(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084575
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】AIシステムチェックプログラム,AIシステムチェック方法及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240618BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20240618BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06N20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198909
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100189201
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 功
(72)【発明者】
【氏名】大橋 恭子
(72)【発明者】
【氏名】新田 泉
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC12
5L050CC12
(57)【要約】
【課題】AIシステムのシステム図の精度向上による、リスク分析作業の精度向上及び効率化を図る。
【解決手段】AIシステムのステークホルダーの構成に基づいて、互いに関係を有するステークホルダーの第1の複数の組を特定し、第1の複数の組と、他のAIシステム100aのステークホルダーの構成に基づいて定まるステークホルダーの第2の複数の組とを比較し、比較する処理の結果に基づいて、第1の複数の組に含まれ、第2の複数の組に含まれない第1の組を差分情報として出力する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Artificial Intelligence(AI)システムのステークホルダーの構成に基づいて、互いに関係を有するステークホルダーの第1の複数の組を特定し、
前記第1の複数の組と、他のAIシステムのステークホルダーの構成に基づいて定まるステークホルダーの第2の複数の組とを比較し、
前記比較する処理の結果に基づいて、前記第1の複数の組に含まれ、前記第2の複数の組に含まれない第1の組を差分情報として出力する、
処理をコンピュータに実行させる、AIシステムチェックプログラム。
【請求項2】
前記差分情報として、更に、前記比較する処理の結果に基づいて、前記第2の複数の組に含まれ、前記第1の複数の組に含まれない第2の組を出力する、
処理を前記コンピュータに実行させる、請求項1に記載のAIシステムチェックプログラム。
【請求項3】
前記第1の複数の組は、テンプレートとしての前記AIシステムのステークホルダーの構成に基づいて定められ、
前記第2の複数の組は、プロジェクトとしての前記他のAIシステムのステークホルダーの構成に基づいて定められる、
請求項1又は2に記載のAIシステムチェックプログラム。
【請求項4】
二以上の前記第1の複数の組についての前記AIシステムに含まれる文書と、前記他のAIシステムに含まれる文書との類似度に基づき、前記二以上の前記第1の複数の組の中から、一つの前記第1の複数の組を選定する、
処理を前記コンピュータに実行させる、請求項1又は2に記載のAIシステムチェックプログラム。
【請求項5】
前記差分情報を前記他のAIシステムに反映させる、
処理を前記コンピュータに実行させる、請求項1又は2に記載のAIシステムチェックプログラム。
【請求項6】
Artificial Intelligence(AI)システムのステークホルダーの構成に基づいて、互いに関係を有するステークホルダーの第1の複数の組を特定し、
前記第1の複数の組と、他のAIシステムのステークホルダーの構成に基づいて定まるステークホルダーの第2の複数の組とを比較し、
前記比較する処理の結果に基づいて、前記第1の複数の組に含まれ、前記第2の複数の組に含まれない第1の組を差分情報として出力する、
処理をコンピュータが実行する、AIシステムチェック方法。
【請求項7】
Artificial Intelligence(AI)システムのステークホルダーの構成に基づいて、互いに関係を有するステークホルダーの第1の複数の組を特定し、
前記第1の複数の組と、他のAIシステムのステークホルダーの構成に基づいて定まるステークホルダーの第2の複数の組とを比較し、
前記比較する処理の結果に基づいて、前記第1の複数の組に含まれ、前記第2の複数の組に含まれない第1の組を差分情報として出力する、
プロセッサを備える、情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、AIシステムチェックプログラム,AIシステムチェック方法及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
AI(Artificial Intelligence)システムにおいて、倫理的なリスクのアセスメントが行われることがある。
【0003】
さまざまな業種やタスクのAIシステムを利用することで、倫理上の問題が発生することがある。そのような問題が発生すると、AIシステムを提供した企業や組織だけでなく、AIシステムの利用者やその先にある社会に対する影響も大きい。
【0004】
そこで、AIを社会実装する上で、倫理上のリスクを認識し対処できるような取り組みが行われている。
【0005】
しかし、AIシステムが複数のステークホルダーを持ち、それらを取り巻く社会状況が変化することで、AIシステムの利用によってどのような倫理的な問題が発生するかを検知することは容易でない場合がある。
【0006】
そこで、AI倫理に関する原則やガイドラインが示すチェックリストそのものが、AIシステムやそのステークホルダーに当てはめられて分析されることがある。
【0007】
AI倫理に関する原則やガイドラインの例としては、「欧州High-Level Expert Group on AI (AI HLEG) “Ethics Guidelines for Trustworthy AI”」や「総務省 AI利活用ガイドライン」,「統合イノベーション戦略推進会議“人間中心のAI社会原則”」,「OECD “Recommendation of the Council on Artificial Intelligence”」が存在する。
【0008】
また、様々なAIサービス提供の形態の存在を踏まえつつ、AIサービス提供者が自らのAIサービスに係るリスクコントロール検討に資するモデルとして、「リスクチェーンモデル(Risk Chain Model: RCModel)」が提案されている。
【0009】
リスクチェーンモデルでは、以下の(1)~(3)によって、リスク構成要素の整理及び構造化が行われる。
【0010】
(1)AIシステムの技術的構成要素
【0011】
(2)サービス提供者の行動規範(ユーザとのコミュニケーションを含む)に係る構成要素
【0012】
(3)ユーザの理解・行動・利用環境に係る構成要素
また、リスクチェーンモデルでは、リスクシナリオの識別及びリスク要因となる構成要素の特定と、リスクチェーンの可視化及びリスクコントロールの検討が行われる。リスクチェーンの可視化及びリスクコントロールの検討では、AIサービス提供者はリスクシナリオに関連する構成要素の関係性(リスクチェーン)を可視化することで、段階的なリスク低減の検討が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際公開第2021/199201号
【特許文献2】米国特許公報第11,270,214号
【特許文献3】米国公開公報第2019/0130643号
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】松本敬史,江間有沙,“AIサービスのリスク低減を検討するリスクチェーンモデルの提案”,2020年6月4日,インターネット<URL:ifi.u-tokyo.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2020/06/policy_recommendation_tg_20200604.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、原則やガイドラインが示すチェックリストは、AIシステムのどの部分がどうあるべきかを具体的に示すものではなく、AIシステムの開発者や提供者が具体化する必要がある。この具体化作業は難易度が高く、工数の負担も大きい。
【0016】
また、リスクチェーンモデルはリスク構成要素が整理されているが、AIシステム提供者や開発者が、AIシステムのコンポーネントや個々のステークホルダーに対して実践すべき項目に落とし込む必要がある。
【0017】
更に、AIシステムのコンポーネントとステークホルダーとの関係に漏れがあると生成するチェック項目に漏れが生じるおそれがある一方、不要なAIシステムのコンポーネントとステークホルダーとの関係があると過剰なチェック項目が生成されるおそれがある。
【0018】
1つの側面では、AIシステムのシステム図の精度向上による、リスク分析作業の精度向上及び効率化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
1つの側面では、AIシステムチェックプログラムは、Artificial Intelligence(AI)システムのステークホルダーの構成に基づいて、互いに関係を有するステークホルダーの第1の複数の組を特定し、前記第1の複数の組と、他のAIシステムのステークホルダーの構成に基づいて定まるステークホルダーの第2の複数の組とを比較し、前記比較する処理の結果に基づいて、前記第1の複数の組に含まれ、前記第2の複数の組に含まれない第1の組を差分情報として出力する、処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0020】
1つの側面では、AIシステムのシステム図の精度向上による、リスク分析作業の精度向上及び効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】AIシステムのシステム図を例示するブロック図である。
【
図3】AI倫理チェックリストの一部を例示するテーブルである。
【
図4】実施形態における情報処理装置のソフトウェア構成例を模式的に示すブロック図である。
【
図5】実施形態における特徴差分検出処理を簡単に説明するフローチャートである。
【
図6】実施形態における分析シートを例示するテーブルである。
【
図7】実施形態におけるユースケース概要を例示するテーブルである。
【
図8】実施形態における書き漏らしを含むAIシステムのシステム図を例示するブロック図である。
【
図9】実施形態におけるユースケース概要からの特徴抽出処理を説明する図である。
【
図10】実施形態における分析シートからの特徴抽出処理を説明する図である。
【
図11】実施形態としてのユースケース概要における特徴差分の出力処理を説明する図である。
【
図12】実施形態としての分析シートにおける特徴差分の出力処理を説明する図である。
【
図13】実施形態としてのステークホルダー一覧における特徴抽出処理を説明するフローチャートである。
【
図14】実施形態としての分析シートにおける特徴抽出処理を説明するフローチャートである。
【
図15】実施形態における処理結果の出力画面を例示する図である。
【
図16】実施形態におけるステークホルダー一覧の出力処理を説明するフローチャートである。
【
図17】第1変形例における追記を含むAIシステムのシステム図を例示するブロック図である。
【
図18】第1変形例における分析シートを例示するテーブルである。
【
図19】第1変形例におけるユースケース概要を例示するテーブルである。
【
図20】第1変形例としてのユースケース概要における特徴差分の出力処理を説明する図である。
【
図21】第1変形例としての分析シートにおける特徴差分の出力処理を説明する図である。
【
図22】第1変形例における処理結果の出力画面を例示する図である。
【
図23】第2変形例における情報処理装置のソフトウェア構成例を模式的に示すブロック図である。
【
図24】実施形態及び各変形例における情報処理装置のソフトウェア構成例を模式的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔A〕関連例
関連例は、AIシステム100(
図1を用いて後述)が持つべき倫理的な特徴を、AIシステム100とステークホルダーとの関係に対応付けてチェックリスト化し、そのAI倫理チェックリストを用いて、AIシステム100の倫理リスクを分析する。これにより、AIサービスプロバイダ10a(
図1を用いて後述)や開発者20aが、AIシステム100のコンポーネントや個々のステークホルダーに対して実践すべき項目に落とし込む作業を不要にする。
【0023】
また、AIシステム100の構成要素とステークホルダーとの関係をグラフ構造化し、グラフ構造の特徴に基づいてAI倫理チェック項目に優先度を付けたAI倫理チェックリストを自動生成する。これにより、重要なAI倫理チェック項目を優先的に分析することで効率化を実現する。
【0024】
図1は、AIシステム100のシステム図を例示するブロック図である。
【0025】
図1に示すAIシステム100において、矢印は、インタラクションを示す。インタラクションの両端(始点,終点)は、ステークホルダー,データ,AIシステム100のコンポーネントのいずれかの要素となる。相互作用の始点,終点に対応する要素の役割(AIサービスプロバイダ10a,監視者10b,開発者20a,訓練データ提供者20b,訓練データ取得元20c,その他のステークホルダー20d,ビジネス利用者30a,推論データ提供者30b,推論データ取得元30c,判定対象者40a)によりインタラクションの種類を規定する。各インタラクションに付されているSxxxはインタラクションIDを示す。
【0026】
AIシステム100は、訓練部110及び予測部120を備える。
【0027】
訓練部110は、訓練データ101に対する機械学習によって、AIモデル103の訓練を実行する機械学習部102を備える。訓練データ101は、開発者20a等からのデータの入力によって、生成されてよい。
【0028】
予測部120は、AIモデル103を用いて推論データ104に対する推論を行うことによって、推論結果105を出力する。推論データ104は、開発者20aやビジネス利用者30aからの入力によって、生成されてよい。
【0029】
【0030】
図2に示すAI倫理モデルは、AI倫理に関する原則、ガイドライン等を整理し、AIシステム100が満たすべきチェックリストとして構成したものである。AI倫理モデルは、チェック項目とその概要(AIシステム100が倫理的であるために満たすべき状態)とを含む。
【0031】
図2に示す例において、例えば、チェック項目「社会的信用の維持」の概要は、「AIシステムを使うことによってステークホルダーの信用が損なわれることがないこと」となっている。
【0032】
図2に例示するAI倫理モデルのチェック項目は、「欧州 High-Level Expert Group on AI (AI HLEG) “Ethics Guidelines for Trustworthy AI”」から導出されたAI倫理モデルに基づいている。
【0033】
図3は、AI倫理チェックリストの一部を例示するテーブルである。
【0034】
AI倫理チェックリストは、AI倫理モデルに基づいて生成される。AI倫理チェックリストは、
図1におけるインタラクションの種類に応じて、満たすべきAI倫理チェック項目を対応付けたものである。AI倫理チェックリストにおける1つのチェック項目が、1種類のインタラクションに対応する。
【0035】
図3に示すAI倫理チェックリストの一部では、チェック項目と概要とインタラクション種類(From,To)とが対応付けられている。例えば、チェック項目「社会的信用の維持」に対して、概要「AIシステムを使うことによってステークホルダーの信用が損なわれることがないこと」とインタラクション種類(From)「推論結果」とインタラクション種類(To)「利用者」と対応付けて登録されている。
【0036】
ここで、関連例におけるAI倫理リスクの分析処理について説明する。
【0037】
以下の(1)~(4)の手順で、リスク分析がユーザにより実施される。
【0038】
(1)AIシステム100の構成要素、データ、ステークホルダー間の関係がシステム図(
図1を参照)として作図され、インタラクションが抽出される。
【0039】
(2)分析シート(不図示)にインタラクション毎の内訳が記載される。
【0040】
(3)AI倫理チェックリスト(
図3を参照)の各項目について、該当するインタラクションがそのチェック項目を満たさない状態から想定されるリスク(リスク事象・リスク要因)が抽出され、分析シートに記載される。
【0041】
(4)分析シートのリスクが参照され、同内容のものが整理され、事象と要因との関係が記載される。可視化する場合はシステム図にリスク事象と要因とを追加した分析図(不図示)が作成される。
【0042】
すなわち、システム図、分析シート及び分析図が出力データとして出力される。
【0043】
上記のリスク分析の手順(3)において、AI倫理チェックリストの項目が多いため、すべてのチェックリストを検証するための工数が大きい。そこで、上記のリスク分析の手順(3)について、優先度付きのAI倫理チェックリスト生成処理が実行される。
【0044】
AI倫理チェックリスト生成処理では、分析対象のAIシステム100とステークホルダーのいずれか2者間の関係(インタラクション)がグラフ構造で表現される。そして、そのグラフ構造の特徴から、倫理的に注目すべき重要度の高い関係(インタラクション)がルールベースで抽出され、重要度の高い関係(インタラクション)と紐づいた、倫理的なリスクを抽出するためのチェック項目が、優先度付きのチェックリストとして提示される。
【0045】
関連例における情報処理装置(不図示)は、AI倫理チェックリストの絞り込みを実施する。AI倫理チェックリストの絞り込みでは、「AIシステムの構成とステークホルダーとの関係」が持つ特徴が、インタラクションの集合から構成したグラフ構造の特徴として表現される。
【0046】
分析シートの表データは「インタラクション集合」のデータ形式になっているため、グラフ構造の自動生成が可能となる。グラフ構造の特徴として、例えば以下を自動抽出できる。
・ステークホルダーのノード数
・複数の役割を持つステークホルダーの数
・AIシステムと直接関わらないステークホルダーの数
【0047】
倫理的なリスクの発生が起こりやすいグラフ構造の特徴と、おさえておくべきAI倫理チェックリストの項目とが、あらかじめルールとして登録される。例えば、AIシステム100と直接関わらないステークホルダーの数が1つ以上ある場合は、そのステークホルダーが関わるインタラクションの優先度が上げられる。これは、AIシステム100の設計・開発において見落としがちな間接的なステークホルダーへの影響を把握するためである。
【0048】
グラフ構造の特徴から登録したルールに基づいて、重要度の高いAI倫理チェック項目が絞り込まれ、優先度付きのAI倫理チェックリストとして生成される。
【0049】
〔B〕実施形態
以下、図面を参照して一実施の形態を説明する。ただし、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、実施形態で明示しない種々の変形例や技術の適用を排除する意図はない。すなわち、本実施形態を、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、各図は、図中に示す構成要素のみを備えるという趣旨ではなく、他の機能等を含むことができる。
【0050】
上述した関連例においては、AI倫理チェックリストの生成処理において、倫理リスクが発生しやすい重要インタラクションとされるグラフ構造の特徴(たとえば、ステークホルダーの役割に関する特徴など)のルールに応じて、インタラクションに優先度が付与され、AI倫理チェックリストが絞り込まれた。
【0051】
一方、実施形態においては、人手で作成したことにより記載内容に過不足があるシステム図について、リスクの見落としを防ぐとともに、過剰な抽出が行われる可能性を低減させる。
【0052】
実施形態においては、AIシステム100が持つ典型的なコンポーネントとインタラクションの典型例であるテンプレートとが予め何種類か用意される。そして、分析対象に最も近いAIシステム100のシステム図のテンプレートをシステム図の作成者に選定させ、それを利用してシステム図が作成される。選定したテンプレートのシステム図と分析対象のプロジェクトで作成したシステム図とが比較され、コンポーネントやインタラクションの不足が発見され、システム図への追加対象として提案される。
【0053】
図4は、実施形態における情報処理装置1のソフトウェア構成例を模式的に示すブロック図である。
【0054】
実施形態における情報処理装置1(
図24を用いて後述)は、特徴抽出部111,特徴差分検出部112及び出力部113して機能する。
【0055】
特徴抽出部111は、分析対象のシステム
図141及びテンプレートのシステム
図142から特徴点を抽出し、分析対象及びテンプレートのインタラクション集合143として出力する。
【0056】
特徴差分検出部112は、分析対象及びテンプレートのインタラクション集合143から、分析対象のインタラクションとテンプレートのインタラクションとの差分を検出する。
【0057】
出力部113は、検出された差分を、相違しているステークホルダー,コンポーネント及びインタラクションとして出力する。
【0058】
分析対象及びテンプレートのインタラクション集合143は、
図6を用いて後述する分析シートと、
図7を用いて後述するユースケース概要とを含み、
図1に示したAIシステム100のシステム図から特徴が抽出されることによって生成される。
【0059】
実施形態における特徴差分検出処理を、
図5に示すフローチャート(ステップA1~A5)に従って簡単に説明する。
【0060】
特徴抽出部111は、分析対象のAIシステム100(
図1を参照)のシステム
図Aの入力を受け付けると共に(ステップA1)、テンプレートシステムのシステム
図Tの入力を受け付ける(ステップA2)。
【0061】
特徴抽出部111は、システム
図A,Tから機械可読なデータ形式の特徴(例えば、ユースケース概要や分析シート)を抽出する(ステップA3)。
【0062】
特徴差分検出部112は、システム
図A,T間の特徴差分を検出する(ステップA4)。
【0063】
そして、出力部113は、修正候補のステークホルダー,コンポーネント及びインタラクションを出力する(ステップA5)。そして、特徴差分検出処理は終了する。
【0064】
図6は、実施形態における分析シートを例示するテーブルである。
【0065】
図6に示す分析シートは、ステークホルダー間,ステークホルダーとAIシステム間で行われるインタラクションを機械可読な形式で表したものである。分析シートは、各行が一つのインタラクションを表し、その始点・終点のステークホルダーやコンポーネントの種類を示している。
【0066】
例えば、
図6に示す例では、インタラクションID「S101」について、インタラクション始点の種類「推論データ取得元」及びインタラクション終点の種類「推論データ提供元」が登録されている。また、分析シートには、インタラクションの概要やAI倫理特性,リスク事象,リスク要因等が登録されてもよい。
【0067】
図7は、実施形態におけるユースケース概要を例示するテーブルである。
【0068】
図7に示すユースケース概要は、AIシステム100の分析に必要な項目のうち、ステークホルダーのデータを機械可読な形式で表したものである。本実施形態では、AI倫理リスク抽出に重要なステークホルダーの情報に注目してデータが抽出される。
【0069】
例えば、
図7に示すでは、大項目「ステークホルダーと役割」について、中項目「AIサービスプロバイダ」等が登録されている。また、ユースケース概要には、各中項目に対応する内容が登録されてもよい。
【0070】
図8は、実施形態における書き漏らしを含むAIシステム100aのシステム図を例示するブロック図である。
【0071】
図8には、
図1に示したシステム図のテンプレートに基づき、人手で作成したシステム図が示されている。
図8に示す例では、符号B1に示すように、
図1に示したテンプレートにある、その他のステークホルダー20dが書き漏らされている。また、ステークホルダーが書き漏らされた影響で、インタラクションS200も削除されている。
【0072】
図4に示した特徴抽出部111は、
図8に示したAIシステム100aのシステム図から、ユースケース概要及び分析シートを作成する。
【0073】
図9は、実施形態におけるユースケース概要からの特徴抽出処理を説明する図である。
【0074】
特徴抽出部111は、符号C1に示す入力したテンプレートのユースケース概要を、符号C2に示す機械可読なデータ形式のステークホルダー一覧に変換し、特徴差分検出部112への入力とする。なお、テンプレートと実施形態(別言すれば、個々のプロジェクト作成)とのユースケース概要のデータ形式は共通である。
【0075】
符号C2に示す初期状態における機械可読なステークホルダー一覧では、全てのステークホルダー名に対して、初期値として共通フラグ「0」が設定されている。
【0076】
符号C3に示す処理後における機械可読なステークホルダー一覧では、
図4に示した特徴差分検出部112において、テンプレートとプロジェクトとで共通するステークホルダー名について、共通フラグが「1」に設定されている。
【0077】
図10は、実施形態における分析シートからの特徴抽出処理を説明する図である。
【0078】
符号D1に示すように、テンプレートの分析シートは、符号D2に示す機械可読なデータ形式のインタラクション一覧に変換され、特徴差分検出部112への入力とされる。なお、テンプレートと実施形態(別言すれば、個々のプロジェクト作成)との分析シートのデータ形式は共通である。
【0079】
符号D2に示す初期状態における機械可読なインタラクション一覧では、全てのインタラクションの始点及び終点の組み合わせに対して、初期値として共通フラグ「0」が設定されている。
【0080】
符号D3に示す処理後における機械可読なインタラクション一覧では、
図4に示した特徴差分検出部112において、テンプレートとプロジェクトとで共通するインタラクションについて、共通フラグが「1」に設定されている。
【0081】
図11は、実施形態としてのユースケース概要における特徴差分の出力処理を説明する図である。
【0082】
特徴差分検出部112は、特徴抽出部111から出力されたテンプレートのステークホルダー一覧(符号E1参照)と、実施形態のステークホルダー一覧(符号E2参照)とを比較して、その差異を抽出する。そして、
図4に示した出力部113は、符号E3に示すように、差異点をユースケース概要からの抽出結果として出力する。
【0083】
図11に示す例では、出力部113は、情報処理装置1の表示装置131(
図24を用いて後述)に、「テンプレートのみにあるシステムのコンポーネントがあります。その他のステークホルダー」と表示させてよい。
【0084】
図12は、実施形態としての分析シートにおける特徴差分の出力処理を説明する図である。
【0085】
特徴差分検出部112は、特徴抽出部111から出力されたテンプレートのインタラクション集合の中に含まれる分析シート(符号F1参照)と、実施形態のインタラクション集合の中に含まれる分析シート(符号F2参照)とを比較して、その差異を抽出する。そして、
図4に示した出力部113は、符号F3に示すように、差異点を分析シートからの抽出結果として出力する。
【0086】
図12に示す例では、出力部113は、情報処理装置1の表示装置131(
図24を用いて後述)に、「テンプレートのみにあるインタラクションがあります。その他のステークホルダーから訓練データ取得元へ」と表示させてよい。
【0087】
実施形態としてのステークホルダー一覧における特徴抽出処理を、
図13に示すフローチャート(ステップG1~G8)に従って説明する。
【0088】
特徴抽出部111は、機械可読なテンプレートのユースケース一覧からステークホルダー一覧T_Stlistを取得する(ステップG1)。
【0089】
特徴抽出部111は、機械可読な分析対象のステークホルダー一覧P_Stlistを取得する(ステップG2)。
【0090】
特徴差分検出部112は、テンプレートのステークホルダー一覧から、未処理のステークホルダーを一つずつ取得する(ステップG3)。
【0091】
特徴差分検出部112は、取得したステークホルダーのステークホルダー名Nを取得する(ステップG4)。
【0092】
特徴差分検出部112は、T_Stlistに未処理のステークホルダーが有るかを判定する(ステップG5)。
【0093】
未処理のステークホルダーが無い場合には(ステップG5の無しルート参照)、特徴差分検出部112は、P_StlistとT_Stlistを出力する(ステップG6)。そして、ステークホルダー一覧における特徴抽出処理は終了する。
【0094】
一方、未処理のステークホルダーが有る場合には(ステップG5の有りルート参照)、特徴差分検出部112は、P_Stlistのステークホルダー名Nを参照する(ステップG7)。
【0095】
特徴差分検出部112は、P_StlistとT_StlistのNの共通フラグを1とする(ステップG8)。そして、処理はステップG3へ戻る。
【0096】
次に、実施形態としての分析シートにおける特徴抽出処理を、
図14に示すフローチャート(ステップH1~H8)に従って説明する。
【0097】
特徴抽出部111は、機械可読なテンプレートのインタラクション一覧T_interaction_listを取得する(ステップH1)。
【0098】
特徴抽出部111は、機械可読な分析対象のインタラクション一覧P_interaction_listを取得する(ステップH2)。
【0099】
特徴差分検出部112は、インタラクション一覧T_interaction_listから、インタラクションを一つずつ取得する(ステップH3)。
【0100】
特徴差分検出部112は、取得したインタラクションIntの始点と終点を取得する(ステップH4)。
【0101】
特徴差分検出部112は、T_interaction_listに未処理のインタラクションが有るかを判定する(ステップH5)。
【0102】
未処理のインタラクションが無い場合には(ステップH5の無しルート参照)、特徴差分検出部112は、インタラクション一覧T_interaction_listとP_interaction_listを出力する(ステップH6)。そして、分析シートにおける特徴抽出処理は終了する。
【0103】
一方、未処理のインタラクションが有る場合には(ステップH5の有りルート参照)、特徴差分検出部112は、P_interaction_listにおいて始点,終点が同じ組み合わせIntを参照する(ステップH7)。
【0104】
特徴差分検出部112は、T_interaction_listとP_interaction_listのIntの共通フラグを1とする(ステップH8)。そして、処理はステップH3へ戻る。
【0105】
図15は、実施形態における処理結果の出力画面を例示する図である。
【0106】
出力部113は、特徴差分検出部112の結果をもとに、ユーザに向けてテンプレートとの差異を画面やファイルに出力する。
図15の符号I1に示す例では、システムのコンポーネントにおいて「その他のステークホルダー」が、インタラクションにおいて「その他のステークホルダーから訓練データ取得元へ」の相違点が、発見されたことが表示されている。
【0107】
実施形態としてのステークホルダー一覧の出力処理を、
図16に示すフローチャート(ステップJ1~J7)に従って説明する。
【0108】
出力部113は、特徴差分検出部112で処理済のP_StlistとT_Stlistを取得する(ステップJ1)。
【0109】
出力部113は、T_Stlistから共通フラグが1のステークホルダーS1を取得する(ステップJ2)。
【0110】
出力部113は、ステークホルダーS1を取得できるかを判定する(ステップJ3)。
【0111】
取得できない場合には(ステップJ3のできないルート参照)、処理はステップJ5へ進む。
【0112】
一方、取得できる場合には(ステップJ3のできるルート参照)、出力部113は、メッセージT1を作成する(ステップJ4)。メッセージT1は、例えば、「テンプレートにしかないステークホルダーS1が存在します。」というメッセージである。
【0113】
出力部113は、P_Stlistから共通フラグが1で未処理のステークホルダーS2を取得する(ステップJ5)。
【0114】
出力部113は、ステークホルダーS2を取得できるかを判定する(ステップJ6)。
【0115】
取得できない場合には(ステップJ6のできないルート参照)、ステークホルダー一覧の出力処理は終了する。
【0116】
一方、取得できる場合には(ステップJ6のできるルート参照)、出力部113は、メッセージT2を作成する。メッセージT2は、例えば、「S2は、テンプレートには存在しません。必要性を検討して下さい。」というメッセージであってよい。
【0117】
〔C〕第1変形例
システム図において、不要なAIシステムのコンポーネントとステークホルダーとの関係が存在する場合がある。本第1変形例では、不要なAIシステムのコンポーネントとステークホルダーとの関係が存在する場合に、過剰なチェック項目の生成がされることを防ぐ。
【0118】
図17は、変形例における追記を含むAIシステム100bのシステム図を例示するブロック図である。
【0119】
図17に示すAIシステム100bのシステム図は、
図1に示したAIシステム100のシステム図と比較して、符号K1に示すように、その他のステークホルダー30d(その他のステークホルダー#2)及びAIシステム利用者40bが追加されている。
【0120】
また、
図17に示すAIシステム100bでは、その他のステークホルダー30d及びAIシステム利用者40bが追加されている影響で、
図1に示したAIシステム100と比較して、インタラクションS109,S201,S202が追加されている。
【0121】
図18は、変形例における分析シートを例示するテーブルである。
【0122】
図18に示す分析シートは、
図17に示したAIシステム100bのシステム図に含まれるインタラクションに基づいて生成される。
【0123】
図18に示す分析シートには、
図6に示した分析シートと比較して、AIシステム利用者40bから判定対象者40aへのインタラクションS109と、その他のステークホルダー30dから推論データ取得元30cへのインタラクションS201と、推論データ取得元30cからその他のステークホルダー30dへのインタラクションS202とが含まれる。
【0124】
図19は、変形例におけるユースケース概要を例示するテーブルである。
【0125】
図19に示すユースケース概要は、
図17に示したAIシステム100bのシステム図に含まれるステークホルダーに基づいて生成される。
【0126】
図19に示すユースケース概要には、
図7に示したユースケース概要と比較して、「AIシステム利用者」及び「その他のステークホルダー#2」とが含まれる。
【0127】
図20は、変形例としてのユースケース概要における特徴差分の出力処理を説明する図である。
【0128】
特徴差分検出部112は、特徴抽出部111から出力されたテンプレートのステークホルダー一覧(符号L1参照)と、変形例のステークホルダー一覧(符号L2参照)とを比較して、その差異を抽出する。そして、出力部113は、符号L3に示すように、差異点をユースケース概要からの抽出結果として出力する。
【0129】
図20に示す例では、出力部113は、情報処理装置1の表示装置131(
図24を用いて後述)に、テンプレートにないコンポーネントとして、「AIシステム利用者,その他のステークホルダー#2」を表示させてよい。
【0130】
図21は、変形例としての分析シートにおける特徴差分の出力処理を説明する図である。
【0131】
特徴差分検出部112は、特徴抽出部111から出力されたテンプレートのインタラクション集合の中に含まれる分析シート(符号M1参照)と、変形例のインタラクション集合の中に含まれる分析シート(符号M2参照)とを比較して、その差異を抽出する。そして、出力部113は、符号M3に示すように、差異点を分析シートからの抽出結果として出力する。
【0132】
図21に示す例では、出力部113は、情報処理装置1の表示装置131(
図24を用いて後述)に、テンプレートにないインタラクションとして「その他のステークホルダー#2から推論データの取得元へ/推論データの取得元からその他のステークホルダー#2へ/出力からAIシステム利用者へ」及びテンプレートのみにあるインタラクションとして「出力から判定対象者へ」を表示させてよい。
【0133】
図22は、変形例における処理結果の出力画面を例示する図である。
【0134】
出力部113は、特徴差分検出部112の結果をもとに、ユーザに向けてテンプレートとの差異を画面やファイルに出力する。
図22の符号N1に示す例では、追加されたコンポーネントとして「その他のステークホルダー#2及びAIシステム利用者」が発見されたことが表示されている。また、追加されたインタラクションとして「その他のステークホルダー#2から推論データの取得元へ/推論データの取得元からその他のステークホルダー#2へ/出力からAIシステム利用者へ/AIシステム利用者から判定対象者へ」が発見されたことが表示されている。更に、削除されたインタラクションとして「出力から判定対象者へ」が発見されたことが示されている。
【0135】
〔D〕第2変形例
上述した実施形態及び第1変形例では、分析対象のシステム図の作成者がテンプレートを選択していたが、テンプレートの選定を自動的に行っても良よい。
【0136】
図23は、第2変形例における情報処理装置1aのソフトウェア構成例を模式的に示すブロック図である。
【0137】
図23に示す情報処理装置1aは、
図4に示した情報処理装置1と比較して、複数(別言すれば、二以上)のテンプレートのシステム
図142の中から適切なシステム図を選択するテンプレート選定部114を更に備える。
【0138】
テンプレート選定部114は、分析対象のシステム図中に、AIモデルの出力結果である「推論結果」とビジネス側に属する人間である「ビジネス利用者」との間のインタラクションの有無を確認する。
【0139】
テンプレート選定部114は、当該インタラクションがある場合は、そのようなインタラクションを持つテンプレートのみを選択するシステム図の候補とする。
【0140】
テンプレート選定部114は、候補としたテンプレートのシステム図中のノードの名称を集めた文書をテンプレートごとに作成する。テンプレート選定部114は、分析対象のシステム図中のノードの名称を集めた文書も同様に作成する。
【0141】
テンプレート選定部114は、各テンプレートと分析対象のシステムから作成した文書の類似度(例えば、cos類似度)を算出する。そして、テンプレート選定部114は、分析対象のシステム図と最も高い類似度を持つテンプレートを選定する。
【0142】
〔E〕第3変形例
実施形態及び第1変形例において、出力部113は、分析対象のシステム図とテンプレートのシステム図との差分を画面に出力していたが、差分を分析対象のシステム図に半自動的に反映させてもよい。
【0143】
出力部113は、分析対象のシステム図とテンプレートのシステム図との差分を画面に出力した際に、この差分を分析対象のシステム図に反映するかオペレータに問い合わせる。
【0144】
出力部113は、オペレータから反映するとの回答を取得した場合は、分析対象のシステム図を変更する。
【0145】
出力部113は、不足しているステークホルダー及びインタラクションがある場合には、機械可読なステークホルダー一覧に不足しているステークホルダーを加えると共に、機械可読なインタラクション一覧に不足しているインタラクションを加える。
【0146】
出力部113は、過剰なステークホルダーやインタラクションがある場合には、機械可読なステークホルダー一覧から過剰なステークホルダーを削除すると共に、機械可読なインタラクション一覧から過剰なインタラクションを削除する。
【0147】
出力部113は、更新したステークホルダー一覧とインタラクション一覧を使い、グラフ描画技術(例えば、Graphviz)を用いて、システム図を描画する。
【0148】
〔F〕ハードウェア構成例
図24は、実施形態及び各変形例における情報処理装置1,1aのハードウェア構成例を模式的に示すブロック図である。
【0149】
図24に示すように、情報処理装置1,1aは、CPU(Central Processing Unit)11,メモリ部12,表示制御部13,記憶装置14,入力Interface(IF)15,外部記録媒体処理部16及び通信IF17を備える。
【0150】
メモリ部12は、記憶部の一例であり、例示的に、Read Only Memory(ROM)及びRandom Access Memory(RAM)などである。メモリ部12のROMには、Basic Input/Output System(BIOS)等のプログラムが書き込まれてよい。メモリ部12のソフトウェアプログラムは、CPU11に適宜に読み込まれて実行されてよい。また、メモリ部12のRAMは、一時記録メモリあるいはワーキングメモリとして利用されてよい。
【0151】
表示制御部13は、表示装置131と接続され、表示装置131を制御する。表示装置131は、液晶ディスプレイやOrganic Light-Emitting Diode(OLED)ディスプレイ,Cathode Ray Tube(CRT),電子ペーパーディスプレイ等であり、オペレータ等に対する各種情報を表示する。表示装置131は、入力装置と組み合わされたものでもよく、例えば、タッチパネルでもよい。表示装置131は、情報処理装置1,1aのユーザに対する種々の情報を表示する。
【0152】
記憶装置14は、高IO性能の記憶装置であり、例えば、Dynamic Random Access Memory(DRAM)やSSD(Solid State Drive),Storage Class Memory(SCM),HDD(Hard Disk Drive)が用いられてよい。
【0153】
入力IF15は、マウス151やキーボード152等の入力装置と接続され、マウス151やキーボード152等の入力装置を制御してよい。マウス151やキーボード152は、入力装置の一例であり、これらの入力装置を介して、オペレータが各種の入力操作を行う。
【0154】
外部記録媒体処理部16は、記録媒体160が装着可能に構成される。外部記録媒体処理部16は、記録媒体160が装着された状態において、記録媒体160に記録されている情報を読み取り可能に構成される。本例では、記録媒体160は、可搬性を有する。例えば、記録媒体160は、フレキシブルディスク、光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク、又は、半導体メモリ等である。
【0155】
通信IF17は、外部装置との通信を可能にするためのインタフェースである。
【0156】
CPU11は、プロセッサの一例であり、種々の制御や演算を行う処理装置である。CPU11は、メモリ部12に読み込まれたOperating System(OS)やプログラムを実行することにより、種々の機能を実現する。なお、CPU11は、複数のCPUを含むマルチプロセッサであってもよいし、複数のCPUコアを有するマルチコアプロセッサであってもよく、或いは、マルチコアプロセッサを複数有する構成であってもよい。
【0157】
情報処理装置1,1a全体の動作を制御するための装置は、CPU11に限定されず、例えば、MPUやDSP,ASIC,PLD,FPGAのいずれか1つであってもよい。また、情報処理装置1,1a全体の動作を制御するための装置は、CPU,MPU,DSP,ASIC,PLD及びFPGAのうちの2種類以上の組み合わせであってもよい。なお、MPUはMicro Processing Unitの略称であり、DSPはDigital Signal Processorの略称であり、ASICはApplication Specific Integrated Circuitの略称である。また、PLDはProgrammable Logic Deviceの略称であり、FPGAはField Programmable Gate Arrayの略称である。
【0158】
〔G〕効果
上述した実施形態におけるAIシステムチェックプログラム,AIシステムチェック方法及び情報処理装置1によれば、例えば以下の作用効果を奏することができる。
【0159】
特徴抽出部111は、AIシステム100のステークホルダーの構成に基づいて、互いに関係を有するステークホルダーの第1の複数の組を特定する。特徴差分検出部112は、第1の複数の組と、他のAIシステム100aのステークホルダーの構成に基づいて定まるステークホルダーの第2の複数の組とを比較する。出力部113は、比較する処理の結果に基づいて、第1の複数の組に含まれ、第2の複数の組に含まれない第1の組を差分情報として出力する。
【0160】
これにより、AIシステムのシステム図の精度向上による、リスク分析作業の精度向上及び効率化を図ることができる。具体的には、AIシステム100aのコンポーネントとステークホルダーとの関係における漏れを検出し、生成するチェック項目に漏れが生じることを防ぐことができる。
【0161】
出力部113は、差分情報として、更に、比較する処理の結果に基づいて、第2の複数の組に含まれ、第1の複数の組に含まれない第2の組を出力する。
【0162】
これにより、不要なAIシステム100aのコンポーネントとステークホルダーとの関係を検出して、過剰なチェック項目が生成されることを防ぐことができる。
【0163】
第1の複数の組は、テンプレートとしてのAIシステム100のステークホルダーの構成に基づいて定められ、第2の複数の組は、プロジェクトとしての他のAIシステム100aのステークホルダーの構成に基づいて定められる。
【0164】
これにより、テンプレートとしてのAIシステム100のシステム図に基づいて、プロジェクトとしての他のAIシステム100aにおいて漏れが発生することを防ぐことができる。
【0165】
テンプレート選定部114は、二以上の第1の複数の組についてのAIシステム100に含まれる文書と、他のAIシステム100aに含まれる文書との類似度に基づき、二以上の第1の複数の組の中から、一つの第1の複数の組を選定する。
【0166】
これにより、他のAIシステム100aに適合するテンプレートとしてのAIシステム100を選定することができる。
【0167】
出力部113は、差分情報を他のAIシステム100aに反映させる。
【0168】
これにより、差分情報を他のAIシステム100aに自動的に反映できるため、オペレータの作業工数を低減できる。
【0169】
〔H〕その他
開示の技術は上述した実施形態に限定されるものではなく、本実施形態の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。本実施形態の各構成及び各処理は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせてもよい。
【0170】
〔I〕付記
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0171】
(付記1)
Artificial Intelligence(AI)システムのステークホルダーの構成に基づいて、互いに関係を有するステークホルダーの第1の複数の組を特定し、
前記第1の複数の組と、他のAIシステムのステークホルダーの構成に基づいて定まるステークホルダーの第2の複数の組とを比較し、
前記比較する処理の結果に基づいて、前記第1の複数の組に含まれ、前記第2の複数の組に含まれない第1の組を差分情報として出力する、
処理をコンピュータに実行させる、AIシステムチェックプログラム。
【0172】
(付記2)
前記差分情報として、更に、前記比較する処理の結果に基づいて、前記第2の複数の組に含まれ、前記第1の複数の組に含まれない第2の組を出力する、
処理を前記コンピュータに実行させる、付記1に記載のAIシステムチェックプログラム。
【0173】
(付記3)
前記第1の複数の組は、テンプレートとしての前記AIシステムのステークホルダーの構成に基づいて定められ、
前記第2の複数の組は、プロジェクトとしての前記他のAIシステムのステークホルダーの構成に基づいて定められる、
付記1又は2に記載のAIシステムチェックプログラム。
【0174】
(付記4)
二以上の前記第1の複数の組についての前記AIシステムに含まれる文書と、前記他のAIシステムに含まれる文書との類似度に基づき、前記二以上の前記第1の複数の組の中から、一つの前記第1の複数の組を選定する、
処理を前記コンピュータに実行させる、付記1又は2に記載のAIシステムチェックプログラム。
【0175】
(付記5)
前記差分情報を前記他のAIシステムに反映させる、
処理を前記コンピュータに実行させる、付記1又は2に記載のAIシステムチェックプログラム。
【0176】
(付記6)
Artificial Intelligence(AI)システムのステークホルダーの構成に基づいて、互いに関係を有するステークホルダーの第1の複数の組を特定し、
前記第1の複数の組と、他のAIシステムのステークホルダーの構成に基づいて定まるステークホルダーの第2の複数の組とを比較し、
前記比較する処理の結果に基づいて、前記第1の複数の組に含まれ、前記第2の複数の組に含まれない第1の組を差分情報として出力する、
処理をコンピュータが実行する、AIシステムチェック方法。
【0177】
(付記7)
前記差分情報として、更に、前記比較する処理の結果に基づいて、前記第2の複数の組に含まれ、前記第1の複数の組に含まれない第2の組を出力する、
処理を前記コンピュータが実行する、付記6に記載のAIシステムチェック方法。
【0178】
(付記8)
前記第1の複数の組は、テンプレートとしての前記AIシステムのステークホルダーの構成に基づいて定められ、
前記第2の複数の組は、プロジェクトとしての前記他のAIシステムのステークホルダーの構成に基づいて定められる、
付記6又は7に記載のAIシステムチェック方法。
【0179】
(付記9)
二以上の前記第1の複数の組についての前記AIシステムに含まれる文書と、前記他のAIシステムに含まれる文書との類似度に基づき、前記二以上の前記第1の複数の組の中から、一つの前記第1の複数の組を選定する、
処理を前記コンピュータが実行する、付記6又は7に記載のAIシステムチェック方法。
【0180】
(付記10)
前記差分情報を前記他のAIシステムに反映させる、
処理を前記コンピュータが実行する、付記6又は7に記載のAIシステムチェック方法。
【0181】
(付記11)
Artificial Intelligence(AI)システムのステークホルダーの構成に基づいて、互いに関係を有するステークホルダーの第1の複数の組を特定し、
前記第1の複数の組と、他のAIシステムのステークホルダーの構成に基づいて定まるステークホルダーの第2の複数の組とを比較し、
前記比較する処理の結果に基づいて、前記第1の複数の組に含まれ、前記第2の複数の組に含まれない第1の組を差分情報として出力する、
プロセッサを備える、情報処理装置。
【0182】
(付記12)
前記プロセッサは、
前記差分情報として、更に、前記比較する処理の結果に基づいて、前記第2の複数の組に含まれ、前記第1の複数の組に含まれない第2の組を出力する、
付記11に記載のAIシステムチェック装置。
【0183】
(付記13)
前記第1の複数の組は、テンプレートとしての前記AIシステムのステークホルダーの構成に基づいて定められ、
前記第2の複数の組は、プロジェクトとしての前記他のAIシステムのステークホルダーの構成に基づいて定められる、
付記11又は12に記載のAIシステムチェック装置。
【0184】
(付記14)
前記プロセッサは、
二以上の前記第1の複数の組についての前記AIシステムに含まれる文書と、前記他のAIシステムに含まれる文書との類似度に基づき、前記二以上の前記第1の複数の組の中から、一つの前記第1の複数の組を選定する、
付記11又は12に記載のAIシステムチェック装置。
【0185】
(付記5)
前記プロセッサは、
前記差分情報を前記他のAIシステムに反映させる、
付記11又は12に記載のAIシステムチェック装置。
【符号の説明】
【0186】
1,1a :情報処理装置
10a :AIサービスプロバイダ
10b :監視者
11 :CPU
12 :メモリ部
13 :表示制御部
14 :記憶装置
15 :入力IF
16 :外部記録媒体処理部
17 :通信IF
20a :開発者
20b :訓練データ提供者
20c :訓練データ取得元
20d :ステークホルダー
30a :ビジネス利用者
30b :推論データ提供者
30c :推論データ取得元
30d :ステークホルダー
40a :判定対象者
40b :AIシステム利用者
100,100a,100b :AIシステム
101 :訓練データ
102 :機械学習部
103 :AIモデル
104 :推論データ
105 :推論結果
110 :訓練部
111 :特徴抽出部
112 :特徴差分検出部
113 :出力部
114 :テンプレート選定部
120 :予測部
131 :表示装置
141 :分析対象のシステム図
142 :テンプレートのシステム図
143 :インタラクション集合
151 :マウス
152 :キーボード
160 :記録媒体