IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日置電機株式会社の特許一覧

特開2024-84700検査装置、接触状態判別装置および接触状態判別方法
<>
  • 特開-検査装置、接触状態判別装置および接触状態判別方法 図1
  • 特開-検査装置、接触状態判別装置および接触状態判別方法 図2
  • 特開-検査装置、接触状態判別装置および接触状態判別方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084700
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】検査装置、接触状態判別装置および接触状態判別方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/66 20200101AFI20240618BHJP
【FI】
G01R31/66
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023193570
(22)【出願日】2023-11-14
(31)【優先権主張番号】P 2022198445
(32)【優先日】2022-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】村上 貴浩
(72)【発明者】
【氏名】中村 洋一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 雄亮
(72)【発明者】
【氏名】北澤 正美
【テーマコード(参考)】
2G014
【Fターム(参考)】
2G014AA14
2G014AA17
2G014AB27
2G014AB61
(57)【要約】
【課題】装置の製造コストの低減および装置の小型化を図る。
【解決手段】正極端子Tpおよび金属層Lm間に静電容量Cdを有する二次電池DUTにおける正極端子Tpおよび金属層Lmに接触させられるプローブP1,P2の接触状態の良否を判別する判別処理を実行する処理部6と、正極端子Tpおよび金属層Lmに非接触状態におけるプローブP1,P2間の静電容量C3の容量値並びに正極端子Tpおよび金属層Lm間の静電容量Cdの容量値以下の値に規定されたしきい値を記憶する記憶部7と、接触状態におけるプローブP1,P2間の静電容量(静電容量C3と静電容量Cdとを加算した静電容量)の容量値を測定する処理部6とを備え、処理部6は、測定した容量値から静電容量C3の容量値を差し引いた容量値がしきい値を超えているか否かに基づき、プローブP1,P2と正極端子Tpおよび金属層Lmとの間の接触状態の良否を判別する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査用電圧を生成する検査用電圧生成部と、
一対の判別対象部位間に静電容量を有する検査対象における当該一対の判別対象部位に接触させられた状態において前記検査用電圧生成部によって生成された前記検査用電圧を当該一対の判別対象部位間に供給する一対のプローブと、
前記一対の判別対象部位間に前記検査用電圧が供給されている状態において当該一対の判別対象部位間を流れる電流の電流値を測定する電流測定部と、
前記電流測定部によって測定された前記一対の判別対象部位間を流れる前記電流の電流値に基づいて前記検査対象の良否を検査する検査処理、および前記一対の判別対象部位に接触させられた前記一対のプローブと当該一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する判別処理を実行する処理部とを備えている検査装置であって、
前記一対の判別対象部位に非接触状態における前記一対のプローブ間の静電容量の容量値、および前記一対の判別対象部位間の前記静電容量の容量値以下の値に規定されたしきい値を記憶する記憶部と、
前記一対のプローブ間の静電容量に蓄積されている電荷を放電させる放電処理を実行する放電部と、
前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間の静電容量の容量値を測定する静電容量測定部とを備え、
前記処理部は、前記検査処理の後に前記判別処理を実行し、前記放電処理において前記電荷の放電時間に基づいて前記一対の判別対象部位に接触状態における当該一対のプローブ間の静電容量の容量値を前記静電容量測定部に対して測定させ、当該静電容量測定部によって測定された前記容量値から前記記憶部に記憶されている前記一対のプローブ間の静電容量の容量値を差し引いた容量値が当該記憶部に記憶されている前記しきい値を超えているか否かに基づき、前記一対のプローブと前記一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する検査装置。
【請求項2】
検査用電圧を生成する検査用電圧生成部と、
一対の判別対象部位間に静電容量を有する検査対象における当該一対の判別対象部位に接触させられた状態において前記検査用電圧生成部によって生成された前記検査用電圧を当該一対の判別対象部位間に供給する一対のプローブと、
前記一対の判別対象部位間に前記検査用電圧が供給されている状態において当該一対の判別対象部位間を流れる電流の電流値を測定する電流測定部と、
前記電流測定部によって測定された前記一対の判別対象部位間を流れる前記電流の電流値に基づいて前記検査対象の良否を検査する検査処理、および前記一対の判別対象部位に接触させられた前記一対のプローブと当該一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する判別処理を実行する処理部とを備えている検査装置であって、
前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間の静電容量の容量値以下の値に規定されたしきい値を記憶する記憶部と、
前記一対のプローブ間の静電容量に蓄積されている電荷を放電させる放電処理を実行する放電部と、
前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間の静電容量の容量値を測定する静電容量測定部とを備え、
前記処理部は、前記検査処理の後に前記判別処理を実行し、前記放電処理において前記電荷の放電時間に基づいて前記一対の判別対象部位に接触状態における当該一対のプローブ間の静電容量の容量値を前記静電容量測定部に対して測定させ、当該静電容量測定部によって測定された前記容量値が前記記憶部に記憶されている前記しきい値を超えているか否かに基づき、前記一対のプローブと前記一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する検査装置。
【請求項3】
検査用電圧を生成する検査用電圧生成部と、
一対の判別対象部位間に静電容量を有する検査対象における当該一対の判別対象部位に接触させられた状態において前記検査用電圧生成部によって生成された前記検査用電圧を当該一対の判別対象部位間に供給する一対のプローブと、
前記一対の判別対象部位間に前記検査用電圧が供給されている状態において当該一対の判別対象部位間を流れる電流の電流値を測定する電流測定部と、
前記電流測定部によって測定された前記一対の判別対象部位間を流れる前記電流の電流値に基づいて前記検査対象の良否を検査する検査処理、および前記一対の判別対象部位に接触させられた前記一対のプローブと当該一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する判別処理を実行する処理部とを備えている検査装置であって、
前記一対のプローブ間の静電容量に蓄積されている電荷を放電させる放電処理を実行する放電部と、
前記一対の判別対象部位に接触状態における当該一対のプローブ間の静電容量に蓄積されている電荷を放電する前記放電処理中における当該一対のプローブ間の電圧を測定可能な電圧測定部と、
前記電圧測定部によって測定された前記一対のプローブ間の電圧の電圧値に基づいて特定される比較値との比較によって当該一対のプローブの接触状態の良否を判別する基準値を記憶する記憶部とを備え、
前記処理部は、前記検査処理の後に前記判別処理を実行し、前記放電部による前記放電処理中に前記電圧測定部によって測定された前記電圧の電圧値に基づいて前記比較値を特定すると共に、特定した当該比較値と前記記憶部に記憶されている前記基準値との比較により、前記一対のプローブと前記一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する検査装置。
【請求項4】
前記記憶部は、前記一対の判別対象部位に非接触状態における前記一対のプローブ間に蓄積された電荷を前記放電処理と同様の放電条件下で放電したときの放電時間である第1の時間、および当該一対の判別対象部位間に蓄積された電荷を当該放電処理と同様の放電条件下で放電したときの放電時間以下に規定された第2の時間を前記基準値として記憶し、
前記処理部は、前記判別処理において、前記電圧測定部によって測定された電圧の電圧値に基づき、前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間に蓄積された電荷の放電時間である第3の時間を前記比較値として特定し、特定した当該第3の時間から前記第1の時間を差し引いた第4の時間と前記第2の時間との比較により、前記一対のプローブと前記一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する請求項3記載の検査装置。
【請求項5】
前記記憶部は、前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間に蓄積された電荷を前記放電処理と同様の放電条件下で放電したときの放電時間以下に規定された時間Aを前記基準値として記憶し、
前記処理部は、前記判別処理において、前記電圧測定部によって測定された電圧の電圧値に基づき、前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間に蓄積された電荷の放電時間である時間Bを前記比較値として特定し、特定した当該時間Bと前記前記時間Aとの比較により、前記一対のプローブと前記一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する請求項3記載の検査装置。
【請求項6】
前記記憶部は、前記一対の判別対象部位に非接触状態における前記一対のプローブ間に蓄積された電荷を前記放電処理と同様の放電条件下で放電したときにおける当該一対のプローブ間の電圧の降下率である第1の降下率、および当該一対の判別対象部位間に蓄積された電荷を当該放電処理と同様の放電条件下で放電したときにおける当該一対の判別対象部位間の電圧の降下率以下に規定された第2の降下率を前記基準値として記憶し、
前記処理部は、前記判別処理において、前記電圧測定部によって測定された電圧の電圧値に基づき、前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間に蓄積された電荷の前記放電処理中における当該一対のプローブ間の電圧の降下率である第3の降下率を前記比較値として特定し、特定した当該第3の降下率から前記第1の降下率を差し引いた第4の降下率と前記第2の降下率との比較により、前記一対のプローブと前記一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する請求項3記載の検査装置。
【請求項7】
前記記憶部は、前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間に蓄積された電荷を前記放電処理と同様の放電条件下で放電したときにおける当該一対のプローブ間の電圧の降下率以上に規定された降下率Aを前記基準値として記憶し、
前記処理部は、前記判別処理において、前記電圧測定部によって測定された電圧の電圧値に基づき、前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間に蓄積された電荷の前記放電処理中における当該一対のプローブ間の電圧の降下率である降下率Bを前記比較値として特定し、特定した当該降下率Bと前記降下率Aとの比較により、前記一対のプローブと前記一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する請求項3記載の検査装置。
【請求項8】
前記記憶部は、前記一対の判別対象部位に非接触状態における前記一対のプローブ間に蓄積された電荷を前記放電処理と同様の放電条件下で放電したときに放電開始から予め規定された時間が経過した時点における当該一対のプローブ間の電圧の電圧値である第1の電圧値、および当該一対の判別対象部位間に蓄積された電荷を当該放電処理と同様の放電条件下で放電したときに放電開始から当該予め規定された時間が経過した時点における当該一対の判別対象部位間の電圧の電圧値以下に規定された第2の電圧値を前記基準値として記憶し、
前記処理部は、前記判別処理において、前記電圧測定部によって測定された電圧の電圧値に基づき、前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間に蓄積された電荷の前記放電処理において当該放電処理の開始から前記予め規定された時間が経過した時点における当該一対のプローブ間の電圧の電圧値である第3の電圧値を前記比較値として特定し、特定した当該第3の電圧値から前記第1の電圧値を差し引いた第4の電圧値と前記第2の電圧値との比較により、前記一対のプローブと前記一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する請求項3記載の検査装置。
【請求項9】
前記記憶部は、前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間に蓄積された電荷を前記放電処理と同様の放電条件下で放電したときに放電開始から予め規定された時間が経過した時点における当該一対のプローブ間の電圧の電圧値以下に規定された電圧値Aを前記基準値として記憶し、
前記処理部は、前記判別処理において、前記電圧測定部によって測定された電圧の電圧値に基づき、前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間に蓄積された電荷の前記放電処理において当該放電処理の開始から前記予め規定された時間が経過した時点における当該一対のプローブ間の電圧の電圧値である電圧値Bを前記比較値として特定し、特定した当該電圧値Bと前記電圧値Aとの比較により、前記一対のプローブと前記一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する請求項3記載の検査装置。
【請求項10】
一対の判別対象部位間に静電容量を有する検査対象における当該一対の判別対象部位に接触させられる一対のプローブと当該一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する判別処理を実行する処理部を備えている接触状態判別装置であって、
前記一対の判別対象部位に非接触状態における前記一対のプローブ間の静電容量の容量値、および前記一対の判別対象部位間の前記静電容量の容量値以下の値に規定されたしきい値を記憶する記憶部と、
前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間の静電容量の容量値を測定する静電容量測定部とを備え、
前記処理部は、前記判別処理において、前記静電容量測定部によって測定された前記容量値から前記記憶部に記憶されている前記一対のプローブ間の静電容量の容量値を差し引いた容量値が当該記憶部に記憶されている前記しきい値を超えているか否かに基づき、前記一対のプローブと前記一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する接触状態判別装置。
【請求項11】
一対の判別対象部位間に静電容量を有する検査対象における当該一対の判別対象部位に接触させられる一対のプローブと当該一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する判別処理を実行する処理部を備えている接触状態判別装置であって、
前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間の静電容量の容量値以下の値に規定されたしきい値を記憶する記憶部と、
前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間の静電容量の容量値を測定する静電容量測定部とを備え、
前記処理部は、前記判別処理において、前記静電容量測定部によって測定された前記容量値が前記記憶部に記憶されている前記しきい値を超えているか否かに基づき、前記一対のプローブと前記一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する接触状態判別装置。
【請求項12】
一対の判別対象部位間に静電容量を有する検査対象における当該一対の判別対象部位に接触させられる一対のプローブと当該一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する判別処理を実行する処理部を備えている接触状態判別装置であって、
前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間の静電容量に蓄積されている電荷を放電する放電処理中における当該一対のプローブ間の電圧を測定可能な電圧測定部と、
前記電圧測定部によって測定された前記一対のプローブ間の電圧の電圧値に基づいて特定される比較値との比較によって当該一対のプローブの接触状態の良否を判別する基準値を記憶する記憶部とを備え、
前記処理部は、前記判別処理において、前記放電処理中に前記電圧測定部によって測定された前記電圧の電圧値に基づいて前記比較値を特定すると共に、特定した当該比較値と前記記憶部に記憶されている前記基準値との比較により、前記一対のプローブと前記一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する接触状態判別装置。
【請求項13】
前記記憶部は、前記一対の判別対象部位に非接触状態における前記一対のプローブ間に蓄積された電荷を前記放電処理と同様の放電条件下で放電したときの放電時間である第1の時間、および当該一対の判別対象部位間に蓄積された電荷を当該放電処理と同様の放電条件下で放電したときの放電時間以下に規定された第2の時間を前記基準値として記憶し、
前記処理部は、前記判別処理において、前記電圧測定部によって測定された電圧の電圧値に基づき、前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間に蓄積された電荷の放電時間である第3の時間を前記比較値として特定し、特定した当該第3の時間から前記第1の時間を差し引いた第4の時間と前記第2の時間との比較により、前記一対のプローブと前記一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する請求項12記載の接触状態判別装置。
【請求項14】
前記記憶部は、前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間に蓄積された電荷を前記放電処理と同様の放電条件下で放電したときの放電時間以下に規定された時間Aを前記基準値として記憶し、
前記処理部は、前記判別処理において、前記電圧測定部によって測定された電圧の電圧値に基づき、前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間に蓄積された電荷の放電時間である時間Bを前記比較値として特定し、特定した当該時間Bと前記前記時間Aとの比較により、前記一対のプローブと前記一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する請求項12記載の接触状態判別装置。
【請求項15】
前記記憶部は、前記一対の判別対象部位に非接触状態における前記一対のプローブ間に蓄積された電荷を前記放電処理と同様の放電条件下で放電したときにおける当該一対のプローブ間の電圧の降下率である第1の降下率、および当該一対の判別対象部位間に蓄積された電荷を当該放電処理と同様の放電条件下で放電したときにおける当該一対の判別対象部位間の電圧の降下率以下に規定された第2の降下率を前記基準値として記憶し、
前記処理部は、前記判別処理において、前記電圧測定部によって測定された電圧の電圧値に基づき、前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間に蓄積された電荷の前記放電処理中における当該一対のプローブ間の電圧の降下率である第3の降下率を前記比較値として特定し、特定した当該第3の降下率から前記第1の降下率を差し引いた第4の降下率と前記第2の降下率との比較により、前記一対のプローブと前記一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する請求項12記載の接触状態判別装置。
【請求項16】
前記記憶部は、前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間に蓄積された電荷を前記放電処理と同様の放電条件下で放電したときにおける当該一対のプローブ間の電圧の降下率以上に規定された降下率Aを前記基準値として記憶し、
前記処理部は、前記判別処理において、前記電圧測定部によって測定された電圧の電圧値に基づき、前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間に蓄積された電荷の前記放電処理中における当該一対のプローブ間の電圧の降下率である降下率Bを前記比較値として特定し、特定した当該降下率Bと前記降下率Aとの比較により、前記一対のプローブと前記一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する請求項12記載の接触状態判別装置。
【請求項17】
前記記憶部は、前記一対の判別対象部位に非接触状態における前記一対のプローブ間に蓄積された電荷を前記放電処理と同様の放電条件下で放電したときに放電開始から予め規定された時間が経過した時点における当該一対のプローブ間の電圧の電圧値である第1の電圧値、および当該一対の判別対象部位間に蓄積された電荷を当該放電処理と同様の放電条件下で放電したときに放電開始から当該予め規定された時間が経過した時点における当該一対の判別対象部位間の電圧の電圧値以下に規定された第2の電圧値を前記基準値として記憶し、
前記処理部は、前記判別処理において、前記電圧測定部によって測定された電圧の電圧値に基づき、前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間に蓄積された電荷の前記放電処理において当該放電処理の開始から前記予め規定された時間が経過した時点における当該一対のプローブ間の電圧の電圧値である第3の電圧値を前記比較値として特定し、特定した当該第3の電圧値から前記第1の電圧値を差し引いた第4の電圧値と前記第2の電圧値との比較により、前記一対のプローブと前記一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する請求項12記載の接触状態判別装置。
【請求項18】
前記記憶部は、前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間に蓄積された電荷を前記放電処理と同様の放電条件下で放電したときに放電開始から予め規定された時間が経過した時点における当該一対のプローブ間の電圧の電圧値以下に規定された電圧値Aを前記基準値として記憶し、
前記処理部は、前記判別処理において、前記電圧測定部によって測定された電圧の電圧値に基づき、前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間に蓄積された電荷の前記放電処理において当該放電処理の開始から前記予め規定された時間が経過した時点における当該一対のプローブ間の電圧の電圧値である電圧値Bを前記比較値として特定し、特定した当該電圧値Bと前記電圧値Aとの比較により、前記一対のプローブと前記一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する請求項12記載の接触状態判別装置。
【請求項19】
一対の判別対象部位間に静電容量を有する検査対象における当該一対の判別対象部位に接触させられた一対のプローブと当該一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する判別処理を実行する接触状態判別方法であって、
前記判別処理において、前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間の静電容量の容量値を測定し、当該測定した容量値から前記一対の判別対象部位に非接触状態における前記一対のプローブ間の静電容量の容量値を差し引いた容量値が当該一対の判別対象部位間の前記静電容量の容量値以下の値に規定したしきい値を超えているか否かに基づき、前記一対のプローブと前記一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する接触状態判別方法。
【請求項20】
一対の判別対象部位間に静電容量を有する検査対象における当該一対の判別対象部位に接触させられた一対のプローブと当該一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する判別処理を実行する接触状態判別方法であって、
前記判別処理において、前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間の静電容量の容量値を測定し、当該測定した容量値が前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間の静電容量の容量値以下の値に規定したしきい値を超えているか否かに基づき、前記一対のプローブと前記一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する接触状態判別方法。
【請求項21】
一対の判別対象部位間に静電容量を有する検査対象における当該一対の判別対象部位に接触させられた一対のプローブと当該一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する判別処理を実行する接触状態判別方法であって、
前記判別処理において、前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間の静電容量に蓄積されている電荷を放電する放電処理中における当該一対のプローブ間の電圧を測定し、測定した前記電圧の電圧値に基づいて比較値を特定すると共に、当該比較値との比較によって前記一対のプローブの接触状態の良否を判別する基準値と、特定した当該比較値との比較により、前記一対のプローブと前記一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する接触状態判別方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象についての電圧などの被測定量を測定する測定装置や検査装置において使用する一対のプローブと検査対象における一対の判別対象部位との接触状態を判別する接触状態判別装置、その接触状態判別装置を備えた検査装置および接触状態判別方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の接触状態判別装置として、出願人は、下記の特許文献1に絶縁耐電圧試験装置を開示している。この絶縁耐電圧試験装置は、被試験体に試験電圧を印加する電源部(耐電圧試験用電源および絶縁抵抗試験用電源)と、電圧印加用プローブP1,P2および断線検出用プローブP3,P4の4本のプローブとを備え、被試験体についての耐圧試験や絶縁抵抗試験を行うことができるように構成されている。この場合、この絶縁耐電圧試験装置では、電圧印加用プローブP1が第1配線を介して電源部のHi側電源端子に接続され、電圧印加用プローブP2が第2配線を介して電源部のLo側電源端子に接続され、断線検出用プローブP3が第3配線を介して電源部のLo側電源端子に接続され、かつ断線検出用プローブP4が第4配線を介して第2配線L2に接続されると共に、第3配線にHi側断線電圧検出部112が配設され、かつ第4配線に断線検出用電源およびLo側断線電流検出部が配設されており、これにより、Hi側断線電圧検出部とLo側断線電流検出部の検出値に基づいて電圧印加用プローブP1,P2の接触状態(断線の有無)を判定することが可能になっている。
【0003】
また、出願人は、下記の特許文献2に接触状態判別装置を開示している。この接触状態判別装置は、電流供給部、電圧検出部、検波信号生成部、検波部、処理部、出力部および記憶部を備えて構成されて、二次電池の一対の電極と一対のプローブとの接触状態を判別する。
【0004】
この接触状態判別装置では、電流供給部が、二次電池への交流検査電流の供給を実行すると共に、交流検査電流と同一周波数で、かつ同一位相の基準信号を検波信号生成部に出力する。また、電圧検出部が、この交流検査電流の供給状態において一対のプローブ間に発生する交流電圧を検出して、検出電圧信号として検波部に出力する。また、検波信号生成部が、入力している基準信号と同一周波数であって、この基準信号に対して位相が0度を超え90度未満の角度範囲内の任意の角度だけ遅れた検波用信号を生成して検波部に出力する。この場合、検波部は、検出電圧信号および検波用信号を入力して、検出電圧信号を検波用信号で同期検波することにより、直流検波電圧を生成して処理部に出力する。
【0005】
また、処理部は、直流検波電圧を電圧データに変換し、この電圧データと交流検査電流の既知の電流値とに基づいてインピーダンスを算出する。次いで、処理部は、記憶部に記憶されているしきい値データを読み出して、算出したインピーダンスと比較する。処理部は、この比較の結果、算出したインピーダンスがこのしきい値データで示されるしきい値を上回るときには、二次電池の一対の電極と一対のプローブとの間の接触抵抗が大きいために接触状態は不良であると判別し、算出されたインピーダンスがこのしきい値以下のときには、接触抵抗が小さいために接触状態は良好であると判別する。次いで、処理部は、この判別結果を出力部に出力する。これにより、使用者は、出力部に表示される判別結果に基づいて、二次電池の一対の電極と一対のプローブとの間の接触状態を正確に把握することが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-171069号公報(第6-8頁、第1-2図)
【特許文献2】特許6358920号公報(第7-14頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記特許文献1に開示の絶縁耐電圧試験装置、および上記特許文献2に開示の接触状態判別装置には、以下のような改善すべき課題が存在している。すなわち、上記特許文献1開示の絶縁耐電圧試験装置では、電圧印加用プローブP1,P2と被試験体との接触状態を判定するために、電源部(耐電圧試験用電源および絶縁抵抗試験用電源)とは別に、断線検出用電源、Hi側断線電圧検出部およびLo側断線電流検出部を備えて構成されている。また、上記特許文献2開示の接触状態判別装置では、一対のプローブと検査対象としての二次電池の判別対象部位(一対の電極)との間の接触状態を判別するために、検査装置とは別に、電圧検出部、検波信号生成部および検波部を備えて構成される専用の接触状態判別装置を必要とする。このため、上記特許文献1,2に開示の装置は、いずれも、その製造コストが上昇すると共に、回路規模が大きくなるために装置全体としての小型化が困難であり、これを改善すべきという課題が存在している。
【0008】
本発明は、かかる課題を改善するためになされたものであり、装置の製造コストの低減および装置の小型化を図り得る検査装置、接触状態判別装置および接触状態判別方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成すべく、本発明に係る検査装置は、検査用電圧を生成する検査用電圧生成部と、一対の判別対象部位間に静電容量を有する検査対象における当該一対の判別対象部位に接触させられた状態において前記検査用電圧生成部によって生成された前記検査用電圧を当該一対の判別対象部位間に供給する一対のプローブと、前記一対の判別対象部位間に前記検査用電圧が供給されている状態において当該一対の判別対象部位間を流れる電流の電流値を測定する電流測定部と、前記電流測定部によって測定された前記一対の判別対象部位間を流れる前記電流の電流値に基づいて前記検査対象の良否を検査する検査処理、および前記一対の判別対象部位に接触させられた前記一対のプローブと当該一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する判別処理を実行する処理部とを備えている検査装置であって、前記一対の判別対象部位に非接触状態における前記一対のプローブ間の静電容量の容量値、および前記一対の判別対象部位間の前記静電容量の容量値以下の値に規定されたしきい値を記憶する記憶部と、前記一対のプローブ間の静電容量に蓄積されている電荷を放電させる放電処理を実行する放電部と、前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間の静電容量の容量値を測定する静電容量測定部とを備え、前記処理部は、前記検査処理の後に前記判別処理を実行し、前記放電処理において前記電荷の放電時間に基づいて前記一対の判別対象部位に接触状態における当該一対のプローブ間の静電容量の容量値を前記静電容量測定部に対して測定させ、当該静電容量測定部によって測定された前記容量値から前記記憶部に記憶されている前記一対のプローブ間の静電容量の容量値を差し引いた容量値が当該記憶部に記憶されている前記しきい値を超えているか否かに基づき、前記一対のプローブと前記一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する。
【0010】
また、本発明に係る接触状態判別装置は、一対の判別対象部位間に静電容量を有する検査対象における当該一対の判別対象部位に接触させられる一対のプローブと当該一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する判別処理を実行する処理部を備えている接触状態判別装置であって、前記一対の判別対象部位に非接触状態における前記一対のプローブ間の静電容量の容量値、および前記一対の判別対象部位間の前記静電容量の容量値以下の値に規定されたしきい値を記憶する記憶部と、前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間の静電容量の容量値を測定する静電容量測定部とを備え、前記処理部は、前記判別処理において、前記静電容量測定部によって測定された前記容量値から前記記憶部に記憶されている前記一対のプローブ間の静電容量の容量値を差し引いた容量値が当該記憶部に記憶されている前記しきい値を超えているか否かに基づき、前記一対のプローブと前記一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する。
【0011】
また、本発明に係る接触状態判別方法は、一対の判別対象部位間に静電容量を有する検査対象における当該一対の判別対象部位に接触させられた一対のプローブと当該一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する判別処理を実行する接触状態判別方法であって、前記判別処理において、前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間の静電容量の容量値を測定し、当該測定した容量値から前記一対の判別対象部位に非接触状態における前記一対のプローブ間の静電容量の容量値を差し引いた容量値が当該一対の判別対象部位間の前記静電容量の容量値以下の値に規定したしきい値を超えているか否かに基づき、前記一対のプローブと前記一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する。
【0012】
したがって、この検査装置、接触状態判別装置および接触状態判別方法によれば、一対の判別対象部位に接触状態における一対のプローブ間の静電容量の容量値を測定可能な静電容量測定部と、測定した容量値から一対の判別対象部位に非接触状態における一対のプローブ間の静電容量の容量値を差し引いた容量値としきい値とを比較する処理部との簡易な構成を用いるだけで接触状態を判別できるため、装置の製造コストを低減できると共に装置の小型化を図ることができる。また、この検査装置によれば、検査装置による検査処理に本来用いられる構成を利用して一対のプローブ間の静電容量の容量値を測定できる結果、装置の製造コストの上昇や装置の大型化を回避することができると共に、検査処理の後に元々必要な放電処理の実行時間内で一対のプローブ間の静電容量の容量値を測定できる結果、検査時間の延長を回避することができる。
【0013】
また、上記目的を達成すべく、本発明に係る検査装置は、検査用電圧を生成する検査用電圧生成部と、一対の判別対象部位間に静電容量を有する検査対象における当該一対の判別対象部位に接触させられた状態において前記検査用電圧生成部によって生成された前記検査用電圧を当該一対の判別対象部位間に供給する一対のプローブと、前記一対の判別対象部位間に前記検査用電圧が供給されている状態において当該一対の判別対象部位間を流れる電流の電流値を測定する電流測定部と、前記電流測定部によって測定された前記一対の判別対象部位間を流れる前記電流の電流値に基づいて前記検査対象の良否を検査する検査処理、および前記一対の判別対象部位に接触させられた前記一対のプローブと当該一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する判別処理を実行する処理部とを備えている検査装置であって、前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間の静電容量の容量値以下の値に規定されたしきい値を記憶する記憶部と、前記一対のプローブ間の静電容量に蓄積されている電荷を放電させる放電処理を実行する放電部と、前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間の静電容量の容量値を測定する静電容量測定部とを備え、前記処理部は、前記検査処理の後に前記判別処理を実行し、前記放電処理において前記電荷の放電時間に基づいて前記一対の判別対象部位に接触状態における当該一対のプローブ間の静電容量の容量値を前記静電容量測定部に対して測定させ、当該静電容量測定部によって測定された前記容量値が前記記憶部に記憶されている前記しきい値を超えているか否かに基づき、前記一対のプローブと前記一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する。
【0014】
また、本発明に係る接触状態判別装置は、一対の判別対象部位間に静電容量を有する検査対象における当該一対の判別対象部位に接触させられる一対のプローブと当該一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する判別処理を実行する処理部を備えている接触状態判別装置であって、前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間の静電容量の容量値以下の値に規定されたしきい値を記憶する記憶部と、前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間の静電容量の容量値を測定する静電容量測定部とを備え、前記処理部は、前記判別処理において、前記静電容量測定部によって測定された前記容量値が前記記憶部に記憶されている前記しきい値を超えているか否かに基づき、前記一対のプローブと前記一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する。
【0015】
また、本発明に係る接触状態判別方法は、一対の判別対象部位間に静電容量を有する検査対象における当該一対の判別対象部位に接触させられた一対のプローブと当該一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する判別処理を実行する接触状態判別方法であって、前記判別処理において、前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間の静電容量の容量値を測定し、当該測定した容量値が前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間の静電容量の容量値以下の値に規定したしきい値を超えているか否かに基づき、前記一対のプローブと前記一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する。
【0016】
したがって、この検査装置、接触状態判別装置および接触状態判別方法によれば、一対の判別対象部位に接触状態における一対のプローブ間の静電容量の容量値を測定可能な静電容量測定部と、測定した容量値としきい値とを比較する処理部との簡易な構成を用いるだけで接触状態を判別できるため、装置の製造コストを低減できると共に装置の小型化を図ることができる。また、この検査装置によれば、検査装置による検査処理に本来用いられる構成を利用して一対のプローブ間の静電容量の容量値を測定できる結果、装置の製造コストの上昇や装置の大型化を回避することができると共に、検査処理の後に元々必要な放電処理の実行時間内で一対のプローブ間の静電容量の容量値を測定できる結果、検査時間の延長を回避することができる。
【0017】
また、上記目的を達成すべく、本発明に係る検査装置は、検査用電圧を生成する検査用電圧生成部と、一対の判別対象部位間に静電容量を有する検査対象における当該一対の判別対象部位に接触させられた状態において前記検査用電圧生成部によって生成された前記検査用電圧を当該一対の判別対象部位間に供給する一対のプローブと、前記一対の判別対象部位間に前記検査用電圧が供給されている状態において当該一対の判別対象部位間を流れる電流の電流値を測定する電流測定部と、前記電流測定部によって測定された前記一対の判別対象部位間を流れる前記電流の電流値に基づいて前記検査対象の良否を検査する検査処理、および前記一対の判別対象部位に接触させられた前記一対のプローブと当該一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する判別処理を実行する処理部とを備えている検査装置であって、前記一対のプローブ間の静電容量に蓄積されている電荷を放電させる放電処理を実行する放電部と、前記一対の判別対象部位に接触状態における当該一対のプローブ間の静電容量に蓄積されている電荷を放電する前記放電処理中における当該一対のプローブ間の電圧を測定可能な電圧測定部と、前記電圧測定部によって測定された前記一対のプローブ間の電圧の電圧値に基づいて特定される比較値との比較によって当該一対のプローブの接触状態の良否を判別する基準値を記憶する記憶部とを備え、前記処理部は、前記検査処理の後に前記判別処理を実行し、前記放電部による前記放電処理中に前記電圧測定部によって測定された前記電圧の電圧値に基づいて前記比較値を特定すると共に、特定した当該比較値と前記記憶部に記憶されている前記基準値との比較により、前記一対のプローブと前記一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する。
【0018】
また、本発明に係る接触状態判別装置は、一対の判別対象部位間に静電容量を有する検査対象における当該一対の判別対象部位に接触させられる一対のプローブと当該一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する判別処理を実行する処理部を備えている接触状態判別装置であって、前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間の静電容量に蓄積されている電荷を放電する放電処理中における当該一対のプローブ間の電圧を測定可能な電圧測定部と、前記電圧測定部によって測定された前記一対のプローブ間の電圧の電圧値に基づいて特定される比較値との比較によって当該一対のプローブの接触状態の良否を判別する基準値を記憶する記憶部とを備え、前記処理部は、前記判別処理において、前記放電処理中に前記電圧測定部によって測定された前記電圧の電圧値に基づいて前記比較値を特定すると共に、特定した当該比較値と前記記憶部に記憶されている前記基準値との比較により、前記一対のプローブと前記一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する。
【0019】
また、本発明に係る接触状態判別方法は、一対の判別対象部位間に静電容量を有する検査対象における当該一対の判別対象部位に接触させられた一対のプローブと当該一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する判別処理を実行する接触状態判別方法であって、前記判別処理において、前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間の静電容量に蓄積されている電荷を放電する放電処理中における当該一対のプローブ間の電圧を測定し、測定した前記電圧の電圧値に基づいて比較値を特定すると共に、当該比較値との比較によって前記一対のプローブの接触状態の良否を判別する基準値と、特定した当該比較値との比較により、前記一対のプローブと前記一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する。
【0020】
具体的には、本発明に係る検査装置、および本発明に係る接触状態判別装置は、前記記憶部は、前記一対の判別対象部位に非接触状態における前記一対のプローブ間に蓄積された電荷を前記放電処理と同様の放電条件下で放電したときの放電時間である第1の時間、および当該一対の判別対象部位間に蓄積された電荷を当該放電処理と同様の放電条件下で放電したときの放電時間以下に規定された第2の時間を前記基準値として記憶し、前記処理部は、前記判別処理において、前記電圧測定部によって測定された電圧の電圧値に基づき、前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間に蓄積された電荷の放電時間である第3の時間を前記比較値として特定し、特定した当該第3の時間から前記第1の時間を差し引いた第4の時間と前記第2の時間との比較により、前記一対のプローブと前記一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する。
【0021】
また、本発明に係る検査装置、および本発明に係る接触状態判別装置は、前記記憶部は、前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間に蓄積された電荷を前記放電処理と同様の放電条件下で放電したときの放電時間以下に規定された時間Aを前記基準値として記憶し、前記処理部は、前記判別処理において、前記電圧測定部によって測定された電圧の電圧値に基づき、前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間に蓄積された電荷の放電時間である時間Bを前記比較値として特定し、特定した当該時間Bと前記前記時間Aとの比較により、前記一対のプローブと前記一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する
【0022】
また、本発明に係る検査装置、および本発明に係る接触状態判別装置は、前記記憶部は、前記一対の判別対象部位に非接触状態における前記一対のプローブ間に蓄積された電荷を前記放電処理と同様の放電条件下で放電したときにおける当該一対のプローブ間の電圧の降下率である第1の降下率、および当該一対の判別対象部位間に蓄積された電荷を当該放電処理と同様の放電条件下で放電したときにおける当該一対の判別対象部位間の電圧の降下率以下に規定された第2の降下率を前記基準値として記憶し、前記処理部は、前記判別処理において、前記電圧測定部によって測定された電圧の電圧値に基づき、前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間に蓄積された電荷の前記放電処理中における当該一対のプローブ間の電圧の降下率である第3の降下率を前記比較値として特定し、特定した当該第3の降下率から前記第1の降下率を差し引いた第4の降下率と前記第2の降下率との比較により、前記一対のプローブと前記一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する。
【0023】
また、本発明に係る検査装置、および本発明に係る接触状態判別装置は、前記記憶部は、前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間に蓄積された電荷を前記放電処理と同様の放電条件下で放電したときにおける当該一対のプローブ間の電圧の降下率以上に規定された降下率Aを前記基準値として記憶し、前記処理部は、前記判別処理において、前記電圧測定部によって測定された電圧の電圧値に基づき、前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間に蓄積された電荷の前記放電処理中における当該一対のプローブ間の電圧の降下率である降下率Bを前記比較値として特定し、特定した当該降下率Bと前記降下率Aとの比較により、前記一対のプローブと前記一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する。
【0024】
また、本発明に係る検査装置、および本発明に係る接触状態判別装置は、前記記憶部は、前記一対の判別対象部位に非接触状態における前記一対のプローブ間に蓄積された電荷を前記放電処理と同様の放電条件下で放電したときに放電開始から予め規定された時間が経過した時点における当該一対のプローブ間の電圧の電圧値である第1の電圧値、および当該一対の判別対象部位間に蓄積された電荷を当該放電処理と同様の放電条件下で放電したときに放電開始から当該予め規定された時間が経過した時点における当該一対の判別対象部位間の電圧の電圧値以下に規定された第2の電圧値を前記基準値として記憶し、前記処理部は、前記判別処理において、前記電圧測定部によって測定された電圧の電圧値に基づき、前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間に蓄積された電荷の前記放電処理において当該放電処理の開始から前記予め規定された時間が経過した時点における当該一対のプローブ間の電圧の電圧値である第3の電圧値を前記比較値として特定し、特定した当該第3の電圧値から前記第1の電圧値を差し引いた第4の電圧値と前記第2の電圧値との比較により、前記一対のプローブと前記一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する。
【0025】
また、本発明に係る検査装置、および本発明に係る接触状態判別装置は、前記記憶部は、前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間に蓄積された電荷を前記放電処理と同様の放電条件下で放電したときに放電開始から予め規定された時間が経過した時点における当該一対のプローブ間の電圧の電圧値以下に規定された電圧値Aを前記基準値として記憶し、前記処理部は、前記判別処理において、前記電圧測定部によって測定された電圧の電圧値に基づき、前記一対の判別対象部位に接触状態における前記一対のプローブ間に蓄積された電荷の前記放電処理において当該放電処理の開始から前記予め規定された時間が経過した時点における当該一対のプローブ間の電圧の電圧値である電圧値Bを前記比較値として特定し、特定した当該電圧値Bと前記電圧値Aとの比較により、前記一対のプローブと前記一対の判別対象部位との間の接触状態の良否を判別する。
【0026】
したがって、この検査装置、接触状態判別装置および接触状態判別方法によれば、一対の判別対象部位に接触状態における一対のプローブ間の静電容量に蓄積されている電荷を放電させる放電処理中における一対のプローブ間の電圧を測定可能な電圧測定部と、測定した電圧値に基づいて比較値を特定し、特定した比較値と記憶部に記憶されている基準値とを比較する処理部との簡易な構成を用いるだけで接触状態を判別できるため、装置の製造コストを低減できると共に装置の小型化を図ることができる。また、この検査装置によれば、検査装置による検査処理に本来用いられる構成を利用して一対のプローブ間の静電容量の容量値を測定できる結果、装置の製造コストの上昇や装置の大型化を回避することができると共に、検査処理の後に元々必要な放電処理の実行時間内で一対のプローブ間の静電容量の容量値を測定できる結果、検査時間の延長を回避することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る検査装置、接触状態判別装置および接触状態判別方法によれば、一対の判別対象部位に接触状態における一対のプローブ間の静電容量の容量値を測定可能な静電容量測定部と、測定した容量値としきい値とを比較する処理部との簡易な構成、または、一対の判別対象部位に接触状態における一対のプローブ間の静電容量に蓄積されている電荷を放電させる放電処理中における一対のプローブ間の電圧を測定可能な電圧測定部と、測定した電圧値に基づいて比較値を特定し、特定した比較値と記憶部に記憶されている基準値とを比較する処理部との簡易な構成を用いるだけで接触状態を判別できるため、装置の製造コストを低減できると共に装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】絶縁抵抗測定装置1(1A,1B)および二次電池DUTの構成図である。
図2】正極端子Tpおよび金属層Lmに非接触状態のときのプローブP1,P2間の静電容量の容量値を測定する方法を説明する説明図である。
図3】正極端子Tpおよび金属層Lmに接触状態のときのプローブP1,P2間の静電容量の容量値を測定する方法を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、検査装置、接触状態判別装置および接触状態判別方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0030】
(第1の実施例)
図1に示す絶縁抵抗測定装置1は、接触状態判別装置を有する絶縁試験装置とも呼称される検査装置の一例であって、検査対象における一対の検査対象部位の間の絶縁抵抗を測定可能に構成されている。以下、例えば、二次電池DUTを検査対象とすると共に、二次電池DUTの正極端子Tpおよび金属層Lmを一対の検査対象部位(判別対象部位)とする例について説明する。
【0031】
最初に、図1を参照して、絶縁抵抗測定装置1および二次電池DUTの構成について説明する。
【0032】
絶縁抵抗測定装置1は、検査用電圧生成回路2、分圧回路3、電圧電流検出回路4、A/Dコンバーター5a,5b(同図では、「ADC」と表記する。)、処理部6、記憶部7、出力部8、放電回路9およびプローブP1,P2を備えて構成されている。
【0033】
検査用電圧生成回路2は、検査用電圧生成部として機能して、処理部6から出力される制御信号Ss1に従い、図示しない商用電源を入力して直流電圧に変換すると共にパルス電圧を生成し、そのパルス電圧を昇圧して高圧パルス電圧を生成した後に、高圧パルス電圧を整流して検査用直流電圧Vaを生成して出力する。分圧回路3は、検査用電圧生成回路2から出力された検査用直流電圧Vaを予め決められた分圧比で分圧した分圧電圧Vpを出力する。
【0034】
電圧電流検出回路4は、分圧回路3から出力された分圧電圧Vpを入力すると共に、分圧電圧Vpを所定の利得で増幅して検査用直流電圧Vaの電圧値を示す電圧信号Svに変換して出力する。また、電圧電流検出回路4は、電流測定部として機能して、後述するように、検査用直流電圧Vaが二次電池DUTの正極端子Tpおよび金属層Lmの間に印加されたときに、その正極端子Tpおよび金属層Lmの間を流れる電流Iaを入力すると共にその電流Iaの電流値を示す電流信号Siに変換して出力する。
【0035】
A/Dコンバーター5aは、電圧電流検出回路4から出力された電圧信号Svを入力すると共にAC/DC変換して電圧信号Svの電圧値を示す電圧値データDvを生成して出力する。また、A/Dコンバーター5bは、電圧電流検出回路4から出力された電流信号Siを入力すると共にAC/DC変換して電流信号Siの電流値を示す電流値データDiを生成して出力する。
【0036】
処理部6は、A/Dコンバーター5aから出力された電圧値データDvを入力して検査用直流電圧Vaの電圧値を算出すると共に、A/Dコンバーター5bから出力された電流値データDiを入力して電流Iaの電流値を算出する。また、処理部6は、算出した直流電圧Vaの電圧値および電流Iaの電流値に基づいて、二次電池DUTの正極端子Tpおよび金属層Lmの間の後述する絶縁抵抗Rdの抵抗値を算出すると共に算出した抵抗値に基づいて二次電池DUTの正極端子Tpおよび金属層Lmの間の絶縁性の良否を検査する検査処理(絶縁検査処理)を実行する。また、処理部6は、二次電池DUTにおける一対の判別対象部位である正極端子Tpおよび金属層Lmに接触させられた一対のプローブP1,P2と、正極端子Tpおよび金属層Lmとの間の接触状態の良否を判別する判別処理を実行する。また、処理部6は、検査用電圧生成回路2による検査用直流電圧Vaの出力開始および出力停止を制御信号Ss1を出力して制御する。また、処理部6は、放電回路9による放電の開始および停止を制御信号Ss2を出力して制御する。また、処理部6は、静電容量測定部としても機能して、後述する静電容量C3や静電容量Cdの容量値を測定する。
【0037】
また、処理部6は、出力部8に表示データDdを出力することにより、二次電池DUTの正極端子Tpおよび金属層Lmの間の絶縁抵抗Rdの抵抗値、二次電池DUTの正極端子Tpおよび金属層Lmの間の絶縁性についての良否の検査結果、並びにプローブP1,P2と正極端子Tpおよび金属層Lmとの間の接触状態についての良否の判別結果を表示させる。
【0038】
記憶部7は、例えば半導体メモリやハードディスク装置などで構成されている。また、記憶部7は、処理部6のための動作プログラム、処理部6による検査処理に使用される絶縁抵抗値の基準値であるしきい値を示す第1データD1、処理部6による判別処理の際に使用される一対の判別対象部位(検査対象部位)である正極端子Tpおよび金属層Lmに非接触状態における一対のプローブP1,P2間の後述する静電容量C3の既知の容量値を示す第2データD2、並びに処理部6による判別処理の際に使用される正極端子Tpおよび金属層Lm間の後述する静電容量Cdの既知の容量値以下の値に規定されたしきい値を示す第3データD3を記憶する。
【0039】
出力部8は、ディスプレイ装置などの表示装置で構成されて、処理部6からの表示データDdを入力すると共に、二次電池DUTの正極端子Tpおよび金属層Lmの間の絶縁抵抗Rdの測定値、二次電池DUTの絶縁性についての良否の検査結果、並びにプローブP1,P2と正極端子Tpおよび金属層Lmとの間の接触状態についての良否の判別結果などを表示する。なお、出力部8については、表示装置に代えて、外部インターフェース回路で構成することもできる。この構成では、出力部8は、上記の各処理での結果を外部インターフェース回路を介して外部装置に出力する。
【0040】
放電回路9は、「一対のプローブ間の静電容量に蓄積されている電荷を放電させる放電処理を実行する放電部」の一例であって、放電用抵抗R1およびスイッチSWの直列回路で構成されて、後述する高電圧側端子Thおよび低電圧側端子Tl間に配設されている。この場合、放電回路9では、処理部6から制御信号Ss2が出力されて放電処理が実行される際に、スイッチSWがオン状態に制御されて、高電圧側端子Thおよび低電圧側端子Tlの間に放電用抵抗R1が接続される。このため、放電処理の際には、放電回路9は、高電圧側端子Thおよび低電圧側端子Tlの間(プローブP1,P2の間)の静電容量(後述する静電容量C3および二次電池DUTの静電容量Cd)に蓄積されている電荷を放電用抵抗R1を介して放電させる。
【0041】
プローブP1は、絶縁抵抗測定装置1の筐体に設けられた検査用の高電圧側端子Thに接続され、プローブP2は、絶縁抵抗測定装置1の筐体に設けられた検査用の低電圧側端子Tlに接続されている。
【0042】
なお、図1に示すように、絶縁抵抗測定装置1の内部には、高電圧側端子Thおよび低電圧側端子Tlの間に絶縁抵抗測定装置1の内部容量C1が等価的に存在する。また、一対の高電圧側端子Thおよび低電圧側端子Tlに接続された状態の一対のプローブP1,P2の間には、配線容量C2が等価的に存在する。以下、内部容量C1と配線容量C2とを加算した静電容量を、上記した「静電容量C3」とする。
【0043】
また、上記の絶縁抵抗測定装置1の構成のうちの一部の構成(検査用電圧生成回路2、分圧回路3、電圧電流検出回路4、A/Dコンバーター5a、処理部6、記憶部7および放電回路9)によって接触状態判別装置が構成される。
【0044】
次いで、検査対象の二次電池DUTの構成について説明する。図1は二次電池DUTの構成を簡易的に示している。この場合、二次電池DUTは、一例として、外装部材、電極群、電解質および一対の電極(同図に示す正極端子Tpおよび図示しない負極端子)を備えている。この場合、外装部材は、金属層(シーラント)Lmの両面に合成樹脂層(例えばポリエチレン)を貼り合わせたラミネートフィルムを袋状またはカップ状に成型して構成され、電極群および電解質は、外装部材内に収納されている。また、正極端子Tpは、電極群のうちの正極に接続され、負極端子は、電極群のうちの負極に接続されている。なお、同図では、正極端子Tpおよび金属層Lm間の絶縁抵抗を絶縁抵抗Rdとして示している。
【0045】
次に、絶縁抵抗測定装置1の動作について、接触状態の判別方法と併せて説明する。
【0046】
最初に、記憶部7に記憶させる第1データD1、第2データD2および第3データD3の作成方法について説明する。第1データD1については、上記したように、処理部6による検査処理(絶縁検査)に使用される絶縁抵抗値の基準値であるしきい値であり、良品としての二次電池DUTに必要とされる絶縁抵抗Rdの下限抵抗値を予め記憶部7に記憶させている。また、第2データD2については、上記したように、処理部6による判別処理の際に使用される正極端子Tpおよび金属層Lmに非接触状態におけるプローブP1,P2間の静電容量C3の容量値を示しており、後述するように予め測定したプローブP1,P2間の静電容量C3の容量値を予め記憶部7に記憶させている。また、第3データD3については、処理部6による判別処理の際に使用されるしきい値であり、正極端子Tpおよび金属層Lm間の静電容量Cdの既知の容量値以下の値(例えば、静電容量Cdの既知の容量値の80%の値)に規定して予め記憶部7に記憶させている。
【0047】
次いで、図2を参照して、正極端子Tpおよび金属層Lmに非接触状態におけるプローブP1,P2間の静電容量C3の容量値を測定する測定方法の一例について説明する。最初に、プローブP1,P2の各基端部を高電圧側端子Thおよび低電圧側端子Tlに接続すると共にプローブP1,P2の各先端部を二次電池DUTに接続しないオープン状態に維持しておく。この状態において、図外の操作部を操作して、処理部6に対して、検査用電圧生成回路2に制御信号Ss1を出力させることにより、予め規定した電圧値V1(例えば、DC500V)の検査用直流電圧Vaを検査用電圧生成回路2から出力させる。この場合、検査用直流電圧Vaが上記した静電容量C3を充電することにより、静電容量C3の両端電圧が予め規定した電圧値V1に向けて上昇する。この際に、電圧電流検出回路4が、分圧回路3から出力される分圧電圧Vpに基づいて電圧信号SvをA/Dコンバーター5aに出力する。次いで、A/Dコンバーター5aは、電圧信号Svに基づいて電圧値データDvを生成して処理部6に出力する。
【0048】
次に、処理部6は、検査用直流電圧Vaが予め規定した電圧値V1に達した後の時間t0において、放電処理を実行する。この際には、処理部6は、制御信号Ss1の検査用電圧生成回路2への出力を停止して検査用直流電圧Vaの出力を停止させ、かつ制御信号Ss2を放電回路9に出力すると共に内部タイマーで時間の計測を開始する。この際には、放電回路9では、スイッチSWが制御信号Ss2に従いオン状態に制御されるため、放電用抵抗R1が高電圧側端子Thおよび低電圧側端子Tl間に接続される。この結果、放電用抵抗R1が、プローブP1,P2間の静電容量C3に蓄積されている電荷を徐々に放電させる。次いで、処理部6は、電圧値データDvで示される静電容量C3の両端電圧(高電圧側端子Thおよび低電圧側端子Tl間の電圧:プローブP1,P2間の電圧でもある)の電圧値を監視して、静電容量C3に蓄積されている電荷の低下に伴って静電容量C3の両端電圧が徐々に低下して予め規定した電圧値V2(例えば、30V)に達した時点t1までの内部タイマーの計測値を求める。つまり、処理部6は、静電容量C3の両端を放電用抵抗R1で短絡することにより、静電容量C3の両端電圧が電圧値V1から電圧値V2まで低下するのに要する時間T1(時点t0の時刻から時点t1の時刻までの時間:単位s)を計測する。次いで、処理部6は、下記の(1)式で示される計算式に従って静電容量C3の容量値VC3を測定する。続いて、処理部6は、測定した静電容量C3の容量値VC3を上記の第2データD2として記憶部7に記憶させる。なお、同式および後述する(2)式において、VR1は放電用抵抗R1の抵抗値を意味する。
C3=-(1/log(V2/V1))×T1/VR1・・・・(1)式
【0049】
次に、二次電池DUTについての検査処理の一例について説明する。
【0050】
この検査処理では、最初に、プローブP1の基端部を高電圧側端子Thに接続すると共にプローブP2の基端部を低電圧側端子Tlに接続する。また、プローブP1の先端部を二次電池DUTの正極端子Tpに接続すると共にプローブP2の先端部を二次電池DUTの金属層Lmに接続する。この状態において、処理部6は、電圧電流検出回路4によって測定された一対の判別対象部位間(正極端子Tpおよび金属層Lm間)を流れる電流Iaの電流値に基づいて絶縁抵抗Rdの抵抗値を測定すると共に測定した抵抗値に基づいて二次電池DUTの絶縁性の良否を検査する。
【0051】
具体的には、図外の操作部を操作して処理部6に対して検査処理の開始を指示する。この際に、処理部6は、検査用電圧生成回路2に制御信号Ss1を出力することにより、予め規定した電圧値V1の検査用直流電圧Vaを検査用電圧生成回路2から出力させる。この場合、検査用直流電圧Vaが静電容量C3および二次電池DUTの静電容量Cdを充電することにより、高電圧側端子Thおよび低電圧側端子Tl間の電圧が予め規定した電圧値V1に向けて上昇する。この際に、電圧電流検出回路4が、分圧回路3から出力される分圧電圧Vpに基づいて電圧信号SvをA/Dコンバーター5aに出力する。次いで、A/Dコンバーター5aは、電圧信号Svに基づいて電圧値データDvを生成して処理部6に出力する。また、電圧電流検出回路4が、検査用電圧生成回路2、高電圧側端子Th、プローブP1、二次電池DUTの正極端子Tp、二次電池DUTの金属層Lm、プローブP2、低電圧側端子Tlおよび電圧電流検出回路4からなる電流経路を流れる電流Iaの電流値を検出して電流信号SiをA/Dコンバーター5bに出力する。次いで、A/Dコンバーター5bは、電流信号Siに基づいて電流値データDiを生成して処理部6に出力する。
【0052】
次に、処理部6は、入力した電圧値データDvの電圧値が規定の電圧値V1に達した後の時刻t2において、絶縁抵抗Rdの抵抗値を測定する抵抗値測定処理を開始する。この抵抗値測定処理において、処理部6は、入力した電圧値データDvの電圧値、および入力した電流値データDiの電流値に基づいて、二次電池DUTの正極端子Tpおよび金属層Lm間の絶縁抵抗Rdの抵抗値を測定する。次いで、処理部6は、測定した抵抗値と、記憶部7に記憶されている第1データD1で示されるしきい値とを比較して、測定した抵抗値がしきい値を超えるときには二次電池DUTの絶縁が良好と判定し、測定した抵抗値がしきい値以下のときには二次電池DUTの絶縁が不良と判定する。これにより、処理部6による検査処理が終了する。
【0053】
次いで、処理部6は、検査用直流電圧Vaが予め規定した電圧値V1に維持された状態で検査処理が終了した後の時刻t3において、放電処理を実行する。この放電処理では、処理部6は、上記した放電処理と同様にして、放電回路9に制御信号Ss2を出力して、プローブP1,P2間の静電容量C3および静電容量Cdに蓄積されている電荷を放電用抵抗R1を介して放電させる。また、処理部6は、この放電処理の実行中において、静電容量Cdの容量値を測定する。
【0054】
具体的には、上記した静電容量C3の容量値の測定と同様にして、処理部6は、制御信号Ss1の検査用電圧生成回路2への出力を停止して検査用直流電圧Vaの出力を停止させ、かつ制御信号Ss2を放電回路9に出力すると共に内部タイマーで時間の計測を開始する。この際には、放電回路9では、スイッチSWが制御信号Ss2に従いオン状態に制御されるため、放電用抵抗R1が高電圧側端子Thおよび低電圧側端子Tl間に接続される。この結果、放電用抵抗R1が、プローブP1,P2間の静電容量C3および静電容量Cdに蓄積されている電荷を徐々に放電させる。次いで、処理部6は、電圧値データDvで示される高電圧側端子Thおよび低電圧側端子Tl間の電圧(プローブP1,P2間の電圧でもある)の電圧値を監視して、静電容量C3および静電容量Cdに蓄積されている電荷の低下に伴って高電圧側端子Thおよび低電圧側端子Tl間の電圧が徐々に低下して予め規定した電圧値V2(例えば、30V)に達した時点t4までの内部タイマーの計測値を求める。つまり、処理部6は、高電圧側端子Thおよび低電圧側端子Tl間を放電用抵抗R1で短絡することにより、静電容量C3(静電容量Cdでもある)の両端電圧が検査用直流電圧Vaの電圧値V1から電圧値V2まで低下するのに要する時間T2(時点t3の時刻から時点t4の時刻までの時間:単位s)を計測して下記の(2)式の右辺における最初の項で示される計算式に従い、静電容量C3と静電容量Cdとを加算した静電容量の容量値を測定する。次いで、処理部6は、(2)式に従い、測定した静電容量C3と静電容量Cdとを加算した静電容量の容量値から記憶部7に記憶されている静電容量C3の容量値VC3を差し引いて静電容量Cdの容量値VCdを測定する。次いで、処理部6は、測定した静電容量Cdの容量値VCdを記憶部7に記憶させる。
Cd=-(1/log(V2/V1))×T2/VR1-VC3・・・・(2)式
【0055】
次に、処理部6は、測定した静電容量Cdの容量値VCdと、記憶部7に記憶されている第3データD3で示されるしきい値とを比較する。この場合、プローブP1と正極端子Tpとの間の接触が不良で接触抵抗が大きいとき、およびプローブP2と金属層Lmとの間の接触が不良で接触抵抗が大きいときの少なくとも一方のときには、静電容量C3と静電容量Cdとを加算した静電容量の容量値を測定する際に、静電容量Cdの容量値VCdが小さく測定されるため、(2)式で測定される静電容量Cdの容量値VCdが小さくなる。したがって、処理部6は、測定した容量値VCdがしきい値を超えるときにはプローブP1,P2と正極端子Tpおよび金属層Lmとの接触が良好と判別し、測定した容量値VCdがしきい値以下のときにはプローブP1,P2と正極端子Tpおよび金属層Lmとの接触が不良と判別する。
【0056】
次いで、処理部6は、出力処理を実行する。この際に、処理部6は、絶縁検査の結果が良好と判定したときであって、接触状態を良好と判別したときには、測定した絶縁抵抗Rdの抵抗値、絶縁検査の結果、およびプローブP1,P2の接触状態についての判別結果を表示データDdに含めて出力部8に出力する。これにより、出力部8は、絶縁抵抗Rdの抵抗値、絶縁検査の結果、およびプローブP1,P2の接触状態についての判別結果を表示する。一方、処理部6は、接触状態を不良と判別したときには、その判別結果を表示データDdに含めて出力部8に出力する。これにより、出力部8は、プローブP1,P2の接触状態が不良である旨、およびプローブP1,P2を接触し直すのが好ましい旨を表示する。以上により、絶縁抵抗測定装置1による絶縁検査が終了する。この結果、絶縁抵抗測定装置1の使用者は、出力部8に表示されている絶縁検査の結果に基づいて、二次電池DUTの良否を把握することが可能になっている。
【0057】
このように、この絶縁抵抗測定装置1、接触状態判別装置および接触状態判別方法では、正極端子Tpおよび金属層Lm(一対の判別対象部位)間に静電容量Cdを有する二次電池DUTにおける正極端子Tpおよび金属層Lmに接触させられるプローブP1,P2(一対のプローブ)と正極端子Tpおよび金属層Lmとの間の接触状態の良否を判別する判別処理において、正極端子Tpおよび金属層Lmに接触状態におけるプローブP1,P2間の静電容量(静電容量C3と静電容量Cdとを加算した静電容量)の容量値を測定し、測定した容量値から正極端子Tpおよび金属層Lmに非接触状態におけるプローブP1,P2間の静電容量C3の容量値VC3を差し引いた容量値が正極端子Tpおよび金属層Lm間の静電容量Cdの容量値VC3以下の値に規定したしきい値(第2データD2)を超えているときに、プローブP1,P2と正極端子Tpおよび金属層Lmとの間の接触状態を良好と判別する。
【0058】
したがって、この絶縁抵抗測定装置1、接触状態判別装置および接触状態判別方法によれば、正極端子Tpおよび金属層Lmに接触状態におけるプローブP1,P2間の静電容量(静電容量C3と静電容量Cdとを加算した静電容量)の容量値を測定可能な静電容量測定部(本例では処理部6)と、測定した容量値から正極端子Tpおよび金属層Lmに非接触状態におけるプローブP1,P2間の静電容量C3の容量値を差し引いた容量値としきい値とを比較する処理部(本例では処理部6)との簡易な構成を用いるだけで接触状態を判別できるため、装置の製造コストを低減できると共に装置の小型化を図ることができる。
【0059】
また、この絶縁抵抗測定装置1では、プローブP1,P2間の静電容量(静電容量C3および静電容量Cd)に蓄積されている電荷を絶縁抵抗Rdを介して放電させる放電処理をスイッチSWをオン状態に制御して実行すると共に放電処理においてその電荷の放電時間に基づいて正極端子Tpおよび金属層Lmに接触状態におけるプローブP1,P2間の静電容量の容量値を測定する。
【0060】
したがって、この絶縁抵抗測定装置1によれば、絶縁抵抗測定装置1による検査処理に本来用いられる構成を利用してプローブP1,P2間の静電容量の容量値を測定できる結果、装置の製造コストの上昇や装置の大型化を回避することができる。
【0061】
また、この絶縁抵抗測定装置1によれば、検査処理の後に放電処理を実行することにより、検査処理の後に元々必要な放電処理の実行時間内でプローブP1,P2間の静電容量の容量値を測定できる結果、検査時間の延長を回避することができる。
【0062】
(第2の実施例)
次に、絶縁抵抗測定装置1Aの構成について、図面を参照して説明する。
【0063】
図1に示す絶縁抵抗測定装置1Aは、接触状態判別装置を有する検査装置の他の一例であって、検査対象における一対の検査対象部位の間の絶縁抵抗を測定する。以下、例えば、二次電池DUTを検査対象とすると共に、二次電池DUTの正極端子Tpおよび金属層Lmを一対の検査対象部位(判別対象部位)とする例について説明する。なお、絶縁抵抗測定装置1と同様の構成および機能については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0064】
絶縁抵抗測定装置1Aは、検査用電圧生成回路2、分圧回路3、電圧電流検出回路4、A/Dコンバーター5a,5b、処理部6A、記憶部7A、出力部8、放電回路9およびプローブP1,P2を備えて構成されている。また、上記の絶縁抵抗測定装置1Aの構成のうちの一部の構成(検査用電圧生成回路2、分圧回路3、電圧電流検出回路4、A/Dコンバーター5a、処理部6A、記憶部7Aおよび放電回路9)によって接触状態判別装置が構成される。
【0065】
この絶縁抵抗測定装置1Aの処理部6Aは、処理部6とは異なり、正極端子Tpおよび金属層Lm(一対の判別対象部位)間に静電容量Cdを有する二次電池DUTにおける正極端子Tpおよび金属層Lmに接触させられるプローブP1,P2(一対のプローブ)と正極端子Tpおよび金属層Lmとの間の接触状態の良否を判別する判別処理において、正極端子Tpおよび金属層Lmに接触状態におけるプローブP1,P2間の静電容量(静電容量C3と静電容量Cdとを加算した静電容量)の容量値を測定し、測定した容量値が正極端子Tpおよび金属層Lmに良好に接触した状態におけるプローブP1,P2間の静電容量の容量値以下の値に規定したしきい値(後述する第4データDt4)を超えているときに、プローブP1,P2と正極端子Tpおよび金属層Lmとの間の接触状態を良好と判別する。
【0066】
この場合、上記の絶縁抵抗測定装置1の処理部6と同様にして、プローブP1と正極端子Tpとの間の接触が不良で接触抵抗が大きいとき、およびプローブP2と金属層Lmとの間の接触が不良で接触抵抗が大きいときの少なくとも一方のときには、静電容量C3と静電容量Cdとを加算した静電容量の容量値を測定する際に、静電容量Cdの容量値VCdが小さく測定されるため、上記の(2)式で測定される静電容量Cdの容量値VCdが小さくなる。したがって、処理部6Aは、測定した容量値がしきい値を超えるときにはプローブP1,P2と正極端子Tpおよび金属層Lmとの接触が良好と判別し、測定した容量値がしきい値以下のときにはプローブP1,P2と正極端子Tpおよび金属層Lmとの接触が不良と判別する。
【0067】
記憶部7Aは、上記した第1データD1を記憶すると共に、記憶部7とは異なり、処理部6Aによる判別処理の際に使用される一対の検査対象部位(判別対象部位)である正極端子Tpおよび金属層Lmに良好に接触した状態におけるプローブP1,P2間の静電容量(静電容量C3と静電容量Cdとを加算した静電容量)の既知の容量値以下の値(例えば、既知の容量値の80%の値)に規定したしきい値を示す第4データD4を記憶する。なお、正極端子Tpおよび金属層Lmに良好に接触した状態におけるプローブP1,P2間の静電容量(静電容量C3と静電容量Cdとを加算した静電容量)については、絶縁抵抗測定装置1による上記した測定方法と同様にして測定されて、第4データD4として記憶部7Aに記憶される。
【0068】
次に、絶縁抵抗測定装置1Aの動作について、接触状態の判別方法と併せて説明する。なお、検査処理自体については絶縁抵抗測定装置1と同様にして実行されるため、その説明を省略して、絶縁抵抗測定装置1の判別処理とは異なる動作について説明する。
【0069】
処理部6Aは、判別処理において、処理部6による静電容量C3の静電容量の測定と同様にして、正極端子Tpおよび金属層Lmに接触状態におけるプローブP1,P2間の静電容量(静電容量C3と静電容量Cdとを加算した静電容量)の容量値を測定する。
【0070】
次いで、処理部6Aは、測定したプローブP1,P2間の静電容量(静電容量C3と静電容量Cdとを加算した静電容量)の容量値(容量値VC3と容量値VCdとの加算値)と、記憶部7Aに記憶されている第4データD4で示されるしきい値とを比較する。この場合、プローブP1と正極端子Tpとの間の接触が不良で接触抵抗が大きいとき、およびプローブP2と金属層Lmとの間の接触が不良で接触抵抗が大きいときの少なくとも一方のときには、静電容量C3と静電容量Cdとを加算した静電容量の容量値を測定する際に、静電容量Cdの容量値VCdが小さく測定されるため、測定されるプローブP1,P2間の静電容量(静電容量C3と静電容量Cdとを加算した静電容量)の容量値(容量値VC3と容量値VCdとの加算値)が小さくなる。したがって、処理部6Aは、測定した容量値(容量値VC3と容量値VCdとの加算値)がしきい値を超えるときにはプローブP1,P2と正極端子Tpおよび金属層Lmとの接触が良好と判別し、測定した容量値(容量値VC3と容量値VCdとの加算値)がしきい値以下のときにはプローブP1,P2と正極端子Tpおよび金属層Lmとの接触が不良と判別する。
【0071】
このように、この絶縁抵抗測定装置1A、接触状態判別装置および接触状態判別方法では、正極端子Tpおよび金属層Lm(一対の判別対象部位)間に静電容量Cdを有する二次電池DUTにおける正極端子Tpおよび金属層Lmに接触させられるプローブP1,P2(一対のプローブ)と正極端子Tpおよび金属層Lmとの間の接触状態の良否を判別する判別処理において、正極端子Tpおよび金属層Lmに接触状態におけるプローブP1,P2間の静電容量(静電容量C3と静電容量Cdとを加算した静電容量)の容量値を測定し、測定した容量値が正極端子Tpおよび金属層Lmに接触状態におけるプローブP1,P2間の静電容量の容量値以下の値に規定したしきい値(第4データDt4)を超えているときに、プローブP1,P2と正極端子Tpおよび金属層Lmとの間の接触状態を良好と判別する。
【0072】
したがって、この絶縁抵抗測定装置1A、接触状態判別装置および接触状態判別方法によれば、正極端子Tpおよび金属層Lmに接触状態におけるプローブP1,P2間の静電容量(静電容量C3と静電容量Cdとを加算した静電容量)の容量値を測定可能な静電容量測定部(本例では処理部6A)と、測定した容量値としきい値とを比較する処理部(本例では処理部6A)との簡易な構成を用いるだけで接触状態を判別できるため、装置の製造コストを低減できると共に装置の小型化を図ることができる。
【0073】
また、この絶縁抵抗測定装置1Aでは、絶縁抵抗測定装置1と同様にして、絶縁抵抗測定装置1Aによる検査処理に本来用いられる構成を利用してプローブP1,P2間の静電容量の容量値を測定できる結果、装置の製造コストの上昇や装置の大型化を回避することができる。
【0074】
また、この絶縁抵抗測定装置1Aでは、絶縁抵抗測定装置1と同様にして、検査処理の後に放電処理を実行することにより、検査処理の後に元々必要な放電処理の実行時間内でプローブP1,P2間の静電容量の容量値を測定できる結果、検査時間の延長を回避することができる。
【0075】
(第3の実施例)
次に、絶縁抵抗測定装置1Bの構成について、図面を参照して説明する。
【0076】
前述したように、上記の絶縁抵抗測定装置1では、「一対の判別対象部位に接触状態における一対のプローブ間の静電容量の容量値」を「静電容量測定部」によって測定し、測定した「容量値」と、予め「記憶部」に記憶させた「一対の判別対象部位に非接触状態における一対のプローブ間の静電容量の容量値」および「一対の判別対象部位間の静電容量の容量値以下の値に規定されたしきい値」とに基づいて「一対のプローブと一対の判別対象部位との間の接触状態の良否」を判別する構成が採用されている。また、上記の絶縁抵抗測定装置1Aでは、「一対の判別対象部位に接触状態における一対のプローブ間の静電容量の容量値」を「静電容量測定部」によって測定し、測定した「容量値」と、予め「記憶部」に記憶させた「一対の判別対象部位に接触状態における一対のプローブ間の静電容量の容量値以下の値に規定されたしきい値」とに基づいて「一対のプローブと一対の判別対象部位との間の接触状態の良否」を判別する構成が採用されている。
【0077】
これら絶縁抵抗測定装置1,1Aのように「静電容量の容量値」に基づいて接触状態の良否を判別する構成・方法に代えて、「一対のプローブ間の静電容量に蓄積されている電荷を放電させる放電処理中における一対のプローブ間の電圧の電圧値」を「電圧測定部」によって測定し、測定した「電圧値」と、予め「記憶部」に記憶させた「電圧測定部によって測定された一対のプローブ間の電圧の電圧値に基づいて特定される比較値との比較によって一対のプローブの接触状態の良否を判別する基準値」とに基づいて「一対のプローブと一対の判別対象部位との間の接触状態の良否」を判別する構成・方法を採用することができる。
【0078】
一例として、図1に示す絶縁抵抗測定装置1Bは、接触状態判別装置を有する検査装置のさらに他の一例であって、検査対象における一対の検査対象部位の間の絶縁抵抗を測定する。以下、例えば、二次電池DUTを検査対象とすると共に、二次電池DUTの正極端子Tpおよび金属層Lmを一対の検査対象部位(判別対象部位)とする例について説明する。なお、絶縁抵抗測定装置1,1Aと同様の構成および機能については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。また、検査処理自体については絶縁抵抗測定装置1,1Aと同様にして実行されるため、その説明を省略して、絶縁抵抗測定装置1,1Aの判別処理とは異なる動作について説明する。
【0079】
この絶縁抵抗測定装置1Bは、前述の絶縁抵抗測定装置1,1Aにおける処理部6,6Aおよび記憶部7,7Aに代えて処理部6Bおよび記憶部7Bを備えて構成されている。この場合、この絶縁抵抗測定装置1Bでは、検査用電圧生成回路2、分圧回路3、電圧電流検出回路4、A/Dコンバーター5a、処理部6B、記憶部7Bおよび放電回路9によって接触状態判別装置が構成されている。また、この絶縁抵抗測定装置1Bでは、検査用電圧生成回路2、分圧回路3、電圧電流検出回路4、A/Dコンバーター5aおよび処理部6Bによって電圧測定部が構成されている。
【0080】
この絶縁抵抗測定装置1Bの処理部6Bは、処理部6,6Aとは異なり、正極端子Tpおよび金属層Lm(一対の判別対象部位)間に静電容量Cdを有する二次電池DUTにおける正極端子Tpおよび金属層Lmに接触させられるプローブP1,P2(一対のプローブ)と正極端子Tpおよび金属層Lmとの間の接触状態の良否を判別する判別処理において、正極端子Tpおよび金属層Lmに接触状態におけるプローブP1,P2間の静電容量(静電容量C3と静電容量Cdとを加算した静電容量)に蓄積されている電荷を放電する放電処理中におけるプローブP1,P2間の電圧の電圧値に基づいて「比較値」を特定すると共に、特定した「比較値」と、記憶部7Bに記憶されている「基準値」との比較によって、プローブP1,P2と正極端子Tpおよび金属層Lmとの間の接触状態の良否を判別する。具体的には、この絶縁抵抗測定装置1Bでは、以下の6つの処理手順のうちの予め指定されたいずれかの手順に従って接触状態の良否を判別する。
【0081】
第1の処理手順としては、正極端子Tpおよび金属層Lmに非接触状態におけるプローブP1,P2間に蓄積された電荷を、放電部による放電処理と同様の放電条件下で放電したときの放電時間である「第1の時間」(静電容量C3の両端電圧が電圧値V1から電圧値V2まで低下するのに要する時間)と、正極端子Tpおよび金属層Lm間に蓄積された電荷を、放電部による放電処理と同様の放電条件下で放電したときの放電時間(放電部による放電処理と同様の放電条件下で静電容量Cdに蓄積された電荷を放電したときに静電容量Cdの両端電圧が電圧値V1から電圧値V2まで低下するのに要する時間)以下に規定された「第2の時間」とを「基準値」とし、この「第1の時間」の時間データDt1、および「第2の時間」の時間データDt2を記憶部7Bに予め記憶させておく。
【0082】
また、処理部6Bは、判別処理において、電圧測定部として測定した電圧の電圧値に基づき、正極端子Tpおよび金属層Lmに接触状態におけるプローブP1,P2間に蓄積された電荷の放電時間である「第3の時間」(プローブP1,P2間の電圧が電圧値V1から電圧値V2まで低下するのに要する時間)を「比較値」として特定し、特定した「第3の時間」から、時間データDt1に基づいて特定した「第1の時間」を差し引いた「第4の時間」と、時間データDt2に基づいて特定した「第2の時間」との比較により、プローブP1,P2と正極端子Tpおよび金属層Lmとの間の接触状態の良否を判別する。
【0083】
この場合、プローブP1と正極端子Tpとの間の接触が不良で接触抵抗が大きいとき、およびプローブP2と金属層Lmとの間の接触が不良で接触抵抗が大きいときの少なくとも一方のとき(以下、「プローブP1,P2のいずれかが接触不良のとき」ともいう)には、静電容量Cdに蓄積されている電荷を放電部によって好適に放電することができず、プローブP1,P2が正極端子Tpおよび金属層Lmに対してそれぞれ良好に接触している状態と比較して放電処理によって放電される電荷が少量となり、特定される「第3の時間(放電時間)」が短時間となる。したがって、処理部6Bは、特定した「第3の時間」から「第1の時間」を差し引いた「第4の時間」が「第2の時間」を超えるときには、プローブP1,P2と正極端子Tpおよび金属層Lmとの接触が良好と判別し、「第4の時間」が「第2の時間」以下のときにはプローブP1,P2と正極端子Tpおよび金属層Lmとの接触が不良と判別する。
【0084】
また、第2の処理手順としては、正極端子Tpおよび金属層Lmに接触状態におけるプローブP1,P2間に蓄積された電荷を、放電部による放電処理と同様の放電条件下で放電したときの放電時間(放電部による放電処理と同様の放電条件下で静電容量C3と静電容量Cdとを加算した静電容量に蓄積された電荷を放電したときに、その静電容量の両端電圧が電圧値V1から電圧値V2まで低下するのに要する時間)以下に規定された「時間A」を「基準値」とし、この「時間A」の時間データDtaを記憶部7Bに予め記憶させておく。
【0085】
また、処理部6Bは、判別処理において、電圧測定部として測定した電圧の電圧値に基づき、正極端子Tpおよび金属層Lmに接触状態におけるプローブP1,P2間に蓄積された電荷の放電時間である「時間B」(静電容量C3と静電容量Cdとを加算した静電容量に蓄積された電荷を放電したときに、その静電容量の両端電圧が電圧値V1から電圧値V2まで低下するのに要する時間)を「比較値」として特定し、特定した「時間B」と、時間データDtaに基づいて特定した「時間A」との比較により、プローブP1,P2と正極端子Tpおよび金属層Lmとの間の接触状態の良否を判別する。
【0086】
この場合、プローブP1,P2のいずれかが接触不良のときには、静電容量Cdに蓄積されている電荷を放電部によって好適に放電することができず、プローブP1,P2が正極端子Tpおよび金属層Lmに対してそれぞれ良好に接触している状態と比較して放電処理によって放電される電荷が少量となり、特定される「時間B(放電時間)」が短時間となる。したがって、処理部6Bは、「時間B」が「時間A」を超えるときにはプローブP1,P2と正極端子Tpおよび金属層Lmとの接触が良好と判別し、「時間B」が「時間A」以下のときにはプローブP1,P2と正極端子Tpおよび金属層Lmとの接触が不良と判別する。
【0087】
また、第3の処理手順としては、正極端子Tpおよび金属層Lmに非接触状態におけるプローブP1,P2間に蓄積された電荷を、放電部による放電処理と同様の放電条件下で放電したときにおけるプローブP1,P2間の電圧の降下率である「第1の降下率」(静電容量C3の両端電圧が電圧値V1から電圧値V2まで低下するのに要する時間と、電圧値V1および電圧値V2の差との比率)と、正極端子Tpおよび金属層Lm間に蓄積された電荷を、放電部による放電処理と同様の放電条件下で放電したときにおける正極端子Tpおよび金属層Lm間の電圧の降下率(放電部による放電処理と同様の放電条件下で静電容量Cdに蓄積された電荷を放電したときに静電容量Cdの両端電圧が電圧値V1から電圧値V2まで低下するのに要する時間と、電圧値V1および電圧値V2の差との比率)以下に規定された「第2の降下率」とを「基準値」とし、この「第1の降下率」の降下率データDr1、および「第2の降下率」の降下率データDr2を記憶部7Bに予め記憶させておく。
【0088】
また、処理部6Bは、判別処理において、電圧測定部として測定した電圧の電圧値に基づき、正極端子Tpおよび金属層Lmに接触状態におけるプローブP1,P2間に蓄積された電荷の放電処理中におけるプローブP1,P2間の電圧の降下率である「第3の降下率」(プローブP1,P2間の電圧が電圧値V1から電圧値V2まで低下するのに要する時間と、電圧値V1および電圧値V2の差との比率)を「比較値」として特定し、特定した「第3の降下率」から、降下率データDr1に基づいて特定した「第1の降下率」を差し引いた「第4の降下率」と、降下率データDr2に基づいて特定した「第2の降下率」との比較により、プローブP1,P2と正極端子Tpおよび金属層Lmとの間の接触状態の良否を判別する。
【0089】
この場合、プローブP1,P2のいずれかが接触不良のときには、静電容量Cdに蓄積されている電荷を放電部によって好適に放電することができず、プローブP1,P2が正極端子Tpおよび金属層Lmに対してそれぞれ良好に接触している状態と比較して放電処理によって放電される電荷が少量となり、放電時間が短時間となる結果、特定される電圧の降下率が高くなる。したがって、処理部6Bは、特定した「第3の降下率」から「第1の降下率」を差し引いた「第4の降下率」が「第2の降下率」を超えるときには、プローブP1,P2と正極端子Tpおよび金属層Lmとの接触が良好と判別し、「第4の降下率」が「第2の降下率」以下のときにはプローブP1,P2と正極端子Tpおよび金属層Lmとの接触が不良と判別する。
【0090】
また、第4の処理手順としては、正極端子Tpおよび金属層Lmに接触状態におけるプローブP1,P2間に蓄積された電荷を、放電部による放電処理と同様の放電条件下で放電したときにおけるプローブP1,P2間の電圧の降下率以上に規定された「降下率A」(放電部による放電処理と同様の放電条件下で静電容量C3と静電容量Cdとを加算した静電容量に蓄積された電荷を放電したときに、その静電容量の両端電圧が電圧値V1から電圧値V2まで低下するのに要する時間と、電圧値V1および電圧値V2の差との比率)を「基準値」とし、この「降下率A」の降下率データDraを記憶部7Bに予め記憶させておく。
【0091】
また、処理部6Bは、判別処理において、電圧測定部として測定した電圧の電圧値に基づき、正極端子Tpおよび金属層Lmに接触状態におけるプローブP1,P2間に蓄積された電荷の放電処理中におけるプローブP1,P2間の電圧の降下率である「降下率B」(静電容量C3と静電容量Cdとを加算した静電容量に蓄積された電荷を放電したときに、その静電容量の両端電圧が電圧値V1から電圧値V2まで低下するのに要する時間と、電圧値V1および電圧値V2の差との比率)を「比較値」として特定し、特定した「降下率B」と、降下率データDraに基づいて特定した「降下率A」との比較により、プローブP1,P2と正極端子Tpおよび金属層Lmとの間の接触状態の良否を判別する。
【0092】
この場合、プローブP1,P2のいずれかが接触不良のときには、静電容量Cdに蓄積されている電荷を放電部によって好適に放電することができず、プローブP1,P2が正極端子Tpおよび金属層Lmに対してそれぞれ良好に接触している状態と比較して放電処理によって放電される電荷が少量となり、特定される「時間B(放電時間)」が短時間となる結果、特定される電圧の降下率が高くなる。したがって、処理部6Bは、「降下率B」が「降下率A」を超えるときにはプローブP1,P2と正極端子Tpおよび金属層Lmとの接触が良好と判別し、「降下率B」が「降下率A」以下のときにはプローブP1,P2と正極端子Tpおよび金属層Lmとの接触が不良と判別する。
【0093】
また、第5の処理手順としては、正極端子Tpおよび金属層Lmに非接触状態におけるプローブP1,P2間に蓄積された電荷(静電容量C3に蓄積された電荷)を、放電部によぶ放電処理と同様の放電条件下で放電したときに放電開始から予め規定された時間が経過した時点におけるプローブP1,P2間の電圧の電圧値である「第1の電圧値」と、正極端子Tpおよび金属層Lm間に蓄積された電荷(静電容量Cdに蓄積された電荷)を、放電部による放電処理と同様の放電条件下で放電したときに放電開始から予め規定された時間が経過した時点における正極端子Tpおよび金属層Lm間の電圧の電圧値以下に規定された「第2の電圧値」とを「基準値」とし、この「第1の電圧値」の電圧値データDv1、および「第2の電圧値」の電圧値データDv2を記憶部7Bに予め記憶させておく。この場合、上記の「予め規定された時間」については、正極端子Tpおよび金属層Lmに非接触状態におけるプローブP1,P2間に蓄積された電荷の放電時間よりも短い時間(一例として、放電時間の1/2程度の時間)に規定する。
【0094】
また、処理部6Bは、判別処理において、電圧測定部として測定した電圧の電圧値に基づき、正極端子Tpおよび金属層Lmに接触状態におけるプローブP1,P2間に蓄積された電荷の放電処理において放電処理の開始から予め規定された時間が経過した時点におけるプローブP1,P2間の電圧の電圧値である「第3の電圧値」を「比較値」として特定し、特定した「第3の電圧値」から、電圧値データDv1に基づいて特定した「第1の電圧値」を差し引いた「第4の電圧値」と、電圧値データDv2に基づいて特定した「第2の電圧値」との比較により、プローブP1,P2と正極端子Tpおよび金属層Lmとの間の接触状態の良否を判別する。
【0095】
この場合、プローブP1,P2のいずれかが接触不良のときには、静電容量Cdに蓄積されている電荷を放電部によって好適に放電することができず、プローブP1,P2が正極端子Tpおよび金属層Lmに対してそれぞれ良好に接触している状態と比較して放電処理によって放電される電荷が少量となる結果、プローブP1,P2間の電圧の電圧値が短時間で低下する。このため、プローブP1,P2のいずれかが接触不良のときには、プローブP1,P2が正極端子Tpおよび金属層Lmに対してそれぞれ良好に接触している状態と比較して、放電処理の開始から「予め規定された時間」が経過した時点におけるプローブP1,P2間の電圧の電圧値が低くなる。したがって、処理部6Bは、特定した「第3の電圧値」から「第1の電圧値」を差し引いた「第4の電圧値」が「第2の電圧値」を超えるときには、プローブP1,P2と正極端子Tpおよび金属層Lmとの接触が良好と判別し、「第4の電圧値」が「第2の電圧値」以下のときにはプローブP1,P2と正極端子Tpおよび金属層Lmとの接触が不良と判別する。
【0096】
また、第6の処理手順としては、正極端子Tpおよび金属層Lmに接触状態におけるプローブP1,P2間に蓄積された電荷(静電容量C3と静電容量Cdとを加算した静電容量に蓄積された電荷)を、放電部による放電処理と同様の放電条件下で放電したときに放電開始から予め規定された時間が経過した時点におけるプローブP1,P2間の電圧の電圧値以下に規定された「電圧値A」を「基準値」とし、この「電圧値A」の電圧値データDvaを記憶部7Bに予め記憶させておく。この場合、上記の「予め規定された時間」については、正極端子Tpおよび金属層Lmに接触状態におけるプローブP1,P2間に蓄積された電荷の放電時間よりも短い時間(一例として、放電時間の1/2程度の時間)に規定する。
【0097】
また、処理部6Bは、判別処理において、電圧測定部として測定した電圧の電圧値に基づき、正極端子Tpおよび金属層Lmに接触状態におけるプローブP1,P2間に蓄積された電荷(静電容量C3と静電容量Cdとを加算した静電容量に蓄積された電荷)の放電処理において放電処理の開始から予め規定された時間が経過した時点におけるプローブP1,P2間の電圧の電圧値である「電圧値B」を「比較値」として特定し、特定した「電圧値B」と、電圧値データDvaに基づいて特定した「電圧値A」との比較により、プローブP1,P2と正極端子Tpおよび金属層Lmとの間の接触状態の良否を判別する。
【0098】
この場合、プローブP1,P2のいずれかが接触不良のときには、静電容量Cdに蓄積されている電荷を放電部によって好適に放電することができず、プローブP1,P2が正極端子Tpおよび金属層Lmに対してそれぞれ良好に接触している状態と比較して放電処理によって放電される電荷が少量となる結果、プローブP1,P2間の電圧の電圧値が短時間で低下する。このため、プローブP1,P2のいずれかが接触不良のときには、プローブP1,P2が正極端子Tpおよび金属層Lmに対してそれぞれ良好に接触している状態と比較して、放電処理の開始から「予め規定された時間」が経過した時点におけるプローブP1,P2間の電圧の電圧値が低くなる。したがって、処理部6Bは、処理部6Bは、「電圧値B」が「電圧値A」を超えるときにはプローブP1,P2と正極端子Tpおよび金属層Lmとの接触が良好と判別し、「電圧値B」が「電圧値A」以下のときにはプローブP1,P2と正極端子Tpおよび金属層Lmとの接触が不良と判別する。
【0099】
このように、この絶縁抵抗測定装置1B、接触状態判別装置および接触状態判別方法では、正極端子Tpおよび金属層Lm(一対の判別対象部位)間に静電容量Cdを有する二次電池DUTにおける正極端子Tpおよび金属層Lmに接触させられるプローブP1,P2(一対のプローブ)と正極端子Tpおよび金属層Lmとの間の接触状態の良否を判別する判別処理において、正極端子Tpおよび金属層Lmに接触状態におけるプローブP1,P2間の静電容量(静電容量C3と静電容量Cdとを加算した静電容量)に蓄積されている電荷を放電する放電処理中におけるプローブP1,P2間の電圧を測定し、測定した電圧の電圧値に基づいて比較値を特定すると共に、特定した比較値と記憶部に記憶されている基準値との比較により、プローブP1,P2と正極端子Tpおよび金属層Lmとの間の接触状態の良否を判別する。
【0100】
したがって、この絶縁抵抗測定装置1B、接触状態判別装置および接触状態判別方法によれば、正極端子Tpおよび金属層Lmに接触状態におけるプローブP1,P2間の静電容量(静電容量C3と静電容量Cdとを加算した静電容量)に蓄積されている電荷を放電させる放電処理中におけるプローブP1,P2間の電圧を測定可能な電圧測定部(本例では、処理部6B)と、測定した電圧値に基づいて比較値を特定し、特定した比較値と記憶部7Bに記憶されている基準値とを比較する処理部(本例では、処理部6B)との簡易な構成を用いるだけで接触状態を判別できるため、装置の製造コストを低減できると共に装置の小型化を図ることができる。また、この絶縁抵抗測定装置1Bによれば、検査処理に本来用いられる構成を利用して放電処理中におけるP1,P2間の電圧の電圧値を測定できる結果、装置の製造コストの上昇や装置の大型化を回避することができると共に、検査処理の後に元々必要な放電処理の実行時間内でプローブP1,P2間の電圧の電圧値を測定できる結果、検査時間の延長を回避することができる。
【0101】
なお、上記の構成および方法に限らず、適宜変更することができる。例えば、記憶部7に記憶させる第2データD2および記憶部7Aに記憶させる第4データD4などについては、絶縁抵抗測定装置1(1A)による検査処理の実行以前に記憶部7(7A)に記憶させる例について説明したが、検査処理の一部として第2データD2(第4データD4)を生成して、その都度、記憶部7(記憶部7A)に記憶させることもできる。
【0102】
また、絶縁抵抗測定装置1,1Aでは、処理部6,6Aが静電容量測定部の機能を兼用するように構成されているが、処理部と静電容量測定部とを別体で構成することもできる。同様にして、絶縁抵抗測定装置1Bでは、処理部6Bが電圧測定部の機能を兼用するように構成されているが、処理部と電圧測定部とを別体で構成することもできる。また、静電容量測定部(処理部6,6A)による静電容量の測定方法については、上記した方法に限らず、例えば、定電流放電法などの公知の任意の測定方法を採用することができる。
【0103】
さらに、プローブP1,P2と正極端子Tpおよび金属層Lmとの間の接触を判別する判別処理を検査処理後の放電処理内で実行する例について説明したが、検査処理後の放電処理とは別個に、検査処理前や検査処理中において判別処理を実行することでもできる。また、絶縁抵抗測定装置に適用した例について説明したが、直流耐電圧試験装置にも適用することができる。さらに、電圧、電流、電力値などを測定する際に一対のプローブを一対の判別対象部位(接触対象部位)に接触させる測定装置に広く適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本願発明によれば、静電容量測定部と処理部との簡易な構成、または、電圧測定部と処理部との簡易な構成を用いるだけで接触状態を判別できるため、装置の製造コストを低減できると共に装置の小型化を図ることができる。これにより、本願発明は、このような一対のプローブと一対の判別対象部位との間の接触状態を判別する検査装置や接触状態判別装置、および接触状態判別方法に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0105】
1,1A,1B 絶縁抵抗測定装置
2 検査用電圧生成回路
3 分圧回路
4 電圧電流検出回路
5a,5b A/Dコンバーター
6,6A,6B 処理部
7,7A,7B 記憶部
9 放電回路
C1 内部容量
C2 配線容量
C3 静電容量
Cd 静電容量
D1 第1データ
D2 第2データ
D3 第3データ
D4 第4データ
Dr1,Dr2,Dra 降下率データ
Dt1,Dt2,Dta 時間データ
Dv1,Dv2,Dva 電圧値データ
DUT 二次電池
Lm 金属層
P1,P2 プローブ
R1 放電用抵抗
Rd 絶縁抵抗
SW スイッチ
Tp 正極端子
Va 検査用直流電圧
図1
図2
図3