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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084563
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20240618BHJP
   C23C 14/40 20060101ALI20240618BHJP
   C23C 16/509 20060101ALI20240618BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240618BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
H05H1/46 L
C23C14/40
C23C16/509
H01L21/31 C
H01L21/302 101C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198890
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】藤原 将喜
(72)【発明者】
【氏名】酒井 敏彦
(72)【発明者】
【氏名】東 大介
【テーマコード(参考)】
2G084
4K029
4K030
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA03
2G084AA04
2G084AA05
2G084BB02
2G084BB05
2G084BB30
2G084BB35
2G084BB37
2G084CC13
2G084CC33
2G084DD03
2G084DD04
2G084DD12
2G084DD22
2G084DD25
2G084DD55
2G084FF32
2G084HH20
2G084HH45
2G084HH53
4K029CA05
4K029DC28
4K029DC35
4K030FA04
4K030KA02
4K030KA16
4K030KA30
5F004BB18
5F004BB29
5F004BD01
5F004BD04
5F004BD05
5F004CB12
5F004DA23
5F004DA24
5F004DA25
5F045AA08
5F045AC01
5F045AC15
5F045AC16
5F045BB10
5F045DP02
5F045EC05
5F045EH02
5F045EH04
5F045EH08
5F045EJ05
5F045EJ09
5F045GB05
(57)【要約】
【課題】内側カバーを設けた場合でも、メンテナンス性を向上させることができるプラズマ処理装置を提供する。
【解決手段】プラズマ処理装置(1)は、処理室内部と外部とを連通する開口部(2b)が設けられた筐体(2)と、筐体(2)に脱着可能に取り付けられ、開口部(2b)を閉塞する真空カバー(4)と、プラズマを発生させるための棒状のアンテナ(8)と、真空カバー(4)との間にアンテナ(8)を包囲するアンテナ収容空間(AK)を構成するアンテナカバー(5)と、を備える。アンテナカバー(5)は、アンテナ(8)の長手方向に沿って複数に分割されている。被覆カバー(14)が、アンテナカバー(5)の分割部を覆うように設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理室を構成する筐体であって、前記処理室内部と外部とを連通する開口部が設けられた筐体と、
前記筐体に脱着可能に取り付けられ、前記開口部を閉塞する外側カバーと、
前記処理室内部に配置された、プラズマを発生させるための棒状のアンテナと、
前記外側カバーよりも内側に配置されるとともに、前記外側カバーとの間に前記アンテナを包囲する包囲空間を構成する、誘電性を有する内側カバーと、を備え、
前記内側カバーは、前記アンテナの長手方向に沿って複数に分割されており、
前記外側カバーまたは前記内側カバーに固定され、かつ、前記内側カバーの分割部を覆うように設けられる、誘電性を有する被覆カバーを更に備える、プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記外側カバーは、スペーサーを介在させて前記筐体に取り付けられている、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記スペーサーには、前記外側カバーを脱着可能に支持する支持台が含まれている、請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記被覆カバーは、前記内側カバーの全体を覆うように設けられている、請求項1から3のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記被覆カバーは、前記アンテナの長手方向に沿って分割された複数の被覆部材によって構成されている、請求項4に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記内側カバーのプラズマ耐性は、前記被覆カバーのプラズマ耐性よりも小さい、請求項4に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記アンテナは、直線状に構成された直線状部と、前記直線状部に連続的に設けられるとともに、当該直線状部に対して折り曲げられた折り曲げ部とを有し、
前記被覆カバーは、少なくとも前記折り曲げ部に対向するように、設けられている、請求項1から3のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
真空容器内に配置したアンテナを用いて当該真空容器内に誘導結合性のプラズマを発生させるプラズマ処理装置が知られている。プラズマ処理装置は、その種別に応じて、発生させたプラズマを用いた所定のプラズマ処理を被処理基板に施す。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のプラズマ処理装置は、真空容器の上壁に設けられた空洞の内部に高周波アンテナが配置されたアンテナ配置部と、上壁の内面側全体を覆うように設けられた仕切板とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2012/033191号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のような従来のプラズマ処理装置では、仕切板が真空容器に固定されていた。そのため、当該プラズマ処理装置のメンテナンス作業を行う場合、例えば仕切板を固定しているネジを真空容器の内部側から取り外して、真空容器から仕切板を取り外すことが要求されることがあった。この場合、プラズマ処理装置の解体に近い作業を要する。それゆえ、従来のプラズマ処理装置では、そのメンテナンス作業に手間および時間を要するという問題点があった。
【0006】
本開示は上記の問題点を鑑みてなされたものであり、内側カバーを設けた場合でも、メンテナンス性を向上させることができるプラズマ処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本開示の一側面に係るプラズマ処理装置は、処理室を構成する筐体であって、前記処理室内部と外部とを連通する開口部が設けられた筐体と、前記筐体に脱着可能に取り付けられ、前記開口部を閉塞する外側カバーと、前記処理室内部に配置された、プラズマを発生させるための棒状のアンテナと、前記外側カバーよりも内側に配置されるとともに、前記外側カバーとの間に前記アンテナを包囲する包囲空間を構成する、誘電性を有する内側カバーと、を備え、前記内側カバーは、前記アンテナの長手方向に沿って複数に分割されており、前記外側カバーまたは前記内側カバーに固定され、かつ、前記内側カバーの分割部を覆うように設けられる、誘電性を有する被覆カバーを更に備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様によれば、内側カバーを設けた場合でも、メンテナンス性を向上させることができるプラズマ処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態1に係るプラズマ処理装置の構成を説明する図である。
図2図1のII-II線断面図である。
図3】本開示の実施形態2に係るプラズマ処理装置の構成を説明する図である。
図4図3のIV-IV線断面図である。
図5】本開示の実施形態3に係るプラズマ処理装置の構成を説明する図である。
図6図5のVI-VI線断面図である。
図7】本開示の実施形態4に係るプラズマ処理装置の構成を説明する図である。
図8図7のVIII-VIII線断面図である。
図9】本開示の変形例に係るプラズマ処理装置の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
以下、本開示の実施形態1について、図1および図2を用いて詳細に説明する。図1は、本開示の実施形態1に係るプラズマ処理装置1の構成を説明する図である。図2は、図1のII-II線断面図である。
【0011】
なお、以下の説明では、所定のプラズマ処理として、誘導結合性のプラズマを使用したプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition;化学気相堆積)法によって、被処理物としての被処理基板H1の表面に所定の皮膜を成膜する成膜処理を行うプラズマ処理装置1を例示して説明する。
【0012】
しかしながら、本開示は、所定のプラズマ処理として、例えば、スパッタ法によって被処理基板H1に所定の皮膜を成膜する成膜処理を行うプラズマ処理装置1に適用することができる。また、本開示は、所定のプラズマ処理として、プラズマを用いて、被処理基板H1の表面に対して、所定の加工を行う表面加工処理、例えば、エッチング処理あるいはアッシング処理を行うプラズマ処理装置1に適用することができる。なお、スパッタ法を行うプラズマ処理装置1においては、ターゲットは、例えば、後述するプラズマ生成領域HAの内部に設置される。
【0013】
<プラズマ処理装置1の構成>
図1および図2に示すように、本実施形態1のプラズマ処理装置1は、筐体2と、フランジ(スペーサー)33と、真空カバー(外側カバー)4と、アンテナカバー(内側カバー)5と、ステージ6と、アンテナ8と、被覆カバー14と、を備えている。また、プラズマ処理装置1では、図2に示すように、複数のアンテナ8、例えば、4つのアンテナ8が設けられており、真空カバー4、アンテナカバー5、および被覆カバー14は、アンテナ8毎に設置されている。さらに、プラズマ処理装置1では、被処理基板H1は搬送機構によってステージ6と公知のロードロック室との間で搬送される(図示せず)。
【0014】
被処理基板H1は、例えば、液晶パネルディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)パネルディスプレイなどに用いられるガラス基板、合成樹脂基板であり得る。また、被処理基板H1は、各種用途に用いられる半導体基板であり得る。プラズマ処理装置1は、上記所定のプラズマ処理によってバリア(防湿)膜などの所定の皮膜を被処理基板H1上に成膜する。
【0015】
<筐体2>
筐体2は、被処理基板H1に対して上記所定のプラズマ処理を行う処理室を構成している。また、筐体2は、上側が開口した箱体状の筐体本体2aを備え、当該筐体本体2aの上部には、上記処理室と外部環境とを連通する、開口部としての第1の開口部2bが設けられている。また、筐体2(筐体本体2a)の上端面には、図2に示すように、複数の開口部を有するフランジ33が気密に取り付けられている。プラズマ処理装置1では、筐体本体2aにフランジ33が取り付けられた状態において、フランジ33の開口部は、上記処理室の内部と外部とを連通する第1の開口部2bに含まれる。換言すれば、筐体2の上端面において、フランジ33および真空カバー4が取り付けられた場合、筐体2に脱着可能に取り付けられる真空カバー4は、フランジ33とともに、第1の開口部2bを閉塞している。
【0016】
<フランジ33>
フランジ33は、図2に示すように、例えば、5つのフランジ部材33a、33b、33c、33d、33eを備えており、真空カバー4を筐体2に取り付けるためのスペーサーとして機能している。換言すれば、これらの各フランジ部材33a~33eは、真空カバー4が取り付けられる段差部が形成された板材を用いて構成されている。また、各フランジ部材33a~33eの一端部および他端部は、筐体本体2aの互いに対向する2辺の上面に固定されている(図示せず)。フランジ部材33a~33eは、アンテナ8の長手方向に沿って互いに平行に、かつ、当該長手方向と直交する方向(つまり、図2の紙面の左右方向)で等間隔となるように筐体2上に取り付けられている。
【0017】
このように、本実施形態1では、フランジ部材33a~33eが上記スペーサーとして機能しているので、当該スペーサーを調整することにより、真空カバー4及びこれに取り付けられたアンテナ8の位置を調整することができる。これにより、本実施形態1では、被処理基板H1に対する、アンテナ8の高さ調整およびその長手方向の傾き調整を容易に行うことができ、高精度なプラズマ処理を実行可能なプラズマ処理装置1を容易に構成することができる。
【0018】
<真空カバー4>
また、プラズマ処理装置1では、第1の開口部2bを閉塞する真空カバー4が、筐体2に脱着可能に取り付けられるように構成されている。つまり、真空カバー4は、第1の開口部2bを閉塞するようにフランジ33を介在させて筐体本体2aに気密に取り付けられるとともに、可逆的にフランジ33および筐体本体2aから取り外し可能に取り付けられる。ここで、フランジ33は、外部環境から上記処理室に向かう方向において第1の開口部2bの開口面積を段階的に小さくするように形成された上記段差部を有している。例えば、フランジ部材33a~33eのそれぞれは、第1の開口部2bの内部において、真空カバー4の周縁部を係止するように突出する支持部を有してもよい。この支持部は上記段差部の一部であってもよい。また、真空カバー4は、外側カバーの一例であり、図2に示すように、フランジ部材33a~33eの各段差部の上面に当接して支持される。真空カバー4は、例えば、金属製である。
【0019】
<アンテナカバー5>
また、プラズマ処理装置1では、アンテナカバー5が真空カバー4よりも筐体2の内側で真空カバー4に固定されている。また、プラズマ処理装置1では、少なくとも真空カバー4およびアンテナカバー5によって囲まれたアンテナ収容空間AKが形成されている。このアンテナ収容空間AKは、包囲空間の一例であり、誘導結合性のプラズマを発生させるためのアンテナ8が収容されている。但し、このアンテナ収容空間AKでは、その空間の大きさがアンテナ8によるプラズマを維持することができない大きさに設定されているため、プラズマ非生成領域として機能する。
【0020】
アンテナカバー5は、図1および図2に示すように、例えば、断面U字状に構成されたアンテナ収容部5aを備えている。また、アンテナカバー5は、アンテナ8の長手方向に沿って複数に分割されている。具体的にいえば、アンテナカバー5のアンテナ収容部5aには、アンテナ8の長手方向に沿って、複数、例えば、4つに分割されたアンテナ収容部材5a1、5a2、5a3、5a4を備えている。これらのアンテナ収容部材5a1~5a4は、各々、アンテナカバー5の分割部を構成している。
【0021】
また、アンテナ収容部5aにおいては、隣接する2つのアンテナ収容部材5a1~5a4は所定の隙間を介して設けられている。具体的にいえば、アンテナ収容部材5a1とアンテナ収容部材5a2とは、隙間K1を挟むように設けられている。アンテナ収容部材5a2とアンテナ収容部材5a3とは、隙間K2を挟むように設けられている。アンテナ収容部材5a3とアンテナ収容部材5a4とは、隙間K3を挟むように設けられている。
【0022】
アンテナ収容部材5a1~5a4は、各々、カバー支持部5bと、カバー開口部5cとを備えている。カバー支持部5bは、対応するアンテナ収容部材5a1~5a4の2つの端部から連続的に形成されるとともに、対応するアンテナ収容部材5a1~5a4の端部から外向きに張り出すように形成された鍔部である。つまり、カバー支持部5bは、外向きフランジ形状を有する。また、図2に示すように、カバー支持部5bが、例えば、図示しないネジ等を用いて真空カバー4の内側表面に固定されることにより、対応するアンテナ収容部材5a1~5a4が、各々真空カバー4に直接的に取り付けられる。
【0023】
また、アンテナカバー5は、例えば、ガラスや石英などの誘電材料を用いて構成されており、誘電性を有する内側カバーを構成している。また、アンテナカバー5では、アンテナ収容部材5a1~5a4は、アンテナ8の形状に対応するように形成されている。アンテナ収容部材5a1~5a4は、アンテナ8が取り付けられた状態において、アンテナ8の外周面の一部を覆うような形状に構成されている。さらに、アンテナカバー5では、カバー開口部5cが真空カバー4側に開口するように設けられている。このカバー開口部5cは、アンテナ収容空間AKの一部を構成する第2の開口部の一例である。
【0024】
また、本実施形態1のプラズマ処理装置1では、図2に示すように、アンテナカバー5が筐体本体2aの上端面に設けられたフランジ33によって筐体2の内部側に支持されている。これにより、本実施形態1では、アンテナカバーのアンテナ支持部が筐体の上側表面に接した状態で当該アンテナカバーを筐体に取り付ける場合に比べて、プラズマ処理装置をコンパクトに構成することができる。換言すれば、本実施形態1のプラズマ処理装置1では、アンテナカバー5の上部部分(カバー支持部5b)が筐体2の上側表面から突出することなく、アンテナカバー5を筐体2に着脱可能に取り付けることができる。これにより、本実施形態1のプラズマ処理装置1では、筐体2が大型化することを抑制することができる。
【0025】
<アンテナ8>
アンテナ8は、例えば、棒状に構成されるとともに、銅などの金属材料を用いて構成されている。また、アンテナ8の一方の端部および他方の端部は、それぞれアンテナ絶縁部13Aおよび13Bを介して真空カバー4に電気的に絶縁された状態で設けられており、筐体2の外部に気密に引き出されている。具体的にいえば、アンテナ8は、図1に示すように、直線状に構成された直線状部8aと、直線状部8aに連続的に設けられるとともに、当該直線状部8aに対して折り曲げられた折り曲げ部8b、8dと、を備えている。また、アンテナ8は、折り曲げ部8b、8dにそれぞれ連続的に設けられるとともに、アンテナ絶縁部13A、13Bにそれぞれ保持されて、筐体2の外部に引き出される終端部8c、8eを備えている。
【0026】
また、アンテナ8には、チラー12が設置されており、当該チラー12によって循環された冷却媒体、例えば、冷却水によってアンテナ8は所定温度に冷却されるようになっている。具体的には、チラー12は、図示しないポンプ等の駆動部を含み、冷却水を循環させるためのチラー本体12aと、チラー本体12aに気密に連結された配管12bとを備えている。また、配管12bは、アンテナ8の内部空間にも配置されており、アンテナ8の当該内部空間を冷却水の循環路として利用するよう構成されている。すなわち、アンテナ8では、図1に矢印R1およびR2にて示すように、アンテナ8の内部空間に冷却水を流すことにより、当該アンテナ8の冷却を行うようになっている。
【0027】
また、アンテナ8の一方の終端部8cおよび他方の終端部8eには、インピーダンス調整部10およびインピーダンス調整部11がそれぞれ電気的に接続されている。インピーダンス調整部10は、図示しない整合回路を備えており、整合回路を介してアンテナ8の一方の端部が電源9に接続されている。また、インピーダンス調整部11は、可変コンデンサを備えており、アンテナ8の他方の終端部8eは可変コンデンサを介して電気的に接地されている。
【0028】
また、アンテナ8は、図1に示すように、筐体2の外部への引出し部分である、終端部8c、8e以外の、プラズマを発生させるための主要部分として、直線状部8aおよび折り曲げ部8b、8dを備えている。これにより、本実施形態1のプラズマ処理装置1では、例えば、螺旋状やU字状などの湾曲形状を含んでいる場合に比べて、アンテナを容易に、かつ、コストが安価に製造することができる。また、本実施形態1では、アンテナ8の長手方向での傾きを調整することにより、当該アンテナ8によるプラズマの発生分布を容易に調整することが可能となる。
【0029】
また、図2に示すように、アンテナカバー5は、アンテナ8の上記主要部分に対応して形成されて当該主要部分を収容する断面U字状のアンテナ収容部材5a1~5a4を備えている。これにより、本実施形態1では、複数のアンテナ8を設ける場合でも、複数の各アンテナ8の設置スペース、ひいては筐体2およびプラズマ処理装置1の小型化を容易に図ることができる。
【0030】
電源9は、例えば、13.56MHzの高周波電力を、インピーダンス調整部10を介してアンテナ8の一方の端部に供給する。プラズマ処理装置1では、図示しない制御部がインピーダンス調整部11の上記可変コンデンサの容量を変更することにより、アンテナ8に高周波電力が効率的に供給されるように制御する。
【0031】
また、本実施形態1では、電源9、インピーダンス調整部10、およびインピーダンス調整部11はアンテナ8毎に設けられており、上記制御部は、アンテナ8毎の電源9の制御を行うことにより、各アンテナ8で発生させるプラズマの生成制御を実行し得る。これにより、本実施形態1では、上記制御部は、アンテナ8をより適切に動作させることができ、アンテナ収容空間AKでのプラズマの発生を確実に抑制可能となる。この結果、本実施形態1では、アンテナ8の損傷等の発生をより確実に抑えることができる。
【0032】
被覆カバー14は、例えば、炭化シリコンやアルミナなどの誘電材料を用いた誘電性を有している。また、被覆カバー14は、図1に示すように、アンテナ8の長手方向に沿って分割された複数、例えば、3つの被覆部材14a、14b、14cを備えている。これらの被覆部材14a~14cは、アンテナカバー5の上記分割部を覆うように設けられている。
【0033】
具体的にいえば、被覆部材14aは、少なくとも隙間K1を閉塞するように、アンテナ収容部材5a1および5a2に取り付けられている。被覆部材14bは、少なくとも隙間K2を閉塞するように、アンテナ収容部材5a2および5a3に取り付けられている。被覆部材14cは、少なくとも隙間K3を閉塞するように、アンテナ収容部材5a3および5a4に取り付けられている。このように、被覆部材14a~14cが、それぞれ隙間K1~K3を閉塞しているので、筐体2の内部に生じたプラズマが、アンテナ収容空間AKの内部に入る可能性を大幅に低減することができる。
【0034】
被覆カバー14においては、被覆部材14a~14cは、各々、例えば、図示しないネジ等の固定部材により、アンテナカバー5に取り付けられている。また、被覆カバー14では、被覆部材14a、14cは、それぞれアンテナ8の折り曲げ部8b、8dに対向するように設けられている。これにより、筐体2の内部において折り曲げ部8b、8dに対向する領域のみ、プラズマ密度が不適切に大きくなるのを抑制することができ、被処理基板H1に対して、高精度なプラズマ処理を容易に行うことができる。なお、上記説明以外に、例えば、真空カバー4に対して、被覆部材14a~14cが取り付けられる構成でもよい。
【0035】
また、本実施形態1のプラズマ処理装置1では、アンテナカバー5は、筐体2の内部側に設けられた被覆カバー14によって被覆されている。これにより、本実施形態1のプラズマ処理装置1では、アンテナカバー5は、被覆カバー14のプラズマ耐性よりも小さいプラズマ耐性を有する材料、すなわち筐体2の内部で生じたプラズマに対する耐久性が小さい材料を用いて、構成されている。具体的にいえば、アンテナカバー5および被覆カバー14は、上述したように、それぞれガラスや石英などの誘電材料および炭化シリコンやアルミナなどの誘電材料を用いて構成することができる。この結果、本実施形態1では、コストが安価なアンテナカバー5、ひいてはコストが安価なプラズマ処理装置1を容易に構成することができる。
【0036】
また、筐体2では、第1の開口部2bの内部にアンテナカバー5および被覆カバー14を取り付けることによって、当該筐体2の内部空間が画定されてプラズマ生成領域HAが筐体本体2aの内部に形成される。このプラズマ生成領域HAの内部には、ステージ6および当該ステージ6に支持された被処理基板H1が配置されるようになっており、プラズマ生成領域HAが上記処理室を実質的に構成している。換言すれば、筐体2では、アンテナカバー5および被覆カバー14により、プラズマ生成領域HAと上記プラズマ非生成領域とが互いに区切られている。
【0037】
さらに、筐体2では、フランジ33および真空カバー4が筐体本体2aに気密に取り付けられることにより、上記処理室を含んだ真空容器を構成している。つまり、図1に示すように、筐体2では、真空ポンプPOが筐体本体2aに連結されており、上記制御部が真空ポンプPOの制御を行うことにより、プラズマ生成領域HAの内部は少なくともプラズマ処理の際に所定の真空度とされる。
【0038】
具体的にいえば、筐体2では、真空ポンプPOを用いて排気することにより、プラズマ生成領域HA内が減圧されるとともに、アンテナ収容空間AKも減圧される。これは、アンテナカバー5と筐体2とが互いに接する部分は真空シールされておらず、隙間を介してプラズマ生成領域HAとアンテナ収容空間AKとは互いに連通しているためである。アンテナ収容空間AKは、プラズマ生成領域HAと比べると狭く、プラズマの生成および維持が困難な領域(プラズマ非生成領域)となっており、アンテナ8に通電してプラズマ生成領域HAにプラズマを発生させている状態において、アンテナ収容空間AKの気圧は、プラズマ生成領域HAと同等の、例えば1Pa~100Paであってよい。なお、図1に示すように、筐体2およびステージ6は、各々電気的に接地されている。
【0039】
また、筐体2には、プラズマ生成領域HAの内部での圧力(真空度)を検知する第1圧力計が設けられており(図示せず)、上記制御部は、第1圧力計の検知結果を用いて、プラズマ生成領域HAの内部の真空度の制御を行う。
【0040】
また、筐体2には、ステージ6の温度を検出する温度センサが設けられており(図示せず)、当該温度センサの検出結果は、上記制御部に出力される。そして、上記制御部は、入力した温度センサの検出結果を用いたフィードバック制御を行うことにより、上記プラズマ処理中に、ステージ6を予め定められた設定温度となるように制御する。
【0041】
また、筐体2には、上記所定のプラズマ処理に対応した、上記皮膜の成膜用ガスを含んだ処理ガスを筐体2のプラズマ生成領域HA(処理室)の内部に導入する処理ガス供給部を備えており(図示せず)、処理ガスの雰囲気下で当該プラズマ処理が行われるようになっている。なお、処理ガスは、例えば、アルゴン、水素、窒素、シラン、または酸素である。
【0042】
以上のように構成された本実施形態1のプラズマ処理装置1は、処理室内部と外部とを連通する第1の開口部2bが設けられた筐体2と、筐体2に脱着可能に取り付けられ、第1の開口部2bを閉塞する真空カバー4と、を備えている。また、プラズマ処理装置1は、プラズマを発生させるための棒状のアンテナ8と、真空カバー4との間にアンテナ8を包囲するアンテナ収容空間AKを構成するアンテナカバー5と、を備えている。プラズマ処理装置1では、アンテナカバー5は、アンテナ8の長手方向に沿って複数に分割されたアンテナ収容部材5a1~5a4を有する。また、プラズマ処理装置1では、被覆カバー14が、アンテナカバー5のアンテナ収容部材5a1~5a4を覆うように設けられている。
【0043】
以上の構成により、本実施形態1では、アンテナカバー5を設けた場合でも、メンテナンス性を向上させることができるプラズマ処理装置1を構成することができる。具体的にいえば、本実施形態1では、真空カバー4、アンテナカバー5、および被覆カバー14は筐体2に対してその第1の開口部2b側から自在に取り出すことができる。この結果、本実施形態1では、プラズマ処理装置1のメンテナンス作業を実施するときに、真空カバー4、アンテナカバー5、および被覆カバー14を筐体2から容易に取り除くことができ、当該メンテナンス作業に手間および時間を要する可能性を大幅に低減することができる。
【0044】
また、本実施形態1では、アンテナ8毎に、真空カバー4、アンテナカバー5、および被覆カバー14が設けられているので、アンテナ8単位に、設置作業、交換作業、位置調整作業、およびメンテナンス作業等を行うことが可能となる。この結果、本実施形態1では、取り扱いが容易で高品質なプラズマ処理装置1を簡単に構成することができる。
【0045】
また、本実施形態1では、アンテナカバー5が真空カバー4に固定されているので、アンテナ8の取り付けまたは取り出すときに、アンテナカバー5を直接的にハンドリングする必要がない。これにより、本実施形態1では、欠けや割れなどの破損がアンテナカバー5に生じる可能性を大幅に小さくすることができ、プラズマ処理装置1のメンテナンス時間およびコストを低減することができる。
【0046】
また、本実施形態1では、アンテナカバー5はアンテナ収容部材5a1~5a4に分割されているため。アンテナカバー5自体のコストを低減することができる。また、アンテナカバー5において、例えば、破損が生じて交換が必要となった場合でも、交換を必要とするいずれかのアンテナ収容部材5a1~5a4だけを交換することが可能となる。この結果、本実施形態1では、プラズマ処理装置1のメンテナンス時間およびコストを低減することができる。
【0047】
また、本実施形態1では、アンテナカバー5において、いずれかのアンテナ収容部材5a1~5a4の長さを変更することによって、アンテナ8の長手方向の寸法の変更に容易に対応することができ、コストが安価なプラズマ処理装置1を簡単に構成することができる。
【0048】
また、本実施形態1では、アンテナカバー5において、隙間K1~K3が設けられているので、各アンテナ収容部材5a1~5a4に熱膨張係数の違いが生じたとしても、対応する隙間K1~K3によって隣接する2つのアンテナ収容部材5a1~5a4が接触する可能性を大幅に低減することができる。この結果、本実施形態1では、熱膨張係数の違いによる、アンテナ収容部材5a1~5a4の破損を確実に抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態1では、被覆部材14a~14cに分割された被覆カバー14がアンテナカバー5を覆うように設けられているので、アンテナ8の長手方向において、アンテナカバー5および被覆カバー14の各厚みを合計した誘電体の厚みを容易に調整することができる。この結果、本実施形態1では、被処理基板H1の表面でのプラズマ密度などを調整することができ、被処理基板H1に対して、高精度なプラズマ処理を容易に行うことができる。また、本実施形態1では、処理室内に生じるプラズマの面内均一性を容易に向上させることができることから、プラズマ処理装置1の立上げ時間を短縮することができる。
【0050】
また、本実施形態1では、アンテナカバー5はアンテナ8の形状に一致するように形成されたアンテナ収容部5aと、アンテナ収容空間AKの一部を構成するカバー開口部5cとを備えている。これにより、本実施形態1では、ステージ6上の被処理基板H1に対して、アンテナ8を近接して配置することを容易に行うことが可能となる。この結果、本実施形態1では、被処理基板H1に対するプラズマ処理を効率よく実行することができる。
【0051】
また、本実施形態1では、図2に示されるように、アンテナ8はアンテナカバー5のアンテナ収容部5aによって被処理基板H1側に突出するように筐体2の内部に配置されている。このため、本実施形態1では、アンテナ8の円周方向で考えたとき、当該アンテナ8からのプラズマの発生領域を180度よりも大きくできる。つまり、図2において、アンテナ8の直径よりも上側部分からもプラズマ処理に用いられるプラズマを被処理基板H1に付与することができる。この結果、本実施形態1では、プラズマ処理に用いられるプラズマを効率よく発生させることができる。
【0052】
また、本実施形態1では、図1に示すように、アンテナ8の長手方向の一方の端部および他方の端部がアンテナカバー5のアンテナ収容部5aによって保持された状態で筐体2の内部に配置されている。このため、本実施形態1では、アンテナ8の長手方向の一方の端部および他方の端部からプラズマ処理に用いられるプラズマを被処理基板H1に付与することができる。この結果、本実施形態1では、一方の端部および他方の端部からのプラズマの密度低下を抑えることができ、アンテナ8の長手方向のプラズマ密度の均一性を向上させることができる。
【0053】
また、本実施形態1のプラズマ処理装置1では、アンテナカバー5および被覆カバー14がプラズマ生成領域HAとプラズマ非生成領域(アンテナ収容空間AK)とを互いに区切っている。これにより、本実施形態1では、異常放電の発生またはプラズマの発生によってアンテナ8等が損傷して、パーティクルなどの汚染物質がアンテナ収容空間AKに生じたとしても、汚染物質のプラズマ生成領域HA側への侵入をアンテナカバー5および被覆カバー14によって大幅に抑制することができ、汚染物質による被処理基板H1の品質低下の発生する可能性を極力低減することができる。
【0054】
〔実施形態2〕
本開示の実施形態2について、図3および図4を用いて具体的に説明する。図3は、本開示の実施形態2に係るプラズマ処理装置1の構成を説明する図である。図4は、図3のIV-IV線断面図である。なお、説明の便宜上、上記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0055】
本実施形態2と上記実施形態1との主な相違点は、上記スペーサーとして、5つのフランジ部材33a~33eを備えたフランジ部33に代えて、枠体状に一体的に構成されたフランジ3を用いた点である。
【0056】
図3および図4に示すように、本実施形態2のプラズマ処理装置1では、真空カバー4は、フランジ(スペーサー)3を介在させて筐体2に取り付けられている。このフランジ3は、例えば、互いに対向する2つの第1辺部3aと、第1辺部3aに直交するとともに、互いに対向する2つの第2辺部3bと、を有する矩形状の枠体を備えている。また、フランジ3は、例えば、上記枠体の内側において一方の第2辺部3bから他方の第2辺部3bにわたって設けられた、第3辺部3c、第4辺部3d、および第5辺部3eを備えている。すなわち、これらの第3辺部3c、第4辺部3d、および第5辺部3eの各両端部は、第2辺部3bに連続して形成されている。第3辺部3c、第4辺部3d、および第5辺部3eは、2つの第1辺部3aの間において、第1辺部3aと平行となるように形成されていてよい。
【0057】
また、第1辺部3a、第2辺部3b、第3辺部3c、第4辺部3d、および第5辺部3eはそれぞれ、第1の開口部2b側に突出する突出部を有していてよい。なお、以下の説明では、第1辺部3a、第2辺部3b、第3辺部3c、第4辺部3d、および第5辺部3eについて、辺部3hと総称する。
【0058】
また、本実施形態2のプラズマ処理装置1では、アンテナカバー(内側カバー)15が第1の開口部2bの内部にてフランジ3に対し取り外し可能に支持されている。具体的には、アンテナカバー15は、図3及び図4に示すように、例えば、断面U字状に構成されたアンテナ収容部15aを備えている。また、アンテナカバー15は、アンテナ8の長手方向に沿って複数に分割されている。具体的にいえば、アンテナカバー15のアンテナ収容部15aには、アンテナ8の長手方向に沿って、複数、例えば、4つに分割されたアンテナ収容部材15a1、15a2、15a3、15a4を備えている。これらのアンテナ収容部材15a1~15a4は、各々、アンテナカバー15の分割部を構成している。また、被覆カバー14が、実施形態1のものと同様に、アンテナ収容部材15a1~15a4を覆うように設けられている。
【0059】
また、アンテナ収容部15aにおいては、隣接する2つのアンテナ収容部材15a1~15a4は所定の隙間を介して設けられている。具体的にいえば、アンテナ収容部材15a1とアンテナ収容部材15a2とは、隙間K1を挟むように設けられている。アンテナ収容部材15a2とアンテナ収容部材15a3とは、隙間K2を挟むように設けられている。アンテナ収容部材15a3とアンテナ収容部材15a4とは、隙間K3を挟むように設けられている。
【0060】
アンテナ収容部材15a1~15a4は、各々、カバー支持部15bと、カバー開口部15cとを備えている。カバー支持部15bは、対応するアンテナ収容部材15a1~5a4の2つの端部から連続的に形成されるとともに、対応するアンテナ収容部材15a1~15a4の端部から外向きに張り出すように形成された鍔部である。つまり、カバー支持部15bは、外向きフランジ形状を有する。また、図3および図4に示すように、カバー支持部15bが、被覆カバー14を介在させてフランジ3の辺部3hに支持されることにより、対応するアンテナ収容部材15a1~15a4が、各々フランジ3および筐体本体2aに取り付けられる。
【0061】
また、アンテナカバー15は、例えば、ガラスや石英などの誘電材料を用いて構成されており、誘電性を有する内側カバーを構成している。また、アンテナカバー15では、アンテナ収容部材15a1~15a4は、アンテナ8の形状に対応するように形成されている。アンテナ収容部材15a1~15a4は、アンテナ8が取り付けられた状態において、アンテナ8の外周面の一部を覆うような形状に構成されている。さらに、アンテナカバー15では、カバー開口部15cが真空カバー4側に開口するように設けられている。このカバー開口部15cは、アンテナ収容空間AKの一部を構成する第2の開口部の一例である。
【0062】
また、本実施形態2のプラズマ処理装置1では、図4に示すように、アンテナカバー15が筐体本体2aの上端面に設けられたフランジ3によって筐体2の内部側に支持されている。これにより、本実施形態2では、アンテナカバーのアンテナ支持部が筐体の上側表面に接した状態で当該アンテナカバーを筐体に取り付ける場合に比べて、プラズマ処理装置をコンパクトに構成することができる。換言すれば、本実施形態2のプラズマ処理装置1では、アンテナカバー15の上部部分(カバー支持部15b)が筐体2の上側表面から突出することなく、アンテナカバー15を筐体2に着脱可能に取り付けることができる。これにより、本実施形態2のプラズマ処理装置1では、筐体2が大型化することを抑制することができる。
【0063】
ここで、例えば、フランジ3の辺部3hは、第1の開口部2bの内部において、アンテナカバー15の周縁部を係止するように突出する第2の支持部を有していてよい。第2の支持部は、上記突出部の一部であり、上記第1の支持部よりも第1の開口部2bの内部側に突出している(突出長が大きい)。アンテナカバー15が第1の開口部2bの内部に支持された状態において、カバー支持部5bは、フランジ3の辺部3h(の上記第2の支持部)によって支持される。また、アンテナカバー15は、アンテナ収容部15aによって囲まれて形成されたカバー開口部15cを有している。
【0064】
以上の構成により、本実施形態2のプラズマ処理装置1は、実施形態1のものと同様な効果を奏する。
【0065】
また、本実施形態2のプラズマ処理装置1では、筐体2の第1の開口部2b側には、アンテナカバー15を取り外し可能に支持するフランジ3が設けられている。これにより、本実施形態2では、アンテナカバー15を容易に筐体2に設けることができる。さらに、本実施形態2では、真空カバー4、アンテナカバー5、被覆カバー14、およびアンテナ8などを筐体2から容易に取り外すことが可能となって、メンテナンス性に優れたプラズマ処理装置1を容易に構成することができる。
【0066】
また、本実施形態2では、ネジ止めを用いていた上記従来例と異なり、アンテナカバー15はネジ止め等を行うことなく、筐体2の内部に設置することができる。この結果、本実施形態2では、プラズマ生成領域HA(処理室)の内部を所定の真空度の真空環境下にしたときでも、上記従来例と異なり、ネジ止めの箇所を起点とする割れまたは変形などがアンテナカバー15に生じる可能性を大幅に低減することができる。
【0067】
〔実施形態3〕
本開示の実施形態3について、図5および図6を用いて具体的に説明する。図5は、本開示の実施形態3に係るプラズマ処理装置1の構成を説明する図である。図6は、図5のVI-VI線断面図である。なお、説明の便宜上、上記実施形態2にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0068】
本実施形態3と上記実施形態2との主な相違点は、上記スペーサーにおいて、筐体2に対して真空カバー4を脱着可能に支持する支持台16を設けた点である。
【0069】
図5および図6に示すように、本実施形態3のプラズマ処理装置1では、支持台(スペーサー)16が真空カバー4とフランジ3との間に設けられている。この支持台16は、筐体2に対して真空カバー4を脱着可能に支持する。また、アンテナカバー15は、支持台16を介在させてフランジ3に支持されている。
【0070】
以上の構成により、本実施形態3のプラズマ処理装置1は、実施形態2のものと同様な効果を奏する。
【0071】
また、本実施形態3のプラズマ処理装置1では、筐体2から、アンテナカバー15および被覆カバー14と一体でアンテナ8および真空カバー4を取り外せることができる。この結果、本実施形態3では、プラズマ処理装置1のメンテナンス性をさらに向上させることができる。
【0072】
また、本実施形態3では、アンテナカバー15に対する、支持台16の支持高さを部分的に調整して、調整した支持台16に合わせて、アンテナ8を真空カバー4に取り付けることができる。これにより、本実施形態3では、アンテナカバー15、ひいては被処理基板H1に対する、アンテナ8の高さ調整およびその長手方向の傾き調整を容易に行うことができる。この結果、本実施形態3では、高精度なプラズマ処理を実行することができるプラズマ処理装置1を容易に構成することができる。
【0073】
〔実施形態4〕
本開示の実施形態4について、図7および図8を用いて具体的に説明する。図7は、本開示の実施形態4に係るプラズマ処理装置1の構成を説明する図である。図8は、図7のVIII-VIII線断面図である。なお、説明の便宜上、上記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0074】
本実施形態4と上記実施形態1との主な相違点は、真空カバー4と上記スペーサーとしてのフランジ部33との間にスペーサー部材18を介在させた点である。
【0075】
図7および図8に示すように、本実施形態4のプラズマ処理装置1では、スペーサー部材(スペーサー)18が、アンテナ8毎に、真空カバー4とフランジ33との間に設けられている。このスペーサー部材18は、例えば、金属材料を用いて、枠状に構成されており、筐体本体2aの上端面上に設置されている。そして、スペーサー部材18は、矩形状に形成された、真空カバー4の4辺を支持している。
【0076】
以上の構成により、本実施形態4のプラズマ処理装置1は、実施形態1のものと同様な効果を奏する。
【0077】
また、本実施形態4のプラズマ処理装置1では、筐体2に対して、スペーサー部材18を介在させて真空カバー4およびこれに取り付けられたアンテナ8を支持していることから、スペーサー部材18を調整することにより、アンテナ8の位置を調整することができる。換言すれば、本実施形態4では、実施形態1のものと異なり、フランジ部33を変更することなく、被処理基板H1に対する、アンテナ8の高さ調整およびその長手方向の傾き調整を容易に行うことができる。
【0078】
〔変形例〕
本開示の変形例について、図9を用いて具体的に説明する。図9は、本開示の変形例に係るプラズマ処理装置1の構成を説明する図である。なお、説明の便宜上、上記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0079】
本変形例と上記実施形態1との主な相違点は、アンテナカバー5の全体を覆う被覆カバー24を設けた点である。
【0080】
本変形例のプラズマ処理装置1では、被覆カバー24が、アンテナカバー5の筐体2側の表面全体を覆うように設けられている。これにより、本変形例では、被覆カバー24のみを交換することにより、プラズマ処理装置1のメンテナンスを終了することができる。この結果、本変形例では、優れたメンテナンス性を有するプラズマ処理装置1を容易に構成することができる。
【0081】
なお、上記の説明以外に、上記実施形態と同様に、被覆カバー24をアンテナ8の長手方向に沿って複数の被覆部材に分割する構成でもよい。
【0082】
〔まとめ〕
上記の課題を解決するために、本開示の第1態様のプラズマ処理装置は、処理室を構成する筐体であって、前記処理室内部と外部とを連通する開口部が設けられた筐体と、前記筐体に脱着可能に取り付けられ、前記開口部を閉塞する外側カバーと、前記処理室内部に配置された、プラズマを発生させるための棒状のアンテナと、前記外側カバーよりも内側に配置されるとともに、前記外側カバーとの間に前記アンテナを包囲する包囲空間を構成する、誘電性を有する内側カバーと、を備え、前記内側カバーは、前記アンテナの長手方向に沿って複数に分割されており、前記外側カバーまたは前記内側カバーに固定され、かつ、前記内側カバーの分割部を覆うように設けられる、誘電性を有する被覆カバーを更に備える。
【0083】
上記構成によれば、メンテナンス性を向上させることができるプラズマ処理装置を提供することができる。
【0084】
本開示の第2態様は、第1態様のプラズマ処理装置において、前記外側カバーは、スペーサーを介在させて前記筐体に取り付けられてもよい。
【0085】
上記構成によれば、スペーサーを調整することにより、アンテナの位置を調整することができる。これにより、被処理物に対する、アンテナの高さ調整およびその長手方向の傾き調整を容易に行うことができ、高精度なプラズマ処理を実行することができるプラズマ処理装置を容易に構成することができる。
【0086】
本開示の第3態様は、第2態様のプラズマ処理装置において、前記スペーサーには、前記外側カバーを脱着可能に支持する支持台が含まれてもよい。
【0087】
上記構成によれば、外側カバーと一体で、アンテナ、内側カバー、および被覆カバーを取り外せることができ、メンテナンス性をさらに向上させることができる。
【0088】
本開示の第4態様は、第1態様から第3態様のいずれかの態様のプラズマ処理装置において、前記被覆カバーは、前記内側カバーの全体を覆うように設けられてもよい。
【0089】
上記構成によれば、被覆カバーが内側カバーの全体を覆うように設けられているので、当該被覆カバーのみを交換することにより、プラズマ処理装置のメンテナンスを終了することが可能となって優れたメンテナンス性を有するプラズマ処理装置を容易に構成することができる。
【0090】
本開示の第5態様は、第1態様から第4態様のいずれかの態様のプラズマ処理装置において、前記被覆カバーは、前記アンテナの長手方向に沿って分割された複数の被覆部材によって構成されてもよい。
【0091】
上記構成によれば、複数の被覆部材の各厚みを調整することにより、アンテナの長手方向において、被処理物の表面でのプラズマ密度を容易に調整することができる。これにより、被処理物に対する、プラズマ処理を精度よく行うことができる。
【0092】
本開示の第6態様は、第1態様から第5態様のいずれかの態様のプラズマ処理装置において、前記内側カバーのプラズマ耐性は、前記被覆カバーのプラズマ耐性よりも小さくてもよい。
【0093】
上記構成によれば、コストが安価な内側カバー、ひいてはコストが安価なプラズマ処理装置を容易に構成することができる。
【0094】
本開示の第7態様は、第1態様から第6態様のいずれかの態様のプラズマ処理装置において、前記アンテナは、直線状に構成された直線状部と、前記直線状部に連続的に設けられるとともに、当該直線状部に対して折り曲げられた折り曲げ部とを有し、前記被覆カバーは、少なくとも前記折り曲げ部に対向するように、設けられてもよい。
【0095】
上記構成によれば、被覆カバーが少なくとも折り曲げ部に対向するように設けられているので、処理室内部において折り曲げ部に対向する領域のみ、プラズマ密度が不適切に大きくなるのを抑制することができる。これにより、被処理物に対して、高精度なプラズマ処理を容易に行うことができる。
【0096】
本開示は上述した各実施形態及び変形例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態及び変形例に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0097】
1 プラズマ処理装置
2 筐体(処理室)
2b 第1の開口部(開口部)
3 フランジ(スペーサー)
4 真空カバー(外側カバー)
5、15 アンテナカバー(内側カバー)
5a1~5a4、15a1~15a4 アンテナ収容部材(分割部)
8 アンテナ
8a 直線状部
8b、8d 折り曲げ部
14、24 被覆カバー
16 支持台(スペーサー)
18 スペーサー部材(スペーサー)
33 フランジ部(スペーサー)
AK アンテナ収容空間(包囲空間)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9