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特開2024-84672非一様なレーザー間隔をもつモノリシックレーザーアレイ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084672
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】非一様なレーザー間隔をもつモノリシックレーザーアレイ
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/40 20060101AFI20240618BHJP
   H01S 5/024 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
H01S5/40
H01S5/024
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023098895
(22)【出願日】2023-06-16
(31)【優先権主張番号】18/080,319
(32)【優先日】2022-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519146787
【氏名又は名称】ツー-シックス デラウェア インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】II-VI Delaware,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】タオ・フェン
(72)【発明者】
【氏名】ツルギ・スドウ
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173AD04
5F173AR02
5F173AR75
(57)【要約】
【課題】非一様なレーザーを含むモノリシックレーザーアレイを開示する。
【解決手段】例示的なモノリシックレーザーアレイは実質的に一様な温度分布を提供し、基材と、基材上に配置された、および第1の距離ぶんだけ離隔されたレーザーの第1の集合と、基材上に配置された、および第1の距離より大きい第2の距離ぶんだけ離隔されたレーザーの第2の集合とを含む。開示されているモノリシックレーザーアレイは、非常に狭い光スペクトル幅をもつ出力をもたらす。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の距離だけ離隔されたレーザーの第1の集合と、
前記第1の距離より大きい第2の距離だけ離隔されたレーザーの第2の集合と
を含むモノリシックレーザーアレイ。
【請求項2】
請求項1に記載のモノリシックレーザーアレイであって、レーザーの前記第1の集合または前記第2の集合のうちの1つまたは複数のレーザーは、一次元(1D)レーザーである、モノリシックレーザーアレイ。
【請求項3】
請求項2に記載のモノリシックレーザーアレイであって、1Dレーザーの前記第2の集合は、前記アレイの中心線に近接して配置される、モノリシックレーザーアレイ。
【請求項4】
請求項3に記載のモノリシックレーザーアレイであって、1Dレーザーの前記第1の集合は、前記アレイにおける1Dレーザーの前記第2の集合の位置に対して前記中心線の反対側に配置された、モノリシックレーザーアレイ。
【請求項5】
請求項2に記載のモノリシックレーザーアレイであって、1Dレーザーの前記第1の集合または前記第2の集合は、2つのレーザーを含む、モノリシックレーザーアレイ。
【請求項6】
請求項1に記載のモノリシックレーザーアレイであって、レーザーの前記第1の集合または前記第2の集合のうちの1つまたは複数のレーザーは、二次元(2D)レーザーである、モノリシックレーザーアレイ。
【請求項7】
請求項6に記載のモノリシックレーザーアレイであって、2Dレーザーの前記第2の集合は、前記アレイの中心の周りに配置された、モノリシックレーザーアレイ。
【請求項8】
請求項7に記載のモノリシックレーザーアレイであって、2Dレーザーの前記第1の集合は、前記アレイにおける2Dレーザーの前記第2の集合の位置に対して前記中心の反対側に配置された、モノリシックレーザーアレイ。
【請求項9】
請求項6に記載のモノリシックレーザーアレイであって、2Dレーザーの前記第1の集合または前記第2の集合は、4つのレーザーを含む、モノリシックレーザーアレイ。
【請求項10】
請求項1に記載のモノリシックレーザーアレイであって、前記第1の距離は、線形の式、指数関数式、または、多項式のうちの1つにより計算される、モノリシックレーザーアレイ。
【請求項11】
請求項1に記載のモノリシックレーザーアレイであって、前記第1の距離YはY=X-NCの式により計算され、Xはレーザー間の代表的な距離であり、Nは整数であり、Cは定数である、モノリシックレーザーアレイ。
【請求項12】
請求項1に記載のモノリシックレーザーアレイであって、前記第2の距離YはY=X+NCの式により計算され、Xはレーザー間の代表的な距離であり、Nは整数であり、Cは定数である、モノリシックレーザーアレイ。
【請求項13】
請求項1に記載のモノリシックレーザーアレイであって、前記第1の距離または前記第2の距離は、5マイクロメートルから30マイクロメートルの間の範囲にある、モノリシックレーザーアレイ。
【請求項14】
請求項1に記載のモノリシックレーザーアレイであって、レーザーの前記第1の集合または前記第2の集合のうちの1つまたは複数のレーザーは、リッジ型単一量子井戸(SQW)もしくは多重量子井戸(MQW)半導体レーザー、埋め込みヘテロ構造(BH)SQWもしくはMQWレーザー、分布帰還型(DFB)もしくは分布ブラッグ反射体(DBR)レーザー、縦型キャビティ面発光レーザー(VCSEL)、フォトニック結晶面発光レーザー、InPベースのレーザー、GaAsベースのレーザー、GaSbベースのレーザー、GaNベースのレーザー、または、他の適切なレーザーのうちの1つまたは複数である、モノリシックレーザーアレイ。
【請求項15】
請求項1に記載のモノリシックレーザーアレイであって、レーザーの前記第1の集合および前記第2の集合を支持する基材を更に含むモノリシックレーザーアレイ。
【請求項16】
実質的に一様な温度分布を提供するためのモノリシックレーザーアレイであって、
基材と、
前記基材上に配置され、第1の距離だけ離隔されたレーザーの第1の集合と、
前記基材上に配置され、前記第1の距離より大きい第2の距離だけ離隔されたレーザーの第2の集合と
を含むモノリシックレーザーアレイ。
【請求項17】
請求項16に記載のモノリシックレーザーアレイであって、前記基材上に配置され、第3の距離だけ離隔されたレーザーの第3の集合を更に含むモノリシックレーザーアレイ。
【請求項18】
請求項16に記載のモノリシックレーザーアレイであって、レーザーの前記第1の集合または前記第2の集合の1つまたは複数のレーザーは、一次元(1D)レーザーであり、
1Dレーザーの前記第1の集合および前記第2の集合のうちの第1のペアは前記基材の第1の部分に配置され、1Dレーザーの前記第1の集合および第2の集合のうちの第2のペアは前記基材の第2の部分に配置され、前記第1の部分と前記第2の部分とは前記アレイの中心線により分けられた、
モノリシックレーザーアレイ。
【請求項19】
請求項16に記載のモノリシックレーザーアレイであって、レーザーの前記第1の集合または前記第2の集合のうちの1つまたは複数のレーザーは、二次元(2D)レーザーである、モノリシックレーザーアレイ。
【請求項20】
請求項19に記載のモノリシックレーザーアレイであって、2Dレーザーの前記第2の集合は前記基材の中心の周りに配置され、2Dレーザーの前記第1の集合のうちの1つまたは複数は、前記第2の集合の周りにおいて前記基材上に配置された、モノリシックレーザーアレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]複数のレーザーを使用したレーザーアレイに対して、動作温度差はパフォーマンスに悪影響をもたらし得る。
【背景技術】
【0002】
特に、幾つかのレーザーでは、高温はレーザー発光波長に影響を与え得、幅広い光スペクトル幅をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0002]本開示の主題は、上述の問題のうちの1つまたは複数を解決すること、または少なくとも上述の問題のうちの1つまたは複数の影響を減らすことに関する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0003]本開示によると、モノリシックレーザーアレイは、非一様な間隔、狭い光スペクトル幅をもつ出力をもたらすための幾何学的設計、および、アレイにわたる実質的に一様な接合部温度分布で配置された複数の個々のレーザーを使用する。
【0005】
[0004]本開示のこれらの特徴および他の特徴が、以下に記載されている以下の説明および添付の特許請求の範囲から更に十分に明らかになる。
[0005]本開示の上述の特徴および他の特徴を更に明確にするために、主題の更に具体的な説明が、添付図面に示されているその特定の例を参照することで提供される。これらの図面が主題のうちの幾つかの例だけを示しており、したがってその範囲の限定とは考えられないことが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A】[0006]図1Aは、レーザーのモノリシックアレイを示す図である。
図1B】[0007]図1Bは、図1Aのレーザーのモノリシックアレイの温度変化のグラフィカルな図である。
図1C図1Cは、図1Aのレーザーのモノリシックアレイの温度変化のグラフィカルな図である。
図2A】[0008]図2Aは、レーザーの別のモノリシックアレイを示す図である。
図2B】[0009]図2Bは、図2Aのレーザーのモノリシックアレイの温度変化のグラフィカルな図である。
図2C図2Cは、図2Aのレーザーのモノリシックアレイの温度変化のグラフィカルな図である。
図3A】[0010]レーザーの更に異なる別のモノリシックアレイを示す図である。
図3B】[0011]図3Aのレーザーのモノリシックアレイの温度変化のグラフィカルな図である。
図3C図3Aのレーザーのモノリシックアレイの温度変化のグラフィカルな図である。
図3D図3Aのレーザーのモノリシックアレイの温度変化のグラフィカルな図である。
図4A】[0012]レーザーの更に異なる別のモノリシックアレイを示す図である。
図4B】[0013]図4Aのレーザーのモノリシックアレイの温度変化のグラフィカルな図である。
図4C図4Aのレーザーのモノリシックアレイの温度変化のグラフィカルな図である。
図4D図4Aのレーザーのモノリシックアレイの温度変化のグラフィカルな図である。
図5A】[0014]図5Aは、非一様な1Dレーザーのモノリシックアレイの例示的な温度分布のグラフィカルな図である。
図5B図5Bは、非一様な1Dレーザーのモノリシックアレイの例示的な温度分布のグラフィカルな図である。
図5C図5Cは、非一様な1Dレーザーのモノリシックアレイの例示的な温度分布のグラフィカルな図である。
図5D図5Dは、非一様な1Dレーザーのモノリシックアレイの例示的な温度分布のグラフィカルな図である。
図5E図5Eは、非一様な1Dレーザーのモノリシックアレイの例示的な温度分布のグラフィカルな図である。
図5F図5Fは、非一様な1Dレーザーのモノリシックアレイの例示的な温度分布のグラフィカルな図である。
図6A】[0015]図6Aは、図2Aの例による、線形定数Cにより離隔された1Dレーザーのモノリシックアレイの温度変化のグラフィカルな図である。
図6B図6Bは、図2Aの例による、線形定数Cにより離隔された1Dレーザーのモノリシックアレイの温度変化のグラフィカルな図である。
図7A】[0016]図7Aは、図4Aの例による、線形定数Cにより離隔された2Dレーザーのモノリシックアレイの温度変化のグラフィカルな図である。
図7B図7Bは、図4Aの例による、線形定数Cにより離隔された2Dレーザーのモノリシックアレイの温度変化のグラフィカルな図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0017]非一様な間隔を使用したモノリシックレーザーアレイが開示されている。特に、例示的なモノリシックレーザーアレイは、狭い光スペクトル幅をもつ出力、およびアレイにわたる実質的に一様な接合部温度分布をもたらすための幾何学的設計で配置されている。
【0008】
[0018]本明細書において開示されているように、モノリシックレーザーアレイにおけるレーザーの間隔が、レーザー間の温度を安定化し、狭い光スペクトルをもつ出力、および、アレイを備えるレーザーにわたる実質的に一様な熱的性能を提供する。
【0009】
[0019]複数のレーザー(例えば半導体レーザー)を使用した多くのモノリシックアレイに対して、各半導体レーザーにおける接合部温度は異なり得る。例えば、比較的低い動作温度を伴うアレイの端部におけるレーザーとは対照的に、一様に離隔したレーザーアレイシステムの中央におけるレーザーは比較的高い動作温度を示す。結果として、最高動作温度を伴うレーザーから最低動作温度を伴うレーザーまで、アレイにわたる温度差は非常に大きいものであり得る。
【0010】
[0020]このような温度差は、レーザーパフォーマンスに悪影響をもたらし得る。例えばレーザー発光出力、例えば波長は接合部温度により影響を受け得る。したがって、大幅な温度差が、アレイにおける異なるレーザーに対して異なるレーザー発光波長をもたらし得る。結果として、アレイからのレーザー発光の光スペクトル幅は、1つの発光体よりはるかに幅が広い。
【0011】
[0021]これらの問題に対処するために、アレイにおける非一様な配置により複数のレーザーを含む幾何学的設計が開示されており、以て、より一様な温度分布を実現する。アレイにおいて非一様に離隔したレーザーを使用することにより、最高温度のレーザーと最低温度のレーザーとの間の温度差が小さくされ得、レーザー発光スペクトル幅の減少を有益にもたらす。
【0012】
[0022]非一様なパターンにより配置された複数の半導体レーザーを使用した例示的な一次元(1D)および二次元(2D)モノリシックレーザーアレイが開示されている。1Dアレイと2Dアレイとの両方が、アレイの中心において比較的まばらで、アレイの端部において比較的高密度のレーザー間距離により規定される。開示されている幾何学的設計の使用により、接合部温度はレーザー同士で一様となる。最高温度のレーザーと最低温度のレーザーとの間の温度差は、より小さくなる。
【0013】
[0023]熱シミュレーションデータは、非一様に分布したレーザーアレイのパフォーマンスを検証し、1Dと2Dとの両方のレーザーアレイが、一様なレーザー分布に比べて、より一様に分布した熱、および、複数のレーザーにわたる、より安定なレーザー接合部温度を示す。幾つかの例では、アレイにおける最高温度のレーザーとアレイにおける最低温度のレーザーとの間の温度差が大幅に小さくされる。例において、非一様な1Dアレイにおける温度差は、パルスモードにおいて、約半分(例えば1Dレーザーアレイでは約20Kから約10Kまで)以上(例えば2Dレーザーアレイでは約26Kから11.5Kまで)小さくされる。例えば、単位ケルビン当たり0.5ナノメートルのスペクトルシフトを仮定すると、スペクトル幅は、この新規な幾何学的設計を使用して5ナノメートルより長いぶんだけ小さくされ得る。
【0014】
[0024]幾つかの例では、使用される複数のレーザーは、リッジ型単一量子井戸(SQW)または多重量子井戸(MQW)半導体レーザー、埋め込みヘテロ構造(BH)SQWまたはMQWレーザー、分布帰還型(DFB)または分布ブラッグ反射体(DBR)レーザー、縦型キャビティ面発光レーザー(VCSEL)、フォトニック結晶面発光レーザー、InPベースのレーザー、GaAsベースのレーザー、GaSbベースのレーザー、GaNベースのレーザー、または他の適切なレーザーのうちの1つまたは複数を包含し得る。しかし幾つかの開示される例は1Dレーザーアレイおよび2Dレーザーアレイに関するものであるが、幾つかの例では三次元(3D)レーザーアレイが本明細書において開示されている原理を使用し得る。更に、1つまたは複数のレーザータイプおよび/または波長が幾つかの例において説明されているが、本明細書において開示されている概念の用途は、特定のレーザーまたは波長に限定されない。幾つかの例では、非限定的な例のリストとして940ナノメートル、980ナノメートル、1350ナノメートル、1480ナノメートル、および/または1550ナノメートルの波長を使用して動作するレーザーが開示される。
【0015】
[0025]開示されているモノリシックレーザーアレイ例えば、非限定的な例のリストとして光による検出および測距(LIDAR)、遠隔通信送信を包含する三次元検出といった様々な用途に対して利点を提供し得る。
【0016】
[0026]図1Aは、レーザー100のモノリシックアレイを示す。示されるように、アレイ100は、基材104上で一様に離隔したレーザー102を含む一次元(1D)アレイとして配置される。図1Aの例では、アレイ100内におけるレーザー102間の距離Xは、(例えば約22マイクロメートルに)固定され得る。言い換えると、各レーザー102と各近接したレーザー102との間の距離または間隔は一様である。幾つかの例では、1Dレーザーは、リッジレーザー、または他の同様に構成されたレーザーデバイスであり得る。
【0017】
[0027]図1Bおよび図1Cは、図1Aのレーザーのモノリシックアレイの温度変化のグラフィカルな図を提供する。図は約6Aの動作電流に伴って約300Kのヒートシンク、および、約5%のデューティサイクルを使用したパルスモードを使用したレーザーアレイ100からのデータを提供する。グラフは、約20Kの差で、約352Kの最大リッジ温度T(K)、約332Kの最小リッジ温度T(K)を示す。図1Cの例に示されるように、ピーク温度は対応するレーザー接合部温度を表す。
【0018】
[0028]最大リッジ温度と最小リッジ温度との間の差を小さくすることを目的として、非一様なレーザーアレイが開示されている。図2Aの例は、レーザーの別のモノリシックアレイ200を示す。示されるように、アレイ200は基材204上で非一様に離隔したレーザー202を含む一次元(1D)アレイとして配置される。
【0019】
[0029]開示されている例では、レーザーがレーザー間により狭い間隔をもつ縁部セクションに配置されたレーザーとは対照的に、アレイの中央セクションに配置された(例えば中心線206により近い)レーザー202はレーザー202間により広い間隔をもつ。
【0020】
[0030]第1の集合208Aのレーザー202間の距離Yの変化、および、第2の集合208Bのレーザー202間の距離Yの変化は、アレイにわたって一定の差を形成するように計算され得る。一例において、近接したレーザー間の距離は、(例えば本明細書において開示されている式1から4に従って)線形変化により計算され得る。別の例では、近接したレーザー間の距離は、指数関数的変化により計算され得る。更に異なる別の例では、近接したレーザー間の距離は、多項式により計算され得る。幾つかの例では、アレイ内における第1の集合のレーザー間の距離が線形変化、および指数関数的変化、または多項式変化のうちの1つにより計算され得るのに対し、アレイ内における第2の集合のレーザー間の距離は、線形変化、指数関数的変化、または多項式変化のうちの別のものにより計算され得る。
【0021】
[0031]例えば、アレイ内におけるレーザー間の距離は、アレイの中心線206からの距離に基づいて変わり得る。図2Aの例では、中心線206付近に配置されたレーザー202は、基材204の縁部に配置されたレーザー202より長い距離ぶんだけ離隔されている。
【0022】
[0032]アレイ200内におけるレーザー202間の距離は、1つまたは複数の式に基づいて計算され、または決定され得る。例えば、距離値Yは、レーザー間の距離が小さくされるか大きくされるかに応じて、それぞれ、例示的な式1または例示的な式2により計算され得る。
式1:Y=X-NC
式2:Y=X+NC
[0033]ここで、Xはレーザー間の代表的な距離であり、Nは整数(例えば1、2、3、4、5など)であり、Cはモノリシックレーザーアレイの所望の寸法、モノリシックレーザーアレイに対する特定の用途、または他の適切な尺度に基づいて決定された定数である。
【0023】
[0034]図2Aの例では、第1の集合208Aのレーザー間の第1の距離Yが例示的な式3により計算され得るのに対し、第2の集合208Bのレーザー間の第2の距離Yは例示的な式4により計算され得る。
式3:Y=X-4C
式4:Y=X+5C
[0035]式1から式4の例では、Xはレーザー間の一様な距離(例えば約22マイクロメートル)を表し得、Cはモノリシックレーザーアレイの所望の寸法(例えば約2マイクロメートル)に基づく定数である。
【0024】
[0036]式1から式4は、Xを一様に分布したレーザー間の距離(例えば図1Aに示されている距離X)として表すが、Xは任意の値であってもよく、一様に分布したレーザーアレイと関連があるとは限らない。
【0025】
[0037]幾つかの例では、所与のレーザーはレーザーの第1の集合と第2の集合との両方に含まれ得、したがって、レーザーおよび近接したレーザーのどの集合が第1の集合または第2の集合を含むかは、近接したレーザー間の距離により規定される。
【0026】
[0038]レーザーの2つの集合として示されるが、レーザーの3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個またはそれより多くの集合がモノリシックレーザーアレイの周りに分布させられてもよい。各集合は、レーザーの集合内のレーザー間で、および/または、レーザーの近接した集合間で異なる距離をもってもよく、または、2つ以上の集合がレーザーおよび/または近接した集合間で同じ距離をもってもよい。
【0027】
[0039]図2Bおよび図2Cは、図2Aのレーザーのモノリシックアレイの温度変化のグラフィカルな図を提供する。例えば、約5%のデューティサイクルのパルスモードで約6Aの動作電流で約300Kのヒートシンクである。図2Bおよび図2Cの例では、熱シミュレーションは、非一様なレーザーアレイの分布がより一様な熱分布をもたらす概念を検証する。
【0028】
[0040]例えば、図1Cの例は、約20Kの差を伴って、352の最大リッジ温度T(K)、332の最小リッジ温度T(K)を示す。図2Cの例では、349の最大リッジ温度T(K)、339の最小リッジ温度T(K)であり、約10Kの差をもたらす。したがって、アレイ上におけるレーザーの非一様な分布は、一様なレーザー分布のアレイと比較すると、最大リッジ温度と最小リッジ温度との間のより小さい差を示す。
【0029】
[0041]図3Aは、レーザー300の更に異なる別のモノリシックアレイを示す。示されるように、アレイ300は、基材304上で一様に離隔したレーザー302を含む二次元(2D)アレイとして配置される。図3の例では、アレイ300内におけるレーザー302間の距離Xは固定され得る(例えば約22マイクロメートル)。言い換えると、各レーザー302と各近接したレーザー302との間の距離または間隔は一様である。
【0030】
[0042]図3B図3C、および図3Dは、図3Aのレーザーのモノリシックアレイの温度変化のグラフィカルな図を提供する。
[0043]図1Aのアレイ100と同様に、最大リッジ温度と最小リッジ温度との間の差を小さくすることを目的として、非一様なレーザー2Dアレイが開示されている。図4Aは、レーザー400の更に異なる別のモノリシックアレイを示す。示されるように、アレイ400は基材404上で非一様に離隔したレーザー402を含む二次元(2D)アレイとして配置されている。
【0031】
[0044]開示されている例では、レーザーがレーザー間により狭い間隔をもつ縁部セクションに配置されたレーザー410とは対照的に、アレイの中央セクション406に(例えば、アレイ400の幾何学的中心407に、幾何学的中心407の周りに、または幾何学的中心407付近に)配置されたレーザー402は、レーザー402間により広い間隔をもつ。
【0032】
[0045]縁部セクション410内における第1の集合408Aのレーザー402間の距離Yの変化、および、中央セクション406内における第2の集合408Bのレーザー402間の距離Yの変化は、アレイにわたって一定の差を形成するように計算され得る。一例において、近接したレーザー間の距離は、(例えば本明細書において開示されている式1から4に従って)線形変化により計算され得る。式3および式4の例では、Xは約25マイクロメートルの値を割り当てられ得、Nは1の値を割り当てられ得、Cは約8マイクロメートルの値を割り当てられ得る。幾つかの例では、Xの値はY、または第1の集合408Aと第2の集合408Bとを離隔する距離に一致し得る。
【0033】
[0046]別の例では、近接したレーザー間の距離は、指数関数的変化により計算され得る。更に異なる別の例では、近接したレーザー間の距離は、多項式により計算され得る。幾つかの例では、アレイ内における第1の集合のレーザー間の距離は、線形変化、および指数関数的変化、または多項式変化のうちの1つにより計算され得るのに対し、アレイ内における第2の集合のレーザー間の距離は、線形変化、指数関数的変化、または多項式変化のうちの別のものにより計算され得る。
【0034】
[0047]図4B図4C、および図4Dは、図4Aのレーザーのモノリシックアレイの温度変化のグラフィカルな図を提供する。
[0048]図5Aから図7Bは、一様なレーザーアレイとの比較を含む、本明細書において開示されている非一様なレーザーアレイの温度データの更なるグラフィカルな図を提供する。
【0035】
[0049]図5Aから図5Fは、非一様な1Dレーザーのモノリシックアレイの例示的な温度分布のグラフィカルな図を提供し、ここで、式3および式4に適用されたとき定数Cが変化する。例えば、図5Aは0マイクロメートルのC値に伴う例示的な温度分布を示し、図5Bは0.55マイクロメートルのC値に伴う例示的な温度分布を示し、図5Cは0.7マイクロメートルのC値に伴う例示的な温度分布を示し、図5Dは1マイクロメートルのC値に伴う例示的な温度分布を示し、図5Eは2マイクロメートルのC値に伴う例示的な温度分布を示し、図5Fは3マイクロメートルのC値に伴う例示的な温度分布を示す。
【0036】
[0050]示されるように、最大温度および最小温度は、Cの選択された値、および最大温度値と最小温度値との間の差に応じて変わり得る。
[0051]更に、シミュレーションデータは(約25マイクロメートルの一様なレーザー距離をもつ)2Dの一様なレーザーアレイ300が、約26Kの差を伴って約392Kの最大リッジ温度T(K)と約366Kの最小リッジ温度T(K)とをもたらすことを示す。対照的に、実験データは、(式1~式4に従った約25マイクロメートル+/-NCの線形変化を伴う非一様なレーザー距離をもつ)2Dの非一様なレーザーアレイ400が、約13Kの差を伴って約385Kの最大リッジ温度T(K)と約372Kの最小リッジ温度T(K)とをもたらすことを示す。したがって、熱シミュレーションデータは、非一様に分布した2Dアレイが、光スペクトル幅を狭くする、より一様な熱分布をもたらす概念を検証する。
【0037】
[0052]図6Aおよび図6Bは、図2Aの例による、線形定数Cにより離隔された1Dレーザーのモノリシックアレイの温度変化のグラフィカルな図を提供する。例えば、(式1~式4に適用された)定数Cに対するある範囲の値にわたって、高温レーザーと低温レーザーとの間の温度差は約20Kから約9.5Kまで小さくされる。
【0038】
[0053]例えば、定数値C=0に対して、約20Kの差を伴って、最大リッジ温度T(K)は約352Kであり、最小リッジ温度T(K)は約332Kである。
[0054]対照的に、定数値C=2に対して、約9.5Kの差を伴って、約349.5Kの最大リッジ温度T(K)および約340Kの最小リッジ温度T(K)となる。
【0039】
[0055]図7Aおよび図7Bは、図4Aの例による、線形定数Kにより離隔された2Dレーザーのモノリシックアレイの温度変化のグラフィカルな図を提供する。例えば、(式1~式4に適用された)定数Cに対するある範囲の値にわたって、高温レーザーと低温レーザーとの間の温度差は約25Kから約11.5Kまで小さくされる。
【0040】
[0056]例えば、2Dの非一様なレーザーアレイ400に対して、近接したレーザー間の距離が線形定数C=0を使用して計算されるとき、最大リッジ温度T(K)は約392Kに等しく、最小リッジ温度T(K)は約367Kに等しい。結果として、最大リッジ値と最小リッジ値との間の差は約25Kである。C=10の線形定数値において、差は11.5Kまで小さくなる。したがって、熱シミュレーションデータは、非一様に分布した2Dアレイが、スペクトル幅を狭くする、より一様な熱分布をもたらす概念を検証する。
【0041】
[0057]好ましい実施形態および他の実施形態の上述の説明は、出願人により考え出された本発明概念の範囲または適用可能性を限定することまたは制限することを意図したものではない。本開示の利益により、開示されている主題の任意の実施形態または態様による上述の特徴が、開示されている主題の任意の他の実施形態または態様において単独で、または任意の他の説明されている特徴と組み合わされて使用され得ることが理解される。
【符号の説明】
【0042】
100 レーザー、アレイ
102 レーザー
104 基材
200 モノリシックアレイ、アレイ
202 レーザー
204 基材
206 中心線
208A 第1の集合
208B 第2の集合
300 レーザー、アレイ
302 レーザー
304 基材
400 レーザー、アレイ
402 レーザー
404 基材
406 中央セクション
407 幾何学的中心
410 レーザー
410 縁部セクション
408A 第1の集合
408B 第2の集合
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6A
図6B
図7A
図7B
【外国語明細書】