(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084705
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】高強度高延伸銅箔、それを含む電極、それを含む二次電池、およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C25D 1/04 20060101AFI20240618BHJP
H01M 4/66 20060101ALI20240618BHJP
H01M 4/70 20060101ALI20240618BHJP
C25D 1/00 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
C25D1/04 311
H01M4/66 A
H01M4/70 A
C25D1/00 311
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023205388
(22)【出願日】2023-12-05
(31)【優先権主張番号】10-2022-0173774
(32)【優先日】2022-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0132906
(32)【優先日】2023-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】518133500
【氏名又は名称】エスケー ネクシリス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100206335
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 和宏
(72)【発明者】
【氏名】ジン シャン ファ
(72)【発明者】
【氏名】ユン ミン ソク
【テーマコード(参考)】
5H017
【Fターム(参考)】
5H017AA03
5H017BB01
5H017BB16
5H017CC01
5H017DD05
5H017EE01
5H017HH00
5H017HH01
5H017HH03
5H017HH08
5H017HH09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】異常な高温状態で作動しても、破断が発生することなく品質信頼性を持続的に維持できる銅箔、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】99.9重量%以上の銅を含む銅膜;および前記銅膜上の保護層;を含み、常温突刺強度が5.0N~7.0N範囲であり、高温突刺強度が8.0N~12.5N範囲である、銅箔を提供する。この時、前記高温突刺強度は190℃で1時間熱処理後に測定された突刺強度である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
99.9重量%以上の銅を含む銅膜;および
前記銅膜上の保護層;を含み、
常温突刺強度が5.0N~7.0N範囲であり、
高温突刺強度が8.0N~12.5N範囲である、銅箔であって:
前記高温突刺強度は190℃で1時間熱処理後に測定された突刺強度である銅箔。
【請求項2】
突刺強度の比が120%以上である、請求項1に記載の銅箔であって:
前記突刺強度の比は前記高温突刺強度に対する前記常温突刺強度の比を意味する銅箔。
【請求項3】
常温突刺強度指数が0.650N/μm~0.875N/μmであり、
高温突刺強度指数が1.08N/μm~1.56N/μmである、請求項1に記載の銅箔であって:
前記常温突刺強度指数は下記の式1によって計算され、
前記高温突刺強度指数は下記の式2によって計算される銅箔。
[式1]
常温突刺強度指数=常温突刺強度/銅箔の厚さ
[式2]
高温突刺強度指数=高温突刺強度/銅箔の厚さ
【請求項4】
2~30%の高温延伸率を有する、請求項1に記載の銅箔であって:
前記高温延伸率は190℃で1時間熱処理後に測定された延伸率である銅箔。
【請求項5】
0.1~0.3μmの算術平均粗さ(Ra)を有する、請求項1に記載の銅箔。
【請求項6】
前記銅膜上に保護層をさらに含む、請求項1に記載の銅箔。
【請求項7】
前記保護層はクロム化合物、シラン化合物、窒素化合物のうち少なくとも一つを含む、請求項6に記載の銅箔。
【請求項8】
銅イオンを含む電解液を製造する段階;
銅膜を形成する段階;および
前記銅膜上に保護層を形成する段階;を含むものの、
前記銅膜を形成する段階は、
電解槽内の電解液内に互いに離隔するように配置された陽極板および回転陰極ドラムを通電させることによって前記回転陰極ドラム上に銅膜を形成する段階を含み、
前記電解液は、
70~100g/Lの銅イオン;
70~150g/Lの硫酸;
1~3ppm以下の塩素(Cl);
1~10ml/Lの過酸化水素;
0.1~1.0ppmの銀イオン(Ag+);
2~10ppmのセリウムイオン(Ce2+);および
1~20ppmの鉛イオン(Pb2+);を含む、
銅箔の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は銅箔、それを含む電極、それを含む二次電池、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池は電気エネルギーを化学エネルギーに変えて保存してから、電気が必要な時に化学エネルギーを再び電気エネルギーに変換させることによって電気を発生させるエネルギー変換機器の一種であって、携帯電話、ノートパソコンなどのような携帯用家電はもちろん、電気自動車のエネルギー源として利用されている。二次電池は再充電が可能であるという点で充電式電池(rechargeable battery)とも指称される。
【0003】
使い捨ての一次電池に比べて経済的にそして環境的に利点を有している二次電としては、鉛蓄電池、ニッケルカドミウム二次電池、ニッケル水素二次電池、リチウム二次電池などがある。
【0004】
特に、リチウム二次電池は他の二次電池に比べて大きさおよび重量対比相対的に多くのエネルギーを貯蔵することができる。したがって、携帯性および移動性が重要な情報通信機器分野の場合はリチウム二次電池が好まれており、ハイブリッド自動車および電気自動車のエネルギー貯蔵装置としてもその応用範囲が拡大している。
【0005】
リチウム二次電池は充電と放電を一つの周期として反復的に使われる。完全に充電されたリチウム二次電池で何らかの機器を稼動させる時、前記機器の稼動時間を増やすためには前記リチウムイオン二次電池が高い充電/放電容量を有さなければならない。したがって、リチウム二次電池の充電/放電容量に対する需要者の日々高まる期待値(needs)を満足させるための研究が持続的に要求されている。
【0006】
このような二次電池は銅箔からなる負極集電体を含むが、銅箔のうち、電解銅箔が二次電池の負極集電体として広く使われている。二次電池に対する需要の増加とともに、高容量、高効率および高品質の二次電池に対する需要が増加するにつれ、二次電池の特性を向上させることができる電解銅箔が要求されている。特に、二次電池の高容量化および安定した容量維持および性能を担保できる電解銅箔が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明は前記のような関連技術の制限および短所に起因した問題点を防止できる銅箔、それを含む電極、それを含む二次電池、およびその製造方法に関する。
【0008】
本発明の一実施例は、5.0N~7.0N範囲の常温突刺強度を有することによって、充放電効率が向上した銅箔を提供しようとする。
【0009】
本発明の他の一実施例は、8.0N~12.5N範囲の高温突刺強度を有することによって、充放電効率が向上した銅箔を提供しようとする。
【0010】
本発明のさらに他の一実施例は、このような銅箔を含む二次電池用電極、およびこのような二次電池用電極を含む二次電池を提供しようとする。
【0011】
本発明のさらに他の一実施例は、充放電効率が向上した銅箔の製造方法を提供しようとする。
【0012】
前述された本発明の観点の他にも、本発明の他の特徴および利点が以下で説明されるが、そのような説明から本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に明確に理解され得るであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施例は、99.9重量%以上の銅を含む銅膜;および前記銅膜上の保護層;を含み、常温突刺強度が5.0N~7.0N範囲であり、高温突刺強度が8.0N~12.5N範囲である、銅箔を提供しようとする。この時、前記高温突刺強度は190℃で1時間熱処理後に測定された突刺強度である。
【0014】
本発明の他の一実施例は、銅イオンを含む電解液を製造する段階;銅膜を形成する段階;および前記銅膜上に保護層を形成する段階;を含むものの、前記銅膜を形成する段階は、電解槽内の電解液内に互いに離隔するように配置された陽極板および回転陰極ドラムを通電させることによって前記回転陰極ドラム上に銅膜を形成する段階を含み、前記電解液は、70~100g/Lの銅イオン;70~150g/Lの硫酸;1~3ppm以下の塩素(Cl);1~10ml/Lの過酸化水素;0.1~1.0ppmの銀イオン(Ag+);2~10ppmのセリウムイオン(Ce2+);および1~20ppmの鉛イオン(Pb2+);を含む、銅箔の製造方法を提供しようとする。
【0015】
本発明のさらに他の一実施例によると、銅箔;および前記銅箔の少なくとも一面に配置された活物質層を含む二次電池用電極を提供しようとする。
【0016】
本発明のさらに他の一実施例によると、充電時にリチウムイオンを提供する正極(cathode);放電時に電子およびリチウムイオンを提供する負極(anode);前記正極と前記負極の間に配置されてリチウムイオンが移動できる環境を提供する電解質(electrolyte);および前記正極と前記負極を電気的に絶縁させる分離膜(separator);を含む二次電池を提供しようとする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一実施例によると、常温突刺強度および熱処理後突刺強度を調節して、二次電池の製造時に遂行される高温工程を経たり二次電池が異常な高温状態で作動しても、破断が発生することなく品質信頼性を持続的に維持できる銅箔、これを含んで優秀なサイクル寿命特性と安定性を発揮できる二次電池用電極、および二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施例に係る銅箔の断面図である。
【
図2】本発明の他の一実施例に係る銅箔の断面図である。
【
図3】本発明のさらに他の一実施例に係る二次電池用電極の断面図である。
【
図4】本発明のさらに他の一実施例に係る二次電池用電極の断面図である。
【
図5】本発明のさらに他の一実施例に係る二次電池の概略的な断面図である。
【
図6】本発明のさらに他の一実施例に係る銅箔の製造装置である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、添付された図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。ただし、以下で説明される実施例は本発明の明確な理解を助けるための例示的目的で提示されるものに過ぎず、本発明の範囲を制限しない。
【0020】
本発明の実施例を説明するための図面に開示された形状、大きさ、比率、角度、個数等は例示的なものであるので、本発明は図面に図示された事項に限定されるものではない。明細書全体に亘って同一の構成要素は同一の参照符号で指称され得る。本発明の説明において、関連した公知の技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を不要に曖昧にさせ得る恐れがあると判断される場合、その詳細な説明は省略される。
【0021】
本明細書で言及された「含む」、「有する」、「からなる」等が使われる場合、「~のみ」という表現が使われない以上、他の部分が追加され得る。構成要素が単数で表現された場合、特に明示的な記載事項がない限り複数を含む。また、構成要素の解釈において、別途の明示的な記載がなくても誤差範囲を含むものと解釈する。
【0022】
位置関係に対する説明の場合、例えば、「~上に」、「~上部に」、「~下部に」、「~横に」等で両部分の位置関係が説明される場合、「すぐに」または「直接」という表現が使われない以上両部分の間に一つ以上の他の部分が位置することができる。
【0023】
空間的に相対的な用語である「下(below、beneath)」、「下部(lower)」、「上(above)」、「上部(upper)」などは、図面に図示されているように一つの素子または構成要素と他の素子または構成要素との相関関係を容易に記述するために使われ得る。空間的に相対的な用語は、図面に図示されている方向に加えて使用時または動作時に素子の互いに異なる方向を含む用語とで理解されるべきである。例えば、図面に図示されている素子をひっくり返す場合、他の素子の「下(below)」または「下(beneath)」と記述された素子は他の素子の「上(above)」に置かれ得る。したがって、例示的な用語である「下」は下と上の方向をすべて含むことができる。同様に、例示的な用語である「うえ」または「上」は上と下の方向をすべて含むことができる。
【0024】
時間関係に対する説明の場合、例えば、「~後に」、「~に引き続き」、「~次に」、「~前に」等で時間的前後関係が説明される場合、「すぐに」または「直接」という表現が使われない以上連続的でない場合も含むことができる。
【0025】
第1、第2等が多様な構成要素を叙述するために使われるが、これらの構成要素はこれらの用語によって制限されない。これらの用語は単に一つの構成要素を他の構成要素と区別するために使うものである。したがって、以下で言及される第1構成要素は本発明の技術的思想内で第2構成要素であってもよい。
【0026】
「少なくとも一つ」の用語は一つ以上の関連項目から提示可能なすべての組み合わせを含むものと理解されるべきである。例えば、「第1項目、第2項目および第3項目のうち少なくとも一つ」の意味は第1項目、第2項目または第3項目それぞれだけでなく、第1項目、第2項目および第3項目のうち2個以上から提示され得るすべての項目の組み合わせを意味し得る。
【0027】
本発明の多様な実施例のそれぞれの特徴が部分的にまたは全体的に互いに結合または組み合わせ可能であり、技術的に多様な連動および駆動が可能であり、各実施例が互いに対して独立的に実施可能であってもよく、関連関係で共に実施されてもよい。
【0028】
図1は、本発明の一実施例に係る銅箔110の断面図である。
【0029】
図1を参照すると、本発明の銅箔110は99.9重量%以上の銅を含む銅膜(copper film:111)および銅膜111上の保護層112を含む。
図1に図示された銅箔110では保護層112が銅膜111の一面上に形成されているが、本発明の実施例はこれに限定されるものではない。
図2を参照すると、銅膜111の両面上に保護層112が形成されていてもよい。
【0030】
銅膜111は電気メッキを通じて回転陰極ドラム上に形成され得、電気メッキ過程で回転陰極ドラムと直接接触するシャイニー面とその反対側のマット面を有することができる。
【0031】
保護層112は防錆物質(anticorrosion material)が銅膜111上に電着されることによって形成される。防錆物質はクロム化合物、シラン化合物および窒素化合物のうち少なくとも一つを含むことができる。保護層112は銅膜111の酸化および腐食を防止し耐熱性を向上させることによって、銅箔110自体の寿命はもちろんこれを含む最終製品の寿命を延長させる。
【0032】
本発明の一実施例によると、銅箔110は5.0N~7.0N範囲の常温突刺強度を有する。常温突刺強度は常温(room temperature)で測定される突刺強度を意味する。
【0033】
銅箔110の常温突刺強度が5.0N未満である場合、銅箔110が低い延伸率を有するようになることによって二次電池の負極集電体、軟性印刷回路基板(FPCB)などのような最終製品の製造工程中に銅箔110の破断が引き起こされる危険がある。したがって、銅箔110の作業性が低下し、二次電池の不良率が増加し得る。
【0034】
反面、銅箔110の常温突刺強度が7.0N超過である場合、銅箔110の延伸率が非常に大きくなって銅箔110の製造過程で加えられた力によってシワが発生する可能性がある。したがって、銅箔110の作業性が低下し、二次電池の不良率が増加し得る。
【0035】
本発明の一実施例によると、銅箔110は8.0N~12.5N範囲の高温突刺強度を有する。高温突刺強度は190℃で1時間熱処理後に測定された突刺強度を意味する。
【0036】
銅箔110の高温突刺強度が8.0N未満である場合、高温工程を遂行する銅箔110の製造工程の特性上、銅箔110が高温で低い延伸率を有するようになることによって破断が発生し得るため、銅箔110の品質信頼性が持続的に維持され得ない。その結果、二次電池用電極および二次電池のサイクル寿命特性および安定性が低下し得る。
【0037】
反面、銅箔110の高温突刺強度が12.5N超過である場合、銅箔110が高い延伸率を有するようになり、高温工程を遂行する銅箔110の製造工程の特性上、ロールプレス工程および/または乾燥工程中に軟化が発生することになり、シワ発生によるハンドリング性の低下が発生することもある。その結果、銅箔110の作業性が低下し、二次電池の不良率が増加し得る。
【0038】
本発明の一実施例によると、銅箔110は120%以上の突刺強度の比を有する。この時、突刺強度の比は常温突刺強度対比高温突刺強度の比を意味する。具体的には、突刺強度の比は(高温突刺強度/常温突刺強度)×100を意味する。
【0039】
本発明の一実施例に係る銅箔110は熱処理後に一定値以上の突刺強度値を有して、突刺抵抗性を示すという特徴がある。このように熱処理後に高い突刺強度値を有する銅箔110の場合、二次電池に適用時、異常な高温状態においても破断が発生することなく二次電池のサイクル寿命特性と安定性を持続的に維持して製品の信頼性を確保することができる。
【0040】
反面、銅箔110の突刺強度の比が120%未満である場合、銅箔110が熱処理後に高い突刺抵抗性を有さないこともある。したがって、熱処理後に高い突刺強度値を有さない銅箔110の場合、二次電池に適用時、高温状態で破断が発生することになり、二次電池のサイクル寿命特性および信頼性が低下し得る。
【0041】
本発明の一実施例によると、銅箔110は0.650N/μm~0.875N/μmの常温突刺強度指数を有する。この時、常温突刺強度指数は下記の式1で計算される。
【0042】
[式1]
【0043】
常温突刺強度指数=常温突刺強度/銅箔の厚さ
【0044】
常温突刺強度指数が0.650N/μm未満である場合、銅箔110が低い延伸率を有するようになることによって二次電池の負極集電体、軟性印刷回路基板(FPCB)などのような最終製品の製造工程中に銅箔110の破断が引き起こされる危険がある。したがって、銅箔110の作業性が低下し、二次電池の不良率が増加し得る。
【0045】
反面、常温突刺強度指数が0.875N/μm超過である場合、銅箔110の延伸率が非常に大きくなって銅箔110の製造過程で加えられた力によってシワが発生する可能性がある。したがって、銅箔110の作業性が低下し、二次電池の不良率が増加し得る。したがって、銅箔110の作業性が低下し、二次電池の不良率が増加し得る。
【0046】
また、本発明の一実施例によると、銅箔110は1.08N/μm~1.56N/μmの高温突刺強度指数を有する。この時、高温突刺強度指数は下記の式2で計算される。
【0047】
[式2]
【0048】
高温突刺強度指数=高温突刺強度/銅箔の厚さ
【0049】
高温突刺強度指数が1.08N/μm未満である場合、高温工程を遂行する銅箔110の製造工程の特性上、銅箔110が高温で低い延伸率を有するようになることによって破断が発生し得るため、銅箔110の品質信頼性が持続的に維持され得ない。その結果、二次電池用電極および二次電池のサイクル寿命特性および安定性が低下し得る。
【0050】
反面、高温突刺強度指数が1.56N/μm超過である場合、銅箔110が高い延伸率を有するようになり、高温工程を遂行する銅箔110の製造工程の特性上、ロールプレス工程および/または乾燥工程中に軟化が発生することになり、シワ発生によるハンドリング性の低下が発生することもある。その結果、銅箔110の作業性が低下し、二次電池の不良率が増加し得る。
【0051】
本発明の一実施例に係る銅箔110は4~35μmの厚さを有する。銅箔110が二次電池で電極の集電体として使われる時、銅箔110の厚さが薄いほど同じ空間内により多くの集電体が収容され得るため二次電池の高容量化に有利である。しかし、4μm未満の厚さを有する銅箔110の製造は作業性の低下を引き起こす。
【0052】
反面、35μmを超過する銅箔110で二次電池を製造する場合、厚い銅箔110により高容量の具現が難しくなる。
【0053】
本発明の一実施例に係る銅箔110は2~30%の高温延伸率を有する。高温延伸率は190℃で1時間熱処理後に測定された延伸率を意味する。
【0054】
銅箔110の高温延伸率が2%未満である場合、銅箔110の製造時に高温工程を経るか、高温状態で作動する場合、高容量用活物質の大きな体積膨張に対応して銅箔110が十分に伸びずに破裂する危険が大きい。
【0055】
反面、銅箔110の高温延伸率が30%超過である場合、高温工程を遂行する銅箔110の製造工程の特性上、銅箔110が容易に伸びて電極の変形が発生する可能性がある。
【0056】
本発明の一実施例によると、銅箔110は0.1~0.3μmの算術平均粗さ(Ra)を有することができる。
【0057】
二次電池の充放電が繰り返されることによって活物質層の収縮および膨張が交互に発生し、これは活物質層と銅箔110の分離を誘発して二次電池の充放電効率を低下させる。したがって、二次電極が一定水準以上の容量維持率および寿命を確保するためには(すなわち、二次電池の充放電効率の低下を抑制するためには)、銅箔110が活物質に対して優秀なコーティング性を有することによって銅箔110と活物質層の接着強度が高くなければならない。
【0058】
具体的には、銅箔110の算術平均粗さ(Ra)が小さいほど、銅箔110を含む二次電池の充放電効率が概して少なく低下する傾向がある。したがって、本発明の一実施例によると、銅箔110は0.1~0.3μmの算術平均粗さ(Ra)を有する。
【0059】
銅箔110の算術平均粗さ(Ra)が0.1μm未満である場合、銅箔110の表面積が相対的に小さいため活物質が銅箔110から容易に脱離され、その結果、充放電の反復による二次電池の急激な寿命低下が引き起こされる。
【0060】
反面、銅箔110の算術平均粗さ(Ra)が0.3μm超過である場合、銅箔110と活物質層間の接触均一性が一定水準に達しないため銅箔110と活物質層の間に多数の空間が存在することになり(すなわち、コーティング自体が部分的になされず)、その結果、充放電の反復による二次電池の急激な寿命低下が引き起こされる。
【0061】
以下では、本発明の銅箔110を含む電極100およびこの電極100を含む二次電池について具体的に説明する。
【0062】
図3は、本発明の一実施例に係る二次電池用電極の断面図である。
【0063】
図3に例示された通り、本発明の一実施例に係る二次電池用電極100は前述した本発明の実施例のうちいずれか一つの銅箔110および活物質層120を含む。
【0064】
図3には活物質層120が銅箔110の一面上に形成された構成を図示している。しかし、本発明の一実施例はこれに限定されず、
図4を参照すると、活物質層120は銅箔110の両面上に形成されてもよい。
【0065】
リチウム二次電池において、正極活物質と結合される正極集電体としてはアルミホイル(foil)が使われ、負極活物質と結合される負極集電体としては銅箔110が使われるのが一般的である。
【0066】
本発明の一実施例によると、前記二次電池用電極100は負極であり、前記銅箔110は負極集電体として使われ、前記活物質層120は負極活物質を含む。
【0067】
二次電池の高容量を担保するために、本発明の前記活物質層120は炭素と金属の複合体で形成され得る。前記金属は、例えばSi、Ge、Sn、Li、Zn、Mg、Cd、Ce、Ni、およびFeのうち少なくとも一つ、好ましくはSiおよび/またはSnを含むことができる。
【0068】
図5は、本発明の一実施例に係る二次電池の概略的な断面図である。
【0069】
図5を参照すると、二次電池は、正極(cathode)370、負極(anode)340、正極370と負極340の間に配置されてイオンが移動できる環境を提供する電解質(electrolyte)350、および正極370と負極340を電気的に絶縁させる分離膜(separator)360を含む。ここで、正極370と負極340の間で移動するイオンは、例えば、リチウムイオンである。分離膜360は一つの電極で発生した電荷が二次電池105の内部を通じて他の電極に移動することによって無駄に消耗することを防止するために正極370と負極340を分離する。
図5を参照すると、分離膜360は電解質350内に配置される。
【0070】
正極370は正極集電体371および正極活物質層372を含み、正極集電体371としてアルミホイル(foil)が使われ得る。
【0071】
負極340は負極集電体341および負極活物質層342を含み、負極集電体341として銅箔110が使われ得る。
【0072】
本発明の一実施例によると、負極集電体341として
図1または
図2に開示された銅箔110が使われ得る。また、
図3または
図4に図示された二次電池用電極100が
図5に図示された二次電池の負極340として使われ得る。
【0073】
以下では、
図6を参照して本発明の銅箔110の製造方法を具体的に説明する。
【0074】
本発明の銅箔110製造方法は、銅膜111を形成する段階および前記銅膜111上に保護層112を形成する段階を含む。
【0075】
本発明の方法は、電解槽10内の電解液20内に互いに離隔するように配置された陽極板30および回転陰極ドラム40を通電させることによって前記回転陰極ドラム40上に銅膜111を形成する段階を含む。
【0076】
図6に例示された通り、陽極板30は互いに電気的に絶縁された第1および第2陽極板31、32を含むことができる。
【0077】
銅膜111形成段階は、第1陽極板31と回転陰極ドラム40の間の通電によってシード層を形成し、引き続き第2陽極板32と回転陰極ドラム40の間の通電によってシード層を成長させることによって遂行され得る。
【0078】
第1および第2陽極板31、32によりそれぞれ提供される電流密度は30~130ASDであり得る。
【0079】
第1および第2陽極板31、32によりそれぞれ提供される電流密度が30ASD未満の場合、銅箔110の表面粗さが低いため銅箔110と活物質層120の接着力が充分でないこともある。
【0080】
反面、第1および第2陽極板31、32によりそれぞれ提供される電流密度が130ASD超過である場合、銅箔110の表面が粗いため活物質のコーティングが円滑になされないことがある。
【0081】
銅膜111の表面特性は回転陰極ドラム40の表面バッフィングまたは研磨の程度により変わり得る。例えば、#800~#3000の粒度(Grit)を有する研磨ブラシで回転陰極ドラム40の表面が研磨され得る。
【0082】
銅膜111形成過程で、電解液20は48~60℃の温度で維持される。より具体的には、電解液20の温度は50℃以上で維持され得る。この時、電解液20の組成が調整されることによって銅膜111の物理的、化学的および電気的特性が制御され得る。
【0083】
本発明の一実施例によると、電解液20は70~100g/Lの銅イオン、70~150g/Lの硫酸、1~3ppmの塩素(Cl)、1~10ml/Lの過酸化水素(H2O2)、0.1~1.0ppmの銀イオン(Ag+)、2~10ppmのセリウムイオン(Ce2+)および1~20ppmの鉛イオン(Pb2+)を含むことができる。
【0084】
銅の電着による銅膜111の形成が円滑となるようにするために、電解液20内の銅イオンの濃度と硫酸の濃度はそれぞれ70~100g/Lおよび70~150g/Lに調整される。
【0085】
本発明の一実施例において、塩素(Cl)は塩素イオン(Cl-)および分子内に存在する塩素原子をすべて含む。塩素(Cl)は、例えば、銅膜111が形成される過程で電解液20に流入した銀(Ag)イオンの除去に使われ得る。具体的には、塩素(Cl)は銀(Ag)イオンを塩化銀(AgCl)の形態で沈殿させることができる。このような塩化銀(AgCl)は濾過によって除去され得る。
【0086】
塩素(Cl)の濃度が1ppm未満の場合、銀(Ag)イオンの除去が円滑になされない。反面、塩素(Cl)の濃度が3ppmを超過する場合、過量の塩素(Cl)による不要な反応が発生し得る。したがって、電解液20内の塩素(Cl)濃度は1~3ppmの範囲で管理される。
【0087】
本発明の一実施例によると、有機添加剤を含む電解液20は過酸化水素(H2O2)をさらに含むことができる。連続メッキされる電解液20には有機添加剤によって有機不純物が存在するが、過酸化水素(H2O2)を処理することによって有機不純物を分解して銅箔内部の炭素(C)の含量を適切に調節することができる。電解液20内のTOC濃度が高いほど銅膜111に流入する炭素(C)元素の量が増加し、それにより熱処理時に銅膜111から離脱する全体元素の量が増加し、熱処理後に銅箔110の強度が低下する原因となる。
【0088】
添加する過酸化水素(H2O2)の量は電解液L当たり1~10mlの過酸化水素(H2O2)を添加する。具体的には、電解液L当たり2~8mlの過酸化水素(H2O2)を添加することが好ましい。過酸化水素(H2O2)の添加量が1ml/L未満である場合には、有機不純物分解効果が殆どないため無意味である。過酸化水素(H2O2)の添加量が10ml/L超過である場合には、有機不純物が過度に分解され、セリウムイオン(Ce2+)等の無機添加剤の効果も抑制される。
【0089】
本発明の一実施例によると、電解液20は銀イオン(Ag+)をさらに含むことができる。具体的には、電解液20は0.1~1.0ppmの銀イオン(Ag+)をさらに含むことができる。銀イオン(Ag+)を0.1~1.0ppmで維持する場合、本願発明による常温突刺強度が5.0~7.0Nで維持され、高温突刺強度が8.0~12.5Nで維持され得る。また、常温突刺強度指数が0.650N/μm~0.875N/μmで維持され、高温突刺強度指数が1.08N/μm~1.56N/μmで維持され得る。
【0090】
反面、銀イオン(Ag+)の濃度が0.1ppm未満の場合、突刺強度が過度に高くなる問題が発生し、その結果、常温突刺強度が7.0Nより高くなり、高温突刺強度が12.5Nより高くなる問題が発生する。また、常温突刺強度指数が0.875N/μmより高くなり、高温突刺強度指数が1.56N/μmより高くなる問題が発生することになる。
【0091】
また、銀イオン(Ag+)の濃度が1.0ppm超過である場合、突刺強度が過度に低くなる問題が発生し、その結果、常温突刺強度が5.0Nより低くなり、高温突刺強度が8.0Nより低くなる問題が発生し得る。また、常温突刺強度指数が0.650N/μmより低くなり、高温突刺強度指数が1.08N/μmより低くなる問題が発生することになる。
【0092】
本発明の一実施例によると、電解液20内のセリウムイオン(Ce2+)の含量は2~10ppmである。
【0093】
電解液20内のセリウムイオン(Ce2+)の含量が2ppm未満の場合、銅箔110の引張強度が低くなり、ロールツーロール工程を通じて銅箔110で最終製品を製造する場合に折り畳み/カール問題が引き起こされる危険が増加する。また、電解液20内のセリウムイオン(Ce2+)の含量が2ppm未満の場合、銅箔110の突刺強度が過度に低くなる問題が発生し、その結果、常温突刺強度が5.0Nより低くなり、高温突刺強度が8.0Nより低くなる問題が発生し得る。また、常温突刺強度指数が0.650N/μmより低くなり、高温突刺強度指数が1.08N/μmより低くなる問題が発生することになる。
【0094】
反面、電解液20内のセリウムイオン(Ce2+)の含量が10ppm超過である場合、セリウムイオン(Ce2+)の含量増加に比べて明確な突刺強度の増加効果が発生しない。したがって、電解液20内のセリウムイオン(Ce2+)の含量を2~10ppm範囲に調節することによって銅箔110の性能に対する製造原価の比を最大化することができる。
【0095】
本発明の一実施例によると、有機添加剤を含む電解液20は1~20ppmの鉛イオン(Pb2+)をさらに含んでもよい。電解液20内の鉛イオン(Pb2+)は1~20ppmの濃度で管理される。鉛イオン(Pb2+)の濃度維持のために電解液20に投入される原材料として鉛(Pb)が含まれていない物質を使うことができる。
【0096】
鉛イオン(Pb2+)の濃度が1ppm未満の場合、銅が不均一に析出され、それによって、常温突刺強度が5.0~7.0Nから外れることになり、高温突刺強度が8.0~12.5Nから外れることになる。また、常温突刺強度指数が0.650~0.875N/μmから外れることになり、高温突刺強度指数が1.08~1.56N/μmから外れることになる。
【0097】
鉛イオン(Pb2+)の濃度が20ppmを超過する場合、イオン交換フィルタを使って鉛イオン(Pb2+)を電解液20から除去しなければならず、銅が不均一に析出されて表面粗さが大きく増加して銅箔110が突刺強度が低下し、高温状態で作動する場合、破断が発生する可能性がある。その結果、常温突刺強度が5.0Nより低くなり、高温突刺強度が8.0Nより低くなる問題が発生し得る。また、常温突刺強度指数が0.650N/μmより低くなり、高温突刺強度指数が1.08N/μmより低くなる問題が発生することになる。
【0098】
銅膜111が形成される時、電解槽10内に供給される電解液20の流速は41~45m3/hourであり得る。
【0099】
銅膜111を形成する段階は、活性炭を利用して電解液20を濾過する段階、硅藻土を利用して電解液20を濾過する段階および電解液20をオゾン(O3)で処理する段階のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0100】
具体的には、電解液20がオゾン処理されるか、電気メッキによって銅層110が形成される間電解液20に過酸化水素および空気が投入されることによって電解液20の清浄度が維持または向上し得、電解液20内の有機不純物の最小化のために総有機炭素(Total Organic Carbon:TOC)が3ppm未満の高純度カーボンに濾過することによって電解液20の清浄度が維持または向上し得る。
【0101】
また、総有機炭素(Total Organic Carbon:TOC)が5ppm未満の高純度硅藻土に濾過することによって電解液20の清浄度が維持または向上し得る。
【0102】
また、電解液20の清浄度のために、電解液20の原料となる銅ワイヤ(Cu wire)が洗浄され得る。
【0103】
本発明の一実施例によると、電解液20を製造する段階は、銅ワイヤを熱処理する段階、熱処理された銅ワイヤを酸洗する段階、酸洗した銅ワイヤを水洗する段階および水洗した銅ワイヤを電解液用硫酸に投入する段階を含むことができる。
【0104】
より具体的には、電解液20の清浄度維持のために高純度(99.9%以上)銅ワイヤ(Cu wire)を750℃~850℃の電気炉で熱処理して銅ワイヤに付着されている各種有機不純物を焼却した後、10%硫酸溶液を利用して10~20分間熱処理された銅ワイヤを酸洗し、蒸溜水を利用して酸洗した銅ワイヤを水洗する過程を順次経て、電解液20製造用銅が製造され得る。水洗した銅ワイヤを電解液用硫酸に投入して電解液20を製造することができる。
【0105】
本発明の一実施例によると、銅箔110の特性を満足させるために電解液20内の総有機炭素(Total Organic Carbon:TOC)の濃度は10ppm以下で管理される。すなわち、電解液20は10ppm以下の総有機炭素(TOC)濃度を有することができる。
【0106】
このように製造された銅膜111は洗浄槽で洗浄され得る。
【0107】
例えば、銅膜111の表面上の不純物、例えば、樹脂成分または自然酸化膜(natural oxide)等を除去するための酸洗(acid cleaning)および酸洗に使われた酸性溶液除去のための水洗(water cleaning)が順次遂行され得る。洗浄工程は省略されてもよい。
【0108】
次に、銅膜111上に保護層112が形成される。
【0109】
図7を参照すると、前記銅膜111を防錆液(anticorrosion solution)60に浸漬させる段階をさらに含むことができる。前記銅膜111は前記防錆液60に浸漬される時、前記防錆液60内に配置されたガイドロール(guide roll)70により案内され得る。
【0110】
前述した通り、前記防錆液60はクロム化合物、シラン化合物および窒素化合物のうち少なくとも一つを含むことができる。例えば、1~10g/Lの重クロム酸カリウム溶液に前記銅膜111を常温で1~30秒浸漬させることができる。
【0111】
一方、保護層112はシラン処理によるシラン化合物を含んでもよく、窒素処理による窒素化合物を含んでもよい。
【0112】
このような保護層112の形成によって銅箔110が作られる。
【0113】
前記のような方法を通じて製造された本発明の銅箔110の一面または両面上に、炭素;Si、Ge、Sn、Li、Zn、Mg、Cd、Ce、NiまたはFeの金属(Me);前記金属(Me)を含む合金;前記金属(Me)の酸化物(MeOx);および前記金属(Me)と炭素の複合体からなる群から選択される一つ以上の負極活物質をコーティングすることで本発明の二次電池用電極(すなわち、負極)が製造され得る。
【0114】
例えば、炭素100重量部の負極活物質用炭素に1~3重量部のスチレンブタジエンゴム(SBR)および1~3重量部のカルボキシメチルセルロース(CMC)を混合した後、蒸溜水を溶剤として使ってスラリーを調製する。引き続き、ドクターブレードを利用して前記銅箔110上に20~60μm厚さで前記スラリーを塗布し、110~130℃で0.5~1.5ton/cm2の圧力でプレスする。
【0115】
以上の方法で製造された本発明の二次電池用電極(負極)と共に通常の正極、電解質、および分離膜を利用して二次電池を製造することができる。
【0116】
以下では、実施例および比較例を通じて本発明を具体的に説明する。ただし、下記の実施例は本発明の理解を助けるためのものに過ぎず、本発明の権利範囲はこれらの実施例に制限されない。
【0117】
実施例1-5および比較例1-7
【0118】
電解槽10、電解槽10に配置された回転陰極ドラム40および回転陰極ドラム40と離隔して配置された陽極板30を含む製箔機を利用して銅箔を製造した。電解液20は硫酸銅溶液である。電解液20内の銅イオンの濃度は88g/L、硫酸の濃度は105g/L、電解液の温度は55℃で電流密度は50ASDに設定された。
【0119】
また、電解液20に含まれた塩素(Cl)濃度、過酸化水素(H2O2)の濃度、銀イオン(Ag+)の濃度、セリウムイオン(Ce2+)および鉛イオン(Pb2+)の濃度は下記の表1の通りである。
【0120】
回転陰極ドラム40と陽極板30の間に50ASDの電流密度で電流を印加して銅膜111を製造した。次に、銅膜111を防錆液に約2秒間浸漬させて銅膜111の表面にクロメート処理をして保護層112を形成することによって8μm厚さの銅箔110を製造した。防錆液としてクロム酸を主成分とする防錆液が使われ、クロム酸の濃度は5g/Lであった。
【0121】
その結果、実施例1-5および比較例1-7の銅箔が製造された。
【0122】
【0123】
【0124】
このように製造された実施例1-5および比較例1-7の銅箔に対して、i)常温突刺強度、ii)高温突刺強度、iii)突刺強度の比、iv)厚さ、v)常温突刺強度指数、vi)高温突刺強度指数、vii)高温延伸率およびviii)充放電効率を確認した。
【0125】
i)常温突刺強度、ii)高温突刺強度測定
【0126】
銅箔110の常温突刺強度は常温(room temperature)で測定される突刺強度を意味する。
【0127】
銅箔110の高温突刺強度は190℃で1時間熱処理後に測定された突刺強度を意味する。
【0128】
この時、突刺強度はASTM D4830(Standard Test Methods for Characterizing Thermoplastic Fabrics Used in Roofing and Waterproofing)に準ずる試験法により測定した。試験機器はUniversal Testing Machine(UTM)を使った。具体的には、内径44.45mmの孔があけられたクランプ板の間に試料を固定した後、直径7.9mm、高さ127mm、棒先半径3.97mmの棒でロードセル200N、300mm/minの速度でサンプルを貫通させて最大荷重を測定した。試験環境は23±2℃の温度および45±5%の湿度(R.H.)条件下で実施した。
【0129】
高温突刺強度は常温突刺強度と同じ条件で温度だけ190℃で1時間熱処理後に測定した。
【0130】
iii)突刺強度の比計算
【0131】
突刺強度の比は常温突刺強度対比190℃で1時間熱処理後突刺強度の比を意味する。
【0132】
iv)厚さ測定
【0133】
銅箔の通常厚さ測定法である単位計量法(IPC-TM-650 2.2.12)によって測定した。
【0134】
v)常温突刺強度指数計算
【0135】
常温突刺強度指数は下記の式1で計算される。
【0136】
[式1]
【0137】
常温突刺強度指数=常温突刺強度/銅箔の厚さ
【0138】
vi)高温突刺強度指数計算
【0139】
高温突刺強度指数は下記の式2で計算される。
【0140】
[式2]
【0141】
高温突刺強度指数=高温突刺強度/銅箔の厚さ
【0142】
vii)高温延伸率測定
【0143】
高温延伸率は190℃で1時間熱処理後に延伸率を測定したものを意味する。
【0144】
延伸率はIPC-TM-650 Test Method Manualの規定により万能試験機(UTM)により測定された。具体的には、Instron社の万能試験機を利用して延伸率を測定した。延伸率測定用サンプルの幅は12.7mmであり、グリップ(Grip)間距離は50mmであり、測定速度は50mm/minであった。
【0145】
viii)充放電効率
【0146】
このように製造された二次電池を利用して、4.3V充電電圧および3.4V放電電圧で電池を駆動して正極のg当たり容量を測定した。次の常温で100回充電/放電実験を遂行して充放電効率を計算した。充放電効率は下記の式1で計算され得る。
【0147】
[式1]
【0148】
充放電効率(%)=[(100回充放電後の容量)/(1回充放電後の容量)]×100
【0149】
充放電効率を3回繰り返し測定してその平均値を採択した。
【0150】
充放電効率が90%以下である場合、銅箔が二次電池用電極の負極集電体として不適合であると判定した。
【0151】
充放電効率を評価した後、銅箔が二次電池用電極の負極集電体として適合すると判断される場合に「良好」と表記し、不適合であると判断される場合、「不良」と表記した。
【0152】
表1および表2を参照すると次のような結果を確認することができる。
【0153】
過酸化水素を過量で含み、銀イオン(Ag+)を微量で含む電解液によって製造された比較例1の銅箔は、90%以下の充放電効率を有することを確認することができる。
【0154】
セリウムイオンを過量で含み、銀イオン(Ag+)を微量で含む電解液によって製造された比較例2の銅箔は、90%以下の充放電効率を有することを確認することができる。
【0155】
鉛イオンを過量で含み、銀イオン(Ag+)を過量で含む電解液によって製造された比較例3の銅箔は、90%以下の充放電効率を有することを確認することができる。
【0156】
過酸化水素およびセリウムイオンを過量で含む電解液によって製造された比較例4の銅箔は、90%以下の充放電効率を有することを確認することができる。
【0157】
過酸化水素および銀イオン(Ag+)を微量で、鉛イオンを過量で含む電解液によって製造された比較例5の銅箔は、90%以下の充放電効率を有することを確認することができる。
【0158】
鉛イオンを微量で含む電解液によって製造された比較例6の銅箔は、90%以下の充放電効率を有することを確認することができる。
【0159】
過酸化水素およびセリウムイオンを含まず、鉛イオンを過量で含む電解液によって製造された比較例7の銅箔は、90%以下の充放電効率を有することを確認することができる。
【0160】
以上で説明された本発明は前述した実施例および添付された図面によって限定されるものではなく、本発明の技術的事項を逸脱しない範囲内で多様な置換、変形および変更が可能であることが本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に明白であろう。したがって、本発明の範囲は後述する特許請求の範囲によって表現され、特許請求の範囲の意味、範囲そしてその等価概念から導き出されるすべての変更または変形された形態は本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0161】
100:二次電池用電極
110:銅箔
111:銅膜
120:活物質層
10:電解槽
20:電解液