以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
[0026]
[実施形態1]
図1~
図4を参照して、本発明の実施形態に係る保温システム1を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る保温システム1を示す模式図である。
図2は、本発明の実施形態に係る保温システム1を示す別の模式図である。
図2では、保温システム1を詳しく説明するために、作業室90を除いている。
図3は、本実施形態に係る貯留部10を拡大して示す模式図である。
図4は、本実施形態に係る筒部30を拡大して示す模式図である。
図1~
図4に示すように、保温システム1は、例えば、山、又は、丘の傾斜に配置される。なお、保温システム1は、生物育成システムであってもよい。
[0027]
図1と
図2とに示すように、保温システム1は、貯留部10と、育成部20と、筒部30と、案内部40と、温度調整部50と、貯留部55と、貯留部56と、通路35と、作業室90と、第1ポンプP1と、第2ポンプP2とを備える。
[0028]
図1~
図3に示すように、貯留部10は、熱を運搬する媒体としての物質を貯留する。物質は、熱を蓄えることが可能な物質である。熱を蓄えることが可能な物質は、例えば、流体、液体、粒体及び、プラズマである。例えば、貯留部10は、液体を貯留する(以下、液体を液体LQと記載する場合がある。)。液体LQは、例えば、水である。貯留部10には、例えば、温泉水、地下水、又は、雨水が貯留される。なお、液体LQは、海水であってもよい。
図1に示すように、貯留部10は、地中G2に位置する。なお、貯留部10は、地上に位置してもよい。
[0029]
また、
図3に示すように、貯留部10は、地中G2に位置する。換言すると、貯留部10は、地表G1から所定の深さDに位置する。所定の深さDは、例えば、地表G1から「3m」以上となる深さである。貯留部10が地中G2に位置する場合、貯留部10に貯留される液体LQの温度は、地表G1からの深さに応じた温度に保たれる。地表G1からの深さに応じた温度については、下記に記載されている。「日本の地温データ Ground temperature data in Japan(http://www.iai.ga.a.u-tokyo.ac.jp/mizo/research/soildb/ground_T_db.html)」
[0030]
なお、緯度によって、所定の深さDを変更してもよい。本実施形態においては、例えば、貯留部10に貯留された液体LQの温度が「約15度以上」となる深さDに、貯留部10が位置することが好ましい。
[0031]
図1に示すように、育成部20は、物体を収容する。物体は、例えば、無機物又は有機物のうちの少なくとも1つを含む。無機物は、例えば、水である。有機物は、例えば、生物LFである。育成部20は、「第1収容部」の一例に相当する。例えば、育成部20は、生物LFを育成する。生物LFは、例えば、植物である。植物は、例えば、約15度~約17度で育成可能な野菜又は果物である。野菜は、例えば、レタスである。果物は、例えば、イチゴである。また、生物LFは、例えば、魚類である。魚類は、例えば、約15度~約17度で育成可能な魚類である。魚類は、例えば、ニジマスである。また、生物LFは、昆虫である。昆虫は、例えば、イナゴである。育成部20については、後述する。
[0032]
筒部30は、液体LQの通路を構成する。筒部30は、「通路部」の一例に相当する。言い換えると、筒部30は、液体LQの流路を構成する。筒部30は、案内部40によって、貯留部10と接続される。また、筒部30は1つであってもよいし、複数であってもよい。また、筒部30は、環状であってもよい。筒部30が環状である場合、筒部30の内縁側に育成部20が配置される。
[0033]
図4に示すように、筒部30は、第1端部と第2端部とを有する。第1端部は、
図2に示すように、第1方向A1側に位置する端部である。第1方向A1は、複数の筒部30から貯留部10へ向かう方向である。第2端部は、
図2に示すように、第2方向A2側に位置する端部である。第2方向A2は、複数の筒部30から作業室90側へ向かう方向である。複数の筒部30の各々は、内部が中空である。筒部30の内部は、第1端部から第2端部まで液体LQが流れる流路を構成する。
[0034]
図1~
図4に示すように、案内部40は、貯留部10と筒部30とを接続する。そして、案内部40は、貯留部10から筒部30へ液体LQを案内する。案内部40は、液体LQの流路である。案内部40は、円筒形状である。案内部40は、例えば、円筒形状のパイプである。液体LQが貯留部10から筒部30へ向かって流れるように、案内部40は傾斜していてもよい。
[0035]
温度調整部50は、液体LQの温度を調整する。具体的には、温度調整部50は、貯留部10に貯留された液体LQを加熱して、液体LQの温度を調整する。また、温度調整部50は、貯留部10に貯留された液体LQを冷却して、液体LQの温度を調整する。貯留部10に貯留された液体LQの温度は、貯留部10の地表G1からの深さに応じた温度に保たれる。したがって、目的の温度まで液体LQを加熱するとき、地表G1からの深さに応じた温度を基準にして、液体LQを加熱できる。また、目的の温度まで液体LQを冷却するときに、地表G1からの深さに応じた温度を基準にして、液体LQを冷却できる。この結果、目的の温度にすることが容易となる。
[0036]
また、温度調整部50は、貯留部56に貯留された液体LQを加熱して、液体LQの温度を調整する。また、温度調整部50は、貯留部56に貯留された液体LQを冷却して、液体LQの温度を調整する。
[0037]
貯留部55は、筒部30から流出した液体LQを貯留する。貯留部55は、複数の筒部30から流出した液体LQを一時的に貯留する。
[0038]
貯留部56は、筒部30から流出した液体LQを貯留する。貯留部56は、複数の筒部30から流出した液体LQを一時的に貯留する。貯留部56は、貯留部10へ移送する液体LQの量を一定にするために配置される。
[0039]
通路35は、育成部20から作業室90までをつなぐ。通路35は、筒部30で囲まれた空間と作業室90とを連通する。作業室90の内部空間は、作業室90の外部と遮断される。
[0040]
作業室90は、育成部20が運搬される。作業室90において、作業者が育成部20に、水、及び、土を配置する。また、作業室90において、作業者が育成部20に生物LFを配置する。また、作業室90において、作業者が育成部20で育成した生物LFを収穫する。
[0041]
第1ポンプP1は、液体LQを移送する。具体的には、貯留部10から流出した液体LQを複数の筒部30に向けて、第1ポンプP1は移送する。第1ポンプP1は、案内部40に取付けられる。具体的には、第1ポンプP1は、貯留部10と複数の筒部30との間を接続する案内部40に取付けられる。第1ポンプP1の駆動により、貯留部10内の液体LQは、案内部40を通って複数の筒部30まで移送される。
[0042]
第2ポンプP2は、液体LQを移送する。具体的には、貯留部55から流出した液体LQを貯留部10に向けて、第2ポンプP2は移送する。第2ポンプP2は、案内部40に取付けられる。具体的には、第2ポンプP2は、貯留部55と貯留部10との間を接続する案内部40に取付けられる。第2ポンプP2の駆動により、貯留部55内の液体LQは、案内部40を通って、貯留部10へ移送される。第1ポンプP1と第2ポンプP2とによって、液体LQが循環する。
[0043]
次に、
図1~3を参照して、本実施形態に係る貯留部10と案内部40と温度調整部50とを更に詳しく説明する。
[0044]
図3に示すように、貯留部10は、第1貯留部10Aと第2貯留部10Bと第3貯留部10Cとを含む。第1貯留部10Aは、地中G2に位置する。地中G2における第1貯留部10Aの位置は、地表G1からの深さが、深さD1となる位置である。深さD1は、例えば、地表G1からの深さが「3m」となる位置である。
[0045]
第2貯留部10Bは、地中G2に位置する。地中G2における第2貯留部10Bの位置は、地表G1からの深さが、深さD2となる位置である。深さD2は、深さD1より深い。深さD2は、例えば、地表G1からの深さが「5m」となる位置である。第2貯留部10Bに貯留された液体LQの温度は、第1貯留部10Aに貯留された液体LQの温度と異なる。例えば、夏季における第2貯留部10Bに貯留された液体LQの温度は、第1貯留部10Aに貯留された液体LQの温度と比較して、低い。夏季は、例えば、1日の平均温度が25度以上となる時期である。また、例えば、冬季における第2貯留部10Bに貯留された液体LQの温度は、第1貯留部10Aに貯留された液体LQの温度と比較して、高い。冬季は、例えば、1日の平均気温が10度以下となる時期である。
[0046]
第3貯留部10Cは、地中G2に位置する。地中G2における第3貯留部10Cの位置は、地表G1からの深さが、深さD3となる位置である。深さD3は、深さD2より深い。深さD3は、例えば、地表G1からの深さが「10m」となる位置である。第3貯留部10Cに貯留された液体LQの温度は、第1貯留部10Aに貯留された液体LQの温度、及び、第2貯留部10Bに貯留された液体LQの温度と異なる。例えば、夏季における第3貯留部10Cに貯留された液体LQの温度は、第1貯留部10Aに貯留された液体LQの温度、及び、第2貯留部10Bに貯留された液体LQの温度と比較して、低い。また、例えば、冬季における第3貯留部10Cに貯留された液体LQの温度は、第1貯留部10Aに貯留された液体LQの温度、及び、第2貯留部10Bに貯留された液体LQの温度と比較して、高い。
[0047]
図2~
図4に示すように、案内部40は、第1案内部41、第2案内部42、第3案内部43、第4案内部44、第5案内部45、第6案内部46、第7案内部47、第8案内部48、及び、第9案内部49を有する。
[0048]
第1案内部41は、貯留部10に貯留された液体LQを貯留部10から第2案内部42に案内する。第1案内部41は、貯留部10と第2案内部42とに接続される。具体的には、第1案内部41の一方の端部は、貯留部10に接続される。第1案内部41の他方の端部は、第2案内部42に接続される。第1案内部41は、第1案内部41Aと、第1案内部41Bと、第1案内部41Cとを有する。
[0049]
第1案内部41Aは、第1貯留部10Aに貯留された液体LQを第1貯留部10Aから第2案内部42へ案内する。第1案内部41Aの一方の端部は、第1貯留部10Aに接続される。第1案内部41Aの他方の端部は、第2案内部42に接続される。
[0050]
第1案内部41Bは、第2貯留部10Bに貯留された液体LQを第2貯留部10Bから第2案内部42へ案内する。第1案内部41Bの一方の端部は、第2貯留部10Bに接続される。第1案内部41Bの他方の端部は、第2案内部42に接続される。
[0051]
第1案内部41Cは、第3貯留部10Cに貯留された液体LQを第3貯留部10Cから第2案内部42へ案内する。第1案内部41Cの一方の端部は、第3貯留部10Cに接続される。第1案内部41Cの他方の端部は、第2案内部42に接続される。
[0052]
第2案内部42は、第1案内部41から流入した液体LQを第3案内部43に案内する。第2案内部42は、第1案内部41と第3案内部43とに接続される。具体的には、第2案内部42の一方の端部は、第1案内部41に接続される。第2案内部42の他方の端部は、第3案内部43に接続される。
[0053]
第3案内部43は、第2案内部42から流入した液体LQを複数の筒部30に案内する。第3案内部43は、第2案内部42と筒部30とに接続される。具体的には、第3案内部43の一方の端部は、第2案内部42に接続される。第3案内部43の他方の端部は、複数の筒部30に接続される。
[0054]
第4案内部44は、複数の筒部30から流入した液体LQを第5案内部45に案内する。第4案内部44は、複数の筒部30と第5案内部45とに接続される。具体的には、第4案内部44の一方の端部は、複数の筒部30に接続される。第4案内部44の他方の端部は、第5案内部45に接続される。
[0055]
第5案内部45は、第4案内部44から流入した液体LQを第6案内部46、及び、第7案内部47に案内する。第5案内部45は、第4案内部44と第6案内部46とに接続される。また、第5案内部45は、第4案内部44と第7案内部47とに接続される。具体的には、第5案内部45の一方の端部は、第4案内部44に接続される。第5案内部45の他方の端部は、第6案内部46、及び、第7案内部47に接続される。
[0056]
第6案内部46は、第5案内部45から流入した液体LQを貯留部56に案内する。第6案内部46は、第5案内部45と貯留部56とに接続される。具体的には、第6案内部46の一方の端部は、第5案内部45に接続される。第6案内部46の他方の端部は、貯留部56に接続される。
[0057]
第7案内部47は、第5案内部45から流入した液体LQを貯留部55に案内する。第7案内部47は、第5案内部45と貯留部55とに接続される。具体的には、第7案内部47の一方の端部は、第5案内部45に接続される。第7案内部47の他方の端部は、貯留部55に接続される。
[0058]
第8案内部48は、貯留部55から流入した液体LQを第9案内部49に案内する。第8案内部48は、貯留部55と第9案内部49とに接続される。具体的には、第8案内部48の一方の端部は、貯留部55に接続される。第8案内部48の他方の端部は、第9案内部49に接続される。
[0059]
第9案内部49は、第8案内部48から流入した液体LQを貯留部10に案内する。第9案内部49は、第8案内部48と貯留部10とに接続される。具体的には、第9案内部49の一方の端部は、第8案内部48に接続される。第9案内部49の他方の端部は、貯留部10に接続される。第9案内部49は、第9案内部49Aと、第9案内部49Bと、第9案内部49Cとを有する。
[0060]
第9案内部49Aは、第8案内部48から流入した液体LQを第1貯留部10Aに案内する。第9案内部49Aの一方の端部は、第8案内部48に接続される。第9案内部49Aの他方の端部は、第1貯留部10Aに接続される。
[0061]
第9案内部49Bは、第8案内部48から流入した液体LQを第2貯留部10Bに案内する。第9案内部49Bの一方の端部は、第8案内部48に接続される。第9案内部49Bの他方の端部は、第2貯留部10Bに接続される。
[0062]
第9案内部49Cは、第8案内部48から流入した液体LQを第3貯留部10Cに案内する。第9案内部49Cの一方の端部は、第8案内部48に接続される。第9案内部49Cの他方の端部は、第3貯留部10Cに接続される。
[0063]
図2と
図3とに示すように、温度調整部50は、第1温度調整部50Aと、第2温度調整部50Bと、第3温度調整部50Cとを有する。
[0064]
第1温度調整部50Aは、第1貯留部10Aに貯留された液体LQの温度を調整する。具体的には、第1温度調整部50Aは、第1貯留部10Aに貯留された液体LQを加熱して、液体LQの温度を調整する。また、第1温度調整部50Aは、第1貯留部10Aに貯留された液体LQを冷却して、液体LQの温度を調整する。
[0065]
第2温度調整部50Bは、第2貯留部10Bに貯留された液体LQの温度を調整する。具体的には、第2温度調整部50Bは、第2貯留部10Bに貯留された液体LQを加熱して、液体LQの温度を調整する。また、第2温度調整部50Bは、第2貯留部10Bに貯留された液体LQを冷却して、液体LQの温度を調整する。
[0066]
第3温度調整部50Cは、第3貯留部10Cに貯留された液体LQの温度を調整する。具体的には、第3温度調整部50Cは、第3貯留部10Cに貯留された液体LQを加熱して、液体LQの温度を調整する。また、第3温度調整部50Cは、第3貯留部10Cに貯留された液体LQを冷却して、液体LQの温度を調整する。
[0067]
なお、本実施形態の保温システム1は、温度調整部50を有していたが、これに限らない。例えば、保温システム1は、温度調整部50を有していなくてもよい。
[0068]
次に、
図1~
図7を参照して、本実施形態に係る筒部30について、更に詳しく説明する。
図5は、本実施形態に係る複数の筒部30を示す斜視図である。
図5では、発明の理解を容易にするため、案内部40を省略している。
図6は、本実施形態に係る筒部30の断面を模式的に示す図である。
図7は、
図6と異なる側からみた筒部30の断面を模式的に示す図である。
図1に示すように、筒部30の内側には、収容スペース330が形成される。収容スペース330には、物体が収容される。つまり、収容スペース330には、筒部30が配置される。具体的には、収容スペース330の外側には、筒部30が配置される。また、収容スペース330の内側に筒部30が配置されてもよい。また、収容スペース330には、育成部20が配置されてもよい。また、収容スペース330には、後述する収容部60が配置され、収容部60に育成部20が収容されてもよい。
[0069]
また、
図6に示すように、育成部20の外側には、複数の筒部30が配置される。つまり、育成部20の外側には液体LQが案内された筒部30が位置する。この結果、育成部20の温度を容易に維持できる。
[0070]
また、地中G2に位置する貯留部10から液体LQを案内する場合、所定の温度に保たれた液体LQが、貯留部10から複数の筒部30に案内され、複数の筒部30に液体LQが流入する。更に、所定の温度に保たれた液体LQが複数の筒部30を通過する。よって、所定の温度の液体LQを使用して、育成部20側の温度を変更できる。したがって、加温装置、及び、冷却装置を使用せずに、育成部20の温度を調整できる。この結果、育成部20の温度を調整する際の費用を削減できる。
[0071]
例えば、従来の栽培施設では、空気調和装置が栽培室のような育成部の温度を調整する際の費用を抑制できない。したがって、育成部の温度を調整する際の費用を抑制できなかった。一方、本実施形態の保温システム1では、地中G2に位置する貯留部10から液体LQを案内するため、地温を利用して育成部20の温度を調整できる。この結果、育成部20の温度を調整する際の費用を抑制できる。
[0072]
図6に示すように、育成部20は、本体部21を有する。本体部21は、側板21Aと底板21Bとを含む。側板21Aと底板21Bとは、育成領域を形成する。育成領域には、例えば、土、又は、水が配置される。また、例えば、育成領域には生物LFである植物、昆虫、又は、魚類が配置される。また、例えば、育成領域には、肥料が配置されてもよい。
[0073]
複数の筒部30は、光を透過する。複数の筒部30は、透明又は半透明である。したがって、例えば、太陽光を育成部20へ届かせることができる。つまり、育成部20で育成している生物LFに太陽光を当てることができる。この結果、筒部30を透過した光を利用して生物LFを育てることができる。なお、複数の筒部30は、透明であることがより好ましい。なお、太陽光を育成部20へ届かせることが必要のない場合、光を透過しないシートを筒部30に取付けてもよい。
[0074]
複数の筒部30は、例えば、樹脂で構成される。樹脂は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)で筒部30を構成することで、収容部60の外面62を保護できる。
[0075]
また、
図6及び
図7に示すように、複数の筒部30の各々は複数の筒体31を含む。筒体31は、「通路体」の一例に相当する。複数の筒体31は、直列に接続される。例えば、筒部30において、液体LQの漏洩が生じた場合、複数の筒体31のうち、液体LQの漏洩が生じた箇所の筒体31を交換できる。つまり、液体LQの漏洩が生じた筒部30を全て交換する必要がない。したがって、筒部30のメンテナンスが容易となる。この結果、メンテナンスにかかる手間を抑制できる。
[0076]
具体的には、
図7に示すように、複数の筒体31は、例えば、筒体301A~筒体301Fを含む。なお、複数の筒体31の構成は、同じ構成であるため、筒体301A~筒体301Fを例に説明し、他の筒体31の説明は省略する。
[0077]
筒体301A~筒体301Fの各々は、第1開放端と、第2開放端を有する。第1開放端は、第1方向A1側の開放端である。第2開放端は、第2方向A2側の開放端である。つまり、筒体301A~筒体301Fを直列に接続することで、筒体301A~筒体301Fが連通する。
[0078]
筒体301Aの第1開放端は、貯留部10から筒部30までを接続する案内部40に接続される。筒体301Aの第2開放端は、筒体301Bの第1開放端に接続される。筒体301Bの第2開放端は、筒体301Cの第1開放端に接続される。筒体301Dの第2開放端は、筒体301Eの第1開放端に接続される。筒体301Eの第2開放端は、筒体301Fの第1開放端に接続される。筒体301Fの第2開放端は、筒部30から貯留部10までを接続する案内部40に接続される。
[0079]
つまり、液体LQは、筒体301Aの第1開放端から流入する。そして、液体LQは、筒体301A~筒体301Fによって構成される流路を通る。更に、液体LQは、筒体301Fの第2開放端から案内部40に流出する。なお、筒体301Aの第1開放端は、筒部30の第1端部に相当し、筒体301Fの第2開放端は、筒部30の第2端部に相当する。
[0080]
また、複数の筒体31は、例えば、ペットボトルから作られてもよい。具体的には、ペットボトルの飲み口部と底部とを切断して、ペットボトルを筒状にする。そして、筒状となったペットボトルを直列に複数連結する。つまり、筒状となったペットボトルは、筒体31に相当する。そして、直列に連結した複数の筒状のペットボトルは、筒部30に相当する。なお、ペットボトルの底部のみを切断し、案内部40と接続できるようにしてもよい。なお、筒体31と筒体31とは、接着材で固定される。
[0081]
引き続き、
図6と
図7とを参照して、保温システム1を更に詳しく説明する。保温システム1は、収容部60を更に備える。
[0082]
収容部60は、育成部20を収容する。具体的には、収容部60は、収容部60の内部に育成部20を収容する。収容部60は、「第2収容部」の一例に相当する。
[0083]
収容部60は、本体部60Aと、蓋部60Bとを有する。本体部60Aは、内部に育成部20を収容する。本体部60Aは、円筒形状である。本体部60Aの端部は開放端である。
[0084]
収容部60の本体部60Aは、内面61と外面62とを有する。内面61は、収容部60の内部空間の壁面である。外面62は、収容部60の外部の壁面である。外面62には、複数の筒部30が配置される。換言すると、複数の筒部30は、収容部60の外面62に沿って配置される。つまり、所定の温度に保たれた液体LQが通過する複数の筒部30と収容部60の外面62が接触する。よって、所定の温度の液体LQを使用して、収容部60の内面61側に位置する育成部20の温度を変更できる。したがって、加温装置、及び、冷却装置を使用せずに、育成部20の温度を変更できる。この結果、季節に合わせて、育成部20の温度を調整する際の費用を削減できる。
[0085]
例えば、地表G1からの深さに応じた温度となった液体LQを使用して、気温の高くなる夏であっても、季節に合わせて育成部20の温度を調整できる。また、地表G1からの深さに応じた温度となった液体LQを使用して、気温が低くなる冬であっても、季節に合わせて育成部20の温度を調整できる。つまり、育成部20の温度を調整して、季節に関わらず生物LFを育成できる。
[0086]
例えば、気温が低くなることに起因して成長が遅くなる植物の場合、育成部20の温度を調整できるため、季節に関わらず植物を成長させることができる。したがって、季節に関わらず、成長した植物を収穫できる。また、成長した植物を昆虫の餌にすることも可能となる。
[0087]
また、例えば、気温が低くなることに起因して冬眠する昆虫の場合、育成部20の温度を調整できるため、昆虫が冬眠することを抑制できる。昆虫が冬眠しないことで、昆虫を更に成長させることができる。また、温度が調整できるため、昆虫の成長と産卵とを促すことができる。また、成長した昆虫は、魚類の餌に使用できる。
[0088]
また、例えば、育成部20で魚類を育成する場合、育成部20の温度を調整できるため、季節に関わらず魚類を成長させることができる。したがって、温度が調整できるため、魚類の成長と産卵とを促すことができる。
[0089]
蓋部60Bは、本体部60Aの開放端を塞ぐ。蓋部60Bは、本体部60Aの第1方向A1側に位置する開放端を塞ぐ。蓋部60Bは、本体部60Aの第2方向A2側に位置する開放端を塞ぐ。よって、収容部60は、育成部20を閉じられた空間に収容できる。したがって、育成部20で育成している生物LFが収容部60の外側に位置する生物と接触することを抑制できる。この結果、育成部20で育成している生物LFと、収容部60の外側に位置する生物とが交雑することを抑制できる。例えば、育成部20で育成している生物LFが植物の場合、収容部60の外側から種子(花粉)が収容部60の内側に侵入することを抑制できる。
[0090]
また、収容部60の大きさは、育成部20の大きさに対応している。例えば収容部60の内部を加温する場合、収容部60内のスペースが必要以上に広いと、収容部60内の加温に時間を要する。つまり、収容部60の内部を加温する際の効率が悪い。また、収容部60の内部を冷却する場合、収容部60内のスペースが必要以上に広いと、収容部60内の冷却に時間を要する。つまり、収容部60の内部を冷却する際の効率が悪い。よって、収容部60の大きさは、育成部20の大きさ、又は、育成する生物LFに合わせて決定される。
[0091]
なお、収容部60は、供給部を有していてもよい。供給部は、例えば、育成部20に水を供給する。また、供給部は、例えば、育成部20に肥料を供給する。また、供給部は、例えば、育成部20に水と肥料とを供給する。供給部は、パイプ形状である。パイプを通じて、水、及び、肥料が育成部20に供給される。なお、収容部60は、筒部30の外側に位置してもよい。つまり、筒部30が収容部60の内部に位置してもよい。
[0092]
次に、
図1~3を参照して、本実施形態に係る保温システム1を更に詳しく説明する。
図2及び
図3に示すように、保温システム1は、切替部80を更に備える。
[0093]
切替部80は、複数の筒部30に向かって案内される液体LQの供給元を切り替える。具体的には、切替部80は、複数の貯留部10のうち、供給元に設定された貯留部10から、他の貯留部10に供給元を切り替える。貯留部10に貯留された液体LQの温度は、貯留部10の地表G1からの深さに応じた温度に変更される。つまり、複数の筒部30に向かって案内される液体LQの供給元を切替部80が切り替えることで、複数の筒部30へ案内される液体LQの温度を変更できる。したがって、複数の筒部30に案内される液体LQの温度を変更して、育成部20側の内部の温度を調整できる。この結果、育成部20側の内部の温度調整が容易となる。
[0094]
例えば、
図3に示すように、切替部80は、供給元に設定された第1貯留部10Aから、第2貯留部10Bに供給元を切り替える。例えば、第1貯留部10Aの液体LQの温度は、「20度」である。第1貯留部10Aの液体LQが複数の筒体31に案内されることで、育成部20側の温度が「20度」となる。一方、第2貯留部10Bの液体LQの温度は「17度」である。第1貯留部10Aの液体LQが複数の筒体31に案内されることで、育成部20側の温度が「17度」となる。第2貯留部10Bを液体LQの供給元に切り替えることで、育成部20側の温度を変更できる。
[0095]
例えば、切替部80は、季節に基づいて、供給元に設定された第1貯留部10Aから、第2貯留部10Bに供給元を切り替えてもよい。例えば、季節が夏の場合、切替部80は、供給元に設定された第1貯留部10Aから、第3貯留部10Cに供給元を切り替える。例えば、第1貯留部10Aの液体LQの温度は、「20度」である。一方、第3貯留部10Cの液体LQの温度は「15度」である。つまり、第1貯留部10Aの液体LQが複数の筒体31に案内されることで、育成部20側の温度が「15度」となる。したがって、第2貯留部10Bを液体LQの供給元に切り替えることで、育成部20側の温度を変更できる。この結果、液体LQの供給元を季節に応じて変更し、生物LFを効率良く成長させることができる。
[0096]
また、
図3に示すように、切替部80は、第1弁体81Aと、第1弁体81Bと、第3弁体81Cとを有する。
[0097]
第1弁体81Aは、第1貯留部10Aの出口を開閉する。第1弁体81Aが第1貯留部10Aの出口を開放することで、第1貯留部10Aから第1案内部41Aに液体LQが流入する。つまり、第1貯留部10Aに貯留された液体LQは、複数の筒部30に案内される。第1弁体81Aが第1貯留部10Aの出口を閉塞することで、第1貯留部10Aから第1案内部41Aに液体LQが流入することを抑制する。
[0098]
第1弁体81Bは、第2貯留部10Bの出口を開閉する。第1弁体81Bが第2貯留部10Bの出口を開放することで、第2貯留部10Bから第1案内部41Bに液体LQが流入する。つまり、第2貯留部10Bに貯留された液体LQは、複数の筒部30に案内される。第1弁体81Bが第2貯留部10Bの出口を閉塞することで、第2貯留部10Bから第1案内部41Bに液体LQが流入することを抑制する。
[0099]
第3弁体81Cは、第3貯留部10Cの出口を開閉する。第3弁体81Cが第3貯留部10Cの出口を開放することで、第3貯留部10Cから第1案内部41Cに液体LQが流入する。つまり、第3貯留部10Cに貯留された液体LQは、複数の筒部30に案内される。第3弁体81Cが第3貯留部10Cの出口を閉塞することで、第3貯留部10Cから第1案内部41Cに液体LQが流入することを抑制する。
[0100]
なお、第1弁体81Aが、第1貯留部10Aの出口を開放している場合、第1弁体81Bは第2貯留部10Bの出口を閉塞し、第3弁体81Cは第3貯留部10Cの出口を閉塞する。また、第1弁体81Bが、第2貯留部10Bの出口を開放している場合、第1弁体81Aは第1貯留部10Aの出口を閉塞し、第3弁体81Cは第3貯留部10Cの出口を閉塞する。また、第3弁体81Cが、第3貯留部10Cの出口を開放している場合、第1弁体81Aは第1貯留部10Aの出口を閉塞し、第1弁体81Bは第2貯留部10Bの出口を閉塞する。
[0101]
引き続き、
図1~
図7を参照して、本実施形態の保温システム1を更に詳しく説明する。
図1~
図7に示すように、保温システム1は、移動部70を更に備える。移動部70は、育成部20を移動させる。したがって、収容部60に収容された育成部20を容易に移動させることができる。この結果、収容部60内の清掃、及び、育成部20で育成した生物LFの収穫の際に、育成部20を容易に移動できる。
[0102]
育成部20は、生物LFの他に、土、又は、水が収容される。つまり、生物LFと土との重み、又は生物LFと水との重みによって、育成部20の移動は困難である。しかし、育成部20の重量が増加しても、移動部70によって育成部20を移動できる。例えば、育成部20の重量が増加しても、移動部70を移動させて、収容部60内を清掃できる。また、育成部20の重量が増加しても、移動部70を移動させて、育成部20で育成した生物LFを収穫できる。
[0103]
更に、育成部20が収容部60に収容される場合、作業者が収容部60の内部で作業することが困難な場合がある。しかし、育成した生物LFの収穫が容易となる位置まで移動部70が育成部20を移動させることができる。したがって、収穫が容易な位置で作業者が生物LFを収穫できる。この結果、育成部20で育成した生物LFの収穫が容易になる。
[0104]
図6及び
図7に示すように、移動部70は、載置部71と、タイヤ72と、対のレール73と、連結部75と、駆動部76とを有する。
[0105]
載置部71は、育成部20が載置される。載置部71は、平板状である。載置部71は、育成部20の底部と当接し、育成部20を支持する。
[0106]
タイヤ72は、転動する。タイヤ72は、載置部71を移動させる。具体的には、タイヤ72は、載置部71を対のレール73に沿って移動させる。つまり、タイヤ72が対のレール73に沿って移動することで、載置部71に載置された育成部20が移動する。
[0107]
対のレール73は、載置部71を案内する。具体的には、対のレール73は、タイヤ72が対のレール73に沿って移動することで、載置部71を第1方向A1又は第2方向A2に案内する。対のレール73は、収容部60の底面に配置される。
[0108]
連結部75は、互いに隣り合う載置部71と載置部71とを連結する。連結部75は、第1連結部材75Aと第2連結部材75Bとを有する。第1連結部材75Aは、載置部71の第1方向A1の端部に位置する。第2連結部材75Bは、載置部71の第2方向A2の端部に位置する。第1連結部材75Aは、互いに隣り合う載置部71の第2連結部材75Bと連結される。第1連結部材75Aと第2連結部材75Bとで互いに隣り合う載置部71を連結することで、
図6に示すように、載置部71が直列に連結される。したがって、連結された載置部71を移動させることで、載置部71に載置された育成部20を複数移動できる。この結果、載置部71を1つずつ移動させる手間を抑制できる。
[0109]
駆動部76は、載置部71を引き寄せる。具体的には、駆動部76は、載置部71を第2方向A2側へ引き寄せる。更に具体的には、駆動部76は連結された載置部71を第2方向A2側へ引き寄せる。駆動部76は、例えば、ウインチである。したがって、載置部71が連結されて、重量が増加しても載置部71を第2方向A2側へ引き寄せることができる。この結果、複数の育成部20を容易に移動させることができる。
[0110]
駆動部76は、第3連結部材76Aを有する。第3連結部材76Aは、第1連結部材75A、又は、第2連結部材75Bに連結される。第3連結部材76Aは、例えば、紐である。例えば、
図6に示す第1連結部材75Aに第3連結部材76Aを連結させる。
[0111]
なお、移動部70は、第1方向A1に側に駆動部76を更に有していてもよい。第1方向A1側に位置する駆動部76は、載置部71を第1方向A1側へ引き寄せる。なお、例えば、収容部60が傾斜する場合、重力にしたがって、育成部20を載置した載置部71が自重で移動してもよい。また、移動部70は、補助ローラーを有していてもよい。補助ローラーは、収容部60の側部に当接して載置部71を案内する。
[0112]
次に、
図4~
図8を参照して、本実施形態に係る保温システム1を更に詳しく説明する。
図8は、本実施形態に係る保温システム1の作業室90を示す図である。
[0113]
図8に示すように、作業室90には、育成部20が運搬される。作業室90に運搬された育成部20は、作業者によって、生物LFの収穫、生物LFの観察、育成部20の保守、及び、育成部20の清掃が行われる。
[0114]
移動部70は、対のレール730を更に備える。対のレール730は、載置部71を案内する。
図8に示すように、対のレール730は、作業室90に配置される。例えば、育成部20で育成された生物LFを収穫する場合、収容部60の蓋部60Bを開放して、収容部60の内部空間と作業室90の内部空間とを連通させる。そして、育成部20を作業室90まで移動させる。したがって、作業者は、対のレール730に沿って載置部71を移動させつつ、生物LFを収穫できる。作業室90で育成された生物LFを収穫できる。この結果、育成部20で育成された生物LFを効率良く収穫できる。
[0115]
対のレール730は、直線部731と、湾曲部732と、進路変更部733とを有する。
[0116]
直線部731は、載置部71を案内する。例えば、直線部731は、載置部71を第1方向A1又は第2方向A2へ案内する。直線部731は、湾曲部732に接続される。
[0117]
湾曲部732は、載置部71を案内する。湾曲部732は、第2方向A2から第1方向A1に向けて載置部71を案内する。つまり、湾曲部732によって、載置部71の進行方向が変更される。例えば、湾曲部732によって、載置部71の移動方向が第2方向A2から第1方向A1に変更される。換言すると、湾曲部732は、載置部71の移動方向を第2方向A2から第1方向A1に変更し、載置部71を第1方向A1に案内する。
[0118]
進路変更部733は、載置部71の進路を変更する。具体的には、進路変更部733は、載置部71の進路を湾曲部732から直線部731に変更する。つまり、収穫を終えた育成部20を載置した載置部71は、直線部731に第1方向A1側へ案内される。つまり、載置部71は、収容部60に案内される。
[0119]
[実施形態2]
次に
図2と
図9とを参照して、実施形態2の保温システム1を説明する。実施形態2の保温システム1は、収容部60が地中G2に位置する点で実施形態1の保温システム1と異なる。以下、実施形態2について、実施形態1と異なる事項について説明し、実施形態1と重複する部分についての説明は割愛する。
[0120]
図9は、実施形態2の保温システム1を示す模式図である。
図2と
図9とに示すように、実施形態2の保温システム1は、貯留部10と、育成部20と、筒部30と、案内部40と、温度調整部50と、貯留部55と、貯留部56と、収容部60と、通路35と、作業室90と、第1ポンプP1と、第2ポンプP2とを備える。
[0121]
貯留部10は、液体LQを貯留する。育成部20は、生物LFを育成する。筒部30は、液体LQの流路を構成する。案内部40は、貯留部10に貯留された液体LQを筒部30に案内する。温度調整部50は、貯留部10に貯留された液体LQの温度を調整する。貯留部55は、複数の筒部30から流出した液体LQを貯留する。貯留部56は、複数の筒部30から流出した液体LQを貯留する。収容部60は、育成部20を収容する。通路35は、収容部60と作業室90とをつなぐ。作業室90は、育成部20が運搬される。第1ポンプP1は、貯留部10から流出した液体LQを複数の筒部30へ向けて移送する。第2ポンプP2は、貯留部55から流出した液体LQを貯留部10へ向けて移送する。
[0122]
図9に示すように、実施形態2の収容部60は、地中G2に位置する。つまり、収容部60の温度を地表G1から収容部60の深さに応じた温度とすることができる。したがって、地表G1からの深さに応じた温度を基準として、収容部60の温度を調整できる。この結果、収容部60の温度を容易に調整できる。
[0123]
筒部30は、地中G2に位置する。つまり、筒部30が地表G1に露出しない。したがって、筒部30を通過する液体LQの温度が外気温と同じ温度になることを抑制できる。この結果、筒部30を通過する液体LQの温度が変化することを抑制できる。
[0124]
案内部40は、地中G2に位置する。つまり、案内部40は、地表G1に露出しない。したがって、案内部40によって案内される液体LQの温度が外気温と同じ温度になることを抑制できる。この結果、安定した温度の液体LQを筒部30に案内できる。
[0125]
[実施形態3]
次に
図10と
図11とを参照して、実施形態3の保温システム1を説明する。実施形態3の保温システム1は、収容部60の内部に育成部20の列が複数ある点で実施形態1の保温システム1と実施形態2の保温システム1と異なる。以下、実施形態3について、実施形態1及び実施形態2と異なる事項について説明し、実施形態1及び実施形態2と重複する部分についての説明は割愛する。
[0126]
図10は、実施形態3の発明に係る保温システム1の収容部60を示す図である。
図11は、実施形態3の発明に係る保温システム1の作業室90を示す図である。
図10では、直列に連結された育成部20の列は、2列である。
図11では、作業室90に配置された対のレール730が示される。
[0127]
図10に示す移動部70は、複数の対のレール73を有する。対のレール73は、載置部71を案内する。複数の対のレール73は、収容部60の底面に配置される。複数の対のレール73の各々には、直列に連結された載置部71が位置する。直列に連結された載置部71は、対応する対のレール73に沿って移動する。つまり、収容部60の中で、載置部71と隣り合う列の載置部71とが接触しない。したがって、載置部71と隣り合う列の載置部71とが接触して、載置部71の移動が規制されることを抑制できる。この結果、収容部60の内部で載置部71を容易に移動できる。
[0128]
また、
図11に示すように、実施形態2の作業室90には、対のレール730が配置される。実施形態2の移動部70は、U字状の対のレール730を更に備える。対のレール730は、載置部71を案内する。具体的には、対のレール730は、作業室90に位置する載置部71を案内する。対のレール730は、第1直線部735と、第2直線部736と、湾曲部737とを有する。
[0129]
第1直線部735は、載置部71を案内する。第1直線部735は、湾曲部737に接続される。例えば、湾曲部737によって第1直線部735に案内された載置部71を、第1直線部735は第1方向A1へ案内する。換言すれば、第1直線部735は、収容部60の内部に載置部71を案内する。例えば、第1直線部735は、収容部60から作業室90に案内された載置部71を第2方向A2へ案内する。
[0130]
第2直線部736は、載置部71を案内する。第2直線部736は、湾曲部737に接続される。例えば、湾曲部737によって第2直線部736に案内された載置部71を、第2直線部736は第1方向A1へ案内する。換言すれば、第2直線部736は、収容部60の内部に載置部71を案内する。例えば、第2直線部736は、収容部60から作業室90に案内された載置部71を第2方向A2へ案内する。
[0131]
湾曲部737は、載置部71を案内する。湾曲部737は、第2方向A2から第1方向A1に向けて載置部71を案内する。また、湾曲部737は、第1方向A1から第2方向A2に向けて載置部71を案内する。つまり、湾曲部737によって、載置部71の進行方向が変更される。例えば、湾曲部737によって、載置部71の移動方向が第2方向A2から第1方向A1に変更される。また、例えば、湾曲部737によって、載置部71の移動方向が第2方向A2から第1方向A1に変更される。換言すると、湾曲部737は、載置部71の移動方向を変更し、載置部71を第1直線部735又は第2直線部736に案内する。
[0132]
例えば、収容部60から作業室90まで移動した載置部71は、作業室90の対のレール730に沿って移動する。つまり、載置部71は、作業室90に配置された対のレール730に沿って、U字状に移動する。更に、U字状の対のレール73に沿って載置部71が移動することで、載置部71は再び収容部60の内部に収容される。載置部71をU字状の対のレール730に沿って移動させることで、例えば、収穫が終了していない育成部20を載置した載置部71を作業室90へ移動させつつ、収穫が終了した育成部20を載置した載置部71を収容部60に収容することができる。
[0133]
[実施形態4]
次に
図12~
図14を参照して、実施形態4の保温システム1を説明する。実施形態4の保温システム1は、貯留部10、及び、筒部30を備えず、収容部60が地中G2に位置する点で実施形態1の保温システム1~実施形態3の保温システム1と異なる。以下、実施形態4について、実施形態1~実施形態3と異なる事項について説明し、実施形態1~実施形態3と重複する部分についての説明は割愛する。
[0134]
図12は、本発明の実施形態4に係る保温システム1を模式的に示す図である。
図13は、実施形態4に係る保温システム1の収容部60を示す図である。
図12に示すように、実施形態4に係る保温システム1は、育成部20と、収容部60と、移動部70と、通路35と、作業室90と、加熱部91と、導入部92と、採光部93と、第1導光部94と、熱輻射部材95と、第2導光部96とを備える。
[0135]
育成部20は、生物LFを育成する。収容部60は、育成部20を収容する。移動部70は、育成部20を移動させる。通路35は、収容部60と作業室90とをつなぐ。作業室90は、育成部20が運搬される。
[0136]
図12と
図13とに示す収容部60は、本体部60Aと、蓋部60Bとを有する。本体部60Aは、発光部63と、断熱部材64と、反射部材65とを有する。
[0137]
発光部63は、光を発射する。具体的には、発光部63は、第1導光部94から導かれた光を発射する。また、発光部63は、第2導光部96に導かれた光を発射する。発光部63は、例えば反射部材である。つまり、発光部63は、第1導光部94によって発光部63に導かれた光を育成部20に向けて反射する。また、発光部63は、第2導光部96によって発光部63に導かれた光を育成部20に向けて反射する。発光部63は、収容部60の天井部分に配置される。
[0138]
断熱部材64は、熱の移動を妨げる。断熱部材64は、例えば、グラスウールである。断熱部材64は、熱伝導率の低い素材であることが好ましい。断熱部材64によって、収容部60内の温度変化を抑制できる。
[0139]
反射部材65は、発光部63から発射された光を反射する。具体的には、反射部材65は、発光部63から出射された光が発光部63に向かって戻ることを抑制する。つまり、反射部材65は、発光部63から発射された光を育成部20に反射する。したがって、育成部20に光を効率良く照射できる。この結果、育成部20で育成している植物を効率良く成長させることができる。反射部材65は、鏡面であることが好ましい。
[0140]
加熱部91は、木材を加熱して、木材を燃やす。加熱部91は、地表G1に配置される。加熱部91の内部には、木材が載置される。加熱部91によって加熱された木材は、二酸化炭素を発生させる。発生した二酸化炭素は、導入部92に案内される。木材を加熱することで、加熱部91は熱輻射部材95を加熱する。
[0141]
導入部92は、加熱部91で発生した二酸化炭素を収容部60に導入する。導入部92は、例えば、ファンと配管とを有する。ファンの回転によって、加熱部91で発生した二酸化炭素は配管を通って収容部60まで導入される。したがって、育成部20で育成される生物LFが植物の場合、植物の成長を促すことができる。この結果、効率よく植物を成長させることができる。なお、加熱部91は、地中G2に配置されてもよい。
[0142]
採光部93は、太陽光を採光する。採光部93は、反射部材を有する。反射部材は、例えば、パラボラ状の凹面鏡である。パラボラ状の凹面鏡は、太陽の位置に追従して向きを変更する。
[0143]
第1導光部94は、採光部93が採光した太陽光を発光部63に導く。第1導光部94は、例えば、光ファイバーである。光ファイバーは、採光部93が採光した光を反射し、発光部63へ導く。第1導光部94によって発光部63に導かれた太陽光は、発光部63から育成部20に向けて発射される。
[0144]
熱輻射部材95は、電磁波を発生する。具体的には、熱輻射部材95は、加熱によって電磁波を発生する。電磁波は、例えば、光である。つまり、熱輻射部材95は、熱輻射光源である。よって、熱輻射部材95は、光を出射する。
[0145]
第2導光部96は、熱輻射部材95が出射した光を発光部63に導く。第2導光部96は、例えば、光ファイバーである。光ファイバーは、熱輻射部材95が発射した光を反射し、発光部63へ導く。第2導光部96によって発光部63に導かれた光は、発光部63から育成部20に向けて発射される。
[0146]
次に、
図14を参照して、実施形態4に係る収容部60を更に詳しく説明する。
図14は、実施形態4に係る複数の収容部60を備える保温システム1を示す図である。
図14には、地中G2に位置する複数の収容部60が示される。したがって、複数の収容部60の温度を地表G1から収容部60の深さに応じた温度とすることができる。この結果、複数の収容部60の温度の調整が容易となる。
[0147]
また、複数の収容部60の各々は、複数の育成部20を収容する。したがって、収容部60の数が増加する程、育成する生物LFの数が増加する。この結果、生物LFの収穫数を増加させることができる。
[0148]
[実施形態5]
次に
図3と
図15とを参照して、実施形態5の保温システム1を説明する。実施形態5の保温システム1は、育成部20が水槽である点で実施形態1の保温システム1~実施形態4の保温システム1と異なる。以下、実施形態5について、実施形態1~実施形態4と異なる事項について説明し、実施形態1~実施形態4と重複する部分についての説明は割愛する。
[0149]
実施形態5の保温システム1は、複数の貯留部10と、育成部20と、案内部40と、温度調整部50と、切替部80と、作業室90と、第1ポンプP1と、第2ポンプP2と、濾過部Fを備える。
[0150]
複数の貯留部10の各々は、液体LQを貯留する。液体LQは、真水、又は、海水であってもよい。また、
図3に示すように、複数の貯留部10の各々は、地表G1から所定の深さDに位置する。案内部40は、貯留部10と育成部20とを接続する。育成部20は、生物LFを育成する。温度調整部50は、液体LQの温度を調整する。作業室90は、生物LFが運搬される。
[0151]
切替部80は、育成部20に向かって案内される液体LQの供給元を切り替える。具体的には、切替部80は、複数の貯留部10のうち、供給元に設定された貯留部10から、他の貯留部10に供給元を切り替える。貯留部10に貯留された液体LQの温度は、貯留部10の地表G1からの深さに応じた温度に変更される。つまり、育成部20に向かって案内される液体LQの供給元を切替部80が切り替えることで、育成部20へ案内される液体LQの温度を変更できる。したがって、育成部20に案内される液体LQの温度を変更して、育成部20の温度を調整できる。この結果、育成部20の温度調整が容易となる。
[0152]
第1ポンプP1は、液体LQを移送する。具体的には、貯留部10から流出した液体LQを、第1ポンプP1は育成部20へ向けて移送する。
[0153]
第2ポンプP2は、液体LQを移送する。具体的には、育成部20から流出した液体LQを、第2ポンプP2は貯留部10へ向けて移送する。
[0154]
実施形態5の育成部20は、魚類を育成する。また、育成部20は、液体LQを貯留する。育成部20は、例えば、水槽である。水槽は、例えば、矩形状である。また、水槽の形状は、例えば、円筒形状であってもよい。また、水槽の形状は、環状であってもよい。水槽の大きさは、魚類の大きさに応じた大きさである。育成部20は、地中G2に位置する。
[0155]
濾過部Fは、液体LQを濾過する。具体的には、濾過部Fは、濾過部Fを通過する液体LQを濾過する。
[0156]
次に、
図15と
図16とを参照して、実施形態5の育成部20を詳しく説明する。
図15は、本発明の実施形態5に係る保温システム1を模式的に示す図である。
図16は、実施形態5に係る保温システム1の育成部20を拡大して示す図である。実施形態5に示す育成部20は、複数の支持部201と、第1配管202と、第2配管203と、第3配管204と、第5配管205とを含む。
[0157]
複数の支持部201は、育成部20の天井部分を支持する。
[0158]
第1配管202は、育成部20と作業室90とを連結する。具体的には、第1配管202は、育成部20と作業室90とを連通させる。育成部20と作業室90とを連通させることで第1配管202は、育成部20の魚類を育成部20から作業室90へ案内する。例えば、育成部20から作業室90まで液体LQが移動する際の水圧を利用して、魚類を育成部20から作業室90へ案内する。
[0159]
第1配管202は、蓋部207を有する。蓋部207は、第1配管202を開閉する。蓋部207が第1配管202を開放することで、第1配管202が育成部20と作業室90とが連通する。蓋部207が第1配管202を閉塞することで、育成部20と作業室90とが非連通となる。
[0160]
第2配管203は、育成部20へ飼料を案内する。第2配管203は、一方の端部が地上に位置する。第2配管203は、他方の端部が育成部20の内部に位置する。育成部20の魚類に対して給餌する場合、第2配管203の一方の端部から飼料を入れる。そして、飼料は、他方の端部に案内される。更に、第2配管203の他方の端部から育成部20の内部へ飼料が放出される。したがって、地上から地中G2の育成部20にいる魚類に給餌できる。この結果、地中G2の育成部20まで作業者がいって魚類に給餌する手間を抑制できる。
[0161]
第3配管204は、育成部20に酸素を案内する。
[0162]
第5配管205は、地表G1と育成部20とを連結する。第5配管205は、地上と育成部20との連絡通路である。例えば、作業者は、第5配管205から育成部20の内部へ到達できる。
[0163]
次に、
図17を参照して、第2配管203を更に詳しく説明する。
図17は、実施形態5に係る保温システム1の第2配管203を示す図である。
[0164]
育成部20の内部に位置する第2配管203の端部分は、湾曲している。第2配管203の端部分は、給餌口208を有する。給餌口208は、飼料を育成部20の内部に排出する。
[0165]
給餌口208の外面は、鑢部分を有する。給餌口208の外面に鑢部分を有することで、魚類の歯を削ることができる。この結果、育成している魚類が、他の魚類を傷つけることを抑制できる。例えば、歯が伸び続ける魚類を、育成部20で複数育成する場合、魚類が他の魚類に噛みつくことがある。しかし、給餌口208の外面に鑢部分を配置することで、給餌の際に魚類の歯が鑢部分に接触し、魚類の歯が削られる。したがって、魚類の歯が、他の魚類に接触した際に、魚類に傷をつけにくい。この結果、魚類が他の魚類を傷つけることを抑制しつつ、複数の魚類を効率良く育成できる。
[0166]
育成部20は、光源206を更に有する。光源206は、光を出射する。光源206は、第2配管203に固定される。光源206は、給餌口208を照らす。光源206が給餌口208を照らすことで、給餌口208から出る飼料を魚類が認識できる。この結果、魚類の給餌を容易にできる。なお、育成部20は、地中G2に位置する空間に配置されてもよい。
[0167]
[実施形態6]
次に
図18を参照して、実施形態6の保温システム1を説明する。実施形態6の保温システム1は、散水部85を有する点で実施形態1の保温システム1~実施形態5の保温システム1と異なる。以下、実施形態6について、実施形態1~実施形態5と異なる事項について説明し、実施形態1~実施形態5と重複する部分についての説明は割愛する。
[0168]
図18は、本発明の実施形態6の保温システム1を模式的に示す図である。実施形態6の保温システム1は、複数の貯留部10と、育成部20と、筒部30と、案内部40と、温度調整部50と、貯留部55と、収容部60と、切替部80と、散水部85と、シート86と、第1ポンプP1と、第2ポンプP2とを備える。
[0169]
複数の貯留部10の各々は、液体LQを貯留する。育成部20は、生物LFを育成する。筒部30は、液体LQの流路を構成する。案内部40は、貯留部10に貯留された液体LQを筒部30に案内する。温度調整部50は、貯留部10に貯留された液体LQの温度を調整する。貯留部55は、複数の筒部30から流出した液体LQを貯留する。収容部60は、育成部20を収容する。
[0170]
切替部80は、複数の筒部30に向かって案内される液体LQの供給元を切り替える。また、切替部80は、散水部85に向かって案内される液体LQの供給元を切り替える。
[0171]
第1ポンプP1は、貯留部10から流出した液体LQを複数の筒部30へ向けて移送する。第2ポンプP2は、貯留部55から流出した液体LQを貯留部10へ向けて移送する。
[0172]
実施形態6の保温システム1の収容部60の形状は、断面視において、略三角形である。収容部60は、貯留部10から貯留部55に向かう方向に傾斜する。また、収容部60の天井部分は、開放されている。
[0173]
シート86は、収容部60の天井部分を覆う。シート86は、水を通さない。
[0174]
散水部85は、液体LQを散水する。散水部85は、例えば、スプリンクラーである。スプリンクラーは、地表G1に位置する。スプリンクラーは、地表G1において、シート86に向かって液体LQを散水する。散水部85によって散水された液体LQは、気化する。したがって、液体LQの気化によって、収容部60付近の温度を調整できる。この結果、収容部60付近の温度を調整することで、収容部60の温度を調整できる。
[0175]
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の各実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の速度、材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の構成から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
[0176]
(1)実施形態1の保温システム1では、1つ収容部60を例に説明したが、保温システム1の収容部60は、1つに限らない。保温システム1は、複数の収容部60を有してもよい。
[0177]
(2)実施形態1の保温システム1では、移動部70は、直線部731と、湾曲部732と、進路変更部733とを有していたが、これに限らない。移動部70は、直線部731のみを有していてもよい。
[0178]
(3)実施形態1の切替部80は、第1弁体81A~第3弁体81Cを有していたが、これに限らない。例えば、切替部80は、第2弁体A、第2弁体B、第2弁体Cを有していてもよい。
[0179]
第2弁体Aは、第1貯留部10Aの入口を開閉する。第2弁体Aが第1貯留部10Aの入口を開放することで、第9案内部49Aから第1貯留部10Aに液体LQが流入する。つまり、液体LQは、第1貯留部10Aに貯留される。第2弁体Aが第1貯留部10Aの入口を閉塞することで、第9案内部49Aから第1貯留部10Aに液体LQが流入することを抑制する。
[0180]
第2弁体Bは、第2貯留部10Bの入口を開閉する。第2弁体Bが第2貯留部10Bの入口を開放することで、第9案内部49Bから第2貯留部10Bに液体LQが流入する。つまり、液体LQは、第2貯留部10Bに貯留される。第2弁体Bが第2貯留部10Bの入口を閉塞することで、第9案内部49Bから第2貯留部10Bに液体LQが流入することを抑制する。
[0181]
第2弁体Cは、第3貯留部10Cの入口を開閉する。第2弁体Cが第3貯留部10Cの入口を開放することで、第9案内部49Cから第3貯留部10Cに液体LQが流入する。つまり、液体LQは、第3貯留部10Cに貯留される。第2弁体Cが第3貯留部10Cの入口を閉塞することで、第9案内部49Cから第3貯留部10Cに液体LQが流入することを抑制する。
[0182]
(4)実施形態6の保温システム1は、通路35と、作業室90とを更に有していてもよい。
[0183]
(5)本願は、更に以下の付記を開示する。なお、以下の付記は本発明を限定するものではない。
[0184]
(付記)
育成部20の温度の調整を地中G2に位置する貯留部10の液体LQで行う。地中G2に位置する貯留部10に貯留された液体LQの温度は、地表G1からの位置によって異なる。また、地中G2に位置する貯留部10の液体LQの温度は安定している。したがって、地温を利用して育成部20の温度を調整できる。この結果、生物LFを飼育する場合にかかる費用を抑制できる。つまり、育成部20の加温、及び、冷却にかかる費用を抑制できる。そして、保温システム1を使用して、持続的な産業に結びつけることができる。
[0185]
例えば、生物LFが昆虫の場合、育成部20の温度を調整することで、冬眠、成長、及び、産卵のサイクルを確立できる。例えば、地表G1からの位置が5mとなる貯留部10に貯留される液体LQは、年間を通じて15度ほどの温度である。したがって、夏季において育成部20の冷却用に使用できる。
[0186]
なお、育成部20の加温時には、温めた液体LQを案内部40に流してもよい。また、育成部20の冷却時には、クーリング用の物質を同時に案内部40に流してもよい。
[0187]
移動部70によって育成部20を移動できる。したがって、育成部20で育成した生物に対して作業者が育成部20の周りに行かなくてもよい。育成部20を載置した載置部71が作業室90に案内される。したがって、作業室90のような広い空間で作業者が作業を行える。また、作業後も、移動部70によって育成部20を収容部60の内部に移動させることができる。例えば、昆虫を収穫する場合、昆虫を育成している育成部20を作業室90に移動させる。
[0188]
収容部60の大きさは、育成される生物LFを育成するのに適した大きさである。なお、収容部60の大きさは、保守点検のために作業者が載置部71に乗って移動できる大きさであってもよい。
[0189]
切替部80は液体LQの供給元を切り替える。したがって、夏には育成部20を冷却し、冬には育成部20を加温できる。この結果、生物LFの成長をコントロールできる。例えば、昆虫を通年飼育できる。
[0190]
また、貯留部10では、微生物が育成されてもよい。微生物は、例えば、オーランチオキトリウムである。また、貯留部10では、藻類が育成されてもよい。藻類は、例えば、榎本藻である。また、保温システム1は、案内部40が液体LQとともに藻類を案内する場合、藻類を案内するための案内部40を更に有していてもよい。
[0191]
また、貯留部10の温度を調整する温度調整部50の熱源は、地中G2から湧き出た温水であってもよい。また、温度調整部50は、木材を燃焼させて貯留部10の液体LQを加熱してもよい。
[0192]
収容部60の本体部60Aは、蓋部60Bによって閉塞される。したがって、収容部60の内部空間は、外界と遮断される。したがって、生物LFが植物の場合、交雑することを抑制できる。
[0193]
筒部30は、地面に敷き詰められる。筒部30は、リサイクルペットボトルを利用して作られる。筒部30と地表G1との間には、シートが位置する。筒部30で、育成部20の四方を覆う。育成部20は、並べて配置される。育成部20は、電車のように何台も鎖状に連結される。
[0194]
作業室90には、温度調整部が配置されていてもよい。
[0195]
地中G2の貯留部10には、あらかじめ地下水を貯留してもよい。また、地中G2の貯留部10は、雨水を貯留してもよい。
[0196]
貯留部10に貯留された液体LQは、第1ポンプP1によって、ペットボトルのような物体で構成された筒部30に適量ずつ流入させる。そして、筒部30から流出した液体LQを貯留部55又は貯留部56で回収する。
[0197]
筒部30は、透明である。筒部30は透明であるため、筒部30の内部に液体LQを入れても、筒部30は太陽光を透過する。つまり、筒部30を多段に重ねて配置できる。
[0198]
また、貯留部10と筒部30とは高さが異なってもよい。案内部40によって案内される液体は、重力で貯留部10から筒部30まで流れる。したがって、第1ポンプP1の出力を小さくできる。
[0199]
筒部30は、複数の筒体31を有する。複数の筒体31は、縦に連結される。つまり、ペットボトルのような筒体31を縦に連結していけば、液体LQの入り口が複数個になるが、液体LQの流れる流路が増えるため、育成部20の温度を調整する際の効率が向上する。また、ペットボトルのような筒体31の中に、蓄熱性の高い部材を配置してもよい。蓄熱性の高い部材は、例えば、岩石である。例えば、蓄熱した岩石が配置された筒体31の内部を、液体LQが通ることで液体LQの温度が調整される。
[0200]
また、筒部30の内部で魚類のような生物LFを育成してもよい。
[0201]
また、筒部30と筒部30との間に、緩衝部材を配置してもよい。緩衝部材は、例えば、気泡を含んだポリスチレンである。例えば、地震の際に、筒部30と筒部30とが接触すること抑制できる。
[0202]
また、筒部30の形状を変更してもよい。複数の筒部30は、複数の筒体31で構成されているため、組み換えが容易である。したがって、筒部30の設置コストや耐久性を考えてベストな組み合わせを選ぶことができる。例えば、収容部60の天井部分を筒部30が覆わないようにしてもよい。例えば、収容部60の上部又は側面をシート86で覆ってもよい。シート86は、例えば、耐水ビニールである。また、シート86に勾配をつけて筒部30に取付け、シート86の上を液体LQが流れるようにしてもよい。また、シート86を複数枚重ねてシート86とシート86との間に、液体LQを霧状にして散布してもよい。
[0203]
また、育成部20の温度を目的の温度とするため、筒部30に流れる液体LQの量を変更してもよい。なお、筒体31は、筒状の構造体であればよい。
[0204]
また、シート86は、太陽光を透過しなくてもよい。太陽光を透過する必要がない場合、筒部30に光を透過しない遮光部材を取りつけてもよい。遮光部材は、筒部30を覆う。また、液体LQを着色してもよい。例えば、液体LQを黒色に着色してもよい。
[0205]
植物を地中G2で育てる。例えば、地表G1から5mの位置の温度は、通年15度から17度までの温度である。つまり、収容部60を地表G1から5mの位置に配置する場合、安定した温度で生物LFを育成できる。
[0206]
また、収容部60の大きさは、育成部20で育成する植物が収穫される時の大きさと同程度である。この結果、不要な空間を温度調整することがなく、収容部60の温度調整が容易となる。
[0207]
また、収容部60は、蓋部60Bによって開閉される。例えば、蓋部60Bが閉塞状態となることで、植物が外界と遮断される。したがって、植物に、害虫及びウイルスが付着することを抑制できる。この結果、植物を容易に管理できる。
[0208]
また、蓋部60Bを開放することで、収容部60の温度を低下させることができる。なお、収容部60の温度を低下させる場合、作業室90から収容部60に向けて作業室90の空気を送ってもよい。
[0209]
収容部60の内面61は、反射部材65で覆われていてもよい。反射部材65は、例えば、アルミニウムである。反射部材65は、光を反射する素材であればよい。反射部材65で収容部60の内面61を覆うことで、反射部材65は光を育成部20へ反射できる。この結果、植物が効率的に光合成できる。
[0210]
発光部63から発射される光で植物が光合成する。具体的には、植物の光合成に必要な光は、太陽光を集光し光ファイバーで育成部20に伝送される。また、植物の光合成に必要な光は、熱輻射光源から発射された光を光ファイバーで育成部20に伝送される。熱輻射光源は、熱エネルギーを可視光及び植物の育成に有用な波長の電磁波に変換する。この結果、植物の育成で発生する費用を抑制できる。なお、発光部63は、収容部60に収容された育成部20に対応する位置にされる。具体的には、発光部63は、育成部20に光が等しく届くように、収容部60に配置される。
[0211]
太陽光が弱い場合、熱輻射部材95の光を発光部63に導光できる。熱輻射部材95は、熱エネルギーを可視光及び植物の成長に有用な周波の電磁波に変換できる。そして、光を発光部63まで導光できる。
[0212]
また、導入部92は、加熱された空気と加熱された空気に含まれる二酸化炭素を収容部60に導入する。したがって、収容部60を加温できる。また、断熱部材64によって断熱された収容部60を加温するため、効率良く加温できる。更に、収容部60に二酸化炭素を導入するため、二酸化炭素を空気中に配置することを抑制できる。つまり、二酸化炭素を空気中に排出することを抑制しつつ、植物を育成できる。
[0213]
育成部20は、移動部70の載置部71に載置される。載置部71と載置部71とは、連結部75によって連結される。例えば、育成部20で育成した植物を収穫する場合、収容部60の第2方向A2側に配置された駆動部76が載置部71を作業室90へ引っ張る。そして、育成部20を載置した載置部71が作業室90に移動する。また、育成部20に作付けされた植物を収容部60の内部へ移動させる場合、収容部60の第1方向A1側に配置された駆動部76が作業室90から収容部60の内部に載置部71を引っ張る。なお、植物の育成状況を確認する場合も、駆動部76によって育成部20を載置した載置部71を移動させる。したがって、植物の作付け、植物の確認、及び、植物の収穫する際に、収容部60の内部を作業者が移動しなくてよい。この結果、植物に対する作業を行う際の作業者の負担を軽減できる。
[0214]
貯留部10は、液体LQを貯留する。液体LQには、肥料が含まれる。案内部40は、肥料が含まれた液体LQを育成部20へ案内する。この結果、収容部60に収容された育成部20に肥料を容易に補給できる。また、収容部60を傾斜させて、液体LQを流入させることで、液体LQが傾斜の上方から下方に流れ、収容部60を清掃できる。
[0215]
保温システム1は、山間部に配置されることが好ましい。例えば、山間部の木材を加熱部91で加熱できる。つまり、山間部に保温システム1を配置する場合、熱輻射光源に対する熱エネルギーの供給元として山間部の木材を用いることができる。また、加熱部91は、バイオマス発電機を含んでもよい。また、燃料とする木材である樹木は、山間部に植えて育成してもよい。また、木材となる樹木を植える場合、樹木と樹木との間隔を狭めて、植林する。また、植林と伐採とを繰返して、木材を確保できる。
[0216]
また、山間部に保温システム1を配置する場合、近隣にある木材を使用できるため、木材の運送コストを抑制できる。
[0217]
また、保温システム1は、加熱部91が木材を加熱し、木材が燃焼するときに発生した二酸化炭素を収容部60へ導入できる。植物は、光合成の際に二酸化炭素を使用する。二酸化炭素を収容部60に導入することで、植物の成長を促すことができる。二酸化炭素を収容部60に導入することで、二酸化炭素を収容部60に導入しない場合と比較して、植物の収穫量が25%~30%ほど多くなる。また、加温された空気とともに二酸化炭素を収容部60に導入するため、収容部60は、加温される。
[0218]
保温システム1を山間部に配置することで、山間部における林業が活性化する。つまり、過疎化した山間部でも産業として自立できる。また、林業の活性化によって、放棄された山林を管理できる。この結果、森林が本来持っている温暖化防止効果を生かすことができる。
[0219]
保温システム1によれば、設置コストを抑制しつつ、森林を保全できる。更に、保温システム1によれば、植物も育成できる。また、保温システム1によれば、植物の育成にかかる費用を抑制しつつ、植物の生産効率を向上できる。また、保温システム1によれば、自然の循環サイクルを利用し、環境を保全しつつ効率的に作物を生産できる。
[0220]
保温システム1によれば、作物の生育に必要な温度を維持するための空調設備を配置する必要がない。つまり、化石燃料、及び、大型の発電施設が必要とならない。
[0221]
保温システム1によれば、栽培スペースを確保する場合にビニールハウス設置、及び、作業スペースを確保するために発生する費用を抑制できる。
[0222]
保温システム1によれば、収容部60の温度を維持するための費用を抑制できる。
[0223]
保温システム1によれば、育成部20を地上に設置する場合の費用を抑制できる。
[0224]
保温システム1によれば、収容部60に収容された育成部20で昆虫と昆虫の餌の植物とを同時に育ててもよい。
[0225]
保温システム1によれば、また、地中G2に複数の収容部60を配置することで、地上で植物を育成する場合と比較して収穫量を多くすることができる。
[0226]
保温システム1によれば、魚類を育成する際に発生する費用を抑制できる。具体的には、例えば、養殖スペースである育成部20は、地表G1から「5m」となる位置に配置される。例えば、日本の本州では、地表G1から「5m」となる位置に育成部20が配置されることで、育成部20の温度は年間を通じて「15度から17度以上」で保たれる。なお、緯度によって差があるため、緯度に応じて育成部20の位置を変更してもよい。育成部20の温度が年間を通じて15度から17度以上で保たれることを利用して、育成部20の水温を調整できる。また、育成部20の液体LQを飼育水と記載する場合がある。飼育水は、真水、又は、海水であり得る。この結果、地下の養殖スペースである育成部20で、育成部20の温度を調整する費用を抑制しつつ、魚類を育成できる。
[0227]
また、地中G2に育成部20を配置できるため、地上で育成部20を配置する場合と比較して、育成部20の大きさを自由に選択できる。例えば、地上に育成部20を配置する場合と比較して、地中G2では大きな育成部20を配置できるため、育成部20で育成する魚類を適正な密度で飼育できる。つまり、育成部20の容量に対して魚類が過密な状態にならないように、魚類を育成できる。したがって、育成部20の大きさに応じて、魚類の密度を変更できる。この結果、育成している魚類がストレスを感じることを軽減できる。例えば、ストレスによって、魚類が噛み合うことを抑制できる。
[0228]
地中G2の育成部20で育成している魚類に対する給餌は、第2配管203を通して行う。第2配管203には、飼料が投入される。また、育成部20で育成している魚類の飼料は、粘性を有する。飼料は、練り餌である。また、第2配管203から育成部20へ飼料を案内する場合は、給餌口208から飼料が少しずつ出るように、飼料を育成部20に送る。飼料が給餌口208から出るため、魚類が餌料を食べるときに、給餌口208の外面の鑢部分と魚類の歯が接触する。したがって、魚類の歯が磨耗する。この結果、魚類の歯を歯きりする手間を抑制できる。なお、第2配管203には、光源206が配置されるため、育成部20で育成される魚類を集めることができる。
[0229]
なお、作業者が地下の養殖スペースである育成部20に下りるための通路を更に設けてもよい。また、育成部20は、撮像部を有していてもよい。撮像部は、例えば、カメラである。撮像部は、魚類を撮像する。撮像部は、魚類を撮像して、画像又は動画を生成する。撮像部によって、魚類の育成状態を監視できる。作業室90に表示部が配置される場合、撮像部が生成した画像又は動画は、表示部に表示される。つまり、作業者が魚類の育成状態を遠隔地から確認できる。また、成長した魚類を作業室90に出すときは水圧を利用して飼育水とともに運搬する。
[0230]
保温システム1では、高低差を利用するため、最も高い位置に貯留部10が配置される。そして、貯留部10よりも下方に育成部20が配置される。更に、育成部20よりも下方に作業室90が配置される。なお、育成部20よりも下方に育成部20から流出した液体LQを貯留する貯留部を更に配置してもよい。また、育成部20に酸素を共有する第3配管204は、地表G1から地中G2の育成部20へ延設されている。
[0231]
また、保温システム1では、複数の貯留部10は、地表G1からの深さが互いに異なる。つまり、複数の貯留部10の各々で貯留される液体LQの温度は、異なる。したがって、互いに温度の異なる液体LQを貯留した複数の貯留部10を利用して、魚類の育成に必要な温度を保つことができる。一般的に一番深い位置に配置された貯留部10に貯留された液体LQの温度が高い。つまり、一番深い位置に配置された貯留部10に貯留された液体LQを育成部20へ移動させれば、水温を容易に調整できる。
[0232]
また、地上で生物LFを育成してもよい。地上で育成する生物LFは、例えば、昆虫である。地上で育成する生物LFは、育成部20で育成する生物LFの餌である。この結果、生物LFの飼料に係る費用を抑制できる。また、耕作放棄されている農地を使い昆虫の餌となる草を育てもよい。そして、生物LFの育成、及び、耕作放棄されている農地を利用するため、地域の活性化につなげることができる。
[0233]
また、液体LQを濾過部Fへ案内する案内部40は、複数あってもよい。例えば、育成部20が矩形の場合、育成部20の角となる部分に液体LQを濾過部Fへ案内する案内部40が配置される。したがって、育成部20の角に溜まった魚類の排泄物やごみを濾過部Fに案内できる。したがって、育成部20の水質を保つことができる。また、濾過部Fは、液体再利用部を有していてもよい。液体再利用部は、液体LQを再利用するための処理を実行する。
[0234]
また、補強部材を有していてもよい。補強部材は、育成部20、筒部30、及び、収容部60を補強する。補強部材は、シート、及び、接着材である。補強部材は、作業室90に配置されてもよい。
[0235]
なお、育成部20で水耕栽培を行う場合、育成部20は、植物保持部を更に有してもよい。植物保持部は、例えば、ロックウール、及び、スポンジである。ロックウールには、植物が配置される。ロックウールは育成部20から取り外しできる。植物保持部は、移動部70に載せて移動できる。