(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084757
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】誘導電力伝達装置、水上車両を誘導充電するためのシステム、及び誘導電力伝達装置の動作方法
(51)【国際特許分類】
H01F 38/14 20060101AFI20240618BHJP
H02J 50/90 20160101ALI20240618BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20240618BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240618BHJP
B60L 53/12 20190101ALI20240618BHJP
【FI】
H01F38/14
H02J50/90
H02J50/10
H02J7/00 301D
B60L53/12
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024037738
(22)【出願日】2024-03-12
(62)【分割の表示】P 2021531215の分割
【原出願日】2019-12-03
(31)【優先権主張番号】1819707.9
(32)【優先日】2018-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】516149435
【氏名又は名称】ボンバルディアー プリモーフ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Bombardier Primove GmbH
【住所又は居所原語表記】Eichhornstrasse 3, 10785 Berlin, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106404
【弁理士】
【氏名又は名称】江森 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100112977
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 有子
(72)【発明者】
【氏名】アナ カーン
(72)【発明者】
【氏名】ゼルギオ アレハンドロ ペレズ ロメロ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】限られたサイズを有しながら、変化する水位に確実に調整することができる誘導電力伝達装置の設計や誘導電力伝達装置及び誘導電力伝達の動作方法を提供する。
【解決手段】水上車両を誘導充電するためのシステム1において、誘導電力伝達装置10は、単一の検出巻線59で構成されるアンテナの形をした物体検出手段58及びターポイント56で互いに接続される第1相線L1、第2相線L2及び第3相線L3を有する一次導体構成54を含む電力伝達部12と、電力伝達部12の移動を可能にするキネマティックユニット14と、キネマティックユニット14が、電力伝達部12がリニアガイド24によって定義された経路28に沿って変位するときに、垂直方向の空間軸(Z方向軸)に沿った電力伝達部12の位置が変更されるように方向付けられたリニアガイド24と、電力伝達部12と接続するケーブル20と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水上車両(60)に誘導電力を伝達するための誘導電力伝達装置(10)であって、
一次導体構成(54)を含む電力伝達部(12)と、
前記電力伝達部(12)の移動を可能にするキネマティックユニット(14)と、を備え、
前記キネマティックユニット(14)が、前記電力伝達部(12)がリニアガイド(24)によって定義された経路(28)に沿って変位するときに、垂直方向の空間軸(Z)に沿った前記電力伝達部(12)の位置が変更されるように方向付けられたリニアガイド(24)を備えており、
前記キネマティックユニット(14)は、少なくとも1つの水平方向の空間軸(X、Y)に沿って前記電力伝達部(12)の移動を可能にする折り畳み式アーム(15)を更に備えており、
前記リニアガイド(24)は、細長い案内部材(22)と、当該案内部材(22)に沿って変位可能な少なくとも1つの変位可能な部材(26)とを備えており、かつ、
誘導電力伝達装置(10)が、水域に浮くように構成された浮遊性部材を更に備え、前記浮遊性部材が前記変位可能な部材(26)に結合されていることを特徴とする誘導電力伝達装置。
【請求項2】
一次導体構成(54)が非水平な空間平面に延びていることを特徴とする請求項1に記載の誘導電力伝達装置。
【請求項3】
少なくとも水平空間平面に対するリニアガイド(24)の向きが、固定可能又は固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の誘導電力伝達装置。
【請求項4】
前記リニアガイド(24)が、水平空間平面に対して70°~110°の間の角度で延びていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の誘導電力伝達装置。
【請求項5】
前記折り畳み式アーム(15)は、互いに離間して配置された少なくとも2つの回転ジョイント(40、48、52)を備えていることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の誘導電力伝達装置。
【請求項6】
前記回転ジョイント(40、48、52)の少なくとも1つの回転軸が、リニアガイド(24)に対して実質的に平行に、及び/又は、水平空間平面に対して、斜め方向に延びていることを特徴とする請求項5に記載の誘導電力伝達装置。
【請求項7】
キネマティックユニット(14)を周囲に結合するための保持構造体(16)を更に備えていることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の誘導電力伝達装置。
【請求項8】
電力伝達部(12)の少なくとも1つの外面が、保護層(61)を有する少なくとも1つの領域を備えていることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の誘導電力伝達装置。
【請求項9】
前記リニアガイド(24)に沿って前記電力伝達部(12)の位置を設定するためのアクチュエータ(51)を更に備えることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の誘導電力伝達装置。
【請求項10】
前記変位可能な部材(26)が、少なくとも2つのサブ部材(52´´、54´)を有し、前記アクチュエータ(51)が、前記サブ部材間の距離を可変可能に構成されていることを特徴とする請求項9に記載の誘導電力伝達装置。
【請求項11】
水上車両(60)を誘導充電するためのシステム(1)であって、請求項1~10のいずれか一項に記載の誘導電力伝達装置(10)が、周囲に固定されていることを特徴とする水上車両を誘導充電するためのシステム。
【請求項12】
誘導電力伝達装置(10)の動作方法であって、
前記誘導電力伝達装置(10)は、水上車両(60)に誘導電力を伝達するように構成されており、
前記誘導電力伝達装置(10)は、一次導体構成(54)を含む電力伝達部(12)と、電力伝達部(12)の移動を可能にするキネマティックユニット(14)と、を備えており、
前記キネマティックユニット(14)が、リニアガイド(24)を備えており、当該キネマティックユニット(14)は、少なくとも1つの水平方向の空間軸(X、Y)に沿って電力伝達部(12)の移動を可能にする折り畳み式アーム(15)を更に備えており、
前記リニアガイド(24)が、細長い案内部材(22)と、当該案内部材(22)に沿って変位可能な少なくとも1つの変位可能な部材(26)とを備えており、かつ、
前記誘導電力伝達装置(10)が、水域に浮くように構成された浮遊性部材(60´)を更に備えており、当該浮遊性部材(60´)が、前記変位可能な部材(26)に結合されており、
前記誘導電力伝達装置(10)の動作方法が、下記ステップ(1)及び(2)を含むことを特徴とする誘導電力伝達装置の動作方法。
(1)電力伝達部(12)をリニアガイド(24)によって定義された経路(28)に沿って移動させ、それによって垂直方向の空間軸(Z)に沿って電力伝達部(12)の位置を変化させるステップ
(2)キネマティックユニット(14)の折り畳み式アーム(15)の動作により、水平方向の空間軸(X、Y)に沿って電力伝達部(12)の位置を変化させるステップ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導電力伝達装置(以下、電力伝達デバイスや電力伝達装置と称する場合がある。)、そのような誘導電力伝達装置を用いてなる、水上車両を誘導充電するためのシステム、及びそのような誘導電力伝達装置の動作方法に関する。
より具体的には、本発明の誘導電力伝達装置は、水上車両が電気的に推進されるか、言い換えれば、電気的に誘導充電されて駆動されるために使用される。
更に、誘導電力伝達装置は、水上車両を電気的に推進するために使用可能な電気エネルギーを提供するために使用される。
なお、伝達された電気エネルギーは、追加的又は代替的に、推進以外の異なる目的、例えば、水上車両のオンボード電気システムの動作にも使用することが好ましい。
【背景技術】
【0002】
電気自動車や、ボート、船、又は海洋船舶等の水に浮かぶ乗り物である水上車両は、一般的に、誘導電力伝達によって伝達可能な電気エネルギーによって推進する。
このような水上車両は、水上車両の推進システム又は推進システムの一部であることができる回路構成を含んでおり、交流電磁界を受信し、電磁誘導によって交流電流を生成するように適合された受信装置を含む回路構成を備えていることが好ましい。
更に、このような水上車両は、交流(AC)を直流(DC)に変換するように適合された整流器を備えていることが好ましい。直流は、バッテリーを充電するため、又は電気機械を作動させるために使用することが好ましい。後者の場合、直流はインバータによって交流に変換されることが好ましい。
【0003】
一般的に、誘導電力の伝達は、それぞれが巻線に形成されるか、又は一般的に電気導体の特定の形状、コース、又はパスに形成される可能性のある、例えば三相一次導体構成のセットを使用して行われる。
ここで、一次導体構成としての第1のセットは、周囲に設置され、いわゆるウェイサイド・パワー・コンバータ(Wayside power converter)によって供給されることが好ましい。
かかる一次導体構成及び/又はウェイサイド・パワー・コンバータは、通常は静止したままの、いわゆる一次ユニットの一部であることが好ましく、可動部を備えていることがより好ましい。
又、二次導体構成としての第2のセットは、水上車両に設置されていることが好ましい。
かかる第2のセットは、一般的に二次側であり、しばしばピックアップ構成又は受信機と呼ばれる。
第1のセットである一次導体構成、及び第2のセットである二次導体構成は、電気エネルギーを水上車両に伝達するための高周波トランスを形成することが好ましい。
これは、推進システムによる水上車両の動きがない静的な状態でも、動的な状態でも行うことができる。
【0004】
一次導体構成を利用して、道路や軌道を走る車両(以下、非水上車両と称する場合がある。)を誘導的に充電するソリューションは数多く存在する。
これらのケースでは、非水上車両、例えば、特定の自動車、列車、又はトラックのモデルと、電力伝達デバイスの相対的な位置が、あらかじめ定義された一定の範囲内に収まっていることが妥当である。
これは特に、垂直方向の空間軸に沿った相対的な位置に関するものであり、空間軸は、重力の方向に沿って延び、それとは反対方向に向いている。この空間軸に沿って、相対的な位置は、実質的に一定であり、移動不可能な道路又はトラックの表面によって定義される。
【0005】
ここで、水に浮かぶ乗り物である水上車両、例えば、船やボート等の場合、この仮定は特定の状況下でのみ成立する。例えば、水上車両が浮かんでいる水位が実質的に一定であることが必要である。
しかしながら、潮汐による水位の変化がある水域では、この仮定は成り立たない。このようなケースでは、道路や軌道に沿った車両の誘導充電のためのソリューションは、非効率的であるか、あるいは使用不可能であることが判明している。
【0006】
特許文献1によれば、斜めに延びる格納式作業アームと、油圧又は空圧シリンダによって船に対して移動可能な誘導電力伝達装置を有する海洋アプリケーション用の誘導充電装置を開示している。
かかる誘導電力伝達装置の高さは、例えば、異なる水位に対応するためであるが、格納式アームの長さを変えることと、追加の油圧又は空圧シリンダを作動させることによって共同で調整する必要がある。
そのため、可動部品やアクチュエータの数は比較的多くなる。その結果、構造が複雑になり、操作が難しく、スペース効率も悪くなるという問題がある。
又、その構成の複雑さと大きさのために、所望の信頼性を得ることが難しく、製造コスト等も高くなるという問題もある。
【0007】
従って、本発明の目的は、信頼性が高く、コストやスペースを抑えた構造を維持しつつ、特に、水位の変化に対応して、水上車両に誘導電力を伝達することができる誘導電力伝達装置、そのような誘導電力伝達装置を用いてなる、水上車両を誘導充電するためのシステム、及びそのような誘導電力伝達装置の動作方法を提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO2017/125153 A1(特許請求の範囲等)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的や課題は、明細書に添付されている独立請求項に記載の誘導電力伝達装置や誘導電力伝達の動作方法によって達成し、解決される。
又、有利な効果を発揮する本発明の好適実施形態は、従属請求項の誘導電力伝達装置や誘導電力伝達の動作方法で定義されている。
更に、本明細書の導入部で言及された特徴は、言及されていない場合や他に明らかな場合であっても、個別に又はそれらの任意の組み合わせで、現在開示されている解決策にも提供することができる。
本発明によれば、一般的に、限られたサイズを有しながら、変化する水位に確実に調整することができる誘導電力伝達装置の設計や誘導電力伝達装置自体を提供することができる。
具体的には、一次導体構成を構成する電力伝達部の垂直方向の空間的位置(又は高さ)を変更するために、電力伝達部が移動可能であるリニアガイドを提供することができる。
かかるリニアガイド、別の言い方をすれば、直動ガイドは、例えば、垂直方向の空間軸に沿って方向付けられていることが好ましく、水平方向の空間平面に対して概ね斜めに方向付けられるように、配置されていることがより好ましい。
更に、リニアガイドの方向及び/又は位置は、固定されていることが好ましい。従って、リニアガイドは、コンパクトなサイズを維持しながら、必要な動き、すなわち、垂直方向の高さ調整を提供するように、直接方向付けられていることが好ましい。
更に、垂直方向の高さ調整と、水上車両への移動や水上車両からの離脱等の追加的に必要な動作とは、少なくとも部分的に、個々のキネマティック部材、すなわち、幾何学的に動作する、個々の関節又はガイドによって切り離され、かつ提供されていることが好ましい。
これにより、必要な動作に関して、少なくとも部分的に機能を分離することができ、誘導電力伝達装置における全体構造を簡素化することができる。
【0010】
すなわち、このように提案された電力伝達装置は、コンパクトでシンプルな構造として提案することができる。
そのため、広々とした複雑な基礎を必要とせず、簡単に設置することができる。又、岸壁や桟橋等の既存の係留場所に簡単に設置することができる。
その上、誘導電力伝達装置は、一般的に、大部分又は完全に受動的なシステムとして設計され、所望の動作を生成するためのいかなる又は限られた数(例えば、1つ)のアクチュエータを備えていないことになる。
これにより、誘導電力伝達装置としての、構成の複雑さとコストが更に低下し、油圧作動液等や潤滑油の必要性もなくなり、それらが、海洋進出した場合の汚染リスクも相当少なくなる。
【0011】
特許文献1では、これとは逆に、水位の変化に応じて、水平面に対する格納式アームによって、可能な角度の大きな範囲が発生する可能性がある。
従って、力は、それぞれ大きな範囲の可能な角度の下で、アームを介して残りの構造体に伝達される。そのため、構造物の内部の力の分布も広範囲に及ぶ可能性があり、これに対応するためには、大規模で複雑な、特に強度の高い設計が必要となる。
更に、一次導体構成からなる電力伝達部の高さを変更するためには、特許文献1に記載された格納式アームと、それに取り付けられた空気圧又は油圧シリンダとを協調して操作する必要がある。その結果、そのような操作が、更に極めて困難な構成となっている。
【0012】
よって、本発明によれば、水上車両に誘導電力を伝達するための誘導電力伝達装置が提案され、下記構成を有することを特徴としている。
すなわち、一次導体構成を含む電力伝達部と、電力伝達部を、例えば、水面や電力を伝達すべき車両へと移動させるためのキネマティックユニットと、当該キネマティックユニットが、所定のリニアガイドと、を備えることを特徴とする。
そこで、キネマティックユニットが、電力伝達部がリニアガイドによって定義された経路に沿って変位するときに、重力方向に沿った垂直方向の空間軸であって、当該垂直方向の空間軸に沿った電力伝達部の位置が変更されるように方向付けられたリニアガイドを備えることを特徴とする。
又、キネマティックユニットは、少なくとも1つの水平方向の空間軸X、Yに沿って電力伝達部の移動を可能にする折り畳み式アームを更に備えていることを特徴とする。
又、リニアガイドは、細長い案内部材と、当該案内部材に沿って変位可能な少なくとも1つの変位可能な部材(以下、スリーブ部材と称する場合がある。)とを備えており、かつ、誘導電力伝達装置が、水域に浮くように構成された浮遊性部材を更に備え、浮遊性部材が変位可能な部材に結合されていることを特徴とする。
【0013】
一方、船舶、ボート、海洋船舶等の水上車両は、少なくとも誘導電力の伝達中は水に浸かっていることが好ましい。そして、伝達された電気エネルギーは、例えば回転可能なプロペラやポンプジェットからなる車両の電気推進システムに使用することが好ましい。
従って、追加的又は代替的に、本発明によって、伝達された電気エネルギーは、推進システム以外の水上車両のオンボード電気システムに使用されることも好ましい。
【0014】
又、誘導電力伝達装置は、一般的に、誘導電力伝達システムの一次ユニットの一部であることが好ましい。そして、誘導電力伝達装置は、一般的には固定されているが、例えばキネマティックユニットのような可動部材を備えていることが好ましい。
なお、本明細書で使用する「部材」という用語は、複数部品の部材と単一部品の部材の両方に関するものであり、それぞれの部材を形成する複数の部品の集合体も対象となる。
【0015】
又、電力伝達部は、板状部材又はパネルとして構成されていることが好ましい。
例えば、電力伝達部は、特に板状部材又はパネルとして構成されている場合、一次導体構成が形成されている平面と一致するか、又は平行に延びる平面を定義していることが好ましい。
そして、かかる一次導体構成によれば、一次導体構成に通電又は動作電流が供給されると、交流に起因した磁界を生成するように構成されており、この磁界によって水上車両への誘導電力の伝達が可能になる。
【0016】
又、電力伝達部は、ハウジング、例えば、任意の板状部材又はそのパネルによって形成されるが、当該ハウジングを備えていることが好ましい。
従って、一次導体構成は、ハウジングの内部に収容され、及び/又は、ハウジングに囲まれていることが好ましい。
更に、誘導電力伝達装置は、一次導体構成又はコンバータ等の他の電気要素の電力接続のための少なくとも1つの接続端子を備えていることが好ましい。このような接続端子は、例えば、電力伝達部に形成される。
【0017】
更に、一次導体構成は、複数の相線、例えば3つの相線で構成されていることが好ましい。
これらは一般に、例えば交流内で給電されるときに、誘導電力伝達のための前述の電磁場を生成するように構成することが好ましい。
一次導体構成の少なくとも1つの相線は、蛇行したコースを有することが好ましい。又、一次導体構成の少なくとも1つの相線は、相線のコースが、互いに隣接して配置された偶数又は不均等な数の副巻線を提供するように設計することが好ましい。
この明細書の流れでは、副巻線は、所定の領域を囲む、好ましくは完全な導体ループを示している。このような導体ループは、それぞれの副巻線の1ターン又は複数ターンを提供又は構成することが好ましい。
又、互いに隣接しているとは、副巻線の中心軸、特に対称軸が、例えば一次導体構成の延伸方向に対応することができる共通の直線に沿って、例えば所定の距離を置いて互いに離間していることを意味する。
更に、一次導体構成の少なくとも1つの相線のコースは、8の字形状とすることができる。これは、電気配線としての相線が、互いに隣接して配置された2つの、例えば円形状の副巻線からなることを意味する。
それぞれの相線から一次導体構成を形成するための例は、例えば、GB 2512864 A公報に見出すことができ、本発明に含めることができる。
すなわち、本発明の明細書の流れにおいて、一次導体構成は、GB 2512864 A公報に開示された例のいずれかに従って形成されていることが好ましい。
又、一次導体構成と相互作用するものとして、GB 2512864 A公報に開示された要素のいずれかが、本明細書に開示された誘導電力伝達装置によって省略されてもよい。
【0018】
1例ではあるが、少なくとも1つ又は好ましくは全ての相線が、ケーブル軸受要素によって所定の位置に保持され、ケーブル軸受要素は、好ましくはプラスチックモールドとして形成されることが好ましい。
【0019】
更に、誘導電力伝達装置、特に電力伝達部は、磁束を誘導するための少なくとも1つの誘導手段を備えていることが好ましい。
特に、電力伝達デバイスは、フェライト構成を含むことが好ましく、フェライト構成は、例えば、フェライトバー、ストリップ又はスラブ等の1つ又は複数のフェライト要素を含むことが好ましい。
又、誘導手段として、ガイド手段を、生成された電磁場の磁束を所望の経路に沿って誘導するために使用することが好ましい。
【0020】
誘導手段は、誘導電力伝達装置、特に電力伝達部の内部にある磁性層によって形成されるか、又は磁性層で構成されることも好ましい。従って、当該磁性層は、例えば、フェライトストリップのフェライトバーを備えていることが好ましい。
そして、かかる磁性層は、好ましくはアルミニウム等の非磁性金属材料で形成された、フェライト素子が内部等に配置された剛性プレートを更に含んでいることが好ましい。
更に、かかる磁性層は、電力伝達部の安定化機能を提供し、例えば、数ミリメートル又は数センチメートルの厚さで設計されていることが好ましい。
【0021】
誘導電力伝達装置は、例えば、電力伝達部に向かって誘導され、接続されるケーブルを含んでいることが好ましい。
このようなケーブルは、例えば、ケーブルローラーやドラムに選択的に巻き付けられたり、取り外されたりすることで、可変の直線長さを有していることが好ましい。
【0022】
更に、或いは、電力伝達部の可能な動きの制限を避けるために、ケーブルに定義された緩みを与えることも好ましい。
そして、ケーブルの少なくとも一部分は、保護スリーブ又はチューブで囲まれていることが好ましく、これらはいずれも柔軟性及び/又は弾性及び/又は防水性を有することが好ましい。
ケーブルのこれらの部分は、キネマティックユニットの中空部材等、誘導電力伝達装置の部材を介して案内され、その結果、遮蔽されていることが好ましい。
又、保護スリーブ又はチューブは、異なる層で構成されていても好ましく、その場合、1つの層は、好ましくはアルミニウム等の非磁性金属材料で形成されたシールドであってもよい。
ピラー、ボラード、ポスト、又はカラム等、後述するキネマティックユニットの保持構造体が設けられている場合には、ケーブルは、当該保持構造体の少なくとも一部を介して案内され、好ましくはシールドされてもよい。
【0023】
又、誘導電力伝達装置、特に電力伝達部は、少なくとも特定の実施形態では、アンテナと呼ばれることがある、少なくとも1つの物体検出手段を備えていることが好ましい。
かかる物体検出手段は、電力伝達パッドの充電ボリュームの内部の異物、特に金属物体を検出するシステムであることが好ましい。
又、その代わりに、或いは追加で、物体検出手段は、充電ボリューム(充電容積と称する場合もある、)の内部の移動物を検出するシステムであることも好ましい。
このような充電ボリュームは、一次導体構成によって生成された電磁場の少なくとも所定の部分であるが、例えば、80%延びる充電ボリュームを示すことが好ましい。従って、90%延びる充電ボリュームを示すことがより好ましく、95%延びる充電ボリュームを示すことが更に好ましい。
又、充電ボリュームは、一次導体構成によって生成された全電磁場が延びる容積を示すことができる。従って、充電ボリュームは、一次導体構成の前など、電力伝達部の前の容積を示すことができる。
そして、充電面は、充電ボリュームの底面とすることが好ましい。特に、充電面は、電力伝達部の前面とすることが好ましい。
【0024】
又、物体検出手段は、少なくとも1つの誘導検出システムを含むことが好ましく、かかる誘導検出システムによって、能動的又は受動的な検出を行うことができる。
それぞれの場合において、誘導検出システムは、1つ又は複数の検出巻線を含むことが好ましい。
又、複数の検出巻線は、アレイ構造に配置することが好ましく、当該アレイ構造は、電力伝達部の充電面を覆うことが好ましい。
又、能動的な検出(以下、アクティブ検出と称する場合がある。)の場合、1つ又は複数の励磁巻線を使用することが好ましい。能動的な物体検出は、励磁巻線によって生成される励磁場の特性を監視することによって行うことが好ましい。
受動的な検出、すなわち、以下、パッシブ検出と称する場合、1つ又は複数のパッシブ巻線のみが使用される。
ここで、受動的な物体検出については、受動巻線の特性、特にインダクタンスを監視することによって行うことが好ましい。このような誘導検出システムは、GB 2508923 A公報、又はGB 2517679 A公報に開示されており、そのような開示内容を本発明に含めることができる。
又、本発明の明細書において、検出システムは、参照により本明細書に組み込まれるGB 2508923 A公報、又はGB 2517679 A公報に記載されている実施形態のいずれかに従って設計することも好ましい。
【0025】
前述のように、垂直軸は、重力の軸と一致していることが好ましく、更に水平空間平面の法線から離れていることが好ましい。すなわち、それと直交して延びていていることが好ましく、水平空間平面は、少なくとも1つの水平空間軸を含んでいる。
又、水平空間平面は、少なくとも水面に波がない場合には、水面に平行に構成されているか、或いは、水面に沿って延出されていることが好ましい。そして、言及されていないか、或いは他に明らかな場合には、言うまでもなく、垂直及び水平という用語は、それぞれ上述の垂直軸及び水平軸に関するものである。
【0026】
一次導体構成の導体、例えば、電気配線としての位相線の形態は、同一の、隣接する、又は平行な空間平面に形成されていることが好ましい。従って、例えば、互いに積み重ねられる場合、平面の各々は、好ましくは非水平である。
導体構成が延びる平面は、これらの空間平面のうちの1つを備えていることが好ましく、平面のうちの少なくとも2つの間に延びる中央の平面として定義されていることが好ましい。
【0027】
一般的に、一次導体構成によって生成された磁束の方向は、電力伝達部、特にそのパネル又は板状部材に対して斜めに、例えば、実質的に直交して、延びていることが好ましい。
一例では、かかる磁束の方向は、実質的に水平に延びる。又、磁束の方向は、導体構成の平面に対して実質的に直交して延びていることが好ましい。
又、かかる磁束の方向は、一次導体構成の平面内に延びる、及び/又は、一次導体構成によって少なくとも部分的に囲まれる磁界の部分、すなわち、一次導体構成のループ又は蛇行部を通って直交して延びる部分に関するものであることが好ましい。
【0028】
一次導体構成が、非水平な空間平面に延びていることが好ましい。別の言い方をすれば、導体構成のループ又は蛇行部は、少なくとも1つの非水平面に形成されていることが好ましい。
【0029】
一般的に、一次導体構成及び/又はその単一ループ又は蛇行部は、電力伝達部の平面に対して実質的に平行に、例えば、電力伝達部の前面に対して実質的に平行に延びていることが好ましい。
又、前面は、電力が誘導的に伝達されるべき水上車両に面するように配置されていることが好ましい。別な言い方をすれば、一次導体構成及び/又はその単一のループ又は巻線の平面、すなわち、そのループ又は巻線の少なくとも1つが形成されている平面は、電力が誘導伝達されるべき水上車両に面するように配置されていることが好ましい。
【0030】
又、キネマティックユニットは、一般に、少なくとも1つのリニアジョイント又は軸(例えば、リニアガイドの形態)及び/又は少なくとも1つの回転ジョイント又は軸(例えば、隣接するアームセグメントを回転可能に接続する回転ジョイントの形態)を備えていることが好ましい。
かかるキネマティックユニットは、特に周囲及び/又は水上車両に対して、電力伝達部の位置及び/又は向きを調整することが好ましい。すなわち、キネマティックユニットにより、電力伝達部は、デカルト空間座標系の少なくとも2つの空間軸、好ましくは3つの空間軸に沿って移動することが好ましい。
更に、キネマティックユニットは、空間軸のうちの少なくとも1つ、好ましくは2つ又は3つの空間軸を中心とした電力伝達部の回転運動を可能にすることが好ましい。
従って、キネマティックユニットは、そのジョイント及び/又は軸を介して、特定の自由度を提供することによって、又は、別の言い方をすれば、電力伝達部を例えば保持構造体に変位可能に接続することによって、運動を可能にすることが理解される。
しかしながら、キネマティックユニットは、オプションとして、キネマティックユニットの軸又は関節の少なくとも1つについて実際に動作を行うためのアクチュエータ、例えば、高さ調整を行うために動作可能なアクチュエータを含むことが好ましい。
又、リニアガイドは、垂直方向の空間軸に沿って電力伝達部の高さを設定するためのキネマティックユニットの唯一の手段であることも好ましい。
【0031】
又、キネマティックユニットは、壁、ボラード、ピラー等の周囲の環境に固定可能な第1の部分を含んでいることが好ましい。
更に、又は代わりに、キネマティックユニットは、電力伝達部が取り付け可能な第2の部分を備えていることが好ましく、第1の部分と第2の部分は、好ましくは、キネマティックユニットの反対側の領域に配置される。
全体として、キネマティックユニットは、一般的に、電力伝達部と、誘導電力伝達装置が取り付けられる周囲又は周辺構造物との間で位置決め可能であり、又は配置されることが好ましい。
【0032】
一例では、キネマティックユニットは、保持構造体に取り付けられるように構成されており、当該構造体は、例えば、少なくとも1つのピラー、ポスト、ボラード、又はカラムの少なくとも一部を備えていることが好ましい。
そして、誘導電力伝達装置は、それぞれの保持構造体を備えていることが好ましい。保持構造体は、好ましくは静止しており、例えば、水中又は水中の所定の位置に固定されていることが好ましい。
一般的に、保持構造体は、水位の上に延びる直立部材を備えていることが好ましく、キネマティックユニットは、水位の上の位置で保持構造体の一部に固定されていることが好ましい。
【0033】
本発明の誘導電力伝達装置及びその動作方法の一実施形態によれば、リニアガイドは、保持構造体によって少なくとも部分的に形成されることが好ましい。
例えば、かかるリニアガイドは、案内部材と、当該案内部材に沿って変位可能なスリーブ等の変位可能な部材と、を備えていることが好ましい。
そして、かかる案内部材は、例えば、それぞれの柱、ポスト、又はピラーの一部分として、保持構造体の一部分によって形成されていることが好ましい。
要約すると、保持構造体は、キネマティックユニットとは別の部材として形成されていることが好ましい。
しかしながら、案内部材として機能するその少なくとも一部が、キネマティックユニットの一部を形成していることは好ましいと言える。
【0034】
一般的に、リニアガイドは、案内部材と、静止した案内部材に対して直線的に変位可能な変位部材と、を備えていることが好ましい。
なお、本明細書では、直線という用語は、定義された線に沿って、好ましくは真っ直ぐな、あるいは代わりに湾曲した、あるいは曲がったコースを有する直線状である線状の、あるいは一次元の特徴を意味する。
又、変位可能な部材は、案内部材によって定義された直線(変位)経路に沿った各位置において、案内部材によって支持されていることが好ましく、各位置において完全に、例えば、その全長に沿って及び/又は同程度に支持されていることがより好ましい。
一般的に、変位可能な動作方法は、案内部材によって定義された溝又はレールに受け入れられることが好ましく、及び/又は、非片持ち梁又は非伸縮性の方法で案内部材によって支持されていることが好ましい。
【0035】
この変位可能な部材には、後述する折り畳み式アームや電力伝達部等、キネマティックユニットの更なる部材が直接又は間接的に結合されていることが好ましい。
又、変位可能な部材は、一般に、案内部材に沿って、又は案内部材の内部で、スライド、スリップ、又はロールすることが好ましい。
上述したように、案内部材は、カラム、ポスト、又はピラーの一部分として構成されていることも好ましい。あるいは、案内部材は、レール、細長いプロファイル、溝、トラック、又は一般的に細長い部材として構成されていることが好ましい。
又、案内部材によって定義される経路は、直線経路であることが好ましく、案内部材の長手方向軸に沿って延びていることが好ましく、長手方向軸は、一般に案内部材の最長寸法に沿って延びていることが好ましい。
リニアガイドの向き、及び/又は一般的な向きと、直線経路又は変位のコースは、案内部材によって定義されていることが好ましい。
直線ガイドによって定義される直線経路は、好ましくは直線であって、すなわち、曲がっていない、及び/又は、角度や曲がりのない。一般的に、経路は、垂直な空間軸に沿って延びていることが好ましい。
【0036】
直線経路に沿った電力伝達部の変位とは、リニアガイドの少なくとも案内部材に沿って、伝達部の位置及び/又は方向を変更する可能性を指すこともある。
しかしながら、電力伝達部を変位させるために必要な力は、電力伝達部と同様にリニアガイドとは独立して、例えば、別個のアクチュエータを用いたり、手で行ったりすることが好ましい。
従って、リニアガイドには、変位可能な部材に直接作用する、従来のアクチュエータがないことが好ましく、例えば、油圧アクチュエータや空気圧アクチュエータを省略することが好ましい。
代わりに、そのようなアクチュエータは、電力伝達部又はキネマティックユニットの他の部材に作用し、それにより、リニアガイドの変位可能な部材に移動のための力を間接的に伝達することが好ましい。
【0037】
電力伝達部の変位は、電力伝達部をリニアガイドに直接、例えば、その変位可能な部材に連結することによって、又は、電力伝達部をリニアガイドに間接的に、例えば、後述する折り畳み式アームのように、その間に配置されたキネマティックユニットの更なる部材を介して、連結することによって達成されることが好ましい。
一例では、リニアガイドに沿って移動する際の電力伝達部の移動経路は、当該リニアガイドによって定義された経路と一致するか、又はそれと平行に延びていることが好ましく、例えば、同様に直線的であることが好ましい。
従って、かかる移動経路は、実質的に直線及び/又は非曲線であることが好ましく、垂直な空間軸に沿って延びることがより好ましい。
【0038】
一例では、キネマティックユニット及び/又は全体的な誘導電力伝達装置には、垂直方向の空間軸、例えば、重力方向に沿った電力伝達部の実質的な変位、例えば、数cm、或いは、少なくとも30cmの変位を可能にする任意部材がないことが好ましい。
言い換えれば、リニアガイドは、キネマティックユニット及び/又は誘導電力伝達装置の内部において、唯一の垂直案内部材であることが好ましい。
【0039】
上述したように、リニアガイド、特に、そのリニアガイドの案内部材の向きは、電力伝達部が垂直な空間軸に沿って変位可能であるように選択されることが好ましい。
このようにして、水面及び/又は電力が伝達されるべき車両に対する電力伝達部の高さを変更することができ、そうすることによって、水位の変化を補償することができる。
有利なことに、電力伝達部をリニアガイドに沿って移動させることで、複数の格納式アーム及びシリンダ等の多数のアクチュエータを調整することなく達成することができる。
又、垂直方向の高さ調整のための専用のキネマティック部材をリニアガイドの形で提供することにより、当該部材は、この特定の目的及び高さ調整に関連して発生する力に対して最適化されることが好ましい。
【0040】
本発明の誘導電力伝達装置及びその動作方法の更なる実施形態によれば、少なくとも水平空間平面に対するリニアガイドの向きが、固定可能又は固定されていることが好ましい。
具体的には、幾何学的に動作するキネマティックユニットは、少なくとも水平空間平面に対するリニアガイド及び/又はその経路の向きが固定可能又は固定され、すなわち、一定のままで構成されていることが好ましい。
そのために、リニアガイドの案内部材は、誘導電力伝達装置の内部で一般的に静止及び/又は固定的に配置されていることが好ましい。
更に好ましくは、リニアガイドの位置及び/又はその直線経路の位置についても固定可能又は固定されていることが好ましい。
このようにして、装置全体の内部の力の分布、特に、ガイドレールにかかる力、及び/又はそこから隣接する部材にかかる力の向きを、より予測可能で狭い範囲に保つことが好ましい。これにより、全体の設計を単純化することができ、それによってコストを節約し、この複雑さを低減することができる。
【0041】
前述のように、リニアガイドは、細長い案内部材と、当該案内部材に沿って変位可能な変位部材とを備えており、案内部材は好ましくは非伸縮性である。
具体的には、リニアガイドは、可変でない長さ及び/又は概ね可変でない寸法を有する剛性部材として形成されていることが好ましい。これは、リニアガイドとしての変位に関する信頼性を高め、全体的な設計を簡素化するのに役立つためである。
【0042】
又、本発明の誘導電力伝達装置及びその動作方法の更なる発展形として、リニアガイドが、水平空間平面に対して70°~110°の間の角度で延びていることが好ましい。
具体的には、リニアガイド及び/又はそれによって定義される直線経路は、水平空間平面に対して70°~110°の間の角度をなすように垂直方向の空間軸に沿って、延びることが好ましい。
より好ましくは80°~100°の間、更に好ましくは、85°~95°の間、その上好ましいのは、実質的に90°の角度をなすように、垂直方向の空間軸に沿って、延びることが好ましい。
従って、電力伝達部をリニアガイドに沿って移動させることで、その高さ、すなわち、垂直方向の空間軸に沿った位置を直接設定することが好ましい。これは、装置全体の操作性及び構造を単純化するという点で有益である。
【0043】
本発明の誘導電力伝達装置及びその動作方法の更なる例によれば、キネマティックユニットは、少なくとも1つの水平空間軸に沿って電力伝達部の移動を可能にする折り畳み式アームを更に備えている。
従って、折り畳み式アームは、電力伝達部と、電力が伝達されるべき車両との間の(水平)距離を調整するように構成されていることが好ましい。
かかる折り畳み式アームは、アームのセグメントを連結する少なくとも1つのジョイントを備え、これらを互いに遠ざけたりすることで、アームを広げたり、折り畳んだりすることができるようになっていることが好ましい。
又、折り畳み式アームは、リニアガイドに、連結されていることが好ましく、直接連結されていることがより好ましい。又、例えば、リニアガイドの変位可能な部材に直接連結されていることも好ましい。
更に、或いは代わりに、折り畳み式アームは、電力伝達部に結合、より好ましくは直接結合されていることが好ましい。そのために、折り畳み式アームは、反対側の端部に接続部を備えていることが好ましい。
【0044】
又、本発明の電力伝達装置及びその動作方法の一例では、折り畳み式アームは、異なるアームセグメントを互いに連結する1つのセントラル回転ジョイント(以下、セントラルリニアジョイント、単に、回転ジョイント、又はジョイントと称する場合がある。)を備えており、これらを互いに遠ざけたりすることで、アームを広げりたり、折り畳んだりすることが好ましい。
回転ジョイントの回転軸は、垂直方向の空間軸である、リニアガイド及び/又はそれによって定義される経路の少なくとも1つに沿って延びていることが好ましい。これにより、電力伝達装置等のコンパクトな構造を実現することができる。
【0045】
更なる本発明の実施形態によれば、折り畳み式アームは、互いに離間して配置された少なくとも2つの回転ジョイントを備えていることが好ましい。
具体的には、折り畳み式アームは、互いに離間して、例えば、水平方向に互いに離間して配置された少なくとも2つの回転ジョイントを備えていることが好ましく、少なくとも3つの回転ジョイントを備えていることがより好ましい。
又、回転ジョイントは、同じ高さレベルに配置されていることが好ましく、水平方向の空間平面内で互いに離間していることが好ましい。
更に、回転ジョイントは、折り畳み式アームのアームセグメントによって互いに接続されていることが好ましい。
従って、回転ジョイントの1つは、上述したセントラル回転ジョイントであることが好ましい。少なくとも1つの他の回転ジョイントは、アームセグメントの端部に設けられていることが好ましく、当該端部はセントラル回転ジョイントとは反対側を向いている。
又、端部及び/又はそこに設けられた回転ジョイントは、折り畳み式アームを、リニアガイドや電力伝達部等の更なる部材に接続するために使用されていることが好ましい。
【0046】
一例では、折り畳み式アームは、折り畳み式アームの2つのアームセグメントを接続する上述のセントラル回転ジョイントを備えており、セントラル回転ジョイントから離れる方向を向いたアームセグメントの各端部には、更なる回転ジョイントが設けられている。
具体的には、アームセグメントの端部に設けられた回転ジョイントの一方は、折り畳み式アームをリニアガイドに連結、例えば直接連結するために使用され、他方は、折り畳み式アームを電力伝達部に連結、例えば直接連結するために使用されることが好ましい。
【0047】
又、各回転ジョイントは、少なくとも1つの回転軸を定義することが好ましい。
特に、上述のセントラル回転ジョイント及び/又はリニアガイドに結合するための回転ジョイントは、1つの回転軸のみを定義することが好ましい。
一方、電力伝達部に結合するための回転ジョイントは、好ましくは互いに角度をなして、例えば、互いに直交して延びる少なくとも2つの回転軸を定義することが好ましい。このようにして、車両に対する電力伝達部の向きを調整するために、より多くの自由度が提供される。
【0048】
又、回転ジョイントの少なくとも1つの回転軸が、リニアガイドに対して実質的に平行に、及び/又は、水平空間平面に対して、斜め方向に延びていることが好ましい。
具体的には、複数の回転ジョイントが設けられている場合、各回転ジョイントの少なくとも1つの回転軸は、更なるジョイントの回転軸と平行に延びていることが好ましい。例えば、垂直方向の空間軸である、リニアガイド及び/又はそれによって定義される直線経路と、平行に延びていることが好ましい。各回転ジョイントの少なくとも1つの回転軸は、水平な空間平面に対して、斜め方向に延びていることが好ましい。
【0049】
又、折り畳み式アーム、特にその1つ以上の回転ジョイントは、そのジョイントの回転軸の特定の方向性とともに、電力伝達部を所望の方法で確実に動かすためのコンパクトな構造を提供するものである。
具体的には、折り畳み式アームは、電力伝達部を例えば水平方向の空間軸に沿って移動させるための別個のキネマティック部材を提供することが好ましい。
このようにして、電力伝達部の垂直方向の移動及び水平方向の移動は、リニアガイドの垂直方向の移動及び折り畳み式アームによる水平方向の移動の形をしたキネマティックユニットの個々のキネマティック部材によって実現することが好ましい。
従って、これらのキネマティック部材は、それぞれの特定の動きとそれに関連する力に関して最適化することができ、それにより、例えば、信頼性を高めつつ、複雑さとコストを削減することができる。
又、所望の動きを実現するために専用のキネマティック部材を設けることができるので、装置全体の操作性を向上させることができる。従って、例えば、垂直方向や水平方向の動きを実現するために、複数の別々のキネマティック部材を調整する必要がない。
更に、回転式アームの回転ジョイントにより、電力伝達部を車両の異なる向き、例えば、異なる接岸角度に容易に調整することができる。
【0050】
又、本発明の誘導電力伝達装置が、キネマティックユニットを周囲に結合するための保持構造体を更に備えていることが好ましい。
具体的には、前述したように、本発明の電力伝達装置は、キネマティックユニットが配置されていることが好ましく、及び/又はキネマティックユニットを周囲に結合するための保持構造体として、例えば、少なくとも1つのカラム、少なくとも1つのピラー、少なくとも1つのポスト、又は少なくとも1つのボラードの少なくとも一部の形態を備えていることが好ましい。
かかる保持構造体は、一般的に、細長く、及び/又は、垂直な空間軸に沿って延びていることが好ましい。
又、保持構造体は、一般的に、キネマティックユニットを周囲(例えば、海や湖の床や岸壁)に連結する役割を果たすことが好ましい。
そして、リニアガイドは、保持構造体に取り付けられていることが好ましく、ピラー、ポスト、ボラードの上部等、保持構造体の一部によって形成されていることが好ましい。
【0051】
本発明の電力伝達装置及びその動作方法の更なる例によれば、電力伝達部の少なくとも1つの外面が、保護層を有する少なくとも1つの領域を備えていることが好ましい。
具体的には、電力伝達部の少なくとも1つの外面が、保護層を備えた少なくとも1つの領域を含み、当該保護層は、例えば、樹脂、プラスチック、又はゴム材料(例えば、加硫ゴム)のうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。
又、外周面は、電力が伝達されるべき車両に面する前面の形態で提供されていることが好ましい。一例では、すべての外面、好ましくは任意のエッジ部を含むが、それぞれの保護層が設けられていることが好ましい。
但し、この場合、例えば、電力伝達部にキネマティックユニット又はケーブルを接続するために、保護層に凹部又は貫通孔を設けていることが好ましい。
【0052】
本発明の誘導電力伝達装置及びその動作方法の更なる態様では、水域、例えば、誘導電力伝達装置及び/又は誘導充電される車両が、置かれている場所で浮くように構成され、例えば、設計、サイズ及び/又は配置された浮遊性部材が提供される。
かかる浮遊性部材は、変位可能な部材に結合される。浮遊性部材は、例えば、リング状であり、ピラー、カラム、ポストの形態の保持構造体を取り囲んでいることが好ましい。
又、浮遊性部材は、任意の浮遊性材料で形成されていることが好ましい。
更に又、浮遊性部材は、例えば、ロッドやプレート等の剛性の高い機械的要素によって、変位可能な部材に実質的に剛体的に、すなわち、非変形的に結合されていることが好ましい。
又、一般的に、水位の変化に応じた浮遊性部材の垂直方向の高さ調整は、変位可能な部材の、好ましくは電力伝達部の対応する高さ調整に直接変換可能であることが好ましい。
このようにして、例えば潮位の変化に対応するための単純で信頼性の高い構造が提供される。
【0053】
又、リニアガイドに沿って電力伝達部の位置を設定するためのアクチュエータを更に備えることが好ましい。
具体的には、リニアガイドに沿って電力伝達部の位置を設定及び/又は変更するためのアクチュエータを設けることが好ましい。
かかるアクチュエータは、電気的、油圧的、又は空気圧的に駆動され、例えば、少なくとも1つのシリンダで構成されていることが好ましい。
一般的に、アクチュエータは、長さを調整することができる。このようなアクチュエータは、リニアガイドに隣接して設けられ、変位部材に作用することが好ましい。そして、アクチュエータの長手方向の軸は、リニアガイド及び/又はそれによって定義される経路に沿って及び/又は平行に延びていることが好ましい。
【0054】
又、本発明において、変位可能な部材が、少なくとも2つのサブ部材を有し、アクチュエータが、当該サブ部材間の距離を可変可能に構成されていることが好ましい。
具体的には、変位可能な部材は、少なくとも2つの、しかも好ましくはスリーブ状又はリング状のサブ部材から構成されていることが好ましい。
又、アクチュエータは、サブ部材間の距離を設定及び/又は変更させるように構成されていることが好ましい。複数あるサブ部材の1つは、浮遊性部材に結合されていることが好ましい。他方は、例えば、折り畳み式のアームや電力伝達部に結合されていることが好ましい。
又、アクチュエータは、両方のサブ部材の間に配置されていることが好ましい。両方のサブ部材に接続されていることも好ましい。
従って、アクチュエータは、長さを調節することができ、それによって、サブ部材を互いに離したり近づけたりすることができ、それに応じて電力伝達部を動かすことができることが好ましい。このようにして、電力伝達部の高さを変更させるためのコンパクトな構造が、好ましくは1つのアクチュエータで提供される。
【0055】
更に別の本発明は、水上車両に誘導電力を伝達するためのシステム、すなわち、水上車両を誘導充電するためのシステムであって、所定の誘導電力伝達装置が、周囲に対して固定されていることを特徴とした態様である。
すなわち、所定の誘導電力伝達装置は、特許請求の範囲に記載されたいずれか一つの請求項に記載の誘導電力伝達装置に関するものである。
又、所定の誘導電力伝達装置が固定される周囲とは、係留エリア(桟橋、岸壁、堤防、岸壁、着岸台等)、壁(岸壁側壁、岸壁表面等)、床(岸壁床、自然(海等)の床等)、又は周囲に設けられた保持構造体(ボラード、ポスト、ピラー、カラム等)の少なくとも一つを意味し、それによって、所定のシステムが形成されていることが好ましい。
【0056】
更に、本発明の別の態様は、誘導電力伝達装置の動作方法に関するものである。
ここで、かかる誘導電力伝達装置は、水上車両に誘導電力を伝達するように構成されており、誘導電力伝達装置は、一次導体構成を含む電力伝達部と、電力伝達部の移動を可能にするキネマティックユニットと、を備えている。そして、キネマティックユニットが、リニアガイドを備えている。
従って、かかるキネマティックユニットは、少なくとも1つの水平空間軸に沿って電力伝達部の移動を可能にする折り畳み式アームを更に備えており、リニアガイドが、細長い案内部材と、当該案内部材に沿って変位可能な少なくとも1つの変位可能な部材とを備えている。
その上、誘導電力伝達装置が、水域に浮くように構成された浮遊性部材を更に備えており、浮遊性部材が、変位可能な部材に結合されていることを特徴とする。
そして、かかる誘導電力伝達装置の動作方法は、下記ステップ(1)及び(2)を含むことを特徴とする。
(1)電力伝達部をリニアガイドによって定義された経路に沿って移動させ、それによって垂直方向の空間軸に沿って電力伝達部の位置を変化させるステップ
(2)キネマティックユニットの折り畳み式アームの動作により、水平方向の空間軸X、Yに沿って電力伝達部の位置を変化させるステップ
【0057】
すなわち、本発明の誘導電力伝達装置の動作方法は、前述又は後述の相互作用、動作状態、及び機能のいずれかを提供するために、任意の更なるステップ、任意の更なる展開、又は任意の更なる特徴を含んでいることが好ましい。
具体的には、誘導電力伝達装置の特徴に関する前述又は後述の説明及び展開のいずれかが、対応する方法の特徴にも適用されることが好ましい。
一般的に、本発明の動作方法によれば、前述又は後述のいずれかの態様による装置を用いて実現及び/又は実施することができる。
【0058】
よって、例えば、本発明の動作方法によれば、キネマティックユニットの動作として、折り畳み式アームを折り畳んだり、広げたりすることによって、水平方向の空間軸に沿って電力伝達部の位置を変更するステップを更に含んでいることが好ましい。
又、この動作方法は、例えば、キネマティックユニット内に設けられた回転ジョイントによって、電力伝達部の向きを調整するステップを含んでいることが好ましい。
この向きは、好ましくは、互いに角度を付けて、例えば、互いに直交して延びる少なくとも2つの回転軸について調整することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による誘導電力伝達装置の透視図であり、当該誘導電力伝達装置は、本発明による動作方法を実行する構成を示す概略図である。
【
図2】
図2(a)~(c)は、それぞれ異なる接岸角度で、水上車両に電力を伝達するための
図1に記載の誘導電力伝達装置の上面図である。
【
図3】
図3は、本発明による誘導電力伝達装置の代替実施形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0060】
以下では、本発明の一実施形態を、添付の概略図を参照して説明する。その種類及び/又は機能に関して互いに対応する特徴は、図全体を通して同じ参照符号を割り当てることができる。
【0061】
すなわち、
図1において、本発明の一実施形態による誘導電力伝達装置10が開示されている。
かかる誘導電力伝達装置10は、幾何学的動作を行うキネマティックユニット14によって空間の内部の位置及び/又は向きが調整可能な電力伝達部12(以下、パネル式電力伝達部と称する場合がある。)を備えていることが好ましい。
そして、誘導電力伝達装置10は、キネマティックユニット14が取り付けられる保持構造体16を備えていることが好ましい。
又、
図1において、直交座標系が示されており、Z軸が、重力方向に沿った垂直方向の空間軸、すなわち、重力の軸に対応しているが、それとは反対の方向を向いている。そして、Y軸とX軸が、重力方向と交差する水平方向の面内の空間軸に対応している。
【0062】
又、
図1において、水位18が示されている。従って、誘導電力伝達装置10は、部分的に水中に沈んでいる保持構造体16とは別に、水位18の上に配置されている、所定部を有することが好ましい。
従って、電力伝達部12は、電力が伝達されるべき船やボート等の、描かれていない車両の一部に面するように配置されていることが好ましく、所定部分は、伝達された電気エネルギーを受け取るためのピックアップ構成又は受信機を備えていることが好ましい。
なお、かかる所定部分が複数あって、水位18の上において、適切な位置に、等しく配置されることが好ましい。
【0063】
又、
図1から明らかなように、保持構造体16は、中空の柱状物17(以下、単に柱状物と称する場合がある。)の形で提供されることが好ましい。すなわち、かかる中空の柱状物17は、海床等の水域の床に固定されていることが好ましい。
このように、
図1には、誘導電力伝達装置10が、周囲である、海底に固定されている本発明による水上車両を誘導充電するためのシステム1も示されている。
そして、中空の柱状物17のそれぞれの固定部(図示せず)には、電力伝達ケーブルを取り付けるために、電気部品及び/又は電気接続部が設けられていることも好ましい。
又、電気エネルギーを電力伝達部12に伝達するためのケーブル20は、一般的に、
図1に点線で示すように、少なくとも中空の柱状物17の下部を通って案内される構成であることが好ましい。
なお、ケーブル20は、中空の柱状物17の中空部を通って案内されるため、密閉されて環境から遮蔽されることに留意されたい。従って、ケーブル20は、車両に面したその前面から離れた位置、例えば、電力伝達部12の裏側において、当該電力伝達部12に接続されていることが好ましい。
【0064】
又、
図1に図示された誘導電力伝達装置10は、洋上風力発電機の近く等の洋上用途で使用されることが好ましい。
或いは、保持構造体16は、例えば港の岸壁に、例えば、その水平な上面又は垂直な側面に取り付けられることが好ましい。この場合、保持構造体16は、水位18の上に完全に配置されることが好ましい。
【0065】
又、垂直方向の空間軸Zに沿って概して延びる中空の柱状物17は、リニアガイド24の案内部材22として機能する上部分を有することが好ましい。
又、リニアガイド24は、中空の柱状物17に沿って互いに離間して配置され、中空の柱状物17の上部分に沿ってスライドするように構成されたスリーブ部材26(以下、変位可能なスリーブ部材、又は、変位可能な部材と称する場合がある。)の形態の2つの変位可能な部材を更に備えていることが好ましい。
従って、リニアガイド24の経路28、すなわち、移動経路又は変位経路が定義され、これらのスリーブ部材26が変位することができ、当該経路28は同様に直線的であることが好ましい。
そして、
図1から理解されように、直線的な経路28(以下、移動経路、又は直線移動経路と称する場合がある。)は、垂直方向の空間軸Zに沿って延びていることが好ましい(
図1のそれぞれの左端の矢印を参照)。
従って、リニアガイド24は、X軸及びY軸によって定義される水平空間平面に対して直交する、すなわち、90°の角度をなすように方向付けられていることが好ましい。
【0066】
又、スリーブ部材26の間の距離は一定であることが好ましい。従って、両方のスリーブ部材26は、一般的にリニアガイド24に沿って変位可能であるが、関節的な方法でのみ、すなわち、その距離を一定に保ち、互いに相対的に移動しないことで変位可能である。そして、それぞれの変位によって、パネル式電力伝達部12の垂直方向の高さを調整することが好ましい。
なお、リニアガイド24は、現在描かれているようにかなり長くすることも可能であり、それによって大幅な高さ調整が可能となる。
しかしながら、追加的又は代替的に、スリーブ部材26とは独立したパネル式電力伝達部12の垂直方向の自由度、例えば、部材48(以下、セントラルリニアジョイント、回転ジョイント、又はジョイントと称する場合がある。)の内部、又は部材48での自由度を含むことも好ましい。すなわち、そうすると、自由度は、リニアガイドによって、又はリニアガイドとして同様に実現することができる。
【0067】
又、リニアガイド24は、キネマティックユニット14の一部である。従って、キネマティックユニット14は、第1のアームセグメント30を有する折り畳み式アーム15(以下、回転式アームと称する場合がある。)を更に含むことが好ましい。
この第1のアームセグメント30は、水平方向だけでなく、互いに平行に延びる2つのサブセグメント32からなることが好ましい。従って、サブセグメント32はそれぞれ、第1の回転ジョイント40(以下、リニアジョイント、単に回転ジョイント又はジョイントと称する場合がある。)によって、スリーブ部材26の一方に取り付けられていることが好ましい。
なお、これらの第1の回転ジョイント40等は、密接に関係しており、互いに水平に離間していないことに注意すべきである。
すなわち、第1の回転ジョイント40は、それぞれ、垂直方向の回転軸42´に規制され、第1のアームセグメント30が、当該垂直方向の回転軸42´を中心に回転できるように構成してあることが好ましい(
図1のそれぞれの曲線矢印参照)。
【0068】
又、第1のアームセグメント30には、第2のアームセグメント42が取り付けられていることが好ましい。
更に、第2のアームセグメント42は、垂直なポール44と、ポール44に取り付けられ、電力伝達部12に向かって延びる2つのプレート部材46とからなることが好ましい。従って、第2のアームセグメント42は、ポール44の両端で、一対の回転ジョイント48に取り付けられており、それによって第1のアームセグメント30のサブセグメント32に結合されていることが好ましい。
よって、第2の回転軸50が定義され、この第2の回転軸50は、再び垂直方向の空間軸Zに沿って延びることが好ましい。
なお、回転ジョイント48は、互いに水平方向に離間しているのではなく、スリーブ部材26と、サブセグメント32と、を接続する更なる一対の回転ジョイント40から離間していることに留意されたい。従って、回転ジョイント48は、折り畳み式アーム15のセントラル回転ジョイントとして機能する。
【0069】
又、第2のアームセグメント42のプレート部材46は、
図1では、物理的に干渉し、妨害されているが、以下の
図2(a)~(c)では示されている更なる回転ジョイント52(以下、単に、ジョイントと称する場合がある。)によって電力伝達部12に結合されていることが好ましい。
この回転ジョイント52は、一般的に、電力伝達部12の幾何学的中心及び/又は重心に近い又は一致する位置で、電力伝達部12の裏側に接続されることが好ましい。更に、回転ジョイント52は、2つの回転軸、すなわち、垂直回転軸と、
図1のY軸に沿って延びる回転軸とを定義していることが好ましい。
従って、電力伝達部12は、
図1の電力伝達部12の縁に沿ったそれぞれの対の矢印で示されるように、これらの2つの回転軸を中心に傾くことができる。
具体的には、上側の一対の矢印は、Y軸に沿って延びる回転軸によって電力伝達部を前方及び後方に傾けることができることを示している。又、下側の一対の矢印は、回転ジョイント52の更なる回転軸によって、電力伝達部12を垂直方向の空間軸Zを中心に傾けることができることを示している。
【0070】
なお、折り畳み式アーム15の部材、すなわち、異なる第1のアームセグメント30、第2のアームセグメント42及び回転ジョイント40、48、52は、それぞれ部分的に中空になっていることが好ましい。
そして、ケーブル20を電力伝達部12に接続するため、その中空を案内できるように構成されていることが好ましい(
図1の柱状物17の内部から始まるそれぞれの点線を参照)。
【0071】
又、
図1から、電力伝達部12が板状の部材として構成されていること、言い換えれば、パネルとして構成されていることが更に好ましいことが理解される。
更に又、電力伝達部12は、水平空間平面に対して斜めに延びており、描かれている状態では、実質的に直交して延びていることが好ましい。そして、電力伝達部12の高さHは、更に、垂直方向の空間軸Zに沿って延びていることが好ましい。
又、厚さ(T)は、数cmの範囲内の値、例えば、5cmから30cmの間であることが好ましい。一般的に、電力伝達部12は、車両から加わる衝撃及び/又は圧力を吸収するために、十分な剛性を有するように設計されていることが好ましい。
更に又、
図2(a)~(c)に示すように、電力伝達部12の
図1で見る側の少なくとも前面は、例えば樹脂やゴム等の保護層61で覆われていることが好ましい。
【0072】
説明のために、
図1では保護層は描かれていない。代わりに、実際には環境にさらされていないが、電力伝達部12の内部に収容され、それによって覆われている内部構成要素の一部が描かれている。
これは、まず、一次導体構成54に関するものである。かかる一次導体構成54は、3つの個別の相線、すなわち、第1相線L1、第2相線L2、及び第3相線L3(以下、それぞれ、導体、又は、単に相線と称する場合がある。)から構成されることが好ましい。
すなわち、これらはそれぞれ、水平方向(すなわちY軸に沿った方向)に蛇行して延びており、スターポイント56で互いに接続されていることが好ましい。
従って、各相線L1、L2、L3は、水平部と垂直部から構成されている。更に、各相線L1、L2、L3は、個々の相電流に接続されており、相線L1、相線L2、相線L3間の距離、特にその垂直部間の距離は、個々の相電流間に120°の位相差が生じるように選択されていることが好ましい。
このような一次導体構成54の設計に関する詳細は、特に
図2に関連して、GB 2512864 A公報に記載されている。
【0073】
又、
図1から明らかなように、一次導体構成54、特にその蛇行部を形成する各相線L1、L2、L3は、パネル式電力伝達部12の平面内に延びていることが好ましい。
従って、一次導体構成54は、一般的には非水平な空間平面内に延在し、及び/又は一般的には形成されており、
図1に描かれた状態では実質的に垂直に延在していることが好ましい。
更に、当該一次導体構成54の領域において一次導体構成54によって生成される磁束の主な方向は、一次導体構成54及び電力伝達部12の平面に対して実質的に直交するように、すなわち実質的に水平に、例えば、描写されたX軸とY軸との間で45°の角度で、視認する者に向かって延びていることが好ましい。
更に、第1相線L1、第2相線L2、第3相線L3によって定義される平面の法線は、水平軸であり、これも又、描かれたX軸とY軸との間に45°の角度で延びていることも好ましい。
従って、一次導体構成54の導体L1、L2、L3は、一般的に、非水平な空間平面内で定義されたコース(すなわち、蛇行するコース)に延び、記述されることが好ましい。
すなわち、導体L1、L2、L3の長さ寸法に沿って延びて定義する各導体L1、L2、L3の長手方向の軸は、非水平な空間平面内を走っていることが好ましい。そして、全体として、一次導体構成54は、このように非水平面内に配置され、延びていることが好ましい。
【0074】
又、電力伝達部12の更なる内部の構成要素として、アンテナの形をした物体検出手段58が示されているが、このような物体検出手段58を設けることが好ましい。
かかる物体検出手段58は、単一の検出巻線59で構成されており、一般的に、電力が伝達されるべき車両の金属製の部品等の物体の存在を検出するための受動的な誘導センサーとして機能する。
【0075】
又、誘導電力伝達装置10は、垂直方向の空間軸Zに沿って位置を調整することにより、電力伝達部12の高さを直接的に操作することが、容易、かつ確実に設定することができる。
これは、スリーブ部材26をリニアガイド24の案内部材22に沿って変位させることにより達成される。
又、リニアガイド24は、電力伝達部12の垂直方向の位置を調整することができる誘導電力伝達装置10の唯一の手段であることに留意されたい。
繰り返しになるが、これは誘導電力伝達装置10の操作性を単純化するのに役立ち、システム全体、特に、キネマティックユニット14をより複雑でないものにするという効果がある。
更に、リニアガイド24の直立、すなわち垂直方向についても、概ね一定であって、固定されていることから、誘導電力伝達装置10の寸法、ひいては必要な設置スペースとして、すなわちフットプリントを小さく抑えることができる。
【0076】
更に、リニアガイド24の向きが固定されているということは、電力伝達部12に加わる力、例えば、衝撃や圧力が、キネマティックユニット14によって予測可能な方法で保持構造体16に伝達され、電力伝達部12の垂直方向の位置に関わらず、力の分布が類似したものになる。
より正確には、このような力は、保持構造体16の内部の曲げ応力につながる。従って、保持構造体16は、他の力の分布やそれに関連する応力の大きな可能性のある範囲に対して最適化することなく、これらの曲げ応力に耐えるように最適化することができる。これにより、信頼性が向上し、スペースを節約することができる。
【0077】
一方、折り畳み式アーム15は、電力伝達部12の水平方向の位置や、水平な空間平面に対する向きを調整することができる。更に、特に電力伝達部12に接続された回転ジョイント52を介して、電力伝達部12を車両のピックアップ構成に対して正確に調整(例えば、傾斜)することができる(以下の
図2(a)~(c)の説明を参照)。
これは、車両が誘導電力伝達装置10に対して、異なる接岸角度を取る可能性がある場合に特に関連する。
【0078】
又、一部繰り返しになるが、説明した各動作は、キネマティックユニット14の専用のキネマティック部材又はジョイントによって実現することができるので、複雑さを更に軽減し、操作性を向上させることができる。
更に、
図2(a)~(c)に示すように、折り畳み式アーム15をコンパクトな状態に折り畳むことができるので、誘導電力伝達装置10の寸法、ひいては必要な設置スペースとしてのフットプリント等を更に小さくすることができる。
これは、特に、誘導電力伝達装置10が使用されていない、すなわち、水上車両に電力を伝達していない状態に関するものである。したがって、この状態では、折り畳み式アーム15は一緒に折り畳まれ、コンパクトなスペース効率の良い状態をとることができる。
【0079】
最後に、保持構造体16として、1つの単一の柱状物17のみが必要であるため、例えば、従来技術で使用されているような追加のシリンダを備えた大きな引き込み式アームと比較して、コストを削減することができる。これは、複数の例えば2つの柱状物17が使用される場合にも適用される。
【0080】
図2(a)~(c)には、誘導電力伝達装置10の上面図が示されている。
これらの図は非常に概略的であり、
図1に示された詳細な内容から大幅に逸脱している可能性があることに留意されたい。その代わり、これらの図は、折り畳み式アーム15の動作と動きを理解するのに役立つと言える。
【0081】
図2(a)に示すように、リニアガイド24を介して、幾何学的動作を行うためのキネマティックユニット14が接続されている柱状物17の位置を、所定場所に集めて、決定することが好ましい。
特に、
図2(b)に示すように、第1のアームセグメント30によって互いに接続されているリニアジョイント40、及びセントラルリニアジョイント48の位置を、所定場所に集めて、決定することができる。
更に、電力伝達部12を回転式アーム15に結合する回転ジョイント52の位置が示されているが、このような回転ジョイント52を設けることが好ましい。
なお、1つの回転ジョイント52の代わりに、
図2に示されている2つの回転ジョイント52´を使用することも可能である。これらは、例えば、電力伝達部12の反対側のエッジ部に結合され、更に、これらの図では、電力伝達部12の前面の保護層61に結合されている。
【0082】
更に、
図2(a)~(c)は、一次導体構成54によって電力が伝達されるピックアップ構成62を含む水上車両60の位置を示している。
【0083】
すなわち、
図2(a)では、折り畳み式アーム15は、実質的に完全に折り畳まれた状態を想定している。これにより、電力伝達部12とリニアガイド24との間の水平方向の距離が最小となる。
【0084】
又、
図2(b)では、水上車両60は、柱状物17に対してより大きな距離で配置されていることが好ましい。従って、電力伝達部12とピックアップ構成62との間の距離を好ましい限度内に保つように、折り畳み式アーム15は少なくとも部分的に展開される。
【0085】
更に、
図2(c)では、折り畳み式アーム15は、再び実質的に完全に折り畳まれた状態を想定している。
すなわち、
図2(a)の状態と比較して、水上車両60は、誘導電力伝達装置10に対して異なる接舷角度となっている。
しかしながら、回転式アーム15によって、特にその回転ジョイント40、48、52によって提供される回転自由度のために、電力伝達部12は、再び、ピックアップ構成62に面するように配置され、それと実質的に平行に延びることができる。
【0086】
要約すると、回転式アーム15は、このように、水上車両60のピックアップ構成62に対する電力伝達部12の好ましい配置を可能にする。
具体的には、回転式アーム15は、水上車両60が、誘導電力伝達装置10に対して異なる接舷角度を想定し、及び/又はそれに対する距離を変化させる場合であっても、電力伝達部12をピックアップ構成62に対して平行に、かつ好ましい最小距離内で方向付けることを可能にする。
繰り返しになるが、これは、誘導電力伝達装置10が、全体的にコンパクトで、操作が容易で、かつ信頼性の高い構造であることから達成される。
【0087】
これまでの図では、誘導電力伝達装置10は、幾何学的動作を行うためのキネマティックユニット14で定義される動作のいずれかを提供するため、作動可能、制御可能又は駆動可能なアクチュエータを構成しない受動的なシステムとして設計されている。
代わりに、水上車両60は、例えば、磁石、真空カップ、ロープ等を用いて、電力伝達部12又はキネマティックユニット14の異なる部分に接続されていることが好ましい。そして、電力伝達部12は、例えば、潮位の変化や接岸角度の変化に応じて、水上車両60の動きに受動的に追従していることが好ましい。
【0088】
そのために、前述のジョイント40、48、52、又は変位可能なスリーブ部材26のいずれかに、位置又は方向の変化に対する定義された抵抗力を与えることが好ましいく、及び/又は、現在設定されている位置又は方向を維持するように一般的に構成されていることが好ましい。
例えば、変位可能なスリーブ部材26は、定義されたクランプ力で、案内部材22を含むリニアガイド24に対して配置されていることが好ましい。
更に、回転ジョイント40、48、52は、所望の抵抗を提供するように、バネで構成されていることが好ましく、定義された力で内部にクランプされていることも好ましい。
又、それにもかかわらず、変位可能なスリーブ部材26又は回転ジョイント40、48、52に及ぼされる力が閾値を超えるとすぐに、前述の動きが行われることも好ましい。
【0089】
しかしながら、回転ジョイント40、48、52の少なくとも一部又はそれぞれに回転式アクチュエータを含めること、又はアクチュエータによって変位可能なスリーブ部材26を変位させることは、一般的に可能である。
【0090】
又、
図3では、誘導電力伝達装置10が完全な受動型ではなく、少なくとも1つのアクチュエータ51を備える代替の実施形態が示されている。後述する相違点を除いて、この実施形態は、言及されていないか、他に明らかでない場合には、前の実施形態と同様に構成されている。
【0091】
ここでも、板状の部材として構成された電力伝達部12を見ることができる。
かかる電力伝達部12は、キネマティックユニット14の折り畳み式アーム15を介して、2つの板状部材からなる1つの変位可能なスリーブ部材26に接続されていることが好ましい。
すなわち、折り畳み式アーム15は、再び、第1のアームセグメント30、及び第2のアームセグメント42を介して互いに接続される、水平方向に離間して配置された複数の回転ジョイント40、48、52を、再び備えていることが好ましい。
但し、回転ジョイント40、48、52及び第1のアームセグメント30、及び第2のアームセグメント42は、
図1に描かれたデザインから外れているが、同一の機能を提供することに留意されたい。
更に、回転ジョイント40、48、52のいずれか又はそれぞれが、それに接続されたユニットを回転させるための回転式アクチュエータを含んでいることが好ましい。
又、図示の例では、回転ジョイント40、48、52のそれぞれは、Z軸に沿って延びる垂直回転軸を定義しているが、電力伝達部12に接続された回転ジョイント52は、任意で、追加の水平に延びる回転軸を定義することも好ましい。
【0092】
変位可能なスリーブ部材26は、2つのリング状及びスリーブ状のサブ部材52´´(以下、上部サブ部材と称する場合がある。)、サブ部材54´(以下、下部サブ部材と称する場合がある。)を備えていることが好ましい。
これらは、案内部材22を形成する柱状物17の上段に沿って再び変位可能であり、変位可能なスリーブ部材26及び案内部材22によって、リニアガイドが定義される。
前述の例と同様に、水位18を示す下方の水に浸かっている柱状物17の下段は、保持構造体16として機能する。又、折り畳み式アーム15は、上部サブ部材52´´に接続されていることが好ましい。サブ部材52´´、54´は、一般的に伸長可能なアクチュエータ51を介して互いに接続されている。
例えば、アクチュエータ51は、サブ部材52´´、54´を引き寄せたり、押し離したりすることができる、油圧式、空気圧式又は電気式の伸長可能なシリンダであることが好ましい(
図3のアクチュエータ51付近の透視二重矢印参照)。
このようにして、サブ部材52´´、54´の間の距離は、アクチュエータ51によって変化させたり、設定したり、維持したりすることができる。
【0093】
アクチュエータ51及びサブ部材52´´、54´の移動経路28は、柱状物17の長手方向の軸だけでなく、垂直方向の軸にも沿って延びていることが好ましい。
従って、案内部材22は、電力伝達部12が移動可能な垂直方向に延びる直線移動経路28を再び定義し、電力伝達部12は、折り畳み式アーム15を介して上部サブ部材52´´に結合されていることが好ましい。
【0094】
又、下部サブ部材54´は、剛性ロッド又は支持体58´によって、柱状物17をその中心で受け、すなわち、柱状物17を囲む浮遊性リング状部材である浮遊性部材60´が、すなわち、水上車両60に接続されていることが好ましい。
又、浮遊性部材60´を接続してなる水上車両60は、水の表面位置である水位18の上に浮かび、それによってその潮汐による水位の変化に追従することが好ましい(
図3のそれぞれの下側の二重矢印を参照)。
アクチュエータ51を現在設定されている状態、すなわち、現在設定されている長さに維持すれば、浮遊性部材60´を接続してなる水上車両60の動きは、両サブ部材52´´、54´に伝達され、ひいては電力伝達部12に伝達されることになる。
このため、水位の変化に応じて電力伝達部12の高さを調整することができ、それによって、充電対象としての水上車両60(
図3には描かれていない)に対する相対的な位置、すなわち、少なくとも垂直軸に沿った位置を一定に保つことができる。
一方、電力伝達部12を特定の水上車両60に対して相対的に配置する場合には、アクチュエータ51を作動させて、電力伝達部12の高さを所望の方法で調整することができる。
【0095】
なお、上記の例でスリーブ型変位部材であるスリーブ部材26を使用することは必須ではない。代わりに、キネマティックユニットは、例えば、上述した同様の柱状物17で形成された保持構造体16に固定されたガイドレールで形成されたリニアガイド24を備えていることが好ましい。
又、
図3と同様に、2つの変位可能なスリーブ部材26を、アクチュエータ51によってその間の距離を設定できるような方法、例えば、変位可能なスリーブ部材26を、ガイドレールに沿って個別に受け取られる及び/又は移動可能な別個の部材に接続することによって、ガイドレールに取り付けることができる。
【符号の説明】
【0096】
1:システム、10:誘導電力伝達装置、12:電力伝達部、14:キネマティックユニット、15:折り畳み式アーム、16:保持構造体、17:柱状物、18:水位、20:ケーブル、22:案内部材、24:リニアガイド、26:変位可能な部材、28:経路、30:第1のアームセグメント、32:サブセグメント、40、48、52、52´:回転ジョイント、42:第2のアームセグメント、42´:垂直方向の回転軸、44:ポール、46:プレート部材、50:第2の回転軸、51:アクチュエータ、52´´、54´:サブ部材、54:一次導体構成、56:スターポイント、58:物体検出手段、58´:支持体、59:検出巻線、60:水上車両、60´:浮遊性部材、61:保護層、62:ピックアップ構成、L1:第1相線、L2:第2相線、L3:第3相線、H:高さ、X、Y:水平方向の空間軸、Z:垂直方向の空間軸
【手続補正書】
【提出日】2024-03-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水上車両(60)に誘導電力を伝達するための誘導電力伝達装置(10)であって、
一次導体構成(54)を含む電力伝達部(12)と、
前記電力伝達部(12)の移動を可能にするキネマティックユニット(14)と、を備え、
前記キネマティックユニット(14)が、前記電力伝達部(12)がリニアガイド(24)によって定義された経路(28)に沿って変位するときに、垂直方向の空間軸(Z)に沿った前記電力伝達部(12)の位置が変更されるように方向付けられたリニアガイド(24)を備えており、
前記キネマティックユニット(14)は、少なくとも1つの水平方向の空間軸(X、Y)に沿って前記電力伝達部(12)の移動を可能にする折り畳み式アーム(15)を更に備えており、
前記リニアガイド(24)は、細長い案内部材(22)と、当該案内部材(22)に沿って変位可能な少なくとも1つの変位可能な部材(26)とを備えており、かつ、
誘導電力伝達装置(10)が、水域に浮くように構成された浮遊性部材(60´)を更に備え、前記浮遊性部材(60´)が前記変位可能な部材(26)に結合されていて、
前記浮遊性部材(60´)が水域に浮くとき、前記電力伝達部(12)は水位(18)の上に配置されることを特徴とする誘導電力伝達装置。
【請求項2】
一次導体構成(54)が非水平な空間平面に延びていることを特徴とする請求項1に記載の誘導電力伝達装置。
【請求項3】
少なくとも水平空間平面に対するリニアガイド(24)の向きが、固定可能又は固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の誘導電力伝達装置。
【請求項4】
前記リニアガイド(24)が、水平空間平面に対して70°~110°の間の角度で延びていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の誘導電力伝達装置。
【請求項5】
前記折り畳み式アーム(15)は、互いに離間して配置された少なくとも2つの回転ジョイント(40、48、52)を備えていることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の誘導電力伝達装置。
【請求項6】
前記回転ジョイント(40、48、52)の少なくとも1つの回転軸が、リニアガイド(24)に対して実質的に平行に、及び/又は、水平空間平面に対して、斜め方向に延びていることを特徴とする請求項5に記載の誘導電力伝達装置。
【請求項7】
キネマティックユニット(14)を周囲に結合するための保持構造体(16)を更に備えていることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の誘導電力伝達装置。
【請求項8】
電力伝達部(12)の少なくとも1つの外面が、保護層(61)を有する少なくとも1つの領域を備えていることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の誘導電力伝達装置。
【請求項9】
前記リニアガイド(24)に沿って前記電力伝達部(12)の位置を設定するためのアクチュエータ(51)を更に備えることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の誘導電力伝達装置。
【請求項10】
前記変位可能な部材(26)が、少なくとも2つのサブ部材(52´´、54´)を有し、前記アクチュエータ(51)が、前記サブ部材間の距離を可変可能に構成されていることを特徴とする請求項9に記載の誘導電力伝達装置。
【請求項11】
水上車両(60)を誘導充電するためのシステム(1)であって、請求項1~10のいずれか一項に記載の誘導電力伝達装置(10)が、周囲に固定されていることを特徴とする水上車両を誘導充電するためのシステム。
【請求項12】
誘導電力伝達装置(10)の動作方法であって、
前記誘導電力伝達装置(10)は、水上車両(60)に誘導電力を伝達するように構成されており、
前記誘導電力伝達装置(10)は、一次導体構成(54)を含む電力伝達部(12)と、電力伝達部(12)の移動を可能にするキネマティックユニット(14)と、を備えており、
前記キネマティックユニット(14)が、リニアガイド(24)を備えており、当該キネマティックユニット(14)は、少なくとも1つの水平方向の空間軸(X、Y)に沿って電力伝達部(12)の移動を可能にする折り畳み式アーム(15)を更に備えており、
前記リニアガイド(24)が、細長い案内部材(22)と、当該案内部材(22)に沿って変位可能な少なくとも1つの変位可能な部材(26)とを備えており、かつ、
前記誘導電力伝達装置(10)が、水域に浮くように構成された浮遊性部材(60´)を更に備えており、当該浮遊性部材(60´)が、前記変位可能な部材(26)に結合されており、
前記誘導電力伝達装置(10)の動作方法が、下記ステップ(1)及び(2)を含むことを特徴とする誘導電力伝達装置の動作方法。
(1)浮遊性部材(60´)を水域に浮かべ、電力伝達部(12)を水位(18)の上に配置するステップ
(2)電力伝達部(12)をリニアガイド(24)によって定義された経路(28)に沿って移動させ、それによって垂直方向の空間軸(Z)に沿って電力伝達部(12)の位置を変化させるステップ
(3)キネマティックユニット(14)の折り畳み式アーム(15)の動作により、水平方向の空間軸(X、Y)に沿って電力伝達部(12)の位置を変化させるステップ