(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008490
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】到達判定装置および到達判定方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
H05K13/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110411
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡 博充
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353EE13
5E353JJ02
5E353JJ28
5E353MM03
5E353MM07
5E353MM08
5E353NN15
5E353QQ12
(57)【要約】
【課題】昇降部の下降に要する所要時間を短縮可能な到達判定装置および到達判定方法を開示する。
【解決手段】到達判定装置は、昇降部と先端部と付勢部と検出部と判定部とを備える。昇降部は、ヘッド本体部に昇降可能に設けられる。先端部は、昇降部に対して鉛直方向に相対移動可能に保持される。付勢部は、先端部を昇降部に対して下方に付勢する。検出部は、昇降部の下降により先端部もしくは先端部が保持する部品が目標物に当接することで昇降部と先端部が相対移動したことを検出する。判定部は、先端部もしくは先端部が保持する部品が目標物に当接するように予め算出された目標位置まで昇降部が下降したタイミングで、検出部によって当接が検出された場合に、先端部もしくは先端部が保持する部品の目標物への到達を判断し、検出部によって当接が検出されなかった場合に、先端部もしくは先端部が保持する部品の目標物への未到達を判断する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッド本体部に昇降可能に設けられる昇降部と、
前記昇降部に対して鉛直方向に相対移動可能に保持される先端部と、
前記先端部を前記昇降部に対して下方に付勢する付勢部と、
前記昇降部の下降により前記先端部もしくは前記先端部が保持する部品が目標物に当接することで前記昇降部と前記先端部が相対移動したことを検出する検出部と、
前記先端部もしくは前記先端部が保持する前記部品が前記目標物に当接するように予め算出された目標位置まで前記昇降部が下降したタイミングで、前記検出部によって前記当接が検出された場合に、前記先端部もしくは前記先端部が保持する前記部品の前記目標物への到達を判断し、前記検出部によって前記当接が検出されなかった場合に、前記先端部もしくは前記先端部が保持する前記部品の前記目標物への未到達を判断する判定部と、
を備える到達判定装置。
【請求項2】
前記判定部によって前記先端部もしくは前記先端部が保持する前記部品の前記未到達が判定された場合に、前記昇降部、前記先端部、前記付勢部および前記検出部を備えるヘッドを使用した生産を停止させる制御部を備える請求項1に記載の到達判定装置。
【請求項3】
前記判定部によって前記先端部もしくは前記先端部が保持する前記部品の前記未到達が判定された場合に、前記昇降部を前記目標位置に対して、さらに下降させる制御部を備える請求項1に記載の到達判定装置。
【請求項4】
前記制御部は、予め規定されている規定量または前記判定部によって前記先端部もしくは前記先端部が保持する前記部品の前記到達が判定されるまで、前記昇降部を前記目標位置に対して、さらに下降させる請求項3に記載の到達判定装置。
【請求項5】
前記目標物は、前記部品を装着する基板であり、
前記制御部は、前記昇降部が前記目標位置に対して、さらに下降した際に想定される荷重の増加を許容する所定部品について、前記昇降部を前記目標位置に対して、さらに下降させる請求項3または請求項4に記載の到達判定装置。
【請求項6】
前記検出部は、前記昇降部に対する前記先端部の相対移動の有無に応じて、検出光が透過または遮光される光学センサである請求項1に記載の到達判定装置。
【請求項7】
前記先端部は、ピン部材の下端であり、
前記目標物は、塗布剤を薄膜形成して供給する塗布剤供給ユニットまたは前記塗布剤を転写する基板であり、
前記昇降部、前記先端部、前記付勢部および前記検出部を備えるヘッドは、前記ピン部材の下端に前記塗布剤をディップするディップ作業、および、前記ピン部材の下端にディップされた前記塗布剤を前記基板に転写する転写作業のうちの少なくとも一つの作業を行う請求項1に記載の到達判定装置。
【請求項8】
前記目標物は、前記先端部に保持させる前記部品または前記先端部が保持する前記部品を装着する基板であり、
前記昇降部、前記先端部、前記付勢部および前記検出部を備えるヘッドは、前記先端部に前記部品を保持させる保持作業、および、前記先端部が保持する前記部品を前記基板に装着する装着作業のうちの少なくとも一つの作業を行う請求項1に記載の到達判定装置。
【請求項9】
ヘッド本体部に昇降可能に設けられる昇降部と、
前記昇降部に対して鉛直方向に相対移動可能に保持される先端部と、
前記先端部を前記昇降部に対して下方に付勢する付勢部と、
前記昇降部の下降により前記先端部もしくは前記先端部が保持する部品が目標物に当接することで前記昇降部と前記先端部が相対移動したことを検出する検出部と、
を備えるヘッドに適用され、
前記先端部もしくは前記先端部が保持する前記部品が前記目標物に当接するように予め算出された目標位置まで前記昇降部が下降したタイミングで、前記検出部によって前記当接が検出された場合に、前記先端部もしくは前記先端部が保持する前記部品の前記目標物への到達を判断し、前記検出部によって前記当接が検出されなかった場合に、前記先端部もしくは前記先端部が保持する前記部品の前記目標物への未到達を判断する判定工程を備える到達判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、到達判定装置および到達判定方法に関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の電子部品装着装置は、昇降部材の下降により電子部品が基板に当接することによる吸着ヘッドとノズル本体との相対移動を検出する当接検出手段を備えている。特許文献1に記載の電子部品装着装置は、当接検出手段の検出信号に基づいて、昇降部材の下降速度を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、当接検出手段の検出信号を確認しながら昇降部材を下降させると、昇降部材の下降に要する所要時間が増大する可能性がある。
【0005】
このような事情に鑑みて、本明細書は、昇降部の下降に要する所要時間を短縮可能な到達判定装置および到達判定方法を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、昇降部と、先端部と、付勢部と、検出部と、判定部とを備える到達判定装置を開示する。前記昇降部は、ヘッド本体部に昇降可能に設けられる。前記先端部は、前記昇降部に対して鉛直方向に相対移動可能に保持される。前記付勢部は、前記先端部を前記昇降部に対して下方に付勢する。前記検出部は、前記昇降部の下降により前記先端部もしくは前記先端部が保持する部品が目標物に当接することで前記昇降部と前記先端部が相対移動したことを検出する。前記判定部は、前記先端部もしくは前記先端部が保持する前記部品が前記目標物に当接するように予め算出された目標位置まで前記昇降部が下降したタイミングで、前記検出部によって前記当接が検出された場合に、前記先端部もしくは前記先端部が保持する前記部品の前記目標物への到達を判断し、前記検出部によって前記当接が検出されなかった場合に、前記先端部もしくは前記先端部が保持する前記部品の前記目標物への未到達を判断する。
【0007】
また、本明細書は、昇降部と、先端部と、付勢部と、検出部とを備えるヘッドに適用され、判定工程を備える到達判定方法を開示する。前記昇降部は、ヘッド本体部に昇降可能に設けられる。前記先端部は、前記昇降部に対して鉛直方向に相対移動可能に保持される。前記付勢部は、前記先端部を前記昇降部に対して下方に付勢する。前記検出部は、前記昇降部の下降により前記先端部もしくは前記先端部が保持する部品が目標物に当接することで前記昇降部と前記先端部が相対移動したことを検出する。前記判定工程は、前記先端部もしくは前記先端部が保持する前記部品が前記目標物に当接するように予め算出された目標位置まで前記昇降部が下降したタイミングで、前記検出部によって前記当接が検出された場合に、前記先端部もしくは前記先端部が保持する前記部品の前記目標物への到達を判断し、前記検出部によって前記当接が検出されなかった場合に、前記先端部もしくは前記先端部が保持する前記部品の前記目標物への未到達を判断する。
【0008】
なお、本明細書には、願書に最初に添付した特許請求の範囲(以下、当初特許請求の範囲という。)に記載の請求項6において、「請求項1に記載の到達判定装置」を「請求項1~5のいずれか一項に記載の到達判定装置」に変更した技術的思想が開示されている。また、本明細書には、当初特許請求の範囲に記載の請求項7において、「請求項1に記載の到達判定装置」を「請求項1~6のいずれか一項に記載の到達判定装置」に変更した技術的思想が開示されている。さらに、本明細書には、当初特許請求の範囲に記載の請求項8において、「請求項1に記載の到達判定装置」を「請求項1~7のいずれか一項に記載の到達判定装置」に変更した技術的思想が開示されている。
【発明の効果】
【0009】
上記の到達判定装置によれば、まず昇降部が目標位置まで下降する。そして、到達判定装置は、昇降部が目標位置まで下降したタイミングで、検出部による検出結果に応じて、先端部もしくは先端部が保持する部品の目標物への到達または未到達を判断する。よって、到達判定装置は、検出部による検出結果を確認しながら昇降部を下降させる場合と比べて、昇降部の下降に要する所要時間を短縮することができる。到達判定装置について上述されていることは、到達判定方法についても同様に言える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】ヘッドおよび塗布剤供給ユニットの位置関係を説明する説明図である。
【
図3】検出部によって当接が検出されない場合のヘッドの状態の一例を示す正面図である。
【
図4】検出部によって当接が検出される場合のヘッドの状態の一例を示す正面図である。
【
図5】到達判定装置の制御ブロックの一例を示すブロック図である。
【
図6】到達判定装置による制御の一例を示すフローチャートである。
【
図7】ピン部材の下端に塗布剤をディップするディップ作業を説明する説明図である。
【
図8】ピン部材の下端にディップされた塗布剤を基板に転写する転写作業を説明する説明図である。
【
図10】先端部に部品を保持させる保持作業を説明する説明図である。
【
図11】先端部が保持する部品を基板に装着する装着作業を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.実施形態
1-1.部品装着機10の構成例
部品装着機10は、基板90に複数の部品80を装着する。
図1に示すように、実施形態の部品装着機10は、基板搬送装置11、部品供給装置12、部品移載装置13、部品カメラ14、基板カメラ15および制御装置16を備えている。
【0012】
基板搬送装置11は、例えば、ベルトコンベアなどによって構成され、基板90を搬送方向(X軸方向)に搬送する。基板90は、回路基板であり、電子回路、電気回路、磁気回路などの種々の回路が形成される。基板搬送装置11は、部品装着機10の機内に基板90を搬入して、機内の所定位置に基板90を位置決めしクランプする。基板搬送装置11は、部品装着機10による複数の部品80の装着処理が終了した後に、基板90をアンクランプし、基板90を部品装着機10の機外に搬出する。
【0013】
部品供給装置12は、基板90に装着される複数の部品80を供給する。部品供給装置12は、基板90の搬送方向(X軸方向)に沿って設けられる複数のフィーダ12aを備えている。複数のフィーダ12aの各々は、複数の部品80が収納されているキャリアテープをピッチ送りさせて、フィーダ12aの先端側に位置する供給位置において部品80を採取可能に供給する。また、部品供給装置12は、複数の部品80がトレイ上に配置された状態で供給するトレイフィーダを備えることもできる。複数のフィーダ12aおよびトレイフィーダは、パレット部材DP0において着脱可能(交換可能)に設けられる。また、部品供給装置12は、パレット部材DP0の代わりに比較的大型のトレイによって部品80を供給するトレイユニットを用いることもできる。
【0014】
部品移載装置13は、ヘッド駆動装置13aおよび移動台13bを備えている。ヘッド駆動装置13aは、直動機構によって移動台13bを、X軸方向およびY軸方向(水平面においてX軸方向と直交する方向)に移動可能に構成されている。移動台13bには、クランプ部材によってヘッド20が着脱可能(交換可能)に設けられている。例えば、ヘッド20は、少なくとも一つの保持部材30を用いて、部品供給装置12によって供給された部品80を採取し保持して、基板搬送装置11によって位置決めされた基板90に部品80を装着する。保持部材30は、例えば、吸着ノズル、チャックなどを用いることができる。
【0015】
部品カメラ14および基板カメラ15は、公知の撮像装置を用いることができる。部品カメラ14は、光軸が鉛直方向(X軸方向およびY軸方向と直交するZ軸方向)の上向きになるように、部品装着機10の基台に固定されている。部品カメラ14は、保持部材30に保持されている部品80を下方から撮像することができる。基板カメラ15は、光軸が鉛直方向(Z軸方向)の下向きになるように、部品移載装置13の移動台13bに設けられている。基板カメラ15は、基板90を上方から撮像することができる。
【0016】
部品カメラ14および基板カメラ15は、制御装置16から送出される制御信号に基づいて撮像を行う。部品カメラ14および基板カメラ15によって撮像された画像の画像データは、制御装置16に送信される。制御装置16は、公知の演算装置および記憶装置を備えており、制御回路が構成されている。制御装置16には、部品装着機10に設けられる各種センサから出力される情報、画像データなどが入力される。制御装置16は、制御プログラムおよび予め設定されている所定の装着条件などに基づいて、各装置に対して制御信号を送出する。
【0017】
例えば、制御装置16は、基板搬送装置11によって位置決めされた基板90を基板カメラ15に撮像させる。制御装置16は、基板カメラ15によって撮像された画像を画像処理して、基板90の位置決め状態を認識する。また、制御装置16は、ヘッド20を駆動制御して、部品供給装置12によって供給された部品80を保持部材30に採取させ保持させて(後述される保持作業に相当)、保持部材30に保持されている部品80を部品カメラ14に撮像させる。制御装置16は、部品カメラ14によって撮像された画像を画像処理して、部品80の保持姿勢を認識する。
【0018】
制御装置16は、ヘッド20を駆動制御して、制御プログラムなどによって予め設定される装着予定位置の上方に向かって、保持部材30を移動させる。また、制御装置16は、基板90の位置決め状態、部品80の保持姿勢などに基づいて、装着予定位置を補正して、実際に部品80を装着する装着位置を設定する。装着予定位置および装着位置は、位置(X軸座標およびY軸座標)の他に回転角度を含む。
【0019】
制御装置16は、装着位置に合わせて、保持部材30の目標位置(X軸座標およびY軸座標)および回転角度を補正する。制御装置16は、ヘッド20を駆動制御して、補正された目標位置において補正された回転角度で保持部材30を下降させて、基板90に部品80を装着する(後述される装着作業に相当)。制御装置16は、上記のピックアンドプレースサイクルを繰り返すことによって、基板90に複数の部品80を装着する装着処理を実行する。
【0020】
1-2.塗布剤40pのディップおよび転写
実施形態の部品装着機10は、部品供給装置12に塗布剤供給ユニット40を搭載することにより、保持部材30が保持する部品80を塗布剤40pにディップしてから基板90に装着することが可能となる。また、実施形態の部品装着機10は、これに加えてピン部材50をヘッド20に装着しており、ピン部材50の先端を塗布剤40pにディップすることにより、基板90に対して塗布剤40pを転写することが可能となる。
【0021】
塗布剤供給ユニット40は、はんだペーストなどの塗布剤40pを薄膜形成して供給する。具体的には、
図1および
図2に示すように、塗布剤供給ユニット40は、収容器41と、貯留槽42とを備えている。収容器41は、塗布剤40pを収容する。実施形態の収容器41は、有底円筒状に形成されている。塗布剤供給ユニット40は、収容器41において塗布剤40pが局所的に減少しないように、収容器41を定期的に回転させる。また、塗布剤供給ユニット40は、収容器41が回転しているときに、塗布剤40pの残量を検出する。塗布剤供給ユニット40は、塗布剤40pの残量が所定量以下になると、塗布剤40pが貯留されている貯留槽42から収容器41に塗布剤40pを補給する。また、塗布剤供給ユニット40は、塗布剤40pの膜厚40hを調整することもできる。
【0022】
塗布剤供給ユニット40は、パレット部材DP0において着脱可能(交換可能)に設けられている。
図1に示すように、パレット部材DP0は、複数のフィーダ12aと、塗布剤供給ユニット40とを同時に装備することもできる。パレット部材DP0は、トレイフィーダと、塗布剤供給ユニット40とを同時に装備することもできる。また、塗布剤供給ユニット40は、パレット部材DP0の代わりに用いられるトレイユニットに装備することもできる。このように、実施形態では、収容器41を備える塗布剤供給ユニット40は、部品80を供給する部品供給装置12と交換可能に設けられる。そのため、塗布剤供給ユニット40の設置スペースを別途設ける場合と比べて、部品装着機10を小型化し易い。また、塗布剤供給ユニット40のメンテナンスが容易である。
【0023】
図2に示すように、ヘッド20は、少なくとも一つの保持部材30が、少なくとも一つのピン部材50と着脱可能(交換可能)に設けられている。ピン部材50は、塗布剤40pを保持して基板90に転写することができれば良く、種々の形態をとり得る。ヘッド20に設けられるピン部材50は、保持部材30と同様にして、ヘッド20によって水平方向(X軸方向およびY軸方向)に移動され、鉛直方向(Z軸方向)に昇降される。なお、既述したように、基板90は、基板搬送装置11によって位置決めされる。ヘッド20に設けられるピン部材50は、収容器41と、位置決めされた基板90との間で、水平方向(X軸方向およびY軸方向)に移動され、鉛直方向(Z軸方向)に昇降される。
【0024】
制御装置16は、ヘッド20を駆動制御して、ヘッド20に設けられるピン部材50を、収容器41に収容されている塗布剤40pにディップする(後述されるディップ作業に相当)。具体的には、制御装置16は、ヘッド20を駆動制御して、ピン部材50を収容器41の上方に移動させ、ピン部材50を下降させて、ピン部材50の下端に塗布剤40pをディップする。次に、制御装置16は、ヘッド20を駆動制御して、基板90の所定部位(例えば、部品80の装着部位)に、ピン部材50を移動させる。
【0025】
そして、制御装置16は、ヘッド20を駆動制御して、ピン部材50の下端にディップされた塗布剤40pを基板90の所定部位に転写する(後述される転写作業に相当)。制御装置16は、上記のヘッド20の駆動制御を繰り返すことによって、基板90の複数の所定部位(例えば、部品80の複数の装着部位)に塗布剤40pを塗布することができる。なお、ディップ作業および転写作業は、実施形態のように、部品80の保持作業および装着作業を行う部品装着機10と同じ部品装着機10において行っても良く、部品80の保持作業および装着作業を行う部品装着機10と異なる部品装着機10において行っても良い。
【0026】
1-3.ヘッド20の構成例
ヘッド20は、保持部材30およびピン部材50のうちの少なくとも一つを、水平方向(X軸方向およびY軸方向)に移動し、鉛直方向(Z軸方向)に昇降することができれば良く、種々の形態をとり得る。実施形態のヘッド20は、ヘッド本体部21と、昇降部22と、先端部23と、付勢部24と、検出部25とを備えている。
図1に示すように、ヘッド本体部21は、移動台13bに設けられ、ヘッド20は、水平方向(X軸方向およびY軸方向)に移動することができる。
【0027】
昇降部22は、ヘッド本体部21に昇降可能に設けられる。昇降部22は、ヘッド本体部21に対して昇降可能であれば良く、種々の形態をとり得る。例えば、昇降部22は、ボールねじ機構などの公知の昇降機構によって、ヘッド本体部21に昇降可能に設けることができる。ボールねじ機構は、例えば、サーボモータなどによって駆動し、昇降部22を鉛直方向(Z軸方向)に昇降させる。先端部23は、昇降部22に対して鉛直方向(Z軸方向)に相対移動可能に保持される。また、付勢部24は、先端部23を昇降部22に対して下方に付勢する。
【0028】
先端部23は、上記のように保持される部位であれば良く、種々の形態をとり得る。また、付勢部24は、先端部23を昇降部22に対して下方に付勢することができれば良く、種々の形態をとり得る。
図2~
図4に示すように、例えば、先端部23には、ピン部材50の下端が含まれる。また、先端部23には、保持部材30の下端が含まれる。
図3および
図4に示すように、例えば、ピン部材50は、付勢部24である弾性部材(例えば、ばね部材など)によって、鉛直方向(Z軸方向)の下方に向けて付勢されている。
【0029】
ピン部材50は、ピン部材50の下端が目標物70に当接するまでの間、昇降部22の昇降に合わせて鉛直方向(Z軸方向)に昇降する。昇降部22の下降によりピン部材50の下端が目標物70に当接し、さらに昇降部22が下降すると、ピン部材50は、弾性部材の弾性力に抗して昇降部22に対して相対移動する。
図3は、ピン部材50が昇降部22に対して相対移動する前の状態を示し、
図4は、ピン部材50が昇降部22に対して相対移動した後の状態を示している。
【0030】
なお、
図3および
図4に示すヘッド20は、複数のピン部材50を備えている。具体的には、ヘッド20は、先端部ユニット23uを備えている。先端部ユニット23uには、複数のピン部材50を備えるピン部材モジュール23mが着脱可能に設けられる。先端部ユニット23uは、上述されているピン部材50と同様に昇降し、上述されているピン部材50と同様に昇降部22に対して相対移動する。実施形態の先端部ユニット23uは、モジュール固定部23aと、遮光部23bとを備えている。
【0031】
モジュール固定部23aは、ピン部材モジュール23mを着脱可能に固定する。モジュール固定部23aは、例えば、ねじ止めなどによって、ピン部材モジュール23mを側面から固定することができる。遮光部23bは、昇降部22に対してピン部材50が相対移動した場合に、検出部25の検出光を遮光する。なお、ピン部材50の相対移動について上述されていることは、保持部材30の相対移動についても同様に言える。また、ピン部材50の相対移動について上述されていることは、先端部23(保持部材30の下端)が保持する部品80の相対移動についても同様に言える。
【0032】
検出部25は、昇降部22の下降により先端部23もしくは先端部23が保持する部品80が目標物70に当接することで、昇降部22と先端部23が相対移動したことを検出する。検出部25は、上記の相対移動を検出することができれば良く、種々の形態をとり得る。例えば、検出部25は、昇降部22に対する先端部23の相対移動の有無に応じて、検出光が透過または遮光される光学センサ25sを用いることができる。
【0033】
図3および
図4に示すように、光学センサ25sは、投光器25aと、受光器25bとを備えている。投光器25aは、投光口25a1を備えており、受光器25bは、受光口25b1を備えている。
図3に示すように、昇降部22に対して先端部23が相対移動していない場合、投光口25a1から照射された検出光(同図の実線で示す矢印)は、遮光部23bによって遮光される。この場合、同図の破線で示す矢印のように、検出光は、受光口25b1に到達しないので、検出部25は、先端部23もしくは先端部23が保持する部品80が目標物70に当接しておらず、昇降部22と先端部23が相対移動していないことを検出する。
【0034】
図4に示すように、昇降部22に対して先端部23が相対移動した場合、投光口25a1から照射された検出光(同図の実線で示す矢印)は、遮光部23bによって遮光されることなく先端部ユニット23uを通過し、受光口25b1に到達する。この場合、検出部25は、先端部23もしくは先端部23が保持する部品80が目標物70に当接して、昇降部22と先端部23が相対移動したことを検出する。なお、光学センサ25sは、以下に示される到達判定装置60のいずれの形態においても適用することができる。また、検出部25は、上記の透過型の光学センサ25sの他、反射型の光学センサなど公知の種々の検出器を用いることができる。
【0035】
1-4.到達判定装置60の構成例
検出部25の検出信号を確認しながら昇降部22を下降させる場合を想定する。この場合、制御装置16は、例えば、昇降部22を所定高さ位置まで第一速度で下降させ、所定高さ位置から第一速度よりも低速の第二速度で昇降部22を下降させることが考えられる。この場合、昇降部22の下降に要する所要時間が増大する可能性がある。そこで、実施形態では、到達判定装置60が設けられている。
【0036】
到達判定装置60によれば、まず昇降部22が目標位置71まで下降する。そして、到達判定装置60は、昇降部22が目標位置71まで下降したタイミングで、検出部25による検出結果に応じて、先端部23もしくは先端部23が保持する部品80の目標物70への到達または未到達を判断する。よって、到達判定装置60は、検出部25による検出結果を確認しながら昇降部22を下降させる場合と比べて、昇降部22の下降に要する所要時間を短縮することができる。
【0037】
具体的には、到達判定装置60は、昇降部22と、先端部23と、付勢部24と、検出部25と、判定部61とを備えている。到達判定装置60は、制御部62を備えることもできる。既述されているように、昇降部22、先端部23、付勢部24および検出部25は、ヘッド20に設けることができる。判定部61および制御部62は、種々の制御装置に設けることができる。
【0038】
例えば、判定部61および制御部62のうちの少なくとも一つは、部品装着機10の制御装置16に設けることができる。判定部61および制御部62のうちの少なくとも一つは、部品装着機10の上位の制御装置、管理装置などに設けることもできる。判定部61および制御部62のうちの少なくとも一つは、クラウド上に形成することもできる。
図5に示すように、実施形態の到達判定装置60は、判定部61および制御部62の両方を備えている。また、判定部61および制御部62は、部品装着機10の制御装置16に設けられている。
【0039】
また、実施形態の到達判定装置60は、
図6に示すフローチャートに従って、制御を実行する。判定部61は、ステップS12~ステップS14に示す判断および処理を行う。制御部62は、ステップS15に示す処理を行う。なお、制御装置16は、ステップS11に示す処理を行う。
【0040】
1-4-1.判定部61
制御装置16は、ヘッド20を駆動制御して、昇降部22を目標位置71まで下降させる(
図6に示すステップS11)。そして、判定部61は、昇降部22が目標位置71まで下降したタイミングで、検出部25による検出結果に応じて、先端部23もしくは先端部23が保持する部品80の目標物70への到達または未到達を判断する(
図6に示すステップS12~ステップS14)。
【0041】
具体的には、判定部61は、先端部23もしくは先端部23が保持する部品80が目標物70に当接するように予め算出された目標位置71まで昇降部22が下降したタイミングで、検出部25によって上記当接が検出された場合に、先端部23もしくは先端部23が保持する部品80の目標物70への到達を判断する。また、判定部61は、先端部23もしくは先端部23が保持する部品80が目標物70に当接するように予め算出された目標位置71まで昇降部22が下降したタイミングで、検出部25によって上記当接が検出されなかった場合に、先端部23もしくは先端部23が保持する部品80の目標物70への未到達を判断する。
【0042】
例えば、先端部23がピン部材50の下端であり、目標物70が塗布剤40pを薄膜形成して供給する塗布剤供給ユニット40の場合を想定する。この場合、昇降部22、先端部23、付勢部24および検出部25を備えるヘッド20は、ピン部材50の下端に塗布剤40pをディップするディップ作業を行うことができる。
【0043】
図7に示すように、ピン部材50の下端から収容器41の底面までの距離を距離L11とする。既述されているように、昇降部22の下降によりピン部材50の下端が目標物70(この場合、塗布剤供給ユニット40であり、詳細には収容器41の底面)に当接し、さらに昇降部22が下降すると、ピン部材50は、弾性部材の弾性力に抗して昇降部22に対して相対移動する。このように、先端部23が相対移動する距離を距離L20とする(以下、同じ)。この場合、目標位置71は、距離L11に距離L20を加算した位置(高さ)になる。また、昇降部22には、エンコーダなどの公知の位置検出器が設けられており、制御装置16は、昇降部22の位置(高さ)を認識することができる。
【0044】
判定部61は、上記の目標位置71まで昇降部22が下降したタイミングで、検出部25によって先端部23(ピン部材50の下端)と目標物70(塗布剤供給ユニット40)との当接が検出された場合に、先端部23の目標物70への到達を判断する。また、判定部61は、上記の目標位置71まで昇降部22が下降したタイミングで、検出部25によって上記の当接が検出されなかった場合に、先端部23の目標物70への未到達を判断する。
【0045】
次に、先端部23がピン部材50の下端であり、目標物70が塗布剤40pを転写する基板90の場合を想定する。この場合、昇降部22、先端部23、付勢部24および検出部25を備えるヘッド20は、ピン部材50の下端にディップされた塗布剤40pを基板90に転写する転写作業を行うことができる。
図8に示すように、ピン部材50の下端から基板90までの距離を距離L12とする。先端部23が相対移動する距離は、距離L20であるので、この場合、目標位置71は、距離L12に距離L20を加算した位置(高さ)になる。
【0046】
判定部61は、上記の目標位置71まで昇降部22が下降したタイミングで、検出部25によって先端部23(ピン部材50の下端)と目標物70(基板90)との当接が検出された場合に、先端部23の目標物70への到達を判断する。また、判定部61は、上記の目標位置71まで昇降部22が下降したタイミングで、検出部25によって上記の当接が検出されなかった場合に、先端部23の目標物70への未到達を判断する。
【0047】
昇降部22、先端部23、付勢部24および検出部25を備えるヘッド20は、ディップ作業および転写作業の両方の作業を行うこともできる。この場合、判定部61は、同様にして、先端部23(ピン部材50の下端)の目標物70(塗布剤供給ユニット40)への到達または未到達を判断することができ、先端部23(ピン部材50の下端)の目標物70(基板90)への到達または未到達を判断することができる。このように、昇降部22、先端部23、付勢部24および検出部25を備えるヘッド20は、ディップ作業および転写作業のうちの少なくとも一つの作業を行うことができる。
【0048】
なお、
図9に示すように、基板90は、反りが生じる可能性がある。同図に示す基板90は、鉛直方向(Z軸方向)の下方に突出するように反りが生じている。この場合、判定部61は、基板90の反りが大きくなるほど、先端部23(ピン部材50の下端)の目標物70(基板90)への未到達を判断し続ける可能性がある。
【0049】
そこで、到達判定装置60は、基板90の反りの状態を検出可能な公知の測距センサ60sなどを備えると良い。
図9に示すように、測距センサ60sは、例えば、レーザ光線を基板90の上方から基板90の上面の複数の位置に照射して、基板90との間の相対的な距離をそれぞれ測定し、測定結果に基づいて基板90の反りの状態を検出することができる。同図では、実線の測距センサ60sが基板90の上方を水平移動しながら、基板90との間の相対的な距離を順に測定する様子が、破線の測距センサ60sを用いて示されている。なお、少なくとも一つの測距センサ60sが、測定時に水平移動することなく、基板90の上面の複数の位置において、基板90との間の相対的な距離をそれぞれ測定することもできる。測距センサ60sについて上述されていることは、
図11に示す測距センサ60sについても、同様に言える。
【0050】
到達判定装置60は、測距センサ60sの検出結果に応じて、ピン部材50の下端から基板90までの距離である距離L12を増減させる。具体的には、同図に示すように、基板90が鉛直方向(Z軸方向)の下方に突出するように反っている場合、到達判定装置60は、設計値である距離L12に、基板90の反り量を加算した距離を距離L12とする。また、基板90が鉛直方向(Z軸方向)の上方に突出するように反っている場合、到達判定装置60は、設計値である距離L12に、基板90の反り量を減じた距離を距離L12とする。
【0051】
なお、到達判定装置60が測距センサ60sを具備しない場合は、例えば、作業者などが基板90の反り量を予め測定しておき、到達判定装置60に基板90の反り量を入力することもできる。この場合、到達判定装置60は、作業者などによって入力された基板90の反り量に応じて、距離L12を増減させることができる。
【0052】
次に、先端部23が保持部材30の下端であり、目標物70が先端部23に保持させる部品80の場合を想定する。この場合、昇降部22、先端部23、付勢部24および検出部25を備えるヘッド20は、先端部23に部品80を保持させる保持作業を行うことができる。
図10に示すように、保持部材30の下端から部品80までの距離を距離L13とする。先端部23が相対移動する距離は、距離L20であるので、この場合、目標位置71は、距離L13に距離L20を加算した位置(高さ)になる。
【0053】
判定部61は、上記の目標位置71まで昇降部22が下降したタイミングで、検出部25によって先端部23(保持部材30の下端)と目標物70(部品80)との当接が検出された場合に、先端部23の目標物70への到達を判断する。また、判定部61は、上記の目標位置71まで昇降部22が下降したタイミングで、検出部25によって上記の当接が検出されなかった場合に、先端部23の目標物70への未到達を判断する。
【0054】
次に、先端部23(保持部材30の下端)が部品80を保持しており、目標物70が基板90(詳細には、先端部23が保持する部品80を装着する基板90)の場合を想定する。この場合、昇降部22、先端部23、付勢部24および検出部25を備えるヘッド20は、先端部23が保持する部品80を基板90に装着する装着作業を行うことができる。
図11に示すように、先端部23(保持部材30の下端)が保持する部品80の下端から基板90までの距離を距離L14とする。先端部23が相対移動する距離は、距離L20であるので、この場合、目標位置71は、距離L14に距離L20を加算した位置(高さ)になる。
【0055】
判定部61は、上記の目標位置71まで昇降部22が下降したタイミングで、検出部25によって先端部23(保持部材30の下端)が保持する部品80と目標物70(基板90)との当接が検出された場合に、先端部23が保持する部品80の目標物70への到達を判断する。また、判定部61は、上記の目標位置71まで昇降部22が下降したタイミングで、検出部25によって上記の当接が検出されなかった場合に、先端部23が保持する部品80の目標物70への未到達を判断する。
【0056】
なお、基板90の反りについて既述されていることは、ヘッド20が装着作業を行う場合についても同様に言える。つまり、到達判定装置60は、基板90の反りの状態を検出可能な公知の測距センサ60sなどを備えることができる。この場合、到達判定装置60は、測距センサ60sの検出結果に応じて、先端部23(保持部材30の下端)が保持する部品80の下端から基板90までの距離である距離L14を増減させることができる。また、到達判定装置60が測距センサ60sを具備しない場合は、例えば、作業者などが基板90の反り量を予め測定しておき、到達判定装置60に基板90の反り量を入力することもできる。この場合、到達判定装置60は、作業者などによって入力された基板90の反り量に応じて、距離L14を増減させることができる。
【0057】
昇降部22、先端部23、付勢部24および検出部25を備えるヘッド20は、保持作業および装着作業の両方の作業を行うこともできる。この場合、判定部61は、同様にして、先端部23(保持部材30の下端)の目標物70(部品80)への到達または未到達を判断することができ、先端部23(保持部材30の下端)が保持する部品80の目標物70(基板90)への到達または未到達を判断することができる。このように、昇降部22、先端部23、付勢部24および検出部25を備えるヘッド20は、保持作業および装着作業のうちの少なくとも一つの作業を行うことができる。また、昇降部22、先端部23、付勢部24および検出部25を備えるヘッド20は、ディップ作業、転写作業、保持作業および装着作業のうちの少なくとも一つの作業を行うこともできる。
【0058】
判定部61は、ヘッド20のいずれの作業においても、先端部23もしくは先端部23が保持する部品80の目標物70への到達または未到達を判断することができる。しかしながら、例えば、検出部25は、昇降部22に対する先端部23の相対移動の有無を検出するまでに所定時間を要し、多少のタクトタイムの遅延が生じる。そのため、判定部61は、基板製品の品質を重視するヘッド20の作業(作業は限定されないが、例えば、転写作業など)において、上記の判断をすることもできる。なお、判定部61およびヘッド20が行う作業について既述されていることは、以下に示される制御部62においても適宜、適用することができる。
【0059】
1-4-2.制御部62
判定部61によって先端部23もしくは先端部23が保持する部品80の到達が判定された場合、部品装着機10は、ヘッド20を使用した生産を継続することができる。これに対して、判定部61によって先端部23もしくは先端部23が保持する部品80の未到達が判定された場合、不具合に対処することなく、部品装着機10がヘッド20を使用した生産を継続することは好ましくない。
【0060】
そこで、制御部62は、判定部61によって先端部23もしくは先端部23が保持する部品80の未到達が判定された場合に、昇降部22、先端部23、付勢部24および検出部25を備えるヘッド20を使用した生産を停止させる(
図6に示すステップS15)。この場合、制御部62は、例えば、上記の未到達によってヘッド20を使用した生産を停止している旨を作業者などに案内することができる。例えば、制御部62は、部品装着機10に設けられている表示装置に上記の案内を行う。これにより、作業者は、不具合の状況を確認することができ、不具合に対処することができる。
【0061】
例えば、
図9に示すような基板90の反り(基板90が鉛直方向(Z軸方向)の下方に突出するように反っている場合)に起因して、判定部61によって先端部23もしくは先端部23が保持する部品80の未到達が判定された場合、作業者は、部品装着機10に基板90を支持する支持部材を設けることができる。また、上記の基板90の反りに起因して、判定部61によって先端部23もしくは先端部23が保持する部品80の未到達が判定された場合、作業者は、基板90を支持する支持部材の数を増加させることもでき、支持部材の配置を変更することもできる。
【0062】
制御部62は、判定部61によって先端部23もしくは先端部23が保持する部品80の未到達が判定された場合に、昇降部22を目標位置71に対して、さらに下降させることもできる(
図6に示すステップS15)。これにより、ヘッド20を使用した生産を停止させることなく、不具合を改善することができる可能性がある。具体的には、制御部62は、予め規定されている規定量または判定部61によって先端部23もしくは先端部23が保持する部品80の到達が判定されるまで、昇降部22を目標位置71に対して、さらに下降させることができる。
【0063】
上記の規定量は、例えば、シミュレーション、実機による検証などによって予め取得しておくことができる。上記の規定量は、基板90の種類(基板90の撓み易さ)に応じて、増減することもできる。また、昇降部22を目標位置71に対して、さらに下降させる制御は、ヘッド20がディップ作業、転写作業、保持作業および装着作業のいずれの作業を行う場合にも適用することができる。不具合が既述されている基板90の反り(基板90が鉛直方向(Z軸方向)の下方に突出するように反っている場合)に起因する場合、昇降部22を目標位置71に対して、さらに下降させる制御は、ヘッド20が転写作業および装着作業のうちの少なくとも一つの作業を行う場合に適用すると良い。
【0064】
なお、基板90が鉛直方向(Z軸方向)の上方に突出するように反っている場合に、ヘッド20が装着作業を行うと、部品80に付加される荷重が増加する可能性がある。そこで、制御部62は、昇降部22が目標位置71に対して、さらに下降した際に想定される荷重の増加を許容する所定部品について、昇降部22を目標位置71に対して、さらに下降させることもできる。この場合、目標物70は、部品80を装着する基板90であり、詳細には、先端部23(保持部材30の下端)が保持する部品80を装着する基板90である。
【0065】
例えば、作業者は、シミュレーション、実機による検証などによって、予め部品80に付加される荷重の増加量を取得し、荷重の増加量が許容される部品80を、上記の所定部品に選定することができる。例えば、BGA(Ball Grid Array)部品などは、ウエハ部品などと比べて耐荷重が高くなり易く、所定部品に含まれ易い。また、部品80の外形寸法が大きくなるほど耐荷重が高くなり易く、所定部品に含まれ易い。
【0066】
2.到達判定方法
到達判定装置60について既述されていることは、到達判定方法についても同様に言える。具体的には、到達判定方法は、昇降部22と、先端部23と、付勢部24と、検出部25とを備えるヘッド20に適用され、判定工程を備える。判定工程は、判定部61が行う制御に相当する。到達判定方法は、制御工程を備えることもできる。制御工程は、制御部62が行う制御に相当する。
【0067】
3.実施形態の効果の一例
到達判定装置60によれば、まず昇降部22が目標位置71まで下降する。そして、到達判定装置60は、昇降部22が目標位置71まで下降したタイミングで、検出部25による検出結果に応じて、先端部23もしくは先端部23が保持する部品80の目標物70への到達または未到達を判断する。よって、到達判定装置60は、検出部25による検出結果を確認しながら昇降部22を下降させる場合と比べて、昇降部22の下降に要する所要時間を短縮することができる。到達判定装置60について上述されていることは、到達判定方法についても同様に言える。
【符号の説明】
【0068】
20:ヘッド、21:ヘッド本体部、22:昇降部、23:先端部、24:付勢部、
25:検出部、25s:光学センサ、40:塗布剤供給ユニット、40p:塗布剤、
50:ピン部材、60:到達判定装置、61:判定部、62:制御部、
70:目標物、71:目標位置、80:部品、90:基板。