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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008468
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】鋼構造物の補修塗装方法
(51)【国際特許分類】
   B05D 7/14 20060101AFI20240112BHJP
   B05D 1/36 20060101ALI20240112BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
B05D7/14 N
B05D7/14 S
B05D1/36 Z
B05D7/24 302T
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110366
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】507164722
【氏名又は名称】日塗化学株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000220642
【氏名又は名称】東京電設サービス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】521238247
【氏名又は名称】関工商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132230
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 一也
(74)【代理人】
【識別番号】100088203
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 英一
(74)【代理人】
【識別番号】100100192
【弁理士】
【氏名又は名称】原 克己
(74)【代理人】
【識別番号】100198269
【弁理士】
【氏名又は名称】久本 秀治
(74)【代理人】
【識別番号】100226894
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 夏詩子
(72)【発明者】
【氏名】堀 隆典
(72)【発明者】
【氏名】藤本 省吾
(72)【発明者】
【氏名】信岡 昭二
(72)【発明者】
【氏名】吉冨 晃平
(72)【発明者】
【氏名】石井 貴
(72)【発明者】
【氏名】上岡 克司
(72)【発明者】
【氏名】黒川 晃澄
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼石 和浩
【テーマコード(参考)】
4D075
【Fターム(参考)】
4D075AE03
4D075BB02X
4D075CA03
4D075CA33
4D075DA27
4D075DB02
4D075DC05
4D075EA41
4D075EB33
4D075EB38
4D075EB45
4D075EB52
4D075EB56
(57)【要約】
【課題】鋼構造物の錆び面又は低ケレン面に、防食性に優れた高品質で柔軟性に優れた防食塗膜を形成することを可能とした鋼構造物の補修塗装方法を提供することである。
【解決手段】鋼構造物の錆面又は低ケレン面に、錆浸透剤を塗装した後に、上塗り塗料を塗装する鋼構造物の補修塗装方法であって、
前記錆浸透剤は、(i)主剤としてエポキシポリオール樹脂を含有すると共に、1級ヒドロキシル基を量末端にもった直鎖のポリオールを含有し、硬化剤としてイソシアネート樹脂を含有し、(ii) 膜厚が30μm以上であり、
前記上塗り塗料は、主剤としてポリオール樹脂を含有すると共に、硬化剤としてイソシアネート樹脂を含有することを特徴とする鋼構造物の補修塗装方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼構造物の錆面又は低ケレン面に、錆浸透剤を塗装した後に、上塗り塗料を塗装する鋼構造物の補修塗装方法であって、
前記錆浸透剤は、(i)主剤としてエポキシポリオール樹脂を含有すると共に、1級ヒドロキシル基を両末端にもった直鎖のポリオールを含有し、硬化剤としてイソシアネート樹脂を含有し、(ii)前記錆面又は低ケレン面に対して膜厚が30μm以上となるように塗布し、また、
前記上塗り塗料は、主剤としてポリオール樹脂を含有すると共に、硬化剤としてイソシアネート樹脂を含有することを特徴とする鋼構造物の補修塗装方法。
【請求項2】
前記錆浸透剤は、JIS K5600-5-1に規定される耐屈曲性(タイプ1試験装置)において、塗膜に割れ・はがれを認めないものであることを特徴とする請求項1記載の鋼構造物の補修塗装方法。
【請求項3】
前記錆浸透剤に含まれる直鎖のポリオールは重量平均分子量が800以上であると共に、固形分換算でエポキシポリオール樹脂の100質量部に対して20~60質量部の量で含有されることを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼構造物の補修塗装方法。
【請求項4】
前記錆浸透剤は、更に、芳香族オリゴマーを含有し、当該芳香族オリゴマーは、固形分換算で主剤及び硬化剤の合計100質量部に対して、固形分換算で5~50質量部の量で含有されることを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼構造物の補修塗装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼構造物を補修塗装する方法に関し、より詳しくは、鉄塔、橋梁、タンク、屋根、鋼管、煙突等の鋼構造物の錆面又は低ケレン面に錆浸透剤と上塗り塗料とを塗装することにより、短時間に防食性に優れた防食塗膜を形成することを可能とした鋼構造物の補修塗装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、鋼構造物の補修塗装を行う際には、事前にブラスト処理、動力工具処理などの下地処理を行うことが一般的であるが、特にブラスト処理を事前に行うことは鋼構造物の長期耐久性を確保する点で好ましいことが分かっている。しかし、実際の作業現場においては、常にブラスト処理などの下地処理を行うことは作業環境、構造物の形状などの面で不可能であり、やむをえず、3~4種ケレン程度で十分な下地処理が施せていない箇所も発生する。このように十分に下地処理が施せていない箇所については、期待した性能を発揮させることができないことがある。
【0003】
そのため、従来は、そのような十分に下地処理が施せていない箇所に直接塗装して補修する場合には、錆面への浸透性が比較的良好といわれている変性エポキシ樹脂塗料を塗布することが多くなる。しかしながら、錆の程度によっては、多孔質である錆層に完全に変性エポキシ樹脂塗料を浸透させることは困難であり、本来の変性エポキシ樹脂塗料が持つ性能を発揮させるためには、やはり一定以上の下地処理を行わなければならなくなる。すなわち、下地処理が不十分で脆い錆層が残存する部分に従来の変性エポキシ樹脂塗料を塗装しても、残存する脆弱な錆層から腐食や剥離が起こり、鋼構造物の早期劣化に繋がってしまう。
【0004】
このような問題があるにも関わらず、実際の施工時間に限りがある作業現場においては、施工を短時間で済ませることが求められる。一方で、長期の供用が求められる構造物であるために、施工条件による品質のばらつきは極力抑えなければならない。そのため、下地処理が不十分な鋼構造物の錆面又は低ケレン面に対しても十分に浸透し、短時間で上塗り塗装が可能であり、更には防食性能に優れる安定した品質の防食塗膜が得られる補修塗装方法の開発が望まれている。
【0005】
最近ではそのような十分な下地処理が施せなかった箇所でも十分な防食性能が出せるように様々な方法が用いられる。例えば、発錆した鉄鋼材料の表面を3種ケレン程度まで処理した後に、リン酸などを含む下地皮膜処理液を塗布した後、エポキシ樹脂をベースとしたリン酸化合物及び有機キレート剤を含有する錆転換型防錆下塗剤を塗装する補修塗装方法(特許文献1参照)や、錆面に対して水酸基含有非水分散形樹脂とキレート形成能を有する水酸基含有溶剤可溶樹脂とイソシアネート化合物とを含有する錆浸透形下塗材を塗装し、さらに上塗材を塗装する補修塗装方法(特許文献2参照)や、水分が残存した錆面に対して脱水剤と非水系溶剤からなる表面処理剤で処理した後、非水分散形樹脂とキレート形成能を有した溶剤可溶樹脂を含有する下塗剤を塗装し、さらに上塗材を塗装する補修塗装方法(特許文献3参照)や、発錆した鉄鋼材料の表面の脆い錆を簡単に落とした後、キレート形成能を有する樹脂と水系溶剤とを含有する錆安定化剤を塗装して赤錆(Fe2O3)の鉄原子を不動態化し、さらに防食塗料を塗装する補修塗装方法(特許文献4参照)や、錆面に有機溶剤を特定量含有する下地処理液を塗装することで、錆面が有する空気穴を液体で含浸させてしまう方法(特許文献5参照)などがある。
【0006】
これらの下地処理液や錆浸透剤は、優れた防食性と上塗り適合性とを特徴としている。そのため、素地調整が困難で錆が残存していても、錆に浸透して固定化または安定錆化し、素地調整のばらつきの影響を受けにくく、その上に良好な塗膜を形成することが可能とされている。
【0007】
加えて、本件出願人らは、下塗り塗料である錆浸透剤として低温硬化性に優れるエポキシポリオール樹脂を用いて、その粘度を所定の範囲にすることで、下地処理が十分でない場合にも浸透性を良好にして錆層を安定化させると共に、硬化乾燥性に優れた鋼構造物の補修塗装方法を提案している(特許文献6参照)。この方法によれば、作業現場での鋼構造物への補修塗装作業時間を大幅に短縮することができる。
【0008】
しかしながら、これら特許文献1~6に記載された方法は、前述の通り、防食効果や上塗り適合性に優れるものの、これらの方法における塗料はいずれも浸透性に着目した材料であることから粘性のない液体であり、一回の塗装で十分な膜厚を確保するのが難しい。
【0009】
また、塗料を塗り重ねることで十分な膜厚を確保した場合、塗膜の柔らかさが失われ、構造物の振動や伸縮に追従できないことによる、塗膜の割れの発生といった問題のおそれがある。そこで、エポキシ樹脂塗膜に柔らかさを付与する手法としてエポキシ樹脂中に長鎖のポリウレタン樹脂を共重合させる方法もあるが、共重合する際に加温の必要があり作業現場での適用は困難である(非特許文献1)。
それ故、下地処理が十分ではない鋼構造物の錆び面又は低ケレン面に対して、浸透性が良く、しかも十分な膜厚が確保できる柔軟な塗料を用いて、防食性能にも優れた防食塗膜を形成する補修塗装方法はこれまで見出されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2000-140746号公報
【特許文献2】特開2004-143423号公報
【特許文献3】特開2005-081188号公報
【特許文献4】特開2004-148163号公報
【特許文献5】特開2019-111488号公報
【特許文献6】特許第6411121号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】「ポリマーネットワーク」Vol.34、No.4、2013
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本件の発明者らは、下地処理が十分ではない鋼構造物の錆面や低ケレン面に対しても十分に浸透し、一回で十分な膜厚の塗装が可能であり、更に塗膜として柔らかく、優れた防食塗膜を得ることができる補修塗装方法について鋭意検討した結果、下塗り塗料である錆浸透剤として、エポキシポリオール樹脂と共に直鎖のポリオールを主剤に用いることで、上記課題を解決することができることを見出して、本発明を完成した。
【0013】
従って、本発明の目的は、鋼構造物の錆び面又は低ケレン面に対して、一回の塗装で十分な膜厚の塗装が可能であり、防食性に優れると共に、高品質で柔軟性に優れた防食塗膜を形成することができる鋼構造物の補修塗装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
すなわち、本発明は、鋼構造物の錆面又は低ケレン面に、錆浸透剤を塗装した後に、上塗り塗料を塗装する鋼構造物の補修塗装方法であって、
前記錆浸透剤は、(i)主剤としてエポキシポリオール樹脂を含有すると共に、1級ヒドロキシル基を両末端にもった直鎖のポリオールを含有し、硬化剤としてイソシアネート樹脂を含有し、(ii)前記錆面又は低ケレン面に対して膜厚が30μm以上となるように塗布し、また、
前記上塗り塗料は、主剤としてポリオール樹脂を含有すると共に、硬化剤としてイソシアネート樹脂を含有することを特徴とする鋼構造物の補修塗装方法である。
【0015】
本発明において、前記錆浸透剤は、JIS K5600-5-1に規定される耐屈曲性において、塗膜に割れ・はがれを認めないことが好ましい。
【0016】
また、本発明において、前記錆浸透剤に含まれる直鎖のポリオールは重量平均分子量が800以上であるのが好ましく、また、該直鎖のポリオールはエポキシポリオール樹脂の100質量部に対して、固形分換算で20~60質量部の量で含有されることが好ましい。
【0017】
また、本発明において、前記錆浸透剤は、更に、芳香族オリゴマーを含有し、当該芳香族オリゴマーは、錆浸透剤における主剤及び硬化剤の合計100質量部に対して、固形分換算で5~50質量部の量で含有されることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、下地処理が十分ではない鋼構造物の錆面や低ケレン面に対しても十分に浸透し、一回で十分な膜厚の塗装が可能であり、更に塗膜として柔らかく、加えて防食性に優れた防食塗膜を得ることが可能である。特に、本発明では、下塗り塗料である錆浸透剤として、エポキシポリオール樹脂と直鎖のポリオールを用いることで、十分な膜厚を確保しながら、柔軟性に優れた塗膜を得ることができることから、鋼構造物の振動や変形にも追従できて、割れや剥がれなどの塗膜不良を可及的に防ぐことができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの記載に限定されるものではなく、以下の例示以外についても、本発明の主旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
【0020】
本発明において、補修塗装対象となる鋼構造物は、鉄鋼材料を素地とした構造物であって、特に制限は無いが、鉄塔、橋梁、タンク、屋根、鋼管、煙突などを挙げることができる。ここで、本発明において錆面とは、水や酸素などの腐食因子により発錆した前記鋼構造物の表面をいい、後述するケレン処理を行う前の状態を指す。具体的にはFeなどの赤錆が発生している面を想定している。また、ケレンとは、錆落としや脆弱な旧塗膜の除去などを行った後の素地調整の程度のことを言い、具体的には、社団法人日本道路協会発行「鋼道路橋塗装・防食便覧」平成2年6月に規定されるが、作業内容、作業方法によって、1種(さび、旧塗膜を完全に除去し鋼材面を露出させる。ブラスト法)、2種(旧塗膜、さびを除去し鋼材面を露出させる。ディスクサンダー、ワイヤホイルなどの電動工具と手工具との併用,ブラスト法)、3種(活膜は残すが、それ以外の不良部(さび、割れ、ふくれ)は除去する。ディスクサンダー、ワイヤホイルなどの電動工具と手工具との併用,ブラスト法)、4種(粉化物、汚れなどを除去する。ディスクサンダー、ワイヤホイルなどの電動工具と手工具との併用,ブラスト法)と定義されている。本発明において低ケレンとは、上記のうち4種ケレン処理が行われた面のことをいう。
【0021】
<錆浸透剤>
本発明の錆浸透剤としては、下地処理が不十分な鋼構造物の錆面又は低ケレン面に対しても十分に浸透し、一回で十分な膜厚の塗装が可能であり、更に塗膜として柔らかく、また、後述する上塗り塗料を併用することで良好な防食性が得られるものであることが必要とされる。以下、具体的に説明する。
【0022】
本発明の錆浸透剤に使用される主剤としては、下地となる鋼構造物の錆面又は低ケレン面との密着性、耐食性、低温硬化性を兼備しているエポキシポリオール樹脂を用いる。
【0023】
主剤に用いられるエポキシポリオール樹脂は、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンを反応して得られるエポキシ樹脂を、イソプロパノールアミンなどのアルカノールアミンで変性して得られるものや、例えば、DIC社製のEPCLON EXA-8183、8169や、ADEKA製のアデカレジンEP-6000シリーズなどが挙げられる。エポキシポリオール樹脂は、イソシアネート樹脂と反応して硬化する。このような観点から、エポキシポリオール樹脂を用いる場合には、エポキシポリオール樹脂単独であってもよいが、イソシアネート樹脂と反応して硬化する他のポリオール樹脂を使用してもよい。かかる他のポリオール樹脂には、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、キレート変性ポリオール、ひまし油変性ポリオール等があり、これらから選択された1種又は2種以上を混合して使用してもよい。この場合の主剤としては、防食性の観点から、エポキシポリオール樹脂を主体とすることが好ましく、エポキシポリオール樹脂100質量部に対して他のポリオール樹脂を0~50質量部の含有量であることが望まれる。エポキシポリオール樹脂の水酸基価としては、耐水性、密着性の観点から溶剤希釈した状態で30~300mgKOH/gが好ましく、より好ましくは50~200mgKOH/gである。また、重量平均分子量としては、耐食性、施工性の観点から500~30000が好ましく、より好ましくは1000~20000である。
【0024】
また、本発明において主剤に用いられる直鎖のポリオールは、1級ヒドロキシル基を両末端に持ったものである、このうち、ポリエーテル系であればポリプロピレングリコール(以下、PPGと略する)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(以下、PTMGと略する)、ポリエステル系であればアジピン酸系ポリオール(以下、PEPと略する)、カプロラクトン系ポリオール(以下、PCLと略する)、ポリカーボネート系であればポリカーボネートジオール(以下、PCDと略する)、ポリブタジエン系であればポリブタジエンポリオール(以下、PBPと略する)などが挙げられるが、これらに限定されない。なかでも好ましくは、PTMG、PPG、PBP等が挙げられ、より好ましくは、PTMGである。また、1級ヒドロキシル基を両末端に持ったもつ直鎖のポリオールは、主剤としてその1種又は2種以上を混合して使用してもよい。2種以上を混合する場合、機械強度、柔軟性、防食性の観点から、使用する直鎖のポリオールのうち、PTMGを主体とすることが好ましい。
【0025】
また、1級ヒドロキシル基を両末端にもつ直鎖のポリオールについて、その重量平均分子量は800以上であることが好ましく、より好ましくは1000以上、さらに好ましくは1500以上である。重量平均分子量が800以上である場合、柔軟な塗膜を形成することが可能となる。この重量平均分子量がより大きくなると柔軟性の点で有利になるが、エポキシポリオールとの相溶性などを考慮すると4000以下であるのがよく、3000以下であるのが更に好ましい。
【0026】
また、錆浸透剤の主剤において、1級ヒドロキシル基を両末端にもつ直鎖のポリオールの配合率は固形分換算でエポキシポリオール樹脂の100質量部に対して、20~60質量部の量であることが好ましく、より好ましくは20~50質量部である。含有率が20質量部以下だと柔軟性が得られにくくなり、60質量部を超えると硬化性が低下する傾向がある。
【0027】
本発明の錆浸透剤に使用される硬化剤としては、イソシアネート樹脂が選択される。
イソシアネート樹脂としては、イソシアネート基を1分子中に2個以上有する化合物であればよく、汎用型、難黄変型、無黄変型など、幅広く使用できる。まず汎用型としてはトリレンジイソシアネート(以下、TDIと略称する)、TDIの3量化物であるイソシアヌレート、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略称する)、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート(以下、ポリメリックMDIと略称する)、また、難黄変型としては、キシリレンジアミン(以下、XDIと略称する)等が挙げられる。更に、無黄変型としては、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIと略称する)、イソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと略称する)、水添XDIおよび水添MDIなどが挙げられ、更に上記イソシアネート類をトリメチロールプロパン(以下、TMPと略称する)などの多価アルコール、多価フェノール類で変性したアダクト物も用いられる。特に、コストと性能のバランスの点からTDIのTMPアダクト物及びポリメリックMDIが好ましい。イソシアネート樹脂の使用量は、イソシアネート基(NCO基)/エポキシポリオール樹脂のヒドロキシル基(OH基)が0.3~1.5の範囲がよく、更に塗膜性能の面から0.3~1.0の範囲となるように含有されることが好ましい。イソシアネートのNCO当量としては、耐食性と反応性の観点から溶剤希釈した状態で50~2000が好ましく、より好ましくは50~1000である。また、固形分の分子量としては、耐食性と反応性の観点から100~4000が好ましく、より好ましくは100~2000である。
【0028】
本発明において使用される錆浸透剤により形成される塗膜の膜厚は30μm以上であり、好ましくは40μm以上であることがよい。この膜厚が30μmに満たない場合、被塗物の錆面の凹凸を十分に覆うことが困難となり、十分な防食性を確保するこが出来なくなる。錆浸透剤による下塗り塗装は膜厚が大きくなれば 耐水性・耐食性の面で有利であるが、膜厚が大きくなり過ぎると塗膜の硬化乾燥に時間を要することから、その上限は70μmであるのがよく、50μm以下であるのが好ましい。また、錆浸透剤を塗布する際は、公知の方法と同様にスプレーを用いたり、ローラーや刷毛により塗布するようにしてもよい。
なお、錆浸透剤による塗膜の膜厚は、錆面又は低ケレン面を基準にするものである。例えば、錆面又は低ケレン面が所定の厚さで錆層を有する場合、錆面より下に錆浸透剤が浸透して塗膜を形成するが、その場合には錆面上に形成された塗膜の膜厚が30μm以上である必要がある。
【0029】
本発明において使用される錆浸透剤は、JIS K5600-5-1に規定される耐屈曲性(タイプ1試験装置)において、直径6mmの試験にて塗膜に割れ・はがれを認めないことが好ましく、さらに好ましくは直径4mmの試験で塗膜に割れ・はがれを認めないことが好ましく、最も好ましくは直径2mmの試験にて塗膜に割れ・はがれを認めないことが好ましい。このように塗膜が柔らかい場合には、鋼構造物の振動や熱的な変形に追従が可能であり、防食性に優れる塗膜が得られるため好ましい。
【0030】
本発明の錆浸透剤には、錆面又は低ケレン面への含浸性を改善するため、好ましくは、芳香族オリゴマーを配合するのがよい。この芳香族オリゴマーは、素地への濡れ性が良くなる効果と耐水性が良くなる効果の両面が期待される。芳香族オリゴマーとしては、重量平均分子量300~6000であるものが好ましく、より好ましくは300~1500であることがよい。また、不揮発分50質量%以上であるのがよく、さらには、塗料中の他の配合成分と反応しにくいものや、その変性物などが好適に挙げられる。このような芳香族オリゴマーとしては、トルエン樹脂、キシレン樹脂、液状クマロン樹脂、スチレンホルムアルデヒド樹脂、イソプロペニルトルエンの液状低重合物、イソプロペニルトルエンとα―メチルスチレンとの共重合物、スチレンオリゴマー、スチレン化フェノール、フェノール類で変性されたクマロン樹脂などが挙げられ、これらを2種以上使用してもよい。好ましくは、スチレンオリゴマー、スチレンホルムアルデヒド樹脂、スチレン化フェノールなどのスチレン単位を、固形分換算で50質量%以上含むスチレン系オリゴマー、トルエン樹脂、及びキシレン樹脂が挙げられる。芳香族系オリゴマーの配合率は、固形分換算で主剤と硬化剤との合計100質量部に対し、5~50質量部が好ましく、より好ましくは5~40質量部がよい。これが5質量部より少ないと含浸性の改善効果が低く、50質量部を超えると硬化性が低下する傾向がある。
【0031】
本発明の錆浸透剤には、上記樹脂成分以外の成分として主剤や硬化剤の樹脂を溶解させるための有機溶剤を加えてもよい。有機溶剤としては、樹脂成分を安定的に溶解できるものであれば特に問題なく使用することができ、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系有機溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系有機溶剤、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶剤が挙げられるが、なかでも、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン(MEK)等の強溶剤が好ましい。このような有機溶剤の含有量は、主剤と硬化剤との合計100質量部に対して10~80質量部であるのが好ましく、より好ましくは20~70質量部である。また、速硬化性の観点からは沸点が50~150℃の範囲にあるものが好ましい。
【0032】
本発明の錆浸透剤に顔料が含まれる場合には、前記顔料としては、通常塗料に使用されている各種体質顔料、着色顔料、防錆顔料が使用可能である。代表的には体質顔料として炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、シリカ、マイカなどが挙げられ、着色顔料としては酸化チタン、ベンガラ、黄色酸化鉄、カーボンブラックなどが挙げられ、防錆顔料としてはジンククロメート、ストロンチウムクロメート、リン酸亜鉛、リンモリブデン酸亜鉛、リン酸アルミニウムなどが挙げられるが、クロム、鉛をはじめとする健康に有害性のある重金属を含有する防錆顔料よりも、安全面に配慮したリン酸系の防衛顔料を使用することが好ましい。この防錆顔料は、空隙に含浸するので鋼構造物の隙間より腐食が進行することを抑えるために有効であり、錆浸透剤が素地に十分に浸透しきれなかった場合のために、加えておくことが好ましい。当該顔料の含有量については、含有される顔料の合計量が、主剤及び硬化剤の合計100質量部に対して、固形分換算で30質量部以下が好ましく、より好ましくは、20質量部以下である。
【0033】
本発明の錆浸透剤には、その塗装性能等を改良する目的で各種の他の添加剤を配合することができる。前記他の添加剤としては、シランカップリング剤、顔料分散剤、沈降防止剤、消泡剤などが代表的なものとして挙げられる。
【0034】
<上塗り塗料>
本発明において、錆浸透剤の下塗り塗装後には、上塗り塗料を塗装する。塗り重ねる塗料としては、塗膜が柔軟性を有しつつも防食性能に優れることが求められる。柔軟性の指標として弾性率500N/m以下であるものであれば特に限定されない。本発明の上塗り塗料に含有される主剤としては、低温硬化性、得られる塗膜硬度の面で、ポリオール樹脂が使用され、硬化剤としてイソシアネート樹脂が選択される。
【0035】
ポリオール樹脂としては1分子中に水酸基を2個以上有し、イソシアネート系硬化剤と反応して架橋塗膜を形成することが可能な樹脂であれば使用可能である。例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、エポキシポリオールなどが挙げられるが、特にエポキシ樹脂をアルカノールアミンで変性したエポキシポリオールが密着性の点で優れる。また。ポリオール樹脂としては、耐水密着性に優れて、前述の錆浸透剤でも使用されるエポキシポリオール樹脂や、耐候性に優れたアクリルポリオール樹脂、フッ素系ポリオール樹脂などを各種使用することができ、好ましくは、耐水性、耐食性が良好な重量平均分子量10000~60000のアクリルポリオール樹脂に、相溶性、密着性が良好な重量平均分子量200~2000のエポキシ樹脂を、固形分換算で0~30質量部、好ましくは1~30質量部混合させた耐水密着性を改善した高耐候性塗料がよい。
この点、上塗り塗料にエポキシ樹脂塗料等を用いると、塗膜が太陽光や降雨の影響を受けて年間数μmの減耗(チョーキング)を生じるが、上塗り塗料に前記のような耐水密着性を改善した高耐候性塗料を用いると太陽光による変色抑制効果に併せてチョーキングも抑制し、長期防食効果も向上するので特に好ましい。
【0036】
ポリオール樹脂に組み合わされるイソシアネート樹脂(硬化剤)としては、特に限定されないが、例えば、p-フェニレンジイソシアネート、4-4’-ジフェニルジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-もしくは2,6-トリレンジイソシアネート又はその混合物、4,4’-トリレンジイソシアネート、1,3もしくは1,4-キシレンジイソシアネート又はその混合物などの芳香族ジイソシアネートや、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、又はヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪酸ジイソシアネートが挙げられる。これらは単独でも、2種以上の混合物としても使用できる。また多価アルコールに前記の過剰のイソシアネートを反応させたプレポリマーであってもよい。このときイソシアネートのNCO当量としては、耐食性と反応性の観点から溶剤希釈した状態で50~2000が好ましく、より好ましくは50~1000である。重量平均分子量としては耐食性と反応性の観点から100~4000が好ましく、より好ましくは100~2000である。
【0037】
本発明の上塗り塗料には、上記樹脂成分以外の成分として樹脂を溶解させるための有機溶剤を加えてもよい。有機溶剤としては、樹脂成分を安定的に溶解できるものであればとくに問題なく使用することができ、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系有機溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系有機溶剤、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶剤が挙げられるが、特に、トルエン、キシレン、MEK等の強溶剤が好ましい。なお、アルコール系の溶剤は、イソシアネート樹脂との間で反応するので、イソシアネート樹脂を硬化剤として使用する場合には使用することができない。このような有機溶剤の含有量は、主剤100質量部に対して10~70質量部であるのが好ましく、より好ましくは20~60質量部である。また、速硬化性の観点からは沸点が50~150℃の範囲にあるものが好ましい。
【0038】
本発明の上塗り塗料には、顔料として、通常塗料に使用されている各種体質顔料、着色顔料、防錆顔料が使用可能である。代表的には体質顔料として炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、シリカなどが挙げられ、着色顔料としては酸化チタン、ベンガラ、黄色酸化鉄、カーボンブラックなどが挙げられる。当該顔料の含有量については、含有される顔料の合計量が、主剤100質量部に対して10~70質量部が好ましく、より好ましくは、20~60質量部である。
また、上塗り塗料には浸透性や柔軟性を付与する目的で、その他、芳香族オリゴマーを加えてもよい。
【0039】
本発明の上塗り塗料としては、温度23℃で7日間以上経過後のJIS K5600-5-4に規定される鉛筆硬度がHB以下であることが好ましく、より好ましくは前記鉛筆硬度がB以下である。このように塗膜が比較的柔らかい場合には、硬化時の応力が発生しにくく、振動や変形に追従が可能であり、防食性に優れる塗膜が得られるため好ましい。
【0040】
本発明の補修塗装方法においては、錆浸透剤を塗装後、前記上塗り塗料を塗装するまでの間隔は5時間以内が好ましく、より好ましくは、3時間以内であることがよい。この間隔が5時間よりも長くなると、トータルの施工を短時間で済ませることができなくなるため、好ましくない。また、錆浸透剤の乾燥時間としては1~3時間で塗膜上を歩行可能である。上塗り塗料の塗り回数は被塗面の状態や周囲環境などによって適宜設定し、1層に限らず、2層以上を積層して仕上げることも可能である。それらの塗装方法としては、刷毛、エアレススプレー、ローラーなどの簡便な方法で塗装可能であり、特に限定されない。
また、本発明は錆浸透剤と上塗り塗料とにより構成されるが、必要に応じてさらに耐候性塗料等を上塗りすることもできる。また、錆浸透剤と上塗り塗料との合計膜厚については、防食性の観点から80μm以上が好ましく、より好ましくは120μm以上である。
【実施例0041】
以下、本発明の実施例により、さらに詳細に説明する。なお、実施例における「部」及び「%」はとくに断らない限り質量を基準とする。
【0042】
〔試験用錆鋼板の作成〕
70mm×150mm×3.2mmの鋼板(SS400)をブラスト処理した後、屋外暴露して発錆させ、鋼板の表面に40~100μmの範囲で錆厚さを有する錆鋼板を作成した。さらに、前述の錆鋼板を、ワイヤブラシを使用して汚れや粉化物を除去して下地処理をおこない、4種ケレン鋼板を作成し、これを試験用錆鋼板として、以下の点錆発生量の試験に用いた。
【0043】
(錆浸透剤の作成)
主剤と硬化剤を含む2液型の錆浸透剤を製造する。先ず、エポキシポリオール樹脂、1級ヒドロキシル基を両末端に持った直鎖のポリオール、芳香族オリゴマー、各種顔料を規定量加えた後に顔料が十分に分散されるまで撹拌を行う。顔料が十分に分散されたことを確認した後に、有機溶剤を規定量加えたものを主剤とする。試験片作成の直前に、主剤と硬化剤の混合比が7:3となるように規定量の硬化剤を加えて錆浸透剤1~13を作成した。それぞれの使用した原料とその配合割合を表1に示す。
【0044】
(上塗塗料の作成)
塗料ベース樹脂としてエポキシポリオール〔DIC(株)製、エピクロンEXA-8183、固形分60%、水酸基価165KOHmg/g、重量平均分子量2000〕100質量部、芳香族オリゴマー〔フドー(株)製 キシレン樹脂、ニカノールLLL、重量平均分子量300~350)30重量部に、トルエン、MEK=1:1の混合溶剤60質量部で希釈したのちに、タルク〔(株)福岡タルク工業製商品名、吸油量50ml/100g、中位径4.5μm〕75質量部、酸化チタン〔石原産業(株)製、CR-80〕30質量部、タレ止め剤〔楠本化成(株)製、ディスパロン6650、脂肪酸アマイドワックス〕3質量部を加えて60分間撹拌分散をおこなった。この塗料ベース剤に、タケネートD-103H〔三井化学(株)製トリレンジイソシアネートアダクト、NCO当量320)をNCO/OHモル比が0.8になるように添加して上塗塗料を得た。
【0045】
各種試験の方法を次に示す。
(屈曲性)
JIS K5600-1:1999記載のタイプ1の試験装置に準拠し操作を行う。試験用アルミニウムに錆浸透剤を30μmとなるよう塗布し、23℃×1週間養生した。養生後、直径6mmのマンドレルを装着し、さらに試験板を挟み、装着面が外側になるように折り曲げた。試験装置の折り曲げは、1~2秒かけて均等に行い、試験板の180°折り曲げを行った。
【0046】
(点錆発生量)
前記試験用錆鋼板の低ケレン面に対して乾燥後の膜厚が30μmとなるように錆浸透剤を塗布し、5℃×1時間後に上塗り塗料を1.5g(膜厚60μm)塗布した。23℃×1週間養生後に、複合サイクル試験(JASO法)を100サイクル実施した。評価基準は以下の通りである。
○:点錆なし、△:点錆発生面積1~3%未満、×:点錆発生面積3%以上
【0047】
錆浸透剤に使用した材料と配合を表1に示すと共に、それらの評価結果を示す。また、使用した略号を次に示す。
EPO:NPSN-901K80(南亜社製)にp-ter-ブチルフェノール(DIC(株)製)を反応させたのち、ジエタノールアミン、メチルイソブチルケトンを添加し、次の性状となるようエポキシポリオールを調整した。(固形分濃度:60%、水酸基価150KOHmg/g、重量平均分子量1800)
SF-6X:芳香族オリゴマー ニットレジンSF-6X〔日塗化学(株)製商品名、スチレンオリゴマー、固形分82%、重量平均分子量300~310〕
LLL:芳香族オリゴマー ニカノールLLL〔フドー(株)製商品名、スチレン化フェノール、固形分100%、重量平均分子量300~350〕
鎖延長I: PTMG1000〔三菱ケミカル株式会社製商品名、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、固形分100%、重量平均分子量1000〕
鎖延長II: PTMG2000〔三菱ケミカル株式会社製商品名、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、固形分100%、重量平均分子量2000〕
鎖延長III: PTMG2000〔三菱ケミカル株式会社製商品名、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、固形分100%、重量平均分子量3000〕
鎖延長IV:: PLACCEL2205T〔ダイセル株式会社製商品名、ポリカプロラクトンジオール、固形分100%、重量平均分子量2000〕
鎖延長V: P-2010〔株式会社クラレ製商品名、ポリエステルポリオール、固形分100%、重量平均分子量2000〕
鎖延長VI: PTMG650〔三菱ケミカル株式会社製商品名、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、固形分100%、重量平均分子量650〕
R-5N:酸化チタン TITONE R-5N〔堺化学工業(株)製商品名、中位径0.26μm〕
PS-85H:タルク PS-85H〔(株)福岡タルク工業製商品名、吸油量50ml/100g、中位径4.5μm〕
K ホワイト#105:防錆顔料 K ホワイト#105〔テイカ(株)製商品名、トリポリリン酸二水素アルミニウム、中位径1.6μm〕
D-103H:イソシアネート樹脂 タケネートD-103H〔三井化学(株)製商品名、TDIのTMPアダクト物、固形分76%(76%酢酸エチル溶液)、NCO当量 320〕
【0048】
【表1】
【0049】
以上の結果より、本発明に係る補修塗装方法では、錆浸透剤によって屈曲性に優れた塗膜を形成することができ、また、試験用錆鋼板での錆発生量を抑えることができる。そのため、本発明によれば、鋼構造物の錆び面又は低ケレン面に対して、少ない回数(特に一回)で十分な膜厚の塗装が可能であって、防食性に優れると共に、高品質で柔軟性に優れた防食塗膜を形成することができる。