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特開2024-8464情報提供装置、情報提供方法、プログラム及び記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008464
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】情報提供装置、情報提供方法、プログラム及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/10 20060101AFI20240112BHJP
   H04M 11/04 20060101ALI20240112BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
G08B25/10 D
H04M11/04
G08B25/04 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110362
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 岳樹
(72)【発明者】
【氏名】左近 昌嗣
【テーマコード(参考)】
5C087
5K201
【Fターム(参考)】
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA60
5C087BB74
5C087DD03
5C087DD08
5C087DD14
5C087EE14
5C087EE18
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG83
5K201AA05
5K201BA03
5K201CA01
5K201CA07
5K201EC06
5K201ED04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】緊急事態の発生時に複数の連絡先に詳しい情報を通知することが可能な情報提供装置、情報提供方法、プログラム及び記録媒体を提供する。
【解決手段】移動体又は移動体の搭乗者に異常が発生したことを検知し、外部に情報提供を行う情報提供装置10であって、移動体又は移動体の搭乗者の現在の状況を検出する状況検出部13と、状況検出部が検出した状況に基づいて第1の連絡先に発呼する発呼部(電話発信部16)と、発呼による搭乗者と第1の連絡先との第1の通話の音声を取得する通話音声取得部17と、外部からの着信を受けた場合に、第1の通話の音声に基づいて生成された通話情報を着信元に対して提供する提供部(電話発信部16)と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体又は前記移動体の搭乗者の現在の状況を検出する状況検出部と、
前記状況検出部が検出した状況に基づいて第1の連絡先に発呼する発呼部と、
前記発呼による前記搭乗者と前記第1の連絡先との第1の通話の音声を取得する通話音声取得部と、
外部からの着信を受けた場合に、前記第1の通話の音声に基づいて生成された通話情報を着信元に対して提供する提供部と、
を有することを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
前記搭乗者と前記第1の連絡先との通話の音声を第1の通話音声として取得する音声取得部を有し、
前記提供部は、外部からの電話を着呼した場合に、当該外部との通話において前記第1の通話音声に基づく音声データを再生することにより、前記通話情報を提供することを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記音声取得部が取得した前記第1の通話音声に基づいて、前記搭乗者と前記第1の連絡先との通話の内容を要約した要約音声データを生成する要約音声生成部を有し、
前記提供部は、外部からの電話を着呼した場合に、当該外部との通話において前記要約音声データを再生することにより、前記通話情報を提供することを特徴とする請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記搭乗者と前記第1の連絡先との通話の音声に基づいて、前記通話の内容を表すテキストデータを生成するテキスト生成部を有し、
前記提供部は、外部からの着信を受けた場合に、当該着信への応答として前記テキストデータを含むメッセージを送信することにより、前記通話情報を提供することを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記テキスト生成部は、前記搭乗者と前記第1の連絡先との通話の内容を要約した要約テキストデータを生成し、
前記提供部は、外部からの着信を受けた場合に、当該着信への応答として前記要約テキストデータを含むメッセージを送信することにより、前記通話情報を提供することを特徴とする請求項4に記載の情報提供装置。
【請求項6】
前記搭乗者と前記第1の連絡先との通話の音声を第1の通話音声として取得する音声取得部と、
前記第1の通話音声に基づく音声データをサーバにアップロードする通信部と、
を有し、
前記提供部は、外部からの着信を受けた場合に、当該着信への応答として前記サーバ上の前記音声データにアクセスするためのアクセス情報を含むメッセージを送信することにより、前記通話情報を提供することを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項7】
前記音声取得部が取得した前記第1の通話音声に基づいて、前記搭乗者と前記第1の連絡先との通話の内容を要約した要約音声データを生成する要約音声生成部を有し、
前記通信部は、前記音声データを前記サーバにアップロードし、
前記提供部は、外部からの着信を受けた場合に、当該着信への応答として前記サーバ上の前記要約音声データにアクセスするためのアクセス情報を含むメッセージを送信することにより、前記通話情報を提供することを特徴とする請求項6に記載の情報提供装置。
【請求項8】
情報提供装置が実行する情報提供方法であって、
移動体又は前記移動体の搭乗者の現在の状況を検出する状況検出ステップと、
前記状況検出ステップで検出した状況に基づいて第1の連絡先に発呼する発呼ステップと、
前記発呼による前記搭乗者と前記第1の連絡先との第1の通話の音声を取得する通話音声取得ステップと、
外部からの着信を受けた場合に、前記第1の通話の音声に基づいて生成された通話情報を着信元に対して提供する情報提供ステップと、
を含むことを特徴とする情報提供方法。
【請求項9】
コンピュータに、
移動体又は前記移動体の搭乗者の現在の状況を検出する状況検出ステップと、
前記状況検出ステップで検出した状況に基づいて第1の連絡先に発呼する発呼ステップと、
前記発呼による前記搭乗者と前記第1の連絡先との第1の通話の音声を取得する通話音声取得ステップと、
外部からの着信を受けた場合に、前記第1の通話の音声に基づいて生成された通話情報を着信元に対して提供する情報提供ステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
コンピュータに、
移動体又は前記移動体の搭乗者の現在の状況を検出する状況検出ステップと、
前記状況検出ステップで検出した状況に基づいて第1の連絡先に発呼する発呼ステップと、
前記発呼による前記搭乗者と前記第1の連絡先との第1の通話の音声を取得する通話音声取得ステップと、
外部からの着信を受けた場合に、前記第1の通話の音声に基づいて生成された通話情報を着信元に対して提供する情報提供ステップと、
を実行させるためのプログラムを記録することを特徴とする記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供装置、情報提供方法、プログラム及び記録媒体に関し、例えば、移動体又は移動体の搭乗者に何らかの異常が発生したことを検知し、その情報を外部に提供するための情報提供装置、情報提供方法、プログラム及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の事故やドライバの異常等の緊急事態が発生した際に通報を行う通報システムとして、ドライバの異常や事故の発生を検出し、警察等の緊急連絡先や自宅等の連絡先にロボットボイスで通報を行う緊急通報システムが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-293208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術のような緊急通報システムでは、複数の連絡先に対して自動的に通報を行うことはできるが、詳しい状況を説明することはできない。
【0005】
本発明の一態様が解決しようとする課題としては、上記従来技術のような緊急通報システムでは、通報の際に詳しい状況を説明することができないため、通報を受けた相手方の不安を大きくしてしまう場合があるという問題が一例として挙げられる。
【0006】
また、本発明の一態様が解決しようとする課題としては、上記従来技術のような緊急通報システムは、予め登録された連絡先に対して自発的に通報を行うシステムであるため、相手方から電話がかかってきた場合には対処することができないという問題が一例として挙げられる。
【0007】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではなく、本発明の一態様は、上述する課題のうち少なくとも一つの課題を解決するものである。更に、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【0008】
本発明は、上記した点に鑑みてなされたものであり、緊急事態の発生時に複数の連絡先に詳しい情報を通知することが可能な情報提供装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、情報提供装置であって、移動体又は前記移動体の搭乗者の現在の状況を検出する状況検出部と、前記状況検出部が検出した状況に基づいて第1の連絡先に発呼する発呼部と、前記発呼による前記搭乗者と前記第1の連絡先との第1の通話の音声を取得する通話音声取得部と、外部からの着信を受けた場合に、前記第1の通話の音声に基づいて生成された通話情報を着信元に対して提供する提供部と、を有することを特徴とする。
【0010】
請求項8に記載の発明は、情報提供装置が実行する情報提供方法であって、移動体又は前記移動体の搭乗者の現在の状況を検出する状況検出ステップと、前記状況検出ステップで検出した状況に基づいて第1の連絡先に発呼する発呼ステップと、前記発呼による前記搭乗者と前記第1の連絡先との第1の通話の音声を取得する通話音声取得ステップと、外部からの着信を受けた場合に、前記第1の通話の音声に基づいて生成された通話情報を着信元に対して提供する情報提供ステップと、を含むことを特徴とする。
【0011】
請求項9に記載の発明は、コンピュータに、移動体又は前記移動体の搭乗者の現在の状況を検出する状況検出ステップと、前記状況検出ステップで検出した状況に基づいて第1の連絡先に発呼する発呼ステップと、前記発呼による前記搭乗者と前記第1の連絡先との第1の通話の音声を取得する通話音声取得ステップと、外部からの着信を受けた場合に、前記第1の通話の音声に基づいて生成された通話情報を着信元に対して提供する情報提供ステップと、を実行させることを特徴とする。
【0012】
請求項10に記載の発明は、コンピュータに、移動体又は前記移動体の搭乗者の現在の状況を検出する状況検出ステップと、前記状況検出ステップで検出した状況に基づいて第1の連絡先に発呼する発呼ステップと、前記発呼による前記搭乗者と前記第1の連絡先との第1の通話の音声を取得する通話音声取得ステップと、外部からの着信を受けた場合に、前記第1の通話の音声に基づいて生成された通話情報を着信元に対して提供する情報提供ステップと、を実行させるためのプログラムを記録することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例1の情報提供装置の構成を示すブロック図である。
図2】通話音声取得処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
図3】実施例1の第1処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
図4】実施例1の第2処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
図5】実施例1の変形例の情報提供装置の構成を示すブロック図である。
図6】変形例の第1処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
図7】実施例2の情報提供装置の構成を示すブロック図である。
図8】実施例2の第1処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
図9】実施例2の第2処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
図10】実施例2の変形例の情報提供装置の構成を示すブロック図である。
図11】変形例の第1処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
図12】実施例3の情報提供装置の構成を示すブロック図である。
図13】実施例3の第1処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
図14】実施例3の第2処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
図15】実施例3の変形例の情報提供装置の構成を示すブロック図である。
図16】変形例の第1処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
図17】実施例1の変形例である情報提供システムの構成を示すブロック図である。
図18】実施例2の変形例である情報提供システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下の各実施例における説明及び添付図面においては、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符号を付している。
【実施例0015】
図1は、本実施例の情報提供装置10の構成を示すブロック図である。情報提供装置10は、移動体又は移動体の搭乗者に異常が発生したことを検知し、外部に情報提供を行う装置である。情報提供装置10は、例えば移動体としての車両に搭載された車載用のナビゲーション装置から構成されている。
【0016】
情報提供装置10は、画像情報取得部11、センサ情報取得部12、状況検出部13、連絡先記憶部14、処理制御部15、電話発信部16、通話音声取得部17、再生処理部18及び電話着信部19を有する。
【0017】
画像情報取得部11は、車両に設けられた車外撮影カメラ及び車内撮影カメラが撮影した画像を取得する。
【0018】
センサ情報取得部12は、車両に搭載された各種センサの計測結果をセンサ情報として取得する。例えば、センサ情報取得部12は、GPS(Global Positioning System)センサが取得した車両の位置情報を取得する。また、センサ情報取得部12は、IMU(Inertial Measurement Unit)が計測した車両の加速度の情報を取得する。また、センサ情報取得部12は、車両に搭載された生体センサが取得した搭乗者の生体情報(例えば、ドライバの心拍数や血圧等の情報)を取得する。
【0019】
状況検出部13は、画像情報取得部11が取得した画像情報及びセンサ情報取得部12が取得したセンサ情報のうちの少なくともいずれかに基づいて、車両及び搭乗者の現在の状況を検出する。
【0020】
具体的には、状況検出部13は、センサ情報取得部12が取得した車両についてのセンサ情報に基づいて、車両の故障や事故の発生を検出する。例えば、状況検出部13は、加速度の変化及び車両位置の情報に基づいて、事故の発生を検出する。また、状況検出部13は、センサ情報取得部12が取得した心拍数や血圧等の情報に基づいて、車両の搭乗者の健康状態の変化を検出する。
【0021】
連絡先記憶部14は、ハードディスク、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)等の不揮発性の記憶装置から構成されている。連絡先記憶部14は、複数の連絡先の情報を記憶する。
【0022】
本実施例では、連絡先記憶部14は、緊急事態の発生時に通報を行う通報先の電話番号を連絡先の情報として記憶する。複数の連絡先は、緊急事態の種類に応じて、第1の連絡先、第2の連絡先・・・のように順位付けされて記憶されている。例えば、事故が発生した際の連絡先として、警察、ロードサービス及び家族の電話番号が、それぞれ第1の連絡先、第2の連絡先及び第3の連絡先として記憶されている。また、例えば、搭乗者に急病が発生した際の連絡先として、救急(消防)、家族、職場の電話番号が、それぞれ第1の連絡先、第2の連絡先及び第3の連絡先として記憶されている。
【0023】
また、連絡先記憶部14は、緊急事態が発生した際に外部から電話の着信があった場合に、自動応答として情報提供を行う相手の連絡先の情報を記憶する。例えば、連絡先記憶部14は、職場や友人の電話番号を、自動応答を行うべき登録済み電話番号として記憶する。
【0024】
処理制御部15は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置から構成されている。処理制御部15は、情報提供装置10の各部の動作の制御を行うほか、緊急事態の検出及び外部への情報提供に関する各種の処理を実行する。
【0025】
例えば、処理制御部15は状況検出部13が検出した車両及び搭乗者の現在の状況に基づいて、事故や急病等、外部への通報が必要な緊急事態が発生したか否かを判定する。また、処理制御部15は、状況検出部13により検出された緊急事態の種類に応じて、連絡先記憶部14に記憶されている複数の連絡先の中から第1の連絡先及び第2以降の連絡先を選択する。
【0026】
電話発信部16は、処理制御部15が選択した第1の連絡先に対し、電話の発信(発呼)を行う。また、電話発信部16は、第1の連絡先との通話が終了した後、第2以降の連絡先に対し、順次電話の発信を行う。
【0027】
通話音声取得部17は、車両の搭乗者と第1の連絡先との通話(以下、第1の通話と称する)の通話音声を取得する。本実施例では、通話音声取得部17は、第1の通話の通話音声を録音し、録音データとして取得する。
【0028】
再生処理部18は、車両の搭乗者と第2以降の連絡先との通話において、通話音声取得部17が取得した録音データを再生する。また、再生処理部18は、通話音声取得部17が第1の通話の音声を取得した後、連絡先記憶部14に記憶された登録済みの連絡先から電話がかかってきた場合に、当該登録済みの連絡先との通話において録音データを再生する。
【0029】
電話着信部19は、緊急事態発生時に外部からかかってきた電話を着呼する。
【0030】
次に、本実施例の情報提供装置10の動作について説明する。情報提供装置10は、第1の連絡先との間で行われた第1の通話の通話音声を取得した後、第2以降の連絡先に発呼して第1の通話の通話音声を再生する第1処理、及び登録済みの連絡先からの電話を着呼して第1の通話の通話音声を再生する第2処理を実行する。
【0031】
まず、第1処理及び第2処理の前提となる通話音声取得処理について説明する。図2は、通話音声取得処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【0032】
状況検出部13は、画像情報取得部11が取得した画像情報及びセンサ情報取得部12が取得した各種センサ情報のうちの少なくともいずれかに基づいて、車両又は車両の搭乗者の現在の状況を検出する(STEP101)。
【0033】
処理制御部15は、状況検出部13が検出した状況に基づいて、外部への通報が必要なレベルの緊急事態が発生しているか否かを判定する(STEP102)。
【0034】
緊急事態が発生していないと判定すると(STEP102:NO)、STEP101に戻り、状況検出部13は、継続して車両及び搭乗者の現在の状況を検出する。
【0035】
一方、緊急事態が発生したと判定すると(STEP102:YES)、処理制御部15は、発生した緊急事態の種類に応じて、連絡先記憶部14に記憶されている連絡先の中から、情報提供の相手方となる第1の連絡先を選択する(STEP103)。
【0036】
電話発信部16は、選択された第1の連絡先に対して発呼(電話の発信)を行う(STEP104)。
【0037】
処理制御部15は、呼接続が確立したか否かを判定する(STEP105)。呼接続が確立していないと判定すると(STEP105:NO)、電話発信部16を制御して再び第1の連絡先への発呼を実行させる。
【0038】
呼接続が確立したと判定すると(STEP105:YES)、通話音声取得部17は、搭乗者と第1の連絡先との間の通話である第1の通話の通話音声を取得する(STEP106)。
【0039】
以上の処理により、第1の連絡先への発呼が行われ、搭乗者と第1の連絡先との通話音声が取得される。以下の第1処理及び第2処理は、通話音声取得処理において第1の通話の通話音声が取得されたことを前提として実行される。
【0040】
次に、本実施例の第1処理の処理動作について説明する。図3は、第1処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【0041】
処理制御部15は、発生した緊急事態の種類に応じて、連絡先記憶部14に記憶されている複数の連絡先の中から第2の連絡先を選択する(STEP107)。
【0042】
電話発信部16は、選択された第2の連絡先に発呼する(STEP108)。
【0043】
処理制御部15は、呼接続が確立したか否かを判定する(STEP109)。
【0044】
呼接続が確立していないと判定すると(STEP109:NO)、処理制御部15は、所定回数の発呼を試行したか否かを判定する(STEP110)。所定回数の発呼が施行されていないと判定すると(STEP110:NO)、STEP108に戻り、処理制御部15は、電話発信部16を制御して再び発呼を実行させる。
【0045】
一方、呼接続が確立したと判定すると(STEP109:YES)、当該呼接続による通話において、第1の通話の通話音声を再生する(STEP111)。
【0046】
STEP111の終了後、または、STEP110において所定回数の発呼が施行されたと判定すると(STEP110:YES)、処理制御部15は、発生した緊急事態の種類に基づいて、連絡先記憶部14に記憶されている複数の連絡先の中に、引き続き情報提供を行うべき他の連絡先(次の連絡先)があるか否かを判定する(STEP112)。
【0047】
次の連絡先があると判定すると(STEP112:YES)、処理制御部15は、当該次の連絡先を発呼の対象として選択する(STEP113)。STEP108に戻り、処理制御部15は、電話発信部16を制御して発呼を実行させる。
【0048】
次の連絡先がないと判定すると(STEP112:NO)、処理を終了する。
【0049】
以上のような処理ルーチンにより、情報提供装置10は、第1処理を実行する。
【0050】
第1処理では、事故や急病等の緊急事態が発生した際に、その緊急事態の種類に応じて選択された第1の連絡先に自動的に電話の発信を行い、搭乗者と第1の連絡先との通話である第1の通話の通話音声を取得する。続いて、第2の連絡先に電話の発信を行い、当該第2の連絡先との通話において第1の通話の通話音声を再生する。
【0051】
かかる第1処理によれば、搭乗者は、第1の連絡先との通話で説明した内容を、第2の連絡先との通話で再び説明する必要がないため、搭乗者の負担を軽減することができる。また、通知される内容は、搭乗者が実際に自分の口で語った内容であるため、ロボットボイス等で機械的に事実を伝達する場合とは異なり、相手方は車両又は搭乗者に何が起きたのかについて詳しい内容を知ることが可能となる。
【0052】
次に、本実施例の第2処理の処理動作について説明する。図4は、第2処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【0053】
処理制御部15は、連絡先記憶部14に記憶されている連絡先のうち、STEP102で発生したと判定された緊急事態の種類について情報提供の対象として記憶されている連絡先(以下、登録済みの連絡先)から電話がかかってきたか否かを判定する(STEP114)。
【0054】
登録済みの連絡先からの電話がかかってきた場合(STEP114:YES)、電話着信部19は、当該電話を着呼する(STEP115)。
【0055】
再生処理部18は、着呼により呼接続が確立された登録済みの連絡先との通話において、第1の通話の通話音声を再生する(STEP116)。
【0056】
以上のような処理ルーチンにより、情報提供装置10は、第2処理を実行する。
【0057】
第2処理では、第1の通話の通話音声を取得後、登録済みの連絡先からの電話を着信すると、当該登録済みの連絡先との通話において第1の通話の通話音声を再生する。
【0058】
かかる第2処理によれば、例えば事故後の対応で忙しい等の理由から搭乗者自身による電話対応が困難な場合に、搭乗者の負担を軽減することができる。また、緊急事態が発生した際に電話の着信があった場合に第2処理による自動応答を行う相手として、例えば、職場や特定の友人の連絡先を予め連絡先記憶部14に記憶しておくことで、当該職場や特定の友人からの電話の着信があった場合にのみ、緊急事態の状況を相手方に知らせることができる。
【0059】
なお、上記説明では、第2の連絡先又は登録した連絡先との通話において第1の通話の通話音声をそのまま再生する場合を例として示したが、これに限られず、例えば第1の通話音声を要約した要約音声を再生してもよい。
【0060】
図5は、要約音声に基づいて情報提供を行う変形例の情報提供装置10Aの構成を示すブロック図である。情報提供装置10Aは、要約音声生成部24を有する。
【0061】
要約音声生成部24は、通話音声取得部17が取得した第1の通話の通話音声に基づいて、第1の通話の要約音声を生成する。要約音声生成部24は、例えばAI(Artificial Intelligence)を用いて要約音声の生成を行う。
【0062】
図6は、変形例の情報提供装置10Aが実行する第1処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【0063】
変形例の第1処理も、上記の通話音声取得処理(図2のSTEP101~106)を前提として実行される。
【0064】
要約音声生成部24は、通話音声取得部17が取得した第1の通話の通話音声に基づいて、要約音声データを生成する(STEP106A)。
【0065】
処理制御部15は、発生した緊急事態の種類に応じて、連絡先記憶部14に記憶されている複数の連絡先の中から第2の連絡先を選択する(STEP107)。電話発信部16は、選択された第2の連絡先に発呼する(STEP108)。
【0066】
処理制御部15は、呼接続が確立したか否かを判定する(STEP109)。呼接続が確立していないと判定すると(STEP109:NO)、処理制御部15は、所定回数の発呼を試行したか否かを判定する(STEP110)。所定回数の発呼が施行されていないと判定すると(STEP110:NO)、STEP108に戻り、処理制御部15は、電話発信部16を制御して再び発呼を実行させる。
【0067】
一方、呼接続が確立したと判定すると(STEP109:YES)、当該呼接続による通話において、STEP106Aで生成した要約音声データを再生する(STEP111A)。
【0068】
STEP111Aの終了後、または、STEP110において所定回数の発呼が施行されたと判定すると(STEP110:YES)、処理制御部15は、発生した緊急事態の種類に基づいて、連絡先記憶部14に記憶されている複数の連絡先の中に、引き続き情報提供を行うべき他の連絡先(次の連絡先)があるか否かを判定する(STEP112)。
【0069】
次の連絡先があると判定すると(STEP112:YES)、処理制御部15は、当該次の連絡先を発呼の対象として選択する(STEP113)。その後、STEP108に戻り、STEP108~STEP112の処理(発呼、呼接続の確立、要約音声データの再生)を再び実行する。
【0070】
次の連絡先がないと判定すると(STEP112:NO)、処理を終了する。
【0071】
以上のような処理ルーチンにより、変形例の情報提供装置10Aは、第1処理を実行する。なお、変形例の第2処理も、変形例の第1処理と同様に、上記実施例の第2処理における第1の通話の通話音声の再生を要約音声データの再生に変更したものである。
【0072】
これらの変形例の処理では、第1の通話の通話音声に基づいて要約音声データを生成し、第2の連絡先又は登録済みの連絡先との通話において当該要約音声データを再生する。かかる処理によれば、第1の通話音声の音声データをそのまま再生する場合と比べて、短時間で状況を伝えることが可能であるため、情報提供の時間を短縮することができる。
【実施例0073】
次に、本発明の実施例2について説明する。
【0074】
図7は、本実施例の情報提供装置20の構成を示すブロック図である。情報提供装置20は、画像情報取得部11、センサ情報取得部12、状況検出部13、連絡先記憶部14、処理制御部15、電話発信部16、通話音声取得部17、音声テキスト変換部21及びメール送受信部22を有する。
【0075】
音声テキスト変換部21は、通話音声取得部17が取得した第1の通話の通話音声をテキストに変換し、第1の通話の音声をテキスト化したテキストデータ(以下、第1の通話のテキストデータと称する)を生成する。
【0076】
メール送受信部22は、連絡先記憶部14に記憶されている複数の連絡先の各々との間で、メールの送受信を行う。
【0077】
具体的には、メール送受信部22は、本実施例の第1処理において、第1の通話のテキストデータを含むメール(例えば、第1の通話のテキストデータが本文に記載されたメール又はデータファイルとして添付されたメール)を、第2の連絡先に送信する。また、メール送受信部22は、本実施例の第2処理において、登録済みの連絡先からメールを受信すると、そのメールに対する返信として、第1の通話のテキストデータを含むメールを当該登録済みの連絡先に送信する。
【0078】
次に、本実施例の情報提供装置20の動作について説明する。情報提供装置20は、第1の連絡先との間で第1の通話が行われ、第1の通話の通話音声が取得された後、第1の通話の通話音声に基づいてテキストデータを生成し、第2以降の連絡先に送信する第1処理、及び登録済みのアドレスからメールを受信した場合に、その応答として第1の通話のテキストデータを送信する第2処理を実行する。
【0079】
まず、本実施例の第1処理の処理動作について説明する。図8は、第1処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。なお、本実施例も実施例1と同様の通話音声取得処理(図2のSTEP101~106)を前提としているため、ここではその説明を省略する。
【0080】
音声テキスト変換部21は、通話音声取得部17が取得した第1の通話の通話音声をテキストに変換し、第1の通話のテキストデータを生成する(STEP201)。
【0081】
処理制御部15は、第1の通話のテキストデータを含む通知メールを生成する(STEP202)。
【0082】
処理制御部15は、発生した緊急事態の種類に応じて、連絡先記憶部14に記憶されている複数の連絡先の中から第2の連絡先を選択する(STEP203)。STEP203では、発生した緊急事態の種類に応じた第2の連絡先として、複数の連絡先を選択することが可能である。
【0083】
メール送受信部22は、STEP202で生成された通知メールを第2の連絡先に送信し(STEP204)、その後、処理制御部15は、処理を終了する。
【0084】
以上のような処理ルーチンにより、情報提供装置20は、第1処理を実行する。
【0085】
第1処理では、事故や急病等の緊急事態が発生した際に、第1の連絡先に自動的に電話の発信を行い、搭乗者と第1の連絡先との通話である第1の通話の通話音声を取得する。そして、第1の通話の通話音声をテキストデータに変換し、当該テキストデータを含むメールを第2の連絡先に送信する。
【0086】
かかる第1処理によれば、搭乗者は、第1の連絡先との通話で説明した内容を、第2の連絡先に自動で通知することができるため、搭乗者の負担を軽減することができる。また、通知される内容は、搭乗者が実際に自分の口で語った内容をテキスト化したものであるため、ロボットボイス等で機械的に事実を伝達する場合とは異なり、相手方は車両又は搭乗者に何が起きたのかについて詳しい内容を知ることが可能となる。
【0087】
また、本実施例の第1処理では、メールを用いて情報提供を行うため、電話をかけて情報提供を行う場合とは異なり、必要な連絡先への通知を一斉に行うことが可能となり、遅延なく情報提供を行うことができる。さらに、相手方は自分の都合の良いタイミングで情報を確認することが可能である。
【0088】
次に、本実施例の第2処理の処理動作について説明する。図9は、第2処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【0089】
STEP201及び202の処理は、第1処理と同様である。すなわち、第2処理において、音声テキスト変換部21は第1の通話の通話音声をテキストに変換してテキストデータを生成し(STEP201)、処理制御部15は第1の通話のテキストデータを含む通知メールを生成する(STEP202)。
【0090】
連絡先記憶部14に記憶されている連絡先のうち、STEP102で発生したと判定された緊急事態の種類について情報提供の対象として記憶されている連絡先(以下、登録済みの連絡先)からメールの着信があったか否かを判定する(STEP207)。
【0091】
メールの着信があったと判定すると(STEP207:YES)、メール送受信部22は、着信したメールへの自動返信として、STEP202で作成した通知メールを送信する(STEP208)。
【0092】
以上のような処理ルーチンにより、情報提供装置20は、第2処理を実行する。
【0093】
第2処理では、第1の通話の通話音声を取得後、登録済みの連絡先からのメールを着信すると、第1の通話の通話音声をテキスト化した内容を含むメールを当該登録済みの連絡先に送信する。
【0094】
かかる第2処理によれば、例えば事故後の対応で忙しい等の理由から搭乗者によるメールへの返信対応が困難である場合に、自動的に応答を行うことが可能となる。また、緊急事態が発生した際にメールの着信があった場合に第2処理による自動応答を行う相手として、例えば、職場や特定の友人の連絡先(メールアドレス)を予め連絡先記憶部14に記憶しておくことで、当該職場や特定の友人からのメールの着信があった場合にのみ、緊急事態の状況を相手方に知らせることができる。
【0095】
なお、上記説明では、第1の通話の通話音声をテキストに変換して得られたテキストデータを第2の連絡先又は登録した連絡先に送信する場合を例として示した。しかし、送信するテキストデータは第1の通話の通話音声をそのままテキスト化したものに限られず、例えば第1の通話の通話内容を要約した要約テキストデータを送信してもよい。
【0096】
図10は、要約テキストデータを用いて情報提供を行う変形例の情報提供装置20Aの構成を示すブロック図である。情報提供装置20Aは、要約テキスト生成部23を有する。
【0097】
要約テキスト生成部23は、通話音声取得部17が取得した第1の通話の通話音声に基づいて、第1の通話の通話内容を要約した要約テキストデータを生成する。例えば、要約テキスト生成部23は、第1の通話の通話音声をテキストデータに変換し、AIを用いて当該テキストデータを要約することにより、要約テキストデータの生成を行う。
【0098】
図11は、変形例の情報提供装置20Aが実行する第1処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【0099】
変形例の第1処理も、上記の通話音声取得処理(図2のSTEP101~106)を前提として実行される。
【0100】
要約テキスト生成部23は、通話音声取得部17が取得した第1の通話の通話音声に基づいて、要約テキストデータを生成する(STEP201A)。
【0101】
処理制御部15は、要約テキストデータを含む通知メールを生成する(STEP202)。
【0102】
以降のSTEP203、STEP204の処理は、上記の説明と同様であるため、ここでは説明を省略する。なお、変形例の第2処理も、変形例の第1処理と同様に、上記実施例の第2処理で用いられる第1の通話の通話音声のテキストデータ(すなわち、通話音声をそのままテキスト化したテキストデータ)の代わりに、要約テキストデータを含む通知メールを送信するものである。
【0103】
これらの変形例の処理では、第1の通話の通話音声に基づいて要約テキストデータを生成し、第2の連絡先や登録済みの連絡先に送信する。かかる処理によれば、要点を抽出して通知を行うことができるため、相手方は効率よく状況を把握することが可能となる。
【実施例0104】
次に、本発明の実施例3について説明する。
【0105】
図12は、本実施例の情報提供装置30の構成を示すブロック図である。情報提供装置30は、画像情報取得部11、センサ情報取得部12、状況検出部13、連絡先記憶部14、処理制御部15、電話発信部16、通話音声取得部17、メール送受信部22及サーバ通信部31を有する。
【0106】
サーバ通信部31は、通信ネットワークを介してデータの送受信を行う通信装置であり、例えばNIC(Network Interface Card)等のネットワークアダプタから構成されている。サーバ通信部31は、サーバにアクセスし、通話音声取得部17が取得した第1の通話の音声データをサーバにアップロードする。
【0107】
メール送受信部22は、アップロードされた音声データのアドレスにアクセスするためのリンク情報を含むメールを送信する。具体的には、メール送受信部22は、本実施例の第1処理において、音声データにアクセスするためのリンク情報を含むメールを、第2の連絡先に送信する。また、メール送受信部22は、本実施例の第2処理において、登録済みの連絡先からメールを受信すると、そのメールに対する返信として、音声データにアクセスするためのリンク情報を含むメールを当該登録済みの連絡先に送信する。
【0108】
次に、本実施例の情報提供装置30の動作について説明する。情報提供装置30は、第1の連絡先との間で行われた第1の通話の通話音声を取得して音声データをサーバにアップロードし、当該音声データにアクセスするためのリンク情報を含む通知メールを第2以降の連絡先に送信する第1処理、及び登録済みのアドレスからメールを受信した場合に、その応答として通知メールを送信する第2処理を実行する。
【0109】
まず、本実施例の第1処理の処理動作について説明する。図13は、第1処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。なお、本実施例も実施例1と同様の通話音声取得処理(図2のSTEP101~106)を前提としているため、ここではその説明を省略する。
【0110】
サーバ通信部31は、通話音声取得部17が取得した第1の通話の通話音声の音声データをサーバにアップロードする(STEP301)。
【0111】
処理制御部15は、音声データにアクセスするためのリンク情報を含む通知メールを生成する(STEP302)。
【0112】
処理制御部15は、発生した緊急事態の種類に応じて、連絡先記憶部14に記憶されている複数の連絡先の中から第2の連絡先を選択する(STEP303)。STEP303では、発生した緊急事態の種類に応じた第2の連絡先として、複数の連絡先を選択することが可能である。
【0113】
メール送受信部22は、STEP302で生成された通知メールを第2の連絡先に送信し(STEP304)、その後、処理制御部15は、処理を終了する。
【0114】
以上のような処理ルーチンにより、情報提供装置30は、第1処理を実行する。
【0115】
第1処理では、事故や急病等の緊急事態が発生した際に、第1の連絡先に自動的に電話の発信を行い、搭乗者と第1の連絡先との通話である第1の通話の通話音声を取得する。そして、第1の通話の通話音声の音声データをサーバにアップロードし、当該音声データへアクセスするためのリンク情報を含むメールを第2の連絡先に送信する。
【0116】
第1処理の他の例として、情報提供装置30は、事故や急病等の緊急事態が発生した際に、第1の連絡先に自動的に電話の発信を行うと同時に、第2の連絡先にリンク情報を含むメールを送信し、搭乗者と第1の連絡先との第1の通話の開始時から通話音声の音声データを、順次、サーバへアップロードを開始させ、サーバは、リンク情報を介してアクセスしてきた閲覧者に通話音声の音声データをストリーミング配信するようにしてもよい。
【0117】
かかる第1処理によれば、搭乗者は、第1の連絡先との通話で説明した内容を、第2の連絡先に自動で通知することができるため、搭乗者の負担を軽減することができる。また、通知を受けた相手方は、サーバにアクセスすることにより、搭乗者が実際に自分の口で語った内容を聞くことができるため、車両又は搭乗者に何が起きたのかについて詳しい内容を知ることが可能となる。
【0118】
また、本実施例の第1処理では、メールを用いて情報提供を行うため、電話をかけて情報提供を行う場合とは異なり、必要な連絡先への通知を一斉に行うことが可能となり、遅延なく情報提供を行うことができる。さらに、相手方は自分の都合の良いタイミングで情報を確認することが可能である。さらに、本実施例の第1処理では、相手方はサーバにアクセスすることにより実際に行われた通話音声を聞くことができるため、テキストデータのみで情報提供が行われる場合よりも臨場感のある形で情報を得ることが可能となる。
【0119】
次に、本実施例の第2処理の処理動作について説明する。図14は、第2処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【0120】
STEP301及び302の処理は、第1処理と同様である。すなわち、第2処理において、サーバ通信部31は、第1の通話の通話音声の音声データをサーバにアップロードし(STEP301)、処理制御部15は音声データにアクセスするためのリンク情報を含む通知メールを生成する(STEP302)。
【0121】
連絡先記憶部14に記憶されている連絡先のうち、STEP102で発生したと判定された緊急事態の種類について情報提供の対象として記憶されている連絡先(以下、登録済みの連絡先)からメールの着信があったか否かを判定する(STEP307)。
【0122】
メールの着信があったと判定すると(STEP307:YES)、メール送受信部22は、着信したメールへの自動返信として、STEP302で作成した通知メールを送信する(STEP308)。
【0123】
以上のような処理ルーチンにより、情報提供装置30は、第2処理を実行する。
【0124】
第2処理では、第1の通話の通話音声を取得後、登録済みの連絡先からのメールを着信すると、第1の通話の通話音声の音声データにアクセスするためのリンク情報を含むメールを当該登録済みの連絡先に送信する。
【0125】
かかる第2処理によれば、例えば事故後の対応で忙しい等の理由から搭乗者によるメールへの返信対応が困難である場合に、自動的に応答を行うことが可能となる。また、緊急事態が発生した際にメールの着信があった場合に第2処理による自動応答を行う相手として、例えば、職場や特定の友人の連絡先(メールアドレス)を予め連絡先記憶部14に記憶しておくことで、当該職場や特定の友人からのメールの着信があった場合にのみ、緊急事態の状況を相手方に知らせることができる。
【0126】
なお、上記説明では、第1の通話の通話音声の音声データをサーバにアップロードし、当該音声データにアクセスするためのリンク情報を含む通知メールを第2の連絡先又は登録した連絡先に送信する場合を例として示した。しかし、サーバにアップロードする音声データは第1の通話の通話音声そのものの音声データに限られず、例えば第1の通話の通話内容を要約した要約音声データをサーバにアップロードしてもよい。
【0127】
図15は、要約音声データをサーバにアップロードして情報提供を行う変形例の情報提供装置30Aの構成を示すブロック図である。情報提供装置30Aは、要約音声生成部24を有する。
【0128】
要約音声生成部24は、通話音声取得部17が取得した第1の通話の通話音声に基づいて、AIを用いて第1の通話の要約音声を生成する。
【0129】
サーバ通信部31は、要約音声生成部24が生成した要約音声の音声データをサーバにアップロードする。
【0130】
図16は、変形例の情報提供装置30Aが実行する第1処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【0131】
変形例の第1処理も、上記の通話音声取得処理(図2のSTEP101~106)を前提として実行される。
【0132】
要約音声生成部24は、第1の通話の通話音声に基づいて、要約音声データを生成する(STEP310)。
【0133】
サーバ通信部31は、要約音声生成部24が生成した第1の通話の要約音声データをサーバにアップロードする(STEP301)。
【0134】
以降のSTEP302~304の処理は、上記の説明と同様であるため、ここでは説明を省略する。なお、変形例の第2処理も、変形例の第1処理と同様に、第1の通話の通話音声そのものをアップロードする代わりに要約音声データをアップロードし、その要約音声データにアクセスするためのリンク情報を含む通知メールを送信するものである。
【0135】
これらの変形例の処理によれば、相手方は通話内容を要約したものを音声として聞くことができるため、効率よく状況を把握することが可能となる。
【0136】
なお、本発明は上記各実施例で示したものに限られない。例えば、上記実施例1では、第2の連絡先又は登録済みの連絡先との通話において、第1の通話の通話音声を再生する場合を例として説明した。しかし、通話音声の再生に加えて、付加的な情報を通知してもよい。例えば、車両の現在位置の情報をロボットボイスによる音声で通知してもよい。また、通話音声の再生に先立って、通話音声を再生することを予告するアナウンスをロボットボイス等を用いて行ってもよい。
【0137】
また、上記実施例2及び実施例3では、第1の通話のテキストデータ又は通話音声にアクセスするためのリンク情報を含む通知メールを、第2の連絡先又は登録済みの連絡先に送信する場合を例として説明した。しかし、通知メールに含まれる内容はこれに限られず、付加的な情報を含むメールを送信するようにしてもよい。例えば、センサ情報取得部12が取得した搭乗者の生体情報や、車両の加速度情報等を付加情報としてメールに添付して送信してもよい。また、画像情報取得部11が取得した静止画像又は動画像をメールに添付して送信してもよい。
【0138】
また、上記実施例1及び実施例2では、メールを用いて情報提供を行う場合を例として説明した。しかし、情報提供の手段はメールに限られず、例えばショートメッセージや各種のSNS(Social Networking Service)等、メッセージを送信して情報提供を行うものであればよい。
【0139】
また、上記各実施例では、情報提供装置が車両に搭載されたナビゲーション装置から構成されている場合を例として説明した。しかし、情報提供装置はこれに限られず、例えばスマートフォンやタブレット端末等の携帯可能な端末装置であってもよい。その際、状況検出部は端末装置自身に備わっているカメラやセンサから情報を取得して状況検出を行ってもよく、車両に搭載されたカメラやセンサと連携して各種の情報を取得してもよい。
【0140】
また、上記各実施例では、情報提供装置が単独で第1処理及び第2処理を実行する場合を例として説明したが、例えば端末装置とサーバ装置とが協働することにより第1処理及び第2処理を実行するように構成されていてもよい。
【0141】
図17は、実施例1のさらなる変形例として、複数の端末装置10―1~10-n(nは、2以上の整数)及びサーバ装置40からなる情報提供システム100の構成を示すブロック図である。端末装置10―1~10-nとサーバ装置40とは、互いに無線通信によりデータの送受信が可能に構成されている。
【0142】
端末装置10-1~10-nの各々は、画像情報取得部11、センサ情報取得部12、状況検出部13、連絡先記憶部14、処理制御部15及び電話発信部16を有する。サーバ装置40は、通話音声取得部41、通信部42及び再生処理部43を有する。
【0143】
変形例の情報提供システム100では、端末装置10-1の各々の電話発信部16が第1の連絡先に発呼し、呼接続が確立されると、サーバ装置40の通話音声取得部41が第1の通話の通話音声を取得する。サーバ装置40の通信部42は第2の連絡先に発呼し、再生処理部43は第2の連絡先との通話において通話音声を再生する。
【0144】
同様に、図18は、実施例2の変形例として、複数の端末装置10―1~10-n及びサーバ装置50からなる情報提供システム200の構成を示すブロック図である。サーバ装置50は、通話音声取得部51、音声テキスト変換部52及び通信部53を有する。
【0145】
変形例の情報提供システム200では、サーバ装置50の通話音声取得部51が第1の通話の通話音声を取得し、音声テキスト変換部52が第1の通話の通話音声をテキストに変換してテキストデータを生成する。サーバ装置40の通信部42は、テキストデータを含む通知メールを第2の連絡先に送信する。
【0146】
これらの構成によれば、端末装置とサーバ装置とに機能が分散されるため、端末装置が単独で情報提供装置として動作する場合と比べて、端末装置の装置規模を抑えることが可能となる。
【0147】
また、上記各実施例では、情報提供装置が第1処理及び第2処理を実行する場合を例として説明したが、情報提供装置は、第1処理及び第2処理のうちのいずれかを一方を実行するように構成されていてもよい。
【0148】
また、上記各実施例で説明した一連の処理は、例えばROM(Read Only Memory)などの記録媒体に格納されたプログラムに従ったコンピュータ処理により行うことができる。
【符号の説明】
【0149】
10,20,30 情報提供装置
11 画像情報取得部
12 センサ情報取得部
13 状況検出部
14 連絡先記憶部
15 処理制御部
16 電話発信部
17 通話音声取得部
18 再生処理部
19 電話着信部
21 音声テキスト変換部
22 メール送受信部
23 要約テキスト生成部
24 要約音声生成部
31 サーバ通信部
40,50,60 サーバ装置
41,51,61 通話音声取得部
42,53,63 通信部
43 再生処理部
52 音声テキスト変換部
62 音声再生部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18