(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084590
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】タイヤの製造方法およびタイヤ製造装置
(51)【国際特許分類】
B29B 7/24 20060101AFI20240618BHJP
B29B 7/20 20060101ALI20240618BHJP
B29B 15/02 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
B29B7/24
B29B7/20
B29B15/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198937
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】横山 達哉
【テーマコード(参考)】
4F201
【Fターム(参考)】
4F201AA45
4F201AH20
4F201BA01
4F201BA09
4F201BC01
4F201BD08
4F201BK01
4F201BK14
4F201BK26
4F201BK54
4F201BN31
(57)【要約】
【課題】タイヤ用ゴム材料の混錬時間を短縮し、かつ、混錬前のタイヤ用ゴム材料を良好に搬送する。
【解決手段】タイヤの製造方法は、ブロック状のタイヤ用ゴム材料10を用意する準備工程と、タイヤ用ゴム材料10の表面に切り込み11を形成するカット工程と、切り込み11が形成されたタイヤ用ゴム材料10を混練する混錬工程と、を含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロック状のタイヤ用ゴム材料を用意する準備工程と、
前記タイヤ用ゴム材料の表面に切り込みを形成するカット工程と、
前記切り込みが形成されたタイヤ用ゴム材料を混練する混錬工程と、
を含む、タイヤの製造方法。
【請求項2】
前記カット工程は、前記タイヤ用ゴム材料の混錬量に応じて前記タイヤ用ゴム材料を分割する場合を含み、前記タイヤ用ゴム材料を分割するように切断可能な第1カッターと、切断方向に関して先端部が前記第1カッターよりも後退しているとともに前記第1カッターと同期して動く第2カッターとが使用され、前記タイヤ用ゴム材料を分割する場合、前記第1カッターによって前記タイヤ用ゴム材料を分割するのと同時に、前記第2カッターによって前記切り込みを形成する、
請求項1に記載のタイヤの製造方法。
【請求項3】
前記カット工程は、非切断部分を残すように前記第1カッターで前記タイヤ用ゴム材料を切り、前記第1カッターによっても前記切り込みの一部を形成する場合を含む、
請求項2に記載のタイヤの製造方法。
【請求項4】
前記第1カッターは、前記タイヤ用ゴム材料の幅方向に延びており、前記タイヤ用ゴム材料の幅よりも長く、
前記カット工程では、前記幅方向に直交する方向に関し、予め定められた距離ごとに前記第1カッターによって前記タイヤ用ゴム材料に切り込みを形成するか、または、前記タイヤ用ゴム材料を分割し、
前記第2カッターは、前記第1カッターに接続されるとともに前記幅方向に直交する方向に延びており、前記直交する方向の長さが前記予め定められた距離よりも長い、
請求項3に記載のタイヤの製造方法。
【請求項5】
前記第1カッターは、前記タイヤ用ゴム材料の幅方向に延びており、前記タイヤ用ゴム材料の幅よりも長く、
前記第2カッターは、前記幅方向に交差する方向に延びており、
前記カット工程は、前記タイヤ用ゴム材料が前記幅方向に動くことを規制する工程を含む、
請求項2に記載のタイヤの製造方法。
【請求項6】
ブロック状のタイヤ用ゴム材料を混錬する混錬装置と、
混錬前の前記タイヤ用ゴム材料の表面に切り込みを形成するカット装置と、
前記切り込みが形成された前記タイヤ用ゴム材料を前記混錬装置に搬送する搬送装置と、を備えた、
タイヤ製造装置。
【請求項7】
前記カット装置を制御する制御装置をさらに備え、
前記搬送装置は、前記カット装置を経由して前記混錬装置に前記タイヤ用ゴム材料を搬送するように構成され、
前記カット装置は、
前記搬送装置による前記タイヤ用ゴム材料の搬送方向に交差する交差方向に延び、前記交差方向の長さが前記タイヤ用ゴム材料よりも長い第1カッターと、
第2カッターと、
前記第1カッターおよび前記第2カッターを保持する保持部材と、
前記搬送装置上の前記タイヤ用ゴム材料に向かうように前記保持部材を移動させる駆動装置と、を備え、
前記第2カッターの先端部は、前記駆動装置による移動方向に関して前記第1カッターの先端部よりも後退しており、
前記制御装置は、前記第1カッターが前記タイヤ用ゴム材料を分割し、かつ、前記第2カッターが非切断部分を残して前記タイヤ用ゴム材料を切り前記切り込みを形成するような距離だけ、前記第1カッターおよび前記第2カッターを移動させる第1制御部を備えている、
請求項6に記載のタイヤ製造装置。
【請求項8】
前記制御装置は、非切断部分を残すような距離だけ前記第1カッターを移動させ、前記第1カッターによっても前記切り込みの一部を形成する第2制御部を備えている、
請求項7に記載のタイヤ製造装置。
【請求項9】
前記制御装置は、前記搬送装置を制御する第3制御部を備え、
前記第3制御部は、前記搬送方向の予め定められた距離ごとに前記タイヤ用ゴム材料の搬送を停止させるように構成され、
前記第1制御部または前記第2制御部は、前記タイヤ用ゴム材料の搬送が停止しているときに前記駆動装置を駆動し、前記搬送方向の前記予め定められた距離ごとに前記第1カッターによって前記タイヤ用ゴム材料を分割するか、または前記タイヤ用ゴム材料に切り込みを形成し、
前記第2カッターは、前記第1カッターに接続されるとともに前記搬送方向に延びており、前記搬送方向の長さが前記予め定められた距離よりも長い、
請求項8に記載のタイヤ製造装置。
【請求項10】
前記第2カッターは、前記搬送方向に延びており、
前記搬送装置は、前記搬送方向に直交する直交方向に前記タイヤ用ゴム材料が動くことを規制する規制部材を備えている、
請求項7に記載のタイヤ製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの製造方法、および、タイヤ製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、ブロック状のポリマー(天然ゴムや合成ゴム)を計量して、シリカ、カーボン、オイル等の配合剤ともにバンバリーミキサーで混錬し、タイヤ用ゴム材料を製作する方法が開示されている。特許文献1に記載の方法は、ポリマーの表面積を増やしシリカが速やかにポリマーに取り込まれるように、ブロック状のポリマーを細分化する工程を含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ブロック状のタイヤ用ゴム材料を細分化すれば、シリカの取り込みが促進されるばかりでなく、タイヤ用ゴム材料の混錬時間の短縮にも繋がる。しかし、混錬前のタイヤ用ゴム材料を細分化すると、例えば、細分化されたタイヤ用ゴム材料が散らばりやすくなる等、搬送上の問題が生じる場合がある。
【0005】
ここでは、タイヤ用ゴム材料の混錬時間を短縮でき、かつ、混錬前のタイヤ用ゴム材料を良好に搬送できるタイヤの製造方法を提案する。また、タイヤ用ゴム材料の混錬時間を短縮でき、かつ、混錬前のタイヤ用ゴム材料を良好に搬送できるタイヤ製造装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示するタイヤの製造方法は、ブロック状のタイヤ用ゴム材料を用意する準備工程と、前記タイヤ用ゴム材料の表面に切り込みを形成するカット工程と、前記切り込みが形成されたタイヤ用ゴム材料を混練する混錬工程と、を含む。
【0007】
また、ここに開示するタイヤ製造装置は、ブロック状のタイヤ用ゴム材料を混錬する混錬装置と、混錬前の前記タイヤ用ゴム材料の表面に切り込みを形成するカット装置と、前記切り込みが形成された前記タイヤ用ゴム材料を前記混錬装置に搬送する搬送装置と、を備える。
【0008】
上記タイヤの製造方法およびタイヤ製造装置によれば、混錬前のタイヤ用ゴム材料の表面に切り込みを形成することにより、タイヤ用ゴム材料を細分化することなく、混錬時間を短縮できる。そのため、上記タイヤの製造方法およびタイヤ製造装置によれば、タイヤ用ゴム材料の混錬時間を短縮でき、かつ、混錬前のタイヤ用ゴム材料を良好に搬送できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】タイヤの製造工程の一部を示す工程図である。
【
図5】カット装置の主要部の模式的な斜視図である。
【
図7】分割され、かつ、切り込みが形成されたポリマーブロックの模式的な斜視図である。
【
図8】カット装置の主要部の模式的な斜視図であって、ポリマーブロックを分割しない場合を示す図である。
【
図9】切り込みが形成され、分割はされなかったポリマーブロックの模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施形態に係るタイヤ製造装置およびタイヤの製造方法を図面に基づいて説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。各図面は模式的に描かれており、必ずしも実物を反映していない。各図面は、一例を示すのみであり、特に言及されない限りにおいて本発明を限定しない。また、同一の作用を奏する部材・部位には、適宜に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
図1は、一実施形態に係るタイヤ1の断面図である。
図1に示すように、タイヤ1は、自動車等のホイールに装着されたときに地面に接地するトレッド部2、タイヤ1の側面を構成するサイドウォール3、タイヤ1の骨格を形成するプライ4、およびホイールとの接続部であるビード5等を備えている。タイヤ1は、未加硫のトレッドゴム、サイドウォールゴム等のゴム材料でプライ4、ビード5等を巻き込んで成形したローカバー(生タイヤ)を加硫することにより製造される。
【0012】
図2は、タイヤ1の製造工程の一部を示す工程図である。
図2に示すように、タイヤ1の製造工程には、ブロック状のタイヤ用ゴム材料10(以下、ポリマーブロック10とも呼ぶ、
図3参照)の準備工程S11と、ポリマーブロック10の表面に切り込み11(
図7参照)を形成するカット工程S12と、ポリマーブロック10を添加材とともに混練する混錬工程S13と、押出成形工程S20と、切断工程S30と、プライ製作工程S40と、ビード製作工程S50と、成形工程S60と、加硫工程S70と、が含まれている。
【0013】
ポリマーブロック10は、例えば、天然ゴムや合成ゴムをブロック状に成形したものである。ポリマーブロック10の大きさは特に限定されないが、例えば、数10kgの重量を有している。添加材は、例えば、カーボン、シリカ、オイル等である。以下では適宜、準備工程S11、カット工程S12、および混錬工程S13を総称して広義の混錬工程S10とも呼ぶ。広義の混錬工程S10の詳細は後述する。
【0014】
押出成形工程S20では、押出成形装置のダイプレートから、混錬後のゴム材料(ベースゴム)が連続的に押し出される。押出成形工程S20で押出成形された帯状のベースゴムには、切断工程S30で切断されてトレッドゴムとなるゴム材料や、サイドウォールゴムとなるゴム材料等が含まれている。切断工程S30では、トレッドゴムおよびサイドウォールゴムを予め定められた長さに切断する。プライ製作工程S40では、テキスタイルコードにゴムフィルムをトッピングし、プライ4を形成する。ビード製作工程S50では、ビードワイヤにエイペックスゴムを貼付してビード5を形成する。
【0015】
成形工程S60では、プライ4とインナーとによってビード5を巻き上げ、さらに、これにサイドウォールゴムとトレッドゴムとを組み合わせて、ローカバーを成形する。加硫工程S70では、ローカバーを加硫してタイヤ1を加硫成形する。これにより、タイヤ1が完成する。
【0016】
[搬送混錬装置]
以下では、広義の混錬工程S10において使用される搬送混錬装置20の構成について説明する。
図3は、本実施形態に係る搬送混錬装置20の模式的な側面図である。
図4は、本実施形態に係る搬送混錬装置20の模式的な平面図である。本実施形態に係るタイヤ製造装置100は、搬送混錬装置20を備えている。
図3に示すように、搬送混錬装置20は、ポリマーブロック10を混錬するバンバリーミキサー50と、混錬前のポリマーブロック10の表面に切り込み11を形成するカット装置40と、切り込み11が形成されたポリマーブロック10をバンバリーミキサー50に搬送する搬送装置30と、制御装置60(
図6参照)と、を備えている。
【0017】
本実施形態では、搬送装置30は、カット装置40を経由してバンバリーミキサー50にポリマーブロック10を搬送するように構成されている。カット装置40は、搬送装置30により搬送されているポリマーブロック10に切り込み11を形成する。カット装置40は、必要に応じて、搬送装置30により搬送されているポリマーブロック10の切断も行う。ここでは、ポリマーブロック10を複数に分割するように切ることを「切断する」とも言う。また、非切断部分を残すことにより繋がった状態となるようにポリマーブロック10を切ることを「切り込み11を形成する」とも言う。切り込み11には、ポリマーブロック10の表面付近にだけ形成された浅い切り込みから、ポリマーブロック10を切断する寸前まで形成された深い切り込みまでが広く含まれ得る。
【0018】
図3に示すように、本実施形態では、搬送装置30は、ポリマーブロック10を載せて走行する上流側ベルト31および下流側ベルト32と、上流側ベルト31および下流側ベルト32をそれぞれ駆動する上流側駆動装置33および下流側駆動装置34と、を備えている。上流側ベルト31は、無端状に構成され、一対のプーリ35に巻き掛けられている。上流側駆動装置33は、一方のプーリ35を回転させることによって上流側ベルト31を走行させる。同様に、下流側ベルト32も無端状に構成され、一対のプーリ36に巻き掛けられている。下流側駆動装置34は、一方のプーリ36を回転させることによって下流側ベルト32を走行させる。ただし、搬送装置30は、走行するベルトによってポリマーブロック10を搬送するものには限定されない。搬送装置30は、例えば、ポリマーブロック10の搬送方向に回転する複数のローラによってポリマーブロック10を搬送してもよい。
【0019】
下流側ベルト32は、上流側ベルト31よりもポリマーブロック10の搬送方向の下流に配置されている。カット装置40は、上流側ベルト31と下流側ベルト32との中間部分、および、その上方に設けられている。上流側ベルト31は、カット装置40によって切り込み11が形成される前のポリマーブロック10をカット装置40に搬送する。下流側ベルト32は、カット装置40によって切り込み11が形成されたポリマーブロック10をバンバリーミキサー50に搬送する。
【0020】
以下、ポリマーブロック10の搬送方向下流側を搬送混錬装置20の前方、搬送方向上流側を搬送混錬装置20の後方と呼び、図面ではそれぞれ、符号FおよびRrで表す。また、前方側に向かって見た時の左方および右方をそれぞれ、搬送混錬装置20の左方および右方と呼び、符号LおよびRで表す。上方および下方は、それぞれ、符号UおよびDで表す。また、ポリマーブロック10の搬送方向に直交する方向のことを、以下では適宜、ポリマーブロック10の幅方向とも呼ぶ。ポリマーブロック10の幅方向は、ここでは、左右方向である。ただし、これらの方向は説明の都合上設定されたものに過ぎず、搬送混錬装置20の設置態様を限定しない。
【0021】
図4に示すように、搬送装置30は、幅方向にポリマーブロック10が動くことを規制する規制部材37と、規制部材37を動かすガイド駆動装置38と、を備えている。規制部材37は、ここでは、左右一対のガイドローラ群37Lおよび37Rを備えている。ガイド駆動装置38は、ポリマーブロック10がカット装置40の下方の所定位置に搬送されると、左側のガイドローラ群37Lおよび右側のガイドローラ群37Rを、それぞれ、ポリマーブロック10の幅方向内方に移動させる。左側のガイドローラ群37Lおよび右側のガイドローラ群37Rは、これによりポリマーブロック10を挟み込み、ポリマーブロック10の幅方向の動きを規制する。これにより、カット装置40に対するポリマーブロック10の幅方向の位置が決まるとともに固定される。
【0022】
図4に示すように、ガイドローラ群37Lおよび37Rの各ガイドローラは、上下方向に延びる回転軸37aを有し、回転軸37a周りに回転可能に構成されている。これにより、ポリマーブロック10を左側のガイドローラ群37Lと右側のガイドローラ群37Rとで挟み込んだ状態で、ポリマーブロック10を搬送することが可能となっている。
【0023】
図3に示すように、カット装置40は、ポリマーブロック10の幅方向に延びる第1カッター41(
図4も参照)と、ポリマーブロック10の幅方向に交差する方向に延びる第2カッター42と、第1カッター41および第2カッター42を保持する保持部材43と、搬送装置30上のポリマーブロック10に向かうように保持部材43を移動させるカッター駆動装置44と、ポリマーブロック10を切断後の第1カッター41を受ける受け部材45と、ポリマーブロック10を押さえる押さえ部材46と、押さえ部材46を移動させる押さえ駆動装置47と、を備えている。カッター駆動装置44は、保持部材43を移動させることにより、第1カッター41と第2カッター42とを同時に移動させる。ポリマーブロック10に切り込み11を形成するときの第1カッター41および第2カッター42の移動方向は、ここでは、上下方向である。保持部材43と、保持部材43に保持された第1カッター41および第2カッター42とは、上流側ベルト31と下流側ベルト32との中間部分の上方に設けられている。受け部材45および押さえ部材46は、上流側ベルト31と下流側ベルト32との中間部分に設けられている。
【0024】
図5は、カット装置40の主要部の模式的な斜視図である。ただし、
図5では、保持部材43は図示を省略している。
図5に示すように、第1カッター41は、ポリマーブロック10の幅方向の長さがポリマーブロック10よりも長く構成されている。これにより、第1カッター41によってポリマーブロック10を幅方向に切断すること、および、幅方向の全幅にわたる切り込み11を形成することが可能となっている。なお、第1カッター41は、ポリマーブロック10の搬送方向に交差する方向に延びていればよく、搬送方向に斜交していてもよい。
【0025】
本実施形態では、第2カッター42は、第1カッター41に接続されている。ここでは、第2カッター42は、第1カッター41の幅方向の中央部から前方に向かって延びている。ただし、第2カッター42は、第1カッター41の幅方向の中央部または他の箇所から後方に向かって延びていてもよい。第2カッター42は、ポリマーブロック10の幅方向に直交する方向、すなわち、搬送方向に延びている。第2カッター42は、好ましくは、ポリマーブロック10の幅方向に交差する方向に延びているとよい。ただし、第2カッター42は、第1カッター41と略平行に延びていてもよい。この場合、第2カッター42は、第1カッター41に接続されていなくてもよい。後述するが、搬送装置30はポリマーブロック10を予め定められた距離L1(
図5参照)ずつ間欠的に搬送するように構成されており、
図5に示すように、第2カッター42の搬送方向の長さは、この予め定められた距離L1よりも長い。
【0026】
図5に示すように、カッター駆動装置44による移動方向(ここでは上下方向)に関して、第2カッター42の先端部(ここでは下端42a)は、第1カッター41の先端部(ここでは下端41a)よりも後退している。つまり、第2カッター42の下端42aは、第1カッター41の下端41aよりも上方に位置している。第2カッター42は、第1カッター41が受け部材45に突き当たって止まった状態では、ポリマーブロック10の下面に到達しないように構成されている。
【0027】
本実施形態では、カッター駆動装置44は、保持部材43の上下方向の位置を制御可能に構成されている。カッター駆動装置44は、例えば、サーボモータとボールねじとを備えている。カッター駆動装置44は、ポリマーブロック10の下面に到達する前に第1カッター41を停止させることが可能なように構成されていると好ましいが、その構成は、上記したものには限定されない。カッター駆動装置44は、例えば、ポリマーブロック10の下面に到達しないように(言い換えると、ポリマーブロック10を切断しないように)第1カッター41を停止させる場合にのみ機能する可動式のストッパを備えていてもよい。
【0028】
押さえ部材46は、ポリマーブロック10を切断または切り込む際にポリマーブロック10が動かないように押さえるとともに、ポリマーブロック10を切断した場合に、離れたポリマーブロック10の一部が離散しないように押さえる部材である。
図5に示すように、押さえ部材46は、4つの押さえブロック46A、46B、46C、および46Dを備えている。押さえブロック46Aは、第1カッター41の前方かつ第2カッター42の左方に配置されている。押さえブロック46Bは、第1カッター41の前方かつ第2カッター42の右方に配置されている。押さえブロック46Cは、第1カッター41の後方かつ第2カッター42の左方に配置されている。押さえブロック46Dは、第1カッター41の後方かつ第2カッター42の右方に配置されている。押さえ駆動装置47は、4つの押さえブロック46A、46B、46C、および46Dを下方に移動させてポリマーブロック10に当接させることにより、ポリマーブロック10を押さえる。押さえ駆動装置47は、4つの押さえブロック46A、46B、46C、および46Dを上方に移動させることにより、ポリマーブロック10から離反させる。
【0029】
バンバリーミキサー50は、ポリマーブロック10を混錬する混錬装置の一例である。
図3に示すように、バンバリーミキサー50は、ここでは、チャンバ51と、一対の混錬ロータ52と、混錬ロータ52を回転させるロータ回転装置53と、ポリマーブロック10が供給されるホッパー54と、添加材が投入される投入口55と、添加材の量を計量する計量器56と、を備えている。カット装置40によって切り込み11が形成されたポリマーブロック10は、下流側ベルト32によってホッパー54に供給される。ホッパー54に供給されたポリマーブロック10は、添加材とともに、チャンバ51内で、一対の混錬ロータ52によって混錬される。
【0030】
図6は、搬送混錬装置20の制御ブロック図である。
図6に示すように、搬送混錬装置20は、搬送装置30、カット装置40、およびバンバリーミキサー50を制御する制御装置60を備えている。制御装置60は、搬送装置30の上流側駆動装置33、下流側駆動装置34、およびガイド駆動装置38と、カット装置40のカッター駆動装置44および押さえ駆動装置47と、バンバリーミキサー50のロータ回転装置53および計量器56と、に接続されている。制御装置60の構成は特に限定されない。制御装置60は、例えば、中央演算処理装置(以下、CPUという。)と、CPUが実行するプログラムなどが格納されたROMと、RAMなどを備えていてもよい。制御装置60の処理部は、ソフトウェアによって構成されていてもよいし、ハードウェアによって構成されていてもよい。制御装置60の処理部は、プロセッサであってもよいし、回路であってもよい。
【0031】
図6に示すように、制御装置60は、搬送装置30を制御する搬送制御部61と、カット装置40を制御するカット制御部62と、バンバリーミキサー50を制御する混錬制御部63と、を備えている。
【0032】
搬送制御部61は、搬送装置30を制御して、搬送方向の予め定められた距離L1(
図5参照)ずつポリマーブロック10を間欠的に搬送させるように構成されている。搬送制御部61は、搬送方向の上記予め定められた距離L1ごとにポリマーブロック10の搬送を停止させる。上記予め定められた距離L1は、ポリマーブロック10を搬送方向に概ねn等分(nは自然数)する距離に設定されている。nは特に限定されないが、例えば、「4」である。なお、距離L1は、ポリマーブロック10を搬送方向に等分するような距離でなくてもよい。搬送混錬装置20は、ポリマーブロック10の間欠的な搬送の起点となる位置にポリマーブロック10が到達したことを検知するセンサを備えていてもよい。搬送制御部61は、バンバリーミキサー50に予め定められた量のポリマーブロック10が供給されるまで、搬送装置30を間欠的に駆動する。
【0033】
前述したように、第2カッター42は、ポリマーブロック10の搬送方向に延びており、搬送方向の長さが上記予め定められた距離L1よりも長い。そのため、第2カッター42は、搬送方向全体にわたってポリマーブロック10に切り込み11を形成する。
【0034】
カット制御部62は、カット装置40を制御して、ポリマーブロック10に切り込み11を形成し、必要に応じて切断させる。
図6に示すように、カット制御部62は、第1制御部62Aと第2制御部62Bとを備えている。第1制御部62Aは、第1カッター41がポリマーブロック10を分割し、かつ、第2カッター42が非切断部分を残してポリマーブロック10を切り、切り込み11を形成するような距離だけ、第1カッター41および第2カッター42を移動させる。これにより、第1カッター41はポリマーブロック10を幅方向に切断し、第2カッター42は搬送方向に延びる切り込み11をポリマーブロック10に形成する(
図5および
図7参照)。ここでは、第1制御部62Aは、第1カッター41が受け部材45に突き当たるまで保持部材43を下方に移動させる。ただし、第1制御部62Aは、カッター駆動装置44を位置制御することにより、上記した第1カッター41および第2カッター42の動きを実現してもよい。このように、第1制御部62Aによるカッター駆動装置44の制御には、位置制御だけでなく、物理的なストッパによる位置決めを伴うタイミング制御も含まれ得る。
【0035】
第2制御部62Bは、非切断部分を残すような距離だけ第1カッター41を移動させ、第1カッター41によっても切り込み11の一部を形成する(
図8および
図9参照)。第2制御部62Bは、ここでは、カッター駆動装置44を位置制御し、ポリマーブロック10の下面よりも上方の所定位置まで第1カッター41を移動させる。ただし、第2制御部62Bは、例えば、可動式のストッパを突出させ、カッター駆動装置44または第1カッター41をストッパに突き当てることにより、第1カッター41を停止させてもよい。
【0036】
第1制御部62Aまたは第2制御部62Bは、ポリマーブロック10の搬送が停止しているときにカッター駆動装置44を駆動し、搬送方向の予め定められた距離L1ごとに第1カッター41によってポリマーブロック10を分割するか、またはポリマーブロック10に切り込み11を形成する。いずれの場合でも、第2カッター42は、ポリマーブロック10に切り込み11を形成する。第1カッター41によってポリマーブロック10を分割するかどうかは、ポリマーブロック10の混錬量に応じて決定される。例えば、1回の間欠搬送に対応するポリマーブロック10の重量が10kgであり、バンバリーミキサー50の1回の混錬量に対してこれまでのポリマーブロック10の投入量が20kg少ない場合、2回目の間欠搬送の後にポリマーブロック10は切断され、これにより20kgのポリマーブロック10が計量される。ポリマーブロック10全体をバンバリーミキサー50に投入する場合、ポリマーブロック10は切断されず、第1カッター41および第2カッター42により切り込み11の形成が行われる。ただし、搬送混錬装置20は、ポリマーブロック10の量を計量する計量装置、例えば、重量測定装置を備えていてもよい。
【0037】
混錬制御部63は、バンバリーミキサー50のロータ回転装置53を制御し、ポリマーブロック10および添加材が十分に練れるまで混錬ロータ52を回転させる。
【0038】
[広義の混錬工程]
以下では、広義の混錬工程S10について説明する。
図2に示すように、広義の混錬工程S10は、ポリマーブロック10を準備する準備工程S11と、ポリマーブロック10の表面に切り込み11を形成するカット工程S12と、切り込み11が形成されたポリマーブロック10を混錬する(狭義の)混錬工程S13と、を含んでいる。カット工程S12は、ポリマーブロック10の混錬量に応じて、ポリマーブロック10を分割する場合と、分割しない場合とを含んでいる。カット工程S12では、ポリマーブロック10の幅方向に直交する方向、ここでは搬送方向に関し、予め定められた距離L1ごとに、第1カッター41によってポリマーブロック10に切り込み11を形成するか、または、ポリマーブロック10を分割する。
【0039】
なお、本実施形態では、ポリマーブロック10がその幅方向に直交する方向に搬送されるが、カット装置40がポリマーブロック10の幅方向に直交する方向に移動されてもよい。または、ポリマーブロック10およびカット装置40の両方がポリマーブロック10の幅方向に直交する方向に移動されてもよい。
【0040】
カット工程S12では、ポリマーブロック10を分割するように切断可能な第1カッター41と、切断方向に関して先端部42aが第1カッター41の先端部41aよりも後退しているとともに第1カッター41と同期して動く第2カッター42とが使用される。ポリマーブロック10を分割する場合、
図5に示すように、第1カッター41によってポリマーブロック10を分割するのと同時に、第2カッター42によって切り込み11を形成する。
図7は、分割され、かつ、切り込み11が形成されたポリマーブロック10の模式的な斜視図である。
図7に示すように、これにより、必要量のポリマーブロック10が計量(
図7の例では、ポリマーブロック10の必要量は、長さL1相当分である)されるとともに、ポリマーブロック10に切り込み11が形成される。
【0041】
カット工程S12は、また、非切断部分を残すように第1カッター41でポリマーブロック10を切ることによって、第1カッター41によっても切り込み11の一部を形成する場合も含む。
図8は、カット装置40の主要部の模式的な斜視図であって、ポリマーブロック10を分割しない場合を示す図である。
図9は、切り込み11が形成され、分割はされなかったポリマーブロック10の模式的な斜視図である。
図8に示すように、この場合には、第1カッター41は、ポリマーブロック10の下面に到達する前に停止される。
図9に示すように、これにより、幅方向に延びる切り込み11が、第1カッター41によって、搬送方向の予め定められた距離L1ごとに形成される。また、搬送方向に延びる切り込み11が第2カッター42により連続的に形成される。
【0042】
カット工程S12は、ポリマーブロック10が幅方向に動くことを規制する工程を含む。このポリマーブロック10の移動規制は、搬送装置30の規制部材37(ガイドローラ群37L、37R)により行われる。これにより、ポリマーブロック10の幅方向の予め定められた位置に、第2カッター42による切り込み11が形成される。
【0043】
また、カット工程S12は、押さえ部材46によりポリマーブロック10を押さえる工程を含む。第1カッター41よりも搬送方向の前方に配置された押さえブロック46Aおよび46Bにより、ポリマーブロック10が切断された場合に、第1カッター41よりも前方のポリマーブロック10が飛散することが防止される。第1カッター41よりも搬送方向の後方に配置された押さえブロック46Cおよび46Dにより、ポリマーブロック10が切断された場合に、第1カッター41よりも後方のポリマーブロック10が飛散することが防止される。平面視において第1カッター41および第2カッター42によって仕切られた4つの領域にそれぞれ押さえブロック46A~46Dを配置することにより、各領域のポリマーブロック10が動きにくくなり、ポリマーブロック10の切断位置または切り込み11の形成位置がより正確なものとなる。
【0044】
教義の混錬工程S13では、切り込み11が形成されたポリマーブロック10がバンバリーミキサー50によって混錬される。切り込み11の切り残し部分(非切断部分)は、バンバリーミキサー50による剪断力により、比較的容易にちぎれる。よって、切り込み11を形成することにより、ポリマーブロック10を細分化するのに近い効果が得られる。ここでは、混錬に要する時間を短縮できる。また、添加材にシリカが含まれていれば、特許文献1の場合と同様に、シリカの発泡を抑制できる。かつ、本実施形態に係る方法によれば、ポリマーブロック10を細分化する場合と比べて、搬送中にポリマーブロック10が散らばり散逸するおそれが小さい。これにより、散逸によって必要量よりも少ない量のポリマーブロック10しかバンバリーミキサー50に供給されない不具合を抑制できる。または、本実施形態に係る方法によれば、ポリマーブロック10の散逸防止のための構成を搬送装置30に設ける必要がない。
【0045】
[実施形態の作用効果]
以下に、本実施形態に係るタイヤ製造装置100が奏することのできる作用効果について説明する。
【0046】
本実施形態に係るタイヤ製造装置100は、ブロック状のタイヤ用ゴム材料(ポリマーブロック10)を混錬するバンバリーミキサー50と、混錬前のポリマーブロック10の表面に切り込み11を形成するカット装置40と、切り込み11が形成されたポリマーブロック10をバンバリーミキサー50に搬送する搬送装置30と、を備えている。
【0047】
かかるタイヤ製造装置100によれば、混錬前のポリマーブロック10の表面に切り込み11を形成することにより、混錬時間を短縮できる。かつ、タイヤ製造装置100によれば、混錬前のポリマーブロック10を細分化しなくてもよいため、ポリマーブロック10が搬送によって散らばることを抑制し、ポリマーブロック10を良好に搬送することができる。
【0048】
本実施形態では、搬送装置30は、カット装置40を経由してバンバリーミキサー50にポリマーブロック10を搬送するように構成されている。カット装置40は、搬送装置30によるポリマーブロック10の搬送方向に交差する交差方向に延び、交差方向の長さがポリマーブロック10よりも長い第1カッター41と、第2カッター42と、第1カッター41および第2カッター42を保持する保持部材43と、搬送装置30上のポリマーブロック10に向かうように保持部材43を移動させるカッター駆動装置44と、を備えている。本実施形態では、「ポリマーブロック10の搬送方向に交差する交差方向」は、ポリマーブロック10の搬送方向に直交する幅方向(直交方向)であるが、交差方向は直交方向に限定されない。第2カッター42の先端部42aは、カッター駆動装置44による移動方向に関して第1カッター41の先端部41aよりも後退している。制御装置60は、第1カッター41がポリマーブロック10を分割し、かつ、第2カッター42が非切断部分を残してポリマーブロック10を切り、切り込み11を形成するような距離だけ、第1カッター41および第2カッター42を移動させる第1制御部62Aを備えている。
【0049】
かかるタイヤ製造装置100によれば、第2カッター42の先端部42aが第1カッター41の先端部41aよりも後退しているため、カッター駆動装置44による一度の保持部材43の移動によって、ポリマーブロック10の切断と切り込み11の形成とを同時に行うことができる。
【0050】
本実施形態では、制御装置60は、非切断部分を残すような距離だけ第1カッター41を移動させ、第1カッター41によっても切り込み11の一部を形成する第2制御部62Bを備えている。かかるタイヤ製造装置100によれば、ポリマーブロック10の切断を行わない場合には、第1カッター41によっても切り込み11を形成することができる。
【0051】
本実施形態では、制御装置60は、搬送装置30を制御する搬送制御部61を備えている。搬送制御部61は、搬送方向の予め定められた距離L1ごとにポリマーブロック10の搬送を停止させるように構成されている。第1制御部62Aまたは第2制御部62Bは、ポリマーブロック10の搬送が停止しているときにカッター駆動装置44を駆動し、搬送方向の予め定められた距離L1ごとに第1カッター41によってポリマーブロック10を分割するか、またはポリマーブロック10に切り込み11を形成する。第2カッター42は、第1カッター41に接続されるとともに搬送方向に延びており、搬送方向の長さが上記予め定められた距離L1よりも長い。
【0052】
かかるタイヤ製造装置100によれば、第1カッター41により、ポリマーブロック10に対して、搬送方向の予め定められた距離L1ごとに、幅方向に延びる切り込み11を形成することができる。かつ、第2カッター42により、ポリマーブロック10に対して、搬送方向の前端から後端に渡って延びる連続的な切り込み11を形成することができる(
図9を参照)。
【0053】
本実施形態では、搬送装置30は、ポリマーブロック10の幅方向(搬送方向に直交する方向)にポリマーブロック10が動くことを規制する規制部材37を備えている。かかるタイヤ製造装置100によれば、ポリマーブロック10の幅方向の予め定められた位置に、第2カッター42による切り込み11を形成することができる。
【0054】
[他の実施形態]
以上、いくつかの実施形態に係るタイヤ製造装置およびタイヤの製造方法について、種々説明した。しかし、本発明のタイヤ製造装置およびタイヤの製造方法は、特に言及されない限り、上述した実施形態に限定されない。例えば、第1カッターの移動と第2カッターの移動とは独立に制御されてもよい。その場合、第1カッターは、切り込みを形成するように、またはポリマーブロックを切断するように移動され、第2カッターは第1カッターとは独立に、ポリマーブロックに切り込みを形成するように移動されてもよい。その場合、カッター駆動装置は、第1カッターを移動させる駆動装置と、第2カッターを移動させる駆動装置とを備えていてもよい。
【0055】
第2カッターは第1カッターと斜交するように設けられていてもよく、第1カッターによる切り込みとともにジグザグに延びる切り込みを形成してもよい。
【0056】
カット装置は、第1カッターと交差する方向に、または第1カッターと略平行に延びる他のカッターを1つまたは複数備えていてもよい。または、カット装置は、ポリマーブロックの切断および切り込みが可能な1つのカッターのみを備えていてもよい。ポリマーブロックの切断が必要でなければ、カット装置は、切り込みの形成が可能な1つまたは複数のカッターを備えていてもよい。
【0057】
ポリマーブロックの幅方向の動きを規制する規制部材は、幅方向に移動してポリマーブロックを挟み込まなくてもよく、例えば、ポリマーブロックの幅と略同じ距離だけ離れて配置された一対の部材、例えば、一対の壁部であってもよい。
【0058】
混錬装置は、上記したようなバンバリーミキサー50には限定されない。タイヤ用ゴム材料を混錬する混錬装置は、例えば、1つのスクリューを回転させる混錬装置であってもよい。
【0059】
搬送装置は、切り込みが形成されたポリマーブロックを混錬装置に搬送するものであれば、上記したものに限定されない。搬送装置は、例えば、切り込みを形成した後のポリマーブロックが投入され、ポリマーブロックを混錬装置に運ぶだけの装置であってもよい。また、搬送装置は、上記した実施形態と同様に、カット装置を経由して混錬装置にポリマーブロックを搬送するように構成されていてもよいが、搬送路は連続していなくてもよく、途中で搬送方向が変わってもよい。例えば、搬送装置は、カット装置を経由してポリマーブロックを搬送する上流部分と、切り込みが形成されたポリマーブロックを上流部分から受け取って混錬装置に搬送する下流部分と、を備えていてもよい。上流部分の搬送方向と下流部分の搬送方向とは異なっていてもよい。
【0060】
ポリマーブロックを用意する準備工程、ポリマーブロックの表面に切り込みを形成するカット工程、および、切り込みが形成されたポリマーブロックを混練する混錬工程のうちの一部または全部は、自動化された装置ではなく、人手によって行われてもよい。カット工程は、ポリマーブロックの搬送中に行う必要はなく、ポリマーブロックの搬送とは別に行われてもよい。
【0061】
種々言及した実施形態や変形例の各構成は、互いに阻害しない関係であれば、適宜に組み合わせることができる。本明細書は以下の発明を含んでおり、以下の発明は、上記した実施形態には限定されない。
【0062】
本発明(1)は、ブロック状のタイヤ用ゴム材料を用意する準備工程と、タイヤ用ゴム材料の表面に切り込みを形成するカット工程と、切り込みが形成されたタイヤ用ゴム材料を混練する混錬工程と、を含むタイヤの製造方法である。
【0063】
本発明(2)は、本発明(1)に記載のタイヤの製造方法であり、カット工程は、タイヤ用ゴム材料の混錬量に応じてタイヤ用ゴム材料を分割する場合を含む。本発明(2)のタイヤの製造方法では、タイヤ用ゴム材料を分割するように切断可能な第1カッターと、切断方向に関して先端部が第1カッターよりも後退しているとともに第1カッターと同期して動く第2カッターとが使用され、タイヤ用ゴム材料を分割する場合、第1カッターによってタイヤ用ゴム材料を分割するのと同時に、第2カッターによって切り込みを形成する。
【0064】
本発明(3)は、本発明(2)に記載のタイヤの製造方法であり、カット工程は、非切断部分を残すように第1カッターでタイヤ用ゴム材料を切り、第1カッターによっても切り込みの一部を形成する場合を含む。
【0065】
本発明(4)は、本発明(3)に記載のタイヤの製造方法であり、第1カッターは、タイヤ用ゴム材料の幅方向に延びており、タイヤ用ゴム材料の幅よりも長い。カット工程では、幅方向に直交する方向に関し、予め定められた距離ごとに第1カッターによってタイヤ用ゴム材料に切り込みを形成するか、または、タイヤ用ゴム材料を分割する。第2カッターは、第1カッターに接続されるとともに幅方向に直交する方向に延びており、前記直交する方向の長さが予め定められた距離よりも長い。
【0066】
本発明(5)は、本発明(2)~(4)のいずれか一つに記載のタイヤの製造方法であり、第1カッターは、タイヤ用ゴム材料の幅方向に延びており、タイヤ用ゴム材料の幅よりも長い。第2カッターは、幅方向に交差する方向に延びている。カット工程は、タイヤ用ゴム材料が幅方向に動くことを規制する工程を含む。
【0067】
本発明(6)は、ブロック状のタイヤ用ゴム材料を混錬する混錬装置と、混錬前のタイヤ用ゴム材料の表面に切り込みを形成するカット装置と、切り込みが形成されたタイヤ用ゴム材料を混錬装置に搬送する搬送装置と、を備えたタイヤ製造装置である。
【0068】
本発明(7)は、本発明(6)に記載のタイヤ製造装置であり、カット装置を制御する制御装置をさらに備えている。搬送装置は、カット装置を経由して混錬装置にタイヤ用ゴム材料を搬送するように構成されている。カット装置は、搬送装置によるタイヤ用ゴム材料の搬送方向に交差する交差方向に延び、交差方向の長さがタイヤ用ゴム材料よりも長い第1カッターと、第2カッターと、第1カッターおよび第2カッターを保持する保持部材と、搬送装置上のタイヤ用ゴム材料に向かうように保持部材を移動させる駆動装置と、を備えている。第2カッターの先端部は、駆動装置による移動方向に関して第1カッターの先端部よりも後退している。制御装置は、第1カッターがタイヤ用ゴム材料を分割し、かつ、第2カッターが非切断部分を残してタイヤ用ゴム材料を切り、切り込みを形成するような距離だけ、第1カッターおよび第2カッターを移動させる第1制御部を備えている。
【0069】
本発明(8)は、本発明(7)に記載のタイヤ製造装置であり、制御装置は、非切断部分を残すような距離だけ第1カッターを移動させ、第1カッターによっても切り込みの一部を形成する第2制御部を備えている。
【0070】
本発明(9)は、本発明(8)に記載のタイヤ製造装置であり、制御装置は、搬送装置を制御する第3制御部を備えている。第3制御部は、搬送方向の予め定められた距離ごとにタイヤ用ゴム材料の搬送を停止させるように構成されている。第1制御部または第2制御部は、タイヤ用ゴム材料の搬送が停止しているときに駆動装置を駆動し、搬送方向の前記予め定められた距離ごとに第1カッターによってタイヤ用ゴム材料を分割するか、またはタイヤ用ゴム材料に切り込みを形成する。第2カッターは、第1カッターに接続されるとともに搬送方向に延びており、搬送方向の長さが前記予め定められた距離よりも長い。
【0071】
本発明(10)は、本発明(7)~(9)のいずれか一つに記載のタイヤ製造装置であり、第2カッターは、搬送方向に延びている。搬送装置は、搬送方向に直交する直交方向にタイヤ用ゴム材料が動くことを規制する規制部材を備えている。
【符号の説明】
【0072】
10 ポリマーブロック(タイヤ用ゴム材料)
30 搬送装置
37 規制部材
40 カット装置
41 第1カッター
42 第2カッター
43 保持部材
44 カッター駆動装置(駆動装置)
50 バンバリーミキサー(混錬装置)
60 制御装置
61 搬送制御部(第3制御部)
62 カット制御部
62A 第1制御部
62B 第2制御部
100 タイヤ製造装置
S11 準備工程
S12 カット工程
S13 混錬工程