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▶ 有限会社成島畳店の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084665
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】防黴畳表
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/02 20060101AFI20240618BHJP
   E04B 1/92 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
E04F15/02 104A
E04B1/92
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022212895
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】508285905
【氏名又は名称】有限会社成島畳店
(72)【発明者】
【氏名】成島 康夫
【テーマコード(参考)】
2E001
2E220
【Fターム(参考)】
2E001DH12
2E001FA11
2E220AA13
2E220AD03
2E220AD13
2E220GB52X
(57)【要約】
【課題】天然い草製畳表に黴が発生するという問題が多く発生している。
【解決手段】過酸化水素と次亜塩素酸カルシウムの水溶液に浸漬し、加熱処理した天然い草を50%以上用いて畳表を製作する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度23℃、相対湿度50%の環境で重量が平衡に達した後に、温度23℃、相対湿度75%の環境に設置した際の吸湿量が4時間以内にほぼ一定となり、その際の吸湿量が30g/m以下であることを特徴とする防黴畳表。
【請求項2】
過酸化水素と次亜塩素酸カルシウムの水溶液に浸漬し、加熱処理した天然い草を50%以上用いて製作したことを特徴とする請求項1記載の防黴畳表。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然のい草を原料とした防黴畳表に関するものである。
【背景技術】
【0002】
天然い草を主原料とした畳表は、長い間和室を中心として使用されてきた。この畳表は湿度の高い夏にも素足にさらっと心地よく、また、寒い冬にも温かさを感じる良質な床仕上げ材として高い評価を受けてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年の住宅は高気密化・高断熱化が進み室内の湿度が高くなる傾向がある。そのため、和室の天然い草製畳表に黴が発生するという問題が多く発生している。
その対策として合成樹脂製畳表や天然い草を防黴剤で処理して黴が生えにくくした畳表が提案されている。
しかし、合成樹脂製畳表では天然い草の感触は得られないし、防黴剤で処理をした場合には残留薬品に対する懸念がある。
本発明はこれらの欠点を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、温度23℃、相対湿度50%の環境で重量が平衡に達した後に、温度23℃、相対湿度75%の環境に設置した際の吸湿量が4時間以内にほぼ一定となることを特徴とする。
また、その際の吸湿量は30g/m以下が好ましく、さらに25g/m以下がさらに好ましい。
さらに、上述のように吸湿量が一定になったのちに、同量の湿度を5時間以内に放湿することが好ましい。
【0005】
また、過酸化水素と次亜塩素酸カルシウムの水溶液に浸漬し、加熱処理した天然い草を50%以上用いて製作したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
天然い草製の畳表に黴が発生するのは、室内の湿度が高い時に長時間にわたって湿気を大量に吸湿し続けるのが原因であると考えられる。そのため、湿度が低下しても多くの水分が畳表に長時間保持され黴の発生条件を満たすことになる。
【0007】
また、過酸化水素と次亜塩素酸カルシウムの水溶液に浸漬し、加熱処理した天然い草を50%以上用いて製作した畳表は前述の性能を有する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
天然い草を、過酸化水素と次亜塩素酸カルシウムの2%以上30%以の水溶液に浸し、温度を60℃以上95℃以下にして30分から2時間加熱処理をする。その後水洗し、温度下げる。
さらに、1日以上、好ましくは2,3日天日干しするとい草が白くなり漂白い草が得られる。
この漂白い草を50%以上使い防黴畳表を製造する。
【実施例0009】
上述のようにして得られた漂白い草を50%と前述の処理しない天然い草50%を使った畳表は、温度23℃、相対湿度50%の環境で質量が安定した後、温度23℃、相対湿度75%の環境に置き吸湿量を測定したところ、約4時間で20gの吸湿量で一定となった。
また、温度23℃、相対湿度75%の環境に12時間置いた後、温度23℃、相対湿度50%の環境において放湿量を測定したところ、約5時間で20g/mの放湿量で一定となった。
さらに、26℃で相対湿度95%の環境にこの畳表を設置して黴の発生を観測したが、1週間経過しても目視では黴の発生を確認できなかった。
【0010】
次に、漂白い草を100%使った畳表の場合には、温度23℃、相対湿度50%の環境で質量が安定した後、温度23℃、相対湿度75%の環境に置き吸湿量を測定したところ、約3時間で20g/mの吸湿量で一定となった。
また、温度23℃、相対湿度75%の環境に12時間置いた後、温度23℃、相対湿度50%の環境において放湿量を測定したところ、約4時間で20g/mの放湿量で一定となった。
また、26℃で相対湿度95%の環境にこの畳表を設置して黴の発生を観測したが、1週間経過しても目視では黴の発生を確認できなかった。
【比較例】
【0011】
処理をしない天然い草だけを使った畳表を、温度23℃、相対湿度50%の環境で質量が安定した後、温度23℃、相対湿度75%の環境に置き吸湿量を測定したところ、12時間経過しても吸湿量は一定とならず、吸湿量は40g/mに達した。
また、温度23℃、相対湿度75%の環境に12時間置いた後、温度23℃、相対湿度50%の環境において放湿量を測定したところ、約6時間で40g/mの放湿量で一定となった。
また、26℃で相対湿度95%の環境に設置して黴の発生を観測したところ、1週間経過で明らかな黴の発生を確認した。