(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084899
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】ラック搭載構造、ラック
(51)【国際特許分類】
H05K 7/18 20060101AFI20240619BHJP
A47B 88/40 20170101ALI20240619BHJP
【FI】
H05K7/18 E
H05K7/18 L
A47B88/40
H05K7/18 B
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199081
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 俊之
【テーマコード(参考)】
3B160
【Fターム(参考)】
3B160AA12
3B160AC02
3B160CA06
3B160CA13
3B160EA06
3B160EA13
3B160EA32
3B160EA36
3B160EA52
(57)【要約】
【課題】 電子機器を搭載するラックに関する管理作業を支援することが可能なラック搭載構造等を提供することを目的の一つとする。
【解決手段】 本開示の一態様にかかるラック搭載構造は、電子機器をラックに搭載する構造であって、前記電子機器の両側面に取り付けられる一対のガイド部材と、前記ラックに対する前記電子機器の挿抜方向に沿って前記ラックの支柱に固定され、前記ガイド部材のそれぞれを前記挿抜方向に移動可能に下方から支持する一対のレールと、前記一対のレールのうち少なくとも一方の一端に固定され、前記電子機器が前記ラックに挿入されると前記電子機器の給電部と嵌合する電源コネクタと、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器をラックに搭載する構造であって、
前記電子機器の両側面に取り付けられる一対のガイド部材と、
前記ラックに対する前記電子機器の挿抜方向に沿って前記ラックの支柱に固定され、前記ガイド部材のそれぞれを前記挿抜方向に移動可能に下方から支持する一対のレールと、
前記一対のレールのうち少なくとも一方の一端に固定され、前記電子機器が前記ラックに挿入されると前記電子機器の給電部と嵌合する電源コネクタと、を備える、
ラック搭載構造。
【請求項2】
前記電源コネクタは、前記電源コネクタの嵌合軸が、前記給電部の嵌合軸と一致する方向に可動する構造を有する、
請求項1に記載のラック搭載構造。
【請求項3】
前記レールは、前記挿抜方向に沿って前記ガイド部材を下方から支持する支持部と、前記支持部の上面に対向し、前記ガイド部材の上方への移動を制限する移動制限部と、を有する案内構造を含む、
請求項1に記載のラック搭載構造。
【請求項4】
前記電子機器に取り付けられる部材であって、前記電子機器が前記ラックに挿入された状態で前記電子機器を前記レール及び前記支柱の少なくとも一方に固定するための固定部材をさらに備える、
請求項1に記載のラック搭載構造。
【請求項5】
前記レールは、前記支柱と係止可能な複数の係止部と、調整機構と、を有し、
前記調整機構は、前記支柱と係止可能な少なくとも一の係止部を、前記レールの長手方向に移動可能な機構である、
請求項1に記載のラック搭載構造。
【請求項6】
前記調整機構は、前記レールに設けられる長穴と、可動部材と、を有し、
前記長穴の長手方向は、前記レールの長手方向であり、
前記可動部材は、前記少なくとも一の係止部と、前記長穴に挿入され、先端が前記長穴の短手方向に曲がるかぎ形状の引っ掛け部と、を有する、
請求項5に記載のラック搭載構造。
【請求項7】
電子機器を搭載するラックであって、
支柱と、
当該ラックに対する前記電子機器の挿抜方向に沿って前記ラックの支柱に固定され、前記電子機器の両側面に取り付けられるガイド部材のそれぞれを、前記挿抜方向に移動可能に下方から支持する一対のレールと、
前記一対のレールのうち少なくとも一方の一端に固定され、前記電子機器が当該ラックに挿入されると前記電子機器の給電部と嵌合する電源コネクタと、を備える、
ラック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子機器をラックに搭載する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
サーバ等の電子機器を、複数まとめてラック等に搭載することがある。例えば、特許文献1には、ラック支柱に固定されたマウントレールに、電子機器の側部を支持させることで、電子機器をラックに搭載することが開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、複数のユニットを挿入可能なシェルフが開示される。このとき、シェルフの奥行方向に沿って延在するレールに、ユニットのレールを受け入れさせることにより、ユニットがシェルフに挿入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-150010号公報
【特許文献2】特開平11-162560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような電子機器及びラック等の管理者は、ラックの設置作業、並びに、電子機器及び各種部品の保守交換作業等の、様々な管理作業を行う。その際、ラックからの電子機器の挿抜が行われることがある。
【0006】
特許文献1のようなラックの構造の場合、ラックに搭載された電子機器の背面に直接各種のケーブルが接続される。そのため管理者は、電子機器の挿抜を行う際、電子機器の背面に移動して、各種ケーブルの抜き差しを行う必要がある。
【0007】
特許文献2に開示されるシェルフは、シェルフの背面側のバックボードに、ユニットのコネクタと嵌合するコネクタが取り付けられている。そのため、ユニットがシェルフに挿入されるとシェルフ側のコネクタとユニット側のコネクタとが嵌合する。このとき、コネクタを嵌合させるために、シェルフのレールはバックボードに対して決まった角度で設置される必要がある。そのため、例えば、シェルフのレールがバックボードに対してずれていることがあると、コネクタは適切に嵌合しない可能性がある。
【0008】
本開示は、上記課題を鑑みてなされたものであり、電子機器を搭載するラックに関する管理作業を支援することが可能なラック搭載構造等を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様にかかるラック搭載構造は、電子機器をラックに搭載する構造であって、前記電子機器の両側面に取り付けられる一対のガイド部材と、前記ラックに対する前記電子機器の挿抜方向に沿って前記ラックの支柱に固定され、前記ガイド部材のそれぞれを前記挿抜方向に移動可能に下方から支持する一対のレールと、前記一対のレールのうち少なくとも一方の一端に固定され、前記電子機器が前記ラックに挿入されると前記電子機器の給電部と嵌合する電源コネクタと、を備える。
【0010】
本開示の一態様にかかるラックは、電子機器を搭載するラックであって、支柱と、当該ラックに対する前記電子機器の挿抜方向に沿って前記ラックの支柱に固定され、前記電子機器の両側面に取り付けられるガイド部材のそれぞれを、前記挿抜方向に移動可能に下方から支持する一対のレールと、前記一対のレールのうち少なくとも一方の一端に固定され、前記電子機器が当該ラックに挿入されると前記電子機器の給電部と嵌合する電源コネクタと、を備える。
【発明の効果】
【0011】
電子機器を搭載するラックに関する管理作業を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の第1の実施形態のラックの一例を示す斜視図である。
【
図2】本開示の第1の実施形態のラック搭載構造の一例を示す斜視図である。
【
図3A】本開示の第1の実施形態のラック搭載構造を含む構成の一例を示す第1の斜視図である。
【
図3B】本開示の第1の実施形態のラック搭載構造を含む構成の一例を示す第2の斜視図である。
【
図4】本開示の第2の実施形態のラック搭載構造を含む構成の一例を示す第1の斜視図である。
【
図5】本開示の第2の実施形態の支持構造の一例を示す図である。
【
図6】本開示の第2の実施形態のラック搭載構造を含む構成の一例を示す第2の斜視図である。
【
図7】本開示の第2の実施形態のフローティング構造の一例を説明する図である。
【
図8】本開示の第2の実施形態の固定部材の仕組みの一例を説明する図である。
【
図9】本開示の第2の実施形態の調整機構の一例を説明する第1の図である。
【
図10】本開示の第2の実施形態の調整機構の一例を説明する第2の図である。
【
図11】本開示の変形例2の固定部材の仕組みの一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0014】
<第1の実施形態>
第1の実施形態のラック搭載構造の概要について説明する。
【0015】
まず、本開示におけるラック1を説明する。
図1は、ラック1の一例を示す斜視図である。
図1に示すように、ラック1は、レール20と電源コネクタ30と支柱50とを備える。ラック1は、電子機器100を搭載する。
【0016】
図2は、ラック搭載構造1000の一例を示す斜視図である。
図2に示すように、ラック搭載構造1000は、ガイド部材10とレール20と電源コネクタ30とを備える。一対のガイド部材10が、電子機器100の両側面に取り付けられる。ガイド部材10のそれぞれが一対のレール20に支持されることにより電子機器100がラックに搭載される。このとき電源コネクタ30は、電子機器100の給電部と嵌合する。
【0017】
このように、ラック搭載構造1000は少なくとも一台の電子機器100をラック1に搭載するための構造を示す。なお、
図1の例ではラック1が一台の電子機器100を搭載するものとして示されているが、この例に限られない。例えば、ラック1は、一対のレール20及び電源コネクタ30の組を複数備えてもよい。例えば、当該組を複数段積載するように支柱50に固定することにより、複数の電子機器100がラック1に搭載される。
【0018】
なお、電子機器100は、例えばサーバ装置であるがこの例に限られない。電子機器100は、各種の通信装置であってよい。
【0019】
次に、ラック搭載構造1000の詳細を説明する。
図3Aは、ラック搭載構造1000を含む構成の一例を示す第1の斜視図である。
図3Aの例では、電子機器100の側面にガイド部材10-1、10-2が取り付けられる。なお、以降の図において、説明のために構成ごとに符号を区別して表記している。例えばガイド部材10を、ガイド部材10-1、10-2と区別して表記している。ガイド部材10-1、10-2を区別しない場合、単にガイド部材10と表記する。また、本開示においてガイド部材10と同様に、x-n(x及びnは1以上の整数)の符号が付された構成についてそれぞれを区別しない場合、当該構成に付された符号をxとだけ表記する。例えば、レール20-1、20-2を区別しない場合、レール20と表記し、電源コネクタ30-1、30-2を区別しない場合、電源コネクタ30と表記する。
【0020】
また、
図3Aの例では、支柱50-1、50-2にレール20-1が固定され、支柱50-3、50-4にレール20-2が固定される。なお、
図3Aの例では、4本の支柱が用いられているがこの例に限られない。レール20-1とレール20-2とが、それぞれ一本以上の支柱に固定されればよい。また、支柱は5本以上あってもよい。
【0021】
レール20-1には、電源コネクタ30-1が固定され、レール20-2には電源コネクタ30-2が固定される。電源コネクタ30-1には給電ケーブル40-1が接続され、電源コネクタ30-2には給電ケーブル40-2が接続される。なお、
図3Aの例では、2つの電源コネクタが用いられているが、電源コネクタはこの例に限られない。例えば、電子機器100の給電部が一か所であれば、レール20のうち、給電部の位置に応じたいすれか一方のレールにのみに電源コネクタ30が固定されてよい。このように電子機器100の給電部の数に応じて電源コネクタの数は変わってもよい。
【0022】
図3Aを、電子機器100の前面側から見た図と定義する。
図3Aの例では、電子機器100が矢印の方向(電子機器100の背面方向)に挿入されることによってラック1に電子機器100が搭載される。このとき、レール20は、ガイド部材10を移動可能に支持する。例えば、ガイド部材10がレール20に下方から支持されながら矢印方向にスライド移動することにより、電子機器100がラック1に挿入される。また、挿入された電子機器100は、矢印の反対方向(電子機器100の前面方向)に抜かれることによって、ラック1から取り外される。このように、レール20は、ラック1に対する電子機器100の挿抜方向に沿ってラック1の支柱50に固定される。そして、レール20は、ガイド部材10のそれぞれを挿抜方向に移動可能に支持する。
【0023】
電子機器100の背面には、給電部35が存在する。給電部35は、電源コネクタ30と嵌合する。より具体的には、給電部35-1は電源コネクタ30-1と嵌合し、給電部35-2は電源コネクタ30-2と嵌合する。これにより、電子機器100に給電が行われる。
【0024】
図3Bは、ラック搭載構造1000を含む構成の一例を示す第2の斜視図である。より具体的には、
図3Bは、電子機器100がラック1に搭載されている状況を、電子機器の背面側から見た図である。
図3Bに示すように、電子機器100がラック1に挿入されると、電子機器100の給電部35に電源コネクタ30が嵌合する。
【0025】
電源コネクタ30は、一対のレール20のうち少なくとも一方の一端に固定される。例えば
図3Bに示されるように、電源コネクタ30は、レール20の、電子機器100の背面側の端部に固定される。
【0026】
このように、第1の実施形態のラック搭載構造1000は、電子機器100をラック1に搭載する構造であって、電子機器100の両側面に取り付けられる一対のガイド部材10を備える。また、ラック搭載構造1000は、ラック1に対する電子機器100の挿抜方向に沿ってラック1の支柱50に固定され、ガイド部材10のそれぞれを挿抜方向に移動可能に下方から支持するレールを備える。そして、ラック搭載構造1000は、一対のレール20のうち少なくとも一方の一端に固定され、電子機器100がラック1に挿入されると電子機器100の給電部35と嵌合する電源コネクタを備える。
【0027】
これにより、管理者は、レール20に沿って電子機器100を挿抜することが可能となる。そして、電子機器100がラック1に挿入されると、レール20に固定される電源コネクタ30に、電子機器100の給電部35が嵌合する。そのため、管理者は電子機器100の給電部35の接続作業を、必ずしも電子機器100の背面に移動して行う必要がなくなる。また、例えば、レール20が支柱50に対してどのような角度で設置されたとしても、管理者は、給電部35と電源コネクタ30の位置合わせ及び接続を容易に行うことができる。すなわち、第1の実施形態のラック搭載構造1000は、電子機器を搭載するラックに関する管理作業を支援することができる。
【0028】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態のラック搭載構造について説明する。第2の実施形態では、第1の実施形態で説明したラック搭載構造1000の更なる例を説明する。
【0029】
図4は、第2の実施形態のラック搭載構造1000を含む構成の一例を示す第1の斜視図である。第2の実施形態のラック搭載構造1000は、ガイド部材10、レール20、電源コネクタ30、支柱50、及び固定部材60を備える。また、ラック1は、レール20、電源コネクタ30、及び支柱50を備える。
【0030】
図4に示すように、一対のガイド部材10が存在する。ガイド部材10は、電子機器100の両側面に取り付けられる。ここで、電子機器100の-y軸方向の面を前面と称し、+y軸方向の面を背面と称する。また、電子機器100の+x軸方向の面を右側面と称し、-x軸方向の面を左側面と称する。例えば、ガイド部材10-1は、電子機器100の左側面に取り付けられ、ガイド部材10-2は、電子機器100の右側面に取り付けられる。ガイド部材10のそれぞれは、電子機器100の側面にねじ等で固定される。
【0031】
また、
図4の例では、支柱50-1、50-2にレール20-1が固定され、支柱50-3、50-4にレール20-2が固定される。このように一対のレール20が存在する。レール20のそれぞれは、ガイド部材10のそれぞれを移動可能に支持する。例えば、ガイド部材10がレール20に支持されながら+y軸方向にスライド移動することにより、電子機器100がラック1に挿入される。
【0032】
レール20によるガイド部材10の支持構造の一例を説明する。
図5は、支持構造の一例を示す図である。具体的には、
図5は、ラック1に電子機器100が搭載された際のレール20及びガイド部材10の一部を示す、x軸方向に沿う断面図である。
図5の例では、電子機器100の右側面に取り付けられたガイド部材10-2とレール20-2とが示される。レール20は、案内構造を有する。
図5の例では、レール20-2は、案内構造の一例として支持部と移動制限部とが形成される。支持部及び移動制限部は、y軸方向に沿ってレール20-2に形成される。支持部はガイド部材10を下方から支持する。また、移動制限部は、支持部の上面に対向し、ガイド部材10の上方への移動を制限する。
例えば、ガイド部材10は、y軸方向に沿って形成された突起部を有する。
図5の例では、ガイド部材10-2は、+x軸方向に突起する突起部を有する。このとき、ガイド部材10の突起部が、支持部と移動制限部との間に差し込まれる。このときレール20-2の支持部によって、ガイド部材10が支持される。
【0033】
このように、レール20は、案内構造を含む。案内構造は、挿抜方向に沿ってガイド部材を下方から支持する支持部と、支持部の上面に対向し、ガイド部材の上方への移動を制限する移動制限部と、を有する。
【0034】
これにより、管理者は、案内構造を利用して電子機器100を移動させることができるので、容易に電子機器100の位置補正を行うことができる。また、移動制限部により、ガイド部材10の上方(+z軸方向)への移動が制限される。そのため、ラック搭載構造1000は、レール20からガイド部材10が外れ、電子機器100が落下する可能性を低減することができる。
【0035】
図6は、第2の実施形態のラック搭載構造1000を含む構成の一例を示す第2の斜視図である。
図6は、電子機器100がラック1に挿入された際のラック搭載構造1000を示す。
図6に示されるように電子機器100が挿入されると、レール20に固定された電源コネクタ30が、電子機器100の給電部35に嵌合する。
【0036】
このとき、電源コネクタ30は、フローティング構造を有してよい。
図7はフローティング構造の一例を説明する図である。
図7は、+z軸方向から見た給電部35と電源コネクタ30とを示す。給電部35と電源コネクタ30とが嵌合する際、給電部35及び電源コネクタ30の嵌合軸が一致する必要がある。
図7の例では、給電部35の嵌合軸Aと電源コネクタ30の嵌合軸Bとにずれが生じている。フローティング構造は、ずれが生じている状況で嵌合を行う際に、ずれを無くすように可動する構造である。
図7の例では、電源コネクタ30は、嵌合の際、給電部35から圧力が加わる。そして、電源コネクタ30は、ばね等により、嵌合軸Bが嵌合軸Aに近づく方向(-x軸方向)に可動する。
【0037】
このように、電源コネクタ30は、電源コネクタ30の嵌合軸が給電部35の嵌合軸と一致する方向に可動する構造を有する。これにより、給電部35と電源コネクタ30との嵌合軸にずれが生じている場合であっても、そのずれを吸収することができる。
【0038】
固定部材60は、電子機器100をラック1に固定する。より具体的には、電子機器100がラック1に挿入された後に、固定部材60を調整することにより、電子機器100はラック1に固定される。
【0039】
図8は、固定部材60の仕組みの一例を説明する図である。具体的には、
図8は、+z軸方向から見た、電子機器100の左側面側の固定部材60-1を示す図である。固定部材60-1は、ねじ頭61-1、ねじ部62-1、取付部材63-1を有する。取付部材63-1は、電子機器100に取り付けられる。また、ねじ頭61-1は、ねじ部62-1の一端に接続される。ねじ部62-1は、取付部材63-1を貫通している。電子機器100がラック1に挿入される際、ねじ部62-1は、レール20-1に設けられたねじ穴に挿入される。例えば、管理者は、ねじ頭61-1を回転させることにより、ねじ部62-1が+y軸方向にねじ穴に挿入される。これにより、固定部材60-1がレール20-1に対して係止する。すなわち、電子機器100はラック1に固定される。同様に、固定部材60-2は、ねじ頭61-2、ねじ部62-2、取付部材63-2を有する。
【0040】
なお、この例に限らず、固定部材60は、支柱50に対して係止するような構造であってもよい。
【0041】
このように、固定部材60は、電子機器100に取り付けられる部材であって、電子機器100がラック1に挿入された状態で電子機器100をレール20及び支柱50の少なくとも一方に固定する。これにより、ラック搭載構造1000は、挿入された電子機器100をラック1に固定することができる。
【0042】
固定部材60のねじ頭61には、ドライバ等を差し込むための穴である駆動部が形成されてよい。また、ねじ頭61は、取っ手が形成されていてよい。例えば、ねじ頭61に、指に沿う凹凸が形成されていてよい。これにより、管理者は、手回しでねじ頭61を回転させることができるので、電子機器100の挿抜の際に、ドライバ等の工具を使用せずに、固定部材60による固定の解除及び設定を行うことができる。
【0043】
レール20は、調整機構210を有する。調整機構210は、支柱50間の距離に応じて、レール20に対する支柱50の係止位置を調整可能な機構である。この場合、レール20のそれぞれは、複数の支柱50によって固定される。例えばレール20-2は、支柱50-3と支柱50-4とによって固定される。この例において調整機構210は、支柱50-3と支柱50-4との間の距離に応じて、レール20-2に対する支柱50-4の係止位置を調整可能である。
【0044】
図9は、調整機構210の一例を説明する第1の図である。具体的には、
図9は、レール20-2を+x軸方向から見た図である。
図9の例では、レール20-2は調整機構210-2と、係止部211-2、212-2、213-2、214-2を有する。また、調整機構210-2は、長穴215-2、216-2と可動部材217-2とを有する。可動部材217-2は、係止部218-2を有する。長穴215-2、216-2は、レール20-2の長手方向に広がる穴である。すなわち、長穴215-2、216-2の長手方向は、レール20-2の長手方向と略一致する。可動部材217-2は、例えば、の長穴215-2、216-2の少なくとも一方に、ねじ等で係止される。なお、可動部材217のレール20に対する取り付け方はこの例に限られない。
【0045】
なお、ここで説明されるレール20-2と同様に、レール20-1は、調整機構210-1と、係止部211-1、212-1、213-1、214-1を有する。また、調整機構210-1は、長穴215-1、216-1と可動部材217-1とを有する。可動部材217-1は、係止部218-1を有する。
【0046】
例えば支柱50-3は、係止部211-2、212-2、213-2、214-2のいずれかにおいて係止される。係止部は、例えばねじ穴である。支柱50-3は、係止部を利用し、ねじ等によってレール20-1によって係止される。このようにレール20は、複数の係止部を有していてよい。これにより、支柱50の位置に応じてレール20の位置を調整することができる。
【0047】
また、例えば、支柱50-4は、可動部材217-2の係止部218-2において、ねじ等によって係止される。可動部材217は、長穴215、216の範囲において移動可能である。可動部材217-2は、係止部を複数有してよい。すなわち、調整機構210は、支柱50と係止可能な少なくとも一の係止部を、レール20の長手方向に移動可能な機構である、といえる。
【0048】
可動部材217は、長穴215、216を利用してレール20に取り付けられる。例えば、上述のように、可動部材217は、長穴215、216の少なくとも一方に対して、ねじによって係止されてよい。
図4の例では、可動部材217は、長穴215、216の両方にねじを挿入することにより係止されている。一方で、可動部材217のレール20への取り付け方はこの例に限られない。
図10は、調整機構210の一例を説明する第2の図である。具体的には、
図10は、レール20-2と調整機構210-2とを、-y軸方向から見た断面図である。この例において、調整機構210-2の可動部材217-2は、-x軸方向にかぎ形状の引っ掛け部を形成する。引っ掛け部は長穴215-2、216-2のそれぞれに挿入される。
図10に示すようには、引っ掛け部は、長穴215-2、216-2の短手方向に曲がっている。これにより、レール20-2と可動部材217-2とが接続される。
【0049】
なお、可動部材217及び長穴215、216は、この例に限られない。例えば長穴は一以上存在してよい。可動部材217の引っ掛け部は、少なくとも一以上存在すればよく、長穴の数に応じて存在してもよい。
【0050】
そして、支柱50-4に挿入されるねじが係止部218-2に挿入されることにより、支柱50-4が可動部材217-2と係止する。
【0051】
このように、レール20は、支柱50と係止可能な複数の係止部と、調整機構210と、を有する。調整機構210は、支柱50と係止可能な少なくとも一の係止部を、前記レール20の長手方向に移動可能な機構である。ここで、調整機構210は、レール20に設けられる長穴と、可動部材217と、を有してよい。このとき長穴の長手方向は、レール20の長手方向であってよい。そして、可動部材217は、少なくとも一の係止部と、長穴に挿入され、先端が長穴の短手方向に曲がるかぎ形状の引っ掛け部と、を有してよい。
【0052】
これにより、支柱50間の距離に応じてレール20を固定する位置を調整可能にすることができる。
【0053】
以上のように、第2の実施形態のラック搭載構造1000は、電子機器100をラック1に搭載する構造であって、電子機器100に取り付けられるガイド部材10を備える。また、ラック搭載構造1000は、ラック1に対する電子機器100の挿抜方向に沿ってラック1の支柱50に固定され、ガイド部材10を挿抜方向に移動可能に支持するレール20を備える。そして、ラック搭載構造1000は、レール20の一端に固定され、電子機器100がラック1に挿入されると電子機器100の給電部35と嵌合する電源コネクタ30を備える。
【0054】
また、第2の実施形態のラック1は、電子機器100を搭載するラックであって、支柱50と、当該ラックに対する電子機器100の挿抜方向に沿って支柱に固定され、電子機器100に設けられるガイド部材10を、挿抜方向に移動可能に支持するレール20を備える。そして、ラック1は、レールの一端に固定され、電子機器100が当該ラックに挿入されると、前記電子機器100の給電部35と嵌合する電源コネクタ30を備える。
【0055】
これにより、管理者は、レール20に沿って電子機器100を挿抜することが可能となる。そして、電子機器100がラック1に挿入されるとレール20に固定される電源コネクタ30に、電子機器100の給電部35が嵌合する。そのため、管理者は電子機器100の給電部35の接続作業を、必ずしも電子機器100の背面に移動して行う必要がなくなる。また、例えば、レール20が支柱50に対してどのような角度で設置されたとしても、管理者は、給電部35と電源コネクタ30の位置合わせ及び接続を容易に行うことができる。すなわち、第2の実施形態のラック搭載構造1000は、電子機器を搭載するラックに関する管理作業を支援することができる。
【0056】
[変形例1]
レール20によるガイド部材10の支持構造は、
図5の例に限られない。具体的には、レール20に溝が複数存在してよい。例えば、
図5のレール20-2において、案内構造の+z軸方向に一以上の案内構造がさらに形成されてよい。このとき、レール20-2は、複数の溝のいずれかに突起部が差し込まれることによりガイド部材10-2を支持する。これにより、一組のレール上で電子機器100の高さを調整することが可能となる。
【0057】
また、レール20に溝が複数存在する場合、ガイド部材10は、複数の溝のそれぞれに差し込むことが可能な複数の突起部を有してよい。この場合、レール20は、複数の溝のそれぞれに突起部が差し込まれることによりガイド部材10を支持する。これにより、複数の突起部によりガイド部材10が支持されるので、電子機器100を安定して搭載することができる。
【0058】
また、ガイド部材10の突起部はローラーであってもよい。例えば、ローラーが案内構造の溝のz軸方向にかみ合うように回転することで、ガイド部材10がスライド移動する。
【0059】
[変形例2]
上述の例では、固定部材60は、電子機器100のラック1に対する挿入方向に固定している。固定部材60は、この例に限られない。
【0060】
図11は、変形例2の固定部材60の仕組みの一例を説明する図である。
図11は、
図8と、固定部材60-1の固定する方向が異なる。
図11の例では、ねじ部62-1が+x軸方向にねじ穴に挿入されることにより係止される。
【0061】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0062】
1 ラック
10 ガイド部材
20 レール
30 電源コネクタ
35 給電部
40 給電ケーブル
50 支柱
60 固定部材
100 電子機器
210 調整機構
211、212、213、214、218 係止部
215、216 長穴
217 可動部材
1000 ラック搭載構造
【手続補正書】
【提出日】2024-03-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器をラックに搭載する構造であって、
前記電子機器の両側面に取り付けられる一対のガイド部材と、
前記ラックに対する前記電子機器の挿抜方向に沿って前記ラックの支柱に固定され、前記ガイド部材のそれぞれを前記挿抜方向に移動可能に下方から支持する一対のレールと、
前記一対のレールのうち少なくとも一方の一端に固定され、前記電子機器が前記ラックに挿入されると前記電子機器の給電部と嵌合する電源コネクタと、を備え、
前記レールは、前記挿抜方向に沿って前記ガイド部材を下方から支持する支持部と、前記支持部の上面に対向し、前記ガイド部材の上方への移動を制限する移動制限部と、を有する案内構造を複数含む、
ラック搭載構造。
【請求項2】
前記電源コネクタは、前記電源コネクタの嵌合軸が、前記給電部の嵌合軸と一致する方向に可動する構造を有する、
請求項1に記載のラック搭載構造。
【請求項3】
前記電子機器に取り付けられる部材であって、前記電子機器が前記ラックに挿入された状態で前記電子機器を前記レール及び前記支柱の少なくとも一方に固定するための固定部材をさらに備える、
請求項1に記載のラック搭載構造。
【請求項4】
前記レールは、前記支柱と係止可能な複数の係止部と、調整機構と、を有し、
前記調整機構は、前記支柱と係止可能な少なくとも一の係止部を、前記レールの長手方向に移動可能な機構である、
請求項1に記載のラック搭載構造。
【請求項5】
前記調整機構は、前記レールに設けられる長穴と、可動部材と、を有し、
前記長穴の長手方向は、前記レールの長手方向であり、
前記可動部材は、前記少なくとも一の係止部と、前記長穴に挿入され、先端が前記長穴の短手方向に曲がるかぎ形状の引っ掛け部と、を有する、
請求項4に記載のラック搭載構造。
【請求項6】
電子機器を搭載するラックであって、
支柱と、
当該ラックに対する前記電子機器の挿抜方向に沿って前記ラックの支柱に固定され、前記電子機器の両側面に取り付けられるガイド部材のそれぞれを、前記挿抜方向に移動可能に下方から支持する一対のレールと、
前記一対のレールのうち少なくとも一方の一端に固定され、前記電子機器が当該ラックに挿入されると前記電子機器の給電部と嵌合する電源コネクタと、を備え、
前記レールは、前記挿抜方向に沿って前記ガイド部材を下方から支持する支持部と、前記支持部の上面に対向し、前記ガイド部材の上方への移動を制限する移動制限部と、を有する案内構造を複数含む、
ラック。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
図9は、調整機構210の一例を説明する第1の図である。具体的には、
図9は、レール20-2を+x軸方向から見た図である。
図9の例では、レール20-2は調整機構210-2と、係止部211-2、212-2、213-2、214-2を有する。また、調整機構210-2は、長穴215-2、216-2と可動部材217-2とを有する。可動部材217-2は、係止部218-2を有する。長穴215-2、216-2は、レール20-2の長手方向に広がる穴である。すなわち、長穴215-2、216-2の長手方向は、レール20-2の長手方向と略一致する。
可動部材217-2は、長穴215-2、216-2の少なくとも一方に、ねじ等で係止される。なお、可動部材217のレール20に対する取り付け方はこの例に限られない。