(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084572
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】割当制御装置、割当方法、割当制御プログラム、および記録媒体
(51)【国際特許分類】
B66B 1/18 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
B66B1/18 N
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198901
(22)【出願日】2022-12-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】須藤 豪
(72)【発明者】
【氏名】小村 章
【テーマコード(参考)】
3F502
【Fターム(参考)】
3F502HC07
3F502JA77
(57)【要約】
【課題】エレベータを利用する情報処理装置の一方が他方の進行を妨げる状況の発生を低減する。
【解決手段】割当制御装置(1)は、情報処理装置(2)から受け付けた行先階呼びに応じて、前記情報処理装置に利用させる号機を割り当てる号機割当部(115)を備え、前記号機割当部は、既存呼びに割り当てた割当号機を新規呼びに割り当てると、前記割当号機にあとから乗車する情報処理装置が、該割当号機に先に乗車する情報処理装置の降車に伴う進行を妨げる状況の発生が予測される場合、前記新規呼びに前記割当号機とは異なる号機を割り当てる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律走行可能であり、エレベータを利用して階床間を移動可能な情報処理装置から受け付けた、出発階および行先階を示す行先階呼びに応じて、前記情報処理装置に利用させる号機を割り当てる号機割当部を備え、
前記号機割当部は、
受付済みの行先階呼びである既存呼びと異なる新たな行先階呼びである新規呼びとを受け付けた場合であって、
前記既存呼びに割り当てた割当号機を前記新規呼びに割り当てると、前記新規呼びを登録した情報処理装置および前記既存呼びを登録した情報処理装置のうち、前記割当号機にあとから乗車する情報処理装置が、該割当号機に先に乗車する情報処理装置の降車に伴う進行を妨げる状況の発生が予測される場合、
前記新規呼びに前記割当号機とは異なる号機を割り当てる、
割当制御装置。
【請求項2】
前記号機割当部は、
前記割当号機が、前記割当号機に先に乗車する情報処理装置の行先階に到着するより前に、該割当号機にあとから乗車する情報処理装置の行先階に到着する場合、
前記割当号機を、前記新規呼びに割り当てる割当候補号機とする、請求項1に記載の割当制御装置。
【請求項3】
前記号機割当部は、
前記新規呼びを登録した情報処理装置の出発階と、前記既存呼びを登録した情報処理装置の出発階が同一階であり、かつ、前記割当号機が、前記既存呼びを登録した情報処理装置の行先階に到着するより前に、前記新規呼びを登録した情報処理装置の行先階に到着する場合、
前記割当号機を、前記新規呼びに割り当てる割当候補号機とする、請求項1に記載の割当制御装置。
【請求項4】
自律走行可能であり、エレベータを利用して階床間を移動可能な情報処理装置から受け付けた、出発階および行先階を示す行先階呼びに応じて、前記情報処理装置に利用させる号機を割り当てる号機割当ステップを含み、
前記号機割当ステップにおいて、
受付済みの行先階呼びである既存呼びと異なる新たな行先階呼びである新規呼びとを受け付けた場合であって、
前記既存呼びに割り当てた割当号機を前記新規呼びに割り当てると、前記新規呼びを登録した情報処理装置および前記既存呼びを登録した情報処理装置のうち、前記割当号機にあとから乗車する情報処理装置が、該割当号機に先に乗車する情報処理装置の降車に伴う進行を妨げる状況の発生が予測される場合、
前記新規呼びに前記割当号機とは異なる号機を割り当てる、
割当方法。
【請求項5】
請求項1に記載の割当制御装置としてコンピュータを機能させるための割当制御プログラムであって、前記号機割当部としてコンピュータを機能させるための割当制御プログラム。
【請求項6】
請求項5に記載の割当制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は利用対象に対してエレベータの号機を割り当てる割当制御装置、割当制御装置が行う割当方法、割当制御プログラム、および記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自律走行するロボットにエレベータを利用させる技術が知られている。特許文献1には、利用者または自律移動体のエレベータのかごに対する乗降を示す情報を当該自律移動体に設けられた機器に報知する自律移動体制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数のロボットがエレベータを利用する場合、あるロボットが別のロボットの進行を妨げ、移動に支障が生じる場合がある。例えば、複数のロボットがエレベータの同じかごに乗車する場合、先に乗車したロボットは後から乗車したロボットよりもかごの奥に位置する可能性が高い。このような状況において、先に乗車したロボットが後から乗車したロボットよりも先に降車する場合、後から乗車したロボットが先に乗車したロボットの進行の邪魔となる可能性がある。このように、複数のロボットがエレベータの同じかごを利用する場合、かごから降車するロボットの進行が、同乗している他のロボットによって邪魔される場合、ロボット同士が互いに衝突を回避しようとして動けなくなる、所謂デッドロック状態が発生する可能性がある。
【0005】
このような状況が発生した場合、動けなくなったロボットが邪魔になり、エレベータを利用する利用者の乗降に支障をきたす、ロボットが予定していた作業を行うことができない、エレベータが停止してしまうなどの問題が生じてしまう。
【0006】
ロボットがデッドロック状態から自力で抜け出せるか否かは、両ロボットの知的レベルに依存するが、その知的レベルは常に高いとは言えない。したがって、複数のロボットがエレベータの同じかごを利用するロボット同士が互いの進行を妨げる状況をなるべく作らないようにすることが重要である。
【0007】
本発明の一態様は、エレベータを利用する情報処理装置(ロボット)の一方が他方の進行を妨げる状況の発生を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る割当制御装置は、自律走行可能であり、エレベータを利用して階床間を移動可能な情報処理装置から受け付けた、出発階および行先階を示す行先階呼びに応じて、前記情報処理装置に利用させる号機を割り当てる号機割当部を備え、前記号機割当部は、受付済みの行先階呼びである既存呼びと異なる新たな行先階呼びである新規呼びとを受け付けた場合であって、前記既存呼びに割り当てた割当号機を前記新規呼びに割り当てると、前記新規呼びを登録した情報処理装置および前記既存呼びを登録した情報処理装置のうち、前記割当号機にあとから乗車する情報処理装置が、該割当号機に先に乗車する情報処理装置の降車に伴う進行を妨げる状況の発生が予測される場合、前記新規呼びに前記割当号機とは異なる号機を割り当てる。
【0009】
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る割当方法は、自律走行可能であり、エレベータを利用して階床間を移動可能な情報処理装置から受け付けた、出発階および行先階を示す行先階呼びに応じて、前記情報処理装置に利用させる号機を割り当てる号機割当ステップを含み、前記号機割当ステップにおいて、受付済みの行先階呼びである既存呼びと異なる新たな行先階呼びである新規呼びとを受け付けた場合であって、前記既存呼びに割り当てた割当号機を前記新規呼びに割り当てると、前記新規呼びを登録した情報処理装置および前記既存呼びを登録した情報処理装置のうち、前記割当号機にあとから乗車する情報処理装置が、該割当号機に先に乗車する情報処理装置の降車に伴う進行を妨げる状況の発生が予測される場合、前記新規呼びに前記割当号機とは異なる号機を割り当てる。
【0010】
本発明の各態様に係る割当制御装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記割当制御装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記割当制御装置をコンピュータにて実現させる割当制御装置の割当制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、エレベータを利用する情報処理装置の一方が他方の進行を妨げる状況の発生を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係るエレベータ管理システムの構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図2】割当制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】乗場行先階登録装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】エレベータ制御装置およびエレベータの構成の一例を示すブロック図である。
【
図14】割当制御装置が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<エレベータ管理システム100の概要>
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係るエレベータ管理システム100の構成の一例を示す機能ブロック図である。エレベータ管理システム100は、複数階床を有する建物に設けられたエレベータ5を管理するシステムである。エレベータ管理システム100は、乗場行先階登録機能を備えるエレベータ5の利用対象(例えば、利用者または情報処理装置2)による行先階呼びに応じて、当該利用対象に最適な号機を割り当てる。また、エレベータ管理システム100は、利用対象に割り当てた号機を、行先階呼びによって指定された出発階および行先階に移動させる。
【0014】
ここで、「乗場行先階登録機能」とは、利用対象の出発階および行先階に応じて最適な号機を割り当てると共に、割当号機を利用対象が乗車する号機として利用対象に案内することにより、利用対象がエレベータの到着を待つ時間を効果的に短縮することが可能な機能である。また、行先階登録機能によって、利用対象が行先階に到着するまでの時間も短縮され得る。「行先階呼びに対して割り当てる号機」は、行先階呼びを行った利用対象が利用すべき割当号機として、割当制御装置1が決定したエレベータ5の号機を意図している。以下、エレベータ5が複数号機を備える場合を例に挙げて説明する。
図1には、複数の号機を備えるエレベータ5を例示しており、例えば、エレベータ5A~5Cはそれぞれ、1号機~3号機である。
【0015】
また、「行先階呼び」とは、利用対象が予め出発階および行先階を含む割当依頼データを割当制御装置1に登録する処理である。利用対象が利用者である場合、行先階呼びは、例えば、利用者が出発階において出発階に設置されている乗場行先階登録装置3に所望の行先階等を入力する操作を行うことで、乗場行先階登録装置3が当該処理を行ってもよい。乗場行先階登録装置3は、当該操作が行われると、入力された行先階を示す情報と、当該乗場行先階登録装置3が設置されている階床の情報とを含む情報と、乗場行先階登録装置3を示す識別情報と、を割当制御装置1に送信してもよい。利用対象が情報処理装置2である場合、行先階呼びは、例えば、情報処理装置2が割当制御装置1へ出発階および行先階を示す情報と、情報処理装置2の識別情報と、を含む割当依頼データを送信することによって行われてもよい。
【0016】
本明細書において、情報処理装置2または乗場行先階登録装置3が割当制御装置1に割当依頼データを送信することを「行先階呼びを行う」または「行先階呼びを登録する」と称する。また、割当制御装置1が各割当依頼データに基づき割当号機を決定し、エレベータ5の移動予定を示すデータベースに、当該割当データに基づく情報を入力することを「行先階呼びの登録を完了する」と称する。
【0017】
エレベータ管理システム100における情報処理装置2は、自律走行可能な装置であり、エレベータ5を利用して階床間を移動可能である。情報処理装置2は予め建物に配備されている自動搬送装置、自走型掃除装置、およびその他の多機能ロボット等であってもよい。あるいは、情報処理装置2は、エレベータ管理システム100の導入に合わせて建物に配備された専用の装置であってもよい。
図1に示すように、エレベータ管理システム100は複数の情報処理装置2を備えていてもよい。以下、エレベータ管理システム100が2台の情報処理装置2を備える場合を例に挙げて説明する。ただし、情報処理装置2は2台に限られず、3台以上であってもよい。
【0018】
また、本明細書において、割当制御装置1が新たに情報処理装置2から受け付け、登録が完了していない行先階呼びを「新規呼び」と称し、新規呼びを行った情報処理装置2を情報処理装置2Aと称する。また、新規呼びが割当制御装置1に受け付けられるまでに既に登録済み(受付済み)の行先階呼びを「既存呼び」と称し、既存呼びを行った情報処理装置2を情報処理装置2Bと称する。なお、情報処理装置2が3台以上存在する場合、複数の情報処理装置2が情報処理装置2Bに該当してもよい。
【0019】
図2は、割当制御装置1の構成の一例を示すブロック図である。本実施形態におけるエレベータ管理システム100の割当制御装置1は、行先階呼びに基づき号機を割り当てる号機割当部115を備えている。割当制御装置1の号機割当部115は、情報処理装置2Aが新規呼びを行ったとき、情報処理装置2Aと既存呼びを登録した情報処理装置2Bとの間でエレベータ5の降車に伴う進行を妨げる状況が発生しないように新規呼びに対して割り当てられる号機を決定する。
【0020】
「エレベータ5の降車に伴う進行を妨げる状況」とは、ある情報処理装置2がエレベータ5を利用するときに、別の情報処理装置2によって進行を妨げられ、衝突回避を行わなければならない状況を示す。以下の説明では、「エレベータ5の乗降に伴う進行を妨げる状況」を、単に「干渉」とも称する。
【0021】
例えば、ある情報処理装置2がエレベータ5のかご52内において扉53から離れた場所に位置しており、別の情報処理装置2が同じかご52内において扉53に近い場所に位置しているとする。この状態において、扉53から離れた場所に位置する情報処理装置2が降車するとき、扉53に近い場所に位置する情報処理装置2が降車する情報処理装置2の進路上に位置してしまい、降車動作の妨げになる可能性がある。複数の情報処理装置2がこのような状況に陥っている場合、これらの情報処理装置2間において、エレベータ5の降車に伴う進行を妨げる状況、すなわち干渉が発生していると表現できる。「エレベータ5の降車に伴う進行を妨げる状況」の詳細については後述する。号機割当部115は、このような状況をできるだけ発生させないように号機の割り当てを行う。
【0022】
一例として、割当制御装置1は、新規呼びを受け付け、かつ登録済みの既存呼びが存在する場合、既存呼びに割り当てられた割当号機を新規呼びに割り当てると、新規呼びを登録した情報処理装置2Aと既存呼びを登録した情報処理装置2Bとの間でエレベータ5の乗降に伴う進行を妨げる状況の発生が予測されるかを判定する。ここで、上述のような状況の発生が予測される場合、割当制御装置1の号機割当部115は、新規呼びを登録した情報処理装置2Aには、既存呼びに対して割り当てた割当号機とは異なる号機を割り当てる。
【0023】
なお、号機割当部115は、既存呼びに割り当てられた割当号機を新規呼びに割り当てたとしても情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとの間で干渉することが予測されないのであれば、情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとが同乗することを許容するように割当を行う。
【0024】
<エレベータ管理システム100の構成>
図1に示すように、エレベータ管理システム100は、割当制御装置1、情報処理装置2、乗場行先階登録装置3、エレベータ制御装置4、およびエレベータ5を備える。以下、エレベータ管理システム100が備える各装置の構成について説明する。
【0025】
[乗場行先階登録装置3]
まず、乗場行先階登録装置3について、
図3を用いて説明する。
図3は、乗場行先階登録装置3の構成の一例を示すブロック図である。乗場行先階登録装置3は、利用者がエレベータ5を利用するときに利用する装置であり、利用者による操作に基づき行先階呼びを登録し、当該行先階呼びに基づき決定された割当号機を利用者に通知する。
【0026】
一例として、乗場行先階登録装置3は、各階床に設けられていてもよい。
図3に示すように、乗場行先階登録装置3は、操作部31および表示部32を備える。
【0027】
操作部31は、利用者による入力操作を受け付ける。操作部31に対して、エレベータ5の行先階を入力する操作が行われると、乗場行先階登録装置3は、設けられた階床を出発階とし入力された階床を行先階とする割当依頼データを生成し、割当制御装置1に送信する。また、割当依頼データには、乗場行先階登録装置3を特定可能な識別情報も含まれる。
【0028】
表示部32は、画像またはテキスト等を表示可能なディスプレイ等の表示装置である。乗場行先階登録装置3は、割当制御装置1から割当結果を受信すると、表示部32に、割当号機を示す情報を表示する。これにより、利用者は、自身が乗車すべきかご52を把握することができる。なお、利用者に割当号機を通知する方法はこれに限られない。例えば、乗場行先階登録装置3は、音声によって割当号機を利用者に通知してもよい。
【0029】
[エレベータ制御装置4およびエレベータ5]
次に、エレベータ制御装置4およびエレベータ5について、
図4を用いて説明する。
図4は、エレベータ制御装置4およびエレベータ5の構成の一例を示すブロック図である。エレベータ制御装置4はエレベータ5の各号機にそれぞれ対応して設けられる。エレベータ制御装置4は、割当制御装置1からの指示に従ってエレベータ5を動作させる。また、エレベータ制御装置4は、エレベータ5の状況(現在階、移動方向、扉53の開閉状態)を適宜連絡する。例えば、エレベータ制御装置4は、かご52が割当制御装置1から指示された階床に到着した場合、かご52の到着を示す情報を割当制御装置1に送信する。
【0030】
図4に示すように、エレベータ5の各号機はそれぞれ動作制御部51およびかご52を備える。また、各号機に対応する各階床の乗場に扉が設けられ、乗場の扉はかご52の扉53に連動して開閉する。動作制御部51はエレベータ制御装置4の制御に従って動作し、かご52の階床間の移動および扉53の開閉を制御する。
【0031】
なお、
図4ではエレベータ制御装置4およびエレベータ5がそれぞれ3つずつ設けられる構成が図示されているが、エレベータ制御装置4およびエレベータ5の数はこれに限られない。
【0032】
[情報処理装置2]
続いて、情報処理装置2について説明する。情報処理装置2は、割当制御装置1と通信可能に接続されている自走機能を備える多機能装置であり、エレベータ5を利用して階床間を移動可能である。また、情報処理装置2は、自律走行あるいは自立歩行が可能なロボットであってもよい。
【0033】
図1に示すように、エレベータ管理システム100には、複数の情報処理装置2が含まれる。各情報処理装置2は同様の構成を備えていてもよいし、図示した部分以外の構成は情報処理装置2ごとに異なっていてもよい。
【0034】
図5は、情報処理装置2の構成の一例を示すブロック図である。以下、情報処理装置2の概略構成について
図5を用いて説明する。なお、
図1および
図5では、2つの情報処理装置2が図示されているが、情報処理装置2は複数であればよく、例えば3以上存在していてもよい。
【0035】
図5に示すように、情報処理装置2は、制御部21、通信部22、駆動部23、および記憶部24を備える。制御部21は、情報処理装置2の各部の動作を制御する。制御部21は、生成部211および移動制御部212を備える。
【0036】
生成部211は、情報処理装置2から割当制御装置1へ行先階呼びを登録する。情報処理装置2にエレベータ5を利用する必要が生じた場合、生成部211は、情報処理装置2の識別情報、出発階および行先階を示す情報を含む割当依頼データを生成し、通信部22を介して割当制御装置1に送信する。
【0037】
移動制御部212は、駆動部23の動作を制御する。移動制御部212は、駆動部23の動作を制御することで、情報処理装置2を所望の行先階に移動させる。
【0038】
例えば、移動制御部212は、割当制御装置1から、行先階呼びの登録が完了したことを示す情報および当該行先階呼びに応じて割り当てられた割当号機を示す情報を含む割当結果を受信する。移動制御部212は、割当結果を示す情報に基づき、駆動部23を動作させ、情報処理装置2を割当号機の乗場へ移動させる。
【0039】
割当号機のかご52が情報処理装置2の出発階に到着し、扉53が開くと、移動制御部212は、割当制御装置1から、かご52に乗車することを指示する乗車指示を受信する。移動制御部212は、乗車指示を受信すると、駆動部23を動作させ、情報処理装置2をエレベータ5の割当号機のかご52に乗車させる。
【0040】
情報処理装置2がかご52に乗車した後、行先階に到着すると、移動制御部212は、割当制御装置1から、かご52から降車することを指示する降車指示を受信する。移動制御部212は、降車指示を受信すると、駆動部23を動作させ、情報処理装置2をエレベータ5の割当号機のかご52から降車させる。
【0041】
通信部22は、情報処理装置2が割当制御装置1と無線通信を行うための通信モジュールである。駆動部23は、情報処理装置2が移動するための駆動機構であり、移動制御部212の制御に従って動作する。駆動部23は、車輪、キャタピラ、および歩行用の脚等任意の駆動機構であってもよい。記憶部24は、制御部21によって読み出される各種コンピュータプログラム、および、制御部21が実行する各種処理において利用されるデータ等が格納されている記憶装置である。
【0042】
[割当制御装置1]
次に、割当制御装置1について説明する。割当制御装置1は、利用対象からの行先階呼びを受け付け、当該行先階呼びに応じて最適な号機を割り当てる装置である。また、割当制御装置1は、受け付けた行先階呼びおよび当該行先階呼びに対する号機の割当結果に基づきエレベータ5を動作させる。また、利用対象が情報処理装置2である場合、割当制御装置1は、情報処理装置2にエレベータ5のかご52への乗降を指示する。
【0043】
さらに、割当制御装置1は、情報処理装置2Aから新規呼びを受け付けたとき、情報処理装置2Aと既存呼びを登録した情報処理装置2Bとの間で干渉が発生しないように割当号機を決定する。
【0044】
以下、割当制御装置1の概略構成について
図2を用いて説明する。
図2に示すように、割当制御装置1は、制御部11、入出力インターフェース12、および記憶部13を備える。制御部11は、割当制御装置1における各処理を実行するように制御する。制御部11については後述する。
【0045】
入出力インターフェース12は割当制御装置1がエレベータ管理システム100の各装置と情報の授受を行うためのインターフェースである。割当制御装置1は、各情報処理装置2と無線接続による通信を行い、入出力インターフェース12を介して各情報の送受信を行う。また、割当制御装置1は、各乗場行先階登録装置3およびエレベータ制御装置4と通信を行い、入出力インターフェース12を介して各情報の送受信を行う。割当制御装置1と乗場行先階登録装置3またはエレベータ制御装置4との間における接続方法は無線接続であってもよいし、有線接続であってもよい。
【0046】
記憶部13は、制御部11によって読み出される各種コンピュータプログラム、および、制御部11が実行する各種処理において利用されるデータ等が格納されている記憶装置である。さらに、記憶部13には、乗場行先階DB131およびエレベータDB132が記憶されている。
【0047】
図6は、乗場行先階DB131の一例を示す図である。乗場行先階DB(データベース)131は、登録済みの行先階呼びに関する情報を格納するデータベースである。
図6に示すように、乗場行先階DB131には、利用対象の属性を示す情報と、ロボットIDまたはユーザIDと、出発階を示す情報と、行先階を示す情報と、割当号機を示す情報と、が登録済みの行先階呼びごとに対応付けられて記憶されている。
【0048】
登録済みの行先階呼びが乗場行先階登録装置3から送信されたものである場合は、利用対象の属性として「利用者」を示す情報が乗場行先階DB131に記憶される。一方、登録済みの行先階呼びが情報処理装置2から送信されたものである場合は、利用対象の属性として「情報処理装置」を示す情報が乗場行先階DB131に記憶される。
【0049】
ロボットIDは、各情報処理装置2を特定可能な識別情報である。乗場行先階DB131におけるロボットIDの欄が「-」であるデータは、ロボットIDが対応付けられていないことを示す。例えば利用者が乗場行先階登録装置3を操作して行先階呼びを行った場合、乗場行先階DB131のロボットIDの欄には「-」が記憶される。
【0050】
ユーザIDは、各乗場行先階登録装置3を特定可能な識別情報である。乗場行先階DB131におけるユーザIDの欄が「-」であるデータは、ユーザIDが対応付けられていないことを示す。例えば情報処理装置2が行先階呼びを行った場合、乗場行先階DB131のユーザIDの欄には「-」が記憶される。
【0051】
また、出発階および行先階を示す情報として、割当制御装置1が受け付けた各行先階呼びに対応する割当依頼データに含まれていた情報が乗場行先階DB131に記憶される。また、割当号機を示す情報として、各行先階呼びに対して割り当てられた号機を示す情報が乗場行先階DB131に記憶される。
【0052】
図7は、エレベータDB132の一例を示す図である。エレベータDB(データベース)132は、エレベータ5の各号機に関する情報が対応付けられて記憶されているデータベースである。
図7に示すように、エレベータDB132には、エレベータ5の識別情報(エレベータID)と、かご52が位置している階床である現在階(かご52が移動中の場合は走行方向に応じて変化し、かご52が停止中の場合は停止階である)と、かご52の現在方向(現在の移動方向)と、かご52が移動予定の階床である行先階と、が号機ごとに対応付けられている。
【0053】
制御部11は、割当制御装置1が備える各機能の処理を実行するように制御する。また、制御部11は、各号機の運転を統括的に管理する。
図2に示すように、制御部11は、受付部111、第2判定部113、特定部114、号機割当部115、および主制御部116を備える。
【0054】
(受付部111)
受付部111は、入出力インターフェース12を介して情報処理装置2または乗場行先階登録装置3と通信を行い、利用対象による行先階呼びを受け付ける。具体的には、受付部111は、乗場行先階登録装置3または情報処理装置2から割当依頼データを受信する。受付部111が受信する割当依頼データには、乗場行先階登録装置3または情報処理装置2の識別情報、出発階を示す情報、および行先階を示す情報が含まれている。
【0055】
また、受付部111は、受け付けた行先階呼びを登録した利用対象の属性に応じて、当該行先階呼びに関する各情報を制御部11の各部に出力する。利用者によって操作された乗場行先階登録装置3からの行先階呼びを受け付けた場合、受付部111は、当該乗場行先階登録装置3の識別情報、出発階、行先階を示す情報を特定部114に出力する。また、情報処理装置2からの行先階呼びを受け付けた場合、受付部111は、当該情報処理装置2の識別情報、出発階、および行先階を示す情報を第1判定部112に出力する。
【0056】
(第1判定部112)
第1判定部112は、エレベータ5のある号機を割り当てた場合に、新規呼びを登録した情報処理装置2Aが、当該情報処理装置2Aとは別の情報処理装置2Bと当該号機において同乗するか否かを判定する。
【0057】
具体的には、第1判定部112は、割当制御装置1が情報処理装置2Aからの新規呼びを受け付けると、当該新規呼びにおいて指定される情報処理装置2Aの出発階および行先階を特定する。第1判定部112は、乗場行先階DB131を参照し、エレベータ5のいずれかの号機が割り当てられている既存呼びに関する情報を取得する。例えば、第1判定部112は、エレベータ5の1号機を割当号機とする既存呼びを登録した情報処理装置2Bの出発階および行先階を示す情報を取得する。また、第1判定部112は、エレベータDB132を参照し、情報処理装置2Bの既存呼びに割り当てられている割当号機の現在階および移動方向を示す情報を取得する。
【0058】
第1判定部112は、取得した各情報に基づき、既存呼びに割り当てた割当号機を新規呼びに割り当てた場合、情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとが当該割当号機に同乗するか否かを判定する。「既存呼びに割り当てた割当号機を新規呼びに割り当てた場合、情報処理装置2Aが別の情報処理装置2Bと同乗する」状況の詳細については後述する。
【0059】
第1判定部112は、判定の対象となっているエレベータ5の号機を割当号機とする全ての既存呼びについて同様の判定を行う。例えば、第1判定部112は、エレベータ5の2号機について判定を行う場合、乗場行先階DB131において「利用対象属性」が「ロボット」であり、「割当号機」が「2」である全ての既存呼びについて判定を行う。ある号機について少なくとも1つの既存呼びを行った情報処理装置2Bと情報処理装置2Aとが同乗し得る場合、第1判定部112は、当該号機を情報処理装置2Aに割り当てると情報処理装置2Aと別の情報処理装置2Bとが同乗すると判定する。
【0060】
また、第1判定部112は、エレベータ5の全ての号機について同様の判定を行う。第1判定部112は、ある号機について情報処理装置2Aが少なくとも1つの別の情報処理装置2Bと同乗すると判定した場合、新規呼びに関する情報と、情報処理装置2Aと同乗する情報処理装置2Bの既存呼びに関する情報と、を含む判定結果を第2判定部113に出力する。一方、第1判定部112は、ある号機について情報処理装置2Aが、判定対象の号機に乗車予定の全ての情報処理装置2Bと同乗しないと判定した場合、情報処理装置2Aが別の情報処理装置2Bと同乗しないことを示す判定結果を特定部114に出力する。
【0061】
(第2判定部113)
第2判定部113は、第1判定部112から、新規呼びを登録した情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとが同乗すると判定された場合に当該判定結果を取得する。第2判定部113は、当該判定を取得すると、情報処理装置2Aと、情報処理装置2Aと同乗すると判定された情報処理装置2Bとが干渉する状況の発生が予測されるか否かを判定する。また、第2判定部113は、判定結果を示す情報を特定部114に出力する。
【0062】
具体的には、第2判定部113は、第1判定部112から判定結果を取得すると、情報処理装置2Aの出発階および行先階、情報処理装置2Bの出発階および行先階、並びに割当号機の現在階および移動方向に基づき、情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとが干渉し得るか否かを判定する。
【0063】
ある号機において、当該号機を情報処理装置2Aに割り当てると、以下の(A)または(B)のいずれかに該当する場合、第2判定部113は、当該号機を情報処理装置2Aに割り当てると、情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとの間で干渉の発生が予測されると判定する。干渉の発生が予測される状況とは、情報処理装置2Bに割り当てられた号機において、情報処理装置2Aおよび情報処理装置2Bの一方が降車するときの進路上に、情報処理装置2Aおよび情報処理装置2Bの他方が位置する状況と言い換えることもできる。
【0064】
(A)ある号機において、先に情報処理装置2Aが乗車し、あとから情報処理装置2Bが乗車し、当該号機が情報処理装置2Bの行先階に到着する以前に情報処理装置2Aの行先階に到着する。
【0065】
(B)ある号機において、先に情報処理装置2Bが乗車し、あとから情報処理装置2Aが乗車し、当該号機が情報処理装置2Aの行先階に到着する以前に情報処理装置2Bの行先階に到着する。
【0066】
第2判定部113は、乗場行先階DB131を参照し、エレベータ5のいずれかの号機、例えば1号機が割り当てられている既存呼びに関するデータを特定する。第2判定部113は、特定したデータと、新規呼びに含まれる出発階および行先階を示す情報に基づき、当該号機を情報処理装置2Aに割り当てると、上記の(A)または(B)のいずれかに該当するか否か、換言すると情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとの間において干渉が発生し得るか否かを判定する。第2判定部113は、第1判定部112において情報処理装置2Aと同乗すると判定された全ての情報処理装置2Bについて上述の判定を行い、判定結果を情報処理装置2Bの割当号機毎に特定部114に出力する。
【0067】
例えば、情報処理装置2Bによる、2階を出発階とし、3階を行先階とする既存呼びが登録済みであり、当該既存呼びに対して1号機が割り当てられている場合において、情報処理装置2Aから、1階を出発階とし、5階を行先階とする新規呼びを受け付けた場合であって、1号機が1階に位置している場合、1号機を情報処理装置2Aに割り当てると、上記(A)の状況に該当する。この場合、第2判定部113は、1号機を情報処理装置2Aに割り当てると干渉が発生し得ると判定する。また、情報処理装置2Bによる、1階を出発階とし、5階を行先階とする既存呼びが登録済みであり、当該既存呼びに対して1号機が割り当てられている場合において、情報処理装置2Aから、2階を出発階とし、3階を行先階とする新規呼びを受け付けた場合であって、1号機が1階に位置している場合、1号機を情報処理装置2Aに割り当てると、上記(B)の状況に該当する。この場合、第2判定部113は、1号機を情報処理装置2Aに割り当てると干渉が発生し得ると判定する。
【0068】
(特定部114)
特定部114は、利用対象に割り当てられるエレベータ5の号機の候補である割当候補号機を特定する。
【0069】
利用対象が利用者である場合、特定部114は、受付部111から乗場行先階登録装置3によって登録された行先階呼びに関する情報を取得する。特定部114は、当該情報を取得すると、エレベータ5の全号機を割当候補号機とし、割当候補号機を示す情報を号機割当部115に出力する。
【0070】
利用対象が情報処理装置2である場合、特定部114は、第1判定部112または第2判定部113から各号機についての判定結果を取得する。特定部114は、当該判定結果に基づき、情報処理装置2Aと情報処理装置2Bの間で干渉が起こらないと判定された号機を割当候補号機に加える。具体的には、特定部114は、第1判定部112において情報処理装置2Aが情報処理装置2Bと同乗しないと判定された号機を割当候補号機に加える。また、特定部114は、第2判定部113において情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとの間で干渉が発生する可能性が予測されないと判定された号機を割当候補号機に加える。第1判定部112および第2判定部113が全号機について判定を完了すると、特定部114は、割当候補号機に加えられた号機を示す情報を号機割当部115に出力する。
【0071】
なお、判定対象となっている号機に割り当てられた既存呼びが複数存在する場合、第2判定部113は、情報処理装置2Aと、複数の既存呼びに対応する複数の情報処理装置2Bのうち、情報処理装置2Aと同乗し得る情報処理装置2Bのそれぞれとの間で干渉が発生するか否かを判定する。特定部114はそれらの判定結果を取得する。少なくとも1つの情報処理装置2Bと情報処理装置2Aとの間で干渉が発生し得る場合、特定部114は、判定対象となった号機を割当候補号機から除外する。
【0072】
(号機割当部115)
号機割当部115は、特定部114から割当候補号機を示す情報を取得する。号機割当部115は、割当候補号機の中から割当号機を決定し、呼びを行った利用対象に対して割り当てる割当号機として決定する。号機割当部115が割当候補号機の中から割当号機を決定する方法は、乗場行先階登録機能を備えるシステムにおいて従来用いられている方法を利用すればよい。
【0073】
ここで、号機割当部115が情報処理装置2Aに対して割り当てる割当号機の候補となる割当候補号機からは、情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとの間で干渉が発生することが予測される号機が排除されている。これにより、号機割当部115は、エレベータ5を利用する情報処理装置2Aおよび情報処理装置2Bの一方が他方の進行を妨げる状況の発生を低減するように号機の割当を行うことが可能となる。
【0074】
また、ある号機において、情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとの間における干渉の発生が予測されないのであれば、号機割当部115は、当該号機において情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとが同乗する状況を許容する。例えば第1判定部112によって情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとが同乗する状況が生じると判定されたとしても、第2判定部113によって情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとが干渉しないと判定された場合、号機割当部115は情報処理装置2Aに対して割り当てる割当号機の候補となる割当候補号機に当該号機を含める。具体的には、ある号機を情報処理装置2Aに割り当てたとしても、上述の(A)および(B)いずれの状況にも該当しない場合、号機割当部115は、情報処理装置2Bの既存呼びに対する割当号機を、情報処理装置2Aの新規呼びに割り当てる割当候補号機とする。例えば、情報処理装置2Bの既存呼びに対する割当号機が、当該割当号機に先に乗車する情報処理装置2の行先階に到着するより前に、該割当号機にあとから乗車する情報処理装置2の行先階に到着する場合、号機割当部115は、当該割当号機を、情報処理装置2Aの新規呼びに割り当てる割当候補号機とする。
【0075】
号機割当部115は、割当号機を決定すると、乗場行先階DB131に新規呼びに関するデータを記憶させる。また、号機割当部115は、エレベータDB132において、割当号機である号機の行先階に新規呼びに基づく行先階を追加する。号機割当部115は、割当依頼データに含まれる識別情報に基づき新規呼びを登録した利用対象を特定し、割当結果を新規呼びの送信元に送信する。割当結果には、行先階呼びの登録が完了したことを示す情報および割当号機を示す情報が含まれる。以上のようにして、新規呼びの登録が完了する。
【0076】
(主制御部116)
主制御部116は、エレベータ管理システム100におけるその他の処理を行う。例えば、主制御部116は、エレベータDB132に基づきエレベータ5の動作を決定し、当該エレベータ5を制御するエレベータ制御装置4に対して指示を行う。また、主制御部116は、乗場行先階DB131およびエレベータDB132に基づき、行先階呼びを登録済みの情報処理装置2に対して割当号機のかご52への乗降を指示する。
【0077】
主制御部116は、エレベータDB132に基づきエレベータ5の各号機が備えるかご52の行先階を決定し、各号機に対応するエレベータ制御装置4に対して指示を送信する。また、エレベータ5のかご52がいずれかの階床に到着すると、主制御部116は、エレベータ制御装置4から当該階床に到着したことを示す情報を受信し、当該情報に基づき各種制御を行う。例えば、主制御部116は、かご52が指示した階床に到着したことを示す情報を受信すると、扉53を開き、所定時間後または扉53を閉じることを指示する操作等を受け付けると扉53を閉じることを指示する信号をエレベータ制御装置4に送信する。その後、当該かご52を次の行先階へ移動させることをエレベータ制御装置4に指示する。
【0078】
また、ある号機が指示した階床に到着したことを示す情報をエレベータ制御装置4から受信すると、主制御部116は、エレベータDB132における、当該号機の行先階のうち、かご52が到着した行先階を示す情報を削除する。
【0079】
また、エレベータ5のかご52がいずれかの階床に到着すると、主制御部116は、乗場行先階DB131を参照し、当該階床が情報処理装置2の出発階または行先階に該当する場合、情報処理装置2に対してかご52への乗降を指示する。
【0080】
具体的には、エレベータ5のかご52が到着した階床が情報処理装置2の出発階に該当する場合、主制御部116は、当該情報処理装置2にかご52への乗車を指示する乗車指示信号を送信する。情報処理装置2からかご52への乗車が完了したことを示す乗車完了情報を受信すると、主制御部116は、情報処理装置2が乗車したかご52の扉53を閉じること、およびかご52を次の階床に移動させることを指示する信号を、かご52に対応するエレベータ制御装置4に送信する。
【0081】
エレベータ5のかご52が到着した階床が情報処理装置2の行先階に該当する場合、主制御部116は、当該情報処理装置2にかご52からの降車を指示する降車指示を送信する。情報処理装置2が降車すると乗場行先階DB131における、当該情報処理装置2が登録した行先階呼びに関する情報を削除する。これにより、乗場行先階DB131には常に対応が完了していない行先階呼びに関する情報のみが記憶される。
【0082】
(同乗が発生する状況の例)
上述したように、第1判定部112は、ある号機において、当該号機を情報処理装置2Aに割り当てると、情報処理装置2Aが別の情報処理装置2Bと同じ号機のかご52に乗車するか否かを判定する。以下、第1判定部112が「既存呼びに割り当てた割当号機を新規呼びに割り当てた場合、情報処理装置2Aが別の情報処理装置2Bと同乗する」と判定する例について説明する。
【0083】
第1判定部112は、情報処理装置2Aの新規呼びに含まれる情報と情報処理装置2Bの既存呼びに含まれる情報とエレベータ5の動作状況との関係が、以下に説明する(1)~(6)に該当する場合、新規呼びに対して既存呼びに対する割当号機と同じ号機を割り当てると、情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとが同乗すると判定する。
【0084】
まず、情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとがかご52に同乗する状況の(1)~(3)の例について説明する。
【0085】
なお、以下の説明において「かご52」は、少なくとも情報処理装置2Bの既存呼びに対して割り当てられた割当号機のかご52である。また、以下の説明において、新規呼びによって指定される出発階を「新F」、新規呼びによって指定される行先階を「新D」、既存呼びによって指定される出発階を「既F」、既存呼びによって指定される行先階を「既D」とも称する。
【0086】
(1)
・既存呼びを行った情報処理装置2Bがかご52に乗車中である。
・かご52は新規呼びによって指定される出発階以下の階床に位置し、移動方向が上方向である。
・既存呼びによって指定される行先階が新規呼びによって指定される出発階よりも上の階床である(新F<既D)。
・新規呼びによって指定される行先階が新規呼びによって指定される出発階よりも上の階床である(新F<新D)。
【0087】
上述の条件では、情報処理装置2A、情報処理装置2B、およびかご52は全て上方向に移動予定である。情報処理装置2Aの出発階がかご52よりも上の階床に位置する場合、情報処理装置2Aは当該かご52に乗車し得る。また、上述の条件では、情報処理装置2Aと同じく上方向に移動する情報処理装置2Bがかご52に先に乗車しているため、新規呼びに対してかご52が割り当てられた場合、情報処理装置2Aは情報処理装置2Bよりも後からかご52に乗車することになる。この状況において、情報処理装置2Bが情報処理装置2Aの出発階よりも上の階床まで移動する場合、情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとがかご52に同乗する状況が発生する。
【0088】
(2)
・かご52が上方向に移動予定であり新規呼びによって指定される出発階以下に位置している、またはかご52が下方向に移動予定である。
・新規呼びによって指定される出発階よりも既存呼びによって指定される出発階が上の階床であり、既存呼びによって指定される出発階よりも新規呼びによって指定される行先階が上の階床である(新F<既F<新D)。
・既存呼びによって指定される行先階が既存呼びによって指定される出発階よりも上の階床である(既F<既D)。
【0089】
上述の条件では、情報処理装置2Aおよび情報処理装置2Bは上方向に移動予定である。情報処理装置2Aの出発階がかご52よりも上の階床に位置し、当該かご52が上方向に移動する場合、情報処理装置2Aは当該かご52に乗車し得る。またはかご52が下方向に移動予定である場合、情報処理装置2Aは情報処理装置2Aの出発階以下で移動方向を変更したかご52に乗車し得る。また、上述の条件において新規呼びに対してかご52が割り当てられた場合、情報処理装置2Aは情報処理装置2Bよりも先にかご52に乗車することになる。この状況において、情報処理装置2Aが情報処理装置2Bの出発階よりも上の階床まで移動する場合、情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとがかご52に同乗する状況が発生する。
【0090】
(3)
・かご52が上方向に移動予定であり新規呼びによって指定される出発階以下に位置している、またはかご52が下方向に移動予定である。
・既存呼びによって指定される出発階よりも新規呼びによって指定される出発階が上の階床であり、新規呼びによって指定される出発階よりも既存呼びによって指定される行先階が上の階床である(既F<新F<既D)。
・新規呼びによって指定される行先階が新規呼びによって指定される出発階よりも上の階床である(新F<新D)。
【0091】
上述の条件では、情報処理装置2Aおよび情報処理装置2Bは上方向に移動予定である。情報処理装置2Aの出発階がかご52よりも上の階床に位置し、当該かご52が上方向に移動する場合、情報処理装置2Aは当該かご52に乗車し得る。またはかご52が下方向に移動予定である場合、情報処理装置2Aは出発階以下で移動方向を変更したかご52に乗車し得る。また、上述の条件において新規呼びに対してかご52が割り当てられた場合、情報処理装置2Aは情報処理装置2Bよりもあとからかご52に乗車することになる。この状況において、情報処理装置2Bが情報処理装置2Aの出発階よりも上の階床まで移動する場合、情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとがかご52に同乗する状況が発生する。
【0092】
次に、情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとがかご52に同乗する状況の(4)~(6)の例について説明する。(4)~(6)は上述した(1)~(3)の出発階、行先階、および移動方向等を反転させた例である。
【0093】
(4)
・既存呼びを行った情報処理装置2Bがかご52に乗車中である。
・かご52は新規呼びによって指定される出発階以上の階床に位置し、移動方向が下方向である。
・既存呼びによって指定される行先階が新規呼びによって指定される出発階よりも下の階床である(新F>既D)。
・新規呼びによって指定される行先階が新規呼びによって指定される出発階よりも下の階床である(新F>新D)。
【0094】
上述の条件では、情報処理装置2A、情報処理装置2B、およびかご52は全て下方向に移動予定である。情報処理装置2Aの出発階がかご52よりも下の階床に位置する場合、情報処理装置2Aは当該かご52に乗車し得る。また、上述の条件では、情報処理装置2Aと同じく下方向に移動する情報処理装置2Bがかご52に先に乗車しているため、新規呼びに対してかご52が割り当てられた場合、情報処理装置2Aは情報処理装置2Bよりも後からかご52に乗車することになる。この状況において、情報処理装置2Bが情報処理装置2Aの出発階よりも下の階床まで移動する場合、情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとがかご52に同乗する状況が発生する。
【0095】
(5)
・かご52が下方向に移動予定であり新規呼びによって指定される出発階以上に位置している、またはかご52が上方向に移動予定である。
・新規呼びによって指定される出発階よりも既存呼びによって指定される出発階が下の階床であり、既存呼びによって指定される出発階よりも新規呼びによって指定される行先階が下の階床である(新F>既F>新D)。
・既存呼びによって指定される行先階が既存呼びによって指定される出発階よりも下の階床である(既F>既D)。
【0096】
上述の条件では、情報処理装置2Aおよび情報処理装置2Bは下方向に移動予定である。情報処理装置2Aの出発階がかご52よりも下の階床に位置し、当該かご52が下方向に移動する場合、情報処理装置2Aは当該かご52に乗車し得る。またはかご52が上方向に移動予定である場合、情報処理装置2Aは情報処理装置2Aの出発階以上で移動方向を変更したかご52に乗車し得る。また、上述の条件において新規呼びに対してかご52が割り当てられた場合、情報処理装置2Aは情報処理装置2Bよりも先にかご52に乗車することになる。この状況において、情報処理装置2Aが情報処理装置2Bの出発階よりも下の階床まで移動する場合、情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとがかご52に同乗する状況が発生する。
【0097】
(6)
・かご52が下方向に移動予定であり新規呼びによって指定される出発階以上に位置している、またはかご52が上方向に移動予定である。
・既存呼びによって指定される出発階よりも新規呼びによって指定される出発階が下の階床であり、新規呼びによって指定される出発階よりも既存呼びによって指定される行先階が下の階床である(既F>新F>既D)。
・新規呼びによって指定される行先階が新規呼びによって指定される出発階よりも下の階床である(新F>新D)。
【0098】
上述の条件では、情報処理装置2Aおよび情報処理装置2Bは下方向に移動予定である。情報処理装置2Aの出発階がかご52よりも下の階床に位置し、当該かご52が下方向に移動する場合、情報処理装置2Aは当該かご52に乗車し得る。またはかご52が下方向に移動予定である場合、情報処理装置2Aは出発階以上で移動方向を変更したかご52に乗車し得る。また、上述の条件において新規呼びに対してかご52が割り当てられた場合、情報処理装置2Aは情報処理装置2Bよりもあとからかご52に乗車することになる。この状況において、情報処理装置2Bが情報処理装置2Aの出発階よりも下の階床まで移動する場合、情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとがかご52に同乗する状況が発生する。
【0099】
(同乗の具体例)
以下、情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとがかご52に同乗する状況のうち、(1)~(3)に該当するより具体的な例について、
図8~
図13を用いて説明する。
図8~
図13は、第1判定部112が「既存呼びに割り当てた割当号機を新規呼びに割り当てた場合、情報処理装置2Aが別の情報処理装置2Bと同乗する」と判定する状況の具体例を示す図である。
【0100】
図8~
図13において、情報処理装置2から出ている矢印の元が出発階、先端が行先階を示す。また、各矢印のうち、実線の矢印は新規呼びに基づく出発階および行先階を示し、破線の矢印は既存呼びに基づく出発階および行先階を示す。例えば、
図8において、情報処理装置2Aから出ている矢印は、情報処理装置2Aが登録した新規呼びに基づく出発階が3階であり、行先階が5階であることを示す。また、
図8~
図13において、かご52の上または下に付いている三角形はそのかご52の移動方向を示す。例えば、
図8において1号機のエレベータ5Aのかご52Aは上方向に移動し、3号機のエレベータ5Cのかご52Cは下方向に移動する。また、
図8において2号機のエレベータ5Bのかご52Bには三角形を付していない。これは、かご52Bが停止して上下どちらにも移動していないことを示す。
【0101】
図8は、上記(1)の具体例を示す図である。
図8に示すように、以下のような状況である場合、上記(1)に該当し、第1判定部112は既存呼びの割当号機を新規呼びに割り当てた場合、情報処理装置2Aが情報処理装置2Bと同乗する状況が発生すると判定する。
・エレベータ5の1号機(5A)が1階に位置しており、上方向に移動予定である。
・情報処理装置2Bが1号機のかご52に乗車している。
・情報処理装置2Bによるかご呼びが登録済みであり、当該かご呼びによって指定される行先階が6階である。
・情報処理装置2Aによって3階を出発階とし、5階を行先階とする新規呼びが登録される。
【0102】
図9は、上記(1)の別の具体例を示す図である。
図9に示すように、以下のような状況である場合、上記(1)に該当し、第1判定部112は既存呼びの割当号機を新規呼びに割り当てた場合、情報処理装置2Aが情報処理装置2Bと同乗する状況が発生すると判定する。
・エレベータ5の1号機(5A)が1階に位置しており、上方向に移動予定である。
・情報処理装置2Bが1号機のかご52に乗車している。
・情報処理装置2Bによるかご呼びが登録済みであり、当該かご呼びによって指定される行先階が4階である。
・情報処理装置2Aによって3階を出発階とし、5階を行先階とする新規呼びが登録される。
【0103】
図10は、上記(2)の具体例を示す図である。
図10に示すように、以下のような状況である場合、上記(2)に該当し、第1判定部112は既存呼びの割当号機を新規呼びに割り当てた場合、情報処理装置2Aが情報処理装置2Bと同乗する状況が発生すると判定する。
・エレベータ5の1号機(5A)が1階に位置しており、上方向に移動予定である。
・情報処理装置2Bからの既存呼びが登録済みであり、当該既存呼びに対して1号機が割り当てられている。
・当該既存呼びによって指定された出発階は3階であり行先階は5階である。
・情報処理装置2Aによって2階を出発階とし、6階を行先階とする新規呼びが登録される。
【0104】
図11は、上記(2)の別の具体例を示す図である。
図11に示すように、以下のような状況である場合、上記(2)に該当し、第1判定部112は既存呼びの割当号機を新規呼びに割り当てた場合、情報処理装置2Aが情報処理装置2Bと同乗する状況が発生すると判定する。
・エレベータ5の1号機(5A)が1階に位置しており、上方向に移動予定である。
・情報処理装置2Bからの既存呼びが登録済みであり、当該既存呼びに対して1号機が割り当てられている。
・当該既存呼びによって指定された出発階は3階であり行先階は5階である。
・情報処理装置2Aによって2階を出発階とし、4階を行先階とする新規呼びが登録される。
【0105】
図12は、上記(3)の具体例を示す図である。
図12に示すように、以下のような状況である場合、上記(3)に該当し、第1判定部112は既存呼びの割当号機を新規呼びに割り当てた場合、情報処理装置2Aが情報処理装置2Bと同乗する状況が発生すると判定する。
・エレベータ5の1号機(5A)が1階に位置しており、上方向に移動予定である。
・情報処理装置2Bからの既存呼びが登録済みであり、当該既存呼びに対して1号機が割り当てられている。
・当該既存呼びによって指定された出発階は2階であり行先階は5階である。
・情報処理装置2Aによって3階を出発階とし、4階を行先階とする新規呼びが登録される。
【0106】
図13は、上記(3)の別の具体例を示す図である。
図13に示すように、以下のような状況である場合、上記(3)に該当し、第1判定部112は既存呼びの割当号機を新規呼びに割り当てた場合、情報処理装置2Aが情報処理装置2Bと同乗する状況が発生すると判定する。
・エレベータ5の1号機(5A)が1階に位置しており、上方向に移動予定である。
・情報処理装置2Bからの既存呼びが登録済みであり、当該既存呼びに対して1号機が割り当てられている。
・当該既存呼びによって指定された出発階は2階であり行先階は5階である。
・情報処理装置2Aによって3階を出発階とし、6階を行先階とする新規呼びが登録される。
【0107】
(同乗が許容される状況の例)
上述したように、ある号機において、当該号機を新規呼びに割り当てると、上述の(A)または(B)のいずれかの状況が発生する場合、第2判定部113は、当該号機を新規呼びに割り当てると情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとの間で干渉が発生することが予測されると判定する。号機割当部115は、このような状況が予測されると判定された場合、情報処理装置2Bに対して割り当てられた割当号機とは異なる号機を情報処理装置2Aに対して割り当てる。
【0108】
一方、号機割当部115は、当該号機を新規呼びに対して割り当てたとしても、情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとが干渉すると判定されない場合、情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとが同乗することを許容して新規呼びに対する割り当てを行う。具体的には、ある号機を情報処理装置2Aに割り当てたとしても、上述の(A)および(B)のいずれの状況にも該当しない場合、号機割当部115は、情報処理装置2Bの既存呼びに対する割当号機を、情報処理装置2Aの新規呼びに割り当てる割当候補号機とする。
【0109】
以下、号機割当部115が情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとの同乗を許容する状況の例(第2判定部113が情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとの間で干渉の発生が予測されないと判定する例)について説明する。
【0110】
第2判定部113は、既存呼びに対する割当号機を新規呼びに対して割り当てた場合、当該割当号機が、当該割当号機に先に乗車する情報処理装置2の行先階に到着するより前に、該割当号機にあとから乗車する情報処理装置2の行先階に到着する場合、情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとが干渉しないと判定する。
【0111】
例えば、上述の(1)に該当し、既存呼びによって指定される行先階が新規呼びによって指定される行先階よりも上である場合(新D<既D)、情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとは干渉しない。
【0112】
具体的には、
図8に示すような状況である場合、情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとは同乗するが干渉しない。
図8に示す状況では、情報処理装置2Bが先に乗車し、情報処理装置2Aがあとから乗車する。この場合、かご52内において扉53により近い側に情報処理装置2Aが位置し、扉53からより遠い側に情報処理装置2Bが位置すると考えられる。また、
図8に示す状況では、あとから乗車した情報処理装置2Aが情報処理装置2Bよりも先に降車する。このとき、情報処理装置2Aの降車動作が情報処理装置2Bに妨げられることはない。また、情報処理装置2Bが降車するときには情報処理装置2Aは既に降車しているため、情報処理装置2Bの降車動作が情報処理装置2Aに妨げられることもない。
【0113】
また、上述の(2)に該当し、新規呼びによって指定される行先階が既存呼びによって指定される行先階よりも上である場合(既D<新D)、情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとは干渉しない。
【0114】
具体的には、
図10に示すような状況である場合、情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとは同乗するが干渉しない。
図10に示す状況では、情報処理装置2Aが先に乗車し、情報処理装置2Bがあとから乗車する。この場合、かご52内において扉53により近い側に情報処理装置2Bが位置し、扉53からより遠い側に情報処理装置2Aが位置すると考えられる。また、
図10に示す状況では、あとから乗車した情報処理装置2Bが情報処理装置2Aよりも先に降車する。このとき、情報処理装置2Bの降車動作が情報処理装置2Aに妨げられることはない。また、情報処理装置2Aが降車するときには情報処理装置2Bは既に降車しているため、情報処理装置2Aの降車動作が情報処理装置2Bに妨げられることもない。
【0115】
また、上述の(3)に該当し、既存呼びによって指定される行先階が新規呼びによって指定される行先階よりも上である場合(新D<既D)、情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとは干渉しない。
【0116】
具体的には、
図12に示すような状況である場合、情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとは同乗するが干渉しない。
図12に示す状況では、情報処理装置2Bが先に乗車し、情報処理装置2Aがあとから乗車する。この場合、かご52内において扉53により近い側に情報処理装置2Aが位置し、扉53からより遠い側に情報処理装置2Bが位置すると考えられる。また、
図12に示す状況では、あとから乗車した情報処理装置2Aが情報処理装置2Bよりも先に降車する。このとき、情報処理装置2Aの降車動作が情報処理装置2Bに妨げられることはない。また、情報処理装置2Bが降車するときには情報処理装置2Aは既に降車しているため、情報処理装置2Bの降車動作が情報処理装置2Aに妨げられることもない。
【0117】
その他、(4)に該当し、新規呼びによって指定される行先階が既存呼びによって指定される行先階よりも上である場合(既D<新D)、情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとは干渉しない。また、(5)に該当し、既存呼びによって指定される行先階が新規呼びによって指定される行先階よりも上である場合(新D<既D)、情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとは干渉しない。また、(6)に該当し、新規呼びによって指定される行先階が既存呼びによって指定される行先階よりも上である場合(既D<新D)、情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとは干渉しない。
【0118】
反対に、例えば
図9、
図11、
図13に示すような状況に該当する場合、第2判定部113は、既存呼びの割当号機を新規呼びに割り当てると、情報処理装置2Aと情報処理装置2Bと、が干渉すると判定する。
図9に示すような状況とは、(1)に該当し、既D≧新Dである場合である。この場合、情報処理装置2Aが情報処理装置2Bの降車を妨げる可能性がある。また、
図11に示すような状況に該当する場合とは、(2)に該当し、既D≧新Dである場合である。この場合、情報処理装置2Bが情報処理装置2Aの降車を妨げる可能性がある。また、
図13に示すような状況に該当する場合とは、(3)に該当し、新D≧既Dである場合である。この場合、情報処理装置2Aが情報処理装置2Bの降車を妨げる可能性がある。
【0119】
<割当制御装置1の効果>
以上のように、割当制御装置1において、受付部111は、情報処理装置2からの行先階呼びを受け付け、号機割当部115は当該行先階呼びに応じて情報処理装置2に割り当てる割当号機を決定する。
【0120】
ここで、割当制御装置1の第1判定部112は、情報処理装置2Aからの新規呼びを受け付けると、当該新規呼びに対して既存呼びの割当号機と同じ号機を割り当てた場合、情報処理装置2Aが情報処理装置2Bと同乗する状況が発生するか否かを判定する。また、第2判定部113は、情報処理装置2Aと同乗すると判定された情報処理装置2Bと情報処理装置2Aとの間でエレベータ5の降車に伴う進行を妨げる状況が予測されるかを判定する。
【0121】
号機割当部115は、既存呼びに割り当てた割当号機を新規呼びに割り当てると、当該新規呼びを登録した情報処理装置2Aおよび当該既存呼びを登録した情報処理装置2Bのうち、既存呼びの割当号機にあとから乗車する情報処理装置2が、該割当号機に先に乗車する情報処理装置2の降車に伴う進行を妨げる状況の発生が予測される場合、新規呼びに割当号機とは異なる号機を割り当てる。
【0122】
複数の情報処理装置2が同じ号機に乗車する場合、先に乗車した情報処理装置2は当該割当号機の扉53から遠い位置に乗車し、あとから乗車した情報処理装置2は、当該割当号機の扉53に近い位置に乗車する可能性が高い。ここで、扉53から遠い位置に乗車していた情報処理装置2が、扉53に近い位置に乗車した情報処理装置2よりも先に割当号機から降車する場合、扉53に近い位置に乗車している情報処理装置2によって進行を妨げられる可能性がある。
【0123】
上記構成によると、割当制御装置1は、既存呼びに割り当てられた割当号機を新規呼びに割り当てると、新規呼びを登録した情報処理装置2Aおよび既存呼びを登録した情報処理装置2Bのうち、割当号機にあとから乗車した情報処理装置2が、該割当号機に先に乗車した情報処理装置2の降車に伴う進行を妨げる状況の発生が予測される場合、新規呼びを登録した情報処理装置2Aには割当号機とは異なる号機を割り当てる。すなわち、割当制御装置1は、複数の情報処理装置2が同じ号機に乗車しても、当該号機から降車する情報処理装置2の進行が他の情報処理装置2によって妨げられる状況の発生が予測されないのであれば、当該複数の情報処理装置2が同じ号機に乗車することを許容する。
【0124】
これにより、割当制御装置1は、同じ号機に乗車している複数の情報処理装置2のいずれかが、他の情報処理装置2の降車に伴う進行を妨げる状況の発生を低減させることが可能である。さらに、割当制御装置1は、ある情報処理装置2の進行が他の情報処理装置2によって妨げられる状況の発生が予測されないのであれば、複数の情報処理装置2が同じ号機に乗車することを許容する。これにより、上述のような不都合な状況の発生を低減させつつ、エレベータ5を利用する情報処理装置2の輸送効率を向上させることが可能である。
【0125】
また、割当制御装置1において、特定部114は、新規呼びに割り当てる割当候補号機を特定し、号機割当部115は、特定部114によって特定された割当候補号機から新規呼びに割り当てる割当号機を決定する。ここで、号機割当部115は、既存呼びに対する割当号機が、当該割当号機に先に乗車する情報処理装置2の行先階に到着するより前に、該割当号機にあとから乗車する情報処理装置2の行先階に到着する場合、割当号機を、新規呼びに割り当てる割当候補号機とする。
【0126】
割当号機が、該割当号機に先に乗車した情報処理装置2の行先階に到着するより前に、該割当号機にあとから乗車した情報処理装置2の行先階に到着する場合、あとから乗車した情報処理装置2が先に乗車した情報処理装置2の降車に伴う進行を妨げることはない。
【0127】
上記構成によると、割当号機に先に乗車した情報処理装置2の行先階に到着するより前に、該割当号機にあとから乗車した情報処理装置2の行先階に到着する場合、割当制御装置1の号機割当部115は、当該割当号機を、新規呼びを登録した情報処理装置に割り当てる割当候補号機とする。
【0128】
これにより、割当制御装置1は、同じ号機に乗車している複数の情報処理装置2のいずれかが、他の情報処理装置2の降車に伴う進行を妨げる状況の発生を低減させつつ、情報処理装置2の輸送効率が無駄に低下することを回避することができる。
【0129】
<割当制御装置1が行う処理の流れの一例>
図14は、割当制御装置1が行う処理(割当方法)の流れの一例を示すフローチャートである。以下、
図14を用いて、割当制御装置1が行う処理の流れの一例について説明する。
【0130】
受付部111は、情報処理装置2または乗場行先階登録装置3から割当依頼データを受信するまで(S1でYESになるまで)、処理を待機している。受付部111は、情報処理装置2または乗場行先階登録装置3から割当依頼データを受信すると(S1でYES)、換言すると新規呼びを受け付けると、利用対象の属性(ユーザタイプ)を特定する。割当依頼データには、利用対象の識別情報、出発階、および行先階を示す情報が含まれている。
【0131】
割当依頼データに乗場行先階登録装置3の識別情報が含まれている場合、利用対象の属性は利用者である。利用対象の属性が利用者である場合、換言すると、利用対象の属性が情報処理装置2でない場合(S2でNO)、受付部111は、乗場行先階登録装置3の識別情報、出発階、行先階を特定部114に出力する。特定部114は、これらの情報を取得すると、特定部114は、すべてのエレベータ5の号機を割当候補号機として特定し(S3)、特定した割当候補号機を示す情報、乗場行先階登録装置3の識別情報、出発階、行先階を号機割当部115に出力する。S3の処理の後、S10の処理に進む。
【0132】
一方、割当依頼データに情報処理装置2の識別情報が含まれている場合、利用対象の属性は情報処理装置2である。利用対象の属性が情報処理装置2である場合(S2でYES)、換言すると、情報処理装置2Aからの新規呼びを受け付けた場合、受付部111は、第2判定部113に割当依頼データを出力する。
【0133】
第2判定部113は、受付部111から割当依頼データを取得すると、エレベータ5のある号機を割り当てた場合、干渉の発生が予測されるか否かの判定を開始する。以下、第2判定部113が判定の対象とするエレベータの号機の番号を「C」と称する。例えば、C=1である場合、第2判定部113は1号機について判定を行い、C=2である場合、第2判定部113は2号機について判定を行う。まず、第1判定部112は、C=1とし(S4)、C号機を情報処理装置2Aに割り当てると、情報処理装置2AがC号機を割当号機とする既存呼びを登録したいずれかの情報処理装置2BとC号機において同乗するか否かを判定する(S5)。
【0134】
第1判定部112は、乗場行先階DB131を参照し、C号機において登録済みの既存呼びを特定する。第2判定部113は、特定した既存呼びに含まれる出発階および行先階と、情報処理装置2Aからの新規呼びに含まれる出発階および行先階と、既存呼びに割り当てられた割当号機の現在階および移動方向と、を比較することで判定を行う。
【0135】
第1判定部112は、判定の対象となっているエレベータ5のC号機を割当号機とする全ての既存呼びについて同様の判定を行う。C号機について少なくとも1つの既存呼びを行った情報処理装置2Bと情報処理装置2Aとが同乗し得る場合、第1判定部112は、当該号機を情報処理装置2Aに割り当てると、情報処理装置2Aと別の情報処理装置2Bとが同乗すると判定する(S5でYES)。情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとが同乗する状況の例については既に述べたためここでの説明を省略する。
【0136】
S5でYESの場合、第1判定部112は、判定結果を第2判定部113に出力する。当該判定結果には、情報処理装置2Aと情報処理装置2BとがC号機に同乗することを示す情報が含まれる。また、当該判定結果には、情報処理装置2Aと同乗すると判定された情報処理装置2Bの既存呼びに関する情報が含まれていてもよい。
【0137】
一方、C号機についていずれの既存呼びを行った情報処理装置2Bも情報処理装置2Aと同乗しない場合、第1判定部112は、当該号機を情報処理装置2Aに割り当てても情報処理装置2Aと別の情報処理装置2Bとが同乗しないと判定する(S5でNO)。S5でNOの場合、第1判定部112は、判定結果を号機割当部115に出力する。
【0138】
S5でYESの後、第2判定部113は、第1判定部112から情報処理装置2Aと情報処理装置2BとがC号機に同乗することを示す判定結果を取得する。第2判定部113は、第1判定部112において情報処理装置2Aと同乗すると判定された情報処理装置2B、および情報処理装置2Aのうちの一方が、他方の降車動作を妨げるか否か(情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとが降車時に干渉し得るか否か)を判定する(S6)。
【0139】
具体的には、第2判定部113は、C号機を新規呼びに割り当てると、情報処理装置2Aおよび情報処理装置2Aと同乗し得る情報処理装置2Bのうち、C号機にあとから乗車する情報処理装置2が、C号機に先に乗車する情報処理装置2の降車に伴う進行を妨げる状況の発生が予測されるか否かを判定する。
【0140】
情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとが干渉すると判定される状況の例については既に述べたためここでの説明を省略する。なお、第1判定部112において、C号機において情報処理装置2Aと同乗すると判定された情報処理装置2Bが複数存在する場合、第2判定部113は、情報処理装置2Aと同乗し得る情報処理装置2Bのそれぞれについて、情報処理装置2Aと干渉し得るか否かを判定する。第2判定部113は、判定結果を特定部114に出力する。
【0141】
特定部114は、第1判定部112および第2判定部113による判定結果に基づき割当候補号機を特定する。特定部114は、第1判定部112において、C号機を情報処理装置2Aに割り当てたとしても、C号機に乗車予定の情報処理装置2Bと同乗しないと判定された場合(S5でNO)、C号機を割当候補号機に加える(S7)。また、特定部114は、第2判定部113において、C号機を情報処理装置2Aに割り当てたとしても干渉が発生しないと判定された場合(S6でNO)、C号機を割当候補号機に加える(S7)。一方、第2判定部113においてC号機に乗車予定の情報処理装置2Bと情報処理装置2Aとの間で干渉が発生し得ると判定された場合(S6でYES)、特定部114は、C号機を割当候補号機から除外する。
【0142】
第1判定部112が全てのエレベータ5の号機について干渉に関する判定を完了していない場合(S8でNO)、第1判定部112はCに1を加える(S9)、その後S8でYESとなるまで、再度S5~S8の処理が繰り返される。
【0143】
第1判定部112および第2判定部113が全てのエレベータ5の号機について干渉に関する判定を完了すると(S8でYES)、特定部114は、それまでに割当候補号機に加えた号機を示す情報を号機割当部115に出力する。
【0144】
号機割当部115は、特定部114から割当候補号機を示す情報を取得すると、割当号機を決定する(S10:号機割当ステップ)、換言すると、号機割当部115は、利用対象に割り当てる最適な割当号機を決定する。割当号機を決定する方法は、従来エレベータの号機の割当に用いられる方法を利用すればよい。利用対象が利用者である場合、エレベータ5の全号機が割当候補号機となる。また、利用対象が情報処理装置2Aである場合、エレベータ5の号機のうち、既存呼びを登録済みの情報処理装置2Bと同乗しない号機、または既存呼びを登録済みの情報処理装置2Bとの間で干渉が発生しない号機が割当候補号機となる。
【0145】
続いて、号機割当部115は、割当号機を決定すると、乗場行先階DB131およびエレベータDB132に、受け付けた行先階呼びに基づく各情報と決定した割当号機とを対応付けて記憶させる。また、号機割当部115は、割当依頼データの受信元、すなわち行先階呼びを送信した利用対象に、割り当てた号機を示す情報を送信する(S11)。これにより、行先階呼びの登録が完了する。
【0146】
<変形例>
[変形例1]
上述の実施形態では、第2判定部113は、情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとが同乗し、新規呼びによって指定される出発階と既存呼びによって指定される出発階が同一階である場合には、情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとが干渉すると判定していた。また、このような場合、号機割当部115は情報処理装置2Aの新規呼びに対して情報処理装置2Bが乗車予定の割当号機とは異なる号機を割り当てていた。
【0147】
しかしながら、干渉についての判断はこれに限られず、情報処理装置2Aと情報処理装置2Bの一方が他方の降車を妨げないと考えられる状況であれば、第2判定部113は情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとが干渉しないと判定してもよい。
【0148】
例えば、新規呼びを登録した情報処理装置2Aの出発階と、既存呼びを登録した情報処理装置2Bの出発階が同一階であり、かつ、既存呼びに割り当てられた割当号機が、当該既存呼びを登録した情報処理装置2Bの行先階に到着するより前に、新規呼びを登録した情報処理装置2Aの行先階に到着する場合、第2判定部113は情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとが干渉しないと判定してもよい。
【0149】
この場合、特定部114は上述のような既存呼びに割り当てられた割当号機を新規呼びに対する割当候補号機とし、号機割当部115は、当該割当候補号機を含む候補の中から新規呼びに対する割当号機を決定する。
【0150】
複数の情報処理装置2が同一階から乗車する場合、既存呼びを行った情報処理装置2Bは、新規呼びを行った情報処理装置2Aよりも先に乗場でエレベータ5を待機している可能性が高いため、先にかご52に乗車する可能性が高い。また、複数の情報処理装置2が同一階から乗車する場合、一般的に、先に乗車する方は後から乗車する方よりもかご52の扉53から遠い位置に位置する。
【0151】
ここで、既存呼びに対する割当号機が、該割当号機に先に乗車した情報処理装置2の行先階に到着するより前に、該割当号機にあとから乗車した情報処理装置2の行先階に到着する場合、あとから乗車した情報処理装置2が先にかご52から降車する。そのため、あとから乗車した情報処理装置2の降車が別の情報処理装置2によって妨げられることはない。また、先に乗車した情報処理装置2が降車するときには既にあとから乗車した情報処理装置2は降車しているため、あとから乗車した情報処理装置2が先に乗車した情報処理装置2の降車に伴う進行を妨げることはない。
【0152】
上記構成によると、割当制御装置1は、進行を妨げることがないことが予測された場合には、既存呼びに対する割当候補号機を、新規呼びに対する割当候補号機とするため、新規呼びに対する割当候補号機が過剰に少なくなる可能性を低減させることができる。これにより、割当制御装置1は、情報処理装置2の輸送効率の低下を回避することができる。
【0153】
[変形例2]
上述の実施形態において、第2判定部113は、新規呼びと既存呼びとの関係が(A)および(B)のいずれかに該当する場合、情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとの間で干渉が発生し得ると判定した。ここで、割当制御装置1において、情報処理装置2Aと情報処理装置2Bとの間で干渉が発生し得ると判定される条件をさらに追加してもよい。
【0154】
例えば、特定部114は、第1判定部112において情報処理装置2Aが別の情報処理装置2Bと同乗すると判定された全ての号機を割当候補号機から除外してもよい。この場合、号機割当部115は、情報処理装置2Aが別の情報処理装置2Bと同乗しない号機の中から新規呼びに対する割当号機を決定する。
【0155】
以上のように、号機割当部115は、複数の情報処理装置2が同じ号機に乗車する状況が発生しないように割当を行ってもよい。号機割当部115がこのように割当を行う場合、同じ号機に複数の情報処理装置2が乗車する状況の発生が抑制される。当該構成によれば、より確実に同じ号機に乗車した情報処理装置2の一方が他方の進行を妨げる状況が発生する可能性を低減し、両情報処理装置2が動けなくなるなどの不都合な状況の発生を抑制することができる。
【0156】
〔ソフトウェアによる実現例〕
割当制御装置1(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるための割当制御プログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部11、制御部21、操作部31、制御部41に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0157】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0158】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0159】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0160】
また、上記各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0161】
〔まとめ〕
以上のように、本発明の態様1にかかる割当制御装置は、自律走行可能であり、エレベータを利用して階床間を移動可能な情報処理装置から受け付けた、出発階および行先階を示す行先階呼びに応じて、前記情報処理装置に利用させる号機を割り当てる号機割当部を備え、前記号機割当部は、受付済みの行先階呼びである既存呼びと異なる新たな行先階呼びである新規呼びとを受け付けた場合であって、前記既存呼びに割り当てた割当号機を前記新規呼びに割り当てると、前記新規呼びを登録した情報処理装置および前記既存呼びを登録した情報処理装置のうち、前記割当号機にあとから乗車する情報処理装置が、該割当号機に先に乗車する情報処理装置の降車に伴う進行を妨げる状況の発生が予測される場合、前記新規呼びに前記割当号機とは異なる号機を割り当てる。
【0162】
上記構成によると、割当制御装置は、既存呼びに割り当てられた割当号機を新規呼びに割り当てると、新規呼びを登録した情報処理装置および既存呼びを登録した情報処理装置のうち、割当号機にあとから乗車した情報処理装置が、該割当号機に先に乗車した情報処理装置の降車に伴う進行を妨げる状況の発生が予測される場合、新規呼びを登録した情報処理装置には割当号機とは異なる号機を割り当てる。すなわち、割当制御装置は、複数の情報処理装置が同じ号機に乗車しても、当該号機から降車する情報処理装置の進行が他の情報処理装置によって妨げられる状況の発生が予測されないのであれば、当該複数の情報処理装置が同じ号機に乗車することを許容する。
【0163】
これにより、割当制御装置は、同じ号機に乗車している複数の情報処理装置のいずれかが、他の情報処理装置の降車に伴う進行を妨げる状況の発生を低減させることが可能である。さらに、割当制御装置は、ある情報処理装置の進行が他の情報処理装置によって妨げられる状況の発生が予測されないのであれば、複数の情報処理装置が同じ号機に乗車することを許容するため、上述のような不都合な状況の発生を低減させつつ、エレベータを利用する情報処理装置の輸送効率を向上させることが可能である。
【0164】
本発明の態様2に係る割当制御装置では、上記態様1において、前記号機割当部は、前記割当号機が、前記割当号機に先に乗車する情報処理装置の行先階に到着するより前に、該割当号機にあとから乗車する情報処理装置の行先階に到着する場合、前記割当号機を、前記新規呼びに割り当てる割当候補号機としてもよい。
【0165】
上記構成によると、割当号機に先に乗車した情報処理装置の行先階に到着するより前に、該割当号機にあとから乗車した情報処理装置の行先階に到着する場合、割当制御装置は、当該割当号機を、新規呼びを登録した情報処理装置に割り当てる割当候補号機とする。
【0166】
これにより、割当制御装置は、同じ号機に乗車している複数の情報処理装置のいずれかが、他の情報処理装置の降車に伴う進行を妨げる状況の発生を低減させつつ、情報処理装置の輸送効率が無駄に低下することを回避することができる。
【0167】
本発明の態様3に係る割当制御装置では、上記態様1または2において、前記号機割当部は、前記新規呼びを登録した情報処理装置の出発階と、前記既存呼びを登録した情報処理装置の出発階が同一階であり、かつ、前記割当号機が、前記既存呼びを登録した情報処理装置の行先階に到着するより前に、前記新規呼びを登録した情報処理装置の行先階に到着する場合、前記割当号機を、前記新規呼びに割り当てる割当候補号機としてもよい。
【0168】
上記構成によると、割当制御装置は、進行を妨げることがないことが予測された場合には、既存呼びに対する割当候補号機を、新規呼びに対する割当候補号機とするため、新規呼びに対する割当候補号機が過剰に少なくなる可能性を低減させることができる。これにより、割当制御装置は、情報処理装置の輸送効率の低下を回避することができる。
【0169】
本発明の態様4に係る割当方法は、自律走行可能であり、エレベータを利用して階床間を移動可能な情報処理装置から受け付けた、出発階および行先階を示す行先階呼びに応じて、前記情報処理装置に利用させる号機を割り当てる号機割当ステップを含み、前記号機割当ステップにおいて、受付済みの行先階呼びである既存呼びと異なる新たな行先階呼びである新規呼びとを受け付けた場合であって、前記既存呼びに割り当てた割当号機を前記新規呼びに割り当てると、前記新規呼びを登録した情報処理装置および前記既存呼びを登録した情報処理装置のうち、前記割当号機にあとから乗車する情報処理装置が、該割当号機に先に乗車する情報処理装置の降車に伴う進行を妨げる状況の発生が予測される場合、前記新規呼びに前記割当号機とは異なる号機を割り当てる。
【0170】
上記構成によると、上記態様1と同様の効果を奏する。
【0171】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0172】
1 割当制御装置
2 情報処理装置
2A 新規呼びを登録した情報処理装置
2B 既存呼びを登録した情報処理装置
3 乗場行先階登録装置
4 エレベータ制御装置
5 エレベータ
5A エレベータの1号機
5B エレベータの2号機
5C エレベータの3号機
115 号機割当部