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特開2024-8462現実仮想融合空間配信装置及びコンピュータプログラム
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  • 特開-現実仮想融合空間配信装置及びコンピュータプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008462
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】現実仮想融合空間配信装置及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240112BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110360
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】505057646
【氏名又は名称】THE WHY HOW DO COMPANY株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠原 洋
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】このような問題にかんがみ、現実世界の長所と仮想世界の長所とを活かしたコンテンツの生成を可能とする。
【解決手段】現実空間と仮想空間とが融合した空間を配信する配信装置であって、仮想空間を生成し、仮想空間内に複数の個別仮想空間を構築する仮想空間構築部11と、仮想空間に現実空間を融合させる現実空間融合部12と、現実空間のオブジェクトを仮想空間内に融合させるオブジェクト融合部13とを備える。現実世界のみでは実現しえないことを仮想空間にて実現することができ、ユーザに対して魅力のあるコンテンツを提供することが可能となる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現実空間と仮想空間とが融合した空間を配信する配信装置であって、
仮想空間を生成し、前記仮想空間内に複数の個別仮想空間を構築する仮想空間構築部と、
前記仮想空間に前記現実空間を融合させる現実空間融合部と、
前記現実空間のオブジェクトを前記仮想空間内に融合させるオブジェクト融合部と、
を備え、
現実仮想融合空間配信装置。
【請求項2】
代替不可能なトークンにより、前記個別仮想空間への入場を許可するか否かを判断する入場制限部を備える
請求項1に記載の現実仮想融合空間配信装置。
【請求項3】
前記代替不可能なトークンは、前記個別仮想空間への所定の入場可能時間を示す入場可能時間情報を含み、
前記入場制限部は、前記入場可能時間のみ入場を許可する時間管理部を備える
請求項2に記載の現実仮想融合空間配信装置。
【請求項4】
前記個別仮想空間において融合される前記オブジェクトは、エンターテインメントである
請求項1、2又は3に記載の現実仮想融合空間配信装置。
【請求項5】
前記個別仮想空間において融合される前記オブジェクトは、対戦相手である
請求項1、2又は3に記載の現実仮想融合空間配信装置。
【請求項6】
故人又は故ペットの映像又は音声を入力するメモリアル情報入力部を備え、
前記個別仮想空間において融合される前記オブジェクトは、前記メモリアル情報入力部から入力した故人又は故ペットの生前の映像又は音声である
請求項2又は3に記載の現実仮想融合空間配信装置。
【請求項7】
前記個別仮想空間において融合される前記オブジェクトは、過去又は未来の映像である
請求項2又は3に記載の現実仮想融合空間配信装置。
【請求項8】
前記個別仮想空間において融合される前記オブジェクトは、国内又は世界各地若しくは宇宙の映像である
請求項1、2又は3に記載の現実仮想融合空間配信装置。
【請求項9】
前記個別仮想空間において融合される前記オブジェクトは、特定分野の専門家である
請求項2又は3に記載の現実仮想融合空間配信装置。
【請求項10】
前記個別仮想空間において融合される前記オブジェクトは、Eコマース店舗である
請求項1、2又は3に記載の現実仮想融合空間配信装置。
【請求項11】
前記個別仮想空間において融合される前記オブジェクトは、教育者である
請求項1、2又は3に記載の現実仮想融合空間配信装置。
【請求項12】
コンピュータを、
仮想空間を生成し、前記仮想空間内に複数の個別仮想空間を構築する仮想空間構築部と、
前記仮想空間に前記現実空間を融合させる現実空間融合部と、
前記現実空間のオブジェクトを前記仮想空間内に融合させるオブジェクト融合部と、
を備え、
現実空間と仮想空間とが融合した空間を配信する配信装置として機能させる
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現実仮想融合空間配信装置及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
メタバース、VR(ヴァーチャルリアリティ)等の仮想空間においては、現実世界と同様の経済活動、人的交流等が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7055527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、現状のメタバース、VRは、バーチャルオフィス、WEB会議等の、現実世界を仮想化した空間や、遠隔地にいる者同士が交流できる場を提供するにすぎないものが多く、仮想世界に特有の魅力を持ったコンテンツは少ない。
一方、現実世界には、仮想世界にはない、リアルであるからこその魅力があるものもある。
本発明は、このような問題にかんがみ、現実世界の長所と仮想世界の長所とを活かしたコンテンツの生成を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本現実仮想融合空間配信装置は、現実空間と仮想空間とが融合した空間を配信する配信装置であって、仮想空間を生成し、前記仮想空間内に複数の個別仮想空間を構築する仮想空間構築部と、前記仮想空間に前記現実空間を融合させる現実空間融合部と、前記現実空間のオブジェクトを前記仮想空間内に融合させるオブジェクト融合部と、を備える。
上記現実仮想融合空間配信装置は、代替不可能なトークンにより、前記個別仮想空間への入場を許可するか否かを判断する入場制限部を備えることが望ましい。この場合において、前記代替不可能なトークンが、前記個別仮想空間への所定の入場可能時間を示す入場可能時間情報を含む場合、前記入場制限部は、前記入場可能時間のみ入場を許可する時間管理部を備える。
前記個別仮想空間において融合される前記オブジェクトとしては、エンターテインメントがある。
前記個別仮想空間において融合される前記オブジェクトとしては、対戦相手がある。
上記現実仮想融合空間配信装置には、故人又は故ペットの映像又は音声を入力するメモリアル情報入力部を備えることがあり、その場合に前記個別仮想空間において融合される前記オブジェクトは、前記メモリアル情報入力部から入力した故人又は故ペットの生前の映像又は音声である。
前記個別仮想空間において融合される前記オブジェクトとしては、過去又は未来の映像がある。
前記個別仮想空間において融合される前記オブジェクトとしては、国内又は世界各地若しくは宇宙の映像がある。
前記個別仮想空間において融合される前記オブジェクトとしては、特定分野の専門家がある。
前記個別仮想空間において融合される前記オブジェクトとしては、Eコマース店舗がある。
前記個別仮想空間において融合される前記オブジェクトとしては、教育者がある。
また、上記課題を解決するためのコンピュータプログラムは、仮想空間を生成し、前記仮想空間内に複数の個別仮想空間を構築する仮想空間構築部と、前記仮想空間に前記現実空間を融合させる現実空間融合部と、前記現実空間のオブジェクトを前記仮想空間内に融合させるオブジェクト融合部と、を備え、現実空間と仮想空間とが融合した空間を配信する配信装置として機能させる。
【発明の効果】
【0006】
本現実仮想融合空間配信装置は、仮想空間に現実空間を融合させ、現実空間のオブジェクトを仮想空間内に融合させるため、現実世界の長所と仮想世界の長所とを活かしたコンテンツの生成が可能となる。したがって、現実世界のみでは実現しえないことを仮想空間にて実現することができ、ユーザに対して魅力のあるコンテンツを提供することが可能となる。
仮想空間内に複数の個別仮想空間を生成するため、個々の好み等に応じた個別仮想空間を複数用意することができ、多くの人による利用を期待できる。
代替不可能なトークンにより個別仮想空間への入場を許可するか否かを判断する入場制限部を備えることにより、個別仮想空間のプライベート性を高めることができ、これにより希少性を確保することができる。
代替不可能なトークンが、個別仮想空間への所定の入場可能時間を示す入場可能時間情報を含み、入場制限部が、当該入場可能時間のみ入場を許可する時間管理部を備えることにより、プライベートな空間としての価値及び希少性をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】現実仮想融合空間配信装置と端末装置との接続例を示す構成図である。
図2】現実仮想融合空間配信装置によって構築される個別仮想空間の例を示すブロック図である。
図3】現実仮想融合空間配信装置の機能を示すブロック図である。
図4】時間制限付きNFTの例を示すデータブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1 構成
図1に示す現実仮想融合空間配信装置1は、インターネット2を介して接続された端末からアクセス可能なサーバに設けられている。端末としては、パソコン3、スマートフォン4、VRゴーグル5等がある。
【0009】
図2に示す仮想空間60は、図1に示した現実仮想融合空間配信装置1によって構築されるもので、これらもインターネット2を介して接続された各種端末からアクセス可能なサーバに設けられている。この仮想空間60には、パソコン3、スマートフォン4等からの要求に応じ、第1個別仮想空間61、第2個別仮想空間62、第3個別仮想空間63、・・・等の複数の個別仮想空間が構築される。
【0010】
図3に示すように、現実仮想融合空間配信装置1は、図2に示した仮想空間60内に個別仮想空間61を構築して各端末装置からのアクセスを可能とする仮想空間構築部11と、個別仮想空間61、62,63、・・・に現実空間を融合させ現実世界と仮想世界とが重なり合った空間の提供を可能とする現実空間融合部12と、現実空間のオブジェクトを個別仮想空間61、62,63、・・・に融合させるためのオブジェクト融合部13とを備えている。
【0011】
仮想空間構築部11は、分野の異なる複数の個別仮想空間を生成する機能を有している。すなわち、仮想空間構築部11は、図2に示した第1個別仮想空間71、第2個別仮想空間72、第3個別仮想空間73、・・を、分野が異なるものとすることができる。
【0012】
オブジェクト融合部13は、個別仮想空間61、62、63、・・・にオブジェクトを融合させるために、現実空間融合部12に対してオブジェクトに関する情報を提供する。ここにいうオブジェクトとは、例えば、アーチストや交流しようとする相手等の人物(人物には自分も含まれる)、アーチストの作品やノウハウ、店で販売する商品等、実在するすべてのものが含まれる。オブジェクトが人物である場合は、その人物をスキャンして形成される3次元画像、アバター等がオブジェクトとなる。また、オブジェクトが有体物である場合は、その物の3次元画像等がオブジェクトとなる。オブジェクトが無体物である場合は、例えば、人物の性格や嗜好、ノウハウ等であり、オブジェクト融合部13は、これらを人物の3次元画像又はアバターに学習させることができる。また、現実空間とは、実在する場所、例えば部屋、ステージ、店舗等である。
【0013】
オブジェクト融合部13は、外部のモデリング部81から情報を入力することができる。モデリング部81は、人物や物をスキャンした2次元又は3次元の画像画像や、人物を表すアバター画像情報等を作成してオブジェクト融合部13に提供する。
【0014】
現実空間融合部12は、個別仮想空間61、62、63、・・・に現実空間を融合させる。例えば、仮想空間構築部11が生成した画像に現実空間の画像を重畳表示させたり、仮想空間構築部11が生成した画像の一部を現実空間の画像に置き換えたりする。現実空間としては、例えば現実世界の映像や風景画像、現実世界を模したバーチャル画像等がある。現実世界の映像等を融合させた場合の個別仮想空間61、62、63、・・・は、VR(仮想現実)空間とAR(拡張現実)空間とが融合したものとなる。現実空間融合部12は、オブジェクト融合部13によって提供された情報も個別仮想空間61、62、63、・・・に融合させる。
【0015】
現実仮想融合空間配信装置1は、仮想空間構築部11が構築した仮想空間への入場を制限する入場制限部14を備えている。入場制限部14は、NFT発行部82と接続されており、NFT発行部82が発行したNFT(Non-Fungible Token)を有するか否かに基づいて、個別仮想空間61、62,63,・・・への入場の可否を判断する。NFTは、ブロックチェーンを構成するブロックデータからなる代替不可能なトークンであり、個々のNFTには、それぞれの個別仮想空間61、62、63、・・・を指すURLが含まれており、NFTを所有する者のみに、対応する個別仮想空間61、62、63、・・・への入場が許可される。NFT発行部82としては、例えばNFTマーケットプレイスが該当するが、現実仮想融合空間配信装置1にNFT発行部82を備えてもよい。。
【0016】
ここで、NFTは、個別仮想空間61、62、63、・・・の種類に応じ、例えば図4に示す時間制限付きNFT821のように、入場可能時間情報822を含むことがある。NFTに入場可能時間情報822が含まれるのは、個別仮想空間61、62、63、・・・のプライベート性が高い場合や、入場希望者が大人数になりすぎることが予想される場合である。この入場可能時間情報822は、個別仮想空間61,62,63、・・・への入場時刻や滞在時間が制限される場合に発行されるNFTに含まれるデータであり、例えば、入場日情報823、入場時刻情報824、退場時刻情報825といったデータが含まれている。
【0017】
現実仮想融合空間配信装置1は、時間制限付きNFT821の入場可能時間情報822に応じて入場日、入場時刻及び退場時刻を管理する時間管理部15を備えている。時間管理部15は、入場時刻情報824で指定された入場可能時刻の到来により入場を許可し、それ以外の時間帯には入場を禁止する。また、時間管理部15は、退場時刻情報825で指定された退場時刻を超過しないように、滞在可能時間が過ぎると警告を表示したり強制的に退場させたりする等の措置をとる。このように、入場可能時間情報822を含む時間制限付きNFT821は、個別仮想空間61、62、63、・・・を複数人で時分割して利用するためのタイムシェアチケットとしての機能を有している。
【0018】
現実仮想融合空間配信装置1は、故人、故ペットに関する生前の映像又は音声からなるメモリアル情報を外部から入力し、そのメモリアル情報を現実空間融合部12に提供するメモリアル情報入力部16を備えている。仮想空間構築部11では、提供されたメモリアル情報を用いて、個別仮想空間としてのメモリアルルームを生成する。
【0019】
現実仮想融合空間配信装置1は、生成しようとする個別仮想空間61、62、63、・・・の内容に応じて各種の映像又は音声を外部から入力し、その情報を現実空間構築部12に提供する映像音声入力部17を備えている。
【0020】
2 個別仮想空間の生成
仮想空間構築部11が個別仮想空間61、62、63、・・・を生成する際は、まず、仮想空間の種類や属性を決定する。個別仮想空間の種類は限定されないが、例えば、エンターテインメントルーム、ゲームルーム、メモリアルルーム、タイムトラベルルーム、旅行ルーム、アドバイスルーム、物販ルーム、教育ルーム等がある。また、個別仮想空間61、62、63、・・・の属性としては、限られた人だけが入場できるプライベート空間か多くの人が制限なく入場できるパブリック空間か、入場者数、滞在時間の制限の有無等があり、これらのパラメータ(情報)を仮想空間構築部11に設定する。仮想空間構築部11は、これらのパラメータに基づき、それぞれの個別仮想空間61、62、63、・・・を生成する。
【0021】
個別仮想空間61、62、63、・・・への入場者は、モデリング部81において自身の姿をスキャンして3次元画像を形成するか、アバター画像を準備する。アバター画像は、あらかじめ準備したもののほか、オブジェクト融合部13において作成してもよい。スキャンして作成した3次元画像情報又はアバター画像情報は、オブジェクト融合部13が現実空間融合部12に提供することにより、個別仮想空間に融合させることができる。
【0022】
以下では、図1に示した第1個別仮想空間61、第2個別仮想空間62、第3個別仮想空間63、・・・の例として、エンターテインメントルーム、ゲームルーム、メモリアルルーム、タイムトラベルルーム、観光ルーム、アドバイスルーム、物販ルーム、教育ルームを例に挙げて説明する。
【0023】
1 エンターテインメントルーム
エンターテインメントルームは、著名なアーチストによるコンサート等の公演、著名選手によるスポーツイベント等を提供する個別仮想空間であり、このルームには、ミュージシャン、役者、スポーツ選手等が、リアルな映像又はアバターとして登場する。仮想空間構築部11は、ライブステージ、舞台、スポーツ会場等の仮想空間を構築する。例えば、仮想空間構築部11がバーチャルなステージ等の画像を生成してもよいし、映像音声入力部17が現実のステージ等の3次元画像情報を取り込んで現実空間融合部12に提供し、その画像情報を仮想空間構築部11が用意した空の空間に融合させてもよい。
【0024】
また、モデリング部81によってスキャンされたアーチスト等の著名人の映像情報をオブジェクト融合部13が取り込み、現実空間融合部12が仮想空間構築部11に提供する。仮想空間構築部11は、バーチャルなステージ又は3次元画像情報から形成されたステージ上に著名人の映像を表示する。モデリング部81によってスキャンされたアーチストの映像情報をオブジェクト融合部13が取り込むほか、著名人のアバターの画像情報をオブジェクト融合部13が取り込むようにしてもよい。さらに、アバターの画像情報を外部から取り込むことに代えて、オブジェクト融合部13においてアバターを生成するようにしてもよい。
【0025】
エンターテインメントルームには、入場が制限されるプライベートエンターテインメントルームと、入場が制限されないパブリックエンターテインメントルームとがある。プライベートエンターテインメントルームは、入場制限部14がNFTによる認証を行い、NFTを所有する者のみに入場が認められる。また、図4に示すように、NFTが入場可能時間情報822を有する時間制限付きNFT821である場合は、その入場可能時刻になると入場が認められる。
【0026】
プライベートエンターテインメントルームに入場しようとする者は、入場可能時刻になってかあらこのルームのURLにアクセスすると、入場制限部14が時間制限付きNFT821の入場日情報823及び入場時刻情報824を参照し、入場可能な日及び時刻であることを確認すると、入場を許可する。入場するにあたっては、モデリング81においてスキャンして得た自身の3次元画像情報をオブジェクト融合部13が読み込んで現実空間融合部12に提供するか、又は、オブジェクト融合部13がアバター情報を現実空間融合部12へ提供すると、現実空間融合部12は、ステージ等の3次元画像中に自身の3次元画像又はアバターを重ねて表示する。
【0027】
プライベートエンターテインメントルーム内では、アーチストの講演、スポーツ選手による演技等のオブジェクトが提供され、入場者はこれらを体験することができる。そして、入場を許可された限られた人だけが、この体験をすることができるため、希少性の高いルームとなる。
【0028】

入場者の滞在時間が、入場可能時間情報822に含まれる退場時刻情報825で指定された時刻に近づくと、入場制限部14は、退場時刻が近づいていること、及び、退場すべき時刻を入場者の端末に表示させる。そして、退場時刻までに退出しなかった場合は、例えばある程度の猶予時間を経て強制的に退出させる。
【0029】
入場制限のないパブリックエンターテインメントルームには、一度に多くの人が入場するが、入場制限部14がNFTによる認証をしてもよいし、しなくてもよい。また、NFTが入場可能時間情報822を有する時間制限付きNFT821であってもよいし、入場時間情報を有しないNFTであってもよい。パブリックエンターテインメントルームには多くの人が入場するため、入場者の映像やアバターを表示しなくてもよい。
【0030】
エンターテインメントルームでは、あたかも現実空間にいるかのような満足感を入場者に与えることができる。特に、プライベートエンターテインメントルームでは、限られた入場者のみがその満足感を得ることができる。
【0031】
2 ゲームルーム
ゲームルームは、著名なプレイヤーとゲームで対戦できる空間であり、著名なプレイヤーがリアルな姿又はアバターとして登場し、入場者との対戦を提供する個別仮想空間である。この個別仮想空間は、仮想空間構築部11がバーチャルなゲーム会場の画像を生成してもよいし、映像音声入力部17が現実のゲーム会場の3次元画像情報を取り込んで現実空間融合部12に提供し、その画像情報を仮想空間構築部11が用意した空の空間に構築してもよい。
【0032】
エンターテインメントルームは、入場が制限されるプライベートエンターテインメントルームであり、入場制限部14がNFTによる入場制限を行う。また、NFTは、時間制限付きNFT821であり、入場可能時間のみ入場が認められる。著名なプレイヤーの対戦相手となる入場者は、ゲームの種類に応じてひとりの場合とふたり以上の場合とがあるが、いずれの場合も、入場制限部14がNFTによる認証を行い、NFTを所有する者のみに入場が認められる。
【0033】
モデリング部81によってスキャンされた著名なプレイヤーの映像情報をオブジェクト融合部13が取り込み、現実空間融合部12が仮想空間構築部11に提供する。仮想空間構築部11は、ゲーム会場の3次元画像上に著名なプレイヤーの3次元画像を表示する。なお、そのプレイヤーのアバターの画像情報をオブジェクト融合部13が取り込むようにしてもよい。一方、著名なプレイヤーと対戦する入場者も、モデリング部81によってスキャンされた入場者の映像情報をオブジェクト融合部13が取り込んでもよいし、そのプレイヤーのアバターの画像情報をオブジェクト融合部13が取り込むようにしてもよい。
【0034】
エンターテインメントルーム内では、著名なプレイヤーと入場者とがゲームで対戦する。入場者は、あたかも著名なプレイヤーとリアルな世界で対戦しているかのような満足感を得ることができる。なお、ゲームは、既存のゲーム、新作のゲームのいずれでもよい。新作ゲームの場合は、ゲームエンジンを用いてつくることができる。
【0035】
3 メモリアルルーム
メモリアルルームは、故人又は故ペットのリアルな姿を表示したり、肉声を聞いたりすることができる空間である。現実仮想融合空間配信装置1は、故人や故ペットの生前の映像又は音声を入力するメモリアル情報入力部16を備えており、ここから入力された映像や音声は、現実空間融合部12によって仮想空間構築部11に提供される。仮想空間構築部11は、その映像や音声を使用してメモリアルルームを生成する。
【0036】
モデリング部81によってスキャンされた生前の故人又は故ペットの映像情報をオブジェクト融合部13が取り込み、現実空間融合部12が仮想空間構築部11に提供してもよい。また、オブジェクト融合部13がアバターを生成して現実空間融合部12に提供してもよい。映像情報、アバターのいずれについても、その故人又は故ペットのキャラクタを学習させることにより、故人又は故ペットに近い性格を有するオブジェクトを生成することができる。
【0037】
メモリアルルームは、入場が制限されるプライベートルームであり、入場制限部14がNFTによる入場制限を行う。また、NFTを時間制限付きNFT821として、入場可能時間のみ入場が認められるようにしてもよい。入場者は、ひとりの場合とふたり以上の場合とがあるが、いずれの場合も、入場制限部14がNFTによる認証を行い、NFTを所有する者のみに入場が認められる。
【0038】
メモリアルルーム内では、入場者が故人又は故ペットの生前の姿を見たり肉声を聴いたりすることができる。また、故人のオブジェクトに故人のキャラクタを学習させることにより、その故人との会話を楽しむこともできる。
【0039】
4 タイムトラベルルーム
タイムトラベルルームは、入場者に過去又は未来の映像中におけるタイムトラベルを提供する個別仮想空間である。映像音声入力部17から過去又は未来の映像を入力し、さらに、必要に応じて音声も入力する。映像音声入力部17から入力された映像又は音声は、現実空間融合部12が仮想空間構築部11に提供する。仮想空間構築部11は、その映像を使用してタイムトラベルルームを生成する。
【0040】
入場者が自分が行きたい時期を指定すると、現実空間融合部12がその時期の映像を仮想空間構築部11に提供し、仮想空間構築部11は、その映像を使用してプライベートトラベルルームを生成する。入場者の姿は、タイムトラベルルーム内に表示してもよいし、表示しなくてもよい。表示する場合は、モデリング部81によってスキャンされた入場者の映像情報をオブジェクト融合部13が取り込んで現実空間融合部13に提供するか、又は、オブジェクト融合部13がアバター情報を現実空間融合部12に提供する。また、オブジェクト融合部13がアバターを生成して現実空間融合部12に提供してもよい。
【0041】
タイムトラベルルームは、入場が制限されるプライベートルームであり、入場制限部14がNFTによる入場制限を行う。また、NFTを時間制限付きNFT821として、入場可能時間のみ入場が認められるようにしてもよい。入場者は、ひとりの場合とふたり以上の場合とがあるが、いずれの場合も、入場制限部14がNFTによる認証を行い、NFTを所有する者のみに入場が認められる。
【0042】
タイムトラベルルームでは、過去又は未来の映像又は音声を多く準備しておくことにより、入場者は様々な時代を体験することができる。
【0043】
5 観光ルーム
観光ルームは、入場者に国内又は海外若しくは宇宙の旅行体験を提供する個別仮想空間である。旅行先の映像は、映像音声入力部17から入力し、現実空間融合部12が仮想空間構築部11に提供する。仮想空間構築部11は、その映像を使用して観光ルームを生成する。
【0044】
入場者が行きたい場所を指定すると、現実空間融合部12がその場所の映像を映像音声入力部17から読み込んで仮想空間構築部11に提供し、仮想空間構築部11がその映像を使用して旅行ルームを生成する。入場者の姿は、観光ルーム内に表示してもよいし、表示してもしなくてもよい。表示する場合は、モデリング部81によってスキャンされた入場者の映像情報をオブジェクト融合部13が取り込んで現実空間融合部12に提供するか、又は、オブジェクト融合部13がアバター情報を現実空間融合部12に提供する。また、オブジェクト融合部13がアバターを生成して現実空間融合部12に提供してもよい。
【0045】
観光ルームは、入場が制限されるプライベートルーム、入場が制限されないパブリックルームのいずれでもよい。プライベートルームの場合は、入場制限部14がNFTによる入場制限を行う。また、NFTを時間制限付きNFT821として、入場可能時間のみ入場が認められるようにしてもよい。入場者は、ひとりの場合とふたり以上の場合とがある。パブリックルームの場合は、多数の入場者を受け入れ、その多数の入場者が同じ旅行体験をすることができるバーチャルツアーとしてもよい。
【0046】
なお、観光ルームのオブジェクトが国内の映像の場合は、ふるさと納税ルームとすることもできる。ふるさと納税ルームは、入場者に、国内の地域観光体験を提供するとともに、その観光地に対するふるさと納税(寄付)を可能とする個別仮想空間である。旅行先の映像は、映像音声入力部17から入力し、現実空間融合部12が仮想空間構築部11に提供する。仮想空間構築部11は、その映像を使用してふるさと納税ルームを生成する。仮想空間構築部11は、地域ごとにふるさと納税ルームをつくることができる。
【0047】
仮想空間構築部11は、地域の特産品・名産品をはじめとする種々の商品を取りそろえた店舗を生成し、入場者に商品の購入を可能とする。映像音声入力部17から、その店舗の現実の映像を入力して現実空間融合部11に提供して仮想空間構築部11がその映像を使用して店舗を生成してもよい。
【0048】
仮想空間構築部11は、地域の店舗の集まりからなる仮想ショッピングモールを生成することもできる。この場合、入場者は、ショッピングモール内を歩いて各店舗を訪問し、気に入った商品を購入することができる。
【0049】
現実空間融合部11は、映像音声入力部17から地域紹介の動画や音声等入力し、仮想空間構築部11に提供することができる。入場者は、動画を見る等することにより、地域についての知識を得ることができる。
【0050】
入場者は地域や特産品・名産品についての理解を深めた後に、その地域にふるさと納税するか否かを決めることができる。このふるさと納税ルームには、店舗に展示されている商品の購入を可能とする決済機能を備えている。入場者は、気に入った商品を選んで決済方法を選択することにより、その商品を購入することができる。
【0051】
入場者の姿は、ふるさと納税ルーム内に表示してよいし、表示しなくてもよい。表示する場合は、モデリング部81によってスキャンされた入場者の映像情報をオブジェクト融合部13が取り込んで現実空間融合部12に提供するか、又は、オブジェクト融合部13がアバター情報を現実空間融合部12に提供する。また、オブジェクト融合部13がアバターを生成して現実空間融合部12に提供してもよい。
【0052】
ふるさと納税ルームには、広告スペースが設けられ、地域の店舗等は、その広告スペースに広告を出すことができる。広告の表示の仕方に制限はなく、店舗の看板のように常時表示してもよいし、入場者が店舗の前に差し掛かったときに表示するようにしてもよい。広告は、その店舗の商品等に関するものでもよいし、その店舗とは関係のないものでもよい。
【0053】
また、ふるさと納税ルームでは、パーティ、イベント等を開催してもよい。例えば、その地域の出身の著名人の映像情報をモデリング部81からオブジェクト融合部13に入力したり、アバター情報をオブジェクト融合部13に入力したりして現実空間融合部12に提供し、その映像又はアバターをルーム内に登場させてもよい。
【0054】
ふるさと納税ルームでは、通常のふるさと納税のように、その地域についての知識がなく観光もしたことがない状態で寄付をして返礼品を受け取るのではなく、バーチャルな観光をしたり地域や商品についての知識を得たりした後に寄付するか否かを決めることができる。
【0055】
6 アドバイスルーム
アドバイスルームでは、入場者は、美容、健康、・・・等の様々な分野の専門家からのアドバイスを受けることができる。例えば、美容の専門家が入場者に対して美容のアドバイスをする場合、モデリング部81によってスキャンされた専門家及び入場者の映像情報をオブジェクト融合部13が取り込んで現実空間融合部12に提供するか、又は、オブジェクト融合部13がアバター情報を現実空間融合部12に提供する。また、オブジェクト融合部13がアバターを生成して現実空間融合部12に提供してもよい。入場者の映像やアバターは、メイク用品を自由に使用したり、美容の専門家にメイクしてもらうことが可能となる。
【0056】
アドバイスルームでは、特定の分野における著名な専門家がリアルな映像又はアバターとして登場し、入場者は、その専門家からのアドバイスをもらうことができ、希少な体験をすることができる。また、専門家のオブジェクトに入場者に関する情報を学習させることにより、より質の高いアドバイスをすることが可能になる。
【0057】
アドバイスルームは、入場が制限されるプライベートルームであり、入場制限部14がNFTによる入場制限を行う。また、NFTを時間制限付きNFT821として、入場可能時間のみ入場が認められるようにしてもよい。入場者は、ひとりの場合とふたり以上の場合とがあるが、いずれの場合も、入場制限部14がNFTによる認証を行い、NFTを所有する者のみに入場が認められる。
【0058】
7 物販ルーム
物販ルームは、入場者に、種々の商品の購入を可能とするEコマース店舗である。仮想空間構築部11は、商品を陳列できる空間を生成する。たとえば、実際の店舗の画像を映像音声入力部17から入力して現実空間融合部12が仮想空間構築部11に提供してもよいし、仮想空間構築部11が仮想店舗を構築してもよい。また、仮想空間構築部11がショッピングモールのようなバーチャルな商店街を構築してもよい。
【0059】
販売対象の商品は、モデリング部81によってスキャンされて形成された3次元画像をオブジェクト融合部13が取り込み、現実空間融合部12が店舗内に表示する。入場者の映像等は表示しても表示しなくてもよい。表示する場合は、モデリング部81においてスキャンされた入場者の映像情報をオブジェクト融合部13が取り込んで現実空間融合部11に提供するか、又は、オブジェクト融合部13がアバター情報を現実空間融合部11に提供する。また、オブジェクト融合部13がアバターを生成して現実空間融合部12に提供してもよい。
【0060】
物販ルームには、入場が制限されるプライベート物販ルームと、入場が制限されないパブリック物販ルームとがある。プライベート物販ルームは、入場制限部14がNFTによる認証を行い、NFTを所有する者のみに入場が認められる。NFTを時間制限付きNFT821として、入場可能時間のみ入場が認められるようにしてもよい。
【0061】
物販ルームの入場者は、気に入った商品を手に取り、いろいろな角度からその商品を見ることができ、また、商品が衣服の場合は、自身の映像又はアバターに試着することができる。このように、通常のインターネットショッピングのシステムとは異なり、商品を立体的に見たり試着したりすることができる。
【0062】
8 教育ルーム
教育ルームは、種々の分野の講師等の教育者が入場者に対して各種の教育を行う。仮想空間構築部11は、学校や塾の教室、個室等の映像を映像音声入力部17から入力し現実空間融合部12が仮想空間構築部11に提供することにより構築してもよいし、仮想空間構築部11がバーチャルな教室等を生成してもよい。
【0063】
教育ルームでは、モデリング部81によってスキャンされた教育者の映像情報をオブジェクト融合部13が取り込んで現実空間融合部12に提供するか、又は、オブジェクト融合部13が教育者のアバター情報を現実空間融合部12に提供する。また、オブジェクト融合部13がアバターを生成して現実空間融合部12に提供してもよい。
【0064】
教育ルームでは、特定の分野における人気講師等の著名な教育者がリアルな映像又はアバターとして登場し、入場者は、その教育者からの講義を受けたり、その教育者に対して直接質問したりすることができる。また、教育者のオブジェクトに入場者に関する情報を学習させることにより、より質の高い教育を提供することが可能になる。
【0065】
教育ルームには、入場が制限されるプライベート教育ルームと、入場が制限されないパブリック教育ルームとがある。プライベート教育ルームは、入場制限部14がNFTによる認証を行い、NFTを所有する者のみに入場が認められる。NFTを時間制限付きNFT821として、入場可能時間のみ入場が認められるようにしてもよい。
【0066】
以上のように、仮想空間構築部11によって構築される個別仮想空間には種々のものがあり、上記実施形態には限定されない。
【符号の説明】
【0067】
1:現実仮想融合空間配信装置、
2:インターネット、3:パソコン、4:スマートフォン、5:VRゴーグル
11:仮想空間構築部、12:現実空間融合部、13:オブジェクト融合部、
14:入場制限部、15:時間管理部、16:メモリアル情報入力部、
17:映像音声入力部、
60:仮想空間、61:第1個別仮想空間、62:第2個別仮想空間、
63:第3個別仮想空間、
81:モデリング部、82:NFT発行部、
821:時間制限付きNFT、822:入場可能時間情報、823:入場日情報、
824:入場時刻情報、825:退場時刻情報
図1
図2
図3
図4