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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000848
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】配管設備の管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20231226BHJP
   E02D 29/14 20060101ALI20231226BHJP
   E03F 5/02 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
E02D29/14 Z
E03F5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099794
(22)【出願日】2022-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】508309991
【氏名又は名称】株式会社日拓
(74)【代理人】
【識別番号】100088579
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 茂
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山上 卓秀
(72)【発明者】
【氏名】塩入 広崇
【テーマコード(参考)】
2D063
2D147
5L049
【Fターム(参考)】
2D063AA14
2D147BB00
5L049AA20
(57)【要約】
【課題】 コスト面,運用面及び労力面で有利にするとともに、故障や劣化が発生しにくく、災害時などでもライフラインを迅速に復旧させる。
【解決手段】 マンホールの蓋Hcの裏面Hcr側に、マンホールHmに対応する読取コード2を表示してなるコード表示手段Mcと、読取機能Frを有するモバイル端末3により読取コード2を読み取り、読み取った当該読取コード2に係わるコードデータを、所定の通信ネットワークNを介してサーバコンピュータ4に送信するコード読取送信手段Mrと、コードデータを受信したならサーバコンピュータ4に付属するデータベース5に登録したコードデータに対応する詳細内容情報Diをモバイル端末3に付属するディスプレイ6で表示可能にする詳細情報表示手段Mdとを備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下に設置された配管に対して付設したマンホールを備える配管設備を管理する配管設備の管理システムであって、前記マンホールの蓋に、前記マンホールに対応する読取コードを表示してなるコード表示手段と、読取機能を有するモバイル端末により前記読取コードを読み取り、読み取った当該読取コードに係わるコードデータを、所定の通信ネットワークを介してサーバコンピュータに送信するコード読取送信手段と、前記コードデータを受信したなら前記サーバコンピュータに付属するデータベースに登録した前記コードデータに対応する詳細内容情報を前記モバイル端末に付属するディスプレイで表示可能にする詳細情報表示手段とを備えることを特徴とする配管設備の管理システム。
【請求項2】
前記読取コードは、二次元コードを用いることを特徴とする請求項1記載の配管設備の管理システム。
【請求項3】
前記コード表示手段は、前記読取コード,又は前記読取コードと使用説明書,を表示した表示シートを前記マンホールの蓋の裏面側に固定してなることを特徴とする請求項1記載の配管設備の管理システム。
【請求項4】
前記モバイル端末には、少なくともスマートホンを含むことを特徴とする請求項1記載の配管設備の管理システム。
【請求項5】
前記通信ネットワークは、インターネットであることを特徴とする請求項1記載の配管設備の管理システム。
【請求項6】
前記詳細内容情報には、前記配管設備に係わる図面,写真,詳細資料の一又は二以上を含むことを特徴とする請求項1記載の配管設備の管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下に設置された配管に対して付設したマンホールを備える配管設備を管理するための配管設備の管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、上水道本管が設置された配管設備における所定の場所には、仕切弁が設置されるとともに、その仕切弁を操作するためのマンホールが設置される。一方、地震等の災害時に上水道本管の一部が損傷し、水漏れ事故等が発生した場合、通常、自治体の管理者から配管設備の復旧業者(施工業者)に連絡が行くため、復旧業者は速やかに現場に出向き、必要な点検(原因究明)及び復旧作業を行う必要がある。このように、上水道本管等の配管設備は重要なライフラインになるため、何らかの異常が発生した場合には、迅速な対応が求められ、そのための管理用のシステムも提案されている。
【0003】
従来、この種のシステムとしては、特許文献1に記載される総合危機予知防災監視システム及び特許文献2に記載される水位計測用マンホールユニットが知られている。
【0004】
特許文献1に開示の総合危機予知防災監視システムは、各種災害の発生を未然に予知し大事故の起る前に早期に災害の徴候を発見して事故発生現場を場所的に特定し、大事故に至る前に復旧工事を完了させる総合危機予知防災監視システムの提供を目的としたものであり、具体的には、地中埋設物や構造物内部全般の配管路の所要部位に多数設定したそれぞれ特定距離区間の各配水管の両端部に音、放射、熱、機械歪、電気、磁気、振動の各検知部を備えた総合センサを付設し、該センサの各検知部で同時計測される各検知信号の常態からの変動による異常信号を含む信号を測定し、測定したデータ信号をA/D変換してマンホールアンテナより電波を発信して通信衛星を介して受信し、データ信号処理装置で収集解析して異常信号と判定されたとき異常情報表示装置にその位置と内容を表示するようにしたものである。
【0005】
また、特許文献2に開示の水位計測用マンホールユニットは、大きくかつ重重の大きいマンホール蓋をマンホールから取り外す必要なく簡便に水位計測ユニットのメンテナンスを行うことができ、その作業効率を向上させることができる水位計測用マンホールユニットの提供を目的としたものであり、具体的には、上下面方向に貫通した貫通孔部が形成された第1蓋部と、第1蓋部の貫通孔部に対して着脱可能に取り付けられ、かつ配管内の水位を上方から非接触で計測する水位計測ユニットと、貫通孔部に対して開閉可能に嵌入され、その開放状態において第1蓋部に対する水位計測ユニットの着脱を可能とすると共にその閉鎖状態において第1蓋部に対する水位計測ユニットの着脱を不可能とする第2蓋部とにより構成されたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11-256627号公報
【特許文献2】特開2011-42943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述したマンホールを付設した配管設備に対する従来のシステムは、次のような問題点があった。
【0008】
第一に、各マンホール毎に、異常の状態や水位の状態等を検知するセンサ又は計測手段等の精密部品類を設置し、このセンサや計測手段の結果を、通信衛星やインターネットを介してオンラインにより管理者側へ送信するシステムを構築するため、全体の設備が大掛かりになるとともに、常時監視する体制が必要になるなど、コスト面,運用面及び労力面で大きなマイナス要因となる。
【0009】
第二に、各マンホールに、センサ又は計測手段を設置するため、寒暖差や雨等の環境に影響を受けやすい。この結果、電子部品等を含むセンサ又は計測手段に、故障や劣化などの不具合が発生しやすいなど、長期間設置した場合における信頼性に難がある。しかも、故障や劣化を生じることなく正常に動作しているか否か、定期的なメンテナンスも必須となる。
【0010】
第三に、異常等を比較的早期に発見することができるとしても、実際に、その現場に出向いた際に、点検や修理等を迅速かつ的確に行うことができるとは限らない。特に、災害時に、突然、故障等の異常が発生し、一刻も速くライフラインを復旧させる必要がある場合、即ち、復旧業者(施工業者)が現場に出向いた際に、異常状況を迅速かつ的確に把握する観点からは、必ずしも有効に機能するとは言えない。
【0011】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決した配管設備の管理システムの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上述した課題を解決するため、地下に設置された配管Pgに対して付設したマンホールHmを備える配管設備Epを管理する配管設備の管理システム1を構成するに際して、マンホールの蓋Hcの裏面Hcr側に、マンホールHmに対応する読取コード2を表示してなるコード表示手段Mcと、読取機能Frを有するモバイル端末3により読取コード2を読み取り、読み取った当該読取コード2に係わるコードデータを、所定の通信ネットワークNを介してサーバコンピュータ4に送信するコード読取送信手段Mrと、コードデータを受信したならサーバコンピュータ4に付属するデータベース5に登録したコードデータに対応する詳細内容情報Diをモバイル端末3に付属するディスプレイ6で表示可能にする詳細情報表示手段Mdとを備えることを特徴とする。
【0013】
この場合、発明の好適な態様により、読取コード2には、二次元コード2sを用いることが望ましい。また、コード表示手段Mcは、読取コード2,又は読取コード2と使用説明書2d,を表示した表示シート11をマンホールの蓋Hcの裏面Hcr側に固定することができる。一方、モバイル端末3には、少なくともスマートホン12を含ませることができるとともに、通信ネットワークNには、インターネットNiを利用することができる。さらに、詳細内容情報Diには、配管設備Epに係わる図面13,写真14,詳細資料15の一又は二以上を含ませることができる。
【発明の効果】
【0014】
このような構成を有する本発明に係る配管設備の管理システム1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0015】
(1) 各マンホールHm…には読取コード2のみを表示すれば足りるため、各マンホールHm…毎に設置するセンサや計測手段等の精密部品類が不要になり、コスト面,運用面及び労力面できわめて有利になる。特に、寒暖差や雨等の気候を含む環境に影響を受けにくいため、故障や劣化等の不具合が発生しにくく、長期間設置した場合における信頼性に優れる。しかも、正常に動作しているか否か等を監視する定期的なメンテナンスも不要になる。
【0016】
(2) 災害等による突然の異常発生時であって、配管設備Epの復旧業者(施工業者)と配管設備Epの管理者(自治体)が異なるような場合であっても、復旧業者は、配管設備Epに関する詳細内容情報Diを速やかに得れるため、重要なライフラインに係わる配管設備Epの点検、更には必要な復旧作業を迅速かつ的確に実施することができる。
【0017】
(3) 好適な態様により、読取コード2に、二次元コード2sを用いれば、一般に広く利用されているQRコード(登録商標)等を利用できるため、実用化されているリーダーやアプリケーションソフトウェアにより容易かつ確実に読取ることができるなど、安定性及び信頼性の高い管理システム1を構築することができる。
【0018】
(4) 好適な態様により、コード表示手段Mcとして、読取コード2,又は読取コード2と使用説明書2d,を表示した表示シート11をマンホールの蓋Hcの裏面Hcr側に固定するようにすれば、例えば、表示シート11は紐等により吊り下げて固定できる。即ち、日常的に使用する日用品等を利用することにより、容易かつ経済的に実施することができる。
【0019】
(5) 好適な態様により、モバイル端末3に、少なくともスマートホン12を含ませれば、スマートホン12の撮影機能(読取機能)及び送受信機能をそのまま利用できるため、管理システム1に対する専用機器が不要になるとともに、広く普及しているスマートホン12の利用により容易に実施することができる。
【0020】
(6) 好適な態様により、通信ネットワークNとして、インターネットNiを利用すれば、広く普及しているインターネットNiにより容易に実施することかできる。したがって、専用のネット回線や通信回線を使用する必要がないなど、実施の低コスト化及び容易化に寄与することができる。
【0021】
(7) 好適な態様により、詳細内容情報Diに、配管設備Epに係わる、図面13,写真14,詳細資料15の一又は二以上を含ませれば、配管設備Epに対する必要な詳細内容を十分に得ることができるため、設備内容を的確に把握し、復旧作業等を迅速かつ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の好適実施形態に係る管理システムのシステム系統図、
図2】同管理システムにおけるコード表示手段の構成を示すマンホールの蓋を開けた状態の斜視図、
図3】同管理システムにおけるコード表示手段の表示シートにおける一方の面の表示図、
図4】同管理システムの使用方法の手順を説明するためのフローチャート、
図5】同管理システムにおけるコード表示手段の表示シートにおける他方の面の表示図、
図6】同管理システムにおける情報表示手段を構成するスマートホンのディスプレイの選択画面の表示画面図、
図7】同管理システムにおける情報表示手段を構成するスマートホンのディスプレイの図面表示時における表示画面図、
図8】同管理システムにおける情報表示手段を構成するスマートホンのディスプレイの図面表示の拡大時における表示画面図、
図9】同管理システムにおける情報表示手段を構成するスマートホンのディスプレイの写真表示時における表示画面図、
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0024】
まず、本実施形態に係る管理システム1の全体のシステム系統について、図1図3を参照して説明する。
【0025】
図1は、管理システム1の全体のシステム系統図を示す。管理システム1における主要部の構成は、大別して、コード表示手段Mc,コード読取送信手段Mr,詳細情報表示手段Mdを備える。
【0026】
コード表示手段Mcは、図1及び図2に示すように、マンホールの蓋Hcの裏面Hcr側に、マンホールHmに対応する読取コード2を表示して構成したものである。読取コード2には、グラフィックパターンを用いた情報記憶コード、即ち、図形等の形や位置により情報を記憶し、その形や位置をスキャンすることにより情報を再生する機能を有する読取コード2を用いる。この場合、一般には、一次元コードによるバーコード,特定の利用者のみが使用できる固有のルールで作成されたオリジナルコード等の各種の情報記憶コードを利用可能である。本実施形態では、記憶できる情報量を確保する観点から二次元コード2sを用いた。特に、二次元コード2sとしては、QRコード(登録商標)を用いることが望ましい。
【0027】
このように、読取コード2に、二次元コード2sを用いれば、一般に広く利用されているQRコード等を利用できるため、実用化されているリーダーやアプリケーションソフトウェアにより容易かつ確実に読取ることができるなど、安定性及び信頼性の高い管理システム1を構築することができる。
【0028】
また、コード表示手段Mcを構成するに際し、実施形態では、一例として、図2及び図3に示す表示シート11を用いた。なお、この表示シート11は一枚の紙で足りる。そして、表示シート11の一方の面(おもて面)11fに、図3に示す二次元コード(QRコード)2sを印刷等により表示するとともに、工事名,仕切弁番号,簡単説明文などを表示する。表示シート11の他方の面(裏面)11rには、図5に示すように、詳細な使用説明図2dを表示することができる。
【0029】
このような表示態様は、任意に実施可能である。例えば、表示シート11の片面に二次元コード2sのみを表示する態様、表示シート11を大きめに形成して、表示シート11の片面に二次元コード2sと使用説明図2dを表示する態様、表示シート11を二枚組にする態様など、その実施態様は任意である。
【0030】
そして、この表示シート11は、透明素材により形成した防水性のパック(袋)21に収容して密閉するとともに、丈夫な紐22を用意し、図2に示すように、紐22の一端側をパック21に固定したハトメ金具23に結び付ける。また、紐22の他端側は、マンホールの蓋Hcのヒンジ部25のシャフト等に結合すればよい。これにより、表示シート11は、マンホールの蓋Hcの裏面Hcr側に固定される。
【0031】
このように、コード表示手段Mcとして、読取コード2,又は読取コード2と使用説明書2d,を表示した表示シート11をマンホールの蓋Hcの裏面Hcr側に固定するようにすれば、例えば、表示シート11は紐等により吊り下げて固定できるため、日常的に使用する日用品等を利用することにより、容易かつ経済的に実施することができる。
【0032】
一方、コード読取送信手段Mrは、読取機能Frを有するモバイル端末3により読取コード2を読み取り、読み取った当該読取コード2に係わるコードデータを、所定の通信ネットワークNを介してサーバコンピュータ4に送信する機能を備える。この場合、モバイル端末3には、少なくともスマートホン12を含ませることができる。スマートホン12には、通常、カメラ12cが付属し、読取機能Fr及び送受信機能を備えているため、スマートホン12の撮影機能(読取機能Fr)及び送受信機能をそのまま利用できる。これにより、管理システム1に対する専用機器が不要になるとともに、広く普及しているスマートホン12の利用により容易に実施することができる。
【0033】
また、通信ネットワークNには、インターネットNiを利用できる。インターネットNiを利用すれば、広く普及しているインターネットNiにより容易に実施することかできる。したがって、専用のネット回線や通信回線を使用する必要がないなど、実施の低コスト化及び容易化に寄与することができる。図1中、Niは、通信ネットワークNとして利用するインターネットを示し、スマートホン12は、中継局31を介してインターネットに接続することができる。
【0034】
詳細情報表示手段Mdは、サーバコンピュータ4が、スマートホン12から送信されるコードデータを受信したなら、付属するデータベース5に登録したコードデータに対応する詳細内容情報Diをモバイル端末3に付属するディスプレイ6で表示可能にする機能を備える。図1中、4は、インターネットNiに接続したサーバコンピュータを示す。このサーバコンピュータ4には、一般に普及しているパーソナルコンピュータを利用できるとともに、クラウドコンピューティング等を利用してもよい。
【0035】
このサーバコンピュータ4は、HDD(ハードディスクドライブ)/SSD(ソリッドステートドライブ)等のデータ保存装置35が付属する。データ保存装置35は、データエリア35dとプログラムエリア35pを備え、データエリア35dには、少なくとも、配管設備Epに係わる各種図面13(図7図8参照)を含む配管図データベース35df,及び配管設備Epに関連する各種写真14(図9参照)を含む写真データベース35dpが登録されるとともに、関連する各種の詳細資料15(図9参照)が登録される。さらに、データエリア35dには、配管設備Epに関連する各種追加資料を含む各種データ類が書き込まれる。
【0036】
このように、詳細内容情報Diに、配管設備Epに係わる、図面13,写真14,詳細資料15の一又は二以上を含ませれば、配管設備Epに対する必要な詳細内容を十分に得ることができるため、設備内容を的確に把握し、復旧作業等を迅速かつ確実に行うことができる。
【0037】
また、プログラムエリア35pには、配管システム1を機能させるシステムプログラムPs(アプリケーションソフトウェア)が格納される。なお、このシステムプログラムPsには、スマートホン12側にインストールするアプリケーションソフトウェアも含まれる。したがって、スマートホン12からコードデータが送信されれば、スマートホン12に付属するディスプレイ6により、このコードデータに対応する詳細内容情報Diを閲覧可能、又はダウンロードすることが可能になる。即ち、ディスプレイ6に、図6図9に示す詳細内容情報Diを表示させることができる。
【0038】
次に、本実施形態に係る管理システム1の使用方法について、各図を参照しつつ図4に示すフローチャートに従って説明する。
【0039】
今、地震等の災害が発生し、上水道本管に係わる配管設備Epの一部が損傷し、水漏れ事故等の異常が発生した場合を想定する。この場合、通常、自治体の管理者から配管設備Epの復旧業者(施工業者)に連絡されるため、この連絡に基づき、復旧業者は速やかに現場に移動する(ステップS1)。
【0040】
現場では、現場における配管設備Epの詳細な状態を把握する必要があるため、まず、図2に示すように、マンホールHmの蓋Hcを開け、表示シート11が有るか否かを確認する(ステップS2)。この際、表示シート11(二次元コード2sの表示)がない場合には、他の方法を選択する(ステップS100)。
【0041】
一方、本実施形態により、マンホールHmの蓋Hcの裏面Hcr側には、図3に示す表示シート11が設けられているため、復旧業者は、スマートホン12を使用し、例えば、自社のウェブサイトを立ち上げ、対応するページを開くとともに、図1に示すように、カメラ12cを使用して、表示シート11に表示されている二次元コード2s(QRコード)を撮影する(ステップS3,S4)。正常に撮影されたなら送信ボタンをクリック(ON)する(ステップS5)。これにより、二次元コード2sのコードデータがサーバコンピュータ4に送信され、これに基づき、スマートホン12のディスプレイ6には、コードデータに対応する工事名,仕切弁番号,簡単説明文等を含む図6に示す選択画面Vsが表示される(ステップS6)。
【0042】
この選択画面Vsに基づき、現場のマンホールHmに対応する仕切弁No1,No2…を選択する。今、一例として、仕切弁No1を選択するとともに、表示対象(表示フォーマット)として、項目「配管図をPDFで見る」(PDFフォーマット)Vsaを選択した場合を想定する(ステップS7,S8)。これにより、ディスプレイ6には、図7に示すように、対応した配管図13がPDF表示される(ステップS9)。この配管図は、必要により、図8に示すように、拡大表示することができる。なお、選択画面Vsにおいて、項目「配管図を写真で見る」Vsbを選択した場合には、写真(JPEGフォーマット)による配管図13を見ることができる。
【0043】
一方、項目「施工状況写真」Vscをクリックすることにより、施工写真を見ることができる(ステップS10,S11)。この場合、ディスプレイ6には、図9に示す仕切弁No1の写真14が表示されるとともに、付属する詳細資料15が表示される(ステップS12)。さらに、施工写真に係わる他の写真が存在する場合には、次ボタンをクリックすることにより、次の写真や詳細資料を表示させることができる(ステップS13,S14,S12)。
【0044】
必要な、配管図13,写真14,詳細資料15に係わる詳細内容情報Diが把握できたなら、異常に伴う必要な対応処理、即ち、配管設備Epに対する必要な復旧作業を行うことができる(ステップS13,S15)。そして、必要な対応処理が終了したなら、復旧業者は、自治体の管理者等に復旧作業が終了した旨を連絡することができる(ステップS16,S17)。他方、異常が発生している他の現場がある場合には、当該現場へ移動し、処理システム1に基づく同様の処理を実施することができる(ステップS18,S1,S2…)。
【0045】
よって、このような本実施形態に係る管理システム1によれば、基本的な構成として、マンホールの蓋Hcの裏面Hcr側に、マンホールHmに対応する二次元コード2s(QRコード)を表示してなるコード表示手段Mcと、読取機能Frを有するスマートホン12(モバイル端末3)により二次元コード2sを読み取り、読み取った当該二次元コード2sに係わるコードデータを、インターネットNiを介してサーバコンピュータ4に送信するコード読取送信手段Mrと、コードデータを受信したならサーバコンピュータ4に付属するデータベース5に登録したコードデータに対応する詳細内容情報Diをスマートホン12に付属するディスプレイ6で表示可能にする詳細情報表示手段Mdとを備えるため、各マンホールHm…には読取コード2のみを表示すれば済み、各マンホールHm…毎に設置するセンサや計測手段等の精密部品類が不要になるなど、コスト面,運用面及び労力面できわめて有利になる。特に、寒暖差や雨等の気候を含む環境に影響を受けにくいため、故障や劣化等の不具合が発生しにくく、長期間設置した場合における信頼性に優れる。しかも、正常に動作しているか否か等を監視する定期的なメンテナンスも不要になる。
【0046】
また、災害等による突然の異常発生時であって、配管設備Epの復旧業者(施工業者)と配管設備Epの管理者(自治体)が異なるような場合であっても、復旧業者は、配管設備Epに関する詳細内容情報Diを速やかに得れるため、重要なライフラインに係わる配管設備Epの点検、更には必要な復旧作業を迅速かつ的確に実施することができる。
【0047】
以上、好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
【0048】
例えば、配管設備Epに備える配管Pgとして、代表的な上水道本管を例示したが、マンホールHmを付設したガス管や電線(ケーブル)等の各種対象物を含ませることができるとともに、配管設備EpもマンホールHmを付設した下水道設備等の各種設備を含ませることができる。また、読取コード2として、二次元コード2sが望ましいが、一次元コード(バーコード)を排除するものではい。また、二次元コード2sとして、QRコードを利用する場合を例示したが、グラフィックパターンにより作成できる各種コード(オリジナルコード)を利用することが可能である。さらに、モバイル端末3としてスマートホン12を例示したが、ノートパソコン等の携帯用のパソコンを含む各種モバイル機器を利用できるとともに、例えば、モバイル機器にカメラを内蔵せず、送受信機能のみを有するような場合、外付けのカメラやコードを読取る機能を有するコードリーダー等を一緒に携帯するなどの各種形態により実施可能である。一方、コード表示手段Mcは、マンホールの蓋Hcの裏面Hcrに、読取コード2を表示した表示シート11を直接貼付けるなど、各種形態により実施できる。また、所定の通信ネットワークNとしてインターネットNiを例示したが、専用回線や専用ネットワークの使用を排除するものではない。さらに、詳細内容情報Diとして、配管設備Epに係わる図面13,写真14,詳細資料15を挙げたが、復旧マニュアル等の各種の資料を含めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明に係る管理システムは、地下に設置された上水道管等の各種配管に対して付設したマンホールを備える配管設備を管理する際に利用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1:管理システム,2:読取コード,2s:二次元コード,2d:使用説明書,3:モバイル端末,4:サーバコンピュータ,5:データベース,6:ディスプレイ,11:表示シート,12:スマートホン,13:図面,14:写真,Pg:配管,Hm:マンホール,Hc:マンホールの蓋,Hcr:マンホールの蓋の裏面,Ep:配管設備,Mc:コード表示手段,Mr:コード読取送信手段,Md:詳細情報表示手段,Fr:読取機能,N:通信ネットワーク,Ni:インターネット,Di:詳細内容情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9