(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084581
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】タイヤ製造装置及びタイヤの製造方法
(51)【国際特許分類】
B29D 30/16 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
B29D30/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198921
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100179947
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】岡本 理史
【テーマコード(参考)】
4F215
4F501
【Fターム(参考)】
4F215AH20
4F215VA02
4F215VD01
4F215VD19
4F215VK02
4F215VL11
4F215VL13
4F215VL14
4F215VP38
4F501TA02
4F501TC01
4F501TC19
4F501TD03
4F501TE10
4F501TE11
4F501TL37
4F501TV04
4F501TV12
(57)【要約】
【課題】ドラムに対して部材を簡易かつ正確に貼り付けることができる、タイヤ製造装置及びタイヤの製造方法を提供する。
【解決手段】タイヤ製造装置1は、ドラム2と、ドラム2に部材を貼り付ける部材貼付部Aとを備える。部材貼付部Aは、テーブル構造体20を備える。テーブル構造体20は、前記部材が配置されるとともに当該部材を前記ドラム2に合わせるテーブル本体21と、テーブル本体21に配置された前記部材をドラム2に向かって押圧可能な押圧部材30とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品タイヤの内周形状を外周形状として有するドラムに部材を貼り付けることによって製品タイヤを製造するための、タイヤ製造装置であって、
前記ドラムと、前記ドラムに前記部材を貼り付ける部材貼付部とを備えており、
前記部材貼付部は、テーブル構造体を備えており、
前記テーブル構造体は、前記部材が配置されるとともに当該部材を前記ドラムに合わせるテーブル本体と、前記テーブル本体に配置された前記部材を前記ドラムに向かって押圧可能な押圧部材とを備える、タイヤ製造装置。
【請求項2】
前記テーブル本体は、幅方向に分割された、複数の分割片を備える、請求項1に記載されたタイヤ製造装置。
【請求項3】
前記部材貼付部は、前記押圧部材との接触によって当該押圧部材を前記ドラムに向かって押し出すカム部材を備える、請求項1に記載されたタイヤ製造装置。
【請求項4】
前記部材貼付部は、前記テーブル構造体を昇降させる昇降部を備える、請求項1に記載されたタイヤ製造装置。
【請求項5】
前記テーブル本体及び前記押圧部材の少なくともいずれか一方は、前記部材を引き寄せるための磁石を備える、請求項1に記載されたタイヤ製造装置。
【請求項6】
前記テーブル本体は、前記部材を位置決めするための溝を備えており、
前記溝は、片側傾斜溝又は凹溝である、請求項1に記載されたタイヤ製造装置。
【請求項7】
前記テーブル構造体は、前記分割片を押し上げるアクチュエータを備える、請求項2に記載されたタイヤ製造装置。
【請求項8】
前記テーブル構造体は、隣り合う前記分割片を連結するヒンジを備える、請求項2に記載されたタイヤ製造装置。
【請求項9】
前記押圧部材が前記ドラムの直下において前記部材を前記ドラムに向かって押圧するように構成されている、請求項1に記載されたタイヤ製造装置。
【請求項10】
前記テーブル構造体は、前記押圧部材を初期位置に付勢する弾性部材を備える、請求項1に記載されたタイヤ製造装置。
【請求項11】
前記部材貼付部は、前記カム部材を初期位置に付勢する弾性部材を備える、請求項3に記載されたタイヤ製造装置。
【請求項12】
前記テーブル構造体は、前記ドラムの回転に同期して前後方向に移動するように構成されており、
前記カム部材は、前記テーブル構造体の前後方向の移動に伴って前記押圧部材と接触することによって、当該押圧部材を前記ドラムに向かって押し出す固定カムである、請求項3に記載されたタイヤ製造装置。
【請求項13】
前記ドラムと前記テーブル構造体とを同期させる、ギア機構と、無端状の動力伝達部材とを備える、請求項12に記載されたタイヤ製造装置。
【請求項14】
製品タイヤの内周形状を外周形状として有するドラムに部材を貼り付けることによって製品タイヤを製造するための、タイヤの製造方法であって、
テーブル本体に前記部材を配置することと、
前記部材が配置された前記テーブル本体を前記ドラムに合わせることと、
前記テーブル本体に配置された前記部材を前記ドラムに向かって押圧することと、
を含む、タイヤの製造方法。
【請求項15】
製品タイヤの内周形状を外周形状として有するドラムに部材を貼り付けることによって製品タイヤを製造するための、タイヤの製造方法であって、
テーブル本体に前記部材を配置することと、
前記部材が配置された前記テーブル本体を前記ドラムに合わせることと、
前記ドラムの回転に同期して前記テーブル本体を前後方向に移動させることと、
前記テーブル本体の前後方向の移動に伴って前記テーブル本体に配置された前記部材を前記ドラムに向かって押圧することと、
を含む、タイヤの製造方法。
【請求項16】
前記部材は、前記ドラムの直下において前記ドラムに向かって押圧される、請求項13又は14に記載されたタイヤの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ製造装置及びタイヤの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のタイヤ製造装置には、取付ローラを備えるゴムストリップ取付装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。上記従来のタイヤ製造装置は、取付ローラを用いることによって、短冊状の部材(コードストリップ)をドラム(剛性コア)に対してタイヤ幅方向中心軸線に対して斜めに貼り付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のタイヤ製造装置は、例えば、前記部材の端部が直線的な中央部に対して湾曲している場合、当該部材が浮くなどしてしまい、前記ドラムに対してきちんと貼り付けることができないことがある。
【0005】
また、上記従来のタイヤ製造装置は、前記部材の延在方向(貼付方向)に沿って前記貼付ローラを移動させなければならない。このため、前記部材が直線的な形状以外である場合、前記貼付ローラの動きに自由度を与える必要があるため、装置が複雑なものとなる。
【0006】
加えて、前記部材の端部がS字に曲がっているなど、当該部材の端部の形状が複雑な場合、正確な貼り付けを行うことは困難である。
【0007】
本発明の目的は、ドラムに対して部材を簡易かつ正確に貼り付けることができる、タイヤ製造装置及びタイヤの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明に係る、タイヤ製造装置は、製品タイヤの内周形状を外周形状として有するドラムに部材を貼り付けることによって製品タイヤを製造するための、タイヤ製造装置であって、前記ドラムと、前記ドラムに前記部材を貼り付ける部材貼付部とを備えており、前記部材貼付部は、テーブル構造体を備えており、前記テーブル構造体は、前記部材が配置されるとともに当該部材を前記ドラムに合わせるテーブル本体と、前記テーブル本体に配置された前記部材を前記ドラムに向かって押圧可能な押圧部材とを備える。本発明に係るタイヤ製造装置によれば、ドラムに対して部材を簡易かつ正確に貼り付けることができる。
【0009】
(2)上記(1)のタイヤ製造装置において、前記テーブル本体は、前記ドラムの幅方向に分割された、複数の分割片を備えることが好ましい。この場合、前記部材の貼り付けをより正確に行うことができる。
【0010】
(3)上記(1)又は(2)のタイヤ製造装置において、前記部材貼付部は、前記押圧部材との接触によって当該押圧部材を前記ドラムに向かって押し出すカム部材を備えることが好ましい。この場合、機械的な制御という簡易な方法によって、前記押圧部材を周辺の状況に合わせて動作させることができる。
【0011】
(4)上記(1)~(3)のいずれか1つのタイヤ製造装置において、前記部材貼付部は、前記テーブル構造体を昇降させる昇降部を備えるものとすることができる。この場合、前記部材の貼り付けをより正確に行うことができる。
【0012】
(5)上記(1)~(4)のいずれか1つのタイヤ製造装置において、前記テーブル本体及び前記押圧部材の少なくともいずれか一方は、前記部材を引き寄せるための磁石を備えるものとすることができる。この場合、前記部材の貼り付けをより正確に行うことができる。
【0013】
(6)上記(1)~(5)のいずれか1つのタイヤ製造装置において、前記テーブル本体は、前記部材を位置決めするための溝を備えており、前記溝は、片側傾斜溝又は凹溝であることが好ましい。ここの場合、前記部材の貼り付けをより正確に行うことができる。
【0014】
(7)上記(2)のタイヤ製造装置において、前記テーブル構造体は、前記分割片を押し上げるアクチュエータを備えることが好ましい。この場合、ドラムに対して部材をより簡易かつ正確に貼り付けることができる。
【0015】
(8)上記(2)又は(7)のタイヤ製造装置において、前記テーブル構造体は、隣り合う前記分割片を連結するヒンジを備えることが好ましい。この場合、前記部材の貼り付けをより簡易に行うことができる。
【0016】
(9)上記(1)~(8)のいずれか1つのタイヤ製造装置において、前記押圧部材が前記ドラムの直下において前記部材を前記ドラムに向かって押圧するように構成されていることが好ましい。この場合、ドラムに対して部材をより正確に貼り付けることができる。
【0017】
(10)上記(1)~(9)のいずれか1つのタイヤ製造装置において、前記テーブル構造体は、前記押圧部材を初期位置に付勢する弾性部材を備えることが好ましい。この場合、ドラムに対して部材をより簡易に貼り付けることができる。
【0018】
(11)上記(3)のタイヤ製造装置において、前記部材貼付部は、前記カム部材を初期位置に付勢する弾性部材を備えることが好ましい。この場合、ドラムに対して部材をより簡易かつ正確に貼り付けることができる。
【0019】
(12)上記(3)のタイヤ製造装置において、前記テーブル構造体は、前記ドラムの回転に同期して前後方向に移動するように構成されており、前記カム部材は、前記テーブル構造体の前後方向の移動に伴って前記押圧部材と接触することによって、当該押圧部材を前記ドラムに向かって押し出す固定カムであることが好ましい。この場合、ドラムに対して部材をより簡易かつ正確に貼り付けることができる。
【0020】
(13)上記(12)のタイヤ製造装置は、前記ドラムと前記テーブル構造体とを同期させる、ギア機構と、無端状の動力伝達部材とを備えることが好ましい。この場合、機械的な制御という簡易な方法によって、前記ドラムと前記テーブル構造体とを同期させることができる。
【0021】
(14)本発明に係る、タイヤの製造方法は、製品タイヤの内周形状を外周形状として有するドラムに部材を貼り付けることによって製品タイヤを製造するための、タイヤの製造方法であって、テーブル本体に前記部材を配置することと、前記部材が配置された前記テーブル本体を前記ドラムに合わせることと、前記テーブル本体に配置された前記部材を前記ドラムに向かって押圧することと、を含む。本発明に係るタイヤ製造装置によれば、ドラムに対して部材を簡易かつ正確に貼り付けることができる。
【0022】
(15)本発明に係る、タイヤの製造方法は、製品タイヤの内周形状を外周形状として有するドラムに部材を貼り付けることによって製品タイヤを製造するための、タイヤの製造方法であって、テーブル本体に前記部材を配置することと、前記部材が配置された前記テーブル本体を前記ドラムに合わせることと、前記ドラムの回転に同期して前記テーブル本体を前後方向に移動させることと、前記テーブル本体の前後方向の移動に伴って前記テーブル本体に配置された前記部材を前記ドラムに向かって押圧することと、
を含む。本発明に係る、タイヤ製造装置もまた、ドラムに対して部材を簡易かつ正確に貼り付けることができる。
【0023】
(16)上記(13)又は(14)の、タイヤの製造方法において、前記部材は、前記ドラムの直下において前記ドラムに向かって押圧されることが好ましい。この場合、ドラムに対して部材をより正確に貼り付けることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ドラムに対して部材を簡易かつ正確に貼り付けることができる、タイヤ製造装置及びタイヤの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態に係る、タイヤ製造装置を示す正面図である。
【
図3】
図1のスプロケットギアと位置決め用ギアとを拡大して示す斜視図である。
【
図4】
図1に示すタイヤ製造装置の部材貼付部を示す拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明の、一実施形態に係る、タイヤ製造装置及びタイヤの製造方法について、説明をする。
【0027】
図1には、本発明の一実施形態に係る、タイヤ製造装置1が前側から示されている。
【0028】
タイヤ製造装置1は、製品タイヤの内周形状を外周形状として有するドラム2に部材を貼り付けることによって、当該製品タイヤを製造するための装置である。タイヤ製造装置1は、例えば、試作タイヤの製造に使用することができる。
【0029】
タイヤの製造方法の一つとして、メタルコア製法(中子製法)というものが知られている。メタルコア製法では、製品タイヤにおける内周面の形状を外形形状として形成された中子の外周に、製品タイヤにおいてインナーライナー、カーカス、ベルトプライ、サイドウォール、トレッドとなる異なる種類のゴム素材をそれぞれについてリボンストリップ状に成形し、巻き付け(貼り付け)、順次積層することで生タイヤを形成する。そして、中子ごと加硫成型装置に搬送し、中子を内型として外型となる加硫金型で挟み込み、加硫成型することで製品タイヤが製造される。
【0030】
本実施形態において、タイヤ製造装置1は、メタルコア製法の生タイヤ形成時における、部材の貼り付けに用いられる。本実施形態において、タイヤ製造装置1が貼り付ける部材は、短冊状のベルト(例えば、幅が10~40mm)である。本実施形態において、部材は、磁性材料を含んでいる。
【0031】
ここで、本実施形態において、「前側」とは、部材50の貼り付けが開始される側をいう。また、「後側」とは、前側と反対側、本実施形態にあっては、部材50の貼り付けが終了する側をいう。さらに、本実施形態において、「右側」及び「左側」はそれぞれ、後側から前側をみたときを基準とするものとする。
【0032】
図2には、タイヤ製造装置1が前側から斜視的に示されている。
【0033】
タイヤ製造装置1は、ドラム2と、ドラム2に部材50を貼り付ける部材貼付部Aとを備えている。部材貼付部Aは、テーブル構造体20を備えている。テーブル構造体20は、部材が配置されるとともに当該部材をドラム2に合わせるテーブル本体21と、テーブル本体21に配置された部材50をドラム2に向かって押圧可能な押圧部材30とを備えている。
【0034】
本実施形態に係る、タイヤ製造装置1は、ドラム2と、部材貼付部Aとに加え、さらに、ドラム2及び部材貼付部Aが取り付けられた基台3を備えている。本実施形態において、基台3は、複数の脚部3aを備えている。これによって、本実施形態において、タイヤ製造装置1は、床面に対して接地させている。本実施形態において、タイヤ製造装置1は、床面に対して移動させることができる。ただし、基台3は、床面に対して固定することができる。また、本実施形態において、基台3は、複数のフレームによって構成された構造体である。
【0035】
本実施形態において、ドラム2は、基台3に対して回転可能に取り付けられている。本実施形態において、ドラム2の表面は、磁性材料(例えば、磁石)が含まれた材料によって構成されている。ドラム2には、駆動シャフト4が取り付けられている。本実施形態において、基台3は、2か所に配置された支持ブラケット3bを備えている。駆動シャフト4は、基台3の支持ブラケット3bによって回転可能に支持されている。
【0036】
本実施形態において、ドラム2の回転軸線О(以下、単に「回転軸線О」ともいう。)が延在する方向を「ドラム幅方向」又は「左右方向」という。また、本実施形態において、回転軸線Оと鉛直線とに対して直交する方向を「ドラム前後方向」又は「前後方向」という。
【0037】
さらに、本実施形態において、タイヤ製造装置1は、ドラム2の回転とテーブル構造体20の前後方向の移動とを同期させる同期部Bを備えている。
【0038】
本実施形態において、同期部Bは、2つのギア機構と、無端状の動力伝達部材8とを備えている。
【0039】
本実施形態において、同期部Bは、スプロケットギア5を備えている。スプロケットギア5には、駆動シャフト4が接続されている。これによって、スプロケットギア5は、駆動シャフト4とともに一体的に回転させることができる。
【0040】
さらに、本実施形態において、スプロケットギア5は、基台3に対して片持ち支持された位置決め用ギア6に噛み合わされている。即ち、本実施形態において、同期部Bは、スプロケットギア5と、位置決め用ギア6とを備える、第1のギア機構を備えている。
【0041】
図3には、スプロケットギア5と位置決め用ギア6とが斜視的に拡大して示されている。
【0042】
本実施形態において、位置決め用ギア6は、板状の連結部材7によって基台3に取り付けられている。これによって、スプロケットギア5は、位置決め用ギア6との噛み合いが解除される力で回転すると、当該位置決め用ギア6を乗り越えることによって、個々の噛み合いごとに順次回転させることができる。
【0043】
さらに、本実施形態において、駆動シャフト4の回転は、動力伝達部材8によって、同期部Bの出力側に伝達される。
【0044】
図2を参照すれば、本実施形態において、同期部Bは、入力プーリ9と、出力プーリ10とをさらに備えている。動力伝達部材8は、入力プーリ9と、出力シャフト11に接続された出力プーリ10との間に掛け渡されている。
【0045】
図1を参照すれば、本実施形態において、同期部Bはさらに、出力シャフト11を備えている。本実施形態において、出力シャフト11は、駆動シャフト4の下側に配置されている。本実施形態において、入力プーリ9には、駆動シャフト4が接続されている。また、本実施形態において、出力プーリ10には、出力シャフト11が接続されている。これによって、同期部Bは、駆動シャフト4の回転を出力シャフト11に対して伝達させることができる。特に、本実施形態において、入力プーリ9のプーリ径は、ドラム2の外径と同一である。これによって、入力プーリ9の回転数は、ドラム2の回転数と一致している。
【0046】
加えて、本実施形態において、同期部Bは、第2のギア機構である、ラックアンドピニオン機構12を備えている。ラックアンドピニオン機構12は、出力シャフト11に接続されたピニオンギア12aと、当該ピニオンギア12aと噛み合うラックギア12bとを備えている。ラックギア12bは、部材貼付部Aのテーブル構造体20に接続されている。
【0047】
即ち、同期部Bは、駆動シャフト4を入力とし、第1のギア機構(8,9)がドラム2の回転を制御する。そして、無端状の動力伝達部材8が駆動シャフト4からのドラム2の回転を、出力シャフト11を介して、テーブル構造体20に接続された第2のギア機構(12)に伝達する。これによって、テーブル構造体20は、ドラム2の回転に同期して動作する。
【0048】
図4は、
図1に示すタイヤ製造装置1の部材貼付部Aが拡大して示されている。
【0049】
図4に示すように、部材貼付部Aは、スライド部13を備えている。スライド部13は、基台3に対して、テーブル構造体20を前後方向にスライド(進退)させることができる。本実施形態において、スライド部13は、テーブル構造体20の下側に配置されたスライド部材13aと、スライド部材13aと基台3との間に配置された直動機構13bと備えている。本実施形態において、スライド部13は、2つの直動機構13bを備えている。2つの直動機構13bは、左右方向に間隔を空けて配置されている。
【0050】
本実施形態において、直動機構13bは、基台3に固定されたガイドレール13b1と、スライド部材13aに固定されたガイドブロック13b2とを備えている。本実施形態において、ガイドブロック13b2は、ガイドレール13b1上に取り付けられている。ガイドブロック13b2は、ガイドレール13b1の延在方向に沿って、当該ガイドレール13b1に対してスライドさせることができる。本実施形態において、ガイドレール13b1は、前後方向に延在している。これによって、スライド部13の上側に位置するテーブル構造体20を前後方向にスライド(進退)させることができる。
【0051】
加えて、本実施形態において、スライド部13には、同期部Bのラックギア12bが接続されている。ラックギア12bは、テーブル構造体20の下側に配置されたスライド部材13aに固定されている。これによって、テーブル構造体20は、ドラム2の回転に同期して、基台3に対して前後方向にスライド(進退)させることができる。
【0052】
図5には、タイヤ製造装置1が側面から示されている。
【0053】
さらに、本実施形態において、部材貼付部Aは、テーブル構造体20を昇降させる昇降部14を備えている。
【0054】
昇降部14は、例えば、伸縮可能なアクチュエータとすることができる。アクチュエータとしては、例えば、電気式アクチュエータ、流体式アクチュエータが挙げられる。電気式アクチュエータとしては、例えば、モーターアクチュエータ等が挙げられる。また、流体式アクチュエータとしては、例えば、液圧式アクチュエータ(例えば、油圧シリンダ式アクチュエータ)、空気式アクチュエータ等が挙げられる。本実施形態において、昇降部14には、モーターアクチュエータを使用している。
【0055】
本実施形態において、昇降部14は、テーブル構造体20とスライド部13との間に配置されている。本実施形態において、昇降部14の下端は、スライド部13のスライド部材13aに固定されている。また、本実施形態において、昇降部14の上端は、テーブル構造体20のテーブル本体21に固定されている。詳細には、テーブル本体21を構成する、後述の分割片22aに固定されている。これによって、本実施形態において、テーブル構造体20は、スライド部13を介して、基台3に対して、上下方向に昇降させることができる。本実施形態において、部材貼付部Aは、2つの昇降部14を備えている。2つの昇降部14は、前後方向の二か所の位置に配置されている。
【0056】
図6には、タイヤ製造装置1が上側から示されている。
【0057】
本実施形態において、テーブル構造体20は、テーブル本体21を備えている。テーブル本体21は、
図6の示すように、平面視において、矩形の平板形状を有している。具体的には、
図6に示すように、テーブル本体21は、前後方向の長さ寸法が左右方向の幅寸法よりも長い矩形の形状を有している。
【0058】
加えて、本実施形態において、テーブル本体21は、ドラム2の幅方向に分割された、複数の分割片22を備えている。
【0059】
上述のとおり、本実施形態において、テーブル本体21は、前後方向の長さ寸法が左右方向の幅寸法よりも長い矩形形状を有している。本実施形態において、テーブル本体21は、左右方向に複数に分割されている。したがって、個々の分割片22もまた、前後方向の長さ寸法が左右方向の幅寸法よりも長い矩形形状を有している。本実施形態において、テーブル本体21は、5つの分割片22によって構成されている。本実施形態において、左右方向中央には、幅の広い分割片22aが配置されている。残りの4つの分割片22bは、分割片22aよりも幅の狭い分割片である。4つの分割片22bは、中央の分割片22aの左右方向両側に、2つずつ配置されている。ただし、分割片22の形状、個数、配置は、適宜変更することができる。
【0060】
加えて、本実施形態において、テーブル構造体20は、複数のヒンジ23を備えている。ヒンジ23は、左右方向で隣り合う2つの分割片22をどうしを連結している。これによって、複数の分割片22は、1つのテーブル本体21として取り扱うことができる。本実施形態において、ヒンジ23は、複数の分割片22がドラム2の外周面側に合わされるように、例えば、テーブル本体21全体として、
図4の破線で示すように、U字溝形を形成するように、折り曲げることができる。
【0061】
図4を参照すれば、本実施形態において、テーブル構造体20は、分割片22を押し上げるアクチュエータ24を備えている。
【0062】
アクチュエータ24としては、昇降部14と同様のアクチュエータを採用することができる。本実施形態において、アクチュエータ24には、モーターアクチュエータを使用している。本実施形態において、テーブル構造体20は、複数のアクチュエータ24を備えている。本実施形態において、アクチュエータ24は、分割片22bと一対一の関係にある。即ち、複数の分割片22bはそれぞれ、1つのアクチュエータ24によって動作する。
【0063】
本実施形態において、テーブル構造体20はさらに、支持台25を備えている。支持台25は、テーブル本体21の下側に配置されている。本実施形態において、支持台25は、分割片22aに固定される上側支持部25aと、上側支持部25aの左右方向両側に配置されているとともに当該上側支持部25aよりも下側に位置する下側支持部25bとを備えている。
【0064】
本実施形態において、アクチュエータ24の上端部24aは、左右方向両側に配置された分割片22bのそれぞれに揺動可能に固定されている。また、本実施形態において、アクチュエータ24の下端部24bは、左右方向両側に配置された下側支持部25bのそれぞれに揺動可能に固定されている。
【0065】
したがって、本実施形態において、テーブル構造体20は、後述する押圧部材30を備えたテーブル本体21(分割片22)と、支持台25とを備え、さらに、テーブル本体21と支持台25との間には、アクチュエータ24が配置されたものである。
【0066】
本実施形態において、アクチュエータ24に接続された分割片22bは、当該アクチュエータ24の収縮によって、
図4に示すように、テーブル本体21の表面(上面)を平らな状態に維持する。その一方で、分割片22bは、アクチュエータ24の伸長によって、上側に向かって押し上げられる。これによって、テーブル本体21の表面は、
図4の破線で示すように、中央の分割片22aを底部としたU字溝形を形作る。したがって、テーブル本体21は、ドラム2の外周面側に合わさるように変形する。本実施形態において、アクチュエータ24は、前後方向の二か所の位置に配置されている。
【0067】
なお、
図4中、符号26は、テーブル構造体20の昇降を案内するガイドシャフトである。本実施形態において、ガイドシャフト26の下端は、スライド部材13aに固定されている。これによって、ガイドシャフト26は、スライド部材13aに対して上側に向かって起立している。さらに、ガイドシャフト26の上端部は、テーブル本体21を上下方向に移動可能に貫通している。本実施形態において、ガイドシャフト26の上端部は、テーブル構造体20における支持台25の上側支持部25aと、当該テーブル構造体20におけるテーブル本体21の分割片22aとを上下方向に移動可能に貫通している。つまり、本実施形態において、ガイドシャフト26は、テーブル構造体20を上下方向に貫通している。これによって、本実施形態において、ガイドシャフト26は、テーブル構造体20の上下方向の移動を案内する。
【0068】
また、本実施形態において、ガイドシャフト26は、前後方向の二か所の位置に配置されている。これによって、本実施形態において、テーブル構造体20は、前後方向の水平状態を保ったまま、スライド部13に対して安定的に昇降させることができる。
【0069】
ここで、
図7には、
図6のテーブル本体21が拡大して示されている。
【0070】
本実施形態において、テーブル本体21は、後述の部材50を位置決めするための溝27を備えている。溝27は、片側傾斜溝27A又は凹溝27Bの少なくともいずれか一方とすることができる。
【0071】
本実施形態において、テーブル本体21は、種類の異なる、2種類の溝27を備えている。本実施形態において、溝27は、
図7に示すように、平面視において、前後方向(左右方向)に対して傾斜している。本実施形態において、テーブル本体21の表面(上面)は、基本的に、平らな面(以下、「平坦面」ともいう。)F21によって構成されている。
【0072】
2種類の溝27の一方は、片側傾斜溝27Aである。片側傾斜溝27Aは、片側のみに溝側面27eを有している。片側傾斜溝27Aの溝側面27eの反対側は、当該片側傾斜溝27Aの溝底面が傾斜面27dを構成している。傾斜面27dは、平坦面F21と連なることによって、当該平坦面F21から溝側面27eに向かって傾斜するスロープを構成している。この場合、部材50が平坦面F21を片側傾斜溝27Aに向かってスライドするときは、傾斜面27dを案内として溝側面27eに接触させることができる。したがって、部材50は、溝側面27eに接触することによってテーブル本体21に対して位置決めされる。本実施形態において、傾斜面27dは後側に配置されている一方で、溝側面27eは前側に配置されている。これによって、部材50が後側から前側に移動したときには、当該部材は、溝側面27eによって位置決めされた状態に維持される。
【0073】
2種類の溝27の他方は、凹溝27Bである。凹溝27Bは、両側に溝側面27eを有している。この場合、部材50は、凹溝27Bに挿入し、又は、嵌め合わせる。これによって、部材50は、2つの溝側面27eと接触させることができる。したがって、部材50は、凹溝27Bの2つの溝側面27eの少なくともいずれか一方に接触することによってテーブル本体21に対して位置決めされる。これによって、部材50は、前後方向のいずれの側に移動したときも、凹溝27Bの溝側面27eによって位置決めされた状態に維持される。
【0074】
本実施形態において、テーブル本体21には、片側傾斜溝27Aによって構成された片側傾斜溝群と、凹溝によって構成された凹溝群27Bとが形成されている。本実施形態において、片側傾斜溝群と凹溝群とはそれぞれ、3つの片側傾斜溝27Aと、3つの凹溝27Bとによって構成されている。ただし、片側傾斜溝群及び凹溝群を構成する溝27の数は、適宜設定することができる。また、テーブル本体21に設ける溝27の種類、個数、組み合わせも、適宜設定することができる。
【0075】
ところで、本実施形態において、部材50は、短冊状の帯状部材である。さらに、本実施形態において、部材50は、平面視において、その中央部分が直線的に延在している一方で、当該部材の端部はそれぞれ、中央部分に対して湾曲している。
【0076】
そこで、本実施形態では、溝27もまた、
図7に示すように、その中央部分を直線的に延在させている一方(
図7の一点鎖線)で、当該溝27の端部をそれぞれ、中央部分に対して湾曲させている。これによって、溝27は、部材50の形状に合わせてテーブル本体21に対して位置決めすることができる。
【0077】
また、本実施形態において、テーブル本体21は、部材50を引き寄せるための磁石28を備えている。
【0078】
本実施形態において、テーブル本体21は、複数の磁石28を備えている。磁石28は、溝27の延在方向に沿って間隔を空けて配置されている。これによって、磁性材料を含んだ部材50を磁力によって確実に保持することができる。本実施形態において、磁石28は、テーブル本体21の表面から露出させるように配置されている。ただし、磁石28は、その磁力の影響を周囲に与えられる範囲において、テーブル本体21に埋め込むこともできる。本実施形態において、磁石28としては、例えば、永久磁石、電磁石が挙げられる。本実施形態では、テーブル本体21のレイアウト及び部品コストを考慮して、永久磁石を採用している。
【0079】
本実施形態において、テーブル本体21には、複数の押圧部材30が配置されている。本実施形態において、押圧部材30は、溝27の延在方向に沿って間隔を空けて配置されている。本実施形態において、押圧部材30は、テーブル本体21に形成された貫通孔A21に収容されている。
【0080】
図8には、
図5の貼付位置周辺が拡大して示されている。
【0081】
本実施形態において、部材貼付部Aは、カム部材40を備えている。カム部材40は、押圧部材30との接触によって当該押圧部材30をドラム2に向かって押し出すことができる。
【0082】
本実施形態において、テーブル構造体20は、上述のとおり、ドラム2の回転に同期して前後方向に移動するように構成されている。カム部材40は、テーブル構造体20の前後方向の移動に伴って押圧部材30と接触することによって、当該押圧部材30をドラム2に向かって押し出す固定カムである。
【0083】
本実施形態において、押圧部材30がドラム2の直下において部材50を前記ドラム2に向かって押圧するように構成されている、
【0084】
本実施形態において、カム部材40は、ドラム2の直下に配置されている。これによって、押圧部材30は、部材50をドラム2の接線方向に対して垂直な方向(法線方向)Lに、つまり、ドラム外周面(タイヤ踏面に相当する。)に対して垂直に押圧する。これによって、部材50は、ドラム2の真下の位置において、ドラム2に対して貼り付けられる。本実施形態において、カム部材40は、基台3に固定された固定板15に取り付けられている。
【0085】
図9には、押圧部材30がテーブル本体21とともに断面で示されている。
【0086】
本実施形態において、押圧部材30は、本体シャフト31と、本体シャフト31の上端に取り付けられたヘッド32と、本体シャフト31の下端に取り付けられたカムフォロアテール33と、を備えている。本実施形態において、ヘッド32は、ねじ等の締結要素Tによって本体シャフト31に対して取り外し可能に固定されている。また、本実施形態において、カムフォロアテール33も、ねじ等の締結要素Tによって本体シャフト31に対して取り外し可能に固定されている。
【0087】
加えて、本実施形態において、押圧部材30は、部材50を引き寄せるための磁石34を備えている。
【0088】
本実施形態において、磁石34は、ヘッド32の上端に取り付けられている。これによって、磁性材料を含んだ部材50を磁力によって確実に保持することができる。ただし、磁石34は、その磁力の影響を周囲に与えられる範囲において、ヘッド32に埋め込むこともできる。本実施形態において、磁石34としては、例えば、永久磁石、電磁石が挙げられる。本実施形態では、押圧部材30のレイアウト及び部品コストを考慮して、永久磁石を採用している。また、本実施形態において、磁石34は、テーブル本体21の磁石28よりも磁力が大きい。ただし、磁石34は、磁石28と同一の磁力又は当該磁石28よりも小さい磁力とすることができる。
【0089】
さらに、テーブル構造体20は、押圧部材30を初期位置に付勢する弾性部材35を備えている。
【0090】
本実施形態において、テーブル構造体20は、テーブル本体21に挿入されたスリーブ36と、スリーブ36とテーブル本体21との間に配置された座金部材37とを備えている。本実施形態において、押圧部材30は、スリーブ36を介してテーブル本体21を貫通している。本実施形態において、弾性部材35は、押圧部材30のカムフォロアテール33とスリーブ36との間に圧縮された状態で配置されている。これによって、押圧部材30のヘッド32は、その初期状態において、カムフォロアテール33に負荷された、弾性部材35の付勢力(復元力)によって、
図9に示すように、テーブル本体21の内部に収容されている。本実施形態において、弾性部材35は、スプリングである。
【0091】
図10には、カム部材40が固定板15とともに断面で示されている。
【0092】
本実施形態において、カム部材40は、押圧部材30と同様に、本体シャフト41と、本体シャフト41の上端に取り付けられたカムヘッド42と、本体シャフト41の下端に取り付けられたテール43と、を備えている。本実施形態において、カムヘッド42もまた、ねじ等の締結要素Tによって本体シャフト41に対して取り外し可能に固定されている。また、本実施形態において、テール43も、ねじ等の締結要素Tによって本体シャフト41に対して取り外し可能に固定されている。
【0093】
さらに、本実施形態において、部材貼付部Aは、カム部材40を初期位置に付勢する弾性部材45を備えている。
【0094】
本実施形態において、部材貼付部Aは、固定板15に挿入されたスリーブ46を備えている。本実施形態において、カム部材40は、スリーブ46を介して固定板15を貫通している。本実施形態において、弾性部材45は、カムヘッド42とスリーブ46との間に圧縮された状態で配置されている。これによって、カムヘッド42は、その初期状態において、当該カムヘッド42に負荷された、弾性部材45の付勢力(復元力)によって、
図10に示すように、上側に向かって突出している。本実施形態において、弾性部材45は、スプリングである。
【0095】
なお、
図10に示すように、本実施形態において、固定板15は、U字形に湾曲させている。これによって、固定板15に配置された複数のカム部材40は、それぞれ、テーブル本体21をU字溝形に変形させたときにも、テーブル本体21に配置された押圧部材30の位置に対応させることができる。また、
図11には、押圧部材30とカム部材40との関係が示されている。
【0096】
ここで、製品タイヤの製造に用いられる生タイヤの形成を一例として、タイヤ製造装置1の使用方法の一例について説明をする。
【0097】
この例では、まず、
図7に示すように、テーブル本体21を平坦な状態に開く。次いで、テーブル本体21上に斜めに形成された溝27に沿って部材50を配置する。本実施形態において、部材50は、磁性材料を含んでいる。このため、部材50は、溝27に沿って配置された、複数の磁石28によってテーブル本体21の側に引き寄せられる。加えて、本実施形態において、押圧部材30もまた磁石34を備えている。これによって、部材50は、押圧部材30の磁石34によってもテーブル本体21の側に引き寄せられる。したがって、本実施形態において、部材50は、テーブル本体21に対して安定的に保持される。
【0098】
次いで、
図4に示すように、アクチュエータ24を伸長させることによって、テーブル本体21をドラム2に合わせるように、分割片22bを動作させる。本実施形態では、ドラム2は、磁石28及び34よりも強い磁力を発生させる。この場合、テーブル本体21に配置された部材50は、ドラム2に接触しなくとも、ドラム2の磁力によって、当該ドラム2に接近するだけで当該ドラム2の表面に貼り付けることができる。したがって、ここでは、「テーブル本体21をドラム2に合わせる」とは、
図9に示すように、アクチュエータ24によって動作させた分割片22がドラム2に部材50を接触する場合の他に、当該分割片22が、部材50を介してドラム2に接触することなく、部材50とドラム2との間にクリアランスCを残したまま、ドラム2の外周側に位置する場合も含まれる。
【0099】
時に、本実施形態において、タイヤ製造装置1は、テーブル構造体20を昇降させるための昇降部14を備えている。したがって、ドラム2と部材との間のクリアランスCは、分割片22を動作させる前に、又は、当該分割片22を動作させた後に、テーブル構造体20を昇降部14によって昇降させることによって、調整することができる。
【0100】
次いで、テーブル本体21の表面から押圧部材30を押し出すことによって、部材50をドラム2に向かって押圧する。これによって、部材50は、ドラム2の外周側により近くなることで、当該ドラム2に対して貼り付き易くなる。したがって、ここでは、「部材50をドラムに向かって押圧する」とは、部材50がドラム2に接触する場合の他に、当該押圧部材30が、部材50を介してドラム2に接触することなく、部材50とドラム2との間にクリアランスCを残したまま、ドラム2の外周側に位置する場合も含まれる。
【0101】
本実施形態において、押圧部材30のテーブル本体21から押し出しは、カム部材40によって行う。本実施形態では、テーブル本体21は、ドラム2の回転に同期して、前側から後側に移動する。したがって、押圧部材30もまた、テーブル本体21とともに前側から後側に移動する。
【0102】
図9を参照すれば、テーブル本体21とともに移動した押圧部材30のカムフォロアテール33は、ドラム2の直下に配置されたカム部材40のカムヘッド42と接触する。このとき、押圧部材30は、破線で示すように、カム部材40を乗り越えつつ、ドラム2の直下から、当該ドラム2の直上に押し出される。これによって、テーブル本体21の表面上の部材50は、ドラム2の直下に押し出されることによって、当該ドラム2に対してより確実に貼り付けることができる。
【0103】
本実施形態において、3つの溝27が一群となっているため、ドラム2をさらに回転させると、次の溝27に配置した新たな部材を貼り付けることができる。
【0104】
タイヤ製造装置1によれば、テーブル本体21に部材50を配置し、次いで、部材50が配置されたテーブル本体21をドラム2に合わせた後、押圧部材30を用いることによって、テーブル本体21に配置された部材50をドラム2に向かって押圧する。これによって、部材50をドラム2に対して容易に貼り付けることができる。特に、本実施形態に係る部材50のように、当該部材50が直線的な形状以外の、複雑な形状の部材であっても、従来のように、貼付ローラを部材50の延在方向に移動させる必要が無いため、当該部材50を容易に貼り付けることができる。
【0105】
また、タイヤ製造装置1によれば、部材50が押圧部材30によってドラム2に向かって押圧されることから、複雑な形状の部材50であっても、正確な貼り付けを行うことができる。
【0106】
したがって、タイヤ製造装置1によれば、ドラム2に対して部材50を簡易かつ正確に貼り付けることができる。
【0107】
加えて、タイヤ製造装置1によれば、部材50の貼り付けをドラム2にテーブル本体21に合わせたのち、押圧部材30を押し出すだけで、部材50をドラム2に対して貼り付けることができる。したがって、タイヤ製造装置1によれば、従来のように、部材50の延在方向に沿って取付ローラを動かすことなく、当該部材50の貼り付けを正確かつ迅速に行うことができる。
【0108】
また、本実施形態において、テーブル本体21は、ドラム2の幅方向に分割された、複数の分割片22を備えている。この場合、様々な種類のドラム2の外径形状に対してテーブル本体21の表面形状を適宜、合わせることができる。したがって、本実施形態によれば、部材50の貼り付けをより正確に行うことができる。
【0109】
また、本実施形態において、部材貼付部Aは、押圧部材30との接触によって当該押圧部材30をドラム2に向かって押し出すカム部材40を備えている。この場合、機械的な制御という簡易な方法によって、押圧部材30を、当該押圧部材30の周辺状況に合わせて動作させることができる。さらに、本実施形態によれば、電子部品等の比較的高価な部品の部品点数を削減することによって、部品コストの抑制を図ることができる。
【0110】
また、本実施形態において、部材貼付部Aは、テーブル構造体20を昇降させる昇降部14を備えている。この場合、テーブル構造体20を昇降させることによって、ドラム2と部材50との間のクリアランスCを、例えば、部材50の厚さに応じて調整することができる。したがって、この場合、部材50の貼り付けをより正確に行うことができる。
【0111】
また、本実施形態において、テーブル本体21及び押圧部材30は、部材50を引き寄せるための磁石(28,34)を備えている。本実施形態において、部材50は磁性材料を含んでいる。この場合、テーブル本体21及び押圧部材30に対する部材50のセットを容易に行うことができる。したがって、本実施形態によれば、部材30の貼り付けをより正確に行うことができる。ただし、磁石は、テーブル本体21及び押圧部材30の少なくともいずれか一方に設けることができる。また、タイヤ製造装置1は、磁性材料を含まない部材50にも適用することができる。この場合、磁石は、省略することができる。
【0112】
また、本実施形態において、テーブル本体21は、部材50を位置決めするための溝27を備えている。本実施形態において、溝27は、片側傾斜溝27A及び凹溝27Bである。本実施形態によれば、部材50が溝27によってテーブル本体21に対して正確に位置決めされる。したがって、本実施形態によれば、部材50の貼り付けをより正確に行うことができる。ただし、溝27は、片側傾斜溝27A又は凹溝27Bの少なくともいずれかとすることができる。また、溝27は、少なくとも1つであればよい。
【0113】
また、本実施形態において、テーブル構造体20は、分割片22を押し上げるアクチュエータ24を備えている。本実施形態によれば、アクチュエータ24を制御することによって、分割片22をドラム2の外形形状に容易に合わせることができる。したがって、本実施形態によれば、ドラム2に対して部材50をより簡易かつ正確に貼り付けることができる。
【0114】
また、本実施形態において、テーブル構造体20は、隣り合う分割片22を連結するヒンジ23を備えている。この場合、複数の分割片22を1つのテーブル本体21として取り扱うことができる。このため、本実施形態によれば、テーブル本体21を可変としつつも、テーブル本体21としての取り扱いが容易になる。したがって、本実施形態によれば、部材50の貼り付けをより簡易に行うことができる。
【0115】
また、本実施形態において、押圧部材30がドラム2の直下において部材50をドラム2に向かって押圧するように構成されている。本実施形態によれば、部材50をドラム2の接線方向に対して垂直な方向(法線方向)Lに、つまり、ドラム外周面(タイヤ踏面に相当する。)に対して垂直に貼り付けることができる。したがって、本実施形態によれば、ドラム2に対して部材50をより正確に貼り付けることができる。
【0116】
また、本実施形態において、テーブル構造体20は、押圧部材30を初期位置に付勢する弾性部材35を備えている。本実施形態によれば、ドラム2に向かって部材50を押圧した押圧部材30を自動的に初期位置に復帰させることができる。これによって、押圧部材30は、部材50をドラム2に向かって繰り返し押圧することができる。したがって、本実施形態によれば、ドラム2に対して部材50をより簡易に貼り付けることができる。
【0117】
また、本実施形態において、部材貼付部Aは、カム部材40を初期位置に付勢する弾性部材45を備えている。本実施形態によれば、カム部材40は、弾性部材45の弾性力によって、押圧部材30に対して適度に接触する。これによって、カム部材40は、押圧部材30をドラムに向かって適度な力で押し出すようにすることができる。したがって、本実施形態によれば、ドラム2に対して部材50をより正確に貼り付けることができる。また、本実施形態によれば、押圧部材30と接触したカム部材40を自動的に初期位置に復帰させることができる。これによって、カム部材40は、押圧部材30をドラム2に向かって繰り返し押し出すことができる。したがって、本実施形態によれば、ドラム2に対して部材50をより簡易に貼り付けることができる。即ち、本実施形態によれば、ドラム2に対して部材50をより簡易かつ正確に貼り付けることができる。
【0118】
また、本実施形態において、テーブル構造体20は、ドラム2の回転に同期して前後方向に移動するように構成されている。そして、カム部材40は、テーブル構造体20の前後方向の移動に伴って押圧部材30と接触する。本実施形態において、カム部材40は、当該カム部材40そのものが動くことなく、押圧部材30をドラム2に向かって押し出す固定カムである。この場合、ドラム2の回転に同期してテーブル構造体20を移動させることで、押圧部材30をドラム2に向かって押し出すことができる。したがって、本実施形態によれば、ドラム2に対して部材50をより簡易かつ正確に貼り付けることができる。
【0119】
また、本実施形態では、ドラム2とテーブル構造体20とを同期させる、ギア機構と、無端状の動力伝達部材8とを備えている。この場合、機械的な制御という簡易な方法によって、ドラム2とテーブル構造体20とを同期させることができる。したがって、本実施形態によれば、ドラム2とテーブル構造体20との同期に、電子部品等の比較的高価な部品が不要となる。したがって、本実施形態によれば、高価な部品の部品点数が削減されることによって、部品コストの抑制を図ることができる。
【0120】
また、本実施形態において、入力プーリ9にハンドルを取り付けることもできる。この場合、手動によって生タイヤを製造するために部材50を貼り付けることができる。さらに、手動の場合、スプロケットギア5と位置決め用ギア6との噛み合いによって、ドラム2の回転ピッチ、つまり、テーブル構造体20の送り量を調整することができる。
【0121】
また、上述のとおり、本発明に係る、タイヤの製造方法は、製品タイヤの内周形状を外周形状として有するドラム2に部材50を貼り付けることによって製品タイヤを製造するための、タイヤの製造方法である。本発明に係る、タイヤの製造方法は、テーブル本体21に部材50を配置することと、部材50が配置されたテーブル本体21をドラム2に合わせることと、テーブル本体21に配置された部材50をドラム2に向かって押圧することと、を含む。
【0122】
上述の、タイヤの製造方法によれば、テーブル本体21に部材50を配置し、次いで、部材50が配置されたテーブル本体21をドラム2に合わせた後、テーブル本体21に配置された部材50をドラム2に向かって押圧する。このため、部材50が直線的な形状以外の、複雑な形状の部材であっても、当該部材を容易に貼り付けることができる。
【0123】
また、上述の、タイヤの製造方法によれば、部材50が押圧部材30によってドラム2に向かって押圧されることから、複雑な形状の部材であっても、正確な貼り付けを行うことができる。
【0124】
したがって、上述の、タイヤの製造方法によれば、ドラム2に対して部材50を簡易かつ正確に貼り付けることができる。
【0125】
また、上述のとおり、本発明に係る、タイヤの製造方法は、テーブル本体21に部材50を配置することと、部材50が配置されたテーブル本体21をドラム2に合わせることと、ドラム2の回転に同期してテーブル本体21を前後方向に移動させることと、テーブル本体21の前後方向の移動に伴ってテーブル本体21に配置された部材50をドラム2に向かって押圧することと、を含む。
【0126】
上述の、タイヤの製造方法によれば、テーブル本体21に部材50を配置し、次いで、部材50が配置されたテーブル本体21をドラム2に合わせた後、ドラム2の回転に同期してテーブル本体21を前後方向に移動させるとともに、テーブル本体21に配置された部材50をドラム2に向かって押圧する。こうした、タイヤの製造方法もまた、ドラム2に対して部材50を簡易かつ正確に貼り付けることができる。特に、こうした、タイヤの製造方法によれば、ドラム2の回転に同期してテーブル本体21を移動させるため、本実施形態に係る部材50のような、短冊状の部材をドラム2に対して斜めに貼り付ける場合に有効である。
【0127】
また、上述のいずれかのタイヤの製造方法において、部材50は、ドラム2の直下においてドラム2に向かって押圧される。この場合、部材50をドラム2の接線方向に対して垂直な方向(法線方向)Lに、つまり、ドラム2の外周面(タイヤ踏面に相当。)に対して垂直に貼り付けることができる。したがって、この場合、ドラム2に対して部材50をより正確に貼り付けることができる。
【0128】
上述したところは、本発明の一実施形態について説明を行ったにすぎず、特許請求の範囲に従えば、様々な変更が可能となる。
【符号の説明】
【0129】
1:タイヤ製造装置, 2:ドラム, 3:基台, 4:駆動シャフト, 5:スプロケットギア, 6:位置決め用ギア, 7:連結部材, 8:無端状の動力伝達部材, 9:入力プーリ, 10:出力プーリ, 11:出力シャフト, 12:ラックアンドピニオン機構, 12a:ピニオンギア, 12b:ラックギア, 13:スライド部, 13a:スライド部材, 13b:直動機構, 14:昇降部, 15:固定板, 20:テーブル構造体, 21:テーブル本体, 22,22a,22b:分割片, 23:ヒンジ, 14:アクチュエータ, 25:支持台, 26:ガイドシャフト, 27:溝, 27A:片側傾斜溝, 27B:凹溝, 28:磁石, 30:押圧部材, 31:本体シャフト,32:ヘッド, 33:カムフォロアテール, 34:磁石, 35:弾性部材, 36:スリーブ, 40:カム部材, 41:本体シャフト,42:カムヘッド, 43:テール, 45:弾性部材, 46:スリーブ, 50:部材