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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084595
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】ロボットアーム、ハグロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 11/00 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
B25J11/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198946
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 信吾
(72)【発明者】
【氏名】安井 仁
(72)【発明者】
【氏名】糸井 大太
(72)【発明者】
【氏名】藤田 俊吾
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS35
3C707BS20
3C707BS27
3C707CV08
3C707HS21
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で人をハグするロボットアーム及びハグロボットを提供する。
【解決手段】ロボットアーム50Aは、上腕一端部20Aが基部に回動可能に支持され、内圧上昇に応じて軸方向S1に短縮すると共に、前記短縮に伴って水平方向と軸方向S1とのなす角度αが小さくなるように上腕他端部20Bが移動する筒状の上腕アクチュエータ20と、先端が自由端とされ、上腕他端部20Bの動きに連動して軸方向S2の向きが水平方向に近づくように変化すると共に、内圧上昇に応じて周方向の一部が軸方向に短縮して湾曲する筒状の前腕アクチュエータ40と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上腕一端部が基部に回動可能に支持され、内圧上昇に応じて軸方向に短縮すると共に、前記短縮に伴って水平方向と前記軸方向とのなす角度が小さくなるように上腕他端部が移動する筒状の上腕アクチュエータと、
先端が自由端とされ、前記上腕他端部の動きに連動して軸方向の向きが水平方向に近づくように変化すると共に、内圧上昇に応じて周方向の一部が軸方向に短縮して湾曲する筒状の前腕アクチュエータと、
を備えた、ロボットアーム。
【請求項2】
前記基部にフレーム一端部が回動可能に支持され、前記フレーム一端部よりも先端側に前記上腕他端部との連結部が設けられたフレーム部材を有する、
請求項1に記載のロボットアーム。
【請求項3】
前記前腕アクチュエータの基端部は、前記フレーム部材に取り付けられている、
請求項2に記載のロボットアーム。
【請求項4】
前記前腕アクチュエータの基端部は、前記上腕アクチュエータの軸方向中央部よりも基部側に取り付けられている、
請求項3に記載のロボットアーム。
【請求項5】
互いに向き合う方向に前記前腕アクチュエータが湾曲する、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のロボットアームを一対備えた、ハグロボット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットアーム、及び、ハグロボット、に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロボットの腕として、種々の技術が提案されている。特許文献1には、肩関節、肘関節を回動可能にリンク機構で構成し、モータで関節を回転させてフレーム同士を相対移動させることにより腕を動作させる構成が開示されている。
【0003】
ところで、ロボットアームで人をハグする(抱きしめる)場合には、モータで関節を回転させるだけでは、体全体をホールドするようなハグの形態を実現することが難しいと共に、力の調整も困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-167382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、上記事実に鑑みて、簡易な構成で人をハグするロボットアーム及びハグロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、第1の態様のロボットアームは、上腕一端部が基部に回動可能に支持され、内圧上昇に応じて軸方向に短縮すると共に、前記短縮に伴って水平方向と前記軸方向とのなす角度が小さくなるように上腕他端部が移動する筒状の上腕アクチュエータと、先端が自由端とされ、前記上腕他端部の動きに連動して軸方向の向きが水平方向に近づくように変化すると共に、内圧上昇に応じて周方向の一部が軸方向に短縮して湾曲する筒状の前腕アクチュエータと、を備えている。
【0007】
第1の態様のロボットアームは、上腕アクチュエータと、前腕アクチュエータと、を備えている。上腕アクチュエータは、筒状とされており、内圧上昇に応じて軸方向に短縮し、短縮に伴って水平方向と前記軸方向とのなす角度が小さくなるように上腕他端部が移動する。前腕アクチュエータは、筒状とされており、内圧上昇に応じて周方向の一部が軸方向に短縮して湾曲する。また、前腕アクチュエータは、先端が自由端とされ、上腕他端部の動きに連動して軸方向の向きが水平方向に近づくように変化する。
【0008】
人をハグする時には、上腕アクチュエータを短縮させて上腕他端部を移動させ、上腕アクチュエータの軸方向を水平方向に近くなるように配置する。これに伴い、前腕アクチュエータも軸方向が水平方向に近づくように配置される。この状態で前腕アクチュエータの内圧を上昇させて湾曲させることにより、湾曲内側にて人をハグすることができる。内圧に応じて容易に湾曲度合いを調整することにより、簡易な構成で容易に体型に合わせたハグを行うことができる。
【0009】
第2の態様のロボットアームは、前記基部にフレーム一端部が回動可能に支持され、前記フレーム一端部よりも先端側に前記上腕他端部との連結部が設けられたフレーム部材を有する。
【0010】
第2の態様のロボットアームでは、上腕アクチュエータの短縮により上腕他端部の移動に応じてフレーム部材を回動させ、上腕アクチュエータ及びフレーム部材を水平方向に近づくように移動させることができる。
【0011】
第3の態様のロボットアームは、前記前腕アクチュエータの基端部は、前記フレーム部材に取り付けられている。
【0012】
第3の態様のロボットアームによれば、フレーム部材を用いて、前腕アクチュエータを容易に取り付けることができる。
【0013】
第4の態様のロボットアームは、前記前腕アクチュエータの基端部は、前記上腕アクチュエータの軸方向中央部よりも基部側に取り付けられている。
【0014】
第4の態様のロボットアームによれば、上腕アクチュエータの軸方向中央部よりも基部側から前腕アクチュエータの湾曲部分が形成されるので、ハグされる対象との密着感を向上させることができる。
【0015】
第5の態様のハグロボットは、互いに向き合う方向に前記前腕アクチュエータが湾曲する、第1の態様~第4の態様のいずれか1項に記載のロボットアームを一対備えている。
【0016】
第5の態様のハグロボットによれば、簡易な構成で容易に体型に合わせたハグを行うことができるロボットアームを一対用いて、対象となる人を両側からハグすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、簡易な構成で人をハグするロボットアーム及びハグロボットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態に係るハグロボットの全体斜視図である。
図2】上腕アクチュエータの側面図である。
図3】上腕アクチュエータの断面図である。
図4】前腕アクチュエータの断面図である。
図5】第1実施形態のロボットアームが体側位置に配置されている状態を示す側面図である。
図6】第1実施形態のロボットアームがハグ位置に配置されている状態を示す側面図である。
図7】第1実施形態に係るハグロボットの全体斜視図であって、ロボットアームがハグ位置に配置されている状態を示す。
図8】第1実施形態に係るハグロボットの上面図であって、ロボットアームのハグの状態を示す。
図9】第1実施形態に係るハグロボットの斜視図であって、ロボットアームのハグの状態を示す。
図10】第2実施形態に係るハグロボットの全体斜視図である。
図11】第2実施形態のロボットアームが体側位置に配置されている状態を示す側面図である。
図12】第2実施形態のロボットアームがハグ位置に配置されている状態を示す側面図である。
図13】第2実施形態に係るハグロボットの全体斜視図であって、ロボットアームがハグ位置に配置されている状態を示す。
図14】第2実施形態に係るハグロボットの上面図であって、ロボットアームのハグの状態を示す。
図15】第2実施形態に係るハグロボットの斜視図であって、ロボットアームのハグの状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本開示の技術を実現する実施形態を詳細に説明する。
【0020】
なお、作用、機能が同じ働きを担う構成要素及び処理には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明を適宜省略する場合がある。また、本開示は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
【0021】
<第1実施形態>
【0022】
図1は、本開示の第1実施形態に係るハグロボット10Aの全体斜視図である。ハグロボット10Aは、台座部12、本体部14、肩部16、頭部18、及び、一対のロボットアーム50Aを備えている。台座部12には、タイヤ12Aが取り付けられている。本体部14は、台座部12から上方に立設されている。頭部18は、本体部14の上端に設けられている。
【0023】
肩部16は、長尺部材で形成され、中央が本体部14の上部で頭部18よりも下側に、本体部14と直交するように、取り付けられている。肩部16の両端部には、ヒンジ部54を介して一対のロボットアーム50Aが取り付けられている。ロボットアーム50Aは、上腕アクチュエータ20、前腕アクチュエータ40、及び、フレーム部材60を備えている。
【0024】
なお、本実施形態では、ハグロボット10Aの本体部14の延在方向を上下方向と称し矢印Zで図示する。また、肩部16の延在方向を左右方向と称し、矢印Yで図示する。そして、上下方向及び左右方向と直交する方向を前後方向と称し矢印Xで図示する。ハグロボット10Aを設置した状態では、矢印Yは鉛直方向に沿っており、矢印Xは水平方向に沿っている。
【0025】
<上腕アクチュエータ>
【0026】
上腕アクチュエータ20は、所謂マッキベン型の流体圧アクチュエータであり、図2に示すように、アクチュエータ本体部22、第一封止部材30A、第二封止部材30Bを備えている。
【0027】
アクチュエータ本体部22は、チューブ24、及びスリーブ26を有している。チューブ24は、弾性変形による伸縮可能な円筒状であり、内部の流体の圧力変化によって膨張及び収縮する。チューブ24の軸方向を以後「軸方向S1」とする。チューブ24は、ブチルゴムなどの弾性材料によって構成することができる。チューブ24へ供給する流体としては、空気を用いることができ、この場合には、上腕アクチュエータ20は空気式アクチュエータとなる。選択される少なくとも一種とすることが好ましい。
【0028】
スリーブ26は、チューブ24の外周を覆う円筒状とされている。スリーブ26は、所定方向に配向された繊維コードを編み込んだ伸縮性を有する構造体であり、配向されたコードが軸方向S1に対して所定の角度θで交差されている。スリーブ26は、このような形状を有することによって、角度θを変えるパンタグラフ変形し、チューブ24の収縮及び膨張を規制しつつこの収縮及び膨張に追従する。
【0029】
スリーブ26を構成するコードとしては、芳香族ポリアミド(アラミド繊維)やポリエチレンテレフタラート(PET)の繊維コードを用いることが好ましい。但し、このような種類の繊維コードに限定されるものではなく、例えば、PBO繊維(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール)などの他の高強度繊維のコードでもよい。
【0030】
図3に示されるように、第一封止部材30Aは、封止コネクタ32、係止リング34、及び圧着部材36を有している。
【0031】
封止コネクタ32は、一体成形された蓋部32A及び挿入部32Bを有している。蓋部32Aは、チューブ24の外径よりも大径とされた六角柱状とされ、蓋部32Aの一端側の中央から、挿入部32Bが軸方向S1に延出形成されている。挿入部32Bは、所謂タケノコ形状とされ、スリーブ26の内側のチューブ24の一端側に挿入される。蓋部32Aの挿入部32Bと反対側には、取付部33が形成されている。取付部33には、軸方向S1と直交する方向に開口する取付孔33Aが形成されている。封止部材30としては、ステンレス鋼などの金属を好適に用い得るが、このような金属に限定されず、硬質プラスチック材料などを用いてもよい。
【0032】
図3に示されるように、封止コネクタ32は、流路Rを有している。流路Rは、挿入部32Bの径方向中央部に軸方向S1に沿って延出形成されると共に、蓋部32Aの側面の接続孔Hと連通されている。接続孔Hには、空気供給ホース(不図示)が接続され、圧縮空気が供給される。
【0033】
係止リング34は、リング状とされ、挿入部32Bとの間にスリーブ26を挟み込むように、スリーブ26の外側に配置され、スリーブ26を封止コネクタ32に係止する。スリーブ26は、係止リング34を介して外周へ折り返される。係止リング34としては、金属、硬質プラスチックや、繊維、ゴムなどの材料を用いることができる。
【0034】
圧着部材36は、アクチュエータ本体部22の外周で挿入部32Bが挿入された部分を覆うように配置され、アクチュエータ本体部22を封止コネクタ32にかしめる。これにより、アクチュエータ本体部22は、封止コネクタ32に固定される。圧着部材36としては、アルミニウム合金、真鍮、及び鉄などの金属を用いることができる。
【0035】
第二封止部材30Bは、第一封止部材30Aと比べて、封止コネクタ32に流路R及び取付部33を有していないことを除いて、第一封止部材30Aと同一形状とされており、挿入部32Bが、スリーブ26の内側のチューブ24の他端側に挿入される。
【0036】
上腕アクチュエータ20単体の動作としては、空気供給ホースを介して接続孔Hから圧縮空気を流入させると、アクチュエータ本体部22内の圧力が上昇する。内圧上昇により、チューブ24が弾性変形して膨張し、スリーブ26は角度θが大きくなるようにパンタグラフ変形し、アクチュエータ本体部22の長さL0が収縮する方向に力が作用する。これによりアクチュエータ本体部22が収縮するため、図3における二点鎖線で示されるように、アクチュエータ本体部22の全体が長さL1となるように収縮する。
【0037】
なお、上腕アクチュエータ20は、アクチュエータ本体部22内の空気圧を調整されることにより、収縮変形する量を適宜調整することが可能とされている。言い換えれば、上腕アクチュエータ20におけるアクチュエータ本体部22の全体の長さは、L0からL1までの間で可変とされている。上腕アクチュエータ20は、圧縮空気が供給されておらず、長さL0で非収縮の状態の時に、軸S1がZ方向に沿うように、本体部14に沿った体側位置P1に配置される(図1参照)。また、上腕アクチュエータ20は、圧縮空気が供給されて短縮し長さL1の時に、軸S1がX方向に近づきX方向との角度がα0となるハグ位置P2に配置される(図7参照)。左右方向(Y方向)から見たときの軸S1とX方向のなす角度αは、アクチュエータ本体部22の長さに応じて可変とされている。
【0038】
<前腕アクチュエータ>
【0039】
前腕アクチュエータ40は、図4に示されるように、アクチュエータ本体部22、第一封止部材30A、第二封止部材30Bを備えている、所謂マッキベン型の流体圧アクチュエータである。また、図4にも示されるように、前腕アクチュエータ40のアクチュエータ本体部22は、チューブ24、スリーブ26、及び拘束部材28を有している。すなわち、前腕アクチュエータ40は、上腕アクチュエータ20に拘束部材28をさらに備えたものといえる。
【0040】
拘束部材28は、チューブ24とスリーブ26との間に設けられている。拘束部材28は、長尺板状とされ、長手方向がチューブ24の軸方向S2に沿った方向に配置され、チューブ24の外周の一部を覆い、チューブ24の一端から他端に渡って配置されている。
【0041】
拘束部材28は、加圧により膨張/収縮のない材料で形成されており、端部同士が近づく方向に撓み変形可能とされている。拘束部材28としては、いわゆる、板バネ(leaf spring)を用いることができる。板バネの寸法は、前腕アクチュエータ40のサイズや要求される把持力などに応じて決定される。また、板バネの材料についても特に限定されないが、典型的には、ステンレス鋼などの金属など、撓み変形し易く、圧縮に強い材料であればよい。他に、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の薄板などによって形成されてもよい。
【0042】
なお、前腕アクチュエータ40の第一封止部材30Aは、一端側(図4における図面上側)に取付部43を有している。取付部43には、Y方向(図4における図面左右方向)に貫通する取付穴43Aが開けられている。
【0043】
前腕アクチュエータ40におけるその他の構成及び形状は、上述の上腕アクチュエータ20と同様である。
【0044】
前腕アクチュエータ40では、空気供給ホースを介して接続孔Hから圧縮空気を流入させると、アクチュエータ本体内の圧力が上昇する。内圧上昇により、チューブ24が弾性変形して膨張し、スリーブ26は角度θが大きくなるようにパンタグラフ変形し、アクチュエータ本体部22の長さL2が収縮する方向に力が作用する。このとき、前腕アクチュエータ40では、アクチュエータ本体部22の拘束部材28が配置された外周側壁は収縮が規制されているため、アクチュエータ本体部22は、Z方向からみて拘束部材28が配置されていないX方向の一方側(図4における左側)の筒側壁が収縮する。これにより、拘束部材28が撓み変形し、図4における二点鎖線で示されるように、アクチュエータ本体部22の全体が湾曲する。
【0045】
なお、前腕アクチュエータ40は、アクチュエータの本体内の空気圧を調整されることにより、湾曲変形する量を適宜調整することが可能とされている。
【0046】
図5に示されるように、肩部16両端部には、ヒンジ部54が各々固定されている。ヒンジ部54には、上腕アクチュエータ20の一端部(上腕一端部20A)を構成する第一封止部材30Aが取付孔33Aに挿通されたピン33B周りに、肩部16の延在方向を回転軸として回動可能に支持されている。
【0047】
フレーム部材60は長尺とされ、一端部(フレーム一端部60A)がヒンジ部54に上腕アクチュエータ20と同方向に回動可能に支持されている。フレーム部材60は、剛性のある金属や樹脂で構成することができる。上腕一端部20Aとフレーム一端部60Aは、距離C1だけ離隔配置されている。
【0048】
フレーム部材60の先端側(フレーム一端部60Aと反対側)には、L字状の先端部62が一体的に形成されている。先端部62には、上腕アクチュエータ20の他端部(上腕他端部20B)が回動可能に連結されている。
【0049】
先端部62には、前腕アクチュエータ40の第一封止部材30A(基端部40A)が取付部43を介して固定されている。前腕アクチュエータ40は、軸方向S2がフレーム一端部60Aの長尺方向に沿った方向となるように取り付けられている。前腕アクチュエータ40の基端部40Aと反対側の端部(先端)は、自由端とされている。前腕アクチュエータ40の先端には、先端ボール40Bが取り付けられている。先端ボール40Bは、弾力性のあるクッションボールで形成することができる。前腕アクチュエータ40は、拘束部材28が左右方向の外側(本体部14から遠い側)に配置されるように、フレーム部材60の先端部62に固定されている。
【0050】
次に、本実施形態のハグロボット10Aの動作について説明する。
【0051】
圧縮空気が供給されていない状態では、上腕アクチュエータ20は、軸S1がZ方向に沿うように、本体部14に沿った体側位置P1に配置されている(図1及び図5参照)。上腕アクチュエータ20に圧縮空気が供給されると、アクチュエータ本体部22の長さは、L0から短縮される。このとき、フレーム部材60の長さは維持されるため、図6に示すように、上腕アクチュエータ20は、軸S1がX方向に近づくようにヒンジ部54に取り付けられたピン33Bを中心に回動する。そして、ハグ対象に応じた角度αとなる位置で圧縮空気の供給を停止する。このとき、フレーム部材60は、上腕アクチュエータ20と共にヒンジ部54への取り付け位置を中心として同方向に回動する。また、前腕アクチュエータ40は、基端部40Aがフレーム部材60の先端部62に支持されているため、フレーム部材60と共に持ち上がる(図7参照)。
【0052】
このように、ロボットアーム50Aは、上腕アクチュエータ20を短縮させることにより前方に持ち上がる。図7では、上腕アクチュエータ20のアクチュエータ本体部22の長さがL1となり、ロボットアーム50Aがハグ位置P2に配置された状態が示されている。
【0053】
この状態から、前腕アクチュエータ40に圧縮空気が供給されると、アクチュエータ本体部22は湾曲し、図8及び図9に示すように、先端ボール40B同士が近づく。これにより、一対の上腕アクチュエータ20及び前腕アクチュエータ40の間で、人をハグすることができる。
【0054】
本実施形態では、上腕アクチュエータ20に内圧に応じて短縮するアクチュエータを用い、前腕アクチュエータ40に内圧に応じて湾曲するアクチュエータを用いる。したがって、内圧に応じて容易にロボットアーム50Aを前方に上げると共に、湾曲度合いを調整することができ、簡易な構成で容易にハグ対象に合わせたハグを行うことができる。
【0055】
<第2実施形態>
【0056】
次に、本開示の第2実施形態について説明する。本実施形態では、第1実施形態と同様の部分については同一の符号を付して図示し、その詳細な説明は省略する。
【0057】
本実施形態のハグロボット10B、ロボットアーム50Bは、前腕アクチュエータ40の基端部40Aの取付位置が第1実施形態と異なる。また、前腕アクチュエータ40のアクチュエータ本体部22の長さは、第1実施形態よりも長く設定されている。
【0058】
図10は、本開示の第2実施形態に係るハグロボット10Bの全体斜視図である。ハグロボット10Bは、ハグロボット10Aと同様に、台座部12、本体部14、肩部16、頭部18、及び、一対のロボットアーム50Bを備えている。
【0059】
前腕アクチュエータ40は、基端部40Aが、フレーム部材60と平行に配置された上腕アクチュエータ20の軸方向S1の中央部よりも肩部16側(ヒンジ部54側)、且つ、左右方向の本体部14側に固定されている。これにより、前腕アクチュエータ40の湾曲部分が肩部16に近い位置から形成される。
【0060】
前腕アクチュエータ40の長さ及び取付位置以外の部分は、第1実施形態の構成と同様である。
【0061】
次に、本実施形態のハグロボット10Bの動作について説明する。
【0062】
圧縮空気が供給されていない状態では、上腕アクチュエータ20は、軸S1がZ方向に沿うように、本体部14に沿った体側位置P1に配置されている(図10及び図11参照)。上腕アクチュエータ20に圧縮空気が供給されると、アクチュエータ本体部22の長さは、L0から短縮される。このとき、フレーム部材60の長さは維持されるため、図12に示すように、上腕アクチュエータ20は、軸S1がX方向に近づくようにヒンジ部54に取り付けられたピン33Bを中心に回動する。そして、ハグ対象に応じた角度αとなる位置で圧縮空気の供給を停止する。このとき、フレーム部材60は、上腕アクチュエータ20と共にヒンジ部54への取り付け位置を中心として同方向に回動する。また、前腕アクチュエータ40は、基端部40Aがフレーム部材60の先端部62に支持されているため、フレーム部材60と共に持ち上がる(図13参照)。
【0063】
このように、ロボットアーム50Bは、上腕アクチュエータ20を短縮させることにより前方に持ち上がる。図13では、上腕アクチュエータ20のアクチュエータ本体部22の長さがL1となり、ロボットアーム50Bがハグ位置P2に配置された状態が示されている。
【0064】
この状態から、前腕アクチュエータ40に圧縮空気が供給されると、アクチュエータ本体部22は湾曲し、図14及び図15に示すように、先端ボール40B同士が近づく。これにより、一対の上腕アクチュエータ20及び前腕アクチュエータ40の間で、人をハグすることができる。
【0065】
本実施形態でも、上腕アクチュエータ20に内圧に応じて短縮するアクチュエータを用い、前腕アクチュエータ40に内圧に応じて湾曲するアクチュエータを用いるので、簡易な構成で容易にハグ対象に合わせたハグを行うことができる。
【0066】
また、本実施形態では、上腕アクチュエータ20の軸方向S1の中央部よりも肩部16側に前腕アクチュエータ40の基端部40Aが取り付けられている。したがって、上腕アクチュエータ20の軸方向S1中央部よりも肩部16側から前腕アクチュエータ40の湾曲部分が形成されるので、ハグされる対象との密着感を向上させることができる。
【符号の説明】
【0067】
10A、10B ハグロボット、 16 肩部(基部)
20 上腕アクチュエータ、 20A 上腕一端部、 20B 上腕他端部
40 前腕アクチュエータ、 40A 基端部
50A、50B ロボットアーム
60 フレーム部材、 60A(フレーム一端部)、 62 先端部(連結部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15