(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084582
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】部材貼付装置及びタイヤの製造方法
(51)【国際特許分類】
B29D 30/16 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
B29D30/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198922
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100179947
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】石島 健太
【テーマコード(参考)】
4F215
4F501
【Fターム(参考)】
4F215AH20
4F215VA02
4F215VD16
4F215VK02
4F215VL11
4F215VP38
4F501TA02
4F501TC16
4F501TD03
4F501TE10
4F501TL37
4F501TV11
(57)【要約】
【課題】部材貼付部の昇降を可能にしつつ、当該部材貼付部に生じ得る、傾き及びガタつきが抑制される、部材張付け装置及びタイヤの製造方法を提供する。
【解決手段】部材貼付装置1は、部材貼付部8を備える基台2と、基台2を支持する支持体3と、基台2を支持体3に対して昇降させる昇降機構4と、基台2の昇降運動を噛み合いによって回転運動として伝達する2つの伝達機構5とを備える。2つの伝達機構5は、左右方向の二か所の位置に配置されている。さらに、2つの伝達機構5をそれぞれ、互いの回転運動を同期させるように連結することによって、同期機構Sが構成されている。タイヤの製造方法は、部材貼付部8を昇降させることによって、部材を貼り付けることを含む。部材貼付部8の左右方向両側で当該部材貼付部8の昇降運動を回転運動に変換し、部材貼付部8の左右方向両側の前記回転運動を同期させることによって、当該部材貼付部8の左右方向両側の前記昇降運動を同期させる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部材貼付部を備える基台と、前記基台を支持する支持体と、前記基台を前記支持体に対して昇降させる昇降機構と、前記基台の昇降運動を噛み合いによって回転運動として伝達する2つの伝達機構と、を備えており、
前記2つの伝達機構は、左右方向の二か所の位置に配置されており、
さらに、前記2つの伝達機構をそれぞれ、互いの回転運動を同期させるように連結することによって、同期機構が構成されている、部材貼付装置。
【請求項2】
前記昇降機構は、駆動源とともに左右方向の中心位置に配置されている、請求項1に記載された部材貼付装置。
【請求項3】
前記同期機構は、前後方向の二か所の位置に配置されている、請求項1に記載された部材貼付装置。
【請求項4】
前記伝達機構は、前記基台に取り付けられたラックギアと、前記支持体に回転可能に取り付けられたピニオンギアとを備える、請求項1に記載された部材貼付装置。
【請求項5】
前記部材貼付部は、左右方向の二か所の位置に配置されている、請求項1に記載された部材貼付装置。
【請求項6】
前記昇降機構は、前後方向の二か所の位置に配置されている、請求項1に記載された部材貼付装置。
【請求項7】
前記基台は、前記支持体の内側に配置されている、請求項1に記載された部材貼付装置。
【請求項8】
前記昇降機構は、前記基台に取り付けられたウォームと、前記支持体に回転可能に取り付けられたウォームホイールとを備える、請求項1に記載された部材貼付装置。
【請求項9】
部材貼付部を昇降させることによって、部材を貼り付けることを含む、タイヤの製造方法であって、
前記部材貼付部の左右方向両側で当該部材貼付部の昇降運動を回転運動に変換し、前記部材貼付部の左右方向両側の前記回転運動を同期させることによって、当該部材貼付部の左右方向両側の前記昇降運動を同期させる、タイヤの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部材貼付装置及びタイヤの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の部材貼付装置には、タイヤの製造に際し、中子支持機の中子の外表面にゴムストリップを貼り付けるためのストリップ貼付け機を、昇降手段を用いることによって昇降させる、ゴムストリップ巻回体形成装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の部材貼付装置は、1つのボールネジ機構を用いた昇降手段であることから、部材を貼り付けるときに、部材貼付部が振動し、又は、揺れることがある。即ち、上記従来の部材貼付装置は、部材を貼り付けるときに部材貼付部が左右に傾くことがある。また、1つのボールネジ機構を用いた昇降手段は、ガタつきを生じさせる傾向にある。
【0005】
こうした傾き又はガタつきは、例えば、部材の張付き位置、部材のテンション(張力)等にバラツキを生じさせる。したがって、上記従来の部材貼付装置には、部材の張付け精度に改善の余地がある。
【0006】
本発明の目的は、部材貼付部の昇降を可能にしつつ、当該部材貼付部に生じ得る、傾き及びガタつきが抑制される、部材張付け装置及びタイヤの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る部材貼付装置は、部材貼付部を備える基台と、前記基台を支持する支持体と、前記基台を前記支持体に対して昇降させる昇降機構と、前記基台の昇降運動を噛み合いによって回転運動として伝達する2つの伝達機構と、を備えており、前記2つの伝達機構は、左右方向の二か所の位置に配置されており、さらに、前記2つの伝達機構をそれぞれ、互いの回転運動を同期させるように連結することによって、同期機構が構成されている。本発明に係る部材貼付装置によれば、部材貼付部の昇降を可能にしつつ、当該部材貼付部に生じ得る、傾き及びガタつきが抑制される。
【0008】
(2)上記(1)の部材貼付装置において、前記昇降機構は、駆動源とともに左右方向の中心位置に配置されていることが好ましい。この場合、基台に生じ得る傾きがさらに抑制される。
【0009】
(3)上記(1)又は(2)の部材貼付装置において、前記同期機構は、前後方向の二か所の位置に配置されていることが好ましい。この場合、部材貼付部に生じ得る、傾き及びガタつきがさらに抑制される。
【0010】
(4)上記(1)~(3)のいずれか1つの部材貼付装置において、前記伝達機構は、前記基台に取り付けられたラックギアと、前記支持体に回転可能に取り付けられたピニオンギアとを備えるものとすることができる。この場合、簡易な構成によって昇降運動を回転運動に変換させることができる。
【0011】
(5)上記(1)~(4)のいずれか1つの部材貼付装置において、前記部材貼付部は、左右方向の二か所の位置に配置されていることが好ましい。基台に生じ得る、傾き及びガタつきの抑制に有効である。これによって、部材の張付き位置、部材のテンション(張力)等にバラツキがさらに抑制される。
【0012】
(6)上記(1)~(5)のいずれか1つの部材貼付装置において、前記昇降機構は、前後方向の二か所の位置に配置されていることが好ましい。この場合、部材貼付部の前後方向に生じ得る傾きをより抑制することができる。
【0013】
(7)上記(1)~(6)のいずれか1つの部材貼付装置において、前記基台は、前記支持体の内側に配置されていることが好ましい。この場合、部材貼付部を保護することができる。
【0014】
(8)上記(1)~(7)のいずれか1つの部材貼付装置において、前記昇降機構は、前記基台に取り付けられたウォームと、前記支持体に回転可能に取り付けられたウォームホイールとを備えるものとすることができる。この場合、簡易な構成によって部材貼付部を昇降させることができる。
【0015】
(9)本発明に係る、タイヤの製造方法は、部材貼付部を昇降させることによって、部材を貼り付けることを含む、タイヤの製造方法であって、前記部材貼付部の左右方向両側で当該部材貼付部の昇降運動を回転運動に変換し、前記部材貼付部の左右方向両側の前記回転運動を同期させることによって、当該部材貼付部の左右方向両側の前記昇降運動を同期させる。本発明に係る部材貼付方法によれば、部材貼付部の昇降を可能にしつつ、当該部材貼付部に生じ得る、傾き及びガタつきが抑制される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、部材貼付部の昇降を可能にしつつ、当該部材貼付部に生じ得る、傾き及びガタつきが抑制される、部材張付け装置及びタイヤの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る、部材貼付装置を概略的に示す正面図である。
【
図2】
図1の部材貼付装置の、基台を部材貼付部とともに拡大して示す拡大図である。
【
図3】
図1の部材貼付装置の、部材貼付部を備えた基台を概略的に示す斜視図である。
【
図4】
図1の部材貼付装置を概略的に示す斜視図である。
【
図5】
図1の部材貼付装置を概略的に示す平面図である。
【
図6】
図1の部材貼付装置を概略的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る、部材貼付装置及びタイヤの製造方法について、説明をする。
【0019】
図1には、本発明の一実施形態に係る、部材貼付装置1が前側から概略的に示されている。ここで、本実施形態において、「前側」とは、部材貼付部8が配置されている側をいう。また、「後側」とは、前側と反対側、本実施形態にあっては、部材導入部9が配置されている側をいう。さらに、本実施形態において、「右側」及び「左側」はそれぞれ、後側から前側をみたときを基準とするものとする。
【0020】
図1を参照すれば、部材貼付装置1は、部材貼付部8を備える基台2と、基台2を支持する支持体3と、基台2を支持体3に対して昇降させる昇降機構4と、基台2の昇降運動を噛み合いによって回転運動として伝達する2つの伝達機構5とを備えている。2つの伝達機構5は、左右方向の二か所の位置に配置されている。さらに、2つの伝達機構5をそれぞれ、互いの回転運動を同期させるように連結することによって、同期機構Sが構成されている。
【0021】
タイヤの製造方法の一つとして、メタルコア製法(中子製法)というものが知られている。メタルコア製法では、製品タイヤにおける内周面の形状を外形形状として形成された中子の外周に、製品タイヤにおいてインナーライナー、カーカス、ベルトプライ、サイドウォール、トレッドとなる異なる種類のゴム素材をそれぞれについてリボンストリップ状に成形し、巻き付け(貼り付け)、順次積層することで生タイヤを形成する。そして、中子ごと加硫成型装置に搬送し、中子を内型として外型となる加硫金型で挟み込み、加硫成型することで製品タイヤが製造される。
【0022】
本実施形態において、部材貼付装置1は、メタルコア製法の生タイヤ形成時における、部材の貼り付けに用いられる。本実施形態において、部材貼付装置1が貼り付ける部材は、プライレイヤ(補強材)である。
【0023】
本実施形態において、基台2は、前後方向に延在する本体21と、本体21の上側に左右方向に掛け渡された梁部22と、本体21の上側に配置されたスライド板23と、スライド板23を本体21に対して前後方向に移動させることができる直動機構24と、を備えている。
【0024】
図2には、基台2を部材貼付部8とともに拡大して示されている。
【0025】
本実施形態において、同期機構Sは、2つの直動機構24を備えている。2つの直動機構24は、基台2の左右方向に間隔を空けて配置されている。
【0026】
本実施形態において、本体21は、複数のフレームによって構成されている。本実施形態において、本体21は、前後方向に延在する2つの長さ方向フレーム21aを備えている。本実施形態において、直動機構24は、長さ方向フレーム21aと、スライド板23との間に配置されている。本実施形態において、直動機構24は、前後方向に延在するガイドレール24aと、当該ガイドレール24aに沿って移動可能なガイドブロック24bとを備えている。本実施形態において、ガイドレール24aは、長さ方向フレーム21aの上面に固定されている。また、本実施形態において、ガイドブロック24bは、スライド板23の下面に固定されている。これによって、本実施形態において、スライド板23は、本体21に対して前後方向に移動させることができる。
【0027】
本実施形態において、本体21はさらに、左右方向に延在する幅方向フレーム21bを備えている。本実施形態において、梁部22は、スライド板23を覆うように、長さ方向フレーム21aよりも左右方向外側に位置する幅方向フレーム21bの上面に取り付けられている。
【0028】
図3には、基台2が部材貼付部8とともに上側から斜視的に示されている。
【0029】
本実施形態において、基台2は、2つの梁部22を備えている。本実施形態において、2つの梁部22は、前後方向に間隔を空けて配置されている。
【0030】
加えて、本実施形態において、基台2は、2つの部材貼付部8を備えている。2つの部材貼付部8は、左右方向の二か所の位置に配置されている。部材貼付部8は、前記部材を前記ドラムに押し当てて当該ドラムに前記部材を貼り付ける。
【0031】
本実施形態において、前記部材は、部材導入部9を通して基台2に導入される。本実施形態において、基台2は、2つの部材導入部9を備えている。本実施形態において、前記部材は、部材導入部9に導入される前までは、1本の部材として構成されている。ただし、前記部材は、部材導入部9に導入される直前で1本の部材が2つに分かれる。これによって、2つに分かれた前記部材はそれぞれ、個々の部材導入部9から基台2に導入される。導入された前記部材は、テンションコントローラ(図示省略。)等によって貼り付けに適した状態に調整されたのち、部材貼付部8に供給される。
【0032】
本実施形態において、2つの部材貼付部8は、それぞれ、左右方向に移動させることができる。本実施形態において、基台2はさらに、直動機構25を備えている。直動機構25は、左右方向に延在している。
【0033】
本実施形態において、直動機構25は、スライド板23と、部材貼付部8との間に配置されている。本実施形態において、直動機構25は、左右方向に延在するガイドロッド25aと、当該ガイドロッド25aに沿って移動可能なガイドブロック25bとを備えている。本実施形態において、ガイドロッド25aは、スライド板23の上面に固定されている。また、本実施形態において、ガイドブロック25bは、部材貼付部8の下面に固定されている。本実施形態において、基台2は、2つのガイドブロック25bを備えている。2つのガイドブロック25bは、それぞれ、対応する部材貼付部8に固定されている。これによって、本実施形態において、2つの部材貼付部8は、1つのガイドロッド25a上を、それぞれ独立して、スライド板23に対して左右方向に移動させることができる。
【0034】
図4には、部材貼付装置1が上側から斜視的に示されている。
【0035】
本実施形態において、支持体3は、床面側に配置されるフレーム構造部31と、フレーム構造部31の上端に固定された上部フレーム32とを備えている。これによって、支持体3の軽量化が図れている。
【0036】
本実施形態において、フレーム構造部31は、支持体3の脚部に相当する。本実施形態において、フレーム構造部31は、床面に対して固定されている。ただし、フレーム構造部31は、床面に対して移動させるように構成することも可能である。また、本実施形態において、フレーム構造部31は、複数のフレームによって構成されている。
【0037】
上部フレーム32は、環状の枠フレームである。本実施形態において、上部フレーム32は、前後方向が左右方向よりも長い矩形形状を有している。本実施形態において、上部フレーム32は、前後方向に配置された2つの前後方向短手部32a(以下、単に「短手部32a」ともいう。)と、左右方向に配置された2つの左右方向長手部32b(以下、単に「長手部32b」ともいう。)とを一体的に備えている。これによって、上部フレーム32の外形形状は、矩形の枠形に形作られている。
【0038】
さらに、本実施形態において、上部フレーム32は、中間梁部32cを備えている。中間梁部32cは、2つの短手部32aの間に配置されている。中間梁部32cは、2つの長手部32bの間に掛け渡されるように、当該2つの長手部32bのそれぞれに接続されている。本実施形態において、中間梁部32cは、2つの短手部32aとの中間(中心)の位置に配置されている。
【0039】
加えて、本実施形態において、上部フレーム32は、前側中心梁部32dを備えている。前側中心梁部32dは、前側の短手部32aと中間梁部32cとの間に配置されている。前側中心梁部32dは、前側に配置された短手部32aと中間梁部32cとの間に掛け渡されるように、当該短手部32aと中間梁部32cとのそれぞれに接続されている。本実施形態において、前側中心梁部32dは、2つの長手部32bの中間(中心位置)に配置されている。
【0040】
また、本実施形態において、上部フレーム32の前側部分は、フレーム構造部31よりも前側に突出している。加えて、本実施形態において、上部フレーム32の中間梁部32cは、フレーム構造部31よりも前側に位置している。加えて、本実施形態において、上部フレーム32の前側部分は、筋交い33によってフレーム構造部31に連結されることによって補強されている。
【0041】
本実施形態において、昇降機構4は、ウォームギア機構である。本実施形態において、昇降機構4は、基台2に対して回転可能に取り付けられたウォーム(図示省略。)と、支持体3に回転可能に取り付けられたウォームホイール(図示省略。)とを備えている。
【0042】
本実施形態において、部材貼付装置1は、2つの昇降機構4を備えている。本実施形態において、昇降機構4は、前後方向の二か所の位置に配置されている。
【0043】
本実施形態において、昇降機構4は、基台2に対して回転可能に取り付けられた昇降用ガイドシャフト4aを備えている。本実施形態において、前記ウォームは、昇降用ガイドシャフト4aの外周面に設けられている。
【0044】
本実施形態において、2つの昇降用ガイドシャフト4aは、前後方向に間隔を空けて配置されている。本実施形態において、昇降用ガイドシャフト4aは、基台2の梁部22の上面から起立している。前側に配置された昇降用ガイドシャフト4aは、前側に配置された梁部22の上面から起立し、後側に配置された昇降用ガイドシャフト4aは、後側に配置された梁部22の上面から起立している。さらに、本実施形態において、昇降用ガイドシャフト4aの下端部は、基台2の梁部22に対して回転可能に保持されている。これによって、昇降用ガイドシャフト4aは、基台2の梁部22に対して保持された状態のまま、当該昇降用ガイドシャフト4aの軸線の周りを時計回り又は反時計回りに回転させることができる。
【0045】
加えて、本実施形態において、前側に配置された昇降用ガイドシャフト4aは、上部フレーム32の、前側に配置された短手部32aを上下方向に回転可能に貫通している。これによって、前側に配置された昇降用ガイドシャフト4aの上端部は、上部フレーム32の前側において、上方に向かって回転可能に突出している。また、本実施形態において、後側に配置された昇降用ガイドシャフト4aは、上部フレーム32の中間梁部32cを上下方向に回転可能に貫通している。これによって、後側に配置された昇降用ガイドシャフト4aの上端部は、上部フレーム32の後側において、上方に向かって回転可能に突出している。
【0046】
その一方で、本実施形態において、昇降機構4は、前後方向に延在する駆動シャフト4bを備えている。本実施形態において、駆動シャフト4bは、上部フレーム32の前側中心梁部32dに対して回転可能に保持されている。これによって、駆動シャフト4bは、支持体3の上部フレーム32に対して保持された状態のまま、当該駆動シャフト4bの軸線の周りを時計回り又は反時計回りに回転させることができる。
【0047】
本実施形態において、前記ウォームホイールは、駆動シャフト4bに対して回転不能に固定されている。これによって、前記ウォームホイールは、駆動シャフト4bとともに一体的に回転させることができる。本実施形態において、駆動シャフト4bには、2つのウォームホイールが前後方向に間隔を空けて配置されている。2つのウォームホイールはそれぞれ、前側に配置された昇降用ガイドシャフト4a又は後側に配置された昇降用ガイドシャフト4aに対応している。
【0048】
本実施形態において、前記ウォームホイールは、前記ウォームと噛み合っている。これによって、昇降用ガイドシャフト4aは、駆動シャフト4bの回転方向に応じて、上部フレーム32に対して昇降させることができる。つまり、本実施形態によれば、基台2は、駆動シャフト4bの回転方向に応じて支持体3に対して昇降させることができる。
【0049】
特に、本実施形態において、駆動シャフト4bには、2つのウォームホイールが設けられているため、前側に配置された昇降機構4の昇降運動と、後側に配置された昇降機構4の昇降運動とを同期させることができる。これによって、1つの駆動シャフト4bを回転させるだけで、基台2の前後側の二か所の位置を同一量だけ、基台2を支持体3に対して昇降させることができる。
【0050】
さらに、本実施形態において、昇降機構4は、駆動源7によって駆動させることができる。本実施形態において、駆動源7は、回転位置(回転量)、回転速度等を制御可能なサーボモータである。
【0051】
図5には、部材貼付装置1が上側から概略的に示されている。
【0052】
図5に示すように、本実施形態において、昇降機構4は、駆動源7とともに左右方向の中心位置に配置されている。上述のとおり、本実施形態において、上部フレーム32の前側中心梁部32dは、上部フレーム32の左右方向の中心位置に配置されている。本実施形態において、2つの昇降機構4は、駆動シャフト4bとともに、前側中心梁部32d上を一列に配置されている。加えて、駆動源7は、駆動シャフト4bに対して直線的に接続されている。これによって、本実施形態において、2つの昇降機構4は、駆動源7とともに上部フレーム32の左右方向の中心位置に配置されている。
【0053】
また、本実施形態において、駆動源7は、中間梁部32cに隣接する位置に配置されている。上述のとおり、本実施形態において、中間梁部32cは、上部フレーム32の前後方向の中心位置に配置されている。これによって、駆動源7は、上部フレーム32の中心(上部フレーム32の対角線の交点)に近い位置に配置されている。
【0054】
本実施形態において、伝達機構5は、ラックアンドピニオンギア機構である。本実施形態において、伝達機構5は、基台2に取り付けられたラックギア5aと、支持体3に回転可能に取り付けられたピニオンギア5bとを備えている。
【0055】
本実施形態において、部材貼付装置1は、左右方向に間隔を空けて2つの伝達機構5を備えている。
【0056】
本実施形態において、2つのラックギア5aは、基台2の左右方向に間隔を空けて配置されている。本実施形態において、ラックギア5aの歯は、前後方向を指向している。
図4を参照すれば、本実施形態において、ラックギア5aは、基台2の本体21の幅方向フレーム21bの上面から起立している。本実施形態において、ラックギア5aの下端部は、幅方向フレーム21bの上面に対して回転不能に固定されている。これによって、ラックギア5aは、基台2に対して固定された状態のまま、当該基台2と一体的に昇降させることができる。
【0057】
加えて、本実施形態において、ラックギア5aは、上部フレーム32を上下方向に貫通している。これによって、ラックギア5aの上端部は、上部フレーム32を通って上方に向かって突出している。ラックギア5aは、上部フレーム32に対して上下方向に移動させることができる。
【0058】
また、本実施形態において、2つのピニオンギア5bは、支持体3の上部フレーム32の左右方向に間隔を空けて配置されている。本実施形態において、ピニオンギア5bの歯は、前後方向を指向している。ピニオンギア5bは、上部フレーム32に対して回転可能に保持されている。本実施形態において、ピニオンギア5bは、左右方向軸線の周りを時計回り又は反時計回りに回転させることができる。これによって、ピニオンギア5bは、支持体3の上部フレーム32に対して保持された状態のまま、当該ピニオンギア5bの回転軸線の周りを時計回り又は反時計回りに回転させることができる。
【0059】
本実施形態において、左右方向に配置された2つのピニオンギア5bのうちの、右側に配置されたピニオンギア5bは、左右方向に配置された2つのラックギア5aのうちの右側に配置されたラックギア5aと噛み合っている、これによって、右側に配置されたラックギア5aの直線運動は、右側に配置されたピニオンギア5bの回転運動に変換される。したがって、右側に配置されたラックギア5aが上下方向に昇降すると、右側に配置されたピニオンギア5bは、右側に配置されたラックギア5aのピッチ分だけ回転する。
【0060】
また、本実施形態において、2つのピニオンギア5bのうちの、左側に配置されたピニオンギア5bは、2つのラックギア5aのうちの、左側に配置されたラックギア5aと噛み合っている。これによって、左側に配置されたラックギア5aの直線運動は、左側に配置されたピニオンギア5bの回転運動に変換される。したがって、左側に配置されたラックギア5aが上下方向に昇降すると、左側に配置されたピニオンギア5bは、左側に配置されたラックギア5aのピッチ分だけ回転する。
【0061】
2つの伝達機構5は、互いの回転運動を同期させるように連結されている。これによって、部材貼付装置1には、2つの伝達機構5を備える同期機構Sが構成されている。
【0062】
本実施形態において、同期機構Sは、さらにシャフト6を備えている。本実施形態において、2つの伝達機構5は、シャフト6によって連結されている。具体的には、左右方向に配置された2つのピニオンギア5bは、シャフト6によって一体的に結合されている。これによって、左右方向に配置された2つのピニオンギア5bは、シャフト6によって同期的に回転させることができる。加えて、本実施形態において、右側に配置された伝達機構5の噛み合いピッチと、左側に配置された伝達機構5の噛み合いピッチとは同一である。したがって、右側に配置されたラックギア5aが上下方向に昇降すると、左側に配置されたラックギア5aもまた、右側に配置されたラックギア5aと同量だけ昇降する。反対側の、左側に配置されたラックギア5aが上下方向に昇降しても、右側に配置されたラックギア5aは、左側に配置されたラックギア5aと同量だけ昇降する。これによって、基台2は、左右方向の高さ位置を同一に維持しながら、支持体3に対して昇降することができる。
【0063】
加えて、本実施形態において、同期機構Sは、前後方向の二か所の位置に配置されている。具体的には、左右方向に配置された2つの伝達機構5は、シャフト6とともに、前後方向の二か所の位置に配置されている。
【0064】
図6には、部材貼付装置1が側面から概略的に示されている。
【0065】
本実施形態において、2つのラックギア5aは、前後方向に間隔を空けて配置されている。前側に配置されたラックギア5aは、前側に配置された幅方向フレーム21bの上面から起立し、後側に配置されたラックギア5aは、後側に配置された幅方向フレーム21bの上面から起立している。
【0066】
加えて、
図4を参照すれば、本実施形態において、前側に配置されたラックギア5aは、上部フレーム32の、前側に配置された短手部32aを上下方向に貫通している。また、本実施形態において、後側に配置されたラックギア5aは、上部フレーム32の中間梁部32cを上下方向に貫通している。
【0067】
その一方で、本実施形態において、前側に配置された2つのピニオンギア5bは、上部フレーム32の、前側に配置された短手部32aに対して回転可能に保持されている。加えて、本実施形態において、後側に配置された2つのピニオンギア5bは、上部フレーム32の、中間に配置された中間梁部32cに対して回転可能に保持されている。
【0068】
加えて、本実施形態において、前側に配置された伝達機構5の噛み合いピッチと、後側に配置された伝達機構5の噛み合いピッチともまた、同一である。したがって、前側に配置されたラックギア5aが上下方向に昇降すると、後側に配置されたラックギア5aは、前側に配置されたラックギア5aと同量だけ昇降する。反対に、後側に配置されたラックギア5aが上下方向に昇降しても、前側に配置されたラックギア5aは、後側に配置されたラックギア5aと同量だけ昇降する。これによって、基台2は、さらに、前後方向の高さ位置を同一に維持しながら、支持体3に対して昇降することができる。
【0069】
例えば、
図4を参照すれば、部材貼付装置1は、基台2の右側の昇降運動を右側に配置された伝達機構5の噛み合いによって回転運動として伝達するとともに、当該基台2の左側の昇降運動を左側に配置された伝達機構5の噛み合いによって回転運動として伝達し、これらの回転運動(回転)をシャフト6によって同期させる。これによって、前記基台の左右方向における、上下方向の移動方向を一致させるとともにその移動量を同一にさせることができる。したがって、部材貼付装置1によれば、基台2を支持体3に対して昇降させたときの、当該基台2の右側の高さと当該基台2の左側の高さとは、常に一致することになる。これによって、基台2は、常に左右方向に対して水平を維持することができる。
【0070】
加えて、部材貼付装置1によれば、基台2は、少なくとも左右方向の二か所において、支持体3に対して伝達機構5の噛み合いによって取り付けられている。これによって、基台2は、ガタつきを抑えられた状態で、支持体3に対して強固に支持される。
【0071】
したがって、部材貼付装置1によれば、部材貼付部8を備える基台2の昇降を可能にしつつ、当該基台2に生じ得る、傾き及びガタつきが抑制される。このため、部材貼付装置1によれば、部材貼付部8の昇降を可能にしつつ、当該部材貼付部8に生じ得る、傾き及びガタつきが抑制される。これによって、部材貼付部8の傾き及びガタ付きに起因する、部材の張付き位置、部材のテンション(張力)等にバラツキが生じることを抑制することができる。したがって、部材貼付装置1によれば、部材貼付部8の昇降を可能にしつつ、部材の貼付け精度が改善される。
【0072】
また、部材貼付装置1によれば、基台2に生じ得る、傾き及びガタつきを抑制するために、特別な駆動源(動力源)を追加することが無く、基台2に生じ得る、傾き及びガタつきを抑制するにあたって、既存のギア機構を用いることができる。このため、部材貼付装置1によれば、当該部材貼付装置1の製造に要する製造コストを抑制することができる。加えて、部材貼付装置1によれば、支持体3をフレーム構造することによって、製造コストのさらなる抑制と軽量化とを図ることができる。さらに、部材貼付装置1によれば、部材貼付装置1を構成する部品点数を抑えることによって、部材貼付装置1全体の省スペース化を図ることができる。
【0073】
なお、部材貼付装置1は、伝達機構5を本体21の幅方向フレーム21bに配置することによって、当該伝達機構5を基台2の隅部に配置している。ただし、伝達機構5は、基台2(部材貼付部8を含む)の機能を損なわない範囲にあれば、基台2の任意の位置に配置することができる。
【0074】
また、本実施形態において、昇降機構4は、駆動源7とともに左右方向の中心位置に配置されている。この場合、基台2の左右方向のバランスをさらに安定させることができる。これによって、基台2に生じ得る傾きがさらに抑制される。したがって、本実施形態によれば、部材の貼付け精度がさらに改善される。
【0075】
また、本実施形態において、同期機構Sは、前後方向の二か所の位置に配置されている。この場合、基台2の昇降運動を前後方向で同期させることができるため、当該基台2の前後方向に生じ得る傾きが抑制される。本実施形態において、4つの伝達機構5は、基台2の四隅に配置されている。これによって、基台2は、常に前後方向に対して水平を維持することができる。加えて、この場合、基台2は、前後方向の二か所においても、支持体3に対して噛み合いによって取り付けられている。これによって、基台2は、ガタつきがより抑えられた状態で、支持体3に対してより強固に支持される。したがって、本実施形態によれば、部材貼付部8(基台2)に生じ得る、傾き及びガタつきがさらに抑制される。これによって、部材の張付き位置、部材のテンション(張力)等にバラツキが生じることがさらに抑制される。したがって、本実施形態によれば、部材の貼付け精度がさらに改善される。
【0076】
また、本実施形態において、伝達機構5は、基台2に取り付けられたラックギア5aと、支持体3に回転可能に取り付けられたピニオンギア5bとを備えている。この場合、簡易な構成によって昇降運動を回転運動に変換させることができる。
【0077】
さらに、本実施形態において、部材貼付部8は、左右方向の二か所の位置に配置されている。
【0078】
本実施形態のように、左右方向の二か所の位置に配置された2つの部材貼付部8は、基台2の左右方向のバランスに影響を与える。これに対し、本実施携帯のように、左右方向の昇降運動を同期させるようにすれば、基台2に生じ得る、傾き及びガタつきの抑制に有効である。これによって、部材の張付き位置、部材のテンション(張力)等にバラツキがさらに抑制される。したがって、本実施形態に係る部材貼付装置1によれば、部材の貼付け精度がさらに改善される。
【0079】
また、本実施形態において、昇降機構4は、前後方向の二か所の位置に配置されている。この場合、基台2を前後方向の二か所の位置で昇降させることができる。これによって、本実施形態によれば、基台2の前後方向に生じ得る傾きをより抑制することができる。
【0080】
さらに、本実施形態において、基台2は、支持体3の内側に配置されている。この場合、基台2が支持体3の内側に配置されることによって、部材貼付部8を保護することができる。なお、本実施形態において、基台2は、支持体3に取り付けられたピニオンギア5bに噛み合わされたラックギア5aによって、昇降機構4とともに、吊り下げられた状態に支持されている。部材貼付装置1全体の省スペース化を図ることができる。
【0081】
また、本実施形態において、昇降機構4は、基台2に取り付けられたウォームと、支持体3に回転可能に取り付けられたウォームホイールとを備えている。この場合、簡易な構成によって基台を昇降させることができる。
【0082】
上述のとおり、部材貼付部8を支持体3に対して昇降させることによって、部材を貼り付けることを含む、タイヤの製造方法は、部材貼付部8の左右方向両側で当該部材貼付部8の昇降運動を回転運動に変換し、部材貼付部8の左右方向両側の前記回転運動を同期させることによって、当該部材貼付部8の左右方向両側の前記昇降運動を同期させる。
【0083】
本実施形態では、基台2の左右方向両側で当該基台2の昇降運動を回転運動に変換し、基台2の左右方向両側の前記回転運動を同期させることによって、当該基台2の左右方向両側の前記昇降運動を同期させる。
【0084】
上記タイヤの製造方法によれば、部材貼付部8の昇降を可能にしつつ、当該部材貼付部8に生じ得る、傾き及びガタつきが抑制される。
【0085】
上述したところは、本発明の一実施形態について説明を行ったにすぎず、特許請求の範囲に従えば、様々な変更が可能となる。部材貼付部8の個数は、製造タイヤの内部構造に応じて適宜、変更させることができる。部材貼付部8は、少なくとも1つ以上であればよい。
【符号の説明】
【0086】
1:部材貼付装置, 2:基台, 21:本体,21a:長さ方向フレーム, 21b:幅方向フレーム, 22:梁部, 23:スライド板, 24:直動機構, 24a:ガイドレール, 24b:ガイドブロック, 25:直動機構, 25a:ガイドロッド, 25b:ガイドブロック, 3:支持台, 31:フレーム構造体, 32:上部フレーム, 32a:短手部(前後方向短手部), 32b:長手部(左右方向長手部),32c:中間梁部, 32d:前側中心梁部, 33:筋交い, 4:昇降機構, 4a:昇降用ガイドシャフト, 4b:駆動シャフト, 5:伝達機構(同期機構), 5a:ラックギア(同期機構), 5b:ピニオンギア(同期機構), 6:シャフト(同期機構), 7:駆動源, 8:部材貼付部, 9:部材導入部, S:同期機構