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特開2024-84744海中システム用の干渉結合システムおよび方法
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  • 特開-海中システム用の干渉結合システムおよび方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084744
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】海中システム用の干渉結合システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B63B 21/04 20060101AFI20240618BHJP
   B63B 21/66 20060101ALI20240618BHJP
   B63B 27/24 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
B63B21/04 Z
B63B21/66
B63B27/24 Z
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024026866
(22)【出願日】2024-02-26
(62)【分割の表示】P 2022527097の分割
【原出願日】2020-11-06
(31)【優先権主張番号】62/933,862
(32)【優先日】2019-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519311226
【氏名又は名称】ジェイ. レイ マクダーモット, エス.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ボアヌ, マチュー
(72)【発明者】
【氏名】イングラム, ジュリー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】波および/または海流によって引き起こされた海中設備の振動もしくは動きの低減を促進する簡易かつ費用効率の高いシステムを提供する。
【解決手段】海中システム100は、海水中に配置される海中部品118と、海中部品に結合され、かつ流体を少なくとも部分的に取り囲むブラダーを含み、海水によって加えられる荷重122に反応して流体の少なくとも一部分を移動させるように構成される干渉結合デバイス120と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海水中に配置される海中部品と、
前記海中部品に結合され、かつ流体を少なくとも部分的に取り囲むブラダーを含む干渉結合デバイスであって、前記海水によって加えられる荷重に反応して前記流体の少なくとも一部分を移動させるように構成される干渉結合デバイスと、を備える、海中システム。
【請求項2】
前記海中システムは、固定または浮体の海洋構造物に隣接してまたはその下に配置される、請求項1に記載の海中システム。
【請求項3】
前記海中システムは海底に独立型システムとして配置される、請求項1に記載の海中システム。
【請求項4】
前記干渉結合デバイスは、前記海中部品に装着されるか、前記海中部品に形成されるか、または前記海中部品に接続される、請求項1に記載の海中システム。
【請求項5】
前記流体は前記海水の一部分である、請求項1に記載の海中システム。
【請求項6】
前記流体は、水、空気、窒素、油、または前記海水から分離された海中生産流体の1つまたは複数を含む、請求項1に記載の海中システム。
【請求項7】
前記流体の前記少なくとも一部分の前記移動は、前記海中部品の質量を増大させるか、前記質量を減少させるか、または前記質量を分配することによって、前記質量に影響を与えるように構成される、請求項1に記載の海中システム。
【請求項8】
前記海中部品は、任意の構成のライザー、アンビリカル、フローライン、マニホルド、インライン構造物、ジャンパー、パイプラインエンドターミネーション(PLET)、パイプラインエンドマニホルド(PLEM)、海中貯蔵設備、海中処理設備、中層ブイ、中層アーチ、または中層構造物のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の海中システム。
【請求項9】
前記干渉結合デバイスは、弁、ポンプ、可変オリフィス、ダンパ、前記海中部品から突出する突出部、前記海中部品に形成される開口部、または前記流体を取り囲む封入容積のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載の海中システム。
【請求項10】
前記干渉結合デバイスの緩和頻度は、前記海水の荷重頻度と無関係である、請求項1に記載の海中システム。
【請求項11】
前記流体は、前記流体に圧力が加えられると前記流体の容積が低減するように圧縮可能である、請求項1に記載の海中システム。
【請求項12】
1つまたは複数のリフトデバイスを含む設置船と、
海水中に配置され、かつ前記設置船上で少なくとも部分的に支持される海中部品と、
前記海中部品に結合され、かつ流体を少なくとも部分的に取り囲むブラダーを含む干渉結合デバイスであって、前記海水によって加えられる荷重に反応して前記流体の少なくとも一部分を移動させるように構成される、干渉結合デバイスと、を備える、海中設置システム。
【請求項13】
前記流体は前記海水の一部分である、請求項12に記載の海中設置システム。
【請求項14】
前記流体は、水、空気、窒素、油、または海中生産流体のうちの1つまたは複数を含む、請求項12に記載の海中設置システム。
【請求項15】
海水中に配置される海中部品と、
前記海中部品に結合される干渉結合デバイスであって、
チャンバハウジングと、
前記チャンバハウジング内に配置されるチャンバであって、前記チャンバの上部における第1の流体、および前記チャンバの下部における第2の流体を有する、チャンバと、
前記下部と前記上部の間に配置される隔壁および逆止弁と、
を含む干渉結合デバイスと、を備える、海中システム。
【請求項16】
前記第2の流体は前記海水の一部分である、請求項15に記載の海中システム。
【請求項17】
前記第1の流体の密度は、前記第2の流体の密度より少ない、請求項15に記載の海中システム。
【請求項18】
前記干渉結合デバイスは、前記第2の流体が前記下部に流入できるようにする逆止弁をさらに備える、請求項15に記載の海中システム。
【請求項19】
前記干渉結合デバイスは、前記第1の流体が前記上部から流出し、かつ前記チャンバの外側の指定領域に流入できるようにする逆止弁をさらに備える、請求項15に記載の海中システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の態様は、海中システム用のモードを向上させるエンベロープの最適化を実現するための干渉結合システム(disruptive coupling system)および方法ならびにその装置に関する。海中システムは、海中の石油およびガスシステムなど、海中炭化水素生産システムおよび関連設備であり得る。
【背景技術】
【0002】
海洋波および海流は、動作中など、海中設備を設置している間および設置後の両方において該設備に影響を与える可能性がある。波および海流は、海中設備のウェザーウィンドーを制限する荷重を引き起こし得る。ウェザーウィンドーは、設備が設置可能である間の波および海流の許容可能な組み合わせのセットである。波および海流はまた、設置された海中設備の動作寿命を制限する場合がある。例として、波および海流は、設備の動作寿命および/またはウェザーウィンドーを制限する(本明細書ではモード反応とも称される)設備の振動および/または動きを引き起こし得る。反応の大きさは、加えられた荷重の大きさ、方向、および/または振動数によって変化する。
【0003】
従って、ウェザーウィンドーの向上、および/または動作寿命の増大を促進するために、波および/または海流によって引き起こされた海中設備の振動もしくは動きをの低減を促進する簡易かつ費用効率の高いシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本開示の態様は、海中システム用のモードを向上させるエンベロープの最適化を実現するための干渉結合システムおよび方法ならびにこの装置に関する。海中システムは、海中の石油およびガスシステムなど、海中炭化水素生産システムおよび関連設備であり得る。
【0005】
1つの実施形態では、海中システムは、海水中に配置される海中部品、および海中部品に結合される干渉結合デバイスを含む。干渉結合デバイスは、流体を少なくとも部分的に取り囲むブラダーを含み、干渉結合デバイスは、海水によって加えられる荷重に反応して流体の少なくとも一部分を移動させるように構成される。
【0006】
1つの実装形態では、海中設置システムは、1つまたは複数のリフトデバイスを含む設置船と、海水中に配置され、かつ設置船上で少なくとも部分的に支持される海中部品とを含む。海中設置システムは、海中部品に結合される干渉結合デバイスも含む。干渉結合デバイスは、流体を少なくとも部分的に取り囲むブラダーを含み、干渉結合デバイスは、海水によって加えられる荷重に反応して流体の少なくとも一部分を移動させるように構成される。
【0007】
1つの実装形態では、海中システムは、海水中に配置される海中部品と、海中部品に結合される干渉結合デバイスとを含む。干渉結合デバイスは、チャンバハウジングと、チャンバハウジング内に配置されるチャンバとを含む。チャンバは、チャンバの上部における圧縮性流体と、チャンバの下部における第2の流体とを有する。干渉結合デバイスはまた、下部と上部との間に配置される隔壁および逆止弁を含む。
【0008】
本開示の上記の特徴が詳細に理解可能であるように、上に簡潔に要約された本開示のより詳細な説明は、一部が添付の図面に例示されている実装形態を参照して得られ得る。しかしながら、本開示は他の等しく有効な実装形態も認め得るため、添付の図面は本開示の一般的な実装形態のみを示しており、従って、本開示の範囲を限定するとみなすべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】1つの実装形態による海中システムの概略図である。
図2】1つの実装形態による、海中部品の設置中の海中設置システムの概略図である。
図3】1つの実装形態による干渉結合デバイスの概略的な部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
容易に理解してもらうために、図に共通している同一の要素を指示するために、可能な場合、同一の参照番号が使用されている。1つの実装形態に開示される要素は有益には、特定の記載なく他の実装形態に対して利用されてよいことが考慮されている。
【0011】
本開示の態様は、海中システム用の干渉結合システムおよび方法ならびにこの装置に関する。海中システムは海中の石油およびガスシステムであってよい。
【0012】
図1は、1つの実装形態による海中システム100の概略図である。海中システム100は海中の石油およびガスシステムである。海中システム100は、海水面に配置される、固定または浮体の海洋構造物108と共に動作し得る。浮体海洋構造物108は、海の海底104に係留され得る。浮体海洋構造物108は、石油およびガスを生産するための海上設備110を含み得る。石油およびガス海上設備は、生産された流体を受け入れる、または海中システム100に他の流体を送ってよい。海洋構造物108は、存在してもしなくてもよく、任意の船体タイプの固定もしくは浮体生産プラットフォーム、あるいは、固定もしくは浮上面または中層構造物もしくはブイを含むことができるが、これらに限定されない。他の実施形態と組み合わせ可能である1つの実施形態では、海中システム100は海底104に独立型システムとして配置される。
【0013】
海中システム100は、海洋構造物108と海底104との間に設置される海中設備の第1のセット102と、海底104における設備とを含む。海中システム100は、限定はされないが、海中部品103、105、106、および119などの任意の数の海中部品を含んでよい。海中システム100は、限定はされないが、海中部品113、114、115、および118などの海中部品を含む海中設備の第2のセット112などの設備の任意の数の追加のセットを含んでよい。海中設備のそれぞれのセット102、112は、限定はされないが、任意の構成のライザー、アンビリカル、フローライン、マニホルド、インライン構造物、ジャンパー、パイプラインエンドターミネーション(PLET)、パイプラインエンドマニホルド(PLEM)、海中貯蔵設備、海中処理設備、中層ブイ、中層アーチ、および/または中層構造物を含む1つまたは複数の海中部品を含有し得る。海中部品103、105、106、113、114、115、118、および/または119のうちの1つまたは複数は、限定はされないが、任意の構成のライザー、アンビリカル、フローライン、マニホルド、インライン構造物、ジャンパー、パイプラインエンドターミネーション(PLET)、パイプラインエンドマニホルド(PLEM)、海中貯蔵設備、海中処理設備、中層ブイ、中層アーチ、および/または中層構造物のうちの1つまたは複数を含んでよい。
【0014】
図1に示される実装形態において、海中部品103および海中部品118のそれぞれは、1つもしくは複数のライザー、1つもしくは複数のアンビリカル、1つもしくは複数のフローライン、および/または1つもしくは複数のマニホルドを含む。海中部品105、海中部品119、および/または海中部品114のそれぞれは、パイプラインエンドターミネーション(PLET)、パイプラインエンドマニホルド(PLEM)、海中貯蔵設備、および/または海中処理設備のうちの1つまたは複数を含む。海中部品113は海中部品118を支持する中層アーチを含む。本開示では、海中部品113は中層ブイまたは中層構造物を含むことができることが考慮されている。海中部品115および海中部品106のそれぞれは、1つもしくは複数のアンビリカル、1つもしくは複数のフローライン、および/または1つもしくは複数のマニホルドを含む。海中部品115は坑口構造物121に結合され、海中部品106は坑口構造物123に結合される。坑口構造物121、123のそれぞれは、海中ツリーまたは他の坑口構造物を含むことができる。
【0015】
海中部品103、105、106、113、114、および/または115のうちの1つまたは複数は、これらに結合されている干渉結合デバイス120を含む。図1は、限定はされないが、海中設備の第1のセット102の103、105、および/または106などの1つまたは複数の海中部品に結合される1つの干渉結合デバイス120を示す。本開示では、海中部品の第2のセット112には、海中設備の第1のセット102の1つまたは複数の海中部品に結合される干渉結合デバイス120の同じ特徴、態様、部品、および/または性質のうちの1つまたは複数を含む干渉結合デバイスが結合可能であることが考慮されている。本開示では、複数の干渉結合デバイス120は海中システム100において前後に並んで使用され得ることが考慮されている。
【0016】
干渉結合デバイス120は、海中システム100の任意の海中部品の外部に配置され得る、または海中システム100のある部品内の内部に配置され得る。干渉結合デバイス120は、海中設備の部品に直接または間接的に結合されてよい。例えば、干渉結合デバイス120は、1つの海中部品114に装着され、かつ導管または他の機械的結合などの接続部を使用して別の海中部品115に接続されてよい。120などの干渉結合デバイスは、海中部品に結合され、かつ海中設備の第1のセット102に関して図2に示されるように海中部品が設置されている間、ならびに/または、(図1に示されるように)海中設備が設置された後および海中部品が動作している間、海中部品のモード反応を低減するために流体または構造要素の形の既存のまたは追加された物質を活用するように構成されてよい。
【0017】
他の実施形態と組み合わせ可能である1つの実施形態では、第1の海中部品103に外付けされる干渉結合デバイス120は、圧縮可能な自由度の機能を果たし、かつ海の海水116、例えば、波または海流によって、第1の海中部品103に加えられる荷重122に反応して周囲の海水116の容積と結合するように構成される。結合された海水は、海中部品の従属物の機能を効果的に果たし、干渉結合デバイス120の圧縮性は従属物の位相遅れを打ち消す。結果として生じる結合されたシステムは、第1の海中部品103に従属物としての干渉結合デバイス120がない場合、第1の海中部品103における反応を引き起こすことに関与できないことと同じ一貫性のある一連のモードをもはや有することはない。結果として生じる最適化された、モードを向上させる外郭、例えば、第1の海中部品103の加えられた荷重または荷重頻度の大きさに対する第1の海中部品103の反応は、振幅ピークを低減させている。荷重122は、少なくとも、海水116の海流、および/または海水116の1つもしくは複数の波によって、第1の海中部品103などの海中部品に加えられ得る。VIVストレークのように周囲の水の流れを打ち消すことで、第1の海中部品103にかなりの重荷を加えるのではなく、適応性のある自由度によって、加えられた荷重と無関係にシステムの根本的な反応を変えることになる。干渉結合デバイス120は特定の荷重に対して調整される必要はない。
【0018】
干渉結合デバイス120は、限定はされないが、海中設備に取り付けられる追加の物質の機能を果たす追加の質量系または既存の構造要素を含んでよい。追加の物質は、本質的に機械で動き、かつ、結合された追加の物質の位相遅れが設備に加えられる荷重と無関係であるような、圧縮可能な自由度を含む。調整された物質のダンパなど、エネルギーを消散させるのではなく、適応性のある自由度は、加えられた荷重頻度と無関係にシステムの根本的な反応を変えることになる。他の実施形態と組み合わせ可能である1つの実施形態では、干渉結合デバイス120の緩和頻度は、荷重122の荷重頻度と無関係である。干渉結合デバイス120は、荷重122が第1の海中部品103に加えられるのに反応して第1の海中部品103の反応に影響を与えるように構成される。
【0019】
他の実施形態と組み合わせ可能である1つの実施形態では、干渉結合デバイス120は、減衰を実現するために、干渉結合デバイス120を通る流体の容積を移動させるように第2の海中部品105内に構成されるまたはこれに取り付けられる。1つの例では、干渉結合デバイス120は、ポンプ、弁、またはその他の場合は、可変オリフィスを使用して流体を移動させる。1つの例では、干渉結合デバイス120によって移動させた流体は、干渉結合デバイス120を囲む外部の流体の少なくとも一部分を含む。干渉結合デバイス120によって移動させた流体は、水、海水、空気、窒素、油、および/または任意の海中生産流体を含み得るがこれらに限定されない。干渉結合デバイス120によって移動させた流体は、周囲の海の海水116から分離されてもされなくてもよい流路の一部である。流路は、例えば、限定はされないがブラダーなどの干渉結合デバイス120の本体で、または限定はされないが膜などの干渉結合デバイスの本体の一部分で、周囲の海の海水116と分離されてよい。流路は、第2の海中部品105の本体の一部分で海水116と分離されてもされなくてもよい。流路は、周囲の水に開かれていてよい。本開示では、干渉結合デバイス120と結合された流体が海中生産システムに関わる水または任意の流体もしくは化学物質であるように、干渉結合デバイス120は、貯蔵タンクなど、流体が充填された構造体内に取り囲まれ得ることが考慮されている。干渉結合デバイス120は封入容積を含むことができる。干渉結合デバイス120は、海中部品から突出する突出部を含むことができる。干渉結合デバイス120は、海中貯蔵コンテナに配置され得る。限定はされないが、空気もしくは窒素などの気体、または油などの異なる密度の他の流体などのさまざまな他の流体も使用可能である。
【0020】
他の実施形態と組み合わせ可能である1つの実施形態では、干渉結合デバイス120は、第2の海中部品105内に構成されまたはこれに取り付けられ、かつ、バルーンまたはブラダーなどの適応性のある密閉器である。取り囲まれた流体は、取り囲まれた流体に圧力が加えられると取り囲まれた流体の容積が低減するように、取り囲まれた流体は圧縮可能である。干渉結合デバイス120の容積は、加えられた荷重に反応して変化することになる。さらに、干渉結合デバイス120は、従属物の機能を果たすことになる周囲の流体と結合するように構成される。従属物は、第2の海中部品105において大きな反応を起こさないようにされる。干渉結合デバイス120は、デバイスと結合された流体が海中生産システムに関わる水または任意の流体もしくは化学物質であるように、貯蔵タンクなど流体が充填された構造体内に取り囲まれ得る。
【0021】
他の実施形態と組み合わせ可能である1つの実施形態では、干渉結合デバイス120は上部に流体が、底部に海水または他の流体が充填されたチャンバである。このような実施形態について、図3との関連でさらに説明する。この2つの上部の流体および底部の流体は弁で分離され得る、またはチャンバはこの2つの上部の流体と底部の流体との間にいずれの物理的な障壁も有さない場合がある。干渉結合デバイス120は、荷重122に反応して、周囲の流体を干渉結合デバイス120内にまたはこの外部に移動させるように構成される。ある質量の流体を干渉結合デバイス120内にまたはこの外部に移動させることによって、荷重に対する海中部品の反応を変えるように、海中部品の質量は増大する、減少する、または再分配される。
【0022】
第1の海中部品103に作用する荷重、および第1の海中部品103の質量の変化を低減させることによって、第1の海中部品103のウェザーウィンドーの向上および第1の海中部品103の動作寿命の増大が促進され、これは、海中の水流による荷重などの海中条件によって影響される可能性がある。例えば、荷重の低減および第1の海中部品103の質量の変化によって、荷重122が第1の海中部品103に作用している間の第1の海中部品103の振動および/または移動の低減が促進される。海中環境における設置構造および動作構造は、困難で、時機を選び、高費用である可能性がある。よって、海中部品に対するウェザーウィンドーおよび動作寿命を高めることを促進することで、費用および時間の節約が促進可能であり、かつ動作時の困難さが低減可能である。干渉結合デバイス120は、設計の簡易性、設計サイズの低減、および費用の低減を助長するようにこれらの利益を実現することを促進する。
【0023】
本開示では、海中システム100は、コントローラ140が干渉結合デバイス120の動作または態様を制御するために含まれるような能動的システムであってよいことが考慮されている。干渉結合デバイス120はまた、海中システム100が、コントローラが干渉結合デバイス120を動作させる必要がないような受動的システムである利益を促進する。例として、干渉結合デバイス120は、コントローラが干渉結合デバイス120を制御することなく、波および海流の荷重122に反応して、流体を捕える、流体を移動させる、および/または第1の海中部品103の質量に影響を与えるように構成可能である。干渉結合デバイス120はまた、波および海流の荷重122の特定の荷重に対して調整される(または特定の振動モードに対して調整される)必要がなく、かつさまざまな荷重に対する第1の海中部品103の振動および移動を緩和することができる。干渉結合デバイス120はまた、さまざまなサイズの第1の海中部品103に対する振動および/または移動の低減を促進することができ、かつ単一のサイズの第1の海中部品103に限定されない。
【0024】
図2は、1つの実装形態による、海中部品の設置中の海中設置システム200の概略図である。図2は、海中環境における海中部品105および海中部品103の設置中の海中設置システム200を示す。他の例と組み合わせ可能である1つの例では、海中部品103は干渉結合デバイス120を有するライザーであり、海中部品105は干渉結合デバイス120を有するパイプラインエンドターミネーション(PLET)またはパイプラインエンドマニホルド(PLEM)である。
【0025】
図2に示される実装形態では、干渉結合デバイス120のそれぞれは、海底104に向かって海中部品103、105を設置中に、外部の流体と結合し、外部の流体を捕え、流体を移動させ、および/または対応する海中部品103、105の質量に影響を与えるために使用される。海中設置システム200は、浮体海洋構造物108に隣接して移動する設置船130を含む。海中部品103、105は、設置船130上で少なくとも部分的に支持される。設置船130は、海中部品103を浮体海洋構造物108に結合するために使用されてよく、設置船130は、海底104に向かって海中部品103、105を下げるために使用されてよい。設置船130は、海中部品103、105を上げるおよび/または下げるための1つまたは複数のリフトデバイス131(1つもしくは複数のクレーンおよび/または1つもしくは複数のダビットなど)を含む。
【0026】
図3は、1つの実装形態による干渉結合デバイス320の概略的な部分図である。干渉結合デバイス320は、図1および図2に示される干渉結合デバイス120のように使用されてよい。干渉結合デバイス320はチャンバハウジング323内にチャンバ321を含む。チャンバ321は、チャンバ321の上部325において第1の流体326が充填され、チャンバ321の下部327において第2の流体(海水116または他の流体)が充填される。干渉結合デバイス320は、上部325と下部327とを分離する隔壁329を含む。隔壁329は、隔壁329の流れ開口部に配置される一方向逆止弁などの弁331を含む。弁331は、海水116または他の流体が下部327から上部325に流入できるようにする。本開示では、隔壁329および弁331の代わりに別の膜が使用されてよいことが考慮されている。本開示ではまた、隔壁329および弁331は省かれてよいことが考慮されている。他の実施形態と組み合わせ可能である1つの実施形態では、第1の流体326は海水116または他の流体の密度より少ない密度を有する。
【0027】
他の実施形態と組み合わせ可能である1つの実施形態では、第1の流体326の移動は、マッハ数0.3またはそれ以上の圧縮可能な流れを有する。他の実施形態と組み合わせ可能である1つの実施形態では、第1の流体326は、第1の流体326に圧力が加えられると第1の流体326の容積が低減するように圧縮可能である。他の実施形態と組み合わせ可能である1つの実施形態では、第1の流体326は、水、海水、空気、窒素、油、または海中生産流体のうちの1つまたは複数を含む。
【0028】
干渉結合デバイス320は、荷重122に反応して、周囲の流体(海水116など)を干渉結合デバイス320(例えば、下部327)内におよび/またはこの外部に移動させるように構成される。他の実施形態と組み合わせ可能である1つの実施形態では、チャンバハウジング323に形成される第1の流れ開口部に配置される第1の一方向逆止弁333は、海水116が下部327に流入できるようにすることを促進し、チャンバハウジング323に形成される第2の流れ開口部に配置される第2の一方向逆止弁335は、海水116が下部327から流出できるようにすることを促進する。他の実施形態と組み合わせ可能である1つの実施形態では、チャンバハウジング323に形成される第3の流れ開口部に配置される第3の一方向逆止弁337は、指定領域339に対するチャンバ321の最上部における第1の流体326の流出を促進する。指定領域339は、干渉結合デバイス320と関連付けられた対応する海中部品の内部または外部にある。指定領域339はチャンバ321の外側にある。チャンバハウジング323に形成される第4の流れ開口部における第4の一方向逆止弁341は、流路343を通って上部325内に第1の流体326を充填または補充可能にすることを促進する。流体(海水116もしくは他の流体、および/または第1の流体326など)の質量を干渉結合デバイス320内にまたはこの外部に移動させることによって、荷重(周囲の海水116の荷重122など)に対する海中部品の反応を変えるように、対応する海中部品の質量が増大する、減少する、または再分配される。本開示の利益は、少なくとも、海中構造物に対する設置の時機の増大、海中構造物の設置時間の低減、振動および移動の緩和のための費用削減、振動および移動の緩和のためによりコンパクトにしかつ設計をより簡易にすること、および海中構造物の動作寿命を長くすることを含む。
【0029】
本開示の態様は、少なくとも、海中構造物に結合される干渉結合デバイス、海中構造物が海底にまたはこれに隣接して設置されかつ動作する間に干渉結合デバイスを使用すること、および、海中構造物が設置されている間に干渉結合デバイスを使用することを含む。本明細書に開示される態様の1つまたは複数は組み合わせられ得ることが考慮されている。さらに、これらの態様の1つまたは複数は先述の利益の一部または全てを含み得ることが考慮されている。
【0030】
先述の実施形態が例示であり限定するものではないことは当業者には理解されるであろう。前述は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の他のおよびさらなる実施形態はこの基本的な範囲から逸脱することなく考案可能である。本明細書を読みかつ図面を検討することで当業者には明らかである全ての修正、置換、拡張、等化物、および改善は本開示の範囲内に含まれることが意図されている。従って、以下の添付の特許請求の範囲は全てのこのような修正、置換、拡張、等価物、および改善を含み得ることが意図されている。本開示ではまた、本明細書に説明される実施形態の1つまたは複数の態様は説明される他の態様の1つまたは複数と置き換えられ得ることが考慮されている。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-03-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバハウジングと、
前記チャンバハウジング内に配置されたチャンバであって、該チャンバの上部に第1の流体を有し、該チャンバの下部に第2の流体を有するチャンバと、
前記下部と前記上部との間に配置された隔壁および前記第2の流体が前記下部から前記上部に流れ出ることを可能にするように構成された逆止弁と、
前記第2の流体が前記下部へ流入することを可能にする第2の逆止弁と
を含む、結合装置。
【請求項2】
前記結合装置は、海底システムに結合されるように構成されている、請求項1に記載の結合装置。
【請求項3】
前記海底システムは、海底にスタンドアローンシステムとして配置されている、請求項2記載の結合装置。
【請求項4】
前記結合装置は、海底部品に取り付け可能であり、海底部品に形成されるように構成される、又は海底システムの海底部品に接続可能である、請求項2に記載の結合装置。
【請求項5】
前記第2の流体は、海水の少なくとも一部である、請求項1に記載の結合装置。
【請求項6】
前記第1の流体は、水、空気、窒素、油、または海底生産流体のうちの1つまたは複数を含む、請求項1に記載の結合装置。
【請求項7】
前記海底部品は、ライザー、アンビリカル、フローライン、マニホールド、インライン構造、ジャンパー、パイプラインエンドターミネーション(PLET)、パイプラインエンドマニホルド(PLEM)、海中貯蔵設備、海中処理設備、中層ブイ、中層アーチ、または中層構造物のうちの少なくとも1つを含む、請求項4に記載の結合装置。
【請求項8】
弁、ポンプ、可変オリフィス、ダンパー、前記海底部品から突出する突出部、前記海底部品に形成された開口部、または流体を封入する封入容積のうちの少なくとも1つをさらに備える、請求項4に記載の結合装置。
【請求項9】
前記結合装置の緩和頻度は、海水の荷重頻度と無関係である、請求項1に記載の結合装置。
【請求項10】
前記第1の流体が圧縮性である、請求項1に記載の結合装置。
【請求項11】
チャンバハウジングと、
前記チャンバハウジング内に配置されたチャンバであって、該チャンバの上部に第1の流体を有し、該チャンバの下部に第2の流体を有し、前記第2の流体は少なくとも一部が海水である、チャンバと、
前記下部と前記上部との間に配置された隔壁および前記第2の流体が前記下部から前記上部に流れ出ることを可能にするように構成された逆止弁と、
を含む、結合装置。
【請求項12】
前記結合装置は、海底システムに結合されるように構成されている、請求項11に記載の結合装置。
【請求項13】
前記海底システムは、海底にスタンドアローンシステムとして配置されている、請求項12に記載の結合装置。
【請求項14】
前記結合装置は、海底部品に取り付け可能であり、海底部品に形成されるように構成される、又は海底システムの海底部品に接続可能である、請求項12に記載の結合装置。
【請求項15】
前記第1の流体は、水、空気、窒素、油、または海底生産流体のうちの1つまたは複数を含む、請求項11に記載の結合装置。
【請求項16】
チャンバハウジングと、
前記チャンバハウジング内に配置されたチャンバであって、該チャンバの上部に第1の流体を有し、該チャンバの下部に第2の流体を有し、前記第1の流体の密度が前記第2の流体の密度よりも小さい、チャンバと、
前記下部と前記上部との間に配置された隔壁および前記第2の流体が前記下部から前記上部に流れ出ることを可能にするように構成された逆止弁と、
を含む、結合装置。
【請求項17】
前記結合装置は、海底システムに結合されるように構成されている、請求項16に記載の結合装置。
【請求項18】
前記海底システムは、海底にスタンドアローンシステムとして配置されている、請求項17に記載の結合装置。
【請求項19】
前記結合装置は、海底部品に取り付け可能であり、海底部品に形成されるように構成される、又は海底システムの海底部品に接続可能である、請求項17に記載の結合装置。
【請求項20】
前記第2の流体は、海水の少なくとも一部である、請求項16に記載の結合装置。
【外国語明細書】