(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084663
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】エレベータインフォメーションシステムおよびエレベータ装置
(51)【国際特許分類】
B66B 3/00 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
B66B3/00 G
B66B3/00 F
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199026
(22)【出願日】2022-12-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-17
(71)【出願人】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000235
【氏名又は名称】弁理士法人 天城国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中務 匡
【テーマコード(参考)】
3F303
【Fターム(参考)】
3F303CA05
3F303CA08
3F303DB12
3F303DC32
(57)【要約】 (修正有)
【課題】目的とする施設に移動する際の利用者の利便性を向上する。
【解決手段】エレベータインフォメーションシステム100は、記憶装置110と表示装置120と表示位置設定部151と検知装置38と処理部153と座標計測部154と行先階出力部155とを備える。記憶装置110は、建物内における施設の配置を示す地図情報を格納する。表示装置120は、地図情報を3次元画像として表示する。表示位置設定部151は、地図情報を示す3次元画像を投影する空間における位置を設定する。検知装置38は、地図情報を示す3次元画像を指示する利用者の指を検知し、処理部153は、検知された情報から3次元画像を指示する利用者の指を特定する。座標計測部154は、地図情報を示す3次元画像が表示されている空間における利用者の指先の空間座標を計測する。行先階出力部155は、行先階として該当する施設が配置されている階を示す信号を出力する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内における施設の配置を示す地図情報を格納する記憶部と、
前記地図情報を3次元画像として表示する表示装置と、
前記地図情報を示す前記3次元画像を投影する空間における位置を設定する表示位置設定部と、
前記地図情報を示す前記3次元画像を指示する利用者の指を検知する検知装置と、
前記検知装置で検知された情報から前記3次元画像を指示する前記利用者の指を特定する処理部と、
前記地図情報を示す前記3次元画像が表示されている空間における前記利用者の指先の空間座標を計測する座標計測部と、
前記地図情報を示す前記3次元画像が表示されている空間における前記利用者の前記指先の空間座標が、前記地図情報を示す前記3次元画像における施設それぞれの空間座標と一致した場合、行先階として該当する施設が配置されている階を示す信号を出力する行先階出力部と、
を備えるエレベータインフォメーションシステム。
【請求項2】
前記表示装置は、ホログラム又はミストを利用した表示装置である、
請求項1に記載のエレベータインフォメーションシステム。
【請求項3】
前記表示位置設定部は、利用者が複数階のフロアそれぞれに配置された施設の配置を示す地図情報が視認できる位置に表示されるように、前記地図情報を表示する空間における位置を設定する、
請求項1に記載のエレベータインフォメーションシステム。
【請求項4】
利用者の音声を入力するマイクと、
利用者が発した音声から施設のカテゴリーを示すキーワードを抽出する音声処理部と、
を有し、
前記音声処理部は、前記記憶部内に格納されているビル内における施設の配置を示す前記地図情報において、抽出したキーワードが示すカテゴリーに属する施設を特定するパラメータを追加した地図情報を作成し、
前記表示装置は、前記抽出したキーワードが示すカテゴリーに属する施設を特定するパラメータを追加した地図情報を3次元画像として表示する、
請求項1に記載のエレベータインフォメーションシステム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のエレベータインフォメーションシステムを有するエレベータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータインフォメーションシステムおよびエレベータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、感染症防止の観点から、非接触検知器を利用した非接触で入力可能な操作パネル(呼びボタン)の利用が増えている。非接触で入力可能な操作パネルを利用する場合、乗りかご内の混雑時における利用者の寄りかかり等に起因して、利用者の操作意思に反した行先階等が入力されることが懸念される。この対策として、利用者のジェスチャーにより行先階等を入力する技術も開発されている。
【0003】
一般的には、操作パネルでは、建物内における施設の配置を示す地図情報は含まれておらず、利用者は、フロアごとの施設が記載された表示が掲載された場所に移動して、目的とする施設が配置されたフロアを検索して行先階を決定し、エレベータ内の操作パネルを操作して目的とする行先階へ向かう。さらに、目的階に到着後、目的とする施設が該当するフロアのどこに配置されているかわからないので、到着したフロアの地図が掲載されている場所に移動して、目的とする施設の配置場所を検索する。このように、利用者が目的とする施設に移動するためには、目的とする施設が存在する階の検索、エレベータ装置の操作、該当する階における目的とする施設の配置場所の検索、と複数の処理を複数の場所で行う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述の事情によりなされたもので、目的とする施設に移動する際の利用者の利便性を向上することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための実施形態に係るエレベータインフォメーションシステムは、記憶部と表示装置と表示位置設定部と検知装置と処理部と座標計測部と行先階出力部とを備える。記憶部は、建物内における施設の配置を示す地図情報を格納する。表示装置は、地図情報を3次元画像として表示する。表示位置設定部は、地図情報を示す3次元画像を投影する空間における位置を設定する。検知装置は、地図情報を示す3次元画像を指示する利用者の指を検知する。処理部は、検知装置で検知された情報から3次元画像を指示する利用者の指を特定する。座標計測部は、地図情報を示す3次元画像が表示されている空間における利用者の指先の空間座標を計測する。行先階出力部は、地図情報を示す3次元画像が表示されている空間における利用者の指先の空間座標が、地図情報を示す3次元画像における施設それぞれの空間座標と一致した場合、行先階として該当する施設が配置されている階を示す信号を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態に係るエレベータ装置の斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る乗りかごの内部を示す図である。
【
図3】本実施形態に係るエレベータインフォメーションシステムのブロック図である。
【
図4】本実施形態に係る表示装置が投影する3次元画像のイメージ図である。
【
図5】本実施形態に係るエレベータ装置の制御系を示すブロック図である。
【
図6】本実施形態に係る制御ユニットのブロック図である。
【
図7】本実施形態に係る表示装置が投影する3次元画像のイメージ図である。
【
図8】本実施形態に係るエレベータインフォメーションシステムのブロック図である。
【
図9】本実施形態に係る表示装置が投影する3次元画像のイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態を、図面を用いて説明する。説明には、適宜、相互に直交するX軸、Y軸、Z軸からなるXYZ座標系を用いる。本実施形態の説明に用いる図は一例を示すものである。
【0009】
(実施形態1)
図1は、本実施形態に係るエレベータ装置10の斜視図である。エレベータ装置10は、商業施設や居住施設などの建築物に設けられた昇降路11の内部に配置されている。
図1に示されるように、エレベータ装置10は、乗りかご31、カウンタウエイト50、昇降モータ40、ガイドレール21~24、制御盤70を有している。
【0010】
ガイドレール21~24それぞれは、長手方向をZ軸方向とする部材である。ガイドレール21と22は、乗りかご31を昇降自在にガイドするための一対の部材である。また、ガイドレール23と24は、カウンタウエイト50を昇降自在にガイドするための一対の部材である。ガイドレール21とガイドレール22は、Y軸方向に離間して配置されている。また、ガイドレール23と24も、同様にY軸方向に相互に離間して配置されている。
図1では、カウンタウエイト50のガイドレール23と24が、乗りかご31のガイドレール21と22に対してX軸方向に離間して配置されている。なお、ガイドレール21~24の配置は、
図1に示される配置に限定されるものではない。
【0011】
乗りかご31は、利用者を収容して昇降路11を昇降するユニットである。乗りかご31は、ガイドレール21と22の間に配置され、ガイドレール21と22に対して、上下方向に移動可能に取り付けられている。
【0012】
乗りかご31の+X側の側面には、内部に出入りするための開口部31aが形成されている。開口部31aは、乗りかご31の側面に沿って移動する一対の扉32によって、閉塞或いは開放される。扉32は、開閉モータ(
図1では、図示略)によって開閉される。
【0013】
カウンタウエイト50は、ガイドレール23と24に対して、上下方向に移動可能に取り付けられている。カウンタウエイト50の重量は、乗りかご31の重量に対して所定の割合になるように調整されている。
【0014】
昇降モータ40は、乗りかご31を昇降させるためのモータである。昇降モータ40は、昇降路11の上部に、回転軸がY軸に平行になるように配置されている。昇降モータ40の回転軸にはプーリー42が固定されている。
【0015】
昇降モータ40のプーリー42には、ワイヤ60が巻き回されている。ワイヤ60は、一端が、乗りかご31に固定され、他端が、カウンタウエイト50に固定されている。
【0016】
図2は、乗りかご31の内部を示す図である。
図2に示されるように、乗りかご31には、操作パネル36と表示装置120と検知装置(カメラ38)が設けられている。操作パネル36と表示装置120とカメラ38は、エレベータインフォメーションシステム100を構成する装置である。以下の例では、検知装置としてカメラ38を用いて詳述するが、検知装置はその他の例として、赤外線センサ、ミリ波などの電磁波を検知する装置でもよい。
【0017】
エレベータインフォメーションシステム100は、乗りかご31の利用者に建物内における施設の配置を示す地図情報を提供するとともに、乗りかご31の利用者から行き先階などを受け付けるためのインタフェースである。
図3は、エレベータインフォメーションシステム100のブロック図である。エレベータインフォメーションシステム100は、操作パネル36、記憶装置110、表示装置120、カメラ38、制御装置150を有する。
【0018】
操作パネル36は、乗りかご31の内壁面に設けられている。操作パネル36は、乗りかご31の利用者から、行き先階などを受け付けるためのインタフェースである。利用者は、操作パネル36を操作することで、乗りかご31の行き先階などの登録や、扉32の開閉を指示することができる。
【0019】
記憶装置110は、複数階のフロアを有するビル内における施設の配置を示す地図情報を格納している。ビル内における施設の配置を示す地図情報は、ビルの構造に対応した3次元情報である。地図情報は、施設それぞれの名称、その施設が提供するサービスを分類するカテゴリー(例えば、衣類、履物、飲食、メガネ、トイレ、階段等)を示す情報を含んでいる。
【0020】
表示装置120は、例えば、乗りかご31の入り口付近の床面に設けられている。表示装置120は、ビル内の地図情報を3次元画像として表示する装置である。表示装置120は、例えば、ホログラムを利用した表示装置である。表示装置120は、3次元画像を投影する位置に周囲からミスト等を噴出し、そのミストを利用して3次元画像を投影する装置であってもよい。
【0021】
図4は、表示装置120が投影するビル内の地図情報を示す3次元画像のイメージ図である。図中の直方体それぞれは、ビル内の店舗、トイレ、階段等の施設を示している。図の右側にあるZ軸方向に長い直方体は、エレベータ装置10の昇降路11を示している。
【0022】
図3に戻り、カメラ38は、乗りかご31の天井もしくは内壁面上方に設けられている。カメラ38は、表示装置120が表示した3次元画像を指示する利用者の指を撮影する装置である。カメラ38は、3次元画像を指示する利用者の指を撮影できるように配置されている。カメラ38は、複数のカメラで構成されていてもよい。
【0023】
制御装置150は、表示位置設定部151、処理部(画像処理部153)、座標計測部154、行先階出力部155を有する。検知装置としてカメラ38を用いる場合、処理部について画像処理部153として、以下に詳述する。
【0024】
表示位置設定部151は、表示装置120が地図情報を示す3次元画像を表示する際の空間における3次元画像の位置を設定する。具体的には、表示位置設定部151は、表示装置120によって表示された3次元画像が利用者に視認しやすい位置になるように、3次元画像の表示座標を示すパラメータを表示装置120に送信する。表示装置120は、そのパラメータに基づいて地図情報を示す3次元画像を空間に表示する。利用者は、例えば、携帯端末200から制御装置150に信号を送信することで、地図情報を示す3次元画像の位置(
図4に示す原点P0の位置)を設定することができる。また、利用者は、
図4に示す3次元画像のX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の長さを設定することができる。利用者が位置を指定しない場合、表示位置設定部151は、例えば、3次元画像の下端(
図4に示す原点P0の位置)が床から0.8m、3次元画像の上端が床から1.3mに位置するようにパラメータを設定する。また、利用者が3次元画像のX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の長さを指定しない場合、表示位置設定部151は、3次元画像のX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の長さが50cm程度になるようにパラメータを設定する。
【0025】
画像処理部(処理部)153は、画像解析ソフトウエアを用いて、カメラ38で撮影された情報(画像)から地図情報を示す3次元画像を指示する利用者の指先を特定する。
【0026】
座標計測部154は、地図情報を示す3次元画像が表示されている空間における画像処理部153が特定した利用者の指先の空間座標を計測する。座標計測部154は、表示位置設定部151が設定した3次元画像が投影される位置座標と表示装置120の設置場所情報に基づいて、3次元画像が表示される空間座標と利用者の指先の位置を計測する空間座標を一致させて、利用者の指先の空間座標を計測する。
図4に示す例で説明すると、座標計測部154は、原点P0を基準として利用者の指先の空間座標を計測する。座標計測部154は、原点P0の空間座標を表示位置設定部151から取得する。
図4に示す場合、利用者の指先が座標P1(x1,y1,z1)を指しているので、座標計測部154は、座標P1(x1,y1,z1)を計測する。
【0027】
行先階出力部155は、地図情報を示す3次元画像が表示されている空間における利用者の指先の空間座標が、地図情報を示す3次元画像に表示されている施設それぞれの空間座標と一致した場合(例えば、1秒乃至2秒継続して一致している場合)、行先階として利用者が指し示している施設が配置されている階を示す信号を出力する。
図4に示す場合、座標計測部154が計測した座標P1(x1,y1,z1)に該当する施設は、3階に属している。したがって、行先階出力部155は、行先階として「3階」を示す信号を出力する。また、行先階出力部155は、操作パネル36から取得した行先階等を示す信号を出力する。
【0028】
図5は、エレベータ装置10の制御系を示すブロック図である。制御系は、制御盤70に収容される制御ユニット80および駆動ユニット91と、乗りかご31に設けられるエレベータインフォメーションシステム100を含んで構成される。
【0029】
駆動ユニット91は、昇降モータ40、乗りかご31の扉32および各階の乗り場に設けられた扉を駆動する開閉モータ41(
図1では図示略)に電力を供給するための電源や、インバータなどを備えている。駆動ユニット91は、制御ユニット80からの指示に基づいて、昇降モータ40を駆動する。また、駆動ユニット91は、制御ユニット80からの指示に基づいて、開閉モータ41を駆動する。
【0030】
上述した操作パネル36、カメラ38、表示装置120を含むエレベータインフォメーションシステム100は、
図1に示されるケーブル71を介して、制御盤70に収容される制御ユニット80に接続されている。利用者は、エレベータインフォメーションシステム100を操作することで、制御ユニット80に、行き先階などを登録することができる。
【0031】
図6は、制御ユニット80の物理的なブロック図である。制御ユニット80は、バス85を介して相互接続されるCPU(Central Processing Unit)81、主記憶部82、補助記憶部83、およびインタフェース部84を有するコンピュータである。
【0032】
CPU81は、補助記憶部83に記憶されているプログラムに従って、処理を実行する。主記憶部82は、RAM(Random Access Memory)等を有している。主記憶部82は、CPU81の作業領域として用いられる。補助記憶部83は、ROM(Read Only Memory)、半導体メモリ等の不揮発性メモリを有している。補助記憶部83は、CPU81が実行するプログラム、および各種パラメータなどを記憶している。インタフェース部84は、シリアルインタフェース、パラレルインタフェース、無線LANインタフェースなどを有している。エレベータインフォメーションシステム100および駆動ユニット91は、インタフェース部84を介して、CPU81に接続される。
【0033】
上述のように構成されるエレベータ装置10では、CPU81が、エレベータインフォメーションシステム100からの入力に基づいて、駆動ユニット91を制御する。例えば、CPU81が、駆動ユニット91を介して、昇降モータ40を正転させると、乗りかご31が上昇するとともに、カウンタウエイト50が下降する。CPU81が、駆動ユニット91を介して、昇降モータ40を逆転させると、乗りかご31が下降するとともに、カウンタウエイト50が上昇する。また、CPU81が、駆動ユニット91を介して、開閉モータ41を正転させると、乗りかご31の扉32および各階の乗り場に設けられた扉は戸開制御され、開閉モータ41を逆転させると、乗りかご31の扉32および各階の乗り場に設けられた扉は戸閉制御される。
【0034】
次に、エレベータインフォメーションシステム100の起動方法について説明する。利用者の携帯端末200(
図3参照)には、予め専用のアプリケーションソフトがインストールされているものとする。利用者は、携帯端末200から表示装置120に起動信号を送信する。この時、利用者は
図4に示す3次元画像の原点P0の床からの高さ等を指定することができる。身長の高い人は、例えば、3次元画像の下端が床から1.0m、3次元画像の上端が床から1.5mに位置するようにパラメータを設定する。また、車いすの利用者は、例えば、3次元画像の下端が床から0.5m、3次元画像の上端が床から1.0mに位置するようにパラメータを設定する。また、利用者が行先として3次元画像において表示された施設においてリハビリセンターを登録しようとする場合には、障害者の利用者であると推定して障害者の利用者が利用される可能性のある施設が3次元画像として表示されるように構成されてもよい。
また、車いすの利用者が利用する位置に操作パネルがさらに配置され、この操作パネルが操作された場合に車いすの利用者であると推定され、車いすの利用者が利用される可能性のある施設が3次元画像として表示されるように構成されてもよい。
また、利用者が表示位置を指定しない場合、表示位置設定部151は、例えば、3次元画像の下端が床から0.8m、3次元画像の上端が床から1.3mに位置するようにパラメータを設定する。なお、表示装置120は、利用者の携帯端末200からの起動信号の受信の有無にかかわらず、常時3次元画像を投影することもできる。
【0035】
以上に説明したように、実施形態に係るエレベータインフォメーションシステム100は、建物内における施設の配置を示す地図情報を示す3次元画像における目的とする施設を利用者が指で指し示すだけで行先階の登録を行うことができる。これにより、目的とする施設に移動する際の利用者の利便性を向上することができる。
【0036】
また、
図4に示すような建物内における施設の配置を示す3次元画像で表示された地図情報を見ることで、利用者は、エレベータ装置10の昇降路11(乗りかご31を降車した際の現在位置)と目的とする施設の位置関係を知ることができる。したがって、利用者は、乗りかご31を降車した後、容易に目的とする施設に移動することができる。このように、実施形態1に係るエレベータインフォメーションシステム100を有するエレベータ装置10では、利用者が目的とする施設に移動するために、フロアごとに記載された施設を示す表示が掲載されている場所に移動して目的とする施設が配置されているフロアを検索し、エレベータ装置10まで移動し、乗りかご31内の操作パネルを操作して目的とする行先階へ向かい、乗りかご31を降車後に各フロアに表示されたフロアごとの地図が掲載されている場所に移動し、目的とする施設の配置場所を検索し、目的とする施設に移動する、といった複数の処理を複数の場所で行う必要がない。したがって、実施形態に係るエレベータインフォメーションシステム100を利用することで、目的とする施設に移動する際の利用者の利便性を向上することができる。
【0037】
また、実施形態1に係るエレベータインフォメーションシステム100を有するエレベータ装置10では、非接触で行先階の登録を行うことができるので、感染症の感染リスクを低減することができる。また、実施形態に係るエレベータインフォメーションシステム100では、建物の構造を立体的に表示するので、建物の構造がわからない人でも目的とする施設のビル内における位置を把握しやすい。
【0038】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態によって限定されるものではない。例えば、実施形態1の説明では、ビル内における施設の配置を示す地図情報を
図4に示すような3次元画像として表示する場合について説明した。しかし、3次元画像として表示する情報を地図情報に限定する必要はない。例えば、表示装置120によって表示される3次元画像として、
図7に示すような行先階を指定するキーを示す画像121を表示するようにしてもよい。
【0039】
また、上記の説明では、表示装置120とカメラ38が乗りかご31内に配置されている場合について説明した。しかし、表示装置120とカメラ38の配置場所はこれに限定されない。例えば、表示装置120とカメラ38の配置場所は、乗りかご31を待つエレベータフロアであってもよい。この場合、利用者は、乗りかご31に乗車する前に、行先階を登録することができる。
上記説明では、利用者の指先を検知する検知装置としてカメラ38を用いて説明をした。本発明はこれに限定されず、検知装置としてカメラ38の代わりに赤外線センサを用いて構成されてもよい。この場合には、赤外線により利用者の指先の情報を取得して、処理部にて指先の位置を特定することができる。また、本発明は、検知装置としてカメラ38の代わりにミリ波などの電磁波を用いて構成されてもよい。この場合には、電磁波の指先から反射により利用者の指先の情報を取得して、処理部にて指先の位置を特定することができる。
【0040】
また、上記の説明では、
図3に示すブロック図を参照して、表示装置120が表示位置設定部151を介して記憶装置110から地図情報を取得する場合について説明したが、エレベータインフォメーションシステム100の構成はこれに限定されない。例えば、表示装置120は、記憶装置110から地図情報を直接取得し、表示位置設定部151から3次元画像の表示位置の情報を取得するようにしてもよい。
【0041】
また、記憶装置110をクラウド上のサーバに置いてもよい。制御装置150に通信部を設けることにより、ネットワークを介してクラウド上の記憶装置110を利用することができる。また、表示装置120に通信部を設け、制御装置150をクラウド上のサーバに置いてもよい。
【0042】
(実施形態2)
百貨店などの大規模商業施設において、目的とする施設の位置を確認するために長い時間を要することがある。実施形態2では、音声認識技術を利用して目的とする施設の位置を確認するための時間を短縮することで、目的とする施設に移動する際の利用者の利便性を向上するための技術について説明する。なお、実施形態1と同じ説明は省略する。
【0043】
図8は、実施形態2に係るエレベータインフォメーションシステム100のブロック図である。実施形態2に係るエレベータインフォメーションシステム100は、
図3に示す実施形態1に係るエレベータインフォメーションシステム100に加えて、マイク39と音声処理部157を有する。
【0044】
また、実施形態2に係る記憶装置110は、建物内における施設の配置を示す地図情報に加え、施設ごとのカテゴリーを示すパラメータと、そのカテゴリーに属する施設を特定するパラメータを追加した情報を有している。施設ごとのカテゴリーを示すパラメータとは、例えば、衣類、履物、飲食、メガネ、トイレ等のその施設が提供するサービスを分類するカテゴリーである。そのカテゴリーに属する施設を特定するパラメータとは、施設の配置を示す地図情報を3次元画像として表示した際の色、マーク、輝度などである。
【0045】
マイク39は、利用者の音声を入力する。音声処理部157は、利用者が発した音声から施設のカテゴリーを示すキーワードを抽出する。施設のカテゴリーを示すキーワードとしては、例えば、カテゴリーが衣類である場合、紳士服、婦人服、子供服、下着などのキーワードが予め設定されている。カテゴリーが飲食である場合、洋食、和食、中華、喫茶、ドリンク、ランチなどのキーワードが予め設定されている。例えば、カテゴリーがメガネである場合、近眼、老眼、コンタクトレンズ、サングラスなどのキーワードが予め設定されている。
【0046】
音声処理部157は、記憶装置110内に格納されているビル内における施設の配置を示す地図情報において、抽出したキーワードが示すカテゴリーに属する施設を特定するパラメータを追加した地図情報を記憶装置110内に作成する。
【0047】
図9は、抽出したキーワードが示すカテゴリーに属する施設を特定するパラメータを追加した地図情報を示す3次元画像の例である。
図9に示す例では、施設を特定するパラメータとして、斜線が付された楕円形のマークを採用している。
【0048】
例えば、利用者が、「サングラスを買いたい。」と発音した場合、音声処理部157は、キーワードとなる「サングラス」を抽出し、サングラスを提供する施設のカテゴリーとして「メガネ屋」を抽出する。そして、音声処理部157は、記憶装置110内の地図情報から「メガネ屋」を抽出し、「メガネ屋」に属する施設を特定するパラメータを追加する。表示装置120は、表示位置設定部151を介して、抽出したキーワードが示すカテゴリーに属する施設を特定するパラメータを追加した地図情報を3次元画像として表示する。
図9に示す例では、2階と4階と6階にメガネ屋があり、該当する施設に施設を特定する表示として斜線が付された楕円形のマークが付されている。施設を特定する表示はこれに限定する必要はなく、該当する施設を示す立方体の色を変えてもよいし、該当する施設を示す立方体の輝度を高くしてもよい。
【0049】
以上に説明したように、実施形態2に係るエレベータインフォメーションシステム100は、利用者が発した音声からキーワードを抽出してそのキーワードの属する施設のカテゴリーを特定する。そして、複数階のフロアを有するビル内における施設の配置を示す地図情報を示す3次元画像において、そのカテゴリーに属する施設を利用者が検索しやすいように表示する。これにより、利用者は、目的とする施設を短時間で見つけることができる。よって、実施形態2に係るエレベータインフォメーションシステム100は、目的とする施設に移動する際の利用者の利便性を向上することができる。
【0050】
(変形例)
なお、乗りかご31内を撮影できる位置にカメラ38を配置し、画像処理部153がカメラ38で撮影した画像で車いすを特定した場合、画像処理部153は、記憶装置110内の地図情報から「車いすの利用者に利用される可能性のある施設」を抽出し、「車いすの利用者に利用される可能性のある施設」に属する施設を特定するパラメータを追加する。表示位置設定部151は、表示装置120が地図情報を示す3次元画像を表示する際の空間における3次元画像の位置を車いすの利用者が3次元画像を見やすい高さに設定する。表示装置120は、表示位置設定部151を介して、「車いすの利用者に利用される可能性のある施設」に属する施設を特定するパラメータを追加した地図情報を3次元画像として表示する。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施しうるものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0052】
10…エレベータ装置
11…昇降路
21~24…ガイドレール
31…乗りかご
31a…開口部
32…扉
36…操作パネル
38…検知装置(カメラ)
39…マイク
40…昇降モータ
41…開閉モータ
42…プーリー
50…カウンタウエイト
60…ワイヤ
70…制御盤
71…ケーブル
80…制御ユニット
81…CPU
82…主記憶部
83…補助記憶部
84…インタフェース部
85…バス
91…駆動ユニット
100…エレベータインフォメーションシステム
110…記憶装置
120…表示装置
121…行先階を指定するキーを示す画像
150…制御装置
151…表示位置設定部
153…処理部(画像処理部)
154…座標計測部
155…行先階出力部
157…音声処理部
200…携帯端末