該表示部DPをプラズマ処理装置1の操作受付部TPとしても機能させてもよい。
【0039】
<撮影部K及び照明部L>
撮影部K及び照明部Lは、
図2に例示するように、例えば、フランジ3の第4辺部3dに一体的に設けられている。撮影部Kには、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子が含まれている。本実施形態1のプラズマ処理装置1では、撮影部Kは、上記処理室の内部を撮影する第1撮影部を構成している。また、本実施形態1のプラズマ処理装置1では、撮影部Kは、上記処理室の内部に生じたプラズマを撮影する第2撮影部を構成している。換言すれば、本実施形態1のプラズマ処理装置1は、第1撮影部が第2撮影部を兼ねた撮影部Kを備えている。また、照明部Lは、例えば、ランプやLEDなどの発光部材を備えており、当該発光部材から所定の照明光を発することにより、処理室の内部を照明する。
【0040】
<通信インターフェース部IN及び記憶部M>
通信インターフェース部INは、制御部Cからの指示に従って、有線形式または無線形式のネットワークを介してプラズマ処理装置1の外部機器(例えば、コンピュータ端末)との間で双方向のデータ通信を行う。記憶部Mは、例えば、RAMまたはNVM(不揮発性メモリ)を用いて構成されており、情報の読み出し及び書き込みが可能なメモリである。記憶部Mには、制御部Cで用いられる、所定のプログラム、及び後述の第1画像のデータなどの所定の情報が記憶される。
【0041】
<制御部C>
制御部Cは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含み、情報処理に応じてプラズマ処理装置1の各部の制御を行う機能ブロックである。具体的には、制御部Cは、プラズマ生成領域HAにおける被処理サンプルH1のプラズマ処理について、所定の制御処理を実行する。
【0042】
また、
図3に示すように、制御部Cは、電源制御部C1と、撮影制御部C2と、照明制御部C3と、表示制御部C4と、通信制御部C5と、ステージ制御部C6と、を備えている。電源制御部C1は、電源9の制御を行う機能ブロックである。撮影制御部C2は、撮影部Kの制御を行う機能ブロックである。照明制御部C3は、照明部Lの制御を行う機能ブロックである。
【0043】
表示制御部C4は、表示部DPの制御を行う機能ブロックである。通信制御部C5は、通信インターフェース部INの制御を行う機能ブロックである。ステージ制御部C6は、ステージ駆動部SDの制御を行う機能ブロックである。制御部Cでは、操作受付部TPまたは通信インターフェース部INを介して受領したユーザからの指示に従って、電源制御部C1、撮影制御部C2、照明制御部C3、表示制御部C4、通信制御部C5、及びステージ制御部C6が、それぞれ電源9、撮影部K、照明部L、表示部DP、通信インターフェース部IN、及びステージ駆動部SDを制御する。
【0044】
<プラズマ処理装置1の動作例>
以下、
図4及び
図5も参照して本実施形態1のプラズマ処理装置1の動作例について具体的に説明する。なお、以下の説明では、表示部DPでの表示動作の具体例について主に説明する。
図4は、
図3に示した表示部DPでの表示内容の具体例を説明する図である。
図5は、
図3に示した撮影部Kの撮影動作の動作タイミングを説明する図である。
【0045】
本実施形態1のプラズマ処理装置1では、ユーザからのプラズマ処理動作の開始指示を受領すると、まず電源制御部C1が電源9を制御して、アンテナ8への高周波電流の大きさを周期的に増減させる。
【0046】
換言すれば、電源制御部C1は、電源9の制御を行うことにより、上記高周波電流の大きさが所定の時間間隔によって交互に所定の第1電流値と所定の第2電流値となるように変動させる。なお、これらの第1電流値及び第2電流値の一方は、零の値でもよく、電源制御部C1は、電源9をオンまたはオフして高周波電流をアンテナ8に供給または高周波電流を停止してもよい。これにより、本実施形態1のプラズマ処理装置1では、筐体(処理室)2の内部に、プラズマを間歇的に発生させるプラズマ発生工程が行われる。また、電源9をオンまたはオフにする場合には、筐体2の内部のプラズマは、それぞれ点灯または消灯となる。
【0047】
また、プラズマ発生工程では、制御部Cの撮影制御部C2が撮影部Kを制御して、撮影部Kによって上記処理室の内部に生じたプラズマを、当該プラズマの点灯に同期して撮影させる。換言すれば、上記高周波電流がオンにされたときに、撮影部Kは、撮影動作を実行する。これにより、本実施形態1のプラズマ処理装置1では、処理室の内部でのプラズマの点灯に同期したプラズマの画像を第2画像として取得する第2画像取得工程が行われる。この第2画像取得工程によって取得された第2画像のデータは、記憶部Mに格納されて保持される。
【0048】
次に、本実施形態1のプラズマ処理装置1では、制御部Cの撮影制御部C2が撮影部Kを制御して、処理室の内部でのプラズマの消灯に同期した当該処理室の内部の画像を第1画像として取得する第1画像取得工程が行われる。換言すれば、上記高周波電流がオフにされたときに、撮影部Kは、撮影動作を実行する。この第1画像取得工程によって取得された第1画像のデータは、記憶部Mに格納されて保持される。
【0049】
また、第1画像取得工程では、照明制御部C3がプラズマの消灯に同期して上記処理室の内部が照明されるように照明部Lを制御する。これにより、撮影部Kは、照明部Lからの所定の照明光によって所定の照度で照らされた被処理サンプルH1を撮影して第1画像を得ることができる。この結果、本実施形態1のプラズマ処理装置1では、プラズマ処理が施される被処理サンプルH1が照明部Lからの照明光によって照明されて第1画像として撮影されることから、プラズマの発光の影響を排除しつつ、当該第1画像を高精細に取得することができる。更には、本実施形態1のプラズマ処理装置1では、照明部Lは撮影部Kによる第1画像の取得タイミングをプラズマの消灯に同期させることから、高精細な第1画像を容易に取得することができる。
【0050】
続いて、本実施形態1のプラズマ処理装置1では、制御部Cの表示制御部C4が記憶部Mを参照することにより、第1画像のデータ及び第2画像のデータを記憶部Mから読み出して、当該第1画像と第2画像とを表示部DPに並べて表示させる。
【0051】
なお、上記の説明以外に、制御部Cの通信制御部C5が記憶部Mを参照することにより、第1画像のデータ及び第2画像のデータを記憶部Mから読み出して、通信インターフェース部INを介して第1画像及び第2画像のうち、少なくとも第1画像を上記外部機器に送信する構成でもよい。この結果、外部機器では、プラズマ処理中のプラズマの状態及びプラズマ処理が施される被処理サンプルH1の状態のうち、少なくとも被処理サンプルH1の状態をリアルタイムに把握することができる。
【0052】
具体的にいえば、
図4に示すように、表示制御部C4は、例えば、表示部DPに設定された第1表示領域DP1及び第2表示領域DP2に第2画像及び第1画像をそれぞれ表示させる。また、表示部DPに設定された第3表示領域DP3には、例えば、
図4に示すように、プラズマ処理条件などの所定の情報が表示されるようになっている。
【0053】
また、
図5に示すように、本実施形態1のプラズマ処理装置1では、撮影部Kの撮影動作は、処理室の内部でのプラズマ発光強度に同期して行われる。具体的にいえば、電源制御部C1が電源9をオンにすることにより、上記高周波電流をアンテナ8に流して筐体2の内部でプラズマを点灯させる。このプラズマが筐体2の内部で点灯している期間TAにおいては、撮影部Kは上記第2撮影部として機能してプラズマの点灯と同じタイミングで当該プラズマを撮影する。また、電源制御部C1が電源9をオフにすることにより、アンテナ8への高周波電流の供給を停止させてプラズマを消灯させる。このプラズマが筐体2の内部で消灯している期間TBにおいては、撮影部Kは上記第1撮影部として機能してプラズマの消灯と同じタイミングで処理室の内部、つまりプラズマ処理が施される被処理サンプルH1を撮影する。
【0054】
また、本実施形態1のプラズマ処理装置1では、期間TA及び期間TBは、
図5に示すように、被処理サンプルH1へのプラズマ処理が完了するまで交互に設定される。また、これらの期間TA及びTBの具体的な時間の大きさは、例えば、プラズマ処理がプラズマのオン/オフを繰り返すパルスプラズマ処理であり、周期が、例えば、1msecの場合、それぞれ、例えば、0.9msec~0.1msecの範囲内の値及び0.1msec~0.9msecの範囲内の値である。具体的には、例えば、0.8msecのプラズマのオン時間及び0.2msecのプラズマのオフ時間を設定してもよい。
【0055】
以上のように構成された本実施形態1のプラズマ処理装置1は、制御部Cは撮影部Kを制御して、プラズマの消灯に同期した筐体(処理室)2の内部の画像を第1画像として取得する。これにより、本実施形態1では、プラズマ処理が施される被処理サンプル(被処理物)H1の状態、例えば、被処理サンプルH1の実像から得られる色味や形状などの状態をリアルタイムに把握することができるプラズマ処理装置を構成することができる。
【0056】
また、本実施形態1のプラズマ処理装置1では、
図4に示したように、表示部DPにおいて、第1画像及び第2画像が同時に表示されることから、被処理サンプルH1のより正確な状態をリアルタイムに把握することができる。
【0057】
〔実施形態2〕
本開示の実施形態2について
図6及び
図7を用いて具体的に説明する。
図6は、本開示の実施形態2に係るプラズマ処理装置1の構成を説明する断面図である。
図7は、
図6に示したプラズマ処理装置1の要部構成を示す機能ブロック図である。なお、説明の便宜上、上記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0058】
実施形態2と実施形態1との主な相違点は、プラズマ発光モニタPMを筐体2に設置した点である。
【0059】
図6に示すように、本実施形態2のプラズマ処理装置1には、プラズマ発光モニタPMが筐体本体2aに設けられている。プラズマ発光モニタPMは、プラズマ処理の際に筐体2の内部に生じたプラズマをモニタする。プラズマ発光モニタPMは、制御部Cに設けられたモニタ制御部C7(
図7)によって制御される。
【0060】
具体的にいえば、プラズマ発光モニタPMは、例えば、筐体2の内部のプラズマからの光を検知する受光素子と、当該受光素子が検知した検知光を分光する分光器と、を備えている(図示せず)。そして、プラズマ発光モニタPMでは、分光器は受光素子によって受光した光の波長スペクトル(つまり、プラズマの発光スぺクトル)を取得して、モニタ制御部C7に出力する。モニタ制御部C7は、所要の分光強度(波長スペクトルにおける所要の波長帯の強度)に基づき、筐体2の内部に生じたプラズマの発光強度を取得する。
【0061】
また、モニタ制御部C7は、発光分光分析装置(Optical Emission Spectrometer)としても機能するようになっており、受光素子の検知光に対して、所定の分光分析処理を実行するよう構成されている。これにより、モニタ制御部C7では、筐体2の内部にプラズマが発生した場合、分光分析結果を基に、そのプラズマに含まれる、元素及び元素の濃度を検知することが可能となる。なお、上記プラズマの発光強度及び分光分析結果、プラズマ発光モニタPMの検出結果であり、プラズマに関する所定の発光データの具体例である。
【0062】
また、本実施形態2のプラズマ処理装置1では、表示制御部C4は、例えば、上記第1画像とプラズマ発光モニタPMの検出結果とを表示部DPに並べて表示させる。
【0063】
<プラズマ処理装置1の動作例>
ここで、
図8及び
図9も参照して本実施形態2のプラズマ処理装置1の動作例について具体的に説明する。なお、以下の説明では、表示部DPでの表示動作の具体例について主に説明する。
図8は、
図7に示した表示部DPでの表示内容の具体例を説明する図である。
図9は、
図7に示した撮影部Kの撮影動作の動作タイミングを説明する図である。
【0064】
図8に示すように、表示制御部C4は、例えば、表示部DPに設定された第1表示領域DP1及び第2表示領域DP2に、それぞれプラズマ発光モニタPMの検出結果、例えば、発光スペクトル及び第1画像をそれぞれ表示させる。また、表示部DPに設定された第3表示領域DP3には、例えば、
図8に示すように、プラズマ処理条件などの所定の情報が表示されるようになっている。
【0065】
なお、ユーザは、第1表示領域DP1に表示された上記発光スペクトルを視認することにより、プラズマ処理において、例えば、シリコン等の材料に対応する波長の光の発光量の減少から、その量がプラズマ処理に応じて削減されてきたと判別することが可能となる。換言すれば、ユーザは、プラズマ処理の進捗状況を把握することができる。
【0066】
また、
図9に示すように、本実施形態2のプラズマ処理装置1では、撮影部Kの撮影動作は、処理室の内部でのプラズマ発光強度に同期して行われる。具体的にいえば、電源制御部C1が電源9をオンにして電源9からの出力が存在する期間TCにおいては、撮影部Kは上記第2撮影部として機能して筐体2の内部に生じているプラズマを撮影する。また、電源制御部C1が電源9をオフにして電源9からの出力がゼロである期間TDにおいては、撮影部Kは上記第1撮影部として機能して処理室の内部、つまりプラズマ処理が施される被処理サンプルH1を撮影する。
【0067】
以上の構成により、本実施形態2のプラズマ処理装置1は、実施形態1のものと同様な効果を奏する。
【0068】
また、本実施形態2のプラズマ処理装置1では、プラズマ発光モニタPMの検出結果によって、プラズマに関する所定の発光データを取得するので、プラズマの状態、ひいては被処理サンプルH1の状態をより正確に把握することができる。また、本実施形態2のプラズマ処理装置1では、表示部DPに、第1画像とプラズマ発光モニタの検出結果とが同時に表示されるので、被処理サンプルH1のより正確な状態をリアルタイムに把握することができる。
【0069】
〔変形例〕
本開示の変形例について、
図10を用いて具体的に説明する。
図10は、本開示の変形例に係るプラズマ処理装置1の表示部DPでの表示内容の具体例を説明する図である。なお、説明の便宜上、上記実施形態2にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0070】
変形例と実施形態2との主な相違点は、表示制御部C4がプラズマ発光強度の時間的変化のグラフを表示部DPに表示させた点である。
【0071】
本変形例のプラズマ処理装置1では、モニタ制御部C7がプラズマ発光モニタPMの検出結果を基にプラズマ発光強度の時間的変化を算出する。そして、本変形例のプラズマ処理装置1では、
図10に示すように、表示制御部C4が、例えば、表示部DPに設定された第1表示領域DP1に、プラズマ発光強度の時間的変化のグラフを表示させる。
【0072】
以上の構成により、本変形例のプラズマ処理装置1は、実施形態2のものと同様な効果を奏する。
【0073】
なお、上記の説明では、例えば、
図9に示したように、電源9のオン及びオフに同期して、第2画像及び第1画像を撮影する場合について説明した。しかしながら、本開示はこれに限定されるものではない。例えば、プラズマ発光強度を検出して、その検出値が所定の閾値以下になった時点で第1画像を撮影してもよい。また、例えば、プラズマ発光波形の周期を検出して、その周期に同期して第1画像を撮影してもよい。このようにすることで、アンテナ8への高周波電流の供給を停止させた直後に、比較的寿命が長いラジカル等の発光が残る場合も、より確実に、プラズマ消灯時のノイズが少ないタイミングで撮影することが可能となる。
【0074】
また、上記の説明では、第1画像と、第2画像またはプラズマ発光モニタの検出結果とを表示部DPに並べて表示する場合について説明したが、本開示はプラズマ処理が施される被処理物の状態をリアルタイムに把握することができるものであれば何等限定されるものではない。例えば、第1画像と、第2画像と、プラズマ発光モニタの検出結果とを表示部DPに並べて表示する構成でもよい。
【0075】
また、上記の説明では、第1撮影部と第2撮影部とを兼ねた撮影部Kを用いた構成について説明したが、本開示はこれに限定されるものではなく、第1撮影部と第2撮影部とを別個の撮影部によって構成してもよい。但し、上記実施形態のように、第1撮影部と第2撮影部とを兼ねた撮影部Kを用いる場合の方が、処理室の内部を撮影する撮影部の構成、ひいてはプラズマ処理装置1の構成を簡略化することができる点で好ましい。
【0076】
また、上記の説明以外に、筐体(処理室)2内は必ずしも真空である必要はなく、筐体2は、例えば、大気圧プラズマや液中プラズマを発生させる構造であってもよい。この場合、被処理サンプルH1は、各種植物や、動物の皮膚等の一部や細胞等であってもよく、プラズマ処理装置1は、被処理サンプルH1の表面改質を行うほか、表面や内部に、プラズマにより活性化されたラジカルやイオン等の活性種を供給する。この場合、プラズマ処理が施される被処理サンプルH1の状態、例えば、被処理サンプルH1の実像から得られる色味や形状などの、リアルタイムでの把握が非常に重要であり、より最適な処理条件を設定することやプラズマ処理を実施することが可能となる。
【0077】
〔まとめ〕
上記の課題を解決するために、本開示の第1態様のプラズマ処理装置は、処理室と、前記処理室の内部にプラズマを発生させるための磁界を生成するアンテナと、前記アンテナに前記磁界を生成させるための高周波電流を供給する電源と、前記処理室の内部を撮影する第1撮影部と、制御部と、を備え、前記電源は、前記高周波電流の大きさを周期的に増減させることにより、前記プラズマを間歇的に発生させ、前記制御部は、前記第1撮影部を制御して、前記プラズマの消灯に同期した前記処理室の内部の画像を第1画像として取得する。
【0078】
上記構成によれば、プラズマ処理が施される被処理物の状態をリアルタイムに把握することができるプラズマ処理装置を提供することができる。
【0079】
本開示の第2態様は、第1態様のプラズマ処理装置において、前記処理室の内部を照明する照明部、をさらに備えてもよい。
【0080】
上記構成によれば、照明部が所定の照明光によってプラズマ処理が施される被処理物を照明することができることから、第1画像を高精細に取得することができる。
【0081】
本開示の第3態様は、第2態様のプラズマ処理装置において、前記照明部は、前記プラズマの消灯に同期して、前記処理室の内部を照明してもよい。
【0082】
上記構成によれば、照明部は第1撮影部による第1画像の取得タイミングをプラズマの消灯に同期させることから、高精度な第1画像を容易に取得することができる。
【0083】
本開示の第4態様は、第1態様から第3態様のいずれかの態様のプラズマ処理装置において、前記処理室の内部に生じたプラズマをモニタするプラズマ発光モニタ、をさらに備えてもよい。
【0084】
上記構成によれば、プラズマ発光モニタの検出結果によって、プラズマに関する所定の発光データを取得することができ、プラズマの状態、ひいては被処理物の状態をより正確に把握することができる。
【0085】
本開示の第5態様は、第4態様のプラズマ処理装置において、表示部、をさらに備え、前記制御部は、前記第1画像と、前記プラズマ発光モニタの検出結果とを前記表示部に並べて表示させてもよい。
【0086】
上記構成によれば、第1画像とプラズマ発光モニタの検出結果とが表示部に同時に表示されることから、被処理物のより正確な状態をリアルタイムに把握することができる。
【0087】
本開示の第6態様は、第1態様から第5態様のいずれかの態様のプラズマ処理装置において、前記プラズマを撮影する第2撮影部、をさらに備え、前記制御部は、前記第2撮影部を制御して、前記プラズマの点灯に同期した前記プラズマの画像を第2画像として取得してもよい。
【0088】
上記構成によれば、プラズマの点灯に同期したプラズマの画像が第2画像として取得されるので、被処理物のより正確な状態をリアルタイムに把握することができる。
【0089】
本開示の第7態様は、第6態様のプラズマ処理装置において、前記第1撮影部が前記第2撮影部を兼ねてもよい。
【0090】
上記構成によれば、処理室の内部を撮影する撮影部の構成、ひいてはプラズマ処理装置の構成を簡略化することができる。
【0091】
本開示の第8態様は、第6態様または第7態様のプラズマ処理装置において、表示部、をさらに備え、前記制御部は、前記第1画像と、前記第2画像とを前記表示部に並べて表示させてもよい。
【0092】
上記構成によれば、第1画像と第2画像とが表示部に同時に表示されることから、被処理物のより正確な状態をリアルタイムに把握することができる。
【0093】
本開示の第9態様は、第1態様から第8態様のいずれかの態様のプラズマ処理装置において、外部機器に接続可能な通信インターフェース部、をさらに備え、前記制御部は、前記通信インターフェース部を制御して、前記第1画像を前記外部機器に送信させてもよい。
【0094】
上記構成によれば、第1画像が通信インターフェース部を介して外部機器に送信されることから、外部機器において、プラズマ処理が施される被処理物の状態をリアルタイムに把握することができる。
【0095】
本開示の第10態様のプラズマ処理装置の処理方法は、処理室と、前記処理室の内部にプラズマを発生させるための磁界を生成するアンテナと、前記アンテナに前記磁界を生成させるための高周波電流を供給する電源と、前記処理室の内部を撮影する第1撮影部と、を備えたプラズマ処理装置の処理方法であって、前記電源により、前記高周波電流の大きさを周期的に増減させることにより、前記プラズマを間歇的に発生させるプラズマ発生工程と、前記第1撮影部により、前記プラズマの消灯に同期した前記処理室の内部の画像を第1画像として取得する第1画像取得工程と、を備える。この場合、上記第1態様と同様の効果を奏する。
【0096】
本開示は上述した各実施形態及び変形例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態及び変形例に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0097】
1 プラズマ処理装置
2 筐体(処理室)
8 アンテナ
9 電源
C 制御部
K 撮影部(第1撮影部、第2撮影部)
L 照明部
PM プラズマ発光モニタ
DP 表示部
IN 通信インターフェース部