(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084884
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】選択負荷遮断システム及び選択負荷遮断方法
(51)【国際特許分類】
H02J 3/14 20060101AFI20240619BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
H02J3/14
H02J3/38 180
H02J3/38 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199047
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522485844
【氏名又は名称】美和アキュテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112427
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 芳洋
(72)【発明者】
【氏名】鴫山 達也
(72)【発明者】
【氏名】木村 和彦
(72)【発明者】
【氏名】岡部 浩之
(72)【発明者】
【氏名】森岡 泉
(72)【発明者】
【氏名】古閑 丈朗
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 哲
(72)【発明者】
【氏名】三浦 諒
(72)【発明者】
【氏名】三石 尚武
【テーマコード(参考)】
5G066
【Fターム(参考)】
5G066HA11
5G066HB02
5G066KA04
5G066KD01
(57)【要約】
【課題】 電力会社の電力系統の系統周波数が低下した後、電力系統が解列した場合であっても適切に構内負荷を選択遮断することができる選択負荷遮断システムを提供する。
【解決手段】 電力会社の電力系統から構内に供給される受電電力を検出する受電電力検出手段と、前記構内に電力を供給する構内用発電機より発電される発電電力を検出する発電電力検出手段と、前記電力系統の解列時に、前記受電電力及び前記発電電力に基づいて前記電力系統及び前記構内用発電機から電力供給を受ける構内負荷群より予め定められる優先順位で構内負荷を選択し、選択された前記構内負荷に供給される電力を遮断する遮断手段と、を備える負荷選択遮断システムにおいて、前記電力系統の系統周波数低下の有無を判定する判定手段を備え、前記遮断手段は、前記判定手段により前記系統周波数の低下があったと判定された場合に、前記発電電力の最小値または前記最小値より所定量少ない値に基づいて前記構内負荷を選択する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力会社の電力系統から構内に供給される受電電力を検出する受電電力検出手段と、
前記構内に電力を供給する構内用発電機より発電される発電電力を検出する発電電力検出手段と、
前記電力系統の解列時に、前記受電電力及び前記発電電力に基づいて前記電力系統及び前記構内用発電機から電力供給を受ける構内負荷群より予め定められる優先順位で構内負荷を選択し、選択された前記構内負荷に供給される電力を遮断する遮断手段と、
を備える負荷選択遮断システムにおいて、
前記電力系統の系統周波数低下の有無を判定する判定手段を備え、
前記遮断手段は、前記判定手段により前記系統周波数の低下があったと判定された場合に、前記発電電力の最小値または前記最小値より所定量少ない値に基づいて前記構内負荷を選択することを特徴とする負荷選択遮断システム。
【請求項2】
前記発電電力の最小値は、前記電力系統の解列時から所定時間前までの間の最小値であることを特徴とする請求項1記載の負荷選択遮断システム。
【請求項3】
前記所定時間前までの間の前記発電電力を記憶する記憶手段を備え、
前記遮断手段は、前記記憶手段に記憶されている前記発電電力の最小値または前記最小値より所定量少ない値に基づいて前記構内負荷を選択することを特徴とする請求項2記載の負荷選択遮断システム。
【請求項4】
前記判定手段により前記系統周波数の低下があったと判定された場合に、前記遮断手段により遮断される電力は、前記構内負荷群に供給を要する電力から前記発電電力の最小値または前記最小値より所定量少ない値を減算した値以上の電力であることを特徴とする請求項1または2記載の負荷選択遮断システム。
【請求項5】
電力会社の電力系統から構内に供給される受電電力を検出する受電電力検出手段と、
前記構内に電力を供給する構内用発電機より発電される発電電力を検出する発電電力検出手段と、
前記電力系統の解列時に、前記受電電力及び前記発電電力に基づいて前記電力系統及び前記構内用発電機から電力供給を受ける構内負荷群より予め定められる優先順位で構内負荷を選択し、選択された前記構内負荷に供給される電力を遮断する遮断手段と、
を備える負荷選択遮断システムを用いて実行する負荷選択遮断方法において、
前記電力系統の系統周波数低下の有無を判定する判定工程と、
前記判定工程において前記系統周波数の低下があったと判定された場合に、前記構内用発電機による前記発電電力の最小値または前記最小値より所定量少ない値に基づいて前記構内負荷を選択し、選択された前記構内負荷に供給される電力を遮断する遮断工程と、
を含むことを特徴とする負荷選択遮断方法。
【請求項6】
前記発電電力の最小値は、前記電力系統の解列時から所定時間前までの間の最小値であることを特徴とする請求項5記載の負荷選択遮断方法。
【請求項7】
前記所定時間前までの間の前記発電電力を記憶する記憶工程を含み、
前記遮断工程は、前記記憶工程において記憶された前記発電電力の最小値または前記最小値より所定量少ない値に基づいて前記構内負荷を選択することを特徴とする請求項6記載の負荷選択遮断方法。
【請求項8】
前記判定工程において前記系統周波数の低下があったと判定された場合に、前記遮断工程において遮断される電力は、前記構内負荷群に供給を要する電力から前記発電電力の最小値または前記最小値より所定量少ない値を減算した値以上の電力であることを特徴とする請求項5または6記載の負荷選択遮断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力会社の電力系統及び構内用発電機により電力供給を受ける構内の電気設備において、電力会社の電力系統が解列した際に構内負荷を選択遮断する選択負荷遮断システム及び該選択負荷遮断システムを用いた選択負荷遮断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
構内の電気設備では、母線に電力会社の電力系統、構内用発電機及び複数の構内負荷を含む構内負荷群が接続されており、複数の構内負荷に電力会社の電力系統及び構内用発電機より電力が供給される。ところで、事故や地震等により電力会社の電力系統が解列した際、構内用発電機のみではすべての構内負荷に必要な電力を供給できず、停電する。したがって、電力を削減するために、構内負荷群から構内負荷を選択し遮断する選択負荷遮断を実行する(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電力系統の系統周波数が低下すると、構内用タービンを制御する制御装置の特性により構内用発電機の発電電力が増加し、構内用発電機の発電電力が増加することにより電力会社の電力系統からの受電電力が減少する。そして、電力系統の系統周波数低下により電力系統の遮断器が動作(トリップ)した場合には、電力会社の電力系統からの電力供給が停止する。
図4に示すグラフの破線を電力会社の電力系統からの受電電力、実線を構内用発電機により発電される発電電力、一点鎖線を電力系統の系統周波数としたとき、選択負荷遮断装置は、電力系統の系統周波数低下前(周波数f1(Hz))における電力系統からの受電電力P1(MW)でなく、電力系統の系統周波数低下後(周波数f2(Hz))における電力系統からの受電電力P2(MW)分の電力を削減するために、構内負荷群から構内負荷を選択し遮断する。
【0005】
選択負荷遮断後、構内負荷群は電力系統の系統周波数低下後における構内用発電機により発電される発電電力Pd2(MW)を必要とするため、構内用発電機は発電電力Pd2(MW)を供給し続ける必要がある。しかしながら、電力系統の系統周波数低下後において構内用発電機により発電される発電電力の増加(発電電力Pd1(MW)からPd2(MW)に増加)は構内用タービンの制御装置の特性によるものであり、構内用発電機は、発電電力Pd2(MW)を給電し続けると蒸気不足となるため、発電電力Pd2(MW)を短時間しか給電できない。したがって、構内用発電機の周波数が正常値、即ち周波数f2(Hz)から周波数f1(Hz)に回復することなく、構内用発電機の遮断器が動作(トリップ)し、構内の電気設備が停電するという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、電力会社の電力系統の系統周波数が低下した後、電力系統が解列した場合であっても適切に構内負荷を選択遮断することができる選択負荷遮断システム及び該選択負荷遮断システムを用いた選択負荷遮断方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の課題を解決するべく鋭意検討した結果、選択負荷遮断システムに電力系統の系統周波数低下の有無を判定する判定手段を設けることにより上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
本発明は、以下を提供する。
(1) 電力会社の電力系統から構内に供給される受電電力を検出する受電電力検出手段と、前記構内に電力を供給する構内用発電機より発電される発電電力を検出する発電電力検出手段と、前記電力系統の解列時に、前記受電電力及び前記発電電力に基づいて前記電力系統及び前記構内用発電機から電力供給を受ける構内負荷群より予め定められる優先順位で構内負荷を選択し、選択された前記構内負荷に供給される電力を遮断する遮断手段と、を備える負荷選択遮断システムにおいて、前記電力系統の系統周波数低下の有無を判定する判定手段を備え、前記遮断手段は、前記判定手段により前記系統周波数の低下があったと判定された場合に、前記発電電力の最小値または前記最小値より所定量少ない値に基づいて前記構内負荷を選択することを特徴とする負荷選択遮断システム。
(2) 前記発電電力の最小値は、前記電力系統の解列時から所定時間前までの間の最小値であることを特徴とする(1)記載の負荷選択遮断システム。
(3) 前記所定時間前までの間の前記発電電力を記憶する記憶手段を備え、前記遮断手段は、前記記憶手段に記憶されている前記発電電力の最小値または前記最小値より所定量少ない値に基づいて前記構内負荷を選択することを特徴とする(2)記載の負荷選択遮断システム。
(4) 前記判定手段により前記系統周波数の低下があったと判定された場合に、前記遮断手段により遮断される電力は、前記構内負荷群に供給を要する電力から前記発電電力の最小値または前記最小値より所定量少ない値を減算した値以上の電力であることを特徴とする(1)または(2)記載の負荷選択遮断システム。
(5) 電力会社の電力系統から構内に供給される受電電力を検出する受電電力検出手段と、前記構内に電力を供給する構内用発電機より発電される発電電力を検出する発電電力検出手段と、前記電力系統の解列時に、前記受電電力及び前記発電電力に基づいて前記電力系統及び前記構内用発電機から電力供給を受ける構内負荷群より予め定められる優先順位で構内負荷を選択し、選択された前記構内負荷に供給される電力を遮断する遮断手段と、を備える負荷選択遮断システムを用いて実行する負荷選択遮断方法において、前記電力系統の系統周波数低下の有無を判定する判定工程と、前記判定工程において前記系統周波数の低下があったと判定された場合に、前記構内用発電機による前記発電電力の最小値または前記最小値より所定量少ない値に基づいて前記構内負荷を選択し、選択された前記構内負荷に供給される電力を遮断する遮断工程と、を含むことを特徴とする負荷選択遮断方法。
(6) 前記発電電力の最小値は、前記電力系統の解列時から所定時間前までの間の最小値であることを特徴とする(5)記載の負荷選択遮断方法。
(7) 前記所定時間前までの間の前記発電電力を記憶する記憶工程を含み、前記遮断工程は、前記記憶工程において記憶された前記発電電力の最小値または前記最小値より所定量少ない値に基づいて前記構内負荷を選択することを特徴とする(6)記載の負荷選択遮断方法。
(8) 前記判定工程において前記系統周波数の低下があったと判定された場合に、前記遮断工程において遮断される電力は、前記構内負荷群に供給を要する電力から前記発電電力の最小値または前記最小値より所定量少ない値を減算した値以上の電力であることを特徴とする(5)または(6)記載の負荷選択遮断方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電力会社の電力系統の系統周波数が低下した後、電力系統が解列した場合であっても適切に構内負荷を選択遮断することができる選択負荷遮断システム及び該選択負荷遮断システムを用いた選択負荷遮断方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態に係る構内に設けられる電気設備の一例を示す図である。
【
図2】実施の形態に係る選択負荷遮断システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】実施の形態に係る構内に供給される電力系統及び構内用発電機の電力及び電力系統の周波数の変化を示すグラフである。
【
図4】実施の形態に係る構内に供給される電力系統及び構内用発電機の電力及び電力系統の周波数の変化を示すグラフである。
【
図5】実施の形態に係る選択負荷遮断システムを用いて電力系統解列時に構内負荷を選択遮断する際の処理について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態に係る選択負荷遮断システムについて説明する。
図1は、工場等の構内に設けられる電気設備の一例を示す図である。
図1に示すように、母線1には、電力会社の電力系統3が遮断器4を介して接続されている。また、母線1には、構内用発電機5が遮断器6を介して接続されている。即ち、構内用発電機5は、母線1を介して電力会社の電力系統3と接続されている。電力系統3及び構内用発電機5は、構内に電力を供給する。なお、この実施の形態では、説明の便宜上、構内に1つの構内用発電機5を備える場合を例に挙げているが、複数の構内用発電機を備えてもよい。更に、母線1には、構内負荷群7を構成する複数の構内負荷L1,L2,L3,…Ln(nは自然数)のそれぞれが遮断器B1,B2,B3,…Bnのそれぞれを介して接続されている。構内負荷L1,L2,L3,…Lnは、構内で使用される電気機器であって、電力系統3及び構内用発電機5から給電されることにより稼働する。
【0012】
図1に示す電気設備において、電力系統3が解列した際に構内負荷L1,L2,L3,…Lnを選択遮断する選択負荷遮断システム2が設けられている。
図2は、実施の形態に係る選択負荷遮断システム2の構成を示すブロック図である。選択負荷遮断システム2は、
図2に示すように、選択負荷遮断システム2の各部を統括的に制御する制御部10を備えている。制御部10には、受電電力検出部12、発電電力検出部14、周波数検出部15、電力記憶部16、優先順位管理テーブル18、及び遮断器B1,B2,B3,…Bnが接続されている。また、制御部10は、取得部20,判定部22、及び遮断部24を備えている。
【0013】
受電電力検出部12は、電力会社の電力系統3から構内に供給される受電電力を検出し、制御部10の取得部20に対して出力する。発電電力検出部14は、構内用発電機5より発電される発電電力を検出し、制御部10の取得部20に対して出力する。周波数検出部15は、電力会社の電力系統3の系統周波数を検出し、制御部10の取得部20に対して出力する。
【0014】
電力記憶部16は、現時点から少なくとも所定時間(この実施の形態では20分間)前までの間の構内用発電機5により発電された発電電力、即ち発電電力検出部14による検出結果を記憶する。
【0015】
優先順位管理テーブル18は、構内負荷群7を構成する構内負荷L1,L2,L3,…Lnの稼働に必要な電力及び選択遮断される優先順位を記憶する。優先順位は、構内負荷L1,L2,L3,…Lnの稼働に必要な電力及び重要度等を考慮した上で予め定められる。優先順位は、重要度が低い構内負荷から順に高く設定される。
【0016】
取得部20は、受電電力検出部12により検出される受電電力及び発電電力検出部14により検出される発電電力を取得する。判定部22は、電力系統3の解列時に、周波数検出部15により検出される電力系統3の周波数を取得し、取得結果から電力系統3の系統周波数低下の有無を判定する。
【0017】
遮断部24は、電力系統3の解列時に、受電電力及び発電電力に基づいて、構内負荷群7より予め定められた優先順位の高いものから順に構内負荷L1,L2,L3,…Lnを選択し、選択された構内負荷に供給される電力を遮断する。具体的には、
図3に示すグラフの破線を電力会社の電力系統3からの受電電力、実線を構内用発電機5により発電される発電電力、一点鎖線を電力系統3の系統周波数としたとき、判定部22により系統周波数fの低下がなかったと判定される。この場合、遮断部24は、受電電力検出部12により検出された電力系統3の解列時T1直前における受電電力P1(MW)の受電電力を取得部20より取得する。そして、遮断部24は、構内用発電機5のみの給電で構内負荷群7を無理なく稼働させるために選択遮断すべき電力(以下、選択遮断電力という。)≧受電電力P1(MW)となるように、優先順位管理テーブル18に記憶されている優先順位の高い構内負荷L1,L2,L3,…Lnから順に構内負荷を選択する。更に、遮断部24は、例えば構内負荷L1及びL2が選択された場合には、遮断器B1を介して構内負荷L1を、遮断器B2を介して構内負荷L2をそれぞれ遮断する。
【0018】
一方、
図4に示すグラフの破線を電力会社の電力系統3からの受電電力、実線を構内用発電機5により発電される発電電力、一点鎖線を電力系統3の系統周波数としたとき、判定部22により系統周波数の低下(周波数f1からf2に低下)があったと判定される。この場合、遮断部24は、電力記憶部16に記憶されている発電電力から、電力系統3の解列時T1から所定時間T前である時間T2までの間の最小値Pdmin(MW)を取得部20より取得する。なお、この実施の形態では、所定時間Tを20分間としているが、所定時間Tは20分間より短くてもよく、20分間より長くてもよい。遮断部24は、最小値Pdminに基づいて構内負荷L1,L2,L3,…Lnを選択する。即ち、遮断部24は、構内負荷群7(構内負荷L1,L2,L3,…Ln)が必要とする電力(全電力)から最小値Pdminを減算した値(減算値)を算出し、(選択遮断電力)≧減算値となるように、優先順位管理テーブル18に記憶されている優先順位の高い構内負荷L1,L2,L3,…Lnから順に構内負荷を選択する。更に、遮断部24は、例えば構内負荷L1,L2及びL3が選択された場合には、遮断器B1を介して構内負荷L1を、遮断器B2を介して構内負荷L2を、遮断器B3を介して構内負荷L3を、それぞれ遮断する。
【0019】
なお、この実施の形態では、遮断部24が最小値Pdminに基づいて構内負荷L1,L2,L3,…Lnを選択しているが、最小値Pdminより所定量少ない値(例えば最小値Pdminから所定量を減算した値、最小値Pdminの所定割合の値など)に基づいて構内負荷L1,L2,L3,…Lnを選択してもよい。
【0020】
次に、図面を参照して、この実施の形態に係る選択負荷遮断システム2を用いて、構内負荷L1,L2,L3,…Lnを選択遮断する選択負荷遮断方法について説明する。
図5は、選択負荷遮断システム2の制御部10が電力系統3の解列時に構内負荷L1,L2,L3,…Lnを選択し遮断するために実行する処理について説明するためのフローチャートである。
【0021】
制御部10は、受電電力検出部12により最新の受電電力(電力系統3から構内に供給される電力)に係る検出結果が出力される度に、この検出結果を取得部20において取得し、電力記憶部16に記憶させる。また、発電電力検出部14により最新の発電電力(構内用発電機5により発電される電力)に係る検出結果が出力される度に、この検出結果を取得部20において取得し、電力記憶部16に記憶させる。即ち、制御部10は、少なくとも所定時間T(
図4参照)前までの間の発電電力を電力記憶部16に記憶させる。
【0022】
電力会社の電力系統3が解列すると、制御部10は、周波数検出部15により検出された電力系統3の周波数を取得し、取得結果より電力系統3の系統周波数低下の有無を判定部22において判定する(ステップS10)。判定部22において電力系統3の系統周波数低下があったと判定された場合(ステップS10:Yes)、制御部10は、構内用発電機5により発電された発電電力の最小値(
図4に示すPdmin(MW))に基づいて、構内負荷L1,L2,L3,…Lnを選択し、選択された構内負荷に供給される選択遮断電力を遮断する。具体的には、制御部10は、解列時T1から所定時間T前である時間T2までの間の発電電力の最小値Pdmin(
図4参照)を電力記憶部16から読み込む(ステップS11)。
【0023】
次に、制御部10は、構内負荷群7(構内負荷L1,L2,L3,…Ln)が必要とする電力(全電力)から最小値Pdminを減算した値を算出する(ステップS12)。制御部10は、選択遮断電力がステップS12において算出した減算値以上となるように、優先順位管理テーブル18に記憶されている優先順位の高い構内負荷L1,L2,L3,…Lnから順に構内負荷を選択する(ステップS13)。例えば、優先順位が構内負荷L1,L2,L3,…Lnの順で高い場合、(構内負荷L1の稼働に必要な電力)≧減算値であれば、制御部10は、構内負荷L1を選択する。一方、(構内負荷L1の稼働に必要な電力)≦減算値であるが、(構内負荷L1及びL2の稼働に必要な電力の合計)≧減算値であれば、制御部10は、構内負荷L1及びL2を選択する。このように、制御部10は、選択遮断電力(構内負荷の稼働に必要な電力の合計)が減算値以上となるように、1つ以上の構内負荷を選択する。なお、ステップS13において、制御部10は、構内負荷群7に供給を要する電力から最小値Pdminを減算した値を算出しているが、構内負荷群7に供給を要する電力から最小値Pdminより所定量少ない値を減算した値を算出してもよい。
【0024】
次に、制御部10は、ステップS13において選択した構内負荷に供給される選択遮断電力を遮断する(ステップS14)。例えばステップS13において選択された構内負荷がL1,L2であった場合、制御部10は、遮断器B1に対して制御信号を出力し、遮断器B1を開放することにより構内負荷L1に供給される電力を遮断するとともに、遮断器B2に対して制御信号を出力し、遮断器B2を開放することにより構内負荷L2に供給される電力を遮断する。
【0025】
一方、判定部22において電力系統3の系統周波数低下がなかったと判定された場合(ステップS10:No)、制御部10は、受電電力に基づいて電力系統3及び構内用発電機5から電力供給を受ける構内負荷群7より予め定められた優先順位の高いものから順に構内負荷L1,L2,L3,…Lnを選択し、選択された構内負荷に供給される選択遮断電力を遮断する。具体的には、制御部10は、解列時T1直前の受電電力P1を電力記憶部16から読み込む(ステップS15)。
【0026】
次に、制御部10は、ステップS15において読み込んだ受電電力以上の電力を削減するために、優先順位管理テーブル18に記憶されている優先順位の高い構内負荷L1,L2,L3,…Lnから順に構内負荷を選択する(ステップS13)。例えば、優先順位が構内負荷L1,L2,L3,…Lnの順で高い場合、(構内負荷L1の稼働に必要な電力)≧(解列時T1直前の受電電力P1)であれば、制御部10は、構内負荷L1を選択する。一方、(構内負荷L1の稼働に必要な電力)≦(解列時T1直前の受電電力P1)であるが、(構内負荷L1及びL2の稼働に必要な電力)≧(解列時T1直前の受電電力P1)であれば、制御部10は、構内負荷L1及びL2を選択する。このように、制御部10は、選択遮断電力(構内負荷の稼働に必要な電力の合計)が解列時T1直前の受電電力P1以上となるように、1つ以上の構内負荷を選択する。
【0027】
次に、制御部10は、ステップS13において選択した構内負荷に供給される選択遮断電力を遮断する(ステップS14)。例えばステップS13において選択された構内負荷がL1,L2であった場合、制御部10は、遮断器B1に対して制御信号を出力し、遮断器B1を開放することにより構内負荷L1に供給される電力を遮断するとともに、遮断器B2に対して制御信号を出力し、遮断器B2を開放することにより構内負荷L2に供給される電力を遮断する。
【0028】
この実施の形態に係る選択負荷遮断システム2及び選択負荷遮断方法によれば、電力系統3の系統周波数が低下した後、電力会社の電力系統3が解列した場合であっても適切に構内負荷L1,L2,L3,…Lnを選択遮断することができる。即ち、解列時において構内用発電機5により発電される発電電力Pd2でなく、解列時から所定時間前までにおいて構内用発電機5により発電される発電電力の最小値Pdminに基づいて、構内負荷L1,L2,L3,…Lnを選択遮断するため、電力系統3の系統周波数低下後における解列であっても、構内用発電機5の周波数が回復することなく構内が停電することを防止することができる。
【符号の説明】
【0029】
1…母線、2…選択負荷遮断システム、3…電力系統、4…遮断器、5…構内用発電機、6…遮断器、7…構内負荷群、10…制御部、12…受電電力検出部、14…発電電力検出部、15…周波数検出部、16…電力記憶部、18…優先順位管理テーブル、20…取得部、22…判定部、24…遮断部、L1,L2,L3,…Ln…構内負荷、B1,B2,B3,…Bn…遮断器。