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  • 特開-エンジンシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084579
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】エンジンシステム
(51)【国際特許分類】
   F02M 26/19 20160101AFI20240618BHJP
   F02M 35/10 20060101ALI20240618BHJP
   F02M 35/12 20060101ALI20240618BHJP
   F02M 33/00 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
F02M26/19
F02M35/10 301G
F02M35/10 311E
F02M35/10 311Z
F02M35/12 B
F02M33/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198919
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 翔平
【テーマコード(参考)】
3G062
【Fターム(参考)】
3G062ED04
(57)【要約】
【課題】燃料蒸発ガスの吸着材を用いて、吸気と再循環された排気ガスとの混合性を向上すること。
【解決手段】エンジンシステムは、エンジンと、エンジンに接続される吸気管と、エンジンに接続される排気管と、吸気管に設けられるスロットルバルブと、排気管を吸気管に接続し、排気ガスの一部を吸気管に再循環させるEGR配管であって、吸気の流れにおいて、スロットルバルブの上流の位置で吸気管に接続される、EGR配管と、スロットルバルブとEGR配管との間の位置において、吸気管の内部に配置され、エンジンからの燃料蒸発ガスを吸着する吸着材と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
前記エンジンに接続される吸気管と、
前記エンジンに接続される排気管と、
前記吸気管に設けられるスロットルバルブと、
前記排気管を前記吸気管に接続し、排気ガスの一部を前記吸気管に再循環させるEGR配管であって、吸気の流れにおいて、前記スロットルバルブの上流の位置で前記吸気管に接続される、EGR配管と、
前記スロットルバルブと前記EGR配管との間の位置において、前記吸気管の内部に配置され、前記エンジンからの燃料蒸発ガスを吸着する吸着材と、
を備える、エンジンシステム。
【請求項2】
前記エンジンシステムは、前記スロットルバルブと前記EGR配管との間の前記位置において、前記吸気管の内部に配置されるレゾネータを備え、
前記吸着材は、前記レゾネータの内部に配置される、請求項1に記載のエンジンシステム。
【請求項3】
前記吸気の流れにおいて、前記EGR配管の上流に配置されるエアクリーナと、
前記エアクリーナと前記EGR配管との間の位置において、前記吸気管の内部に配置されるエアフローセンサと、
を備える、請求項1または2に記載のエンジンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、車両は、燃料蒸発ガスが周囲環境に放出されるのを防止するために、吸着材を含むキャニスタを備える(例えば、特許文献1,2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-194570号公報
【特許文献2】特開平8-4931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、車両は、燃費抑制等の目的のために、排気ガスの一部を吸気管に再循環するための配管を備える場合がある。これは、EGR(Exhaust Gas Recirculation)と称される。より良いEGRのためには、吸気と再循環された排気ガスとの混合性を向上することが望ましい。
【0005】
本発明は、燃料蒸発ガスの吸着材を用いて、吸気と再循環された排気ガスとの混合性を向上することができる、エンジンシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るエンジンシステムは、
エンジンと、
前記エンジンに接続される吸気管と、
前記エンジンに接続される排気管と、
前記吸気管に設けられるスロットルバルブと、
前記排気管を前記吸気管に接続し、排気ガスの一部を前記吸気管に再循環させるEGR配管であって、吸気の流れにおいて、前記スロットルバルブの上流の位置で前記吸気管に接続される、EGR配管と、
前記スロットルバルブと前記EGR配管との間の位置において、前記吸気管の内部に配置され、前記エンジンからの燃料蒸発ガスを吸着する吸着材と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、燃料蒸発ガスの吸着材を用いて、吸気と再循環された排気ガスとの混合性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るエンジンシステムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す具体的な寸法、材料および数値等は、理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、明細書および図面において、実質的に同一の機能および構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また、本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係るエンジンシステム100を示す概略図である。エンジンシステム100は、本開示において、単に「システム」とも称され得る。システム100は、例えば、HEV(Hybrid Electric Vehicle)、ガソリン自動車、または、ディーゼル自動車等、エンジンを備える車両500に適用される。本実施形態では、車両500は、ガソリン自動車である。システム100は、エンジン10を備える。
【0011】
エンジン10は、シリンダ11と、ピストン12と、を含む。ピストン12は、シリンダ11内を往復移動する。シリンダ11およびピストン12は、燃焼室13を画定する。ピストン12は、コネクティングロッド14によってクランクシャフト15に接続される。
【0012】
上記のようなエンジン10では、燃焼室13において、空気および燃料(ガソリン)の混合気が燃焼し、これによって、ピストン12がシリンダ11内を往復移動する。ピストン12の直線運動が、コネクティングロッド14によってクランクシャフト15に伝達され、クランクシャフト15の回転運動に変換される。燃焼によって生じる排気ガスは、排気口17から排気管3に排出される。なお、より良い理解のために、図1ではシリンダ11およびピストン12の1つの組のみが示されるが、エンジン10は、シリンダ11およびピストン12の複数の組を含むことができる。
【0013】
エンジン10は、吸気口16と、排気口17と、を含む。吸気口16は、不図示の吸気マニホールドを介して吸気管2に接続され、排気口17は、不図示の排気マニホールドを介して排気管3に接続される。吸気口16には、吸気バルブ16aが設けられ、排気口17には、排気バルブ17aが設けられる。吸気バルブ16aおよび排気バルブ17aの各々の動作は、例えば、不図示のカムシャフトによって制御される。カムシャフトは、例えばチェーン等を介してクランクシャフト15によって回転される。
【0014】
エンジン10は、燃料のインジェクタ18を含む。インジェクタ18は、燃焼室13に対向するように配置され、燃焼室13内に燃料を噴射する(いわゆる、直接噴射)。他の実施形態では、エンジン10は、予混合エンジンであってもよい。インジェクタ18の動作は、不図示のECU(Electronic Control Unit)によって制御される。
【0015】
インジェクタ18は、燃料タンクTに接続される。インジェクタ18と燃料タンクTとの間の配管には、ポンプPが設けられる。また、燃料タンクTには、燃料タンクTからの燃料蒸発ガスを吸着するために、キャニスタCが接続される。キャニスタCによって、燃料タンクTからの燃料蒸発ガスが周囲環境に放出されることが防止される。キャニスタCは、例えば活性炭等の吸着材を含む。図1には示されないが、キャニスタCは、吸気管2に接続されてもよく、吸着された燃料は、吸気管2内に噴射されてもよい。
【0016】
エンジン10は、点火プラグ19を含む。点火プラグ19は、燃焼室13に対向するように配置され、燃焼室13において空気および燃料の混合気を着火する。点火プラグ19の動作は、ECUによって制御される。
【0017】
吸気管2には、スロットルバルブ21が設けられる。スロットルバルブ21は、吸気の流量を調整する。スロットルバルブ21の動作は、ECUによって制御される。
【0018】
排気管3は、EGR(Exhaust Gas Recirculation)配管4によって、吸気管2に接続される。EGR配管4は、排気管3中の排気ガスの一部を、吸気管2に再循環する。本開示では、EGR配管4は、吸気の流れにおいて、スロットルバルブ21の上流の第1の位置P1で吸気管2に接続される。
【0019】
EGR配管4には、EGRバルブ41が設けられる。EGRバルブ41は、EGR配管4を流れる排気ガスの流量を調整する。EGRバルブ41の動作は、ECUによって制御される。
【0020】
吸気の流れにおいて、EGR配管4が接続される第1の位置P1の上流には、エアクリーナ22が配置される。エアクリーナ22は、吸気管2内に配置される、または、吸気管2に取り付けられる。エアクリーナ22は、吸気から不純物を除去する。
【0021】
吸気管2の内部には、レゾネータ23が配置される。レゾネータ23は、吸気管2において、スロットルバルブ21とEGR配管4が接続される第1の位置P1との間の第2の位置P2に配置される。すなわち、レゾネータ23は、吸気の流れにおいて、スロットルバルブ21の上流、かつ、EGR配管4の接続位置P1の下流に位置する。レゾネータ23は、空気が外部から吸気管2内に吸引されるときに発生する騒音を低減する。
【0022】
本開示では、レゾネータ23の内部に吸着材24が配置される。すなわち、吸着材24は、スロットルバルブ21とEGR配管4が接続される第1の位置P1との間の第2の位置P2において、吸気管2の内部に配置される。さらに言い換えると、吸着材24は、吸気の流れにおいて、スロットルバルブ21の上流、かつ、EGR配管4の下流に位置する。吸着材24は、燃料蒸発ガス、特に、エンジン10からの燃料蒸発ガスを吸着する。例えば、吸着材24は、活性炭であってもよい。例えば、エンジン10からの燃料蒸発ガスが少量である場合には、吸着材24は交換無しに使用されてもよい。
【0023】
吸気管2の内部には、エアフローセンサ25が配置される。エアフローセンサ25は、吸気管2において、エアクリーナ22と、EGR配管4が接続される第1の位置P1と、の間の第3の位置P3に配置される。すなわち、エアフローセンサ25は、吸気の流れにおいて、EGR配管4および吸着材24(レゾネータ23)の上流、かつ、エアクリーナ22の下流に位置する。エアフローセンサ25は、吸気管2を流れる吸気の流量を測定する。エアフローセンサ25は、測定データをECUに送信する。
【0024】
上記のようなシステム100では、インジェクタ18から噴射された燃料の一部が、燃料蒸発ガスとして、吸気口16から吸気管2に逆流し得る。しかしながら、システム100は、吸気管2の内部に吸着材24を備える。したがって、エンジン10からの燃料蒸発ガスは、吸気管2内の吸着材24によって吸着される。よって、エンジン10からの燃料蒸発ガスが、周囲環境に放出されることを防止することができる。
【0025】
また、吸着材24は、吸気管2において、EGR配管4の下流に配置される。したがって、吸気および排気ガスの双方が、吸気口16に到達する前に、吸着材24を通過する。よって、吸気の流れ、および、排気ガスの流れの双方が、吸着材24によって攪拌される。このため、吸気口16に到達する前に、吸気および排気ガスが良く混合される。
【0026】
また、EGR配管4の接続位置P1と吸気口16との間には、スロットルバルブ21および吸着材24が配置される。したがって、例えば、EGR配管4がスロットルバルブ21の下流の位置で吸気管2に接続される場合に比して、EGR配管4から吸気口16までの流路の長さが増加する。よって、吸気口16に到達する前に、吸気および排気ガスの混合時間が増加する。
【0027】
さらに、エアフローセンサ25は、吸気の流れにおいて、EGR配管4の接続位置P1の上流、すなわち、吸着材24の上流に配置される。したがって、エアフローセンサ25は、吸気の流れが吸着材24によって攪拌される前に、吸気の流量を測定することができる。このため、エアフローセンサ25は、吸気の流量を正確に測定することができる。
【0028】
以上、本実施形態に係るシステム100は、エンジン10と、エンジン10に接続される吸気管2と、エンジン10に接続される排気管3と、吸気管2に設けられるスロットルバルブ21と、排気管3を吸気管2に接続し、排気ガスの一部を吸気管2に再循環させるEGR配管4であって、吸気の流れにおいて、スロットルバルブ21の上流の位置P1で吸気管2に接続される、EGR配管4と、スロットルバルブ21とEGR配管4との間の位置P2において、吸気管2の内部に配置され、エンジン10からの燃料蒸発ガスを吸着する吸着材24と、を備える。このような構成によれば、吸着材24は、吸気管2において、EGR配管4の下流に配置される。したがって、吸気および排気ガスの双方が、吸気口16に到達する前に、吸着材24を通過する。よって、吸気の流れおよび排気ガスの流れの双方が、吸着材24によって攪拌されるため、吸気口16に到達する前に、吸気および排気ガスが良く混合される。このため、吸気と排気ガスとの混合性を向上することができる。また、このような構成によれば、EGR配管4と吸気口16との間には、スロットルバルブ21および吸着材24が配置される。したがって、例えば、EGR配管4がスロットルバルブ21の下流の位置で吸気管2に接続される場合に比して、EGR配管4から吸気口16までの流路の長さが増加する。よって、吸気口16に到達する前に、吸気および排気ガスの混合時間が増加する。このことも、吸気と排気ガスとの混合性の向上に貢献する。
【0029】
また、システム100は、スロットルバルブ21とEGR配管4との間の位置P2において、吸気管2の内部に配置されるレゾネータ23を備え、吸着材24は、レゾネータ23の内部に配置される。このような構成によれば、吸気管2において、吸着材24を設けるためのスペースを省略することができる。これは、システム100の小型化に貢献する。
【0030】
また、システム100は、吸気の流れにおいて、EGR配管4の上流に配置されるエアクリーナ22と、エアクリーナ22とEGR配管4との間の位置P3において、吸気管2の内部に配置されるエアフローセンサ25と、を備える。このような構成によれば、エアフローセンサ25は、吸気の流れにおいて、EGR配管4の上流、すなわち、吸着材24の上流に配置される。したがって、エアフローセンサ25は、吸気の流れが吸着材24によって攪拌される前に、吸気の流量を測定することができる。このため、エアフローセンサ25は、吸気の流量を正確に測定することができる。
【0031】
以上、添付図面を参照しながら実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0032】
例えば、上記の実施形態では、吸着材24は、レゾネータ23の内部に配置される。他の実施形態では、吸着材24は、レゾネータ23の内部に配置されなくてもよく、システム100は、吸着材24を収容するために、レゾネータ23とは別個のキャニスタを吸気管2の内部に備えてもよい。
【符号の説明】
【0033】
2 吸気管
3 排気管
4 EGR配管
10 エンジン
21 スロットルバルブ
22 エアクリーナ
23 レゾネータ
24 吸着材
25 エアフローセンサ
100 エンジンシステム
P1 吸気管へのEGR配管の接続位置
P2 吸着材の位置
P3 エアフローセンサの位置
図1