(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084716
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】近距離無線通信アンテナ
(51)【国際特許分類】
H01Q 7/00 20060101AFI20240618BHJP
H01Q 1/12 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
H01Q7/00
H01Q1/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023208167
(22)【出願日】2023-12-11
(31)【優先権主張番号】18/079932
(32)【優先日】2022-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】503473149
【氏名又は名称】タイコ エレクトロニクス アンプ コリア カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Tyco Electronics AMP Korea Co.,Ltd
(71)【出願人】
【識別番号】518345815
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ソリューソンズ ゲーエムベーハー
(71)【出願人】
【識別番号】516036191
【氏名又は名称】タイコ エレクトロニクス ホールディングス(バミューダ)ナンバー7 リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(74)【代理人】
【識別番号】100229736
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 剛
(72)【発明者】
【氏名】ジョンフン キム
(72)【発明者】
【氏名】キラン ヴァンジャニ
(72)【発明者】
【氏名】クェイ シュー シアン
(72)【発明者】
【氏名】チャン ヒョン リ
(72)【発明者】
【氏名】ホ シン
【テーマコード(参考)】
5J047
【Fターム(参考)】
5J047AA07
5J047AB11
5J047BG08
5J047BG10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】近距離無線通信(NFC)用のタグはサイズおよび形状の制約を有することがあり、サイズを小さくすることが望まれている。
【解決手段】近距離無線通信(NFC)アンテナ110は、ベース134とベースから延びる支持リング136とを有するキャリア130を備える。支持リングは中央孔132を囲む。中央孔は、キャリアの上部135とキャリアの下部133との間でキャリアを通って開口している。NFCアンテナはまた、キャリアに結合されたアンテナ要素160を備える。アンテナ要素は、円筒形コイル164として配置された導体162を含む。円筒形コイルは、支持リングに沿って延び、中央孔を囲む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近距離無線通信(NFC)アンテナであって、
ベースと前記ベースから延びる支持リングとを有するキャリアであって、前記支持リングは中央孔を囲み、前記中央孔は、前記キャリアの上部と前記キャリアの下部との間で前記キャリアを通って開口している、キャリアと、
前記キャリアに結合されたアンテナ要素であって、前記アンテナ要素は、円筒形コイルとして配置された導体を含み、前記円筒形コイルは、前記支持リングに沿って延び、前記中央孔を囲む、アンテナ要素と
を備える、NFCアンテナ。
【請求項2】
前記円筒形コイルは、前記ベース上で前記支持リングに沿って垂直に延びる、請求項1に記載のNFCアンテナ。
【請求項3】
前記円筒形コイルは、前記ベース上に垂直に積み重ねられた複数の層を含む、請求項1に記載のNFCアンテナ。
【請求項4】
前記導体は、前記中央孔の周りに螺旋状に巻き付けられて、前記円筒形コイルを形成する、請求項1に記載のNFCアンテナ。
【請求項5】
前記導体は、前記円筒形コイルにおいて垂直に積み重ねられた複数の螺旋巻線と、前記円筒形コイルにおいて水平に積み重ねられた複数の渦巻き巻線とを含む、請求項1に記載のNFCアンテナ。
【請求項6】
前記円筒形コイルは、コイル下部とコイル上部との間に延び、前記円筒形コイルは、前記コイル下部と前記コイル上部との間に複数の螺旋コイル層を含み、前記円筒形コイルは、前記コイル上部に複数の渦巻きコイル層を含む、請求項1に記載のNFCアンテナ。
【請求項7】
前記円筒形コイルは、互いに垂直にずれた下部コイルと上部コイルとを含むように巻かれ、前記円筒形コイルは、互いに水平にずれた内側コイルと外側コイルとを含むように巻かれている、請求項1に記載のNFCアンテナ。
【請求項8】
前記支持リングは、前記ベースの上面と前記支持リングの上縁部との間の支持リング高さを有し、前記円筒形コイルは、前記円筒形コイルの下部コイルと上部コイルとの間のコイル高さを有し、前記コイル高さは前記支持リング高さに略等しい、請求項1に記載のNFCアンテナ。
【請求項9】
前記導体は、前記中央孔の周りに巻き付けられて前記円筒形コイルを形成する被覆ワイヤである、請求項1に記載のNFCアンテナ。
【請求項10】
前記導体は、レーザ直接構造化(LDS)基板に形成されたLDS回路であり、前記LDS基板は、前記LDS回路を前記中央孔の周りに巻き付けるように前記支持リングに結合されている、請求項1に記載のNFCアンテナ。
【請求項11】
前記導体は前記支持リングの外面に沿って延びる、請求項1に記載のNFCアンテナ。
【請求項12】
前記導体は前記支持リングの内面に沿って延びる、請求項1に記載のNFCアンテナ。
【請求項13】
前記支持リングはポケットを含み、前記導体は前記ポケットに受け入れられている、請求項1に記載のNFCアンテナ。
【請求項14】
前記円筒形コイルは前記支持リングに接着されている、請求項1に記載のNFCアンテナ。
【請求項15】
前記支持リングの上縁部に結合されたカバーをさらに備え、前記カバーは前記中央孔を覆い、前記カバーは前記キャリアから取外し可能である、請求項1に記載のNFCアンテナ。
【請求項16】
近距離無線通信(NFC)アンテナであって、
ベースと前記ベースから延びる支持リングとを有するキャリアであって、前記支持リングは中央孔を囲み、前記中央孔は、前記キャリアの上部と前記キャリアの下部との間で前記キャリアを通って開口している、キャリアと、
前記キャリアに結合されたアンテナ要素であって、前記アンテナ要素は、導体を画定するワイヤを含み、前記ワイヤは、前記ベース上に垂直に積み重ねられた複数の層を有する円筒形コイルとなるように巻かれ、前記円筒形コイルは、前記支持リングに沿って延び、前記中央孔を囲む、アンテナ要素と
を備える、NFCアンテナ。
【請求項17】
前記導体は、前記円筒形コイルにおいて垂直に積み重ねられた複数の螺旋巻線と、前記円筒形コイルにおいて水平に積み重ねられた複数の渦巻き巻線とを含む、請求項16に記載のNFCアンテナ。
【請求項18】
前記円筒形コイルは、コイル下部とコイル上部との間に延び、前記円筒形コイルは、前記コイル下部と前記コイル上部との間に複数の螺旋コイル層を含み、前記円筒形コイルは、前記コイル上部に複数の渦巻きコイル層を含む、請求項16に記載のNFCアンテナ。
【請求項19】
前記円筒形コイルは、互いに垂直にずれた下部コイルと上部コイルとを含むように巻かれ、前記円筒形コイルは、互いに水平にずれた内側コイルと外側コイルとを含むように巻かれている、請求項16に記載のNFCアンテナ。
【請求項20】
近距離無線通信(NFC)アンテナであって、
ベースと前記ベースから上縁部へ延びる支持リングとを有するキャリアであって、前記支持リングは中央孔を囲み、前記中央孔は、前記キャリアの上部と前記キャリアの下部との間で前記キャリアを通って開口している、キャリアと、
前記キャリアに結合されたアンテナ要素であって、前記アンテナ要素は、円筒形コイルとして配置された導体を含み、前記円筒形コイルは、前記支持リングに沿って延び、前記中央孔を囲む、アンテナ要素と、
前記支持リングの前記上縁部に結合されたカバーであって、前記カバーは前記中央孔を覆い、前記カバーは、前記キャリアから取外し可能である、カバーと
を備える、NFCアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の主題は、一般に、近距離無線通信(NFC)アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
NFC技術は、短距離無線通信技術である。NFC技術が開発されるにつれて、NFCデバイスが、モバイルデバイスにおいて、より一般的に使用されている。NFC技術は、電子デバイス間の非接触データ交換を可能にする。NFC技術を使用するシステムは、1つのデバイスにNFCタグを含み、別のデバイスにNFCリーダを含むことがある。NFCタグは、サイズおよび形状の制約を有することがある。小型フォームファクタのNFCタグ内に収まるように、NFCアンテナのサイズを小さくすることが望まれている。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態において、近距離無線通信(NFC)アンテナが提供され、NFCアンテナは、ベースとベースから延びる支持リングとを有するキャリアを備える。支持リングは中央孔を囲む。中央孔は、キャリアの上部とキャリアの下部との間でキャリアを通って開口している。NFCアンテナは、キャリアに結合されたアンテナ要素を備える。アンテナ要素は、円筒形コイルとして配置された導体を含む。円筒形コイルは、支持リングに沿って延び、中央孔を囲む。
【0004】
別の実施形態において、近距離無線通信(NFC)アンテナが提供され、NFCアンテナは、ベースとベースから延びる支持リングとを有するキャリアを備える。支持リングは中央孔を囲む。中央孔は、キャリアの上部とキャリアの下部との間でキャリアを通って開口している。NFCアンテナは、キャリアに結合されたアンテナ要素を備える。アンテナ要素は、導体を画定するワイヤを含む。ワイヤは、ベース上に垂直に積み重ねられた複数の層を有する円筒形コイルとなるように巻かれている。円筒形コイルは、支持リングに沿って延び、中央孔を囲む。
【0005】
さらなる実施形態において、近距離無線通信(NFC)アンテナが提供され、NFCアンテナは、ベースとベースから上縁部へ延びる支持リングとを有するキャリアを備える。支持リングは中央孔を囲む。中央孔は、キャリアの上部とキャリアの下部との間でキャリアを通って開口している。NFCアンテナは、キャリアに結合されたアンテナ要素を備える。アンテナ要素は、円筒形コイルとして配置された導体を含む。円筒形コイルは、支持リングに沿って延び、中央孔を囲む。NFCアンテナは、支持リングの上縁部に結合されたカバーを備える。カバーは中央孔を覆う。カバーは、キャリアから取外し可能である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】例示的な実施形態による通信システムの概略図である。
【
図2】例示的な実施形態による、第1の電気デバイス(
図1に示す)のNFCアンテナの斜視図である。
【
図3】例示的な実施形態によるNFCアンテナの分解図である。
【
図4】例示的な実施形態によるNFCアンテナの底面図である。
【
図5】例示的な実施形態によるNFCアンテナの後面図である。
【
図6】例示的な実施形態によるNFCアンテナの側面図である。
【
図7】例示的な実施形態によるNFCアンテナの断面図である。
【
図8】例示的な実施形態によるNFCアンテナの断面図である。
【
図9】例示的な実施形態によるNFCアンテナの断面図である。
【
図10】例示的な実施形態による、第1の電気デバイス(
図1に示す)のNFCアンテナの斜視図である。
【
図11】例示的な実施形態による、第1の電気デバイス(
図1に示す)のNFCアンテナの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、例示的な実施形態による通信システム100の概略図である。通信システム100は、第1の電気デバイス102と第2の電気デバイス104との間の無線通信を提供する。例示的な実施形態において、通信システム100は近距離無線通信(NFC)システムである。
【0008】
様々な実施形態において、通信システム100は、短距離無線技術を使用して、約20cm以下、例えば約10cm以下の分離距離の通信を可能にする。例示的な実施形態において、通信システムは、ISO/IEC18000-3エアインターフェースの13.56MHzで、106kbit/s~424kbit/sの速度で動作する。
【0009】
例示的な実施形態において、第1の電気デバイス102はイニシエータまたはリーダであり、第2の電気デバイス104はターゲットである。第1の電気デバイス102は、RF磁場を発生するNFCアンテナ110を含み、このRF磁場により第2の電気デバイス104に電力を供給することができる。NFCアンテナ110は、ホスト回路基板122に接続されている。第1の電気デバイス102(例えば、リーダまたはイニシエータ)は、キャリア場(carrier field)を提供することができ、第2の電気デバイス104(例えば、ターゲット)は、NFCアンテナ110と通信するNFCアンテナ120を含む。例えば、第2の電気デバイス104は、トランスポンダとして作用し、入射場(incident field)を変調することによって通信することができる。
第2の電気デバイス104は、その動作電力を、第1の電気デバイス102によって提供される磁場から引き出すことができる。第2の電気デバイス104は、マイクロコントローラ122を含むことができる。他の様々な実施形態において、第2の電気デバイス104は、ピアツーピア通信を可能にする動力デバイスであってよい。例えば、第1の電気デバイス102および第2の電気デバイス104の両方が、それ自体の磁場を交互に発生させることによって通信し、互いにデータを受信するように構成されている。
【0010】
第2の電気デバイス104は、無給電タグ、ステッカ、キーフォブ、またはカードなどの単純な形態であってよい。代替実施形態において、スマートフォン、タブレット、コンピュータなどの他のタイプの電気デバイスを使用してもよい。第2の電気デバイス104は、データを含むことができ、読み取り専用であってよいが、書き込み可能であってもよい。第2の電気デバイス104は、特別にコード化されてよく、固有の識別などの固有のデータを含むことができる。第2の電気デバイス104は、デビットカード情報およびクレジットカード情報、ロイヤルティプログラムデータ、PIN、およびネットワークコンタクトなどの個人データを、その他の情報の中でも特に安全に格納することができる。
【0011】
通信システム100は、第1の電気デバイス102および第2の電気デバイス104のアンテナ間の誘導結合を使用することができる(例えば、空芯変圧器を効果的に形成する)。第1の電気デバイス102と第2の電気デバイス104とを分離する距離は、動作周波数の電磁放射(電波)の波長と比べて比較的短い(例えば、約22メートル)ため、近距離無線通信を画定することができる。第1の電気デバイス102は、交番磁界を主な結合因子として使用することができ、電波(振動電場も含む電磁波である)の形態で放射される電力はほとんどない。したがって、意図した範囲をはるかに超える、第1のデバイスと第2の電気デバイスとの干渉、および同じ周波数での、または他のデバイスとの無線通信を、最小限に抑えることができる。
【0012】
図2は、例示的な実施形態による、第1の電気デバイス102(
図1に示す)のNFCアンテナの斜視図である。
図3は、例示的な実施形態によるNFCアンテナ110の分解図である。
【0013】
NFCアンテナ110は、キャリア130と、キャリア130に結合されたアンテナ要素160とを備える。例示的な実施形態において、キャリア130は、キャリア130の中央を通る中央孔132を有する円筒形である。キャリア130を、成形品などのプラスチック材料から製造することができる。キャリア130は、ベース134とベース134から延びる支持リング136とを含む。ベース134および支持リング136は、中央孔132を囲む。例示的な実施形態において、中央孔132は、キャリア130の下部133とキャリア130の上部135との間でキャリア130を通って開口している。
【0014】
任意選択で、カバー138を上部135および/または下部133に結合して、中央孔132を閉じることができる。カバー138は、組立て後などに取外し可能であってよい。例えば、カバー138を、出荷および組立て中の取扱いのために使用することができる。例えば、カバー138を、NFCアンテナ110を第1の電気デバイス102の回路基板または他の基板に組み立てるためのピックアンドプレース組立てプロセス中に使用することができる。組立て後にカバー138を取り外すことができる。
【0015】
例示的な実施形態において、ベース134はリング状である。ベース134は円形であってもよい。中央孔132はベース134を通る。ベース134は、下部133にまたは下部133近くに設けられている。ベース134は、第1の電気デバイス102の回路基板または他の基板に結合するように構成されている。ベース134は、下面142と上面144との間に延びる。支持リング136は、上面144から(よりも、from)上方に延びる。例示的な実施形態において、ベース134は、下部133に1つまたは複数の取付タブ140を含む。取付タブ140は、ベース134の下面142から延びる。取付タブ140は、キャリア130を回路基板に取り付けるために使用される。図示の実施形態において、取付タブ140は弧状タブである。
代替実施形態において、取付タブ140は他の形状を有することができる。例えば、代替実施形態において、取付タブ140はピンまたは支柱であってよい。
【0016】
例示的な実施形態において、ベース134は、ベース134の外縁部148に1つまたは複数の外側リム(outer rim)146を含む。外側リム146は、上面144から上方に延びる。外側リム146は、支持リング136から半径方向外方に配置されている。アンテナ要素160は、外側リム146と支持リング136との間の間隙または空間に配置されている。外側リム146は外縁部148の略全周に延びるものとして示されているが、外側リム146は、大きい間隙などを間に有して互いに離間していてもよい。
【0017】
支持リング136はアンテナ要素160を支持する。支持リング136は、キャリア130のベース134から上部135へ延びる。図示の実施形態において、支持リング136は、ベース134の内縁部150に配置されている。支持リング136は中央孔132の一部を画定する。支持リング136は上縁部152まで延びる。支持リング136は、内面154と外面156とを有する。内面154は中央孔132に面している。外面156は、支持リング136と外側リム146との間のポケット158に面している。ポケット158はアンテナ要素160を受け入れる。様々な実施形態において、支持リング136は、内面154と外面156との間に均一な厚さを有する。しかしながら、代替実施形態において、支持リング136は、ベース134で厚くなり、上縁部152で薄くなるなど、ベース134と上縁部152との間でテーパ状であってもよい。
【0018】
アンテナ要素160は、キャリア130に結合するように構成されている。アンテナ要素160は導体162を含む。導体162は円筒形コイル164に形成されている。円筒形コイル164は、支持リング136に沿って延び、中央孔132を囲む。例示的な実施形態において、導体162は、ワイヤ166の外面に被覆またはジャケットを有する被覆ワイヤなどのワイヤ166を含む。ワイヤ166は小径ワイヤであってよい。様々な実施形態において、ワイヤ166は0.2mmワイヤである。しかしながら、代替実施形態において、ワイヤ166は他の直径を有することができる。代替実施形態において、ワイヤ以外の他のタイプの導体、例えば、プリント回路またはレーザ直接構造化(LDS)回路(レーザダイレクトストラクチャード(LDS)回路、laser direct structured (LDS) circuit)などの回路を使用することができる。
【0019】
円筒形コイル164は、コイル下部170とコイル上部172との間に延びる。円筒形コイル164は、複数の巻線174を含むように巻かれている。巻線174は積み重ねられ、例えば垂直に積み重ねられている。巻線174は、水平に積み重ねられていてもよい。例示的な実施形態において、円筒形コイル164は、全体として垂直軸に沿って延びる円筒形である。円筒形コイル164は、ベース134上で支持リング136に沿って垂直に延びる。円筒形コイル164は、ベース134上に垂直に積み重ねられた複数の層175を含む。例えば、導体162を中央孔132の周りに螺旋状に巻き付けて、円筒形コイル164を形成することができる。
【0020】
例示的な実施形態において、導体162は、円筒形コイル164においてコイル下部170とコイル上部172との間に垂直に積み重ねられた複数の螺旋(ヘリカル、helical)巻線174aを含む。円筒形コイル164は、コイル下部170とコイル上部172との間に複数の螺旋コイル層を含むように巻かれている。例えば、円筒形コイル164は、下部コイル176と、上部コイル178と、下部コイル176と上部コイル178との間の少なくとも1つの中間コイル177とを含むことができる。下部コイル176、中間コイル177、および上部コイル178は、互いに垂直にずれている(例えば、垂直に積み重ねられている)。様々な実施形態において、円筒形コイル164は7つの螺旋巻線174a(例えば、下部コイル176、5つの中間コイル177、および上部コイル178)を含む。
しかしながら、代替実施形態において、より多いまたは少ない螺旋巻線174aを設けることができる。螺旋巻線174aを垂直に積み重ねることにより、導体162のフットプリント(例えば、直径)を増加させることなく、導体162の全長を増加させる。
【0021】
例示的な実施形態において、導体162は、円筒形コイル164においてコイル下部170とコイル上部172との間に水平に積み重ねられた複数の渦巻き(スパイラル、spiral)巻線174bをさらに含むことができる。図示の実施形態において、渦巻き巻線174bは、コイル上部172に設けられ、例えば、最上の螺旋巻線174aに位置合わせされている。例えば、螺旋巻線174aは、コイル下部170からコイル上部172に巻かれて内側コイル180を画定し、次に導体162は、内側コイル180の半径方向外側で、コイル下部170に向かって戻るようにさらに巻かれて、内側コイル180から水平に(例えば、半径方向外方に)ずれて配置された少なくとも1つの外側コイル182を形成する。
様々な実施形態において、円筒形コイル164は、7つの内側コイル(例えば、7つの螺旋巻線174a)に加えて2つの外側コイル182を含み、合計で9つの巻線174を含む。渦巻き巻線174bは、円筒形コイル164の高さを増加させることなく、巻線174の総数、したがって、導体162の全長を増加させる。
【0022】
導体162は、第1の端部190と第2の端部192との間に延びる。第1の端部190および第2の端部192は、回路基板または他の電気部品に終端するように構成されている。導体162は、第1の端部190と第2の端部192との間で巻かれて、円筒形コイル164を形成する。例示的な実施形態において、第1の端部190および第2の端部192は、円筒形コイル164から半径方向外方に曲げられている。第1の端部190および第2の端部192は、回路基板または他の電気部品に終端するように互いに平行に延びることができる。第1の端部190および第2の端部192は、外側リム146間の間隙を通ってキャリア130の外側に出ることができる。
【0023】
例示的な実施形態において、アンテナ要素160は、例えばポケット158において、支持リング136の外面156に結合されている。円筒形コイル164を支持リング136に、例えば外面156に接着することができる。任意選択で、渦巻き巻線174bを、外側リム146上に配置することができる。支持リング136は、ベース134の上面144と支持リング136の上縁部152との間の支持リング高さを有する。円筒形コイル164は、コイル下部170とコイル上部172との間のコイル高さを有する。コイル高さは、巻線174の数と各ワイヤ166の直径とによって画定される。コイル高さは、支持リング高さに略等しくてよい。例えば、下部コイル176はベース134の上面144に載ることができ、上部コイル178は支持リング136の上縁部152に配置されてよい。
【0024】
図4は、例示的な実施形態によるNFCアンテナ110の底面図である。
図5は、例示的な実施形態によるNFCアンテナ110の後面図である。
図6は、例示的な実施形態によるNFCアンテナ110の側面図である。NFCアンテナ110は、キャリア130に結合されたアンテナ要素160を備える。
図5は、カバー138のないNFCアンテナ110を示す。
図6は、カバー138のあるNFCアンテナ110を示す。
【0025】
キャリア130は、ベース134によって画定されたフットプリントを有する。ベース134は、中央孔132を囲むリング状である。ベース134は、内縁部150によって画定された内径を有する。様々な実施形態において、内径は10mm~12mm、例えば約10.8mmであってよい。ベース134は、外縁部148によって画定された外径を有する。様々な実施形態において、外径は、13mm~15mm、例えば約13.8mmであってよい。円筒形コイル164は、キャリアのフットプリント内に収まる。例えば、円筒形コイル164は、約12.0mmの直径を有することができる。キャリア130は、下部133と上部135との間のキャリア高さを有する。取付タブ140は、下部133をある距離だけ越えて延びるが、回路基板または他の取付構造内に延びるように構成されている。
様々な実施形態において、キャリア高さは約2.0mmであってよい。円筒形コイル164は、約1.4mmなどのキャリア130の高さ内に収まるコイル高さを有する。コイル高さは、巻線の数およびワイヤの直径によって画定されてよい。
【0026】
図7は、例示的な実施形態によるNFCアンテナ110の断面図である。NFCアンテナ110は、キャリア130に結合されたアンテナ要素160を備える。アンテナ要素160は、支持リング136の外面156に取り付けられた状態で示されている。図示の実施形態において、円筒形コイル164は、円筒形コイル164においてコイル下部170とコイル上部172との間に垂直に積み重ねられた9つの螺旋巻線174aを含む。図示の実施形態において、円筒形コイル164は渦巻き巻線174b(
図3)を含まない。図示の実施形態において、円筒形コイル164は上縁部152より上に延びる。代替実施形態において、より多いまたは少ない螺旋巻線174aを設けることができる。螺旋巻線174aを垂直に積み重ねることにより、NFCアンテナ110のフットプリント(例えば、直径)を増加させることなく、導体162の全長を増加させる。
【0027】
図8は、例示的な実施形態によるNFCアンテナ110の断面図である。NFCアンテナ110は、キャリア130に結合されたアンテナ要素160を備える。アンテナ要素160は、支持リング136の外面156に取り付けられた状態で示されている。図示の実施形態において、円筒形コイル164は、円筒形コイル164においてコイル下部170とコイル上部172との間に垂直に積み重ねられた7つの螺旋巻線174aと、円筒形コイル164において、例えばコイル上部172などにおいて、対応する螺旋巻線174aに水平に積み重ねられた2つの渦巻き巻線174bとを含む。渦巻き巻線174bは、螺旋巻線174aの半径方向外方および支持リング136の半径方向外方に配置されている。図示の実施形態において、円筒形コイル164は上縁部152まで延びる。
代替実施形態において、より多いもしくは少ない螺旋巻線174aおよび/またはより多いもしくは少ない渦巻き巻線174bを設けることができる。螺旋巻線174aを垂直および水平に積み重ねることにより、NFCアンテナ110のフットプリント(例えば、直径)を増加させることなく、導体162の全長を増加させる。
【0028】
図9は、例示的な実施形態によるNFCアンテナ110の断面図である。NFCアンテナ110は、キャリア130に結合されたアンテナ要素160を備える。アンテナ要素160は、支持リング136の外面156および支持リング136の内面154に取り付けられた状態で示されている。図示の実施形態において、円筒形コイル164は、円筒形コイル164において垂直に積み重ねられて、外面156に沿って配置された7つの螺旋巻線174aと、対応する螺旋巻線174aに水平に積み重ねられて、内面154に沿って配置された2つの渦巻き巻線174bとを含む。例えば、渦巻き巻線174bは中央孔132内に配置されている。代替実施形態において、より多いもしくは少ない螺旋巻線174aおよび/またはより多いもしくは少ない渦巻き巻線174bを設けることができる。
代替実施形態において、螺旋巻線174aおよび渦巻き巻線174bの両方を、外面156に沿ってではなく内面154に沿って配置してもよい。
【0029】
図10は、例示的な実施形態による、第1の電気デバイス102(
図1に示す)のNFCアンテナ110の斜視図である。
図10は、キャリア130を備えるNFCアンテナ110を示し、このキャリア130は、アンテナ要素160を支持リング136に対して保持するために使用される、位置決めタブの形態の外側リム146を有する。様々な実施形態において、外側リム146のうちの2つまたは3つを、ベース134の外周に沿って等間隔に離間して設けることができる。代替実施形態において、他のタイプの外側リムを使用してもよく、または取付リムを使用しなくてもよい。
図10は、回路基板または他の支持構造の開口部に装着するように構成された、支柱またはピンの形態の取付タブ140を示す。代替実施形態において、他のタイプの取付タブを使用してもよい。
【0030】
図11は、例示的な実施形態による、第1の電気デバイス102(
図1に示す)のNFCアンテナ110の斜視図である。
図11は、LDS構造200の形態のアンテナ要素160を備えるNFCアンテナ110を示す。LDS構造200は、LDS回路202をLDS基板204に含む。様々な実施形態において、LDS基板204はフレキシブルフィルムであってよい。LDS回路202は、LDS基板204に、例えばLDS基板204の内面および/または外面に施される。図示の実施形態において、LDS構造200は、支持リング136の外面156に設けられている。しかしながら、加えてまたは代わりに、LDS構造200を支持リング136の内面154に設けてもよい。様々な実施形態において、LDS基板をキャリア130によって画定することができる。
例えば、LDS回路202を、キャリア130の表面、例えばベース134および/または支持リング136に形成することができる。
【0031】
LDS回路202は、LDS基板204の周りに巻線206を含む。例えば、LDS回路202を、螺旋パターンおよび/または渦巻きパターンに配置することができる。巻線206を垂直にずらす、かつ/または、水平にずらすことができる。
【0032】
上記の説明は例示的なものであり、限定的なものではないことを理解されたい。例えば、上記の実施形態(および/またはその態様)を互いに組み合わせて使用することができる。加えて、本発明の範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を本発明の教示に適応させるように多くの修正を行うことができる。本明細書に記載の様々な部品の寸法、材料の種類、向き、および様々な部品の数および位置は、ある実施形態のパラメータを定義するためのものであり、決して限定的なものではなく、例示的な実施形態に過ぎない。上記の説明を検討すれば、特許請求の範囲の趣旨および範囲内の多くの他の実施形態および修正が、当業者に明らかになろう。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲と、そのような特許請求の範囲に包含される均等物の全範囲とを参照して決定されるべきである。
添付の特許請求の範囲において、「含む(including)」および「において(in which)」という用語は、それぞれ「備える(comprising)」および「において(wherein)」という用語の平易な英語の同義語として使用される。さらに、以下の特許請求の範囲において、「第1の」、「第2の」、および「第3の」などの用語は、単に標示として使用され、それらの対象物に数値的な要件を付与するものではない。さらに、以下の特許請求の範囲の限定は、ミーンズプラスファンクション形式で書かれておらず、そのような特許請求の範囲の限定が、「~のための手段(means for)」の後にさらなる構造のない機能の記述が続く言い回しを明示的に使用しない限り、そして使用するまでは、米国特許法第112条(f)に基づいて解釈されることを意図するものではない。
【外国語明細書】