(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084598
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】タイヤの製造方法、及びタイヤ製造装置
(51)【国際特許分類】
B29D 30/48 20060101AFI20240618BHJP
B29D 30/16 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
B29D30/48
B29D30/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198949
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 和生
(72)【発明者】
【氏名】小柳 玲央
【テーマコード(参考)】
4F215
4F501
【Fターム(参考)】
4F215AH20
4F215AP02
4F215AR02
4F215VA02
4F215VC03
4F215VD12
4F215VK12
4F215VL01
4F215VL11
4F215VP11
4F501TA02
4F501TB03
4F501TC11
4F501TD12
4F501TE01
4F501TE10
4F501TL10
4F501TR02
4F501TU02
4F501TV13
(57)【要約】
【課題】ビードの内径のバラつきを抑制可能とするタイヤの製造方法を提供する。
【解決手段】内側から中子で支持された未加硫ゴムを含んで構成されたタイヤ構成部材の外側面に、ビードワイヤを貼り付けるタイヤの製造方法であって、ビードワイヤを、該外側面に中子の回転軸線と平行に押し付け、かつ平行を保った状態で中子の径方向に移動して渦巻状に貼り付けてビードを形成する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側から中子で支持された未加硫ゴムを含んで構成されたタイヤ構成部材の外側面に、ビードワイヤを貼り付けるタイヤの製造方法であって、
前記ビードワイヤを、前記外側面に前記中子の回転軸線と平行に押し付け、かつ平行を保った状態で前記中子の径方向に移動して渦巻状に貼り付けてビードを形成する、
タイヤの製造方法。
【請求項2】
前記押し付けは、前記回転軸線と平行に設けられたエアシリンダのピストンロッドに支持された貼付ローラで行われる、
請求項1に記載のタイヤの製造方法。
【請求項3】
前記ビードワイヤを前記外側面に押し付ける押圧力は、3N以上、100N以下の範囲内である、
請求項1または請求項2に記載のタイヤの製造方法。
【請求項4】
前記タイヤ構成部材は、互いに平行に並べられた複数本のコードを未加硫ゴムで被覆したカーカスプライである、
請求項1に記載のタイヤの製造方法。
【請求項5】
回転可能とされ、未加硫ゴムを含んで構成されたタイヤ構成部材を内側から支持する中子と、
前記タイヤ構成部材の外側面に、ワイヤ供給部から送り出されたビードワイヤを前記中子の回転軸線と平行に押し付ける押付装置と、
上記平行を保った状態で前記押付装置を前記中子の径方向に移動する移動装置と、
を有するタイヤ製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの製造方法、及びタイヤ製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤとして、特許文献1に記載のタイヤが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、ビードの内径のバラつきを抑制可能とするタイヤの製造方法、及びタイヤ製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様に係るタイヤの製造方法は、内側から中子で支持された未加硫ゴムを含んで構成されたタイヤ構成部材の外側面に、ビードワイヤを貼り付けるタイヤの製造方法であって、前記ビードワイヤを、前記外側面に前記中子の回転軸線と平行に押し付け、かつ平行を保った状態で前記中子の径方向に移動して渦巻状に貼り付けてビードを形成する。
【0006】
第1の態様に係るタイヤの製造方法では、ビードワイヤを、未加硫ゴムを含んで構成されたタイヤ構成部材の外側面に、中子の回転軸線と平行に押し付け、かつ平行を保った状態で中子の径方向に押し付け渦巻状に貼り付けることで、タイヤ構成部材に内径のバラつきを抑制したビードを形成することができる。
【0007】
第2の態様に係るタイヤの製造方法は、第1の態様に係るタイヤの製造方法において、前記押し付けは、前記回転軸線と平行に設けられたエアシリンダのピストンロッドに支持された貼付ローラで行われる。
【0008】
第2の態様に係るタイヤの製造方法では、回転軸線と平行に設けられたエアシリンダのピストンロッドに支持された貼付ローラでビードワイヤがタイヤ構成部材に押し付けられる。なお、エアシリンダのピストンロッドは、ビードワイヤが押し付けられるタイヤ構成部材の外側面の位置が多少変わったとしても、伸縮してビードワイヤをほぼ一定の押圧力でタイヤ構成部材に押し付けることができる。
【0009】
第3の態様に係るタイヤの製造方法は、第1の態様または第2の態様に係るタイヤの製造方法において、前記ビードワイヤを前記外側面に押し付ける押圧力は、3N以上、100N以下の範囲内である。
【0010】
第3の態様に係るタイヤの製造方法では、ビードワイヤを、未加硫ゴムを含んで構成されたタイヤ構成部材の外側面に3N以上、100N以下の範囲内の押圧力で押し付けて貼り付けるので、ビードワイヤを未加硫ゴム表面に適正な状態で貼り付けることができる。
なお、押圧力が3N未満になると、押圧力が不足し、ビードワイヤを未加硫ゴムに貼り付けられなくなる懸念がある。
一方、押圧力が100Nを超えると、押圧力が高すぎて、ビードワイヤが未加硫ゴムに不要に食い込む懸念がある。
【0011】
第4の態様に係るタイヤの製造方法は、第1の態様に係るタイヤの製造方法において、前記タイヤ構成部材は、互いに平行に並べられた複数本のコードを未加硫ゴムで被覆したカーカスプライである。
【0012】
第4の態様に係るタイヤの製造方法において、タイヤ構成部材が、カーカスプライである場合、カーカスプライの外面側にビードを形成することができる。
【0013】
第5の態様に係るタイヤ製造装置は、回転可能とされ、未加硫ゴムを含んで構成されたタイヤ構成部材を内側から支持する中子と、前記タイヤ構成部材の外側面に、ワイヤ供給部から送り出されたビードワイヤを前記中子の回転軸線と平行に押し付ける押付装置と、上記平行を保った状態で前記押付装置を前記中子の径方向に移動する移動装置と、を有する。
【0014】
第5の態様に係るタイヤ製造装置では、押付装置で、ワイヤ供給部から送り出されたビードワイヤを、タイヤ構成部材の外側面に押し付けることができる。
【0015】
タイヤ構成部材を支持する中子は回転可能とされているので、タイヤ構成部材を支持した中子を回転させながら、押付装置を移動装置で中子の径方向に移動させることで、タイヤ構成部材の外側面にビードワイヤを螺旋状に貼り付けることが出来る。
【0016】
ビードワイヤを、未加硫ゴムを含んで構成されたタイヤ構成部材の外側面に、中子の回転軸線と平行に押し付け、かつ平行を保った状態で中子の径方向に押し付け渦巻状に貼り付けることが出来るので、タイヤ構成部材に内径のバラつきを抑制したビードを形成することができる。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、ビードの内径のバラつきを抑制可能とするタイヤの製造方法、及びタイヤ製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本開示の一実施形態に係るタイヤ製造装置によって製造された空気入りタイヤのビードを示すタイヤ幅方向断面である。
【
図3】本開示の一実施形態に係るタイヤ製造装置の概略構成を示す斜視図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係るタイヤ製造装置に用いるロボットを概略的に示す斜視図である。
【
図5】
図3に示すロボットに適用可能な、エンドエフェクタを示す斜視図である。
【
図6】エアシリンダを駆動する駆動系を示す図である。
【
図7】
図5に示すエンドエフェクタを、当該エンドエフェクタの排出部側を、水平方向視で、概略的に示す側面図である。
【
図8】
図3に示すロボットを用いて、タイヤ構成部材の一方の側面にビードワイヤが取り付けられるときの一例を概略的に示す斜視図である。
【
図9】ビードワイヤをカーカスプライに押圧している様子を示すカーカスプライの断面図である。
【
図10】比較例に係り、ビードワイヤをカーカスプライに押圧している様子を示すカーカスプライの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本開示の一実施形態に係る生タイヤMを製造するタイヤ製造装置100、及びタイヤ製造装置100を用いて形成された生タイヤMを加硫成形して製造される空気入りタイヤ10について説明をする。
なお、図中、矢印A方向は後述する中子AM、及び空気入りタイヤ10の径方向、矢印B方向は該中子AM、及び該空気入りタイヤ10の軸方向を示す。
【0020】
図1には、後述する本実施形態のタイヤ製造装置100を用いて製造された未加硫の生タイヤを加硫成形して得られた空気入りタイヤ10のビード部12が示されている。
【0021】
空気入りタイヤ10は、一方のビード部12と他方のビード部12(
図1では一方のみを図示)とを跨るトロイド状をなしたカーカスプライ14を有している。このカーカスプライ14は、一例として、所謂ラジアルタイヤに用いられる、互いに平行に並べられた複数本のカーカスコードをゴムで被覆した通常の構成のカーカスプライである。
【0022】
ビード部12には、ビードワイヤ8で形成されたビード16が埋設されており、ビード16には、カーカスプライ14がタイヤ内側から外側へ巻き上げられている。なお、ビード16のタイヤ径方向外側には、ビードフィラー19が設けられている。
【0023】
図1に示すように、カーカスプライ14のタイヤ軸方向(矢印B方向)内側には、インナーライナー18が配置され、カーカスプライ14のタイヤ軸方向外側には、外側ゴム部材108が配置されている。
【0024】
本実施形態の空気入りタイヤ10は、ビード部12以外のタイヤ構造は、通常の空気入りタイヤと同様の構成であり、詳細な説明は省略する。なお、ここでいう通常の空気入りタイヤには、ランフラットタイヤも含まれる。
【0025】
(タイヤ製造装置)
次に、本実施形態の空気入りタイヤ10に用いられる加硫成形前の生タイヤMを製造するタイヤ製造装置100を以下に説明する。
【0026】
図3に示すように、本実施形態に係るタイヤ製造装置100は、移動装置の一例としてのロボット110と、ロボット110にビードワイヤ8を供給するワイヤ供給部120と、ロボット110とワイヤ供給部120との間に配置されたフェスツーン130と、生タイヤMを支持する対象物支持部140と、ビードワイヤ8を生タイヤMに取り付けるようにロボット110を制御する制御部(ロボット制御部)150と、を有している。
【0027】
本実施形態において、ワイヤ供給部120は、ビードワイヤ8を巻き掛けて保管するための回転ドラム121を有している。本実施形態において、回転ドラム121に巻き掛けられたビードワイヤ8は、ビードワイヤ8を傷等から保護するための被覆材8aによって被覆されている。
【0028】
このタイヤ製造装置100はさらに、被覆材回収部160を有している。被覆材回収部160は、ワイヤ供給部120から引き出されたビードワイヤ8から取り除かれた被覆材8aを回収する。
【0029】
フェスツーン130は、ビードワイヤ8に残った巻き癖、当該ビードワイヤ8に残った残留応力、または、その両方などを除去することができる。本実施形態において、フェスツーン130は、支柱131と、支柱131に対して回転可能に固定された固定式ローラ133と、支柱131に対して回転可能かつスライド可能に設けられたスライド式ローラ132と、を有している。ビードワイヤ8は、固定式ローラ133とスライド式ローラ132との間に巻き掛けられている。ビードワイヤ8の巻き癖などは、固定式ローラ133とスライド式ローラ132とを離間させることによって除去することができる。
【0030】
図4に示すように、ロボット110は、後述するエンドエフェクタ20を有している。本実施形態にいて、ロボット110は、関節111を含むロボットアーム112を有している。エンドエフェクタ20は、ロボットアーム112の先端に取り付けられている。また、本実施形態において、ロボット110の動きは、制御部150によって制御される。制御部150の具体例としては、コンピュータが挙げられる。ロボット110の動きは、例えば、コンピュータにインストールされたプログラムに基いて制御することができる。
【0031】
ロボット110は、少なくとも1つの関節111を有するロボットアーム112と、エンドエフェクタ20と、によって構成されている。本実施形態において、エンドエフェクタ20は、ロボットアーム112の先端E112に取り付けられている。
【0032】
ロボット110は、6軸以上の自由度を有している。本実施形態において、ロボット110は、6軸ロボットである。ロボットアーム112は、第1アーム112a、第2アーム112b、第3アーム112c、第4アーム112d、第5アーム112e、第6アーム112fおよび第7アーム112gを有している。6軸ロボットは、6つの関節(111a~111f)を有している。
【0033】
第1関節111aは、例えば、第2アーム112bを第1アーム112aに対して旋回可能に連結する。第2関節111bは、例えば、第3アーム112cを第2アーム112bに対して前後方向に揺動可能に連結する。第3関節111cは、例えば、第4アーム112dを第3アーム112cに対して上下方向に揺動可能に連結する。第4関節111dは、例えば、第5アーム112eを第4アーム112dに対して旋回可能に連結する。第5関節111eは、第6アーム112fを第5アーム112eに対して上下方向に揺動可能に連結する。第6関節111fは、例えば、第7アーム111gを第6アーム112fに対して旋回可能に連結する。第7アーム111gの先端は、ロボットアーム112の先端E112を構成する。第7アーム111gの先端には、エンドエフェクタ20を取り付けることができる。
【0034】
したがって、ロボット110は、XYZ軸の座標系において、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の3つの直線方向に自由度を有しているとともにX軸の周り、Y軸の周りおよびZ軸の周りの3つの軸の周りに自由度を有している。
【0035】
ここで、X軸、Y軸およびZ軸はそれぞれ、互いに直交する軸である。本実施形態によれば、例えば、Z軸は、鉛直方向に対して平行になるように設定することができる。また、本実施形態によれば、X軸は、タイヤ中心軸線が水平面に含まれるときの当該タイヤ中心軸線に対して平行になるように設定することができる。さらに、本実施形態によれば、Y軸は、タイヤ中心軸線が水平面に含まれる状態でタイヤ幅方向中心線を水平面でみたときの当該タイヤ幅方向中心線に対して平行になるように設定することができる。
【0036】
図3に示すように、タイヤ製造装置100は、中子AMを回転させるための対象物駆動部141と、対象物駆動部141を制御する制御部(対象物駆動部制御部)150と、を有している。中子AMは、後述するタイヤ構成部材を内側から支持するものである。対象物駆動部141は、対象物支持部140に設けられている。本実施形態において、対象物駆動部141の動きは、制御部150によって制御される。
【0037】
本実施形態では、ロボット110および対象物駆動部141の制御は、共通の制御部150によって実行されている。
【0038】
対象物駆動部141は、生タイヤMを支持する中子AMを回転させる対象物回転駆動部141aを含んでいる。対象物回転駆動部141aは、水平に設定された回転軸線O141を中心に中子AMを回転させることができる。本実施形態において、対象物回転駆動部141aは、制御部150からの指令にしたがい、回転軸線O141の周りを所定角度ごとに回転させることができる。
【0039】
また、制御部150は、エンドエフェクタ20が生タイヤMの前記回転角度に応じた位置に位置するようにロボット110を位置制御する。ロボット110は、制御部150からの指令にしたがい、エンドエフェクタ20を中子AMの回転角度に応じた目標位置に移動させることができる。
【0040】
図5には、本発明の一実施形態に係る、エンドエフェクタ20を、当該エンドエフェクタ20の第2支持部24bが正位置である状態で概略的に示す。ここで、正位置とは、後述の貼付ローラ23aが上側に位置するとともに当該貼付ローラ23aが生タイヤMの一方の側面(対象物駆動部141側とは反対側の側面)を向くように、第2支持部24bが位置決めされた位置である。
なお、貼付ローラ23aは、後述するビードワイヤ8の貼り付け工程において、貼付ローラ23aの回転軸線が鉛直方向となるようにロボット110によりその向きが保持される。
【0041】
エンドエフェクタ20は、ジョイント部21と、ビードワイヤ8を導入させる導入部22と、導入部22から導入されたビードワイヤ8を排出する排出部23と、ジョイント部21、導入部22及び排出部23を支持する支持部24とを有している。
支持部24は、ジョイント部21と導入部22とが間隔を置いて配置されている第1支持部24aと、排出部23が配置されている第2支持部24bとを有している。
第2支持部24bは、当該第2支持部24bの延在軸線O2が第1支持部24aの延在軸線O1に対して交差しているとともに当該第2支持部24bが第1支持部24aを挟んでジョイント部21と対向する側に位置するように、当該第1支持部24aに連結されている。本実施形態において、ジョイント部21は、
図4に示すように、第7アーム112gの先端、即ち、ロボットアーム112の先端E112に取り付けることができる。
【0042】
図5に示すように、導入部22は、ビードワイヤ8をエンドエフェクタ20内に導入する。本実施形態において、導入部22は、入線ガイドローラ22aを有している。入線ガイドローラ22aは、第1支持部24aに対して自由回転可能に取り付けられている。入線ガイドローラ22aは、ビードワイヤ8が巻き掛けられることによって、当該ビードワイヤ8をエンドエフェクタ20内に誘導させることができる。これによって、ビードワイヤ8は、入線ガイドローラ22aによってエンドエフェクタ20内に導入される。
【0043】
符号25は、導入部22から導入されたビードワイヤ8をエンドエフェクタ20内に引き込むための線状部材引き込み部である。線状部材引き込み部25は、第1支持部24aに配置されている。
【0044】
本実施形態において、線状部材引き込み部25は、第1支持部24aに対して回転可能な送りローラ25aと、第1支持部24aに対して回転可能であるとともに第1支持部24aに対してスライド可能なピンチローラ25bと、ピンチローラ25bを移動させるためのピンチローラ用アクチュエータ25cと、を有している。送りローラ25aは、サーボモータ等の駆動源によって回転させることができる。
【0045】
ピンチローラ25bは、第1支持部24aに対して自由回転可能に配置されている。ピンチローラ用アクチュエータ25cは、ピンチローラ25bを送りローラ25aに向かって押圧することによって、当該ピンチローラ25bを送りローラ25aに押し付けることができる。これによって、送りローラ25aとピンチローラ25bとの間に挟まったビードワイヤ8をエンドエフェクタ20内に引き込むことができる。
【0046】
ピンチローラ用アクチュエータ25cはまた、ピンチローラ25bを送りローラ25aから遠ざけることによって、当該ピンチローラ25bを送りローラ25aから離間させることができる。これによって、送りローラ25aとピンチローラ25bとの間のビードワイヤ8に対する押し力を調整または解除することができる。
【0047】
符号26は、ビードワイヤ8の張力を制御するための張力制御部である。本実施形態に係る、エンドエフェクタ20は、第1支持部24aに張力制御部26を有している、具体的には、張力制御部26は、導入部22よりも第2支持部24b側に位置している。詳細には、張力制御部26は、導入部22よりもビードワイヤ8の送り方向下流側、さらに、本実施形態では、線状部材引き込み部25よりもビードワイヤ8の送り方向下流側に位置している。
【0048】
張力制御部26は、例えば、ビードワイヤ8の巻き掛けの向きを変えることによって、または、後述のダンサアーム26cのように、ビードワイヤ8を2つのローラに巻き掛けたときの距離を変えることによって、または、これらの両方によって、ビードワイヤ8に残った巻き癖、当該線状部材に残った残留応力、または、その両方などを除去することができる。
【0049】
具体的には、張力制御部26は、ワイヤ供給部120の巻き出し、或いは、フェスツーン130の動作によって発生する、張力外乱を抑制することを目的とする。これによって、張力外乱によって発生が懸念される、影響(例えば、上記残留応力)、および、巻き付け時の位置ズレが抑制される。
【0050】
本実施形態において、張力制御部26は、線状部材引き込み部25から送り出されたビードワイヤ8を巻き掛けるダンサローラ26a及びガイドローラ26bと、ダンサローラ26aを自由回転可能に支持するダンサアーム26cと、を有している。ダンサローラ26aには、ビードワイヤ8が巻き掛けられている。本実施形態において、ビードワイヤ8の張力は、例えば、ダンサアーム26cの開き角度に応じたダンサローラ26aの位置の変化によって制御することができる。張力制御されたビードワイヤ8は、張力制御部26を通って排出部23に送り出される。
【0051】
排出部23は、張力制御部26から送り出されたビードワイヤ8を、さらに中子AMに向かって送り出す。本実施形態において、排出部23は、貼付ローラ23aを有している。貼付ローラ23aは、後述するエアシリンダ23bのピストンロッド23bLの先端部分において、自由回転可能に配置されている。貼付ローラ23a、及びエアシリンダ23bは、本実施形態の押付装置の一例である。
貼付ローラ23aの外周面には、周溝が形成されている。ビードワイヤ8は、貼付ローラ23aの周溝(
図6参照)によってローラ軸線両側が保持される。
【0052】
貼付ローラ23aは、エンドエフェクタ20内を流れるビードワイヤ8をエンドエフェクタ20の外側に送り出すことができる。これによって、貼付ローラ23aを、後述する生タイヤMを構成するタイヤ構成部材に押し付ければ、貼付ローラ23aから送り出されたビードワイヤ8をタイヤ構成部材に貼り付けることができる。
したがって、貼付ローラ23aをタイヤ構成部材に押し付けた状態で、中子AMを回転させれば、ビードワイヤ8をタイヤ構成部材の外側面に順次貼り付けることができる。
後述するが、本実施形態では、タイヤ構成部材が、未加硫のカーカスプライ14である。未加硫のカーカスプライ14は、互いに平行に並べられた複数本のカーカスコードを未加硫のゴムで被覆したものである。
【0053】
図3を参照しつつ説明すると、本実施形態に係る、タイヤ製造装置100において、ビードワイヤ8をタイヤ構成部材の外側面に貼り付けるときには、タイヤ構成部材を貼り付けた中子AMを所定角度ごとに順次回転させる。
【0054】
また、本実施形態に係るタイヤ製造装置100において、ロボット110は、エンドエフェクタ20の貼付ローラ23aがビードワイヤ8を貼り付けるべきタイヤ構成部材の目標位置に配置されるように、当該生タイヤMの回転角度に応じた所定位置に位置制御される。
【0055】
本実施形態において、ビードワイヤ8をタイヤ構成部材の外側面に巻き付ける位置は、エンドエフェクタ20の貼付ローラ23aの位置に依存する。
図5に示すように、本実施形態に係るエンドエフェクタ20において、貼付ローラ23aは、ビードワイヤ8が排出される材料パス位置Pが、後述する駆動回転部29の回転中心軸線O3上となる位置に配置されている。
【0056】
図5に示すように、排出部23は、貼付ローラ23aを中子AMに向けて接離するためのエアシリンダ23bを有している。ビードワイヤ8をタイヤ構成部材に貼り付ける際には、エアシリンダ23bは、ロボット110により、その軸線が中子AMの回転軸線O141と平行となるように維持される。
【0057】
エアシリンダ23bは、ピストンロッド23bLを突出させ、貼付ローラ23aを中子AMの回転軸線O141と平行に、言い換えれば水平に、タイヤ構成部材に向かって押圧することによって、当該貼付ローラ23aで支持したビードワイヤ8を、タイヤ構成部材に向けて水平に押し付けることができる。
【0058】
エアシリンダ23bは、また、貼付ローラ23aをタイヤ構成部材から遠ざけることによって、当該貼付ローラ23aをタイヤ構成部材から離間させることができる。これによって、タイヤ構成部材に対するビードワイヤ8の押圧力を調整または解除することができる。
【0059】
図6に示すように、エアシリンダ23bには、配管170を介して圧力センサ172A,172B、圧力調整兼切換弁174、及びエアコンプレッサ176が接続されている。エアコンプレッサ176、圧力センサ172A,172B、及び圧力調整兼切換弁174は、制御部150に接続されており、制御部150は、エアシリンダ23bに対して、予め設定された所定の圧力の圧縮空気を供給するように圧力調整兼切換弁174を制御する。
【0060】
これにより、貼付ローラ23aで支持されたビードワイヤ8を、所定の押圧力でタイヤ構成部材に押し付けることができる。
なお、本実施形態では、圧縮空気の圧力調整により、ビードワイヤ8の押圧力を、一例として、3N以上、100N以下に調整することができる。
【0061】
図5に示すように、符号27は、排出部23から送り出されたビードワイヤ8を切断するための切断部である。本実施形態において、切断部27は、第1支持部24aに設けられている。本実施形態において、切断部27は、ビードワイヤ8を切断するためのカッター27aと、カッター27aを伸縮移動させるためのアクチュエータ27bを有している。
【0062】
符号28は、生タイヤMの周辺情報を得るための情報取得部である。本実施形態に係る、エンドエフェクタ20は、第2支持部24bに、情報取得部28を有している。具体的には、エンドエフェクタ20は、第2支持部24bの先端側の位置に情報取得部28を有している。
【0063】
情報取得部28は、生タイヤM(タイヤ構成部材)の周辺の情報を集める。生タイヤMの周辺情報(以下、「生タイヤ周辺情報」ともいう。)としては、例えば、タイヤ構成部材の位置、形状、ビードワイヤ8の位置等が挙げられる。エンドエフェクタ20は、第2支持部24bに情報取得部28を有しているため、情報取得部28から得られた生タイヤMの周辺情報に基いて、ビードワイヤ8の貼り付けを行うことができる。
【0064】
また、情報取得部28としては、例えば、画像センサが挙げられる。本実施形態では、情報取得部28から得られた生タイヤ周辺情報は、制御部150に入力される。
【0065】
制御部150は、前記生タイヤ周辺情報に基いて、ビードワイヤ8をタイヤ構成部材の側面の所定位置に貼り付けるように、ロボット110および対象物支持部140を制御することができる。
【0066】
本実施形態に係る、エンドエフェクタ20は、タイヤ構成部材にビードワイヤ8を取り付けるため、当該ビードワイヤ8を、タイヤ構成部材に向けて送り出すことができる。エンドエフェクタ20を用いれば、ロボット110の動きに合わせて、ビードワイヤ8を生タイヤMを構成するタイヤ構成部材の側面の所望の位置に取り付けることができる。
【0067】
また、エンドエフェクタ20において、支持部24は、第1支持部24aと、第2支持部24bとを有しており、第2支持部24bは、当該第2支持部24bの延在軸線O2が第1支持部24aの延在軸線O1に対して交差しているとともに当該第2支持部24bが第1支持部24aを挟んでジョイント部21と対向する側に位置するように、当該第1支持部24aに連結されている。
【0068】
図7には、エンドエフェクタ20を排出部23側から概略的に示す。
図7を参照すれば、エンドエフェクタ20をX軸方向(タイヤ中心軸線が水平面に含まれるときの当該タイヤ中心軸線に対して平行な方向)で見た場合、第1支持部24aの延在軸線O1は、第2支持部24bの延在軸線O2に対して排出部23側よりもジョイント部21側に角度αだけ傾いている。
【0069】
また、本実施形態において、駆動回転部29の回転中心軸線O3は、
図7に示すように側面視において、貼付ローラ23aの周溝中心(周溝の溝底の最深部)を通る軸線である。即ち、貼付ローラ23aは、駆動回転部29の回転中心軸線O3に対して平行に配置され、貼付ローラ23aの材料パス位置Pは、駆動回転部29の回転中心軸線O3上に存在する。
【0070】
なお、貼付ローラ23aが生タイヤMを構成するタイヤ構成部材の他方の側面側(対象物駆動部141側)に向いてビードワイヤ8が貼り付けられるように、ロボット110の動きを制御することによって、タイヤ構成部材の他方の側面にもビードワイヤ8を貼り付けることができる。この場合、第2支持部24bを第1支持部24aに対して180°回転させれば、貼り付け位置の迅速な切り替えが可能となる。
このようすれば、中子AMに貼り付けられたタイヤ構成部材の両側にビードワイヤ8を貼り付けることができる。
【0071】
(ビードの形成)
本実施形態では、タイヤ製造装置100を用いて、
図1に示すビード(ビードリング、ビードコアとも呼ばれる)16を構成するように、生タイヤMの製造段階において、以下のようにしてビードワイヤ8をタイヤ構成部材に貼り付ける。本実施形態において、ビードワイヤ8を貼り付けるタイヤ構成部材の具体例は、カーカスプライ14である。
【0072】
先ず最初の工程では、中子AMの外面に、未加硫のインナーライナー18を貼り付ける。
【0073】
次に、未加硫のインナーライナー18を覆うように未加硫のカーカスプライ14を巻き付ける(
図8参照)。
そして、カーカスプライ14の所定位置(後に空気入りタイヤ10のビード部12となる位置)に、以下のようにしてビードワイヤ8を渦巻状に貼り付ける。
【0074】
ロボット110を作動させ、ビードワイヤ8を支持した貼付ローラ23aをカーカスプライ14の所定位置であって、ビードワイヤ8の貼り付け開始位置と対向する位置に配置する。ビードワイヤ8の貼り付け開始位置は、
図2に示すように、回転軸線O141から予め設定された距離R離れた位置であり、空気入りタイヤ10のビード部12の内周部分(
図1参照)と略対応する位置である。この貼り付け開始位置によって、内側ビード16Aの内径(R×2)が決定される。なお、
図2において、符号8sは、巻始めのビードワイヤ8の始端を示し、符号8eは、巻き終りのビードワイヤ8の終端を示している。
なお、本開示では、内側から中子で支持された未加硫ゴムを含んで構成されたタイヤ構成部材の外側面に、ビードワイヤを貼り付ける、としているが、本実施形態において、タイヤ構成部材はカーカスプライ14であり、タイヤ構成部材の外側面とは、カーカスプライ14の端部分14Bを折り返す前の、一方のビード部12と他方のビード部12とを跨るカーカスプライ14の本体部分14Aのタイヤ軸方向の外側面を意味している。
【0075】
次に、エアシリンダ23bを作動させ、
図9の概略断面図で示すように、貼付ローラ23aで支持したビードワイヤ8をカーカスプライ14の側面に所定の押圧力(3N以上~100N以下)で押し付け、中子AMを所定の角度(360°弱)回転させ、1周目のビードワイヤ8が真円となるように貼り付ける。
【0076】
次いで、中子AMの回転を継続し、ビードワイヤ8の貼り付け開始位置の若干手前付近から、貼付ローラ23aをカーカスプライ14の側面に沿うように、エアシリンダ23bの平行状態を維持しつつ径方向外側へ徐々に移動させ、その後、最初に貼り付けた1周目のビードワイヤ8の径方向外側へ、2周目のビードワイヤ8が1周目のビードワイヤ8に隣接するように貼付ローラ23aを移動させ、ビードワイヤ8の貼り付けを継続する。
これにより、ビードワイヤ8が、
図2の概念図で示すように、カーカスプライ14の外側面に渦巻状に貼り付けられ、ビード16のカーカスプライ側の1層目が形成される。
【0077】
図9では、径方向内側(図面下方側)から径方向外側(図面上方側)へビードワイヤ8を貼り付ける様子が示されており、
図9では、貼付ローラ23aが1周目のビードワイヤ8をカーカスプライ14に押し付けている様子が示されている。エアシリンダ23bの軸線が中子AMの回転軸線O141に対して平行を保ち、かつ貼付ローラ23aがカーカスプライ14の外側面に沿うように、エンドエフェクタ20はロボット110により径方向外側へ移動される。
【0078】
なお、ビードワイヤ8の最初の1周目は、貼付ローラ23aを径方向に移動しないので、一定径、即ち、真円でビードワイヤ8がカーカスプライ14に貼り付けられる。これにより、内径のバラつきが抑制された最内周部分を形成することができる。なお、2周目以降も、真円でビードワイヤ8が貼り付けられる。
渦巻状に形成される本実施形態のビードワイヤ8は、最内周の1周目が、予め設定した寸法で真円に形成されていればよく、最内周の径方向外側に位置する2周目以降は、例えば、徐々に径が増大する渦巻状であってもよい。
【0079】
なお、未加硫のカーカスプライ14に対するビードワイヤ8の押圧力が3N未満になると、押圧力が不足し、ビードワイヤ8をカーカスプライ14の未加硫ゴム表面に貼り付けられなくなる懸念がある。一方、押圧力が100Nを超えると、押圧力が高すぎて、ビードワイヤ8がカーカスプライ14の未加硫ゴムに不要に食い込む懸念がある。
【0080】
本実施形態のタイヤの製造方法では、ビードワイヤ8を、カーカスプライ14の未加硫ゴム表面に3N以上、100N以下の範囲内の押圧力で押し付けて貼り付けることができるので、ビードワイヤ8をカーカスプライ14の未加硫ゴム表面に適正な状態で貼り付けることができる。
【0081】
なお、エアシリンダ23bのピストンロッド23bLは、ビードワイヤ8が押し付けられるカーカスプライ14の未加硫ゴムの外側面の位置が多少変わったとしても、伸縮して(シリンダ内のエアが拡縮可能なため)ビードワイヤ8をほぼ一定の押圧力でカーカスプライ14に押し付けることができる。
【0082】
ビード16のカーカスプライ14側の1層目を形成した後、1層目の側面に、1層目と同様にして、ビードワイヤ8で渦巻状に形成された2層目以降を順に形成することで、
図1に示すような断面形状が平行四辺形とされたビード16を形成することができる。
なお、2層目は、1層目のビードワイヤ8の径方向最外側を貼り付けた後、該ビードワイヤ8を、径方向内側へ向けて渦巻状に形成することができる。外周側から内周側へ渦巻状にビードワイヤ8を貼り付ける場合、最内周は、1層目と同様に真円に形成する。
本実施形態のビード16は断面形状が平行四辺形であったが、ビード16の断面形状は平行四辺形に限らず、台形であってもよく、多角形であってもよく、一直線状であってもよい。
【0083】
所定の断面形状のビード16が形成された後、ビード16のタイヤ径方向外側に未加硫のビードフィラー19(
図1参照)を貼り付け、その後カーカスプライ14のタイヤ幅方向端部分を巻き上げる。
【0084】
その後、ビード部12のタイヤ幅方向外側部分、及びタイヤサイド部を構成する未加硫の外側ゴム部材108を未加硫のカーカスプライ14の外側面に貼り付け、未加硫のカーカスプライ14の外周面に未加硫のベルト(図示省略)、及び未加硫のトレッドゴム(図示省略)を貼り付けることで生タイヤMを形成することができる。
【0085】
以上のように、本実施形態によれば、内径のバラつきが抑制された一定内径のビード16を形成できるので、生タイヤMを加硫成形して得た空気入りタイヤ10は、ビード部12をリム(図示省略)に対して適正に嵌合させることができる。
【0086】
(比較例)
以下に、比較例に係るタイヤの製造方法を
図10にしたがって説明する。なお、上記実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
右側で示すカーカスプライ14は、左側で示すカーカスプライ14に比較して、例えば、コーティングした未加硫ゴムの厚みがα厚い。
この
図10では、カーカスプライ14が、中子AMの回転軸線O141の径方向に対して40°傾斜している場合を示している。
比較例においては、エアシリンダ23bは、その軸線がカーカスプライ14の外表面に対して直角となるように傾斜しており、かつ回転軸線O141からの距離は、カーカスプライ14の厚みに関係なく、ビードワイヤ8を1周分貼り付ける間は変わらない。
【0087】
エアシリンダ23bの位置が変わらず、
図10で示すように、カーカスプライ14の厚みが異なる、例えば
図10の右図で示すようにカーカスプライ14が厚い場合、ビードワイヤ8の貼り付けられるカーカスプライ14の外表面の位置が変わり、それに応じて貼付ローラ23aを支持しているピストンロッド23bLがエアシリンダ23bの本体側に引っ込む。
【0088】
比較例のエアシリンダ23bは中子AMの回転軸線O141の径方向に対して傾斜しているので、ピストンロッド23bLがエアシリンダ23bの本体側に引っ込むと、ピストンロッド23bLで支持された貼付ローラ23aの位置が回転軸線O141側へずれ、それゆえ、ビードワイヤ8の貼り付けられる位置が回転軸線O141側へずれる。なお、逆に、カーカスプライ14の厚みが薄くなった場合は、ビードワイヤ8の貼り付けられる位置は、回転軸線O141側とは反対側へずれる。
【0089】
このように、ビードワイヤ8の貼り付けられる位置がカーカスプライ14の厚みに応じて径方向にずれると、カーカスプライ14の外表面に貼り付けられたビードワイヤ8の回転軸線O141からの距離(R)が異なってしまい、その結果、ビード内径(R×2)にバラつきが生じてしまう。
【0090】
一方、本実施形態のタイヤの製造方法によれば、カーカスプライ14の厚さが変わっても、ピストンロッド23bLは、中子AMの回転軸線O141と平行を保ったまま伸縮するだけであり、貼付ローラ23aで押圧されるビードワイヤ8の径方向位置は変わらず、内径のバラつきが抑制された所定の内径のビード16が得られる。
【0091】
[その他の実施形態]
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0092】
上記実施形態では、ビードワイヤ8を貼り付けるタイヤ構成部材としてカーカスプライ14を挙げたが、ビードワイヤ8を貼り付けるタイヤ構成部材は、カーカスプライ14に隣接するビード部補強部材(図示せず)など、カーカスプライ14以外の部材であってもよい。
【0093】
上記実施形態では、ビードワイヤ8を内周側から外周側に向けて貼り付けて螺旋状に形成したが、ビードワイヤ8を外周側から内周側に向けて貼り付けて螺旋状に形成してもよい。
【符号の説明】
【0094】
8:ビードワイヤ、14:カーカスプライ(タイヤ構成部材)、16:ビード、23a:巻付ローラ(押付装置)、23b:エアシリンダ(押付装置)、23bL:ピストンロッド、M:生タイヤ、AM:中子、110:ロボット(移動装置)