(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084833
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】植込み物、及び植込み物の電子機器モジュールと電子部品の間に電気接続を製造する方法
(51)【国際特許分類】
A61N 1/05 20060101AFI20240618BHJP
A61N 1/375 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
A61N1/05
A61N1/375
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024061860
(22)【出願日】2024-04-08
(62)【分割の表示】P 2021505651の分割
【原出願日】2019-07-22
(31)【優先権主張番号】18187091.6
(32)【優先日】2018-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】512158181
【氏名又は名称】バイオトロニック エスエー アンド カンパニー カーゲー
【氏名又は名称原語表記】BIOTRONIK SE & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Woermannkehre 1 12359 Berlin Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドーア、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】フェーゼ、ウルリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】クレナー、ロルフ
(72)【発明者】
【氏名】エルトマン、トルステン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】植込み物、及び植込み物の電子機器モジュールと電子部品の間に電気接続を製造する方法を提供する。
【解決手段】電子機器モジュール61と電子部品とを備える植込み物であって、電子機器モジュールと電子部品の間の電気接続は、ストレートのプラグ・イン接続によって形成される。植込み物はさらなる電子部品を有し、電子機器モジュールとさらなる電子部品の間の電気接続はさらなるストレートのプラグ・イン接続によって形成され、ストレートのプラグ・イン接続及びさらなるストレートのプラグ・イン接続は同じ方向に向けられる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器モジュールと電子部品とを備える植込み物であって、前記電子機器モジュールと前記電子部品の間の電気接続は、ストレートのプラグ・イン接続によって形成される、植込み物。
【請求項2】
前記植込み物はさらなる電子部品を有し、前記電子機器モジュールと前記さらなる電子部品の間の電気接続はさらなるストレートのプラグ・イン接続によって形成され、前記ストレートのプラグ・イン接続及び前記さらなるストレートのプラグ・イン接続は同じ方向に向けられる、請求項1に記載の植込み物。
【請求項3】
前記電子部品は真っすぐなピン要素を有し、前記電子機器モジュールはピン・ソケットを有し、前記ピン要素は、前記電気接続を形成するために前記ピン・ソケット内に配置される、請求項1又は2に記載の植込み物。
【請求項4】
前記電子機器モジュールは真っすぐなピン要素を有し、前記電子部品はピン・ソケットを有し、前記ピン要素は、前記電気接続を形成するために前記ピン・ソケット内に配置される、請求項1又は2に記載の植込み物。
【請求項5】
前記ピン・ソケットは、リング状である、請求項3又は4に記載の植込み物。
【請求項6】
前記ピン・ソケットは、以下の固着法、すなわち、ハンダ付け、接着、埋め込み、クランピング、及び圧着のうちの1つを用いて前記電子機器モジュールに固着される、請求項3又は5に記載の植込み物。
【請求項7】
前記ピン・ソケットは、以下の固着法、すなわち、ハンダ付け、接着、埋め込み、クランピング、及び圧着のうちの1つを用いて前記電子部品に固着される、請求項4又は5に記載の植込み物。
【請求項8】
前記ピン要素は、ばね要素を有する、請求項3から7までの一項に記載の植込み物。
【請求項9】
前記電子部品は、エネルギー貯蔵部、フィードスルー、又はコンデンサである、請求項1から8までの一項に記載の植込み物。
【請求項10】
前記プラグ・イン接続は、取り外し可能な接続として形成される、請求項1から9までの一項に記載の植込み物。
【請求項11】
前記プラグ・イン接続は、取り外し不可能な接続として形成される、請求項1から9までの一項に記載の植込み物。
【請求項12】
前記電気接続は、以下の接続タイプ、すなわち、ばね接点、絶縁変位接点、ハンダ接点、溶接接点、圧入、及び粘着剤から選択される接続で形成される、請求項1から11までの一項に記載の植込み物。
【請求項13】
前記プラグ・イン接続は、前記電気接続を妨げることなく前記電子部品と前記電子機器モジュールの間の相対移動を補償するように設計される、請求項1から12までの一項に記載の植込み物。
【請求項14】
植込み物の電子機器モジュールと電子部品の間に電気接続を製造する方法であって、前記電子部品及び前記電子機器モジュールは、相対移動で互いに向かって移動させられ、前記電気接続は、前記電子部品と前記電子機器モジュールの間にストレートのプラグ・イン接続で形成される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、植込み物、及び植込み物の電子機器モジュールと電子部品の間に電気接続を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ペースメーカ又は除細動器などの植込み物は、とりわけ、チップを備えた電子機器モジュール、電力供給用のバッテリ、及び1つ又は複数の電極を接続することができるヘッダへのフィードスルーを含む。電子機器モジュール、バッテリ、及びフィードスルー間の現在知られている接触確立手段は、通常、ハンダ上(soldered-on)又は溶接上(welded-on)の接触確立ストリップ(contact-establishing strip)を用いて実現される。代替実施例では、曲がったバッテリ・ピンが、プラグ・イン接触確立手段において接続される。
【0003】
図1は、先行技術により知られている植込み物を示す。植込み物は、バッテリ51及び電子機器モジュール52が配置されるハウジング50を有する。電極接続デバイス(ヘッダ)53は、ハウジング50上に配置される。第1の電気接点54が、電子機器モジュール52とバッテリ51の間に形成される。第2の電気接点56が、電子機器モジュール52とフィードスルー55の間に形成される。フィードスルー55は、ハウジング50から外へ通じ、電子機器モジュール52と電極接続デバイス53の間に電気接続を与える。植込み物の要素(電極接続デバイス53、フィードスルー55、バッテリ51、及び電子機器モジュール52)は、互いの隣に平らに並んでいる。これにより、90°の角度で通過する要素(具体的には、第1の電気接点54及び第2の電気接点56)間の各電気接続という結果になり、したがって、複雑で費用のかかる構築プロセスを必要とする。
図1に示された植込み物の製造は、複雑な製造技術を必要とし、自動化が難しい。
【0004】
米国特許第9,737,721(B2)号の文献は、脊髄を刺激するための植込み物を開示する。この植込み物は、バッテリ及び電子機器モジュールが配置されるハウジングを有する。バッテリ上に配置された支持フレームは、電子機器モジュールと通信コイルを収容する。電子機器モジュールは、バッテリに直角にここに配置される。
【0005】
米国特許7,647,110(B2)号の文献は、モジュール方式の植込み物を記載する。様々なコネクタ・モジュール、電子機器モジュール、及びバッテリ・モジュールを組み合わせて、様々な機能を実現することができる。
【0006】
EP2,493,557(B1)の文献は、植込み物のためのモジュール方式のヘッダを開示する。ヘッダは、互いに接続されるいくつかのモジュールから構築される。ヘッダの長さは、モジュールの個数によって調整することができる。
【0007】
米国特許出願公開第2018/0054034(A1)号の文献は、使用するモジュール数によって長さを調整することができるモジュール方式のコネクタを開示する。
【0008】
米国特許第9,713,717(B2)号の文献は、基板上に形成される電子機器モジュールを有する植込み物を開示する。フィルタ・コンデンサ又はブロッキング・コンデンサなどの電子機器モジュールのいくつかの構成部品が、基板に埋め込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第9,737,721(B2)号
【特許文献2】米国特許7,647,110(B2)号
【特許文献3】EP2,493,557(B1)
【特許文献4】米国特許出願公開第2018/0054034(A1)号
【特許文献5】米国特許第9,713,717(B2)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
目的は、植込み物のための改善された技術を特定することである。具体的には、能動的な医療用植込み物の製造が簡略化される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載に植込み物、及び請求項14に記載の方法が開示される。さらなる実施例は、独立請求項の主題である。
【0012】
一態様によれば、ハウジングを有する植込み物が提供される。エネルギー貯蔵部及び電子機器モジュールが、ハウジング内に配置される。電極接続デバイスへのフィードスルーは、ハウジング上に形成される。第1の接点は、エネルギー貯蔵部と電子機器モジュールの間に電気接続を形成する。第2の接点は、電子機器モジュールとフィードスルーの間に電気接続を形成する。第1の接点及び第2の接点は、同じ接触方向に向けられる。
【0013】
植込み物は、能動的医療用植込み物、例えば、植込み型ペースメーカ、又は植込み型心臓除細動器(ICD:Implantable Cardioverter-Defibrillator)であり得る。
【0014】
電極接続デバイスは、接続ヘッド又はヘッダとも呼ばれ得る。電極接続デバイスは、1つ又は複数の電極接続を受け入れるように設計され得る。
【0015】
電子機器モジュールは、植込み物、例えば、プロセッサ及びメモリの動作を確実にする構成部品を有してもよい。
【0016】
エネルギー貯蔵部は、一次セル、二次セル、コンデンサ、又は前述した要素の任意の組合せを有してもよい。エネルギー貯蔵部は、電子機器モジュールの構成部品に電気エネルギーを供給するように設計され得る。さらに、エネルギー貯蔵部は、除細動(ショック)のために電気エネルギーを与えるように設計されてもよい。エネルギー貯蔵部は、例えば、電気絶縁材料(例えば、PEEK(ポリエーテル・エーテル・ケトン)などの熱可塑性物質)製のカバーによって、電気絶縁材料製のしっかりと付着するプラスチック材料コーティングによって、1部品又は多部品の絶縁膜によって、電気絶縁材料(例えば、プラスチック)製のコーティングによって、或いは絶縁膜をエネルギー貯蔵部に接着剤で付けることによって、ハウジングから電気的に絶縁されてもよい。
【0017】
フィードスルーは、電極接続デバイスと電子機器モジュールの間に電気接続を与えることができる。フィードスルーは、多極、例えば三極、四極、又は五極であってもよい。
【0018】
ハウジングは、生体適合材料を有してよく、又は生体適合材料(例えば、チタン)で作製されてもよい。
【0019】
第1の接点の好ましい方向が第2の接点の好ましい方向と一致する、すなわち、接点が同じ方向を指す場合に、等しい接触方向が与えられる。接点の好ましい方向は、接点の幾何学的形状からもたらされ得る。ピン接点の場合には、好ましい方向は、ピンの長手方向の延長である。平面接触の場合には、好ましい方向は、表面の法線である。
【0020】
エネルギー貯蔵部、電子機器モジュール、及びフィードスルーは、スタック方向に上下に配置され、スタック方向は、接触方向に対応することが提供され得る。エネルギー貯蔵部、電子機器モジュール、及びフィードスルーは、単一の組立方向に組み立てられる。要素を重なり合うようにスタックすることによって、植込み物の組立てを簡略化し、製造プロセスの自動化を容易にする。さらに、電極接続デバイスは、スタック方向にハウジング上に配置されてもよい。
【0021】
第1の接点は、エネルギー貯蔵部上に配置された第1の平面接触要素と電子機器モジュール上に配置された第2の平面接触要素との間に形成することができ、接触方向は、第1の平面接触要素と第2の平面接触要素の間の接触エリアの法線である。第1の平面接触要素及び第2の平面接触要素は、同じサイズであってもよい。第1の平面接触要素及び第2の平面接触要素は、同じ形状、例えば、正方形、長方形、丸形、又は楕円形を有してもよい。第1の平面接触要素及び第2の平面接触要素は、対称的であってもよい。
【0022】
第2の接点は、電子機器モジュール上に配置された第3の平面接触要素とフィードスルー上に配置された第4の平面接触要素と間に形成することができ、接触方向は、第3の平面接触要素と第4の平面接触要素の間の接触エリアの法線である。第3の平面接触要素及び第4の平面接触要素は、同じサイズであってもよい。第1の平面接触要素及び第2の平面接触要素は、同じ形状、例えば、正方形、長方形、丸形、又は楕円形を有してもよい。第3の平面接触要素及び第4の平面接触要素は、対称的であってもよい。
【0023】
一実施例では、第1の接点は、第1のピン要素と第1のピン・ソケットの間に形成され、第1のピン要素の長手方向の延長は、接触方向を決定することが与えられ得る。第1のピン要素は、エネルギー貯蔵部上に配置されてもよい。この場合には、第1のピン・ソケットは、電子機器モジュール上に配置される。別の変形例では、第1のピン要素は、電子機器モジュール上に配置されてもよく、第1のピン・ソケットは、エネルギー貯蔵部上に配置される。第1のピン要素は、互いに平行に向けられた複数のピンを有してもよい。第1のピン要素が、例えばエネルギー貯蔵部上に配置された一対のピンとして(例えば、エネルギー貯蔵部の陽極及び陰極として)形成されることが与えられてもよい。この場合には、第1のピン・ソケットは、例えば電子機器モジュール上に配置され得る一対のピン・ソケットとして形成される。
【0024】
さらに、第2の接点が第2のピン要素と第2のピン・ソケットの間に形成され、第2のピン要素の長手方向の延長が接触方向を決定することが与えられてもよい。第2のピン要素は、フィードスルー上に配置されてもよく、第2のピン・ソケットは、電子機器モジュール上に配置される。代替として、第2のピン要素は、電子機器モジュール上に配置されてもよく、第2のピン・ソケットは、フィードスルー上に配置される。第2のピン要素は、互いに平行に向けられた複数のピンを有してもよい。例えば、複数のピンは、フィードスルー(多極フィードスルー)上に配置されてもよい。この場合には、第2のピン・ソケットは、例えば電子機器モジュール上に配置された複数のピン・ソケットを有する。
【0025】
第1のピン要素及び第2のピン要素は、互いに平行に配置されてもよい。
【0026】
第1の接点及び/又は第2の接点は、プラグ・イン接触、クランプ接触、又は溶接接触として設計されてもよい。
【0027】
電子機器モジュールは、エネルギー貯蔵部の前側に配置されてもよい。前側は、電極接続デバイスに面するエネルギー貯蔵部の側部である。したがって、電子機器モジュールは、電極接続デバイスとエネルギー貯蔵部の間に配置される。
【0028】
電子機器モジュールは、エネルギー貯蔵部の前側に平行又は直角に配置することができる。電子機器モジュールは、構成部品を配置する平面基板を有してもよい。平面基板の場合には、基板の高さは、基板の幅及び長さよりもずっと小さい。基板は、プリント回路基板の形態にあってもよい。平面基板は、エネルギー貯蔵部の前側に平行又は直角に配置されてもよい。具体的には、電子機器モジュール/基板の平行配置は、空間を節約する組立体を可能にする。この場合には、電子機器モジュールは、エネルギー貯蔵部の前側に位置する。
【0029】
電子機器モジュールが支持フレーム内に配置されることが与えられてもよい。支持フレームは、エネルギー貯蔵部が支持フレームによって固定されるようにハウジングに配置されてもよい。支持フレームは、エネルギー貯蔵部が支持フレームによってハウジングに押し付けられ、それによって固定されるようにエネルギー貯蔵部上に圧入で配置され得る。代替として、又はさらに、支持フレームは、支持フレームがエネルギー貯蔵部と電子機器モジュールの間の相対移動を減少させる又は防ぐように設計され、ハウジングに配置されることが与えられてもよい。具体的には、電子機器モジュールとエネルギー貯蔵部の間の電気接続の損失をもたらす相対移動が防がれることになる。支持フレームは、プラスチック材料を有してもよく、又はプラスチック材料で完全に作製されてもよい。適切なプラスチック材料は、例えば、ポリブチレン・テレフタレート(PBT:polybutylene terephthalate)、ポリカーボネート(PC:polycarbonate)、又は同様のプラスチック材料である。
【0030】
ハウジングは、2部品に形成され、第1のハウジング・シェルと第2のハウジング・シェルとを有してもよい。エネルギー貯蔵部が第1のハウジング・シェルと第2のハウジング・シェルの間に固定されることが与えられてもよい。第1のハウジング・シェル及び第2のハウジング・シェルは、対称的(例えば鏡面対称的)又は同一であってもよい。2部品のハウジングは、一体化された溶接保護(例えば、ビーディング)を有してもよい。
【0031】
一実施例では、ハウジングは、1部品に形成されてもよい。1部品のハウジングは、基材から直接成形によって、例えば深絞り加工によって製造されてもよい。
【0032】
ハウジングは、開口部を有してもよく、開口部を通じてエネルギー貯蔵部及び電子機器モジュールをハウジングに導入することが可能である。開口部は、ハウジングの前側(電極接続デバイスに面する側)に形成されてもよい。ハウジングが2部品にある場合、第1のハウジング・シェル及び第2のハウジング・シェルは、開口部が前側上に形成されるように互いに接続(例えば、溶接)されてもよい。開口部は、接触方向に開いていてもよい。この場合には、植込み物の全要素(エネルギー貯蔵部、電子機器モジュール、フィードスルー、電極接続デバイス、及びハウジング)は、ただ1つのスタック方向に組み立てられてもよい。
【0033】
エネルギー貯蔵部は、エンクロージャに固着されてもよい。例えば、自己粘着性パッドが第1のハウジング・シェル及び/又は第2のハウジング・シェルに取り付けられてもよく、ハウジング・シェルがハウジングを形成するように接続されるときに、このパッドにエネルギー貯蔵部が粘着する。エネルギー貯蔵部が粘着剤によって第1のハウジング・シェル及び/又は第2のハウジング・シェルに接着されることが与えられてもよい。固定は、第1のハウジング・シェルと第2のハウジング・シェルの間のクランプ作用によって実現することもできる。ハウジングがエネルギー貯蔵部に溶接されることを与えることもできる。
【0034】
クランプ部は、ハウジングに配置されてもよく、クランプ部は、ハウジングに対してエネルギー貯蔵部を固定するように設計されている。クランプ部は、ハウジングの前側の反対側であるハウジングの下側に配置されてもよい。クランプ部は、固定のためにエネルギー貯蔵部を支持フレームに押し付けるように設計されてもよい。クランプ部は、ばねとして、溶接保護バンドとして、又は固体の空間を充填するプラスチック材料部品として設計されてもよい。
【0035】
フィードスルーは、SMD(surface-mounted device:表面実装部品)構成部品として電子機器モジュールに取り付けられてもよい。SMD構成部品は、1つ又は複数のハンダ付け可能な接続エリアによってプリント回路基板(例えば、電子機器モジュールの基板)に直接ハンダ付けされる。言い換えれば、フィードスルーは、SMT(surface-mounting technology:表面実装技術)を用いて電子機器モジュール上に組み立てられる。
【0036】
フィードスルーは、第2の基板を有することができる。フィードスルーの第2の基板、電子機器モジュール(又は電子機器モジュールの基板)、及びエネルギー貯蔵部の前側は、互いに平行に配置することができる。
【0037】
さらなる態様によれば、植込み物を組み立てる方法が開示される。この方法は、エネルギー貯蔵部を用意するステップと、電子機器モジュールを用意するステップと、フィードスルーを用意するステップと、エネルギー貯蔵部上に電子機器モジュールを配置するステップと、電子機器モジュール上にフィードスルーを配置するステップとを有する。ここで、フィードスルー、電子機器モジュール、及びエネルギー貯蔵部は、共通の組立方向に沿って重なり合って配置される。具体的には、電子機器モジュールは、エネルギー貯蔵部の前側に配置されてもよい。
【0038】
配置の順序は、重要でない。電子機器モジュールは、まずエネルギー貯蔵部上に配置され、次いでフィードスルーが電子機器モジュール上に配置されてもよい。しかしながら、フィードスルーは、まず電子機器モジュール上に配置されてもよく、次いでフィードスルーを備えたで電子機器モジュールがエネルギー貯蔵部上に配置される。
【0039】
エネルギー貯蔵部上に電子機器モジュールを配置するとき、エネルギー貯蔵部と電子機器モジュールの間の電気接続は、第1の接点と共に形成される。電子機器モジュール上にフィードスルーを配置するとき、電子機器モジュールとフィードスルーの間の電気接続は、第2の接点と共に形成され得る。第1の接点及び第2の接点は、同じ接触方向に向けられもよい。
【0040】
上記方法は、エネルギー貯蔵部を、電子機器モジュール及びフィードスルーと共に、ハウジングに配置するステップと、ハウジングを閉じるステップとをさらに有してもよい。
【0041】
上記方法は、ハウジング上に電極接続デバイスを配置するステップと、電極接続デバイスをフィードスルーに接続するステップとをさらに有してもよい。
【0042】
さらなる態様によれば、電子機器モジュール及びエネルギー貯蔵部を有する植込み物であって、電子機器モジュールの体積がエネルギー貯蔵部の体積の25%未満である植込み物が提供される。好ましくは、電子機器モジュールの体積は、エネルギー貯蔵部の体積の20%未満である。より好ましくは、電子機器モジュールの体積は、エネルギー貯蔵部の体積の16%未満である。一実施例では、エネルギー貯蔵部の体積は、3.06cm3であり、電子機器モジュールの体積は0.46cm3である。
【0043】
植込み物の要素は、長さ、幅、及び高さをそれぞれ有する3次元物体である。物体の寸法は、同じ方向に常に決定される。電子機器モジュールの長さは、電極接続デバイスの長さ及びバッテリの長さと同じ方向に決定される。電子機器モジュールの幅は、電極接続デバイスの幅及びバッテリの幅と同じ方向に決定される。電子機器モジュールの高さは、電極接続デバイスの高さ及びバッテリの高さと同じ方向に決定される。
図2の左下隅には、説明のために座標系が描かれている。x方向は長さに対応し、y方向は幅を示し、z方向は高さに対応する。
【0044】
エネルギー貯蔵部の体積は、要素の実際の体積である。
【0045】
電子機器モジュールの体積は、電子機器モジュールの周りの外被の体積とみなされ、外被の基部は電子機器モジュールの面積に等しく、外被の高さは電子機器モジュール上の最も高い構成部品の高さに等しい。電子機器モジュールが長方形の基部を有する場合、したがって、体積は立方形によって与えられ、立方形の基部は電子機器モジュールの基部(長さと幅の積)に等しい。立方形の高さは、電子機器モジュールの上の最も高い構成部品の高さに対応する。電子機器モジュールが平面基板として具体化される場合、構成部品は、基板の片側に配置されてもよい。この場合には、体積についての上記の定義が当てはまる。構成部品が基板の両側に配置されることも与えられ得る。この場合には、電子機器モジュールの高さは、基板のそれぞれの側の最も高い構成部品の高さの合計に対応する。
【0046】
電子機器モジュールの長さと電子機器モジュールの幅の比は、4:1以上、好ましくは5:1以上、より好ましくは6:1以上であり得る。本実施例では、電子機器モジュールは、エネルギー貯蔵部の前側に電子機器モジュールを配置するのを容易し得る狭い設計を有する。一実施例では、電子機器モジュールは、30mmを超える長さ及び5.2mm未満の幅を有する。
【0047】
電子機器モジュールの幅は、エネルギー貯蔵部の幅以下であることが与えられてもよい。
【0048】
電子機器モジュールの長さは、エネルギー貯蔵部の長さ以下であり得る。
【0049】
すでに上述したように、植込み物は、電極接続デバイスを有してもよく、電子機器モジュールの長さは、電極接続デバイスの長さ以下であり、及び/又は電子機器モジュールの幅は、電極接続デバイスの幅以下である。エネルギー貯蔵部の長さが電極接続デバイスの長さ以下である、及び/又はエネルギー貯蔵部の幅が電極接続デバイスの幅以下であることも与えられてよい。
【0050】
電子機器モジュールは、複数の構成部品を配置する基板を有してもよく、基板の面積は、エネルギー貯蔵部の前側の面積以下である。
【0051】
複数の構成部品の一部がF≦90nmの最小の構造サイズを有することが与えられてもよい。代替として、又はさらに、複数の構成部品の一部(又は他のもの)がF≦65nm、好ましくはF≦55nmの最小の構造サイズを有することが与えられてもよい。電子機器モジュールの構成部品の全部が均一の構造サイズ、例えばF≦90nm、F≦65nm、又はF≦55nmで製造されることが与えられてもよい。電子機器モジュールの構成部品がここで述べた様々な構造サイズで製造されることも与えられてもよい。
【0052】
複数の構成部品の少なくとも1つは、基板の第1の側に配置されもよく、複数の構成部品の少なくとも1つの他のものは、基板の第2の側に配置されてもよい。したがって、基板は、片側で又は2つの側で占められ得る。
【0053】
一実施例では、基板の第1の側の少なくとも1つの構成部品、及び/又は基板の第2の側の少なくとも1つの他の構成部品が、ポッティング剤で封じ込められることが与えられてもよい。
【0054】
複数の構成部品の一部が基板上にSMD要素として配置されることも与えられてもよい。例えば、構成部品は、1つ又は複数のボール・グリッド・アレイ(BGA:Ball Grid Array)に、及び/又はマルチチップ・モジュール(MCM:Multi Chip Module)ハウジング内に、並びに/或いはベア集積回路(チップ)として配置されてもよい。基板が片側で示される場合、構成部品の以下の配置が可能である。
- 全ての構成部品は、ボール・グリッド・アレイ・パッケージに配置される。
- 全ての構成部品は、MCMパッケージに配置される。
- 全ての構成部品は、チップとして配置される。
- 全ての構成部品は、SMD要素として配置される。
- 構成部品の1つ若しくは複数又はゼロ個が1つ又は複数のBGAハウジングに配置され、他の構成部品の1つ若しくは複数又はゼロ個が1つ又は複数のMCMハウジングに配置され、他の構成部品の1つ若しくは複数又はゼロ個がチップとして配置され、他の構成部品の1つ若しくは複数又はゼロ個がSMD要素として配置される。
【0055】
基板が2つの側を占める場合には、上述の配置は、基板の両側に実現され得る。
【0056】
複数の構成部品の一部が基板の片側に並んで又は重なり合って配置され、チップ/構成部品が基板にそれぞれ接合され、構成部品がポッティング剤で封じ込められることが与えられてもよい。基板へのチップ/構成部品の接続は、ワイヤ・ボンド、フリップ・チップ・バンプ、又はフリップ・チップ・ハンダ・ボール接続の形態にあってもよい。ポッティング剤は、基板を部分的に覆うことができる。一実施例では、ポッティング剤は、基板の縁部に沿って延びてもよい。好ましくは、ポッティング剤は、構成部品を配置する基板の側部を完全に覆う。
【0057】
基板として働くパネル上で、構成部品は、各グリッド・セルが電子機器モジュールに必要な全てのユニット/チップを有するようにグリッド状に配置されてもよい。各チップ/構成部品は、電気接続を行うように基板に接合される。次いで、パネルは、ポッティング剤で封じ込められる(オーバーモールド)。パネルがポッティング剤で覆われた後、個々の電子機器モジュールは、パネルから切断される。有利には、パネル上のポッティング・エリアの長さは、電子機器モジュールの長さの整数倍であり、及び/又はパネル上のポッティング領域の幅は、電子機器モジュールの幅の整数倍である。これにより、パネルのポッティング・エリアが最適に使用される。パネル/基板の別の側では、さらなる構成部品が、例えば、チップに及び/又はボール・グリッド・アレイ・パッケージにSMD要素として配置されてもよい。
【0058】
エネルギー貯蔵部用の接続接触(connection contact)のための穴、及び/又はフィードスルー用のさらなる接続接触のための穴が、ポッティング剤に形成されてもよい。
【0059】
電子機器モジュールは、マルチチップ・モジュールとして形成されてもよい。マルチチップ・モジュール(MCM)は、ワン・チップのように外側から見え、やはり機能し、ワン・チップのように使用される共通のパッケージ内で平面状に(並んで)又は重なり合って収容される複数の個々のマイクロチップからなる。
【0060】
電極接続デバイスへのフィードスルーは、
- 電子機器モジュールの集積構成部品、
- 電子機器モジュール上のSMD構成部品、又は
- 電子機器モジュール上のプラグ・イン接続
として形成されてもよい。
【0061】
別の態様によれば、電子機器モジュール及び電子部品を有する植込み物であって、電子機器モジュールと電子部品の間の電気接続が、ストレートのプラグ・イン接続(straight plug-in connection)によって形成される、植込み物が提供される。
【0062】
植込み物は、さらなる電子部品を有してもよく、電子機器モジュールとさらなる電子部品の間の電気接続が、さらなるストレートのプラグ・イン接続によって形成され、ストレートのプラグ・イン接続及びさらなるストレートのプラグ・イン接続が、同じ方向に向けられる。ストレートのプラグ・イン接続のためにここに開示された特徴は、さらなるストレートのプラグ・イン接続に類似的に当てはまる。同様に、電子部品の説明は、さらなる電子部品に類似的に当てはまる。
【0063】
電気接続は、電子部品の1つの接触ピン(又は複数の接触ピン)が電子機器モジュールの雄コネクタ・ソケットの中に直接又はそれを通じて差し込みできるようにプラグ・イン接触として全体的に又は部分的に設計されてもよい。ストレートのプラグ・イン接続は、アダプタ(例えば、配線ストリップ(wiring strip))がなく、さらに、ピンの屈曲は必要ない。
【0064】
電子部品又はさらなる電子部品は、フィードスルー又はエネルギー貯蔵部であり得る。複数の電子部品が用意されてもよく、電子機器モジュールへの電気接続は、電子部品ごとにストレートのプラグ・イン接続で形成される。電子機器モジュール及び電子部品は、パッケージ内に配置されてもよい。
【0065】
一実施例では、さらなる電子機器モジュールは、電子機器モジュール上に配置されてもよい。さらなる電子機器モジュールは、ストレートのプラグ・イン接続によって電子機器モジュールに接続されてもよい。複数の電子機器モジュールのスタックが形成されてもよく、複数の電子機器モジュールは、ストレートのプラグ・イン接続によって互いにそれぞれ接続される。
【0066】
電子部品は真っすぐなピン要素を有することができ、電子機器モジュールはピン・ソケットを有し、ピン要素は電気接続を形成するためにピン・ソケット内に配置される。
【0067】
代替として、電子モジュールは真っすぐなピン要素を有してもよく、電子部品はピン・ソケットを有し、ピン要素は電気接続を形成するためにピン・ソケット内に配置される。
【0068】
上述したように、真っすぐなピン要素は、複数のピンを有することができる。複数のピンは、互いに平行に配置することができる。この場合には、複数のピン・ソケットが設けられ、各複数のピンは、複数のピン・ソケットの別個の1つに関連付けられている。
【0069】
ピン・ソケットは、リング状であってよい。ピン・ソケットは、ディスクとして具体化されてもよい。ピン・ソケットは、電子機器モジュールに又は電子部品にハンダ付けされてもよい。ピン要素は、ピン・ソケットに溶接されてもよい。
【0070】
ピン・ソケットは、以下の固着法、すなわち、ハンダ付け、接着、埋め込み、クランピング、及び圧着のうちの1つを用いて電子機器モジュールに固着することができる。圧着は、2つの構成部品が塑性変形によって、例えば、フランジング、絞り、リップリング、又は折り畳みによって一緒につなげられるつなぎプロセスを意味すると理解される。埋め込みにおいて、ピン・ソケットの一部は、電子機器モジュールの材料によって取り囲まれる。
【0071】
ピン・ソケットは、以下の固着法、すなわち、ハンダ付け、接着、埋め込み、クランピング、及び圧着のうちの1つを用いて電子部品に固着することができる。
【0072】
ピン要素はばね要素を有することが与えられてもよい。
【0073】
電子部品は、エネルギー貯蔵部、フィードスルー、又はコンデンサであってもよい。さらに、電子部品は、高電圧コンデンサ又はコンデンサ・スタックとして具体化されてもよい。一実施例では、電子部品はエネルギー貯蔵部であり、さらなる電子部品はフィードスルーである。
【0074】
プラグ・イン接続は、取り外し可能な接続として、例えば、プラグ・イン接続として形成されてもよい。
【0075】
プラグ・イン接続は、取り外し不可能な接続として、例えば、溶接式接続又はハンダ付け式接続として形成されてもよい。
【0076】
電気接続は、以下の接続タイプ、すなわち、ばね接点、絶縁変位接点、ハンダ接点、溶接接点、圧入、及び粘着剤から選択される接続で形成することができる。導電性粘着剤が、粘着剤接続のために使用されてもよい。
【0077】
プラグ・イン接続は、電気接続を妨げることなく電子部品と電子機器モジュールの間の相対移動を補償するように設計され得る。例えば、ピン要素は、電子機器モジュールに対する電子部品の相対移動を補償するために十分に長く及び可撓性であり得る。代替として、又はさらに、雄コネクタ・ソケットは、十分に可撓性であってもよく、及び/又は電子機器モジュールに対する電子部品の相対移動を補償するために十分に可撓性のやり方で取り付けられる。例えば、ピン要素は、ピン・ソケットの高さよりも大きい長さを有してもよい。この場合には、ピン要素は、挿入された状態でピン・ソケットを越えて突出し、それによって、ピン要素の方向に沿った移動は、ある範囲内で補償され得る。
【0078】
さらに別の態様によれば、植込み物の電子機器モジュールと電子部品の間の電気接続を製造する方法であって、電子部品及び電子機器モジュールは、相対移動で互いに向かって移動させられ、電気接続は、電子部品と電子機器モジュールの間にストレートのプラグ・イン接続が形成される、方法が提供される。相対移動は、直線相対移動であり得る。これにより、植込み物を組み立てるための自動化プロセスの実施を容易にする。
【0079】
プラグ・イン接続は、信頼性を増大させるために冗長接続として設計され得る。
【0080】
さらに別の態様によれば、ハウジングを閉じるカバーが電極接続デバイス上に形成されている電極接続デバイス及びハウジングを有する植込み物が開示される。
【0081】
カバーは、ハウジングに溶接され得る。フランジがカバー上に形成されることが与えられてもよい。フランジは、カバーの周囲に沿って部分的に又は完全に延びることができる。
【0082】
溶接保護デバイスが、例えば部分的又は完全な周方向のビーディングの形態で、カバー上に形成されてもよい。
【0083】
代替として、カバーは、プラグ・イン接続、ばね接続、又はクランプ接続によってハウジングに固着されてもよい。
【0084】
カバーは、生体適合材料、例えばチタンから形成されてもよい。
【0085】
カバー及びハウジングが、同じ材料(例えば、チタン)から形成されてもよい。
【0086】
フィードスルーが、カバーに形成されてもよく、フィードスルーは、ハウジングに配置される電極接続デバイスと電子機器モジュールの間に電気接続を形成する。
【0087】
フィードスルーは、プラグ・イン接続によって又はばね接点によって電子機器モジュールに電気的に接続することができる。
【0088】
電極接続デバイスは、予め組み立てられた組立体を有することができる。組立体は、以下の構成部品、すなわち、雄コネクタのための継続的受け入れ手段と、受け入れ手段の前部に配置される第1の接続要素であって、少なくとも2つの平らな側面を有する第1の接続要素と、受け入れ手段の後領域に配置される第2の接続要素であって、少なくとも2つの平らな側面を有する第2の接続要素とを有することができる。
【0089】
さらなる態様によれば、植込み物の電極接続デバイスのための組立体が提供される。組立体は、雄コネクタのための継続的受け入れ手段を有する。受け入れ手段の前領域に配置される第1の接続要素がさらに用意され、第1の接続要素は、少なくとも2つの平らな側面を有する。最後に、第2の接続要素が用意され、受け入れ手段の後領域に配置されており、第2の接続要素は、少なくとも2つの平らな側面を有する。
【0090】
本明細書に開示された組立体を有する植込み物のための電極接続デバイスがさらに提供される。
【0091】
本開示は、電極接続デバイスと組立体とを有する植込み物をさらに有する。
【0092】
平らな側面は、少なくとも部分的に角のある形状を可能にし、(手動又は自動で)組立体を容易に把持することを可能にする。これにより、製造プロセスの自動化を可能にすることができる。
【0093】
組立体は、少なくともいくつかのセクションにおいてプラスチック材料によって囲まれてもよい。例えば、組立体は、いくつかのセクションにおいてプラスチック材料によってオーバーモールドされてもよい。プラスチック材料は、熱可塑性物質、例えば、ポリスルホンであり得る。生体適合性の注型用樹脂を使用することもできる。プラスチック材料は、組立体にさらなる安定性をもたらすことができる。これによって、予め作られた構成部品として組立体を製造することが可能であり、続いて、これは、植込み物の電極接続デバイスの中に処理される。
【0094】
第1の接続要素の接続領域は、プラスチック材料がなくてもよい。代替として、又はさらに、第2の接続要素の接続領域は、プラスチック材料がなくてもよい。
【0095】
第1の接続要素の接続領域に接続するための第1の導体用の第1のガイドがプラスチック材料に形成されてもよく、及び/又は第2の接続要素の接続領域に接続するための第2の導体用の第2のガイドがプラスチック材料に形成されてもよい。
【0096】
第1のガイドは、第1の接続要素の接続領域に隣接して形成されてもよく、及び/又は第2のガイドは、第2の接続要素の接続領域に隣接して形成されてもよい。
【0097】
第1の導体(第2の導体)は、植込み物への受け入れ手段の中に挿入される雄コネクタの接続を可能にするために、第1の接続要素(第2の接続要素)の接続領域に接続されてもよい。第1の接続要素の接続領域、及び/又は第2の接続要素の接続領域は、平面要素として具体化されてもよい。第1の接続要素の接続領域、及び/又は第2の接続要素の接続領域は、円形であってもよく、例えば、1から5mmの直径を有する。これは、第1の導体又は第2の導体を固着するために大きい溶接エリアを与える。一実施例では、第1のガイドと第2のガイドの両方は、それらのそれぞれの接続領域に隣接して形成される。ガイドは、短絡を引き起こすことなく、導体がそれらのそれぞれの接続領域に接続されることを可能にする。
【0098】
第1の接続要素及び第2の接続要素は、互いにずらして配置されることが与えられてもよい。言い換えれば、第1の接続要素及び第2の接続要素は、2つの異なるレベルにある。異なる配置により、導体が互いに接触することなく接続要素に導体を接続することをより容易にさせる。
【0099】
一実施例では、組立体は、アンテナを有してもよく、アンテナは、第1の接続要素と第2の接続要素の間に形成された中間領域内にU形構成を有する。中間領域は、隣接した接続要素よりも狭くてもよい。このようにして、アンテナのU形構成と共に、自動グリッパのための把持用凹部が形成される。
【0100】
位置決め手段が、受け入れ手段の後端に形成されてもよい。位置決め手段は、角のある構造として形成することができ、例えば、受け入れ装置に対して直角を成し得る。位置決め手段は、プラスチック材料から形成されてもよく、例えば、組立体のプラスチック材料コーティングを有する1部品に形成されてもよい。位置決め手段は、組立体の方向付けを助けるために、ソケットに組立体を配置するときに、植込み物のハウジングに配置されてもよい。位置決め手段は、先細り端を有してもよい。
【0101】
組立体は、さらなる雄コネクタのためのさらなる受け入れ手段を有してもよく、第3の接続要素は、さらなる受け入れ手段の前領域内に配置され、第4の接続要素は、さらなる受け入れ手段の後領域内に配置される。さらなる受け入れ手段のために、ここに開示された説明は、受け入れ手段に類似的に当てはまる。さらに、第1の接続要素及び第2の接続要素のための説明は、第3の接続要素及び第4の接続要素に類似的に当てはまる。
【0102】
さらなる態様によれば、植込み物上に電極接続デバイスを形成する方法が開示される。この方法は、
- 組立体を用意するステップであって、
- 雄コネクタのための継続的受け入れ手段、
- 受け入れ手段の前領域内に配置され、少なくとも2つの平らな側面を有する第1の接続要素、
- 受け入れ手段の後領域内に配置され、少なくとも2つの平らな側面を有する第2の接続要素
を有する組立体を用意するステップと、
- 受け入れ手段にばね要素を配置及び固定するステップと、
- ポッティング助剤(potting aid)を用いて受け入れ手段の開口部を閉じるステップと、
- 第1の導体を第1の接続要素に固着するステップと、
- 第2の導体を第2の接続要素に固着するステップと、
- 植込み物のハウジング上に組立体を配置するステップと、
- 第1の導体をハウジング上に形成されたフィードスルーに接続するステップと、
- 第2の導体をフィードスルーに接続するステップと、
- 鋳型内にハウジングを有する組立体を配置するステップと、
- 鋳型を合成樹脂で充填するステップと、
- 樹脂が硬化した後に、ポッティング助剤を取り除くステップとを含む。
【0103】
方法は、植込み物のカバー上に電極接続デバイスを形成するために使用することもできる。
【0104】
方法は、以下のさらなるステップ、すなわち、
- アンテナを組立体に配置及び固着するステップと、
- アンテナをフィードスルーに接続するステップとを含んでもよく、
これらのさらなるステップは、組立体がハウジング上に配置される前に実施される。
【0105】
さらに、例えば研削及び/又は研磨によって硬化後に任意の突き出ている樹脂を除去することが与えられてもよい。
【0106】
鋳型は、シリコーンの鋳型であってもよい。
【0107】
フィードスルーは、導体及び/又はアンテナを接続するために1つ又は複数のプラグ・イン接触(例えば、ピン)を有してもよい。
【0108】
合成樹脂は、エポキシ樹脂であってもよい。エポキシ樹脂は、エポキシ基を保持する合成樹脂である。エポキシ樹脂は、熱硬化性のプラスチック材料を形成するために、硬化促進剤、及び必要であれば、他の添加剤と反応させられ得る硬化性樹脂(反応性樹脂)である。エポキシ樹脂は、2つの末端エポキシ基を有するポリエーテルである。硬化剤は、反応相手であり、樹脂を共に、高分子のプラスチック材料を形成する。
【0109】
合成樹脂は、植込み物のハウジング又は植込み物のカバーに直接粘着することができるため、さらなる粘着剤は必要とされない。言い換えれば、硬化される樹脂と植込み物のハウジング/カバーとの間の接触エリアは、粘着剤がなくてもよい。
【0110】
電極接続デバイスは、植込み型心臓ペースメーカ又は植込み型心臓除細動器(ICD)のためのヘッダであり得る。この場合には、電極接続デバイスは、1つ又は複数の電極リード線を植込み物に電気的に接続するために使用される。
【0111】
アンテナ、充電コイル、X線マーカ、通信コイル、及び/又はカラー・マーカが、電極接続デバイスに配置されてもよい。
【0112】
別の態様は、植込み物を製造する方法であって、ハウジングを用意するステップと、カバーがハウジングを閉じるために電極接続デバイス上に形成される電極接続デバイスを用意するステップと、ハウジング上にカバーを配置するステップと、カバーをハウジングに接続するステップとを有する、方法に関する。カバーとハウジングの間の接続は、例えば溶接によって、材料接続として形成されてもよい。
【0113】
電極接続デバイスのための植込み物及び組立体に関する本明細書に開示された態様、並びに方法に関する態様は、植込み物又は方法の異なる実施例を実現するように任意のやり方で互いに組み合わされてもよい。さらに、植込み物及び組立体に関する説明は、方法に類似的に当てはまり、逆も同じである。
【0114】
例示的な実施例が、下記図面を参照して以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【
図2】本発明による植込み物の一実施例の分解組立図である。
【
図6】電子機器モジュールのさらなる詳細を示す図である。
【
図8】電子機器モジュールの側面図(
図8の上側イメージ)、電子機器モジュールの下からの図(
図8の中央のイメージ)、及び電子機器モジュールの上からの図(
図8の下側イメージ)である。
【
図9】電子機器モジュールの上面の斜視図(
図9の上側イメージ)、及び電子機器モジュールの下側の斜視図(
図9の下側のイメージ)である。
【
図10A】電子機器モジュールのための製造プロセスを示す図である。
【
図10B】電子機器モジュールのための製造プロセスを示す図である。
【
図10C】電子機器モジュールのための製造プロセスを示す図である。
【
図10D】電子機器モジュールのための製造プロセスを示す図である。
【
図10E】電子機器モジュールのための製造プロセスを示す図である。
【
図11】電極接続デバイスのための組立体の一実施例の斜視図である。
【
図16】(ポッティング助剤を用いて)完全にポッティングされた
図11から
図15による組立体を示す図である。
【
図17】(ポッティング助剤なしで)にポッティングされた
図11から
図15による組立体を示す図である。
【
図18】本発明による植込み物の別の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0116】
図2は、本発明による植込み物の一実施例を示す。植込み物は、第1のハウジング・シェル60a及び第2のハウジング・シェル60bを備えた2部品ハウジング60を有する。電子機器モジュール61及びエネルギー貯蔵部62(例えば、バッテリ)は、ハウジング60に配置される。エネルギー貯蔵部62は、絶縁カバー64によってハウジング60から電気的に絶縁される。電子機器モジュール61は、エネルギー貯蔵部62の前側68に配置される。第1のピン要素は、エネルギー貯蔵部62の前側68に配置され、互いに平行に向けられた2つのピン66a、66bを有する。2つのリング状ピン・ソケット67a、67bを有すると共に、電子機器モジュール61上に配置された第1のピン・ソケットは、第1のピン要素に関連している。第1のピン要素66a、66b及び第1のピン・ソケット67a、67bによって、電気接続が、エネルギー貯蔵部62と電子機器モジュール61の間に形成される。電子機器モジュール61は、フィードスルー65に接続される。接続の詳細は、以下により深く説明される。電極接続デバイス63は、ハウジング60上に配置され、フィードスルー65によって電子機器モジュール61に接続される。
【0117】
フィードスルー65、電子機器モジュール61、及びエネルギー貯蔵部62は、軸に沿って(ここではz方向に沿って)組み立てられる。軸の方向は、フィードスルー65と電子機器モジュール61の間の電気接続、及び電子機器モジュール61とエネルギー貯蔵部62の間の電気接続の方向によって決定される。
【0118】
図示された実施例では、電子機器モジュール61は、エネルギー貯蔵部62の前側68に平行に配置される。このタイプの配置は、ハウジング内の空間をとても効率よく使用する。電子機器モジュール61は、エネルギー貯蔵部62の前側68へ差し込まれてもよく、及び/又は前側68に接着剤で付けられてもよい。
【0119】
図3では、植込み物の要素が、部分的に組み立てられている。電子機器モジュール61は、エネルギー貯蔵部62上に装着される。さらに、フィードスルー65は、電子機器モジュール61に接続される。電子機器モジュール61を備えた(絶縁カバー64内の)エネルギー貯蔵部62は、第2のハウジング・シェル60b内に配置される。次のステップでは、第1のハウジング・シェル60aは、第2のハウジング・シェル60b上に配置され、ハウジング・シェル60a、60bは、一緒につなげられる、例えば、溶接される(図示せず)。続いて、電極接続デバイス63は、ハウジング60に置かれ、フィードスルー65(図示せず)に接続される。
【0120】
図4は、
図2の植込み物に実質的に対応する植込み物の側面図を示す。したがって、同じ要素は、同じ参照符号を用いて示される。
図4による実施例では、電子機器モジュール61は、支持フレーム69内に配置される。支持フレーム69は、エネルギー貯蔵部62の前側に配置される。支持フレーム69は、ハウジング60内でエネルギー貯蔵部62を中心に置くように働き、ハウジング基部にそれを押し付ける。これは、振動並びに圧縮力及び張力の伝達を防ぐ。このようにして、支持フレーム69は、電子機器モジュール61上の構成部品、及びエネルギー貯蔵部62と電子機器モジュール61の間の電気接続を、電気接点の破壊及び/又は損失から保護する。
【0121】
電子機器モジュール61の細部が、
図5に示されている(
図5の下部は、上部の拡大細部を示す)。フィードスルー65は、複数のピン70を備えた多極フィードスルーとして形成される。図示した実施例では、5つのピン70が、フィードスルー65上に形成されるが、異なる個数のピンも可能である。各ピン70は、ピン・ソケット71に挿入されて、フィードスルー65によって電子機器モジュール61と電極接続デバイス63の間に電気接続を形成する。
【0122】
電子機器モジュールの別の細部が、エネルギー貯蔵部62の細部と共に、
図6に示されている。第1のピン要素66a、66b(例えば、バッテリの陽極及び陰極)は、エネルギー貯蔵部上に形成される。第1のピン・ソケット67a、67bは、電子機器モジュール61上に配置される。電子機器モジュール61は、第1のピン要素66a、66bを第1のピン・ソケット67a、67bに挿入することによりストレートのプラグ・イン接続によってエネルギー貯蔵部62に電気的に接続される。接続は、例えば各ケース内の第1のピン・ソケット67a、67bが、上下に配置された2つのピン・ソケット(上下に配置された2つのリング)(図示せず)を備えるといった点で、冗長接続として具体化することができる。
【0123】
電子機器モジュール61とエネルギー貯蔵部62の間の電気接続は、以下の技術を用いて実現することができ、すなわち、
- レーザ溶接を用いて円筒形と共に内腔として(
図6参照)、
- プラグ・イン接続におけるばね接点として、及び
- 抵抗溶接を用いて電子機器モジュール上の角度として
実現することができる。
【0124】
フィードスルー65のピン70、及び第1のピン要素66a、66bは、同じ方向(接触方向)を指し、これは、要素についての組立方向を決定する。
【0125】
SMD構成部品72は、電子機器モジュールの後側に配置される(
図8及び
図9参照)。
【0126】
図7は、植込み物のブロック図を示す。電子機器モジュールの機能は、フレーム80によって囲まれ、電子機器モジュール上のユニット/チップとして実現され、以下により詳細に説明される。
【0127】
無線送受信機81は、アンテナ82に結合される。無線送受信機81は、外部装置、具体的には、プログラミング・デバイスと通信するために使用される。ここで、例えば、植込み物の測定値及び/又はパラメータが、プログラミング・デバイスへ送信され得る。植込み物についての変更されたパラメータは、プログラミング・デバイスから受信することもできる。
【0128】
電子機器モジュールは、制御ユニット83(コントローラ)をさらに有する。制御ユニット83は、プロセッサ、例えば、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)及び/又はROM(リード・オンリ・メモリ)などのメモリ、及びタイマーを有する。さらなる機能として、メモリ・アクセス、例えば、DMA(ダイレクト・メモリ・アクセス(Direct Memory Access))、及び/又はMAC(メディア・アクセス制御(media access control))などのネットワーク機能が、制御ユニット83に組み込まれてもよい。
【0129】
測定ユニット86(検出ユニット)が、電子機器モジュール上のさらなる構成部品として設けられる。測定ユニット86は、心臓91から測定の値をとるように構成される。
【0130】
ペースメーカ・ユニット85(ペーシング・ユニット)は、心臓91のために刺激パルスを発生させるように構成されている。
【0131】
電子機器モジュールは、特に、植込み物がICDといて設計される場合、ショック・ユニット84(ショック・ユニット)、及びHVユニット87(HV-高電圧)を任意選択で有してもよい。ショック・ユニット84は、HVユニット87を制御するように構成される。HVユニット87は、例えば、700~800Vの電圧で、ショック(除細動)を送り届けるように構成されている。
【0132】
EMC(電磁両立性(ElectroMagnetic Compatibility))ユニット88が設けられ、電磁場の影響を最小にする又は抑制するように設計されている。電磁場は、スプリアス放射、HVユニット87によって送り届けられるショックの場、ペースメーカ・ユニット85によって送り届けられる刺激パルスの場、外的ショックの場、外部刺激の場、及び外部の源からの場(例えば、高周波測定)を含んでもよい。EMCユニット88は、植込み物のハウジング92に結合される。
【0133】
電子機器モジュールは、バッテリ90に結合される。電子機器モジュールの電源ユニット89は、スイッチング電源(SMPS:Switched-Mode Power Supply)を有し、パワー・マネジメントのために構成されている。
【0134】
電子機器モジュールの機能/ユニットは、電子機器モジュール上に取り付けた様々な集積回路、すなわち、チップにおいて実施される。チップの寸法は、その機能の複雑さからもたらされる。複雑さが高くなると、チップの平面寸法が大きくなる。チップのサイズは、電子機器モジュールのサイズをかなり決定し、(エネルギー貯蔵部に平行な)植込み物のその向きもかなり決定する。電子機器モジュールのサイズは、集積されていない受動構成部品、及び電子機器モジュール上の全ての他の接続へのチップの互いに対するチップの電気接続の個数によっても決定される。
【0135】
どちらかの治療機能が、ワン・チップ上で互いにモノリシックに統合されてよく、それによって製造プロセス又は電子機器モジュールが収めるチップ個数は、その使用電圧範囲、そのデータ及び信号の複雑さ、並びにそのキャラクタに依存し、すなわち、それらがアナログで時間連続的な挙動、又はデジタルで時間不連続的な挙動、或いはアナログ・デジタル混合信号の挙動を有するかに依存する。原理では、上で挙げられた全ての機能、具体的には、デジタル制御機能、ECG(ElectroCardioGram)信号の増幅及び評価(ECG-心電図)のためのアナログ・デジタル混合検出機能、刺激パルス発生のためのペーシング、植込み物への最適な電力供給のためのパワー・マネジメント、並びに電圧発生のためのショック及び除細動ショックの制御は、モノリシックに統合されてもよい。しかしながら、最小の構造サイズF=130nm及びF=180nmを用いる現在使用されている製造プロセスは、植込み物ハウジング内の垂直配置のためにとても大きい寸法を有するチップという結果となり、さらに、そのデータ記憶容量(RAM)がとても小さい、又は全ての必要な治療機能及び診断機能を可能にするために別のメモリ・チップで補われなければならない結果となる。現在の植込み物については、したがって、電子機器モジュールの機能の一部又は全部は、最小の構造サイズF≦90nm、好ましくはF≦65nm又はF≦55nmで製造されるチップで実施される。
【0136】
目的の1つは、(先行技術のように)植込み物の体積、形状、及びサイズをそれがもはや決定しないように電子機器モジュールを設計することである。この目標のために、以下のルールの少なくとも1つが適用される。
【0137】
1.電子機器モジュールは、エネルギー貯蔵部の前側に平行に配置される。
2.電子機器モジュールの長さは、電極接続デバイスの長さ以下である。
3.電子機器モジュールの幅は、エネルギー貯蔵部の幅(又はハウジングの幅)以下である。
4.エネルギー貯蔵部の長さは、電極接続デバイスの長さに等しい(最大体積の利用)。
5.電子機器モジュールの面積は、エネルギー貯蔵部の前側の面積に対応する。
6.電子機器モジュールの体積要求は、エネルギー貯蔵部の体積の1/4未満(又は植込み物の金属を包む全体積1/4未満)である。
【0138】
これらのルールの1つ又は複数を適用すると、その接続を含む最大縁長さが電子機器モジュールを超えない構成部品が実装されているストリップ状の狭い電子機器モジュールという結果になる。半導体製造における改善された光学イメージング及びリソグラフィ・プロセスは、シリコン面積あたりますます多くの機能性を可能にする。植込み物の製造に十分である構成部品の最小の構造サイズは、F≦90nmである。これにより、アナログ回路、デジタル回路、アナログ・デジタル混合回路、及び高電圧回路が、ワン・チップ上にモノリシックにますます統合されることを可能になる。これは、電子機器モジュール上のチップの個数及び接続の個数を減少させ、したがって、知られている機能の複雑さを可能にするために現在狭いストリップ状モジュールのより小さい利用可能な面積を補償する。
【0139】
電子機器モジュール上の集積回路の製造について、少なくとも1つのチップが最小の構造サイズF≦90nmを有するプロセスにおいて製造されるという特徴を有する製造プロセスが選択される。代替として、少なくとも1つのチップは、最小の構造サイズF≦65nmを有するプロセスにおいて製造される。代替として、少なくとも1つのチップは、最小の構造サイズF≦65nmを有するプロセスにおいて製造され、これにその基板に対して≧10Vの電圧が同時に接続されてもよい。代替として、少なくとも1つのチップは、最小の構造サイズF≦65nmを有するプロセスにおいて製造され、これにその基板に対して≧10Vの電圧が同時に接続されてもよく、チップのSRAM(スタティック・ランダム・アクセス・メモリ、スタティックRAM)メモリ機能は、≧3メガビットの容量を有する。
【0140】
本明細書に記載されたフォーム・ファクタを有する電子機器モジュールは、具体的にはエネルギー貯蔵部と電極接続デバイスの間で、平らな植込み物の断面に取り付けるのに適している。この組立体の位置は、
- 電子機器モジュールの上側及び/又は下側の配線された構成部品について直角接続
- 構成部品の接続、例えばバッテリ接続及び/又はヘッダ接続が上へ又は内部を貫いて差し込まれてもよい内腔
- 切断スリーブ及び/又はクランピング・スリーブを収容するように装着される内腔
の個々に実現され得る又は互いに任意の組合せで実現され得る電子機器モジュールのさらなる特徴という結果になる。
【0141】
切断された真っすぐの縁は、電子機器モジュールをボール・グリッド・アレイ・パッケージ(μBGA:Ball Grid Array Packages)についての標準的なパッケージ技法でパネル化された形態で電子機器モジュールの最適な製造も可能にする。μBGAでは、チップは、プリント回路基板の基板(PCB基板:Printed Circuit Board substrate)上に組み付けられ、接合され、トランスファ・オーバーモールド・プロセスにおいて成形コンパウンドでカバーされる。ハンダ・ボールは、SMD組立体についての基板の裏に適用される。パッケージングは、パネル化された状態で行われる。プリント回路基板の基板は、全てのチップ・サイズについて均一のパネル・サイズを常に有し、これは、トランスファ成形機の成形用ツールにのみ依存する。チップ・サイズに応じて、より多くの又はより少ないチップがパネルに装着され、次いで、ハンダ・ボールをポッティング及び装備した後に、その最終的なパッケージサイズでパネルから切断される。
【0142】
一実施例では、3つの正方形ポッティング・エリアがあり、それぞれは205mmx70mmのパネル上に56mmの縁長さを有し、その中にチップが組み付けられ、ワイヤ・ボンドされる(
図10A及び
図10B参照)。このμBGAパッケージング・プロセスを電子機器モジュールに適用することにより、
図10Aから
図10Eに示されるパッケージング・プロセスのさらなる特徴及び広がりがもたらされる。トランスファ・モールドの後に、切断スリーブ及び/又はクランピング・スリーブの穴又はフィットが穴開けされる(
図10C参照)。ポッティングは、チップをカバーする働きをするだけでなく、それは、電子機器モジュールの、具体的には、結果として得られるプラグ・イン接続の機械的安定性の一部でもある。ハンダ・ボールの代わりに、パネルは、パネル化された形態で電子機器モジュールのSMD構成部品が実装される(
図10D参照)。電子機器モジュールの縁長さは、切断損失を差し引いたパネルのポッティング面縁(potting surface edge)の整数のディバイダ比(integer divider ratio)を満たす。電子機器モジュールの構成部品は、ASIC(特定用途向け集積回路)として設けられてもよい。
【0143】
製造ステップのいくつかは、以下に要約される。
-
図10A:パネル化した形態におけるASIC101は、パネル100第1の側(前側)に組み付け及び接合される。
-
図10B:ポッティング剤102を備えた組み付けられたASIC101をトランスファ・オーバーモールドする。
-
図10C:エネルギー貯蔵部の接続について穴103の穴開けをする。
-
図10D:SMD構成部品104でパネル100の第2の側(後側)を実装する。
-
図10E:完成した電子機器モジュールをスイング・アウトする。
【0144】
図11から
図17は、植込み物上で電極接続デバイス(ヘッダ)を組み付ける個々のステップを示す。ステップは、以下により詳細に説明される。
【0145】
図11は、雄電極コネクタのための第1の受け入れ手段2とさらなる雄電極コネクタのための第2の受け入れ手段13とを備える組立体1(ヘッダ・コアとも呼ばれる)を示す。第1の受け入れ手段2は前開口部6を有し、これを通じて雄電極コネクタが挿入可能である。第1の受け入れ手段2は第1の部分3、第2の部分4、及び第3の部分5を有する。第1の部分3の直径は、第2の部分4の直径よりも大きい。第2の部分4の直径は、第3の部分5の直径よりも大きい。言い換えれば、第1の受け入れ手段2は、前開口部6から端に向かって徐々に先細りになっている。
【0146】
第1の接続要素は第1の部分3と第2の部分4の間に(すなわち、第1の受け入れ手段2の前領域に)形成される。第2の接続要素8は、第2の部分4と第3の部分5の間に(第1の受け入れ手段2の後領域に)形成される。第1の接続要素7と第2の接続要素8の両方は、少なくとも2つの平らな側面を有する。これにより、組立中に組立体1の簡単な把持を可能にし、組立体ステップの自動化を可能にする。図示した実施例では、第1の接続要素7及び第2の接続要素8は、実質的に立方形形状である。第2の接続要素8は、斜めの縁17を有し、これにより材料を節約し、エポキシ樹脂の流れの方向を観察する働きをする。凹部12aは、第1の接続要素7の後側でコーティングするプラスチック材料に形成される。後開口部12bは、第2の接続要素8の後側に形成される。
【0147】
組立体は、プラスチック材料11に部分的に囲まれる。図示した実施例では、組立体は、ポリスルホンで部分的にオーバーモールドされる。第1の接触面9及び第2の接触面10のための凹部は、プラスチック材料11に形成される。第1の接触面及び第2の接触面は、円形面として形成される。ガイド16は、第1の接触面9及び第2の接触面10のそれぞれに隣接して形成される。ガイド16は、接続要素(例えば、配線ストリップ)を受け入れるように働く。接触面上のガイドは、異なる接触面からの接続要素が互いに触れるのを防ぐ。
【0148】
第2の受け入れ手段13は、第1の受け入れ手段2と同様に構築される。明確にするために、第2の受け入れ手段の構成部品(開口部、3つの階段状の先細り部分、及び2つの接続要素)は、参照符号を備えていない。第2の受け入れ手段も、接続のために2つの接触面(第3の接触面14及び第4の接触面15)を有する。ガイドは、接触面に隣接して再び形成される。
【0149】
位置決め手段18bは第2の受け入れ手段の一端に形成され、尖端を有するピンとして具体化される。ハウジング29(
図15参照)上に組立体1を組み立てるとき、位置決め手段18bの尖端は、ハウジング上で組立体の正確にフィットする配置を容易にするために、ハウジングのソケットに挿入され得る。しかしながら、組立体は、位置決め手段18bなしで具体化することもできる。
【0150】
ピン18aの位置決めは、組立体の上側に形成される(
図12参照)。組立体が植込み物のハウジング上に配置されるときに、位置決めピンが、関連したソケット内に配置され得る。図示した実施例では、2つの位置決めピンが示されるが、他の個数の位置決めピンが可能である。
【0151】
第1の受け入れ手段2及び第2の受け入れ手段13は、ばねスリーブと、雄コネクタ・ソケットとをそれぞれ有する。第1の受け入れ手段2及び第2の受け入れ手段13は、IS-1コネクタとして設計され得る。
【0152】
ばね要素20は、第1の受け入れ手段2に配置され、そこに固着される(
図13の左側)。プラスチック材料における凹部12aは、抵抗溶接によって第1の受け入れ手段2に配置されたばね要素20を第1の接続要素7の中に溶接するために使用される。同様に、別のばね要素は、第2の受け入れ手段13(図示せず)に配置及び固着される。次いで、組立体1の開口部は閉じられ、ポッティング助剤21、22、23(
図13の右側)で封止される。
【0153】
さらなる組立体ステップが、
図14に示されている。ワイヤ・ストリップ24が、第3の接触面14に固着(例えば、溶接)される。その後端において、ワイヤ・ストリップ24は、フィードスルー30のピン接点に接続可能であるワイヤ・ストリップ接続25(
図4参照)を有し、例えば、ピン接点の上へ差し込まれてもよい。さらなるワイヤ・ストリップは、他の接触面9、10、15に接続される。
【0154】
アンテナ26は、組立体1に取り付けられる。アンテナ26は、第1の受け入れ手段2の第1の部分3に部分的に囲まれ、そこにクリップ留めされる。第1の接続要素7と第2の接続要素8の間の領域では、アンテナ26は、U形部分27を有する。これは、組立体を保持及び輸送するために、例えば、自動グリッパと共に使用することができる把持凹部を形成する。アンテナ接続28は、フィードスルー30へ接続するためにアンテナの後端に形成される。
【0155】
次いで、ワイヤ・ストリップ及びアンテナを備えた組立体は、鋳型(例えば、シリコーン鋳型)(図示せず)に置かれる。ワイヤ・ストリップ接続及びアンテナ接続28は、フィードスルー30の関連したピンに置かれ、ピンに接続される(例えば、溶接される)。鋳型は閉じられ、合成樹脂31(例えば、エポキシ樹脂)で充填される。これは、電極接続デバイスを形成する(
図16参照)。
【0156】
例えば研削及び/又は研磨によって、ポッティング助剤21、22、23が取り除かれると共に、外面上の任意の過度の樹脂が取り除かれる。ここで、電極接続デバイスを備えた植込み物が完全に組み立てられる(
図17)。
【0157】
図18は、植込み物の別の実施例を示す。電極接続デバイス53は、カバー121に取り付けられる。エネルギー貯蔵部62は、ハウジング120に受け入れられる。ハウジング120は、深絞りモールド部分として設けられてもよい。カバー121は、ハウジング120を閉じるように周方向溶接継ぎ目122に沿ってハウジング120に溶接される。支持フレーム69は、エネルギー貯蔵部上に配置される。支持フレーム69は、電子機器モジュールを受け入れる。電極接続デバイス53は、例えば、
図11から
図17に示された実施例により形成されてもよい。ピン70を備えたフィードスルー65は、カバー121の中に溶接される。
【0158】
本明細書中に開示された植込み物及び方法の実施例は、以下の利点を有し得る。
【0159】
電子的な植込み物の内部構造は、かなり簡略化されており、したがって、製造コストを下げる。同様に、必要な製造プロセスの回数及び複雑さが減少し、したがって製造の拡張性を助ける(例えば、他の位置への簡略化された伝達、従業員のトレーニングの必要性の減少、必要な製造環境及び伴うエンジニアリングの要件の減少)。さらに、取り外し可能なつなぎの技術が使用されるとき、手直しが可能になり、又は簡略化される。
【0160】
電子機器モジュールのフォーム・ファクタに関しては、植込み物は、より小さく作製することができ、又は得られる体積はバッテリ容量を増加させ、したがって植込み物の耐用年数を延ばすために使用することもできる。μBGA技術における電子機器モジュールの製造は、パネルに関する有用性の増加、及び関連した製品コスト削減を可能にする。(エネルギー貯蔵部の前側に平行な)電子機器モジュールの垂直組立体は、角度なしで電気接続を可能にし、したがって、1軸における自動製造に最適化されたより簡単でより経済的な植込み物を可能にする。
【0161】
明細書に開示された特徴、特許請求の範囲、及び図面は、個々に及び互いの任意の組合せの両方で、実施例の実現ために関連し得る。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器モジュールと電子部品とを備える植込み物であって、前記電子機器モジュールと前記電子部品の間の電気接続は、ストレートのプラグ・イン接続によって形成される、植込み物。