IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日産自動車株式会社の特許一覧

特開2024-84888走行可能距離予測方法および走行可能距離予測装置
<>
  • 特開-走行可能距離予測方法および走行可能距離予測装置 図1
  • 特開-走行可能距離予測方法および走行可能距離予測装置 図2
  • 特開-走行可能距離予測方法および走行可能距離予測装置 図3
  • 特開-走行可能距離予測方法および走行可能距離予測装置 図4
  • 特開-走行可能距離予測方法および走行可能距離予測装置 図5
  • 特開-走行可能距離予測方法および走行可能距離予測装置 図6
  • 特開-走行可能距離予測方法および走行可能距離予測装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084888
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】走行可能距離予測方法および走行可能距離予測装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20240619BHJP
【FI】
G01C21/26 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199056
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】李 ウェン穎
【テーマコード(参考)】
2F129
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129CC19
2F129DD24
2F129DD29
2F129DD34
2F129DD39
2F129DD45
2F129DD46
2F129DD47
2F129EE94
2F129FF02
2F129FF17
2F129FF18
2F129FF20
2F129FF41
2F129FF52
2F129FF59
2F129FF71
2F129HH12
(57)【要約】
【課題】外因データを考慮したドライバー個人の運転特性に対応した高精度な今回の走行可能距離を算出することができる。
【解決手段】走行可能距離予測装置は、走行可能距離予測部102を有し、該走行可能距離予測部102は、異常度計算部21、一般走行可能距離算出部22、補正値計算部24および個人走行可能距離算出部25を備える。異常度計算部21は、リアルタイム走行データ取得部14で取得された走行データに基づいて異常度を算出する。一般走行可能距離算出部22は、算出された異常度に基づいて、車両の今回の走行可能距離の算出の基礎となる一般走行可能距離を算出する。補正値計算部24は、外因状況におけるドライバーの運転特性データに基づいて運転特性補正値を算出する。個人走行可能距離算出部25は、一般走行可能距離および運転特性補正値とに基づいて、車両の今回の走行可能距離を算出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドライバーを識別し、
前記車両の前回の走行可能距離を取得し、
前記車両の外部環境から取得される外因データを取得し、
前記外因データを考慮した前記ドライバーの運転特性データが記録された履歴データを呼び出し、
前記車両の走行データを取得し、
前記ドライバーの運転特性データに基づいて補正値を算出し、
前記走行データに基づいて前記車両の異常度を算出し、
前記異常度に基づいて、前記車両の今回の走行可能距離の算出の基礎となる一般走行可能距離を算出し、
前記補正値を用いて前記一般走行可能距離を補正することにより、前記今回の走行可能距離を算出し、
前記今回の走行可能距離および前記前回の走行可能距離に基づいて、前記ドライバーに対して、前記車両の走行に関する情報を通報することを含む、走行可能距離予測方法。
【請求項2】
前記走行データの更新と共に前記異常度をリアルタイムに更新することをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の走行可能距離予測方法。
【請求項3】
前記履歴データは、前記運転特性データおよび前記外因データを含み、前記外因データは、交通状況データ、天気データおよび路面データを含むことを特徴とする請求項1に記載の走行可能距離予測方法。
【請求項4】
前記走行データは、車速およびエンジン回転数を含むエンジン本体の動作データと、燃料装置の動作データとを含み、前記運転特性データは、ブレーキの踏み方に関するデータと、アクセルの踏み方に関するデータとを含むことを特徴とする請求項1に記載の走行可能距離予測方法。
【請求項5】
前記車両の走行完了後に、前記走行データ、前記運転特性データ、前記外因データ、および前記車両の走行完了後に更新された走行可能距離を、データベースにアップロードすることをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の走行可能距離予測方法。
【請求項6】
前記運転特性データのうちブレーキの踏み方に関するデータまたは前記アクセルの踏み方に関するデータが、前記補正値の算出に用いられることを特徴とする請求項4に記載の走行可能距離予測方法。
【請求項7】
前記運転特性データは、前記車両の運転時の前記外因データに基づく外因状況と同じ状況の前記ドライバーの履歴データから抽出されることを特徴とする請求項6に記載の走行可能距離予測方法。
【請求項8】
前記運転特性データから、毎回のブレーキについての踏む角度に到達するまでの時間を踏む角度で除算した値の平均値、毎回のアクセルについての踏む角度に到達するまでの時間を踏む角度で除算した値の平均値、および毎回のアクセルについての一定速度エリアにおける分散の逆数の平均値を算出することをさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の走行可能距離予測方法。
【請求項9】
前記運転特性データから算出された3つの平均値の積を用いて前記補正値を算出することをさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の走行可能距離予測方法。
【請求項10】
前記ドライバーのドライバーIDと前記履歴データとを照合することができない場合に、前記ドライバーに関する今回の運転特性データと、前記履歴から取得された他人の運転特性データとをマッチングし、このマッチングされた運転特性データを用いて前記補正値を算出することをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の走行可能距離予測方法。
【請求項11】
前記他人の運転特性データとマッチングするまで、データベースから、前記車両の運転時の外因状況と同じ状況の他人の履歴データの全てを呼び出し、該他人の履歴データの全てから抽出された運転特性から平均的な補正値を算出し、この平均的な補正値を用いて走行可能距離を補正することをさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の走行可能距離予測方法。
【請求項12】
前記ドライバーの運転特性に関する運転特性データをリアルタイムで取得し、この運転特性データに基づいてリアルタイム補正値を算出することをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の走行可能距離予測方法。
【請求項13】
前記リアルタイム補正値と、前記履歴データから算出された補正値との平均値を算出し、この平均値を用いて前記一般走行可能距離を補正することにより、前記今回の走行可能距離を算出することをさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の走行可能距離予測方法。
【請求項14】
車両のドライバーを識別するドライバーID入力部と、
前記車両の前回の走行可能距離を取得する距離データ格納部と、
前記車両の外部環境から取得される外因データを取得する外因データ取得部と、
前記外因データを考慮した前記ドライバーの運転特性データが記録された履歴データを格納する履歴データ格納部と、
前記車両の走行データを取得する走行データ取得部と、
前記ドライバーの運転特性データに基づいて補正値を算出する補正値計算部と、
前記走行データに基づいて前記車両の異常度を算出する異常度計算部と、
前記異常度に基づいて、前記車両の今回の走行可能距離の算出の基礎となる一般走行可能距離を算出する一般走行可能距離算出部と、
前記補正値を用いて前記一般走行可能距離を補正することにより、前記今回の走行可能距離を算出する個人走行可能距離算出部と、
前記今回の走行可能距離および前記前回の走行可能距離に基づいて、前記ドライバーに対して、前記車両の走行に関する情報を通報するドライバー通報部と、
を備える走行可能距離予測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外因データを考慮したドライバー個人の運転特性に対応した今回の走行可能距離を算出し、この今回の走行可能距離および前回の走行可能距離に基づいて、ドライバーに対して、車両の走行に関する情報を通報する走行可能距離予測方法および走行可能距離予測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、車両の走行可能距離を求める例として、ドライバーの運転特性の1つである加速度予測値の時系列データに基づいて、所定の運転計画路を走行する場合の電池の充放電電力を予測している。また、加速度予測値の補正のために、運転特性として加速度の分散値が用いられており、これにより、電池の充放電電力も補正される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-228449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、車両の走行可能距離に影響を及ぼす電池の充放電電力が、ドライバーの運転特性である加速度の分散値に基づいて補正されている。しかし、この補正では、外因データを考慮したドライバーの運転特性に基づいて走行可能距離を補正することについては何ら配慮されていない。
【0005】
本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、外因データを考慮したドライバー個人の運転特性に対応した高精度な今回の走行可能距離を算出することが可能な走行可能距離予測方法および走行可能距離予測装置を提供することを1つの目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、走行可能距離予測方法に関し、この方法では、車両のドライバーを識別し、車両の前回の走行可能距離を取得し、車両の外部環境から取得される外因データを取得し、外因データを考慮したドライバーの運転特性データが記録された履歴データを呼び出し、車両の走行データを取得し、ドライバーの運転特性に基づいて補正値を算出し、走行データに基づいて車両の異常度を算出し、異常度に基づいて、車両の今回の走行可能距離の算出の基礎となる一般走行可能距離を算出し、補正値を用いて一般走行可能距離を補正することにより、今回の走行可能距離を算出し、今回の走行可能距離および前回の走行可能距離に基づいて、ドライバーに対して、車両の走行に関する情報を通報する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、外因データを考慮したドライバー個人の運転特性に対応した高精度な今回の走行可能距離を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施例の走行可能距離予測装置のブロック図である。
図2】(a)は、時間に対するブレーキを踏む角度を示すグラフであり、(b)は、時間に対するアクセルを踏む角度およびその分散を示すグラフである。
図3】第1実施例の処理の流れを示すフローチャートである。
図4】第2実施例の走行可能距離予測装置のブロック図である。
図5】第2実施例の処理の流れを示すフローチャートである。
図6】第3実施例の走行可能距離予測装置のブロック図である。
図7】第3実施例の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施例について説明する。
【0010】
図1は、第1実施例の走行可能距離予測装置のブロック図である。この走行可能距離予測装置は、データ取得部101と、走行可能距離予測部102と、HMI(ヒューマンマシンインタフェース)装置103とを備えている。
【0011】
データ取得部101は、図示せぬサーバー上に設けられており、外因データ取得部11と、第1データベース(履歴データ格納部)12と、第1通信部13と、リアルタイム走行データ取得部14と、第2データベース(距離データ格納部)15とを備えている。なお、データ取得部101は、サーバー上に設けられるのではなく、車両に搭載された種々の機器の制御に用いられる図示せぬコンピュータシステム内に設けられてもよい。
【0012】
外因データ取得部11は、車両の外部環境から取得される外因データを取得する。本実施例では、外因データは、現在の(出発時の)天気データ、交通状況データおよび路面状況データである。天気データは、出発地から目的地までの運転計画路における出発時の天気に関するデータであり、例えば、晴れ、曇りおよび雨が挙げられる。また、交通状況データとしては、例えば、出発地から目的地までの運転計画路における距離、渋滞の程度および走行時間が挙げられる。ここで、出発地は、図示せぬGPSによって車両の位置情報を取得することにより記録され、この位置情報の取得と同時に、出発時刻も記録される。また、運転計画路は、例えば、後述の目的地入力部34から入力された目的地と、図示せぬGPSによって取得された出発地と、アプリケーション等から得られた地図情報とに基づいて取得される。路面状況データとしては、例えば、高速道路、通学路、その他の道路が挙げられる。
【0013】
第1データベース12は、車両を過去に運転したことがある複数のドライバー全員について、走行データと、外因データと、該外因データに基づく外因状況を考慮したドライバーの運転特性データとを含む履歴データを格納している。走行データは、例えば車速やエンジン回転数である。ドライバーの運転特性データは、例えば、ブレーキの踏み方に関するデータおよびアクセルの踏み方に関するデータである。外因状況における運転特性は、例えば雨の日は車両をゆっくり走行させるため、渋滞が発生し易く、これにより、ブレーキを踏む角度や回数が増加する傾向にあり、このような傾向は、個々のドライバーによって異なるものである。
【0014】
第1通信部13は、データ取得部101によって取得されたデータを、走行可能距離予測部102およびHMI装置103に送信する。
【0015】
リアルタイム走行データ取得部14は、車載部品に設けられた各種センサから、車両の走行に関する走行データ、例えば、車速、エンジン回転数等のエンジン本体の動作データ、燃料装置の動作データと、運転特性データ、例えば、ブレーキの踏み方に関するデータおよびアクセルの踏み方に関するデータとをリアルタイムで取得する。このリアルタイムで取得される運転特性データは、後述の第2および第3実施例で使用される。なお、各種センサは、エンジン本体や燃料装置のみの走行データを取得するものに限定されず、車両の走行の継続に影響を及ぼす他の車載部品の走行データを取得してもよい。
【0016】
第2データベース15は、車両の走行後に更新した車両の走行可能距離を格納する。ここで、走行可能距離は、現在から、車載部品、例えばエンジン本体が故障して車両が走行できなくなるまでに車両が走行することが可能な距離である。
走行可能距離予測部102は、図示せぬコンピュータシステム内に設けられており、異常度計算部21と、一般走行可能距離算出部22と、第2通信部23と、補正値計算部24と、個人走行可能距離算出部25とを備えている。
【0017】
異常度計算部21は、複数の車載部品、本実施例ではエンジン本体および燃料装置等の全てについて、リアルタイム走行データ取得部14で取得された走行データに基づいて異常度を算出する。より詳細には、この異常度の算出の前に、リアルタイム走行データ取得部14の走行データ中の特定の特徴量を所定の故障閾値と比較することにより各車載部品の故障の予兆を判断し、故障の予兆があった車載部品の全てについて異常度の算出をする。ここで、「異常度」とは、所定の故障閾値からどの程度離れているかの度合いを示すものである。そして、算出された複数の異常度から、後述の一般走行可能距離に最も影響を及ぼす異常度を抽出し、この異常度が、一般走行可能距離算出部22における一般走行可能距離の算出に用いられる。なお、異常度は、車両の走行中にリアルタイムで取得される走行データに基づいて算出されるので、走行中に常に更新されている。また、本実施例では、複数の車載部品について異常度を算出しているが、単一の車載部品について異常度を算出するようにしてもよい。
【0018】
一般走行可能距離算出部22は、異常度計算部21によって算出された異常度に基づいて、車両の今回の走行可能距離の算出の基礎となる一般走行可能距離(補正前の走行可能距離)を算出する。この一般走行可能距離の算出は、例えば、横軸が一般走行可能距離であり、縦軸が異常度である周知のマップを参照することにより実施される。
【0019】
第2通信部23は、データ取得部101の第1通信部13と、HMI装置103に設けられた後述の第3通信部31との双方に対して、走行可能距離予測部102で取得された情報を送信する。
【0020】
補正値計算部24は、ドライバーの履歴データ中の外因状況におけるドライバーの運転特性データに基づいて運転特性補正値を算出する。この算出は、個々のドライバーで異なる運転特性データ、本実施例ではブレーキの踏み方に関するデータおよびアクセルの踏み方に関するデータに基づいて実施される。
【0021】
ここで、図2(a)および図2(b)を参照しながら、運転特性補正値の算出方法について説明する。運転特性補正値は、後述の第1補正値B、第2補正値A1および第3補正値A2の積(B×A1×A2)となる。なお、運転特性補正値として、第1補正値Bのみを用いるか、または第2補正値A1および第3補正値A2の積(A1×A2)を用いるようにしてもよい。
図2(a)は、時間tnに対するブレーキを踏む角度bnを示すグラフであり、第1補正値Bの説明のために用いられる。ここで、「n」(図示省略)は、所定の時刻からブレーキが踏まれた回数を示すものであり、ブレーキが1回目に踏まれたときは「1」、2回目に踏まれたときは「2」、3回目に踏まれたときは「3」、n回目に踏まれたときは「n」で示される。図2(a)の左側に示すように、時間t1は、1回目のブレーキの踏み込みの開始(角度0)から踏む角度b1まで踏むのに要する時間を示している。ここで、t1/b1は比較的小さい値を示し、例えば急ブレーキを使用した状況に相当する。また、図2(a)の右側に示すように、時間t3は、3回目のブレーキの踏み込みの開始(角度0から)踏む角度b3まで踏むのに要する時間を示している。時間t1よりも大きい時間t3を、踏む角度b1よりも小さい踏む角度b3で除算することで、t3/b3が得られるので、このt3/b3は、t1/b1よりも大きな値を示し、例えばエコ運転に相当する。なお、t2/b2は、t1/b1とt3/b3の間の状況を示し、例えば通常の運転に相当する。
上記の説明を踏まえて、第1補正値Bは、以下の式によって算出される。
B=(t1/b1+t2/b2+t3/b3+・・・+tn/bn)/n
この式は、毎回のブレーキについての踏む角度に到達するまでの時間を踏む角度で除算した値((ブレーキを踏む角度に到達するまでの時間)/(ブレーキを踏む角度))の平均値を示している。
図2(b)は、時間tnに対するアクセルを踏む角度anおよびその分散vnを示すグラフであり、第2補正値A1および第3補正値A2の説明のために用いられる。第2補正値A1の算出方法は、ブレーキに関する第1補正値Bの算出方法と同様である。「n」(図示省略)は、所定の時刻からアクセルが踏まれた回数を示すものであり、アクセルが1回目に踏まれたときは「1」、2回目に踏まれたときは「2」、n回目に踏まれたときは「n」で示される。図2(b)の左側に示すように、時間t1は、1回目のアクセルの踏み込みの開始(角度0)から踏む角度a1まで踏むのに要する時間を示している。ここで、t1/a1は比較的小さい値を示し、例えば急アクセルを使用した状況に相当する。同様に、図2(b)の右側に示すように、時間t2は、2回目のアクセルの踏み込みの開始から踏む角度a2まで踏むのに要する時間を示している。時間t1よりも大きい時間t2を、踏む角度a1に近い角度である踏む角度a2で除算することで、t2/a2が得られるので、t2/a2は、t1/a1よりも加速が緩やかであることを示している。
上記の説明を踏まえて、第2補正値A1は、以下の式によって算出される。
A1=(t1/a1+t2/a2+t3/a3+・・・+tn/an)/n
この式は、毎回のアクセルについての踏む角度に到達するまでの時間を踏む角度で除算した値((アクセルを踏む角度に到達するまでの時間)/(アクセルを踏む角度))の平均値を示している。
また、図2(b)では、踏む角度anまでアクセルを踏んだ後にアクセルを保持し、一定速度エリアを抽出してから、踏む角度の分散vnの逆数を求める。ここで、分散vnとは、n回目のアクセルの踏み込み時において、車両が一定の速度で走行する一定速度エリアで集められたデータが平均値からどの程度離れているかを示すものである。より詳細には、図2(b)の左側に示すように、時間t1で踏む角度a1までアクセルを踏んだ後に一定速度エリア1を抽出し、この一定速度エリア1における踏む角度a1の分散v1の逆数を求める。図2(b)に示すように、一定速度エリア1では、集められたデータが上下に変動する連続した曲線で示されており、分散v1は比較的大きくなっている。また、図2(b)の右側に示すように、時間t2で踏む角度a2までアクセルを踏んだ後に一定速度エリア2を抽出し、この一定速度エリア2における踏む角度の分散v2の逆数を求める。図2(b)に示すように、一定速度エリア2では、集められたデータがほぼ一定に推移しており、分散v2は、分散v1よりも小さくなっている。
上記の説明を踏まえて、第3補正値A2は、以下の式によって算出される。
【0022】
A2=(1/v1+1/v2+1/v3+・・・+1/vn)/n
この式は、毎回のアクセルについての一定速度エリアにおける分散の逆数の平均値を示している。
個人走行可能距離算出部25は、一般走行可能距離算出部22で算出された一般走行可能距離と、補正値計算部24で算出された運転特性補正値とに基づいて、車両の今回の走行可能距離を算出する。つまり、個人走行可能距離算出部25は、運転特性補正値を用いて一般走行可能距離を補正することにより、車両の今回の走行におけるドライバーの個人的な走行可能距離を算出する。
ここで、運転特性補正値を用いた一般走行可能距離の補正の例について説明する。例えば、ドライバーP1は、一般走行可能距離が100kmであり、エコ運転で高速道路を走行しているときには、補正係数である運転特性補正値が1.2であり、個人走行可能距離が120kmとなる。また、ドライバーP2は、一般走行可能距離が100kmであり、急加速や急ブレーキを比較的多く使用する状況で高速道路を走行しているときに、運転特性補正値が0.85であり、個人走行可能距離が85kmである。また、同じドライバーP2は、一般走行可能距離が100kmであり、急加速や急ブレーキを比較的多く使用する状況で通学路を走行しているときは、運転特性補正値が0.7であり、個人走行可能距離が70kmである。このように、同じドライバーP2であっても、外因状況の路面データが異なれば、つまり走行する道路の特徴が異なれば、運転特性補正値が変化する。
【0023】
HMI装置103は、車両内のドライバーによって操作可能な位置に配置されており、第3通信部31と、ドライバー通報部32と、ドライバーID入力部33と、目的地入力部34とを有している。
【0024】
第3通信部31は、データ取得部101の第1通信部13と、走行可能距離予測部102の第2通信部23との双方に対して、HMI装置103で取得された情報を送信する。
【0025】
ドライバー通報部32は、例えばディスプレイを備えて構成されており、ドライバーに対して、車両の走行に関する情報、本実施例では今回の走行可能距離または前回の走行可能距離を通報する。また、ドライバー通報部32は、ディスプレイとは別に、またはディスプレイと一緒にスピーカー等の音声通報装置を備えて構成されてもよい。
【0026】
ドライバーID入力部33は、ドライバーIDを入力し、車両の運転の対象となるドライバーを識別するために用いられる入力部であり、入力されたドライバーIDは、第3通信部31および第1通信部13を介してデータ取得部101に送信される。
【0027】
目的地入力部34は、識別されたドライバーが目的地を入力するために用いられる入力部であり、入力された目的地は、第3通信部31および第1通信部13を介してデータ取得部101に送信される。
【0028】
次に、図3を参照しながら、第1実施例の処理の流れについて説明する。
【0029】
まず、ステップS11において、ドライバーがドライバーID入力部33に自己のドライバーIDを入力する。これにより、車両を運転する対象となるドライバーが識別される。
【0030】
次に、ステップS12において、第1データベース12からドライバーの履歴データを呼び出す。
【0031】
そして、ステップS13において、第2データベース15から前回の走行可能距離を呼び出す。
【0032】
次に、ステップS14において、外因データ取得部11から外因データ、例えば現在の天気データ、交通状況データおよび路面状況データを取得する。
【0033】
そして、ステップS15へ移行し、外因データ取得後の1つの処理として、外因データに基づいた現在の外因状況と同じ履歴データを抽出する。これにより、ドライバーの運転特性データ、本実施例ではブレーキの踏み方に関するデータおよびアクセルの踏み方に関するデータが取得される。
【0034】
次に、ステップS16において、個人走行可能距離算出部25により、ドライバーの個人的な運転特性補正値、本実施例では第1補正値B、第2補正値A1および第3補正値A2の積(B×A1×A2)を算出する。
【0035】
また、ステップS14での外因データの取得後の他の処理として、ステップS17において、リアルタイム走行データ取得部14から、車両の走行データ、例えば、車速、エンジン回転数等のエンジン本体の動作データ、および燃料装置の動作データをリアルタイムで取得する。
【0036】
走行データの取得後には、ステップS18へ移行し、走行データを解析する。
【0037】
次に、ステップS19において、複数の車載部品、例えばエンジン本体、燃料装置等の全てについて、故障の予兆があるか否かを判定する。複数の車載部品の全てについて故障の予兆が無い場合には、ステップS18へ戻り、走行データを再び解析する。
【0038】
また、ステップS19において少なくとも1つの車載部品について故障の予兆があると判定された場合には、ステップS20において、故障の予兆があると判定された全ての車載部品について異常度を算出する。この算出後には、算出された異常度のうち一般走行可能距離が最も短くし得る異常度を抽出する。
【0039】
そして、ステップS21において、一般走行可能距離算出部22により、異常度に基づいて一般走行可能距離を算出する。
【0040】
次に、ステップS22において、個人走行可能距離算出部25により、ステップS21で取得した一般走行可能距離と、ステップS16で取得した運転特性補正値とに基づいて、ドライバーの今回の走行可能距離(個人的な走行可能距離)を算出する。
【0041】
そして、ステップS23において、前回のドライバーと今回のドライバーが同じであるか否かを判定する。前回のドライバーと今回のドライバーが同じである場合には、ステップS24へ移行し、前回の走行可能距離と今回の走行可能距離を比較し、短い方の走行可能距離を使用する。そして、ステップS29において、この比較の結果、つまり短い方の走行可能距離を、ドライバーに通報する。
【0042】
また、ステップS23において前回のドライバーと今回のドライバーが同じでないと判定された場合には、ステップS25へ移行し、前回の走行可能距離と今回の走行可能距離の差(差の絶対値)が所定の距離閾値よりも大きいか否かを判定する。上記差が小さい場合には、ステップS26へ移行し、今回の走行可能距離を使用する。そして、ステップS29において、今回の走行可能距離を、ドライバーに通報する。
【0043】
また、ステップS25において前回の走行可能距離と今回の走行可能距離の差が所定の距離閾値よりも大きいと判定された場合には、ステップS27において、今回の走行可能距離を再び算出する。
【0044】
今回の走行可能距離の再度の算出後には、ステップS28へ移行し、前回の走行可能距離と今回の走行可能距離の差が変更されたか否かを判定する。上記差が変更されない場合には、ステップS29へ移行し、その旨を、ドライバーに通報する。
【0045】
また、ステップS28において前回の走行可能距離と今回の走行可能距離の差が変更されたと判定された場合には、ステップS25へ戻る。
【0046】
また、ステップS29でドライバーへ通報し、車両の運転を終了した後には、第2データベース15に今回の走行可能距離をアップロードし、第1データベース12に走行データおよび外因データをアップロードする。
【0047】
上述のように、第1実施例では、第1データベース12が、外因データに基づく外因状況を考慮したドライバーの運転特性データを含む履歴データを含んでおり、この履歴データの運転特性データに基づいて、運転特性補正値が算出される。外因データは、例えば高速道路や通学路等である路面状況であり、このような外因データの変化は、ドライバーの運転特性データに影響を及ぼす。従って、このような外因データを考慮したドライバーの運転特性が反映された運転特性補正値を用いて一般走行可能距離を補正することで、外因データを考慮したドライバー個人の運転特性に対応した高精度な今回の走行可能距離を算出することができる。
【0048】
また、車両がレンタカーである場合には、複数のドライバーがレンタカーを利用することになるが、このような場合において一人の特定のドライバーの履歴データを用いて運転特性補正値を算出すると、今回の走行可能距離の算出の精度が低下してしまう。しかし、本実施例のように第1データベース12に複数のドライバー全員の履歴データを格納しておけば、ドライバーが代わったとしても、代わったドライバーに関する今回の走行可能距離を精度良く算出することができる。
【0049】
また、本実施例では、異常度計算部21によって算出される異常度が、リアルタイム走行データの更新と共に更新される。このため、一般走行可能距離が最新の異常度によって常に算出されることになり、より正確な一般走行可能距離に基づいて、さらに高精度な今回の走行可能距離を算出することができる。
【0050】
さらに、本実施例では、履歴データは、ドライバーの運転特性データおよび外因データを含む。このため、ドライバーについて、外因データに基づく外因状況に応じた運転特性が取得され、外因状況を考慮した運転特性補正値の算出が容易となる。
【0051】
また、走行データは、車速およびエンジン回転数を含むエンジン本体の動作データと、燃料装置の動作データとを含み、運転特性データは、ブレーキの踏み方に関するデータと、アクセルの踏み方に関するデータとを含む。このため、エンジン本体の動作データおよび燃料装置の動作データにより、車載部品の異常度を算出することができる。また、ドライバー個人の運転特性に強い影響を及ぼすブレーキおよびアクセルの踏み方に関するデータにより、運転特性補正値を算出することができる。
【0052】
さらに、本実施例では、車両の運転終了後には、第2データベース15に今回の走行可能距離をアップロードし、第1データベース12に、走行データ、運転特性データおよび外因データをアップロードする。このため、更新された運転特性データおよび外因データに基づいて、より正確な運転特性補正値を算出することができ、この運転特性補正値を用いて、より高精度な今回の走行可能距離を算出することができる。また、第2データベース15に更新された今回の走行可能距離は、次回の運転において最新のデータ、つまり最新の前回の走行可能距離として比較されることになり、ドライバーへの正確な情報の提供に寄与することができる。
【0053】
また、本実施例では、ブレーキの踏み方に関するデータまたはアクセルの踏み方に関するデータが、運転特性補正値の算出に用いられてもよい。このため、ブレーキの踏み方に関するデータおよびアクセルの踏み方に関するデータのうちの一方のデータが無い場合にも、残りの他方のデータによって運転特性補正値の算出が継続されるので、どのような運転状況においても、運転特性補正値を算出することができる。
【0054】
さらに、本実施例では、運転特性データは、車両の運転時の外因データに基づく外因状況と同じ状況のドライバーの履歴データから抽出される。上述のように外因データはドライバーの運転特性に影響を及ぼすものであるから、外因状況と同じ状況のドライバーの履歴データから運転特性データが抽出されることで、ドライバー個人の運転特性を厳密に特定し、これにより、運転特性補正値の算出の精度を向上させることができる。
【0055】
また、本実施例では、ブレーキの踏み方に関するデータおよびアクセルの踏み方に関するデータから、毎回のブレーキについての踏む角度に到達するまでの時間を踏む角度で除算した値の平均値、毎回のアクセルについての踏む角度に到達するまでの時間を踏む角度で除算した値の平均値、および毎回のアクセルについての一定速度エリアにおける分散の逆数の平均値を算出する。このように3つの平均値、つまり第1補正値B、第2補正値A1および第3補正値A2を算出することにより、ドライバー個人の運転特性を運転特性補正値の算出に正確に反映させることができる。
【0056】
さらに、本実施例では、運転特性補正値が、第1補正値B、第2補正値A1および第3補正値A2の積を用いて算出される。このため、第1補正値B、第2補正値A1および第3補正値A2のいずれか1つのみを用いて運転特性補正値を算出する場合と比べて、運転特性補正値を精度良く算出することができる。
【0057】
図4は、第2実施例の走行可能距離予測装置のブロック図である。
【0058】
第2実施例では、データ取得部101は、ドライバーIDと履歴データとを照合することができない場合に、車両を運転するドライバーとは異なる他のドライバー(過去のドライバー)の履歴データに基づいてドライバーのマッチングを行う履歴データマッチング部16をさらに有している。ここで、ドライバーIDと履歴データとを照合することができない場合としては、例えば車両がレンタカーであり、このレンタカーを初めて運転するので、履歴データに自身のデータが全く無い場合、ドライバーがドライバーID入力部33にドライバーIDを入力しない(入力することを忘れた)場合、ドライバーがIDを持っていない場合が挙げられる。履歴データマッチング部16は、ドライバーIDと履歴データとを照合することができない場合に、現在の外因状況と同じ状況の他人の運転特性データを含む履歴データを呼び出し、この履歴データの運転特性データを、リアルタイムで取得された現在のドライバーに関する運転特性データ、本実施例ではブレーキの踏み方に関するデータおよびアクセルの踏み方に関するデータとマッチングする。このマッチングは、他人の運転特性データと、現在のドライバーの運転特性データとが一致するまで継続される。マッチングの終了後には、履歴データマッチング部16は、マッチングされた運転特性データを含む他人の履歴データに基づいて予測走行可能距離を予測する。さらに、履歴データマッチング部16は、マッチングした他人の運転特性データを用いて補正値を算出し、この補正値を用いて、今回の予測走行可能距離を補正する。これにより、今回の走行可能距離が取得される。また、第1データベース12に現在のドライバーの履歴データが無く、かつ他人の履歴データの運転特性データとマッチングすることができない場合には、第1データベース12から、現在の外因状況と同じ状況の他人の履歴データの全てを呼び出し、該他人の履歴データの運転特性データの全てについての平均の補正値、つまり複数の他人のデータに基づく平均の補正値を算出する。この平均の補正値は、現在の外因状況と同じ状況の他人の履歴データの全てに基づいて予測された予測走行可能距離の補正のために用いられる。
【0059】
次に、図5を参照しながら、第2実施例の処理の流れについて説明する。なお、第1実施例と同様の手順については説明を省略する。
【0060】
まず、ステップS31において、ドライバーがドライバーID入力部33に自己のドライバーIDを入力したか否かを判定する。ドライバーがドライバーID入力部33にドライバーIDを入力した場合には、ステップS32へ移行し、ドライバーの履歴データがあるか否かを判定する。ドライバーの履歴データがある場合には、ステップS12へ移行し、ドライバーの履歴データを呼び出す。
【0061】
また、ステップS32においてドライバーの履歴データが無いと判定された場合には、ステップS14へ移行し、外因データを取得する。
【0062】
次に、ステップS17において、走行データ、本実施例では車速、エンジン回転数等のエンジン本体の動作データ、および燃料装置の動作データを取得するとともに、運転特性データ、本実施例ではブレーキの踏み方に関するデータおよびアクセルの踏み方に関するデータを取得する。
【0063】
そして、ステップS33において、現在のドライバーの運転特性データと他人の運転特性データとをマッチングし、引き続き、ステップS34において、両者の運転特性データがマッチングできたか否かを判定する。両者の運転特性データがマッチングできた場合には、ステップS35へ移行し、マッチングした他人の履歴データを呼び出す。そして、この他人の運転特性データに基づいて今回の予測走行可能距離(補正前の予測走行可能距離)を予測しておく。
【0064】
次に、ステップS36において、マッチングした他人の運転履歴データを用いて補正値(他人のデータに基づく運転特性補正値)を算出する。
【0065】
そして、ステップS22へ移行し、他人のデータに基づく運転特性補正値を用いて今回の予測走行可能距離を補正することにより、今回の走行可能距離を算出する。
【0066】
また、ステップS34において現在のドライバーの運転特性データと他人の運転特性データとがマッチングできなかった場合には、ステップS37へ移行し、第1データベース12から、現在の外因状況と同じ状況の他人の履歴データの全てを呼び出す。
【0067】
次に、ステップS38において、現在の外因状況と同じ状況の他人の履歴データの運転特性データの全てについての平均の補正値(複数の他人のデータに基づく平均の補正値)を算出する。この算出後には、上記他人の履歴データの全てに基づいて今回の予測走行可能距離を予測しておく。
【0068】
そして、ステップS22へ移行し、複数の他人のデータに基づく平均の補正値に基づいて、今回の予測走行可能距離を補正することにより、今回の走行可能距離を算出する。
【0069】
上記のように、第2実施例では、ドライバーのドライバーIDと履歴データとを照合することができない場合に、ドライバーに関する今回の運転特性データと、履歴データから取得された他人の運転特性データとをマッチングし、このマッチングされた運転特性データを用いて補正値を算出する。このため、車両を運転するドライバーに関する運転履歴が無い場合にも、信頼性のある他人の履歴データを用いて、今回の走行可能距離を算出することができる。
【0070】
また、本実施例では、他人の運転特性データとマッチングするまで、データベースから、車両の運転時の外因状況と同じ状況の他人の履歴データの全てを呼び出し、該他人の履歴データの運転特性データの全てについての平均的な補正値を算出し、この平均的な補正値を用いて今回の予測走行可能距離を補正する。このように平均的な補正値を用いることにより、他人の1つの履歴データのみから算出された補正値を用いる場合と比べて、今回の走行可能距離を厳密に算出することができる。
【0071】
図6は、第3実施例の走行可能距離予測装置のブロック図である。
【0072】
第3実施例では、走行可能距離予測部102は、リアルタイム走行データ取得部14によってリアルタイムで取得される運転特性データ、本実施例ではブレーキの踏み方に関するデータおよびアクセルの踏み方に関するデータに基づいてリアルタイム補正値を算出するリアルタイム補正値計算部26をさらに備えている。車両の走行中には、例えばドライバーが目的地に早く到着するために車両を急に加速させる等の理由により、ドライバーの運転特性が一時的に変化することがある。このような状況に対して、リアルタイムで取得される運転特性データを考慮したリアルタイム補正値を算出することは、より正確な今回の走行可能距離を算出するのに寄与する。リアルタイム補正値は、補正値計算部24で算出された運転特性補正値と共に、個人走行可能距離算出部25へ送信され、この個人走行可能距離算出部25において、運転特性補正値およびリアルタイム補正値からなる2つの補正値の平均値を用いて一般走行可能距離を補正することにより、今回の走行可能距離(個人的な走行可能距離)が算出される。
【0073】
次に、図7を参照しながら、第3実施例の処理の流れについて説明する。なお、第1実施例と同様の手順については説明を省略する。
【0074】
図7のフローチャートでは、ステップS20において異常度を算出した後に、ステップS39へ移行し、リアルタイム補正値計算部26により、走行データ中の運転特性データ、本実施例ではブレーキの踏み方に関するデータおよびアクセルの踏み方に関するデータに基づいてリアルタイム補正値を算出する。
【0075】
次に、ステップS40において、運転特性補正値およびリアルタイム補正値の平均値を算出する。
【0076】
そして、ステップS41において、運転特性補正値およびリアルタイム補正値の平均値を用いて一般走行可能距離を補正することにより、今回の走行可能距離を算出する。
【0077】
上記のように、第3実施例では、リアルタイム補正値計算部26は、リアルタイムで取得される運転特性データに基づいてリアルタイム補正値を算出する。上述のように、ドライバーが目的地に早く到着するために車両を急に加速させる等の理由により、ドライバーの運転特性が一時的に変化することがある。このため、ドライバーの運転特性をリアルタイムで監視することで、ドライバーの運転特性が一時的に変化しても、リアルタイム補正値の変化を迅速に検出することができる。
【0078】
また、本実施例では、リアルタイム補正値と、履歴データから算出された運転特性補正値との平均値を算出し、この平均値を用いて一般走行可能距離を補正する。このため、リアルタイム補正値、または履歴データから算出された運転特性補正値の一方のみを用いる場合と比べて、今回の走行可能距離の算出の精度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0079】
11・・・外因データ取得部
12・・・第1データベース
13・・・リアルタイム走行データ取得部
16・・・履歴データマッチング部
21・・・異常度計算部
22・・・一般走行可能距離算出部
24・・・補正値計算部
25・・・個人走行可能距離算出部
26・・・リアルタイム補正値計算部
33・・・ドライバーID入力部
101・・・データ取得部
102・・・走行可能距離予測部
103・・・HMI装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7