IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ソニー株式会社の特許一覧

特開2024-84811情報処理方法、情報処理装置及びシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084811
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理装置及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/64 20060101AFI20240618BHJP
   G01N 15/10 20240101ALI20240618BHJP
   G01N 15/14 20240101ALI20240618BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20240618BHJP
   C12Q 1/04 20060101ALI20240618BHJP
   G06F 16/906 20190101ALI20240618BHJP
【FI】
G01N21/64 Z
G01N15/10 B
G01N15/14 C
C12M1/34 B
C12Q1/04
G06F16/906
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024060574
(22)【出願日】2024-04-04
(62)【分割の表示】P 2021525738の分割
【原出願日】2019-11-08
(31)【優先権主張番号】62/782688
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/445075
(32)【優先日】2019-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山根 健治
(72)【発明者】
【氏名】榎 潤一郎
(72)【発明者】
【氏名】村田 澪
(72)【発明者】
【氏名】二村 孝治
(72)【発明者】
【氏名】ベルトリ グレゴリー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】測定データを次元圧縮したデータを用いてクラスタリングを行うことが可能であり、かつクラスタリング結果に対して測定データに遡った検証も可能な、新規かつ改良された情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】細胞からの光をセンシングした結果である第1のデータと、第1のデータを複数の蛍光に分離した結果である第2のデータとを対応付けて保持する情報保持部と、第2のデータに基づいて、細胞を複数のクラスタにクラスタリングするクラスタリング部と、クラスタリング部によるクラスタリング結果を出力する出力部と、を備え、出力部は、複数のクラスタのうちからユーザが選択したクラスタに含まれる細胞の第1のデータ又は第2のデータの少なくともいずれか1つ以上をさらに出力する、情報処理装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞からの光をセンシングした結果である第1のデータと、前記第1のデータを複数の蛍光に分離した結果である第2のデータとを対応付けて保持する情報保持部と、
前記第2のデータに基づいて、前記細胞を複数のクラスタにクラスタリングするクラスタリング部と、
前記クラスタリング部によるクラスタリング結果を出力する出力部と、
を備え、
前記出力部は、前記複数のクラスタのうちからユーザが選択したクラスタに含まれる前記細胞の前記第1のデータ又は前記第2のデータの少なくともいずれか1つ以上をさらに出力する、情報処理装置。
【請求項2】
前記第1のデータの次元数は、前記第2のデータの次元数よりも多い、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1のデータは、前記細胞からの光の分光スペクトルデータである、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第2のデータは、前記複数の蛍光のうちから選択された蛍光の組み合わせにて出力される、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記クラスタリング結果は、画像表示にて出力される、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記情報保持部にて前記第1のデータ及び前記第2のデータを保持された第1サンプル及び第2サンプルを互いに比較するサンプル比較部をさらに備える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記サンプル比較部は、前記第1サンプルの細胞を複数のクラスタにクラスタリングし、前記第2サンプルの細胞を、前記第1サンプルのクラスタリング結果に基づく前記複数のクラスタにマッピングする、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記サンプル比較部は、前記第1サンプルのクラスタリング結果と、前記第2サンプルのマッピング結果とを比較することで、前記第1サンプル及び前記第2サンプルの間の変化量が閾値以上となるクラスタを特定し、
前記出力部は、特定された前記クラスタに含まれる前記細胞の前記第1のデータ又は前記第2のデータの少なくともいずれか1つ以上をさらに出力する、請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記サンプル比較部は、前記第1サンプルのクラスタリング結果に基づく複数のクラスタに前記第2サンプルをマッピングする第1のクラスタリングと、前記第2サンプルのクラスタリング結果に基づく複数のクラスタに前記第1サンプルをマッピングする第2のクラスタリングとをそれぞれ行う、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記サンプル比較部は、前記第1のクラスタリング及び前記第2のクラスタリングの各々において、前記第1サンプル及び前記第2サンプルのクラスタリング結果及びマッピング結果をそれぞれ比較することで、前記第1サンプル及び前記第2サンプルの間の変化量が閾値以上となるクラスタを特定し、
前記出力部は、特定された前記クラスタに含まれる前記細胞の前記第1のデータ又は前記第2のデータの少なくともいずれか1つ以上をさらに出力する、請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記サンプル比較部にて特定された前記クラスタに含まれる前記細胞に関する情報を、前記細胞を特定するためのデータベースに投入する細胞照会部をさらに備える、請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記細胞照会部は、前記データベースへの照会結果に基づいて、前記クラスタに含まれる前記細胞の細胞種を特定し、
前記出力部は、細胞種を特定された前記細胞の前記第1のデータ又は前記第2のデータの少なくともいずれか1つ以上をさらに出力する、請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記データベースに投入される前記細胞に関する情報は、前記第2のデータに基づいて生成される、請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記データベースに投入される前記細胞に関する情報は、前記複数の蛍光の各々に対応するマーカ分子の発現量に関する情報である、請求項13に記載の情報処理装置。
【請求項15】
細胞から光をセンシングした結果である第1のデータと、前記第1のデータを複数の蛍光に分離した結果である第2のデータとを対応付けて保持することと、
前記第2のデータに基づいて、前記細胞を複数のクラスタにクラスタリングすることと、
前記クラスタリングによるクラスタリング結果を出力することと、
前記複数のクラスタのうちからユーザが選択したクラスタに含まれる前記細胞の前記第1のデータ又は前記第2のデータの少なくともいずれか1つ以上をさらに出力することと、
を含む、情報処理方法。
【請求項16】
コンピュータを、
細胞からの光をセンシングした結果である第1のデータと、前記第1のデータを複数の蛍光に分離した結果である第2のデータとを対応付けて保持する情報保持部と、
前記第2のデータに基づいて、前記細胞を複数のクラスタにクラスタリングするクラスタリング部と、
前記クラスタリング部によるクラスタリング結果を出力する出力部と、
として機能させ、
前記出力部を、前記複数のクラスタのうちからユーザが選択したクラスタに含まれる前記細胞の前記第1のデータ又は前記第2のデータの少なくともいずれか1つ以上をさらに出力するように機能させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【0003】
医学又は生化学等の分野では、大量の細胞の特性を迅速に測定するために、フローサイトメータを用いることが一般的になっている。フローサイトメータは、フローセルを流れる細胞に光線を照射し、該細胞から発せられる蛍光又は散乱光などを検出することで、細胞の特性を光学的に測定する装置である。
【0004】
近年、フローサイトメータでは、一度に測定可能な蛍光の数が増加している。これにより、測定データの次元数が増加することで、組み合わせ爆発が生じるため、フローサイトメータで測定されたデータを人の手で解析することが困難になってきている。
【0005】
そのため、下記の非特許文献1に開示されるように、フローサイトメータで測定された多次元データを機械学習によるクラスタリングによって解析することが検討されている。
【0006】
ただし、各次元におけるノイズ量が同じである場合、次元数が多いデータの方がクラスタリングの性能が低下してしまう。そのため、フローサイトメータの測定データをクラスタリングする場合、測定データに対して蛍光分離等を行うことで次元数を削減し、次元圧縮を行ったデータをクラスタリングすることが一般的である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】El-ad David Amir, et al, "viSNE enables visualization of high dimensional single-cell data and reveals phenotypic heterogeneity of leukemia", Nature Biotechnology, 2013 Jun, 31(6), 545-552
【発明の概要】
【0008】
しかし、多次元データに対して次元圧縮を行った場合、次元圧縮に伴って測定データに含まれる情報の一部が欠落してしまう。そのため、例えば、多次元データのクラスタリング結果が適切ではない場合、ユーザは、フローサイトメータの測定データに遡って、クラスタリング結果の妥当性を検証することが困難となっていた。
【0009】
そこで、本開示では、測定データを次元圧縮したデータを用いてクラスタリングを行うことが可能であり、かつクラスタリング結果に対して測定データに遡った検証も可能な、新規かつ改良された情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示によれば、細胞からの光をセンシングした結果である第1のデータと、前記第1のデータを複数の蛍光に分離した結果である第2のデータとを対応付けて保持する情報保持部と、前記第2のデータに基づいて、前記細胞を複数のクラスタにクラスタリングするクラスタリング部と、前記クラスタリング部によるクラスタリング結果を出力する出力部と、を備え、前記出力部は、前記複数のクラスタのうちからユーザが選択したクラスタに含まれる前記細胞の前記第1のデータ又は前記第2のデータの少なくともいずれか1つ以上をさらに出力する、情報処理装置が提供される。
【0011】
また、本開示によれば、細胞から光をセンシングした結果である第1のデータと、前記第1のデータを複数の蛍光に分離した結果である第2のデータとを対応付けて保持することと、前記第2のデータに基づいて、前記細胞を複数のクラスタにクラスタリングすることと、前記クラスタリングによるクラスタリング結果を出力することと、前記複数のクラスタのうちからユーザが選択したクラスタに含まれる前記細胞の前記第1のデータ又は前記第2のデータの少なくともいずれか1つ以上をさらに出力することと、を含む、情報処理方法が提供される。
【0012】
また、本開示によれば、コンピュータを、細胞からの光をセンシングした結果である第1のデータと、前記第1のデータを複数の蛍光に分離した結果である第2のデータとを対応付けて保持する情報保持部と、前記第2のデータに基づいて、前記細胞を複数のクラスタにクラスタリングするクラスタリング部と、前記クラスタリング部によるクラスタリング結果を出力する出力部と、として機能させ、前記出力部を、前記複数のクラスタのうちからユーザが選択したクラスタに含まれる前記細胞の前記第1のデータ又は前記第2のデータの少なくともいずれか1つ以上をさらに出力するように機能させる、プログラムが提供される。
【0013】
本開示によれば、測定データと、該測定データを次元圧縮したデータとを対応付けて保持することができる。
【0014】
以上説明したように本開示によれば、測定データを次元圧縮したデータを用いてクラスタリングを行うことが可能であり、かつクラスタリング結果に対して測定データに遡った検証も可能である。
【0015】
なお、上記の効果は必ずしも限定的なものではなく、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書に示されたいずれかの効果、または本明細書から把握され得る他の効果が奏されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示の一実施形態に係る情報処理装置を含むシステムの構成例を概略的に示す模式図である。
図2】同実施形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
図3A】測定装置の第1の検出機構を説明する説明図である。
図3B】測定装置の第2の検出機構を説明する説明図である。
図4A】波長帯域ごとの蛍光の漏れ込みを補正し、各蛍光物質の発現量を導出する方法を説明する説明図である。
図4B】波長帯域ごとの蛍光の漏れ込みを補正し、各蛍光物質の発現量を導出する方法を説明する説明図である。
図5A】蛍光の分光スペクトルから各蛍光物質の発現量を導出する方法を説明する説明図である。
図5B】蛍光の分光スペクトルから各蛍光物質の発現量を導出する方法を説明する説明図である。
図6】情報保持部が保持するデータの一例を示す説明図である。
図7A】情報処理装置によるクラスタリング結果を表す画像表示の一例を示す説明図である。
図7B】情報処理装置によるクラスタリング結果を表す画像表示の一例を示す説明図である。
図8A】第1のデータである蛍光に関する情報を示す画像表示の一例を示す説明図である。
図8B】第2のデータである各蛍光物質の発現量に関する情報を示す画像表示の一例を示す説明図である。
図9】同実施形態に係る情報処理装置の動作例を示すフローチャート図である。
図10】第1の変形例に係る情報処理装置の構成例を模式的に示すブロック図である。
図11】第1の変形例に係る情報処理装置の動作の概要を説明する説明図である。
図12】第1の変形例に係る情報処理装置の動作例を示すフローチャート図である。
図13】第1の変形例に係る情報処理装置の他の動作例を示すフローチャート図である。
図14】第2の変形例に係る情報処理装置の構成例を模式的に示すブロック図である。
図15】第2の変形例に係る情報処理装置の動作の概要を説明する説明図である。
図16】第2の変形例に係る情報処理装置の動作例を示すフローチャート図である。
図17】同実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成例を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
1.全体システムの構成例
2.情報処理装置の構成例
3.情報処理装置の動作例
4.変形例
4.1.第1の変形例
4.2.第2の変形例
5.ハードウェア構成例
【0018】
<1.全体システムの構成例>
まず、図1を参照して、本開示の一実施形態に係る情報処理装置を含むシステム100の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る情報処理装置を含むシステム100の構成例を概略的に示す模式図である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態に係るシステム100は、測定装置10と、情報処理装置20と、端末装置30、40と、を備える。測定装置10、情報処理装置20及び端末装置30、40は、ネットワークNを介して、相互に通信可能となるように接続されている。ネットワークNは、例えば、移動体通信網、インターネット又はローカルエリアネットワーク等の情報通信網であってもよく、又はこれらの複数種のネットワークの組み合わせであってもよい。
【0020】
測定装置10は、測定対象の細胞等から各色の蛍光を検出することが可能な測定装置である。測定装置10は、例えば、蛍光染色した細胞をフローセルに高速で流し、流れる細胞に光線を照射することで、細胞から各色光の蛍光を検出するフローサイトメータであってもよい。
【0021】
情報処理装置20は、測定装置10にて測定された細胞の蛍光に関する情報に基づいて、測定対象の細胞の各々をクラスタリングする。これにより、情報処理装置20は、測定装置10にて測定された細胞の各々を複数の集団(すなわち、クラスタ)に分割することができる。また、情報処理装置20は、測定装置10にて測定された測定データと、クラスタリングに適するように該測定データを次元圧縮等したクラスタリング用データとを対応付けて保持する。これにより、情報処理装置20は、測定データを次元圧縮等することでクラスタリングにかかる時間及びコストを低減しつつ、解析結果の妥当性を判断する際に次元圧縮前の測定データを参照することを可能とする。情報処理装置20は、例えば、大容量のデータを高速で処理可能なサーバ等であってもよい。
【0022】
端末装置30、40は、例えば、情報処理装置20によるクラスタリング結果が出力される表示装置等である。例えば、端末装置30、40は、情報処理装置20から受信した解析結果を画像又は文字等で表示する表示部を備えるコンピュータ、ラップトップ、スマートフォン又はタブレット端末などであってもよい。
【0023】
本実施形態に係る情報処理装置20を含むシステム100では、まず、情報処理装置20は、病院、クリニック又は研究所の各々に設けられた測定装置10にて測定された測定データをネットワークN経由で取得する。その後、情報処理装置20は、取得した測定データをクラスタリングし、クラスタリング結果を端末装置30、40に出力する。クラスタリングは、情報処理の負荷が高いため、専用のサーバ等で構成された情報処理装置20によって集中的に実行することで、システム100全体の効率性を向上させることができる。さらに、情報処理装置20は、ユーザの選択に基づいて、測定データと、測定データを情報処理したクラスタリング用データとの出力を制御する。これによれば、情報処理装置20は、ユーザの要望に沿った情報を適宜切り替えて出力することが可能である。
【0024】
なお、上記では、測定装置10、情報処理装置20及び端末装置30、40は、ネットワークNを介して相互に接続されているとしたが、本開示に係る技術は、かかる例示に限定されない。例えば、測定装置10、情報処理装置20及び端末装置30、40は、直接接続されていてもよい。
【0025】
<2.情報処理装置の構成例>
次に、図2を参照して、本実施形態に係る情報処理装置20の構成例について説明する。図2は、本実施形態に係る情報処理装置20の構成例を示すブロック図である。
【0026】
図2に示すように、情報処理装置20は、入力部201と、蛍光分離部203と、情報保持部205と、クラスタリング部207と、出力部209と、を備える。なお、情報処理装置20の機能の一部(例えば、後述する蛍光分離部203の機能)は、測定装置10に備えられていてもよい。
【0027】
入力部201は、測定装置10から測定対象である細胞の測定結果を取得する。具体的には、入力部201は、測定対象である細胞の蛍光に関する情報を測定装置10から取得する。入力部201は、例えば、ネットワークNを介して測定装置10から情報を取得するための接続ポート又は通信装置等を含む外部入力インタフェースにて構成されてもよい。
【0028】
ここで、入力部201にて取得される蛍光に関する情報の内容は、測定装置10での蛍光の検出機構によって異なる。蛍光に関する情報の具体的な内容について、図3A及び図3Bに示す測定装置10での蛍光の検出機構と併せて説明する。図3Aは、測定装置10の第1の検出機構を説明する説明図であり、図3Bは、測定装置10の第2の検出機構を説明する説明図である。
【0029】
図3Aに示すように、第1の検出機構では、光源11からサンプル13に光線を照射することで得られた蛍光をダイクロイックミラー15で分光することで、所定の波長帯域ごとに光検出器17にて蛍光の強度を測定する。
【0030】
ダイクロイックミラー15は、特定の波長帯域の光を反射し、その他の波長帯域の光を透過させる鏡であり、光検出器17は、例えば、光電子増倍管又はフォトダイオード等である。第1の測定方法では、サンプル13からの蛍光の光路上に、異なる波長帯域の光を反射するダイクロイックミラー15を設けることで、サンプル13からの蛍光を波長帯域ごとに分光することができる。例えば、第1の検出機構では、サンプル13からの光が入射する側から順に、赤色に対応する波長帯域の光を反射するダイクロイックミラー15、緑色に対応する波長帯域の光を反射するダイクロイックミラー15、及び青色に対応する波長帯域の光を反射するダイクロイックミラー15をそれぞれ設けることで、サンプル13からの蛍光を波長帯域ごとに分光してもよい。
【0031】
このような第1の検出機構にて測定装置10が蛍光を検出する場合、入力部201にて取得される蛍光に関する情報は、波長帯域ごとの蛍光の強度に関する情報となる。
【0032】
また、図3Bに示すように、第2の検出機構では、光源11からサンプル13に光線を照射することで得られた蛍光をプリズム16で分光することで、光検出器アレイ18にて連続的な蛍光スペクトルを測定する。
【0033】
プリズム16は、入射する光を分散させる光学部材であり、光検出器アレイ18は、複数の光検出器(電子増倍管又はフォトダイオード)をアレイ状に配置したセンサである。第2の検出機構では、サンプル13からの蛍光をプリズム16にて分散させ、光検出器アレイ18にて検出することで、サンプル13からの蛍光を連続的なスペクトルとして検出することができる。
【0034】
このような第2の検出機構にて測定装置10が蛍光を検出する場合、入力部201にて取得される蛍光に関する情報は、蛍光の分光スペクトルに関する情報となる。
【0035】
蛍光分離部203は、測定装置10にて測定された蛍光に含まれる蛍光の各々を分離することで、蛍光の各々に対応する蛍光物質の発現量を導出する。測定対象の細胞は、複数の蛍光物質によって標識されており、各蛍光物質から発せられる蛍光の波長分布は、互いに重なり合っている。そのため、蛍光分離部203は、各蛍光物質から発せられる蛍光の波長分布の重なりを補正し、蛍光の各々の正味の光量を導出することで、各蛍光物質の発現量、及び各蛍光物質で標識した生体分子等の発現量を導出することができる。
【0036】
より具体的には、入力部201にて取得された蛍光に関する情報が波長帯域ごとの蛍光の強度に関する情報である場合、蛍光分離部203は、図4A及び図4Bを参照して説明する方法で、各蛍光物質の発現量を導出することができる。図4A及び図4Bは、波長帯域ごとの蛍光の漏れ込みを補正し、各蛍光物質の発現量を導出する方法を説明する説明図である。
【0037】
図4Aに示すように、蛍光に関する情報が波長帯域ごとに検出された蛍光の強度である場合、波長帯域ごとに光を検出する光検出器FL1、FL2、FL3からの信号は、蛍光物質Dye1、Dye2、Dye3の蛍光に対応する。ただし、蛍光物質Dye1、Dye2、Dye3からの蛍光は、波長分布を有するため、光検出器FL1、FL2、FL3が検出した信号には、他の蛍光物質からの蛍光も入り込んでいる。
【0038】
そのため、図4Bに示すように、まず、蛍光分離部203は、蛍光物質Dye1、Dye2、Dye3からの蛍光が光検出器FL1、FL2、FL3の各々の波長帯域にどの程度入り込むのかを示す漏れ込みマトリックス情報(Spillover matrix)を取得する。次に、蛍光分離部203は、漏れ込みマトリックス情報に基づいて、光検出器FL1、FL2、FL3が検出した信号を蛍光物質Dye1、Dye2、Dye3の各々からの蛍光に分離する。これにより、蛍光分離部203は、蛍光物質Dye1、Dye2、Dye3からの正味の蛍光量を導出することができるため、蛍光物質Dye1、Dye2、Dye3の発現量を導出することができる。
【0039】
また、入力部201にて取得された蛍光に関する情報が蛍光の分光スペクトルに関する情報である場合、蛍光分離部203は、図5A及び図5Bを参照して説明する方法で、各蛍光物質の発現量を導出することができる。図5A及び図5Bは、蛍光の分光スペクトルから各蛍光物質の発現量を導出する方法を説明する説明図である。
【0040】
図5Aに示すように、蛍光に関する情報が蛍光の分光スペクトルである場合、光検出器アレイの複数の光検出器Channel1、2、3等で検出された信号は、各蛍光物質Dye1、Dye2、Dye3からの蛍光の重ね合わせとなっている。
【0041】
そのため、図5Bに示すように、まず、蛍光分離部203は、検出する各蛍光物質Dye1、Dye2、Dye3のリファレンススペクトル(Reference spectrum)を取得する。リファレンススペクトルは、各蛍光物質Dye1、Dye2、Dye3の単体での蛍光の分光スペクトルを示す。次に、蛍光分離部203は、検出された蛍光の分光スペクトルにおける各蛍光物質Dye1、Dye2、Dye3のリファレンススペクトルの重ね合わせを推定することで、各蛍光物質Dye1、Dye2、Dye3の発現量を導出することができる。
【0042】
これによれば、蛍光分離部203は、入力部201にて取得された蛍光に関する情報の内容が上記のいずれであっても、細胞が発する蛍光の各々に対応する蛍光物質の発現量を導出することができる。
【0043】
情報保持部205は、入力部201にて取得された蛍光に関する情報と、蛍光分離部203が導出した各蛍光物質の発現量に関する情報とを対応付けて保持する。具体的には、情報保持部205は、測定装置10がサンプルをセンシングしたことで得られた細胞からの蛍光に関する情報を第1のデータとして保持し、細胞からの蛍光を複数の蛍光に分離することで得られた各蛍光物質の発現量に関する情報を第2のデータとして保持する。このとき、情報保持部205は、第1のデータと、第1のデータから導出された第2のデータとを互いに対応付けることで、これらのデータを統合されたデータとして保持する。
【0044】
例えば、情報保持部205は、図6に示すような形式で、第1のデータ及び第2のデータを統合したデータを保持してもよい。図6は、情報保持部205が保持するデータの一例を示す説明図である。
【0045】
図6に示すように、情報保持部205が保持するデータでは、細胞ごとに識別情報である「細胞ID」が割り振られている。また、第1のデータとして、光検出器の各々で検出された蛍光強度「PMT1」~「PMTN」が細胞ごとに保持されている。さらに、第2のデータとして、各蛍光物質の発現量「色素1」~「色素M」が細胞ごとに保持されている。
【0046】
ここで、第1のデータは、N個の蛍光強度「PMT1」~「PMTN」の情報を含むN次元のデータであり、第2のデータは、M個の発現量「色素1」~「色素M」の情報を含むM次元のデータである。第2のデータの次元数Mは、蛍光分離部203の蛍光分離によって、第1のデータの次元数Nよりも小さくなっている。
【0047】
ここで、次元数が小さいほど、クラスタリングの効率及び精度が高くなるため、後段で説明するクラスタリング部207では、第2のデータを用いて細胞をクラスタリングする。ただし、第2のデータは、蛍光分離部203による蛍光分離にて次元圧縮されているため、情報の欠落等が発生している可能性がある。そのため、情報保持部205は、両者を対応付けて保持することによって、クラスタリングの効率及び精度を高めつつ、測定装置10の測定データに遡ったクラスタリングの検証又は確認を容易に行うことを可能にする。
【0048】
なお、情報保持部205にて対応付けられて保持される第1のデータ及び第2のデータは、入力部201及び蛍光分離部203から出力された情報でなくともよい。例えば、測定装置10が蛍光分離部203を備える場合、情報処理装置20は、測定装置10から細胞の蛍光に関する情報と、該細胞の各蛍光物質の発現量に関する情報とを取得し、情報保持部205は、取得したこれらの情報を第1のデータ及び第2のデータとして対応付けて保持してもよい。または、情報処理装置20は、外部の記憶装置に記憶された細胞の蛍光に関する情報と、該細胞の各蛍光物質の発現量に関する情報とを取得し、情報保持部205は、取得したこれらの情報を第1のデータ及び第2のデータとして対応付けて保持してもよい。
【0049】
クラスタリング部207は、蛍光分離部203にて導出された細胞の各蛍光物質の発現量に基づいて、細胞をクラスタリングする。すなわち、クラスタリング部207は、情報保持部205が保持する第2のデータに基づいて、細胞をクラスタリングする。細胞の各蛍光物質の発現量を示す第2のデータは、多次元データであるため、情報処理装置20は、機械学習に基づくクラスタリング技術を用いることで、マニュアルよりも迅速に細胞を複数の集団(クラスタ)に分割することができる。
【0050】
クラスタリング部207で用いられるクラスタリング手法は、特に限定されず、公知のクラスタリング手法であってもよい。例えば、クラスタリング部207は、ward法、群平均法、単リンク法、若しくはk-means法などの一般的なクラスタリング手法を用いてクラスタリングしてもよく、又は自己組織化マップ(self-organization map)法を用いてクラスタリングしてもよい。
【0051】
出力部209は、クラスタリング部207によるクラスタリング結果を端末装置30、40等に出力する。例えば、端末装置30、40では、出力されたクラスタリング結果は、画像表示としてユーザに提示されてもよい。
【0052】
例えば、クラスタリング部207によるクラスタリング結果は、図7A及び図7Bに示す画像表示にて表示されてもよい。図7A及び図7Bは、情報処理装置20によるクラスタリング結果を表す画像表示の一例を示す説明図である。
【0053】
例えば、図7Aに示すように、クラスタリング部207によるクラスタリング結果は、表形式の表示で表されてもよい。
【0054】
図7Aに示す表示では、100個の細胞の集団が10のクラスタに分割されており、クラスタ及び細胞の各々に付された識別番号にて、各クラスタへの細胞の所属が示されている。具体的には、図7Aに示す表示では、識別番号「1」のクラスタには、識別番号「1」及び「2」の細胞が所属しており、識別番号「2」のクラスタには、識別番号「3」~「6」の細胞が所属しており、識別番号「10」のクラスタには、識別番号「100」の細胞が所属している。このような表形式の表示によれば、細胞の各々の各クラスタへの所属を簡潔に示すことができる。
【0055】
例えば、図7Bに示すように、クラスタリング部207によるクラスタリング結果は、ミニマムスパニングツリー(Minimum Spanning Tree)表示にて表されてもよい。
【0056】
図7Bに示す表示では、複数の色で塗り分けられたレーダチャートが互いに接続された樹状に配列されている。各レーダチャートは、各細胞の各々を表しており、具体的には、各レーダチャートの分布及び大きさは、細胞の各蛍光物質の発現量に対応するベクトルを表している。ここで、各色で塗り分けられた領域は、各細胞が所属するクラスタの各々を表す。例えば、同じ色(図7Bでは同じハッチング)で塗り分けられたレーダチャートで示される細胞は、同じクラスタに所属していることを表す。
【0057】
さらに、図7Bに示す表示では、レーダチャート間の表示上の距離が、レーダチャートで表される細胞間の類似度に対応している。すなわち、互いに接近したレーダチャートが表す細胞は、互いに類似しており、互いに離れたレーダチャートが表す細胞は、互いに類似していないことを示している。このようなミニマムスパニングツリー表示によれば、細胞のクラスタへの所属に加えて、細胞の互いの類似関係を示すことができる。
【0058】
また、出力部209は、ユーザが選択したクラスタについて、該クラスタに含まれる細胞のデータを端末装置30、40等にさらに出力する。具体的には、出力部209は、ユーザが表示対象として選択したクラスタに含まれる細胞のデータとして、第1のデータ若しくは第2のデータのいずれか又は両方を端末装置30、40等にさらに出力する。出力部209が第1のデータ、第2のデータ、又は第1のデータと第2のデータとの両方のいずれを端末装置30、40に出力するのかは、例えば、ユーザによって選択されてもよい。
【0059】
例えば、出力部209は、第1のデータを図8Aに示す画像表示として端末装置30、40に出力してもよい。図8Aは、第1のデータである蛍光に関する情報を示す画像表示の一例を示す説明図である。
【0060】
図8Aに示すように、出力部209は、各細胞の蛍光の分光スペクトルデータを重ね合わせ、ヒートマップとして表現した画像表示を端末装置30、40に出力してもよい。図8Aに示す画像表示を参照することで、ユーザは、測定自体に不具合があったか否か等を容易に判断することが可能である。
【0061】
出力部209は、第2のデータを図8Bに示す画像表示として端末装置30、40に出力してもよい。図8Bは、第2のデータである各蛍光物質の発現量に関する情報を示す画像表示の一例を示す説明図である。
【0062】
図8Bに示すように、出力部209は、細胞の各蛍光物質のうち2つの蛍光物質の発現量を縦軸及び横軸に採り、散布図として表現した画像表示を端末装置30、40に出力してもよい。図8Bに示す画像表示を参照することで、ユーザは、クラスタリングが妥当か否か等を容易に判断することが可能である。
【0063】
以上の構成を備える情報処理装置20によれば、ユーザは、クラスタリング結果から蛍光分離等されていない測定データまで遡って、情報を参照することができるため、クラスタリングの信頼性、及び測定結果の信頼性の判断をより容易に行うことが可能となる。したがって、本実施形態に係る情報処理装置20は、クラスタリング結果に対する情報のトレーサビリティを向上させることができる。
【0064】
<3.情報処理装置の動作例>
次に、図9を参照して、本実施形態に係る情報処理装置20の動作例について説明する。図9は、本実施形態に係る情報処理装置20の動作例を示すフローチャート図である。
【0065】
図9に示すように、まず、入力部201は、測定装置10から第1のデータを取得する(S101)。具体的には、第1のデータとは、測定対象である細胞の蛍光に関する情報であり、例えば、細胞からの蛍光の分光スペクトルデータであってもよい。次に、蛍光分離部203は、第1のデータを蛍光分離することで、第2のデータを生成する(S103)。具体的には、第2のデータとは、細胞における蛍光物質の発現量に関する情報であり、蛍光分離部203は、第1のデータの分光スペクトルから蛍光の各々を分離することで、第2のデータを生成することができる。
【0066】
続いて、情報保持部205は、第1のデータと、該第1のデータから生成された第2のデータとを対応付けて保持する(S105)。次に、クラスタリング部207は、第2のデータに基づいて、細胞をクラスタリングする(S107)。具体的には、クラスタリング部207は、細胞における各蛍光物質の発現量に基づいて、細胞をクラスタリングする。クラスタリング部207によるクラスタリングの手法は、特に限定されず、公知の手法を用いることが可能である。
【0067】
その後、出力部209は、クラスタリング部207によるクラスタリング結果を端末装置30、40等に出力する(S109)。このとき、画像表示等にてクラスタリング結果が出力された端末装置30、40を確認したユーザから更なる出力対象となるクラスタが選択され(S111)、第1のデータ又は第2のデータのいずれを出力するのか選択された(S113)とする。これにより、出力部209は、ユーザから出力を選択されたデータが第1のデータか否かを確認し(S113)、選択されたデータが第1のデータである場合(S113/Yes)、選択されたクラスタに所属する各細胞の第1のデータを端末装置30、40等に出力する(S121)。一方、選択されたデータが第2のデータである場合(S113/No)、出力部209は、第2のデータの蛍光物質の組み合わせをユーザに選択させ(S117)、第2のデータのうち、選択された組み合わせの蛍光物質の発現量のデータを端末装置30、40等に出力する(S119)。
【0068】
以上の動作によれば、情報処理装置20は、クラスタリング結果から、第1のデータ及び第2のデータに遡って、情報をユーザに提示することが可能である。したがって、本実施形態に係る情報処理装置20は、クラスタリング結果に対する情報のトレーサビリティを向上させることができる。
【0069】
<4.変形例>
(4.1.第1の変形例)
次に、図10図13を参照して、本実施形態に係る情報処理装置20の第1の変形例について説明する。図10は、第1の変形例に係る情報処理装置21の構成例を模式的に示すブロック図である。
【0070】
図10に示すように、第1の変形例に係る情報処理装置21は、サンプル比較部211をさらに備える点が図2で示した情報処理装置20と異なる。以下では、第1の変形例にて特徴的なサンプル比較部211について説明し、図2で示した情報処理装置20と実質的に同様のその他の構成については説明を省略する。
【0071】
サンプル比較部211は、複数のサンプルのクラスタリング結果を比較し、比較した複数のサンプル間で差異が存在するクラスタを特定する。具体的には、第1サンプルと第2サンプルとを比較する場合、まず、サンプル比較部211は、クラスタリング部207による第1サンプルのクラスタリング結果に、第2サンプルの細胞の各々をマッピングする。次に、サンプル比較部211は、第1サンプルのクラスタリング結果と、第2サンプルのマッピング結果と比較し、第1サンプルのクラスタリング結果及び第2サンプルのマッピング結果の間の変化が閾値以上となるクラスタを差異クラスタとして特定する。特定された差異クラスタの第1のデータ又は第2のデータは、例えば、出力部209によって端末装置30、40に出力されてもよい。なお、第1サンプルは、例えば、健常者から採取したサンプルであり、第2サンプルは、例えば、疾患者から採取したサンプルである。
【0072】
ここで、図11及び図12を参照して、サンプル比較部211の動作についてより具体的に説明する。図11は、第1の変形例に係る情報処理装置21の動作の概要を説明する説明図である。図12は、第1の変形例に係る情報処理装置21の動作例を示すフローチャート図である。
【0073】
図11及び図12に示すように、まず、クラスタリング部207によって、第2のデータに基づいて、第1サンプルの各々がクラスタリングされる(S201)。
【0074】
続いて、サンプル比較部211は、第1サンプルの各々をクラスタリングしたクラスタの各々において、各クラスタに所属する細胞の第2のデータの代表値を算出する(S203)。例えば、サンプル比較部211は、第2のデータである各蛍光物質の発現量のそれぞれの平均値、最頻値又は中央値を代表値としてもよい。
【0075】
次に、サンプル比較部211は、第2サンプルの第2のデータに基づいて、第2サンプルの各細胞を、第1サンプルのクラスタリング結果のクラスタのうち最も距離が近いクラスタにマッピングする(S205)。具体的には、サンプル比較部211は、第2サンプルの各細胞の第2のデータのベクトルと、第1サンプルのクラスタリング結果であるクラスタの代表値のベクトルとのユークリッド距離又はマンハッタン距離を計算し、第2サンプルの各細胞を最も距離が近いクラスタにマッピングする。
【0076】
続いて、サンプル比較部211は、第1サンプルのクラスタリング結果と、第2サンプルのマッピング結果とを比較し、第1サンプル及び第2サンプルの間で所属する細胞数が閾値以上変化しているクラスタの存在の有無を判断する(S207)。第1サンプル及び第2サンプルの間で所属する細胞数が閾値以上変化しているクラスタが存在しない場合(S207/No)、情報処理装置21は動作を終了する。
【0077】
一方、第1サンプル及び第2サンプルの間で所属する細胞数が閾値以上変化しているクラスタが存在する場合(S207/Yes)、サンプル比較部211は、該クラスタを差異クラスタと特定する(S209)。例えば、サンプル比較部211は、第1サンプルのクラスタリング結果と、第2サンプルのマッピング結果との間で、所属する細胞数が閾値(例えば、2個など)以上変化しているクラスタを差異クラスタとして特定してもよい。または、サンプル比較部211は、第1サンプルのクラスタリング結果と、第2サンプルのマッピング結果との間で、所属する細胞数のサンプル全体に対する割合が閾値以上変化しているクラスタを差異クラスタとして特定してもよい。
【0078】
サンプル比較部211によって特定された差異クラスタは、出力部209によって第1のデータ又は第2のデータが端末装置30、40に画像表示等で出力されることで、ユーザに提示される。これによれば、ユーザは、第1サンプル及び第2サンプルの間で差異がある細胞集団の蛍光に関する情報、及び各蛍光物質の発現量に関する情報を確認することができる。
【0079】
続いて、図13を参照して、第1の変形例に係る情報処理装置21の他の動作例について説明する。図13は、第1の変形例に係る情報処理装置21の他の動作例を示すフローチャート図である。
【0080】
図12で示したフローチャートによる動作例では、例えば、第2サンプルのみに含まれる細胞集団が存在する場合、該細胞集団は、第1サンプルではクラスタを形成していないため、第1サンプルのクラスタリング結果全体にマッピングされてしまう可能性がある。そこで、図13に示す他の動作例では、クラスタリングされるサンプルと、マッピングされるサンプルとの組み合わせを入れ替えて、それぞれクラスタリング及びマッピングする。これにより、図13に示す他の動作例では、第1サンプル又は第2サンプルのいずれかにのみ含まれる細胞集団が存在する場合でも、第1サンプル及び第2サンプルの間で差異がある細胞集団を特定することが可能となる。
【0081】
図13に示すように、まず、クラスタリング部207によって、第2のデータに基づいて第1サンプルの各々がクラスタリングされる(S201)。続いて、サンプル比較部211は、第1サンプルの各々をクラスタリングしたクラスタの各々において、各クラスタに所属する細胞の第2のデータの代表値を算出する(S203)。次に、サンプル比較部211は、第2サンプルの第2のデータに基づいて、第2サンプルの各細胞を、第1サンプルのクラスタリング結果のクラスタのうち最も距離が近いクラスタにマッピングする(S205)。ここで、S201~S205におけるクラスタリングされるサンプル(第1サンプル)と、マッピングされるサンプル(第2サンプル)との組み合わせを第1の組み合わせとも称する。
【0082】
続いて、第1サンプル及び第2サンプルのクラスタリング及びマッピングの関係を入れ替えて、上記のS201~S205の動作を実行する(S211)。
【0083】
具体的には、クラスタリング部207によって、第2のデータに基づいて第2サンプルの各々がクラスタリングされる。続いて、サンプル比較部211は、第2サンプルの各々をクラスタリングしたクラスタの各々において、各クラスタに所属する細胞の第2のデータの代表値を算出する。次に、サンプル比較部211は、第1サンプルの第2のデータに基づいて、第1サンプルの各細胞を、第2サンプルのクラスタリング結果のクラスタのうち最も距離が近いクラスタにマッピングする。ここで、S211におけるクラスタリングされるサンプル(第2サンプル)と、マッピングされるサンプル(第1サンプル)との組み合わせを第2の組み合わせとも称する。
【0084】
次に、サンプル比較部211は、第1サンプルのクラスタリング結果に第2サンプルをマッピングした場合(第1の組み合わせ)の各クラスタの変化量が、第2サンプルのクラスタリング結果に第1サンプルをマッピングした場合(第2の組み合わせ)の各クラスタの変化量よりも大きいか否かを判断する(S213)。サンプル比較部211は、第1の組み合わせの各クラスタの変化量の方が大きい場合(S213/Yes)、第1の組み合わせを選択し(S217)、第2の組み合わせの各クラスタの変化量の方が大きい場合(S213/No)、第2の組み合わせを選択する(S215)。第1の組み合わせの各クラスタの変化量と、第2の組み合わせの各クラスタの変化量との比較は、例えば、全クラスタにおける変化量の最大値で行ってもよく、変化量が閾値以上のクラスタの数で行ってもよい。
【0085】
その後、サンプル比較部211は、選択した組み合わせにおいて、クラスタリング結果と、マッピング結果とを比較し、クラスタリング結果及びマッピング結果の間で所属する細胞数が閾値以上変化しているクラスタの存在の有無を判断する(S207)。クラスタリング結果及びマッピング結果の間で所属する細胞数が閾値以上変化しているクラスタが存在しない場合(S207/No)、情報処理装置21は動作を終了する。
【0086】
一方、クラスタリング結果及びマッピング結果の間で所属する細胞数が閾値以上変化しているクラスタが存在する場合(S207/Yes)、サンプル比較部211は、該クラスタを差異クラスタと特定する(S209)。
【0087】
サンプル比較部211によって特定された差異クラスタは、出力部209によって第1のデータ又は第2のデータが端末装置30、40に画像表示等で出力されることで、ユーザに提示される。これによれば、ユーザは、第1サンプル及び第2サンプルの間で差異がある細胞集団の蛍光に関する情報、及び各蛍光物質の発現量に関する情報を確認することができる。
【0088】
(4.2.第2の変形例)
次に、図14図16を参照して、本実施形態に係る情報処理装置20の第2の変形例について説明する。図14は、第2の変形例に係る情報処理装置22の構成例を模式的に示すブロック図である。
【0089】
図14に示すように、第2の変形例に係る情報処理装置22は、第1の変形例に係る情報処理装置21に対して、さらに細胞照会部213を備える。以下では、第2の変形例にて特徴的な細胞照会部213について説明し、図10で示した情報処理装置21と実質的に同様のその他の構成については説明を省略する。
【0090】
細胞照会部213は、サンプル比較部211にて特定された差異クラスタが生物学的にいずれの細胞種に該当するのかを、外部データベースに問い合わせることで特定する。具体的には、細胞照会部213は、サンプル比較部211にて特定された差異クラスタの第2のデータから、差異クラスタに含まれる細胞の発現パターンに関する情報を生成する。次に、細胞照会部213は、生成した発現パターンに関する情報を外部のオントロジーデータベースに投入することで、差異クラスタがいずれの細胞集団に該当するのかを特定する。特定された細胞集団の情報は、例えば、出力部209によって端末装置30、40に出力されることで、ユーザに提示されてもよい。
【0091】
外部のオントロジーデータベースとしては、例えば、「cell ontology database(https://bioportal.bioontology.org/ontologies/CL)」等の公共のデータベースを用いてもよく、「flowCL(https://bioconductor.org/packages/release/bioc/html/flowCL.html)」のデータベースを用いてもよい。
【0092】
ここで、図15及び図16を参照して、細胞照会部213の動作についてより具体的に説明する。図15は、第2の変形例に係る情報処理装置22の動作の概要を説明する説明図である。図16は、第2の変形例に係る情報処理装置22の動作例を示すフローチャート図である。
【0093】
図15及び図16に示すように、まず、第1の変形例に係る情報処理装置21の動作例にて説明したように、第1サンプル及び第2サンプルのクラスタリング及びマッピングが行われる。これにより、第1サンプル及び第2サンプルの間で差異がある差異クラスタが特定されたとする(S301)。
【0094】
ここで、細胞照会部213は、差異クラスタに含まれる細胞の第2のデータから、差異クラスタの各蛍光物質の発現量の代表値を算出する(S303)。例えば、細胞照会部213は、差異クラスタに含まれる各細胞の各蛍光物質の発現量の平均値、最頻値又は中央値を差異クラスタの各蛍光物質の発現量の代表値としてもよい。
【0095】
次に、細胞照会部213は、算出された差異クラスタの各蛍光物質の発現量に基づいて、外部のデータベースに投入可能な情報を生成する(S305)。例えば、外部のデータベースとして「flowCL」を用いる場合、細胞照会部213は、細胞における各マーカ分子の発現の陽性又は陰性を指定する情報(例えば、CD3+;CD8-;CD20+など)を生成してもよい。
【0096】
各マーカ分子の発現の陽性又は陰性は、例えば、全クラスタでの蛍光物質の発現量が二文されるような適切な閾値を設定し、差異クラスタの各蛍光物質の発現量の代表値が該閾値を超えたか否かに基づいて相対的に決定されてもよい。または、各マーカ分子の発現の陽性又は陰性は、差異クラスタの各蛍光物質の発現量の代表値があらかじめ指定された閾値を超えたか否かに基づいて絶対的に決定されてもよい。
【0097】
続いて、細胞照会部213は、生成した情報を外部のデータベースに投入することで、差異クラスタに含まれる細胞の細胞種を問い合わせる(S307)。その後、細胞照会部213は、問い合わせの結果に基づいて、差異クラスタに属する細胞の細胞種を特定する(S309)。
【0098】
細胞照会部213によって特定された差異クラスタの細胞種は、出力部209によって端末装置30、40に出力され、画像表示等にてユーザに提示される。また、出力部209は、併せて差異クラスタの第1のデータ又は第2のデータを端末装置30、40に出力してもよい。これによれば、ユーザは、第1サンプル及び第2サンプルの間で差異がある細胞集団が生物学的にどのような細胞種であるのかを確認することができる。
【0099】
<5.ハードウェア構成例>
続いて、図17を参照して、本実施形態に係る情報処理装置20のハードウェア構成について説明する。図17は、本実施形態に係る情報処理装置20のハードウェア構成例を示したブロック図である。
【0100】
図17に示すように、情報処理装置20は、CPU(Central Processing Unit)901と、ROM(Read Only Memory)902と、RAM(Random Access Memory)903と、ブリッジ907と、内部バス905および906と、インタフェース908と、入力装置911と、出力装置912と、ストレージ装置913と、ドライブ914と、接続ポート915と、通信装置916と、を備える。
【0101】
CPU901は、演算処理装置及び制御装置として機能し、ROM902等に記憶された各種プログラムに従って、情報処理装置20の動作全般を制御する。ROM902は、CPU901が使用するプログラム、演算パラメータを記憶し、RAM903は、CPU901の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。例えば、CPU901は、蛍光分離部203、クラスタリング部207、サンプル比較部211、及び細胞照会部213の機能を実行してもよい。
【0102】
これらCPU901、ROM902及びRAM903は、ブリッジ907、内部バス905及び906等により相互に接続されている。また、CPU901、ROM902及びRAM903は、インタフェース908を介して入力装置911、出力装置912、ストレージ装置913、ドライブ914、接続ポート915及び通信装置916とも接続されている。例えば、RAM903は、情報保持部205の機能を実行してもよい。
【0103】
入力装置911は、タッチパネル、キーボード、マウス、ボタン、マイクロフォン、スイッチ又はレバーなどの情報が入力される入力装置を含む。また、入力装置911は、入力された情報に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力するための入力制御回路なども含む。入力装置911は、例えば、入力部201の機能を実行してもよい。
【0104】
出力装置912は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)表示装置、液晶表示装置又は有機EL(Organic ElectroLuminescence)表示装置などの表示装置を含む。さらに、出力装置912は、スピーカ又はヘッドホンなどの音声出力装置を含んでもよい。出力装置912は、例えば、出力部209の機能を実行してもよい。
【0105】
ストレージ装置913は、情報処理装置20のデータ格納用の記憶装置である。ストレージ装置913は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記憶する記憶装置、記憶媒体からデータを読み出す読み出し装置、及び記憶されたデータを削除する削除装置を含んでもよい。
【0106】
ドライブ914は、記憶媒体用リードライタであり、情報処理装置20に内蔵又は外付けされる。例えば、ドライブ914は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク又は半導体メモリ等のリムーバブル記憶媒体に記憶されている情報を読み出し、RAM903に出力する。ドライブ914は、リムーバブル記憶媒体に情報を書き込むことも可能である。
【0107】
接続ポート915は、例えば、USB(Universal Serial Bus)ポート、イーサネット(登録商標)ポート、IEEE802.11規格ポート及び光オーディオ端子等のような外部接続機器を接続するための接続ポートで構成された接続インタフェースである。
【0108】
通信装置916は、例えば、ネットワークNに接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースである。また、通信装置916は、有線または無線LAN対応通信装置であっても、有線によるケーブル通信を行うケーブル通信装置であってもよい。通信装置916及び接続ポート915は、例えば、入力部201及び出力部209の機能を実行してもよい。
【0109】
なお、情報処理装置20に内蔵されるCPU、ROMおよびRAMなどのハードウェアに対して、上述した本実施形態に係る情報処理装置の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供することが可能である。
【0110】
当業者であれば、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内である限り、設計要件に応じて様々な変形、組み合わせ、部分的組み合わせ、および変更があり得ることが理解される。
【0111】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0112】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
細胞からの光をセンシングした結果である第1のデータと、前記第1のデータを複数の蛍光に分離した結果である第2のデータとを対応付けて保持する情報保持部と、
前記第2のデータに基づいて、前記細胞を複数のクラスタにクラスタリングするクラスタリング部と、
前記クラスタリング部によるクラスタリング結果を出力する出力部と、
を備え、
前記出力部は、前記複数のクラスタのうちからユーザが選択したクラスタに含まれる前記細胞の前記第1のデータ又は前記第2のデータの少なくともいずれか1つ以上をさらに出力する、情報処理装置。
(2)
前記第1のデータの次元数は、前記第2のデータの次元数よりも多い、前記(1)に記載の情報処理装置。
(3)
前記第1のデータは、前記細胞からの光の分光スペクトルデータである、前記(1)又は(2)に記載の情報処理装置。
(4)
前記第2のデータは、前記複数の蛍光のうちから選択された蛍光の組み合わせにて出力される、前記(1)~(3)のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(5)
前記クラスタリング結果は、画像表示にて出力される、前記(1)~(4)のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(6)
前記情報保持部にて前記第1のデータ及び前記第2のデータを保持された第1サンプル及び第2サンプルを互いに比較するサンプル比較部をさらに備える、前記(1)~(5)のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(7)
前記サンプル比較部は、前記第1サンプルの細胞を複数のクラスタにクラスタリングし、前記第2サンプルの細胞を、前記第1サンプルのクラスタリング結果に基づく前記複数のクラスタにマッピングする、前記(6)に記載の情報処理装置。
(8)
前記サンプル比較部は、前記第1サンプルのクラスタリング結果と、前記第2サンプルのマッピング結果とを比較することで、前記第1サンプル及び前記第2サンプルの間の変化量が閾値以上となるクラスタを特定し、
前記出力部は、特定された前記クラスタに含まれる前記細胞の前記第1のデータ又は前記第2のデータの少なくともいずれか1つ以上をさらに出力する、前記(7)に記載の情報処理装置。
(9)
前記サンプル比較部は、前記第1サンプルのクラスタリング結果に基づく複数のクラスタに前記第2サンプルをマッピングする第1のクラスタリングと、前記第2サンプルのクラスタリング結果に基づく複数のクラスタに前記第1サンプルをマッピングする第2のクラスタリングとをそれぞれ行う、前記(6)に記載の情報処理装置。
(10)
前記サンプル比較部は、前記第1のクラスタリング及び前記第2のクラスタリングの各々において、前記第1サンプル及び前記第2サンプルのクラスタリング結果及びマッピング結果をそれぞれ比較することで、前記第1サンプル及び前記第2サンプルの間の変化量が閾値以上となるクラスタを特定し、
前記出力部は、特定された前記クラスタに含まれる前記細胞の前記第1のデータ又は前記第2のデータの少なくともいずれか1つ以上をさらに出力する、前記(9)に記載の情報処理装置。
(11)
前記サンプル比較部にて特定された前記クラスタに含まれる前記細胞に関する情報を、前記細胞を特定するためのデータベースに投入する細胞照会部をさらに備える、前記(8)又は(10)に記載の情報処理装置。
(12)
前記細胞照会部は、前記データベースへの照会結果に基づいて、前記クラスタに含まれる前記細胞の細胞種を特定し、
前記出力部は、細胞種を特定された前記細胞の前記第1のデータ又は前記第2のデータの少なくともいずれか1つ以上をさらに出力する、前記(11)に記載の情報処理装置。
(13)
前記データベースに投入される前記細胞に関する情報は、前記第2のデータに基づいて生成される、前記(11)又は(12)に記載の情報処理装置。
(14)
前記データベースに投入される前記細胞に関する情報は、前記複数の蛍光の各々に対応するマーカ分子の発現量に関する情報である、前記(13)に記載の情報処理装置。
(15)
細胞から光をセンシングした結果である第1のデータと、前記第1のデータを複数の蛍光に分離した結果である第2のデータとを対応付けて保持することと、
前記第2のデータに基づいて、前記細胞を複数のクラスタにクラスタリングすることと、
前記クラスタリングによるクラスタリング結果を出力することと、
前記複数のクラスタのうちからユーザが選択したクラスタに含まれる前記細胞の前記第1のデータ又は前記第2のデータの少なくともいずれか1つ以上をさらに出力することと、
を含む、情報処理方法。
(16)
コンピュータを、
細胞からの光をセンシングした結果である第1のデータと、前記第1のデータを複数の蛍光に分離した結果である第2のデータとを対応付けて保持する情報保持部と、
前記第2のデータに基づいて、前記細胞を複数のクラスタにクラスタリングするクラスタリング部と、
前記クラスタリング部によるクラスタリング結果を出力する出力部と、
として機能させ、
前記出力部を、前記複数のクラスタのうちからユーザが選択したクラスタに含まれる前記細胞の前記第1のデータ又は前記第2のデータの少なくともいずれか1つ以上をさらに出力するように機能させる、プログラム。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2024-04-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1サンプルに含まれる細胞を、前記細胞のデータに基づいて、複数のクラスタにクラスタリングすることと、
前記複数のクラスタのうちそれぞれのクラスタに属する細胞のデータの代表値を決定することと、
第2サンプルに含まれる細胞を、前記決定されたそれぞれのクラスタの代表値と前記第2サンプルのそれぞれの細胞のデータとの間の距離に基づき、前記複数のクラスタにマッピングすることと、
を含む情報処理方法。
【請求項2】
前記細胞のデータは、前記細胞が標識された蛍光物質の発現量である、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記蛍光物質の発現量は、前記細胞への光の照射により測定される第1のデータを複数の蛍光に分離することで得られる第2のデータである、請求項2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記第1のデータは、フローサイトメータにより測定されたデータである、請求項3に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記代表値は、それぞれのクラスタに属する細胞のデータの平均値、最頻値又は中央値である、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記第2サンプルに含まれる細胞は、前記細胞のデータに基づき、前記それぞれのクラスタの代表値のうち前記距離が近いクラスタにマッピングされる、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記距離は、前記第2サンプルのデータのベクトルと、前記それぞれのクラスタの代表値のベクトルとのユークリッド距離又はマンハッタン距離である、請求項1又は6に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記第1サンプルに含まれる細胞をクラスタリングした結果を出力すること、を更に含む請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記第1サンプルに含まれる細胞をクラスタリングした結果と、前記第2サンプルに含まれる細胞をマッピングした結果とを比較することで、前記第1サンプル及び前記第2サンプルの間の変化量が閾値以上となるクラスタを特定すること、を更に含む請求項8に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記細胞への光の照射により検出される第1のデータと、前記第1のデータを複数の蛍光に分離することで得られる第2のデータとを対応付けて保持することと、
特定された前記クラスタに含まれる細胞の第1のデータ又は第2のデータの少なくとも1以上を出力することと、をさらに含む請求項9に記載の情報処理方法。
【請求項11】
第1サンプルに含まれる細胞を、前記細胞のデータに基づいて、複数のクラスタにクラスタリングするクラスタリング部と、
前記複数のクラスタのうちそれぞれのクラスタに属する細胞のデータの代表値を決定し、
第2サンプルに含まれる細胞を、前記決定されたそれぞれのクラスタの代表値と前記第2サンプルのそれぞれの細胞のデータとの間の距離に基づき、前記複数のクラスタにマッピングするサンプル比較部と、
を含む情報処理装置。
【請求項12】
第1サンプル及び第2サンプルに含まれる細胞に光を照射することにより第1のデータを検出するフローサイトメータと、
前記第1サンプルに含まれる細胞を、前記第1のデータを複数の蛍光に分離することで得られる第2のデータに基づいて、複数のクラスタにクラスタリングするクラスタリング部と、
前記複数のクラスタのうちそれぞれのクラスタに属する細胞の第2のデータの代表値を決定し、
第2サンプルに含まれる細胞を、前記決定されたそれぞれのクラスタの代表値と前記第2サンプルのそれぞれの細胞の第2のデータとの間の距離に基づき、前記複数のクラスタにマッピングするサンプル比較部と、
を含むシステム。
【外国語明細書】