(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084855
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】標的サイトカイン枯渇による腎臓病の再発の抑制
(51)【国際特許分類】
A61K 45/00 20060101AFI20240618BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240618BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20240618BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20240618BHJP
A61P 31/16 20060101ALI20240618BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20240618BHJP
A61P 31/20 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
A61K45/00
A61K39/395 U
A61K39/395 D
A61K39/395 F
A61P13/12
A61P31/12
A61P31/16
A61P31/14
A61P31/20
【審査請求】有
【請求項の数】31
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024063784
(22)【出願日】2024-04-11
(62)【分割の表示】P 2021503820の分割
【原出願日】2019-07-22
(31)【優先権主張番号】62/702,975
(32)【優先日】2018-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BRIJ
2.プルロニック
(71)【出願人】
【識別番号】513099407
【氏名又は名称】ラッシュ ユニバーシティ メディカル センター
【氏名又は名称原語表記】RUSH UNIVERSITY MEDICAL CENTER
【住所又は居所原語表記】707 South Wood Street, Annex Building, Suite 0, Chicago, IL 60612, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チュー,スマント・シン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】感冒またはインフルエンザと関連するウイルス感染に応答して糸球体疾患の急性再発または悪化を抑制するための方法を提供する。
【解決手段】方法は、抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬を、それを必要とする対象に投与することを含む。サイトカインIL-2、IL-6、IL-10、INF-γ、もしくはTNFαのうちの1つ以上の対象の全身レベルを激減させるか、または受容体IL-4RもしくはICAM-1を阻害するための方法も記載され、方法は、サイトカインまたは受容体を、1つ以上の抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬と接触させることを含む。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウイルス感染により惹起される糸球体疾患の急性再発または悪化を抑制するための方法であって、1つ以上の抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬を、それを必要とする対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項2】
前記抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬が、抗IL-2、抗IL-6、抗IL-10、抗INF-γ、抗TNFα、可溶性TNF受容体、抗IL-4R、抗IL-4Rα、抗IL-6受容体、抗ICAM-1、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬が、抗IL-4R、抗IL-6、抗IL-6受容体、抗TNFα、可溶性TNF受容体、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬が、インフリキシマブ(REMICADE(登録商標))、アダリムマブ(HUMIRA(登録商標))、セルトリズマブペゴル(CIMZIA(登録商標))、エタネルセプト(ENBREL(登録商標))、シルツキシマブ(SYLVANT(登録商標))、トシリズマブ(ACTEMRA(登録商標))、デュピルマブ(DUPIXENT(登録商標))、アフェリモマブ、ベルサンリマブ、ブラザキズマブ、フォントリズマブ、ゴリムマブ、ネレリモマブ、オロキズマブ、オゾラリズマブ、パスコリズマブ、プラクルマブ、サペリズマブ、サリルマブ、ボバリリズマブ、それらの組み合わせ、それらの誘導体、またはそれらのアナログのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記糸球体疾患が、ネフローゼ症候群を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記糸球体疾患が、微小変化型疾患、巣状分節性糸球体硬化症、膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎、糖尿病性腎症、またはループス腎炎を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記糸球体疾患が、微小変化型疾患、巣状分節性糸球体硬化症、膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎、糖尿病性腎症、またはループス腎炎により引き起こされる慢性腎疾患の急性再発または悪化を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記対象が、ウイルス感染前に糸球体疾患の完全または部分寛解にある、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ウイルス感染が、感冒またはインフルエンザを誘発するウイルスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ウイルス感染が、ライノウイルス、ヒトコロナウイルス、アデノウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ライノウイルス以外のエンテロウイルス、パラインフルエンザウイルス、メタニューモウイルス、インフルエンザ、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
投与が、前記ウイルス感染の発症から約1時間~約7日以内に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
投与が、前記ウイルス感染の発症後約7日以内に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記投与が、非経口投与を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記投与が、静脈内、動脈内、筋肉内、皮内、皮下、または腹腔内投与を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記投与が、静脈内投与を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記対象が、ヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
サイトカインIL-2、IL-6、IL-10、INF-γ、もしくはTNFαのうちの1つ以上の対象の全身レベルを激減させるか、または受容体IL-4RもしくはICAM-1を阻害するための方法であって、前記サイトカインまたは受容体を、1つ以上の抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬と接触させることを含む、前記方法。
【請求項18】
前記抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬が、抗IL-2、抗IL-6、抗IL-10、抗INF-γ、抗TNFα、抗IL-4R、抗ICAM-1、またはそれらの組み合わせを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記接触が、抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬のうちの1つ以上の非経口投与を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記非経口投与が、静脈内、動脈内、筋肉内、皮内、皮下、または腹腔内投与を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記非経口投与が、静脈内投与を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記対象が、糸球体疾患の急性再発の発症または悪化を経験している、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記対象が、糸球体疾患の悪化前に、糸球体疾患の完全または部分的な寛解状態にある、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記対象が、ヒトである、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
IL-2、IL-6、IL-10、INF-γ、TNFα、IL-4R、またはICAM-1受容体のうちの1つ以上を1つ以上の抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬と接触させることにより、腎臓疾患におけるIL-2、IL-6、IL-10、INF-γ、TNFα、IL-4R、またはICAM-1の細胞内効果を遮断するための方法。
【請求項26】
前記遮断薬が、IL-2、IL-6、IL-10、INF-γ、またはTNFαのデコイ受容体を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記遮断薬が、1つ以上の小分子を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
抗IL-2、抗IL-6、抗IL-10、抗INF-γ、抗TNF、抗IL-4R、または抗ICAM-1を含む1つ以上の抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬の混合物、及び任意に、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む組成物。
【請求項29】
前記組成物が、1mg~10,000mgの各抗体、可溶性受容体、または遮断薬を含む、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記組成物の用量が、約0.01mg/kg~約200mg/kgである、請求項28に記載の組成物。
【請求項31】
前記組成物の用量が、約0.5mg/kg~約50mg/kgである、請求項28に記載の組成物。
【請求項32】
前記組成物が、液体または凍結乾燥濃縮物である、請求項28に記載の組成物。
【請求項33】
サイトカインIL-2、IL-6、IL-10、INF-γ、もしくはTNFαのうちの1つ以上の対象の全身レベルを激減させるか、または受容体IL-4RもしくはICAM-1を阻害するためのキットであって、抗IL-2、抗IL-6、抗IL-10、抗INF-γ、抗TNF、抗IL-4R、抗ICAM-1、遮断薬、またはそれらの組み合わせを含む1つ以上の抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬の混合物を含む1つ以上の容器、及び任意に、送達デバイス、希釈剤、使用説明書、またはラベルを含む、前記キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2018年7月25日に出願された米国仮特許出願第62/702,975号の優先権を主張し、この内容は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
政府の利益
本発明は、国立衛生研究所(National Institutes of Health)/国立糖尿病・消化器・腎臓病研究所(National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases)の助成金番号R01 DK109713;R01 DK111102;R01 DK101637の下で米国政府の支援を用いて行われた。米国政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0003】
感冒またはインフルエンザと関連するウイルス感染に応答して糸球体疾患の急性再発または悪化を抑制するための方法が本明細書に記載され、方法は、抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬を、それを必要とする対象に投与することを含む。サイトカインIL-2、IL-6、IL-10、INF-γ、もしくはTNFαのうちの1つ以上の対象の全身レベルを激減させるか、または受容体IL-4RもしくはICAM-1を阻害するための方法も記載され、方法は、サイトカインまたは受容体を、1つ以上の抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬と接触させることを含む。
【背景技術】
【0004】
微小変化型疾患(MCD)ならびに巣状及び分節性糸球体硬化症(FSGS)などの原発性糸球体疾患患者は多くの場合、ネフローゼ症候群、尿中の大量のタンパク質の集まり(タンパク尿)、低アルブミン血症、高脂血症(高コレステロール血症及び高トリグリセリド血症)、脂質尿症、ならびに浮腫を呈する。
【0005】
ネフローゼ症候群は、足細胞などの腎臓細胞の病状を伴う。足細胞または内臓上皮細胞は、腎臓の糸球体毛細血管ループの外層にある細胞である。尿を形成する際の最初のステップとして、糸球体は、血液からタンパク質などの大きな分子を濾過し、水、塩、及び糖などの小分子の通過を可能にする。足細胞の長い突起、または「足突起」は、毛細血管の周りを包み込み、糸球体基底膜上に存在する。足突起は、スリット膜と呼ばれる多孔質構造体により連結される。糸球体毛細血管ループの最内層は、小分子の通過を可能にする小孔のある内皮細胞で作られる。ネフローゼ症候群の影響を受けた腎臓は、血液タンパク質の尿への漏出を引き起こして、タンパク尿になる糸球体毛細血管ループの異常を有する。
【0006】
タンパク尿は、尿中の過剰な血清タンパク質の存在として定義される。特定のタイプのタンパク尿であるアルブミン尿は、アルブミンが尿中に存在する病的状態である。タンパク質が尿に入る時、血漿濃度が減少し、水が身体の他の領域に移動して浮腫を引き起こす。浮腫は、任意の身体領域に生じ得、多くの場合重力に応答し、それは一般に、下肢で、腹部(腹水)で、目の周りで観察される。浮腫に罹患する対象は多くの場合、体重が増加し、疲労を経験し、少ない頻度で排尿し得る。
【0007】
糸球体疾患患者は多くの場合、病状が休止状態であり且つ症状が軽減または最小限に抑えられる寛解期を有する。感冒またはインフルエンザと関連するウイルス感染などのストレッサーに直面する場合、対象は多くの場合、タンパク尿、低アルブミン血症、高脂血症、脂質尿症、及び浮腫の増加を含む糸球体疾患の急性再発または悪化を有する。サイトカインIL-2、IL-6、IL-10、INF-γ、またはTNFαは、ウイルス感染の期間に増加する。糸球体疾患の急性再発または悪化は、ウイルス感染に応答して産生されるサイトカインストームにより引き起こされる。現在、ウイルス感染と関連する糸球体疾患の急性再発または悪化に有効な既知の処置はない。
【0008】
感冒またはインフルエンザと関連するウイルス感染により惹起される急性糸球体疾患の悪化の再発または悪化を抑制する方法が必要である。加えて、ウイルス感染後に、全身の血液循環からIL-2、IL-6、IL-10、INF-γ、もしくはTNFαを枯渇させるか、または受容体IL-4RもしくはICAM-1を阻害する方法が必要とされる。
【発明の概要】
【0009】
本明細書に記載の一実施形態は、ウイルス感染により惹起される糸球体疾患の急性再発または悪化を抑制するための方法であり、方法は、1つ以上の抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬を、それを必要とする対象に投与することを含む。一態様では、抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬は、抗IL-2、抗IL-6、抗IL-10、抗INF-γ、抗TNFα、可溶性TNF受容体、抗IL-4R、抗IL-4Rα、抗IL-6受容体、抗ICAM-1、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む。別の態様では、抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬は、抗IL-4R、抗IL-6、抗IL-6受容体、抗TNFα、可溶性TNF受容体、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む。別の態様では、抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬は、インフリキシマブ(REMICADE(登録商標))、アダリムマブ(HUMIRA(登録商標))、セルトリズマブペゴル(CIMZIA(登録商標))、エタネルセプト(ENBREL(登録商標))、シルツキシマブ(SYLVANT(登録商標))、トシリズマブ(ACTEMRA(登録商標))、デュピルマブ(DUPIXENT(登録商標))、アフェリモマブ、ベルサンリマブ(bersanlimab)、ブラザキズマブ(blazakizumab)、フォントリズマブ、ゴリムマブ、ネレリモマブ、オロキズマブ、オゾラリズマブ、パスコリズマブ、プラクルマブ、サペリズマブ(sapelizumab)、サリルマブ、ボバリリズマブ、それらの組み合わせ、それらの誘導体、またはそれらのアナログのうちの1つ以上を含む。別の態様では、糸球体疾患は、ネフローゼ症候群を含む。別の態様では、糸球体疾患は、微小変化型疾患、巣状分節性糸球体硬化症、膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎、糖尿病性腎症、またはループス腎炎を含む。別の態様では、糸球体疾患は、微小変化型疾患、巣状分節性糸球体硬化症、膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎、糖尿病性腎症、またはループス腎炎により引き起こされる慢性腎疾患の急性再発または悪化を含む。別の態様では、対象は、ウイルス感染の前に糸球体疾患の完全または部分的な寛解状態にある。別の態様では、ウイルス感染は、感冒またはインフルエンザを誘発するウイルスを含む。別の態様では、ウイルス感染は、ライノウイルス、ヒトコロナウイルス、アデノウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ライノウイルス以外のエンテロウイルス、パラインフルエンザウイルス、メタニューモウイルス、インフルエンザ、またはそれらの組み合わせを含む。別の態様では、投与は、ウイルス感染の発症から約1時間~約7日以内に行われる。別の態様では、投与は、ウイルス感染の発症後約7日以内に行われる。別の態様では、投与は、非経口投与を含む。別の態様では、投与は、静脈内、動脈内、筋肉内、皮内、皮下、または腹腔内投与を含む。別の態様では、投与は、静脈内投与を含む。別の態様では、対象は、ヒトである。
【0010】
本明細書に記載の別の実施形態は、サイトカインIL-2、IL-6、IL-10、INF-γ、もしくはTNFαのうちの1つ以上の対象の全身レベルを激減させるか、または受容体IL-4RもしくはICAM-1を阻害するための方法であり、方法は、サイトカインまたは受容体を、1つ以上の抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬と接触させることを含む。一態様では、抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬は、抗IL-2、抗IL-6、抗IL-10、抗INF-γ、抗TNFα、抗IL-4R、抗ICAM-1、またはそれらの組み合わせを含む。別の態様では、接触は、抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬のうちの1つ以上の非経口投与を含む。別の態様では、非経口投与は、静脈内、動脈内、筋肉内、皮内、皮下、または腹腔内投与を含む。別の態様では、非経口投与は、静脈内投与を含む。別の態様では、対象は、糸球体疾患の急性再発の発症または悪化を経験している。別の態様では、対象は、糸球体疾患の悪化前に、糸球体疾患の完全または部分的な寛解状態にある。別の態様では、対象は、ヒトである。
【0011】
本明細書に記載の別の実施形態は、1つ以上のIL-2、IL-6、IL-10、INF-γ、TNFα、IL-4R、またはICAM-1受容体を1つ以上の抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬と接触させることにより、腎臓疾患におけるIL-2、IL-6、IL-10、INF-γ、TNFα、IL-4R、またはICAM-1の細胞内効果を遮断するための方法である。一態様では、遮断薬は、IL-2、IL-6、IL-10、INF-γ、TNFα、IL-4R、またはICAM-1のデコイ受容体を含む。別の態様では、遮断薬は、1つ以上の小分子を含む。
【0012】
本明細書に記載の別の実施形態は、抗IL-2、抗IL-6、抗IL-10、抗INF-γ、抗TNF、抗IL-4R、または抗ICAM-1を含む、1つ以上の抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬の混合物、及び任意に、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む組成物である。一態様では、組成物は、1mg~10,000mgの各抗体、可溶性受容体、または遮断薬を含む。別の態様では、組成物の用量は、約0.01mg/kg~約200mg/kgである。別の態様では、組成物の用量は、約0.5mg/kg~約50mg/kgである。別の態様では、組成物は、液体または凍結乾燥濃縮物である。
【0013】
本明細書に記載の別の実施形態は、サイトカインIL-2、IL-6、IL-10、INF-γ、もしくはTNFαのうちの1つ以上の対象の全身レベルを激減させるか、または受容体IL-4RもしくはICAM-1を阻害するためのキットであり、これは、抗IL-2、抗IL-6、抗IL-10、抗INF-γ、抗TNF、抗IL-4R、もしくは抗ICAM-1、遮断薬、またはそれらの組み合わせを含む1つ以上の抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬の混合物を含む1つ以上の容器、及び任意に、送達デバイス、希釈剤、使用説明書、またはラベルを含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】Balb/c及びBalb/cJマウスにおける循環サイトカイン及び受容体(用量「X」)または対照生理食塩水のパネルの静脈内注射後のアルブミン尿レベルを示す(n=1群当たり5匹のマウス、(*p<0.05))。
【
図1B】用量「X」の個々の構成成分(例えば、IL-2、IL-4R、IL-6、IL-10、INF-γ、TNFα、ICAM-1)をBalb/cJマウスに注射した後のアルブミン尿レベルを示す(n=1群当たり4匹のマウス)。
【
図2A】減少するパーセンテージ(100、50、10、及び1)の用量「X」をBalb/cJマウスに注射した後のアルブミン尿レベルを示す(n=1群当たり3匹のマウス、*p<0.05、***p<0.001)。
【
図2B】Balb/c及びBalb/cJマウスに注射されるサイトカインカクテル用量X/2から個々の構成成分(例えば、IL-4R、IL-6、TNFα)を除去した後のアルブミン尿レベルを示す(n=1群当たり5匹のマウス、*p<0.05)。
【
図3A】サイトカインカクテル用量(X/2)の注射の1時間後に、少用量の抗TNFα抗体(25μg)または対照IgGをBalb/cJマウスに注射すると、抗TNFα群中の1日目のアルブミン尿より大幅に低くなることを示す(n=1群当たり7匹のマウス、*p<0.05)。
【
図3B】足細胞特異的Zhx2欠損及びfloxed対照マウスにサイトカインカクテル用量X/15を注入した後のアルブミン尿レベルを示す(両群の0日目の*p<0.05、Zhx2 flox/flox/Creの0日目~1日目の#p<0.05)。
【
図4A】Enpep、Zhx2、またはその両方を欠損したマウスにサイトカインカクテル用量X/5を注射した後のアルブミン尿レベルを示す(n=1群当たり7匹のマウス)。
図4Aの右側のサブパネルは、X/5の用量と比較したX/2の用量で5倍を超える平均アルブミン尿を示す(n=1群当たり6匹のマウス)(*p<0.05、**p<0.01)。
【
図4B】Enpep、Zhx2、またはその両方を欠損したマウスにサイトカインカクテル用量X/5を注射した後のアルブミン尿レベルの倍数変化を示す(n=1群当たり7匹のマウス、*p<0.05、**p<0.01)。
【
図5A】
図5は、Balb/c及びBalb/cJマウスにサイトカインカクテルを注射してから24時間後の末梢及び核区画における足細胞Zhxタンパク質(Zhx1及びZhx3)の分布を示す。
図5Aは、Zhx1の分布を示す。
図5Aの白矢印は、サイトカインカクテルで処置されたBalb/cJマウスの足細胞核における核Zhx1の増加を示す。スケールバー:「生理食塩水」及び左の「サイトカイン」の縦列については12.5μm、右のサイトカインの縦列については7.9μm。
【
図5B】
図5は、Balb/c及びBalb/cJマウスにサイトカインカクテルを注射してから24時間後の末梢及び核区画における足細胞Zhxタンパク質(Zhx1及びZhx3)の分布を示す。
図5Bは、Zhx3の分布を示す。スケールバー:「生理食塩水」及び「サイトカイン」の縦列については12.5μm。
【
図6】ラットサイトカインカクテル最小腎炎惹起性用量X/50の注射の最大7日後のBuffalo/Mnaラットにおけるベースラインからのタンパク尿のピーク変化を示す(n=7匹のラット、*p<0.05)。
【
図7】感冒後のサイトカインストームの概略図、及びサイトカインカクテルの理論的根拠を示す。ライノウイルスは、感冒の最も一般的な原因である。ライノウイルスA型及びB型は、鼻上皮の受容体である細胞間接着分子1(ICAM-1)に結合して、細胞に入る。TNFα、IL-6、及びIL-10は、自然免疫の一部として分泌されるが、IL-2及びIFN-γは、適応免疫の一部として分泌される。IL-4Rは、あらゆる形態の鼻炎で増加する。ICAM-1は、負傷または感染した鼻上皮から放出される。集合的に、これらのサイトカイン及び可溶性受容体は、足細胞表面との相互作用が足細胞疾患の再発または悪化を誘発する複合体を形成する。本明細書に示されるサイトカインカクテルの任意のメンバーに対する抗体を使用する治療的介入は、再発または疾患の悪化の強度を防止または低減する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書に記載の一実施形態は、糸球体疾患の急性再発または悪化を抑制するための方法であり、方法は、1つ以上の抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬を、それを必要とする対象に投与することを含む。一態様では、悪化または再発は、ウイルス感染により惹起される。別の態様では、ウイルス感染は、感冒またはインフルエンザと関連する。誤解を避けるために、本方法は、進行中の糸球体疾患を処置もしくは治癒すること、または進行中の糸球体疾患の進行を抑制することを意図しない。本方法は、インフルエンザの感冒と関連するウイルス感染に起因するサイトカインストームにより悪化する糸球体疾患の急性再発または悪化を抑制する。
【0016】
本明細書で使用される場合、「サイトカイン」(複数可)という用語は、インターロイキン、インターフェロン、腫瘍壊死因子(TNF)、成長因子、または他の細胞に影響を及ぼすことができる他の分子を指す。
【0017】
本明細書で使用される場合、「受容体」という用語は、サイトカインまたは他の分子の受容体、例えば、インターロイキン4受容体(IL-4Rαを含む)、細胞内接着分子(ICAM)、または他の細胞表面受容体を指す。
【0018】
本明細書で使用される場合、「可溶性受容体」という用語は、サイトカインと相互作用することができる受容体、通常は、組み換え体を指す。例としては、可溶性腫瘍壊死因子受容体(TNF受容体)またはIL-4Rが挙げられる。さらに、可溶性受容体という用語はまた、抗サイトカイン抗体の代替物を指す。
【0019】
本明細書で使用される場合、「抗サイトカイン抗体」(複数可)という用語は、インターロイキン、インターフェロン、腫瘍壊死因子(TNF)、成長因子、または他の細胞に影響を及ぼすことができる他の分子などの1つ以上のサイトカインを認識する抗体を指す。抗体は、天然、ポリクローナル、モノクローナル、単鎖、組み換え、またはヒト化であってよい。ヒト化抗体は特に有用である。
【0020】
本明細書で使用される場合、「抗受容体抗体」(複数可)という用語は、インターロイキン4受容体(抗IL-4R)、細胞内接着分子(ICAM-1)、または他のサイトカインもしくは細胞表面受容体などの1つ以上のサイトカイン受容体分子を認識する抗体を指す。
【0021】
本明細書で使用される場合、「遮断薬」という用語は、サイトカイン、サイトカイン受容体、可溶性受容体、細胞表面受容体などと相互作用し、その天然の機能を抑制することができる分子を指す。通常、阻害は、分子が受容体または天然リガンドに結合する能力を遮断することを含む。遮断薬は、タンパク質または小分子などの生体分子であってよい。
【0022】
本明細書で使用される場合、「急性再発」または「再発」という用語は、健康の悪化、及び改善または寛解の期間後の病状または症状の激化を指す。「急性再発」は具体的には、多くの場合ストレッサーに応答して、病状または症状の突然の悪化または激化を指す。一態様では、ストレッサーは、ウイルス感染である。追加のストレッサーには、他の感染症、炎症、糖尿病、自己免疫障害、または外傷を含む。
【0023】
本明細書で使用される場合、「悪化」、具体的には、「糸球体疾患の悪化」という用語は、病状または症状のさらなる激化を指す。
【0024】
本明細書で使用される場合、「寛解」という用語は、疾患または疾患症状の重症度または強度の低下を指す。寛解は、完全または部分的(一部の症状は減少するが持続する)であり得る。一態様では、寛解は、糸球体疾患の症状がないことを指す。
【0025】
本明細書で使用される場合、「処置」、「処置する」、及び「処置すること」という用語は、症状、態様、または特徴を除去または低減するために、そのような疾患または状態の症状、態様、または特徴の発症後に開始される一連の行為(例えば、化合物または医薬組成物の投与)を指す。そのような処置は、有用であることが明白である必要はない。
【0026】
本明細書で使用される場合、「それを必要とする」または「処置を必要とする」という用語は、患者が処置を必要とする、または処置から恩恵を受けることになるという、介護者によりなされる判断を指す。この判断は、介護者の専門知識の範囲内にあるが、本開示の方法または化合物により処置可能な疾患または状態の結果として、患者が病気であるか、または病気になるという知見を含む様々な要因に基づいて行われる。
【0027】
本明細書で使用される「対象」または「患者」という用語は、マウス、ラット、他の齧歯動物、ウサギ、イヌ、ネコ、イノシシ、ウシ、ヒツジ、ウマ、非ヒト霊長類、またはヒトなどの哺乳動物を含む任意の動物を指す。一態様では、対象は、ヒトである。別の態様では、対象は、ヒト小児または成人である。別の態様では、対象は、それを必要とするか、または処置を必要とする。
【0028】
本明細書で使用される場合、「治療的有効量」という用語は、疾患または状態の任意の症状、態様、または特徴に、任意の検出可能な好ましい効果を有することが可能な、単独のまたは医薬組成物の一部としての化合物の量を指す。そのような効果は、有益であることが明白である必要はない。抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬を指す場合、「治療的有効量」という用語は、急性糸球体疾患の再発の発症を止めるのに十分なそのような種の量を指す。各抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬の治療的有効量は、変動するであろう。例えば、3つの特定の抗サイトカイン抗体を含む組成物は、潜在的に、3つの独立した治療的有効量(各抗サイトカイン抗体に1つ)を有するであろう。
【0029】
本明細書で使用される「約」及び「およそ」という用語は、測定の性質または精度を考えた上で、測定された量の許容可能な程度の誤差または変動を指す。代表的な例示的な誤差または変動の程度は、所与の値または値の範囲の20%以内または10%以内である。生物学的システムの場合、「約」という用語は、許容可能な誤差の標準偏差、好ましくは、所与の値の多くとも2倍を指す。本明細書に示される数量は、別途記載のない限り、概算であり、「約」または「およそ」という用語は、明示的に記載されていない場合に推測することができることを意味する。
【0030】
本明細書に記載の結果により、アルブミン尿などの糸球体疾患の症状は、IL-2、IL-6、IL-10、INF-γ、TNFα、IL-4R、及びICAM-1のサイトカインカクテルの投与により、転写因子ZHX2の発現が低減しているBalb/cJマウスにおいて誘発することができることが示される。個々のサイトカインは、アルブミン尿を誘発しなかった。これらの結果に基づいて、ウイルス感染により惹起される糸球体疾患の急性再発または悪化を抑制するための方法を開発した。
【0031】
本明細書に記載の一実施形態は、ウイルス感染により惹起される糸球体疾患の急性再発または悪化を抑制するための方法であり、方法は、1つ以上の抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬を、それを必要とする対象に投与することを含む。一態様では、抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬は、抗IL-2、抗IL-6、抗IL-10、抗INF-γ、抗TNFα、可溶性TNF受容体、抗IL-4R、抗IL-6受容体、抗ICAM-1、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む。別の態様では、抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬は、抗IL-4R、抗IL-6、抗IL-6受容体、抗TNFα、可溶性TNF受容体、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む。別の態様では、抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬は、インフリキシマブ(REMICADE(登録商標))、アダリムマブ(HUMIRA(登録商標))、セルトリズマブペゴル(CIMZIA(登録商標))、エタネルセプト(ENBREL(登録商標))、シルツキシマブ(SYLVANT(登録商標))、トシリズマブ(ACTEMRA(登録商標))、デュピルマブ(DUPIXENT(登録商標))、アフェリモマブ、ベルサンリマブ、ブラザキズマブ、フォントリズマブ、ゴリムマブ、ネレリモマブ、オロキズマブ、オゾラリズマブ、パスコリズマブ、プラクルマブ、サペリズマブ、サリルマブ、ボバリリズマブ、それらの組み合わせ、それらの誘導体、またはそれらのアナログのうちの1つ以上を含む。
【0032】
一実施形態では、糸球体疾患は、タンパク尿、低アルブミン血症、高脂血症(高コレステロール血症及び高トリグリセリド血症)、脂質尿症、浮腫、またはそれらの組み合わせを特徴とするネフローゼ症候群を含む。一部の態様では、糸球体疾患は、微小変化型疾患、巣状分節性糸球体硬化症、膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎、糖尿病性腎症、またはループス腎炎を含む。別の態様では、糸球体疾患は、微小変化型疾患、巣状分節性糸球体硬化症、膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎、糖尿病性腎症、またはループス腎炎により引き起こされる慢性腎疾患の急性再発または悪化を含む。
【0033】
一実施形態では、糸球体疾患の急性再発または悪化の前に、対象は、病状からの完全または部分的な寛解状態にある。一態様では、ネフローゼ症候群の症状は、寛解期間中に軽減または低減される。別の態様では、糸球体疾患は、静止状態にある。別の態様では、糸球体疾患は、持続するが、軽減された病状にある。
【0034】
一実施形態では、糸球体疾患の急性再発または悪化は、ウイルス感染に起因する。一態様では、ウイルス感染は、感冒またはインフルエンザを誘発するウイルスを含む。別の態様では、ウイルス感染は、ライノウイルス、ヒトコロナウイルス、アデノウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ライノウイルス以外のエンテロウイルス、パラインフルエンザウイルス、メタニューモウイルス、インフルエンザ、またはそれらの組み合わせを含む。
【0035】
一実施形態では、抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬の投与は、ウイルス感染の発症から約1時間~約7日以内に行われる。一態様では、投与は、ウイルス感染の発症の約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、または約24時間後に行われる。別の態様では、投与は、ウイルス感染の発症の約0.1日、約0.25日、約0.5日、約0.75日、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、または約7日後に行われる。一態様では、ウイルス感染の発症は、ウイルス感染の症状の出現により確認される。ウイルス感染の症状は、鼻水、くしゃみ、喉の痛み、喉の炎症、咳、鼻詰まり、後鼻漏、目の潤み、筋肉痛、関節痛、頭痛、発熱、疲労感、倦怠感、悪心、胃痛、下痢、または嘔吐、それらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0036】
別の実施形態では、抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬の投与は、ウイルス感染の発症後約7日以内に行われる。別の態様では、投与は、ウイルス感染の発症後約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、または約7日以内に行われる。別の態様では、投与は、ウイルス感染の発症から約1週間以内に行われる。別の態様では、投与は、ウイルス感染の発症後約48時間以内に行われる。一態様では、ウイルス感染の発症は、鼻水、くしゃみ、喉の痛み、喉の炎症、咳、鼻詰まり、後鼻漏、目の潤み、筋肉痛、関節痛、頭痛、発熱、疲労感、倦怠感、悪心、胃痛、下痢、または嘔吐、それらの組み合わせを含むウイルス感染の症状の出現により確認される。
【0037】
別の実施形態では、抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬の投与は、薬品を投与するのに有効な任意の手段による。一態様では、投与は、非経口投与を含む。別の態様では、投与は、静脈内、動脈内、筋肉内、皮内、皮下、または腹腔内投与を含む。別の態様では、投与は、静脈内投与を含む。別の態様では、投与は、静脈内注入を含む。
【0038】
本明細書に記載の別の実施形態では、対象は、マウス、ラット、他の齧歯動物、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、非ヒト霊長動物、またはヒトである。一実施形態では、対象は、ヒトまたはそれを必要とするヒトである。別の態様では、対象は、それを必要とするヒト小児または成人である。本明細書で使用される場合、「それを必要とする」という表現は、対象が、内科医により決定される処置の必要があることを示す。
【0039】
本明細書に記載の別の実施形態は、サイトカインIL-2、IL-6、IL-10、INF-γ、もしくはTNFαのうちの1つ以上の対象の全身レベルを激減させるか、または受容体IL-4RもしくはICAM-1を阻害するための方法であり、方法は、サイトカインまたは受容体を、1つ以上の抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬と接触させることを含む。一態様では、抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬は、抗IL-2、抗IL-6、抗IL-10、抗INF-γ、抗TNFα、可溶性TNF受容体、抗IL-4R、抗IL-6受容体、抗ICAM-1、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む。別の態様では、抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬は、抗IL-4R、抗IL-6、抗IL-6受容体、抗TNFα、可溶性TNF受容体、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む。別の態様では、抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬は、インフリキシマブ(REMICADE(登録商標))、アダリムマブ(HUMIRA(登録商標))、セルトリズマブペゴル(CIMZIA(登録商標))、エタネルセプト(ENBREL(登録商標))、シルツキシマブ(SYLVANT(登録商標))、トシリズマブ(ACTEMRA(登録商標))、デュピルマブ(DUPIXENT(登録商標))、アフェリモマブ、ベルサンリマブ、ブラザキズマブ、フォントリズマブ、ゴリムマブ、ネレリモマブ、オロキズマブ、オゾラリズマブ、パスコリズマブ、プラクルマブ、サペリズマブ、サリルマブ、ボバリリズマブ、それらの組み合わせ、それらの誘導体、またはそれらのアナログのうちの1つ以上を含む。別の態様では、接触は、対象への抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬のうちの1つ以上の非経口投与を含み、これは、抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬が、IL-2、IL-6、IL-10、INF-γ、TNFα、IL-4R、またはICAM-1と相互作用し、サイトカインまたは受容体リガンドを中和して、結合及び下流効果を防ぐことを可能にする。一態様では、非経口投与は、脈内投与を含む。別の態様では、対象は、糸球体疾患の急性再発の発症または悪化を経験している。一態様では、対象は、感冒またはインフルエンザと関連するウイルス感染による糸球体疾患の急性再発の発症または悪化を経験している。別の態様では、対象は、糸球体疾患の悪化前に、糸球体疾患の完全または部分的な寛解にある。一態様では、対象は、ヒトである。
【0040】
本明細書に記載の別の実施形態は、1つ以上のIL-2、IL-6、IL-10、INF-γ、TNFα、IL-4R、またはICAM-1受容体を1つ以上の遮断薬と接触させることにより、腎臓疾患におけるIL-2、IL-6、IL-10、INF-γ、TNFα、IL-4R、またはICAM-1の細胞内効果を遮断するための方法である。一態様では、遮断薬は、IL-2、IL-6、IL-10、INF-γ、TNFα、IL-4R、またはICAM-1に対する抗サイトカイン抗体、可溶性受容体、またはデコイ受容体を含む。別の態様では、遮断薬は、受容体に結合し、サイトカインまたは受容体リガンドとの相互作用を遮断することが可能な1つ以上の小分子を含む。一態様では、遮断薬は、抗IL-2、抗IL-6、抗IL-10、抗INF-γ、抗TNFα、抗IL-4R、抗ICAM-1、またはそれらの組み合わせを含む。
【0041】
本明細書に記載の別の実施形態は、抗IL-2、抗IL-6、抗IL-10、抗INF-γ、抗TNF、抗IL-4R、または抗ICAM-1を含む、1つ以上の抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬の混合物、及び任意に、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物である。一態様では、組成物は、1mg~10,000mgの各抗体を含む。別の態様では、組成物の用量は、約0.01mg/kg~約200mg/kgである。別の態様では、組成物の用量は、約5mg/kgである。別の態様では、組成物は、液体または凍結乾燥濃縮物である。
【0042】
本明細書に記載の別の実施形態は、サイトカインIL-2、IL-6、IL-10、INF-γ、もしくはTNFαまたは受容体IL-4RもしくはICAM-1のうちの1つ以上の対象の全身レベルを激減させるためのキットであり、キットは、抗サイトカイン抗体、抗IL-2、抗IL-6、抗IL-10、抗INF-γ、またはIL-4RもしくはICAM-1の抗TNF抗体もしくは抗受容体抗体、それらの組み合わせを含む組成物を含む1つ以上の容器、及び任意に、送達デバイス、希釈剤、使用説明書、またはラベルを含む。
【0043】
注射による投与に適する医薬組成物としては、滅菌の水溶液、懸濁液、または分散液、ならびに滅菌の注射可能な溶液または分散液の即時調製のための滅菌粉末または凍結乾燥物が挙げられる。
【0044】
静脈内投与の場合、好適な担体としては、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、リンガー液、または注射用水が挙げられる。全ての場合、組成物は、滅菌でなければならず、容易な注射可能性が存在する程度まで流動性でなければならない。好ましい医薬製剤は、製造及び貯蔵の条件下で安定であり、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用に対して保存されなければならない。一般に、関連する担体は、例えば、水、緩衝液、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、ならびにそれらの好適な混合物を含む溶媒または分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用により、分散の場合に必要な粒子サイズの維持により、または界面活性剤の使用により維持することができる。微生物の作用の防止は、種々の抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどにより達成することができる。多くの場合、組成物中に、等張剤、例えば、糖、多価アルコール、例えば、マンニトール、アミノ酸、ソルビトール、塩化ナトリウム、またはそれらの組み合わせを含むことが好ましいであろう。注射可能な組成物の長期吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを組成物に含むことにより、もたらすことができる。
【0045】
特定の注射可能な組成物は、等張水溶液または懸濁液である。そのような組成物は、滅菌され、ならびに/または保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、溶液促進剤、浸透圧を調節するための塩、及び/もしくは緩衝剤などのアジュバントを含んでもよい。さらに、それらはまた、他の治療的に価値のある物質を含有してもよい。該組成物は、それぞれ、従来の方法に従って調製され、約0.1~75%を含有するか、または約1~50%の活性成分を含有する。
【0046】
滅菌注射液または懸濁液は、必要に応じて、成分の1つまたは組み合わせと共に、好適な溶媒に必要な量の抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬を取り込むこと、それに続く濾過滅菌により、調製することができる。一般に、溶液または懸濁液は、滅菌PBS及び任意の賦形剤などの滅菌ビヒクルに活性化合物を組み込むことにより調製される。滅菌の注射可能な溶液を調製するための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、真空乾燥及び凍結乾燥であり、これにより、以前に滅菌濾過された溶液から有効成分の粉末及び任意のさらなる所望の成分が得られる。
【0047】
治療的に用いられる医薬組成物の有効量は、例えば、治療の状況及び目的に依存するであろう。従って、処置のための適切な投薬量レベルが、部分的に、医薬組成物に組み込まれる治療薬、治療薬が使用されている適応症、投与経路、及び患者のサイズ(体重、体表面、または臓器のサイズ)及び状態(年齢及び一般的な健康状態)に応じて変動することを、当業者は理解するであろう。従って、臨床医は、最適な治療効果を得るために、投薬量を滴定し、投与経路を変更することができる。
【0048】
抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬は、標準的なモノクローナル抗体(特に、ヒト化モノクローナル抗体)手法、タンパク質工学、及び当業者らに既知の一般的な分子生物学的手法を使用して産生することができる。
【0049】
本明細書に記載の方法に有用ないくつかの例示的なFDAが承認した抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬としては、インフリキシマブ(REMICADE(登録商標))(抗TNFα)、アダリムマブ(HUMIRA(登録商標))(抗TNFα)、セルトリズマブペゴル(CIMZIA(登録商標))、抗TNFα)、エタネルセプト(ENBREL(登録商標))(TNF受容体融合タンパク質)、シルツキシマブ(SYLVANT(登録商標))(抗IL-6)、トシリズマブ(ACTEMRA(登録商標))(抗IL-6受容体)、またはデュピルマブ(DUPIXENT(登録商標))(抗IL-4Ra)が挙げられる。これらの薬剤の適切な用量及び濃度パラメーターが表1に示される。
【0050】
FDA処方情報、例えば、インフリキシマブ(REMICADE(登録商標))、アダリムマブ(HUMIRA(登録商標))、セルトリズマブペゴル(CIMZIA(登録商標))、エタネルセプト(ENBREL(登録商標))、シルツキシマブ(SYLVANT(登録商標))、トシリズマブ(ACTEMRA(登録商標))、及びデュピルマブ(DUPIXENT(登録商標))のためのラベルは、具体的な教示のためにそれらへの明示的な参照によりそれぞれが本明細書に組み込まれる。
【0051】
【0052】
表1から観察することができるように、各治療薬の用量は、投与用量、反復投与スケジュール、及び濃度が異なる。さらに、そのようなタンパク質治療薬が糸球体疾患を有する対象に投与される場合、より高い用量が多くの場合、治療効果を達成するために必要とされる。あらゆる理論に拘束されることなく、これは、タンパク尿を引き起こす原因となる糸球体毛細血管ループの異常のために、(他の血液タンパク質の中でも)治療タンパク質(複数可)が尿に漏出することに起因すると考えられる。従って、ラベルに示されるよりも高い抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬の用量が、腎臓を介した治療薬の喪失を補うために投与することができる。
【0053】
他の抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、または可溶性受容体は、世界中でヒトへの使用が承認されている。例えば、以下の化合物(標的)が有用である:とりわけ、アフェリモマブ(TNFα)、ベルサンリマブ(ICAM-1)、クラザキズマブ(IL-6)、フォントリズマブ(INF-γ)、ゴリムマブ(TNFα)、ネレリモマブ(TNFα)、オロキズマブ(IL-6)、オゾラリズマブ(TNFα)、パスコリズマブ(IL-4)、プラクルマブ(TNF)、サペリズマブ(IL-6R)、サリルマブ(IL-6)、ボバリリズマブ(IL-6R)。これら及び他のアナログ分子は、本明細書に記載の方法及び組成物に有用である。
【0054】
本明細書に記載の一実施形態は、1つ以上の抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬のそれぞれを1mg~10,000mg含む医薬組成物である。一態様では、組成物は、1つ以上の抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬のそれぞれについて、約1mg、約2mg、約5mg、約10mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、約1000mg、約2000mg、約3000mg、約4000mg、約5000mg、約6000mg、約7000mg、約8000mg、約9000mg、約10000mg、またはそれ以上の量を含む。
【0055】
本明細書に記載の別の実施形態は、投与が1つ以上の抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬を含み、1つ以上の抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬のそれぞれについて、約0.01mg/kg、約0.05mg/kg、約0.1mg/kg、約0.5mg/kg、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、約20mg/kg、約25mg/kg、約30mg/kg、約40mg/kg、約50mg/kg、約60mg/kg、約70mg/kg、約80mg/kg、約90mg/kg、約100mg/kg、約120mg/kg、約150mg/kg、約175mg/kg、約200mg/kg、約250mg/kg、約300mg/kg、約400mg/kg、約500mg/kg、またはそれ以上を含む、医薬組成物である。
【0056】
本明細書に記載の別の実施形態は、1つ以上の抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬を含む医薬組成物であり、それぞれは、1つ以上の抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬のそれぞれについて、約0.1mg/mL、約0.2mg/mL、約0.5mg/mL、約1mg/mL、約2mg/mL、約5mg/mL、約10mg/mL、約20mg/mL、約30mg/mL、約40mg/mL、約50mg/mL、約60mg/mL、約70mg/mL、約80mg/mL、約90mg/mL、約100mg/mL、約110mg/mL、約120mg/mL、約130mg/mL、約140mg/mL、約150mg/mL、約160mg/mL、約170mg/mL、約180mg/mL、約190mg/mL、約200mg/mL、約500mg/mL、またはそれ以上の濃度を有する。
【0057】
本明細書に記載の別の実施形態は、示された用量の各タンパク質を含む、1つ以上の抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬(特に、表1からの任意のもの)を含む医薬組成物である。一態様では、組成物中の各タンパク質の量は独立して、明記された用量の1.5倍~50倍(明記された範囲内の各整数を含む)で増加する。別の態様では、組成物中の各タンパク質の量は独立して、示された用量の約1.5倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約10倍、約20倍、約50倍、または約100倍増加する。
【0058】
投与の頻度は、使用される治療薬の薬物動態パラメーターに依存するであろう。通常、臨床医は、所望の効果を達成する投薬量に達するまで、組成物を投与するであろう。それ故、組成物は、時間と共に単回用量として、2回以上の用量(同じ量の所望の分子を含有してもしなくてもよい)として、または移植デバイスもしくはカテーテルを介した連続的な注入として投与することができる。適切な投薬量のさらなる改良は、日常的に当業者らにより行われ、日常的に当業者らより実施される業務の範囲内である。適切な投薬量は、適切な用量反応データの使用を通して確認することができる。
【0059】
「注射で投与することができる」、「注射可能な」、または「注射可能性」という表現及び用語は、特定の濃度(w/v)及び特定の温度で液体に溶解させた本明細書に記載の抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬を含有するシリンジのプランジャーに加えられる特定の力、そのようなシリンジの出口に連結された所与の内径の針、ならびに針を通してシリンジから特定の体積の抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬を押し出すのに必要とされる時間などの要因の組み合わせを指す。
【0060】
一実施形態では、明記されたパーセンテージ範囲内の全ての整数を含む約0.1%~約20%(w/v)の濃度に、PBSまたは生理食塩水に懸濁されて抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬に対する注射可能性の測定が実施される。
【0061】
本明細書に記載の別の実施形態は、本明細書に記載の抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬の医薬組成物である。医薬組成物は、以下のような1つ以上の賦形剤を含み得る:
(i)緩衝剤:pHを所望の範囲に維持するための生理学的に許容される緩衝液、例えば、リン酸ナトリウム、重炭酸塩、コハク酸塩、ヒスチジン、クエン酸塩、及び酢酸塩、硫酸塩、硝酸塩、塩化物、ピルビン酸塩。Mg(OH)2またはZnCO3などの制酸剤も使用されてもよい。緩衝能は、pHの安定性に最も敏感な条件に合致するように調整されてもよい。
(ii)等張性調整剤:注入デポーでの浸透圧差による細胞損傷から生じ得る痛みを最小限に抑える。グリセリン及び塩化ナトリウムが例である。有効濃度は、血清に対して285~315mOsmol/kgと想定される浸透圧を使用して、浸透圧測定により決定することができる。
(iii)防腐剤及び/または抗菌剤:複数用量の非経口調製物は、対象が注射の際に感染するリスクを最小限にするのに十分な濃度の保存剤の添加を必要とし得、対応する規制要件が確立されている。代表的な防腐剤としては、m-クレゾール、フェノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、クロロブタノール、ベンジルアルコール、硝酸フェニル水銀、チメロソル、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸、クロロクレゾール、及び塩化ベンザルコニウムが挙げられる。
(iv)安定剤:安定化は、タンパク質安定化力の強化、変性状態の不安定化、またはタンパク質への賦形剤の直接結合により達成される。安定剤は、アミノ酸、例えば、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グリシン、ヒスチジン、リジン、プロリン、糖、例えば、グルコース、スクロース、トレハロース、ポリオール、例えば、グリセロール、マンニトール、ソルビトール、塩、例えば、リン酸カリウム、硫酸ナトリウム、キレート剤、例えば、EDTA、六リン酸エステル、リガンド、例えば、二価金属イオン(亜鉛、カルシウムなど)、他の塩、または有機分子、例えば、フェノール誘導体であってよい。さらに、オリゴマーまたはポリマー、例えば、シクロデキストリン、デキストラン、デンドリマー、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、プロタミン、またはヒト血清アルブミンが使用されてもよい。
(v)吸着防止剤:組成物の容器の内面に競合的にコーティングまたは吸着する、主にイオン性もしくはイオン-イオン性界面活性剤または他のタンパク質または可溶性ポリマー、例えば、ポロキサマー(プルロニックF-68)、PEGドデシルエーテル)(Brij35)、ポリソルベート20及び80、デキストラン、ポリエチレングリコール、PEG-ポリヒスチジン、BSA及びHSA、ならびにゼラチンが使用される。賦形剤の選択された濃度及び種類は、回避する効果に依存するが、通常、界面活性剤の単分子層が、CMC値のすぐ上で界面に形成される。
(vi)凍結乾燥または凍結防止剤:凍結乾燥または噴霧乾燥中に、賦形剤は、水素結合の切断及び水分除去により引き起こされる不安定化効果の影響を弱め得る。この目的の場合、糖及びポリオールが使用されてもよいが、対応する好ましい効果はまた、界面活性剤、アミノ酸、非水溶媒、及び他のペプチドについて観察されている。トレハロースは、水分誘発性の凝集を低減するのに特に効率的であり、また、水にタンパク質疎水性基を露出させることにより潜在的に引き起こされる熱安定性を向上させる。マンニトール及びスクロースはまた、高比率のマンニトールまたはスクロースが凍結乾燥ケーキの物理的安定性を高めることが知られる場合、単独の凍結乾燥/凍結防止剤として、または互いに組み合わせて使用されてもよい。マンニトールはまた、トレハロースと組み合わされてもよい。トレハロースはまた、ソルビトールと組み合わされても、またはソルビトールは、単独の保護剤として使用されもよい。デンプンまたはデンプン誘導体はまた、使用されてもよい。
(vii)酸化防止剤:抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸、エクトイン、メチオニン、グルタチオン、モノチオグリセロール、モリン、ポリエチレンイミン(PEI)、プロピルガラート、ビタミンE、キレート剤、例えば、クエン酸、EDTA、六リン酸エステル、チオグリコール酸。
(viii)増粘剤または粘度増強剤:バイアル及びシリンジ中の粒子の沈降を遅らせ、粒子の混合及び再懸濁を容易にするために、ならびに懸濁液を注射しやすくするために使用される(すなわちシリンジプランジャーにおけるより低い力)。好適な増粘剤または粘度増強剤は、例えば、カルボマー増粘剤、例えば、Carbopol 940、Carbopol Ultrez 10、セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース、HPMC)、またはジエチルアミノエチルセルロース(DEAEもしくはDEAE-C)、コロイド状ケイ酸マグネシウム(Veegum)またはケイ酸ナトリウム、ヒドロキシアパタイトゲル、リン酸三カルシウムゲル、キサンタン、カラギーナン、例えば、Satiagum UTC 30、脂肪族ポリ(ヒドロキシ酸)、例えば、ポリ(D,L-乳酸またはL-乳酸)(PLA)及びポリ(グリコール酸)(PGA)ならびにそれらのコポリマー(PLGA)、D,L-ラクチド、グリコリド、及びカプロラクトンのターポリマー、ポロキサマー、ポリ(オキシエチレン)-ポリ(オキシプロピレン)-ポリ(オキシエチレン)(例えば、Pluronic(商標))のトリブロックを構成する親水性ポリ(オキシエチレン)ブロック及び疎水性ポリ(オキシプロピレン)ブロック、ポリエーテルエステルコポリマー、例えば、ポリエチレングリコールテレフタレート/ポリブチレンテレフタレートコポリマー、スクロースアセテートイソブチレート(SAIB)、デキストランまたはその誘導体、デキストラン及びPEGの組み合わせ、ポリジメチルシロキサン、コラーゲン、キトサン、ポリビニルアルコール(PVA)及び誘導体、ポリアルキルイミド、ポリ(アクリルアミド-コ-ジアリルジメチルアンモニウム(DADMA))、ポリビニルピロリドン(PVP)、グリコサミノグリカン(GAG)、例えば、デルマタン硫酸、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、ヒアルロナン、ポリラクチド(PLA)またはポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)などの疎水性Aブロック及びポリエチレングリコール(PEG)またはポリビニルピロリドンなどの親水性BブロックからなるABAトリブロックまたはABブロックコポリマーである。そのようなブロックコポリマー及び上記のポロキサマーは、逆熱ゲル化挙動(室温で投与を容易にする流体状態及び注射後の体温でゾル-ゲル転移温度を超えるゲル状態)を示し得る。
(ix)拡散剤:限定されないが、結合組織の細胞間空間にみられる多糖類であるヒアルロン酸など間質腔の細胞外マトリックスの構成成分の加水分解を通じて、結合組織の浸透性を変更する。限定されないが、ヒアルロニダーゼなどの拡散剤は、細胞外マトリックスの粘度を一時的に減少させ、注射薬物の拡散を促進する。
(x)他の助剤:例えば、湿潤剤、粘度調整剤、抗生物質、ヒアルロニダーゼ。塩酸及び水酸化ナトリウムなどの酸及び塩基は、製造中のpH調整に必要な助剤である。
【0062】
一実施形態では、抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬は、1つの適用において治療的有効量の生物学的活性剤を少なくとも12時間提供する組成物で十分に投与される。一態様では、抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬の1回の適用は、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日間、約7日、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、1年、2年、3年、4年、またはそれ以上の間十分である。
【0063】
一実施形態では、抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬が単回用量として提供され、これは、それが供給される容器が1回の薬学的用量を含有することを意味する。
【0064】
別の実施形態では、組成物は、複数用量の組成物として提供され、これは、それが複数の治療的用量を含有することを意味する。好ましくは、複数用量の組成物は、少なくとも2回の用量を含有する。そのような複数用量の組成物は、それを必要とする種々の対象に使用するか、または1つの対象で使用され得、残りの用量は、最初の用量の投与後に必要になるまで保存される。
【0065】
別の実施形態では、抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬は、1つ以上の容器で提供される。液体または懸濁液の組成物の場合、容器は、好ましくは、単一チャンバーシリンジである。乾燥組成物の場合、好ましくは、容器は、二重チャンバーシリンジである。乾燥組成物は、デュアルチャンバーシリンジの第1のチャンバー中で提供され、再構成溶液は、デュアルチャンバーシリンジの第2のチャンバー中で提供される。
【0066】
抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬の乾燥または凍結乾燥組成物を、それを必要とする対象に投与する前に、乾燥組成物を再構成する。再構成は、乾燥組成物が提供される容器、例えば、バイアル、シリンジ、デュアルチャンバーシリンジ、アンプル、及びカートリッジ中で行われ得る。再構成は、乾燥組成物に事前定義された量の再構成溶液を添加することにより行われる。再構成溶液は、リン酸緩衝生理食塩水、等張食塩水、注射用水、または他の緩衝液などの滅菌液体であり、これはさらに、賦形剤、例えば、防腐剤及び/または抗菌剤、例えば、ベンジルアルコール及びクレゾールを含有してもよい。好ましくは、再構成溶液は、注射用の滅菌水である。あるいは、再構成溶液は、生理食塩水または滅菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)である。
【0067】
別の実施形態は、治療的有効量の抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬、及び任意に、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む再構成組成物を調製する方法であり、方法は、組成物をある量の再構成ビヒクルと接触させるステップを含む。次に、再構成抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬は、注射または他の経路により投与されてもよい。
【0068】
別の実施形態は、治療的有効量の抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬、再構成ビヒクル、及び任意に、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む再構成組成物である。
【0069】
別の実施形態は、治療的有効量の抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬、及び任意に、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む溶液または懸濁液を含むプレフィルドシリンジである。一態様では、シリンジは、約0.01mL~約50mLの本明細書に記載の抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬が充填される。一態様では、シリンジは、約0.05mL~約50mL、約1mL~約20mL、約1mL~約10mL、約1mL~約5mL、または約0.5~約5mLが充填される。一実施形態では、シリンジは、0.5mL~約2mLの本明細書に記載の抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬が充填される。一部の態様では、シリンジは、約0.1mL、約0.2mL、約0.3mL、約0.4mL、0.5mL、約0.6mL、約0.7mL、約0.8mL、約0.9mL、約1mL、約1.2mL、約1.5mL、約1.75mL、約2mL、約3mL、約4mL、約5mL、約7.5mL、約10mL、約15mL、約20mL、約25mL、約30mL、約40mL、約50mL、または50mL以上の本明細書に記載の抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬が充填される。シリンジは多くの場合、シリンジ及び針内の「デッドスペース」による無駄を考慮に入れるために、患者に投与されるべき所望の用量より多くが充填される。また、患者への注射が容易になるように、シリンジが内科医により用意される場合、所定量の廃棄物が存在してもよい。
【0070】
一実施形態では、シリンジは、本明細書に記載の約0.6mL、約0.7mL、約0.8mL、約0.9mL、約1mL、約1.2mL、約1.5mL、約1.75mL、約2mLの、注入経路に応じて約0.01mL~約5mL(例えば、約0.01mL~約0.1mL、約0.1mL~約0.5mL、約0.2mL~約2mL、約0.5mL~約5mL、または約1mL~約5mL)の投薬量(すなわち、患者への送達を目的とする薬品の体積)が充填される。皮下注射を目的とする一実施形態では、シリンジは、本明細書に記載の0.1mg/mL~500mg/mLの濃度(複数可)を有する、約0.1mL~約5.0mLの投薬量の抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬が充填される。他の経路による注射を目的とする他の実施形態では、シリンジは、本明細書に記載の0.1mg/mL~200mg/mLの薬物濃度を有する、約0.01mL~約5.0mLの投薬量の抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬が充填される。一部の態様では、シリンジは、約0.01mL、約0.02mL、約0.03mL、約0.04mL、約0.05mL、約0.06mL、約0.07mL、約0.08mL、約0.09mL、約0.1mL、約0.2mL、約0.3mL、約0.4mL、約0.5mL、約0.6mL、約0.7mL、約0.8mL、約0.9mL、約1mL、約1.2mL、約1.5mL、約1.75mL、約2mL、約2.5mL、約3mL、約4mL、または約5mLの本明細書に記載の抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬が、それを必要とする患者に送達するために充填される。
【0071】
シリンジは、薬品溶液を含有し、出口は、薬品の無菌性を維持するために可逆的に密封されてもよい。この密封は、ルアーロックまたは改ざん防止シールなどの当該技術分野で既知の密封デバイスで達成されてもよい。
【0072】
別の実施形態は、本明細書に記載の1つ以上の抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬の溶液または懸濁液を含む1つ以上のプレフィルドシリンジを含むキットである。一実施形態では、そのようなキットは、ブリスターパックまたは密封スリーブに本明細書に記載の抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬を含むプレフィルドシリンジを含む。ブリスターパックまたはスリーブは、内側が滅菌されてもよい。一態様では、本明細書に記載のプレフィルドシリンジは、滅菌、例えば、最終滅菌を受ける前に、そのようなブリスターパックまたはスリーブ内に入れられてもよい。
【0073】
そのようなキットはさらに、本明細書に記載の抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬を投与するための1つ以上の針を含んでもよい。そのようなキットはさらに、使用説明書、薬物ラベル、禁忌、警告、または他の関連情報を含んでもよい。本明細書に記載の一実施形態は、ブリスターパック内に含有される本明細書に記載の1つ以上の抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬を含む1つ以上のプレフィルドシリンジ、針、及び任意に、投与指示書、薬物ラベル、禁忌、警告、またはその他の関連情報を含むカートンまたはパッケージである。
【0074】
シリンジを滅菌するために最終滅菌プロセスが使用されてもよく、そのようなプロセスは、エチレンオキシドまたは過酸化水素(H2O2)滅菌プロセスなどの既知のプロセスを使用してもよい。シリンジと共に使用されるべき針は、本明細書に記載のキットと同じ方法で滅菌されてもよい。一態様では、パッケージは、シリンジの外側が滅菌されるまで、滅菌ガスに暴露される。そのようなプロセスの後に、シリンジの外面は、最大6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月、15ヶ月、18ヶ月、24ヶ月、またはそれ以上の間、(ブリスターパック内にある間)滅菌のままであり得る。従って、一実施形態では、(ブリスターパック内の)本明細書に記載のプレファイルシリンジは、最大6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月、15ヶ月、18ヶ月、24ヶ月、またはそれ以上の貯蔵寿命を有し得る。一実施形態では、百万中に1つ未満のシリンジは、18ヶ月の貯蔵後にシリンジの外側に検出可能な微生物の存在を有する。一態様では、プレフィルドシリンジは、少なくとも10-6の滅菌保証レベルを有するエチレンオキシドを使用して滅菌されている。別の態様では、プレフィルドシリンジは、少なくとも10-6の滅菌保証レベルを有する過酸化水素を使用して滅菌されている。有意な量の滅菌ガスが、シリンジの可変容量チャンバーに入らないようにすべきである。本明細書で使用される「有意な量」という用語は、可変容量チャンバー内の抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬の溶液または懸濁液の許容できない変性を引き起こすガスの量を指す。一実施形態では、滅菌プロセスは、抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬の10%以下(好ましくは、5%以下、3%以下、1%以下)のアルキル化を引き起こす。一実施形態では、プレフィルドシリンジは、エチレンオキシドを使用して滅菌されているが、シリンジの外面は、1ppm以下、好ましくは、0.2ppm以下のエチレンオキシド残留物を有する。一実施形態では、プレフィルドシリンジは、過酸化水素を使用して滅菌されているが、シリンジの外面は、1ppm以下、好ましくは、0.2ppm以下の過酸化水素残留物を有する。別の実施形態では、プレフィルドシリンジは、エチレンオキシドを使用して滅菌されており、シリンジの外側及びブリスターパックのシリンジの内側にみられる総エチレンオキシド残留物は、0.1mg以下である。別の実施形態では、プレフィルドシリンジは、過酸化水素を使用して滅菌されており、シリンジの外側及びブリスターパックの内側にみられる総過酸化水素残留物は、0.1mg以下である。
【0075】
別の態様は、パーツのキットである。液体及び懸濁液組成物の場合、投与デバイスが単に皮下シリンジである場合、キットは、シリンジ、針、及びシリンジで使用される抗サイトカイン抗体及び可溶性受容体を含む容器を含んでもよい。乾燥組成物の場合、容器は、抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬の乾燥組成物を含有する1つのチャンバー、及び再構成溶液を含む第2のチャンバーを有してもよい。一実施形態では、注射デバイスは、使用中に、容器内の液体または懸濁液または再構成乾燥組成物が注射デバイスの出口と流体接続されるように、抗サイトカイン抗体及び可溶性受容体を含む別々の容器を注射デバイスと係合させることができるように適合される皮下注射である。投与デバイスの例としては、皮下シリンジ及びペンシリンジデバイスが挙げられるが、これらに限定されない。特に好ましい注射デバイスは、ペンシリンジであり、この場合では、容器は、カートリッジ、好ましくは、使い捨てカートリッジである。
【0076】
別の実施形態は、針、ならびに抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬、及び任意に、再構成溶液をさらに含有する容器を含むキットを含み、容器は、針と共に使用されるために適合される。一態様では、容器は、プレフィルドシリンジである。別の態様では、容器は、二重チャンバーシリンジである。
【0077】
別の実施形態は、ペンシリンジデバイスと共に使用される、本明細書に記載の抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬の組成物を含有するカートリッジである。カートリッジは、単回用量または複数用量の抗サイトカイン抗体及び可溶性受容体を含有してもよい。
【0078】
本明細書に記載の組成物、製剤、方法、プロセス、及び用途への好適な修正及び適合は、任意の実施形態またはそれらの態様の範囲から逸脱することなく行うことができることが、当業者には明らかであろう。提供される組成物、方法、及び実験は、例示的なものであり、特定の実施形態のいずれかの範囲を制限することを意図するものではない。本明細書に開示の種々の実施形態、態様、及び選択肢の全ては、任意の変形または繰り返しで組み合わせることができる。本明細書に記載の組成物、製剤、方法、及びプロセスの範囲は、本明細書に記載の実施形態、態様、選択肢、例、及び選好の全ての実際のまたは潜在的な組み合わせを含む。本明細書に記載の例示的な組成物及び製剤は、任意の構成成分を除外しても、本明細書に開示の任意の構成成分を代用しても、本明細書の他の箇所に開示された任意の構成成分を含んでもよい。本明細書に開示の組成物もしくは製剤のいずれかの任意の構成要素の質量対製剤中の他の任意の構成成分の質量の比率、または、本明細書に開示の組成物もしくは製剤のいずれかの任意の構成要素の質量対製剤中の他の構成成分の総重量の比率は、明示的に開示されるように、本明細書で開示される。参照により組み込まれる特許または刊行物のいずれかの任意の用語の意味が、本開示で使用される用語の意味と矛盾する場合、本開示の用語または表現の意味が支配的である。本明細書で引用された全ての特許及び刊行物は、その特定の教示について参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例0079】
実施例1
実施された全ての動物研究は、Rush大学またはバーミンガムのAlabama大学のIACUCにより承認された。マウスモデルを以下の供給元から入手した:Balb/cJ(Jackson labs #000651)、Balb/c(Harlan Labs、Envigo、BALB/cAnNHsd株)、NPHS2-Cre(129S6.Cg-Tg(NPHS2-cre)295Lbh/BroJ、Jackson labs #008523)、混合129/C57BL/6バックグラウンドのEnpep-/-マウス(Drs.Max Cooper and Wadih Arapから寄贈)、C57Bl/6(Charles River #027)。Enpep-/-マウスを、C57Bl/6バックグラウンドに10世代戻し交配した。floxed Zhx2コ構築物(zhx2tm1a(KOMP)Wtsi)を含むマウスの精子を、UC Davis KOMP repositoryから入手し、floxedマウスをUAB Kaul Center for Geneticsで作成した。NPHS2-creマウスをfloxedマウスと交配することにより、足細胞特異的Zhx2欠損マウスを作成し、遺伝子型を決定し、タンパク質発現を、Dynabead(商標)単離糸球体のウェスタンブロット及び腎臓切片の共焦点イメージングで特性決定した。
【0080】
組み換えマウスサイトカインまたは可溶性受容体を購入した:インターフェロン-γ(Millipore Sigma #IF005)、腫瘍壊死因子-α(Sigma-Aldrich #T7539)、Interleukin-10(Sigma Aldrich #I3019)、IL-6(Sigma Aldrich #SRP3330)、ICAM-1(R&D Systems #796-IC-050)、IL-4R(R&D Systems #530-MR-100)、IL-2(R&D Systems #402-ML-020/CF)。
【0081】
最終体積100μLの0.9%の滅菌生理食塩水(濃度/用量:1×またはX):IL-10 0.5μg;IL-6及びTNFα 各1μg;ならびにIL-2、IL-4R、INF-γ、及びICAM-1 各2μgで、以下のサイトカイン及び可溶性受容体(IL-2、IL-4R、IL-6、IL-10、INF-γ、TNFα、ICAM-1)を組み合わせることにより、サイトカインカクテルを作製した。以下の通りに、0.9%の滅菌生理食塩水100μL中でサイトカインカクテルを段階希釈することにより、漸減用量のサイトカインカクテルを調製した:X/2(2倍希釈)、X/5(5倍希釈)、X/10(10倍希釈)、X/15(15倍希釈)、及びX/100(100倍希釈)。
【0082】
マウスに100μLのカクテルまたは希釈液を静脈内注射した。血管内容量を維持するために、静脈内サイトカインカクテル投与の直後に、0.9%の生理食塩水100μLのさらなる用量を腹腔内投与した。
【0083】
サイトカインカクテルは、組み合わせ用量Xで、Balb/cJにおいて急性アルブミン尿を誘発するが、Balb/cマウスにおいては誘発しない(
図1A)。Balb/cJマウスは、ZHX2及びその膜貫通型パートナーの発現が低減している。1X濃度のカクテルと同じ投薬量で投与された個々のサイトカインのいずれもが、いずれのマウス株においてもアルブミン尿を引き起こさなかった(
図1B)。腎炎惹起性最小用量を確立するために、用量Xの画分を注射し、マウスをアルブミン尿について評価した。併用用量をXの50%または20%に低減させると、依然として、Balb/cJマウスにおいて有意なアルブミン尿が誘発された(
図2A)。組み合わせX用量の10%で、アルブミン尿が存在したが、試験された少数の動物に対しては統計的に有意ではなかった。組み合わせX用量の1%で、Balb/cJマウスではアルブミン尿は、観察されなかった(
図2B)。
【0084】
サイトカインのカクテルから個別に、抗体が臨床で使用される3つの特定のサイトカインまたは可溶性受容体(IL-6、TNFα、IL-4R)のうちの1つを除去しても、Balb/cJマウスにアルブミン尿を誘発しなかった(
図3A)。これにより、これらのサイトカインのうちのいずれの中和も、糸球体疾患の急性再発を抑制し得ることが示された。サイトカインカクテル用量(X/2)の注射の1時間後に抗ラットTNFα抗体(25μg)または対照抗体(IgG)を用いるBalb/cJマウスの注射は、IgG対照と比較した抗TNFα群のBalb/cJマウスにおけるサイトカインカクテル誘発性タンパク尿の強度を低減させた(
図3B)。より大量の抗TNFα抗体を使用すると、サイトカインカクテルにより誘発されるアルブミン尿をなくし得る。
【0085】
腎炎惹起性最小用量モデルを使用すると、サイトカイン誘発性アルブミン尿はまた、ZHX2 flox/flox cre
++に認められたが、対照ZHX2 flox/floxマウスでは認められなかった(
図4A)。この知見は、このプロセスにおける足細胞ZHX2欠損の特定の役割を示す。Enpepが欠損したマウスはまた、サイトカイン誘発性アルブミン尿を有し、ZHX2及びEnpepの両方が欠損したマウスは、アルブミン尿の最も高い倍数増加を有していた(
図4B)。より高用量のサイトカインを使用すると、さらにアルブミン尿が増加した(
図4A、右パネル)。
【0086】
ラットサイトカインカクテルは、以下の供給元から購入された組み換えラットサイトカインまたは可溶性受容体を含有していた:インターフェロン-γ(R&D #585-IF/CF)、腫瘍壊死因子-α(Sigma-Aldrich #T5944-50μ)、インターロイキン-10(R&D #522-RLB)、IL-6(R&D #506-RL/CF)、ICAM-1(R&D Systems#583-IC)、IL-4R(Sino Biological #80198-R08H)、IL-2(Sigma Aldrich #SRP3242-20)。1X用量のカクテルは、0.9%の滅菌生理食塩水100μLの最終体積に溶解させたIL-10 0.5μg、IL-6及びICAM-1 各1μg、ならびにIL-2、IL-4R、INF-γ及びTNFα 各2μgを含む。X/50での腎炎惹起性最小用量は、0.9%の滅菌生理食塩水100μL中の各サイトカインの適切な画分を含有していた。Buffalo Mnaラットのサイトカイン研究中、35~63mg/18時間のベースラインタンパク尿の雄ラット(n=7)に、X/50サイトカインカクテル用量を静脈内注射し、続いてすぐに、0.9%の生理食塩水1mLを腹腔内注射して、血管内水分補給を維持した。時限式尿収集(18時間)を、1、3、5、及び7日目に行い、各動物についてタンパク尿におけるピークの増加が見られた。
【0087】
マウスよりも約20倍重いにもかかわらず、進行中の巣状及び分節性糸球体硬化症(FSGS)を有するBuffalo/Mnaラットは、ベースラインからタンパク尿の有意な増加を誘発するために、ラット「サイトカインカクテル」のはるかに低い用量(X/50)を必要とし(
図6)、それにより、感冒後の疾患の悪化と類似した症状を呈した。
【0088】
実施例2
ジンクフィンガー及びホメオボックス(ZHX)ファミリーの転写因子(ZHX1、ZHX2、及びZHX3)は、腎臓の足細胞で発現された構造的及び機能的に重要な遺伝子の大部分を調節する。in vivoでの足細胞におけるZHXタンパク質の大部分は、核の外側に位置し、ヘテロ二量体またはホモ二量体(例えば、ZHX1-ZHX2またはZHX1-ZHX1)として細胞膜に連結される。ZHXのヘテロ二量体化またはホモ二量体化がなくなると、核へのZHXタンパク質の移入、続いて、標的遺伝子の発現の変化がもたらされる。
【0089】
Zhx2は、成体マウスにおけるα-フェトプロテイン発現の主要な転写抑制因子である。研究された他の25のマウス株ではなく、Balb/cJマウスが、Zhx2遺伝子の最初のイントロンにマウス内在性レトロウイルスを有し、これは、主に機能しない転写物をもたらす。これにより、成体Balb/cJマウスにおけるZhx2の下方制御及びα-フェトプロテインの高いタンパク質レベルがもたらされる。
【0090】
Zeiss Pascal 5共焦点レーザー顕微鏡を使用して、マウス糸球体の共焦点イメージングを実施した。全ての2次抗体を、ジャクソン研究室から購入した。公開された1次抗体は、ウサギ抗ZHX3(4457-2B5)を含む。以下の1次抗体を購入した:マウス抗WT1(Santa Cruz #sc-7385)、マウス抗ZHX2(Abnova、台湾 #H00022882-A01)、及びウサギ抗ZHX3(Santa Cruz #sc-292339)。
【0091】
サイトカインが注射されたBalb/cJマウスは、Zhx1の核発現が高かったが(
図5A)、核Zhx3発現は、増加しなかった(
図5B)。これは、サイトカイン媒介性タンパク尿が、微小変化型疾患で生じるように、主に足細胞の体表面経路を介して媒介されたことを示唆する。このパラダイムの要約が、
図7に示される。
【0092】
感冒後の原発性糸球体疾患の再発または悪化の、頻繁に観察される現象を研究するために、感冒時の血液循環中に存在するサイトカイン及び可溶性受容体のカクテルを開発した。開発された元の用量の組み合わせは、数倍に希釈し、足細胞Zhx2欠損、Enpep欠損、または二重欠損マウスにおいてアルブミン尿を誘導する能力を保持することができる。個々のサイトカインは、アルブミン尿を誘発せず、市販の抗体を含むカクテルから3つのサイトカインもしくは可溶性受容体(IL-2、IL-4R、IL-6、IL-10、INF-γ、TNFα、ICAM-1)を個々に除去しても誘発しなかった。これらの結果により、再発を止めるために、IL-2、IL-4R、IL-6、IL-10、INF-γ、TNFα、またはICAM-1に対する市販の抗体を用いる、感冒誘発性再発の影響を受けやすい個体の早期処置に関する将来の臨床研究が促進される。
前記抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬が、抗IL-4R、抗IL-6、抗IL-6受容体、抗TNFα、可溶性TNF受容体、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
前記抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬が、インフリキシマブ(REMICADE(登録商標))、アダリムマブ(HUMIRA(登録商標))、セルトリズマブペゴル(CIMZIA(登録商標))、エタネルセプト(ENBREL(登録商標))、シルツキシマブ(SYLVANT(登録商標))、トシリズマブ(ACTEMRA(登録商標))、デュピルマブ(DUPIXENT(登録商標))、アフェリモマブ、ベルサンリマブ、クラザキズマブ、フォントリズマブ、ゴリムマブ、ネレリモマブ、オロキズマブ、オゾラリズマブ、パスコリズマブ、プラクルマブ、サペリズマブ、サリルマブ、ボバリリズマブ、それらの組み合わせ、それらの誘導体、またはそれらのアナログのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
前記糸球体疾患が、微小変化型疾患、巣状分節性糸球体硬化症、膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎、糖尿病性腎症、またはループス腎炎を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
ウイルス感染が、ライノウイルス、ヒトコロナウイルス、アデノウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ライノウイルス以外のエンテロウイルス、パラインフルエンザウイルス、メタニューモウイルス、インフルエンザ、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
前記抗サイトカイン抗体、抗受容体抗体、可溶性受容体、または遮断薬が、抗IL-2、抗IL-6、抗IL-10、抗INF-γ、抗TNFα、抗IL-4R、抗ICAM-1、またはそれらの組み合わせを含む、請求項15に記載の医薬組成物。