(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084887
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】車載部品の使用可能時間予測方法および使用可能時間予測装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240619BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199055
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】李 ウェン穎
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】ドライバーに対して、走行中の車載部品の使用に関する情報を適切に提供する。
【解決手段】使用可能時間予測装置は、使用可能時間予測部102を有し、使用可能時間予測部102は、走行時間計算部21、使用予定時間計算部22、使用可能時間計算部24および比較部25を備えている。走行時間計算部21は、第1データベース12からの履歴データに基づいて、外因状況に応じた運転特性を反映させた走行時間を計算する。使用予定時間計算部22は、外因データ取得部11によって取得された外因データと、走行時間とに基づいて、車載部品の使用予定時間を計算する。使用可能時間計算部24は、動作データの解析により取得された使用可能時間と、前回の走行完了後に更新した使用可能時間とに基づいて使用可能時間を更新する。比較部25は、使用予定時間と使用可能時間とを比較する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドライバーを識別し、
前記車両が走行する運転計画路を取得し、
前記車両の外部環境から取得される外因データを取得し、
前記外因データに対応する前記ドライバーの運転特性が記録された履歴データを呼び出し、
前記運転計画路、前記外因データおよび前記履歴データに基づいて、前記車両の車載部品の使用予定時間を算出し、
前記車載部品の過去の動作状況を記録した動作データ、または前記車載部品の更新された使用可能時間に基づいた使用可能時間を取得し、
前記使用予定時間および前記使用可能時間に基づいて、前記ドライバーに対して、前記車載部品の使用に関する情報を通報することを含む、車載部品の使用可能時間予測方法。
【請求項2】
前記車載部品は、該車載部品が故障した場合に、前記車両の走行自体に影響を及ぼさないが前記ドライバーによる前記車両の運転が困難となる特定の環境で使用されることを特徴とする請求項1に記載の車載部品の使用可能時間予測方法。
【請求項3】
前記車載部品の前記動作データは、コントロール電流、コントロール電圧、出力電流、出力電圧およびライトの光度を含むことを特徴とする請求項1に記載の車載部品の使用可能時間予測方法。
【請求項4】
前記車両の運転日時、出発地、目的地および前記運転計画路を運転情報データと定義し、前記運転情報データは、前記履歴データに保存されることを特徴とする請求項1に記載の車載部品の使用可能時間予測方法。
【請求項5】
前記車両の運転終了後に、前記運転情報データと、前記車両の走行に関する走行データと、前記外因データと、前記動作データと、前記車両の運転終了後に更新された使用可能時間とをデータベースにアップロードすることをさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の車載部品の使用可能時間予測方法。
【請求項6】
前記使用可能時間が前記使用予定時間よりも短い場合に、レンタカー、最寄り駅、バス停の時刻表および付近の駐車場に関する情報を含む車両交換リマインドと、ディラーの位置、到着時間および交換費用の概算に関する情報を含む車両修理リマインドとを前記ドライバーに通報することをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の車載部品の使用可能時間予測方法。
【請求項7】
前記ドライバーが目的地を入力しない場合に、データベースから、今回の出発地および出発時刻と同じ過去のデータを抽出し、この過去のデータに基づいて前記予定使用時間を予測することをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の車載部品の使用可能時間予測方法。
【請求項8】
前記車載部品のブランド、型番およびデータシートをデータベースに保存することをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の車載部品の使用可能時間予測方法。
【請求項9】
前記車載部品が新品の車載部品に交換された場合に、前記使用可能時間をリセットし、データベースから、前記新品の車載部品のデータシートを呼び出し、前記新品の車載部品に関する使用可能時間に更新することをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の車載部品の使用可能時間予測方法。
【請求項10】
車両のドライバーを識別するドライバーID入力部と、
前記車両が走行する運転計画路と、前記車両の外部環境から取得される外因データを取得する外因データ取得部と、
前記外因データに対応する前記ドライバーの運転特性が記録された履歴データを格納するデータ格納部と、
前記運転計画路、前記外因データおよび前記履歴データに基づいて、前記車両の車載部品の使用予定時間を算出する使用予定時間計算部と、
前記車載部品の過去の動作状況を記録した動作データ、または前記車載部品の更新された使用可能時間に基づいた使用可能時間を取得する使用可能時間計算部と、
前記使用予定時間および前記使用可能時間に基づいて、前記ドライバーに対して、前記車載部品の使用に関する情報を通報するドライバー通報部と、
を備える車載部品の使用可能時間予測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外因データに基づいた車載部品の使用予定時間と、車載部品の使用可能時間との比較が行われる、車載部品の使用可能時間予測方法および使用可能時間予測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、車載部品の使用可能時間を求める例として、ドライバーの運転特性の1つである加速度予測値の時系列データに基づいて、所定の運転計画路を走行する場合の電池の充放電電力を予測している。また、加速度予測値の補正のために、運転特性として加速度の分散値が用いられており、これにより、電池の充放電電力も補正される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、運転特性として加速度の分散値を用いて加速度予測値を補正することにより、電池の充放電電力も補正することを開示しているが、特定の環境下、特に車両の外部環境である外因状況の影響を受ける車載部品に対して、外因状況を考慮した使用予定時間を求め、この使用予定時間と使用可能時間とに基づいて、ドライバーに対して、走行中の車載部品の使用に関する情報を適切に提供することについては何ら配慮されていない。
【0005】
本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、ドライバーに対して、走行中の車載部品の使用に関する情報を適切に提供することを1つの目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車載部品の使用可能時間予測方法に関し、この方法では、車両のドライバーを識別し、車両が走行する運転計画路を取得し、車両の外部環境から取得される外因データを取得し、外因データに対応するドライバーの運転特性が記録された履歴データを呼び出し、運転計画路、外因データおよび履歴データに基づいて、車両の車載部品の使用予定時間を算出し、車載部品の過去の動作状況を記録した動作データ、または車載部品の更新された使用可能時間に基づいた使用可能時間を取得し、使用予定時間および使用可能時間に基づいて、ドライバーに対して、車載部品の使用に関する情報を通報する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ドライバーに対して、走行中の車載部品の使用に関する情報を適切に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施例における車載部品の使用可能時間予測装置のブロック図である。
【
図2】第1実施例の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図3】第2実施例における車載部品の使用可能時間予測装置のブロック図である。
【
図4】第2実施例の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】第3実施例における車載部品の使用可能時間予測装置のブロック図である。
【
図6】第3実施例の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施例について説明する。
【0010】
図1は、第1実施例における車載部品の使用可能時間予測装置のブロック図である。この使用可能時間予測装置は、データ取得部101と、使用可能時間予測部102と、HMI(ヒューマンマシンインタフェース)装置103とを備えている。また、本実施例では、車載部品は、例えばエンジンの回転数等である車両特性の影響を受けて故障し得る部品ではなく、定格寿命の満了により故障したときに利用できなくなる電動の車載部品である。この車載部品は、故障した場合に、車両の走行自体に影響を及ぼさないがドライバーによる車両の運転が困難となる特定の環境(車両の外部環境)で使用される電動の部品、例えば、ワイパー、ライト、パワーウインドウ等である。ワイパーは、天気が雨である場合に、車両の前側や後側の窓ガラスの水滴を除去することでドライバーの視界を確保するように用いられるので、故障時には、ドライバーの視界が水滴により遮られ、車両の運転が困難となる。また、ライトは、夜間に車両の前方を照らすことでドライバーの視界を確保するように用いられるので、故障時には、ドライバーが暗闇の中を減速しながら車両を運転することになり、車両の安全かつ円滑な運転が妨げられる。また、パワーウインドウは、外部から車内への風や雨の侵入を防止するように用いられるので、パワーウインドウが開いたまま故障してしまうと、風や雨の侵入により、ドライバーが不快感を抱きながら車両を運転することとなり、安全な運転が困難となる。なお、車載部品は、ドライバーの運転を困難にする電動の部品に必ずしも限定されるものではなく、車両の運転に影響を及ぼさない他の電動の部品、例えばエアコン、サイドミラー等であってもよい。以下の説明においては、車両の外部環境である外因状況の影響を受けやすいワイパーおよびライトの例を適宜用いて説明する。
【0011】
データ取得部101は、図示せぬサーバー上に設けられており、外因データ取得部11と、第1データベース(データ格納部)12と、第1通信部13と、リアルタイム走行データ取得部14と、動作データ取得部15と、情報取得部16と、第2データベース17とを有している。なお、データ取得部101は、サーバー上に設けられるのではなく、車両に搭載された種々の機器の制御に用いられる図示せぬコンピュータシステム内に設けられてもよい。
【0012】
外因データ取得部11は、車両の外部環境から取得される外因データを取得する。本実施例では、外因データは、現在の(出発時の)天気データ、交通状況データおよび路面状況データである。天気データは、出発地から目的地までの運転計画路における出発時の天気に関するデータであり、例えば、晴れ、曇りおよび雨が挙げられる。また、交通状況データとしては、例えば、出発地から目的地までの運転計画路における距離、渋滞の程度および走行時間が挙げられる。ここで、出発地は、図示せぬGPSによって車両の位置情報を取得することにより記録され、この位置情報の取得と同時に、出発時刻も記録される。また、運転計画路は、例えば、後述の目的地入力部34から入力された目的地と、図示せぬGPSによって取得された出発地と、アプリケーション等から得られた地図情報とに基づいて取得される。路面状況データとしては、例えば、高速道路、通学路、その他の道路が挙げられる。また、車両の運転日時、出発地、目的地および運転計画路を運転情報データと定義したとき、運転情報データは、第1データベース12に保存される。この運転情報データは、車載部品の後述の使用予定時間の算出の際に参照されてもよい。
【0013】
上記運転情報データに加えて、第1データベース12は、車両を過去に運転したことがある複数のドライバー全員について、走行データと、外因データと、該外因データに基づいた外因状況におけるドライバーの運転特性、例えば平均運転速度とを含む履歴データを格納している。外因状況におけるドライバーの平均運転速度は、例えば、所定の外因状況、例えば渋滞が無い一般的な道路を晴天時に走行する場合に、ドライバーP1の平均運転速度が40km/hであるのに対して、ドライバーP2の平均運転速度は、45km/hである。このように、同じ外因状況で車両を運転していたとしても、平均運転速度が個々のドライバーによって異なってくる。
【0014】
第1通信部13は、データ取得部101によって取得されたデータを、使用可能時間予測部102およびHMI装置103に送信する。
【0015】
リアルタイム走行データ取得部14は、車両に設けられた各種センサから、車両の走行に関する走行データ、例えば、車速、エンジン回転数等のエンジン本体の動作データ、および燃料装置の動作データをリアルタイムに取得する。取得された走行データは、第1データベース12から抽出されたドライバーの平均運転速度の補正に用いられる。
【0016】
動作データ取得部15は、車載部品の点検時の動作データ、つまり車載部品の過去の動作状況を記録した動作データを取得する。ここで、例えば、車載部品がワイパーである場合には、動作データは、ワイパーに設けられたワイパーモータの電子制御のために用いられるコントロール電流、コントロール電圧や、ワイパーモータの出力電流、出力電圧である。なお、上記コントロール電流、コントロール電圧、出力電流や出力電圧は、パワーウインドウやサイドミラーに用いられる電動の部品の動作データとして用いられてもよい。また、車載部品がライトである場合には、動作データは、ライトの光度である。
【0017】
情報取得部16は、車載部品が故障する前にドライバーに提示するための情報を取得する。換言すれば、情報取得部16は、車載部品の後述の使用予定時間が後述の使用可能時間よりも長い場合に、車両交換リマインドおよび車両修理リマインドをドライバーに提示する。ここで、車両交換リマインドは、例えば、車載部品が故障する前に到達可能なディラー、車載部品の交換に必要な費用の概算等に関する情報を含む。また、車両修理リマインドは、例えば、現在地付近のレンタカー(レンタカー会社)、駐車場、最寄り駅、バス停の時刻表等に関する情報を含む。また、レンタカー等の情報に加えて、目的地までの乗車情報、例えば、目的地までの所要時間等を取得するようにしてもよい。
【0018】
第2データベース17は、車両の走行後に更新した車載部品の使用可能時間を格納する。ここで、車載部品の使用可能時間は、電動の車載部品の残りの定格寿命が満了するまでに車載部品を使用することが可能な時間である。
【0019】
使用可能時間予測部102は、図示せぬコンピュータシステム内に設けられており、走行時間計算部21と、使用予定時間計算部22と、第2通信部23と、使用可能時間計算部24と、比較部25とを有している。
【0020】
走行時間計算部21は、第1データベース12から第1通信部13および第2通信部23を介して取得されたドライバーの履歴データを解析することにより、現在の外因状況における目的地までの個人的な走行時間を計算する。例えば、外因データとして、現在は晴れているが1時間後に雨が降るという天気データが用いられるときには、この天気データに対応するデータを履歴データから探索し、この履歴データに基づいて、ドライバーの個人的な平均運転速度、例えば40km/hを算出する。そして、この個人的な平均運転速度に基づいて、個人的な走行時間が計算される。
【0021】
使用予定時間計算部22は、外因データ取得部11によって取得された外因データと、走行時間計算部21によって算出された走行時間とに基づいて、車載部品の個人的な使用予定時間(1トリップの使用予定時間)を算出する。例えば、車載部品がワイパーである場合に、2時間の走行時間の間に、外因データとして、現在は晴れているが1時間後に雨が降るという天気データが用いられるときには、ワイパーの使用予定時間は、2時間の走行時間から1時間の晴れている時間を減算することで得られる1時間となる。また、車載部品がライトである場合に、2時間の走行時間の間に、外因データとして、1時間後に夜になるという情報が用いられるときには、ライトの使用予定時間は、2時間の走行時間から1時間の夜の期間を減算することで得られる1時間となる。なお、夜になるか否かの判断は、例えば、天気データと共に取得される時刻を参照することにより行われる。
【0022】
第2通信部23は、データ取得部101の第1通信部13と、HMI装置103に設けられた後述の第3通信部31との双方に対して、使用可能時間予測部102で取得された情報を送信する。
【0023】
使用可能時間計算部24は、動作データ取得部15から第1通信部13および第2通信部23を介して取得された動作データを解析することにより、車載部品の使用可能時間を計算する。また、使用可能時間計算部24は、動作データの解析により取得された使用可能時間と、第2データベース17から取得される、前回の走行完了後に更新した使用可能時間とを比較し、短い方の使用可能時間を用いて使用可能時間を更新する。
【0024】
比較部25は、使用予定時間計算部22で計算された使用予定時間と、使用可能時間計算部24で更新した使用可能時間とを比較する。この比較後には、比較結果が、第2通信部23および第3通信部31を介して、HMI装置103の後述のドライバー通報部32に送信される。
【0025】
ここで、走行時間計算部21、使用予定時間計算部22、使用可能時間計算部24および比較部25で行われる処理の一例を示す。例えば、出発時から1時間経過するまでは晴れであるが1時間経過した後に雨が降ることが予想される天気のもとに一般的な道路を走行する場合には、ドライバーP1は、40km/hの平均運転速度で走行し、走行時間が2時間となり(走行時間計算部21の処理)、ワイパーの使用予定時間は1時間となる(使用予定時間計算部22の処理)。また、同様の場合において、ドライバーP2は、60km/hの平均運転速度で走行し、走行時間が1.5時間となり(走行時間計算部21の処理)、ワイパーの使用予定時間が30分となる(使用予定時間計算部22の処理)。また、使用可能時間計算部24が、例えばワイパーのワイパーモータのコントロール電流およびコントロール電圧に基づいてワイパーの使用可能時間を45分として算出する。この場合、ドライバーP1に関しては、ワイパーの1時間の使用予定時間が45分の使用可能時間よりも長いので、目的地に到着する前に、ワイパーが故障する、即ちワイパーのワイパーモータの定格寿命が満了する。一方、ドライバーP2に関しては、ワイパーの30分の使用予定時間が45分の使用可能時間よりも短いので、目的地に到着するまでにワイパーを無事に使用することができる。
【0026】
HMI装置103は、車両内のドライバーによって操作可能な位置に配置されており、第3通信部31と、ドライバー通報部32と、ドライバーID入力部33と、目的地入力部34とを有している。
【0027】
第3通信部31は、データ取得部101の第1通信部13と、使用可能時間予測部102の第2通信部23との双方に対して、HMI装置103で取得された情報を送信する。
【0028】
ドライバー通報部32は、例えばディスプレイを備えて構成されており、車載部品の使用予定時間が使用可能時間よりも長い場合に、情報取得部16が取得した上述の費用の概算等の情報をドライバーに通報する。また、ドライバー通報部32は、ディスプレイとは別に、またはディスプレイと一緒にスピーカー等の音声通報装置を備えて構成されてもよい。
【0029】
ドライバーID入力部33は、ドライバーIDを入力し、車両の運転の対象となるドライバーを識別するために用いられる入力部であり、入力されたドライバーIDは、第3通信部31および第1通信部13を介してデータ取得部101に送信される。
【0030】
目的地入力部34は、識別されたドライバーが目的地を入力するために用いられる入力部であり、入力された目的地は、第3通信部31および第1通信部13を介してデータ取得部101に送信される。
【0031】
次に、
図2を参照しながら、第1実施例の処理の流れについて説明する。なお、
図2の例では、ステップS22において、使用予定時間に所定の安全率(115%)を乗算した値を用いている。この所定の安全率は、115%に限定されるものではなく、車両の安全基準等に応じて任意に設定されるものである。
【0032】
まず、ステップS11において、ドライバーがドライバーID入力部33に自己のドライバーIDを入力する。これにより、車両を運転する対象となるドライバーが識別される。
【0033】
次に、ステップS12において、ドライバーが目的地入力部34に目的地を入力する。
【0034】
そして、ステップS13へ移行し、入力された目的地と、図示せぬGPSによって取得された出発地と、周知の地図情報とに基づいて、運転計画路を取得する。
【0035】
運転計画路の取得後には、ステップS14において、外因データ取得部11から外因データを取得する。
【0036】
次に、外因データ取得後の1つの処理として、ステップS15において、第1データベース12から、現在の外因状況におけるドライバーの履歴データ、つまり現在の外因状況に対応するドライバーの平均運転速度を含む履歴データを呼び出す。これにより、車両を運転するドライバーの個人的な平均運転速度が算出される。この算出の際には、リアルタイム走行データ取得部14により取得された走行データを用いて個人的な平均運転速度の補正を行う。
【0037】
そして、ステップS17へ移行し、走行時間計算部21により、目的地までのドライバーの個人的な走行時間を算出する。
【0038】
次に、外因データ取得後の1つの処理として、ステップS21において、使用予定時間計算部22により、外因データ取得部11によって取得された外因データと、走行時間計算部21によって算出された走行時間とに基づいて、車載部品についての1トリップの使用予定時間を算出する。
【0039】
また、車両の運転を開始する前の処理として、ステップS18において、動作データ取得部15から、車載部品の点検時の動作データを取得しておく。動作データの取得後には、取得された動作データを解析することにより、車載部品の使用可能時間を算出する。
【0040】
そして、同じく、車両の運転を開始する前の処理として、ステップS19において、第2データベース17から、車載部品の更新された使用可能時間を呼び出す。
【0041】
次に、ステップS20へ移行し、点検時の動作データの解析によって得られた使用可能時間と、更新された使用可能時間とを比較し、短い方の使用可能時間を用いて使用可能時間を更新する。
【0042】
ステップS22では、比較部25により、使用可能時間≧115%×使用予定時間であるか否かを判定する。使用可能時間≧115%×使用予定時間でない場合には、車載部品が運転中に故障すること、車両情報取得部16により取得された車両交換リマインドおよび車両修理リマインドをドライバー通報部32に送信することにより、ドライバーに通報する。この通報後には、ステップS25へ移行する。
【0043】
また、ステップS22で使用可能時間≧115%×使用予定時間である場合には、ステップS24へ移行し、今回は車載部品を正常に使用できること、および使用可能時間をドライバー通報部32に送信することにより、ドライバーに通報する。この通報後には、ステップS25へ移行する。
【0044】
ステップS25では、車両が予定通り走行しているか否かを判定する。より詳細には、車両が出発時に取得した運転計画路に沿って走行しているか否かを判定する。車両が通常通り走行していない場合には、ステップS13に戻り、新たな運転計画路を取得し、以降のステップを再び実施する。
【0045】
また、ステップS25で車両が予定通り走行していると判定された場合には、ステップS26において、車両の走行後(運転終了後)に、各種データ、つまり、運転情報データと、走行データと、外因データと、車載部品の点検時の動作データとを第1データベース12にアップロードし、車両の運転終了後に更新された使用可能時間を第2データベース17にアップロードする。
【0046】
上述のように、第1実施例では、車載部品の使用可能時間予測装置が、外因データに基づいた外因状況におけるドライバーの運転特性を含む履歴データを格納する第1データベース12と、運転計画路、外因データおよび履歴データに基づいて、車両の車載部品の個人的な使用予定時間を算出する使用予定時間計算部22と、を備えている。ここで、外因データには2つの用途がある。まず、1つ目の用途として、外因データは、外因データに基づいた外因状況におけるドライバーの個人的な運転特性(本実施例では平均運転速度)を求めて個人的な走行時間を算出した後に使用予定時間を算出するために用いられる。2つ目の用途として、外因データは、車載部品の個人的な使用予定時間を算出する際の車載部品の使用の開始基準を決定するために用いられる。これは、上述した例で言えば、現在は晴れているが1時間後に雨が降るという天気データであり、1時間後にワイパーを使用し始めることを決定するものである。このように外因データに基づいた個人的な使用予定時間が使用可能時間と比較されることで、外因データを考慮しないで車載部品の使用予定時間を算出する場合と比べて、ドライバーに対して、走行中の車載部品の使用に関する情報を適切に提供することができる。
【0047】
また、車両がレンタカーである場合には、複数のドライバーがレンタカーを利用することになるが、このような場合において一人の特定のドライバーの履歴データを用いて、車載部品の使用予定時間を算出すると、使用可能時間との比較の精度が低下し、ドライバーに誤った情報を提供する虞がある。しかし、第1データベース12に複数のドライバー全員の履歴データを格納しておけば、ドライバーが代わったとしても、新たなドライバーの履歴データに基づいて使用予定時間を算出し、走行中の車載部品の使用に関する情報を正確に取得することができる。
【0048】
また、本実施例では、車載部品は、該車載部品が故障した場合に、車両の走行自体に影響を及ぼさないがドライバーによる車両の運転が困難となる特定の環境で使用される。この車載部品は、例えば、雨天時に用いられるワイパーや、夜間に用いられるライトであり、このような車載部品の使用予定時間は、特定の環境におけるドライバーの運転特性と関連している。このため、特定の環境下で用いられる車載部品の故障を回避し、ドライバーの安全な運転を確保することができる。
【0049】
さらに、本実施例では、車載部品の動作データは、コントロール電流、コントロール電圧、出力電流、出力電圧およびライトの光度を含む。このため、コントロール電流等により、車載部品の使用予定時間の比較対象となる使用可能時間を算出することができる。
【0050】
また、本実施例では、車両の運転日時、出発地、目的地および運転計画路を運転情報データと定義したとき、運転情報データは、第1データベース12に保存される。このため、外因状況におけるドライバーの個人的な運転特性に基づいて車載部品の個人的な使用予定時間を算出する際に運転情報データを参照することにより、車載部品の個人的な使用予定時間を精度良く算出することができる。
【0051】
さらに、本実施例では、車両の運転終了後に、運転情報データと、車両の走行に関する走行データと、外因データと、車載部品の点検時の動作データとを第1データベース12にアップロードし、車両の運転終了後に更新された使用可能時間を第2データベース17にアップロードする。このため、更新された各種データを用いて、車載部品の使用可能時間および使用予定時間を精度良く算出することができる。
【0052】
また、本実施例では、使用可能時間が使用予定時間よりも短い場合に、レンタカー、最寄り駅、バス停の時刻表および付近の駐車場に関する情報を含む車両交換リマインドと、ディラーの位置、到着時間および交換費用の概算に関する情報を含む車両修理リマインドとをドライバーに通知する。このため、ドライバーは、車載部品が故障する前に適切な処置、例えば新たにレンタカーを借りる等により運転中の車載部品の故障を避け、目的地への移動が遅れるという事態を防止することができる。
【0053】
図3は、第2実施例における車載部品の使用可能時間予測装置のブロック図である。
【0054】
第2実施例では、使用可能時間予測部102は、ドライバーが目的地入力部34に目的地を入力しない場合に、目的地を予測する目的地予測部26をさらに有している。この目的地予測部26には、ドライバーが目的地入力部34に目的地を入力しない場合に、目的地の入力が無い旨が第3通信部31および第2通信部23を介して送信される。これと同時に、目的地の入力が無い旨は、第3通信部31および第1通信部13を介してデータ取得部101の第1データベース12に送信される。目的地予測部26は、図示せぬGPSによって取得された車両の出発地および出発時刻と、第1データベース12から抽出したドライバー(ドライバーIDを入力したドライバー)の履歴データの全てとに基づいて、目的地を予測する。より具体的には、目的地予測部26は、当該ドライバーが所定の出発時刻に所定の出発地から出発すれば当然に所定の目的地に向かう確率が最も高いであろうという予測を、過去の複数の履歴データから同じ出発時刻、同じ出発地に関連した目的地を含むデータと対比させることで行う。
【0055】
次に、
図4を参照しながら、第2実施例の処理の流れについて説明する。なお、第1実施例と同様の手順については説明を省略する。
【0056】
まず、ステップS11において、ドライバーがドライバーID入力部33に自己のドライバーIDを入力する。
【0057】
次に、ステップS27において、ドライバーが目的地入力部34に目的地を入力したか否かを判定する。ドライバーが目的地入力部34に目的地を入力した場合には、ステップS13へ移行し、運転計画路を取得する。
【0058】
また、ステップS27においてドライバーが目的地入力部34に目的地を入力しなかった場合には、ステップS28へ移行し、第1データベース12から、ドライバーIDを入力したドライバーの履歴データの全てを呼び出す。
【0059】
そして、ステップS29において、目的地予測部26により、車両の出発地および出発時刻と、ドライバーIDを入力したドライバーの履歴データの全てとに基づいて、目的地を予測する。この予測後には、ステップS13へ移行し、運転計画路を取得する。
【0060】
上記のように、第2実施例では、ドライバーが目的地入力部34に目的地を入力しない場合に、データベースから、今回の出発地および出発時刻と同じ過去のデータを抽出し、この過去のデータに基づいて予定使用時間を予測する。一般に、目的地の入力が無いと、運転計画路の特定や走行時間の推定ができないが、今回の出発地および出発時刻と同じ過去のデータから目的地を予測することにより、運転計画路や走行時間が取得され、さらに、使用予定時間の算出、並びに使用予定時間と使用可能時間との比較が行われることとなる。よって、目的地の入力が無い場合にも、車載部品が運転中に故障する可能性を低下させることができる。
【0061】
図5は、第3実施例における車載部品の使用可能時間予測装置のブロック図である。
【0062】
第3実施例では、HMI装置103は、新品の車載部品の情報が入力される新品情報入力部35をさらに有し、一方、データ取得部101は、古い車載部品の情報をリセットするリセット部18と、新品の車載部品の情報を格納する第3データベース19とをさらに備えている。
【0063】
新品情報入力部35は、ドライバーが新品の車載部品の情報、例えばブランドおよび型番を入力するための入力部である。新品情報入力部35に入力された情報は、第3通信部31および第1通信部13を介して第3データベース19に格納される。
【0064】
リセット部18は、第2データベース17から呼び出された古い車載部品に関するデータシートを読み込み、古い車載部品の定格寿命を抽出する。そして、リセット部18は、古い車載部品の定格寿命を新品の車載部品の定格寿命に更新する。ここで、この新品の車載部品の定格寿命は、第3データベース19から抽出される新品の車載部品のブランドおよび型番の情報に基づいて取得される。新品の車載部品の定格寿命は、第1通信部13および第2通信部23を介して使用可能時間計算部24に送信される。使用可能時間計算部24は、新品の車載部品の定格寿命に基づいて使用可能時間を算出する。
【0065】
第3データベース19は、新品の車載部品のブランドおよび型番を含むデータシートをリセット部18に送信する。
【0066】
次に、
図6を参照しながら、第3実施例の処理の流れについて説明する。なお、第1実施例と同様の手順については説明を省略する。
【0067】
まず、車両の走行前の処理として、ステップS30において、新品の車載部品について、リセット部18への入力があるか否かを判定する。リセット部18への入力が無い場合には、ステップS18へ移行し、動作データ取得部15から、現在搭載されている車載部品の点検時の動作データを取得する。
【0068】
また、ステップS30においてリセット部18への入力があった場合には、ステップS31へ移行し、古い車載部品の情報をリセットし、第3データベース19から、新品の車載部品のデータシートを呼び出す。
【0069】
次に、ステップS32において、新品の車載部品のデータシートから求められた定格寿命に基づいて、新品の車載部品の使用可能時間を更新する。
【0070】
上記のように、第3実施例では、新品の車載部品のブランド、型番およびデータシートをデータベースに保存する。このため、新品の車載部品の動作データを取得し、車載部品の故障、または車載部品の故障までの使用可能時間の予測精度を向上させることができる。
【0071】
また、本実施例では、車載部品が新品の車載部品に交換された場合に、古い車載部品に関する使用可能時間をリセットし、第3データベース19から、新品の車載部品のデータシートを呼び出し、新品の車載部品に関する使用可能時間に更新する。これにより、新品の車載部品のデータに基づいて、車載部品の使用可能時間を精度良く予測することができる。
【符号の説明】
【0072】
11・・・外因データ取得部
12・・・第1データベース
15・・・動作データ取得部
18・・・リセット部
19・・・第3データベース
22・・・使用予定時間計算部
24・・・使用可能時間計算部
25・・・比較部
26・・・目的地予測部
34・・・目的地入力部
35・・・新品情報入力部
101・・・データ取得部
102・・・使用可能時間予測部
103・・・HMI装置