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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084718
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】複合材構造用の工具内圧密
(51)【国際特許分類】
   B29C 70/42 20060101AFI20240618BHJP
   B29C 70/54 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
B29C70/42
B29C70/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023208177
(22)【出願日】2023-12-11
(31)【優先権主張番号】18/065,458
(32)【優先日】2022-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/498,330
(32)【優先日】2023-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/473,836
(32)【優先日】2023-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ツォツィス, トーマス カール
(72)【発明者】
【氏名】ハーバー, アンドリュー ミルトン
【テーマコード(参考)】
4F205
【Fターム(参考)】
4F205AD16
4F205AH31
4F205AJ08
4F205HA08
4F205HA14
4F205HA25
4F205HA37
4F205HA44
4F205HB01
4F205HF05
4F205HG02
4F205HK22
4F205HK31
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複合材構造の面外フィーチャを圧密するための工具内システムを提供する。
【解決手段】工具内システムは、工具内に形成された空洞、補強材プリフォーム202、及びインサート204を含む。空洞214は、傾斜面218を有する。補強材プリフォームは、面外フィーチャを含む。その場合、面外フィーチャは、圧密面を有する。インサートは、空洞の傾斜面と相補的な第1の面、及び面外フィーチャの圧密面と相補的な第2の面を含む。第1の面は、第2の面の反対側にある。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材構造の面外フィーチャを圧密するための工具内システムであって、
工具(104)内に形成された空洞(154)であって、傾斜面(156)を含む空洞(154)、
面外フィーチャ(134)を備える補強材プリフォーム(132)であって、前記面外フィーチャ(134)は圧密面(136)を含む、補強材プリフォーム(132)、並びに
前記傾斜面(156)と相補的な第1の面(114)及び前記圧密面(136)と相補的な第2の面(116)を含むインサート(110)であって、前記第1の面(114)は前記第2の面(116)の反対側である、インサート(110)を含む、システム。
【請求項2】
前記空洞(154)の第2の傾斜面(158)と相補的な第3の面(124)、及び前記面外フィーチャ(134)の第2の圧密面(138)と相補的な第4の面(126)を含む、第2のインサート(112)を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記空洞(154)の前記傾斜面(156)及び前記インサート(110)の前記第1の面(114)、と相補的な断面(142)を有するプリフォーム保持具(140)を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記プリフォーム保持具(140)は、前記インサート(110)と前記空洞(154)との間に配置されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記プリフォーム保持具(140)は、前記補強材プリフォーム(132)を前記インサート(110)と共に拘束する、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記インサート(110)は、非接着性外層(120)を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記プリフォーム保持具(140)は、非接着性外層(146)を含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項8】
前記プリフォーム保持具(140)の前記断面(142)は、フランジ(144)を含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項9】
前記インサート(110)は膨張可能(118)である、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
複合材構造の面外フィーチャの工具内圧密のための方法であって、
補強材プリフォーム(132)を形成すること(702)、
前記補強材プリフォーム(132)の面外フィーチャ(134)に隣接してインサート(110)を配置すること(704)、
前記補強材プリフォーム(132)及び前記インサート(110)を工具(104)の空洞(154)内に挿入すること(706)であって、前記インサート(110)は前記工具(104)の傾斜面(156)と相補的な第1の面(114)を含み、前記インサート(110)は前記補強材プリフォーム(132)の圧密面(136)と相補的な第2の面(116)を含む、工具(104)の空洞(154)内に挿入すること(706)、並びに
前記インサート(110)の前記第2の面(116)が前記補強材プリフォーム(132)の前記圧密面(136)に圧縮力を伝達するように、前記補強材プリフォーム(132)又は前記インサート(110)に力(440)を加えること(708)を含む、方法。
【請求項11】
前記補強材プリフォーム(132)又は前記インサート(110)に前記力(440)を加えることは、前記インサート(110)の前記第1の面(114)を前記工具(104)の前記傾斜面(156)に対して押し付ける、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記補強材プリフォーム(132)及び前記インサート(110)をプリフォーム保持具(140)内に配置すること(710)を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記プリフォーム保持具(140)を非接着性層(146)で被覆すること(712)を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記インサート(110)を非接着性層(120)で被覆すること(714)を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記インサート(110)を膨張させること(716)を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記補強材プリフォームは、フランジ(404、406)を含むハット形状の補強材プリフォーム(402)であり、前記方法は更に、
前記フランジ(404、406)を前記工具(104)上に配置されたプライセクション(436)とインターリーブすることを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
補強材プリフォームの面外フィーチャの工具内圧密のための補強材プリフォームアセンブリであって、
面外フィーチャ(134)を備える補強材プリフォーム(132)であって、前記面外フィーチャ(134)は圧密面(136)を含む、補強材プリフォーム(132)、
工具(104)の空洞(154)の傾斜面(156)と相補的な第1の面(114)、及び前記圧密面(136)と相補的な第2の面(116)を含む、インサート(110)であって、前記第1の面(114)は前記第2の面(116)の反対側である、インサート(110)、並びに
前記工具(104)の前記空洞(154)の前記傾斜面(156)及び前記インサート(110)の前記第1の面(114)、と相補的な断面(142)を有するプリフォーム保持具(140)を備える、アセンブリ。
【請求項18】
前記空洞(154)の第2の傾斜面(158)と相補的な第3の面(124)、及び前記面外フィーチャ(134)の第2の圧密面(138)と相補的な第4の面(126)を含む、第2のインサート(112)を更に備える、請求項17に記載のアセンブリ。
【請求項19】
前記プリフォーム保持具(140)の前記断面(142)は、前記第2のインサート(112)の前記第3の面(124)及び前記工具(104)の前記空洞(154)の前記第2の傾斜面(158)と相補的である、請求項18に記載のアセンブリ。
【請求項20】
前記プリフォーム保持具(140)は、前記インサート(110)と前記工具(104)の前記空洞(154)との間に配置されている、請求項17に記載のアセンブリ。
【請求項21】
前記プリフォーム保持具(140)は、非接着性外層(146)を含む、請求項17に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、「In-Tool Compaction for Composite Structures」と題する2023年4月26日に出願された米国仮特許出願第63/498,330号の利益を主張するものであり、「Methods for Manufacturing Hat-Stiffened Structures」と題する2022年12月13日に出願された米国特許出願第18/065,458号の一部継続出願であり、これらの両米国出願は、参照により本明細書に援用される。
【0002】
[0002] 本開示は、広くは、複合材構造を製造するための方法及び装備に関する。特に、本開示は、ドライファブリックプリフォーム及び樹脂注入を使用する航空機補強材などの大きな繊維複合材構造の製造中に面外フィーチャを工具内圧密するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 一体的に補強される構造における面外フィーチャの圧密は、殊にモノリシックな例えば非分割工具において、インシトゥ(現場内)で実行することが困難である。ブレードや「T」補強材などの面外フィーチャを持つ補強要素の圧密を実行するためには、現在、関連する装備、工具、床面積、消耗品などを有する別の作業セルが必要とされる。
【0004】
[0004] 現在の方法は、プリフォームを工具空洞内に適合可能にするべく、プリフォームの圧密を実行するために、二次的な工程及び関連する工具設備に依存している。面外フィーチャの嵩が大きすぎる場合、プリフォーム装填中にフィーチャが工具に物理的な影響を与え、プリフォームに損傷を与える可能性が高くなる。現在の方法はまた、圧密を加えるために、高熱膨張係数(CTE)工具にも依存し得る。しかし、圧密を加えるよう機能温度まで加熱するために必要とされる時間及びエネルギー、並びに、その後、工具から部品を引き出すことを可能にするよう工具を冷却するために必要とされる時間は、殊に大きな航空機の構造では高価である。
【0005】
[0005] したがって、上述の問題のうちの少なくとも幾つかのみならず、その他の生じ得る問題も考慮した、方法及び装置を有することができれば、それが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 本開示の例示的な一実施形態は、工具内に形成された空洞、補強材プリフォーム、及びインサートを含む、複合材構造の面外フィーチャを圧密するための工具内システムを提供する。空洞は、傾斜面を有する。補強材プリフォームは、面外フィーチャを含む。その場合、面外フィーチャは、圧密面を有する。インサートは、空洞の傾斜面と相補的な第1の面、及び面外フィーチャの圧密面と相補的な第2の面を含む。第1の面は、第2の面の反対側にある。
【0007】
[0007] 本開示の別の例示的な一実施形態は、複合材構造の面外フィーチャの工具内圧密のための方法を提供する。該方法は、補強材プリフォームを形成するステップを含む。該方法は、補強材プリフォームの面外フィーチャに隣接してインサートを配置するステップを含む。該方法は、補強材プリフォーム及びインサートを工具の空洞内に挿入するステップを含む。該方法はまた、補強材プリフォーム又はインサートに力を加えるステップも含む。
【0008】
[0008] 本開示の更なる例示的な一実施形態は、補強材プリフォーム、インサート、及びプリフォーム保持具を備える、補強材プリフォームの面外フィーチャの工具内圧密のための補強材プリフォームアセンブリを提供する。補強材プリフォームは、面外フィーチャを含む。その場合、面外フィーチャは、圧密面を有する。インサートは、工具の空洞の傾斜面と相補的な第1の面、及び面外フィーチャの圧密面と相補的な第2の面を含む。第1の面は、第2の面の反対側にある。プリフォーム保持具は、工具の空洞の傾斜面及びインサートの第1の面と相補的な断面を有する。
【0009】
[0009] これらの特徴及び機能は、本開示の様々な実施形態において個別に実現可能であるか、又は、下記の説明及び図面を参照して更なる詳細事項が理解され得る、更に別の実施形態において組み合わされ得る。
【0010】
[0010] 例示的な実施形態の特性と考えられる新規な特徴は、付随する特許請求の範囲に明記される。しかし、例示的な実施形態並びに好ましい使用モード、更なる目的及びそれらの特性は、添付図面を参照しながら、本開示の例示的な実施形態についての以下の詳細な説明を読むことにより、最もよく理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】[0011] 例示的な一実施例による製造環境のブロック図である。
図2】[0012] 例示的な一実施例による工具内に配置される補強材プリフォーム及びインサートの図である。
図3】[0013] 例示的な一実施例による工具内に挿入される補強材プリフォームアセンブリの図である。
図4】[0014] 例示的な一実施例による、プリフォームをインターリーブする(interleave:交互配置する)ためのプライを有する工具内に挿入される補強材プリフォームアセンブリの図である。
図5】[0015] 例示的な一実施例による、インターリーブ用の外板セクションの上のハット型補強材プリフォームの図である。
図6】[0016] 例示的な一実施例による補強材フランジ内のテーパの詳細の図である。
図7】[0017] 例示的な一実施例による、複合材構造の面外フィーチャの工具内圧密のためのプロセスのフローチャートの図である。
図8】[0018] 例示的な一実施形態によるブロック図の形態を採る航空機の製造及び保守方法の図である。
図9】[0019] 例示的な一実施形態が実装され得るブロック図の形態を採る航空機の図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0020] 例示的な複数の実施例は、1以上の異なる考慮事項を認識し、考慮する。例えば、例示的な複数の実施例は、一体的に補強される構造における面外フィーチャの圧密は、典型的には、追加の工具、設備、時間、及びコストを伴う別の作業セルを必要とし、殊にモノリシックな例えば非分割工具において、インシトゥ(現場内)で実行することが困難であることを認識し、考慮する。
【0013】
[0021] 例示的な複数の実施例は、面外フィーチャの嵩が大きいときに、そのフィーチャが工具に物理的な影響を与え、プリフォームに損傷を与える可能性が高いことを認識し、考慮する。
【0014】
[0022] 例示的な複数の実施例はまた、面外フィーチャを有する圧密されたプリフォームを工具から取り外すことは困難であり、プリフォームに対する損傷はしばしば不可避であることを認識し、考慮する。
【0015】
[0023] したがって、例示的な複数の実施例は、ベース成形工具内に挿入されたときに、自動的に圧密を提供する低コストで調整された形成工具を提供する。その場合、形成工具及び圧密されたプリフォームは、プリフォームに損傷を与えることなしに、ベース成形工具から容易に取り外される。
【0016】
[0024] 次に、図面を参照すると、特に、図1を参照すると、例示的な一実施例による製造環境のブロック図が示されている。製造環境100は、補強材プリフォームアセンブリ102及び圧縮成形工具104を含む。
【0017】
[0025] この例示的な実施例では、補強材プリフォームアセンブリ102が、インサート110及びインサート112を含む。インサート110は、第1の面114及び第2の面116を含む。インサート110は、任意の所望の幾何学的形状寸法であり得るが、少なくとも第2の面の反対側の第1の面を有さなければならない。インサート110の形状は、インサート及び圧密成形工具104を使用して形成される面外フィーチャによって決定づけられる。第1の面114は、第2の面116の反対側である。言い換えると、第1の面114の位置は、インサート110の第2の面116とは反対側の面にある。第1の面114と第2の面116とは、2つの反対側の面である。インサート110は、中実構造でも中空構造でもよい。インサート110は、膨張可能118であってよい。インサート110は、非接着性層120を含んでよい。非接着性層120は、圧縮成形工具104からインサート110を分離することにおいて、及び圧密され硬化した補強材プリフォーム132からインサート110を分離することにおいて役立つ。
【0018】
[0026] インサート112は、第2のインサートと考えられてよい。インサート112は、第3の面124及び第4の面126を含む。インサート110と同様に、インサート112は、任意の所望の幾何学的形状寸法であり得るが、両側の表面又は面を有さなければならない。インサート112の形状は、インサート及び圧密成形工具104を使用して形成される面外フィーチャによって決定づけられる。第3の面124は、第4の面126の反対側である。言い換えると、第3の面124の位置は、インサート112の第4の面126とは反対側の面にある。インサート110と同様に、インサート112は中実構造でも中空構造でもよい。インサート112も、膨張可能であってよい。インサート112は、非接着性層128を含んでよい。非接着性層128は、圧縮成形工具104からインサート112を分離することにおいて、及び圧密され硬化した補強材プリフォーム132からインサート112を分離することにおいて役立つ。
【0019】
[0027] この例示的な実施例では、補強材プリフォームアセンブリ102が、複合材構造130を含む。複合材構造は、補強材プリフォーム132から形成される。補強材プリフォーム132は、典型的には、現場外で製造され、圧密及び硬化のために圧縮成形工具104に運ばれる。補強材プリフォーム132は、面外フィーチャ134を有する。例えば、面外フィーチャ134は、「T」補強材のブレードセクションであり得る。ブレードセクションは、圧密の下で特定の厚さを必要とする。面外フィーチャ134は、圧密面136を含む。面外フィーチャ134は、第2の圧密面138を含んでよい。圧密面136は、インサート110の第2の面116と相補的である。第2の圧密面138は、インサート112の第4の面126と相補的である。面外フィーチャ134の最終形状は、圧密面の存在を決定する。例えば、「T」補強材のブレードは、ブレードの両側に第1及び第2の圧密面を含むことになる。
【0020】
[0028] この例示的な実施例では、補強材プリフォームアセンブリ102が、プリフォーム保持具140を含む。プリフォーム保持具は、断面142を有する。断面142は、圧縮成形工具の空洞と相補的である。断面142はまた、インサート110の第1の面114、及び存在する場合にはインサート112の第3の面124とも相補的である。断面142は、フランジ144を含んでよい。プリフォーム保持具はまた、非接着性層146も含んでよい。非接着性層146は、圧縮成形工具104から補強材プリフォームアセンブリ102を分離することにおいて、及びプリフォーム保持具140からインサート110を分離することにおいて役立つ。プリフォーム保持具140は、補強材プリフォーム132、インサート110、及び存在する場合にはインサート112を、補強材プリフォームアセンブリ102として共に拘束する。プリフォーム保持具140は、補強材プリフォームの搬送及び挿入を容易にし、圧縮成形工具の空洞内に挿入する。
【0021】
[0029] この例示的な実施例では、製造環境100が、圧縮成形工具104を含む。圧縮成形工具104は、典型的には、雄型150及び雌型152を含む。雄型150は、圧縮プレートで代用され得る。雌型152は、空洞154を含む。空洞154は、少なくとも傾斜面156を有し、第2の傾斜面158を含んでもよい。傾斜面156は、インサート110の第1の面114と相補的である。第2の傾斜面158は、インサート112の第3の面124と相補的である。傾斜面156は、プリフォーム保持具140の断面142と相補的である。第2の傾斜面158は、プリフォーム保持具140の断面142と相補的である。
【0022】
[0030] 図示されている複数の実施例によって提供される1つの利点は、「T」補強材のブレードなどの面外フィーチャを有する補強材プリフォームを圧縮成形工具内に装填することの困難性を排除することを含む。もう一つの利点は、次のようなものである。すなわち、例示的な複数の実施例は、圧縮成形工具の空洞に対してインサートの高平滑面をより容易に機械加工でき、成形工具の空洞は相対的に大きくなり得るので、硬化後の部品の取り外しがより容易になる。インサートは、比較的低コストの材料から製造することができる。それによって、圧縮成形工具内の複数のサイズ/形状の空洞とは対照的に、インサートの複数の工具セットを製造することはコスト効果が高い。インサートの正確な形状は、厳しい寸法公差に合わせて調整することができる。インサートは、圧縮成形工具内への挿入後の熱膨張を可能にするために、より高いCTE材料で製造され得る。それによって、処理中に更なる圧密圧力を提供し、クールダウン後に取り外しがより容易になる。インサートを使用することにより、各所望の形状寸法ごとに新しい圧縮成形工具を製造する必要なしに、共通の圧縮成形工具のエンベローブ内で補強材プリフォームの面外フィーチャを変更することができる。
【0023】
[0031] 次に図2を参照すると、例示的な一実施例による、工具208内に配置される補強材プリフォーム202及びインサート204、206の図が示されている。この例示的な実施例及び以下の例示的な複数の実施例では、複数の図面において同じ参照番号が使用され得る。このように別々の図で繰り返し使用される参照番号は、かかる別々の図における同じ要素を表わしている。図2で示されている構成要素は、図1のブロック形態で示されている補強材プリフォーム132、インサート110、インサート112、及び圧縮成形工具104の物理的な複数の実施態様の複数の実施例である。
【0024】
[0032] 補強材プリフォーム202は、トップ210及びブレード212を有する「T」形状である。この図示されている実施例では、ブレード212が面外フィーチャを表す。補強材プリフォーム202は、「T」形状に限られず、面外フィーチャを含む任意のプリフォーム形状であり得る。ブレード212は、圧密面222及び第2の圧密面224を含む。圧密面222は、第2の圧密面224の反対側である。言い換えると、ブレード212は、2つの両側の側面を含む。2つの両側の側面は、圧密力を受けることになる。2つの側面は、圧密面222と第2の圧密面224である。
【0025】
[0033] 工具208は空洞214を画定する。工具208は、標準的な圧縮成形工具の雌半分を表す。それは、工具の雄半分(図示せず)と協働して、プリフォームに圧密圧力を加える。空洞214は、傾斜面218と第2の傾斜面220との間の下面216によって画定されている。
【0026】
[0034] インサート204とインサート206とは、互いの鏡像として図示されている。しかし、インサート204とインサート206の形状及びサイズは、等しかったり、又は鏡像であったりする必要はない。インサート204及びインサート206の形状及びサイズは、所望の補強材、面外フィーチャ、及び工具の形状寸法に適合する。インサート204及びインサート206の形状及びサイズは、工具208によって圧密される補強材プリフォーム202の面外フィーチャの所望の形状、及び空洞214の形状/寸法によって決定される。圧密面222、第2の圧密面224、及びブレード212の全体的な所望の厚さ226は、インサート204及びインサート206の形状及びサイズによって影響を受ける。インサート204及びインサート206は、補強材プリフォーム202及びインサートが空洞214内に装填されたときに、ブレード212が厚さ226まで圧密されるようにサイズ決定される。2つのインサートが図示されているが、圧縮される面外フィーチャの所望の形状及び工具形状に応じて、1以上のインサートで十分であってよい。
【0027】
[0035] インサート204は、面230及び面232を含む。面230は、面232の反対側である。面230は、空洞214の傾斜面218と相補的であり、面232は、ブレード212の圧密面222と相補的である。同様に、インサート206は、面234及び面236を含む。面234は、面236の反対側である。面234は、空洞214の傾斜面220と相補的であり、面236は、ブレード212の第2の圧密面224と相補的である。ある面が別の面と相補的であるということは、各々の面が共通の直交軸のセットに対して同じ角度であることを意味する。動作中、各インサートはブレード212と空洞214との間でくさびとして作用する。
【0028】
[0036] 各インサートは、硬質ゴム(例えば、シリコーン)、熱可塑性物質(例えば、Ultem(登録商標)、PEEKなど)、又は金属(例えば、アルミニウム、工具鋼など)で構成されてよい。更に、各インサートは、中実構造でも中空構造でもよい。更に、各インサートは膨張可能であってよい。各インサートはまた、工具208からの取り外しと、ブレード212などの圧密され硬化した面外フィーチャからの分離とを補助するために、非接着性層で被覆されてもよい。
【0029】
[0037] 次に図3を参照すると、例示的な一実施例による、工具208内に挿入される補強材プリフォームアセンブリ302の図が示されている。
【0030】
[0038] 補強材プリフォームアセンブリ302は、プリフォーム保持具304、補強材プリフォーム202、及びインサート204、206を含む。
【0031】
[0039] プリフォーム保持具304は、補強材プリフォーム202とインサート204、206とを拘束し、全体として空洞214への搬送及び空洞214内への挿入を容易にする。プリフォーム保持具304は、補強材プリフォーム202及びインサート204、206を適所に保持し、補強材プリフォームアセンブリ302の取り扱いをより容易にする。
【0032】
[0040] プリフォーム保持具304は、断面306を有する。断面306は、空洞214の傾斜面218及び第2の傾斜面220と相補的である。したがって、断面306はまた、インサート204の面230及びインサート206の面234とも相補的である。断面306はまた、フランジセクション308、309も含んでよい。プリフォーム保持具304は、金属、熱硬化性物質、又は熱可塑性物質で構成されてよい。プリフォーム保持具304はまた、工具208からの取り外しと、ブレード212などの圧密され硬化した面外フィーチャ及びインサート204、206からの分離とを補助するために、非接着性層で被覆されてもよい。
【0033】
[0041] 次に図4図6を参照すると、例示的な一実施例による、プリフォームをインターリーブするためのプライを有する工具内に挿入される補強材プリフォームアセンブリの図が示されている。
【0034】
[0042] この例示的な実施例では、ハット形状の補強材プリフォーム402が、面外フィーチャとしてハット形状を含む。ハット形状の面外フィーチャは、側面412、416に接続されたトップ415を含む。ハット形状の補強材プリフォーム402は、それぞれ、側面412、416から延在するフランジ404、406を含む。インサート408への圧力440が、ハット形状の補強材プリフォーム402を工具400の空洞414内に押し込む。インサート408の面430及び434は、ハット形状の補強材プリフォーム402の側面412、416を、工具400内の空洞414の傾斜面418、420に対して圧密する。プライセクション436は、工具400のトップ上に配置されている。インサート408が、空洞414内でハット形状の補強材プリフォーム402を圧密するときに、フランジ404、406は、プライセクション436とインターリーブされる。外板プライ442が、インサート408の取り外しの前後に、ハット形状の補強材プリフォーム402の上に含まれてよい。
【0035】
[0043] 各フランジ404、406は、テーパ502を含む。各プライセクション436の縁部は、テーパ504を含む。テーパ504はステップ506を含む。フランジのテーパ502は、プライセクションのテーパ504と重なり、接合界面を内装外板内に埋没させる。それによって、フランジの逃げが、接合部の表面上に露出することがなく、剥離応力が生じにくくなる。プライセクション436は、フランジ404よりも厚い。それによって、接合界面が、部品表面に出ないようになっている。
【0036】
[0044] 次に図7を参照すると、複合材構造の面外フィーチャの工具内圧密のためのプロセス700のフローチャートの図が示されている。図7で示されている方法は、図1図6で示されている例示的な複数の実施例と併せて使用されてよい。
【0037】
[0045] 該プロセスは、補強材プリフォームを形成すること(工程702)によって開始する。補強材プリフォームは、オフラインで形成され、圧縮成形工具に搬送され得る。
該プロセスは、補強材プリフォームの面外フィーチャに隣接してインサートを配置する(工程704)。インサートの形状及びサイズは、所望の補強材、面外フィーチャ、及び工具の形状寸法によって決定される。次いで、該プロセスは、補強材プリフォーム及びインサートを圧縮成形工具の空洞内に挿入する(工程706)。インサートは、工具の傾斜面と相補的な第1の面、及び補強材プリフォームの面外フィーチャの圧密面と相補的な第2の面を有する。次いで、プロセスは、補強材プリフォーム又はインサートに力を加える(工程708)。この力は、インサートの第2の面が補強材プリフォームの圧密面に圧縮力を伝達するようになっている。工程710では、補強材プリフォーム及びインサートが、任意選択的に、プリフォーム保持具内に配置されてよい。工程712では、プリフォーム保持具が非接着性層で被覆されてよい。工程714では、インサートが非接着性層で被覆されてよい。工程716では、インサートが膨張可能であってよい。
【0038】
[0046] 例示的な一実施例の幾つかの代替的な実施態様では、ブロック内に記載された1以上の機能が、図中に記載された順序を逸脱して行われることがある。例えば、場合によっては、関連する機能に応じて、連続して示されている2つのブロックが実質的に同時に実行されることがあり、又は、時にはこれらのブロックが逆順に実行されることもある。更に、フローチャート又はブロック図に示されたブロックに加えて、他のブロックが追加されてよい。
【0039】
[0047] 本開示の例示的な複数の実施形態は、図8で示される航空機の整備及び保守方法800並びに図9で示される航空機900の文脈で説明されてよい。先ず図8を参照すると、例示的な一実施形態による航空機の製造及び保守方法が示されている。製造前の段階では、航空機の製造及び保守方法800が、図9の航空機900の仕様及び設計802、並びに材料の調達804を含んでよい。
【0040】
[0048] 製造段階では、航空機900の構成要素及びサブアセンブリの製造806と、システムインテグレーション808とが行われる。その後、航空機900は、認可及び納品810を経て運航812に供される。顧客による運航812中、航空機900は、定期的な整備及び保守814(これには、改造、再構成、改修、及びその他の整備又は保守が含まれてよい)が予定される。
【0041】
[0049] 航空機の製造及び保守方法800の各プロセスは、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータによって実行又は実施されてもよい。これらの複数の実施例では、オペレータが顧客であってよい。この明細書においては、システムインテグレータが、任意の数の航空機製造業者及び主要システム下請業者を含んでよいが、それらに限定されるわけではなく、第三者は、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含んでよいが、それらに限定されるわけではなく、オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などであってよい。
【0042】
[0050] 次に図9を参照すると、例示的な実施形態が実装され得る航空機の図が示されている。この実施例では、航空機900が、図8の航空機の製造及び保守方法800によって製造され、複数のシステム904と内装906とを有する機体902を含んでよい。システム904の複数の例は、推進システム908、電気システム910、液圧システム912、及び環境システム914のうちの1以上を含む。任意の数の他のシステムが含まれてもよい。航空宇宙産業の例が示されているが、様々な例示的な実施形態が、自動車産業といった他の産業に適用されてもよい。
【0043】
[0051] 本明細書で具体的に表現されている装置及び方法は、航空機の製造及び保守方法800の少なくとも1つの段階において用いられてよい。1以上の実施例は、図8の構成要素及びサブアセンブリの製造806、システムインテグレーション808、又は整備及び保守814において使用されてよい。例えば、面外フィーチャ134は、構成要素及びサブアセンブリの製造806中に形成されてよい。別の一実施例として、面外フィーチャ134は、図8の整備及び保守814中に交換部品となってよい。
【0044】
[0052] 本明細書で具体的に表現されている装置及び方法は、航空機900の少なくとも1つの構成要素の製造において採用されてよい。例えば、図1の面外フィーチャ134は、複合材構造130を形成するために製造されてよい。
【0045】
[0053] ドライファブリックプリフォーム及び樹脂注入を使用して繊維状複合材構造を形成するときに、補強材などの面外フィーチャの工具内圧密を可能にする工具コンセプトが開示される。低コストの調整された工具が、次のようなやり方で面外フィーチャを取り囲む。すなわち、工具及び取り囲まれたフィーチャが主たる成形工具内に挿入されたときに、別の作業セルや圧密を実行するための工程を必要とすることなしに、圧密圧力がフィーチャに加えられて、それらを目標の厚さに形成する。
【0046】
[0054] 一体的に補強される構造における面外フィーチャの圧密は、殊にモノリシックな(すなわち、非分割)工具において、インシトゥ(現場内)で実行することが困難である。開示された工具コンセプトによって提供される1つの利点は、圧密を実行するために追加の工具、設備、時間、及びコストを伴う別の作業セルを使用する二次的な工程に依存する代わりに、面外フィーチャを成形工具内で圧密することができることである。
【0047】
[0055] ブレードや「T」補強材などの面外フィーチャを持つ補強要素の圧密を実行するためには、現在、関連する装備、工具、床面積、消耗品などを有する別の作業セルが必要とされる。
【0048】
[0056] 開示された工具インサートは、低コストの調整された形成工具を提供する。該形成工具は、ベース成形工具内に挿入されると、自動的にインシトゥ圧密を提供する。工具インサートは、ベース成形工具又は複合材部品への接着を防止するための優れた離型性を有する。工具インサートは、対象部品及び使用材料に応じて、種々の材料から作製され得る。インサートを使用することによって、工具全体を製造する必要なしに、ベース成形工具のエンベローブ内で補強材の形状寸法の変更が可能になる。分割されたインサートを使用することによって、プリフォームと工具との間の潜在的なハングアップが防止される。
【0049】
[0057] 種々の例示的な実施形態についての説明は、例示及び説明を目的として提示されており、網羅的であることも、実施形態を開示されている形態に限定することも、意図するものではない。当業者には、多くの修正例及び変形例が明らかであろう。更に、異なる例示的な実施形態は、他の望ましい実施形態と比較して異なる特徴を提供し得る。選択された1以上の実施形態は、複数の実施形態の原理、実際の適用を最もよく説明するために、また、企図される特定の用途に適した様々な修正例を含めた様々な実施形態の開示を他の当業者が理解できるように、選択及び記述されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【外国語明細書】