(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084707
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】可搬式簡易除塵機
(51)【国際特許分類】
E02B 5/08 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
E02B5/08 103E
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023205659
(22)【出願日】2023-12-05
(31)【優先権主張番号】P 2022198543
(32)【優先日】2022-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000168193
【氏名又は名称】株式会社ミゾタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001759
【氏名又は名称】弁理士法人よつ葉国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100093687
【弁理士】
【氏名又は名称】富崎 元成
(74)【代理人】
【識別番号】100168468
【弁理士】
【氏名又は名称】富崎 曜
(72)【発明者】
【氏名】徳島 雅洋
(72)【発明者】
【氏名】白濱 秀吉
(57)【要約】
【課題】スクリーン上の塵芥を掻き揚げるレーキの移動と除塵機の引き上げを一つの駆動装置で可能とする可搬式簡易除塵機を提供する。
【解決手段】ドラムウインチ6の回転ハンドル61を回してロープ63、63をドラム62に巻き取ると、レーキ5が上に移動し、レーキ5の上端が下側ガイドレール41の上端に移動する。レーキ5の上端がストッパー46に当接するとレーキ5の移動が停止する。枠体4を水路1の上面12に引き上げるためには、角度保持用ピン75を手で引っ張り、受け部74の位置決め孔77から角度保持用ピン75を抜き出す。回転ハンドル61を更に回してロープ63、63をドラム62に巻き取ると、枠体4が揺動軸31を中心として
図1の反時計方向に揺動する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水路又は河川で、流れてくる塵芥をスクリーンで捕集し、前記塵芥を前記スクリーンから除去するために、前記水路上又は前記河川上に掻き揚げるためのレーキを有する可搬式簡易除塵機において、
前記水路上又は前記河川上に設置されたベースと、
前記ベースに揺動軸を中心に揺動自在に設けられ、前記レーキを搭載する枠体と、
前記枠体に前記水路又は前記河川の幅方向の両側に固定配置されたガイドレールと、
前記レーキに前記水路又は前記河川の幅方向の両側に回転可能に軸支され、前記ガイドレールに案内される案内ローラと、
前記塵芥を除去するための前記レーキの移動と前記枠体を前記水路上又は前記河川上へ引上げを行う一つの駆動装置と、
一端が前記レーキに連結され、他端が前記駆動装置に連結されたロープと
からなることを特徴とする可搬式簡易除塵機。
【請求項2】
請求項1に記載の可搬式簡易除塵機において、
前記ガイドレールは、前記スクリーン側に近い下側ガイドレールと、
前記下側ガイドレールと平行で前記スクリーンから離れた側に配置された上側ガイドレールと、
前記下側ガイドレールと前記上側ガイドレールとを接続する接続ガイドレールにより環状を成しており、
前記下側ガイドレールと前記上側ガイドレールの上部及び中間部との交差部に配置され、前記案内ローラの移動を一方向のみ案内する可動案内板とを有する
ことを特徴とする可搬式簡易除塵機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の可搬式簡易除塵機において、
前記案内ローラは、前記レーキの上部に回転可能に軸支される上案内ローラと前記レーキの下部に回転可能に軸支される下案内ローラとからなり、
前記接続ガイドレールは、上端接続ガイドレールと中間接続ガイドレールと下端接続ガイドレールとからなり、
前記レーキの降下時には、前記上案内ローラは前記上端接続ガイドレールに案内され、前記下案内ローラは前記中間接続ガイドレール及び前記下端接続ガイドレールに案内される
ことを特徴とする可搬式簡易除塵機。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の可搬式簡易除塵機において、
前記駆動装置は、回転ハンドル又は原動機で回転駆動され、前記ロープの巻き取り及び送り出しを行う
ことを特徴とする可搬式簡易除塵機。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の可搬式簡易除塵機において、
前記枠体の上部には、カウンターウェイトが配置されている
ことを特徴とする可搬式簡易除塵機。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の可搬式簡易除塵機において、
前記枠体の前記揺動を案内し、かつ前記ベースに前記枠体を所定角度に保持して固定する角度保持機構を有する
ことを特徴とする可搬式簡易除塵機。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の可搬式簡易除塵機において、
前記ベースは、前記ベースを移動可能とする車輪、及び前記車輪を不作動とする位置固定部材を有する
ことを特徴とする可搬式簡易除塵機。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の可搬式簡易除塵機において、
前記ベースは、前記ベースを水平に設置するための高さが調整できる支持脚を有する
ことを特徴とする可搬式簡易除塵機。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の可搬式簡易除塵機において、
前記スクリーンは、前記枠体と一体構造である
ことを特徴とする可搬式簡易除塵機。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の可搬式簡易除塵機において、
前記スクリーンは、前記枠体とは分離して形成されている
ことを特徴とする可搬式簡易除塵機。
【請求項11】
請求項1又は2に記載の可搬式簡易除塵機において、
前記ガイドレールは、前記水路又は前記河川の高さに応じて追加設置して前記レーキの掻揚範囲を延長できるアタッチメントを有する
ことを特徴とする可搬式簡易除塵機。
【請求項12】
請求項2に記載の可搬式簡易除塵機において、
前記下側ガイドレールの上端部には、前記レーキの移動を止めるためのストッパーが配置されている
ことを特徴とする可搬式簡易除塵機。
【請求項13】
請求項6に記載の可搬式簡易除塵機において、
前記角度保持機構は、所定角度を振り分けた孔を有する円弧板が前記ベースに固定され、ピンにより固定される孔を有した受け部が前記枠体に固定されている
ことを特徴とする可搬式簡易除塵機。
【請求項14】
請求項1又は2に記載の可搬式簡易除塵機において、
前記ベースには、前記可搬式簡易除塵機の稼働時及び/又は移設時に使用する延長ベースが取り付けられている
ことを特徴とする可搬式簡易除塵機。
【請求項15】
請求項14に記載の可搬式簡易除塵機において、
前記延長ベースは前記ベースに対して移動可能に設けられ、前記延長ベースを前記ベースに格納した状態で前記可搬式簡易除塵機を稼働し、前記延長ベースを前記ベースから引き出した状態で前記可搬式簡易除塵機を移設する
ことを特徴とする可搬式簡易除塵機。
【請求項16】
請求項14に記載の可搬式簡易除塵機において、
前記延長ベースには除塵機の受枠が移動可能に設けられ、前記除塵機の受枠が前記可搬式簡易除塵機の前記枠体に干渉しない位置で前記可搬式簡易除塵機を稼働し、前記除塵機の受枠が前記可搬式簡易除塵機の前記枠体の下面を載置可能な位置で前記可搬式簡易除塵機を移設する
ことを特徴とする可搬式簡易除塵機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水路又は河川に流れる塵芥を除去する可搬式簡易除塵機に関する。更に詳しくは、スクリーンで捕集された塵芥を掻き揚げるレーキの移動と除塵機の引き上げを一つの動力で可能とする可搬式簡易除塵機に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、除塵機は、水路又は河川に流れる塵芥を捕集するスクリーンと、そのスクリーンで捕集された塵芥を地上に掻き揚げるための掻揚機とがワンセットとして設置される。従って、この除塵機(又は掻揚機)を他の水路又は他の河川に転用することは、除塵機(又は掻揚機)がアンカーボルト等で水路又は河川に強固に固定されており、また機械を移設(移送及び設置)する場合にも移設を想定して製作されておらず、分解・移設は大きな負荷となり、事実上困難である。又、常時運用が必要なスクリーンを水路又は河川に残したまま、掻揚機を引き上げた場合、その水路又は河川での塵芥捕集機能としては十分であるが、掻揚機を他の水路又は他の河川へ持ち出して使用することも難かしい。特にロータリーレーキ式除塵機(背面降下前面掻揚式除塵機)では、チェーンの回転を利用してレーキを一定方向に循環させる構造であるため、チェーンをスクリーンの左右(両側)に設置しなければならないので、既設のスクリーンに移設することができない。
【0003】
その点、前面降下前面掻上式除塵機は、以下の特許文献1~3に見られるようにスクリーンとの分離が可能であるが、掻揚機を他の水路又は他の河川へ持ち出して使用することは想定されていない。特許文献1に記載の水路用除塵機は、格子状スクリーンで捕集される塵芥を掻き取る掻上具が配置されている。この掻上具は、固定案内溝と、これに案内される案内ローラで案内されて上下動するものである。この掻上具の案内ローラは、上昇と下降のとき、案内溝の経路が異なるので、掻上具の姿勢が異なる。従って、この掻上具の上昇による塵芥の掻揚げと、掻上具の下降が円滑にできる。掻上具の上昇下降は、シリンダー又はクランク杆等による往復駆動装置で駆動される。尚、除塵機及び格子状スクリーンの引上げは想定されていない。
【0004】
特許文献2には、スクリーン上に塵芥を掻き揚げるために、スクリーン上を往復するレーキが配置された昇降式除塵機が開示されている。この昇降式除塵機は、スクリーン上の塵芥を掻き揚げて引き上げるために、上下2段に配置された上流側レールと、下流側レールで案内され往復動するレーキが配置されている。このレーキは、塵芥の掻き揚げで上昇する場合と、水路底に戻りのために下降する場合では、案内される案内レールが異なる。このために下降時では塵芥の噛み込みを防ぎ、かつ上昇時の塵芥の掻き揚げが円滑にできる。レーキの上昇駆動は、電動ウインチで駆動される。除塵機の引き上げには、引揚げ用ワイヤロープが用いられる。特許文献3には、簡易往復式除塵機が開示されている。この簡易往復式除塵機は、スクリーン上を往復するレーキが配置され、このレーキの往復はラックピニオン機構によりモータ駆動される。このスクリーンは、巻き上げ用ロープで引き上げられる。このように、特許文献1の除塵機は、水路用除塵機及びスクリーンは共に水路に固定されており、また特許文献2の除塵機は、スクリーン清掃用に引上げ式であるが、水路には固定されており、また特許文献3の除塵機は、スクリーンが清掃用に引上げられるが、共に水路に固定されている。すなわち、特許文献1~3の除塵機は、他の水路又は他の河川に使用できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭54-19107号公報
【特許文献2】特開2004-339888号公報
【特許文献3】実用新案登録第3080916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のような背景において、除塵機が設置されていない塵芥除去が必要な水路又は河川に除塵機を搬入し稼働させること、特に災害の緊急時等に、除塵機が設置されていない塵芥除去が必要な他の水路又は他の河川において、掻揚機のみ、又はスクリーンと掻揚機を持った除塵機を容易に搬入し、稼働させることが強く望まれていた。前述した従来の掻揚機、又はスクリーンと掻揚機を持った除塵機は、他の水路又は他の河川に移設し稼働させることを想定したものでなく、また除塵のためのレーキの駆動装置、除塵機の引き上げ装置のための駆動装置の2台の駆動装置が必要となり、移設するためには分解組立作業が必要で、かつ重量が重くなり、移設は困難である。本発明は、以上のような背景により以下の目的を達成するものである。
本発明の目的は、スクリーン上の塵芥を掻き揚げるレーキの移動と除塵機の引き上げを一つの動力(駆動装置)で可能とする可搬式簡易除塵機を提供することにある。
本発明の他の目的は、水路又は河川に設置が容易で、他の水路又は他の河川に移設が容易な可搬式簡易除塵機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するために、次の手段を採る。
即ち、本発明1の可搬式簡易除塵機は、
水路又は河川で、流れてくる塵芥をスクリーンで捕集し、前記塵芥を前記スクリーンから除去するために、前記水路上又は前記河川上に掻き揚げるためのレーキを有する可搬式簡易除塵機において、
前記水路上又は前記河川上に設置されたベースと、
前記ベースに揺動軸を中心に揺動自在に設けられ、前記レーキを搭載する枠体と、
前記枠体に前記水路又は前記河川の幅方向の両側に固定配置されたガイドレールと、
前記レーキに前記水路又は前記河川の幅方向の両側に回転可能に軸支され、前記ガイドレールに案内される案内ローラと、
前記塵芥を除去するための前記レーキの移動と前記枠体を前記水路上又は前記河川上へ引上げを行う一つの駆動装置と、
一端が前記レーキに連結され、他端が前記駆動装置に連結されたロープとからなることを特徴とする。
【0008】
本発明2の可搬式簡易除塵機は、本発明1において、前記ガイドレールは、前記スクリーン側に近い下側ガイドレールと、前記下側ガイドレールと平行で前記スクリーンから離れた側に配置された上側ガイドレールと、前記下側ガイドレールと前記上側ガイドレールとを接続する接続ガイドレールにより環状を成しており、前記下側ガイドレールと前記上側ガイドレールの上部及び中間部との交差部に配置され、前記案内ローラの移動を一方向のみ案内する可動案内板とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明3の可搬式簡易除塵機は、本発明1又は2において、前記案内ローラは、前記レーキの上部に回転可能に軸支される上案内ローラと前記レーキの下部に回転可能に軸支される下案内ローラとからなり、前記接続ガイドレールは、上端接続ガイドレールと中間接続ガイドレールと下端接続ガイドレールとからなり、前記レーキの降下時には、前記上案内ローラは前記上端接続ガイドレールに案内され、前記下案内ローラは前記中間接続ガイドレール及び前記下端接続ガイドレールに案内されることを特徴とする。
【0010】
本発明4の可搬式簡易除塵機は、本発明1又は2において、前記駆動装置は、回転ハンドル又は原動機で回転駆動され、前記ロープの巻き取り及び送り出しを行うことを特徴とする。
本発明5の可搬式簡易除塵機は、本発明1又は2において、前記枠体の上部には、カウンターウェイトが配置されていることを特徴とする。
【0011】
本発明6の可搬式簡易除塵機は、本発明1又は2において、前記枠体の前記揺動を案内し、かつ前記ベースに前記枠体を所定角度に保持して固定する角度保持機構を有することを特徴とする。
本発明7の可搬式簡易除塵機は、本発明1又は2において、前記ベースは、前記ベースを移動可能とする車輪、及び前記車輪を不作動とする位置固定部材を有することを特徴とする。
本発明8の可搬式簡易除塵機は、本発明1又は2において、前記ベースは、前記ベースを水平に設置するための高さが調整できる支持脚を有することを特徴とする。
【0012】
本発明9の可搬式簡易除塵機は、本発明1又は2において、前記スクリーンは、前記枠体と一体構造であることを特徴とする。
本発明10の可搬式簡易除塵機は、本発明1又は2において、前記スクリーンは、前記枠体とは分離して形成されていることを特徴とする。
本発明11の可搬式簡易除塵機は、本発明1又は2において、前記ガイドレールは、前記水路又は前記河川の高さに応じて追加設置して前記レーキの掻揚範囲を延長できるアタッチメントを有することを特徴とする。
【0013】
本発明12の可搬式簡易除塵機は、本発明2において、前記下側ガイドレールの上端部には、前記レーキの移動を止めるためのストッパーが配置されていることを特徴とする。
本発明13の可搬式簡易除塵機は、本発明6において、前記角度保持機構は、所定角度を振り分けた孔を有する円弧板が前記ベースに固定され、ピンにより固定される孔を有した受け部が前記枠体に固定されていることを特徴とする。
本発明14の可搬式簡易除塵機は、本発明1又は2において、前記ベースには、前記可搬式簡易除塵機の稼働時及び/又は移設時に使用する延長ベースが取り付けられていることを特徴とする。
本発明15の可搬式簡易除塵機は、本発明14において、前記延長ベースは前記ベースに対して移動可能に設けられ、前記延長ベースを前記ベースに格納した状態で前記可搬式簡易除塵機を稼働し、前記延長ベースを前記ベースから引き出した状態で前記可搬式簡易除塵機を移設することを特徴とする。
本発明16の可搬式簡易除塵機は、本発明14において、前記延長ベースには除塵機の受枠が移動可能に設けられ、前記除塵機の受枠が前記可搬式簡易除塵機の前記枠体に干渉しない位置で前記可搬式簡易除塵機を稼働し、前記除塵機の受枠が前記可搬式簡易除塵機の前記枠体の下面を載置可能な位置で前記可搬式簡易除塵機を移設することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の可搬式簡易除塵機は、スクリーン上の塵埃を掻き揚げるレーキの移動と除塵機の引き上げを一つの動力(駆動装置)で行うため、駆動装置の機械構成が簡略化でき、経済的でかつ重量が軽くなるため、移設が容易となる。
又、本発明の可搬式簡易除塵機は、車輪を備えた移動可能なベース上に取り付けられているので、分解組立作業が不要で、除塵機の撤去が容易で、他の水路又は他の河川に移設が容易となる。
更に、本発明の可搬式簡易除塵機は、ガイドレールが追加設置してレーキの掻揚範囲を延長できるアタッチメントを有するので、一基の可搬式簡易除塵機で複数の水路又は複数の河川で使用することが可能になる。
更に、本発明の可搬式簡易除塵機は、一基の可搬式簡易除塵機をスクリーン一体型、又はスクリーン分離型とすることにより、複数の水路又は複数の河川で用途に応じた使用が可能になる。
更に、本発明の可搬式簡易除塵機は、ベースに可搬式簡易除塵機の稼働時及び/又は移設時に使用する延長ベースが取付けられているので、可搬式簡易除塵機の姿勢(状態)をベースのみの使用に比べ、格段に安定した姿勢(状態)に保持することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施の形態の可搬式簡易除塵機を示し、除塵機を水路に据え付けた状態を示す全体側面図である。
【
図3】
図3は、角度保持機構を縦断面で示す
図1のP矢視図である。
【
図5】
図5(a)は、角度保持機構を示す拡大側面図、
図5(b)は、
図5(a)のA-A断面図である。
【
図6】
図6(a)は、上端接続ガイドレールの可動案内板を示す拡大側面図、
図6(b)は、
図6(a)のB-B断面図、
図6(c)は、中間接続ガイドレールの可動案内板を示す拡大側面図、
図6(d)は、中間接続ガイドレールと交差する上側ガイドレールの可動案内板を示す拡大側面図である。
【
図7】
図7(a)は、レーキを示す拡大側面図、
図7(b)及び
図7(c)は、ベース下部の拡大側面図である。
【
図8】
図8は、延長用のアタッチメントを追加してレーキの掻揚範囲を延長できるガイドレールを示す説明図である。
【
図9】
図9は、可搬式簡易除塵機を引き上げた状態を示す全体側面図である。
【
図10】
図10は、本発明の第1の実施の形態の可搬式簡易除塵機をトラックに積み込み他の水路又は他の河川に移送する状態を示す全体側面図である。
【
図11】
図11は、本発明の第2の実施の形態の可搬式簡易除塵機のベースと延長ベースを示し、延長ベースをベースから引き出した状態を示す平面図である。
【
図16】
図16(a)は、本発明の第3の実施の形態の可搬式簡易除塵機のベースと延長ベースを示す平面図であり、
図16(b)は
図16(a)のT矢視図、
図16(C)は
図16(a)のU矢視図である。
【
図17】
図17(a)は、本発明の第4の実施の形態の可搬式簡易除塵機のベースと延長ベースを示す平面図であり、
図17(b)は
図17(a)のV矢視図、
図17(C)は
図17(a)のW矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔可搬式簡易除塵機の第1の実施の形態〕
除塵機の設置は、水路又は河川であるが、以下の本発明の実施の形態では水路について説明する。尚、本願の駆動装置は、ロープ63の巻き取り及び送り出しを行うドラムウインチ6及びドラム62として説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態の可搬式簡易除塵機100を示し、除塵機を水路1に据え付けた状態を示す全体側面図、
図2は
図1の平面図、
図3は角度保持機構7を縦断面で示す
図1のP矢視図、
図4はドラムウインチ6を示す
図1のP矢視図である。
図5(a)は角度保持機構7を示す拡大側面図、
図5(b)は
図5(a)のA-A断面図、
図6(a)は上端接続ガイドレール44の可動案内板441を示す拡大側面図、
図6(b)は
図6(a)のB-B断面図、
図6(c)は、中間接続ガイドレール45の可動案内板451を示す拡大側面図、
図6(d)は、中間接続ガイドレール45と交差する上側ガイドレール42の可動案内板453を示す拡大側面図、
図7(a)はレーキ5を示す拡大側面図、
図7(b)及び
図7(c)はベース3下部の拡大側面図である。
【0017】
図1から
図5に示すように、水路1には塵芥を捕集するためのスクリーン(バースクリーン)2が設置され、スクリーン2の下端が水路1の底面11に接して設置されている。スクリーン2は複数の板状の部材で構成され、水路1の幅方向に等間隔に取り付けられている。水路1の上面12には矩形枠状のベース3が設置されている。ベース3には、矩形枠状の枠体4が揺動軸31を中心として揺動自在に軸支されている。揺動軸31は、
図1の紙面に直交する方向に延びる水平軸であり、枠体4は
図1の紙面に平行な鉛直面内で揺動する。本発明の実施の形態である可搬式簡易除塵機100の枠体4はスクリーン2とは分離して形成されているが、枠体4とスクリーン2を一体的に形成してもよい。枠体4には、直角断面がコの字状の下側ガイドレール41、上側ガイドレール42、下端接続ガイドレール43、上端接続ガイドレール44、中間接続ガイドレール45により構成されるガイドレールが水路1の幅方向の両側に形成されている。
【0018】
下側ガイドレール41はスクリーン2に平行で、スクリーン2に近い側に配置されている。上側ガイドレール42は下側ガイドレール41に平行でスクリーン2から離れた側に配置されている。下側ガイドレール41はスクリーン2の下端近傍から枠体4の上端近傍まで直線状に形成されている。上側ガイドレール42は下側ガイドレール41の下端近傍から上端接続ガイドレール44までの高さまで直線状に形成されている。下端接続ガイドレール43が上側ガイドレール42の下端と下側ガイドレール41の下端を接続している。また、上端接続ガイドレール44が上側ガイドレール42の上端と下側ガイドレール41を接続している。また、中間接続ガイドレール45が上側ガイドレール42の中間部(
図1の水路高程度)と下側ガイドレール41の中間部(上側ガイドレール42の中間部より斜め上方)を接続している。そして、上端接続ガイドレール44及び中間接続ガイドレール45は、下側ガイドレール41と上側ガイドレール42に斜めに交差している。
【0019】
また、下端接続ガイドレール43は、下側ガイドレール41と上側ガイドレール42に内側が円弧状に、外側が二段階の直線的に変化してほぼ直角に交差している。従って、ガイドレールには、上端接続ガイドレール44、中間接続ガイドレール45、上側ガイドレール42、下端接続ガイドレール43、下側ガイドレール41により二重の環状部が形成されている。
図1から
図4、
図7(a)に示すように、下側ガイドレール41と上側ガイドレール42の間にはレーキ5が配置されている。レーキ5は、下側ガイドレール41と上側ガイドレール42に平行な2個の角パイプを溶接して矩形枠状に形成されている。レーキ5には水路1の幅方向に等間隔に複数の板状のレーキ爪51が取り付けられている。そして、可搬式簡易除塵機100が他の水路での使用を可能とするため、レーキ爪51がスクリーン2との干渉を防ぐために、レーキ5はレーキ爪51がスクリーン2の表面上を掻き揚げるように構成されている。
【0020】
レーキ5には水路1の幅方向の両側に上案内ローラ52と下案内ローラ53が回転可能に軸支されている。上案内ローラ52と下案内ローラ53は、下側ガイドレール41、上側ガイドレール42、下端接続ガイドレール43、上端接続ガイドレール44、中間接続ガイドレール45に案内されて転動し、レーキ5が円滑に移動する。
図1の状態は、可搬式簡易除塵機100を水路1に据え付けた状態を示し、レーキ5の下端がスクリーン2の下端に位置している。この状態では、下案内ローラ53は下側ガイドレール41側の下端となる下端接続ガイドレール43の下端に位置している。また、上案内ローラ52は上側ガイドレール42のレーキ5に関して下案内ローラ53に相対する位置となる場所に位置している。
【0021】
ベース3の左端上面には、ドラムウインチ6が設置され、回転ハンドル61で回転駆動される。ドラムウインチ6は原動機(図示せず)で回転駆動してもよい。2本のロープ63、63の左端(他端)がドラムウインチ6のドラム62に巻かれ、ロープ63、63の右端(一端)がレーキ5の上端に連結されている。枠体4の上端には、2個のプーリ64、64が回転可能に軸支され、ロープ63、63の中間部分を案内している。回転ハンドル61を回してロープ63、63をドラム62に巻き取ると、レーキ5が上に移動する。下案内ローラ53は下端接続ガイドレール43及び下側ガイドレール41に案内されて上に移動し、上案内ローラ52は上側ガイドレール42に案内されて上に移動する。すると、レーキ爪51はスクリーン2に平行に上に移動し、スクリーン2に捕集された塵芥を掻き揚げる。
図6(a)、(b)に示すように、上端接続ガイドレール44の上端と下側ガイドレール41の交差部には、可動案内板441が揺動軸442を中心として揺動自在に軸支されている。
【0022】
同様に
図6(c)に示すように、中間接続ガイドレール45と下側ガイドレール41の交差部には、可動案内板451が揺動軸452を中心として揺動自在に軸支されている。また
図6(d)に示すように、中間接続ガイドレール45と上側ガイドレール42の交差部には、可動案内板453が揺動軸454を中心として揺動自在に軸支されている。従って、上案内ローラ52は上側ガイドレール42に案内されて上に移動し、可動案内板453に案内されて更に上側ガイドレール42を上に移動する。そして、上案内ローラ52は上端接続ガイドレール44と可動案内板441に案内されて下側ガイドレール41に乗り移って上に移動する。下案内ローラ53が下側ガイドレール41に案内されて上に移動して中間接続ガイドレール45の可動案内板451に突き当たると、下案内ローラ53が可動案内板451を時計方向に揺動して押し上げ(
図6(c)の2点鎖線)、下案内ローラ53は下側ガイドレール41に案内されて更に上に移動する。レーキ5の上端が下側ガイドレール41の上端に移動(
図1に2点鎖線で示す)すると、水路1の上面12に塵芥が掻き揚げられ、掻き揚げが終了する。
【0023】
回転ハンドル61を回してロープ63、63をドラム62から送り出すと、レーキ5が下側ガイドレール41に案内されて下に移動する。上端接続ガイドレール44の可動案内板441は自重によって反時計方向に揺動して
図1、
図6(a)の実線位置に戻っている。また、中間接続ガイドレール45の可動案内板451も自重によって反時計方向に揺動して
図1、
図6(c)の実線位置に戻っている。下案内ローラ53は可動案内板451に案内されて中間接続ガイドレール45を通り、上側ガイドレール42の可動案内板453を反時計方向に揺動して押し上げ(
図6(d)の2点鎖線)上側ガイドレール42に乗り移って下へ移動する。そして、上側ガイドレール42、下端接続ガイドレール43を通って下側ガイドレール41側の下端となる下端接続ガイドレール43の下端に移動する。上案内ローラ52は上端接続ガイドレール44の可動案内板441に案内されて上端接続ガイドレール44を通り、上側ガイドレール42に乗り移って下へ移動し、自重によって時計方向に揺動して
図6(d)の実線位置に戻っている上側ガイドレール42の可動案内板453に案内されて、上側ガイドレール42を更に下へ移動して、上側ガイドレール42のレーキ5に関して下案内ローラ53に相対する位置に移動する。
【0024】
この結果、レーキ5は
図1の実線の掻き揚げ開始の状態に戻る。従って、上案内ローラ52及び下案内ローラ53が上側ガイドレール42に案内されて下へ移動するので、レーキ爪51はスクリーン2から離れて下降することができ、塵芥の噛み込みを防止することが可能となる。このような工程で、簡易可搬式除塵機100による塵芥の掻き揚げが実施されるが、本実施において中間接続ガイドレール45を用いることにより下側ガイドレール41の上端接続ガイドレール44の交差部からの上部の長さを単純に
図7(a)に示すレーキ芯高Rの量だけ短くできる。その理由は、中間接続ガイドレール45が無い場合は、レーキ5の降下時には下案内ローラ53を上端接続ガイドレール44から上側ガイドレール42へ案内しなければならないため、下側ガイドレール41に上端接続ガイドレール44の交差部から上部にレーキ芯高Rの量だけのレーキ5の降下用の余裕代が必要となるためである。
【0025】
中間接続ガイドレール45を用いることで、下案内ローラ53を下側ガイドレール41の中間部から上側ガイドレール42の中間部(
図1の水路高程度)に案内すれば、レーキ爪51の塵芥の噛み込みを防止して、上側ガイドレール42を下へ移動できる。従って、レーキ5の降下用の余裕代(レーキ芯高R)が不要となり、下側ガイドレール41の全長を短くすることができ、可搬式簡易除塵機100の全体の大きさ(全長)も小さく(短く)することが可能となる。すなわち、中間接続ガイドレール45を用いることにより、レーキ5の降下用の余裕代(レーキ芯高R)を不要にすることで、レーキ芯高Rが大きくなっても、下側ガイドレール41の全長に及ぼす影響を小さくでき、これにより可搬式簡易除塵機100の大きさ(全長)による移送の制限も緩和できるため、効果は非常に大きい。
【0026】
ベース3には枠体4を所定角度に保持して固定する角度保持機構7が取り付けられている。
図5(a)は、角度保持機構7を示す拡大側面図、
図5(b)は
図5(a)のA-A断面図である。すなわち、
図1、
図5(a)、
図5(b)に示すように、ベース3には揺動軸31の軸心を中心とする円弧板71が固定されている。円弧板71は
図1、
図5(a)の紙面に平行な鉛直面内に形成されている。円弧板71には、揺動軸31の軸心を中心とする等角度間隔に位置決め孔72が複数形成されている。枠体4には、ピン支持板73と受け部74が形成されている。ピン支持板73は
図5(a)で見て円弧板71の手前側、受け部74は
図5(a)で見て円弧板71の奥側に形成され、円弧板71を挟み込んでいる。従って、円弧板71は揺動軸31の軸心を中心とする枠体4の揺動を案内している。ピン支持板73には角度保持用ピン75が
図5(b)の左右方向(揺動軸31の軸心に平行)に移動可能に支持され、圧縮バネ76によって
図5(b)の右方向に付勢されている。角度保持用ピン75は、円弧板71の位置決め孔72を通して受け部74の位置決め孔77に挿入され、枠体4を所定角度に保持して固定する。
【0027】
本発明の可搬式簡易除塵機100を他の水路に移設する手順は下記の通りである。
図1に示すように、下側ガイドレール41の上端部には、レーキ5の移動を止めるためのストッパー46が配置されている。すなわち、ドラムウインチ6の回転ハンドル61を回してロープ63、63をドラム62に巻き取ると、レーキ5が上に移動し、レーキ5の上端が下側ガイドレール41の上端に移動する。レーキ5の上端がストッパー46に当接するとレーキ5の移動が停止する。枠体4を水路1の上面12に引き上げるためには、角度保持用ピン75を手で引っ張り、受け部74の位置決め孔77から角度保持用ピン75を抜き出す。回転ハンドル61を更に回してロープ63、63をドラム62に巻き取ると、枠体4が揺動軸31を中心として
図1の反時計方向に揺動する。枠体4の上部には、カウンターウェイト47、47が取り付けられているので、小さな力で回転ハンドル61を操作することが可能となる。
【0028】
図9に示すように、枠体4を水路1の上面12に引き上げた後、角度保持用ピン75を円弧板71の位置決め孔72を通して受け部74の位置決め孔77に挿入し、枠体4を
図9の角度位置に保持して固定する。枠体4はスクリーン2とは分離して形成されているので、スクリーン2は水路1に残してそのまま使用可能となる。枠体4とスクリーン2を一体的に形成すれば、枠体4とスクリーン2を水路1の上面12に同時に引き上げることが可能となる。ベース3は、
図7(c)に示すベース3の四隅にある高さ調整ボルト36の回転により高さを調整できる支持脚35を伸ばして、水平に支持された状態で
図1に示す据え付け位置に設置されている。次に、高さ調整ボルト36を左回転して支持脚35を縮めることにより、支持脚35によるベース3の水平支持を解除する。次に、ベース3の右端に延長ベース32を取り付け、枠体4の右端下面を延長ベース32上に載せる。
図9、
図7(b)に示すように、ベース3及び延長ベース32には車輪33が取り付けられ、ベース3及び延長ベース32を移動可能にしている。また、ベース3には車輪33を不作動とする固定ボルト(位置固定部材)34が取り付けられている。
【0029】
固定ボルト34を右回転して固定ボルト34の先端を水路1の上面12に押し付けると、車輪33が不作動になるので、ベース3が
図1に示す据え付け位置に移動停止の状態になっている。尚、固定ボルト34を左回転して固定ボルト34の先端を水路1の上面12から離すと、車輪33が回転可能になるので、ベース3及び延長ベース32が移動可能となるので、据え付け時にはベース3及び延長ベース32の設置位置を調整することが容易となる。次に、枠体4を
図9の角度位置に固定した後、
図10に示すように、本発明の可搬式簡易除塵機100をクレーン等を利用してトラック13に積み込み、他の水路に移送する。そして、積み込み迄の逆の手順で、可搬式簡易除塵機100を他の水路の所定の据え付け位置に設置する。従って、このような手順により可搬式簡易除塵機100を他の水路に移設することが容易になる。
【0030】
図8は延長用のアタッチメント48を追加してレーキ5の掻揚範囲を延長できるガイドレールを示す説明図である。ここで、ガイドレールの各寸法は、
図8(a)に示す構成からなる。尚、ガイドレールの全長Lは以下の各要素からなる。
L=S1+S2+S3+S4
ここで S1:レーキの掻揚範囲
S2:レーキ掻揚姿勢保持長(=R×cosθ2)
S3:接続長(上端接続ガイドレール44)
S4:余裕代(上案内ローラ52の径程度)
R:レーキ芯高(
図7(a)を参照)
B:下側ガイドレール41と上側ガイドレール42との芯間
(
図7(a)及び
図8(a)を参照)
θ2:レーキ傾斜角(=sin-1(B/R)
図7(a)を参照)
となりS2、S3、S4は可搬式簡易除塵機100の固有の寸法値であるので、レーキ5の掻揚範囲(S1=L-(S2+S3+S4))が可搬式簡易除塵機100の固有値となる。
【0031】
水路の高さに対して、可搬式簡易除塵機100が掻揚可能か否かは、
S1≧(H1+H2)/sinθ1
ここで
図1において
H1:水路高
H2:余裕代
θ1:スクリーン傾斜角
であれば、掻揚可能となるが、
S1<(H1+H2)/sinθ1
となれば、掻揚範囲が不足し延長用のアタッチメント48が必要となる。
【0032】
図8(a)に示すように、本発明の可搬式簡易除塵機100は、下端接続ガイドレール43が上側ガイドレール42の右端、下側ガイドレール41の右端にボルトによって着脱可能に取り付けられている。
図8(a)のガイドレールにおけるレーキ5の掻揚範囲S1よりも水路1の高さH1及び余裕代H2を含めた値(H1+H2)/sinθ1が大きい場合には、ボルトを外して下端接続ガイドレール43を上側ガイドレール42の右端、下側ガイドレール41の右端から取り外す。次に
図8(b)に示すように、必要な長さの延長用のアタッチメント48を下端接続ガイドレール43と上側ガイドレール42の右端、下側ガイドレール41の右端の間に差し込む。次に
図8(c)に示すように、延長用のアタッチメント48の左端と上側ガイドレール42の右端、下側ガイドレール41の右端をボルトで固定し、延長用のアタッチメント48の右端と下端接続ガイドレール43の左端をボルトで固定すれば、水路の高さに応じてガイドレールにおけるレーキ5の掻揚範囲を延長することが可能となる。
【0033】
以上が
図1のようにレーキ5の下端がスクリーン2の下端に位置した状態から塵芥を掻き揚げることを実施するための方法である。尚、水路1の高さH1及び余裕代H2を含めた値(H1+H2)/sinθ1よりレーキ5の掻揚範囲が小さい場合に必ず延長用のアタッチメント48を追加しなければ、除塵機の運用ができないということは無い。水路の状況(水路の水深)により、水路1の底面11付近からの塵芥の掻き揚げが必要ない場合、すなわち、常時水深により水路1の底面11付近に塵芥が存在せず、スクリーン2の途中に塵芥が存在する場合には、塵芥が存在する高さより低い位置から掻き揚げを実施すれば良い。その場合には、水路1の高さH1及び余裕代H2を含めた値(H1+H2)/sinθ1よりレーキ5の掻揚範囲が小さくても、塵芥が存在する高さより低い位置から掻き揚げが可能ならば、上記のように延長用のアタッチメント48を追加しなくても塵芥の掻き揚げは可能であるため、除塵機の運用は実施できる。
【0034】
〔可搬式簡易除塵機の第2の実施の形態〕
上記第1の実施の形態の可搬式簡易除塵機100では、可搬式簡易除塵機100を他の水路に移設するために、枠体4を水路1の上面12に引き上げた後、ベース3の右端に延長ベース32を取り付け、枠体4の右端下面を延長ベース32の横桁(除塵機の受枠)上に載せるようにしている。しかし、この方法では、可搬式簡易除塵機100を移設後に、取り外した延長ベース32の保管場所が問題となる。第2の実施の形態の可搬式簡易除塵機100では、延長ベースをベースに対して移動可能に設置して、延長ベースをベースに格納した状態で、除塵機を水路1に設置して使用し、延長ベースをベースから引き出した状態で、枠体4の右端下面を延長ベース上に載せて移設するようにしている。
【0035】
図11は本発明の第2の実施の形態の可搬式簡易除塵機のベース3Aと延長ベース32Aを示し、延長ベース32Aをベース3Aから引き出した状態を示す平面図、
図12(a)は
図11で延長ベース32Aをベース3Aに格納した状態を示す平面図であり、
図12(b)は
図12(a)のC-C断面図である。
図13(a)は、
図11のベース3A単体を示す平面図であり、
図13(b)は
図13(a)のQ矢視図、
図13(C)は
図13(a)のD-D断面図である。
図14(a)は
図11の延長ベース32A単体を示す平面図であり、
図14(b)は
図14(a)のR矢視図、
図14(C)は
図14(a)のE-E断面図である。
図15(a)は
図13の揺動式ストッパ86を示す正面図であり、
図15(b)は
図15(a)のS矢視図である。
図11、
図12に示すように、第2の実施の形態の延長ベース32Aは、
図11で見て上下方向の幅がベース3Aよりも狭く形成され、ベース3Aの内側に
図11で見て左右方向に移動可能に設けられている。ベース3Aは、
図11で見て左右方向に延びる2本の縦桁811A、811Bと上下方向に延びる1本の横桁812でコの字状に形成されている。同様に、延長ベース32Aは、
図11で見て左右方向に延びる2本の縦桁821A、821Bと上下方向に延びる1本の横桁822でコの字状に形成されている。延長ベース32Aをベース3Aに対して円滑に移動可能に案内するために、ベース3Aの縦桁811A、811Bには、各々4個の案内板813が固定されている。尚、案内するために、案内板813の代わりに付図示のガイドローラを使用しても良い。ベース3A及び延長ベース32Aには第1の実施の形態と同様に車輪33が取り付けられ、ベース3A及び延長ベース32Aを移動可能にしている。また、図示はしないが、ベース3A、延長ベース32Aには第1の実施の形態の固定ボルト34、支持脚35が取り付けられている。
【0036】
図14に示すように、延長ベース32Aの右端には、断面がL字型の除塵機の受枠83が揺動可能に設けられている。延長ベース32Aの上側の縦桁821Aには支持台831が固定され、支持台831の支持軸832に除塵機の受枠83が揺動可能に設けられている。延長ベース32Aの下側の縦桁821Bには支持台833が固定されている。延長ベース32Aをベース3Aから引き出した状態で、
図14の実線位置に示すように、除塵機の受枠83を反時計方向に90度揺動すると、ストッパ834に除塵機の受枠83が当接して停止する。次に、ボルト835を締め付けて除塵機の受枠83を支持台833に固定する。この状態で水路1の上面12に引き上げた枠体4の右端下面を除塵機の受枠83上に載せて移送する。枠体4を水路1に降ろしたり、水路1の上面12に引き上げる時には、除塵機の受枠83を時計方向に90度揺動する。延長ベース32Aの上側の縦桁821Aには格納台836が固定されているので、ピン837を除塵機の受枠83に挿入して除塵機の受枠83を格納台836に固定する。これにより、
図12に示すように、延長ベース32Aをベース3Aに格納することが出来るので、延長ベース32Aの保管場所の問題が解消される。
【0037】
図13に示すように、ベース3Aには、その左端側と右端側に、縦桁811A、811Bを連結する連結部材84、85が固定されている。連結部材84、85はほぼ同一形状である。左端側の連結部材84は下面の2個の座板841、841、2本の連結ビーム842、843、上面の2個の駆動装置ベース844、844が溶接して一体に形成されている。同様に、右端側の連結部材85は下面の2個の座板851、851、2本の連結ビーム852、853、上面の2個の揺動軸ベース854、854が溶接して一体に形成されている。連結部材84の座板841、841が各々2本のボルト845で縦桁811A、811Bに固定されている。同様に、連結部材85の座板851、851が各々2本のボルト855で縦桁811A、811Bに固定されている。
【0038】
延長ベース32Aをベース3Aに格納した状態及び延長ベース32Aをベース3Aから引き出した状態で、延長ベース32Aをベース3Aに固定することが出来る。具体的には、連結部材85の連結ビーム852、853の下面に、座板851、851と同一厚さのライナー856、856を挿入し、このライナー856、856を介してボルト857、857で延長ベース32Aをベース3A(連結ビーム852、853)に固定する。ボルト857、857で延長ベース32Aの縦桁821A、821Bをボルト固定する為に、
図11、
図12に示すように、延長ベース32Aの縦桁821A、821Bには、その左端側と右端側に各々2個のボルト孔823、823が形成されている。
【0039】
図13、
図15に示すように、延長ベース32Aをベース3Aから引き出した時に、延長ベース32Aを所定の位置に停止させるための揺動式ストッパ86が右端側の連結部材85に設けられている。具体的には、連結部材85の連結ビーム852の上面には、架台861がボルト862で固定され、架台861に固定された円柱状の支持軸863にストッパ864が揺動可能に軸支されている。そしてストッパ864は自重により反時計方向に揺動して、連結ビーム852に当接して垂直位置に停止している。その結果、延長ベース32Aをベース3Aから引き出すと延長ベース32Aの横桁822がストッパ864に当接するため、延長ベース32Aを所定の位置に停止させることが出来る。尚、最初に延長ベース32Aをベース3Aに組込む時には、
図15(b)の2点鎖線に示すように、延長ベース32Aの横桁822に押されてストッパ864が時計方向に揺動する。その結果、延長ベース32Aの横桁822はストッパ864を通過するため、延長ベース32Aをベース3Aに組込むことが出来る。
【0040】
そして、延長ベース32Aの横桁822がストッパ864を通過後、ストッパ864は自重により反時計方向に揺動して、連結ビーム852に当接して垂直位置に停止し、延長ベース32Aの引き出しに備えることになる。このように、延長ベース32Aをベース3Aに格納でき、また延長ベース32Aをベース3Aから引き出しができる。そして、通常は延長ベース32Aをベース3Aに格納した状態で除塵機を稼働する。尚、本実施の形態では延長ベース32Aの除塵機の受枠83を揺動可能に設けているので、枠体4を水路1に降ろしたり、水路1の上面12に引き上げる時には、除塵機の受枠83を時計方向に90度揺動する。これにより枠体4の右端は、除塵機の受枠83に干渉しないため、枠体4を水路1に降ろしたり、水路1の上面12に引き上げることが可能となる。すなわち、延長ベース32Aをベース3Aに格納しなくても延長ベース32Aの除塵機の受枠83が除塵機の枠体4の障害物とならないため、延長ベース32Aをベース3Aに固定した状態でも除塵機の稼働が可能となる。これにより除塵機を支持する支間が「ベース3A」から「ベース3A+延長ベース32A」と拡大できるため、ベース3Aと延長ベース32Aを連結することにより、除塵機の稼働時及び/又は移設時の除塵機の姿勢(状態)をベース3Aのみの使用に比べ、格段に安定した姿勢(状態)に保持することが出来る。
【0041】
〔可搬式簡易除塵機の第3の実施の形態〕
図16(a)は、本発明の第3の実施の形態の可搬式簡易除塵機のベース3Bと延長ベース32Bを示す平面図であり、
図16(b)は
図16(a)のT矢視図、
図16(C)は
図16(a)のU矢視図である。
図16(a)、(b)、(c)に示すように、第3の実施の形態の延長ベース32Bは、ベース3Bに固定したままで使用できるようにした例である。ベース3Bは、
図16(a)で見て左右方向に延びる2本の縦桁871A、871Bを有している。同様に、延長ベース32Bは、
図16(a)で見て左右方向に延びる2本の縦桁872A、872Bと、縦桁872A、872Bの右端に固定された上下方向に延びる1本の横桁873でコの字状に形成されている。縦桁871A、871Bと縦桁872A、872Bは継ぎ板874、874で連結されている。
【0042】
縦桁872A、872Bの上面には横桁873の左側に除塵機の受枠875が
図16(a)で見て左右方向に移動可能に載置されている。縦桁872A、872Bの右端上面には、L字型の調整台876、876が各々溶接で固定されている。調整台876、876と除塵機の受枠875との間には、調整ボルト877、877が回転可能に挿入されている。調整台876、876を挟み込む2個のナット878、878に調整ボルト877、877がねじ込まれている。調整ボルト877、877を回転することにより、除塵機の受枠875が
図16(a)で見て左右方向に移動する。縦桁872A、872Bには、除塵機の受枠875と調整台876、876の間に、
図16(a)で見て左右方向に長い長孔879、879が形成されている。
図16(a)で見て除塵機の受枠875の上下両端のボルト8791、8791の下端が長孔879、879に挿入されて、除塵機の受枠875の左右方向の移動を円滑に案内する。除塵機の受枠875が
図16(a)で見て実線の位置で、水路1の上面12に引き上げた枠体4の右端下面を除塵機の受枠875上に載せて移送する。
【0043】
枠体4を水路1に降ろしたり、水路1の上面12に引き上げる時には、調整ボルト877、877を回転し、除塵機の受枠875を
図16(a)の2点鎖線に示すように、右方向に移動する。これにより、枠体4の右端は除塵機の受枠875に干渉しないため、枠体4を水路1に降ろしたり、水路1の上面12に引き上げることが可能となる。すなわち、除塵機の受枠875が左右方向に移動可能であるため、延長ベース32Bの除塵機の受枠875が除塵機の枠体4の障害物とならないため、延長ベース32Bをベース3Bに固定した状態でも移設が可能となる。これにより、延長ベース32Bの保管場所の問題が解消される。また、除塵機の受枠875が左右方向に移動可能であるため、延長ベース32Bの除塵機の受枠875が除塵機の枠体4の障害物とならないため、延長ベース32Bをベース3Bに固定した状態でも除塵機の稼働が可能となる。これにより除塵機を支持する支間が従来の「ベース3B」から「ベース3B+延長ベース32B」に拡大できるため、ベース3Bと延長ベース32Bを連結することにより、除塵機の稼働時及び/又は移設時の除塵機の姿勢(状態)をベース3Bのみの使用に比べ、格段に安定した姿勢(状態)に保持することが出来る。
【0044】
〔可搬式簡易除塵機の第4の実施の形態〕
図17(a)は、本発明の第4の実施の形態の可搬式簡易除塵機のベース3Cと延長ベース32Cを示す平面図であり、
図17(b)は
図17(a)のV矢視図、
図17(C)は
図17(a)のW矢視図である。第4の実施の形態は第3の実施の形態と同様に延長ベース32Cを、ベース3Cに固定したままで使用できるようにした例である。ベース3Cの縦桁881A、881Bと延長ベース32Cの縦桁882A、882Bは継ぎ板884、884で連結されている。縦桁882A、882Bの上面には横桁883の左側に除塵機の受枠885が揺動可能に設けられている。具体的には、上側の縦桁882Aの支持軸886に除塵機の受枠885が揺動可能に設けられている。
図17(a)の実線で示すように、除塵機の受枠885を支持軸886を中心にして反時計方向に90度揺動してストッパ889に当接させた後、ボルト887を締め付けて除塵機の受枠885を下側の縦桁882Bに固定する。
【0045】
除塵機の受枠885が
図17(a)で見て実線の位置で、水路1の上面12に引き上げた枠体4の右端下面を除塵機の受枠885上に載せて移送する。枠体4を水路1に降ろしたり、水路1の上面12に引き上げる時には、ボルト887を外した後、除塵機の受枠885を
図17(a)の2点鎖線に示すように、時計方向に90度揺動し、ピン888で上側の縦桁882Aに固定する。これにより、枠体4の右端は除塵機の受枠885に干渉しないため、枠体4を水路1に降ろしたり、水路1の上面12に引き上げることが可能となる。すなわち、除塵機の受枠885が揺動可能であるため、延長ベース32Cの除塵機の受枠885が除塵機の枠体4の障害物とならないため、延長ベース32Cをベース3Cに固定した状態でも移設が可能となる。これにより、延長ベース32Cの保管場所の問題が解消される。また、除塵機の受枠885が揺動可能であるため、延長ベース32Cの除塵機の受枠885が除塵機の枠体4の障害物とならないため、延長ベース32Cをベース3Cに固定した状態でも除塵機の稼働が可能となる。これにより除塵機を支持する支間が従来の「ベース3C」から「ベース3C+延長ベース32C」に拡大できるため、ベース3Cと延長ベース32Cを連結することにより、除塵機の稼働時及び/又は移設時の除塵機の姿勢(状態)をベース3Cのみの使用に比べ、格段に安定した姿勢(状態)に保持することが出来る。
【0046】
本発明の実施の形態である可搬式簡易除塵機は、スクリーン上の塵芥を掻き揚げるレーキの移動と除塵機の引き上げを一つの駆動装置で行うため、駆動装置の機械構成が簡略化でき、経済的でかつ重量が軽くなるため、移設が容易となる。又、本発明の可搬式簡易除塵機は、車輪を備えた移動可能なベース上に取り付けられているので、分解組立作業が不要で、除塵機の撤去が容易で、他の水路又は他の河川に移設が容易となる。更に、本発明の可搬式簡易除塵機は、ガイドレールが追加設置してレーキの掻揚範囲を延長できるアタッチメントを有するので、一基の可搬式簡易除塵機で複数の水路又は複数の河川で使用することが可能になる。更に、本発明の可搬式簡易除塵機は、一基の可搬式簡易除塵機をスクリーン一体型、又はスクリーン分離型とすることにより、複数の水路又は複数の河川で用途に応じた使用が可能になる。更に、本発明の可搬式簡易除塵機は、ベースに可搬式簡易除塵機の稼働時及び/又は移設時に使用する延長ベースが取付けられているので、可搬式簡易除塵機の姿勢(状態)をベースのみの使用に比べ、格段に安定した姿勢(状態)に保持することが容易となる。
【符号の説明】
【0047】
100…可搬式簡易除塵機
1…水路
11…底面
12…上面
13…トラック
2…スクリーン
3、3A、3B、3C…ベース
31…揺動軸
32、32A、32B、32C…延長ベース
33…車輪
34…固定ボルト(位置固定部材)
35…支持脚
36…高さ調整ボルト
4…枠体
41…下側ガイドレール
42…上側ガイドレール
43…下端接続ガイドレール
44…上端接続ガイドレール
441…可動案内板
442…揺動軸
45…中間接続ガイドレール
451…可動案内板
452…揺動軸
453…可動案内板
454…揺動軸
46…ストッパー
47…カウンターウェイト
48…延長用のアタッチメント
5…レーキ
51…レーキ爪
52…上案内ローラ
53…下案内ローラ
6…ドラムウインチ
61…回転ハンドル
62…ドラム
63…ロープ
64…プーリ
7…角度保持機構
71…円弧板
72…位置決め孔
73…ピン支持板
74…受け部
75…角度保持用ピン
76…圧縮バネ
77…位置決め孔
811A、811B…縦桁
812…横桁
813…案内板
821A、821B…縦桁
822…横桁
823…ボルト孔
83…除塵機の受枠
831…支持台
832…支持軸
833…支持台
834…ストッパ
835…ボルト
836…格納台
837…ピン
84、85…連結部材
841…座板
842、843…連結ビーム
844…駆動装置ベース
845…ボルト
851…座板
852、853…連結ビーム
854…揺動軸ベース
855…ボルト
856…ライナー
857…ボルト
86…揺動式ストッパ
861…架台
862…ボルト
863…支持軸
864…ストッパ
871A、871B…縦桁
872A、872B…縦桁
873…横桁
874…継ぎ板
875…除塵機の受枠
876…調整台
877…調整ボルト
878…ナット
879…長孔
8791…ボルト
881A、881B…縦桁
882A、882B…縦桁
883…横桁
884…継ぎ板
885…除塵機の受枠
886…支持軸
887…ボルト
888…ピン
889…ストッパ