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特開2024-84799シリコンゲルマニウム層のガス相選択的エッチングのための新規方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084799
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】シリコンゲルマニウム層のガス相選択的エッチングのための新規方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20240618BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
H01L29/78 301Y
H01L29/78 301X
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024059977
(22)【出願日】2024-04-03
(62)【分割の表示】P 2022557881の分割
【原出願日】2021-04-07
(31)【優先権主張番号】63/013,078
(32)【優先日】2020-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】392032409
【氏名又は名称】プラクスエア・テクノロジー・インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】519288685
【氏名又は名称】リンデ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Linde GmbH
【住所又は居所原語表記】Dr.-Carl-von-Linde-Str. 6-14, 82049 Pullach i. Isartal, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シンハ、アシュウィニ、ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】マー、ツォー
(72)【発明者】
【氏名】ライニッカー、アーロン
(72)【発明者】
【氏名】アタリー、アトゥル、エム.
(57)【要約】      (修正有)
【課題】Siに対して優先的にエッチングでき、Siに対するSiGeのより高い選択性比で、ゲートオールアラウンド(GAA)デバイスアーキテクチャの製作できる基板の選択的ドライエッチング実行方法を提供する。
【解決手段】エッチングプロセスは、エッチングチャンバに装填されるSiGe及びSiの1つ以上の層を備える基板を、-60℃~+150℃の範囲の温度で維持し、約1mトル~約10トルの範囲のチャンバ圧力で優先的に行うことと、フッ素含有インターハロゲンガスをエッチングチャンバに導入してフッ化物終端層を形成することと、チャンバ中の圧力を低減し、Si及びGeのフッ化物の層を除去することと、Siの非揮発性フッ素化層と接触する不動態化ガスに曝露することと、チャンバ内の圧力を低減し、残留不動態化化合物を除去することと、所定量のSiGeがエッチングしたと判定すると、Si表面から不動態化層を除去することと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を選択的にドライエッチングする方法であって、
基板をエッチングチャンバ中に提供するステップであって、前記基板が、シリコンゲルマニウム合金層及びシリコン層を備える、提供するステップと、
フッ素含有インターハロゲンガスを前記エッチングチャンバに導入するステップと、
シリコン及びゲルマニウムの揮発性フッ化物の第1の部分として前記エッチングチャンバから後に除去される、前記シリコンゲルマニウム合金層の第1の部分を選択的にエッチングするステップと、
前記シリコン層を非揮発性フッ素化シリコン層に変換するステップと、
前記フッ素含有インターハロゲンガスのあらゆる残留量を前記エッチングチャンバから取り除くステップと、
不動態化ガスを前記エッチングチャンバに導入して、前記非揮発性フッ素化シリコン層を不動態化シリコン層に選択的に変換するステップであって、それによって、前記不動態化ガスが、前記シリコンゲルマニウム合金層と実質的に反応しない、変換するステップと、
前記不動態化ガスのあらゆる残留量を前記エッチングチャンバから取り除くステップと、
前記フッ素含有インターハロゲンガスを前記エッチングチャンバに再導入するステップと、
前記不動態化シリコン層を実質的にエッチングすることなく、シリコン及びゲルマニウムの揮発性フッ化物の第2の部分として前記エッチングチャンバから後に除去される、前記シリコンゲルマニウム合金層の第2の部分を選択的にエッチングするステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記フッ素含有インターハロゲンガスを前記エッチングチャンバに再導入するステップを1回以上繰り返して、前記不動態化シリコン層を実質的にエッチングすることなく、所定量の前記シリコンゲルマニウム合金層が選択的にエッチングされ、その後前記エッチングチャンバから除去されるまで、前記シリコンゲルマニウム合金層と更に反応させることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記所定量の前記シリコンゲルマニウム合金層が選択的にエッチングされており、その後前記プロセスチャンバから除去されているときに、前記不動態化シリコン層を除去して前記シリコン層を露出させるステップを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記不動態化ガスが、NH、HO、O、アルコール官能基を有する化合物、HS、HSe、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記不動態化シリコン層が、酸化ケイ素、硫化ケイ素、窒化ケイ素、セレン化ケイ素、及びフルオロケイ酸塩からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記不動態化シリコン層が、自己組織化モノマー又はアルキル鎖としての炭素又は水素の組み込みを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記フッ素含有インターハロゲンガスの前記エッチングチャンバへの再導入を1回以上繰り返すステップの前に、前記不動態化ガスを前記エッチングチャンバに再導入して、前記不動態化シリコン層を再確立することを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記シリコン層を前記非揮発性フッ素化シリコン層に変換した後、及び前記不動態化ガスを前記エッチングチャンバに導入する前に、前記フッ素含有インターハロゲンガスの残留量を取り除くことを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記不揮発性フッ素化シリコン層を前記不動態化シリコン層に変換した後、及び前記フッ素含有インターハロゲンガスを前記エッチングチャンバに再導入する前に、前記不動態化ガスの残留量を取り除くステップが生じる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
基板を選択的にドライエッチングする方法であって、
エッチングチャンバ中に基板を提供するステップであって、前記基板が、シリコンゲルマニウム合金層及びシリコン層を備える、提供するステップと、
第1のエッチャントガスを前記エッチングチャンバに導入するステップであって、前記第1のエッチャントガスが、フッ素含有インターハロゲンガスを含む、導入するステップと、
シリコン及びゲルマニウムの揮発性フッ化物の第1の部分として前記エッチングチャンバから後に除去される、前記シリコンゲルマニウム合金層の第1の部分を選択的にエッチングするステップと、
前記シリコン層を非揮発性フッ素化シリコン層に変換するステップと、
前記フッ素含有インターハロゲンガスのあらゆる残留量を前記エッチングチャンバから取り除くステップと、
不動態化ガスを前記エッチングチャンバに導入して、前記非揮発性フッ素化シリコン層を不動態化シリコン層に選択的に変換するステップであって、それによって、前記不動態化ガスが、前記シリコンゲルマニウム合金層と実質的に反応しない、変換するステップと、
前記不動態化ガスのあらゆる残留量を前記エッチングチャンバから取り除くステップと、
第2のエッチャントガスを前記エッチングチャンバに導入するステップと、
前記不動態化シリコン層を実質的にエッチングすることなく、シリコン及びゲルマニウムの揮発性フッ化物の第2の部分として前記エッチングチャンバから後に除去される、前記シリコンゲルマニウム合金層の第2の部分を選択的にエッチングするステップと、を含む、方法。
【請求項11】
前記第2のエッチャントガスが、CF4、C4F8、C4F6、CH3F、F2、XeF2、NF3、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記不動態化シリコン層を実質的にエッチングすることなく、所定量の前記シリコンゲルマニウム合金層が選択的にエッチングされるまで、前記シリコンゲルマニウム合金層と更に反応させるように、追加量の前記第2のエッチャントガスを前記エッチングチャンバに再導入するステップを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記所定量の前記シリコンゲルマニウム合金層が選択的にエッチングされ、その後前記エッチングチャンバから除去されるときに、前記不動態化シリコン層を除去するステップを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記追加量の前記第2のエッチャントガスを前記エッチングチャンバに再導入するステップの前に、前記不動態化ガスを前記エッチングチャンバに再導入して、前記不動態化シリコン層を再確立することを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記シリコン層を前記非揮発性フッ素化シリコン層に変換した後、及び前記不動態化ガスを前記エッチングチャンバに導入する前に、前記フッ素含有インターハロゲンガスの残留量を取り除くことを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記非揮発性フッ素化シリコン層を前記不動態化シリコン層に変換した後、及び前記第2のエッチャントガスを前記エッチングチャンバに導入する前に、前記不動態化ガスの残留量を取り除くことを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
基板を選択的にドライエッチングする方法であって、
エッチングチャンバ中に基板を提供するステップであって、前記基板が、シリコンゲルマニウム合金層及びシリコン層を備え、前記シリコンゲルマニウム合金層が、n型又はp型ドーパントでその場でドープされている、提供するステップと、
前記基板をエッチャントガスに曝露するステップと、
前記不動態化シリコン層を実質的に除去することなく、シリコン及びゲルマニウムの前記シリコンゲルマニウム合金層の一部分を選択的に除去するステップと、を含む、方法。
【請求項18】
前記エッチャントガスが、BF3、NF3、NH3、PH3、AsH3、PF3、PF5、AsF3、AsF5、B2H6、SbF5、ジメチルアルミニウム塩化物、トリメチルガリウム、トリメチルアルミニウム、AlCl3、AlI3、GaCl3、GaI3、SbF3、Sb2O3、及びトリメチルアンチモン並びにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
基板を選択的にドライエッチングする方法であって、
エッチングチャンバ中に基板を提供するステップであって、前記基板が、シリコンゲルマニウム合金層及びシリコン層を備える、提供するステップと、
前記Si層上に不動態化層を作製及び維持しながら、インターハロゲンフッ素含有ガスの使用により前記シリコンゲルマニウム合金層を選択的にエッチングするステップと、を含む、方法。
【請求項20】
前記不動態化層が、不動態化ガスを前記シリコン層の露出面に向かって前記エッチングチャンバに流入させることによって形成される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記不動態化ガスが、前記インターハロゲンフッ素含有ガスで前記シリコンゲルマニウム合金層の第1の部分をエッチングした後、前記エッチングチャンバに流入することによって、前記シリコン層の少なくとも一部分を露出させる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
追加のガス種を前記エッチングチャンバに導入することを更に含み、前記追加のガス種が、前記Si層上のエッチング速度を前記シリコンゲルマニウムのエッチング速度より大きく低減させるための速度抑制剤種を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
追加のガス種を前記エッチングチャンバに導入することを更に含み、前記追加のガス種が、前記シリコンゲルマニウム層上のエッチング速度を前記Si層のエッチング速度より大きく増加させるための速度エンハンサー種を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
追加のガス種を前記エッチングチャンバに導入することを更に含み、前記追加のガス種が、速度抑制剤種及び速度エンハンサー種を含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製作に関連するウェハ上のシリコンゲルマニウム層の選択的エッチングに関する。より詳細には、本発明は、従来のエッチャント技術では不可能な半導体製作中にシリコンに対するシリコンゲルマニウム層の選択性比を改善するための新規方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
シリコンゲルマニウム(silicon-germanium、「SiGe」)と組み合わせた非晶質ケイ素(amorphous silicon、a-Si)、多結晶シリコン(polycrystalline silicon、ポリ-Si)、及び単結晶Siは、異なる用途のために半導体産業で広く使用されている。サブ20nmの技術ノード以下では、ソース-ドレイン材料としてのSiGeの集積は、トランジスタの電気的性能を改善する可能性が示されている。基板上に様々なトランジスタを形成することができる。
【0003】
5nmの技術ノードを超えるスケーリングでは、半導体デバイス産業は、いわゆるゲートオールアラウンド(gate all-around、GAA)デバイスアーキテクチャに向かってFinFetトランジスタ構造から離れていっている。GAA実装のための1つの基本的要件は、SiGe並びにSiナノワイヤ(nanowire、NW)及びSiナノシート(nanosheet、NS)の形成である。具体的には、水平に積層されたシリコンナノワイヤ(horizontally-stacked silicon nanowire、HNW)、及び水平に積層されたナノシート(horizontally stacked nanosheet、HNS)が調査されている。HNSは、3nmのノード及びサブ3nmのノードで次世代デバイス構造として特定されている。
【0004】
しかしながら、HNS構造を首尾よく製造するために、課題に対処し、かつ重要な特徴のサイズを低減し続ける積極的なパターン化の要求を満たすために高度な方法論が必要である。高度に選択的なエッチングプロセスでパターン化スキームを首尾よく集積する能力は、信頼性の高いパターン転写に重要である。パターン転写は、以下のように実施することができる。回路パターンが形成された後、保護層(例えば、光学リソグラフィを使用してパターン化された光感受性材料、機械的にインプリントされたパターン化層、又は直接自己組織化層)を使用して、半導体基板の特定の領域を隠す一方で、半導体基板の他の領域は、露出したままである。残りの露出領域は、ドライエッチングプロセスを利用することによって、基板の下層に回路パターンを転写することを可能にする。HNS特徴を製作する能力は、現在利用可能ではないSiに対するSiGeの高いエッチング選択性を必要とする。エッチング選択性は、エッチャントプロセスに曝露されたときの2つの異なる表面に対するエッチング速度の比率として定義される。例えば、特定のエッチャントプロセスへの曝露下でのSiGe対Siの100:1のエッチング選択性は、エッチャントプロセスを使用するときにSiGe表面のエッチング速度がSi表面よりも100倍高いことを意味する。
【0005】
直接プラズマエッチ、プラズマ原子層エッチング(atomic layer etching、ALE)、又はイオン粉砕などの従来のエッチャント技術は、HNS特徴を作製するために必要とされるSiに対するSiGeのより高いエッチング選択性比を達成することができない。例として、3つの積層されたシリコンNS’について、4つのSiGe犠牲層がある。SiNS損傷を伴わないSiGe犠牲層の除去が必要であり、GAAHNSデバイスにおける重要なプロセスステップを表す。アンダーカット又はキャビティのSiGeエッチングは、従来のエッチング技術によって不可能な高精度及び高選択性の等方性化学エッチングを必要とする。
【0006】
他の慣習的なエッチャント法は、マイクロ電気機械システム(micro-electromechanical system、MEMS)産業及び初期GAAHNS研究におけるSiに対するSiGeの選択的エッチングにおいて一般的に見られる酸化ウェットエッチング法を伴う。しかしながら、一般的に言えば、半導体産業は、ウェットベースのエッチャント法を利用しないことを好む。代わりに、この産業は、より良好なSiHNS放出品質及びより容易な高容積製造プロセスのための選択的ドライ化学エッチングを望んでいる。
【0007】
ドライ熱エッチングプロセスは、Si、SiO、SiC、及びSiに対してSiGeを選択的にエッチングするために作製されている。しかしながら、そのようなドライ熱エッチャントプロセスは、不十分なままである。具体的には、リモートCF/O系プラズマなどの現在の方法は、50:1のエッチング選択性を生成することのみが可能である。言い換えれば、CF4/O2リモートプラズマプロセスを使用する場合、SiGe表面のエッチング速度は、Si表面よりも50倍高い。
【0008】
現在、他の代替物として、ClFなどのインターハロゲン種、又は初期MEMS研究活動からのFと不活性ガスとの異なる混合物を使用した熱ドライエッチングプロセスが調査されている(米国特許公開第2020027741号、及びLoubetら、A Novel Dry Selective Etch of SiGe for the Enablement of High Performance Logic Stacked Gate-All-Around NanoSheet Devices,IEDM,pp.1-4,2019)。インターハロゲンエッチャントとしてClFを利用する場合、超格子SiGe:Si層について最大150:1のエッチング選択性が報告されている。
【0009】
現在の開発活動にもかかわらず、GAAナノ構造性能を改善し、かつ製造生産性を高めるために、より高いエッチング選択性に対する継続的な需要が依然として存在する。現在、Si、SiO、Si、及びSiCに対するSiGeのエッチング選択性が、150:1を超える満たされていない需要が存在する。
【発明の概要】
【0010】
一態様では、基板を選択的にドライエッチングする方法であって、基板をエッチングチャンバ中に提供するステップであって、基板が、シリコンゲルマニウム合金層及びシリコン層を備える、提供するステップと、フッ素含有インターハロゲンガスをエッチングチャンバに導入するステップと、シリコン及びゲルマニウムの揮発性フッ化物の第1の部分としてエッチングチャンバから後に除去される、シリコンゲルマニウム合金層の第1の部分を選択的にエッチングするステップと、シリコン層を非揮発性フッ素化シリコン層に変換するステップと、フッ素含有インターハロゲンガスのあらゆる残留量をエッチングチャンバから取り除くステップと、不動態化ガスをエッチングチャンバに導入して、非揮発性フッ素化シリコン層を不動態化シリコン層に選択的に変換するステップであって、それによって、不動態化ガスが、シリコンゲルマニウム合金層と実質的に反応しない、変換するステップと、不動態化ガスのあらゆる残留量をエッチングチャンバから取り除くステップと、フッ素含有インターハロゲンガスをエッチングチャンバに再導入するステップと、不動態化シリコン層を実質的にエッチングすることなく、シリコン及びゲルマニウムの揮発性フッ化物の第2の部分としてエッチングチャンバから後に除去される、シリコンゲルマニウム合金層の第2の部分を選択的にエッチングするステップと、を含む、方法。
【0011】
第2の態様では、基板を選択的にドライエッチングする方法であって、基板をエッチングチャンバ中に提供するステップであって、基板が、シリコンゲルマニウム合金層及びシリコン層を備える、提供するステップと、第1のエッチャントガスをエッチングチャンバに導入するステップであって、第1のエッチャントガスが、フッ素含有インターハロゲンガスを含む、導入するステップと、シリコン及びゲルマニウムの揮発性フッ化物の第1の部分としてエッチングチャンバから後に除去される、シリコンゲルマニウム合金層の第1の部分を選択的にエッチングするステップと、シリコン層を非揮発性フッ素化シリコン層に変換するステップと、フッ素含有インターハロゲンガスのあらゆる残留量をエッチングチャンバから取り除くステップと、不動態化ガスをエッチングチャンバに導入して、非揮発性フッ素化シリコン層を不動態化シリコン層に選択的に変換するステップであって、それによって、不動態化ガスが、シリコンゲルマニウム合金層と実質的に反応しない、変換するステップと、不動態化ガスのあらゆる残留量をエッチングチャンバから取り除くステップと、第2のエッチャントガスをエッチングチャンバに導入するステップと、不動態化シリコン層を実質的にエッチングすることなく、シリコン及びゲルマニウムの揮発性フッ化物の第2の部分としてエッチングチャンバから後に除去される、シリコンゲルマニウム合金層の第2の部分を選択的にエッチングするステップと、を含む、方法。
【0012】
第3の態様では、基板を選択的にドライエッチングする方法であって、基板をエッチングチャンバ中に提供するステップであって、基板が、シリコンゲルマニウム合金層及びシリコン層を備え、シリコンゲルマニウム合金層が、n型又はp型ドーパントでその場でドープされている、提供するステップと、基板をエッチャントガスに曝露するステップと、不動態化シリコン層を実質的に除去することなく、シリコン及びゲルマニウムのシリコンゲルマニウム合金層の一部分を選択的に除去するステップと、を含む、方法。
【0013】
第4の態様では、基板を選択的にドライエッチングする方法であって、基板をエッチングチャンバ中に提供するステップであって、基板が、シリコンゲルマニウム合金層及びシリコン層を備える、提供するステップと、Si層上の不動態化層を作製及び維持しながら、インターハロゲンフッ素含有ガスの使用によりシリコンゲルマニウム合金層を選択的にエッチングするステップと、を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態によるエッチングプロセスのフローチャートを示す。
図2】フッ素含有インターハロゲンガスでSiGe合金層の第1の部分をエッチングし、フッ素含有インターハロゲンガスをSi表面に曝露して、図1及び図4のエッチャントプロセスのステップのうちの1つに従って、Si表面上にフッ素終端層を形成した後の代表的な得られた表面を示す。
図3図1及び図4のエッチャントプロセスのステップのうちの1つに従って、SiGe表面ではなくSi表面上に選択的に形成される代表的な不動態化Si層を示す。
図4】本発明の第2の実施形態によるエッチャントプロセスのフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
説明されるように、本発明は、基板の選択的ドライエッチングを実行するための方法を提供する。SiGeは、本発明の方法を使用することによって、Siに対して優先的にエッチングすることができる。本発明のSiに対するSiGeのより高い選択性比は、GAAデバイスアーキテクチャの製作を可能にする。
【0016】
本明細書で使用され、全体を通して使用される「エッチング選択性」又は「選択性」又は「選択性比」という用語は、エッチャントプロセスに曝露されたときの2つの異なる表面に対するエッチング速度の比率を意味するために互換的に使用され得、エッチング速度は、典型的には、毎分ナノメートル単位で測定される。
【0017】
本明細書で使用され、全体を通して使用される「層」という用語は、単一の層又は1つ以上の層から構成され得る基板に沿った特定の材料の連続的、半連続的、又は非連続的な堆積を意味することを意図している。
【0018】
本明細書で使用され、全体を通して使用される「インターハロゲン」という用語は、2つ以上の異なるハロゲン原子から構成される化合物を意味することを意図している。
【0019】
特に明記しない限り、本明細書で記載され、全体を通して記載される不動態化化合物及びエッチャントのすべては、気相にあることを意図している。
【0020】
本明細書で使用され、全体を通して使用される「SiGe」又は「SiGe合金」又は「シリコンゲルマニウム合金」は、Si対Geの組成比が変動するシリコンとゲルマニウムとの合金を意味するために互換的に使用され得る。
【0021】
本明細書で使用され、全体を通して使用される「Si」又は「シリコン」は、互換的に使用され得る。
【0022】
本明細書で使用され、全体を通して使用される「基板」は、半導体ウェハなどの半導体若しくは他の電子デバイス、又はベース基板構造上若しくは上にある1つ以上の層の任意の部分を意味することを意図している。
【0023】
値の範囲がパラメータを表す場合、その範囲内又は範囲を画定するすべてのサブ範囲、点値、及びエンドポイントは、そこに明示的に開示される。それらの特性、寸法、及び比率の範囲エンドポイント間のすべての物理的特性、寸法、並びに比率範囲及びサブ範囲(エンドポイントを含む)は、本明細書に明示的に開示されていると考えられる。
【0024】
本明細書に記載の実施形態は、エピタキシャル成長したSiGe及びSi構造を指すことを意図している。しかしながら、本発明は、他の成長モードに適用可能であり得る。
【0025】
Siに対するSiGeの選択的エッチングは、SiGeについて以下に記載され、これは、好ましくは、40~99原子パーセントのSiと残りのGeとの組成、又は1~60原子パーセントのGeと残りのSiとのSiGe組成、又は15原子パーセントの最小Ge含有量を有するGeと残りのSiとのSiGe組成、を有することができる。
【0026】
以下に記載されるような実施形態は、単に実施例であり、本発明は、図面内に例解される実施形態に限定されない。図面が縮小されたものではなく、ある場合において、従来の製作及び組み立ての詳細など、実施形態の理解に必ずしも必要とされない詳細部は削除されていることが理解されるはずである。GAAデバイスアーキテクチャ、NW、NS、HNW HNSの正確な構成は、縮尺どおりに描かれておらず、特定の特徴は、本発明の原理によるエッチャントプロセスの様々な態様をよりよく示すために、各図面において意図的に省略されることも理解されたい。
【0027】
実施形態は、類似要素が同様の数字によって参照される図面を参照して記載される。実施形態の様々な要素の関連性及び機能は、以下の詳細な記載によってより良好に理解される。詳細な説明は、本開示の範囲内のものとして様々な置換及び組み合わせの特徴、態様、及び実施形態を想到している。したがって、本開示は、これらの特定の特徴、態様、及び実施形態のそのような組み合わせ及び置換のうちのいずれか、又はそれらのうちの選択された1つ以上を備えるように、それらからなるように、又はそれらから本質的になるように指定され得る。
【0028】
本発明の第1の実施形態では、基板上のSiに対してSiGeを選択的にエッチングするための改善されたドライエッチングプロセスが提供される。エッチングプロセスは、Si及びSiGe表面を異なるガス組成で順次に曝露することによって行われる。このプロセスは、150:1を超えるエッチング選択性を達成することができる。図1は、プロセススキームを示す。エッチングプロセスは、以下で説明するように、以下のステップを使用して行われる。エッチングチャンバに装填される基板が提供される。基板は、SiGe及びSiの1つ以上の層を備える。基板は、-60℃~+150℃の範囲の温度で維持される。エッチングプロセスは、約1mトル~約10トルの範囲のチャンバ圧力で優先的に行われる。
【0029】
次に、フッ素含有インターハロゲンガスがエッチングチャンバに導入される(図1のステップ1)。フッ素含有インターハロゲンガスは、例として、限定することを意図するものではないが、ClF3、ClF5、BrF3、BrF5、IF5、及びIF7、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。他のガスをフッ素含有インターハロゲンガスと導入することができる。フッ素含有インターハロゲンガス及びそれと導入される任意の他のガスの流量は、それぞれ10sccm~2000sccmの範囲であり得る。
【0030】
基板は、フッ素含有インターハロゲンガスに曝露される。具体的には、フッ素含有インターハロゲンは、シリコン及びシリコンゲルマニウム合金層と反応して、フッ化物終端層を形成する。その後、チャンバ中の圧力が低減され(図1のステップ2)、Si及びGeのフッ化物の層の脱離を可能にする。Si及びSiGeの露出部分は、Si及びGeの揮発性フッ化物の形態をとる。不活性ガスをエッチングチャンバに導入して、Si及びGeの脱離したフッ化物のエッチングチャンバをパージする。
【0031】
SiGeの第1の部分を選択的にエッチングすることに加えて、フッ素含有インターハロゲンガスもまた、シリコン層を非揮発性フッ素化シリコン層に変換させる。具体的には、図2に示すように、フッ素終端層がSi層の表面上に生成される。エッチングチャンバ中の残りの残留フッ素含有インターハロゲンガスは、取り除かれ得る。基板をフッ素含有インターハロゲンガスへ曝露した後に得られた表面を図2に示す。
【0032】
次に、図1のステップ3を実行することができ、それによって、図2に示されるような得られたフッ素化Si表面は、Siの非揮発性フッ素化層と接触する不動態化ガスに曝露される。不動態化ガスは、Siの非揮発性フッ素化層と反応して、それを不動態化シリコン層に変換する。不動態化Si層は、SiGe層ではなくSi層上にのみ生成される。Si上の得られた不動態化層を図3に示す。
【0033】
異なる不動態化ガスには、NH、HO、O、アルコール官能基を有する化合物、HS、HSe、又はそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。不動態化層は、酸化ケイ素、硫化ケイ素、窒化ケイ素、若しくはセレン化ケイ素、又はそれらの任意の混合物の層であり得る。不動態化層はまた、自己組織化モノマー又はアルキル鎖として表面上に追加の炭素又は水素を含有し得る。不動態化層はまた、(NHSiFなどのフルオロケイ酸塩を含み得る。
【0034】
不動態化層を形成した後、図1のステップ4を実行することができ、それによって、エッチングチャンバ中の圧力がステップ3の圧力より低減され、チャンバがパージ又はポンプダウンされて、エッチャントチャンバからのあらゆる残留不動態化化合物を除去する。
【0035】
Si不動態化層を作製し、SiGeの第1の部分が除去された状態で、図1のステップ1で利用されるフッ素含有インターハロゲンガスをエッチングチャンバに再導入することができる。フッ素含有ガスは、不動態化シリコン層を実質的にエッチングすることなく、エッチングチャンバから後に除去されるシリコンゲルマニウム合金層の第2の部分を選択的にエッチングする。第2の部分をエッチングして、シリコン及びゲルマニウムの揮発性フッ化物をSiGe層から放出する。
【0036】
図1のステップ1、ステップ2、ステップ3、及びステップ4は、SiGe層が所定の量(例えば、所望の距離又は所望の厚さ)にエッチングされるまで、順次及び周期的に実行される。あるいは、SiGe層全体が完全に除去され得る。
【0037】
図1のステップ5で所定量のSiGeがエッチングされたと判定されると、最終ステップ6を実行して、Si表面から不動態化層を除去する。得られた生成物は、水平に積層されたSiナノシート(HNS)である。
【0038】
上記のエッチングプロセスの間、不動態化ガスは、ステップ1~4の周期的動作中に、フッ素含有インターハロゲンガスでSiGeの選択的エッチングを実行する前に、不動態化シリコン層を再確立するために必要とされ得るように、ステップ3で再導入される。しかしながら、本発明は、不動態化ガスの再導入を排除することによって実施され得ることが理解されよう。不動態化ガスの再導入を排除するためのシナリオは、例として、初期に形成された不動態化層の実質的な部分がシリコン層の表面上に引き込まれたままであると判定すること、又はSiGe対Siの選択性比が適切に高いままであり、1つ以上の追加のSiGeエッチングを実行するように、SiGeの複数の選択的エッチングを実行した後に、十分な量の不動態化層が残ると判定すること、を含み得る。
【0039】
本発明の第2の実施形態では、基板上のSiに対してSiGeを選択的にエッチングするための改善されたドライエッチングプロセスが提供される。エッチングプロセスは、Si及びSiGe表面を異なるガス組成で順次に曝露することによって行われる。このプロセスは、150:1を超えるエッチング選択性を達成することができる。図4は、プロセススキームを示す。図4のステップ1、2、3、及び4は、図1のものと同一である。したがって、第1の実施形態並びに図2及び図3を参照したステップ1、2、3、及び4の考察は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0040】
しかしながら、図1に示すフロースキームとは異なり、図4のフロースキームは、SiGe及び不動態化Si層を、ステップ1で導入されたフッ素含有インターハロゲンガスとは異なる化学的性質を有する第2のエッチャントガスに供することを伴う、異なるステップ5を含む。第2のエッチャントガスをエッチングチャンバに導入して、シリコンゲルマニウム合金層と反応させる。第2のエッチャントガスは、不動態化シリコン層を実質的にエッチングすることなく、シリコン及びゲルマニウムの揮発性フッ化物の第2の部分としてエッチングチャンバから後に除去されるシリコンゲルマニウム合金層の第2の部分をエッチングする。ステップ5で使用され得る代替のエッチング化学物質の例は、CF4、C4F8、C4F6、CH3Fなどのフルオロカーボン及びハイドロフルオロカーボン化合物、若しくはF2、XeF2、NF3などのフッ素化化合物、又は前述の任意の混合物を含む。第2のエッチャントガスは、150:1を超えるエッチング選択性を達成するために、不動態化Si層上のSiGeの優先的なエッチングを確実にするように選択される。第2のエッチャントガスは、ステップ1で使用されるエッチング学物質から提供されるエッチング選択性と比較して、より高いエッチング選択性を達成する意図で選定される。ステップ5は、SiGe層が所定の量(例えば、所望の距離又は所望の厚さ)にエッチングされるまで周期的に実行される。あるいは、SiGe層全体が完全に除去され得る。
【0041】
図1のステップ5で所定量のSiGeがエッチングされているか、又はSiGe層全体が除去されたと判定されると、最終ステップ6を実行して、Si表面から不動態化層を除去する。得られた生成物は、水平に積層されたSiナノシート(HNS)である。
【0042】
図4のプロセスはまた、Si層の表面上の不動態化層を再確立し、それによって、SiGe対Siのエッチング選択性を150:1超に改善するために必要とされ得るように、不動態化ガスを1回以上再導入することも企図する。あるいは、又はそれに加えて、SiGeの所定量のエッチングを達成する前に、図4のプロセスはまた、必要に応じてステップ1~4のいずれか又はすべてを繰り返すことを企図する。
【0043】
不動態化層の形成に依存しない本発明の他の態様が企図される。例えば、基板上のSiGe層の形成中に、SiGe層は、n型又はp型ドーパントのいずれかでその場でドープされ得る。次いで、SiGe及びSiの両方の表面を、フッ素化又はインターハロゲン化合物のいずれかでエッチングする。SiGeに以前に移植されたドーパントは、SiGe対Siのエッチング選択性を150:1を超えて増加させることができる。n型又はp型ドーパントを生成するためのガス種は、周期表の第13族又は第15族からの原子を含有する任意の化合物であり得、BF、NF、NH、PH、AsH、PF、PF、AsF、AsF、B、SbF、塩化ジメチルアルミニウム、トリメチルガリウム、トリメチルアルミニウム、AlCl、AlI、GaCl、GaI、SbF、Sb、及びトリメチルアンチモンが含まれ得るが、これらに限定されない。温度、圧力、及び流量の範囲は、他の実施形態に関して上記で開示されたものである。
【0044】
別の例では、選択的エッチャントプロセスは、SiGe及びSi表面に接触するようにインターハロゲンガス及び1つ以上の追加のガス種をエッチャントチャンバに導入し、Siと比較してSiGeの選択性エッチングを150:1超に増加させることを伴う。温度、圧力、及び流量の範囲は、他の実施形態に関して上記で開示されたものである。1つ以上の追加のガス種は、速度抑制剤若しくは速度エンハンサー種又はそれらのいずれかの組み合わせのいずれかであり得る。速度抑制剤種は、SiGe表面及びSi表面の両方のエッチング速度を低減させるが、Si表面上の速度低減は、SiGe表面の速度低減よりも大きく、それによってSiと比較してSiGe上のエッチングの選択性を増加させる全体的な効果を有する。逆に、速度エンハンサー種は、両方の表面上のエッチング速度を増加させるが、SiGe表面上の速度増加は、Si表面の速度増加よりも大きく、それによってSiと比較してSiGeの選択性エッチングを増加させる全体的な効果を有する。
【0045】
異なるインターハロゲンには、ClF、ClF、BrF、BrF、IF、及びIF、又は前述の任意の混合物が含まれるが、これらに限定されない。異なる速度抑制剤ガス種には、Cl、Br、I、BCl、HCl、HBr、HI、NCl、及びSF、又は前述の任意の混合物が含まれるが、これらに限定されない。異なる速度エンハンサーガス種には、F、HF、XeF、OF、COF、CF、及びNF、又は前述の任意の混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0046】
速度抑制剤の機能は、所与の温度及び圧力で、SiGe表面上でエッチング速度をより大きく低減することによって、Si表面上のエッチング速度を低減することである。SiGeエッチング速度よりもSiエッチング速度の低減を達成することは、フッ素よりもSiエッチングに対する反応性が低い、Cl、Br、又はIなどのハロゲンを含有する種を導入することによって行うことができる。いかなる理論にも束縛されるものではないが、ハロゲン含有種は、Si表面上に吸着したままであり、F原子の吸着のためのブロック部位である。GeFxの脱離速度がより高いため、SiGeと比較して吸着に利用可能な空のSi部位が少ないため、SiGeと比較して、Si表面上で効果がより顕著になり得る。
【0047】
速度エンハンサー種の機能は、所与の温度及び圧力で、Siのエッチング速度をより大きく増加することによって、SiGeエッチング速度を増加させることである。いかなる理論にも束縛されるものではないが、Si-Siと比較したSi-Geの格子間間隔は、SiF脱離と比較して、SiGe表面からGeFをより容易に脱離することが可能であり、それによって、F原子が表面上に吸着し、表面Si-F種と結合してSiFを形成するより多くの数の空部位を利用可能にし、これは次いで表面から脱離することができる。Si上のインターハロゲン種のエッチングプロセスにおける速度制限ステップは、SiF生成物の脱離であり得る。
【0048】
開示された実施形態のすべてについて、特定のエッチングガス、及び付随する共流ガスは、予混合貯蔵容器から貯蔵及び送達され得る。同様に、特定のエッチングガス混合物は、予混合貯蔵容器から貯蔵及び送達され得る。あるいは、エッチャントガスのそれぞれは、別個の貯蔵容器に貯蔵され、次いで、別個の流れマニホールドを介して所望の比率でエッチングチャンバに流入して、エッチャントチャンバ上流又はエッチャントチャンバ内に得られた混合物を作製することができる。加えて、貯蔵容器のうちの1つ以上に外部熱を加えて、貯蔵容器のうちの1つ以上からエッチングチャンバへのエッチングガスの送達のための十分な駆動力を発生し得る。更に、キャリアガスを貯蔵容器を通してバブリングしてエッチャントガスを運び、エッチングチャンバへの送達を可能にすることができる。
【0049】
すべての実施形態は、Siに対してSiGeを選択的にエッチングするための方法を開示しているが、本発明の原理はまた、Si、SiO、SiC、Si、又はGe以外の他の元素と合金化されたSiを含むが、これらに限定されない様々な他の半導体化合物上でSiGeの選択的エッチングに適用することもできる。
【0050】
本発明の特定の実施形態と見なされるものを示し、説明してきたが、当然ながら、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態又は詳細の様々な修正及び変更を容易に行うことができることが理解されるであろう。したがって、本発明は、本明細書において示され、説明される正確な形態及び詳細に限定されず、本明細書において開示され、以下に特許請求される本発明の全範囲に満たない、いかなるものにも限定されないことを意図する。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-04-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を選択的にドライエッチングする方法であって、
エッチングチャンバ中に基板を提供するステップであって、前記基板が、シリコンゲルマニウム合金層及びシリコン層を備え、前記シリコンゲルマニウム合金層が、n型又はp型ドーパントでその場でドープされている、提供するステップと、
前記基板をエッチャントガスに曝露するステップと、
前記不動態化シリコン層を実質的に除去することなく、シリコン及びゲルマニウムの前記シリコンゲルマニウム合金層の一部分を選択的に除去するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記エッチャントガスが、BF3、NF3、NH3、PH3、AsH3、PF3、PF5、AsF3、AsF5、B2H6、SbF5、ジメチルアルミニウム塩化物、トリメチルガリウム、トリメチルアルミニウム、AlCl3、AlI3、GaCl3、GaI3、SbF3、Sb2O3、及びトリメチルアンチモン並びにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
基板を選択的にドライエッチングする方法であって、
エッチングチャンバ中に基板を提供するステップであって、前記基板が、シリコンゲルマニウム合金層及びシリコン層を備える、提供するステップと、
前記Si層上に不動態化層を作製及び維持しながら、インターハロゲンフッ素含有ガスの使用により前記シリコンゲルマニウム合金層を選択的にエッチングするステップと、を含む、方法。
【請求項4】
前記不動態化層が、不動態化ガスを前記シリコン層の露出面に向かって前記エッチングチャンバに流入させることによって形成される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記不動態化ガスが、前記インターハロゲンフッ素含有ガスで前記シリコンゲルマニウム合金層の第1の部分をエッチングした後、前記エッチングチャンバに流入することによって、前記シリコン層の少なくとも一部分を露出させる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
追加のガス種を前記エッチングチャンバに導入することを更に含み、前記追加のガス種が、前記Si層上のエッチング速度を前記シリコンゲルマニウムのエッチング速度より大きく低減させるための速度抑制剤種を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
追加のガス種を前記エッチングチャンバに導入することを更に含み、前記追加のガス種が、前記シリコンゲルマニウム層上のエッチング速度を前記Si層のエッチング速度より大きく増加させるための速度エンハンサー種を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
追加のガス種を前記エッチングチャンバに導入することを更に含み、前記追加のガス種が、速度抑制剤種及び速度エンハンサー種を含む、請求項3に記載の方法。
【外国語明細書】