IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ リジェネクスバイオ インコーポレイテッドの特許一覧

特開2024-84803組換えAAV生成のためのスケーラブルな方法
<>
  • 特開-組換えAAV生成のためのスケーラブルな方法 図1
  • 特開-組換えAAV生成のためのスケーラブルな方法 図2
  • 特開-組換えAAV生成のためのスケーラブルな方法 図3
  • 特開-組換えAAV生成のためのスケーラブルな方法 図4
  • 特開-組換えAAV生成のためのスケーラブルな方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084803
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】組換えAAV生成のためのスケーラブルな方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 7/01 20060101AFI20240618BHJP
   C12N 15/35 20060101ALN20240618BHJP
   C12N 15/34 20060101ALN20240618BHJP
   C12N 15/864 20060101ALN20240618BHJP
【FI】
C12N7/01
C12N15/35
C12N15/34
C12N15/864 100Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024060184
(22)【出願日】2024-04-03
(62)【分割の表示】P 2021506952の分割
【原出願日】2019-08-09
(31)【優先権主張番号】62/717,212
(32)【優先日】2018-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518278029
【氏名又は名称】リジェネクスバイオ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ギルマイスター マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレ ミゲル
(72)【発明者】
【氏名】スタデルマン ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ゲルナー フランツ
(72)【発明者】
【氏名】ギベール マチュー
(72)【発明者】
【氏名】コンドラグンタ バーガヴィ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子を生成するための改善された方法を提供する。
【解決手段】いくつかの実施形態において、本明細書で提供される組換えAAV(rAAV)粒子を生成する方法は、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤の存在下で、rAAV粒子を生成可能な細胞を培養することを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される組換えAAV(rAAV)粒子を生成する方法は、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤と増加した量のナトリウム塩との存在下で、rAAV粒子を生成可能な細胞を培養することを含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
rAAV粒子を生成する方法であって、
(a)細胞を含む細胞培養物を準備することと、
(b)前記細胞に、以下:
i.パッケージング対象のrAAVゲノム、
ii.パッケージングするのに必要なアデノウイルスヘルパー機能、
iii.パッケージングするのに十分なAAV repタンパク質、及び
iv.パッケージングするのに十分なAAV capタンパク質
のうちの少なくとも1つをコードする1つ以上のポリヌクレオチドを導入することと、
(c)前記細胞培養物に、約0.1mMから約20mMの間の最終濃度までHDAC阻害剤を添加することと、
(d)(b)の後に約2日から約15日の間にわたり、前記rAAV粒子の生成を可能にする条件下で前記細胞培養物を維持することと
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記HDAC阻害剤が、短鎖脂肪酸またはその塩である、請求項2に記載の方法。
【請求項3】
前記HDAC阻害剤が、バルプロ酸、プロピオン酸、酪酸、またはこれらの塩である、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記HDAC阻害剤がバルプロ酸ナトリウムである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記HDAC阻害剤がプロピオン酸ナトリウムである、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記細胞培養物が、約0.5mMから約5mMの間の最終HDAC阻害剤濃度を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記細胞培養物が、約0.5mMから約3mMの間の最終HDAC阻害剤濃度を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記HDAC阻害剤がステップb)の後に添加される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記HDAC阻害剤が、ステップb)の約1時間後から約48時間後に添加される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記HDAC阻害剤が、ステップb)の約12時間後から約36時間後に添加される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記HDAC阻害剤が、ステップb)の約18時間後から約30時間後に添加される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記HDAC阻害剤が、ステップb)の約48時間後より前に添加される、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記HDAC阻害剤が、ステップb)の約36時間後より前に添加される、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記HDAC阻害剤が、ステップb)の少なくとも約6時間後に添加される、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記HDAC阻害剤が、ステップb)の少なくとも約12時間後に添加される、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
前記HDAC阻害剤が、ステップb)の約6時間後、約9時間後、約12時間後、約18時間後、約20時間後、約24時間後、約30時間後、約36時間後、または約48時間後に添加される、請求項8に記載の方法。
【請求項17】
前記HDAC阻害剤が、ステップb)の約20時間後に添加される、請求項8に記載の方法。
【請求項18】
前記HDAC阻害剤が、ステップb)の約24時間後に添加される、請求項8に記載の方法。
【請求項19】
前記培養物に、ナトリウム塩の最終濃度を約20mMから約150mMの間だけ増加させるのに十分な量の前記ナトリウム塩を添加することをさらに含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記ナトリウム塩の最終濃度が、約20mMから約50mMの間、約40mMから約80mMの間、または約70mMから約120mMの間だけ増加する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ナトリウム塩の最終濃度が、約40mMから約140mMの間だけ増加する、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記培養物に、ナトリウム塩の最終濃度を約120mMから約250mMの間まで増加させるのに十分な量の前記ナトリウム塩を添加することをさらに含む、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記ナトリウム塩の最終濃度が、約130mMから約160mMの間、約150mMから約190mMの間、または約180mMから約240mMの間である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ナトリウム塩の最終濃度が、約150mMから約240mMの間である、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記ナトリウム塩を添加する前に、前記細胞培養物が約90mMから約120mMの間のNaClを含んでいる、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記ナトリウム塩が塩化ナトリウムである、請求項19~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記HDAC阻害剤及び前記ナトリウム塩が、任意の順序で別々に添加される、請求項19~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記ナトリウム塩がb)の前に添加される、請求項19~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記ナトリウム塩がb)の後に添加される、請求項19~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記ナトリウム塩が、前記HDAC阻害剤を添加した後に添加される、請求項19~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記ナトリウム塩が、前記HDAC阻害剤を添加してから約5分後から約6時間後に添加される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記ナトリウム塩が、前記HDAC阻害剤を添加してから約20分後から約2時間後に添加される、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記ナトリウム塩が、前記HDAC阻害剤を添加してから約2時間後より前に添加される、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記ナトリウム塩が、前記HDAC阻害剤を添加してから約1時間後より前に添加される、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記ナトリウム塩が、前記HDAC阻害剤を添加してから少なくとも約5分後に添加される、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記ナトリウム塩が、前記HDAC阻害剤を添加してから少なくとも約20分後に添加される、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
前記細胞培養物が、b)の後に約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、または約7日間維持される、請求項1~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記細胞培養物が、b)の後に約5日間維持される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記細胞に、以下:
i.パッケージング対象のrAAVゲノム、
ii.パッケージングするのに必要なアデノウイルスヘルパー機能、
iii.パッケージングするのに十分なAAV repタンパク質、及び
iv.パッケージングするのに十分なAAV capタンパク質
をコードする1つ以上のポリヌクレオチドを導入することを含む、請求項1~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記アデノウイルスヘルパー機能が、アデノウイルスE1a遺伝子、E1b遺伝子、E4遺伝子、E2a遺伝子、及びVA遺伝子のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記1つ以上のポリヌクレオチドを前記細胞に導入することが、形質移入により行われる、請求項1~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記細胞が哺乳類細胞である、請求項1~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記細胞が昆虫細胞である、請求項1~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記細胞が、HEK293細胞、HEK由来細胞、CHO細胞、CHO由来細胞、HeLa細胞、SF-9細胞、BHK細胞、ベロ細胞、またはPerC6細胞である、請求項1~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記細胞がHEK293細胞である、請求項1~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記細胞培養物が浮遊培養物である、請求項1~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記rAAV粒子を回収することをさらに含む、請求項1~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記細胞培養物が、5×10e+10GC/mlを超えるrAAV粒子を生成する、請求項1~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記細胞培養物が、前記HDAC阻害剤及びナトリウム塩を添加しない培養物よりも、GC/mlとしての測定で少なくとも約2倍多いrAAV粒子を生成する、請求項1~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記細胞培養物が、約50リットルから約20,000リットルの間の体積を有する、請求項1~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
rAAV粒子を生成するための方法であって、
(a)rAAVを生成可能な細胞を含む細胞培養物を準備することと、
(b)前記細胞培養物に、約0.1mMから約20mMの間の最終濃度までHDAC阻害剤を添加することと、
(c)前記rAAV粒子の生成が可能な条件下で前記細胞培養物を維持することと
を含む、前記方法。
【請求項52】
前記HDAC阻害剤が、短鎖脂肪酸またはその塩である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記HDAC阻害剤が、バルプロ酸、プロピオン酸、酪酸、またはこれらの塩である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記HDAC阻害剤がプロピオン酸ナトリウムである、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記HDAC阻害剤がバルプロ酸ナトリウムである、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記細胞培養物が、約0.5mMから約5mMの間の最終HDAC阻害剤濃度を有する、請求項51~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記細胞培養物が、約0.5mMから約3mMの間の最終HDAC阻害剤濃度を有する、請求項51~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記培養物に、ナトリウム塩の最終濃度を約20mMから150mMの間だけ増加させるのに十分な量の前記ナトリウム塩を添加することをさらに含む、請求項51~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記ナトリウム塩の最終濃度が、約20mMから約50mMの間、約40mMから約80mMの間、または約70mMから約120mMの間だけ増加する、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記ナトリウム塩の最終濃度が、約40mMから約140mMの間だけ増加する、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
前記培養物に、ナトリウム塩の最終濃度を約120mMから約250mMの間まで増加させるのに十分な量の前記ナトリウム塩を添加することをさらに含む、請求項51~60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記ナトリウム塩の最終濃度が、約130mMから約160mMの間、約150mMから約190mMの間、または約180mMから約240mMの間である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記ナトリウム塩の最終濃度が、約150mMから約240mMの間である、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
前記ナトリウム塩を添加する前に、前記細胞培養物が約90mMから約120mMの間のNaClを含んでいる、請求項51~63のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
前記ナトリウム塩が塩化ナトリウムである、請求項51~64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記HDAC阻害剤及び前記ナトリウム塩が、任意の順序で別々に添加される、請求項51~65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
前記ナトリウム塩が、前記HDAC阻害剤を添加した後に添加される、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記ナトリウム塩が、前記HDAC阻害剤を添加してから約5分後から約6時間後に添加される、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記ナトリウム塩が、前記HDAC阻害剤を添加してから約20分後から約2時間後に添加される、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
前記ナトリウム塩が、前記HDAC阻害剤を添加してから約2時間後より前に添加される、請求項67に記載の方法。
【請求項71】
前記ナトリウム塩が、前記HDAC阻害剤を添加してから約1時間後より前に添加される、請求項67に記載の方法。
【請求項72】
前記ナトリウム塩が、前記HDAC阻害剤を添加してから少なくとも約5分後に添加される、請求項67に記載の方法。
【請求項73】
前記ナトリウム塩が、前記HDAC阻害剤を添加してから少なくとも約20分後に添加される、請求項67に記載の方法。
【請求項74】
前記細胞培養物が、b)の後に約2日から約10日の間にわたりまたは約5日から14日の間にわたり、前記rAAV粒子の生成を可能にする条件下で維持される、請求項51~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
前記細胞培養物が、b)の後に約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、または約7日間維持される、請求項51~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
前記細胞培養物が、b)の後に約5日間維持される、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
rAAV粒子を生成するための方法であって、rAAV粒子を生成可能な細胞を、前記rAAV粒子の生成を可能にする条件下、約0.1mMから約20mMの間のHDAC阻害剤を含む培地中で培養することを含む、前記方法。
【請求項78】
前記HDAC阻害剤が、短鎖脂肪酸またはその塩である、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記HDAC阻害剤が、バルプロ酸、プロピオン酸、酪酸、またはこれらの塩である、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記HDAC阻害剤がバルプロ酸ナトリウムである、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記HDAC阻害剤がプロピオン酸ナトリウムである、請求項79に記載の方法。
【請求項82】
前記培地が、約0.5mMから約5mMの間の前記HDAC阻害剤を含む、請求項77~81のいずれか1項に記載の方法。
【請求項83】
前記培地が、約0.5mMから約3mMの間の前記HDAC阻害剤を含む、請求項77~81のいずれか1項に記載の方法。
【請求項84】
前記培地が、約120mMから約250mMの間の塩化ナトリウムをさらに含む、請求項77~83のいずれか1項に記載の方法。
【請求項85】
前記培地が、約130mMから約160mMの間、約150mMから約190mMの間、または約180mMから約240mMの間のNaCl塩化ナトリウムをさらに含む、請求項77~83のいずれか1項に記載の方法。
【請求項86】
前記培地が、約150mMから約240mMの間の塩化ナトリウムをさらに含む、請求項77~83のいずれか1項に記載の方法。
【請求項87】
rAAVを生成可能な前記細胞に、以下:
(a)パッケージング対象のrAAVゲノム、
(b)パッケージングするのに必要なアデノウイルスヘルパー機能、
(c)パッケージングするのに十分なAAV repタンパク質、及び
(d)パッケージングするのに十分なAAV capタンパク質
のうちの少なくとも1つをコードする1つ以上のポリヌクレオチドが形質移入されている、請求項51~86のいずれか1項に記載の方法。
【請求項88】
rAAVを生成可能な前記細胞に、以下:
(a)パッケージング対象のrAAVゲノム、
(b)パッケージングするのに必要なアデノウイルスヘルパー機能、
(c)パッケージングするのに十分なAAV repタンパク質、及び
(d)パッケージングするのに十分なAAV capタンパク質
をコードする1つ以上のポリヌクレオチドが形質移入されている、請求項51~86のいずれか1項に記載の方法。
【請求項89】
前記細胞が、哺乳類細胞または昆虫細胞である、請求項51~88のいずれか1項に記載の方法。
【請求項90】
前記細胞が、HEK293細胞、HeLa細胞、SF-9細胞、BHK細胞、ベロ細胞、またはPerC6細胞であり、任意選択で、前記細胞がHEK293細胞である、請求項51~88のいずれか1項に記載の方法。
【請求項91】
前記細胞培養物が浮遊培養物である、請求項51~90のいずれか1項に記載の方法。
【請求項92】
前記rAAV粒子の生成を可能にする条件下での前記培養することが、約2日から約10日の間にわたりまたは約5日から14日の間にわたり行われる、請求項77~91のいずれか1項に記載の方法。
【請求項93】
前記rAAV粒子の生成を可能にする条件下での前記培養することが、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、または約7日間行われる、請求項77~91のいずれか1項に記載の方法。
【請求項94】
前記rAAV粒子の生成を可能にする条件下での前記培養することが約5日間行われる、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記rAAV粒子を回収することをさらに含む、請求項51~94のいずれか1項に記載の方法。
【請求項96】
前記細胞培養物が、約5×10e+10GC/mlから約1×10e+12GC/mlの間のrAAV粒子を生成する、請求項51~95のいずれか1項に記載の方法。
【請求項97】
前記細胞培養物が、前記HDAC阻害剤及びナトリウム塩を添加しない培養物よりも、GC/mlとしての測定で少なくとも約2倍多いrAAV粒子を生成する、請求項51~96のいずれか1項に記載の方法。
【請求項98】
rAAV粒子の生成を増加させる方法であって
(a)細胞を含む細胞培養物を準備することと、
(b)前記細胞に、以下:
i.パッケージング対象のrAAVゲノム、
ii.パッケージングするのに必要なアデノウイルスヘルパー機能、
iii.パッケージングするのに十分なAAV repタンパク質、及び
iv.パッケージングするのに十分なAAV capタンパク質
のうちの少なくとも1つをコードする1つ以上のポリヌクレオチドを導入することと、
(c)前記細胞培養物に、約0.1mMから約20mMの間の最終濃度までHDAC阻害剤を添加することと、
(d)(b)の後に約2日から約15日の間にわたり、前記rAAV粒子の生成を可能にする条件下で前記細胞培養物を維持することと
を含む、前記方法。
【請求項99】
前記HDAC阻害剤がバルプロ酸ナトリウムである、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記HDAC阻害剤がプロピオン酸ナトリウムである、請求項98に記載の方法。
【請求項101】
前記培養物に、ナトリウム塩の最終濃度を約40mMから約150mMの間だけ増加させるのに十分な量の前記ナトリウム塩を添加することをさらに含む、請求項98~100のいずれか1項に記載の方法。
【請求項102】
前記ナトリウム塩が塩化ナトリウムである、請求項98~101のいずれか1項に記載の方法。
【請求項103】
rAAV粒子の生成を増加させる方法であって
(a)rAAVを生成可能な細胞を含む細胞培養物を準備することと、
(b)前記細胞培養物に、約0.1mMから約20mMの間の最終濃度までHDAC阻害剤を添加することと、
(c)前記rAAV粒子の生成が可能な条件下で前記細胞培養物を維持することと
を含む、前記方法。
【請求項104】
前記HDAC阻害剤がバルプロ酸ナトリウムである、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記HDAC阻害剤がプロピオン酸ナトリウムである、請求項103に記載の方法。
【請求項106】
前記培養物に、ナトリウム塩の最終濃度を約120mMから約250mMの間まで増加させるのに十分な量の前記ナトリウム塩を添加することをさらに含む、請求項103~105のいずれか1項に記載の方法。
【請求項107】
前記ナトリウム塩が塩化ナトリウムである、請求項103~106のいずれか1項に記載の方法。
【請求項108】
前記細胞培養物が、b)の後に約2日から約10日の間にわたりまたは約5日から14日の間にわたり、前記rAAV粒子の生成を可能にする条件下で維持される、請求項103~107のいずれか1項に記載の方法。
【請求項109】
前記細胞培養物が、b)の後に約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、または約7日間維持される、請求項103~107のいずれか1項に記載の方法。
【請求項110】
前記細胞培養物が、b)の後に約5日間維持される、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
rAAV粒子の生成を増加させる方法であって、rAAV粒子を生成可能な細胞を、前記rAAV粒子の生成を可能にする条件下、約0.1mMから約20mMの間のHDAC阻害剤を含む培地中で培養することを含む、前記方法。
【請求項112】
前記HDAC阻害剤がバルプロ酸ナトリウムである、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
前記HDAC阻害剤がプロピオン酸ナトリウムである、請求項111に記載の方法。
【請求項114】
前記培地が、約120mMから約250mMの間の塩化ナトリウムをさらに含む、請求項111~113のいずれか1項に記載の方法。
【請求項115】
前記rAAV粒子が、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、及びAAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、またはAAV.HSC16血清型のカプシドタンパク質を含む、請求項1~114のいずれか1項に記載の方法。
【請求項116】
前記rAAV粒子が、AAV8、AAV9、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、またはAAV.hu37血清型のカプシドタンパク質を含む、請求項1~114のいずれか1項に記載の方法。
【請求項117】
前記rAAV粒子が、AAV8またはAAV9血清型のカプシドタンパク質を含む、請求項1~114のいずれか1項に記載の方法。
【請求項118】
前記細胞培養物が、約50リットルから約20,000リットルの間の体積を有する、請求項1~117のいずれか1項に記載の方法。
【請求項119】
前記細胞培養物が、約50リットルから約5,000リットルの間の体積を有する、請求項118に記載の方法。
【請求項120】
前記細胞培養物が、約50リットルから約2,000リットルの間の体積を有する、請求項118に記載の方法。
【請求項121】
前記細胞培養物が、約50リットルから約1,000リットルの間の体積を有する、請求項118に記載の方法。
【請求項122】
前記細胞培養物が、約50リットルから約500リットルの間の体積を有する、請求項118に記載の方法。
【請求項123】
請求項1~122のいずれか1項に記載の方法によって生成された、単離されたrAAV粒子を含む、組成物。
【請求項124】
前記パッケージングされたrAAVゲノムが導入遺伝子を含む、請求項1~50または98~102のいずれか1項に記載の方法。
【請求項125】
前記導入遺伝子が、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと作用可能に接続した調節エレメントを含む、請求項124に記載の方法。
【請求項126】
前記調節エレメントが、エンハンサー、プロモーター、及びポリA領域のうちの1つ以上を含む、請求項125に記載の方法。
【請求項127】
前記調節エレメントと、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとが、異種である、請求項125または請求項126に記載の方法。
【請求項128】
前記導入遺伝子が、抗VEGF Fab、イズロニダーゼ(IDUA)、イズロン酸2-スルファターゼ(IDS)、低密度リポタンパク質受容体(LDLR)、トリペプチジルペプチダーゼ1(TPP1)、またはVEGF受容体1(sFlt-1)の非膜結合型スプライスバリアントをコードする、請求項124~127のいずれか1項に記載の方法。
【請求項129】
前記導入遺伝子が、ガンマ-サルコグリカン、Rabエスコートタンパク質1(REP1/CHM)、レチノイドイソメロヒドロラーゼ(RPE65)、環状ヌクレオチドゲートチャネルアルファ3(CNGA3)、環状ヌクレオチドゲートチャネルベータ3(CNGB3)、芳香族L-アミノ酸デカルボキシラーゼ(AADC)、リソソーム関連膜タンパク質2アイソフォームB(LAMP2B)、第VIII因子、第IX因子、網膜色素変性GTPアーゼ制御因子(RPGR)、レチノスキシン(RS1)、筋小胞体カルシウムATPアーゼ(SERCA2a)、アフリベルセプト、バッテニン(CLN3)、膜貫通ERタンパク質(CLN6)、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)、アクアポリン1(AQP1)、ジストロフィン、ミオチューブラリン1(MTM1)、フォリスタチン(FST)、グルコース-6-ホスファターゼ(G6Pアーゼ)、アポリポタンパク質A2(APOA2)、ウリジン二リン酸グルクロノシルトランスフェラーゼ1A1(UGT1A1)、アリールスルファターゼB(ARSB)、N-アセチル-アルファ-グルコサミニダーゼ(NAGLU)、アルファ-グルコシダーゼ(GAA)、アルファ-ガラクトシダーゼ(GLA)、ベータ-ガラクトシダーゼ(GLB1)、リポタンパク質リパーゼ(LPL)、アルファ1-アンチトリプシン(AAT)、ホスホジエステラーゼ6B(PDE6B)、オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ9OTC)、生存運動ニューロン(SMN1)、生存運動ニューロン(SMN2)、ニュールツリン(NRTN)、ニューロトロフィン-3(NT-3/NTF3)、ポルホビリノーゲンデアミナーゼ(PBGD)、神経成長因子(NGF)、ミトコンドリアコードNADH:ユビキノンオキシドレダクターゼコアサブユニット4(MT-ND4)、保護タンパク質カテプシンA(PPCA)、ジスフェリン、MERがん原遺伝子チロシンキナーゼ(MERTK)、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)、または腫瘍壊死因子受容体(TNFR)-免疫グロブリン(IgG1)Fc融合体をコードする、請求項124~127のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年8月10日出願の米国仮出願第62/717,212号の優先権を主張し、当該出願の全体は本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベースベクターは、現在最も広く使用されている開発中の遺伝子療法製品である。rAAVベクター系の使用が好まれる理由は、部分的には、野生型ウイルスに関連する疾患がないこと、AAVの形質導入が非分裂細胞にも分裂細胞にも可能であること、及び臨床試験で結果的に長期のロバストな導入遺伝子発現が観察されていることによるものであり、このことは、遺伝子療法の適応症における送達の大きな可能性を示している。加えて、種々の天然AAV及び組換えAAVベクター血清型は、種々の組織、器官、及び細胞を特異的に標的化し、ベクターに対する任意の既存の免疫を回避するのに役立ち、そのためAAVベース遺伝子療法の治療応用を拡大する。
【0003】
ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤は、組換え動物細胞培養でタンパク質を発現させるための形質移入プロトコルで使用されている。例えば、Vazquez-Lombardiは、IgGを発現するプラスミドと共に同時形質移入試薬としてのHDAC阻害剤(「エンハンサー1及び2」)を使用することを例示し、加えて、2日目にエンハンサーを培養物に添加した(Vazquez-Lombardi et al.,Nature Protocols,13(1):99-117(2018)(非特許文献1)、2017年12月14日にオンライン公開)。WO2013166339A1では、エンハンサー1(バルプロ酸)及びエンハンサー2(プロピオン酸ナトリウム)を50L未満の小規模培養条件で使用することが説明されており、エンハンサー2は単独では強い効果を有しないが、エンハンサー1と組み合わせると組換えIgG生成に利益をもたらし得ることが観察されている。Chunは、プロピオン酸及び酪酸を使用することでCHO細胞による組換えBドメイン欠失第VIII因子の生成が促進され、ただし両方のアルカン酸が細胞成長を阻害し、rFVIII生成は約3.5日で最大となったことを報告している(Chun et al.,Biotechnology Letters,25:315-319(2003)(非特許文献2))。Cerveraは、HEK293浮遊細胞培養で単一の組換えポリペプチドを含むウイルス様粒子(例えば、Gag様ウイルス様粒子)の生成を増加させるためにトランスフェクションエンハンサーの混合物を使用することについて報告している(Cervera et al,Appl.Microbiol.Biotechnol.,99:9935-9949(2015)(非特許文献3))。しかしながら、これらの報告はいずれも、ゲノムをカプシド形成するウイルス粒子の組換え生成(例えば、培養細胞が複数のポリペプチド及びヌクレオチドゲノムを含むrAAV粒子を発現させる)を増加させるためのヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤の使用については開示していない。
【0004】
Tiernan及びTipperは、rAAV導入遺伝子を含む安定した細胞株を産生するための方法におけるHDAC阻害剤トリコスタチンAの使用について開示している(WO2018/175775(特許文献1))。Tiernan及びTipperは、組換えウイルスベクター及びHDAC阻害剤の同時トランスフェクションを含む方法が、ウイルスベクターの宿主細胞ゲノムへの組み込みを強化し、宿主細胞から収集されるウイルスベクターの収量を増加させ得ることについて開示している。Tiernan及びTipperは、rAAV粒子の生成で安定した細胞株を使用することについて開示しているが、rAAV粒子の生成培養物でHDAC阻害剤を使用することについては教示も示唆もしていない。
【0005】
AAVベース遺伝子療法を後期臨床段階及び商業的使用により広く採用できるようになる前には、GMPに準拠して大規模にrAAV粒子を生成するための新たな方法を開発する必要がある。上流処理の開発における主な課題は、rAAVを生成するためのスケーラブルかつコスト効果的なGMPに準拠した方法を確立することである。1つの単位用量のrAAV粒子を製造するには、現在承認されている方法を使用すると、数十万ドルのコストがかかり得る。したがって、rAAV粒子を生成するためのGMPに準拠したスケーラブルな処理が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2018/175775
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Vazquez-Lombardi et al.,Nature Protocols,13(1):99-117(2018)
【非特許文献2】Chun et al.,Biotechnology Letters,25:315-319(2003)
【非特許文献3】Cervera et al,Appl.Microbiol.Biotechnol.,99:9935-9949(2015)
【発明の概要】
【0008】
本開示は、組換えAAV(rAAV)粒子を生成する方法であって、rAAV粒子の生成を可能にする条件下、有効量のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤の存在下でrAAV粒子を生成可能な細胞を培養することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、細胞は、HDAC阻害剤及び約110mMから250mMの間の濃度のナトリウム塩の存在下で培養される。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、本明細書で開示される方法に従って生成されたrAAV粒子を単離することを包含する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、細胞培養物の収集、(例えば、遠心分離もしくは深層濾過による)収集した細胞培養物の清澄化、タンジェンシャルフロー濾過、アフィニティークロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、疎水相互作用クロマトグラフィー、無菌濾過、またはこれらの任意の組合せ(複数可)を包含する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、遠心分離を含まない。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、細胞培養物の収集、深層濾過による収集した細胞培養物の清澄化、第1の無菌濾過、第1のタンジェンシャルフロー濾過、アフィニティークロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィー(例えば、モノリスアニオン交換クロマトグラフィー)、第2のタンジェンシャルフロー濾過、及び第2の無菌濾過を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法に従って生成されたrAAV粒子を単離する方法は、深層濾過による収集した細胞培養物の清澄化、第1の無菌濾過、第1のタンジェンシャルフロー濾過、アフィニティークロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィー(例えば、モノリスアニオン交換クロマトグラフィー)、第2のタンジェンシャルフロー濾過、及び第2の無菌濾過を含む。
【0009】
いくつかの実施形態において、本開示は以下を提供する。
[1.]rAAV粒子を生成する方法であって、
(a)細胞を含む細胞培養物を準備することと、
(b)前記細胞に、以下:
i.パッケージング対象のrAAVゲノム、
ii.パッケージングするのに必要なアデノウイルスヘルパー機能、
iii.パッケージングするのに十分なAAV repタンパク質、及び
iv.パッケージングするのに十分なAAV capタンパク質
のうちの少なくとも1つをコードする1つ以上のポリヌクレオチドを導入することと、
(c)前記細胞培養物に、約0.1mMから約20mMの間の最終濃度までHDAC阻害剤を添加することと、
(d)(b)の後に約2日から約15日の間にわたり、前記rAAV粒子の生成を可能にする条件下で前記細胞培養物を維持することと
を含む、前記方法。
[2.]前記HDAC阻害剤が、短鎖脂肪酸またはその塩である、[2]に記載の方法。
[3.]前記HDAC阻害剤が、バルプロ酸、プロピオン酸、酪酸、またはこれらの塩である、[1]または[2]に記載の方法。
[4.]前記HDAC阻害剤がバルプロ酸ナトリウムである、[3]に記載の方法。
[5.]前記HDAC阻害剤がプロピオン酸ナトリウムである、[3]に記載の方法。
[6.]前記細胞培養物が、約0.5mMから約5mMの間の最終HDAC阻害剤濃度を有する、[1]~[5]のいずれか1つに記載の方法。
[7.]前記細胞培養物が、約0.5mMから約3mMの間の最終HDAC阻害剤濃度を有する、[1]~[5]のいずれか1つに記載の方法。
[8.]前記HDAC阻害剤がステップb)の後に添加される、[1]~[7]のいずれか1つに記載の方法。
[9.]前記HDAC阻害剤が、ステップb)の約1時間後から約48時間後に添加される、[8]に記載の方法。
[10.]前記HDAC阻害剤が、ステップb)の約12時間後から約36時間後に添加される、[8]に記載の方法。
[11.]前記HDAC阻害剤が、ステップb)の約18時間後から約30時間後に添加される、[8]に記載の方法。
[12.]前記HDAC阻害剤が、ステップb)の約48時間後より前に添加される、[8]に記載の方法。
[13.]前記HDAC阻害剤が、ステップb)の約36時間後より前に添加される、[8]に記載の方法。
[14.]前記HDAC阻害剤が、ステップb)の少なくとも約6時間後に添加される、[8]に記載の方法。
[15.]前記HDAC阻害剤が、ステップb)の少なくとも約12時間後に添加される、[8]に記載の方法。
[16.]前記HDAC阻害剤が、ステップb)の約6時間後、約9時間後、約12時間後、約18時間後、約20時間後、約24時間後、約30時間後、約36時間後、または約48時間後に添加される、[8]に記載の方法。
[17.]前記HDAC阻害剤が、ステップb)の約20時間後に添加される、[8]に記載の方法。
[18.]前記HDAC阻害剤が、ステップb)の約24時間後に添加される、[8]に記載の方法。
[19.]前記培養物に、ナトリウム塩の最終濃度を約20mMから約150mMの間だけ増加させるのに十分な量の前記ナトリウム塩を添加することをさらに含む、[1]~[18]のいずれか1つに記載の方法。
[20.]前記ナトリウム塩の最終濃度が、約20mMから約50mMの間、約40mMから約80mMの間、または約70mMから約120mMの間だけ増加する、[19]に記載の方法。
[21.]前記ナトリウム塩の最終濃度が、約40mMから約140mMの間だけ増加する、[19]に記載の方法。
[22.]前記培養物に、ナトリウム塩の最終濃度を約120mMから約250mMの間まで増加させるのに十分な量の前記ナトリウム塩を添加することをさらに含む、[1]~[21]のいずれか1つに記載の方法。
[23.]前記ナトリウム塩の最終濃度が、約130mMから約160mMの間、約150mMから約190mMの間、または約180mMから約240mMの間である、[22]に記載の方法。
[24.]前記ナトリウム塩の最終濃度が、約150mMから約240mMの間である、[22]に記載の方法。
[25.]前記ナトリウム塩を添加する前に、前記細胞培養物が約90mMから約120mMの間のNaClを含んでいる、[22]に記載の方法。
[26.]前記ナトリウム塩が塩化ナトリウムである、[19]~[25]のいずれか1つに記載の方法。
[27.]前記HDAC阻害剤及び前記ナトリウム塩が、任意の順序で別々に添加される、[19]~[26]のいずれか1つに記載の方法。
[28.]前記ナトリウム塩がb)の前に添加される、[19]~[27]のいずれか1つに記載の方法。
[29.]前記ナトリウム塩がb)の後に添加される、[19]~[27]のいずれか1つに記載の方法。
[30.]前記ナトリウム塩が、前記HDAC阻害剤を添加した後に添加される、[19]~[29]のいずれか1つに記載の方法。
[31.]前記ナトリウム塩が、前記HDAC阻害剤を添加してから約5分後から約6時間後に添加される、[30]に記載の方法。
[32.]前記ナトリウム塩が、前記HDAC阻害剤を添加してから約20分後から約2時間後に添加される、[30]に記載の方法。
[33.]前記ナトリウム塩が、前記HDAC阻害剤を添加してから約2時間後より前に添加される、[30]に記載の方法。
[34.]前記ナトリウム塩が、前記HDAC阻害剤を添加してから約1時間後より前に添加される、[30]に記載の方法。
[35.]前記ナトリウム塩が、前記HDAC阻害剤を添加してから少なくとも約5分後に添加される、[30]に記載の方法。
[36.]前記ナトリウム塩が、前記HDAC阻害剤を添加してから少なくとも約20分後に添加される、[30]に記載の方法。
[37.]前記細胞培養物が、b)の後に約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、または約7日間維持される、[1]~[36]のいずれか1つに記載の方法。
[38.]前記細胞培養物が、b)の後に約5日間維持される、[37]に記載の方法。
[39.]前記細胞に、以下:
i.パッケージング対象のrAAVゲノム、
ii.パッケージングするのに必要なアデノウイルスヘルパー機能、
iii.パッケージングするのに十分なAAV repタンパク質、及び
iv.パッケージングするのに十分なAAV capタンパク質
をコードする1つ以上のポリヌクレオチドを導入することを含む、[1]~[38]のいずれか1つに記載の方法。
[40.]前記アデノウイルスヘルパー機能が、アデノウイルスE1a遺伝子、E1b遺伝子、E4遺伝子、E2a遺伝子、及びVA遺伝子のうちの少なくとも1つを含む、[1]~[39]のいずれか1つに記載の方法。
[41.]前記1つ以上のポリヌクレオチドを前記細胞に導入することが、形質移入により行われる、[1]~[40]のいずれか1つに記載の方法。
[42.]前記細胞が哺乳類細胞である、[1]~[41]のいずれか1つに記載の方法。
[43.]前記細胞が昆虫細胞である、[1]~[41]のいずれか1つに記載の方法。
[44.]前記細胞が、HEK293細胞、HEK由来細胞、CHO細胞、CHO由来細胞、HeLa細胞、SF-9細胞、BHK細胞、ベロ細胞、またはPerC6細胞である、[1]~[41]のいずれか1つに記載の方法。
[45.]前記細胞がHEK293細胞である、[1]~[41]のいずれか1つに記載の方法。
[46.]前記細胞培養物が浮遊培養物である、[1]~[45]のいずれか1つに記載の方法。
[47.]前記rAAV粒子を回収することをさらに含む、[1]~[46]のいずれか1つに記載の方法。
[48.]前記細胞培養物が、5×10e+10GC/mlを超えるrAAV粒子を生成する、[1]~[47]のいずれか1つに記載の方法。
[49.]前記細胞培養物が、前記HDAC阻害剤及びナトリウム塩を添加しない培養物よりも、GC/mlとしての測定で少なくとも約2倍多いrAAV粒子を生成する、[1]~[48]のいずれか1つに記載の方法。
[50.]前記細胞培養物が、約50リットルから約20,000リットルの間の体積を有する、[1]~[49]のいずれか1つに記載の方法。
[51.]rAAV粒子を生成するための方法であって、
(a)rAAVを生成可能な細胞を含む細胞培養物を準備することと、
(b)前記細胞培養物に、約0.1mMから約20mMの間の最終濃度までHDAC阻害剤を添加することと、
(c)前記rAAV粒子の生成が可能な条件下で前記細胞培養物を維持することと
を含む、前記方法。
[52.]前記HDAC阻害剤が、短鎖脂肪酸またはその塩である、[51]に記載の方法。
[53.]前記HDAC阻害剤が、バルプロ酸、プロピオン酸、酪酸、またはこれらの塩である、[52]に記載の方法。
[54.]前記HDAC阻害剤がプロピオン酸ナトリウムである、[53]に記載の方法。
[55.]前記HDAC阻害剤がバルプロ酸ナトリウムである、[53]に記載の方法。
[56.]前記細胞培養物が、約0.5mMから約5mMの間の最終HDAC阻害剤濃度を有する、[51]~[55]のいずれか1つに記載の方法。
[57.]前記細胞培養物が、約0.5mMから約3mMの間の最終HDAC阻害剤濃度を有する、[51]~[55]のいずれか1つに記載の方法。
[58.]前記培養物に、ナトリウム塩の最終濃度を約20mMから150mMの間だけ増加させるのに十分な量の前記ナトリウム塩を添加することをさらに含む、[51]~[57]のいずれか1つに記載の方法。
[59.]前記ナトリウム塩の最終濃度が、約20mMから約50mMの間、約40mMから約80mMの間、または約70mMから約120mMの間だけ増加する、[58]に記載の方法。
[60.]前記ナトリウム塩の最終濃度が、約40mMから約140mMの間だけ増加する、[58]に記載の方法。
[61.]前記培養物に、ナトリウム塩の最終濃度を約120mMから約250mMの間まで増加させるのに十分な量の前記ナトリウム塩を添加することをさらに含む、[51]~[60]のいずれか1つに記載の方法。
[62.]前記ナトリウム塩の最終濃度が、約130mMから約160mMの間、約150mMから約190mMの間、または約180mMから約240mMの間である、[61]に記載の方法。
[63.]前記ナトリウム塩の最終濃度が、約150mMから約240mMの間である、[61]に記載の方法。
[64.]前記ナトリウム塩を添加する前に、前記細胞培養物が約90mMから約120mMの間のNaClを含んでいる、[51]~[63]のいずれか1つに記載の方法。
[65.]前記ナトリウム塩が塩化ナトリウムである、[51]~[64]のいずれか1つに記載の方法。
[66.]前記HDAC阻害剤及び前記ナトリウム塩が、任意の順序で別々に添加される、[51]~[65]のいずれか1つに記載の方法。
[67.]前記ナトリウム塩が、前記HDAC阻害剤を添加した後に添加される、[66]に記載の方法。
[68.]前記ナトリウム塩が、前記HDAC阻害剤を添加してから約5分後から約6時間後に添加される、[67]に記載の方法。
[69.]前記ナトリウム塩が、前記HDAC阻害剤を添加してから約20分後から約2時間後に添加される、[67]に記載の方法。
[70.]前記ナトリウム塩が、前記HDAC阻害剤を添加してから約2時間後より前に添加される、[67]に記載の方法。
[71.]前記ナトリウム塩が、前記HDAC阻害剤を添加してから約1時間後より前に添加される、[67]に記載の方法。
[72.]前記ナトリウム塩が、前記HDAC阻害剤を添加してから少なくとも約5分後に添加される、[67]に記載の方法。
[73.]前記ナトリウム塩が、前記HDAC阻害剤を添加してから少なくとも約20分後に添加される、[67]に記載の方法。
[74.]前記細胞培養物が、b)の後に約2日から約10日の間にわたりまたは約5日から14日の間にわたり、前記rAAV粒子の生成を可能にする条件下で維持される、[51]~[73]のいずれか1つに記載の方法。
[75.]前記細胞培養物が、b)の後に約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、または約7日間維持される、[51]~[73]のいずれか1つに記載の方法。
[76.]前記細胞培養物が、b)の後に約5日間維持される、[75]に記載の方法。
[77.]rAAV粒子を生成するための方法であって、rAAV粒子を生成可能な細胞を、前記rAAV粒子の生成を可能にする条件下、約0.1mMから約20mMの間のHDAC阻害剤を含む培地中で培養することを含む、前記方法。
[78.]前記HDAC阻害剤が、短鎖脂肪酸またはその塩である、[77]に記載の方法。
[79.]前記HDAC阻害剤が、バルプロ酸、プロピオン酸、酪酸、またはこれらの塩である、[78]に記載の方法。
[80.]前記HDAC阻害剤がバルプロ酸ナトリウムである、[79]に記載の方法。
[81.]前記HDAC阻害剤がプロピオン酸ナトリウムである、[79]に記載の方法。
[82.]前記培地が、約0.5mMから約5mMの間の前記HDAC阻害剤を含む、[77]~[81]のいずれか1つに記載の方法。
[83.]前記培地が、約0.5mMから約3mMの間の前記HDAC阻害剤を含む、[77]~[81]のいずれか1つに記載の方法。
[84.]前記培地が、約120mMから約250mMの間の塩化ナトリウムをさらに含む、[77]~[83]のいずれか1つに記載の方法。
[85.]前記培地が、約130mMから約160mMの間、約150mMから約190mMの間、または約180mMから約240mMの間のNaCl塩化ナトリウムをさらに含む、[77]~[83]のいずれか1つに記載の方法。
[86.]前記培地が、約150mMから約240mMの間の塩化ナトリウムをさらに含む、[77]~[83]のいずれか1つに記載の方法。
[87.]rAAVを生成可能な前記細胞に、以下:
(a)パッケージング対象のrAAVゲノム、
(b)パッケージングするのに必要なアデノウイルスヘルパー機能、
(c)パッケージングするのに十分なAAV repタンパク質、及び
(d)パッケージングするのに十分なAAV capタンパク質
のうちの少なくとも1つをコードする1つ以上のポリヌクレオチドが形質移入されている、[51]~[86]のいずれか1つに記載の方法。
[88.]rAAVを生成可能な前記細胞に、以下:
(a)パッケージング対象のrAAVゲノム、
(b)パッケージングするのに必要なアデノウイルスヘルパー機能、
(c)パッケージングするのに十分なAAV repタンパク質、及び
(d)パッケージングするのに十分なAAV capタンパク質
をコードする1つ以上のポリヌクレオチドが形質移入されている、[51]~[86]のいずれか1つに記載の方法。
[89.]前記細胞が、哺乳類細胞または昆虫細胞である、[51]~[88]のいずれか1つに記載の方法。
[90.]前記細胞が、HEK293細胞、HeLa細胞、SF-9細胞、BHK細胞、ベロ細胞、またはPerC6細胞であり、任意選択で、前記細胞がHEK293細胞である、[51]~[88]のいずれか1つに記載の方法。
[91.]前記細胞培養物が浮遊培養物である、[51]~[90]のいずれか1つに記載の方法。
[92.]前記rAAV粒子の生成を可能にする条件下での前記培養することが、約2日から約10日の間にわたりまたは約5日から14日の間にわたり行われる、[77]~[91]のいずれか1つに記載の方法。
[93.]前記rAAV粒子の生成を可能にする条件下での前記培養することが、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、または約7日間行われる、[77]~[91]のいずれか1つに記載の方法。
[94.]前記rAAV粒子の生成を可能にする条件下での前記培養することが、約5日間行われる、[93]に記載の方法。
[95.]前記rAAV粒子を回収することをさらに含む、[51]~[94]のいずれか1つに記載の方法。
[96.]前記細胞培養物が、約5×10e+10GC/mlから約1×10e+12GC/mlの間のrAAV粒子を生成する、[51]~[95]のいずれか1つに記載の方法。
[97.]前記細胞培養物が、前記HDAC阻害剤及びナトリウム塩を添加しない培養物よりも、GC/mlとしての測定で少なくとも約2倍多いrAAV粒子を生成する、[51]~[96]のいずれか1つに記載の方法。
[98.]rAAV粒子の生成を増加させる方法であって
(a)細胞を含む細胞培養物を準備することと、
(b)前記細胞に、以下:
i.パッケージング対象のrAAVゲノム、
ii.パッケージングするのに必要なアデノウイルスヘルパー機能、
iii.パッケージングするのに十分なAAV repタンパク質、及び
iv.パッケージングするのに十分なAAV capタンパク質
のうちの少なくとも1つをコードする1つ以上のポリヌクレオチドを導入することと、
(c)前記細胞培養物に、約0.1mMから約20mMの間の最終濃度までHDAC阻害剤を添加することと、
(d)(b)の後に約2日から約15日の間にわたり、前記rAAV粒子の生成を可能にする条件下で前記細胞培養物を維持することと
を含む、前記方法。
[99.]前記HDAC阻害剤がバルプロ酸ナトリウムである、[98]に記載の方法。
[100.]前記HDAC阻害剤がプロピオン酸ナトリウムである、[98]に記載の方法。
[101.]前記培養物に、ナトリウム塩の最終濃度を約40mMから約150mMの間だけ増加させるのに十分な量の前記ナトリウム塩を添加することをさらに含む、[98]~[100]のいずれか1つに記載の方法。
[102.]前記ナトリウム塩が塩化ナトリウムである、[98]~[101]のいずれか1つに記載の方法。
[103.]rAAV粒子の生成を増加させる方法であって
(a)rAAVを生成可能な細胞を含む細胞培養物を準備することと、
(b)前記細胞培養物に、約0.1mMから約20mMの間の最終濃度までHDAC阻害剤を添加することと、
(c)前記rAAV粒子の生成が可能な条件下で前記細胞培養物を維持することと
を含む、前記方法。
[104.]前記HDAC阻害剤がバルプロ酸ナトリウムである、[103]に記載の方法。
[105.]前記HDAC阻害剤がプロピオン酸ナトリウムである、[103]に記載の方法。
[106.]前記培養物に、ナトリウム塩の最終濃度を約120mMから約250mMの間まで増加させるのに十分な量の前記ナトリウム塩を添加することをさらに含む、[103]~[105]のいずれか1つに記載の方法。
[107.]前記ナトリウム塩が塩化ナトリウムである、[103]~[106]のいずれか1つに記載の方法。
[108.]前記細胞培養物が、b)の後に約2日から約10日の間にわたりまたは約5日から14日の間にわたり、前記rAAV粒子の生成を可能にする条件下で維持される、[103]~[107]のいずれか1つに記載の方法。
[109.]前記細胞培養物が、b)の後に約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、または約7日間維持される、[103]~[107]のいずれか1つに記載の方法。
[110.]前記細胞培養物が、b)の後に約5日間維持される、[109]に記載の方法。
[111.]rAAV粒子の生成を増加させる方法であって、rAAV粒子を生成可能な細胞を、前記rAAV粒子の生成を可能にする条件下、約0.1mMから約20mMの間のHDAC阻害剤を含む培地中で培養することを含む、前記方法。
[112.]前記HDAC阻害剤がバルプロ酸ナトリウムである、[111]に記載の方法。
[113.]前記HDAC阻害剤がプロピオン酸ナトリウムである、[111]に記載の方法。
[114.]前記培地が、約120mMから約250mMの間の塩化ナトリウムをさらに含む、[111]~[113]のいずれか1つに記載の方法。
[115.]前記rAAV粒子が、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、及びAAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、またはAAV.HSC16血清型のカプシドタンパク質を含む、[1]~[114]のいずれか1つに記載の方法。
[116.]前記rAAV粒子が、AAV8、AAV9、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、またはAAV.hu37血清型のカプシドタンパク質を含む、[1]~[114]のいずれか1つに記載の方法。
[117.]前記rAAV粒子が、AAV8またはAAV9血清型のカプシドタンパク質を含む、[1]~[114]のいずれか1つに記載の方法。
[118.]前記細胞培養物が、約50リットルから約20,000リットルの間の体積を有する、[1]~[117]のいずれか1つに記載の方法。
[119.]前記細胞培養物が、約50リットルから約5,000リットルの間の体積を有する、[118]に記載の方法。
[120.]前記細胞培養物が、約50リットルから約2,000リットルの間の体積を有する、[118]に記載の方法。
[121.]前記細胞培養物が、約50リットルから約1,000リットルの間の体積を有する、[118]に記載の方法。
[122.]前記細胞培養物が、約50リットルから約500リットルの間の体積を有する、[118]に記載の方法。
[123.][1]~[122]のいずれか1つに記載の方法によって生成された、単離されたrAAV粒子を含む、組成物。
[124.]前記パッケージングされたrAAVゲノムが導入遺伝子を含む、[1]~[50]または[98]~[102]のいずれか1つに記載の方法。
[125.]前記導入遺伝子が、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと作用可能に接続した調節エレメントを含む、[124]に記載の方法。
[126.]前記調節エレメントが、エンハンサー、プロモーター、及びポリA領域のうちの1つ以上を含む、[125]に記載の方法。
[127.]前記調節エレメントと、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとが、異種である、[125]または[126]に記載の方法。
[128.]前記導入遺伝子が、抗VEGF Fab、イズロニダーゼ(IDUA)、イズロン酸2-スルファターゼ(IDS)、低密度リポタンパク質受容体(LDLR)、トリペプチジルペプチダーゼ1(TPP1)、またはVEGF受容体1(sFlt-1)の非膜結合型スプライスバリアントをコードする、[124]~[127]のいずれか1つに記載の方法。
[129.]前記導入遺伝子が、ガンマ-サルコグリカン、Rabエスコートタンパク質1(REP1/CHM)、レチノイドイソメロヒドロラーゼ(RPE65)、環状ヌクレオチドゲートチャネルアルファ3(CNGA3)、環状ヌクレオチドゲートチャネルベータ3(CNGB3)、芳香族L-アミノ酸デカルボキシラーゼ(AADC)、リソソーム関連膜タンパク質2アイソフォームB(LAMP2B)、第VIII因子、第IX因子、網膜色素変性GTPアーゼ制御因子(RPGR)、レチノスキシン(RS1)、筋小胞体カルシウムATPアーゼ(SERCA2a)、アフリベルセプト、バッテニン(CLN3)、膜貫通ERタンパク質(CLN6)、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)、アクアポリン1(AQP1)、ジストロフィン、ミオチューブラリン1(MTM1)、フォリスタチン(FST)、グルコース-6-ホスファターゼ(G6Pアーゼ)、アポリポタンパク質A2(APOA2)、ウリジン二リン酸グルクロノシルトランスフェラーゼ1A1(UGT1A1)、アリールスルファターゼB(ARSB)、N-アセチル-アルファ-グルコサミニダーゼ(NAGLU)、アルファ-グルコシダーゼ(GAA)、アルファ-ガラクトシダーゼ(GLA)、ベータ-ガラクトシダーゼ(GLB1)、リポタンパク質リパーゼ(LPL)、アルファ1-アンチトリプシン(AAT)、ホスホジエステラーゼ6B(PDE6B)、オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ9OTC)、生存運動ニューロン(SMN1)、生存運動ニューロン(SMN2)、ニュールツリン(NRTN)、ニューロトロフィン-3(NT-3/NTF3)、ポルホビリノーゲンデアミナーゼ(PBGD)、神経成長因子(NGF)、ミトコンドリアコードNADH:ユビキノンオキシドレダクターゼコアサブユニット4(MT-ND4)、保護タンパク質カテプシンA(PPCA)、ジスフェリン、MERがん原遺伝子チロシンキナーゼ(MERTK)、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)、または腫瘍壊死因子受容体(TNFR)-免疫グロブリン(IgG1)Fc融合体をコードする、[124]~[127]のいずれか1項に記載の方法。
【0010】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法はさらに、[1]~[129]のいずれか1つの方法に従って生成されたrAAV粒子の下流処理を含む。いくつかの実施形態において、下流処理は、細胞培養物の収集、(例えば、遠心分離または深層濾過による)収集した細胞培養物の清澄化、タンジェンシャルフロー濾過、アフィニティークロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、疎水相互作用クロマトグラフィー、無菌濾過のうちの少なくとも1つである。さらなる実施形態において、上流処理は、細胞培養物の収集、(例えば、遠心分離または深層濾過による)収集した細胞培養物の清澄化、タンジェンシャルフロー濾過、アフィニティークロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、疎水相互作用クロマトグラフィー、及び無菌濾過のうちの少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または少なくとも6つを含む。いくつかの実施形態において、下流処理は、収集した細胞培養物の遠心分離を含まない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】塩化ナトリウム、酪酸ナトリウム、及び/またはバルプロ酸ナトリウムの添加後に得られる組換えウイルスの収量。添加した試薬の最終濃度を示す。基本培地には約100mMの塩化ナトリウムが含まれていたが、酪酸ナトリウムまたはバルプロ酸ナトリウムは含まれていなかった。
図2】塩化ナトリウム及び/またはバルプロ酸ナトリウムの添加後に得られる組換えウイルスの収量。添加した試薬の最終濃度を示す。基本培地には約100mMの塩化ナトリウムが含まれていたが、バルプロ酸ナトリウムは含まれていなかった。
図3】NaCl及びプロピオン酸ナトリウムを用いたrAAV8粒子の大規模生産からのウイルスの収量。
図4】塩化ナトリウム及び/またはプロピオン酸ナトリウムの添加後に得られるrAAV9の収量。
図5】塩化ナトリウム及び/またはプロピオン酸ナトリウムの添加後に得られるrAAV9の収量。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
いくつかの実施形態において、本開示は、rAAV粒子が産生される条件下、有効量のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤の存在下でrAAV粒子を生成可能な細胞を培養することにより、rAAV粒子を生成するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、細胞は、HDAC阻害剤及び約110mMから250mMの間の濃度のナトリウム塩の存在下で培養される。本明細書で開示される方法によって生成されたrAAV粒子は、rAAV粒子を収集及び精製することによってさらに下流処理を行って、例えば、単離されたrAAV粒子及びそれを含む組成物、例えば、医薬組成物を生成するのに適している。説明される方法は、遺伝子療法用途で使用するためのrAAV粒子の生成に関するGMP規制要件と一致する、柔軟で費用効果が高く商業的にスケーラブルなプロセスを提供する。本明細書で説明される方法は、限定されるものではないが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、及びAAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、及びAAV.HSC16を含めた任意のrAAV血清型、ならびにこれらの派生物、修飾物、またはシュードタイプに適している。いくつかの実施形態において、当該方法は、rAAV8粒子を生成するために使用される。いくつかの実施形態において、当該方法は、rAAV8派生物粒子、rAAV8修飾物粒子、またはrAAV8シュードタイプ粒子を生成するために使用される。いくつかの実施形態において、当該方法は、rAAV9粒子を生成するために使用される。いくつかの実施形態において、当該方法は、rAAV9派生物粒子、rAAV9修飾物粒子、またはrAAV9シュードタイプ粒子を生成するために使用される。
【0013】
発明者らは、驚くべきことに、本明細書で開示される方法がrAAV収量を2倍以上増加させることを発見した。このような結果は、HDAC阻害剤が形質移入細胞の組換えポリペプチド発現を増加させ得るという以前の知見に基づいて予測することはできなかったと考えられる。細胞がAAV粒子を生成するには、3つのキャプシドタンパク質及び1本鎖ヌクレオチドゲノムを集合させて機能的ウイルス単位にする必要がある。HDAC阻害剤が、AAVゲノムの生成を含めて全てのAAV構成要素の生成を同時に増加させ得ると考える理由は存在しなかった。また、HDAC阻害剤がウイルスポリペプチドの生成を増加させるとしても、宿主細胞機構が数の増加したAAV粒子を集合可能であると考える理由は存在しなかった。また、トランスフェクションエンハンサーがウイルス様粒子(VLP)の生成を増加させ得るというCerveraの報告も、VLPが単一のgagタンパク質を含みゲノムは含まないため、HDAC阻害剤が宿主細胞内でのrAAV粒子生成を増加させ得ると考える理由をもたらさなかった(Cervera et al,Appl. Microbiol. Biotechnol.,99: 9935-9949(2015))。このように、VLPの生成には、複数のポリペプチド及びヌクレオチドゲノムを集合させる必要がなかった。
【0014】
1つの単位用量を調製するのに極めて多数のrAAV粒子が必要であることを考えると、rAAV収量が2倍以上増加すれば単位用量当たりの製品コストが顕著に低減する。ウイルス収量が増加すれば、それに応じて、AAV粒子の生成に必要な消耗品のコストだけでなく、工業用ウイルス精製施設の建設に関連する設備投資のコストも低減することができる。
【0015】
定義
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的用語及び科学的用語は、本開示が関連する技術分野の当業者によって一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。本開示の方法の理解を容易にするため、以下に複数の用語及び表現を定義する。
【0016】
例えば、組成物中の成分の量、組成物中の成分の濃度、流量、rAAV粒子収量、フィード体積、塩濃度、類似の値、及びこれらの範囲を修飾し、本明細書で提供される方法で用いられる「約」とは、例えば、濃縮物もしくは使用溶液を作製するために使用される典型的な測定及び取扱い手順によって;これらの手順における偶発性のエラーによって;組成物の作製もしくは方法の実行に用いられる製造、供給源、もしくは成分の純度の違いによって;及び類似の考慮事項によって生じ得る、数値的量のバリエーションを意味する。「約」という用語は、特定の初期濃度を有する組成物または混合物が老化することによって相違する量も包含する。「約」という用語は、特定の初期濃度を有する組成物または混合物を混合または処理することによって相違する量も包含する。「約」という用語で修飾されているかどうかにかかわらず、請求項は、その量の等価物を含む。いくつかの実施形態において、「約」という用語は、示された数または範囲よりも約10~20%多いまたは少ない範囲を意味する。さらなる実施形態において、「約」とは、示された数または範囲のプラスマイナス10%を意味する。例えば、「約10%」は9%~11%の範囲を示す。
【0017】
「AAV」とはアデノ随伴ウイルス(adeno-associated virus)の省略形であり、このウイルス自体またはその修飾物、派生物、もしくはシュードタイプを意味するように使用することができる。当該用語は、別段に要求される場合を除いて、全てのサブタイプ、ならびに天然の形態及び組換え形態両方を包含する。省略形「rAAV」とは、組換えアデノ随伴ウイルスを意味する。「AAV」という用語は、1型AAV(AAV1)、2型AAV(AAV2)、3型AAV(AAV3)、4型AAV(AAV4)、5型AAV(AAV5)、6型AAV(AAV6)、7型AAV(AAV7)、8型AAV(AAV8)、9型AAV(AAV9)、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、霊長類AAV、非霊長類AAV、及びヒツジAAV、ならびにこれらの修飾物、派生物、またはシュードタイプを含む。「霊長類AAV」は霊長類に感染するAAVを意味し、「非霊長類AAV」は非霊長類哺乳類に感染するAAVを意味し、「ウシAAV」はウシ哺乳類に感染するAAVを意味する、などとなる。いくつかの実施形態において、AAV粒子は、AAV1、AAV2、rAAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、及びAAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、またはAAV.HSC16である。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV1、AAV2、rAAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、及びAAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、またはAAV.HSC16の派生物、修飾物、またはシュードタイプである。
【0018】
AAV粒子に適用される「組換え」とは、AAV粒子が、本質的にAAV粒子とは異なるAAV粒子コンストラクトをもたらす1つ以上の手順の生成物であることを意味する。
【0019】
組換えアデノ随伴ウイルス粒子「rAAV粒子」とは、少なくとも1つのAAVカプシドタンパク質と、異種ポリヌクレオチド(すなわち、野生型AAVゲノム以外のポリヌクレオチド、例えば、哺乳類細胞に送達させる導入遺伝子)を含むカプシド化ポリヌクレオチドrAAVベクターとから構成されるウイルス粒子を意味する。rAAV粒子は、任意の修飾物、派生物、またはシュードタイプを含めた任意のAAV血清型(例えば、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、もしくはAAV10、またはこれらの派生体/修飾物/シュードタイプ)とすることができる。このようなAAV血清型及び派生物/修飾物/シュードタイプ、ならびにこのような血清型/派生物/修飾物/シュードタイプを生成する方法は、当技術分野で知られている(例えば、Asokan et al.,Mol.Ther.20(4):699-708(2012)を参照)。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV1、AAV2、rAAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、及びAAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、及びAAV.HSC16から選択されるAAVカプシド血清型からのカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV1、AAV2、rAAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、及びAAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、またはAAV.HSC16カプシドタンパク質の派生物、修飾物、またはシュードタイプであるカプシドタンパク質を含む。
【0020】
本開示のrAAV粒子は、任意の血清型、または血清型の任意の組合せ(例えば、2つ以上の血清型を含む(例えば、rAAV2、rAAV8、及びrAAV9粒子のうちの2つ以上を含む)rAAV粒子集団)とすることができる。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、rAAV1、rAAV2、rAAV3、rAAV4、rAAV5、rAAV6、rAAV7、rAAV8、rAAV9、rAAV10、もしくはその他のrAAV粒子、またはこれらの2つ以上の組合せである。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、rAAV8またはrAAV9粒子である。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV1、AAV2、rAAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、及びAAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、及びAAV.HSC16から選択される2つ以上の血清型からのカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV1、AAV2、rAAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、及びAAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、及びAAV.HSC16カプシドタンパク質から選択される2つ以上の血清型の派生物、修飾物、またはシュードタイプであるカプシドタンパク質を含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、及びAAV16、またはこれらの派生物、修飾物、もしくはシュードタイプからなる群より選択される血清型のAAVカプシドタンパク質を有する。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8、AAV9、またはこれらの派生物、修飾物、もしくはシュードタイプの血清型のAAVカプシドタンパク質を有する。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.PHB、及びAAV.7m8からなる群より選択される血清型のAAVカプシドタンパク質を有する。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8またはAAV9に対し高い配列相同性を備えたAAVカプシドタンパク質、例えば、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、及びAAV.hu37を有する。
【0022】
「細胞培養物」という用語は、接着してまたは浮遊液中で成長させる細胞、バイオリアクター、ローラーボトル、ハイパースタック、ミクロスフェア、マクロスフェア、フラスコなどに加えて、上清または浮遊液自体の構成成分を意味し、このような構成成分としては、限定されるものではないが、rAAV粒子、細胞、細胞デブリ、細胞混入物、コロイド粒子、生体分子、宿主細胞タンパク質、核酸、脂質、及び凝集剤が挙げられる。また、バイオリアクターなどの大規模アプローチ(浮遊培養物、及び撹拌バイオリアクター内のマイクロキャリアまたはマクロキャリアに付着して成長させる付着細胞が含まれる)も「細胞培養物」という用語に包含される。タンパク質の大規模生産及び小規模生産いずれのための細胞培養手順も、本開示に包含される。
【0023】
本明細書で使用する場合、「精製すること」、「精製」、「分離」、「分離すること」、「分離」、「単離する」、「単離すること」、または「単離」という用語は、ターゲット生成物と1つ以上の不純物とを含む試料からのrAAV粒子に対する純度の程度を高めることを意味する。典型的には、ターゲット生成物の純度の程度は、試料から少なくとも1つの不純物を(完全にまたは不完全に)除去することによって高められる。いくつかの実施形態において、試料中のrAAVの純度の程度は、本明細書で説明される方法を使用することにより、試料から1つ以上の不純物を(完全にまたは不完全に)除去することによって増加する。
【0024】
本開示及び請求項で使用する場合、単数形「a」「an」及び「the」は、文脈による明確な別段の定めがない限り、複数形を含む。
【0025】
諸実施形態が「~を含む」という語を用いて本明細書で説明されている場合は常に、「~からなる」及び/または「本質的に~からなる」という観点から説明されている別の類似の実施形態も提供されるものと理解されたい。また、諸実施形態が「本質的に~からなる」という語を用いて本明細書で説明されている場合は常に、「~からなる」という観点から説明されている別の類似の実施形態も提供されるものと理解されたい。
【0026】
「及び/または」という用語は、本明細書で「A及び/またはB」などの表現で使用される場合、A及びBの両方、AまたはB、A(単独)、ならびにB(単独)を含むように意図されている。同様に、「及び/または」という用語は、「A、B、及び/またはC」のような表現で使用される場合、以下の実施形態の各々を包含するように意図されている:A、B、及びC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);ならびにC(単独)。
【0027】
本開示の実施形態がマーカッシュグループまたはその他の代替のグループに関して説明される場合、本開示の方法は、全体として挙げられたグループ全体を包含するだけでなく、グループの各メンバーも個別に包含し、メイングループの全ての可能なサブグループも包含し、さらにグループメンバーの1つ以上不在のメイングループも包含する。また、本開示の方法は、本開示の方法におけるグループメンバーのいずれかの1つ以上が明示的に除外されることも想定している。
【0028】
rAAV生成のための方法
いくつかの実施形態において、本開示は、rAAV粒子の生成のための方法であって、(a)rAAVを生成可能な細胞を含む細胞培養物を準備することと、(b)当該細胞培養物に、約0.1mMから約20mMの間の最終濃度までヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を添加することと、(c)当該rAAV粒子の生成を可能にする条件下で当該細胞培養物を維持することとを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、短鎖脂肪酸またはその塩を含む。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、酪酸(例えば、酪酸ナトリウム)、バルプロ酸(例えば、バルプロ酸ナトリウム)、プロピオン酸(例えば、プロピオン酸ナトリウム)、またはこれらの組合せを含む。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤を添加した後、細胞培養物は、約0.5mMから約10mMの間の酪酸(例えば、酪酸ナトリウム)、バルプロ酸(例えば、バルプロ酸ナトリウム)、またはプロピオン酸(例えば、プロピオン酸ナトリウム)を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約0.5mMから約5mMの間の酪酸(例えば、酪酸ナトリウム)を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約0.5mMから約5mMの間のバルプロ酸(例えば、バルプロ酸ナトリウム)を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約0.5mMから約5mMの間のプロピオン酸(例えば、プロピオン酸ナトリウム)を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約0.5mMから約3mMの間のバルプロ酸(例えば、バルプロ酸ナトリウム)を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約0.5mMから約3mMの間のプロピオン酸(例えば、プロピオン酸ナトリウム)を含む。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、ステップb)の約12時間後から約36時間後に添加される。いくつかの実施形態において、当該方法はさらに、培養物に、ナトリウム塩(例えば、塩化ナトリウム)の最終濃度を約20mMから150mMの間だけ増加させるのに十分な量のナトリウム塩を添加することを含む。いくつかの実施形態において、ナトリウム塩の最終濃度は、約40mMから140mMの間だけ増加する。いくつかの実施形態において、ナトリウム塩の最終濃度は、約150mMから約240mMの間である。いくつかの実施形態において、ナトリウム塩は、塩化ナトリウムである。いくつかの実施形態において、ナトリウム塩は、HDAC阻害剤を添加した後に添加される。いくつかの実施形態において、ナトリウム塩は、HDAC阻害剤を添加してから少なくとも約20分後に添加される。いくつかの実施形態において、当該方法はさらに、rAAV粒子を回収することを含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子を生成可能な細胞は、(i)パッケージング対象のrAAVゲノム、(ii)パッケージングするのに必要なアデノウイルスヘルパー機能、(iii)パッケージングするのに十分なAAV repタンパク質、及び(iv)パッケージングするのに十分なAAV capタンパク質をコードする1つ以上のポリヌクレオチドが形質移入されたHEK293細胞である。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、浮遊培養物である。いくつかの実施形態において、rAAV粒子を生成可能な細胞は、(i)パッケージング対象のrAAVゲノム、(ii)パッケージングするのに必要なアデノウイルスヘルパー機能、(iii)パッケージングするのに十分なAAV repタンパク質、及び(iv)パッケージングするのに十分なAAV capタンパク質のうちの少なくとも1つをコードする1つ以上のポリヌクレオチドが形質移入されたHEK293細胞である。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、浮遊培養物である。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8またはAAV9粒子である。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.PHB、及びAAV.7m8からなる群より選択される血清型のAAVカプシドタンパク質を有する。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8またはAAV9に対し高い配列相同性を備えたAAVカプシドタンパク質、例えば、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、及びAAV.hu37を有する。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、ステップb)の後に約2日から約10日の間にわたり、rAAV粒子の生成を可能にする条件下で維持される。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、ステップb)の後に約5日から約14日またはそれ以上の間にわたり、rAAV粒子の生成を可能にする条件下で維持される。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、継続的な収集のためのrAAV粒子の生成が可能な条件下で維持される。
【0029】
いくつかの実施形態において、本開示は、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子の生成のための方法であって、(a)細胞を含む細胞培養物を準備することと、(b)当該細胞に、以下:(i)パッケージング対象のrAAVゲノム、(ii)パッケージングするのに必要なアデノウイルスヘルパー機能、(iii)パッケージングするのに十分なAAV repタンパク質、及び(iv)パッケージングするのに十分なAAV capタンパク質のうちの少なくとも1つをコードする1つ以上のポリヌクレオチドを導入することと、(c)当該細胞培養物に、約0.1mMから約20mMの間の最終濃度までHDAC阻害剤を添加することと、(d)当該rAAV粒子の生成を可能にする条件下で当該細胞培養物を維持することとを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、短鎖脂肪酸またはその塩を含む。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、酪酸(例えば、酪酸ナトリウム)、バルプロ酸(例えば、バルプロ酸ナトリウム)、プロピオン酸(例えば、プロピオン酸ナトリウム)、またはこれらの組合せを含む。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤を添加した後、細胞培養物は、約0.5mMから約10mMの間の酪酸(例えば、酪酸ナトリウム)、バルプロ酸(例えば、バルプロ酸ナトリウム)、またはプロピオン酸(例えば、プロピオン酸ナトリウム)を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約0.5mMから約5mMの間の酪酸(例えば、酪酸ナトリウム)を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約0.5mMから約5mMの間のバルプロ酸(例えば、バルプロ酸ナトリウム)を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約0.5mMから約5mMの間のプロピオン酸(例えば、プロピオン酸ナトリウム)を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約0.5mMから約5mMの間の酪酸(例えば、酪酸ナトリウム)を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約0.5mMから約3mMの間のバルプロ酸(例えば、バルプロ酸ナトリウム)を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約0.5mMから約3mMの間のプロピオン酸(例えば、プロピオン酸ナトリウム)を含む。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、ステップb)の約12時間後から約36時間後に添加される。いくつかの実施形態において、当該方法はさらに、培養物に、ナトリウム塩(例えば、塩化ナトリウム)の最終濃度を約20mMから150mMの間だけ増加させるのに十分な量のナトリウム塩を添加することを含む。いくつかの実施形態において、ナトリウム塩の最終濃度は、約40mMから140mMの間だけ増加する。いくつかの実施形態において、ナトリウム塩の最終濃度は、約150mMから約240mMの間である。いくつかの実施形態において、ナトリウム塩は、塩化ナトリウムである。いくつかの実施形態において、ナトリウム塩は、HDAC阻害剤を添加した後に細胞培養物に添加される。いくつかの実施形態において、ナトリウム塩は、HDAC阻害剤を添加してから少なくとも約20分後に添加される。いくつかの実施形態において、当該方法はさらに、rAAV粒子を回収することを含む。いくつかの実施形態において、細胞は、HEK293細胞である。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、浮遊培養物である。いくつかの実施形態において、細胞には、(i)パッケージング対象のrAAVゲノム、(ii)パッケージングするのに必要なアデノウイルスヘルパー機能、(iii)パッケージングするのに十分なAAV repタンパク質、及び(iv)パッケージングするのに十分なAAV capタンパク質をコードする1つ以上のポリヌクレオチドが形質移入される。いくつかの実施形態において、細胞には、(i)パッケージング対象のrAAVゲノム、(ii)パッケージングするのに必要なアデノウイルスヘルパー機能、(iii)パッケージングするのに十分なAAV repタンパク質、及び(iv)パッケージングするのに十分なAAV capタンパク質のうちの少なくとも1つをコードする1つ以上のポリヌクレオチドが形質移入される。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8またはAAV9粒子である。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.PHB、及びAAV.7m8からなる群より選択される血清型のAAVカプシドタンパク質を有する。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8またはAAV9に対し高い配列相同性を備えたAAVカプシドタンパク質、例えば、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、及びAAV.hu37を有する。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、ステップb)の後に約2日から約10日の間にわたり、rAAV粒子の生成を可能にする条件下で維持される。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、ステップb)の後に約5日から約14日またはそれ以上の間にわたり、rAAV粒子の生成を可能にする条件下で維持される。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、継続的な収集のためのrAAV粒子の生成が可能な条件下で維持される。
【0030】
いくつかの実施形態において、本開示は、rAAV粒子を生成するための方法であって、rAAV粒子を生成可能な細胞を、rAAV粒子の生成を可能にする条件下、約0.1mMから約20mMの間のHDAC阻害剤を含む培地中で培養することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、短鎖脂肪酸またはその塩を含む。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、酪酸(例えば、酪酸ナトリウム)、バルプロ酸(例えば、バルプロ酸ナトリウム)、プロピオン酸(例えば、プロピオン酸ナトリウム)、またはこれらの組合せを含む。いくつかの実施形態において、培地は、約0.5mMから約10mMの間の酪酸(例えば、酪酸ナトリウム)、バルプロ酸(例えば、バルプロ酸ナトリウム)、またはプロピオン酸(例えば、プロピオン酸ナトリウム)を含む。いくつかの実施形態において、培地は、約0.5mMから約5mMの間の酪酸(例えば、酪酸ナトリウム)を含む。いくつかの実施形態において、培地は、約0.5mMから約5mMの間のバルプロ酸(例えば、バルプロ酸ナトリウム)を含む。いくつかの実施形態において、培地は、約0.5mMから約5mMの間のプロピオン酸(例えば、プロピオン酸ナトリウム)を含む。いくつかの実施形態において、培地はさらに、約120mMから250mMの間のNaClを含む。いくつかの実施形態において、培地は、約150mMから約190mMの間または約180mMから約240mMの間のNaClを含む。いくつかの実施形態において、当該方法はさらに、rAAV粒子を回収することを含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子を生成可能な細胞は、(i)パッケージング対象のrAAVゲノム、(ii)パッケージングするのに必要なアデノウイルスヘルパー機能、(iii)パッケージングするのに十分なAAV repタンパク質、及び(iv)パッケージングするのに十分なAAV capタンパク質をコードする1つ以上のポリヌクレオチドが形質移入されたHEK293細胞である。いくつかの実施形態において、rAAV粒子を生成可能な細胞は、(i)パッケージング対象のrAAVゲノム、(ii)パッケージングするのに必要なアデノウイルスヘルパー機能、(iii)パッケージングするのに十分なAAV repタンパク質、及び(iv)パッケージングするのに十分なAAV capタンパク質のうちの少なくとも1つをコードする1つ以上のポリヌクレオチドが形質移入されたHEK293細胞である。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、浮遊培養物である。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8またはAAV9粒子である。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.PHB、及びAAV.7m8からなる群より選択される血清型のAAVカプシドタンパク質を有する。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8またはAAV9に対し高い配列相同性を備えたAAVカプシドタンパク質、例えば、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、及びAAV.hu37を有する。いくつかの実施形態において、細胞培養は、約2日から約10日の間にわたり、rAAV粒子の生成を可能にする条件下にある。いくつかの実施形態において、細胞培養は、約5日から約14日またはそれ以上の間にわたり、rAAV粒子の生成を可能にする条件下にある。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、継続的な収集のためのrAAV粒子の生成が可能な条件下で維持される。
【0031】
いくつかの実施形態において、本開示は、rAAV粒子の生成を増加させるための方法を提供する。いくつかの実施形態において、rAAV生成を増加させる方法は、(a)細胞を含む細胞培養物を準備することと、(b)当該細胞に、以下:(i)パッケージング対象のrAAVゲノム、(ii)パッケージングするのに必要なアデノウイルスヘルパー機能、(iii)パッケージングするのに十分なAAV repタンパク質、及び(iv)パッケージングするのに十分なAAV capタンパク質のうちの少なくとも1つをコードする1つ以上のポリヌクレオチドを導入することと、(c)当該細胞培養物に、約0.1mMから約20mMの間の最終濃度までHDAC阻害剤を添加することと、(d)当該rAAV粒子の生成を可能にする条件下で当該細胞培養物を維持することとを含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、ステップb)の後に約2日から約10日の間にわたり、rAAV粒子の生成を可能にする条件下で維持される。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、ステップb)の後に約5日から約14日またはそれ以上の間にわたり、rAAV粒子の生成を可能にする条件下で維持される。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、継続的な収集のためのrAAV粒子の生成が可能な条件下で維持される。
【0032】
いくつかの実施形態において、rAAV生成を増加させる方法は、rAAV粒子を生成可能な細胞を、rAAV粒子の生成を可能にする条件下、約0.1mMから約20mMの間のHDAC阻害剤を含む培地中で培養することを含む。いくつかの実施形態において、細胞培養は、約2日から約10日の間にわたり、rAAV粒子の生成を可能にする条件下にある。いくつかの実施形態において、細胞培養は、ステップb)の後に約5日から約14日またはそれ以上の間にわたり、rAAV粒子の生成を可能にする条件下にある。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、継続的な収集のためのrAAV粒子の生成が可能な条件下で維持される。
【0033】
いくつかの実施形態において、rAAV生成を増加させる方法は、(a)rAAVを生成可能な細胞を含む細胞培養物を準備することと、(b)当該細胞培養物に、約0.1mMから約20mMの間の最終濃度までHDAC阻害剤を添加することと、(c)当該rAAV粒子の生成を可能にする条件下で当該細胞培養物を維持することとを含む。いくつかの実施形態において、細胞培養は、約2日から約10日の間にわたり、rAAV粒子の生成を可能にする条件下にある。いくつかの実施形態において、細胞培養は、約5日から約14日またはそれ以上の間にわたり、rAAV粒子の生成を可能にする条件下にある。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、継続的な収集のためのrAAV粒子の生成が可能な条件下で維持される。
【0034】
当業者は、任意のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤化合物が、本明細書で開示される方法で使用することができることを理解する。HDAC阻害剤は、当技術分野で認識されている化合物クラスである。例えば、Eckschlager et al.,Int.J.Mol.Sci.18,1414;doi:10.3390/ijms18071414(2017);Huber et al.,The Journal of Biological Chemistry,286(25):22211-22218(2011)を参照。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、HDACアイソフォーム選択的阻害剤を含む。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、1つ以上のクラスI、II、III、及びIVのHDACの活性を選択的に阻害する。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、クラスI及びクラスIIからの1つ以上のHDACの活性を阻害する。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、汎阻害剤を含む。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、ヒドロキサム酸、短鎖脂肪酸、ベンズアミド、環状テトラペプチド、またはサーチュイン阻害剤を含む。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、短鎖脂肪酸またはその塩を含む。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、ヒドロキサム酸を含む。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、ヒドロキサム酸、例えば、トリコスタチンA、スベラニロヒドロキサム酸(SAHA)、ベリノスタット(PXD101)、パナビオスタット、ジビノスタット、レスミノスタット、アベキシノスタット、キシノスタット、ロシリノスタット、プラクチノスタット、及びCHR-3996を含む。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、短鎖脂肪酸またはその塩、例えば、バルプロ酸、プロピオン酸、酪酸、2,2-ジメチル酪酸、2-エチル酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、フェニル酪酸、及びこれらの塩を含む(Steliou et al.,BioResearch Open Access,Vol.1,Issue 4,doi.org/10.1089/biores.2012.0223(2012))。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、バルプロ酸またはその塩(例えば、バルプロ酸ナトリウム)を含む。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、酪酸またはその塩(例えば、酪酸ナトリウム)を含む。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、プロピオン酸またはその塩(例えば、プロピオン酸ナトリウム)を含む。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、ベンズアミド、例えば、エンチノスタット、タセジナリン、4SC202、及びモセチノスタットを含む。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、環状テトラペプチド、例えば、ロミデプシンを含む。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、サーチュイン阻害剤、例えば、ニコチンアミド、シルチノール、カンビノール、及びEX-527を含む。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、[4-(2-アミノ-フェニルカルバモイル)-ベンジル]カルバミン酸ピリジン-3-イルメチルエステル及びその誘導体、ピロキサミド、オキサムフラチン、アピシジン、デプシペプチド、デプデシン、トラポキシン、M344、スクリプタイド、MC 1293、1-ナフトエ酸ナトリウム、CAY10398、フェニル酪酸ナトリウム、スベロイルビス-ヒドロキサム酸(SBHA)、CAY10433、オキサムフラチン、またはHC毒素を含む。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、ピルビン酸またはその塩を含まない。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、ニコチンアミドを含まない。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、2つ以上のHDAC阻害剤の組合せを含む。
【0035】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、細胞培養物に、約0.1mMから約20mMの間の最終濃度までHDAC阻害剤を添加することを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、rAAVを生成可能な細胞を、約0.1mMから約20mMの間のHDAC阻害剤を含む培地中で培養することを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される細胞培養物は、約0.1mMから約20mMの間のHDAC阻害剤を含む。例えば、2mMのHDAC阻害剤を含む細胞培養物は、細胞と、2mMのHDAC阻害剤を含む培地とを含むものと理解されたい。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤の濃度は、約0.5mMから約10mMの間である。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤の濃度は、約0.5mMから約5mMの間である。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤の濃度は、約0.5mMから約3mMの間である。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤の濃度は、約0.5mM、約1mM、約1.5mM、約2mM、約2.5mM、約3mM、約3.5mM、約4mM、約4.5mM、または約5mMである。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤の濃度は、約1.5mMである。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤の濃度は、約2mMである。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤の濃度は、約3mMである。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤の濃度は、約4mMである。
【0036】
いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約0.5mMから約10mMの間のバルプロ酸またはその塩(例えば、バルプロ酸ナトリウム)を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約0.5mMから約5mMの間のバルプロ酸またはその塩(例えば、バルプロ酸ナトリウム)を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約0.5mMから約3mMの間のバルプロ酸またはその塩(例えば、バルプロ酸ナトリウム)を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約0.5mM、約1mM、約1.5mM、約2mM、約2.5mM、約3mM、約3.5mM、約4mM、約4.5mM、または約5mMのバルプロ酸またはその塩(例えば、バルプロ酸ナトリウム)を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約1.5mMのバルプロ酸またはその塩(例えば、バルプロ酸ナトリウム)を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約2mMのバルプロ酸またはその塩(例えば、バルプロ酸ナトリウム)を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約3mMのバルプロ酸またはその塩(例えば、バルプロ酸ナトリウム)を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約4mMのバルプロ酸またはその塩(例えば、バルプロ酸ナトリウム)を含む。
【0037】
いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約0.5mMから約10mMの間の酪酸またはその塩(例えば、酪酸ナトリウム)を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約0.5mMから約5mMの間の酪酸またはその塩(例えば、酪酸ナトリウム)を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約0.5mMから約3mMの間の酪酸またはその塩(例えば、酪酸ナトリウム)を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約0.5mM、約1mM、約1.5mM、約2mM、約2.5mM、約3mM、約3.5mM、約4mM、約4.5mM、または約5mMの酪酸またはその塩(例えば、酪酸ナトリウム)を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約1.5mMの酪酸またはその塩(例えば、酪酸ナトリウム)を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約2mMの酪酸またはその塩(例えば、酪酸ナトリウム)を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約3mMの酪酸またはその塩(例えば、酪酸ナトリウム)を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約4mMの酪酸またはその塩(例えば、酪酸ナトリウム)を含む。
【0038】
いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約0.5mMから約10mMの間のプロピオン酸またはその塩(例えば、プロピオン酸ナトリウム)を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約0.5mMから約5mMの間のプロピオン酸またはその塩(例えば、プロピオン酸ナトリウム)を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約0.5mMから約3mMの間のプロピオン酸またはその塩(例えば、プロピオン酸ナトリウム)を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約0.5mM、約1mM、約1.5mM、約2mM、約2.5mM、約3mM、約3.5mM、約4mM、約4.5mM、または約5mMのプロピオン酸またはその塩(例えば、プロピオン酸ナトリウム)を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約1.5mMのプロピオン酸またはその塩(例えば、プロピオン酸ナトリウム)を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約2mMのプロピオン酸またはその塩(例えば、プロピオン酸ナトリウム)を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約3mMのプロピオン酸またはその塩(例えば、プロピオン酸ナトリウム)を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約4mMのプロピオン酸またはその塩(例えば、プロピオン酸ナトリウム)を含む。
【0039】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、細胞を含む細胞培養物を準備することと、当該細胞に1つ以上のポリヌクレオチドを導入することと、当該細胞培養物にHDAC阻害剤を添加することとを含む。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、細胞に1つ以上のポリヌクレオチドを導入する前に添加される。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、細胞に1つ以上のポリヌクレオチドを導入した後に添加される。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、細胞に1つ以上のポリヌクレオチドを導入してから約1時間から約48時間後または約12時間後から約36時間後に添加される。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、細胞に1つ以上のポリヌクレオチドを導入してから約16時間後から約30時間後に添加される。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、細胞に1つ以上のポリヌクレオチドを導入してから約18時間後から約26時間後に添加される。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、細胞に1つ以上のポリヌクレオチドを導入してから約18時間後から約22時間後に添加される。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、細胞に1つ以上のポリヌクレオチドを導入してから約22時間後から約26時間後に添加される。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、細胞に1つ以上のポリヌクレオチドを導入してから約48時間後より前または約36時間後より前に添加される。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、細胞に1つ以上のポリヌクレオチドを導入してから少なくとも約6時間後、少なくとも約9時間後、少なくとも約12時間後、少なくとも約18時間後、少なくとも約20時間後に添加される。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、細胞に1つ以上のポリヌクレオチドを導入してから約6時間後、約9時間後、約12時間後、約18時間後、約20時間後、約22時間後、約24時間後、約30時間後、約36時間後、または約48時間後に添加される。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、細胞に1つ以上のポリヌクレオチドを導入してから約18時間後に添加される。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、細胞に1つ以上のポリヌクレオチドを導入してから約20時間後に添加される。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、細胞に1つ以上のポリヌクレオチドを導入してから約22時間後に添加される。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、細胞に1つ以上のポリヌクレオチドを導入してから約24時間後に添加される。いくつかの実施形態において、細胞に1つ以上のポリヌクレオチドを導入することは、細胞に1つ以上のポリヌクレオチドを形質移入することを含む。
【0040】
いくつかの実施形態において、細胞培地は、細胞に1つ以上のポリヌクレオチドを導入することと、細胞培養物にHDAC阻害剤を添加することとの間で置き換えられる。いくつかの実施形態において、細胞培地は、細胞に1つ以上のポリヌクレオチドを導入することと、細胞培養物にHDAC阻害剤を添加することとの間で補充される。いくつかの実施形態において、細胞培地は、細胞に1つ以上のポリヌクレオチドを導入することと、細胞培養物にHDAC阻害剤を添加することとの間で、1つ以上の栄養素、塩、緩衝剤、及び添加物(例えば、消泡剤)を補充される。いくつかの実施形態において、細胞に1つ以上のポリヌクレオチドを導入することは、細胞に1つ以上のポリヌクレオチドを形質移入することを含む。
【0041】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、細胞培養物にナトリウム塩を添加することを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、ナトリウム塩を含む培地中で細胞を培養することを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される細胞培養物は、ナトリウム塩を含む。ナトリウム塩を含む細胞培養物は、細胞と、ナトリウム塩剤を含む培地とを含むものと理解されたい。
【0042】
いくつかの実施形態において、ナトリウム塩は、無機塩である。いくつかの実施形態において、ナトリウム塩は、有機塩である。いくつかの実施形態において、ナトリウム塩は、ハロゲン(例えば、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素)を含むハロゲン化ナトリウムである。いくつかの実施形態において、ナトリウム塩は、塩化ナトリウムまたは臭化ナトリウムである。いくつかの実施形態において、ナトリウム塩は、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、または硫酸ナトリウムである。いくつかの実施形態において、ナトリウム塩は、塩化ナトリウムである。
【0043】
いくつかの実施形態において、細胞培養物または細胞培地は、約120mMから約250mMの間のナトリウム塩を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物または細胞培地は、約130mMから約160mMの間、約150mMから約190mMの間、または約180mMから約240mMの間のナトリウム塩を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物または細胞培地は、約150mMから約240mMの間のナトリウム塩を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物または細胞培地は、約150mMから約190mMの間のナトリウム塩を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物または細胞培地は、約180mMから約240mMの間のナトリウム塩を含む。いくつかの実施形態において、ナトリウム塩は、塩化ナトリウムである。
【0044】
いくつかの実施形態において、細胞培養物または細胞培地は、約120mMから約250mMの間の塩化ナトリウムを含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物または細胞培地は、約130mMから約160mMの間、約150mMから約190mMの間、または約180mMから約240mMの間の塩化ナトリウムを含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物または細胞培地は、約150mMから約240mMの間の塩化ナトリウムを含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物または細胞培地は、約150mMから約190mMの間の塩化ナトリウムを含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物または細胞培地は、約180mMから約240mMの間の塩化ナトリウムを含む。いくつかの実施形態において、ナトリウム塩は、塩化ナトリウムである。いくつかの実施形態において、ナトリウム塩の最終濃度は、約140mMの塩化ナトリウムまで増加する。いくつかの実施形態において、ナトリウム塩の最終濃度は、約170mMの塩化ナトリウムまで増加する。いくつかの実施形態において、ナトリウム塩の最終濃度は、約200mMの塩化ナトリウムまで増加する。
【0045】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、細胞培養物に、ナトリウム塩の最終濃度を約20mMから約150mMの間だけ増加させるのに十分な量のナトリウム塩を添加することを含む。いくつかの実施形態において、ナトリウム塩の最終濃度は、約20mMから約50mMの間だけ増加する。いくつかの実施形態において、ナトリウム塩の最終濃度は、約40mMから約80mMの間だけ増加する。いくつかの実施形態において、ナトリウム塩の最終濃度は、約70mMから約120mMの間だけ増加する。いくつかの実施形態において、ナトリウム塩の最終濃度は、約40mMから約140mMの間だけ増加する。いくつかの実施形態において、ナトリウム塩の最終濃度は、約30mMだけ増加する。いくつかの実施形態において、ナトリウム塩の最終濃度は、約60mMだけ増加する。いくつかの実施形態において、ナトリウム塩の最終濃度は、約90mMだけ増加する。いくつかの実施形態において、ナトリウム塩は、塩化ナトリウムである。
【0046】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、細胞培養物に、塩化ナトリウムの最終濃度を約20mMから約150mMの間だけ増加させるのに十分な量の塩化ナトリウムを添加することを含む。いくつかの実施形態において、塩化ナトリウムの最終濃度は、約20mMから約50mMの間だけ増加する。いくつかの実施形態において、塩化ナトリウムの最終濃度は、約40mMから約80mMの間だけ増加する。いくつかの実施形態において、塩化ナトリウムの最終濃度は、約70mMから約120mMの間だけ増加する。いくつかの実施形態において、塩化ナトリウムの最終濃度は、約40mMから約140mMの間だけ増加する。いくつかの実施形態において、塩化ナトリウムの最終濃度は、約30mMだけ増加する。いくつかの実施形態において、塩化ナトリウムの最終濃度は、約60mMだけ増加する。いくつかの実施形態において、塩化ナトリウムの最終濃度は、約90mMだけ増加する。
【0047】
いくつかの実施形態において、ナトリウム塩の濃度を、例えば90mMだけさらに増加させるためにナトリウム塩を添加する前に、細胞培養物は、ナトリウム塩を含んでいる。いくつかの実施形態において、ナトリウム塩の濃度をさらに増加させるために細胞培養物にナトリウム塩が添加される前に、細胞培養物は、約90mM、約100mM、または約110mMのナトリウム塩を含む。細胞培養物が約110mMの塩化ナトリウムを含み、ナトリウム塩の濃度を約90mMだけ増加させるのに十分な量の塩化ナトリウムが細胞培養物に添加される場合、塩化ナトリウムの最終濃度は約200mMであるものと理解されたい。いくつかの実施形態において、ナトリウム塩は、塩化ナトリウムである。
【0048】
いくつかの実施形態において、塩化ナトリウムの濃度をさらに増加させるために細胞培養物に塩化ナトリウムが添加される前に、細胞培養物は、約90mM、約100mM、または約110mMの塩化ナトリウムを含む。
【0049】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、細胞培養物に、ナトリウム塩の最終濃度を約120mMから約250mMの間まで増加させるのに十分な量のナトリウム塩を添加することを含む。いくつかの実施形態において、ナトリウム塩の最終濃度は、約130mMから約160mMの間まで増加する。いくつかの実施形態において、ナトリウム塩の最終濃度は、約150mMから約190mMの間まで増加する。いくつかの実施形態において、ナトリウム塩の最終濃度は、約180mMから約240mMの間まで増加する。いくつかの実施形態において、ナトリウム塩の最終濃度は、約150mMから約240mMの間まで増加する。いくつかの実施形態において、ナトリウム塩の最終濃度は、約140mMまで増加する。いくつかの実施形態において、ナトリウム塩の最終濃度は、約170mMまで増加する。いくつかの実施形態において、ナトリウム塩の最終濃度は、約200mMまで増加する。いくつかの実施形態において、ナトリウム塩は、塩化ナトリウムである。
【0050】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、細胞培養物に、塩化ナトリウムの最終濃度を約120mMから約250mMの間まで増加させるのに十分な量の塩化ナトリウムを添加することを含む。いくつかの実施形態において、塩化ナトリウムの最終濃度は、約130mMから約160mMの間まで増加する。いくつかの実施形態において、塩化ナトリウムの最終濃度は、約150mMから約190mMの間まで増加する。いくつかの実施形態において、塩化ナトリウムの最終濃度は、約180mMから約240mMの間まで増加する。いくつかの実施形態において、塩化ナトリウムの最終濃度は、約150mMから約240mMの間まで増加する。いくつかの実施形態において、塩化ナトリウムの最終濃度は、約140mMまで増加する。いくつかの実施形態において、塩化ナトリウムの最終濃度は、約170mMまで増加する。いくつかの実施形態において、塩化ナトリウムの最終濃度は、約200mMまで増加する。
【0051】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、(a)細胞を含む細胞培養物を準備することと、(b)当該細胞に1つ以上のポリヌクレオチドを導入することと、(c)当該細胞培養物にHDAC阻害剤を添加することと、(d)当該細胞培養物にナトリウム塩(例えば、塩化ナトリウム)を添加することとを含む。(b)、(c)、及び(d)が任意の順序で実施されてもよいことを理解されたい。いくつかの実施形態において、(b)、(c)、及び(d)は、(b)-(c)-(d)の順序で実施される。いくつかの実施形態において、(b)、(c)、及び(d)は、(b)-(d)-(c)の順序で実施される。いくつかの実施形態において、(b)、(c)、及び(d)は、(d)-(c)-(b)の順序で実施される。いくつかの実施形態において、(b)、(c)、及び(d)は、(d)-(b)-(c)の順序で実施される。いくつかの実施形態において、(c)及び(d)は、(b)の後、同時に実施される。いくつかの実施形態において、(c)及び(d)は、細胞培養物に、HDAC阻害剤及びナトリウム塩(例えば、塩化ナトリウム)を含む組成物を添加することにより、同時に実施される。いくつかの実施形態において、(c)及び(d)は、細胞培養物に、HDAC阻害剤を含む第1の組成物と、ナトリウム塩(例えば、塩化ナトリウム)を含む第2の組成物とを添加することにより、同時に実施される。いくつかの実施形態において、細胞に1つ以上のポリヌクレオチドを導入することは、細胞に1つ以上のポリヌクレオチドを形質移入することを含む。
【0052】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、(a)細胞を含む細胞培養物を準備することと、(b)当該細胞に1つ以上のポリヌクレオチドを導入することと、(c)当該細胞培養物にHDAC阻害剤を添加することと、(d)当該細胞培養物にナトリウム塩(例えば、塩化ナトリウム)を添加することとを含み、このとき、(c)は(b)の後に実施される。いくつかの実施形態において、(c)は、(b)の約1時間から約48時間後または約12時間後から約36時間後に実施される。いくつかの実施形態において、(c)は、(b)の約48時間後より前または約36時間後より前に実施される。いくつかの実施形態において、(c)は、(b)の少なくとも約6時間後、少なくとも約9時間後、少なくとも約12時間後、または少なくとも約18時間後に実施される。いくつかの実施形態において、(c)は、(b)の約6時間後、約9時間後、約12時間後、約18時間後、約20時間後、約22時間後、約24時間後、約30時間後、約36時間後、または約48時間後に添加される。いくつかの実施形態において、(c)は、(b)の約24時間後に実施される。いくつかの実施形態において、(c)は、(b)の約20時間後に実施される。いくつかの実施形態において、細胞に1つ以上のポリヌクレオチドを導入することは、細胞に1つ以上のポリヌクレオチドを形質移入することを含む。
【0053】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、(a)細胞を含む細胞培養物を準備することと、(b)当該細胞に1つ以上のポリヌクレオチドを導入することと、(c)当該細胞培養物にHDAC阻害剤を添加することと、(d)当該細胞培養物にナトリウム塩(例えば、塩化ナトリウム)を添加することとを含み、このとき、(b)、(c)、及び(d)は、(b)-(c)-(d)の順序で実施される。いくつかの実施形態において、(d)は、(c)の約5分後から約6時間後に実施される。いくつかの実施形態において、(d)は、(c)の約20分後から約2時間後に実施される。いくつかの実施形態において、(d)は、(c)の約2時間後より前または約1時間後より前に実施される。いくつかの実施形態において、(d)は、(c)の少なくとも約5分後、少なくとも約10分後、少なくとも約20分後、少なくとも約30分後、少なくとも約40分後、少なくとも約50分後に実施される。いくつかの実施形態において、(d)は、(c)の少なくとも約30分後に実施される。いくつかの実施形態において、(d)は、(c)の約10分後、約20分後、約30分後、約40分後、約50分後、または約60分後に実施される。いくつかの実施形態において、(d)は、(c)の約40分後に実施される。いくつかの実施形態において、細胞に1つ以上のポリヌクレオチドを導入することは、細胞に1つ以上のポリヌクレオチドを形質移入することを含む。
【0054】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、(a)細胞を含む細胞培養物を準備することと、(b)当該細胞に1つ以上のポリヌクレオチドを導入することと、(c)当該細胞培養物にHDAC阻害剤を添加することと、(d)当該細胞培養物にナトリウム塩(例えば、塩化ナトリウム)を添加することとを含み、このとき、(b)、(c)、及び(d)は、(b)-(c)-(d)の順序で実施される。いくつかの実施形態において、(c)は、(b)の約1時間から約48時間後または約12時間後から約36時間後に実施される。いくつかの実施形態において、(c)は、(b)の約48時間後より前または約36時間後より前に実施される。いくつかの実施形態において、(c)は、(b)の少なくとも約6時間後、少なくとも約9時間後、少なくとも約12時間後、または少なくとも約18時間後に実施される。いくつかの実施形態において、(c)は、(b)の約6時間後、約9時間後、約12時間後、約18時間後、約20時間後、約22時間後、約24時間後、約30時間後、約36時間後、または約48時間後に添加される。いくつかの実施形態において、(c)は、(b)の約24時間後に実施される。いくつかの実施形態において、(c)は、(b)の約20時間後に実施される。いくつかの実施形態において、(d)は、(c)の約5分から約6時間後に実施される。いくつかの実施形態において、(d)は、(c)の約20分から約2時間後に実施される。いくつかの実施形態において、(d)は、(c)の約2時間後より前または約1時間後より前に実施される。いくつかの実施形態において、(d)は、(c)の少なくとも約5分後、少なくとも約10分後、少なくとも約20分後、少なくとも約30分後、少なくとも約40分後、少なくとも約50分後に実施される。いくつかの実施形態において、(d)は、(c)の少なくとも約30分後に実施される。いくつかの実施形態において、(d)は、(c)の約10分後、約20分後、約30分後、約40分後、約50分後、または約60分後に実施される。いくつかの実施形態において、(d)は、(c)の約40分後に実施される。
【0055】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、細胞を含む細胞培養物を準備することと、当該細胞に1つ以上のポリヌクレオチドを導入することと、当該細胞培養物にHDAC阻害剤を添加することと、当該細胞培養物にナトリウム塩(例えば、塩化ナトリウム)を添加することと、rAAV粒子の生成を可能にする条件下で当該細胞培養物を維持することとを含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、細胞に1つ以上のポリヌクレオチドを導入した後、約2日から約10日の間にわたり維持される。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、細胞に1つ以上のポリヌクレオチドを導入した後、約5日から約14日またはそれ以上の間にわたり維持される。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、細胞に1つ以上のポリヌクレオチドを導入した後、約2日から約7日の間にわたり維持される。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、細胞に1つ以上のポリヌクレオチドを導入した後、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、または約7日間維持される。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、細胞に1つ以上のポリヌクレオチドを導入した後、約5日間維持される。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、細胞に1つ以上のポリヌクレオチドを導入した後、約6日間維持される。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、継続的な収集のためのrAAV粒子の生成が可能な条件下で維持される。いくつかの実施形態において、細胞に1つ以上のポリヌクレオチドを導入することは、細胞に1つ以上のポリヌクレオチドを形質移入することを含む。
【0056】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、細胞培養物へのHDAC阻害剤の添加またはナトリウム塩の添加を含まない方法と比較して、rAAV粒子の生成を増加させる。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、rAAVの生成を少なくとも約50%、少なくとも約75%、または少なくとも約100%増加させる。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、rAAVの生成を少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、または少なくとも約5倍増加させる。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、rAAVの生成を少なくとも約2倍増加させる。いくつかの実施形態において、生成の増加は、生成培養物のrAAV力価を比較することによって定量される。いくつかの実施形態において、rAAV力価は、生成培養物のミリリットル当たりのゲノムコピー(GC)として測定される。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8及びAAV9から選択されるAAVカプシド血清型からのカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8のAAVカプシド血清型を有する。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV9のAAVカプシド血清型を有する。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.PHB、及びAAV.7m8からなる群より選択されるカプシド血清型を有する。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8またはAAV9に対し高い配列相同性を備えたカプシドタンパク質、例えば、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、及びAAV.hu37を有する。
【0057】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、rAAV粒子及びそれを含む組成物の品質属性を維持または改善しながら、rAAV粒子の生成を増加させる。いくつかの実施形態において、rAAV粒子及びそれを含む組成物の品質は、rAAV粒子の濃度(例えば、GC/ml)、rAAVゲノムのコピーを含む粒子のパーセンテージ、ゲノムを含まない粒子の比率、rAAV粒子の感染性、rAAV粒子の安定性、残留する宿主細胞タンパク質の濃度または残留する宿主細胞核酸の濃度(例えば、宿主細胞ゲノムDNA、rep及びcap遺伝子をコードするプラスミド、ヘルパー機能をコードするプラスミド、rAAVゲノムをコードするプラスミド)を定量することにより、評価される。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法によって生成されたrAAV粒子またはそれを含む組成物の品質は、細胞培養物へのHDAC阻害剤の添加またはナトリウム塩の添加を含まない方法によって生成されたrAAV粒子または組成物の品質と同じである。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法によって生成されたrAAV粒子またはそれを含む組成物の品質は、細胞培養物へのHDAC阻害剤の添加またはナトリウム塩の添加を含まない方法によって生成されたrAAV粒子または組成物の品質よりも良好である。
【0058】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、約1×10e+10GC/mlから約1×10e+13GC/mlの間のrAAV粒子を生成する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、約1×10e+10GC/mlから約1×10e+11GC/mlの間のrAAV粒子を生成する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、約5×10e+10GC/mlから約1×10e+12GC/mlの間のrAAV粒子を生成する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、約5×10e+10GC/mlから約1×10e+13GC/mlの間のrAAV粒子を生成する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、約1×10e+11GC/mlから約1×10e+13GC/mlの間のrAAV粒子を生成する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、約5×10e+10GC/mlから約5×10e+12GC/mlの間のrAAV粒子を生成する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、約1×10e+11GC/mlから約5×10e+12GC/mlの間のrAAV粒子を生成する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、約1×10e+11GC/ml超のrAAV粒子を生成する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、約5×10e+11GC/ml超のrAAV粒子を生成する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、約1×10e+12GC/ml超のrAAV粒子を生成する。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8及びAAV9から選択されるAAVカプシド血清型からのカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8のAAVカプシド血清型を有する。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV9のAAVカプシド血清型を有する。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.PHB、及びAAV.7m8からなる群より選択されるAAVカプシド血清型からのカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8またはAAV9に対し高い配列相同性を備えたカプシドタンパク質、例えば、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、及びAAV.hu37を含む。
【0059】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、少なくとも約5×10e+10GC/mlのrAAV粒子を生成する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、少なくとも約1×10e+11GC/mlのrAAV粒子を生成する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、少なくとも約5×10e+11GC/mlのrAAV粒子を生成する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、少なくとも約1×10e+12GC/mlのrAAV粒子を生成する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、少なくとも約5×10e+12GC/mlのrAAV粒子を生成する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、少なくとも約1×10e+13GC/mlのrAAV粒子を生成する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、少なくとも約5×10e+13GC/mlのrAAV粒子を生成する。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8及びAAV9から選択されるAAVカプシド血清型からのカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8のAAVカプシド血清型を有する。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV9のAAVカプシド血清型を有する。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.PHB、及びAAV.7m8からなる群より選択されるAAVカプシド血清型からのカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8またはAAV9に対し高い配列相同性を備えたカプシドタンパク質、例えば、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、及びAAV.hu37を含む。
【0060】
rAAV粒子を生成するための多数の細胞培養に基づく系が当技術分野で知られており、これらはいずれも本明細書に開示される方法を実施するために使用することができる。細胞培養に基づく系としては、形質移入、安定細胞株生成、及び感染性ハイブリッドウイルス生成系(アデノウイルス-AAVハイブリッド、ヘルペスウイルス-AAVハイブリッド、及びバキュロウイルス-AAVハイブリッドを含む)が挙げられる。rAAVウイルス粒子を生成するためのrAAV生成培養物はいずれも、(1)好適な宿主細胞(バキュロウイルス生成系の場合では、例えば、ヒト由来細胞株(例えば、HeLa、A549、またはHEK293細胞及びその派生物(HEK293T細胞、HEK293F細胞))、哺乳類細胞株(例えば、ベロ)、CHO細胞またはCHO由来細胞、または昆虫由来細胞株(例えば、SF-9)を含む);(2)野生型もしくは変異型アデノウイルス(例えば、温度感受性アデノウイルス)、ヘルペスウイルス、バキュロウイルス、またはヘルパー機能を提供するプラスミドコンストラクトによって提供される、好適なヘルパーウイルス機能;(3)AAV rep及びcap遺伝子ならびに遺伝子産物;(4)AAV ITR配列に隣接する導入遺伝子(例えば、治療用導入遺伝子);ならびに(5)rAAV生成を支持するための好適な培地及び培地構成成分を必要とする。
【0061】
1つの態様において、本明細書では、rAAVを生成する方法であって、(a)昆虫細胞を含む細胞培養物を準備することと、(b)当該細胞に、以下:i.パッケージング対象のrAAVゲノム、ii.パッケージングするのに十分なAAV repタンパク質、及びiii.パッケージングするのに十分なAAV capタンパク質のうちの少なくとも1つをコードする1つ以上のバキュロウイルスベクターを導入することと、(c)当該細胞培養物に、約0.1mMから約20mMの間の最終濃度までHDAC阻害剤を添加することと、(b)の後に約2日から約15日またはそれ以上の間にわたり、当該rAAV粒子の生成を可能にする条件下で当該細胞培養物を維持することとを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態において、当該方法は、rep及びcap遺伝子をコードする第1のバキュロウイルスベクターと、rAAVゲノムをコードする第2のバキュロウイルスベクターとを使用することを含む。いくつかの実施形態において、当該方法は、rAAVゲノムをコードするバキュロウイルスと、rep及びcap遺伝子を発現する昆虫細胞とを使用することを含む。いくつかの実施形態において、当該方法は、rep及びcap遺伝子とrAAVゲノムとをコードするバキュロウイルスベクターを使用することを含む。いくつかの実施形態において、昆虫細胞は、Sf-9細胞である。いくつかの実施形態において、昆虫細胞は、rep及びcap遺伝子をコードする1つ以上の安定的に組み込まれた異種ポリヌクレオチドを含むSf-9細胞である。いくつかの実施形態において、当該方法はさらに、培養物に、ナトリウム塩の最終濃度を約20mMから約150mMの間だけ増加させるのに十分な量のナトリウム塩を添加することを含む。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、バルプロ酸、プロピオン酸、酪酸、またはこれらの塩である。
【0062】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、バキュロウイルス生成系を使用する。いくつかの実施形態において、バキュロウイルス生成系は、rep及びcap遺伝子をコードする第1のバキュロウイルスと、rAAVゲノムをコードする第2のバキュロウイルスとを使用する。いくつかの実施形態において、バキュロウイルス生成系は、rAAVゲノムをコードするバキュロウイルスと、rep遺伝子及びcap遺伝子を発現する宿主細胞とを使用する。いくつかの実施形態において、バキュロウイルス生成系は、rep及びcap遺伝子とrAAVゲノムとをコードするバキュロウイルスを使用する。いくつかの実施形態において、バキュロウイルス生成系は、Sf-9細胞を使用する。
【0063】
当業者は、AAV rep及びcap遺伝子、AAVヘルパー遺伝子(例えば、アデノウイルスE1a遺伝子、E1b遺伝子、E4遺伝子、E2a遺伝子、及びVA遺伝子)、ならびにrAAVゲノム(逆方向末端反復(ITR)に隣接する1つ以上の目的遺伝子を含む)を細胞に導入して、rAAVを生成またはパッケージングすることができる多数の方法を認識している。「アデノウイルスヘルパー機能」という表現は、AAVが細胞内で効率的に成長するように細胞内で(RNAまたはタンパク質として)発現する複数のウイルスヘルパー遺伝子を意味する。当業者は、アデノウイルス及び単純ヘルペスウイルス(HSV)を含めたヘルパーウイルスがAAV複製を促進すること、そして、必須機能を提供するある特定の遺伝子が同定されており、例えば、ヘルパーが、このようなAAV遺伝子発現及び複製を促進する細胞環境への変化を誘導し得ることを理解している。本明細書で開示される方法のいくつかの実施形態において、AAV rep及びcap遺伝子、ヘルパー遺伝子、ならびにrAAVゲノムは、AAV rep及びcap遺伝子、ヘルパー遺伝子、ならびにrAAVゲノムをコードする1つ以上のプラスミドベクターの形質移入により、細胞に導入される。本明細書で開示される方法のいくつかの実施形態において、AAV rep及びcap遺伝子、ヘルパー遺伝子、ならびにrAAVゲノムは、AAV rep及びcap遺伝子、ヘルパー遺伝子、ならびにrAAVゲノムをコードするウイルスベクター、例えばrHSVベクターを用いた形質導入により、細胞に導入することができる。本明細書で開示される方法のいくつかの実施形態において、AAV rep及びcap遺伝子、ヘルパー遺伝子、ならびにrAAVゲノムのうちの1つ以上が、rHSVベクターを用いた形質導入により、細胞に導入される。いくつかの実施形態において、rHSVベクターは、AAV rep及びcap遺伝子をコードする。いくつかの実施形態において、rHSVベクターは、ヘルパー遺伝子をコードする。いくつかの実施形態において、rHSVベクターは、rAAVゲノムをコードする。いくつかの実施形態において、rHSVベクターは、AAV rep及びcap遺伝子をコードする。いくつかの実施形態において、rHSVベクターは、ヘルパー遺伝子及びrAAVゲノムをコードする。いくつかの実施形態において、rHSVベクターは、ヘルパー遺伝子ならびにAAV rep及びcap遺伝子をコードする。
【0064】
1つの態様において、本明細書では、rAAVを生成する方法であって、(a)細胞を含む細胞培養物を準備することと、(b)当該細胞に、以下:i.パッケージング対象のrAAVゲノム、ii.当該rAAVをパッケージングするのに必要なヘルパー機能、iii.パッケージングするのに十分なAAV repタンパク質、及びiv.パッケージングするのに十分なAAV capタンパク質のうちの少なくとも1つをコードする1つ以上のrHSVベクターを導入することと、(c)当該細胞培養物に、約0.1mMから約20mMの間の最終濃度までHDAC阻害剤を添加することと、(b)の後に約2日から約15日またはそれ以上の間にわたり、当該rAAV粒子の生成を可能にする条件下で当該細胞培養物を維持することとを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態において、rHSVベクターは、AAV rep及びcap遺伝子をコードする。いくつかの実施形態において、rHSVベクターは、ヘルパー機能をコードする。いくつかの実施形態において、rHSVベクターは、ヘルパー機能をコードする1つ以上の内在的遺伝子を含む。いくつかの実施形態において、rHSVベクターは、ヘルパー機能をコードする1つ以上の異種遺伝子を含む。いくつかの実施形態において、rHSVベクターは、rAAVゲノムをコードする。いくつかの実施形態において、rHSVベクターは、AAV rep及びcap遺伝子をコードする。いくつかの実施形態において、rHSVベクターは、ヘルパー機能及びrAAVゲノムをコードする。いくつかの実施形態において、rHSVベクターは、ヘルパー機能ならびにAAV rep及びcap遺伝子をコードする。いくつかの実施形態において、当該細胞は、rep及びcap遺伝子をコードする1つ以上の安定的に組み込まれた異種ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、当該方法はさらに、培養物に、ナトリウム塩の最終濃度を約20mMから約150mMの間だけ増加させるのに十分な量のナトリウム塩を添加することを含む。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、バルプロ酸、プロピオン酸、酪酸、またはこれらの塩である。
【0065】
1つの態様において、本明細書では、rAAVを生成する方法であって、(a)哺乳類細胞を含む細胞培養物を準備することと、(b)当該細胞に、以下:i.パッケージング対象のrAAVゲノム、ii.当該rAAVをパッケージングするのに必要なヘルパー機能、iii.パッケージングするのに十分なAAV repタンパク質、及びiv.パッケージングするのに十分なAAV capタンパク質のうちの少なくとも1つをコードする1つ以上のポリヌクレオチドを導入することと、(c)当該細胞培養物に、約0.1mMから約20mMの間の最終濃度までHDAC阻害剤を添加することと、(b)の後に約2日から約15日またはそれ以上の間にわたり、当該rAAV粒子の生成を可能にする条件下で当該細胞培養物を維持することとを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態において、ヘルパー機能は、アデノウイルス遺伝子によってコードされる。いくつかの実施形態において、哺乳類細胞は、rep及びcap遺伝子をコードする1つ以上の安定的に組み込まれた異種ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、当該方法はさらに、培養物に、ナトリウム塩の最終濃度を約20mMから約150mMの間だけ増加させるのに十分な量のナトリウム塩を添加することを含む。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、バルプロ酸、プロピオン酸、酪酸、またはこれらの塩である。
【0066】
AAV rep及びcap遺伝子、ヘルパー遺伝子、及び/またはrAAVゲノムをコードするプラスミドまたはウイルスベクターを開発するための分子生物学の技法は、当技術分野で一般的に知られている。いくつかの実施形態において、AAV rep及びcap遺伝子は、1つのプラスミドベクターによってコードされる。いくつかの実施形態において、AAVヘルパー遺伝子(例えば、アデノウイルスE1a遺伝子、E1b遺伝子、E4遺伝子、E2a遺伝子、及びVA遺伝子)は、1つのプラスミドベクターによってコードされる。いくつかの実施形態において、E1a遺伝子またはE1b遺伝子は、宿主細胞によって安定的に発現し、残りのAAVヘルパー遺伝子は、1つのウイルスベクターによる形質移入によって細胞に導入される。いくつかの実施形態において、E1a遺伝子及びE1b遺伝子は、宿主細胞によって安定的に発現し、E4遺伝子、E2a遺伝子、及びVA遺伝子は、1つのプラスミドベクターによる形質移入によって細胞に導入される。いくつかの実施形態において、1つ以上のヘルパー遺伝子は、宿主細胞によって安定的に発現し、1つ以上のヘルパー遺伝子は、1つのプラスミドベクターによる形質移入によって細胞に導入される。いくつかの実施形態において、ヘルパー遺伝子は、宿主細胞によって安定的に発現する。いくつかの実施形態において、AAV rep及びcap遺伝子は、1つのウイルスベクターによってコードされる。いくつかの実施形態において、AAVヘルパー遺伝子(例えば、アデノウイルスE1a遺伝子、E1b遺伝子、E4遺伝子、E2a遺伝子、及びVA遺伝子)は、1つのウイルスベクターによってコードされる。いくつかの実施形態において、E1a遺伝子またはE1b遺伝子は、宿主細胞によって安定的に発現し、残りのAAVヘルパー遺伝子は、1つのウイルスベクターによる形質移入によって細胞に導入される。いくつかの実施形態において、E1a遺伝子及びE1b遺伝子は、宿主細胞によって安定的に発現し、E4遺伝子、E2a遺伝子、及びVA遺伝子は、1つのウイルスベクターによる形質移入によって細胞に導入される。いくつかの実施形態において、1つ以上のヘルパー遺伝子は、宿主細胞によって安定的に発現し、1つ以上のヘルパー遺伝子は、1つのウイルスベクターによる形質移入によって細胞に導入される。いくつかの実施形態において、AAV rep及びcap遺伝子、パッケージングするのに必要なアデノウイルスヘルパー機能、及びパッケージング対象のrAAVゲノムは、1つ以上のポリヌクレオチド、例えばベクターを用いた形質移入によって細胞に導入される。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、3つのポリヌクレオチドの混合物(1つはcap及びrep遺伝子をコードし、1つはパッケージングするのに必要なアデノウイルスヘルパー機能(例えば、アデノウイルスE1a遺伝子、E1b遺伝子、E4遺伝子、E2a遺伝子、及びVA遺伝子)をコードし、1つはパッケージング対象のrAAVゲノムをコードする)を細胞に形質移入することを含む。いくつかの実施形態において、AAV cap遺伝子は、AAV8またはAAV9 cap遺伝子である。いくつかの実施形態において、AAV cap遺伝子は、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.PHB、またはAAV.7m8 cap遺伝子である。いくつかの実施形態において、AAV cap遺伝子は、AAV8またはAAV9に対し高い配列相同性を備えたカプシドタンパク質、例えば、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、及びAAV.hu37をコードする。いくつかの実施形態において、パッケージング対象のrAAVゲノムをコードするベクターは、AAV ITRに隣接する目的遺伝子を含む。いくつかの実施形態において、AAV ITRは、AAV1、AAV2、rAAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、及びAAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、もしくはAAV.HSC16、またはその他のAAV血清型からのものである。
【0067】
任意のベクターの組合せを使用して、rAAV粒子が生成またはパッケージングされる細胞に、AAV rep及びcap遺伝子、AAVヘルパー遺伝子、ならびにrAAVゲノムを導入することができる。本明細書で開示される方法のいくつかの実施形態において、AAV逆方向末端反復(ITR)に隣接する対象遺伝子を含むrAAVゲノムをコードする第1のプラスミドベクターと、AAV rep及びcap遺伝子をコードする第2のベクターと、ヘルパー遺伝子をコードする第3のベクターとを使用することができる。いくつかの実施形態において、3つのベクターの混合物を細胞内に同時形質移入することができる。
【0068】
いくつかの実施形態において、プラスミドベクターに加えてウイルスベクターを共に使用することにより、形質移入及び感染の組合せが使用される。
【0069】
いくつかの実施形態において、rep及びcap遺伝子のうちの1つ以上ならびにAAVヘルパー遺伝子は、細胞によって構成的に発現し、細胞に形質移入または形質導入する必要がない。いくつかの実施形態において、細胞は、rep及び/またはcap遺伝子を構成的に発現する。いくつかの実施形態において、細胞は、1つ以上のAAVヘルパー遺伝子を構成的に発現する。いくつかの実施形態において、細胞は、E1aを構成的に発現する。いくつかの実施形態において、細胞は、rAAVゲノムをコードする安定的な導入遺伝子を含む。
【0070】
いくつかの実施形態において、AAV rep、cap、及びヘルパー遺伝子(例えば、Ela遺伝子、E1b遺伝子、E4遺伝子、E2a遺伝子、またはVA遺伝子)は、任意のAAV血清型とすることができる。同様に、AAV ITRも、任意のAAV血清型とすることができる。例えば、いくつかの実施形態において、AAV ITRは、AAV1、AAV2、rAAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、及びAAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、もしくはAAV.HSC16、またはその他のAAV血清型(例えば、2つ以上の血清型からの配列を有するハイブリッド血清型)からのものである。いくつかの実施形態において、AAV cap遺伝子は、AAV9またはAAV8 cap遺伝子からのものである。いくつかの実施形態において、AAV cap遺伝子は、AAV1、AAV2、rAAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、及びAAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、もしくはAAV.HSC16、またはその他のAAV血清型(例えば、2つ以上の血清型からの配列を有するハイブリッド血清型)からのものである。いくつかの実施形態において、rAAV粒子生成のためのAAV rep及びcap遺伝子は、異なる血清型からのものである。例えば、rep遺伝子はAAV2からのものであり、一方cap遺伝子はAAV9からのものである。
【0071】
細胞の形質移入のために使用することができる当技術分野で知られている任意の好適な方法を、本明細書で開示される方法に従うrAAV粒子生成のために使用することができる。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、化学ベースの形質移入法を用いて細胞に形質移入することを含む。いくつかの実施形態において、化学ベースの形質移入法は、リン酸カルシウム、高度に分岐した有機化合物(デンドリマー)、カチオン性ポリマー(例えば、DEAEデキストランまたはポリエチレンイミン(PEI))、リポフェクションを使用する。いくつかの実施形態において、化学ベースの形質移入法は、カチオン性ポリマー(例えば、DEAEデキストランまたはポリエチレンイミン(PEI))を使用する。いくつかの実施形態において、化学ベースの形質移入法は、ポリエチレンイミン(PEI)を使用する。いくつかの実施形態において、化学ベースの形質移入法は、DEAEデキストランを使用する。いくつかの実施形態において、化学ベースの形質移入法は、リン酸カルシウムを使用する。
【0072】
当技術分野で知られている任意の好適な培地を、本明細書で開示される方法に従ってrAAV粒子生成のために使用することができる。このような培地としては、限定されるものではないが、変法イーグル培地(MEM)、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)、及び米国特許第6,723,551号(参照によりその全体が本明細書に援用される)で説明されているようなSf-900 II SFM培地を含めたHyclone Laboratories及びJRHが生産する培地が挙げられる。いくつかの実施形態において、培地は、Invitrogen/ThermoFisher製のDynamis(商標)培地、FreeStyle(商標)293発現培地、またはExpi293(商標)発現培地を含む。いくつかの実施形態において、培地は、Dynamis(商標)培地を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、無血清培地、動物成分フリー培地、または化学的に定義された培地を含む細胞培養物を使用する。いくつかの実施形態において、培地は、動物成分フリー培地である。いくつかの実施形態において、培地は、血清を含む。いくつかの実施形態において、培地は、ウシ胎児血清を含む。いくつかの実施形態において、培地は、無グルタミン培地である。いくつかの実施形態において、培地は、グルタミンを含む。いくつかの実施形態において、培地には、栄養素、塩、緩衝剤、及び添加物(例えば、消泡剤)のうちの1つ以上が補充される。いくつかの実施形態において、培地には、グルタミンが補充される。いくつかの実施形態において、培地には、血清が補充される。いくつかの実施形態において、培地には、ウシ胎児血清が補充される。いくつかの実施形態において、培地には、ポロキサマー、例えば、Kolliphor(登録商標)P 188 Bioが補充される。いくつかの実施形態において、培地は、基本培地である。いくつかの実施形態において、培地は、フィード培地である。
【0073】
rAAV生成培養物は、利用されている特定の宿主細胞に適した様々な条件下で(広い温度範囲にわたり、様々な長さの時間で、など)ルーチン的に成長させることができる。当技術分野で知られているように、rAAV生成培養物は、好適な付着依存性容器(例えば、ローラーボトル、中空繊維フィルター、多層またはマルチトレイ組織培養フラスコ(すなわちスタック、例えばハイパースタック)、マイクロキャリア、及び充填床または流動床バイオリアクター)中で培養することができる付着依存性の培養物を含む。また、rAAVベクター生成培養物は、浮遊適応性の宿主細胞、例えば、HeLa細胞、HEK293細胞、HEK293由来細胞(例えば、HEK293T細胞、HEK293F細胞)、ベロ細胞、CHO細胞、CHO-K1細胞、CHO由来細胞、EB66細胞、BSC細胞、HepG2細胞、LLC-MK細胞、CV-1細胞、COS細胞、MDBK細胞、MDCK細胞、CRFK細胞、RAF細胞、RK細胞、TCMK-1細胞、LLCPK細胞、PK15細胞、LLC-RK細胞、MDOK細胞、BHK細胞、BHK-21細胞、NS-1細胞、MRC-5細胞、WI-38細胞、BHK細胞、3T3細胞、293細胞、RK細胞、Per.C6細胞、ニワトリ胚細胞、及びSF-9細胞も含むことができ、これらは、例えば、スピナーフラスコ、撹拌タンクバイオリアクター、及びWaveバッグシステムなどの使い捨てシステムを含めた様々な方法で培養することができる。rAAV粒子を生成するための多数の浮遊培養物が当技術分野で知られており、これには例えば、米国特許第6,995,006号、第9,783,826号、及び米国特許出願公開第20120122155号(これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に援用される)で開示されている培養物が含まれる。
【0074】
当技術分野でrAAV粒子を生成することが知られている任意の細胞または細胞株を、本明細書で開示される方法のいずれか1つで使用することができる。いくつかの実施形態において、本明細書で開示されるrAAV粒子を生成するまたはrAAV粒子の生成を増加させる方法は、HeLa細胞、HEK293細胞、HEK293由来細胞(例えば、HEK293T細胞、HEK293F細胞)、ベロ細胞、CHO細胞、CHO-K1細胞、CHO由来細胞、EB66細胞、BSC細胞、HepG2細胞、LLC-MK細胞、CV-1細胞、COS細胞、MDBK細胞、MDCK細胞、CRFK細胞、RAF細胞、RK細胞、TCMK-1細胞、LLCPK細胞、PK15細胞、LLC-RK細胞、MDOK細胞、BHK細胞、BHK-21細胞、NS-1細胞、MRC-5細胞、WI-38細胞、BHK細胞、3T3細胞、293細胞、RK細胞、Per.C6細胞、ニワトリ胚細胞、またはSF-9細胞を使用する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、哺乳類細胞を使用する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、昆虫細胞、例えばSF-9細胞を使用する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、HEK293細胞を使用する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、浮遊培養での成長に適応したHEK293細胞を使用する。
【0075】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される細胞培養物は、浮遊培養物である。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される細胞培養物は、HEK293を含む浮遊培養物である。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される細胞培養物は、浮遊培養での成長に適応したHEK293細胞を含む浮遊培養物である。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される細胞培養物は、無血清培地、動物成分フリー培地、または化学的に定義された培地を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される細胞培養物は、無血清培地を含む。いくつかの実施形態において、浮遊適応性の細胞は、振とうフラスコ、スピナーフラスコ、細胞バッグ、またはバイオリアクター中で培養される。
【0076】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される細胞培養物は、それ自体が培地中で浮遊状態にある基質(例えば、マイクロキャリア)に付着した細胞を含む。いくつかの実施形態において、細胞は、HEK293細胞である。
【0077】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される細胞培養物は、接着培養物である。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される細胞培養物は、HEK293を含む接着培養物である。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される細胞培養物は、無血清培地、動物成分フリー培地、または化学的に定義された培地を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される細胞培養物は、無血清培地を含む。
【0078】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される細胞培養物は、高密度細胞培養物を含む。いくつかの実施形態において、培養物は、約1×10E+06細胞/mlから約30×10E+06細胞/mlの間の総細胞密度を有する。いくつかの実施形態において、細胞の約50%超が生細胞である。いくつかの実施形態において、細胞は、HeLa細胞、HEK293細胞、HEK293由来細胞(例えば、HEK293T細胞、HEK293F細胞)、ベロ細胞、またはSF-9細胞である。さらなる実施形態において、細胞は、HEK293細胞である。さらなる実施形態において、細胞は、浮遊培養での成長に適応したHEK293細胞である。
【0079】
本明細書で開示される方法は、任意のAAVカプシド血清型からのカプシドタンパク質を含むrAAV粒子の生成で使用することができる。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV1、AAV2、rAAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、及びAAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、及びAAV.HSC16から選択されるAAVカプシド血清型からのカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV1、AAV2、rAAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、及びAAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、またはAAV.HSC16カプシドタンパク質の派生物、修飾物、またはシュードタイプであるカプシドタンパク質を含む。
【0080】
いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8及びAAV9から選択されるAAVカプシド血清型からのカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8のAAVカプシド血清型を有する。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV9のAAVカプシド血清型を有する。
【0081】
いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.PHB、及びAAV.7m8からなる群より選択されるAAVカプシド血清型からのカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8またはAAV9に対し高い配列相同性を備えたカプシドタンパク質、例えば、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、及びAAV.hu37を含む。
【0082】
いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8またはAAV9カプシドタンパク質の派生物、修飾物、またはシュードタイプであるカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8カプシドタンパク質のVP1、VP2、及び/またはVP3配列に対し少なくとも80%以上同一、例えば、85%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%など、すなわち、最大100%同一のAAV8カプシドタンパク質を有する、カプシドタンパク質を含む。
【0083】
いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV9カプシドタンパク質の派生物、修飾物、またはシュードタイプであるカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV9カプシドタンパク質のVP1、VP2、及び/またはVP3配列に対し少なくとも80%以上同一、例えば、85%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%など、すなわち、最大100%同一のAAV9カプシドタンパク質を有する、カプシドタンパク質を含む。
【0084】
いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.PHB、またはAAV.7m8カプシドタンパク質のVP1、VP2、及び/またはVP3配列に対し少なくとも80%以上の同一性、例えば、85%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%など、すなわち、最大100%の同一性を有するカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8またはAAV9に対し高い配列相同性を備えたAAVカプシドタンパク質、例えば、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、及びAAV.hu37のVP1、VP2、及び/またはVP3配列に対し少なくとも80%以上の同一性、例えば、85%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%など、すなわち、最大100%の同一性を有するカプシドタンパク質を含む。
【0085】
追加の実施形態において、rAAV粒子は、モザイクカプシドを含む。追加の実施形態において、rAAV粒子は、シュードタイプのrAAV粒子を含む。追加の実施形態において、rAAV粒子は、2つ以上のAAVカプシド血清型のカプシドタンパク質キメラを含むカプシドを含む。
【0086】
本明細書で開示される方法のいくつかの実施形態において、(例えば、商業的製造プロセス中に)大量の細胞培養物が存在してもよい。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、rAAV粒子を含む大量の細胞培養物の処理に適している。「大量」という用語は、rAAV粒子の商業的及び/または工業的生産に関連する量を意味する。いくつかの実施形態において、「大量」という用語は、約20リットルから約20000リットルの間、約50リットルから約20000リットルの間、約100リットルから約20000リットルの間、約500リットルから約20000リットルの間、約1000リットルから約20000リットルの間、約20リットルから約5000リットルの間、約50リットルから約5000リットルの間、約100リットルから約3000リットルの間、約500リットルから約3000リットルの間、約1500リットルから約2500リットルの間を意味する。いくつかの実施形態において、「大量」という用語は、約50リットルから約2,000リットルの間を意味する。いくつかの実施形態において、「大量」という用語は、約50リットルから約3,000リットルの間を意味する。いくつかの実施形態において、「大量」という用語は、約50リットルから約5,000リットルの間を意味する。いくつかの実施形態において、「大量」という用語は、約200リットルを意味する。いくつかの実施形態において、「大量」という用語は、約500リットルを意味する。いくつかの実施形態において、「大量」という用語は、約1000リットルを意味する。いくつかの実施形態において、「大量」という用語は、約1500リットルを意味する。いくつかの実施形態において、「大量」という用語は、約2000リットルを意味する。いくつかの実施形態において、「大量」という用語は、約2500リットルを意味する。いくつかの実施形態において、「大量」という用語は、約3000リットルを意味する。いくつかの実施形態において、「大量」という用語は、約5000リットルを意味する。いくつかの実施形態において、「大量」という用語は、約10000リットルを意味する。いくつかの実施形態において、「大量」という用語は、約15000リットルを意味する。いくつかの実施形態において、「大量」という用語は、約20000リットルを意味する。いくつかの実施形態において、「大量」という用語は、約10リットルから1000リットルの間、約10リットルから100リットルの間、約20リットルから500リットルの間、約50リットルから500リットルの間、約100リットルから1000リットルの間、または約100リットルから500リットルの間を意味する。
【0087】
rAAV粒子
提供される方法は、任意の単離された組換えAAV粒子の生成で使用するのに適している。そのため、本開示の方法に従って生成されたrAAVは、当技術分野で知られている任意の血清型、修飾物、もしくは派生物、またはこれらの任意の組合せ(例えば、2つ以上の血清型を含むrAAV粒子の集団、例えば、AAV1、AAV2、rAAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7,AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、及びAAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、もしくはAAV.HSC16、または他のrAAV粒子のうちの2つ以上を含む集団、あるいはこれらの2つ以上の組合せ)とすることができる。
【0088】
いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV1、AAV2、rAAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、及びAAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、もしくはAAV.HSC16、またはこれらの派生物、修飾物、もしくはシュードタイプから選択されるAAV血清型からのカプシドタンパク質を有する。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、例えば、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、及びAAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、rAAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、またはAAV.HSC16から選択されるAAVカプシド血清型のVP1、VP2、及び/またはVP3配列に対し少なくとも80%以上同一である、例えば、85%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%など、すなわち最大100%同一である、カプシドタンパク質を含む。
【0089】
いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV1、AAV2、rAAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、及びAAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、もしくはAAV.HSC16、またはこれらの派生物、修飾物、もしくはシュードタイプから選択されるAAVカプシド血清型からのカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、例えば、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、及びAAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、またはAAV.HSC16から選択されるAAVカプシド血清型のVP1、VP2、及び/またはVP3配列に対し少なくとも80%以上同一である、例えば、85%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%など、すなわち最大100%同一である、カプシドタンパク質を含む。
【0090】
いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、Zinn et al.,2015,Cell Rep.12(6):1056-1068(参照によりその全体が援用される)で説明されているように、Anc80またはAnc80L65のカプシドを含む。ある特定の実施形態において、rAAV粒子は、米国特許第9,193,956号、第9458517号、及び第9,587,282号、ならびに米国特許出願公開第2016/0376323号(これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に援用される)で説明されているように、アミノ酸挿入物:LGETTRPまたはLALGETTRPのうちの1つを有するカプシドを含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、米国特許第9,193,956号、第9,458,517号、及び第9,587,282号、ならびに米国特許出願公開第2016/0376323号(これらの各々は、参照によりその全体が明細書に援用される)で説明されているように、AAV.7m8のカプシドを含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、米国特許第9,585,971号で開示されている任意のAAVカプシド、例えばAAV-PHP.Bを含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、米国特許第9,840,719号及びWO2015/013313(これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に援用される)で開示されている任意のAAVカプシド、例えば、AAV.Rh74及びRHM4-1を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、WO2014/172669(参照によりその全体が本明細書に援用される)で開示されている任意のAAVカプシド、例えばAAV rh.74を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、Georgiadis et al.,2016,Gene Therapy 23:857-862及びGeorgiadis et al.,2018,Gene Therapy 25:450(これらの各々は、参照によりその全体が援用される)で説明されているように、AAV2/5のカプシドを含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、WO2017/070491(参照によりその全体が本明細書に援用される)で開示されている任意のAAVカプシド、例えばAAV2tYFを含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、Puzzo et al.,2017,Sci.Transl. Med.29(9):418で説明されているようなAAVLK03またはAAV3Bのカプシドを含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、米国特許第8,628,966号、第US8,927,514号、第US9,923,120号、及びWO2016/049230で開示されている任意のAAVカプシド、例えば、HSC1、HSC2、HSC3、HSC4、HSC5、HSC6、HSC7、HSC8、HSC9、HSC10、HSC11、HSC12、HSC13、HSC14、HSC15、またはHSC16を含む(これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に援用される)。
【0091】
いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、以下の特許及び特許出願(これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に援用される):米国特許第7,282,199号、第7,906,111号、第8,524,446号、第8,999,678号、第8,628,966号、第8,927,514号、第8,734,809号、第US9,284,357号、第9,409,953号、第9,169,299号、第9,193,956号、第9458517、及び第9,587,282号、米国特許出願公開第2015/0374803号、第2015/0126588号、第2017/0067908号、第2013/0224836号、第2016/0215024号、第2017/0051257号、ならびに国際特許出願第PCT/US2015/034799号、第PCT/EP2015/053335のいずれかで開示されているAAVカプシドを含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、以下の特許及び特許出願(これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に援用される)のいずれかで開示されているAAVカプシドのVP1、VP2、及び/またはVP3配列に対し少なくとも80%以上同一である、例えば、85%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%など、すなわち最大100%同一であるカプシドタンパク質を有する:米国特許第7,282,199号、第7,906,111号、第8,524,446号、第8,999,678号、第8,628,966号、第8,927,514号、第8,734,809号、第US9,284,357号、第9,409,953号、第9,169,299号、第9,193,956号、第9458517号、及び第9,587,282号、米国特許出願公開第US2015/0374803号、第2015/0126588号、第2017/0067908号、第2013/0224836号、第2016/0215024号、第2017/0051257、ならびに国際特許出願第PCT/US2015/034799号、第PCT/EP2015/053335号。
【0092】
いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、国際特許出願公開第WO2003/052051号(例えば、配列番号2を参照)、第WO2005/033321号(例えば、配列番号123及び88を参照)、第WO03/042397号(例えば、配列番号2、81、85、及び97を参照)、第WO2006/068888号(例えば、配列番号1及び3~6を参照)、第WO2006/110689号(例えば、配列番号5~38を参照)、第WO2009/104964号(例えば、配列番号1~5、7、9、20、22、24、及び31を参照)、第WO2010/127097号(例えば、配列番号5~38を参照)、ならびに第WO2015/191508号(例えば、配列番号80~294を参照)、ならびに米国特許出願公開第20150023924号(例えば、配列番号1、5~10を参照)(これらの各々の内容は、参照によりその全体が本明細書に援用される)で開示されているカプシドタンパク質を有する。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、以下で開示されているAAVカプシドのVP1、VP2及び/またはVP3配列に対し、少なくとも80%以上同一、例えば、85%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%など、すなわち、最大100%同一であるカプシドタンパク質を有する:国際特許出願公開第WO2003/052051号(例えば、配列番号2を参照)、第WO2005/033321号(例えば、配列番号123及び88を参照)、第WO03/042397号(例えば、配列番号2、81、85、及び97を参照)、第WO2006/068888号(例えば、配列番号1及び3~6を参照)、第WO2006/110689号(例えば、配列番号5~38を参照)、第WO2009/104964号(例えば、配列番号1~5、7、9、20、22、24、及び31を参照)、第WO2010/127097号(例えば、配列番号5~38を参照)、ならびに第WO2015/191508号(例えば、配列番号80~294を参照)、ならびに米国特許出願公開第20150023924号(例えば、配列番号1、5~10を参照)。
【0093】
AAVベースウイルスベクターの核酸配列、ならびに組換えAAV及びAAVカプシドを作製する方法は、例えば、以下で教示されている:米国特許第7,282,199号、第7,906,111号、第8,524,446号、第8,999,678号、第8,628,966号、第8,927,514号、第8,734,809号、第US9,284,357号、第9,409,953号、第9,169,299号、第9,193,956号、第9458517号、及び第9,587,282号、米国特許出願公開第2015/0374803号、第2015/0126588号、第2017/0067908号、第2013/0224836号、第2016/0215024号、第2017/0051257号、国際特許出願第PCT/US2015/034799号、第PCT/EP2015/053335号、第WO2003/052051号、第WO2005/033321号、第WO03/042397号、第WO2006/068888号、第WO2006/110689号、第WO2009/104964号、第WO2010/127097号、及び第WO2015/191508号、ならびに米国特許出願公開第20150023924号。
【0094】
提供される方法は、導入遺伝子をコードする組換えAAVの生成で使用するのに適している。ある特定の実施形態において、導入遺伝子は表1A~1Cからのものである。いくつかの実施形態において、rAAVゲノムは、以下の構成要素:(1)発現カセットに隣接するAAV逆方向末端反復と、(2)調節制御要素、例えば、a)プロモーター/エンハンサー、b)ポリAシグナル、及びc)任意選択でイントロンと、(3)導入遺伝子をコードする核酸配列とを含む、ベクターを含む。インタクトなまたは実質的にインタクトなモノクローナル抗体(mAb)を発現させるための他の実施形態において、rAAVゲノムは、以下の構成要素:(1)発現カセットに隣接するAAV逆方向末端反復と、(2)調節制御要素、例えば、a)プロモーター/エンハンサー、b)ポリAシグナル、及びc)任意選択でイントロンと、(3)抗体の軽鎖Fab及び重鎖Fab、または少なくとも重鎖または軽鎖Fab、ならびに任意選択で重鎖Fc領域をコードする核酸配列とを含む、ベクターを含む。インタクトまたは実質的にインタクトなmAbを発現させるためのさらに他の実施形態において、rAAVゲノムは、以下の構成要素を含むベクターを含む:(1)発現カセットに隣接するAAV逆方向末端反復;(2)調節制御エレメント、例えば、a)プロモーター/エンハンサー、b)ポリAシグナル、及びc)任意選択でイントロン;ならびに(3)以下のものの重鎖Fabをコードする核酸配列:抗VEGF(例えば、セバシズマブ、ラニビズマブ、ベバシズマブ、及びブロルシズマブ)、抗EpoR(例えば、LKA-651)、抗ALK1(例えば、アスクリンバクマブ)、抗C5(例えば、テシドルマブ及びエクリズマブ)、抗CD105(例えば、カロツキシマブ)、抗CC1Q(例えば、ANX-007)、抗TNFα(例えば、アダリムマブ、インフリキシマブ、及びゴリムマブ)、抗RGMa(例えば、エレザヌマブ)、抗TTR(例えば、NI-301及びPRX-004)、抗CTGF(例えば、パムレブルマブ)、抗IL6R(例えば、サトラリズマブ及びサリルマブ)、抗IL4R(例えば、デュピルマブ)、抗IL17A(例えば、イキセキズマブ及びセクキヌマブ)、抗IL-5(例えば、メポリズマブ)、抗IL12/IL23(例えば、ウステキヌマブ)、抗CD19(例えば、イネビリズマブ)、抗ITGF7 mAb(例えば、エトロリズマブ)、抗SOST mAb(例えば、ロモソズマブ)、抗pKal mAb(例えば、ラナデルマブ)、抗ITGA4(例えば、ナタリズマブ)、抗ITGA4B7(例えば、ベドリズマブ)、抗BLyS(例えば、ベリムマブ)、抗PD-1(例えば、ニボルマブ及びペムブロリズマブ)、抗RANKL(例えば、デンソマブ)、抗PCSK9(例えば、アリロクマブ及びエボロクマブ)、抗ANGPTL3(例えば、エビナクマブ*)、抗OxPL(例えば、E06)、抗fD(例えば、ラムパリズマブ)、または抗MMP9(例えば、アンデカリキシマブ);任意選択で、治療抗体のネイティブ形態と同じアイソタイプのFcポリペプチド、例えば、IgGアイソタイプアミノ酸配列IgG1、IgG2、もしくはIgG4、またはこれらの修飾Fc;ならびに以下のものの軽鎖をコードする核酸配列:抗VEGF(例えば、セバシズマブ、ラニビズマブ、ベバシズマブ、及びブロルシズマブ)、抗EpoR(例えば、LKA-651)、抗ALK1(例えば、アスクリンバクマブ)、抗C5(例えば、テシドルマブ及びエクリズマブ)、抗CD105もしくは抗ENG(例えば、カロツキシマブ)、抗CC1Q(例えば、ANX-007)、抗TNFα(例えば、アダリムマブ、インフリキシマブ、及びゴリムマブ)、抗RGMa(例えば、エレザヌマブ)、抗TTR(例えば、NI-301及びPRX-004)、抗CTGF(例えば、パムレブルマブ)、抗IL6R(例えば、サトラリズマブ及びサリルマブ)、抗IL4R(例えば、デュピルマブ)、抗IL17A(例えば、イキセキズマブ及びセクキヌマブ)、抗IL-5(例えば、メポリズマブ)、抗IL12/IL23(例えば、ウステキヌマブ)、抗CD19(例えば、イネビリズマブ)、抗ITGF7 mAb(例えば、エトロリズマブ)、抗SOST mAb(例えば、ロモソズマブ)、抗pKal mAb(例えば、ラナデルマブ)、抗ITGA4(例えば、ナタリズマブ)、抗ITGA4B7(例えば、ベドリズマブ)、抗BLyS(例えば、ベリムマブ)、抗PD-1(例えば、ニボルマブ及びペムブロリズマブ)、抗RANKL(例えば、デンソマブ)、抗PCSK9(例えば、アリロクマブ及びエボロクマブ)、抗ANGPTL3(例えば、エビナクマブ)、抗OxPL(例えば、E06)、抗fD(例えば、ラムパリズマブ)、または抗MMP9(例えば、アンデカリキシマブ)。このとき、重鎖(Fab及び任意選択でFc領域)ならびに軽鎖は、自己切断フリン(F)/F2Aまたはフレキシブルリンカーによって分離され、重鎖及び軽鎖ポリペプチドが等しい量で発現するのを確実にする。
【0095】
(表1A)
【0096】
(表1B)
【0097】
(表1C)
【0098】
いくつかの実施形態において、本明細書では、抗VEGF FabをコードするrAAVウイルスベクターが提供される。具体的な実施形態において、本明細書では、抗VEGF FabをコードするrAAV8ベースウイルスベクターが提供される。より具体的な実施形態において、本明細書では、ラニビズマブをコードするrAAV8ベースウイルスベクターが提供される。いくつかの実施形態において、本明細書では、イズロニダーゼ(IDUA)をコードするrAAVウイルスベクターが提供される。具体的な実施形態において、本明細書では、IDUAをコードするrAAV9ベースウイルスベクターが提供される。いくつかの実施形態において、本明細書では、イズロン酸2-スルファターゼ(IDS)をコードするrAAVウイルスベクターが提供される。具体的な実施形態において、本明細書では、IDSをコードするrAAV9ベースウイルスベクターが提供される。いくつかの実施形態において、本明細書では、低密度リポタンパク質受容体(LDLR)をコードするrAAVウイルスベクターが提供される。具体的な実施形態において、本明細書では、LDLRをコードするrAAV8ベースウイルスベクターが提供される。いくつかの実施形態において、本明細書では、トリペプチジルペプチダーゼ1(TPP1)タンパク質をコードするrAAVウイルスベクターが提供される。具体的な実施形態において、本明細書では、TPP1をコードするrAAV9ベースウイルスベクターが提供される。いくつかの実施形態において、本明細書では、VEGF受容体1(sFlt-1)の非膜結合型スプライスバリアントをコードするrAAVウイルスベクターが提供される。いくつかの実施形態において、本明細書では、ガンマ-サルコグリカン、Rabエスコートタンパク質1(REP1/CHM)、レチノイドイソメロヒドロラーゼ(RPE65)、環状ヌクレオチドゲートチャネルアルファ3(CNGA3)、環状ヌクレオチドゲートチャネルベータ3(CNGB3)、芳香族L-アミノ酸デカルボキシラーゼ(AADC)、リソソーム関連膜タンパク質2アイソフォームB(LAMP2B)、第VIII因子、第IX因子、網膜色素変性GTPアーゼ制御因子(RPGR)、レチノスキシン(RS1)、筋小胞体カルシウムATPアーゼ(SERCA2a)、アフリベルセプト、バッテニン(CLN3)、膜貫通ERタンパク質(CLN6)、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)、アクアポリン1(AQP1)、ジストロフィン、ミオチューブラリン1(MTM1)、フォリスタチン(FST)、グルコース-6-ホスファターゼ(G6Pアーゼ)、アポリポタンパク質A2(APOA2)、ウリジン二リン酸グルクロノシルトランスフェラーゼ1A1(UGT1A1)、アリールスルファターゼB(ARSB)、N-アセチル-アルファ-グルコサミニダーゼ(NAGLU)、アルファ-グルコシダーゼ(GAA)、アルファ-ガラクトシダーゼ(GLA)、ベータ-ガラクトシダーゼ(GLB1)、リポタンパク質リパーゼ(LPL)、アルファ1-アンチトリプシン(AAT)、ホスホジエステラーゼ6B(PDE6B)、オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ9OTC)、生存運動ニューロン(SMN1)、生存運動ニューロン(SMN2)、ニュールツリン(NRTN)、ニューロトロフィン-3(NT-3/NTF3)、ポルホビリノーゲンデアミナーゼ(PBGD)、神経成長因子(NGF)、ミトコンドリアコードNADH:ユビキノンオキシドレダクターゼコアサブユニット4(MT-ND4)、保護タンパク質カテプシンA(PPCA)、ジスフェリン、MERがん原遺伝子チロシンキナーゼ(MERTK)、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)、または腫瘍壊死因子受容体(TNFR)-免疫グロブリン(IgG1)Fc融合体をコードするrAAVウイルスベクターが提供される。
【0099】
追加の実施形態において、rAAV粒子は、シュードタイプAAVカプシドを含む。いくつかの実施形態において、シュードタイプAAVカプシドは、rAAV2/8またはrAAV2/9シュードタイプAAVカプシドである。シュードタイプrAAV粒子を生成し使用するための方法は、当技術分野で知られている(例えば、Duan et al.,J.Virol.,75:7662-7671(2001);Halbert et al.,J.Virol.,74:1524-1532(2000);Zolotukhin et al.,Methods 28:158-167(2002);及びAuricchio et al.,Hum.Molec. Genet.10:3075-3081,(2001)を参照)。
【0100】
追加の実施形態において、rAAV粒子は、2つ以上のAAVカプシド血清型のキメラであるカプシドタンパク質を含むカプシドを含む。いくつかの実施形態において、カプシドタンパク質は、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、及びAAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、またはAAV.HSC16から選択されるAAV血清型からの2つ以上のAAVカプシドタンパク質のキメラである。
【0101】
ある特定の実施形態において、1本鎖AAV(ssAAV)を使用することができる。ある特定の実施形態において、自己相補的ベクター、例えばscAAVを使用することができる(例えば、Wu,2007,Human Gene Therapy,18(2):171-82;McCarty et al,2001,Gene Therapy,Vol.8,Number 16:1248-1254;ならびに米国特許第6,596,535号、第7,125,717号、及び第7,456,683号(これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に援用される)を参照)。
【0102】
いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8またはAAV9から選択されるAAVカプシド血清型からのカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.PHB、及びAAV.7m8からなる群より選択されるAAVカプシド血清型からのカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8またはAAV9に対し高い配列相同性を備えたカプシドタンパク質、例えば、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、及びAAV.hu37を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV1、またはその派生物、修飾物、もしくはシュードタイプのAAVカプシド血清型を有する。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV4、またはその派生物、修飾物、もしくはシュードタイプのAAVカプシド血清型を有する。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV5、またはその派生物、修飾物、もしくはシュードタイプのAAVカプシド血清型を有する。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8、またはその派生物、修飾物、もしくはシュードタイプのAAVカプシド血清型を有する。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV9、またはその派生物、修飾物、もしくはシュードタイプのAAVカプシド血清型を有する。
【0103】
いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8またはAAV9カプシドタンパク質の派生物、修飾物、またはシュードタイプであるカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8カプシドタンパク質のVP1、VP2、及び/またはVP3配列に対し少なくとも80%以上同一、例えば、85%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%など、すなわち、最大100%同一のAAV8カプシドタンパク質を有する、カプシドタンパク質を含む。
【0104】
いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV9カプシドタンパク質の派生物、修飾物、またはシュードタイプであるカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV9カプシドタンパク質のVP1、VP2、及び/またはVP3配列に対し少なくとも80%以上同一、例えば、85%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%など、すなわち、最大100%同一のAAV8カプシドタンパク質を有する、カプシドタンパク質を含む。
【0105】
いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.PHB、またはAAV.7m8カプシドタンパク質のVP1、VP2、及び/またはVP3配列に対し少なくとも80%以上の同一性、例えば、85%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%など、すなわち、最大100%の同一性を有するカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8またはAAV9に対し高い配列相同性を備えたAAVカプシドタンパク質、例えば、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、及びAAV.hu37のVP1、VP2、及び/またはVP3配列に対し少なくとも80%以上の同一性、例えば、85%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%など、すなわち、最大100%の同一性を有するカプシドタンパク質を含む。
【0106】
追加の実施形態において、rAAV粒子は、モザイクカプシドを含む。モザイクAAV粒子は、AAVの異なる血清型からのウイルスカプシドタンパク質の混合物から構成される。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、及びAAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、ならびにAAV.HSC16から選択される血清型のカプシドタンパク質を含むモザイクカプシドを含む。
【0107】
いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV1、AAV2、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAVrh.8、及びAAVrh.10から選択される血清型のカプシドタンパク質を含むモザイクカプシドを含む。
【0108】
追加の実施形態において、rAAV粒子は、シュードタイプrAAV粒子を含む。いくつかの実施形態において、シュードタイプrAAV粒子は、(a)AAV ITRを含む核酸ベクターと、(b)AAVx(例えば、AAV1、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、及びAAV16)に由来するカプシドタンパク質から構成されるカプシドとを含む。追加の実施形態において、rAAV粒子は、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、及びAAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、及びAAV.HSC16から選択されるAAV血清型のカプシドタンパク質から構成されるシュードタイプrAAV粒子を含む。追加の実施形態において、rAAV粒子は、AAV8カプシドタンパク質を含むシュードタイプrAAV粒子を含む。追加の実施形態において、rAAV粒子は、AAV9カプシドタンパク質から構成されるシュードタイプrAAV粒子を含む。いくつかの実施形態において、シュードタイプrAAV8またはrAAV9粒子は、rAAV2/8またはrAAV2/9シュードタイプ粒子である。シュードタイプrAAV粒子を生成し使用するための方法は、当技術分野で知られている(例えば、Duan et al.,J.Virol.,75:7662-7671(2001);Halbert et al.,J.Virol.,74:1524-1532(2000);Zolotukhin et al.,Methods 28:158-167(2002);及びAuricchio et al.,Hum.Molec. Genet.10:3075-3081,(2001)を参照)。
【0109】
追加の実施形態において、rAAV粒子は、2つ以上のAAVカプシド血清型のキメラであるカプシドタンパク質を含むカプシドを含む。さらなる実施形態において、カプシドタンパク質は、AAV1、AAV2、rAAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、及びAAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、rAAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、及びAAV.HSC16から選択されるAAV血清型からの2つ以上のAAVカプシドタンパク質のキメラである。さらなる実施形態において、カプシドタンパク質は、AAV1、AAV2、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAVrh.8、及びAAVrh.10から選択されるAAV血清型からの2つ以上のAAVカプシドタンパク質のキメラである。
【0110】
いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8カプシドタンパク質と、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、及びAAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、及びAAV.HSC16から選択されるAAV血清型からの1つ以上のAAVカプシドタンパク質とのキメラである、AAVカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8カプシドタンパク質と、AAV1、AAV2、AAV5、AAV6、AAV7、AAV9、AAV10、AAVrh.8、及びAAVrh.10から選択されるAAV血清型からの1つ以上のAAVカプシドタンパク質とのキメラである、AAVカプシドタンパク質を含む。
【0111】
いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV9カプシドタンパク質と、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、及びAAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、及びAAV.HSC16から選択される1つ以上のAAVカプシド血清型のカプシドタンパク質とのキメラである、AAVカプシドタンパク質を含む。
【0112】
いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV9カプシドタンパク質と、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AA6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh.8、及びAAVrh.10から選択される1つ以上のAAVカプシド血清型のカプシドタンパク質とのキメラである、AAVカプシドタンパク質を含む。
【0113】
rAAV粒子を単離するための方法
【0114】
本明細書で開示されるrAAV粒子を生成する方法(例えば、[1]~[129]のいずれか1つの方法)は、rAAV粒子を単離するための上流処理と組み合わせて使用することができる。
【0115】
本明細書で開示される方法(例えば、[1]~[129]のいずれか1つの方法)に従って生成されたrAAV粒子は、当技術分野で知られている方法を用いて単離することができる。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法に従って生成されたrAAV粒子を単離する方法は、下流処理、例えば、細胞培養物の収集、(例えば、遠心分離または深層濾過による)収集した細胞培養物の清澄化、タンジェンシャルフロー濾過、アフィニティークロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、疎水相互作用クロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、無菌濾過、またはこれらの任意の組合せ(複数可)を含む。いくつかの実施形態において、下流処理は、細胞培養物の収集、(例えば、遠心分離または深層濾過による)収集した細胞培養物の清澄化、タンジェンシャルフロー濾過、アフィニティークロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、疎水相互作用クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、及び無菌濾過のうちの少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または少なくとも6つを含む。いくつかの実施形態において、下流処理は、細胞培養物の収集、(例えば、深層濾過による)収集した細胞培養物の清澄化、無菌濾過、タンジェンシャルフロー濾過、アフィニティークロマトグラフィー、及びアニオン交換クロマトグラフィーを含む。いくつかの実施形態において、下流処理は、収集した細胞培養物の清澄化、無菌濾過、タンジェンシャルフロー濾過、アフィニティークロマトグラフィー、及びアニオン交換クロマトグラフィーを含む。いくつかの実施形態において、下流処理は、深層濾過による収集した細胞培養物の清澄化、無菌濾過、タンジェンシャルフロー濾過、アフィニティークロマトグラフィー、及びアニオン交換クロマトグラフィーを含む。いくつかの実施形態において、収集した細胞培養物の清澄化は、無菌濾過を含む。いくつかの実施形態において、下流処理は、遠心分離を含まない。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8血清型のカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV9血清型のカプシドタンパク質を含む。
【0116】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法に従うrAAV粒子を単離する方法は、細胞培養物の収集、(例えば、深層濾過による)収集した細胞培養物の清澄化、第1の無菌濾過、第1のタンジェンシャルフロー濾過、アフィニティークロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィー(例えば、4級アミンリガンドを用いたモノリスアニオン交換クロマトグラフィーまたはAEXクロマトグラフィー)、第2のタンジェンシャルフロー濾過、及び第2の無菌濾過を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で開示されるrAAV粒子を単離する方法は、細胞培養物の収集、(例えば、深層濾過による)収集した細胞培養物の清澄化、第1の無菌濾過、アフィニティークロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィー(例えば、4級アミンリガンドを用いたモノリスアニオン交換クロマトグラフィーまたはAEXクロマトグラフィー)、タンジェンシャルフロー濾過、及び第2の無菌濾過を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法に従って生成されたrAAV粒子を単離する方法は、収集した細胞培養物の清澄化、第1の無菌濾過、第1のタンジェンシャルフロー濾過、アフィニティークロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィー(例えば、4級アミンリガンドを用いたモノリスアニオン交換クロマトグラフィーまたはAEXクロマトグラフィー)、第2のタンジェンシャルフロー濾過、及び第2の無菌濾過を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で開示されるrAAV粒子を単離する方法は、収集した細胞培養物の清澄化、第1の無菌濾過、アフィニティークロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィー(例えば、4級アミンリガンドを用いたモノリスアニオン交換クロマトグラフィーまたはAEXクロマトグラフィー)、タンジェンシャルフロー濾過、及び第2の無菌濾過を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法に従って生成されたrAAV粒子を単離する方法は、深層濾過による収集した細胞培養物の清澄化、第1の無菌濾過、第1のタンジェンシャルフロー濾過、アフィニティークロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィー(例えば、4級アミンリガンドを用いたモノリスアニオン交換クロマトグラフィーまたはAEXクロマトグラフィー)、第2のタンジェンシャルフロー濾過、及び第2の無菌濾過を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で開示されるrAAV粒子を単離する方法は、深層濾過による収集した細胞培養物の清澄化、第1の無菌濾過、アフィニティークロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィー(例えば、4級アミンリガンドを用いたモノリスアニオン交換クロマトグラフィーまたはAEXクロマトグラフィー)、タンジェンシャルフロー濾過、及び第2の無菌濾過を含む。いくつかの実施形態において、当該方法は、遠心分離を含まない。いくつかの実施形態において、収集した細胞培養物の清澄化は、無菌濾過を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8血清型のカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV9血清型のカプシドタンパク質を含む。
【0117】
rAAV粒子の生成方法については、形質移入、安定細胞株生成、及び感染性ハイブリッドウイルス生成系(アデノウイルス-AAVハイブリッド、ヘルペスウイルス-AAVハイブリッド、及びバキュロウイルス-AAVハイブリッドを含む)を含めた多数の方法が当技術分野で知られている。rAAVウイルス粒子を生成するためのrAAV生成培養物はいずれも、(1)好適な宿主細胞(バキュロウイルス系の場合では、例えば、ヒト由来細胞株(例えば、HeLa、A549、またはHEK293細胞及びその派生物(HEK293T細胞、HEK293F細胞))、哺乳類細胞株(例えば、ベロ)、または昆虫由来細胞株(例えば、SF-9)を含む);(2)野生型もしくは変異型アデノウイルス(例えば、温度感受性アデノウイルス)、ヘルペスウイルス、バキュロウイルス、またはヘルパー機能を提供するプラスミドコンストラクトによって提供される、好適なヘルパーウイルス機能;(3)AAV rep及びcap遺伝子ならびに遺伝子産物;(4)AAV ITR配列に隣接する導入遺伝子(例えば、治療用導入遺伝子);ならびに(5)rAAV生成を支持するための好適な培地及び培地構成成分を必要とする。当技術分野で知られている好適な培地をrAAVベクターの生成に使用することができる。このような培地としては、限定されるものではないが、変法イーグル培地(MEM)、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)、及び米国特許第6,723,551号(参照によりその全体が本明細書に援用される)で説明されているようなSf-900 II SFM培地を含めたHyclone Laboratories及びJRHが生産する培地が挙げられる。
【0118】
rAAV生成培養物は、利用されている特定の宿主細胞に適した様々な条件下で(広い温度範囲にわたり、様々な長さの時間で、など)ルーチン的に成長させることができる。当技術分野で知られているように、rAAV生成培養物は、好適な付着依存性容器(例えば、ローラーボトル、中空繊維フィルター、マイクロキャリア、及び充填床または流動床バイオリアクター)中で培養することができる付着依存性の培養物を含む。また、rAAVベクター生成培養物は、浮遊適応性の宿主細胞、例えば、HeLa細胞、HEK293細胞、HEK293由来細胞(例えば、HEK293T細胞、HEK293F細胞)、ベロ細胞、CHO細胞、CHO-K1細胞、CHO由来細胞、EB66細胞、BSC細胞、HepG2細胞、LLC-MK細胞、CV-1細胞、COS細胞、MDBK細胞、MDCK細胞、CRFK細胞、RAF細胞、RK細胞、TCMK-1細胞、LLCPK細胞、PK15細胞、LLC-RK細胞、MDOK細胞、BHK細胞、BHK-21細胞、NS-1細胞、MRC-5細胞、WI-38細胞、BHK細胞、3T3細胞、293細胞、RK細胞、Per.C6細胞、ニワトリ胚細胞、またはSF-9細胞も含むことができ、これらは、例えば、スピナーフラスコ、撹拌タンクバイオリアクター、及びWaveバッグシステムなどの使い捨てシステムを含めた様々な方法で培養することができる。いくつかの実施形態において、細胞は、HEK293細胞である。いくつかの実施形態において、細胞は、浮遊培養での成長に適応したHEK293細胞である。rAAV粒子を生成するための多数の浮遊培養物が当技術分野で知られており、これには例えば、米国特許第6,995,006号、第9,783,826号、及び米国特許出願公開第20120122155号(これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に援用される)で開示されている培養物が含まれる。
【0119】
いくつかの実施形態において、rAAV生成培養物は、高密度細胞培養物を含む。いくつかの実施形態において、培養物は、約1×10E+06細胞/mlから約30×10E+06細胞/mlの間の総細胞密度を有する。いくつかの実施形態において、細胞の約50%超が生細胞である。いくつかの実施形態において、細胞は、HeLa細胞、HEK293細胞、HEK293由来細胞(例えば、HEK293T細胞、HEK293F細胞)、ベロ細胞、またはSF-9細胞である。さらなる実施形態において、細胞は、HEK293細胞である。さらなる実施形態において、細胞は、浮遊培養での成長に適応したHEK293細胞である。
【0120】
提供される方法の追加の実施形態において、rAAV生成培養物は、rAAV粒子を含む浮遊培養物を含む。rAAV粒子を生成するための多数の浮遊培養物が当技術分野で知られており、これには例えば、米国特許第6,995,006号、第9,783,826号、及び米国特許出願公開第20120122155号(これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に援用される)で開示されている培養物が含まれる。いくつかの実施形態において、浮遊培養物は、哺乳類細胞または昆虫細胞の培養物を含む。いくつかの実施形態において、浮遊培養物は、HeLa細胞、HEK293細胞、HEK293由来細胞(例えば、HEK293T細胞、HEK293F細胞)、ベロ細胞、CHO細胞、CHO-K1細胞、CHO由来細胞、EB66細胞、BSC細胞、HepG2細胞、LLC-MK細胞、CV-1細胞、COS細胞、MDBK細胞、MDCK細胞、CRFK細胞、RAF細胞、RK細胞、TCMK-1細胞、LLCPK細胞、PK15細胞、LLC-RK細胞、MDOK細胞、BHK細胞、BHK-21細胞、NS-1細胞、MRC-5細胞、WI-38細胞、BHK細胞、3T3細胞、293細胞、RK細胞、Per.C6細胞、ニワトリ胚細胞、またはSF-9細胞の培養物を含む。いくつかの実施形態において、浮遊培養物は、HEK293細胞の培養物を含む。
【0121】
組換えAAV粒子は、インタクトな宿主細胞から培地中へのrAAV粒子放出を引き起こすことが当技術分野で知られている条件下で細胞が培養されることを条件に、宿主細胞を含む生成培養物を収集することにより、または生成培養物から消費培地を収集することにより、rAAV生成培養物から収集することができる。また、組換えAAV粒子は、生成培養物の宿主細胞を溶解することによってrAAV生成培養物から収集することもできる。細胞を溶解する好適な方法も当技術分野で知られており、例えば、複数の凍結/解凍サイクル、超音波処理、マイクロ流動化、ならびに化学物質(例えば、界面活性剤及び/またはプロテアーゼ)による処理が挙げられる。
【0122】
収集時に、rAAV生成培養物は、以下:(1)宿主細胞タンパク質;(2)宿主細胞DNA;(3)プラスミドDNA;(4)ヘルパーウイルス;(5)ヘルパーウイルスタンパク質;(6)ヘルパーウイルスDNA;ならびに(7)培地構成成分(例えば、血清タンパク質、アミノ酸、トランスフェリン、及び他の低分子量タンパク質を含む)のうちの1つ以上を含むことができる。rAAV生成培養物はさらに、生成物関連不純物、例えば、不活性なベクター形態、空のウイルスカプシド、凝集したウイルス粒子またはカプシド、ミスフォールドしたウイルスカプシド、分解されたウイルス粒子を含むことができる。
【0123】
いくつかの実施形態において、rAAV生成培養物収集物は、宿主細胞デブリを除去するように清澄化される。いくつかの実施形態において、生成培養物収集物は、一連の深層フィルターによる濾過によって清澄化される。また、清澄化は、当技術分野で知られている他の様々な標準的技法により、例えば、遠心分離、または当技術分野で知られている0.2mm以上の細孔サイズの任意の酢酸セルロースフィルターによる濾過により、達成することができる。いくつかの実施形態において、収集した細胞培養物の清澄化は、無菌濾過を含む。いくつかの実施形態において、生成培養物収集物は、遠心分離によって清澄化される。いくつかの実施形態において、生成培養物収集物の清澄化は、遠心分離を含まない。
【0124】
いくつかの実施形態において、収集した細胞培養物は、濾過を用いて清澄化される。いくつかの実施形態において、収集した細胞培養物の清澄化は、深層濾過を含む。いくつかの実施形態において、収集した細胞培養物の清澄化はさらに、深層濾過及び無菌濾過を含む。いくつかの実施形態において、収集した細胞培養物は、1つ以上の異なる濾過媒体を含むフィルタートレインを用いて清澄化される。いくつかの実施形態において、フィルタートレインは、1つの深層濾過媒体を含む。いくつかの実施形態において、フィルタートレインは、1つ以上の深層濾過媒体を含む。いくつかの実施形態において、フィルタートレインは、2つの深層濾過媒体を含む。いくつかの実施形態において、フィルタートレインは、1つの無菌濾過媒体を含む。いくつかの実施形態において、フィルタートレインは、2つの深層濾過媒体及び1つの無菌濾過媒体を含む。いくつかの実施形態において、深層フィルター媒体は、多孔質深層フィルターである。いくつかの実施形態において、フィルタートレインは、Clarisolve(登録商標)20MS、Millistak+(登録商標)C0HC、及び無菌グレード濾過媒体を含む。いくつかの実施形態において、フィルタートレインは、Clarisolve(登録商標)20MS、Millistak+(登録商標)C0HC、及びSartopore(登録商標)2 XLG 0.2μmを含む。いくつかの実施形態において、収集した細胞培養物は、深層フィルターに接触させる前に前処理される。いくつかの実施形態において、前処理は、収集した細胞培養物に塩を添加することを含む。いくつかの実施形態において、前処理は、収集した細胞培養物に化学凝集剤を添加することを含む。いくつかの実施形態において、収集した細胞培養物は、深層フィルターに接触させる前に前処理されない。
【0125】
いくつかの実施形態において、生成培養物収集物は、2019年4月27日に出願された“SCALABLE CLARIFICATION PROCESS FOR RECOMBINANT AAV PRODUCTION”という表題のPCT国際特許出願第PCT/US2019/029539号(参照によりその全体が本明細書に援用される)で開示されている濾過によって清澄化される。
【0126】
いくつかの実施形態において、rAAV生成培養物収集物は、生成培養物中に存在する高分子量DNAを消化するようにヌクレアーゼ(例えば、Benzonase(登録商標))またはエンドヌクレアーゼ(例えば、Serratia marcescens由来のエンドヌクレアーゼ)で処理される。ヌクレアーゼまたはエンドヌクレアーゼ消化は、当技術分野で知られている標準的な条件下でルーチン的に実施することができる。例えば、ヌクレアーゼ消化は、周囲温度から37℃までの範囲の温度の最終濃度1~2.5単位/mlのベンゾナーゼ(登録商標)で、30分~数時間の間実施される。
【0127】
無菌濾過は、無菌グレードフィルター媒体を用いた濾過を包含する。いくつかの実施形態において、無菌グレード濾過媒体は、0.2または0.22μmの細孔フィルターである。いくつかの実施形態において、無菌グレード濾過媒体は、ポリエーテルスルホン(PES)を含む。いくつかの実施形態において、無菌グレード濾過媒体は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含む。いくつかの実施形態において、無菌グレード濾過媒体は、親水性の不均一な二重層設計を有する。いくつかの実施形態において、無菌グレード濾過媒体は、0.8μmのプレフィルター及び0.2μmの最終フィルター膜の親水性の不均一な二重層設計を有する。いくつかの実施形態において、無菌グレード濾過媒体は、1.2μmのプレフィルター及び0.2μmの最終フィルター膜の親水性の不均一な二重層設計を有する。いくつかの実施形態において、無菌グレード濾過媒体は、0.2または0.22μmの細孔フィルターである。さらなる実施形態において、無菌グレード濾過媒体は、0.2μmの細孔フィルターである。いくつかの実施形態において、無菌グレード濾過媒体は、Sartopore(登録商標)2 XLG 0.2μm、Durapore(商標)PVDF膜0.45μm、またはSartoguard(登録商標)PES 1.2μm+0.2μmの名目孔径の組合せである。いくつかの実施形態において、無菌グレード濾過媒体は、Sartopore(登録商標)2 XLG 0.2μmである。
【0128】
いくつかの実施形態において、清澄化されたフィードは、クロマトグラフィー媒体、例えば、アフィニティークロマトグラフィー媒体に適用される前に、タンジェンシャルフロー濾過(「TFF」)を介して濃縮される。TFF限外濾過を用いたウイルスの大規模用濃度は、Paul et al.,Human Gene Therapy 4:609-615(1993)で説明されている。清澄化フィードのTFF濃度により、技術的に管理可能な量の清澄化フィードをクロマトグラフィーにかけることが可能になり、また、長い再循環時間を必要とせずにカラムをより合理的にサイジングすることが可能になる。いくつかの実施形態において、清澄化されたフィードは、少なくとも2倍から少なくとも10倍の間で濃縮される。いくつかの実施形態において、清澄化されたフィードは、少なくとも10倍から少なくとも20倍の間で濃縮される。いくつかの実施形態において、清澄化されたフィードは、少なくとも20倍から少なくとも50倍の間で濃縮される。いくつかの実施形態において、清澄化されたフィードは、約20倍に濃縮される。また、当業者は、透析濾過を介して清澄化されたフィードから小分子不純物(例えば、培地成分、血清アルブミン、または他の血清タンパク質を含む細胞培養不純物)を除去するためにTFFが使用されてもよいことも認識するであろう。いくつかの実施形態において、清澄化されたフィードは、小分子不純物を除去するために透析濾過に供される。いくつかの実施形態において、透析濾過は、約3から約10の間の透析濾過体積の緩衝液を使用することを含む。いくつかの実施形態において、透析濾過は、約5透析濾過体積の緩衝液を使用することを含む。また、当業者は、精製処理における次のステップを実施する前に緩衝液の交換が望ましい場合における精製プロセスの任意のステップでTFFが使用されてもよいことも認識するであろう。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される清澄化されたフィードからrAAVを単離するための方法は、緩衝液を交換するためのTFFの使用を含む。
【0129】
アフィニティークロマトグラフィーを使用して、組成物からrAAV粒子を単離することができる。いくつかの実施形態において、アフィニティークロマトグラフィーを使用して、清澄化されたフィードからrAAV粒子を単離する。いくつかの実施形態において、アフィニティークロマトグラフィーを使用して、タンジェンシャルフロー濾過に供されて清澄化されたフィードからrAAV粒子を単離する。好適なアフィニティークロマトグラフィー媒体は当技術分野で知られており、限定されるものではないが、AVB Sepharose(商標)、POROS(商標)CaptureSelect(商標)AAVXアフィニティー樹脂、POROS(商標)CaptureSelect(商標)AAV9アフィニティー樹脂、及びPOROS(商標)CaptureSelect(商標)AAV8アフィニティー樹脂が挙げられる。いくつかの実施形態において、アフィニティークロマトグラフィー媒体は、POROS(商標)CaptureSelect(商標)AAV9アフィニティー樹脂である。いくつかの実施形態において、アフィニティークロマトグラフィー媒体は、POROS(商標)CaptureSelect(商標)AAV8アフィニティー樹脂である。いくつかの実施形態において、アフィニティークロマトグラフィー媒体は、POROS(商標)CaptureSelect(商標)AAVXアフィニティー樹脂である。
【0130】
アニオン交換クロマトグラフィーを使用して、組成物からrAAV粒子を単離することができる。いくつかの実施形態において、アニオン交換クロマトグラフィーは、最終濃縮及び研磨ステップとしてアフィニティークロマトグラフィーの後に使用される。好適なアニオン交換クロマトグラフィー媒体は当技術分野で知られており、限定されるものではないが、Unosphere Q(Biorad,Hercules,Calif.)、及びN荷電アミノもしくはイミノ樹脂、例えば、POROS 50 PI、または任意のDEAE、TMAE、3級もしくは4級アミン、または当技術分野で知られているPEIベース樹脂が挙げられる(米国特許第6,989,264号;Brument et al.,Mol.Therapy 6(5):678-686(2002);Gao et al.,Hum.Gene Therapy 11:2079-2091(2000))。いくつかの実施形態において、アニオン交換クロマトグラフィー媒体は、4級アミンを含む。いくつかの実施形態において、アニオン交換媒体は、モノリスアニオン交換クロマトグラフィー樹脂である。いくつかの実施形態において、モノリスアニオン交換クロマトグラフィー媒体は、グリシジルメタクリレート-エチレンジメタクリレートポリマーまたはスチレン-ジビニルベンゼンポリマーを含む。いくつかの実施形態において、モノリスアニオン交換クロマトグラフィー媒体は、CIMmultus(商標)QA-1アドバンストコンポジットカラム(4級アミン)、CIMmultus(商標)DEAE-1アドバンストコンポジットカラム(ジエチルアミノ)、CIM(登録商標)QAディスク(4級アミン)、CIM(登録商標)DEAE、及びCIM(登録商標)EDAディスク(エチレンジアミノ)からなる群より選択される。いくつかの実施形態において、モノリスアニオン交換クロマトグラフィー媒体は、CIMmultus(商標)QA-1アドバンストコンポジットカラム(4級アミン)である。いくつかの実施形態において、モノリスアニオン交換クロマトグラフィー媒体は、CIM(登録商標)QAディスク(4級アミン)である。いくつかの実施形態において、アニオン交換クロマトグラフィー媒体は、CIM QA(BIA Separations,Slovenia)である。いくつかの実施形態において、アニオン交換クロマトグラフィー媒体は、BIA CIM(登録商標)QA-80(カラム体積80mL)である。当業者は、rAAVが樹脂との結合を保ちながら不純物(限定されるものではないが、上流精製ステップによって導入され得る不純物を含む)が除去されるように、好適なイオン強度の洗浄緩衝液が特定され得ることを理解することができる。
【0131】
いくつかの実施形態において、アニオン交換クロマトグラフィーは、2018年6月14日に出願された“Anion Exchange Chromatography for Recombinant AAV production”という表題の米国仮特許出願第62/684,835号(参照によりその全体が本明細書に援用される)で開示されている方法に従って実施される。
【0132】
追加の実施形態において、本開示は、本明細書で開示される方法に従って生成された、単離されたrAAV粒子を含む組成物を提供する。いくつかの実施形態において、組成物は、医薬的に許容される担体を含む医薬組成物である。
【0133】
本明細書で使用する場合、「医薬的に許容される」という用語は、1つ以上の投与経路、in vivo送達または接触に適した、生物学的に許容される製剤、気体、液体、もしくは固体、またはこれらの混合物を意味する。「医薬的に許容される」組成物は、生物学的または他の点で望ましくないものではない材料であり、例えば、この材料は、実質的な望ましくない生物学的効果を引き起こすことなく対象に投与することができる。したがって、このような医薬組成物は、例えば、本開示の方法に従って単離されたrAAVを対象に投与する際に使用することができる。このような組成物としては、医薬投与またはin vivoでの接触または送達と適合性である、溶媒(水性または非水性)、溶液(水性または非水性)、エマルジョン(例えば、水中油または油中水)、懸濁液、シロップ、エリキシル、分散及び懸濁媒体、コーティング、等張性及び吸収の促進剤または遅延剤が挙げられる。水性及び非水性の溶媒、溶液、及び懸濁液は、懸濁剤及び増粘剤を含むことができる。このような医薬的に許容される担体としては、錠剤(コーティングされたまたはコーティングされていない)、カプセル(ハードまたはソフト)、マイクロビーズ、粉末、顆粒、及び結晶が挙げられる。補足活性化合物(例えば、防腐剤、抗微生物剤、抗ウイルス剤、及び抗真菌剤)も、組成物に組み込むことができる。医薬組成物は、本明細書で記載のように、または当業者に知られているように、特定の投与経路または送達経路と適合性であるように製剤化することができる。したがって、医薬組成物には、様々な経路による投与に適した担体、希釈剤、または賦形剤が含まれる。本発明のrAAV粒子ならびに方法及び使用に適切な医薬組成物及び送達系は、当技術分野で知られている(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(2003)20th ed.,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.;Remington’s Pharmaceutical Sciences(1990)18th ed.,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.;The Merck Index(1996)12th ed.,Merck Publishing Group,Whitehouse,N.J.;Pharmaceutical Principles of Solid Dosage Forms(1993),Technonic Publishing Co.,Inc.,Lancaster,Pa.;Ansel and Stoklosa,Pharmaceutical Calculations(2001)11th ed.,Lippincott Williams & Wilkins,Baltimore,Md.;及びPoznansky et al.,Drug Delivery Systems (1980),R.L.Juliano,ed.,Oxford,N.Y.,pp.253-315を参照)。
【0134】
いくつかの実施形態において、組成物は、医薬単位用量である。「単位用量」とは、治療される対象のための単位薬用量として適した物理的に別々の単位を意味する。各単位は、任意選択で医薬担体(賦形剤、希釈剤、ビヒクル、または充填剤)と共に所定の量を含み、1回以上の用量で投与されたときに所望の効果(例えば、予防または治療効果)をもたらすように計算される。単位剤形は、例えば、アンプル及びバイアル内にあってもよく、これらは液体組成物、またはフリーズドライもしくは凍結乾燥状態の組成物を含むことができ、例えば、無菌液体担体をin vivoでの投与または送達の前に添加してもよい。個々の単位剤形は、多回用量キットまたは容器に含めることができる。組換えベクター(例えば、AAV)配列、プラスミド、ベクターゲノム、及び組換えウイルス粒子、ならびにこれらの医薬組成物は、投与を容易にし、投薬量を均一にするために、単一または複数の単位用量形態でパッケージ化することができる。いくつかの実施形態において、組成物は、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、及びAAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、及びAAV.HSC16から選択されるAAVカプシド血清型からのAAVカプシドタンパク質を含むrAAV粒子を含む。いくつかの実施形態において、AAVカプシド血清型は、AAV8である。いくつかの実施形態において、AAVカプシド血清型は、AAV9である。
【実施例0135】
実施例1.塩化ナトリウム、酪酸ナトリウム、及び/またはバルプロ酸ナトリウムがrAAV収量にもたらす効果。
HEK293浮遊細胞ベースプロセスにおいて、塩化ナトリウム、酪酸ナトリウム、及び/またはバルプロ酸ナトリウムがrAAV収量にもたらす効果について試験した。1×10e6生細胞/ml密度のHEK293細胞をアドバンストマイクロスケールバイオリアクターに播種した。培地には、100mMのNaClが含まれていた。48時間ECD(培養経過期間)時に、ポリエチレンイミンと、アデノウイルスヘルパー機能、導入遺伝子、及びAAV 2/8 Rep/Capをコードする3つのプラスミドとの混合物を細胞に形質移入した。形質移入から24時間後、NaCl、酪酸Na、及び/またはバルプロ酸Naを培養物に添加した。試験条件は、0、25mM、及び90mMのNaCl、0、2mM、及び4mMの酪酸Na、ならびに0、1.5mM、及び3mMのバルプロ酸Naとした。36の反応条件を用いて、条件の完全な要因組み合わせを試験した。168時間ECD時、すなわち形質移入から5日後に培養物の上清を収集した。得られたrAAV収量を図1に示す。形質移入から1日後に、60mMの塩化ナトリウムと4mMの酪酸ナトリウムまたは3mMのバルプロ酸ナトリウムのいずれかとを添加することにより、ウイルス収量が著しく改善した。
【0136】
実施例2.塩化ナトリウム及び/またはバルプロ酸ナトリウムがrAAV収量にもたらす効果。
HEK293浮遊細胞ベースプロセスにおいて、塩化ナトリウム、バルプロ酸ナトリウム、及びこれらの組合せを異なる時間に添加することがrAAV収量にもたらす効果について試験した。1×10e6生細胞/ml密度のHEK293浮遊細胞をアドバンストマイクロスケールバイオリアクターに播種した。培地には、100mMのNaClが含まれていた。48時間ECD(培養経過期間)時に、ポリエチレンイミンと、アデノウイルスヘルパー機能、導入遺伝子、及びAAV 2/8 Rep/Capをコードする3つのプラスミドとの混合物を細胞に形質移入した。形質移入から4時間、24時間、または48時間時に、NaCl及び/またはバルプロ酸Naを培養物に添加した。試験したNaCl及びバルプロ酸Naの濃度は、0、30mM、及び60mMのNaCl、ならびに0、1mM、及び2mMのバルプロ酸Naとした。168時間ECD時、すなわち形質移入から5日後に培養物の上清を収集した。得られたrAAV収量を図2に示す。実験計画法戦略を用いて、24の異なる条件を試験し解析した。24条件によるDOE(実験計画法)試験から作成されたモデルにより、形質移入から4時間後に2mMのバルプロ酸Naを添加し、次いで形質移入から24時間後に30mMのNaClを添加することでウイルス収量が顕著に増強されることが予測された。
【0137】
実施例3.NaClエンハンサーを用いたrAAVの大規模生産。
導入遺伝子をカプシド形成するAAV8粒子を発現するHEK293細胞の50リットル培養物で、NaClがrAAV収量にもたらす効果について試験した。標準的なプロセスを用いて、HEK浮遊培養物を成長させた。細胞を約4×10e6生細胞まで希釈した。使用した培地には、100mMのNaClが含まれていた。希釈から24時間後、ポリエチレンイミンと、アデノウイルスヘルパー機能、導入遺伝子、及びAAV Cap/Revをコードする3つのプラスミドとの混合物を細胞に形質移入した。形質移入から24時間後に、十分なNaClを添加して最終NaCl濃度を60mMだけ増加させた(すなわち、最終NaCl濃度を約160mMとした)。形質移入から4日後に上清を収集した。これらの処理により、1×10e+11ゲノムコピー(GC)/ml及び9×10e+10が得られた。これは、形質移入後にNaCl濃度を増加させない同じプロセスで得られる収量よりも約2倍高い。
【0138】
実施例4.NaCl及びプロピオン酸ナトリウムを用いたAAVの大規模生産。
導入遺伝子をカプシド形成するAAV8粒子を発現するHEK293細胞の50リットル培養物で、NaClがrAAV収量にもたらす効果について試験した。標準的なプロセスを用いて、HEK浮遊培養物を成長させた。細胞を約4×10e6生細胞まで希釈した。使用した培地には、100mMのNaClが含まれていた。希釈から24時間後、ポリエチレンイミンと、アデノウイルスヘルパー機能、導入遺伝子、及びAAV 2/8 Rep/Capをコードする3つのプラスミドとの混合物を細胞に形質移入した。形質移入から24時間後に、十分なNaClを添加して最終NaCl濃度を30mMだけ増加させた(すなわち、最終NaCl濃度を約130mMとした)。そして、十分なプロピオン酸ナトリウム(NaPr)を添加して、最終NaPr濃度を2mMまで増加させた(開始時NaPrは培地中に存在しない)。形質移入から4日後に上清を収集した。これらの処理により、1×10e+11ゲノムコピー(GC)/mlが得られた。これは、形質移入後にNaCl及びNaPrの濃度を増加させない同じプロセスで得られる収量よりも約1.7倍高いものであった。図3。また、力価が質を損なうことなく顕著に上昇した。生成物品質、例えば、完全カプシド%、フラグメント化rAAV%、及び残存DNA、例えば、残存18S(残存哺乳類ゲノムDNAを推定するために使用される18S RNA遺伝子)、残存E1a、及び残存プラスミドは、エンハンサーを伴わない類似のプロセスと比較すると、エンハンサーを含むスケールアップ生成プロセスによる負の影響を受けなかった。
【0139】
実施例5.塩化ナトリウム及び/またはプロピオン酸ナトリウムがrAAV収量にもたらす効果。
導入遺伝子をカプシド形成するrAAV9粒子を発現するHEK293細胞の浮遊培養において、塩化ナトリウム及びプロピオン酸ナトリウム(NaPr)(ThermoFisher Scientific)がrAAV収量にもたらす効果。1×10e6生細胞/ml密度のHEK293細胞をアドバンストマイクロスケールバイオリアクターに播種した。培地には、100mMのNaClが含まれていた。48時間ECD(培養経過期間)時に、ポリエチレンイミンと、アデノウイルスヘルパー機能、導入遺伝子、及びAAV 2/9 Rep/Capをコードする3つのプラスミドとの混合物を細胞に形質移入した。形質移入から4、20、または36時間後、NaCl、NaPr、抗凝集剤、EFC+、及び/またはバルプロ酸Naを培養物に添加した。試験条件は、0、30mM、及び60mMのNaCl、0、2mM、及び4mMのNaPrとした。実験計画法アプローチを用いて複数の条件を試験した。168時間ECD時、すなわち形質移入から5日後に培養物の上清を収集し、rAAV収量を得た。形質移入から20時間後に30mMの塩化ナトリウム及び2mMのプロピオン酸ナトリウムの両方を添加することにより、ウイルス収量が著しくかつ相乗的に改善した。NaCl及び/またはNaPrを添加することによって得られる力価の改善を図4(他の試験条件の効果を平均している)に示す。NaClの増加なしで2mMのプロピオン酸ナトリウムを投与した結果、力価が約1.5倍増加した。プロピオン酸ナトリウムなしでNaClを増加させた結果、力価が約1.2倍増加した。一方、2mMプロピオン酸ナトリウムとNaCl増加とを組み合わせた結果、形質移入後のNaCl及びNaPr濃度の増加を伴わない同じプロセスのベースライン収量よりも収量が約2倍高くなった。観察された約2倍の増加は、NaPr及びNaCl増加の効果が相加的である場合に予想される増加よりも高い。
【0140】
実施例6.塩化ナトリウム及び/またはプロピオン酸ナトリウムがrAAV収量にもたらす効果。
導入遺伝子をカプシド形成するrAAV9粒子を発現するHEK293細胞の浮遊培養において、塩化ナトリウム及びプロピオン酸ナトリウム(ThermoFisher Scientific)がrAAV収量にもたらす効果。1×10e6生細胞/ml密度のHEK293細胞をアドバンストマイクロスケールバイオリアクターに播種した。培地には、100mMのNaClが含まれていた。48時間ECD(培養経過期間)時に、ポリエチレンイミンと、アデノウイルスヘルパー機能、導入遺伝子、及びAAV 2/9 Rep/Capをコードする3つのプラスミドとの混合物を細胞に形質移入した。形質移入から20時間後、NaCl及びプロピオン酸ナトリウム(NaPr)を培養物に添加した。試験条件は、0及び30mMのNaCl、0及び2mMのNaPrとした。実験計画法戦略を用いて、条件の組合せを複数の反応条件で試験した。168時間ECD時、すなわち形質移入から5日後に培養物の上清を収集し、rAAV収量を得た。形質移入から20時間後に30mMの塩化ナトリウム及び2mMのプロピオン酸ナトリウムの両方を添加することにより、ウイルス収量が著しく改善した。NaCl及び/またはNaPrを添加することによる力価の改善を図5(他の試験条件の効果を平均している)に示す。これは、形質移入後にNaCl及びNaPrの濃度を増加させない同じプロセスで得られる収量よりも約1.6倍高い。
【0141】
本開示の方法は、現在最も実用的で好ましい実施形態であると考えられるものと共に説明してきたが、本開示に包含される方法は、開示された実施形態に限定されるべきではなく、逆に、添付の請求項の趣旨及び範囲に含まれる様々な変更及び同等のアレンジを網羅するように意図されていることを理解されたい。
【0142】
本明細書で引用された全ての刊行物、特許、特許出願、インターネットサイト、及びアクセッション番号/データベースの配列(ポリヌクレオチド配列及びポリペプチド配列の両方を含む)は、各々の個別の刊行物、特許、特許出願、インターネットサイト、またはアクセッション番号/データベースの配列が、具体的かつ個別に参照によって援用されるのと同程度に、あらゆる目的において、参照によりこれらの全体が本明細書に援用される。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-04-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
rAAV粒子を生成する方法であって、
(a)細胞を含む細胞培養物を準備することと、
(b)前記細胞に、以下:
i.パッケージング対象のrAAVゲノム、
ii.パッケージングするのに必要なアデノウイルスヘルパー機能、
iii.パッケージングするのに十分なAAV repタンパク質、及び
iv.パッケージングするのに十分なAAV capタンパク質
のうちの少なくとも1つをコードする1つ以上のポリヌクレオチドを導入することと、
(c)前記細胞培養物に、約0.1mMから約20mMの間の最終濃度までHDAC阻害剤を添加することと、
(d)(b)の後に約2日から約15日の間にわたり、前記rAAV粒子の生成を可能にする条件下で前記細胞培養物を維持することと
を含む、前記方法。