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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084882
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】トナー用ワックス組成物
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/097 20060101AFI20240619BHJP
【FI】
G03G9/097 365
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199039
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】清水 湧太郎
(72)【発明者】
【氏名】吉村 健司
(72)【発明者】
【氏名】森重 貴裕
【テーマコード(参考)】
2H500
【Fターム(参考)】
2H500AA08
2H500BA26
2H500CA30
2H500EA42C
(57)【要約】
【課題】トナーの耐擦過性と低温定着性を向上させることができ、トナーの保存安定性を良好にし、高温高湿環境でのトナーの耐擦過性及び低温定着性の悪化を抑制するトナー用ワックス組成物を提供する。
【解決手段】炭素数12~28の直鎖飽和アルコールと炭素数12~28の直鎖飽和脂肪酸との脂肪酸エステル(A)、2価以上6価以下の多価アルコールと炭素数12~28の直鎖飽和脂肪酸との脂肪酸エステル(B)、2価以上6価以下の多価アルコールと炭素数12~28の直鎖飽和脂肪酸との脂肪酸部分エステル(C)、及び炭素数12~28の直鎖飽和アルコール(D)を含み、(A)と(B)との質量比が90:10~10:90、(C)と(D)との質量比が90:10~10:90、(A)及び(B)の総量と(C)及び(D)の総量との質量比が99.9:0.1~70:30である、トナー用ワックス組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素数12~28の直鎖飽和アルコールと炭素数12~28の直鎖飽和脂肪酸との脂肪酸エステル(A)、2価以上6価以下の多価アルコールと炭素数12~28の直鎖飽和脂肪酸との脂肪酸エステル(B)、2価以上6価以下の多価アルコールと炭素数12~28の直鎖飽和脂肪酸との脂肪酸部分エステル(C)、及び炭素数12~28の直鎖飽和アルコール(D)を含み、
前記脂肪酸エステル(A)と前記脂肪酸エステル(B)との質量比が90:10~10:90であり、
前記脂肪酸部分エステル(C)と前記直鎖飽和アルコール(D)との質量比が90:10~10:90であり、
前記脂肪酸エステル(A)及び前記脂肪酸エステル(B)の総量と、前記脂肪酸部分エステル(C)及び前記直鎖飽和アルコール(D)の総量との質量比が99.9:0.1~70:30である、トナー用ワックス組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、レーザープリンタなどの画像形成装置において、電子写真法や静電記録法などで記録される静電荷像の現像に使用されるトナーに対して好適に用いられるトナー用ワックス組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンターなどの画像形成装置に使用されるトナーは、バインダー樹脂となる熱可塑性樹脂(以下、単に「樹脂」ともいう。)に、着色剤(カーボンブラック、磁性粉、顔料など)、荷電制御剤、ワックスを含み、必要に応じて、流動性付加剤、クリーニング助剤、転写助剤等を更に含む。この中で、ワックスは定着時にトナーが定着ロールに残存すること(フィルミング)を防止するとともに、樹脂の軟化を促進して定着性を向上させる機能を有する。
近年、トナーは世界的な環境意識の高まりによる消費電力の低減や印刷速度の高速化に対応するため、定着温度の低温化が重視されており、トナーの低温定着性を向上させるワックスが求められている。
【0003】
樹脂の溶融温度を下げることで、トナーの低温定着性を向上させることができるため、トナーの低温定着性を向上させる方法の一つとして、ワックスの低融点化が挙げられる。一方、ワックスの融点が下がることで、トナーの保存中にワックスがトナー表面へ溶出し、トナー粒子同士がブロッキングしてしまう問題がある。これに対し、特許文献1では、トナーの低温定着性と保存安定性を両立させるトナー用ワックスが開示されている。
【0004】
また、印刷速度の高速化から、印刷物同士が接触する頻度が高くなり、摩擦や荷重により印字画像が削られてしまうため、耐擦過性に優れるトナーも望まれている。特許文献1に開示されているワックスは、耐擦過性の検討がなされておらず、当該ワックスを含有するトナーは十分な耐擦過性を有しない可能性がある。これに対し、特許文献2には、特定の離型剤(ワックス)を含有することにより、低温定着性と印刷画像の耐擦過性に優れるトナーが開示されている。
【0005】
また近年では、複写機やプリンター等が新興国で急速に普及してきている。新興国に分類される国々は先進国に比べてはるかに高温高湿な環境であることが多く、カートリッジ内のトナーが水分を吸着しやすくなり、性能不良等が懸念されている。そのため、高温高湿な環境下においても保存安定性に優れ且つ性能を維持することができるトナーが求められている。特許文献3には、バインダー樹脂として、結晶性ポリエステル樹脂成分と、特定の非結晶性ポリエステル樹脂成分とを含有することにより、高温多湿環境に晒された後でも低温定着性に優れるトナーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-122425号公報
【特許文献2】特開2005-157039号公報
【特許文献3】特開2022-43977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2に開示されているトナーは、高温高湿条件における検討がなされておらず、高温高湿環境では性能が十分に発揮されない可能性がある。
特許文献3に開示されているトナーは、高温高湿環境に晒された後でも低温定着性を維持できるものの、耐擦過性については検討がなされておらず、高温高湿環境に晒された後に十分な耐擦過性を有しない可能性がある。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、トナーの耐擦過性と低温定着性を向上させることができ、トナーの保存安定性を良好にし、高温高湿環境でのトナーの耐擦過性及び低温定着性の悪化を抑制することができるトナー用ワックス組成物の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定の脂肪酸エステルの混合物、脂肪酸部分エステル、及び直鎖飽和アルコールの組み合わせを含むワックス組成物が、トナーの耐擦過性と低温定着性を向上させ、高温高湿環境において、トナー同士のブロッキングを抑制し且つトナーの耐擦過性と低温定着性の性能を維持することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明のトナー用ワックス組成物は、炭素数12~28の直鎖飽和アルコールと炭素数12~28の直鎖飽和脂肪酸との脂肪酸エステル(A)、2価以上6価以下の多価アルコールと炭素数12~28の直鎖飽和脂肪酸との脂肪酸エステル(B)、2価以上6価以下の多価アルコールと炭素数12~28の直鎖飽和脂肪酸との脂肪酸部分エステル(C)、及び炭素数12~28の直鎖飽和アルコール(D)を含み、
前記脂肪酸エステル(A)と前記脂肪酸エステル(B)との質量比が90:10~10:90であり、
前記脂肪酸部分エステル(C)と前記直鎖飽和アルコール(D)との質量比が90:10~10:90であり、
前記脂肪酸エステル(A)及び前記脂肪酸エステル(B)の総量と、前記脂肪酸部分エステル(C)及び前記直鎖飽和アルコール(D)の総量との質量比が99.9:0.1~70:30である、トナー用ワックス組成物である。
【発明の効果】
【0011】
本発明のトナー用ワックス組成物は、トナーの耐擦過性と低温定着性を向上させ、高温高湿環境において、トナー同士のブロッキングを抑制し且つトナーの耐擦過性と低温定着性の悪化を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を説明する。なお、本明細書において記号「~」を用いて規定された数値範囲は「~」の両端(上限及び下限)の数値を含むものとする。例えば「2~10」は2以上10以下の範囲を表す。
【0013】
本発明のトナー用ワックス組成物は、下記に示す脂肪酸エステル(A)、脂肪酸エステル(B)、脂肪酸部分エステル(C)、及び直鎖飽和アルコール(D)を含有する。以下、各成分について説明する。
【0014】
〔脂肪酸エステル(A)〕
脂肪酸エステル(A)は、炭素数12~28の直鎖飽和アルコールと、炭素数12~28の直鎖飽和脂肪酸とのエステル化物である。
脂肪酸エステル(A)は、中でも、炭素数12~28の直鎖飽和一価アルコールと、炭素数12~28の直鎖飽和モノカルボン酸とのモノエステルであることが好ましい。
上記炭素数12~28の直鎖飽和アルコールは、好ましくは炭素数14~26であり、より好ましくは炭素数16~24であり、さらに好ましくは炭素数18~22である。
上記炭素数12~28の直鎖飽和アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、リグノセリルアルコール、オクタコサノール等を挙げることができる。中でも、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、及びベヘニルアルコール等の炭素数18~22の直鎖飽和一価アルコールが好ましい。
上記炭素数12~28の直鎖飽和脂肪酸は、好ましくは炭素数14~26であり、より好ましくは炭素数16~24であり、さらに好ましくは炭素数18~22である。
上記炭素数12~28の直鎖飽和脂肪酸としては、例えば、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、オクタコサン酸等が挙げられる。中でも、ステアリン酸、アラキジン酸、及びベヘン酸等の炭素数18~22の直鎖飽和モノカルボン酸が好ましい。
【0015】
脂肪酸エステル(A)は、保存安定性の観点から、酸価が、好ましくは5mgKOH/g以下、より好ましくは3mgKOH/g以下、さらに好ましくは1mgKOH/g以下である。
また、脂肪酸エステル(A)は、保存安定性の観点から、水酸基価が、好ましくは5mgKOH/g以下、より好ましくは3mgKOH/g以下、更に好ましくは1mgKOH/g以下である。
なお、酸価はJOCS(日本油化学会)2.3.1-1996に準拠して測定することができ、水酸基価はJOCS(日本油化学会)2.3.6.2-1996に準拠して測定することができる。
【0016】
〔脂肪酸エステル(B)〕
脂肪酸エステル(B)は、2価以上6価以下の多価アルコールと、炭素数12~28の直鎖飽和脂肪酸とのエステル化物である。
脂肪酸エステル(B)は、中でも、2価以上6価以下の多価アルコールと、炭素数12~28の直鎖飽和モノカルボン酸との多価エステルであることが好ましい。
上記2価以上6価以下の多価アルコールは、好ましくは3価以上6価以下であり、より好ましくは4価である。
上記多価アルコールは、脂肪族多価アルコールであることが好ましく、炭素数3~10の脂肪族多価アルコールであることがより好ましい。
上記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、2,4-ジメチル-2-エチルヘキサン-1,3-ジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-イソブチル-1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオール等の二価アルコール;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の三価アルコール;ペンタエリスリトール、エリスリトール、ジグリセリン等の四価アルコール;キシリトール等の五価アルコール;ソルビトール、ジペンタエリスリトール等の六価アルコール等を挙げることができる。中でも、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ジグリセリン等の炭素数3~10の脂肪族四価アルコールが好ましく、ペンタエリスリトールが特に好ましい。
脂肪酸エステル(B)における炭素数12~28の直鎖飽和脂肪酸については、上記脂肪酸エステル(A)における炭素数12~28の直鎖飽和脂肪酸と同様である。
また、脂肪酸エステル(B)の酸価及び水酸基価は、上記脂肪酸エステル(A)と同様である。
【0017】
〔脂肪酸部分エステル(C)〕
脂肪酸部分エステル(C)は、2価以上6価以下の多価アルコールと、炭素数12~28の直鎖飽和脂肪酸との部分エステル化物である。
脂肪酸部分エステル(C)における2価以上6価以下の多価アルコールについては、上記脂肪酸エステル(B)における2価以上6価以下の多価アルコールと同様であり、脂肪酸部分エステル(C)における炭素数12~28の直鎖飽和脂肪酸については、上記脂肪酸エステル(A)における炭素数12~28の直鎖飽和脂肪酸と同様である。
脂肪酸部分エステル(C)は、上記多価アルコールのアルコール価数をNとしたとき、1分子中のエステル基の数が、N-1個またはN-2個であることが好ましく、N-1個であることがより好ましい。脂肪酸部分エステル(C)は、上記多価アルコールが四価アルコールであり、1分子中のエステル基の数が3個であることが特に好ましい。
【0018】
脂肪酸部分エステル(C)は、トナーの低温定着性及び耐ブロッキング性を向上し、高温高湿環境におけるトナーの耐擦過性及び低温定着性の悪化を抑制する点から、水酸基価が、下限としては、好ましくは10mgKOH/g以上、より好ましくは20mgKOH/g以上、更に好ましくは30mgKOH/g以上であり、上限としては、好ましくは200mgKOH/g以下、より好ましくは150mgKOH/g以下、更に好ましくは80mgKOH/g以下である。
なお、脂肪酸部分エステル(C)の酸価については、上記脂肪酸エステル(A)と同様である。
【0019】
上記脂肪酸エステル(A)、脂肪酸エステル(B)、及び脂肪酸部分エステル(C)の製造方法としては、例えば、酸化反応による合成法、脂肪酸やその誘導体からの合成、アルコールと脂肪酸との脱水縮合反応を利用する方法、酸ハロゲン化物とアルコールとの反応を利用する方法、エステル交換反応を利用する方法等が挙げられる。反応の際には、触媒を使用してもよい。触媒としては、エステル化反応に用いる一般の酸性又はアルカリ性触媒、例えば酢酸亜鉛、チタン化合物等が挙げられる。上記脂肪酸エステル(A)、脂肪酸エステル(B)、及び脂肪酸部分エステル(C)は、例えば、上述したアルコール又はその誘導体と、上述した脂肪酸又はその誘導体とを原料としたエステル化反応により得られ、典型的には、上述したアルコールと脂肪酸との脱水縮合反応により得られる。
上記脂肪酸エステル(A)及び(B)を得る場合には、原料アルコールの水酸基(-OH)と原料脂肪酸のカルボキシ基(-COOH)とのモル比が1:1となるように、又は、水酸基又はカルボキシ基のうちいずれか一方が若干過剰になるように、原料アルコールと原料脂肪酸とを反応させることが好ましい。
上記脂肪酸部分エステル(C)を得る場合には、原料アルコールの水酸基(-OH)と原料脂肪酸のカルボキシ基(-COOH)とのモル比が、目的とする脂肪酸部分エステルが得られる比率となるように、原料アルコールと原料脂肪酸とを反応させることが好ましい。例えば、四価アルコールとモノカルボン酸との反応により、1分子中のエステル基の数が3個である脂肪酸部分エステルを得る場合は、COOH/OHのモル比が3/4となるように、四価アルコールとモノカルボン酸とを反応させることが好ましい。
なお、エステル化反応の後に、アルカリ性水溶液による脱酸工程が適宜行われてもよく、さらに、再結晶法、蒸留法、溶剤抽出法などにより高純度化させてもよい。
【0020】
〔直鎖飽和アルコール(D)〕
直鎖飽和アルコール(D)は、炭素数12~28の直鎖飽和アルコールである。直鎖飽和アルコール(D)については、上記脂肪酸エステル(A)における炭素数12~28の直鎖飽和アルコールと同様である。
【0021】
〔トナー用ワックス組成物〕
本発明のトナー用ワックス組成物は、上述した脂肪酸エステル(A)、脂肪酸エステル(B)、脂肪酸部分エステル(C)、及び直鎖飽和アルコール(D)を、下記の質量比となるように混合したものである。特許文献1~3に開示されるように、トナー用ワックスとして、脂肪酸エステルは従来使用されている。本発明のトナー用ワックス組成物は、特定の脂肪酸エステルの混合物に、更に、特定の脂肪酸部分エステルと直鎖飽和アルコールとを特定量混合したことにより、脂肪酸エステルのみからなるトナー用ワックスに比べて、トナーの低温定着性を向上することができ、高温高湿環境において、トナー同士のブロッキングを抑制し且つトナーの耐擦過性と低温定着性の悪化を抑制することができる。
【0022】
脂肪酸エステル(A)と脂肪酸エステル(B)との質量比(脂肪酸エステル(A):脂肪酸エステル(B))は90:10~10:90であり、好ましくは80:20~20:80、より好ましくは60:40~40:60である。脂肪酸エステル(A)と脂肪酸エステル(B)との質量比が上記範囲内であると、トナーの耐擦過性と低温定着性を向上させる効果に優れ、また、ワックス組成物中の脂肪酸部分エステル(C)及び直鎖飽和アルコール(D)による効果が得られやすい。
【0023】
脂肪酸部分エステル(C)と直鎖飽和アルコール(D)との質量比(脂肪酸部分エステル(C):直鎖飽和アルコール(D))は90:10~10:90であり、好ましくは80:20~20:80、より好ましくは60:40~40:60である。脂肪酸部分エステル(C)と直鎖飽和アルコール(D)との質量比が上記範囲内であると、トナーの低温定着性が向上し、高温高湿環境において、トナーの耐ブロッキング性が向上し且つ耐擦過性及び低温定着性の悪化が抑制される。
【0024】
脂肪酸エステル(A)及び脂肪酸エステル(B)の総量と、脂肪酸部分エステル(C)及び直鎖飽和アルコール(D)の総量との質量比(脂肪酸エステル(A)及び脂肪酸エステル(B)の総量:脂肪酸部分エステル(C)及び直鎖飽和アルコール(D)の総量)は99.9:0.1~70:30であり、好ましくは99.5:0.5~80:20、より好ましくは98:2~90:10である。脂肪酸エステル(A)及び脂肪酸エステル(B)の総量と、脂肪酸部分エステル(C)及び直鎖飽和アルコール(D)の総量との質量比が上記範囲内であると、トナーの低温定着性が向上し、また、高温高湿環境において、トナーの耐ブロッキング性が向上し且つ耐擦過性及び低温定着性の悪化が抑制される。
【0025】
また、本発明のトナー用ワックス組成物においては、脂肪酸部分エステル(C)の含有量が、下限としては、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上であり、上限としては、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。脂肪酸部分エステル(C)の含有量が上記範囲内であると、トナーの低温定着性が向上し、また、高温高湿環境において、トナーの耐ブロッキング性が向上し且つ耐擦過性及び低温定着性の悪化が抑制される。
【0026】
本発明のトナー用ワックス組成物を得るには、上述した脂肪酸エステル(A)、脂肪酸エステル(B)、脂肪酸部分エステル(C)、直鎖飽和アルコール(D)をそれぞれ合成した後に混合してもよいし、反応上可能なものは一括で合成してもよい。混合する場合は、脂肪酸エステル(A)、脂肪酸エステル(B)、脂肪酸部分エステル(C)、及び直鎖飽和アルコール(D)を、融点以上の温度で加熱溶解して均一に混合後、冷却固化して粉砕または造粒することにより、本発明のトナー用ワックス組成物を製造することが好ましい。
【0027】
本発明のトナー用ワックス組成物は、バインダー樹脂、着色剤、荷電制御剤等と共にトナーに含有される。本発明のトナー用ワックス組成物を含有するトナーは、通常の製法によって製造される。
トナーに含まれる本発明のトナー用ワックス組成物の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1~15質量部である。
本発明のトナー用ワックス組成物は、1種単独で、あるいは2種類以上を組み合わせてトナーに含有される。
【0028】
バインダー樹脂は特に限定されず、トナーのバインダー樹脂として従来用いられているもの、例えば、スチレン樹脂、アクリル酸エステル樹脂、スチレン-アクリル酸エステル共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。
着色剤も特に限定されず、トナーの着色剤として従来用いられているもの、例えば、カーボンブラック、磁性粉、様々な色の顔料等を用いることができる。
【実施例0029】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
【0030】
[製造例A1:脂肪酸エステル(A1)の調製]
温度計、窒素導入管、攪拌羽および冷却管を取り付けた4つ口フラスコに、COOH(mol)/OH(mol)=1.05となるように、原料アルコールとしてベヘニルアルコール420g(1.27mol)、原料脂肪酸としてステアリン酸379.5g(1.33mol)を加え、窒素気流下、250℃でエステル化反応を行った。
得られたエステル化粗生成物は777gであり、酸価が4.6mgKOH/gであった。
このエステル粗生成物に2-プロパノール126gを入れ、エステル化粗生成物の残存酸価の2.0倍当量に相当する量の水酸化カリウムを含む10%水酸化カリウム水溶液を加え、70℃で30分間攪拌した。その後、30分間静置し、水層部を除去して脱酸工程を終了した。
次いで、脱酸工程後のエステル化粗生成物100重量部に対して40重量部のイオン交換水を入れて、70℃で30分間攪拌した後、30分間静置して水層部を分離、除去した。排水のpHが中性になるまで水洗を4回繰り返した。残ったエステル層を180℃、1kPaの減圧条件下で溶媒を留去し、濾過を行い、ステアリン酸ベヘニル(脂肪酸エステル(A1))を758g得た。
【0031】
[製造例A2:脂肪酸エステル(A2)の調製]
原料脂肪酸を同モル量のベヘニン酸に変更した以外は、製造例A1と同様にして、ベヘニン酸ベヘニル(脂肪酸エステル(A2))を得た。
【0032】
[製造例A3:脂肪酸エステル(A3)の調製]
原料アルコールを同モル量のラウリルアルコールに変更し、原料脂肪酸を同モル量のオクタコサン酸に変更した以外は、製造例A1と同様にして、オクタコサン酸ラウリル(脂肪酸エステル(A3))を得た。
【0033】
なお、脂肪酸エステル(A1)~(A3)は、いずれも酸価が1mgKOH/g以下であり、水酸基価が1mgKOH/g以下であった。
【0034】
【表1】
【0035】
[製造例B1:脂肪酸エステル(B1)の調製]
温度計、窒素導入管、攪拌羽および冷却管を取り付けた4つ口フラスコに、COOH(mol)/OH(mol)=1.04となるように、原料アルコールとしてペンタエリスリトール80g(0.6mol)、原料脂肪酸としてステアリン酸701.9g(2.5mol)を加え、窒素気流下、250℃でエステル化反応を行った。
得られたエステル化粗生成物は740gであり、酸価が8.9mgKOH/gであった。
このエステル粗生成物にトルエン148g及び2-プロパノール126gを入れ、エステル化粗生成物の残存酸価の2.0倍当量に相当する量の水酸化カリウムを含む10%水酸化カリウム水溶液を加え、70℃で30分間攪拌した。その後、30分間静置して水層部を除去して脱酸工程を終了した。
次いで、脱酸工程後のエステル化粗生成物100重量部に対して40重量部のイオン交換水を入れて、70℃で30分間攪拌した後、30分間静置して水層部を分離、除去した。排水のpHが中性になるまで水洗を4回繰り返した。残ったエステル層を180℃、1kPaの減圧条件下で溶媒を留去し、濾過を行い、ペンタエリスリトールテトラステアレート(脂肪酸エステル(B1))を721g得た。
【0036】
[製造例B2:脂肪酸エステル(B2)の調製]
原料脂肪酸を同モル量のベヘニン酸に変更した以外は、製造例B1と同様にして、ペンタエリスリトールテトラベヘネート(脂肪酸エステル(B2))を得た。
【0037】
[製造例B3:脂肪酸エステル(B3)の調製]
原料脂肪酸を同モル量のミリスチン酸に変更した以外は、製造例B1と同様にして、ペンタエリスリトールテトラミリステート(脂肪酸エステル(B3))を得た。
【0038】
なお、脂肪酸エステル(B1)~(B3)は、いずれも酸価が1mgKOH/g以下であり、水酸基価が1mgKOH/g以下であった。
【0039】
【表2】
【0040】
[製造例C1:脂肪酸部分エステル(C1)の調製]
温度計、窒素導入管、攪拌羽および冷却管を取り付けた4つ口フラスコに、COOH(mol)/OH(mol)=0.75となるように、原料アルコールとしてペンタエリスリトール110g(0.81mol)、原料脂肪酸としてステアリン酸689.5g(2.42mol)を加え、窒素気流下、250℃でエステル化反応を行った。得られたエステル化粗生成物をカラム精製し、ペンタエリスリトールトリステアレート(脂肪酸部分エステル(C1))を540g得た。
【0041】
[製造例C2:脂肪酸部分エステル(C2)の調製]
原料脂肪酸を同モル量のミリスチン酸に変更した以外は、製造例C1と同様にして、ペンタエリスリトールトリミリステート(脂肪酸部分エステル(C2))を得た。
【0042】
なお、脂肪酸部分エステル(C1)~(C2)は、いずれも酸価が1mgKOH/g以下であり、水酸基価が30~80mgKOH/gの範囲内であった。
【0043】
【表3】
【0044】
[直鎖飽和アルコール(D)]
直鎖飽和アルコール(D1)として、Godrej社製のベヘニルアルコール(製品名GINOL 2298)を準備した。
直鎖飽和アルコール(D2)として、日油株式会社製のミリスチルアルコール(製品名NAA-43)を準備した。
【0045】
【表4】
【0046】
[実施例1]
脂肪酸エステル(A1)を49g、脂肪酸エステル(B1)を49g、脂肪酸部分エステル(C1)を1.6g、直鎖飽和アルコール(D1)を0.4g取り、90℃で加熱溶解して均一になるように混合し、冷却、固化後、粉砕して、ワックス組成物1を得た。
【0047】
[実施例2]
脂肪酸エステル(A1)を49.75g、脂肪酸エステル(B1)を49.75g、脂肪酸部分エステル(C1)を0.25g、直鎖飽和アルコール(D1)を0.25g取り、90℃で加熱溶解して均一になるように混合し、冷却、固化後、粉砕して、ワックス組成物2を得た。
【0048】
[実施例3]
脂肪酸エステル(A2)を45g、脂肪酸エステル(B2)を45g、脂肪酸部分エステル(C1)を5g、直鎖飽和アルコール(D1)を5g取り、ワックス組成物1と同様にしてワックス組成物3を得た。
【0049】
[実施例4]
脂肪酸エステル(A1)を81g、脂肪酸エステル(B1)を9g、脂肪酸部分エステル(C1)を5g、直鎖飽和アルコール(D1)を5g取り、90℃で加熱溶解して均一になるように混合し、冷却、固化後、粉砕して、ワックス組成物4を得た。
【0050】
[実施例5]
脂肪酸エステル(A1)を9g、脂肪酸エステル(B1)を81g、脂肪酸部分エステル(C1)を5g、直鎖飽和アルコール(D1)を5g取り、90℃で加熱溶解して均一になるように混合し、冷却、固化後、粉砕して、ワックス組成物5を得た。
【0051】
[実施例6]
脂肪酸エステル(A1)を45g、脂肪酸エステル(B1)を45g、脂肪酸部分エステル(C2)を5g、直鎖飽和アルコール(D2)を5g取り、ワックス組成物1と同様にしてワックス組成物6を得た。
【0052】
[実施例7]
脂肪酸エステル(A1)を35g、脂肪酸エステル(B1)を35g、脂肪酸部分エステル(C1)を6g、直鎖飽和アルコール(D1)を24g取り、ワックス組成物1と同様にしてワックス組成物7を得た。
【0053】
[実施例8]
脂肪酸エステル(A1)を45g、脂肪酸エステル(B3)を45g、脂肪酸部分エステル(C1)を5g、直鎖飽和アルコール(D1)を5g取り、ワックス組成物1と同様にしてワックス組成物8を得た。
【0054】
[実施例9]
脂肪酸エステル(A3)を45g、脂肪酸エステル(B1)を45g、脂肪酸部分エステル(C1)を5g、直鎖飽和アルコール(D1)を5g取り、ワックス組成物1と同様にしてワックス組成物9を得た。
【0055】
[比較例1]
脂肪酸エステル(A1)を50g、脂肪酸エステル(B1)を50g取り、ワックス組成物1と同様にしてワックス組成物10を得た。
【0056】
[比較例2]
脂肪酸エステル(A1)を25g、脂肪酸エステル(B1)を25g、脂肪酸部分エステル(C1)を25g、直鎖飽和アルコール(D1)を25g取り、ワックス組成物1と同様にしてワックス組成物11を得た。
【0057】
【表5】
【0058】
[評価]
各実施例および比較例で得られたワックス組成物1~11を用いて、下記の手順により樹脂粉末1~11及び樹脂ペレット1~11を作製し、それぞれ以下のようにして評価を行った。評価結果を表6に示す。
【0059】
<樹脂組成物の作製>
ポリエステル樹脂(三菱ケミカル株式会社製、ダイヤクロンFC-1565)77.6gと、ワックス組成物2.4gとの混合物(ワックス組成物の含有量:3質量%)を下記条件で混錬し、樹脂組成物を作製した。
ポリエステル樹脂とワックス組成物とを混合する際には、混錬機として、東洋精機製作所製、製品名:ラボプラストミル(登録商標)、型式:4C150-01を用い、上記混合物量80g、温度130℃、回転数80rpm、混練時間5分とした。
【0060】
<樹脂粉末の作製>
上記で作製した樹脂組成物(混練物)をミキサーで粉砕後、目開き100μmのふるいにかけ、樹脂粉末を得た。
【0061】
<樹脂ペレットの作製>
上記で作製した樹脂粉末3gを、錠剤成形機を用いて、荷重10t、成形時間60秒の条件で成形し、直径25mm、厚さ5mmの樹脂ペレットを作製した。
【0062】
(1)耐擦過性
樹脂ペレットを160℃に熱したホットプレートにて、荷重500gをかけて5秒間加熱後、室温まで冷却させた。加熱側の面に対して、バウデン試験機を用いて下記試験条件で摩擦試験を行った。
(試験条件)
鋼球:直径3mm、荷重:500g、速度:10mm/s、測定距離:10mm、回数:1000回
摩擦試験後のペレット表面について接触式膜厚計で摩耗深さを測定し、摩耗深さに基づいて耐擦過性を評価した。評価基準は下記の通りである。
(評価基準)
◎:摩耗深さが20μm未満
○:摩耗深さが20μm以上50μm未満
△:摩耗深さが50μm以上100μm未満
×:摩耗深さが100μm以上
【0063】
(2)低温定着性
樹脂ペレットについて、タッキング試験機を用いて下記試験条件でタック力を測定した。具体的には、下記荷重で樹脂ペレットにプローブを押し当て、所定時間保持した後、引き剥がすときにかかる力をタック力とした。
(試験条件)
プローブ:金属プローブ接触面にテフロン(登録商標)シールを張り付けたもの、プローブ温度:130℃、押し当て時間:0.05秒、荷重:20N
130℃での樹脂ペレットのタック力が小さいほど、低温定着性に優れると評価できる。評価基準は下記の通りである。
(評価基準)
◎:タック力が300gf未満
○:タック力が300gf以上350gf未満
△:タック力が350gf以上400gf未満
×:タック力が400gf以上
【0064】
(3)高温高湿放置後耐ブロッキング性
樹脂粉末10gをガラスバイアルに入れ、40℃、90%RHの高温高湿条件下で72時間放置した。バイアルをひっくり返し、力を加えることなく樹脂粉末を取り出した。その際にバイアルに沈着することなく流出し且つ粒径が100μm以下に保たれている樹脂粉末の質量Xを測定した。当該質量Xから、下記計算式より耐ブロッキング率を算出し、耐ブロッキング性を評価した。評価基準は下記の通りである。
耐ブロッキング率(%)={X(g)/10(g)}×100
(評価基準)
◎:耐ブロッキング率が90%以上
○:耐ブロッキング率が80%以上90%未満
△:耐ブロッキング率が70%超過80%未満
×:耐ブロッキング率が70%以下
【0065】
(4)高温高湿放置後耐擦過性
40℃、90%RHの高温高湿条件下で72時間放置した後の樹脂粉末を用いて、上記と同様に樹脂ペレットを作製した。作製した樹脂ペレットについて、上記と同様にして摩耗深さを測定した。高温高湿条件下で放置する前の樹脂粉末を用いたときの摩耗深さD1(μm)と、高温高湿条件下で放置した後の樹脂粉末を用いたときの摩耗深さD2(μm)を用いて、下記式より摩耗深さの変化率を算出した。
変化率(%)=(|D1-D2|/D1)×100
摩耗深さの変化率に基づいて高温高湿放置後の耐擦過性を評価した。評価基準は下記の通りである。
(評価基準)
◎:摩耗深さの変化率が3.0%未満
○:摩耗深さの変化率が3.0%以上5.0%未満
△:摩耗深さの変化率が5.0%以上10.0%未満
×:摩耗深さの変化率が10.0%以上
【0066】
(5)高温高湿放置後低温定着性
40℃、90%RHの高温高湿条件下で72時間放置した後の樹脂粉末を用いて、上記と同様に樹脂ペレットを作製した。作製した樹脂ペレットについて、上記と同様にしてタック力を測定した。高温高湿条件下で放置する前の樹脂粉末を用いたときのタック力T1(gf)と、高温高湿条件下で放置した後の樹脂粉末を用いたときのタック力T2(gf)を用いて、下記式よりタック力の変化率を算出した。
変化率(%)=(|T1-T2|/T1)×100
タック力の変化率に基づいて高温高湿放置後の低温定着性を評価した。評価基準は下記の通りである。
(評価基準)
◎:タック力の変化率が3.0%未満
○:タック力の変化率が3.0%以上5.0%未満
△:タック力の変化率が5.0%以上10.0%未満
×:タック力の変化率が10.0%以上
【0067】
【表6】
【0068】
表6中、括弧内の数値は、上記(1)~(5)の評価において得られた測定値又は算出値である。
表6に示すように、脂肪酸エステル(A)と脂肪酸エステル(B)との質量比が90:10~10:90であり、脂肪酸部分エステル(C)と直鎖飽和アルコール(D)との質量比が90:10~10:90であり、脂肪酸エステル(A)及び脂肪酸エステル(B)の総量と、脂肪酸部分エステル(C)及び直鎖飽和アルコール(D)の総量との質量比が99.9:0.1~70:30である、実施例1~9のワックス組成物1~9を含む樹脂粉末1~9又は樹脂ペレット1~9は、耐擦過性と低温定着性に優れており、高温高湿条件で保管した場合の耐ブロッキング性に優れ、高温高湿条件に晒された後も耐擦過性と低温定着性の悪化が抑制されていた。
【0069】
一方、脂肪酸部分エステル(C)及び直鎖飽和アルコール(D)を含有しない比較例1のワックス組成物10を含む樹脂粉末10又は樹脂ペレット10は、高温高湿条件で保管した場合の耐ブロッキング性に劣り、高温高湿条件に晒された後に耐擦過性と低温定着性が悪化した。
脂肪酸エステル(A)及び脂肪酸エステル(B)の総量と、脂肪酸部分エステル(C)及び直鎖飽和アルコール(D)の総量との質量比が50:50である、比較例2のワックス組成物11を含む樹脂粉末11又は樹脂ペレット11は、耐擦過性及び低温定着性に劣り、高温高湿条件で保管した場合の耐ブロッキング性に劣り、高温高湿条件に晒された後では耐擦過性及び低温定着性が更に悪化した。