(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084739
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】レレドックスフロー電池システム内でリバランシングセルを動作させる方法、及びレドックスフロー電池システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/18 20060101AFI20240618BHJP
H01M 8/04746 20160101ALI20240618BHJP
H01M 8/04537 20160101ALI20240618BHJP
H01M 8/04276 20160101ALI20240618BHJP
H01M 8/04186 20160101ALI20240618BHJP
H01M 8/02 20160101ALI20240618BHJP
【FI】
H01M8/18
H01M8/04746
H01M8/04537
H01M8/04276
H01M8/04186
H01M8/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023210180
(22)【出願日】2023-12-13
(31)【優先権主張番号】18/065,576
(32)【優先日】2022-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519297300
【氏名又は名称】イーエスエス テック インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】ESS Tech,Inc.
【住所又は居所原語表記】26440 SW Parkway Avenue,Wilsonville,Oregon 97070 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】キシック シーン
(72)【発明者】
【氏名】ソン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】マクドナルド ジェー ティモシー
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126AA03
5H126BB10
5H126GG02
5H127AA10
5H127AC05
5H127AC07
5H127BA28
5H127BA57
5H127BA59
5H127BB13
5H127BB37
5H127BB38
5H127BB39
5H127DB52
5H127DC12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】過剰な反応物流量を低減させながら、リバランシングセルのフラッディングを低減させ、それによって運用コストを低下させる、レドックスフロー電池システム内でリバランシングセルを動作させる方法及びシステムを提供する。
【解決手段】一実施例では、レドックスフロー電池システムにおけるリバランシングセルを動作させる方法は、レドックスフロー電池システム内のレドックスフロー電池の充電状態(SOC)を測定することと、レドックスフロー電池の測定されたSOCから電解質濃度を計算することと、リバランシングセルにおいてリバランシング反応速度を維持することと、を含む。一実施例では、リバランシングを維持することは、電解質濃度における変化に応答して、リバランシングセルへの電解質流量を調整し、リバランシングセルへの水素流量を調整することを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レドックスフロー電池システム内でリバランシングセルを動作させる方法であって、
前記レドックスフロー電池システム内のレドックスフロー電池の充電状態(SOC)を測定することと、
前記レドックスフロー電池の前記測定されたSOCから電解質濃度を計算することと、
前記リバランシングセルにおいてリバランシング反応速度を維持することであって、
前記電解質濃度における変化に応答して、
前記リバランシングセルへの電解質流量を調整することと、
前記リバランシングセルへの水素流量を調整することと、を含む、維持することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記電解質濃度における前記変化に応答して、前記電解質流量を調整することが、前記電解質濃度が閾値電解質濃度を上回る場合を含む第3の状態の間の前記電解質濃度における増加に応答して、前記電解質流量を低減させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電解質濃度における前記変化に応答して、前記水素流量を調整することが、前記電解質濃度が前記閾値電解質濃度未満の場合を含む第1の状態の間の前記電解質濃度における前記増加に応答して、前記水素流量を増加させることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記電解質濃度における前記変化に応答して、前記電解質流量を調整することが、前記第1の状態の間に、前記電解質流量を上側閾値電解質流量に設定することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記電解質濃度における前記変化に応答して、前記水素流量を調整することが、前記第3の状態の間に、前記水素流量を上側閾値水素流量に設定することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記リバランシングセルにおいて前記リバランシング反応速度を維持することが、前記電解質流量を上側閾値電解質流量未満に維持することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記リバランシングセルにおいて前記リバランシング反応速度を維持することが、前記水素流量を、下側閾値水素流量を超えて維持することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記電解質濃度における前記変化に応答して、前記電解質流量を調整することが、前記電解質濃度が前記閾値電解質濃度にある場合を含む第2の状態の間に、前記電解質流量を上側閾値電解質流量に設定することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記電解質濃度における前記変化に応答して、前記水素流量を調整することが、前記第2の状態の間に、前記水素流量を上側閾値水素流量に設定することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記リバランシングセルにおいてリバランシング反応速度を維持することが、前記リバランシングセルへの電解質の質量流量に対する前記リバランシングセルへの水素ガスの質量流量の比を、閾値質量流量比を超えて維持することを含み、前記リバランシングセルへの前記電解質の前記質量流量に対する前記リバランシングセルへの前記水素ガスの前記質量流量の前記比を、前記閾値質量流量比を超えて維持することが、前記リバランシングセルにおいて前記電解質に対する水素ガスの化学量論的過剰を維持することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
レドックスフロー電池システムであって、
レドックスフロー電池と、
前記レドックスフロー電池に流体的に結合されたリバランシングセルと、
前記レドックスフロー電池と前記リバランシングセルとの間に流体的に結合された電解質フロー制御デバイスと、
前記レドックスフロー電池と前記リバランシングセルとの間に流体的に結合された水素フロー制御デバイスと、
コントローラであって、電解質の濃度における変化に応答して、
前記リバランシングセルに供給される前記電解質の流量を調整するために、前記電解質フロー制御デバイスを調節することと、
前記リバランシングセルに供給される水素の流量を調整するために、前記水素フロー制御デバイスを調節することと、を含む、前記リバランシングセルにおいて電解質リバランシング反応速度を維持することを行うための、前記コントローラの非一時的メモリ内に格納された実行可能な命令を含む、コントローラと、を備える、レドックスフロー電池システム。
【請求項12】
前記レドックスフロー電池が、全鉄レドックスフロー電池(IFB)を含み、前記電解質が、第二鉄イオンを含む、請求項11に記載のレドックスフロー電池システム。
【請求項13】
前記リバランシングセルが、電極アセンブリの積層体を含み、前記電極アセンブリの積層体の各電極アセンブリが、正電極と負電極の接合対を含み、前記電解質リバランシング反応速度が、前記リバランシングセルの前記正電極と前記負電極の接合対の内部電気短絡を介して駆動され、前記電解質及び前記水素が、電解質リバランシングセルを通って対流される、請求項11に記載のレドックスフロー電池システム。
【請求項14】
前記電解質フロー制御デバイスが、ポンプ及びフロー制御バルブのうちの1つを含む、請求項11に記載のレドックスフロー電池システム。
【請求項15】
前記水素フロー制御デバイスが、ベンチュリ噴射器及びブロワのうちの1つに結合された速度調節デバイスを含む、請求項11に記載のレドックスフロー電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、概して、レドックスフロー電池で使用するためのリバランシングセルのためのシステム、及びかかるリバランシングセルシステムを動作させるための方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
レドックスフロー電池は、電力と容量とを独立してスケーリングする能力があるため、グリッドスケールの蓄電アプリケーションに適しており、かつ、従来の電池技術と比較して、性能損失が少なくて数千サイクルにわたる充電及び放電に適している。全鉄ハイブリッドレドックスフロー電池は、低コストで地球に豊富に存在する材料を組み込むため、特に魅力的である。一般に、鉄レドックスフロー電池(IFB)は、電解質として鉄、塩、及び水に依存し、したがって、単純で、地球に豊富に存在し、安価な材料を含み、過酷な化学物質の組み込みを排除し、その環境フットプリントを低減する。
【0003】
IFBは、レドックス反応が生じる正(レドックス)電極、及び電解質中の第一鉄(Fe2+)が還元され、めっきされ得る負(めっき)電極を含み得る。IFBは、電解質の健全性及び電池容量を維持するために、複数のリバランシングセルを更に含み得る。一実施例では、電解質リバランシングは、リバランシングセルにおいて水素ガスで電解質を還元することによって生じる。具体的には、リバランシングセルの負側で供給される水素ガスは、リバランシングセルの正側で供給される液体電解質と接触する。リバランシングセルの負側での電解質フラッディングは、負側での水素ガス圧力が不十分な場合に生じる可能性がある。一実施例では、リバランシングセルにおける電解質リバランシング反応速度がより高く、リバランシングセルの負側に供給される水素が化学量論的量の水素未満である場合、水素ガス圧力が不十分であり得る。電解質フラッディングを軽減するために、リバランシングセルのサイズ又は体積を低減させて、より高い水素ガス圧力を維持することに役立てることができる。更に、電解質フラッディングを低減するために、リバランシングセルは、レドックスフロー電池システムの動作状態から独立して、リバランシングセルを動作させている間に、一定の過剰量の水素ガスをリバランシングセルに供給すること、及び/又は一定の電解質フローを維持することによって動作され得る。
【0004】
本発明者らは、上記のリバランシングセル動作のいくつかの欠点を認識している。特に、より小さいリバランシングセルは、とりわけ、リバランシングセルにおける水素ガスが過剰である可能性がある場合、低いレドックスフロー電池の充電状態の状態などの状態の間、より低いリバランシング反応速度を呈する。同様に、リバランシングセルを動作させながらリバランシングセルにおいて一定の電解質フローを維持するには、電解質の化学量論的量よりも低い電解質フローを維持する必要があり、これはリバランシングセルにおけるリバランシング反応速度を低下させ、それによってリバランシングセルの性能を低減させる。更に、リバランシングセルを動作させながらリバランシングセルに一定の過剰量の水素ガスを供給することは、運用コストを増加させる。更に、リバランシングセル内の過剰な水素ガスの存在は、寄生副反応の速度を増加させ、レドックスフロー電池システムの性能を低減させることにつながる。なお更に、リバランシングセルの電解質フラッディングを許可することは、レドックスフロー電池システムの性能を低減させ、リバランシングセルの耐用年数を短縮させる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施例では、上で説明された問題は、リバランシングセルシステムを動作させる方法によって少なくとも部分的に対処され得る。方法は、一実施例では、レドックスフロー電池システム内のレドックスフロー電池の充電状態(SOC)を測定することと、レドックスフロー電池の測定されたSOCから電解質濃度を計算することと、リバランシングセルにおいてリバランシング反応速度を維持することと、を含む。かかる例では、リバランシングセルにおいてリバランシング反応速度を維持することは、電解質濃度における変化に応答して、リバランシングセルへの電解質流量を調整することと、リバランシングセルへの水素流量を調整することと、を含む。一実施例では、リバランシングセルへの電解質流量を調整することは、電解質濃度が閾値電解質濃度を上回る場合、電解質濃度における増加に応答して、電解質流量を低減させることを含み得る。別の実施例では、水素流量を調整することは、電解質濃度が閾値電解質濃度を下回る場合、電解質濃度における増加に応答して、水素流量を増加させることを含み得る。このようにして、過剰な反応物流量を低減させながら、リバランシングセルのフラッディングを低減させることができ、それによって、運用コストを低下させることができる。更に、寄生副反応から生じる電力損失が減少し、それによって、全体的なレドックスフロー電池システム効率が増加する。
【0006】
上記の概要は、詳細な説明で更に説明される概念の抜粋を簡略化された形で導入するために提供されていることを理解されたい。これは、特許請求される主題の重要な又は本質的な特徴を特定することを意図せず、その範囲は、詳細な説明に続く特許請求の範囲によって一意に定義される。更に、特許請求される主題は、上記又は本開示のいずれかの部分に記述されるいずれかの不利点を解決する実装に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】レドックス及びそれぞれのリバランシングセルと流体的に結合されためっき電極を有する電池セルを含む、例示的なレドックスフロー電池システムの概略図を示す。
【
図2A】内部短絡電極アセンブリの積層体を含む、
図1のレドックスフロー電池システムのリバランシングセルの斜視図を示す。
【
図2B】内部短絡電極アセンブリの積層体を含む、
図1のレドックスフロー電池システムのリバランシングセルの斜視図を示す。
【
図3】
図2A及び
図2Bのリバランシングセルに関する電極アセンブリの分解図を示す。
【
図4A】
図2A及び
図2Bのリバランシングセル内の第1のH
2ガスフローパターンの断面図を示す。
【
図4B】
図2A及び
図2Bのリバランシングセル内の第1のH
2ガスフローパターンの拡大挿入図を示す。
【
図5A】
図2A及び
図2Bのリバランシングセルにおける第2のH
2ガスフローパターンの断面図を示す。
【
図5B】
図2A及び
図2Bのリバランシングセルにおける第2のH
2ガスフローパターンの拡大挿入図を示す。
【
図7A】
図2A及び
図2Bのリバランシングセルを含む、
図1のレドックスフロー電池システムの例示的な部分的なフロー構成を示す。
【
図7B】
図2A及び
図2Bのリバランシングセルを含む、
図1のレドックスフロー電池システムの例示的な部分的なフロー構成を示す。
【
図9】
図2A及び
図2Bのリバランシングセルを含む、
図1のレドックスフロー電池システムを動作させるための方法のフローチャートを示す。
【
図10】
図2A及び
図2Bのリバランシングセルを含む、
図1のレドックスフロー電池システムを動作させるための方法のフローチャートを示す。
【
図11A】pH対負電極めっき効率の例示的なプロットを示す。
【
図11B】レドックスフロー電池充電状態対開回路電圧の例示的なプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明は、直列のフロー配置にあるリバランシングセルを通して水素を分配するためのシステム及び方法に関する。リバランシングセルは、レドックスフロー電池の電解質の健全性及び容量を維持する。この機能を実施するために、リバランシングセルは、所望の反応速度をサポートするためにユニットへの十分な水素フローを必要とする。直列のフロー配置を使用すると、セルを通る水素流量が増加し、平行なフロー配置と比較してよりバランスのとれた水素分配を達成する。
【0009】
レドックスフロー電池は、別個の正及び負電解質チャンバを有する統合されたマルチチャンバタンクを用いて
図1に概略的に描写される。いくつかの実施例では、レドックスフロー電池は、全鉄フロー電池(IFB)の正(レドックス)電極及び負(めっき)電極の両方で鉄レドックス化学を利用するIFBであり得る。電解質チャンバは、1つ以上の電池セルに結合され得、各セルは正及び負電極を含む。そこから、電解質は、正及び負電極をそれぞれ収容する正及び負電極コンパートメントを通ってポンプされ得る。
【0010】
いくつかの実施例では、レドックスフロー電池は、ハイブリッドレドックスフロー電池であり得る。ハイブリッドレドックスフロー電池は、電極(例えば、負電極)上の固体層としての1つ以上の電気活性材料の堆積によって特徴付けられ得るレドックスフロー電池である。ハイブリッドレドックスフロー電池は、例えば、電池充電プロセス全体を通じて基板上に固体として電気化学反応を介してめっきし得る化学種を含み得る。電池放電中、めっきされた種は、更なる電気化学反応を介してイオン化し、電解質中に可溶性になり得る。ハイブリッドレドックスフロー電池システムでは、レドックスフロー電池の充電容量(例えば、蓄積される最大エネルギー量)は、電池充電中にめっきされた金属の量によって制限され得、したがって、めっきシステムの効率、並びにめっきに利用可能な体積及び表面積に依存し得る。
【0011】
いくつかの実施例では、レドックスフロー電池における電解不均衡は、プロトン還元及び鉄腐食などの水素(H
2)ガス生成反応を含む、所望のレドックス化学と競合する多数の副反応から生じ得る:
【数1】
【数2】
及び鉄めっきの酸化中に生成される過剰な第二鉄(Fe
3+)からの電荷不均衡:
【数3】
式(1)~(3)の反応は、鉄めっきを制限し、それによって全体的な電池容量を減少させ得る。かかる不均衡に対処するために、電解質リバランシングを活用して、単一のレドックス反応を介してFe
3+を還元し、過剰なH
2ガスを除去し得る:
Fe
3++1/2H
2→Fe
2++H
+ (電解質リバランシング) (4)
【0012】
本明細書の実施形態によって説明されるように、相対的に高性能用途のための十分なFe
3+還元速度は、
図3の例示的な電極アセンブリなどの内部短絡電極アセンブリの積層体を含む、
図2A及び
図2Bの例示的なリバランシングセルなどのリバランシングセルを介して確実に達成され得る。
図4A及び
図4Bは、リバランシングセル内の第1のH
2ガスフローパターンを描写し、H
2ガスは、負電極を横切り、水素ガス出口ポートに流動する。
図5A及び
図5Bは、リバランシングセル内の第2のH
2ガスフローパターンを描写し、ここで、水素ガス出口ポートは閉鎖され、H
2ガスは、正電極を横切り、水素ガスリリーフポートに流動する。
図6A及び
図6Bは、リバランシングセル内の電解質フローの態様を描写し、電解質は、重力供給及び毛細管作用の組み合わせを介して(追加的又は代替的に、負電極を横切るH
2ガスの対流に類似して、内部短絡電極アセンブリの正電極を横切り分配され得る。
図7A及び
図7Bは、
図2A及び
図2Bのリバランシングセルとの間の電解質及び水素フロー構成を含む、
図1のレドックスフロー電池システムの部分的なフロー構成を描写する。
図8A及び
図8Bは、セル及びレドックスフロー電池システムの動作状態のリバランシングのプロットを描写する。リバランシングセルシステムを動作させる例示的な方法は、
図9及び
図10に描写される。レドックスフロー電池充電状態は、レドックスフロー電池めっき効率、シャント電流、及び開回路電圧充電状態に基づいて、判定され得る。めっき効率は、
図11A及び
図11Bのプロットによって例解されるように、pHと相関し得、開回路電圧充電状態は、レドックスフロー電池の開回路電圧と相関し得る。
【0013】
図1に示されるように、レドックスフロー電池11を有するレドックスフロー電池システム10において、負電極26は、めっき電極と呼ばれ得、正電極28は、レドックス電極と呼ばれ得る。レドックスフロー電池セル18のめっき側(例えば、負電極コンパートメント20)内の負電解質は、めっき電解質と呼ばれ得、レドックスフロー電池セル18のレドックス側(例えば、正電極コンパートメント22)上の正電解質は、レドックス電解質と呼ばれ得る。
【0014】
「アノード」は、電気活性材料が電子を失う電極を指し、「カソード」は、電気活性材料が電子を獲得する電極を指す。電池充電中、負電解質は、負電極26で電子を獲得し、負電極26は、電気化学反応のカソードである。電池放電中、負電解質は電子を失い、負電極26は、電気化学反応のアノードである。代替的には、電池放電中、負電解質及び負電極26は、それぞれ、電気化学反応のアノード液及びアノードと呼ばれ得、一方、正電解質及び正電極28は、それぞれ、電気化学反応のカソード液及びカソードと呼ばれ得る。電池充電中、負電解質及び負電極26は、それぞれ、電気化学反応のカソード液及びカソードと呼ばれ得、一方、正電解質及び正電極28は、それぞれ、電気化学反応のアノード液及びアノードと呼ばれ得る。簡潔にするために、「正」及び「負」という用語は、レドックスフロー電池システムにおける電極、電解質、及び電極コンパートメントを指すために本明細書で使用される。
【0015】
ハイブリッドレドックスフロー電池の一例は、全鉄レドックスフロー電池(IFB)であり、電解質は、鉄塩(例えば、FeCl
2、FeCl
3など)の形態の鉄イオンを含み、負電極26は、金属鉄を含む。例えば、負電極26において、第一鉄(Fe
2+)は、電池充電中に2つの電子を獲得し、鉄金属(Fe
0)として負電極26上にめっきし、Fe
0は、電池放電中に2つの電子を失い、Fe
2+として再溶解する。正電極28において、Fe
2+は、電池充電中に電子を失って、第二鉄(Fe
3+)を形成し、Fe
3+は、電池放電中に電子を獲得して、Fe
2+を形成する。電気化学反応は、式(5)及び式(6)に要約され、ここで、順方向反応(左から右)は、電池充電中の電気化学反応を示し、一方、逆方向反応(右から左)は、電池放電中の電気化学反応を示す:
【数4】
【数5】
【0016】
上述のように、IFBで使用される負電解質は、電池充電中に、Fe2+が負電極26から2つの電子を受け入れて、Fe0を形成し、基板上にめっきし得るように、十分な量のFe2+を提供し得る。電池放電中、めっきされたFe0は、2つの電子を失い、Fe2+にイオン化し、電解質に溶解して戻り得る。上記反応の平衡電位は-0.44Vであり、したがって、この反応は所望のシステムに負の端子を提供する。IFBの正側では、電解質は、電子を失い、Fe3+に酸化する電池充電中にFe2+を提供し得る。電池放電中、電解質によって提供されるFe3+は、正電極28によって提供される電子を吸収することによってFe2+になる。この反応の平衡電位は+0.77Vであり、所望のシステムに正の端子を作成する。
【0017】
IFBは、非再生電解質を利用する他の電池タイプとは対照的に、その中で電解質を充電及び再充電する能力を提供し得る。充電は、端子40及び42を介して電極26及び28を横切ってそれぞれ電流を印加することによって達成され得る。負電極26は、(例えば、正電極コンパートメント22内の正電解質中でFe2+が、Fe3+に酸化されるように)電子が正電極28を介して負電解質に送達され得るように、端子40を介して電圧源の負側に電気的に結合され得る。負電極26に提供される電子は、負電解質中のFe2+を還元して、(めっき)基板にFe0を形成し得、Fe2+を負電極26上にめっきさせる。
【0018】
放電は、Fe0が酸化のために負電解質に利用可能なままである間、及びFe3+が還元のために正電解質において利用可能なままである間、持続し得る。一例として、Fe3+利用可能性は、外部正電解質チャンバ52などの外部供給源を介して追加のFe3+イオンを提供するために、レドックスフロー電池セル18の正電極コンパートメント22側の正電解質の濃度又は体積を増加させることによって維持され得る。より一般的には、放電中のFe0の利用可能性は、IFBシステムで問題となり得、放電のために利用可能なFe0は、負電極基板の表面積及び体積、並びにめっき効率に比例し得る。充電容量は、負電極コンパートメント20内のFe2+の利用可能性に依存し得る。一例として、Fe2+利用可能性は、外部負電解質チャンバ50などの外部供給源を介して追加のFe2+イオンを提供して、レドックスフロー電池セル18の負電極コンパートメント20側への負電解質の濃度又は体積を増加させることによって維持され得る。
【0019】
IFBでは、正電解質は、第一鉄、第二鉄、第二鉄錯体、又はそれらの任意の組み合わせを含み得、一方、負電解質は、IFBシステムの充電状態(SOC)に応じて、第一鉄又は第一鉄錯体を含み得る。前述のように、負電解質及び正電解質の両方における鉄イオンの利用は、レドックスフロー電池セル18の両側で同じ電解質種の利用を可能にし得、これは、電解質交差汚染を低減し得、IFBシステムの効率を高め得、その結果、他のレドックスフロー電池システムと比較して電解質交換が少なくなる。
【0020】
IFBにおける効率損失は、セパレータ24(例えば、イオン交換膜バリア、微孔性膜、など)を通る電解質交差から生じ得る。例えば、正電解質中のFe3+イオンは、Fe3+イオン濃度勾配及びセパレータ24を横切る電気泳動力によって負電解質に向かって駆動され得る。その後、セパレータ24を貫通し、負電極コンパートメント20に交差するFe3+イオンは、クーロン効率損失をもたらし得る。低pHレドックス側(例えば、より酸性の正電極コンパートメント22)から高pHめっき側(例えば、酸性の低い負電極コンパートメント20)に交差するFe3+イオンは、Fe(OH)3の沈殿をもたらし得る。Fe(OH)3の沈殿は、セパレータ24を劣化させ、永久的な電池性能及び効率の損失を引き起こす可能性がある。例えば、Fe(OH)3沈殿物は、イオン交換膜の有機官能基を化学的に汚すか、又はイオン交換膜の微細孔を物理的に詰まらせる場合がある。いずれの場合も、Fe(OH)3沈殿物のために、膜のオーム抵抗が時間の経過とともに上昇し、電池の性能が低下する可能性がある。沈殿物は、IFBを酸で洗浄することによって除去され得るが、一定のメンテナンス及びダウンタイムは、商業用電池用途にとって不利であり得る。更に、洗浄は、電解質の定期的な調製に依存し得、追加の処理コスト及び複雑さに寄与する。代替的には、電解質のpH変化に応答して正電解質及び負電解質に特定の有機酸を添加することは、全体的なコストを押し上げることなく、電池充電及び放電サイクリング中の沈殿物の形成を軽減し得る。追加的に、Fe3+イオン交差を抑制する膜バリアを実装することはまた、汚れを軽減し得る。
【0021】
追加のクーロン効率の損失が、H+(例えば、プロトン)の還元及びその後のH2ガスの形成、並びに負電極コンパートメント20内のプロトンと、負電極26のめっきされた鉄金属に供給される電子との反応によって引き起こされて、H2ガスを形成し得る。
【0022】
IFB電解質(例えば、FeCl2、FeCl3、FeSO4、Fe2(SO4)3、など)は、容易に入手可能であり得、低コストで生成され得る。一実施例では、IFB電解質は、塩化第一鉄(FeCl2)、塩化カリウム(KCl)、塩化マンガン(II)(MnCl2)、及びホウ酸(H3BO3)から形成され得る。IFB電解質は、負電解質及び正電解質に同じ電解質が使用され得るため、より高い再利用値を提供し得、結果として、他のシステムと比較して交差汚染の問題を低減する。更に、鉄の電子配置のため、鉄は、負電極基板へのめっき中に概して均一な固体構造に固化する可能性がある。ハイブリッドレドックス電池で一般的に使用される亜鉛及び他の金属の場合、めっき中に固体樹枝状構造が形成される場合がある。IFBシステムの安定した電極形態は、他のレドックスフロー電池と比較して電池の効率を高め得る。なお更に、鉄レドックスフロー電池は、有毒な原材料の使用を低減し得、他のレドックスフロー電池電解質と比較して比較的中性のpHで動作し得る。したがって、IFBシステムは、生産中の他の全ての現在の先進的なレドックスフロー電池システムと比較して、環境有害性を低減し得る。
【0023】
図1を続けると、レドックスフロー電池システム10の概略図が示されている。レドックスフロー電池システム10は、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110に流体的に結合されたレドックスフロー電池セル18を含み得る。レドックスフロー電池セル18は、負電極コンパートメント20、セパレータ24、及び正電極コンパートメント22を含み得る。セパレータ24は、電気絶縁イオン伝導障壁を含み得、これは、特定のイオンの伝導を可能にしながら、正電解質と負電解質とのバルク混合を防止する。例えば、上述したように、セパレータ24は、イオン交換膜及び/又は微孔性膜を含み得る。
【0024】
負電極コンパートメント20は、負電極26を含み得、負電解質は、電気活性材料を含み得る。正電極コンパートメント22は、正電極28を含み得、正電解質は、電気活性材料を含み得る。いくつかの実施例では、多数のレドックスフロー電池セル18を直列又は並列に組み合わせて、レドックスフロー電池システム10でより高い電圧又は電流を生成し得る。
【0025】
図1に更に図示されているのは、負及び正電解質ポンプ30及び32であり、両方とも、レドックスフロー電池システム10を通して電解質溶液をポンプするために使用される。電解質は、セルの外部の1つ以上のタンクに貯蔵され、それぞれ、レドックスフロー電池セル18の負電極コンパートメント20側及び正電極コンパートメント22側を通して、負及び正電解質ポンプ30及び32を介してポンプされる。
【0026】
レドックスフロー電池システム10はまた、第1のバイポーラプレート36及び第2のバイポーラプレート38を含み得、各々は、それぞれ、負電極26及び正電極28の背面側、例えば、セパレータ24に面する側の反対側、に沿って位置付けられる。第1のバイポーラプレート36は負電極26と接触し得、第2のバイポーラプレート38は正電極28と接触し得る。しかしながら、他の実施例では、バイポーラプレート36及び38は、電極26及び28に近接して配列され得るが、電極26及び28から離間され、それぞれの電極コンパートメント20及び22内に収容されてもよい。いずれの場合も、バイポーラプレート36及び38は、それぞれ、負及び正電極26及び28との直接接触を介して、又は負及び正電極26及び28を介して、それぞれ、端子40及び42に電気的に結合され得る。
【0027】
IFB電解質は、バイポーラプレート36及び38の材料の導電特性に起因して、第1及び第2のバイポーラプレート36及び38によって、負及び正電極26及び28の反応部位に輸送され得る。電解質のフローはまた、負及び正電解質ポンプ30及び32によって補助され得、レドックスフロー電池セル18を通る強制対流を容易にする。反応した電気化学種はまた、強制対流並びに第1及び第2のバイポーラプレート36及び38の存在の組み合わせによって、反応部位から離れるように導かれ得る。
【0028】
図1に例解されるように、レドックスフロー電池セル18は、負の電池端子40及び正の電池端子42を更に含み得る。充電電流が電池端子40及び42に印加されると、正電解質は正電極28で酸化され得(1つ以上の電子を失う)、負電解質は負電極26で還元され得る(1つ以上の電子を獲得する)。電池放電中に、逆レドックス反応が電極26及び28上で生じ得る。言い換えれば、正電解質は、正電極28で還元され得(1つ以上の電子を獲得する)、負電解質は、負電極26で酸化され得る(1つ以上の電子を失う)。電池を横切る電位差は、正電極コンパートメント22及び負電極コンパートメント20における電気化学的レドックス反応によって維持され得、反応が持続している間、集電体を通る電流を誘導し得る。レドックス電池によって貯蔵されたエネルギーの量は、電解質の総量及び電気活性材料の溶解度に応じて、放電のために電解質中で利用可能な電気活性材料の量によって制限され得る。
【0029】
レドックスフロー電池システム10は、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110を更に含み得る。マルチチャンバ電解質貯蔵タンク110は、バルクヘッド98によって分割され得る。バルクヘッド98は、正及び負電解質の両方が単一のタンク内に含まれ得るように、マルチチャンバ電解質貯蔵タンク110内に多数のチャンバを作成し得る。負電解質チャンバ50は、電気活性材料を含む負電解質を保持し、正電解質チャンバ52は、電気活性材料を含む正電解質を保持する。バルクヘッド98は、負電解質チャンバ50と正電解質チャンバ52との間に所望の体積比をもたらすように、マルチチャンバ電解質貯蔵タンク110内に位置付けられ得る。一実施例では、バルクヘッド98は、負のレドックス反応と正のレドックス反応との間の化学量論比に従って、負電解質チャンバ50及び正電解質チャンバ52の体積比を設定するように位置付けられ得る。
図1は、マルチチャンバ電解質貯蔵タンク110の充填高さ112を更に図示し、これは、各タンクコンパートメント内の液体レベルを示し得る。
【0030】
図1はまた、負電解質チャンバ50の充填高さ112の上に位置するガスヘッドスペース90、及び正電解質チャンバ52の充填高さ112の上に位置するガスヘッドスペース92を示す。ガスヘッドスペース92は、レドックスフロー電池の動作を通じて(例えば、プロトン還元及び鉄腐食の副反応により)生成され、レドックスフロー電池セル18から戻る電解質とともにマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110に運ばれるH
2ガスを貯蔵するために利用され得る。H
2ガスは、マルチチャンバ電解質貯蔵タンク110内の気体-液体境界部(例えば、充填高さ112)で自然に分離され得、それによって、レドックスフロー電池システム10の一部として追加の気体-液体セパレータを有することを排除する。電解質から分離されると、H
2ガスは、ガスヘッドスペース90及び92を満たし得る。こうして、貯蔵されたH
2ガスは、マルチチャンバ電解質貯蔵タンク110から他のガスをパージするのに役立ち得、それによって、電解質種の酸化を低減するための不活性ガスブランケットとして機能し、これは、レドックスフロー電池容量損失を低減するのに役立ち得る。このようにして、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110を利用することは、従来のレドックスフロー電池システムに共通の別個の負及び正電解質貯蔵タンク、水素貯蔵タンク、及び気体-液体セパレータを有することを放棄し得、それによって、システム設計を簡素化し、レドックスフロー電池システム10の物理的フットプリントを低減し、システムコストを低減する。
【0031】
図1はまた、スピルオーバホール96を示し、これは、ガスヘッドスペース90と92との間のバルクヘッド98に開口部を作成し得、チャンバ50と52との間でガス圧力を均等化する手段を提供し得る。スピルオーバホール96は、充填高さ112の上の閾値高さに位置付けられ得る。スピルオーバホール96は、電池クロスオーバが発生した場合に、負及び正電解質チャンバ50及び52の各々における電解質の自己バランスをとる能力を更に可能にし得る。全鉄レドックスフロー電池システムの場合、同じ電解質(Fe
2+)が、負及び正電極コンパートメント20及び22の両方で使用され、それにより負電解質チャンバ50と正電解質チャンバ52との間の電解質のスピルオーバは、全体的なシステム効率を低減させる可能性があるが、全体的な電解質組成、電池モジュール性能、及び電池モジュール容量が維持され得る。
【0032】
フランジ管継手が、漏れのない連続的に加圧された状態を維持するために、入口及び出口のマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110との間の全ての配管接続に利用され得る。マルチチャンバ電解質貯蔵タンク110は、負及び正電解質チャンバ50及び52の各々からの少なくとも1つの出口、並びに負及び正電解質チャンバ50及び52の各々への少なくとも1つの入口を含み得る。更に、1つ以上の出口接続が、H
2ガスをリバランシングセル80及び82に導くために、ガスヘッドスペース90及び92から提供され得、その結果、リバランシングセル80及び82が、それぞれ、ガスヘッドスペース90及び92に流体的に結合され得る。電解質及びH
2ガスは、電解質の健全性及び電池容量を維持するために、リバランシングセル80及び82を通って循環し得る。水素ガスのフローのアーキテクチャは、
図2A~
図2B、
図4A~
図4B、及び
図5A~
図5Bに関して本明細書で展開される。
【0033】
図1には示されていないが、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110は、負電解質チャンバ50及び正電解質チャンバ52の各々に熱的に結合された1つ以上のヒータを更に含み得る。代替の例では、負及び正電解質チャンバ50及び52のうちの1つだけが、1つ以上のヒータを含んでもよい。正電解質チャンバ52のみが1つ以上のヒータを含む場合には、負電解質は、レドックスフロー電池セル18において生成される熱を負電解質に伝達することによって加熱されてもよい。このようにして、レドックスフロー電池セル18は、負電解質を加熱し、負電解質の温度調節を容易にし得る。1つ以上のヒータは、コントローラ88によって作動されて、負電解質チャンバ50及び正電解質チャンバ52の温度を独立して又は一緒に調節し得る。例えば、閾値温度を下回る電解質温度に応答して、コントローラ88は、電解質への熱流束が増加し得るように、1つ以上のヒータに供給される電力を増加させ得る。電解質温度は、センサ60及び62などのマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110に取り付けられた1つ以上の温度センサによって示され得る。
【0034】
例として、1つ以上のヒータは、電解質流体に浸漬されたコイル型ヒータ若しくは他の浸漬ヒータ、又はその中の流体を加熱するために負及び正電解質チャンバ50及び52の壁を通して熱を伝導的に伝達する表面マントル型ヒータを含み得る。本開示の範囲から逸脱することなく、他の既知のタイプのタンクヒータが使用されてもよい。更に、コントローラ88は、固体充填閾値レベルを下回る液体レベルに応答して、負及び正電解質チャンバ50及び52内の1つ以上のヒータを非アクティブ化し得る。別の方法で言えば、いくつかの実施例では、コントローラ88は、固体充填閾値レベルを上回る液体レベルに応答してのみ、負及び正電解質チャンバ50及び52内の1つ以上のヒータをアクティブ化し得る。このようにして、負及び/又は正電解質チャンバ50、52内に十分な液体なしで1つ以上のヒータをアクティブ化することは回避され得、それによって、ヒータの過熱又は焼損のリスクを低減する。
【0035】
なお更に、1つ以上の入口接続が、フィールド水和システムから負及び正電解質チャンバ50及び52の各々に提供され得る。このようにして、フィールド水和システムは、最終使用場所での、レドックスフロー電池システム10の設置、充填、及び水和を含む、レドックスフロー電池システム10の試運転を容易にし得る。更に、最終使用場所でレドックスフロー電池システム10を試運転する前に、レドックスフロー電池システム10は、レドックスフロー電池システム10を最終使用場所に配送する前に、レドックスフロー電池システム10を充填及び水和することなく、最終使用場所とは異なる電池製造施設で乾式組み立てされ得る。一実施例では、最終使用場所は、レドックスフロー電池システム10が設置され、オンサイトエネルギー貯蔵のために利用される場所に対応し得る。言い換えれば、レドックスフロー電池システム10は、いったん最終使用場所に設置され、水和されると、レドックスフロー電池システム10の位置が固定され、レドックスフロー電池システム10がもはやポータブルな乾式システムとみなされなくてもよいように設計され得る。したがって、エンドユーザの観点から、乾式のポータブルレドックスフロー電池システム10は、現場に配送されてもよく、その後、レドックスフロー電池システム10は、設置、水和、及び試運転されてもよい。水和の前に、レドックスフロー電池システム10は、乾式のポータブルシステムと呼ばれ得、レドックスフロー電池システム10は、水及び湿った電解質を含まないか、又はない。水和されると、レドックスフロー電池システム10は、湿式の非ポータブルシステムと呼ばれ得、レドックスフロー電池システム10は、湿った電解質を含む。
【0036】
図1に更に例解されているように、最初にマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110内に貯蔵された電解質溶液は、負及び正電解質ポンプ30及び32を介して、レドックスフロー電池システム10全体にポンプされ得る。負電解質チャンバ50に貯蔵された電解質は、負電解質ポンプ30を介してレドックスフロー電池セル18の負電極コンパートメント20側を通ってポンプで送り込まれ得、正電解質チャンバ52に貯蔵された電解質は、正電解質ポンプ32を介してレドックスフロー電池セル18の正電極コンパートメント22側を通ってポンプされ得る。
【0037】
電解質リバランシングセル80及び82(例えば、反応器)は、それぞれ、レドックスフロー電池システム10内のレドックスフロー電池セル18の負及び正側で、電解質の再循環流路とインライン又は並行して接続され得る。1つ以上のリバランシング反応器は、電池の負及び正側で電解質の再循環流路とインラインに接続されてもよく、他のリバランシング反応器は、冗長性のために(例えば、リバランシング反応器は、電池及びリバランシング動作を中断することなく保守され得る)、及び増加したリバランシング容量のために、並行して接続され得る。一実施例では、電解質リバランシングセル80及び82は、それぞれ、負及び正電極コンパートメント20及び22から負及び正電解質チャンバ50及び52への戻り流路内に配置されてもよい。電解質リバランシングセル80及び82は、本明細書に記載されるように、副反応、イオン交差などのために生じるレドックスフロー電池システム10における電解質充電の不均衡をリバランシングするのに役立ち得る。
【0038】
図1に示されるように(並びに
図7A及び
図7Bを参照して更に説明されるように)、負電解質ポンプ30によって負電解質チャンバからポンプされる液体電解質の少なくとも一部分は、負電極コンパートメント20の上流からリバランシングセル80に流用され得る。電解質フロー制御デバイス76は、負電解質ポンプ30とリバランシングセル80との間に位置付けられて、リバランシングセル80に流用された電解質のフローを調節し得る。同様に、正電解質ポンプ32によって正電解質チャンバからポンプされた液体電解質の一部分は、正電極コンパートメント22の上流からリバランシングセル82に流用され得る。電解質フロー制御デバイス78は、正電解質ポンプ32とリバランシングセル82との間に位置付けられて、リバランシングセル82に流用された電解質のフローを調節し得る。電解質フロー制御デバイス76及び78は、コントローラ88に通信可能に結合される。このように、コントローラ88は、電解質フロー制御デバイス76及び78によって、それぞれリバランシングセル80及び82に流用された電解質のフローを調節し得る。
図9及び
図10を参照して更に説明されるように、コントローラ88は、電解質フロー制御デバイス76及び78を調節して、リバランシングセル80及び82でリバランシング反応速度を維持し得る。
【0039】
一実施例では、リバランシングセル80及び82のうちの一方又は両方は、トリクルベッド反応器を含み得、ここで、H2ガス及び(液体)電解質は、電解質リバランシング反応を実行するために、充填床内の触媒表面で接触され得る。追加的又は代替的に、リバランシングセル80及び82の一方又は両方は、ゼリーロール内で構成された触媒床を有し得る。追加的又は代替的な例では、リバランシングセル80及び82のうちの一方又は両方は、H2ガスと電解質とを接触させ、充填された触媒床なしで電解質リバランシング反応を実行することができるフロースルー型反応器を含み得る。しかしながら、電解質リバランシング中のより低いFe3+還元速度(例えば、約1~3mol/m2時間)は、高性能用途におけるかかるリバランシング反応器構成の実装を妨げる可能性がある。
【0040】
他の実施例では、リバランシングセル80及び82の一方又は両方は、燃料電池を含み得、ここで、H2ガス及び電解質は、電解質リバランシング反応を実行するために触媒表面で接触され得、閉回路は、外部負荷を通して燃料セルから電流を導くことによって形成され得る。しかしながら、かかる燃料セルにおける逆電流スパイク(例えば、逆電流の一時的な増加、「逆電流」は、予想とは反対の(すなわち、「前方」方向とは反対の)方向において電気経路に沿って移動する任意の電流を指すために本明細書で使用され得る)は、特定の状況では避けられず、かかるリバランシング反応構成の信頼性を損なう可能性がある。
【0041】
リバランシングセル80及び82の全体的な信頼性を犠牲にすることなくFe
3+還元速度を増加させるために、本開示の実施形態は、内部電流、対流、重力供給、及び毛細管作用の組み合わせを介して触媒表面で反応するように、H
2ガス及び電解質を駆動するように構成された、
図3の電極アセンブリなどの内部短絡電極アセンブリの積層体を含む、
図2A及び
図2Bのリバランシングセルなどのリバランシングセルを提供する。本明細書において説明される実施形態では、内部短絡電極アセンブリの積層体の電極アセンブリは、リバランシングセルの動作中に、電流が内部短絡電極アセンブリの積層体から離れるように導かれないという点で、「内部短絡された」と呼ばれ得る。かかる内部電気短絡は、Fe
3+の還元速度を劇的に増加させ(例えば、約50~70mol/m
2時間ほど)、付随して副反応速度(例えば、式(1)~(3)の反応速度)を減少させながら、逆電流スパイクを低減させるか又は排除し得る。更に、内部短絡電極アセンブリの積層体の各電極アセンブリは、内部短絡電極アセンブリの積層体の各他方の電極アセンブリから電気的に分離され得、その結果、1つの電極アセンブリでの電流スパイク中の内部短絡電極アセンブリの積層体への劣化がそれに限定され得る(例えば、逆電流は、他の電極アセンブリを通じて1つの電極アセンブリから駆動され得ない)。かかる場合、単一の劣化した電極アセンブリは、内部短絡電極アセンブリの積層体から容易に除去され、非劣化電極アセンブリと交換され得る。
【0042】
内部短絡回路を実現するために、内部短絡電極アセンブリの積層体の各電極アセンブリは、正電極と負電極の接合対を含み得る(例えば、連続的に導電性であるように互いに面共有接触で構成される)。本明細書で使用される場合、一対の第1及び第2の構成要素(例えば、電極アセンブリの正及び負の電極)は、第1の構成要素が第2の構成要素に隣接して配置される場合、互いに「接合している」として説明され得、その結果、第1及び第2の構成要素が、互いに面共有接触する(「隣接する」とは、それらの間に介在する構成要素を有しない任意の2つの構成要素を指すために本明細書で使用される)。更に、本明細書で使用される場合、複数の電極の導電性を説明する場合の「連続的な」は、複数の電極の任意の面共有接合で効果的又は実用的にゼロ抵抗を有する、内部を通る電気経路を指し得る。
【0043】
例示的な実施形態では、(正の)リバランシングセル82は、内部短絡電極アセンブリの積層体を含むリバランシングセルであり得る。電池充電中に正電極28で著しい量のFe3+が生成され得るため、より高いFe3+還元速度は、正電解質をリバランシングするために望ましい場合がある(式(6)を参照)。追加的又は代替的な実施形態では、(負の)リバランシングセル80は、同様の構成であり得る[Fe3+は、鉄めっき酸化中に負電極26で生成され得る(式(3)を参照)]。
【0044】
レドックスフロー電池システム10の動作中、センサ及びプローブは、電解質のpH、濃度、SOC、などのような電解質の化学特性を監視及び制御し得る。例えば、
図1に図示されるように、センサ62及び60は、それぞれ正電解質チャンバ52及び負電解質チャンバ50で正電解質及び負電解質の状態を監視するように位置付けられ得る。別の例では、センサ62及び60は各々、それぞれ正電解質チャンバ52及び負電解質チャンバ50内の電解質のレベルを示すために、1つ以上の電解質レベルセンサを含んでもよい。別の例として、また
図1に図示されたセンサ72及び70は、それぞれ正電極コンパートメント22及び負電極コンパートメント20における正電解質及び負電解質の状態を監視し得る。センサ72及び70は、pHプローブ、光学プローブ、圧力センサ、電圧センサ、などであり得る。センサは、電解質化学的特性及び他の特性を監視するために、レドックスフロー電池システム10全体の他の場所に位置付けられてもよいことが理解されるであろう。
【0045】
例えば、センサは、外部酸タンクの酸量又はpHを監視するために外部酸タンク内に位置付けられてもよく、外部酸タンクからの酸は、電解質中の沈殿物形成を低減するために、外部ポンプを介してレドックスフロー電池システム10に供給され得る。追加の外部タンク及びセンサは、他の添加剤をレドックスフロー電池システム10に供給するために設置されてもよい。例えば、フィールド水和システムの温度、導電率、及びレベルセンサを含む様々なセンサは、コントローラ88に信号を送信し得る。更に、コントローラ88は、レドックスフロー電池システム10の水和中に、フィールド水和システムのバルブ及びポンプなどのアクチュエータに信号を送信し得る。センサ情報は、コントローラ88に送信され得、それは次に、ポンプ30及び32を作動させて、レドックスフロー電池セル18を通る電解質フローを制御するか、又は例として他の制御機能を実行し得る。このようにして、コントローラ88は、センサ及びプローブの1つ又は組み合わせに応答し得る。
【0046】
レドックスフロー電池システム10は、H
2ガスの供給源を更に含み得る。一実施例では、H
2ガスの供給源は、別個の専用水素ガス貯蔵タンクを含み得る。
図1の実施例では、H
2ガスは、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110に貯蔵され、そこから供給されてもよい。統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110は、正電解質チャンバ52及び負電解質チャンバ50に追加のH
2ガスを供給し得る。統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110は、電解質リバランシングセル80及び82の入口に追加のH
2ガスを交互に並びに/又は追加的に供給し得る。一実施例として、コントローラ88に通信可能に結合され、コントローラ88によって制御される水素ガスフロー制御デバイス66及び68は、それぞれ、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110からリバランシングセル80及び82へのH
2ガスのフローを調節し得る。
図1に示されるように(
図7A及び
図7Bを参照して更に説明される)、水素ガスフロー制御デバイス66及び68は、それぞれ、マルチチャンバ電解質貯蔵タンク110のガスヘッドスペース90及び92とリバランシングセル80及び82との間に流体的に結合され得る。
図9及び
図10を参照して更に説明されるように、コントローラ88は、水素ガスフロー制御デバイス66及び68を調節して、リバランシング反応器80及び82でリバランシング反応速度を維持し得る。
【0047】
統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110は、レドックスフロー電池システム10内で生成されたH2ガスを補足し得る。例えば、レドックスフロー電池システム10においてガス漏れが検出された場合、又は低水素分圧で還元反応速度(例えば、Fe3+還元速度)が低すぎる場合、H2ガスは、正電解質及び負電解質中の電気活性材料のSOCをリバランシングさせるために、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110から供給され得る。一実施例として、コントローラ88は、pHの測定された変化に応答して、又は電解質若しくは電気活性材料のSOCにおける測定された変化に応答して、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110からH2ガスを供給し得る。
【0048】
例えば、負電解質チャンバ50、又は負電極コンパートメント20のpHにおける増加は、H2がレドックスフロー電池システム10から漏れていること、及び/又は利用可能な水素分圧では反応速度が遅すぎることを示し得、コントローラ88は、pHの増加に応答して、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110からレドックスフロー電池システム10へのH2ガスの供給を増加させ得る。更なる実施例として、コントローラ88は、pH変化に応答して、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110からH2ガスを供給し得、pHは、第1の閾値pHを超えて増加するか、又は第2の閾値pHを超えて減少する。IFBの場合、コントローラ88は、追加のH2を供給して、Fe3+イオンの還元速度及びプロトンの生成速度を増加させ、それによって正電解質のpHを低減させ得る。更に、負電解質のpHは、正電解質から負電解質に交差するFe3+イオンの水素還元によって、又はプロトン濃度勾配及び電気泳動力に起因して負電解質に交差する正の側で生成されるプロトンによって低下され得る。このようにして、負電解質のpHは、Fe(OH)3としてFe3+イオン(正電極コンパートメント22から交差する)の沈殿のリスクを低減しながら、安定した領域内に維持され得る。
【0049】
酸素還元電位(ORP)メータ又は光学センサなどの他のセンサによって検出される、電解質pHの変化又は電解質SOCの変化に応答して、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110からのH2ガスの供給速度を制御するための他の制御スキームが、実装され得る。なお更に、pH又はコントローラ88のSOCトリガアクションの変化は、変化率又はある期間にわたって測定された変化に基づき得る。変化率の期間は、レドックスフロー電池システム10の時定数に基づいて予め決定又は調整され得る。例えば、再循環速度が高い場合、期間を短縮することができ、時定数が小さい場合があるため、濃度の局所変化(例えば、副反応又はガス漏れに起因する)は迅速に測定され得る。
【0050】
コントローラ88は、レドックスフロー電池システム10の動作モードに基づいて制御スキームを更に実行し得る。例えば、
図9及び
図10を参照して下記で詳細に考察されるように、上で説明されたようにリバランシングセル80及び82へのH
2ガスのフローを制御することと並行して、コントローラ88は、レドックスフロー電池システム内のH
2ガス及びFe
3+イオンの過剰濃度を同時に低減させるように、レドックスフロー電池セル18の充電及び放電中に、それぞれ、リバランシングセル80及び82への負及び正電解質のフローを制御し得る。電解質リバランシングの後、コントローラ88は、リバランシングセル80及び82から、リバランシングされた負及び正電解質(例えば、Fe
3+の減少した濃度及びFe
2+の増加した濃度を含む)とともに、任意の過剰又は未反応のH
2のフローを、マルチチャンバ電解質貯蔵タンク110のそれぞれの電解質チャンバ50及び52に戻るように導き得る。追加的又は代替的に、未反応のH
2ガスは、別個の専用水素ガス貯蔵タンクに戻されてもよい。
【0051】
別の例として、コントローラ88は、システムコンディショニング中に負電極26で鉄の予備成形を引き起こすように、レドックスフロー電池セル18の充電及び放電を更に制御し得る(システムコンディショニングは、電池サイクリングの外でレドックスフロー電池システム10の電気化学的性能を最適化するために用いられる動作モードを含み得る)。すなわち、システムコンディショニング中、コントローラ88は、負電極26上に鉄金属をめっきするようにレドックスフロー電池システム10の1つ以上の動作状態を調整して、それに続く電池サイクリング中に電池充電容量を増加し得る(このため、鉄金属は、電池サイクリングのために予め形成され得る)。このようにして、負電極26で鉄を予め形成し、システムコンディショニング中に電解質リバランシングを実行することは、鉄めっき損失を軽減することによって、電池サイクリング中のレドックスフロー電池セル18の全体的な容量を増加させ得る。本明細書で使用される場合、電池サイクリング(「充電サイクリング」とも称される)は、レドックスフロー電池システム10の充電モードと放電モードとの間で交互することを含み得る。
【0052】
センサ60及び62並びに統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110(及びそこに含まれる構成要素)を除く全ての構成要素は、電力モジュール120に含まれるとみなされ得ることが理解されよう。このように、レドックスフロー電池システム10は、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110に流体的に結合され、センサ60及び62に通信可能に結合された電力モジュール120を含むと説明され得る。いくつかの実施例では、電力モジュール120及びマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110の各々は、単一のハウジング又はパッケージングに含まれてもよく、その結果、レドックスフロー電池システム10は、単一の場所における単一のユニットとして含まれ得る。正電解質、負電解質、センサ60及び62、電解質リバランシングセル80及び82、並びに統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110(及びそれらに含まれる構成要素)は、電解質サブシステム130に含まれるとみなされ得ることが更に理解されるであろう。このように、電解質サブシステム130は、1つ以上の電解質をレドックスフロー電池セル18(及びその中に含まれる構成要素)に供給し得る。
【0053】
ここで
図2A及び
図2Bを参照すると、それぞれ斜視図が示され、各斜視図は、
図1のレドックスフロー電池システム10などのレドックスフロー電池システム用のリバランシングセル202を描写する。例示的な実施形態では、リバランシングセル202は、
図3を参照して下記で詳細に説明される電極アセンブリなどの内部短絡電極アセンブリの積層体を含み得、これは、内部短絡電極アセンブリの積層体の負電極の触媒表面において、
図1のレドックスフロー電池セル18などのレドックスフロー電池の正又は負電極コンパートメントからのH
2ガスと電解質との接触を促進することによって、電解質リバランシング反応を駆動し得る。したがって、リバランシングセル202は、
図1のリバランシングセル80及び82の一方又は両方であり得る。
【0054】
示される構成要素の相対的な位置付けを説明するため、及び
図2A~
図5Bの図の間の比較のために、一組の基準軸250が提供され、軸250は、x軸、y軸、及びz軸を示す。
図2A及び
図2Bの破線で更に示されるように、追加の軸gは、重力方向(例えば、軸gに沿った正の方向)及び垂直方向(例えば、軸gに沿った負の方向であり、重力方向とは反対)と平行であり得る。
【0055】
レドックスフロー電池システム内に含まれるいくつかのリバランシングセル202及び内部短絡電極アセンブリの積層体内に含まれるいくつかの電極アセンブリは、特に限定されず、対応して、より高性能用途に適合するように増加してもよい。例えば、75kWレドックスフロー電池システムは、20の電極アセンブリの積層体(例えば、積層体の反対側の端部に位置付けられた2つの端部プレートを有する19のバイポーラアセンブリの積層体)を含む、2つのリバランシングセル202を含み得る。
【0056】
示されるように、内部短絡電極アセンブリの積層体は、外部セルエンクロージャ(例えば、ハウジング)204内に取り外し可能に囲まれ得る。したがって、いくつかの実施例では、セルエンクロージャ204は、エンクロージャベースに取り外し可能に取り付けられたトップカバーを含み得、その結果、トップカバーが一時的に取り外されて、内部短絡電極アセンブリの積層体のうちの1つ以上の電極アセンブリを交換するか又は診断し得る。追加的又は代替的な実施例では、矩形角柱として
図2A及び
図2Bに描写されるセルエンクロージャ204は、レドックスフロー電池システムの他の構成要素に対して隙間嵌めであるように成形され得、その結果、リバランシングセル202は、かかる構成要素と面共有接触し得る。いくつかの実施例では、セルエンクロージャ204は、望ましくない短絡事象を低減するように、プラスチック又は他のポリマーなどの低い導電性を有する材料で構成され得る。
【0057】
セルエンクロージャ204は、リバランシングセル202の接合構成要素のための開口部又は空洞を含むように更に構成され得る。例えば、セルエンクロージャ204は、レドックスフロー電池システムの他の構成要素に流体的に結合するように構成された複数の入口及び出口ポートを含み得る。一実施例では、示されるように、複数の入口ポート及び出口ポートは、PP配管に溶接されたポリプロピレン(PP)フランジ継手固定を含み得る。
【0058】
例示的な実施形態では、複数の入口及び出口ポートは、電解質をセルエンクロージャ204に流動させるための電解質入口ポート206、及び電解質をセルエンクロージャ204から排出するための電解質出口ポート208を含み得る。電解質入口及び出口ポートは、セル化学のために正の入口及び出口ポートと呼ばれ得る。
【0059】
一実施例では、電解質入口ポート206は、セルエンクロージャ204の上半分に位置付けられ得、電解質出口ポート208は、セルエンクロージャ204の下半分に位置付けられ得る(セルエンクロージャ204の上半分及び下半分は、z軸に沿って、x軸及びy軸の各々と平行な平面によって分離される)。したがって、電解質出口ポート208は、重力方向に対して(例えば、軸gに沿って)電解質入口ポート206よりも低く位置付けられ得る。
【0060】
具体的には、電解質が電解質入口ポート206を介してセルエンクロージャ204に入ると、電解質は、内部短絡電極アセンブリの積層体、電極アセンブリの積層体を通って供給された重力を横切って分配され、内部短絡電極アセンブリの積層体の正電極を通って(例えば、重力方向に対して)ウィックアップされて、陰極半分反応で負電極の触媒表面で反応し、電解質出口ポート208を介してセルエンクロージャ204から排出され得る。電解質の重力供給を支援し、その圧力降下を増加させるために、リバランシングセル202は、セルエンクロージャ204に結合された勾配付き支持体220を介して、重力方向に対して更に傾けるか又は傾斜され得る。いくつかの実施例では、このようにしてセルエンクロージャ204を傾けることは、(例えば、レドックスフロー電池システムのアイドルモード中に)リバランシングセル202の電解質排出を更に支援し、(いくつかの実施例では、電解質に十分な期間浸漬された後、触媒表面が腐食し得るので)触媒表面を相対的に乾燥したままにし得る。
【0061】
示されるように、勾配付き支持体220は、内部短絡電極アセンブリの積層体の電極シートの平面が、勾配付き支持体220が置かれている下部表面に対して角度222で傾斜するように、セルエンクロージャ204を角度222で傾けることができる。いくつかの実施例では、(例えば、下部表面に対するセルエンクロージャ204の)角度222は、0°~30°であり得る。角度222が実質的に0°である実施形態では、リバランシングセル202は、依然として機能し得るが、セルエンクロージャ204を0°を超える角度で傾けると、圧力降下が大きくなり、負電極への電解質クロスオーバが低減され得る。いくつかの実施例では、角度222は、2°~30°であり得る。いくつかの実施例では、角度222は、2°~20°であり得る。一実施例では、角度222は、約8°であり得る。したがって、例えば、電解質入口ポート206を通ってセルエンクロージャ204に入る場合の電解質の圧力降下は、角度222を増加させることによって増加され得、角度222を減少させることによって減少され得る。
【0062】
追加的又は代替的に、1つ以上の支持レール224は、セルエンクロージャ204の上半分(例えば、勾配付き支持体220と反対側)に結合され得る。いくつかの実施例では、
図2Aの斜視図に示されるように、1つ以上の支持レール224は、1つ以上の支持レール224が、リバランシングセル202を、下部表面の上部表面と平行な上部表面に取り外し可能に固定し得るように、角度222でセルエンクロージャ204に対して傾けられ得る。このようにして、及び幾何学的考慮に基づいて、z軸は、同様に、角度222で軸gからオフセットされ得る(例えば、セルエンクロージャ204は、
図2A及び
図2Bに示されるように、角度222によって重力方向と反対の垂直方向に対して傾けられ得る)。いくつかの実施例では、リバランシングセル202を通る電解質の重力供給は、重力方向と反対の垂直方向に対して、リバランシングセル202をレドックスフロー電池システムの電解質貯蔵タンク(例えば、
図1のマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110)の上に位置付けることによって更に支援され得る。
【0063】
更に示されるように、電解質出口ポート208は、電解質の少なくとも一部分を排出するように構成されたセルエンクロージャ204内の複数の開口部(PP配管に溶接されたPPフランジ継手固定を含む複数の開口部の各々)を含み得る。例えば、
図2A及び
図2Bでは、電解質出口ポート208は、5つの開口部を含むように示されている。このようにして、電解質は、内部短絡電極アセンブリの積層体を横切って均等に分配され得、実質的にスムーズなフローでセルエンクロージャ204から排出され得る(「実質的に」は、「効果的に」を意味する修飾語として本明細書で使用され得る)。他の実施例では、電解質出口ポート208は、5つを超える開口部又は5つ未満の開口部を含み得る。一実施例では、電解質出口ポート208は、単一の開口部を含み得る。追加的又は代替的な実施例では、電解質出口ポート208は、z軸に対して(例えば、z軸の負の方向に面するセルエンクロージャ204の面上で)セルエンクロージャ204の下に位置付けられ得る。
【0064】
電解質入口ポート206及び電解質出口ポート208は、内部短絡電極アセンブリの積層体(例えば、電解質入口ポート206から電解質出口ポート208まで、並びに電解質入口ポート206及び電解質出口ポート208に流体的に結合されたセルエンクロージャ204内のチャネル、通路、マニホールド、プレナム、ウェルなどを含む)を通る電解質の流路に基づいて、セルエンクロージャ204上に位置付けられ得る。いくつかの実施例では、示されるように、電解質入口ポート206及び電解質出口ポート208は、セルエンクロージャ204の隣接する側面(例えば、共通の縁部を共有するセルエンクロージャ204の面)に位置付けられ得る。他の実施例では、電解質入口ポート206及び電解質出口ポート208は、セルエンクロージャ204の反対側に位置付けられ得る。他の実施例では、電解質入口ポート206及び電解質出口ポート208は、セルエンクロージャ204の同じ側に位置付けられ得る。
【0065】
いくつかの実施例では、電解質入口ポート206は、x軸の負の方向に面するセルエンクロージャ204の面上に位置付けられ得る。追加的又は代替的な実施例では、電解質入口ポート206は、x軸の正の方向に面するセルエンクロージャ204の面上に位置付けられ得る。一実施例では、示されるように、電解質入口ポート206の1つの開口部は、x軸の負の方向に面するセルエンクロージャ204の面上に位置付けられ得、電解質入口ポート206の別の開口部は、x軸の正の方向に面するセルエンクロージャ204の面上に位置付けられ得る。
【0066】
いくつかの実施例では、複数の入口及び出口ポートは、H
2ガスをセルエンクロージャ204に流動させるための水素ガス入口ポート210と、H
2ガスをセルエンクロージャ204から排出するための水素ガス出口ポート212(
図2Bに示される)と、を更に含み得る。水素ガス入口及び出口ポートは、セル化学のために負の入口及び出口ポートと呼ばれ得る。
【0067】
一実施例では、示されるように、水素ガス入口ポート210及び水素ガス出口ポート212の各々は、セルエンクロージャ204の下半分に(例えば、z軸に沿った内部短絡電極アセンブリの積層体の最下部電極アセンブリに)位置付けられ得る。別の実施例では、水素ガス入口ポート210及び水素ガス出口ポート212の各々は、セルエンクロージャ204の上半分に(例えば、z軸に沿った内部短絡電極アセンブリの積層体の最上部電極アセンブリに)位置付けられ得る。更に別の例では、水素ガス入口ポート210は、セルエンクロージャ204の下半分に位置付けられ得、水素ガス出口ポート212は、セルエンクロージャ204の上半分に位置付けられ得る。かかる実施例では、水素ガス入口ポート210は、重力方向に対して(例えば、軸gに沿って)水素ガス出口ポート212よりも低く位置付けられ得る。
【0068】
具体的には、H
2ガスが水素ガス入口ポート210を介してセルエンクロージャ204に入ると、H
2ガスは、強制対流(例えば、それぞれのフローフィールドプレートのフローフィールド構成によって誘導される)を介して内部短絡電極アセンブリの積層体を横切り、及びそれを通って分配され、負電極の触媒表面において陽極半反応で分解され得る。しかしながら、いくつかの実施例では、過剰な未反応のH
2ガスは、触媒表面との接触後にリバランシングセル202内に残る可能性がある。いくつかの実施例では、触媒表面で反応していないH
2ガスの少なくとも一部分は、電解質を通過し得る。かかる実施例では、望ましくない圧力の蓄積を回避し、それによって正電極上での電解質のプール及び付随する負電極の電解質フラッディングを防止するために、複数の入口及び出口ポートは、水素ガスリリーフポート214(
図2Aに示されるように)を更に含み、電解質から未反応のH
2ガスを排出し得る。水素ガスリリーフポート214は、電解質を通って進行した水素を具体的に受容し得、したがって、正側の水素リリーフポート214と呼ばれ得、具体的に、電解質を通って進行した水素を受容し得、したがって、正側の水素リリーフポートと呼ばれ得る。
【0069】
更に、いくつかの実施例では、水素ガス出口ポート212は、触媒表面で反応しておらず、負電極を通って電解質に流動していないH
2ガスの少なくとも一部分を排出するように構成され得る。H
2ガスフローの更なる態様を、
図4A~
図5Bを参照して下記でより詳細に考察する。
【0070】
水素ガス入口ポート210及び水素ガス出口ポート212は、内部短絡電極アセンブリの積層体を通るH
2ガスの流路に基づいて、セルエンクロージャ204上に位置付けられ得る。例えば、流路は、水素ガス入口ポート210から水素ガス出口ポート212(含まれている場合)までであり、セルエンクロージャ204内のチャネル、通路、マニホールド、プレナムなどを含み、水素ガス入口ポート210及び水素ガス出口ポート212(含まれている場合)に流体的に結合され得る。いくつかの実施例では、示されるように、水素ガス入口ポート210及び水素ガス出口ポート212は、セルエンクロージャ204の反対側に位置付けられ得る。他の実施例では、水素ガス入口ポート210及び水素ガス出口ポート212は、セルエンクロージャ204の隣接する側面に位置付けられ得る。他の実施例では、水素ガス入口ポート210及び水素ガス出口ポート212は、セルエンクロージャ204の同じ側に位置付けられ得る。更に、水素ガス入口ポート210は、x軸の負の方向に面するセルエンクロージャ204の面上に位置付けられるように
図2A及び
図2Bに示され、水素ガス出口ポート212は、x軸の正の方向に面するセルエンクロージャ204の面上に位置付けられるように
図2A及び
図2Bに示されるが、他の実施例では、水素ガス入口ポート210は、x軸の正の方向に面するセルエンクロージャ204の面上に位置付けられ得、水素ガス出口ポート212は、x軸の負の方向に面するセルエンクロージャ204の面上に位置付けられ得る。
【0071】
一実施例では、水素ガス入口ポート210、水素ガス出口ポート212、電解質入口ポート206、及び電解質出口ポート208は、横方向構成でセルエンクロージャ204上に位置付けられ得る。横方向構成は、セルエンクロージャ204の上半分の異なる側面(例えば、面)に位置付けられた水素ガス出口ポート212及び電解質入口ポート206、並びにセルエンクロージャ204の下半分の異なる側面に位置付けられた水素ガス入口ポート210及び電解質出口ポート208を含み得る。
【0072】
他の実施例では、水素ガス出口ポート212は、閉鎖されるか、省略されるか、又は別様に負電極の触媒表面で反応しておらず、負電極を通って電解質に流動していないH2ガスを排出することを抑制され得る。しかしながら、かかる実施例では、電解質から未反応のH2ガスを排出するための水素ガスリリーフポート214は、依然として存在し得、未反応のH2ガスは、負電極を通って電解質に流動し、水素ガスリリーフポート214を通った後にのみ、セルエンクロージャ204から排出され得る。水素ガス出口ポート212を欠く例示的なリバランシングセル構成は、水素ガスリリーフポート214を含むかどうかにかかわらず、「デッドエンド構成」と呼ばれ得る。デッドエンド構成では、H2ガスのうちの実質的に全てが、負電極の触媒表面と接触させられ得、そこでH2ガスは、陽極半反応を介して分解し得、かつ/又はH2ガスは、負電極を通過した後(例えば、その触媒表面で反応することなく)電解質に入ることができる。
【0073】
図2A及び
図2Bに描写されるリバランシングセル202は、セルの負(水素、高圧)側と正(電解質、低圧)側との間の比較的小さい圧力勾配で動作し得る。セルが内部的に短絡しているため、重力及びより高い水素ガス圧力により、電解質がセル内の負のチャネルにフラッディングすることを防ぐ。
【0074】
ここで
図3を参照すると、
図2A及び
図2Bのリバランシングセル202などのリバランシングセル用の電極アセンブリ302の分解図が示される。したがって、電極アセンブリ302は、内部的に短絡され得る(例えば、電極アセンブリ302を通って流動する電流は、外部負荷を通ってチャネリングされない)。例示的な実施形態では、電極アセンブリ302は、リバランシングセルを形成するために、セルエンクロージャ内の同様の構成の電極アセンブリの積層体内に含まれ得る。電極アセンブリ302は、活性炭素フォーム306、正電極308(ある実施例では本明細書で「カソード」とも呼ばれる)、及び負電極310(ある実施例では本明細書で「アノード」とも呼ばれる)が連続して積層されたプレート304を含み得る。電極アセンブリ302は、炭素フォーム306を通して電解質を受容するようにリバランシングセル内に位置付けられ得、そこから電解質は、毛細管作用を介して正電極308の孔に入り得、負電極310と接触し得る。電極アセンブリ302は、対流を介して正電極308と反対側の負電極310の触媒表面を横切ってH
2ガスを受容するように、リバランシングセル内に更に位置付けられ得る。触媒表面を横切るH
2ガスの対流は、触媒表面と接合しているフローフィールドプレートによって補助され得る。陽極半反応を介して触媒表面でH
2ガスが分解されると、プロトン及び電子は、負電極310と正電極308との接合部に流動し得、電解質中のイオンは、陰極半反応を介して還元され得る(例えば、Fe
3+は、Fe
2+に還元され得る)。このようにして、電極アセンブリ302は、電極アセンブリ302を含む、リバランシングセルに流体的に結合された
図1のレドックスフロー電池セル18などのレドックスフロー電池のための電解質リバランシングのために構成され得る。
【0075】
いくつかの実施例では、プレート304は、望ましくない短絡事象を低減するように、プラスチック又は他のポリマーなどの低い導電性を有する材料で構成され得る。したがって、一実施例では、プレート304は、
図2A及び
図2Bのセルエンクロージャ204と同じ材料から形成され得る。
【0076】
示されるように、プレート304は、それを通る複数の入口及び出口を含み得る。例えば、複数の入口及び出口は、電解質出口チャネルセクション316、水素ガス入口チャネルセクション318a、及び水素ガス出口チャネルセクション318bを含み得る。具体的には、プレート304は、電解質をリバランシングセルから導くための電解質出口チャネルセクション316、H
2ガスをリバランシングセルに、負電極310を横切って導くための水素ガス入口チャネルセクション318a、及びH
2ガスをリバランシングセルから導くための水素ガス出口チャネルセクション318bを含み得る。プレート304は、電極アセンブリ302で電解質を受容するための電解質入口ウェル312を更に含み得、電解質入口ウェル312は、炭素フォーム306を横切って受容された電解質を分配するために炭素フォーム306に隣接して位置付けられたバーム314bに設定された複数の電解質入口通路314aに流体的に結合されている。いくつかの実施例では、電解質入口ウェル312は、(例えば、電解質入口チャネルを介して)そこに流体的に結合された電解質入口ポート(例えば、
図2A及び
図2Bの電解質入口ポート206)から電解質を受容してもよく、電解質出口チャネルセクション316は、そこに流体的に結合された電解質出口ポート(例えば、
図2A及び
図2Bの電解質出口ポート208)を通じて電解質を排出してもよく、水素ガス入口チャネルセクション318aは、そこに流体的に結合された水素ガス入口ポート(例えば、
図2A及び
図2Bの水素ガス入口ポート210)からH
2ガスを受容してもよく、水素ガス出口チャネルセクション318bは、そこに流体的に結合された水素ガス出口ポート(例えば、
図2A及び
図2Bの水素ガス出口ポート212)を通じてH
2ガスを排出してもよい。
【0077】
水素ガス入口チャネルセクション318aは、本明細書において、水素ガス入口チャネルのセクションとして説明され、水素ガス出口チャネルセクション318bは、本明細書において、水素ガス出口チャネルのセクションとして説明されるが、他の実施例では、チャネルセクション318bが、(例えば、水素ガス入口ポートからH2ガスを受容した後、H2ガスをリバランシングセルに、負電極310を横切って導くために)水素ガス入口チャネルのセクションであってもよく、ガス入口チャネルセクション318aが、(例えば、水素ガス出口ポートを通じてH2ガスを排出することによって、H2ガスをリバランシングセルから導くために)水素ガス出口チャネルのセクションであってもよいことが理解されよう。他の実施例では、リバランシングセルは、デッドエンド構成として構成され得、水素ガス出口ポートは、水素ガス出口チャネルセクション318bに流体的に結合され得ない。かかる実施例では、水素ガス出口チャネルセクション318bは、H2ガスを、負電極310を横切って戻すように導き得るか、又は水素ガス出口チャネルセクション318bが、代わりに(例えば、水素ガス入口ポートからH2ガスの一部分を受容した後、H2ガスの一部分をリバランシングセルに、及び負電極310を横切って導くために)別の水素ガス入口チャネルセクションとして構成され得る。
【0078】
複数の入口及び出口は、リバランシングセル全体の電解質及びH2ガスフローを容易にするように構成され得る。一実施例として、水素ガス入口チャネルセクション318a及び水素ガス出口チャネルセクション318bの各々のサイズは、それを通る圧力降下を最小限に抑えるように選択され得、それによって、内部短絡電極アセンブリの積層体の各々の電極アセンブリ302へのフロー分配に役立つ。別の実施例として、各電解質入口通路314aのサイズ及びバーム314bに対する複数の電解質入口通路314aの総数は、電解質フローを実質的に均等に分配するための相対的に小さい圧力降下を誘導するように選択され得る。かかる実施例では、各電解質入口通路314aのサイズ及び複数の電解質入口通路314aの総数の選択は、電解質フローフィールドのサイズ及び所望の電解質流量などの、リバランシングセルの所与の構成に特有のいくつかの要因に依存し得る。
【0079】
追加的又は代替的な実施例では、電解質出口チャネルセクション316は、電解質出口ポートに含まれる複数の開口部を通して電解質を分配するように更に構成されてもよい。例えば、
図3の分解図では、電解質出口チャネルセクション316は、2つの開口部を含むように示されている。いくつかの実施例では、電解質出口チャネルセクション316に含まれる開口部の数は、電解質出口ポート内に含まれる開口部の数に等しくてもよく、その結果、電解質出口チャネルセクション316の開口部は、それぞれ、電解質出口ポートの開口部に対応し得る。このようにして、電解質は、電極アセンブリ302を横切って均等に分配され得、実質的にスムーズなフローでリバランシングセルから排出され得る。他の実施例では、電解質出口チャネルセクション316は、3つ以上の開口部又は2つ未満の開口部(例えば、単一の開口部)を含み得る。
【0080】
更に、電極アセンブリ302が電極アセンブリの積層体内に含まれる場合、電解質出口チャネルセクション316、水素ガス入口チャネルセクション318a、及び水素ガス出口チャネルセクション318bは、それぞれ(下記で説明する
図4A、
図4B、
図5A、及び
図5Bに様々に示されるように)連続的な電解質出口チャネル、連続的な水素ガス入口チャネル、及び連続的な水素ガス出口チャネルを形成するように整列し得る。このようにして、電極アセンブリの積層体は、モジュール方式で形成され得、それによって、任意の実用的な数の電極アセンブリ302が積層され、リバランシングセル内に含まれ得る。
【0081】
更に示されるように、複数の封止インサートは、固着されるか(本明細書で使用される場合、「固着(affix)」、「固着された(affixed)」、又は「固着する(affixing)」は、限定されるものではないが、直接的若しくは間接的な関係を通して、1つの構成要素を別の構成要素に接着、取り付け、接続、締結、接合、連結、又は固定することを含む)、又は別様にプレート304に結合されてもよい。一実施例として、複数の封止インサートは、H
2ガスバイパスを緩和することによって負電極310を横断するH
2ガスのフローを誘導するための水素ガス入口チャネル封止インサート320a及び水素ガス出口チャネル封止インサート320bを含み得る。具体的には、水素ガス入口チャネル封止インサート320a及び水素ガス出口チャネル封止インサート320bは、それぞれ、炭素フォーム306、正電極308、及び負電極310を含むプレート304の側面上で、水素ガス入口チャネルセクション318a及び水素ガス出口チャネルセクション318bに固着されるか、又は別様に隣接して結合され得る。いくつかの実施例では、
図4A及び
図4Bを参照してより詳細に考察されるように、水素ガス入口チャネル封止インサート320a及び水素ガス出口チャネル封止インサート320bは、水素ガス入口チャネル封止インサート320a及び水素ガス出口チャネル封止インサート320bがプレート304との固着又は結合の地点から延在し、正電極308と部分的に重複し得るように、負電極310のx-y平面と一致し得る。
【0082】
別の実施例として、複数の封止インサートは、水素ガス入口チャネルセクション318aと別の電極アセンブリの水素ガス入口チャネルセクションとの接合部、及び水素ガス出口チャネルセクション318bとを別の電極アセンブリの水素ガス出口チャネルセクションとの接合部をそれぞれ封止するために、水素ガス入口チャネルOリング322a及び水素ガス出口チャネルOリング322bの各々を更に含み得る。具体的には、水素ガス入口チャネルOリング322a及び水素ガス出口チャネルOリング322bは、水素ガス入口チャネルセクション318a及び水素ガス出口チャネルセクション318bをそれぞれ外接するように、プレート304に固着されるか、又は別様に結合され得る。
【0083】
別の実施例として、複数の封止インサートは、電極アセンブリ302と別の電極アセンブリとの接合部をその外縁部で封止するためのオーバーボードOリング324を更に含み得る。具体的には、オーバーボードOリング324は、電解質入口ウェル312、電解質入口通路314a、バーム314b、電解質出口チャネルセクション316、水素ガス入口チャネルセクション318a、及び水素ガス出口チャネルセクション318bの各々と外接するように、プレート304に固着されるか、又は別様に結合され得る。
【0084】
炭素フォーム306は、y軸に沿ってバーム314bと電解質出口チャネルセクション316との間、及びx軸に沿って水素ガス入口チャネルセクション318aと水素ガス出口チャネルセクション318bとの間で、プレート304の空洞326内に位置付けられ得る。具体的には、炭素フォーム306は、空洞326の基部を形成するプレート304の側面と面共有接触して位置付けられ得る。いくつかの実施例では、炭素フォーム306は、連続的なモノリシックピースとして形成され得るが、他の実施例では、炭素フォーム306は、2つ以上の炭素フォームセクションとして形成され得る。例示的な実施形態では、炭素フォーム306は、導電性、透過性、及び多孔質であり得、複数の電解質入口通路314aからそれを通って供給される重力である電解質の分配フィールドを提供する。いくつかの実施例では、炭素フォーム306の孔分配は、10~100PPIであり得る。一実施例では、孔分配は、30PPIであり得る。追加的又は代替的な実施例では、炭素フォーム306の透過性は、0.02~0.5mm2であり得る。このため、炭素フォーム306の全体的なサイズに加えて、孔分配及び透過性の各々は、相対的に小さい圧力降下を目標とし、それによって、炭素フォーム306から正電極308への電解質の対流を誘導するように選択され得る。例えば、圧力降下は、2~3mmの電解質ヘッド上昇を対象とし得る。
【0085】
いくつかの実施例では、炭素フォーム306は、フローフィールドプレートのフローフィールド構成によって誘導される対流を介して電解質を正電極308に輸送するように構成されたフローフィールドプレートと交換され得る。具体的には、フローフィールドプレートは、複数の電解質入口通路314a及び電解質出口チャネルセクション316の各々に流体的に結合され得る。一実施例では、フローフィールドプレートは、z軸に対して正電極308の下に位置付けられた、電極アセンブリ302のプレート304内に一体的に形成され得る。他の実施例では、フローフィールドプレートは、別個の取り外し可能な構成要素であり得る。
【0086】
いくつかの実施例では、フローフィールド構成は、交差したフローフィールド構成、部分的に交差したフローフィールド構成、又は蛇行したフローフィールド構成であり得る。いくつかの実施例では、各電極アセンブリ302は、各他方の電極アセンブリ302と同様の構成(例えば、交差した、部分的に交差した、蛇行したなどの)のフローフィールド構成と接合し得る。他の実施例では、
図2A及び
図2Bのリバランシングセル202内の所与の電極アセンブリ302の場所によって、電極アセンブリの積層体内の電極アセンブリ302の間にいくつかの異なるフローフィールド構成が提供され得る。このようにして、電解質は、電解質入口ポート(例えば、
図2A及び
図2Bの電解質入口ポート206)から、電極アセンブリの積層体内の正電極308とそれぞれ接合しているフローフィールドプレートに導かれ得、フローフィールドプレートは、交差したフローフィールド構成、部分的に交差したフローフィールド構成、蛇行したフローフィールド構成、又はこれらの組み合わせで構成される。
【0087】
ある実施例では、
図4A及び
図4Bを参照して下記でより詳細に考察されるように、炭素フォーム306がフローフィールドプレート(本明細書において「電解質フローフィールドプレート」とも呼ばれる)と交換されることに加えて、別のフローフィールドプレート(本明細書において「水素ガスフローフィールドプレート」とも呼ばれる)は、z軸に対して正電極308と反対側の負電極310と接合し得る。しかしながら、他の実施例では、電解質フローフィールドプレートが含まれ得(例えば、炭素フォーム306を交換する)、水素ガスフローフィールドプレートは、存在し得ない。更に他の実施例では、水素ガスフローフィールドプレートが含まれ得(例えば、負電極310と接合している)、電解質フローフィールドプレートは存在し得ない。
【0088】
正電極308は、z軸に沿ってプレート304から反対側の炭素フォーム306の側面と面共有接触して、空洞326内に位置付けられ得る。例示的な実施形態では、正電極308は、毛細管作用を介して炭素フォーム306を通って流動する電解質を負電極310と接触させ得るウィッキング導電性炭素フェルト、スポンジ、又はメッシュであり得る。したがって、いくつかの実施例では、正電極308は、導電性及び多孔質であり得る(ただし、かかる実施例では、炭素フォーム306ほど多孔質ではない)。一実施例では、炭素フォーム306の多孔性が所定の範囲内にあり得る場合(例えば、正電極308へのウィッキングを促進するのに十分な固体材料を保持するために上側閾値多孔性を下回り、炭素フォーム306を通る電解質のフローを妨げないように下側閾値多孔性を上回る)、電解質は正電極308にウィッキングされ得る。追加的又は代替的な実施例では、正電極308の各々の吸着性は、正電極308の多孔性の増加に伴って減少し得、正電極308の透過性は増加し得る(例えば、少なくとも、正電極308の閾値多孔性に達した場合など、電解質のウィッキングを促進するために正電極308の固体材料が少なくなるまで残る)。いくつかの実施例では、正電極308の表面は、(例えば、徹底的な電解質湿潤を促進し、それによってイオン伝導性媒体を形成することによって)望ましいリバランシングセル動作のために十分に親水性であり得る。かかる実施例では、正電極308の全体的な親水性は、その表面をコーティングするか又は処理することによって増加され得る。更に、H2ガスのうちの少なくとも一部は、正電極308にウィッキングされた電解質の一部分に加えて、正電極308に通過し得るが、正電極308は、その上のH2ガスのバルクとその下の電解質のバルクとの間のセパレータとみなされ得る。
【0089】
いくつかの実施例では、正電極308及び負電極310の各々は、(例えば、離散粒子又は複数のピースとは対照的に)連続したモノリシックピースとして形成され得、その結果、電解質を負電極310の触媒表面でH2ガスと接触させる場合に、境界層フィルムを横断する相間質量輸送損失が低減され得、それによってイオン及びプロトン移動が促進される。対照的に、離散的に充填された触媒粒子を含む充填床構成は、各個々の粒子を取り囲む質量輸送制限境界層フィルムを含み得、それによって、電解質のバルクから粒子の表面への電解質の質量輸送の速度を低減する。
【0090】
負電極310は、z軸に沿って炭素フォーム306から反対側の正電極308の側面と面共有接触して空洞326内に位置付けられ得、その結果(ウィッキングされた)電解質と、負電極310の触媒表面と、H2ガスとの間の三相接触境界部が、プロトン(例えば、H+)及びそれを通るイオン移動(H3O+)のために形成され得る。並行して、正電極308は、電子が電解質フロントに移動するための導電経路を提供し、そこでFe3+イオンを還元することによって、全体的な電子抵抗を低減し得る。
【0091】
例示的な実施形態では、負電極310は、その上に金属触媒がコーティングされた多孔質非導電性材料又は導電性炭素基板であり得る。いくつかの実施例では、多孔質非導電性材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリプロピレンなどを含み得る。いくつかの実施例では、導電性炭素基板は、カーボンクロス又はカーボン紙を含み得る。いくつかの実施例では、金属触媒は、貴金属触媒を含み得る。いくつかの実施例では、貴金属触媒は、Ptを含み得る。追加的又は代替的な実施例では、貴金属触媒は、Pd、Rh、Ru、Ir、Ta、又はそれらの合金を含み得る。いくつかの実施例では、コスト考慮のために、相対的に少量(例えば、0.2~0.5重量%)の導電性炭素基板上に担持される貴金属触媒が用いられ得る。しかしながら、実際には、貴金属触媒の量は、特に制限されない可能性があり、リバランシングセルについての所望の反応速度及びリバランシングセルの予想される寿命のうちの1つ以上に基づいて、選択され得る。更に、貴金属触媒内に含まれる合金は、コストを低減させ、貴金属触媒の腐食安定性を増加させるために利用され得る。例えば、PtへのRhの10%の添加は、PtのFe3+による腐食を98%超低減させ得る。他の実施例では、金属触媒は、第二鉄溶液及び他のかかる酸性環境(例えば、硫化モリブデン)における安定性のために選択された非貴金属触媒を含み得る。一実施例では、負電極310は、1.0mg/cm2Ptでコーティングされたカーボンクロスを含み得、(例えば、疎水性のために)ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)結合剤で結合された微多孔層を含み得る。実際、PTFE結合剤を含めることは、他の結合剤を使用して形成された電極アセンブリに対して、長時間にわたってリバランシングセル性能の耐久性を増加させ得る。
【0092】
いくつかの実施例では、貴金属触媒がPtを含む場合など、負電極310の浸漬は、最終的に貴金属触媒の腐食をもたらし得る。他の実施例では、
図2A及び
図2Bを参照して上記でより詳細に考察されるように、電極アセンブリ302は、(電極アセンブリの積層体及びリバランシングセル全体とともに)リバランシングセルが置かれる表面に対して傾くか、又は傾斜され得(例えば、z軸は、重力方向と平行でなくてもよい)、その結果、電解質のフローが、重力供給を介して炭素フォーム306を通って、電解質出口チャネルセクション316に向かって引き出されるので、貴金属触媒は相対的に乾燥したままであり得る。このため、いくつかの実施例では、電極アセンブリ302は、リバランシングセルが0°~30°の角度で置かれる表面に対して水平であってもよく、又は傾斜していてもよい。
【0093】
例示的な実施形態では、炭素フォーム306、正電極308、及び負電極310の各々を含む電極アセンブリ302は、z軸に沿って圧縮され得、正電極308は、所与の圧縮圧力下で、炭素フォーム306及び負電極310よりも大きい撓みを有する。したがって、空洞326の深さは、炭素フォーム306の厚さ、正電極308の厚さ、正電極308の所望の圧縮、及び負電極310の厚さに基づいて、選択され得る。
【0094】
具体的には、空洞326の深さは、(電解質フローを妨げる可能性がある、炭素フォーム306の過剰応力及び破砕を回避するため)実質的に完全に圧縮された後の炭素フォーム306の厚さと、実質的に完全に圧縮された後の正電極308の厚さとの合計の下側閾値深さよりも大きく、(H2ガスと電解質との不十分な接触をもたらし得る、正電極308のゼロ圧縮、場合によっては隙間を回避するため)炭素フォーム306の厚さと正電極308の厚さとの合計の上側閾値深さ未満であるように選択され得る。例えば、炭素フォーム306の厚さが6mmであり、正電極308の厚さが3.4mmであり、正電極308の所望の圧縮が(0.01MPaの所望の圧縮圧力を達成するため)0.4mmであり、負電極310の厚さが0.2mmである実施例では、空洞326の深さは、9.2mm(=3.4mm+6mm+0.2mm-0.4mm)であり得る。別の実施例として、炭素フォーム306の厚さは、2~10mmであり得、正電極308の厚さは、1~10mmであり得、正電極308の所望の圧縮は、(0~0.09MPaの所望の圧縮圧力を達成するように)0~2.34mmであり得、負電極310の厚さは、0.2~1mmであり得、その結果、空洞326の深さは、0.86~21mmであり得る。
【0095】
追加的又は代替的な実施例では、正電極308の厚さは、炭素フォーム306の厚さの20%~120%であり得る。一実施例では、正電極308の厚さは、炭素フォーム306の厚さの100%~110%であり得る。一実施例では、空洞326の深さは、炭素フォーム306の圧縮強度に更に依存し得る(例えば、空洞326の深さは、圧縮強度の減少とともに増加し得る)。例えば、空洞326の深さが9.2mmである場合(例えば、正電極の所望の圧縮が0.4mmである場合)、フォーム破砕安全率(FOS)は、5.78であり得る。フォーム破砕FOSは、いくつかの実施例では、0.34の最小値を有し得、フォーム破砕FOS値が、1未満である場合、少なくともいくつかの破砕が予想されることを示し得る。いくつかの実施例では、炭素フォーム306の破砕強度は、その製造中に炭素フォーム306の熱処理によって低減され得る(一実施例では、0.08MPa~0.03MPa)。
【0096】
電極アセンブリ302は、(例えば、電解質フローが、負電極310に近接し得る際)一般的に薄い電極アセンブリ302が、リバランシングセルの全体的なサイズの低減及び電極アセンブリ302を横切る電気抵抗の低減をもたらし得るため、空洞326の深さが可能な限り低くなるように(例えば、上記の制約の範囲内で)構成され得ることが理解されよう。
【0097】
このようにして、電極アセンブリ302は、炭素フォーム306と、互いに面共有接続し、連続的に導電性である正電極308及び負電極310の接合対との連続的な積層体を含み得る。具体的には、第1の接合部は、正電極308と炭素フォーム306との間に形成され得、第2の接合部は、正電極308と負電極310との間に形成され得、第2の接合部は、正電極308を横切る第1の接合部と反対であり、炭素フォーム306、正電極308、及び負電極310の各々は、導電性であり得る。したがって、電極アセンブリ302は、内部的に短絡され得、その結果、電極アセンブリ302を通って流動する電流は、外部負荷を通ってチャネリングされない可能性がある。
【0098】
例示的な実施形態では、上で考察されたように、強制対流は、(例えば、負電極310と接合しているフローフィールドプレートを介して)H2ガスの電極アセンブリ302への負電極310を横切るフローを誘導し得る。その場合、H2ガスは、式(4a)を介して負電極310の触媒表面と反応し得る(例えば、式(1)の逆反応):
1/2H2→H++e- (陽極半反応) (4a)
プロトン(H+)及び電子(e-)は、負電極310を横切って正電極308に伝導され得る。炭素フォーム306を介して電極アセンブリ302を通って導かれた電解質は、正電極308にウィッキングされ得る。正電極308と負電極310との間の第2の接合部で、及びその近くで、電解質中のFe3+は、式(4b)を介して還元され得る:
Fe3++e-→Fe2+ (陰極半反応) (4b)
式(4a)及び(4b)を合計すると、電解質リバランシング反応は、式(4)として取得され得る:
Fe3++1/2H2→Fe2++H+ (電解質リバランシング) (4)
【0099】
電極アセンブリ302は内部的に短絡しているため、電極アセンブリ302のセル電位は、以下のようにゼロに駆動され得る:
0=(E
正-E
負)-(η
act+η
mt+η
オーム) (7)
式中、E
正は、正電極308の電位であり、E
負は、負電極310の電位であり、η
actは、活性化過電圧であり、η
mtは、質量輸送過電圧であり、及びη
オームは、オーム過電圧である。
図3において構成される電極アセンブリ302について、η
mt及びη
actは、無視できると想定され得る。更に、η
オームは、電解質の過電圧η
電解質及び正電極308を形成する炭素フェルトの過電圧η
フェルトに依存し得る:
η
オーム=η
電解質+η
フェルト (8)
したがって、電極アセンブリ302の性能は、少なくとも電解質の電気抵抗率σ
電解質及び炭素フェルトの電気抵抗率σ
フェルトによって制限され得る。電解質の電気伝導率及び炭素フェルトの電気伝導率は、それぞれ、電解質の抵抗R
電解質及び炭素フェルトの抵抗R
フェルトに更に依存し得、以下のように与えられ得る:
R
電解質=σ
電解質×t
電解質/A
電解質 (9)
R
フェルト=σ
フェルト×t
フェルト/A
フェルト (10)
式中、t
電解質は電解質の厚さ(例えば、電解質フロントの高さ)であり、t
フェルトは、炭素フェルトの厚さ(例えば、正電極308の厚さ)であり、A
電解質は、電解質の活性領域(フロント)であり、A
フェルトは、炭素フェルトの活性領域である。したがって、電極アセンブリ302の性能は、炭素フェルト内の電解質のフロント場所、したがって、炭素フォーム306を横切る電解質の分配、及び正電極308を形成する炭素フェルトにウィッキングされた電解質の量に基づいて、更に制限され得る。
【0100】
R電解質及びRフェルトを判定した後、電極アセンブリ302の電流Iアセンブリは、以下のように判定され得る:
Iアセンブリ=(E正-E負)/(R電解質+Rフェルト) (11)
及び電解質リバランシング反応の速度vリバランシング(例えば、Fe3+の還元速度)は、以下のように更に判定され得る:
vリバランシング=Iアセンブリ/(nFAリバランシング) (12)
式中、nは、負電極310を通って流動する電子の数であり、Fは、ファラデー定数であり、Aリバランシングは、電解質リバランシング反応の活性領域(例えば、電解質フロントと負電極310との間の接合部の領域)である。使用事例として、tフェルト=3mmを有する非圧縮炭素フェルトの場合、vリバランシングは、113mol/m2時間の最大値を有し得る。しかしながら、代替的な実施例では、非圧縮炭素フェルトの他の特性が使用され得る。
【0101】
図2A及び
図2Bに示されるリバランシングセル202を通る水素ガスフローは、少なくとも2つのパターンを介して実装され得る。第1のフローパターンが
図4A及び
図4Bに示され、
図2Bに示される水素ガス出口ポート212は開放されている。逆に、第2のフローパターンが
図5A及び
図5Bに示され、
図2Bに示される水素ガス出口ポート212は閉鎖されている。水素ガス出口ポートを閉鎖することは、デッドエンドフロー構成を提供する。
図4A~
図5Bの断面図の切断平面は、z-x平面に対して平行であり、水素ガス入口ポート210の中心軸を通って延在する。
【0102】
ここで具体的に
図4A及び
図4Bを参照すると、リバランシングセル202の断面図及び拡大挿入
図450が、それぞれ示される。断面図及び拡大挿入
図450の各々は、リバランシングセル202内のH
2ガスフローの例示的な態様を描写する。具体的には、拡大挿入
図450は、破線楕円410によって区切られた断面図の一部分を拡大する。
【0103】
図4A及び
図4Bに示されるように、リバランシングセル202は、各電極アセンブリ302の水素ガス入口チャネルセクション318aが、各電極アセンブリ302の水素ガス入口チャネルセクション318aと連続した水素ガス入口チャネル404を形成するように整列された個々の電極アセンブリ302の積層体として形成された電極アセンブリ積層体402を含み得る。水素ガス入口マニホールド406は、水素ガス入口チャネル404内に更に含まれ得、水素ガス入口マニホールド406は、水素ガス入口チャネル404を水素ガス入口ポート210に流体的に結合する。
【0104】
それぞれの水素ガス入口チャネルOリング322a及びオーバーボードOリング324は、電極アセンブリ302の対の間の接合部で水素ガス入口チャネル404を封止し得る。リバランシングセル202の切断部分は、詳細については、
図4Aの断面図及び
図4Bの拡大挿入
図450において描写されており、リバランシングセル202の追加の特徴(例えば、
図2A及び
図2Bに示される)は、描写され得ないことが理解されよう。更に、所与の用途のための断面図に示されるものより多く又はより少ない電極アセンブリ302が電極アセンブリ積層体402内に含まれ得る(しかしながら、1つの使用事例では、スケールアップ性能は、50%H
2ガス利用率で、又は50%H
2ガス利用率を下回ってH
2ガスフローに実質的に非感受性であり得る)ことが理解されよう。更に、水素ガス入口チャネル404及び隣接する構成要素の構造的特徴が、
図4A及び
図4Bを参照して詳細に説明されているが、対応する水素ガス出口チャネル(例えば、各電極アセンブリ302の水素ガス出口チャネルセクション318b(
図3を参照)を整列させることによって形成される)及び隣接する構成要素の構造的特徴が、(水素ガス出口チャネルと流体連通する水素ガス出口マニホールドが、x軸及びz軸に沿って水素ガス入口マニホールド406の反対側に位置付けられ得ることを除いて)同様に構成され得ることが理解されよう。
【0105】
示されるように、及び矢印408aによって示されるように、H2ガスは、水素ガス入口ポート210に入る。H2ガスは、水素フロー発生器又は貯蔵タンクなどの水素源から送達されてもよい。次に、矢印408bを介して示されるように、水素ガスは、水素ガス入口ポート210から水素ガス入口マニホールド406に流動する。次に、矢印408cを介して示されるように、水素ガスは、水素ガス入口マニホールド406から水素ガス入口チャネル404を通って流動する。矢印408dを介して示されるように、水素ガス入口チャネル404から、ガスは、電極間の水素ガス入口通路452に流動する。
【0106】
図4A及び
図4Bに示される電極アセンブリ積層体フロー構成では、
図2Bに示される水素ガス出口ポート212は、開放されている。したがって、水素ガスは、矢印408eを介して示されるように、プレート304と負電極310との間の水素ガスチャネル420を通って電極アセンブリ積層体402を横切って(概して、x軸に対して平行な方向に)流動する。矢印408fは、
図2Bに示される、水素ガスチャネル420から水素ガス出口マニホールドへ、次いで水素ガス出口ポート212への水素ガスのフローを描写する。このようにして、水素は、セルを通って効果的に流動し得る。
【0107】
ここで
図5A及び
図5Bを参照すると、リバランシングセル202の断面図及び拡大挿入
図450が、それぞれ示されている。断面図及び拡大挿入
図550の各々は、リバランシングセル202内のH
2ガスフローの例示的な態様を描写する。具体的には、拡大挿入
図550は、破線楕円510によって区切られた断面図の一部分を拡大する。
【0108】
図5A及び
図5Bに示されるリバランシングセルフロー構成では、
図2Bに示される水素ガス出口ポート212は閉鎖され、それによって、上述のように、水素フローをデッドエンドする。
【0109】
リバランシングセル202内の電極アセンブリ積層体402は、連続して配置された電極アセンブリ302を有する
図5A及び
図5Bに再び示される。各電極アセンブリ302は、例解された実施例では、負電極310、正電極308、活性炭素フォーム306、プレート304、及び水素ガス入口チャネル封止インサート320aを再び含む。しかしながら、他の実施例では、他の電極アセンブリ構成が使用され得る。
【0110】
示されるように、及び矢印508aによって示されるように、H
2ガスは、水素ガス入口ポート210に入る。次に、矢印508bを介して示されるように、水素ガスは、水素ガス入口ポート210から水素ガス入口マニホールド406に流動する。次に、矢印508cを介して示されるように、水素ガスは、水素ガス入口マニホールド406から水素ガス入口チャネル404を通って流動する。矢印508dを介して示されるように、水素ガス入口チャネル404から、水素ガスは、電極間の水素ガス入口通路452に流動する。水素フローのこの初期段階は、
図4A及び
図4Bに描写される水素フローパターンの初期部分と同様である。
【0111】
しかしながら、
図5A及び
図5Bに例解されるように、矢印508eを介して示されるように、水素ガスは、水素ガスチャネル420から、負電極310、次いで正電極308を通って流動する。このようにして、水素ガス出口の閉鎖により、水素ガスは、電極アセンブリの電解質側を通るように付勢される。水素ガスが電極アセンブリの正側にあると、ガスは、電解質出口マニホールドに流動し、次いで、
図2Aに示される水素ガスリリーフポート214を通って出る。詳細に説明すると、水素ガスは、
図2Aに示されるページ及び水素ガスリリーフポート214に流動する。更に、
図2Aに示されるように、水素ガスフローのいくつかは、電解質に含まれ、電解質出口ポート208から出る可能性がある。
【0112】
図4A~
図5Bに描写されるリバランシングセル202内の2つのフローパターンは、4つの異なる直列配管配向が、複数のリバランシングセルを接続して、各リバランシングセルユニットを通る水素ガス流量を増加させる(例えば、最大化する)ことを可能にする。したがって、セルは所望の反応速度を達成することができ、それによって電池効率を増加させる。
図6~
図9は、
図1に示されるレドックスフロー電池11又は他の好適なレドックスフロー電池などのレドックスフロー電池のためのリバランシングセルシステム600における異なるフロー配置を描写する。
【0113】
ここで
図6A及び
図6Bを参照すると、断面
図600及び拡大挿入
図650がそれぞれ示され、断面
図600及び拡大挿入
図650の各々は、リバランシングセル202内の電解質フローの例示的な態様を描写する。具体的には、拡大挿入
図650は、破線楕円610によって区切られた断面
図600の一部分を拡大する。
図6A及び
図6Bに示されるように、リバランシングセル202は、電極アセンブリ積層体402の個々の電極アセンブリ302内に含まれる電解質入口ウェル312に流体的に結合された1つ以上の電解質入口チャネル614を含み得る。1つ以上の電解質入口チャネル614の各々は、それぞれの電解質入口チャネル614への電解質のフローを調節、制限、又は別様に制御するそれぞれのノズル又はオリフィス612を介して、z軸に対して、電極アセンブリ積層体402の上に位置する電解質入口プレナム606aに流体的に結合され得る。電解質入口プレナム606aは、電解質入口ポート(例えば、
図2A及び
図2Bの電解質入口ポート206、
図6A及び
図6Bには示されていない)に更に流体的に結合されてもよい。電極アセンブリ積層体402は、各電極アセンブリの電解質出口チャネルセクション316が、各電極アセンブリ302の電解質出口チャネルセクション316とともに連続的な電解質出口チャネル604を形成するように整列された個々の電極アセンブリ302の積層体として更に形成され得、電解質出口チャネル604は、1つ以上の電解質入口チャネル614及びz軸に対して平行であり、y軸に対して、1つ以上の電解質入口チャネル614からリバランシングセル202の反対側の端部上にある。電解質出口プレナム606bは、電解質出口チャネル604内に更に含まれ得、電解質出口プレナム606bは、電解質出口チャネル604を電解質出口ポート208に流体的に結合する。それぞれのオーバーボードOリング324は、電極アセンブリ302の対の間の接合部で電解質出口チャネル604を封止し得る。リバランシングセル202の切断部分は、詳細については、断面
図600及び拡大挿入
図650において描写されており、リバランシングセル202の追加の特徴(例えば、
図2A及び
図2Bに示される)は、描写され得ないことが理解されよう。更に、所与の用途のために断面
図600に示されるよりも多くの又は少ない電極アセンブリ302が電極アセンブリ積層体402内に含まれ得ることが理解されよう。
【0114】
電解質は、電解質入口ポートを介して電解質入口プレナム606aに入ることができ、そこから、電解質は、それぞれ、1つ以上のオリフィス612を介して、1つ以上の電解質入口チャネル614に導かれ得る。いくつかの実施例では、電解質入口プレナム606aの断面形状は、加工の容易さのために選択され得る。一実施例として、電解質入口プレナム606aの断面形状は、長方形であり得る。別の実施例として、電解質入口プレナム606aの断面形状は、円形であり得る。電解質入口プレナム606aのサイズは、電解質がリバランシングセル202に入ると相対的に低い圧力降下を実現するように選択され得る。
【0115】
いくつかの実施例では、1つ以上のオリフィス612の各々のサイズは、電極アセンブリ積層体402内の電極アセンブリ302の総数、リバランシングセル202の全体のサイズ、及び電解質流路設計に依存して、3~10mmであり得る。1つ以上のオリフィス612の各々のサイズ及び全体的な構成は、電極アセンブリ積層体402の各電極アセンブリ302を通して実質的に均一な電解質フローを維持するように選択され得る。
【0116】
いくつかの実施例では、1つ以上の電解質入口チャネル614の各々は、電極アセンブリ積層体402に隣接して構成された連続した切れ目のないチャネルであり得る。他の実施例では、電極アセンブリ積層体402の各電極アセンブリ302は、それぞれ、1つ以上の電解質入口チャネル614に対応する1つ以上の電解質入口チャネルセクションを含み得る。かかる実施例では、電極アセンブリ積層体402の電極アセンブリ302は、各電極アセンブリ302の1つ以上の電解質入口チャネルセクションが、それぞれ各他方の電極アセンブリ302の1つ以上の電解質入口チャネルセクションとともに、1つ以上の電解質入口チャネル614を形成するように整列され得る。
【0117】
いくつかの実施例では、1つ以上の電解質入口チャネル614は、複数の電解質入口チャネル614を含み得、1つ以上のオリフィス612は、電解質入口マニホールドが形成され得るように、複数の電解質入口チャネル614にそれぞれ流体的に結合された複数のオリフィス612を含み得る。
図6Aの断面
図600では、複数の電解質入口チャネル614のうちの単一の最も近い電解質入口チャネル614が視認可能であり、x軸に対して平行に整列された複数の電解質入口チャネル614の各他方の電解質入口チャネル614が不明瞭である。いくつかの実施例では、電解質入口マニホールドを形成する複数の電解質入口チャネル614の各々は、電極アセンブリ積層体の電極アセンブリ302を横切って電解質を均等に流動させるように(例えば、負電極310の触媒表面のm
2当たり約10~40L/分の電解質流量で)、電極アセンブリ積層体402の単一の電極アセンブリ302にそれぞれ流体的に結合され得る。
【0118】
いくつかの実施例では、電解質入口プレナム606aに入る電解質は、(例えば、
図1のコントローラ88などのレドックスフロー電池システムのコントローラによって、その非一時的メモリ内に格納された命令を実行することによって)調整可能な流量を有し得、その結果、リバランシングセル202内への電解質の均一な分配が、所与の用途に基づいて、制御可能に調整され得る。ある実施例では、電極アセンブリ積層体402の個々の電極アセンブリ302間の電解質フロー分配は、電解質入口プレナム606aに入る電解質の電解質流量の調整に基づいて、対応して調整され得る。
【0119】
他の実施例では、複数の電解質入口チャネル614の各々は、電極アセンブリ積層体402の各電極アセンブリ302に流体的に結合されて、x軸及びy軸の両方に対して電極アセンブリ積層体402を横切って電解質を均等に分配し得る。代替的な実施例では、1つ以上の電解質入口チャネル614は、電極アセンブリ積層体402の各電極アセンブリ302に流体的に結合され得る、1つの電解質入口チャネル614を含み得る。
【0120】
いくつかの実施例では、1つ以上の電解質入口チャネル614の各々の断面形状は、円であり得る。しかしながら、1つ以上の電解質入口チャネル614の各々の断面形状は、特に限定されず、他の幾何学的形状が用いられる場合もある。1つ以上の電解質入口チャネル614の各々のサイズは、全体としてリバランシングセル202の実用的なサイズ考慮事項を維持しながら(例えば、相対的に大きいサイズは、不必要に大きいリバランシングセル202をもたらし得る)、負電極310の触媒表面の1m2当たり約10~40L/分の電解質流量に関して相対的に低い圧力降下を実現するように選択され得る(例えば、相対的に小さいサイズは、電解質の不良分配をもたらし得る)。一実施例では、1つ以上の電解質入口チャネル614の各々の断面形状は、10~30mmの直径を有する円であり得る。
【0121】
1つ以上の電解質入口チャネル614に入ると、内部の圧力は、電解質源(例えば、
図1の負及び正電極コンパートメント22及び20並びに/又は統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110)の圧力と実質的に同様であり得、その結果、重力は、1つ以上の電解質入口チャネル614を通る電解質フローを実質的に排他的に駆動し得る。具体的には、矢印608aによって示されるように、電解質は、z軸に沿って負の方向に1つ以上の電解質入口チャネル614を通って、電極アセンブリ積層体402の電解質入口ウェル312に流動し得る。勾配付き支持体220は、z軸が重力方向と一致する軸gからオフセットされるように、リバランシングセル202を傾けることができ、電解質は、(矢印608bによって示されるように)重力供給を介して電極アセンブリ積層体402の炭素フォーム306を通って流動し得る。
【0122】
更に示されるように、及び矢印608cによって示されるように、電極アセンブリ積層体402の炭素フォーム306を通って流動しながら、電解質の少なくともいくつかは、毛細管作用を介して、電極アセンブリ積層体402の負電極310に向かって電極アセンブリ積層体402の正電極308に誘導され得る。電解質中のFe
3+イオンは、陰極半反応(式(4b)を参照)で電極アセンブリ積層体402の負電極310を通って流動する電子によって還元されて、Fe
2+イオンを生成し得る。電極アセンブリ積層体402の各電極アセンブリ302に関して、正電極308と負電極310との間に隙間が存在しないことを確実にするために(これは、Fe
3+還元速度の減少をもたらし得る)、空洞(例えば、
図3の空洞326)の深さ652は、正電極308が炭素フォーム306の過度な圧縮(そのフォーム構造を座屈させ、劣化させ得る)をすることなく少なくとも部分的に圧縮されるように選択され得る。したがって、電極アセンブリ積層体402の各電極アセンブリ302内の炭素フォーム306の圧縮を最小限に抑えるために、隣接する正電極308の厚さ654は、正電極308が完全に圧縮前である場合と比較して(例えば、約10%)減少し得る。いくつかの実施例では、電極アセンブリ積層体402の各電極アセンブリ302について、正電極308の厚さ654は、炭素フォーム306の厚さ656の20%~120%であり得、正電極308の厚さ654及び炭素フォーム306の厚さ656の各々は、炭素フォーム306の透過性、正電極308の全体的なサイズなどの構造的考慮事項に基づいて、選択され得る。一実施例では、電極アセンブリ積層体402の各電極アセンブリ302について、正電極308の厚さ654は、炭素フォーム306の厚さ656の100%~110%であり得る。
【0123】
更に示されるように、及び矢印608dによって示されるように、電極アセンブリ積層体402の炭素フォーム306を通って流動後、電解質は、電極アセンブリ積層体402の電解質出口通路658を通って、電解質出口チャネル604に導かれ、そこから電解質出口ポート208を通って出てもよい。具体的には、電極アセンブリ積層体402の各所与の電極アセンブリ302について、電解質は、炭素フォーム306から電解質出口通路658を通って、電解質出口チャネルセクション316に流動し得、そこから電解質は、重力方向で(例えば、軸gの正方向に沿って)、(所与の電極アセンブリ302と電解質出口プレナム606bとの間に挿入された任意の更なる電解質出口チャネルセクション316を通過した後)電解質出口プレナム606bに流動し得る。次いで、電解質は、電解質出口プレナム606bを通って電解質出口ポート208に通過し得、そこから電解質は、リバランシングセル202から排出され得る。このようにして、電解質は、電解質入口ポート(例えば、
図2A及び
図2Bの電解質入口ポート206、
図6A及び
図6Bには示されない)から電極アセンブリ積層体402の炭素フォーム306を通って、電解質出口ポート208に導かれ得る。
【0124】
いくつかの実施例では、電解質出口通路658の各々の全体的なサイズは、好適な圧力降下を生成し、電解質出口プレナム606bを過充填しないように十分に大きくなるように選択され得る(これは、z軸に対して電極アセンブリ積層体402の底部で電極アセンブリ302をフラッディングさせ得る)。したがって、かかる実施例では、電解質出口通路658の各々の全体的なサイズは、電解質出口プレナム606bの全体的なサイズ及び電解質出口ポート208に対応する開口部の全体的な数に依存し得る。他の実施例では、電解質出口プレナム606bの寸法は、より少なく、より大きい開口部を有する電解質出口ポート208に適合するために大きくてもよい。電解質出口ポート208がz軸の負の方向に面するセルエンクロージャ204の面上に位置付けられる実施例では、z軸に沿って最低電極アセンブリ302の厚さを維持しながら、より大きい開口部が適合され得、圧力降下は、(例えば、電解質が、電解質出口プレナム606bから電解質出口ポート208まで約90°の角度で流動しないため)更に低減し得る。
【0125】
更に示されるように、フローフィールドプレート626は、それぞれ、電極アセンブリ積層体402の電極アセンブリ302と接合し得る。いくつかの実施例では、フローフィールドプレート626は、所与の電極アセンブリ302の負電極310と接合(例えば、面共有接触)し得、z軸に対して隣接する電極アセンブリ302の炭素フォーム306の下に位置付けられた隣接する電極アセンブリ302のプレート304内に一体的に形成され得る。他の実施例では、所与の電極アセンブリ302の負電極310と接合するフローフィールドプレート626は、別個の取り外し可能な構成要素であり得る。追加的に、更に示されるように、z軸に対する最上部のフローフィールドプレート626は、任意の電極アセンブリ302と一体的に形成され得ず、代わりに、別個の取り外し可能な構成要素又は別の構成要素(例えば、
図2A及び
図2Bのセルエンクロージャ204)の一体的な特徴のいずれかとしてリバランシングセル202内に含まれ得る。
【0126】
例示的な実施形態では、所与の電極アセンブリ302を横切ってH2ガスを流動するように構成された1つ以上の水素ガス入口通路452は、所与の電極アセンブリ302の負電極310と接合するフローフィールドプレート626から形成され得る。例えば、1つ以上の水素ガス入口通路452は、互いに平行な複数の水素ガス入口通路452及びx軸(例えば、交差したフローフィールド構成若しくは部分的に交差したフローフィールド構成)、又はH2ガスがx軸に対して平行に入ることができる単一のコイル状の水素ガス入口通路452(例えば、蛇行フローフィールド構成)のいずれかとして構成され得る。いくつかの実施例では、1つ以上の水素ガス入口通路452は、x軸に対して平行に延在し得、電解質は、(矢印608bによって示されるように)y軸に対して平行に所与の電極アセンブリ302の炭素フォーム306を通って流動し得る。したがって、かかる実施例では、H2ガスは、電極アセンブリ積層体402に、90°の角度で導かれ得、ここから電解質が電極アセンブリ積層体402に導かれ得る。
【0127】
追加的又は代替的な実施例では、所与の電極アセンブリ302の炭素フォーム306は、フローフィールドプレート626と実質的に同様のフローフィールド構成のフローフィールドプレートと交換され得る。かかる一実施例では、所与の電極アセンブリ302の炭素フォーム306を交換するフローフィールドプレートのフローフィールド構成は、x軸及びy軸に対してフローフィールドプレート626のフローフィールド構成と同じ方向に配向され得る。別のかかる実施例では、所与の電極アセンブリ302の炭素フォーム306を交換するフローフィールドプレートのフローフィールド構成は、x軸及びy軸に対してフローフィールドプレート626のフローフィールド構成とは異なる方向(例えば、90°角度、180°角度、又は270°角度)に配向され得る。
【0128】
ここで
図7A及び
図7Bを参照すると、
図1のレドックスフロー電池システム10の部分的なフロー構成700及び750が示される。特に、部分的なフロー構成700及び750は、マルチチャンバ電解質貯蔵タンク110とRBC780との間のレドックスフロー電池システム10内の電解質及び水素ガスの流路を例解する。RBC780は、
図1のRBC80又はRBC82のいずれかに対応する。特に、部分的なフロー構成700及び750は、レドックスフロー電池18の上流に流用された電解質及び水素ガスの流路を例解する。このため、部分的なフロー構成700及び750は、マルチチャンバ電解質貯蔵タンク110とリバランシングセル80との間の負電解質及び水素ガスのための流路、又はマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110とリバランシングセル82との間の正電解質及び水素ガスのための流路を表現し得る。このように、主電解質ポンプ730は、電解質ポンプ30及び32に対応し得、制御バルブ774及び補助電解質ポンプ776は、電解質フロー制御デバイス76及び電解質フロー制御デバイス78に対応し得、H
2フロー発生器770は、水素ガスフロー制御デバイス66及び水素ガスフロー制御デバイス68に対応し得る。
【0129】
図1を参照して説明されるように、
図7Aの制御バルブ774及び
図7Bの補助電解質ポンプ776は、コントローラ88に通信可能に結合され得る。したがって、コントローラ88は、RBC780に供給される電解質のフローを管理するために、制御バルブ774及び補助電解質ポンプ776を調節し得る。一実施例では、制御バルブ774は、比例制御バルブを含み得る。一実施例では、制御バルブ774を調節することは、制御バルブ774をより開放位置又はより閉鎖位置に調整して、それぞれ、RBC780への電解質フローを増加させるか又は減少させることを含み得る。別の実施例では、補助電解質ポンプ776を調節することは、RBC780への電解質フローを、それぞれ増加させるか又は減少させるために、補助電解質ポンプ776の速度を増加させるか又は減少させることを含み得る。一実施例では、電解質フロー制御デバイス76及び78の両方が、制御バルブ774を含み得、別の実施例では、電解質フロー制御デバイス76及び78の両方が、補助電解質ポンプ776を含み得る。別の実施例では、電解質フロー制御デバイス76及び78のうちの一方が、制御バルブ774を含み得、電解質フロー制御デバイス76及び78のうちの他方が、補助電解質ポンプ776を含み得る。流量計などの電解質フロー測定デバイス784(明瞭さのために
図1には示されていない)は、RBC780の上流の電解質供給ライン内に位置付けられ得る。RBC780の下流では、液体電解質は、電解質戻りラインによって、マルチチャンバ電解質貯蔵タンク110に戻される。
【0130】
H2フロー発生器770は、水素ガスフロー制御デバイス66及び68に対応し得、水素ガス噴射器、ベンチュリ噴射器、質量流量コントローラ、質量流量メータ、ガスブロワ、及びガス圧力調節器のうちの1つ以上を含み得る。H2フロー発生器は、コントローラ88に通信可能に結合され得る。したがって、コントローラ88は、RBC780に供給される水素ガスのフローを管理するために、H2フロー発生器770を調節し得る。本明細書において説明されるように、H2ガスは、マルチチャンバ電解質貯蔵タンク110のヘッドスペース90及び92の並びに水素ガス源760うちの1つ以上から供給され得る。非限定的な例として、水素ガス源760は、マルチチャンバ電解質貯蔵タンク110の外部で、水素貯蔵タンク又は水素ガスシリンダを含むことができる。
【0131】
一実施例では、H
2フロー発生器770を調節することは、ガス圧力調節器を調整して、水素ガス圧力を増加させるか又は減少させ、それによって、RBC780への水素ガスの流量をそれぞれ増加させるか又は減少させることを含み得る。別の実施例では、H
2フロー発生器770を調節することは、RBC780への水素ガスの流量をそれぞれ増加させるか又は減少させるために、質量流量コントローラに送信される入力信号(例えば、電圧、電流など)の大きさを増加させるか又は減少させることを含み得る。別の実施例では、H
2フロー発生器770を調節することは、RBC780への水素ガスの流量をそれぞれ増加させるか又は減少させるために、水素ガス噴射器に送信される入力信号(例えば、電圧、電流など)の大きさを増加させるか又は減少させることを含み得る。別の実施例では、H
2フロー発生器770を調節することは、RBC780への水素ガスの流量をそれぞれ増加させるか又は減少させるために、ガスブロワのモータ速度を増加させるか又は減少させることを含み得る。ガス流量計などの水素ガスフロー測定デバイス786(明瞭さのために
図1には示されていない)は、RBC780の上流のH
2供給ライン内に位置付けられ得る。RBC780の下流では、水素ガスは、H
2戻りラインによって、マルチチャンバ電解質貯蔵タンク110及び水素ガス源760のうちの1つ以上に戻される。H
2がH
2源760から供給される場合、水素ガスは、H
2戻りラインによってH
2源に戻される。
【0132】
リバランシング反応式(3)を参照して上で説明されたように、電解質及び水素ガスは、電解質の健全性及び電池容量を維持するためにRBC780に供給される。特に、過剰な第二鉄イオン(例えば、レドックスフロー電池システムがIFBを含む場合)及びレドックスフロー電池システム中の水素は、リバランシング反応(式(4)で表現される)によって還元され、それによって寄生副反応(例えば、IFBの場合には式(1)及び(2)で表現される)を制限する。RBC780が本明細書において説明された
図2A及び
図2Bのリバランシングセルに対応する場合には、負(水素ガス)側圧力が、正(電解質)側圧力よりもわずかに高いRBC780内に小さい圧力勾配が維持され得る。より高いガス圧力及び重力は、RBC780の動作中の負側での電解質フラッディングを低減することに役立つ。しかしながら、RBC780における水素フローがリバランシング反応速度を指示するために不十分である場合、電解質フラッディングが生じ得る。一実施例では、水素ガス流量が、下側閾値水素ガス流量を下回る場合、リバランシング反応器の負側の水素ガスは、RBC780の負側の圧力が、実質的に、閾値水素ガス圧力未満に減少するように消費及び枯渇され得、それによってそこで電解質フラッディングをもたらす。
【0133】
図4A及び
図4Bを参照すると、RBC780の負側は、水素ガス出口ポート212が開放される状態の間、及びRBC780がフラッディングしていない状態の間に水素ガスが流動する、電極アセンブリ302及び電極アセンブリ積層体402の内部体積を指し得る。したがって、RBC780の負側は、水素ガス入口マニホールド406、水素ガス入口チャネル404(各電極アセンブリ302の水素ガス入口チャネルセクション318aを含む)、水素ガス出口チャネル(各電極アセンブリ302の水素ガス出口チャネルセクション318bを含む)、水素ガス入口通路452、及びプレート304と負の電極310との間の水素ガスチャネル420を含み得る。RBC780の負側は、電極アセンブリ302内に存在する場合、水素ガスフローフィールドプレートを更に含み得る。
【0134】
図6A及び
図6Bを参照すると、RBC780の正側は、RBC780がフラッディングしていない状態の間、液体電解質が流動する、電極アセンブリ302及び電極アセンブリ積層体402の内部体積を指し得る。したがって、RBC780の正側は、電解質入口マニホールド(電解質入口チャネル614を含む)、電解質入口ウェル312、電解質入口プレナム606a、オリフィス612、炭素フォーム306、正電極308、電解質出口チャネルセクション316、電解質出口チャネル604、及び電解質出口プレナム606bを含み得る。RBC780の正側は、電極アセンブリ302内に存在する場合、電解質フローフィールドプレートを更に含み得る。
【0135】
ここで
図8A及び
図8Bを参照すると、データプロット800及び850は、レドックスフロー電池システムにおけるリバランシングセルの動作状態を例解する。RBC780に供給される電解質流量810及び水素ガス流量820は、SOC(データプロット800)及び電解質濃度(データプロット850)の関数としてプロットされる。電解質流量810及び水素ガス流量820の両方は、体積流量に対応する。
【0136】
SOCは、レドックスフロー電池内に格納される電荷の量対レドックスフロー電池内に格納され得る電荷の完全又は総理論量の比として説明され得る。したがって、100%SOCは、レドックスフロー電池システムが完全に充電された状態(例えば、容量に完全に充電された状態)にある場合に対応し得、追加の金属は、めっき電極でめっきすることができず、一方で0%SOCは、レドックスフロー電池システムが完全に放電された状態にある場合に対応し得、これ以上の金属は、めっき電極で酸化及び脱めっきすることができない。0%~100%のSOC値は、レドックスフロー電池SOCが完全に充電された状態と完全に放電された状態との間の中間である場合に対応し得る。更に、SOCは、レドックスフロー電池が充電モードで動作している状態の間にSOCが測定される充電SOCと、レドックスフロー電池が放電モードで動作している状態の間にSOCが測定される放電SOCと、に対応し得る。
【0137】
SOCは、液体電解質のpH又は比重の測定などの化学的手段を含む様々な手段によって、センサ60、62、70、及び72のうちの1つ以上によって間接的に測定され得る。更に、センサ60、62、70、及び72のうちの1つ以上は、電解質pHにおける変化又は電解質SOCにおける変化を検出するための酸素還元電位(ORP)メータ又は光学センサを含み得る。IFBの場合、正電解質ORPは、SOCの尺度として、正電解質中の[Fe3+]の表示を提供する。このため、SOCは、正電解質チャンバ52、負電解質チャンバ50、正電極コンパートメント22、及び負電極コンパートメント20においてレドックスフロー電池システム10の動作中に監視され得る。
【0138】
追加的又は代替的に、レドックスフロー電池のSOCは、
図11A及び
図11Bを参照して下記に更に説明されるように、レドックスフロー電池のめっき効率及びレドックスフロー電池のシャント電流フローから判定され得る。負電極におけるめっき効率は、電流を供給及び吸収するためのレドックスフロー電池の容量を示し得、めっき効率値は、負電極で生じる副反応(例えば、式(1)、(2)、及び(3)によって表現される)に相関し得る。換言すると、めっき効率は、酸化還元フロー電池に出入りするクーロンをカウントし、酸化還元フロー電池に対するSOC推定値を判定するために使用され得る。そのため、めっき効率測定値は、見かけのSOCに対する負の副作用の有害な影響を構成し得るため、めっき効率からSOCを判定することは、ORPなどのSOCの他の間接的な測定値よりも正確であり得る。
【0139】
電解質濃度は、レドックスフロー電池電極で行われる電気化学反応に従って、レドックスフロー電池SOCから判定され得る。データプロット850では、電解質濃度は、より低い電解質濃度A(レドックスフロー電池SOCが0%又は完全に放電された場合に対応する)からより高い電解質濃度B(レドックスフロー電池SOCが100%又は完全に充電された場合に対応する)まで変化する。IFBの場合、電解質濃度は、第二鉄イオン濃度、[Fe3+]に対応し得る。[Fe3+]は、式(5)及び(6)によって表現されるように、レドックスフロー電池SOCに相関し得る。第二鉄イオンは、レドックスフロー電池の充電中に正電極で生成され、逆に、第二鉄イオンは、レドックスフロー電池の放電中に正電極で消費される。したがって、レドックスフロー電池SOCが電池充電中に増加すると、レドックスフロー電池システム内の第二鉄イオン濃度が増加し得、レドックスフロー電池SOCが電池放電中に減少すると、レドックスフロー電池システム内の第二鉄イオン濃度が減少し得る。第二鉄濃度は、それぞれセンサ72及び62によって正電極コンパートメント22及び正電解質チャンバ52で測定され得る。
【0140】
電解質流量810は、補助電解質ポンプ776の速度、主電解質ポンプ730の速度、及び制御バルブ774の%開放位置のうちの1つ以上から判定され得る。追加的又は代替的に、電解質流量810は、電解質フロー測定デバイス784を用いて測定され得る。水素ガス流量820は、水素ガス源760における圧力、マルチチャンバ電解質貯蔵タンク110のヘッドスペース90及び92における圧力、H2フロー発生器770からの出力信号、H2フロー発生器770に供給される入力信号、又はH2フロー発生器がブロワを含む場合のモータ速度のうちの1つ以上から判定され得る。追加的又は代替的に、水素ガス流量820は、水素ガスフロー測定デバイス786を用いて測定され得る。
【0141】
上側閾値水素ガス流量824は、H2フロー発生器770が上側閾値圧力で水素ガスを送達するように構成されている状態の間、水素ガス流量820に対応し得る。上側閾値圧力は、RBC780内の封止の完全性が損なわれ得る圧力、並びに水素ガス源760及び/又はマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110のヘッドスペース90及び92からの利用可能な最高送達圧力のうちの1つ以上に対応し得る。追加的又は代替的に、上側閾値水素ガス流量824は、入力信号が水素質量流量コントローラ若しくは水素ガス噴射器に送信される場合、又は水素ガスブロワがフルブロワ速度で動作している場合に対応し得る。
【0142】
電解質流量810及び水素ガス流量820の両方が、RBC780に供給されるそれぞれの上側閾値電解質流量814及び上側閾値水素ガス流量824のパーセンテージとして示される。一実施例では、上側閾値電解質流量814は、制御バルブ774が完全に開放され、主電解質ポンプ730のポンプ速度がその最高能力ポンプ速度にある場合、又は補助電解質ポンプがその最高ポンプ速度にあり、主電解質ポンプ730のポンプ速度がその最高ポンプ速度にある場合、電解質流量810に対応し得る。別の例では、上側閾値電解質流量814は、上側閾値水素ガス流量824で動作する場合を含む、RBC780の負側で電解質がフラッディングする確率が増加することを上回る電解質流量810に対応し得る。更に、電解質流量810は、下側閾値電解質流量812を上回って維持され得、水素流量820は、下側閾値水素流量822を上回って維持され得る。下側閾値電解質流量812は、レドックスフロー電池システムの性能が実質的に低減されるように、リバランシング反応速度が減少する電解質流量に対応し得る。下側閾値水素ガス流量822は、0%のレドックスフロー電池SOCにおいて又はその付近であっても、RBC780のフラッディングが増加することより下の水素ガス流量に対応し得る。
【0143】
反応式(4)のリバランシングから、IFBの電解質リバランシング速度、Rリバランシングは、次のように表すことができる:
Rリバランシング=k[Fe3+][H2]1/2 (13)
【0144】
式(13)では、kは、リバランシング反応速度定数を表現し、kは、電解質及び水素ガス濃度と相対的に一定であり得るが、Arrhenius関係に従って、温度とともに変化してもよい。リバランシング反応は、Rリバランシングによって表されるように、[Fe3+]に比例する割合で第二鉄イオンを消費し、水素濃度の平方根[H2]1/2に比例する水素ガスを消費する。レドックスフロー電池システム10の動作中、電解質濃度は、レドックスフロー電池SOCに応じて変化し得る。IFBの場合、[Fe3+]は、電池充電中にレドックスフロー電池SOCが増加するにつれて増加し、[Fe3+]は、電池放電中にレドックスフロー電池SOCが減少するにつれて減少する。したがって、コントローラ88は、リバランシング反応を持続するために、RBC780への電解質及び水素ガスの流量を調節し得、それによって、一定のRリバランシングは、レドックスフロー電池SOCから独立して維持される。リバランシング反応を持続し、一定のRリバランシングを維持することは、電解質フラッディングがRリバランシングを低減するので、RBC780での電解質フラッディングを軽減することを含む。例示的なデータプロット800及び850において、コントローラ88によって調節される電解質流量810及び水素ガス流量820における変化は、SOC(又は電解質濃度)の変化に対して線形として描写される。しかしながら、他の実施例では、電解質流量810と水素ガス流量820とレドックスフロー電池SOC(又は電解質濃度)との間の関係は、非線形であり得る。
【0145】
レドックスフロー電池システムのより高い性能を維持するために、コントローラ88は、リバランシング反応に利用可能な水素の量を考慮して最大Rリバランシングを達成するために、RBC780に供給される電解質及び水素ガス流量を調節し得る。なお更に、一定のRリバランシング(最大Rリバランシングで)を維持し、RBC780において電解質フラッディングを軽減することは、RBC780に供給される水素対電解質の質量流量比(Q質量、H2/Q質量、電解質)を一定に維持しながら、RBC780への電解質及び水素ガス流量を調節することを含み得る。水素対電解質の質量流量比は、式(14)によって表現され得る:
Q質量、H2/Q質量、電解質=(QH2*[H2])/(Q電解質*[電解質]) (14)
Q質量、H2及びQ質量、電解質は、それぞれ、水素ガス及び電解質の質量流量を表現し、QH2及びQ電解質は、それぞれ、水素ガス及び電解質の体積流量を表現する。IFBレドックスフロー電池システムの場合、[電解質]は、[Fe3+]に対応し得る。QH2及びQ電解質は、データプロット800及び850内にプロットされるように、水素ガス流量820及び電解質流量810に対応する。
【0146】
一実施例では、Q質量、H2/Q質量、電解質は、閾値質量流量比、(Q質量、H2/Q質量、電解質)THを上回って維持され得る。(Q質量、H2/Q質量、電解質)THは、RBC780に供給される水素ガスの量が、リバランシング反応式(4)によって与えられる水素の化学量論的量に対して少量の過剰水素ガスを含む質量流量比に対応し得る。(Q質量、H2/Q質量、電解質)THよりも大きいQ質量、H2/Q質量、電解質を維持することは、所与のQ質量、電解質に対するRリバランシングをサポートするために十分な水素ガスフローがRBC780に供給されることを確実にするのに役立ち得る。言い換えれば、RBC780への電解質及び水素ガス流量を調節して、(Q質量、H2/Q質量、電解質)THよりも大きいQ質量、H2/Q質量、電解質をレドックスフロー電池SOCから独立して維持することは、RBC780の負側における圧力が、RBC780の正側での圧力よりもわずかに高い、RBC780内の小さい圧力勾配を保持することに役立つ。RBC780の正側面に対して負側面におけるより高い圧力は、RBC780の負側面から離れた正側面での電解質の誘導された重力フローと組み合わされて、RBC780の負側における電解質フラッディングを軽減するのに役立ち得る。
【0147】
(Q質量、H2/Q質量、電解質)THよりも大きいQ質量、H2/Q質量、電解質を維持することは、RBC780における過剰水素ガス流量820を少量の過剰水素ガス流量に制限することを更に含み得る。過剰水素ガス流量820を少量の過剰水素ガス流量に制限することは、(例えば、式(1)及び(2))副反応による寄生電力損失を低減しながら動作コストを低減させることに役立つ。一実施例では、(Q質量、H2/Q質量、電解質)THは、
(Q質量、H2/Q質量、電解質)TH=(QH2、TH、上側*[H2])/(Q電解質、TH、上側*[電解質]TH)(15)
式(15)では、QH2、TH、上側及びQ電解質、TH、上側は、それぞれ、上側閾値水素ガス流量824及び上側閾値電解質流量814を表現し、[電解質]THは、閾値電解質濃度858を表現する。IFBの場合、[電解質]THは、[Fe3+]THに対応し得る。
【0148】
SOC(及び[Fe3+])とのRリバランシングの依存性は、レドックスフロー電池システム動作状態データプロット800及び850に示されるように、コントローラ88がRBC780への電解質及び水素流量をどのように調節し得るかに反映される。データプロット800及び850は、3つの動作領域に分割され得:第1の状態は、レドックスフロー電池SOCが閾値レドックスフロー電池SOC808未満である場合を含み得、電解質濃度が閾値電解質濃度858未満である場合を更に含み得、第2の状態は、レドックスフロー電池SOCが閾値レドックスフロー電池SOC808と同等である場合を含み得、電解質濃度が閾値電解質濃度858と同等である場合を更に含み得、第3の状態は、レドックスフロー電池SOCが閾値レドックスフロー電池SOC808よりも大きい場合を含み得、電解質濃度が閾値電解質濃度858よりも大きい場合を更に含み得る。
【0149】
データプロット800及び850は、閾値レドックスフロー電池SOC808及び閾値電解質濃度858を別個の値として表現するが、いくつかの実施形態では、閾値レドックスフロー電池SOC808及び閾値濃度858は、それぞれ、SOC値の閾値範囲及び電解質濃度の閾値範囲を含み得る。一実施例として、SOC値の閾値範囲は、閾値レドックスフロー電池SOC808プラス又はマイナスの閾値SOC偏差を含み得、電解質濃度の閾値範囲は、閾値電解質濃度858プラス又はマイナスの閾値電解質濃度偏差を含み得る。したがって、第1の状態は、レドックスフロー電池SOCが閾値SOCマイナス閾値SOC偏差未満である場合を含み得、第3の状態は、レドックスフロー電池SOCが閾値SOCプラス閾値SOC偏差よりも大きい場合を含み得る。追加的又は代替的に、第1の状態は、電解質濃度が閾値電解質濃度マイナス閾値電解質濃度偏差未満である場合を含み得、第3の状態は、電解質濃度が閾値電解質濃度プラス閾値電解質濃度偏差よりも大きい場合を含み得る。
【0150】
上で説明されたように、IFBの場合、電解質濃度は、第二鉄イオン濃度に対応し得る。第1の状態の間、レドックスフロー電池SOCは、閾値レドックスフロー電池SOCよりも低く(及び電解質濃度は、閾値電解質濃度よりも低い)、RBC780における電解質濃度は、リバランシング反応において(H2に対する)制限反応力であり得る。このため、第1の状態下で動作するレドックスフロー電池システムに応答して、電解質は、所与の水素ガス流量820に関するRリバランシングを最大化するために、上側閾値電解質流量814と同等の流量でRBC780に供給され、維持され得る。更に、レドックスフロー電池SOCが、0%から閾値レドックスフロー電池SOC808まで増加すると(及び電解質濃度がAから閾値電解質濃度858まで増加すると)、RBC780に供給される水素ガス流量820は、Rリバランシングを持続するための十分な水素ガスを供給するために、応答的に増加する。レドックスフロー電池SOCが閾値レドックスフロー電池SOC808から0%に減少すると(及び電解質濃度が閾値電解質濃度858からAに減少すると)、RBC780に供給される水素ガス流量820は、Rリバランシングを持続するための十分な水素ガスを供給するために、応答的に減少する。このようにして、第1の状態中、レドックスフロー電池SOCにおける変化に応答して、水素ガス流量を調節することは、RBC780のフラッディングを軽減するために、RBC780においてリバランシング反応式(4)によって与えられる電解質(例えば、IFBに対する第二鉄イオン)に対するH2のわずかな化学量論的過剰を保つために、(Q質量、H2/Q質量、電解質)THよりも大きいQ質量、H2/Q質量、電解質を維持することを含み得る。
【0151】
第3の状態の間、レドックスフロー電池SOCは、閾値レドックスフロー電池SOCよりも高く(電解質濃度は、閾値電解質濃度よりも高く)、RBC780における水素ガス濃度は、リバランシング反応における(電解質に対する)制限反応力であり得る。このため、第3の状態の下で動作するレドックスフロー電池システムに応答して、水素ガスは、所与の電解質流量810のRリバランシングを最大化するために、上側水素ガス流量824と同等の流量でRBC780に供給され、維持され得る。更に、レドックスフロー電池SOCが閾値レドックスフロー電池SOC808から100%に増加すると(及び電解質濃度が閾値電解質濃度858からBに増加すると)、RBC780に供給される電解質流量810は、RBC780を過剰な電解質で動作させることを回避するために応答的に減少し、RBC780のフラッディングを引き起こし得る。レドックスフロー電池SOCが増加するにつれて電解質流量を低減させることは、一定のRリバランシングを維持しながら、フラッディングを回避するためにRBC780に十分な水素ガスを維持するのに役立つ。レドックスフロー電池SOCが100%から閾値レドックスフロー電池SOC808に減少すると(及び電解質濃度がBから閾値電解質濃度858に減少すると)、RBC780に供給される電解質流量810は、一定のRリバランシングを維持するために十分な電解質を供給するために、応答的に増加する。このようにして、第3の状態中、レドックスフロー電池SOCの変化に応答して、電解質流量810を調節することは、RBC780のフラッディングを軽減するために、リバランシング反応式(4)によって与えられるように、RBC780における電解質(例えば、IFBのための第二鉄イオン)に対するH2のわずかな化学量論的過剰を保つために、(Q質量、H2/Q質量、電解質)THよりも大きいQ質量、H2/Q質量、電解質を維持することを含み得る。
【0152】
第2の状態の間、レドックスフロー電池SOCは、閾値レドックスフロー電池SOC808と同等である(及び電解質濃度は、閾値電解質濃度858と同等である)。このため、第2の状態の下で動作するレドックスフロー電池システムに応答して、電解質は、上側閾値電解質流量814に等しい流量でRBC780に供給され、維持され得、一方で水素ガスは、Rリバランシングを最大化するために、上側閾値水素ガス流量824に等しい流量でRBC780に供給され、維持され得る。このため、第2の状態の間、式(15)で表現されるように、Q質量、H2=QH2、TH、上側*[H2]及びQ質量、電解質=Q電解質、TH、上側*[電解質]TH、及び(Q質量、H2/Q質量、電解質)TH=(QH2、TH、上側*[H2])/(Q電解質、TH、上側*[電解質]TH)である。第2の状態は、第1の状態から第3の状態への遷移動作領域を表現し、ここで、リバランシング反応における制限反応力は、電解質(例えば、IFBのための第二鉄イオン)から水素ガスに遷移する。逆に、第2の状態はまた、リバランシング反応における制限反応力が水素ガスから電解質(例えば、IFBのための第二鉄イオン)に遷移する、第3の状態から第1の状態への遷移動作領域を表現する。
【0153】
ここで
図9及び
図10を参照すると、リバランシングセル780を含むレドックスフロー電池システム10を動作させるための方法900及び1000が示されている。具体的には、リバランシングセル780は、RBC780で電解質がフラッディングする可能性を低減しながら、リバランシング反応速度及び電解質に対する水素ガスの質量流量比を閾値質量流量比で維持するために、レドックスフロー電池システム10内に実装され得る。例示的な実施形態では、レドックスフロー電池システムは、
図1のレドックスフロー電池システム10であり得、リバランシングセルは、
図2A及び
図2Bのリバランシングセル202であり得る。したがって、方法900及び方法1000は、
図1、
図2A、
図2B、
図3、
図4A、
図4B、
図5A、
図5B、
図6A、
図6B、
図7A、及び
図7Bの実施形態を単体、又は組み合わせて参照して考慮され得る(ただし、本開示の範囲から逸脱することなく、同様の方法が他のシステムに適用され得ることが理解されよう)。例えば、方法900及び方法1000では、(例えば、電解質流量及びH
2ガス流量を調節することを伴う)ステップの少なくとも一部又はステップの部分は、
図1のコントローラ88を介して実行され得、コントローラ88に通信可能に結合された非一時的な記憶媒体(例えば、メモリ)に実行可能な命令として格納され得る。詳細に説明すると、RBC780へのH
2ガス流量は、コントローラから水素フロー発生器770へコマンドを送信することによって駆動され得、RBC780への電解質流量は、コントローラ88から、主電解質ポンプ730、補助電解質ポンプ776、及び制御バルブ774のうちの1つ以上へコマンドを送信することによって駆動され得る。
図9及び
図10を参照して説明される更なる構成要素は、
図1、
図2A、
図2B、
図3、
図4A、
図4B、
図5A、
図5B、
図6A、
図6B、
図7A、及び
図7Bの対応する構成要素の実施例であり得る。
【0154】
方法900は、コントローラ88が、レドックスフロー電池SOC、水素ガス流量、電解質流量、レドックスフロー電池の動作モード(例えば、充電モード、放電モード、アイドルモード)などの、レドックスフロー電池システムの動作状態を推定及び/又は測定し得るステップ910を含む。
【0155】
920において、方法900は、測定されたSOCから電解質濃度を計算することを含む。一実施例では、コントローラ88は、電解質濃度データ対レドックスフロー電池SOCの所定の較正ルックアップテーブルから電解質濃度を推測し得る。
【0156】
次に、930において、方法900は、リバランシング反応速度、R
リバランシングを維持することと、(Q
質量、H2/Q
質量、電解質)>(Q
質量、H2/Q
質量、電解質)
THを維持することと、を含む。特に、
図10の方法1000に従って、934において、コントローラ88は、電解質流量を調整し得、かつ/又はRBC780に供給される水素ガス流量を調整し得る。
【0157】
ここで
図10を参照すると、方法1000は、ステップ1010を含み、ここでコントローラ88は、第1の状態が満たされているかどうかを判定する。
図8A及び
図8Bを参照して上で説明されたように、満たされている第1の状態は、レドックスフロー電池SOCが閾値SOC808未満である場合を含む。満たされている第1の状態は、電解質濃度が閾値電解質濃度858未満である場合を更に含み得る。IFBの場合、閾値電解質濃度858未満である電解質濃度は、閾値第二鉄イオン濃度未満である第二鉄イオン濃度に対応し得る。第1の状態が満たされていることに応答して、方法1000は、1014に進み、ここでコントローラ88は、電解質体積流量、Q
電解質=Q
電解質、TH、上側を設定する。更に、SOC及び/又は電解質濃度の増加に応答して、コントローラ88は、Q
電解質=Q
電解質、TH、上側を維持しながら、水素ガス流量を増加させ得る。なお更に、SOC及び/又は電解質濃度の減少に応答して、コントローラ88は、Q
電解質=Q
電解質、TH、上側を維持しながら、水素ガス流量を減少させ得る。したがって、コントローラ88は、フラッディングを軽減しながら、所望のリバランシング反応速度を持続するための十分な水素をRBC780に供給するために、第1の状態中、Q
電解質=Q
電解質、TH、上側を維持しながら、SOC中の変化に応答して、水素ガス流量を調整し得る。なお更に、1014において、レドックスフロー電池SOCにおける変化に応答して、水素ガス流量を調節しながら、コントローラ88は、下側閾値水素流量822、Q
H2、TH、下側を上回る水素流量820を維持し得る。Q
H2、TH、下側は、0%のレドックスフロー電池SOC及びAの電解質濃度であっても、RBC780のフラッディングが増加する下記の水素ガス流量に対応し得る(
図8A及び
図8Bを参照されたい)。
【0158】
1010に戻ると、第1の状態が満たされない場合、方法1000は、コントローラが第3の状態が満たされているかどうかを判定する1020に進む。
図8A及び
図8Bを参照して上で説明されたように、満たされている第3の状態は、レドックスフロー電池SOCが閾値SOC808よりも大きい場合を含む。満たされている第3の状態は、電解質濃度が閾値電解質濃度858よりも大きい場合を更に含み得る。IFBの場合、閾値電解質濃度858よりも大きい電解質濃度は、閾値第二鉄イオン濃度よりも大きい第二鉄イオン濃度に対応し得る。第3の状態が満たされていることに応答して、方法1000は、1024に進み、ここでコントローラ88は、水素体積ガス流量Q
H2=Q
H2、TH、上側を設定する。更に、SOC及び/又は電解質濃度の増加に応答して、コントローラ88は、Q
H2=Q
H2、TH、上側を維持しながら、電解質体積流量を減少させ得る。なお更に、SOC及び/又は電解質濃度の減少に応答して、コントローラ88は、Q
H2=Q
H2、TH、上側を維持しながら、電解質体積流量を増加させ得る。したがって、コントローラ88は、フラッディングを軽減しながら、所望のリバランシング反応速度を持続するための十分な電解質をRBC780に供給するために、第3の状態中、Q
H2=Q
H2、TH、上側を維持しながら、SOC中の変化に応答して、電解質体積流量を調整し得る。なお更に、1024において、レドックスフロー電池充電状態中の変化に応答して、電解質流量を調節しながら、コントローラ88は、下側閾値電解質流量812、Q
電解質、TH、下側を上回る電解質流量810を維持し得る。Q
電解質、TH、下側は、レドックスフロー電池システムの性能が実質的に低減されるように、リバランシング反応速度が減少する電解質流量に対応し得る。
【0159】
1020に戻ると、第3の状態が満たされない場合、方法1000は、1030に進み、ここでコントローラ88は、第2の状態が満たされているかどうかを判定する。
図8A及び
図8Bを参照して上で説明されたように、満たされている第2の状態は、レドックスフロー電池SOCが閾値SOC808と同等である場合を含む。満たされている第2の状態は、電解質濃度が閾値電解質濃度858と同等である場合を更に含み得る。第2の状態が満たされていることに応答して、方法1000は、1034に進み、ここでコントローラ88は、水素体積ガス流量、Q
H2=Q
H2、TH、上側を設定し、体積電解質体積流量Q
電解質=Q
電解質、TH、上側を設定する。したがって、SOC及び/若しくは電解質濃度の増加又は減少のいずれかに応答して、コントローラ88は、フラッディングを緩和しながら、所望のリバランシング反応速度を持続するために、第3の状態中に、Q
H2=Q
H2、TH、上側を維持しながら、Q
電解質=Q
電解質、TH、上側を維持する。
【0160】
1014、1024、及び1034の後、方法1000は、934の後の方法900に戻る。934の後、方法900は終了する。
【0161】
このようにして、レドックスフロー電池システム内でリバランシングセルを動作させる方法は、レドックスフロー電池システム内のレドックスフロー電池の充電状態(SOC)を測定することと、レドックスフロー電池の測定されたSOCから電解質濃度を計算することと、リバランシングセルにおいてリバランシング反応速度を維持することであって、電解質濃度の変化に応答して、リバランシングセルへの電解質流量を調整すること、及びリバランシングセルへの水素流量を調整すること、を含む、維持することと、を含む。第1の実施例では、方法は、電解質濃度における変化に応答して、電解質流量を調整することが、電解質濃度が閾値電解質濃度を上回る場合を含む第3の状態の間の電解質濃度における増加に応答して、電解質流量を低減させることを含むことを、更に含む。任意選択的に、第1の実施例を含む第2の実施例では、方法は、電解質濃度における変化に応答して、水素流量を調整することが、電解質濃度が閾値電解質濃度未満の場合を含む第1の状態の間の電解質濃度における増加に応答して、水素流量を増加させることを含むことを、更に含む。任意選択的に、第1及び第2の実施例のうちの1つ以上を含む第3の実施例では、方法は、電解質濃度における変化に応答して、電解質流量を調整することが、第1の状態の間に、電解質流量を上側閾値電解質流量に設定することを含むことを、更に含む。任意選択的に、第1~第3の実施例のうちの1つ以上を含む第4の実施例では、方法は、電解質濃度における変化に応答して、水素流量を調整することが、第3の状態の間に、水素流量を上側閾値水素流量に設定することを含むことを、更に含む。任意選択的に、第1~第4の実施例のうちの1つ以上を含む第5の実施例では、方法は、リバランシングセルにおいてリバランシング反応速度を維持することが、電解質流量を上側閾値電解質流量未満に維持することを含むことを、更に含む。任意選択的に、第1~第5の実施例のうちの1つ以上を含む第6の実施例では、方法は、リバランシングセルにおいてリバランシング反応速度を維持することが、水素流量を、下側閾値水素流量を超えて維持することを含むことを、更に含む。任意選択的に、第1~第6の実施例のうちの1つ以上を含む第7の実施例では、方法は、電解質濃度における変化に応答して、電解質流量を調整することが、電解質濃度が閾値電解質濃度にある場合を含む第2の状態の間に、電解質流量を上側閾値電解質流量に設定することを含むことを、更に含む。任意選択的に、第1~第7の実施例のうちの1つ以上を含む第8の実施例では、方法は、電解質濃度における変化に応答して、水素流量を調整することが、第2の状態の間に、水素流量を上側閾値水素流量に設定することを含むことを、更に含む。
【0162】
このようにして、レドックスフロー電池システムを動作させる方法は、レドックスフロー電池とリバランシングセルとの間で電解質を再循環させることと、水素ガスをリバランシングセルに供給することと、レドックスフロー電池の充電状態(SOC)を測定することと、リバランシングセルでリバランシング反応速度を維持することと、を含み、リバランシングセルへの電解質の流量を調整することと、レドックスフロー電池の測定されたSOCに基づいてリバランシングセルへの水素ガスの流量を調整することと、を含む。第1の実施例では、方法は、レドックスフロー電池の測定されたSOCに基づいて、リバランシングセルへの電解質の流量を調整することと、リバランシングセルへの水素ガスの流量を調整することが、レドックスフロー電池の測定されたSOCが閾値レドックスフロー電池SOCを上回る状態の間、上側閾値水素ガス流量で水素ガスの流量を維持しながら、レドックスフロー電池の測定されたSOCにおける増加に応答して、電解質の流量を低減させることを含むことを、更に含む。任意選択的に、第1の実施例を含む第2の実施例では、方法は、レドックスフロー電池の測定されたSOCに基づいて、リバランシングセルへの電解質の流量を調整することと、リバランシングセルへの水素ガスの流量を調整することが、レドックスフロー電池の測定されたSOCが閾値レドックスフロー電池SOCを下回る状態の間、上側閾値電解質流量で電解質の流量を維持しながら、レドックスフロー電池の測定されたSOCにおける増加に応答して、水素ガスの流量を増加させることを含むことを、更に含む。任意選択的に、第1及び第2の実施例のうちの1つ以上を含む第3の実施例では、方法は、レドックスフロー電池の測定されたSOCに基づいて、リバランシングセルへの電解質の流量を調整することと、リバランシングセルへの水素ガスの流量を調整することが、レドックスフロー電池の測定されたSOCが閾値レドックスフロー電池SOCである状態の間、水素ガスの流量を上側閾値水素ガス流量で維持することと、電解質の流量を上側閾値電解質流量で維持することと、を含むことを、更に含む。任意選択的に、第1~第3の実施例のうちの1つ以上を含む第4の実施例では、方法は、リバランシングセルにおいてリバランシング反応速度を維持することが、リバランシングセルへの電解質の質量流量に対するリバランシングセルへの水素ガスの質量流量の比を、閾値質量流量比を超えて維持することを含むことを、更に含む。任意選択的に、第1~第4の実施例のうちの1つ以上を含む第5の実施例では、方法は、リバランシングセルへの電解質の質量流量に対するリバランシングセルへの水素ガスの質量流量の比を、閾値質量流量比を超えて維持することが、リバランシングセルにおいて電解質に対する水素ガスの化学量論的過剰を維持することを含むことを、更に含む。
【0163】
図11A及び
図11Bを参照して本明細書おいて説明されるように、一実施例では、レドックスフロー電池SOCは、レドックスフロー電池めっき効率及びシャント電流フローから判定され得る。特に、めっき効率及びシャント電流フローは、正及び負電解質SOC値を計算するために使用され、加えて、レドックスフロー電池開回路電圧(OCV)は、OCVのSOC値、SOC
OCVを計算するために使用される。その後、レドックスフロー電池SOCの推定値は、正及び負電解質SOC値の組み合わせから判定され得、推定されたレドックスフロー電池SOCは、推定されたレドックスフロー電池SOCとSOC
OCVとの比較に基づいて、調整され得る。
【0164】
ここで
図11Aを参照すると、めっき電解質pHと負電極めっき効率との間の例示的な関係を例解するプロット1100が示される。プロットは、負電極めっき効率を出力する関数を表現する。機能は、めっき電解質pHを介して参照されるか、又は指数化され得る。縦軸は、負電解質めっき効率を表現し、負電解質めっき効率は、縦軸矢印の方向において増加する。水平軸は、めっき電解質pHを表現し、めっき電解質pHは、水平軸の矢印の方向において増加する。
【0165】
曲線1102は、めっき電解質pHと負電極めっき効率との間の関係を表現し、これは、負のめっき反応に関するクーロン効率と呼ばれ得る。一実施例では、曲線302は、式(15)において以下のように表され得る:
プレートeff=0.138*ln(pH)+0.8514 (15)
式中、プレートeffは、負電極のめっき効率であり、lnは、自然対数であり、pHは、めっき電解質のpH値である。
【0166】
一実施例では、めっき効率は、めっき電解質のpHを調整し、鉄フロー電気エネルギー貯蔵セルの充電中の各pH値についてめっき効率を判定することを介して、経験的に判定され得る。めっき効率は、鉄フロー電気エネルギー貯蔵セルの充電中に負電極に堆積される金属の実際の重量を、ファラデーの法則に従って鉄フロー電気エネルギー貯蔵セルの充電中に負電極に堆積され得る金属の理論的重量で除算することを介して判定され得る。
【0167】
ここで
図11Bを参照すると、電池SOCと開回路電圧(OCV)との間の例示的な関係を例解するプロット1152が示される。プロットは、電池のSOCを出力する関数を表現する。関数は、OCVによって参照されるか又は指標化され得る(例えば、IFBセル又はセル積層体が外部電気負荷から切断された場合のIFBセル又はセル積層体の電圧)。垂直軸は、OCVをめっきすることを表し、OCVは、垂直軸の矢印の方向において増加する。水平軸は、SOC%を表し、SOC%は、水平軸矢印の方向において増加する。
【0168】
曲線1152は、SOC%とOCVとの間の関係を表現する。一実施例では、曲線402は、式(16)において以下のように表され得る:
SOCOCV=-0.518*(OCV)2+67.098*(OCV)-2010.7(16)
SOCOCVは、OCVから判定された電池SOCであり、OCVは、選択された電池の開回路電圧である。
【0169】
一実施例では、SOC及びOCVの関係は、OCVを測定し、次いで、放電プロセス中に電池を残す充電量を測定しながら、電池を完全に放電することによって経験的に判定され得る。電池が格納し得る理論上の充電量によって除算された、放電プロセス中に電池から出る充電量は、特定のOCVに対するSOCを示す。
【0170】
充電から放電、又はその逆への動作における変化は、レドックスフロー電池システムの動作を中断することなく、レドックスフロー電池のOCVを判定する機会を提供する。一実施例として、コントローラは、充電中にSOCが上側閾値SOCを上回って増加する場合、レドックスフロー電池の充電からレドックスフロー電池の放電に切り替え得る。同様に、コントローラは、SOCが放電中に下側閾値SOCを下回って減少する場合、レドックスフロー電池を放電することからレドックスフロー電池を充電することに切り替え得る。代替的に、コントローラ88は、レドックスフロー電池が動作を放電モードから充電モードに切り替えること、又はその逆を要求し得る。上側閾値SOC及び下側閾値SOCは、所定の量であり得、それぞれ、レドックスフロー電池が容量に充電され、完全に放電された場合に対応し得る。コントローラ88は、例えば、少なくとも30秒の閾値分離持続時間の間、電圧源又は負荷、他のレドックスフロー電池、並びに外部電源及び消費者からレドックスフロー電池を電気的に分離し得る。次いで、コントローラ88は、式(16)によって、SOCOCV(開回路電圧に基づく充電状態)を判定する。
【0171】
レドックスフロー電池の正及び負電解質、SOC
正及びSOC
負のSOC値は、それぞれ、式(17)及び(18)から判定される:
【数6】
【数7】
【0172】
式中、SOC
正は、正電解質に基づくSOCであり、nは、SOCが推定される時間間隔中の合計のステップ数であり、IT100は、SOCが推定される時間間隔中の電気エネルギーセル積層体を通る総電流フローであり、Fは、ファラデー数であり、I
s、正、iは、SOCが推定される時間間隔中の正電解質に関する総シャント電流であり、A
aは、鉄フロー電池システムのアクティブエリアであり、N
Fe3+は、正電解質から負電解質への第二鉄イオンに対するフラックス密度であり、Δt
iは、ステップ間の時間間隔であり、V
正、0は、正電解質の初期体積であり、[Fe
2+]
0は、正及び負電解質中の第一鉄イオンの初期濃度であり、N
Fe2+は、正電解質から負電解質への第一鉄イオンに関するフラックス密度であり、SOC
負は、負電解質に基づくSOCであり、
【数8】
は、負のめっき反応に関するクーロン効率であり(例えば、式(14)によって示されるめっき効率)、I
s、負、iは、SOCが推定される時間間隔の間の負電解質の合計シャント電流であり、V
負、0は、負電解質の初期体積である。
【0173】
シャント電流は、経験的に判定され得る。一実施例では、レドックスフロー電池におけるシャント電流は、外部電流が印加されないが、全てのレドックスフロー電池セルが、電解質シャント経路を介して接続されているアイドリング状態での電池容量損失の測定を介して経験的に判定され得る。電気エネルギー貯蔵デバイスセル積層体内のイオン移動。イオン移動(例えば、レドックスフロー電池システムのアクティブエリア当たりのフラックス密度)は、経験的に判定され得る。一実施例では、レドックスフロー電池におけるイオン移動は、イオンクロマトグラフィーを介した電解質イオン濃度の生体外測定を介して経験的に判定され得る。
【0174】
充電中、レドックスフロー電池SOCに関する推定値は、式(19)によって与えられる:
SOC=max(SOC正、SOC負) (19)
式中、maxは引数SOC正とSOC負のより大きい値を戻す関数である。放電中、レドックスフロー電池SOCに関する推定値は、式(20)によって与えられる:
SOC=min(SOC正、SOC負) (20)
【0175】
式中、minは引数SOC正とSOC負の小さい方の値を戻す関数である。
【0176】
式(19)又は(20)によって与えられるレドックスフロー電池SOCの推定値が、SOCOCVの10%以内である場合、SOCは、式(21)に従って調整され得る:
SOC=SOC*(SOC/SOCOCV) (21)
【0177】
式(19)又は(20)によって与えられるレドックスフロー電池SOCの推定値がSOCOCVの10%以内でない場合、電解質リバランシング及び/又は洗浄が示され得る。
【0178】
このようにして、レドックスフロー電池システムは、レドックスフロー電池と、レドックスフロー電池に流体的に結合されたリバランシングセルと、レドックスフロー電池とリバランシングセルとの間に流体的に結合された電解質フロー制御デバイスと、レドックスフロー電池とリバランシングセルとの間に流体的に結合された水素フロー制御デバイスと、コントローラであって、電解質の濃度における変化に応答して、リバランシングセルに供給される電解質の流量を調整するために、電解質フロー制御デバイスを調節することと、リバランシングセルに供給される水素の流量を調整するために、水素フロー制御デバイスを調節することと、を含む、リバランシングセルにおいて電解質リバランシング反応速度を維持することを行うための、コントローラの非一時的メモリ内に格納された実行可能な命令を含む、コントローラと、を含む。第1の実施例では、レドックスフロー電池システムは、レドックスフロー電池が、全鉄レドックスフロー電池(IFB)を含み、電解質が、第二鉄イオンを含むことを更に含む。任意選択的に、第1の実施例を含む第2の実施例では、レドックスフロー電池システムは、リバランシングセルが、電極アセンブリの積層体を含み、電極アセンブリの積層体の各電極アセンブリが、正電極と負電極の接合対を含み、電解質リバランシング反応速度が、リバランシングセルの正電極と負電極の接合対の内部電気短絡を介して駆動され、電解質及び水素が、電解質リバランシングセルを通って対流されていることを、更に含む。任意選択的に、第1及び第2の実施例のうちの1つ以上を含む第3の実施例では、レドックスフロー電池システムは、電解質フロー制御デバイスが、ポンプ及びフロー制御バルブのうちの1つを含むこと、を更に含む。任意選択的に、第1から第3の実施例のうちの1つ以上を含む第4の実施例では、レドックスフロー電池システムは、水素フロー制御デバイスが、ベンチュリ噴射器及びブロアのうちの1つに結合された速度調節デバイスを含むことを、更に含む。
【0179】
本明細書において説明されたレドックスフロー電池システムに関する方法の技術的効果は、レドックスフロー電池SOC及び/又は電解質濃度に基づいて、リバランシングセルへの水素ガスフロー及び電解質フローを調節することによって、動作コストを減少させながら、リバランシングセルにおけるリバランシング反応速度を最大化し、電解質フラッディングを低減することである。
【0180】
図1、
図2A、
図2B、
図3、
図4A、
図4B、
図5A、
図5B、
図6A、
図6B、
図7A、及び
図7Bは、様々な構成要素の相対的な位置付けを伴う例示的な構成を示す。互いに直接接触しているか、又は直接結合されていることが示されている場合、次いでかかる要素は、少なくとも一実施例では、それぞれ直接接触している又は直接結合されていると呼ばれ得る。同様に、互いに連続するか又は隣接して示される要素は、少なくとも一実施例では、それぞれ連続するか又は互いに隣接し得る。一例として、互いに面共有接触で置かれる構成要素は、面共有接触と呼ばれ得る。別の例として、少なくとも一例では、互いに離れて位置付けられた要素は、それらの間の空間のみであり、他の構成要素はそのように呼ばれ得ない。更に別の例として、互いに上/下に、互いに反対側に、又は互いの左/右に示される要素は、互いに対してそのように呼ばれ得る。更に、図に示されるように、最上部の要素又は要素の点は、少なくとも一例では、構成要素の「上部」と呼ばれ得、最下部の要素又は要素の点は、構成要素の「下部」と呼ばれ得る。本明細書において使用される場合、上部/下部、上側/下側、上/下は、図面の垂直軸に対してであり得、互いに対する図面の要素の位置付けを説明するために使用される。したがって、一実施例では、他の要素の上に示される要素は、他の要素の上に垂直に位置付けられる。更に別の実施例として、図面内に描写される要素の形状は、それらの形状(例えば、円形、直線、平面、曲線、丸みを帯びた、面取りされた、角度の付いた、など)を有すると呼ばれ得る。更に、互いに交差して示される要素は、少なくとも1つの実施例では、交差する要素又は互いに交差する要素と呼ばれ得る。なお更に、一実施例では、別の要素内に示される、又は別の要素の外側に示される要素は、そのように呼ばれ得る。
図2A、
図2B、
図3、
図4A、
図4B、
図5A、
図5B、
図6A、及び
図6Bは、およそスケールに応じて描かれるが、他の寸法又は相対寸法が使用されてもよい。
【0181】
以下の特許請求の範囲は、新規かつ自明ではないとみなされる特定の組み合わせ及びサブ組み合わせを特に指摘している。これらの特許請求の範囲は、「1つの」要素又は「第1の」要素若しくはその等価物を指し得る。そのような特許請求の範囲は、1つ以上のそのような要素の組み込みを含むと理解されるべきであり、2つ以上のそのような要素を要求したり排除したりするものではない。開示された特徴、機能、要素、及び/又は特性の他の組み合わせ及びサブ組み合わせは、本特許請求の範囲の修正を通じて、又は本出願若しくは関連出願における新しい特許請求の範囲の提示を通じて請求され得る。そのような特許請求の範囲は、元の特許請求の範囲に対して範囲がより広いか、より狭いか、等しいか、又は異なるかにかかわらず、また、本開示の主題内に含まれるとみなされる。